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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】エネルギー吸収装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 19/18 20060101AFI20240614BHJP
   B60R 19/04 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B60R19/18 L
B60R19/04 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577742
(86)(22)【出願日】2022-06-03
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022065153
(87)【国際公開番号】W WO2022263205
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】2106372
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【弁理士】
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】エンゾ、ミティディエリ
(72)【発明者】
【氏名】セルジオ、ダ、コスタ、ピト
(57)【要約】
本発明は、主伸長方向(A)と少なくとも1つの衝撃を受けることが意図された外面(103)とを有する、車両(1)用のエネルギー吸収装置(101、201、301)であって、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコア(113)であって、前記主伸長方向(A)に対して平行な延在方向(E)においてクレスト(117)からなる連続体を有する波形形状部(115)を有するコア(113)と、前記コア(113)とともに一部品体を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体(133)であって、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)を前記車両(1)の保護すべき要素(3)に取り付ける手段(153)を備えるプラスチック構造体(133)と、を少なくとも備えるエネルギー吸収装置(101、201、301)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主伸長方向(A)と少なくとも1つの衝撃を受けることが意図された外面(103)とを有する、車両(1)用のエネルギー吸収装置(101、201、301)であって、
前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコア(113)であって、前記主伸長方向(A)に対して平行な延在方向(E)においてクレスト(117)からなる連続体を有する波形形状部(115)を有するコア(113)と、前記コア(113)とともに一部品体を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体(133)であって、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)を前記車両(1)の保護すべき要素(3)に取り付ける手段(153)を備えるプラスチック構造体(133)と、を少なくとも備え、
前記外面(103)は、前記コア(113)の前記波形形状部(115)の前記クレスト(117)により、少なくとも部分的に形成される、
エネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項2】
クレスト(117)からなる前記連続体は、前記主伸長方向(A)において、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の全長(U)に亘って延びる、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項3】
【請求項4】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の前記延在方向(E)において変化する振幅(AMPc)を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項5】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の延在方向(E)において変化するピッチ(PASc)を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項6】
前記波形形状部(115)は、前記エネルギー吸収装置の前記伸長方向に沿って変化する可変の形状であって、第1部分(119)と第2部分(121)とを有する形状を有し、
前記波形形状部(115)の前記第1部分(119)は、前記波形形状部(115)の前記第2部分(121)の構成と異なる構成を有する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項7】
前記取付手段(153)は、前記プラスチック構造体(133)と一体的に形成される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項8】
前記エネルギー吸収材料は、ガラス繊維強化プラスチックである、
請求項1~7のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項9】
衝撃から保護すべき少なくとも1つの要素(3)と、請求項1~8のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(101、201、301)と、を備える車両(1)であって、
前記外面(103)が保護すべき前記要素(3)の反対側にあるように、かつ前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の内面(105)であって前記外面(103)の反対側の内面(105)が保護すべき前記要素(3)に対面するように、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、保護すべき前記要素(3)に、前記取付手段(153)を使用して取り付けられる、
車両(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、特に自動車に装備されるエネルギー吸収装置の分野に関する。より具体的には、本発明は、車両、特に自動車の保護すべき要素に配置されるエネルギー吸収装置に関する。保護すべき要素とは、例えば、車両の本体または車両の電気バッテリである。
【背景技術】
【0002】
自動車のエネルギー吸収装置は、通常、当該車両のバンパーとサイドメンバーとの間に配置される。自動車のフロントバンパーまたはリアバンパーのいずれに配置されても、エネルギー吸収装置は、外部要素との潜在的な衝突時に車両に伝達されるエネルギーを少なくとも部分的に吸収する機能を有する。
【0003】
より具体的には、エネルギー吸収装置により、このエネルギーが車両のサイドメンバーに丸ごと伝達されることが防止され得るとともに、衝突時に前記メンバーが変形することが限定され得る。車両のアンダーボディの重要な構造要素であるサイドメンバーの交換には、コストの高い作業が必要であろうことを理解されたい。
【0004】
所望の衝突/衝撃吸収性能を達成するため、適切な金属からエネルギー吸収装置を構成し、これに発泡ポリスチレンまたは他の類似の材料から構成される追加の吸収体を組み合わせ得ることが知られている。
【0005】
これらのエネルギー吸収装置は、重くて嵩張るという欠点がある。さらに、求められる性能を達成するためにこれらの装置に必要な寸法を理由として、これらの装置を車両の全体的なスタイルおよびサイズに適合させることは困難である。さらにまた、これらのエネルギー吸収装置の内部構造は、すべての点において実質的に同一であるため、所定の形状および場所に適するように構造を適合させる可能性、および、これらのエネルギー吸収装置のエネルギー吸収能力を顕著に向上させる可能性が制限されている、さらには阻まれている。
【発明の概要】
【0006】
したがって、本発明の目的は、新規なエネルギー吸収装置を提案することにより、上述の欠点のうちの少なくとも1つを緩和することである。エネルギー吸収装置は、その構造および構成により、衝突時に力が車両の保護すべき要素に伝達されることを回避すべく力を吸収することができ、同時に車両に容易に一体化することができるとともに内部構造を変更することができる。
【0007】
本発明は、主伸長方向と少なくとも1つの衝撃を受けることが意図された外面とを有する、車両用のエネルギー吸収装置を提案する。前記エネルギー吸収装置は、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコアであって、前記主伸長方向に対して平行な延在方向においてクレストからなる連続体を有する波形形状部を有するコアと、前記コアとともに一部品体を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体であって、前記エネルギー吸収装置を前記車両の保護すべき要素に取り付ける手段を備えるプラスチック構造体と、を少なくとも備える。
【0008】
エネルギー吸収装置は、車両の外部の1つ以上の物体による衝撃から車両の要素を保護することが意図されている。吸収装置は、主伸長方向に亘るようになされている。吸収装置は、衝撃を受けることが意図された外面も有する。
【0009】
エネルギー吸収装置は、コアと、コアとともに一部品構造体を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体と、を少なくとも備えるという特別な特徴を有する。ここで、そして以下の文章全体を通して、「一部品」という用語は、プラスチック構造体とコアとが、プラスチック構造体および/またはコアの少なくともいずれか一方にダメージを与えることなく分離することができない単一の物体を形成していることを意味すると理解すべきである。換言すれば、プラスチック構造体をコアから、一方または他方にダメージを与えることなく取り外すことはできない。
【0010】
コアは、エネルギー吸収材料から構成される。これにより、1つ以上の衝撃に続いて放出されるエネルギーが広がることが防止されることで、保護すべき要素が守られる。さらに、コアは、波形形状部を有する。波形形状部は、クレストとも称される少なくとも1つの山と少なくとも1つの谷との連続体である。波形形状部は、好適には、複数の山および谷を備える。クレストは、エネルギー吸収装置の主伸長方向に対して平行な延在方向において、互いに連続する。エネルギー吸収装置全体に対するコアの波形形状部のこの配置により、コアひいては本発明によるエネルギー吸収装置のエネルギー吸収能力が、さらに向上し得る。
【0011】
一実施形態によれば、クレストからなる連続体は、主伸長方向において、エネルギー吸収装置の長さの少なくとも一部に亘って延びる。好適には、クレストからなる前記連続体は、前記主伸長方向において、前記エネルギー吸収装置の全長に亘って延びる。エネルギー吸収装置の長さは、主伸長方向において測定される、装置の2つの長手方向端部間の距離である。
【0012】
一実施形態によれば、外面は、コアの波形形状部のクレストにより、好適にはクレストの大部分により、少なくとも部分的に形成される。したがって、クレストの一部は、外面に対応する平面を規定するのに寄与する。この結果、クレストの一部は、1つ以上の衝撃から生じるエネルギーを受けるように配置される。
【0013】
この構成により、力のスパイクを生じさせることなく、エネルギー吸収装置に衝突した物体にかかる反力を徐々に増加させることができるため、非常に有利である。また、エネルギー吸収装置は、同一レベルの変形に対して、より大きなエネルギー量を吸収することができる。したがって、本発明は、より効率的であると同時により軽量であるエネルギー吸収装置で同一の結果を得ることを可能にする。
【0014】
一実施形態によれば、外面は、コアの波形形状部のセグメントにより、少なくとも部分的に形成される。波形形状部のセグメントは、クレストの延在方向を含む横方向および鉛直方向平面断面であって、内部に連続的なクレストが落下する正弦波を形成する横方向および鉛直方向断面における当該波形形状部の断面に対応する。換言すれば、波形形状部は、互いに長手方向に積層された複数のセグメントから構成され、この積層体の長手方向端部に位置するセグメントが、外面を少なくとも部分的に規定するのに寄与する。この文脈において、吸収装置の上面は、波形形状部のクレストの少なくとも一部により規定される。上面は、外面を、外面の反対側の内面に接続する面である。内面は、保護すべき要素に対面する面である。
【0015】
本実施形態において、外面は、鋭利な縁部を形成する波形形状部の長手方向端縁部により少なくとも部分的に形成されており、これらの鋭利な縁部はプラスチック構造体に埋設されていることに留意すべきである。使用されるプラスチック材料は、特に、例えば2GPa未満の低い剛性を有するとともに、20%を超える破断伸びの延性を有し得る。これにより、プラスチック材料は、測定荷重の下で、これらの鋭利な縁部を暴露することなく変形することができる。
【0016】
一実施形態によれば、波形形状部のクレストは、クレストからなる連続体の延在方向において変化する曲率半径を有する。クレストの曲率半径は、クレストが内接し得る円であって、クレストからなる連続体の延在方向を含む平面において見た円の半径に対応する。したがって、クレストは、エネルギー吸収装置内でのそれらの位置に応じて異なる丸みを帯びた形状を有し得る。これにより、衝突時のクレストの有効性が向上する。
【0017】
一実施形態によれば、波形形状部のクレストは、クレストからなる連続体の延在方向において実質的に一定である曲率半径を有する。ここで、そして以下の文章全体を通して、「実質的に」という用語は、製造公差内、およびこれに存在し得る組立公差内にあることを意味すると理解すべきである。換言すれば、すべてのクレスト、クレストからなる連続体の延在方向において同一の曲率半径を有する。
【0018】
一実施形態によれば、波形形状部のクレストの曲率半径は、使用される材料やその厚さにより異なるが、少なくとも5ミリメートル前後の内径を有し得る。
【0019】
一実施形態によれば、前記波形形状部は、前記クレストからなる連続体の前記延在方向において変化する振幅を有する。振幅は、クレストからなる連続体の延在方向に対して垂直な平面に対する、2つの連続するクレストの投影間の距離である。したがって、波形形状部の第1部分において、振幅は第1の値を有し、波形形状部の第2部分において、振幅は、第1の値と異なる第2の値を有する。この特徴は、コアの構造をエネルギー吸収装置にの全体形状に適合させると同時に、コアのエネルギー吸収特性を適切に維持することに寄与する。
【0020】
一実施形態によれば、波形形状部は、クレストからなる連続体の延在方向において実質的に一定である振幅を有する。
【0021】
非限定的な例として、波形形状部の振幅は、特に、5mm~50mmに含まれ得る。
【0022】
一実施形態によれば、前記波形形状部は、クレストからなる前記連続体の延在方向において変化するピッチを有する。ピッチは、クレストからなる連続体の延在方向において測定される、波形形状部の2つの続くパターンユニット間の距離である。パターンユニットは、2つの隣り合うクレストを備える。したがって、異なるピッチを各々が有するゾーンをコア内に有することが可能であり、波形形状部の特性をエネルギー吸収装置のコア内のゾーンの位置に応じて適合させることができる。
【0023】
一実施形態によれば、波形形状部は、クレストからなる連続体の延在方向において実質的に一定であるピッチを有する。
【0024】
非限定的な例として、波形形状部のピッチは、特に、50mm~200mmに含まれ得る。
【0025】
エネルギー吸収装置の幅は、エネルギー吸収装置の外面と、エネルギー吸収装置の内面であって外面の反対側の内面との間の距離であって、延在方向に対して垂直、内面に対して垂直、および外面に対して垂直な方向において測定される距離である。
【0026】
エネルギー吸収装置の高さは、エネルギー吸収装置の上面と、エネルギー吸収装置の下面であって上面の反対側の下面との間の距離であって、延在方向に対して垂直、上面に対して垂直、および下面に対して垂直な方向において測定される距離である。上面および下面は、外面を内面に接続する。この文脈において、場合により、エネルギー吸収装置の高さ、またはエネルギー吸収装置の幅は、波形形状部のピッチに実質的に等しいことが理解されるであろう。
【0027】
一実施形態によれば、前記波形形状部は、前記エネルギー吸収装置の前記伸長方向に沿って変化する可変の形状であって、第1部分と第2部分とを少なくとも有する形状を有し、前記波形形状部の前記第1部分は、前記波形形状部の前記第2部分の構成と異なる構成を有する。波形形状部の個々の部分は、ピッチの値、振幅の値、および/または曲率半径の値が部分間で異なる限りにおいて、特に異なる構成を有し得ることに留意すべきである。したがって、波形形状部内のピッチ、波形形状部内の振幅、および/または波形形状部内のクレストの曲率半径を変更することにより、エネルギー吸収装置の内部構造を変えることができる。これにより、波形ゾーンにおいて、エネルギー吸収装置に所望される技術的特性および美的特性に適合する複数のゾーンを作製することができる。このように、エネルギー吸収装置を任意に変更および適合させることができる。このような適合性を可能にするのは、特に、エネルギー吸収装置の構造であって、そのコアとそのプラスチック構造体とが一部品体を形成する構造であることに留意すべきである。
【0028】
一実施形態によれば、エネルギー吸収装置は、外面の反対側の内面を備え、取付手段は内面から突出するとともに、内面の主伸長平面において延びる接続インターフェースを備える。内面は、保護すべき要素に対面することが意図されるのに対し、内面の反対側の外面は、外部物体との潜在的な衝突時に車両に伝達されるエネルギーを少なくとも部分的に吸収することが意図されることが理解されるであろう。
【0029】
一実施形態によれば、取付手段は、プラスチック構造体の面により規定される容積部内に一体化される。取付手段は、プラスチック構造体内に形成されるバレルを備える。
【0030】
本発明の1つの特徴によれば、エネルギー吸収装置がエネルギー吸収装置の内面により規定される平面と実質的に一致する平面に取り付けられるように、取付手段は配置され得る。したがって、設置面積、すなわちこのようなエネルギー吸収装置が装着される車両の長手方向寸法は、大幅に小さくなる。なぜならば、車両の構造体とエネルギー吸収装置を形成する横方向ユニットとの間に介在されるエネルギー吸収体が存在しないからである。この文脈において、エネルギー吸収装置の少なくとも内面がある曲率を有し、当該車両の曲率に適合させることにより、エネルギー吸収装置を車両の構造体に密接に押し付けることを可能にすることが想定され得る。
【0031】
本発明の一実施形態によれば、エネルギー吸収装置は、2つの取付ゾーン間に配置された中央エネルギー吸収ゾーンを備える。これらは、それぞれ、例えば取付インターフェースを形成する装着プレートにより規定される。中央吸収ゾーンの主伸長方向における寸法は、取付ゾーンの対応する寸法よりも、少なくとも2倍大きい。このため、作製されるものは、力を均一に吸収する一部品体であり、その吸収は、取付ゾーン上で大きい横方向範囲に亘って均一に分散される。
【0032】
一実施形態によれば、前記取付手段は、前記プラスチック構造体と一体的に形成される。ここで、そして以下の文章全体を通して、「一体的に形成される」という用語は、一体的に形成される要素が、単一の部品を形成し、したがってそれらが同一の単数または複数の材料から構成されることを意味すると理解すべきである。この部品、例えば、成形または射出成形により得られる。したがって、この部品は、溶接や接着により一体に接合される要素とは異なる。一体的に形成された要素は、これらの要素のうちの一方および/または他方を破壊することなく分離することができない。
【0033】
一実施形態によれば、エネルギー吸収材料は、特に、ガラス繊維、炭素繊維、または任意の合成繊維または天然繊維を含む連続繊維と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物からなり得る。
【0034】
一実施形態によれば、エネルギー吸収材料は、プラスチック骨格とは異なる。例として、プラスチック骨格は、補強されていない、または非連続繊維で補強されている熱可塑性材料または熱硬化性材料からなり得る。
【0035】
また、本発明は、衝撃から保護すべき少なくとも1つの要素と、上述の特徴のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つのエネルギー吸収装置と、を備える車両、特に自動車であって、前記外面が保護すべき前記要素の反対側にあるように、かつ前記エネルギー吸収装置の内面であって、前記外面の反対側の内面が保護すべき前記要素に対面するように、前記エネルギー吸収装置は、保護すべき前記要素に、前記取付手段を使用して取り付けられる車両に関する。
【0036】
一実施形態によれば、保護すべき要素は、車両の本体および/または車両の電気バッテリである。
【0037】
一実施形態によれば、エネルギー吸収装置は、車両本体のアンダーボディ構造体に配置される。
【0038】
一実施形態によれば、エネルギー吸収装置は、車両の電気バッテリの壁に配置される。
【0039】
本発明のさらなる特徴および利点は、以下の説明から、および同様に添付の概略図面を参照して非限定的に示される複数の例示的な実施形態から、より明瞭になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1図1は、本発明の第1実施形態によるエネルギー吸収装置が装備された車体の後部の概略図である。
図2図2は、図1のエネルギー吸収装置の拡大図である。
図3図3は、第1実施形態による吸収装置のプラスチック構造体内に形成されたパターンの概略図である。
図4図4は、図3の第1実施形態の代替実施形態においてプラスチック構造体内に形成されたパターンの概略図である。
図5図5は、図3および図4に示す実施形態の代替実施形態においてプラスチック構造体内に形成されたパターンの概略図である。
図6図6は、複数のエネルギー吸収装置が装備された車体の概略図であり、第3実施形態によるエネルギー吸収装置の1つが、本発明の第2実施形態による2つのエネルギー吸収装置間に介在されている。
図7図7は、図6の第2実施形態によるエネルギー吸収装置の拡大図である。
図8図8は、図6の第3実施形態によるエネルギー吸収装置の拡大図である。
図9a図9aは、エネルギー吸収装置について、衝突の過程で吸収されるエネルギーおよび反力を示す図である。
図9b図9bは、別のエネルギー吸収装置について、衝突の過程で吸収されるエネルギーおよび反力を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図面には本発明を実施するための詳細が記載されているが、当然ながら、それらを必要に応じて本発明をより明確に定義するよう使用できることにまず留意すべきである。また、すべての図面において、類似する要素および/または同一の機能を果たす要素は、同一の番号で示されていることにも留意すべきである。
【0042】
以下の説明において、長手方向、横方向、および鉛直方向を、図示のL、V、Tの三面体の関数として定義する。車両、特に自動車が直線を走行する方向を長手方向Lと定義する。慣例により、長手方向に対して垂直な方向であって、地面に対して平行な平面に位置する方向を横方向Tと称する。他の2つの方向に対して垂直な第3方向を、鉛直方向Vと称する。前方方向は、車両が通常長手方向Lにおいて走行する方向に相当し、後方方向に対して反対である。
【0043】
図1に示す自動車1は、本体3と、少なくとも1つのエネルギー吸収装置101と、を備えている。エネルギー吸収装置101は、本例において本発明に第1実施形態に従って図示され、本体3の一部に配置されている。エネルギー吸収装置101は、先に定義した車両1の横方向Tに対して平行な主伸長方向Aにおいて延びている。本第1実施形態において、エネルギー吸収装置101は、車両1の横方向長さWの全体に亘って延びている。横方向長さWは、横方向Tにおいて、車両1の第1横方向端部と第2横方向端部との間で測定される。
【0044】
図1に示すエネルギー吸収装置101は、車両1のリアバンパーの一部を形成して、車両と物体との衝突で発生するエネルギーを少なくとも部分的に消散させることで、犠牲者および/または車両の本体および/または物体を保護することが意図されている。衝突の犠牲者は、例えば、車のユーザまたは歩行者であり得る。
【0045】
より一般的には、本発明によるエネルギー吸収装置は、例えばフロントバンパーやサイドバンパー等の車両の任意の車体要素に組み込まれ得る。また、電気バッテリ等の車両の1つ以上の特定の要素を保護すべく、本発明によるエネルギー吸収装置は、車両に装備された保護装置と一体化され得る。
【0046】
エネルギー吸収装置101は、衝突時に車両に伝達されるエネルギーを少なくとも部分的に吸収することが意図された少なくとも外面103と、外面103の反対側の内面105であって、本例において車両1の本体3の後部に面することで車両の中央の方向に面する少なくとも内面105と、を備えている。より一般的には、エネルギー吸収装置の適用とは無関係に、エネルギー吸収装置101が車両1に取り付けられた場合、内面105は、保護すべき要素に少なくとも部分的に面することが意図されている。
【0047】
図1を参照すると、特にエネルギー吸収装置がフロントバンパーまたはリアバンパーを形成するように配置されている場合、外面103および内面105は、先に定義した車両1の長手方向軸Lに対して垂直な面内で各々延びている。
【0048】
図2により明瞭に見えるように、外面103と内面105とは、上面107および上面107の反対側の下面109により、そして2つの側面111により互いに接続している。上面107および下面109は、車両1の鉛直方向軸Vに対して垂直な平面内で各々延びている。側面111は、車両1の横方向Tに対して垂直な平面内で各々延びている。したがって、本第1実施形態において、エネルギー吸収装置101は、平行六面体の形状を有していることが理解されるであろう。
【0049】
したがって、エネルギー吸収装置101の長さUは、主伸長方向Aにおいて測定される、ここでは側面111に対応するエネルギー吸収装置101の2つの横方向端部間の距離として定義され得る。
【0050】
また、エネルギー吸収装置101の幅Pdは長手方向Lにおいて、伸長方向Aに対して垂直に、内面105に対して垂直に、および外面103に対して垂直に測定される、エネルギー吸収装置101の外面103と内面105との間の距離としても定義され得る。
【0051】
また、エネルギー吸収装置101の高さHは、鉛直方向Vにおいて、伸長方向Aに対して垂直に、および上面107と下面109とに対して垂直に測定される、ここでは上面107および下面109に対応するエネルギー吸収装置101の2つの鉛直方向端部間の距離としても定義され得る。
【0052】
長さ寸法、幅寸法、および高さ寸法のすべては、車両においてエネルギー吸収装置に割り当てられた容積に応じて、および/または規定された衝撃ゾーンおよび所望の吸収レベルに応じて決定され得る。本発明によれば、波形形状部のコア、およびコアとともに一部品構造体を形成するプラスチック構造体の存在により、スペースの点で実現可能なものに応じて、要求される仕様を満たすように、形状や寸法を容易に適合させ得ることが注目される。
【0053】
エネルギー吸収装置101は、これを車両1の本体3に固定するための取付手段153を備えている。図1に示す取付手段153は、保護すべき要素に面する内面105から延びている。取付手段153は、車両1の本体3に属する保持手段(図1では見えない)と協働可能な接続インターフェースを備えている。図示のように、接続インターフェースは、エネルギー吸収装置を形成する平行六面体から、特に鉛直方向に突出している。
【0054】
接続インターフェースは、内面105の主伸長平面200に対して平行な平面において延びている。エネルギー吸収装置101が車両の本体3に装着されるとき、接続インターフェースは、車両1の受容面に直接的に接触する。この構成により、車両の本体と特にサイドレール部材との間に通常介在する衝撃吸収ブロック、およびエネルギー吸収装置の平行六面体形状を省くことができるため、特に有利である。
【0055】
エネルギー吸収装置101は、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコア113と、コア113とともに一部品体を形成するプラスチック構造体133と、を少なくとも備えている。コア113およびプラスチック構造体133は、エネルギー吸収装置101の面103、105、107、109、111、より具体的には外面103および内面105を、各々部分的に規定し得る。
【0056】
コア113は、エネルギーを吸収することが意図され、プラスチック構造体133は、コア113を支持するとともに補強する役割を果たしている。しかしながら、以下により詳細に説明するように、プラスチック構造体133は、エネルギー吸収装置101のすべての特性に寄与し得ることにも留意すべきである。
【0057】
コア113のエネルギー吸収材料は、プラスチック構造体133とは異なる。エネルギー吸収材料は、特に、ガラス繊維、炭素繊維、または任意の合成繊維または天然繊維を含む連続繊維と、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂との混合物からなり得る。
【0058】
コア113の形状、ならびにこれを構成する材料は、当該コアのエネルギー吸収特性に寄与する。したがって、コア113は、詳細を特に図2で示す波形形状部115を有するという点で特別である。波形形状部115は、クレストとも称される、少なくとも1つの山117と少なくとも1つの谷117との連続体である。本明細書の残りの部分では、クレスト、山、および谷に、参照符号117を区別せずに使用する。
【0059】
図1および図2に特に示す第1実施形態において、波形形状部115は、有利にはエネルギー吸収装置101の主伸長方向Aに対して平行な延在方向Eにおいて互いに連続する複数のクレスト117を備えている。コア113の波形形状部115は、エネルギー吸収装置101の全長Uに亘って延びることで、車両1の横方向長さWの実質的に全体に亘るエネルギーの継続的な吸収が保証されている。
【0060】
波形形状部115のクレスト117は、それらのうちの一部がエネルギー吸収装置101の外面103を規定するように配向されている。したがって、クレスト117は、外面103が延びる平面にすべて含まれる。より具体的には、図2において、クレスト117の大部分が外面103を規定する。この結果、クレスト117の一部は、1つ以上の衝撃から生じるエネルギーを受けるように配置されている。
【0061】
図1および図2に示す第1実施形態において、エネルギー吸収装置101の上面107および下面109は、コア113の波形形状部の少なくとも1つのセグメントにより、少なくとも部分的に形成されている。波形形状部のセグメントは、横方向および鉛直方向平面断面における当該波形形状部の断面に対応するとともに、内部で連続的なクレストが落下する正弦波を形成している。有利には、鋭利な切断縁部を形成する波形形状部の長手方向端縁部は、このように少なくとも部分的に上面および/または下面、すなわち、衝突から保護すべき要素に直接的に対面しない面、または車両が衝突する外部要素に直接的に対面しない面を形成するように配向されている。
【0062】
したがって、エネルギー吸収装置101のエネルギー吸収特性は、使用される材料に依存することに加えて、波形形状部115の特徴に依存する。この特徴は、クレスト117の振幅AMPc、クレスト117の曲率半径Rc、クレストのピッチPASc、および波形形状部115の厚さEPAcを含む。
【0063】
これらの特徴は、一方の横方向端部から他方の横方向端部に向けて異なり得る。この文脈において、図2に示すように、エネルギー吸収装置は、長手方向および鉛直方向対称平面300を呈し得る。
【0064】
振幅AMPcは、クレスト117からなる連続体の延在方向Eに対して垂直な方向に対する、2つの連続するクレスト117の投影の間の距離であって、上面107が延びる平面に対して平行な平面に含まれる距離として定義される。
【0065】
図2に示すように、クレスト117の振幅AMPcは、延在方向Eにおいて実質的に一定の値を有する。また、振幅AMPcは、エネルギー吸収装置101の幅Pdに実質的に等しく、クレストは、外面103と内面105とに対して交互に面一であることも分かるであろう。
【0066】
クレスト117の曲率半径Rcは、クレスト117が内接し得る円であって、クレスト117からなる連続体の延在方向Eを含む平面であって、上面107が延びる平面に対して平行な平面において見た円の半径に対応する。クレスト107は、エネルギー吸収装置101の一方の横方向端部から他方の横方向端部に向かって変化する曲率半径を有し得るため、エネルギー吸収装置101内でのそれらの位置に応じて変化する丸みを帯びた形状を有する。
【0067】
図2により具体的に示す例において、波形形状部115の第1部分119のクレストは、値R1の曲率半径Rcを有し、波形形状部115の第2部分121のクレスト117は、値R2の第曲率半径Rcを有している。本例において、第1部分119は、2つの第2部分121により横方向に両側を囲まれた中央部分である。第1曲率半径Rc、R1は、第2曲率半径Rc、R2よりも大きい。この結果、エネルギー吸収装置101の中央に配置されたクレスト117は、第2部分121において横方向両側に配置されたクレスト117よりも丸みを帯びた形状を有している。
【0068】
図1または図2に示す波形形状部115は、少なくとも1つの他の部分を備え得る。この部分において、クレスト117は、第1曲率半径Rc、R1と異なるとともに、第2曲率半径Rc、R2と異なる曲率半径Rcを有する。
【0069】
より具体的には、クレスト117の曲率半径Rcが装置の中央で最大値を呈し、そして装置の横方向端部に向かって延在方向Eの両方に減少する状態で、波形形状部115のクレスト117の曲率半径Rcは、延在方向Eにおいて一様に変化し得る。
【0070】
ピッチPAScは、波形形状部115の2つのクレスト117であって、互いに連続するとともに、エネルギー吸収装置を規定する1つの同じ面、図2に示す例では外面105と同一平面に位置するクレスト117の間の距離として定義される。ピッチは、クレスト117からなる連続体の延在方向Eにおいて測定される。換言すれば、ピッチPAScは、横方向距離、すなわちクレスト115からなる連続体の延在方向Eにおいて、2つの連続するパターンユニット間の距離であり、各パターンユニットは、2つの隣り合うクレスト117、すなわち山と谷とを備えている。
【0071】
図2により具体的に示すように、ピッチPAScは、クレスト115からなる連続体の延在方向Eにおいて変化する。より詳細には、波形形状部115の第1部分119のクレスト117は、第1ピッチPASc、PAS1を有し、波形形状部115の第2部分121のクレスト117は、ピッチPASc、PAS2を有している。第1ピッチPASc、PAS1は、第2ピッチPASc、PAS2よりも大きい。この結果、本例において装置の中央部である第1部分119のクレスト117は、本例において中央部の横方向両側に位置する測部である第2部分121におけるよりも、互いに間隔が広くなっている。
【0072】
波形形状部115の厚さEPAcは、延在方向Eに対して垂直な軸に沿って測定される、波形形状部115の2つの端部間の距離として定義され得るとともに、内面105の主伸長平面200に対して平行な平面に含まれる得る。より具体的には、クレスト117が外面103を画定するのに寄与する本明細書で示す例において、厚さは、波形形状部の端縁部をそれぞれ形成する、波形形状部の2つの対向するセグメント間の距離である。図1および図2において、波形形状部115の厚さEPAcは、延在方向Eに沿って実質的に一定である。本具体例において、波形形状部115の厚さEPAcは、エネルギー吸収装置101の高さHに対応する。
【0073】
したがって、構成は、ピッチの値、振幅の値、および/または曲率半径の値に関して異なり得る。したがって、波形形状部の1つ以上の特徴を変化させることで、エネルギー吸収装置が所望の技術的特性および審美的特性を呈することができることが理解されるであろう。
【0074】
上述のように、本発明によるエネルギー吸収装置は、コアとプラスチック構造体とが一部品体を形成するようになされている。より具体的には、エネルギー吸収装置101のコア113は、プラスチック構造体133からなる質量体の内部に設置される。プラスチック構造体133は、例えば、コア113にオーバーモールドされ得る。
【0075】
プラスチック構造体133は、コア113が内接する外周シェルを画定する外壁とプラスチック構造体を横切って延びて外壁同士を接続する内壁135とを含む複数の壁を備えている。
【0076】
内壁135は、装置の第1長手方向端部において、外面103を少なくとも部分的に規定する長手方向端縁部を有する。これにより、コアの波形形状部115のクレスト117の少なくとも一部が補完される。また、内壁の長手方向端縁部は、装置の第2長手方向端部において、内面105を少なくとも部分的に規定し得る。これにより、コアの波形形状部115のクレスト117の少なくとも一部が補完される。
【0077】
長手方向端縁部が外面103および内面105のそれぞれ近傍にあることでエネルギー吸収装置の外面103および内面105それぞれの主延在平面において見てパターン137を一体に形成するように、内壁135は配置される。
【0078】
図示のように、エネルギー吸収装置101の外面または内面のうちの一方の近傍におけるプラスチック構造体133の内壁135の長手方向端縁部により形成されるパターン137は、外面103の主延在平面において見た場合に、プラスチック構造体の外周シェルの一方の外壁から他方に延びて互いに交差するラインのセットである。
【0079】
図1図3に示す第1実施形態において、外面103においてプラスチック構造体133により形成されるパターン137は、異なる寸法の複数の菱形形状を備えている。これらの寸法は、エネルギー吸収装置101の主伸長方向Aにおいて変化している。図示しない実施形態において、エネルギー吸収装置の外面においてプラスチック構造体により形成されるパターンは、格子である。
【0080】
プラスチック構造体133の壁、特に内壁135の配置を変更することにより、パターン137を変化させることができる。第1実施形態の第1変形例において、図4に示すように、内壁135は、パターン137がハニカム構造を呈するように配置される。
【0081】
第1実施形態の第2変形例において、図5に示すように、プラスチック構造体133の内壁135は、パターン137が千鳥構成で配置された矩形の形状を有するように配置される。
【0082】
これらの変形例の各々において、内壁の固有厚さは、内壁を通じて一定であるように図示されていることに留意されたい。ここで、固有厚さとは、鉛直方向において測定される波形形状部の厚さEPAcの概念とは無関係の、対応する内壁を形成するシートの最小寸法として理解される。さらに、内壁の固有厚さは、変形例を通じて同一である。代替的に、図示はしないが、本発明による装置の力吸収特性を向上させるように、少なくとも1つの内壁の固有長さを変更する、例えば増加させることが想定され得る。さらに、プラスチック構造体の第1部分に配置された内壁が、同一装置におけるプラスチック構造体の第2部分に配置された内壁の固有厚さと異なる固有厚さを有することで、本発明による装置の対応するゾーンの露出に応じて吸収特性を変更することも想定され得る。
【0083】
図1図5において、パターンは外面103のみに配置されているが、これをエネルギー吸収装置101の1つ以上の他の面に、同様にまたは代替的に配置することも十分に可能である。通常、このようにして、プラスチック構造体のこの特徴により、エネルギー吸収装置101のエネルギー吸収特性を変更することができる。
【0084】
また、プラスチック構造体135は、取付手段153と一体的に形成されるという利点も提供する。したがって、取付手段153は、プラスチック構造体133がコア113にオーバーモールドされるのと同時に作製され得る。これにより、本発明による装置を車両1の本体3に装着することが簡単になり得る。
【0085】
また、車両1に、本発明による複数のエネルギー吸収装置を装備することも可能である。これらのエネルギー吸収装置は、保護すべき車両要素に、ともに配置され得る。これにより、特に、エネルギー吸収装置を、保護すべき要素の機械的に著しく脆弱なポイントにのみ配置することができる。さらに、これにより、これらの装置を保護すべき要素に一体化することが容易になり得る。
【0086】
この可能性を、本発明の第2実施形態による2つのエネルギー吸収装置201と、本発明の第3実施形態による1つのエネルギー吸収装置301と、を備える車両1により図6に示す。エネルギー吸収装置201、301は、リアバンパーの一部を形成することが意図されている。しかしながら、これらを、車両1の他の要素、例えば電気バッテリに、その保護を目的として配置することも同様に可能である。
【0087】
エネルギー吸収装置201、301は、車両1の本体3の後部に配置される。図6を参照すると、エネルギー吸収装置201、301は、先に述べた横方向における車両1の横方向長さWよりも小さい長さUを各々有している。さらに、エネルギー吸収装置201、301の主伸長方向Aは、相互に平行である。好適には、エネルギー吸収装置201、301の主伸長方向Aは、一致している。
【0088】
図7により詳細に示す本発明によるエネルギー吸収装置の第2実施形態は、コア113の波形形状部115の振幅AMPcが波形形状部115のクレスト117からなる連続体の延在方向Eにおいて変化するという点において、特に第1実施形態と異なる。第1実施形態と同一の要素には、同じ参照符号を付す。これらの同一の要素に関するさらなる詳細については、上述の説明を参照されたい。
【0089】
図7を参照すると、エネルギー吸収装置201の内面105は主伸長平面200において延びているのに対し、外面103は複数の平面において延びており、少なくともそのうちの1つは主伸長平面200に対して平行である。
【0090】
より具体的には、外面103の第1部は、第1平面において延び、当該外面の中央部を形成する外面103の第2部は、主伸長平面200に対して平行な第2平面において延び、第3部分は、第3平面において延びている。第1平面と第2平面とは交差して互いに一致せず、また、それらは、主伸長平面200と交差して一致しない。
【0091】
この結果、エネルギー吸収装置201の幅Pdは、主伸長方向Aにおいて、すなわちエネルギー吸収装置201を形成するコア113の波形形状部115のクレスト117からなる連続体の延在方向において変化している。したがって、エネルギー吸収装置201は、幅Pdが第1の値P1を有する第1部と、幅Pdが第2の値P2を有する第2部と、を有している。図7に示す例示的な実施形態において、装置201の第1部の幅Pd、P1は、装置201の第2部の幅Pd、P2よりも小さい。
【0092】
先に定義したエネルギー吸収装置201の高さHは、エネルギー吸収装置201の伸長方向Aにおいて一定である。
【0093】
上述の実施形態によれば、図7に示すコア113のクレスト117は、それらのうちの一部がエネルギー吸収装置201の外面103を規定するように配向されている。さらに、波形形状部115のクレスト117のうちの別の一部は、エネルギー吸収装置201の内面105を規定している。
【0094】
この文脈において、先に定義した波形形状部115の振幅AMPcは、エネルギー吸収装置201の主伸長方向Aにおいて、すなわち、延在方向Eにおいて変化していることが理解されるであろう。より具体的には、波形形状部115は、振幅AMPcが第1の値AMP1を有する第1部分119と、幅AMPcが第2の値AMP2を有する第2部分121と、を有している。図7に示す例示的な実施形態において、波形形状部115の第1部分119の幅振幅APc、AMP1は、波形形状部115の第2部分121の振幅AMPc、AMP2よりも小さい。
【0095】
この第2実施形態において、装置201の第1部は波形形状部115の第1部分119に対応し、装置201の第2部は波形形状部115の第2部分121に対応することに留意すべきである。この結果、波形形状部115の振幅AMPcは、エネルギー吸収装置201の幅Pdに対応する。
【0096】
この第2実施形態において、一方の長手方向端部から他方の長手方向端部までのエネルギー吸収装置の幅における変化は、このように、波形形状部の振幅を変化させることにより達成されている。
【0097】
図7を参照すると、コア113の波形形状部115のクレスト117は、延在方向Eにおいて実質的に一定の曲率半径Rcを有している。
【0098】
図1図5に示す実施形態と同様に、第2実施形態によるエネルギー吸収装置201において、波形形状部115の高さEPAcは、延在方向Eにおいて実質的に一定であり、エネルギー吸収装置201の高さHに対応している。また、波形形状部115のピッチPAScは、延在方向E、したがって主伸長方向Aにおいて変化している。さらに、エネルギー吸収装置201は、長手方向および鉛直方向対称平面300を有している。
【0099】
図8に示す本発明によるエネルギー吸収装置の第3実施形態は、特に、エネルギー吸収装置301の外面103が、第2実施形態において説明したようにクレスト117ではなく、コア113の波形形状部115のセグメントにより、少なくとも部分的に形成されているという点において、特に第2実施形態と異なる。
【0100】
先に説明することが可能であったように、波形形状部115のセグメントは、横方向および鉛直方向平面断面における当該波形形状部の断面に対応する。この結果、直線縁部は、外面103を規定することに寄与し、クレスト117の一部は、主伸長平面200に対して実質的に垂直な平面において、エネルギー吸収装置301の上面107を少なくとも部分的に規定する。
【0101】
第1実施形態および第2実施形態と同一の要素には、同じ参照符号を付す。これらの同一の要素に関するさらなる詳細については、上述の説明を参照されたい。しかしながら、ここでは複数のエネルギー吸収装置を有する用途の文脈でのみ説明する、コアの波形形状部のセグメントにより少なくとも部分的に規定される外面を有するこの第3実施形態によるエネルギー吸収装置は、それ自体で実現され得ることに留意すべきである。
【0102】
第2実施形態と同様に、図8に示すこの第3実施形態において、エネルギー吸収装置201の幅Pdは、主伸長方向A、すなわち、エネルギー吸収装置301を形成するコア113の波形形状部115のクレスト117からなる連続体の延在方向Eにおいて変化している。
【0103】
図8を参照すると、波形形状部115のピッチPAScは、延在方向Eにおいて実質的に一定である。波形形状部115の振幅AMPcも、実質的に一定である。波形形状部115の振幅AMPcは、エネルギー吸収装置301の高さHに対応する。
【0104】
波形形状部115のクレスト117の曲率半径Rcは、波形形状部115の延在方向Eにおいて実質的に一定である。ここで、クレスト117の曲率半径Rcは、クレスト117が内接し得る円であって、クレスト117からなる連続体の延在方向Eを含む平面であって、内面105の主伸長平面200に対して平行な平面において見た円の半径に対応する。
【0105】
波形形状部115の厚さEPAcは、延在方向Eにおいて変化している。ここで、厚さは、延在方向Eに対して垂直な軸に沿って測定される、波形形状部115の2つの端部間の距離として定義されるとともに、内面105の主伸長平面200に対して平行な平面に含まれる。
【0106】
エネルギー吸収装置301の形状により、そしてエネルギー吸収装置301内におけるコア113の波形形状部115の配置により、波形形状部115の厚さEPAcは、エネルギー吸収装置301の幅Pdに対応することが理解されるであろう。
【0107】
この第3実施形態において、一方の長手方向端部から他方の長手方向端部までのエネルギー吸収装置の幅における変化は、このように、波形形状部の厚さを変化させることにより達成されている。
【0108】
第2実施形態および第3実施形態において、プラスチック構造体133と一体的に形成される取付手段153は、プラスチック構造体133の面により規定された容積部に一体化されたバレル(図示せず)である。
【0109】
図9は、2つの異なるエネルギー吸収装置のテスト結果を示す1組の図面9aおよび9bである。
【0110】
「1」が付された曲線は、外面103がコア113の波形形状部115のクレスト117により少なくとも部分的に形成されている本発明による吸収装置(以下、装置1と称する)に対応する。「2」が付された曲線は、外面103がコア113の波形形状部115の少なくとも1つのセグメントにより少なくとも部分的に形成されている吸収装置(以下、装置2と称する)に対応する。
【0111】
図9aに示すように、各装置の前面が衝撃中に同一距離だけ変位した場合、本発明による装置1は、装置2よりも大きいエネルギーを吸収することができる。
【0112】
図9bは、テストに使用した衝突ツールにより、当該ツールがエネルギー吸収装置に衝突したときに測定された反力を示す。図9bに示すように、衝突の開始時、装置2の前面がおよそ10mm変位した際に、およそ10500Nの反力スパイクが、衝突ツールで測定される。対照的に、装置1について測定された反力は、崩壊中に常に増加している。当該反力は、常に第1装置1の場合に測定されたピーク値未満のままである。
【0113】
特に以下のエネルギー吸収装置を提供することができる限り、上述の本発明は、記載されたその目的を果たすことができる。すなわち、エネルギー吸収装置は、特に自動車のバンパーを形成するために使用することができ、衝突から保護すべき要素に対する取付ゾーン同士の間に、エネルギー吸収ゾーンであって、例えば車両のエネルギー吸収要件に適合することができるようにそのパターンユニットを容易に変更することができるエネルギー吸収ゾーンを提供することができ、そして、車体構造体への伝達のためにこれらの取付ゾーンに向けて力を分配することができる。
【0114】
当然ながら、本発明は上述の例に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく、これらの例に多数の変更が加えられ得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
【手続補正書】
【提出日】2024-02-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主伸長方向(A)と少なくとも1つの衝撃を受けることが意図された外面(103)とを有する、車両(1)用のエネルギー吸収装置(101、201、301)であって、
前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコア(113)であって、前記主伸長方向(A)に対して平行な延在方向(E)においてクレスト(117)からなる連続体を有する波形形状部(115)を有するコア(113)と、前記コア(113)とともに一部品体を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体(133)であって、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)を前記車両(1)の保護すべき要素(3)に取り付ける手段(153)を備えるプラスチック構造体(133)と、を少なくとも備え、
前記外面(103)は、前記コア(113)の前記波形形状部(115)の前記クレスト(117)により、少なくとも部分的に形成される、
エネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項2】
クレスト(117)からなる前記連続体は、前記主伸長方向(A)において、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の全長(U)に亘って延びる、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項3】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の前記延在方向(E)において変化する振幅(AMPc)を有する、
請求項1又は2に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項4】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の延在方向(E)において変化するピッチ(PASc)を有する、
請求項1~3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項5】
前記波形形状部(115)は、前記エネルギー吸収装置の前記伸長方向に沿って変化する可変の形状であって、第1部分(119)と第2部分(121)とを有する形状を有し、
前記波形形状部(115)の前記第1部分(119)は、前記波形形状部(115)の前記第2部分(121)の構成と異なる構成を有する、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項6】
前記取付手段(153)は、前記プラスチック構造体(133)と一体的に形成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項7】
前記エネルギー吸収材料は、ガラス繊維強化プラスチックである、
請求項1~6のいずれか一項に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項8】
衝撃から保護すべき少なくとも1つの要素(3)と、請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(101、201、301)と、を備える車両(1)であって、
前記外面(103)が保護すべき前記要素(3)の反対側にあるように、かつ前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の内面(105)であって前記外面(103)の反対側の内面(105)が保護すべき前記要素(3)に対面するように、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、保護すべき前記要素(3)に、前記取付手段(153)を使用して取り付けられる、
車両(1)。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主伸長方向(A)と少なくとも1つの衝撃を受けることが意図された外面(103)とを有する、車両(1)用のエネルギー吸収装置(101、201、301)であって、
前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、少なくとも1つのエネルギー吸収材料から構成されるコア(113)であって、前記主伸長方向(A)に対して平行な延在方向(E)においてクレスト(117)からなる連続体を有する波形形状部(115)を有するコア(113)と、前記コア(113)とともに一体物を形成する少なくとも1つのプラスチック構造体(133)であって、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)を前記車両(1)の保護すべき要素(3)に取り付ける手段(153)を備えるプラスチック構造体(133)と、を少なくとも備え、
前記外面(103)は、前記コア(113)の前記波形形状部(115)の前記クレスト(117)により、少なくとも部分的に形成される、
エネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項2】
クレスト(117)からなる前記連続体は、前記主伸長方向(A)において、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の全長(U)に亘って延びる、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項3】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の前記延在方向(E)において変化する振幅(AMPc)を有する、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項4】
前記波形形状部(115)は、クレスト(117)からなる前記連続体の延在方向(E)において変化するピッチ(PASc)を有する、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項5】
前記波形形状部(115)は、前記エネルギー吸収装置の前記伸長方向に沿って変化する可変の形状であって、第1部分(119)と第2部分(121)とを有する形状を有し、
前記波形形状部(115)の前記第1部分(119)は、前記波形形状部(115)の前記第2部分(121)の構成と異なる構成を有する、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項6】
前記取付手段(153)は、前記プラスチック構造体(133)と一体的に形成される、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項7】
前記エネルギー吸収材料は、ガラス繊維強化プラスチックである、
請求項1に記載のエネルギー吸収装置(101、201、301)。
【請求項8】
衝撃から保護すべき少なくとも1つの要素(3)と、請求項1~7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのエネルギー吸収装置(101、201、301)と、を備える車両(1)であって、
前記外面(103)が保護すべき前記要素(3)の反対側にあるように、かつ前記エネルギー吸収装置(101、201、301)の内面(105)であって前記外面(103)の反対側の内面(105)が保護すべき前記要素(3)に対面するように、前記エネルギー吸収装置(101、201、301)は、保護すべき前記要素(3)に、前記取付手段(153)を使用して取り付けられる、
車両(1)。
【国際調査報告】