(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】止血帯のための監視システム
(51)【国際特許分類】
A61B 17/135 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B17/135
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577766
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022032375
(87)【国際公開番号】W WO2023283008
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519155550
【氏名又は名称】テルモ メディカル コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Terumo Medical Corporation
【住所又は居所原語表記】265 Davidson Avenue, Suite 320, Somerset, NJ 08873, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】リンダ・トラスク
(72)【発明者】
【氏名】キャサリン・アラザワ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160DD46
4C160DD53
4C160DD65
(57)【要約】
本出願は、止血処置中の止血デバイスの性能を監視するためのデバイスおよび方法を開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止血デバイスであって、
患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および
前記身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素
を含む、止血帯と、
第1のセンサーを組み込んだ圧力監視構成要素を含む止血帯監視システムであって、前記第1のセンサーは、前記少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている前記目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合される、止血帯監視システムと
を備える、
止血デバイス。
【請求項2】
前記止血帯監視システムは、前記第1のセンサーと通信するコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記第1のセンサーから前記第1の測定値を受け取り、前記第1の測定値を最適圧力と比較し、前記比較に関してユーザにフィードバックを提供するように構成される、請求項1に記載の止血デバイス。
【請求項3】
前記止血帯監視システムは、前記第1のセンサーおよび前記コントローラを収容する監視ユニットをさらに備える、請求項2に記載の止血デバイス。
【請求項4】
前記監視ユニットは、送信機/受信機をさらに備え、前記コントローラは、前記ユーザに前記フィードバックを提供するために前記送信機/受信機を介してリモートデバイスと通信するように構成される、請求項3に記載の止血デバイス。
【請求項5】
前記監視ユニットは、前記ユーザに前記フィードバックを提供するように構成された通信インターフェースをさらに備える、請求項3または請求項4に記載の止血デバイス。
【請求項6】
前記通信インターフェースは、LED、サウンドデバイス、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース、およびタッチスクリーンのうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の止血デバイス。
【請求項7】
前記コントローラは、入力された患者データの少なくとも1つの項目を含む入力を受け取り、入力された患者データの前記少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて前記最適圧力を決定するようにさらに構成される、請求項2から6のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項8】
入力された患者データの前記少なくとも1つの項目は、ボディマス指数、活性化凝固時間、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の止血デバイス。
【請求項9】
前記最適圧力を計算するのに役立つように、入力された患者データの前記少なくとも1つの項目の少なくとも1つに重み付け係数が割り当てられる、請求項8に記載の止血デバイス。
【請求項10】
前記コントローラと通信するデータストレージユニットをさらに備え、前記データストレージユニットは、前記第1のセンサーから受け取られるデータを記憶することが可能である、請求項2から9のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項11】
前記止血帯監視システムは、第2のセンサーを組み込んだ張力監視構成要素をさらに含み、前記張力監視構成要素は、少なくとも部分的に前記本体の内部に置かれるように適合され、前記第2のセンサーは、前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合される、請求項1から10のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項12】
前記止血帯監視システムは、前記第2のセンサーと通信するコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記第2のセンサーから前記第2の測定値を受け取り、前記第2の測定値を前記本体の最適なきつさと比較し、前記比較に関してユーザにフィードバックを提供するように構成される、請求項11に記載の止血デバイス。
【請求項13】
前記コントローラは、前記第1のセンサーとさらに通信し、前記第1のセンサーから前記第1の測定値を受け取り、前記第1の測定値を最適圧力と比較し、前記比較に関して前記ユーザにフィードバックを提供するように構成される、請求項12に記載の止血デバイス。
【請求項14】
前記止血帯監視システムは、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー、および前記コントローラを収容する監視ユニットをさらに備える、請求項12または請求項13に記載の止血デバイス。
【請求項15】
前記監視ユニットは、送信機/受信機をさらに備え、前記コントローラは、前記ユーザに前記フィードバックを提供するために前記送信機/受信機を介してリモートデバイスと通信するように構成される、請求項14に記載の止血デバイス。
【請求項16】
前記監視ユニットは、前記ユーザに前記フィードバックを提供するように構成された通信インターフェースをさらに備える、請求項14に記載の止血デバイス。
【請求項17】
前記通信インターフェースは、LED、サウンドデバイス、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース、およびタッチスクリーンのうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載の止血デバイス。
【請求項18】
前記第1のセンサー、前記第2のセンサー、および前記コントローラを囲うように構成されたハウジングと、前記ハウジングの周りに巻き付けられたカバーリングとをさらに備える、請求項12から17のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項19】
前記コントローラは、入力された患者データの少なくとも1つの項目を含む入力を受け取り、入力された患者データの前記少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて前記最適圧力を決定するようにさらに構成される、請求項13から18のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項20】
入力された患者データの前記少なくとも1つの項目は、ボディマス指数、活性化凝固時間、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の止血デバイス。
【請求項21】
前記最適圧力を計算するのに役立つように、入力された患者データの前記少なくとも1つの項目の少なくとも1つに重み付け係数が割り当てられる、請求項20に記載の止血デバイス。
【請求項22】
前記コントローラと通信するデータストレージユニットをさらに備え、前記データストレージユニットは、前記第1のセンサーおよび前記第2のセンサーのうちの少なくとも一方から受け取られるデータを記憶することが可能である、請求項13から21のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項23】
前記張力監視構成要素は、内部空洞を有するテンションパッドと、前記内部空洞を前記第2のセンサーに流体的に結合するように構成されたコネクタとを含む、請求項11から22のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項24】
前記テンションパッドは、前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、それに解放可能に固定されるとき、前記圧迫要素の反対の位置で前記本体に沿って配置されるように構成される、請求項23に記載の止血デバイス。
【請求項25】
前記張力監視構成要素は、機械式、電気式、電気機械式、容積測定式、および空気式の圧力検知機構のうちの1つである、請求項11から24のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項26】
前記圧力監視構成要素は、前記圧迫要素の内部空洞を前記第1のセンサーに流体的に結合するように構成された三方コネクタを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項27】
前記三方コネクタは、前記圧迫要素の前記内部空洞に結合されるように構成された第1のポートと、膨張デバイスに結合されるように構成された第2のポートと、前記第1のセンサーに結合されるように構成された第3のポートとを含む、請求項26に記載の止血デバイス。
【請求項28】
止血デバイスであって、
患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および
前記身体部位の前記少なくとも1つの部分に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された膨張可能なバルーンアセンブリ
を含む、止血帯と、
止血帯監視システムであって、
前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体のきつさを示す第1の測定値を検知するように適合された第1のセンサーと、
前記膨張可能なバルーンアセンブリ内に存在する内部圧力を示す第2の測定値を検知するように適合された第2のセンサーと、
前記第1の測定値および前記第2の測定値をそれぞれ受け取るために前記第1のセンサーおよび前記第2のセンサーと通信するコントローラであって、前記第1の測定値および前記第2の測定値を分析し、前記第1の測定値を前記本体のための最適なきつさに関係づけ、前記第2の測定値を前記膨張可能なバルーンアセンブリのための最適な内部圧力に関係づけて、ユーザにフィードバックを提供するように構成された、コントローラと
を含む、止血帯監視システムと
を備える、
止血デバイス。
【請求項29】
前記止血帯監視システムは、前記第1のセンサー、前記第2のセンサー、および前記コントローラを収容するように構成されたハウジングをさらに含む、請求項28に記載の止血デバイス。
【請求項30】
前記ハウジングは、ユーザに前記フィードバックを提供するように構成された通信インターフェースを含む、請求項29に記載の止血デバイス。
【請求項31】
前記第1のセンサーは、前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体と前記患者の前記身体部位の前記少なくとも1つの部分との間に配置されるように構成された圧縮可能テンションパッドと通信し、前記第1のセンサーは、前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りの前記本体の締付けによる前記圧縮可能テンションパッドの内部容積の変化を検出するように適合される、請求項28から30のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項32】
前記第2のセンサーは、前記膨張可能なバルーンアセンブリと流体連通しており、前記膨張可能なバルーンアセンブリの内部圧力の変化を検出するように適合される、請求項28から31のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項33】
前記コントローラは、リモートデバイスに前記フィードバックを送信するように構成され、前記フィードバックは、前記リモートデバイス上に位置するグラフィカルユーザインターフェースを通して前記ユーザに表示される、請求項28から32のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項34】
前記コントローラは、前記第1の測定値または前記第2の測定値のうちの少なくとも一方を分析し、前記第1の測定値または前記第2の測定値のうちの少なくとも一方に応じて前記ユーザにアラートを提供するようにさらに構成される、請求項28から33のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項35】
前記コントローラは、患者データの少なくとも1つの項目を含む前記ユーザからの入力を受け取り、患者データの前記少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて前記最適な内部圧力を決定するようにさらに構成される、請求項28から34のいずれか一項に記載の止血デバイス。
【請求項36】
患者データの前記少なくとも1つの項目は、ボディマス指数、活性化凝固時間、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、請求項35に記載の止血デバイス。
【請求項37】
患者の少なくとも1つの身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈上で止血処置を行うために止血帯とともに止血帯監視システムを使用する方法であって、
前記患者の前記少なくとも1つの身体部位の周りに前記止血帯の本体を巻き付け、解放可能に固定するステップであって、前記止血帯は、前記少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素、および圧力監視構成要素をさらに備え、前記圧力監視構成要素は、第1のセンサーと通信し、前記第1のセンサーは、前記少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている前記目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合される、ステップと、
第2のセンサーを少なくとも部分的に前記止血帯の前記本体と前記少なくとも1つの身体部位との間に置くステップであって、前記第2のセンサーは、前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合される、ステップと
を含む、方法。
【請求項38】
止血デバイスであって、
患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および
前記身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素
を含む、止血帯と、
前記少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている前記目標圧力を示す測定値を検出するように適合されたセンサーを組み込んだ止血帯監視システムと
を備える、
止血デバイス。
【請求項39】
前記センサーは、前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体のきつさを示す第2の測定値を検出するようにさらに適合される、請求項38に記載の止血デバイス。
【請求項40】
前記本体が前記身体部位の前記少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、前記本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合された第2のセンサーをさらに備える、請求項38または請求項39に記載の止血デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年7月6日に出願された米国特許出願第17/368,549号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、血管内アクセス部位での止血を促進するための圧迫デバイスとしての役割を果たすように適合された止血帯に関し、より詳細には止血帯が帯の状態および性能に関して臨床医にフィードバックを提供するための監視システムに関する。
【背景技術】
【0003】
動脈または静脈アクセスを伴う血管内処置の後に、止血を促進するために、たとえば止血帯を使用して、アクセス部位に圧力を加えることが望ましいまたは必要である場合がある。いくつかの既存の止血帯は、アクセス部位の周りに締め付けられ、次いで、アクセス部位に帯を押し付けるために、1つまたは複数のバルーンが膨らまされる。臨床医は一般に、帯を患者に付けるとき、バルーンを膨らませるために同容量の空気を与えるが、アクセス部位に加えられる、結果として生じる圧力は、たとえば、患者の生理学的変数または最初の止血帯の張力のばらつきにより、大きく異なる可能性がある。この増加したばらつきは、止血の遅れ、再出血、血腫、患者の不快感、または他の問題につながる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7,498,477号
【特許文献2】米国特許出願第16/442,009号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、従来技術のこれらおよび他の欠点に対処する、止血帯のための監視システム、および帯の性能を監視するための方法の必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
1つの点では、本開示は、患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素を含む止血帯と、第1のセンサーを組み込んだ圧力監視構成要素を含む止血帯監視システムであって、第1のセンサーが、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合された、止血帯監視システムとを備える、止血デバイスを含む。
【0007】
他の点では、本開示は、
患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位の少なくとも1つの部分に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された膨張可能なバルーンアセンブリを含む止血帯と、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第1の測定値を検知するように適合された第1のセンサー、膨張可能なバルーンアセンブリ内に存在する内部圧力を示す第2の測定値を検知するように適合された第2のセンサー、ならびに第1の測定値および第2の測定値をそれぞれ受け取るために第1のセンサーおよび第2のセンサーと通信するコントローラであって、第1の測定値および第2の測定値を分析し、第1の測定値を本体のための最適なきつさに関係づけ、第2の測定値を膨張可能なバルーンアセンブリのための最適な内部圧力に関係づけて、ユーザにフィードバックを提供するように構成された、コントローラを含む止血帯監視システムと
を備える、止血デバイスを含む。
【0008】
また他の点では、本開示は、患者の少なくとも1つの身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に止血処置を行うために、止血帯とともに止血帯監視システムを使用する方法を含み、この方法は、患者の少なくとも1つの身体部位の周りに止血帯の本体を巻き付け、解放可能に固定するステップであって、止血帯は、少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素、および圧力監視構成要素をさらに備え、圧力監視構成要素は、第1のセンサーと通信し、第1のセンサーは、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合された、ステップと、第2のセンサーを少なくとも部分的に止血帯の本体と少なくとも1つの身体部位との間に置くステップであって、第2のセンサーは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合された、ステップとを含む。
【0009】
また他の点では、本開示は、患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位にある少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素を含む止血帯と、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す測定値を検出するように適合されたセンサーを組み込んだ止血帯監視システムとを備える、止血デバイスを含む。
【0010】
本開示のさらなる態様
本開示のさらなる態様は、以下を含む。
【0011】
態様1:患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位にある少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素を含む止血帯と、第1のセンサーを組み込んだ圧力監視構成要素を含む止血帯監視システムであって、第1のセンサーは、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合された、止血帯監視システムとを備える、止血デバイス。
【0012】
態様2:止血帯監視システムは、第1のセンサーと通信するコントローラをさらに備え、コントローラは、第1のセンサーから第1の測定値を受け取り、第1の測定値を最適圧力と比較し、比較に関してユーザにフィードバックを提供するように構成される、態様1の止血デバイス。
【0013】
態様3:止血帯監視システムは、第1のセンサーおよびコントローラを収容する監視ユニットをさらに備える、態様2の止血デバイス。
【0014】
態様4:監視ユニットは、送信機/受信機をさらに備え、コントローラは、ユーザにフィードバックを提供するために送信機/受信機を介してリモートデバイスと通信するように構成される、態様3の止血デバイス。
【0015】
態様5:監視ユニットは、ユーザにフィードバックを提供するように構成された通信インターフェースをさらに備える、態様3の止血デバイス。
【0016】
態様6:通信インターフェースは、LED、サウンドデバイス、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース、およびタッチスクリーンのうちの少なくとも1つを含む、態様5の止血デバイス。
【0017】
態様7:コントローラは、入力された患者データの少なくとも1つの項目を含む入力を受け取り、入力された患者データの少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて最適圧力を決定するようにさらに構成される、態様2の止血デバイス。
【0018】
態様8:入力された患者データの少なくとも1つの項目は、ボディマス指数(body mass index)、活性化凝固時間(activated clotting time)、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、態様7の止血デバイス。
【0019】
態様9:最適圧力を計算するのに役立つように、入力された患者データの少なくとも1つの項目の少なくとも1つに重み付け係数が割り当てられる、態様8の止血デバイス。
【0020】
態様10:コントローラと通信するデータストレージユニットをさらに備え、データストレージユニットは、第1のセンサーから受け取られるデータを記憶することが可能である、態様2の止血デバイス。
【0021】
態様11:止血帯監視システムは、第2のセンサーを組み込んだ張力監視構成要素をさらに含み、張力監視構成要素は、少なくとも部分的に本体の内部に置かれるように適合され、第2のセンサーは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合される、態様1の止血デバイス。
【0022】
態様12:止血帯監視システムは、第2のセンサーと通信するコントローラをさらに備え、コントローラは、第2のセンサーから第2の測定値を受け取り、第2の測定値を本体の最適なきつさと比較し、比較に関してユーザにフィードバックを提供するように構成される、態様11の止血デバイス。
【0023】
態様13:コントローラは、さらに第1のセンサーと通信し、第1のセンサーから第1の測定値を受け取り、第1の測定値を最適圧力と比較し、比較に関してユーザにフィードバックを提供するように構成される、態様12の止血デバイス。
【0024】
態様14:止血帯監視システムは、第1のセンサー、第2のセンサー、およびコントローラを収容する監視ユニットをさらに備える、態様13の止血デバイス。
【0025】
態様15:監視ユニットは、送信機/受信機をさらに備え、コントローラは、ユーザにフィードバックを提供するために送信機/受信機を介してリモートデバイスと通信するように構成される、態様14の止血デバイス。
【0026】
態様16:監視ユニットは、ユーザにフィードバックを提供するように構成された通信インターフェースをさらに備える、態様14の止血デバイス。
【0027】
態様17:通信インターフェースは、LED、サウンドデバイス、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース、およびタッチスクリーンのうちの少なくとも1つを含む、態様16の止血デバイス。
【0028】
態様18:第1のセンサー、第2のセンサー、およびコントローラを囲うように構成されたハウジングと、ハウジングの周りに巻き付けられたカバーリングとをさらに備える、態様14の止血デバイス。
【0029】
態様19:コントローラは、入力された患者データの少なくとも1つの項目を含む入力を受け取り、入力された患者データの少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて最適圧力を決定するようにさらに構成される、態様13の止血デバイス。
【0030】
態様20:入力された患者データの少なくとも1つの項目は、ボディマス指数(body mass index)、活性化凝固時間(activated clotting time)、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、態様19の止血デバイス。
【0031】
態様21:最適圧力を計算するのに役立つように、入力された患者データの少なくとも1つの項目の少なくとも1つに重み付け係数が割り当てられる、態様20の止血デバイス。
【0032】
態様22:コントローラと通信するデータストレージユニットをさらに備え、データストレージユニットは、第1のセンサーおよび第2のセンサーのうちの少なくとも一方から受け取られるデータを記憶することが可能である、態様13の止血デバイス。
【0033】
態様23:張力監視構成要素は、内部空洞を有するテンションパッドと、内部空洞を第2のセンサーに流体的に結合するように構成されたコネクタとを含む、態様11の止血デバイス。
【0034】
態様24:テンションパッドは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、それに解放可能に固定されるとき、圧迫要素の反対の位置で本体に沿って配置されるように構成される、態様23の止血デバイス。
【0035】
態様25:張力監視構成要素は、機械式、電気式、電気機械式、容積測定式、および空気式の圧力検知機構のうちの1つである、態様11の止血デバイス。
【0036】
態様26:圧力監視構成要素は、圧迫要素の内部空洞を第1のセンサーに流体的に結合するように構成された三方コネクタを含む、態様1の止血デバイス。
【0037】
態様27:三方コネクタは、圧迫要素の内部空洞に結合されるように構成された第1のポートと、膨張デバイスに結合されるように構成された第2のポートと、第1のセンサーに結合されるように構成された第3のポートとを含む、態様26の止血デバイス。
【0038】
態様28:患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位の少なくとも1つの部分に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された膨張可能なバルーンアセンブリを含む止血帯と、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第1の測定値を検知するように適合された第1のセンサー、膨張可能なバルーンアセンブリ内に存在する内部圧力を示す第2の測定値を検知するように適合された第2のセンサー、ならびに第1の測定値および第2の測定値をそれぞれ受け取るために第1のセンサーおよび第2のセンサーと通信するコントローラであって、第1の測定値および第2の測定値を分析し、第1の測定値を本体のための最適なきつさに関係づけ、第2の測定値を膨張可能なバルーンアセンブリのための最適な内部圧力に関係づけて、ユーザにフィードバックを提供するように構成された、コントローラを含む止血帯監視システムとを備える、止血デバイス。
【0039】
態様29:止血帯監視システムは、第1のセンサー、第2のセンサー、およびコントローラを収容するように構成されたハウジングをさらに含む、態様28の止血デバイス。
【0040】
態様30:ハウジングは、ユーザにフィードバックを提供するように構成された通信インターフェースを含む、態様29の止血デバイス。
【0041】
態様31:第1のセンサーは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体と患者の身体部位の少なくとも1つの部分との間に配置されるように構成された圧縮可能テンションパッドと通信し、第1のセンサーは、身体部位の少なくとも1つの部分の周りの本体の締付けによる圧縮可能テンションパッドの内部容積の変化を検出するように適合される、態様28の止血デバイス。
【0042】
態様32:第2のセンサーは、膨張可能なバルーンアセンブリと流体連通しており、膨張可能なバルーンアセンブリの内部圧力の変化を検出するように適合される、態様28の止血デバイス。
【0043】
態様33:コントローラは、リモートデバイスにフィードバックを送信するように構成され、フィードバックは、リモートデバイス上にあるグラフィカルユーザインターフェースを通してユーザに表示される、態様28の止血デバイス。
【0044】
態様34:コントローラは、第1の測定値または第2の測定値のうちの少なくとも一方を分析し、第1の測定値または第2の測定値のうちの少なくとも一方に応じてユーザにアラートを提供するようにさらに構成される、態様28の止血デバイス。
【0045】
態様35:コントローラは、患者データの少なくとも1つの項目を含むユーザからの入力を受け取り、患者データの少なくとも1つの項目に少なくとも部分的に基づいて最適な内部圧力を決定するようにさらに構成される、態様28の止血デバイス。
【0046】
態様36:患者データの少なくとも1つの項目は、ボディマス指数、活性化凝固時間、または平均動脈圧のうちの少なくとも1つを含む、態様35の止血デバイス。
【0047】
態様37:患者の少なくとも1つの身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に止血処置を行うために、止血帯とともに止血帯監視システムを使用する方法であって、患者の少なくとも1つの身体部位の周りに止血帯の本体を巻き付け、解放可能に固定するステップであって、止血帯は、少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素、および圧力監視構成要素をさらに備え、圧力監視構成要素は、第1のセンサーと通信し、第1のセンサーは、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す第1の測定値を検出するように適合された、ステップと、第2のセンサーを少なくとも部分的に止血帯の本体と少なくとも1つの身体部位との間に置くステップであって、第2のセンサーは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合された、ステップとを含む、方法。
【0048】
態様38:患者の身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるように適合された本体、および身体部位に位置する少なくとも1つの動脈または静脈に目標圧力を加えるように適合された圧迫要素を含む止血帯と、少なくとも1つの動脈または静脈に加えられている目標圧力を示す測定値を検出するように適合されたセンサーを組み込んだ止血帯監視システムとを備える、止血デバイス。
【0049】
態様39:センサーは、本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第2の測定値を検出するようにさらに適合される、態様38の止血デバイス。
【0050】
態様40:本体が身体部位の少なくとも1つの部分の周りに巻き付けられ、解放可能に固定されるとき、本体のきつさを示す第2の測定値を検出するように適合された第2のセンサーをさらに備える、態様38の止血デバイス。
【0051】
同様の数字が同様の要素を示す添付の図面と関連して、本開示について以下説明する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】「使用時の」構成の、従来技術による止血帯の斜視図である。
【
図2】本開示の一実施形態による止血帯監視システムの斜視図である。
【
図3】使用時の構成の止血帯と連結された
図2の止血帯監視システムの斜視図である。
【
図4】患者の手首の周りに位置する使用時の(たとえば、完全に巻き付けられた)構成で示され、
図2の止血帯監視システムのテンションパッドが患者の手首に接触して止血帯内に挿入されて示された、止血帯の側面斜視図である。
【
図5】
図2の止血帯監視システムの監視ユニットの斜視図である。
【
図6】
図5の監視ユニットの、監視ユニットのハウジングの中心を通って長手方向にとらえた断面図である。
【
図7】
図2の止血帯監視システムの監視ユニットの代替実施形態の上面図である。
【
図8】本開示の一実施形態による止血帯監視システムの概略表現である。
【
図9】広げられた構成の止血帯と連結された、本開示の一実施形態による止血帯監視システムの斜視図である。
【
図10】本開示の一実施形態による、本開示による止血帯監視システムを使用して止血処置を行う方法を示すフローチャートである。
【
図11A】ユーザに提供される帯の締付けのフィードバックを示す、止血帯監視システムのグラフィカルユーザインターフェースを示す画面説明図である。
【
図11B】ユーザに提供されるバルーン圧力のフィードバックを示す、止血帯監視システムのグラフィカルユーザインターフェースを示す画面説明図である。
【
図12A】監視システムプログラムのスキャニング動作を示す、止血帯監視システムのグラフィカルユーザインターフェースを示す画面説明図である。
【
図12B】監視システムプログラムのデバイス検出クエリを示す、止血帯監視システムのグラフィカルユーザインターフェースを示す画面説明図である。
【
図12C】監視システムプログラムの機能クエリを示す、止血帯監視システムのグラフィカルユーザインターフェースを示す画面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
次の詳細な説明は、例示的な実施形態を提供するにすぎず、それの範囲、適用性、または構成を限定することを目的としていない。むしろ、例示的な実施形態の次の詳細な説明は、これらの実施形態を実装するための機能付与的説明を当業者に提供するものである。添付の特許請求の範囲に記載する本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、実施形態の要素の機能および構成には、様々な変更が行われ得ることを理解されたい。
【0054】
方向を示す用語(たとえば、上、下、左、右など)が、本明細書で使用される場合がある。これらの方向を示す用語は、実施形態の開示および発明の請求の助けとなることを目的としているにすぎず、請求される発明をいかなる方法でも限定することを目的としていない。加えて、図面に関連して本明細書に導入される参照番号は、1つまたは複数の後続の図において、他の特徴にコンテキストを与えるために、本明細書でさらに説明することなく繰り返される場合がある。
【0055】
本明細書および特許請求の範囲では、「膨張可能な」という用語は、限定はしないが空気を含む、流体で満たせることを意味すると理解されたい。さらに、本明細書および特許請求の範囲では、「アクセス部位」という用語は、患者において動脈、静脈、または他の血管アクセスが行われた部位を指すと理解されたい。
【0056】
末梢血管インターベンションは、一般的に閉塞した血管の治療、バルーン血管形成術(ballooning)、アテローム切除術(atherectomy)、およびステント留置術(stenting)のために使用される。たとえば、患者の手首の橈骨動脈を通した順行性アクセスが一般的であり、患者の膝の下から上方への様々な逆行性アプローチもまた、確立された処置である。そのようなインターベンションの後、血管(すなわち、動脈または静脈)アクセス部位は一般的に、血管経路(vascular pathway)の開存性を維持しながら、止血を促進するために圧力を加えることによって閉じられる。
【0057】
患者の手足の、出血が止められる手足上の部位の周りに巻き付けられ、血管アクセス部位に目標圧力をかける(target pressure)1つまたは複数の膨張可能なバルーンまたはブラダー(bladder)を含む止血デバイスが、当技術分野で知られている。1つのそのような止血デバイスおよびそのようなデバイスを使用する方法の複数の実施形態は、その全体が本明細書に記載されるかのように参照により組み込まれる、米国特許第7,498,477号に記載されている。
【0058】
たとえば、
図1は、従来技術による止血帯10を示す。止血帯10(すなわち、日本の東京のテルモ株式会社が販売しているTRバンド)、ならびにいくつかの他の知られている止血帯は、橈骨動脈上で使用するよう指示されている。したがって、これらの製品は、それの圧迫要素の力を適切に橈骨動脈に向けつつ、尺骨領域を不快な圧迫から守りながら、手首領域にフィットするように設計される。この従来技術のデバイスでは、止血帯10は、本体12と、剛性プレート14と、2つの膨張可能なバルーン18、20を含む圧迫要素16(すなわち、バルーンアセンブリ)と、ファスナー22と、膨張ポートアセンブリ24とを含む。
【0059】
本体12は、ファスナー22によって患者の手首の周りの所定の位置に巻き付けられ、調整可能に固定されるように設計される。この例では、ファスナー22は、広範囲の肢周囲径(limb circumference)をもつ患者に使用するために止血帯10のサイズ(すなわち、周囲径)が調整されることを可能にする面ファスナー(hook-and-loop type fastener)(たとえば、ベルクロ(登録商標))の相補パッチを含む。本体12は、患者の手足の周りに巻き付けるために実質的に可とう性の材料を含み得るが、剛性プレート14は、実質的に固定された形状を維持するより剛性の材料で構成され得る。剛性プレート14は、本体12に結合され、圧迫が橈骨動脈に加えられ、尺骨動脈に影響を与えることがないように向きを定められ得る。いくつかの適用例では、止血帯10が剛性プレート14を含まない場合があることにも留意されたい。
【0060】
同じく
図1に示すように、圧迫要素16は、本体12の内面26に結合され、これに沿って配置されてもよい(すなわち、止血帯10が患者の手首に装着されるとき、患者の手首に面する)。さらに、圧迫要素16は、止血帯10が装着されるとき、圧迫要素16が剛性プレート14と、血管アクセス部位が位置する少なくとも1つの動脈または静脈との間に位置するように、剛性プレート14の実質的に向かい側に本体12に沿って配置されてもよい。
【0061】
一般に、圧迫要素16は、米国特許第7,498,477号に記載されているように、二重バルーン構成を含み、二重バルーン構成は、回復中に、空気をタイトレートし(titrate)、圧迫(圧)を減らすプロセスを支援し、止血を実現しながら、動脈または静脈が経時的に開いたままであることを可能にする。たとえば、圧迫要素16は、主バルーン18が膨らむと、副バルーン20が膨らむように、互いに流体的に接続された主バルーン18と副バルーン20とから構成される。バルーン18、20は、副バルーン20が主バルーン18に対して斜めの圧力を与えるように膨らんでもよく、これが次に、血管アクセス部位に目標圧力を与え、したがって止血を促進する。剛性プレート14は、膨らんだバルーン18、20によって生成された圧力が、止血帯10の本体12を血管アクセス部位からずらすまたは伸ばすことを可能にするのではなく、この圧力を血管アクセス部位の方に向けるように作用する。圧迫要素16は、その上に(たとえば、主バルーン18のほぼ中心に)位置するマーカー28をさらに含み、これにより臨床医は血管アクセス部位の中心にバルーン18、20を位置合わせすることができる。
【0062】
この実施形態では、圧迫要素16は、膨張ポートアセンブリ24に流体的に接続され、膨張ポートアセンブリ24は、可とう管30と、バルブ(bulb)32と、逆止め弁アセンブリを含む管状コネクタ34とを含む。可とう管30は、それの一方の端部において主バルーン18の内部に入り、それの他方の端部においてバルブ32に接続される。バルブ32はその後、管状コネクタ34に接続される。バルーン18、20の膨張は、膨張デバイス80(
図3に示す注射器など)の突き出た先端を管状コネクタ34に挿入し、膨張デバイス80内の流体(たとえば、空気)を、膨張ポートアセンブリ24を通してバルーン18、20に導入するために、膨張デバイス80上のプランジャを押すことによって実現される。流体がバルーン18、20に注入され、膨張デバイス80の突き出た先端が管状コネクタ34から引き抜かれると、管状コネクタ34内に位置する逆止め弁は閉じ、流体が漏れ出すのを防ぎ、したがってバルーン18、20を膨張した状態に維持する。
【0063】
したがって、橈骨インターベンション術の間、ユーザ(臨床医または他の医療提供者など)はマーカー28をアクセス部位に隣接して位置合わせし、(別々に標示していないが、2つの部分を含む)ファスナー22を用いて患者の手首の周りに本体12を固定する。本体12が固定されると、ユーザは、ある量の流体(たとえば、10~15ミリリットル(mL)の空気、15~18mLの空気、または他の初期量)を用いて圧迫要素16を膨らませる。ユーザは次いで、経時的に圧迫要素16から少量の空気を取り除くことによってタイトレーションプロセスを行い、動脈または静脈が開いたままでありながら、止血が実現され、維持されるまで、圧迫要素16内の総量を調整する。回復時間の後、臨床医は、(15分ごとに1mLなど)時間ベースでいくらかの量の空気をゆっくりと除去し、依然として止血を維持しながら、アクセス部位の圧力の度合いを下げるために、各除去の後に、再出血を観察する。このプロセスは、止血が実現されたと臨床医が決定するまで続き、その時点で、止血帯10は患者の手首から取り除かれる。
【0064】
止血帯10および他の知られている止血帯は、開存止血を実現することができるが、これらのデバイスにはそれらの欠点がある。たとえば、圧迫要素16への流体注入は、一般的な、推奨流体量に基づいているので、既知の止血帯(たとえば、TRバンド)は、患者個人に起因する圧迫のばらつきに遭遇する。患者の解剖学的構造(たとえば、手首周り、体型)、生理学的変数(たとえば、血管アクセス処置中に患者によって受け取られるヘパリンもしくは他の抗凝血薬の適用量に基づく血圧(MAP)もしくは活性化凝固時間(ACT))、可変帯張力、および/または帯材料などのファクタが、止血、開存性、および患者の快適さを維持するためのアクセス部位での圧力の最良の選択に影響を及ぼす可能性がある。これらのファクタに対処しないことによって、止血デバイスを使用する従来技術の方法は、とりわけ、患者の不快感、再出血、長期の血管閉塞、および/または血腫につながる可能性がある難題を提示している。
【0065】
発明者は、臨床医が否定的事象の可能性を下げるために患者から患者へ一貫した圧迫プロセスを実現できるように、リアルタイムのフィードバックおよび/または助言を提供することによって従来技術の止血デバイスの上記の欠点を克服するためのシステムおよび方法を発見した。一般に、本開示の実施形態は、止血帯使用ガイダンスを提示し、回復中に止血帯の状態を監視するために、既存の止血帯と相互作用するように構成された止血帯監視システムを提供する。より詳細には、止血帯監視システムは、帯のきつさおよび/またはバルーン圧力を監視し、監視される張力および圧力に基づいて臨床医へのフィードバックを、ローカルにまたはリモートデバイスに提供することができる。
【0066】
本開示による止血帯監視システムおよび方法の様々な実施形態について、次に詳細に説明する。
図2は、本開示による止血帯監視システム40の一実施形態を示す。この実施形態では、止血帯監視システム40は、
図3に示すように、止血帯(たとえば、
図1の止血帯10など)と連結するように設計され、止血帯10は、
図4に示すように、橈骨動脈の止血を促進するために患者の手首42の周りの所定の位置に巻き付けられ、固定されるように構成される。特に、止血帯10と対にされるとき、止血帯/帯監視システムの組合せは、止血デバイスと考えられ得る。
本開示による止血帯監視システムおよび方法は、人の解剖学的構造の他の部分で使用するように特別に適合されている止血デバイスとともに、または人の解剖学的構造の様々な部分で使用される場合がある一般的使用の止血デバイスとともに、使用される得ることにさらに留意されたい。
【0067】
図2に示すように、止血帯監視システム40は、帯張力監視構成要素44と、バルーン圧力監視構成要素46と、帯張力監視構成要素44およびバルーン圧力監視構成要素46と通信する監視ユニット48とを備える。一般に、帯張力監視構成要素44は、止血帯10が患者の手首42に固定されるとき、帯のきつさを示す測定値の決定を容易にするために、止血帯10と連結するように構成される。バルーン圧力監視構成要素46は、止血帯10が患者の手首42に固定されるとき、アクセス部位に加えられる圧力を示す測定値の決定を容易にするために、止血帯10を連結するように構成される。最後に、監視ユニット48は、それぞれの張力および圧力を測定し、測定データを記録し、ユーザと通信するために、帯張力監視構成要素44およびバルーン圧力監視構成要素46と通信するように構成される。
【0068】
帯張力監視構成要素44は、機械式、電気式、電気機械式、容積測定式、空気式、および/または他のタイプの圧力検知機構により、止血帯10が患者の手首42に固定されるとき、監視ユニット48に圧力フィードバックを提供するように構成される。たとえば、本実施形態では、帯張力監視構成要素44は、テンションパッド50と、流体連通ライン52とを備える。
図2に示すように、テンションパッド50は、フィラー材料58で満たされた内部空洞56を有する本体54と、内部空洞56に流体的に接続された流体ポート60とを備える。流体連通ライン52は、内部空洞56の内容積を圧力センサー66に流体的に結合するために、コネクタ62、64を介してそれの一方の端部で流体ポート60に、およびそれの他方の端部で監視ユニット48内に収容された圧力センサー66に、取外し可能に結合される。この実施形態の帯張力監視構成要素44は、したがって、容積測定式の圧力検知機構として機能する。
【0069】
使用時に、テンションパッド50は、止血帯10の本体12の内面26に沿って配置され得る。たとえば、
図4に最も良く示されているように、テンションパッド50は、止血帯10が患者の手首42に装着されるとき、患者の手首42に接触するが、圧迫要素16の妨げにならないように、一般的に圧迫要素16の向かい側の位置に内面26に沿って配置され得る。さらに、いくつかの実施形態では、テンションパッド50は、止血帯10が患者の手首42に装着されるとき、アクセス部位の実質的に向かい側の位置に患者の手首42に対して実質的に平らになるように(たとえば、手首42の周りに巻き付かないように)配置され得る。このようにして、使用時にテンションパッド50は、止血帯10に対して配置され、次いで組み合わされたアセンブリが患者の手首42の周りに配置され、それに固定され得る。あるいは、テンションパッド50は、患者の手首42に対して配置され、止血帯10が患者の手首42およびテンションパッド50の周りに配置される間、所定の位置に維持され、次いで患者の手首42に固定され得る。
【0070】
したがって、止血帯10が患者の手首42の周りに締め付けられるとき、テンションパッド50は、止血帯10と患者の手首42との間で圧迫され、流体がテンションパッド50の内部空洞56から押し出されるので、内部空洞56の内容積の変化を引き起こす。内部空洞56は、流体連通ライン52を介して圧力センサー66に流体的に接続されているので、内容積のこの変化は、圧力センサー66によって検出される圧力変化を引き起こす。検出された圧力変化は、次いで止血帯張力(すなわち、きつさ)の測定値として解釈され得る。
【0071】
いくつかの実施形態では、テンションパッド50(たとえば、本体54)および/または止血帯10は、止血帯10に沿ってテンションパッド50を適正に配置するのを支援するために、1つまたは複数のマーカー(図示せず)を含んでもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、テンションパッド50は、止血帯10の本体12にテンションパッド50を結合し、テンションパッド50を適正に配置するのを支援し、ならびにテンションパッド50を所定の位置にして患者の手首42の周りに止血帯10を巻き付けるのを容易にするために、ファスナー(図示せず)を備えてもよい。いくつかの実施形態では、テンションパッド50上のファスナーは、止血帯10に繰り返して装着し、外すように構成された粘着性パッドであってもよい。代替実施形態では、テンションパッド50上のファスナーは、止血帯10上に位置する相補的ファスナーと連結するように構成されたいずれかの好適なタイプのファスナー、たとえば面ファスナー、スナップ、ボタン、ひも、ジッパー、またはかぎホックの組合せとすることができる。
【0072】
再び
図2の実施形態を参照すると、テンションパッド50の本体54は、従来の止血帯10の幅に実質的に等しいまたはそれよりも小さい幅を有して、実質的に平らであって、断面形状が正方形または長方形でありうる。本体54はまた、止血帯10が患者の手首42に装着されるとき、テンションパッド50が患者の手首42に対して平らのままであることができるように、十分に小さい長さを含むことができる。しかしながら、代替実施形態では、本体54は、テンションパッド50が患者の手首42の周りに少なくとも部分的に巻き付くような長さを含んでもよい。さらに、代替実施形態では、本体54は、円形、楕円形とすることができ、または他の形状をとることができる。
【0073】
この実施形態では、本体54は、ポリ塩化ビニル(PVC)など、止血帯10の材料と同様の材料から形成され得る。たとえば、本体54は、流体ポート60を形成する領域を除いて、完全にそれの外周68に沿って互いに接続された材料の上部および下部の層から形成され得る。このようにして、内部空洞56は、外周68の内部に、上部と下部の材料層の間に形成される。さらに、いくつかの実施形態では、本体54は、止血帯10と同様に、透明材料から、または不透明もしくは半透明の材料から形成され得る。
【0074】
さらに、フィラー材料58は、テンションパッド50の内部空洞56を実質的に満たすことができる。フィラー材料58は、テンションパッド50が圧迫されていない状態であるとき、外向きに押すように構成された、ばねのような、圧縮可能材料を含むことができる。結果として、フィラー材料58は、圧迫されていないときの内部空洞56の基本的な内容積を設定することができる。しかしながら、テンションパッド50が圧迫されるとき、すなわち、止血帯10が手首の周りに締め付けられるとき、フィラー材料58は、パッドの圧迫に基づいて内容積が変わるように縮むことができる。さらに、ばねのような特性は、フィラー材料58が、圧迫されていないとき、それの基本的な形状に直ちに戻り、しかも、使用中に止血帯10のきつさに実質的に影響を及ぼすために、テンションパッド50に対するそれほど多くの膨張力を与えないことを可能にする。一実施形態では、フィラー材料58は、発泡ブロックを含むことができる。代替実施形態では、フィラー材料58は、複数の発泡ブロック、複数の発泡ビーズもしくは粒子、または他の好適な材料を含むことができる。
【0075】
この実施形態では、テンションパッド50は、内部空洞56へのアクセスを与える流体ポート60をさらに備える。流体ポート60は、テンションパッド50の本体54から伸び、それの端部に結合されたコネクタ62を含む。コネクタ62はさらに、帯張力監視構成要素44を監視ユニット48に結合するために流体連通ライン52のコネクタ64に取外し可能に接続され得る。コネクタ62、64は、たとえば、嵌め合いルアーロックコネクタまたは他のいずれかの好適なタイプの流体コネクタでありうる。テンションパッド50と監視ユニット48との間のこの着脱可能な接続は、
図4に示すように、監視ユニット48に接続されることなく、テンションパッド50を容易に設置すること、および/または止血帯10を当てることを可能にすることができる。たとえば、臨床医が、まず止血帯10およびテンションパッド50を一緒に固定し、次いでテンションパッド50を監視ユニット48に結合してもよい。しかしながら、あるいは、臨床医は、テンションパッド50を止血帯10に対して配置するまたは固定する前に、まずテンションパッド50を監視ユニット48に結合してもよい。いずれにしても、テンションパッド50は、止血帯10が患者に装着される前に、監視ユニット48に流体流連通(fluid-flow communication)して接続されなければならず、さもなければテンションパッド50は、すでに圧迫されることになり、止血帯10の締付け中にテンションパッド50の容積差(volumetric differential)を測定する能力がなくなる。テンションパッド50が監視ユニット48に結合されると、帯張力監視構成要素44は、使用の準備が整い得る。さらに、テンションパッド50と監視ユニット48との間のこの着脱可能な接続は、異なるテンションパッド50で監視ユニット48を再利用することを可能にすることができる。またさらなる代替実施形態では、帯張力監視構成要素44は、コネクタを含まなくてもよく、むしろ、流体連通ライン52は、流体ポート60に一体的に結合され得る。
【0076】
上述のように、流体連通ライン52は、それの一方の端部で(たとえば、コネクタ62、64を介して)流体ポート60に結合され、次いでそれの他方の端部で(たとえば、摩擦嵌めにより)監視ユニット48に位置する圧力センサー66に結合され得る。本実施形態では、流体連通ライン52は、可とう性のプラスチック管材を含むことができる。代替実施形態では、流体連通ライン52は、一緒に結合された可とう性および/または剛性のプラスチック管材の複数のセクションを含むことができる。たとえば、1つの代替実施形態では、流体連通ライン52は、圧力センサー66に接続され、監視ユニット48から外に伸びる可とう性または剛性のプラスチック管材の第1のセクションと、第1のセクションに(たとえば、好適なコネクタ、摩擦嵌め、または他の好適な結合により)取外し可能に結合され、次いでさらに流体ポート60に結合された可とう性のプラスチック管材の第2のセクションとを含むことができる。
【0077】
帯張力監視構成要素44が、上述のように、監視ユニット48で圧力センサー66に流体的に結合された容積測定式の圧力検知機構として、本明細書で図示および説明されているが、他の実施形態は、監視ユニット48に流体的または電気的に結合され得る異なるタイプの圧力検知機構を含んでもよい。たとえば、1つの代替実施形態では、帯張力監視構成要素44は、本体12に沿って配置され、監視ユニット48のコントローラ102に直接結合された電子圧力センサー(薄膜圧力センサーなど)を含むことができる。また他の例では、バルーン圧力監視構成要素46は、帯張力を示す、監視ユニット48へのフィードバックを提供するために、帯張力監視構成要素44の代わりに、すなわちそれの代用として使用されてもよい。
【0078】
本実施形態では、バルーン圧力監視構成要素46は、止血帯10に結合されるように構成された第1のポート72と、監視ユニット48に収容された圧力センサー76に結合されるように構成された第2のポート74と、(
図3に示す注射器などの)膨張デバイス80に結合されるように構成された第3のポート78とを有する三方コネクタ70を備える。止血帯10の従来の使用中に、膨張デバイス80は、圧迫要素16を膨らませるために膨張ポートアセンブリ24に直接接続される。本実施形態では、バルーン圧力監視構成要素46は、圧迫要素16のバルーン18、20を圧力センサー76に流体的に接続するために、膨張デバイス80と膨張ポートアセンブリ24との間に配置され得る。
【0079】
この実施形態では、第1のポート72は、止血帯10に流体的に結合され得る。より詳細には、第1のポート72は、膨張ポートアセンブリ24の管状コネクタ34に接続する(および接続されると、膨張ポートアセンブリ24の逆止め弁構成要素を開ける)ように適合されたコネクタ82を含むことができる。第2のポート74は、監視ユニット48内の圧力センサー76に流体的に結合され得る。たとえば、第2のポート74は、コネクタ84と、それの一方の端部でコネクタ84に結合され、それの他方の端部で圧力センサー76に結合され得る流体連通ライン86(たとえば、プラスチック管材)とを含むことができる。一実施形態では、流体連通ライン86は、摩擦嵌めによってコネクタ84および/または圧力センサー76に結合され得る。最後に、第3のポート78は、膨張デバイス80に流体的に結合され得る。たとえば、第3のポート78は、副膨張ポートアセンブリ90に結合されるコネクタ88を含むことができる。副膨張ポートアセンブリ90は、上記で説明した止血帯10の膨張ポートアセンブリ24と同様に、可とう管92と、バルブ94と、逆止め弁アセンブリを含む管状コネクタ96とを含むことができる。可とう管92は、それの一方の端部でコネクタ88に結合され、それの他方の端部でバルブ94に、続いて管状コネクタ96に接続される。
【0080】
圧迫要素16の膨張は、したがって、
図3に示すように、膨張デバイス80の突き出た先端を管状コネクタ96に挿入し、副膨張ポートアセンブリ90を通して膨張デバイス80内の流体(たとえば、空気)を、第3のポート78を介して三方コネクタ70に、続いて第1のポート72を介して止血帯10の主膨張ポートアセンブリ24に導入するために、膨張デバイス80上のプランジャを押すことによって実現される。流体が止血帯膨張ポートアセンブリ24に入ると、圧迫要素16の膨張が上記で説明したように実現される。流体がバルーン18、20に注入されると、膨張デバイス80の突き出た先端は、管状コネクタ96から引き抜くことができ、管状コネクタ96内に位置する逆止め弁(図示せず)は閉じ、流体が副膨張ポートアセンブリ90から漏れ出すのを防ぐ。
【0081】
したがって、この構成では、圧迫要素16のバルーン18、20の内容積が、圧力センサー76に流体的に接続され得る。その結果、止血帯10が採用されるとき、内容積の変化(たとえば、膨張、収縮、帯の調節などによって引き起こされる)が、圧力センサー76によって観測される圧力変化を引き起こす。次に、観測された圧力変化は、止血帯10によるアクセス部位に対する圧迫力(compressive force)の測定値として解釈され得る。さらに、流体が三方コネクタ70に導入されると、この流体の一部が第2のポート74、コネクタ84、および流体連通ライン86を通って進み、圧力センサー76によって検出され、これによって監視ユニット48は、圧力センサー76を介してデータの収集を開始する。代替として、監視ユニット48は、人間の入力に基づいて、より早いある時間に圧力センサーを介してデータの収集を開始してもよい。
【0082】
上述のように、本開示による止血帯10のいくつかの実施形態では、およびそれのいくつかの潜在的な適用例では、バルーン圧力監視構成要素46は、帯張力監視構成要素44の代用としての役割を果たすことができる。すなわち、いくつかの状況では、バルーン圧力監視構成要素46から収集されたデータは、別個の帯張力監視構成要素44の必要なしに、生じた帯のきつさを示す測定値を決定するために分析され得る。たとえば、患者の身体部位への帯の正しい適用、およびおおよその生じた帯のきつさが想定される場合、収集された内部バルーン圧力データは、止血帯10によってアクセス部位に加えられている圧力の量の適切な推定を行うのに十分である可能性がある。したがって、そのような実施形態では、帯監視システム40は、バルーン圧力監視構成要素46のみを含んでもよい。
【0083】
監視ユニット48は、帯監視システム40の圧力センサー66、76および他の電子機器を収容し、帯張力およびバルーン圧力を決定するために圧力センサー66、67からのデータを分析し、そのような情報をユーザに通信し、ユーザからフィードバックまたは患者情報を受け取ることができる。たとえば、監視ユニット48は、ハウジング100(
図5~
図8に示す)によって囲われている制御盤98(
図2、
図3、および
図6に示す)を含むことができる。
【0084】
図8は、本開示の一実施形態による監視ユニット48の概略表現を示す。
図8に示すように、この実施形態では、監視ユニット48は、ハウジング100と、コントローラ102と、データストレージユニット104と、充電/通信ポート106と、たとえば、リモートデバイス110と通信するように構成された送信機/受信機108と、2つのLED114、116および/またはサウンドデバイス115を含む通信インターフェース112と、(1つまたは複数のグラフィカルユーザインターフェースを表示し、状態出力ツールまたは補助通信インターフェースとしてLED114、116、および/またはサウンドデバイス115に取って代わるか、これらを拡張することができる)オプションの入力/出力ディスプレイ118と、張力構成要素圧力センサー66と、圧力構成要素圧力センサー76と、監視ユニット48に電力を供給する(および充電/通信ポート106を介して再充電可能であってもよく、または1つもしくは複数の交換可能なバッテリーを含むことができる)電源120とを含むことができる。
【0085】
一般に、ハウジング100は、監視ユニット48の電子機器を収容し、保護することができ、電子機器は制御盤98(たとえば、プリント回路板)に取り付けられてもよい。コントローラ102は、帯張力およびバルーン圧力を監視し、分析すること、そのようなデータもしくは他の情報をユーザに通信すること、ならびに/またはユーザから入力を受け取ることなどを行って、帯監視システム40の動作を制御することができる。データストレージユニット104は、センサーデータ、入力された患者データもしくは一般的な患者集団データ、または他の情報などのデータ、ならびにコントローラ102によって実行されるプロセスを記憶することができる。充電/通信ポート106は、監視ユニット48とリモートデバイス110との間のワイヤード通信、および/または監視ユニット48の充電を容易にすることができる(とはいえ、代替実施形態では、これらの2つの機能が別々のポートにより提供されることがある)。送信機/受信機108は、監視ユニット48とリモートデバイス110(たとえば、独立型の監視システム、スマートフォン、タブレット、またはラップトップ)との間のワイヤレス通信を容易にすることができる。通信インターフェース112は、たとえば、ハウジング100を通って伸びるLED114、116によって、および/または可聴アラート(ビープ、トーン、チャイム、もしくはアラームなど)を発するように構成され得るサウンドデバイス115によって、ユーザに情報を伝えることができる。上述のように、張力構成要素圧力センサー66は、帯のきつさを示す測定値を検知することができる。圧力構成要素圧力センサー76は、アクセス部位に対する圧力を示す測定値を検知することができる。
【0086】
この実施形態では、
図5および
図6に示すように、ハウジング100は、ファスナー、スナップフィット接続、または他の好適な結合方法などによって、一緒に結合された上側ハウジング122と下側ハウジング124とを備えることができる。ハウジング100は、制御盤98上の充電/通信ポート106にアクセスできるようなサイズの第1の開口126と、それらの各々が、流体連通ライン52、86のうちのそれぞれのラインをそれを通して受け入れるようなサイズである、第2の開口128および第3の開口130と、それらの各々が、第1および第2のLED114、116のうちのそれぞれのLEDがそれを通って伸びることを可能にするサイズである、第4の開口132および第5の開口134とを画定することができる。いくつかの実施形態では、ハウジング100は、入力/出力ディスプレイ118(
図7に示す)、または他のポート、または通信機構用などの、追加の開口をさらに含むことができる。いくつかの実施形態では、ハウジング100は、上側ハウジング122と下側ハウジング124との間の接続ポイント、および/または開口126、128、130、132、134のうちの1つもしくは複数を含むことができ、ハウジング100がその中に収容された電子機器を液体および/または他の汚染物質から保護するために実質的に耐水性であることを保証するためのシールまたはカバーリング(図示せず)を含むことができる。
【0087】
さらに、いくつかの実施形態では、
図7に示すように、監視ユニット48は、ハウジング100の周りに巻き付けられたカバーリング139を含むことができる。カバーリング139は、使い捨てであって、一時的な無菌バリアを与えるために使用することができ、無菌環境(たとえば、手術室または他の環境)における監視ユニット48の使用を可能にする。たとえば、カバーリング139は、それを通る流体連通ライン52、86からの流体接続を依然として可能にしながら、ハウジング100の周りに巻き付けられまたは固定され得る。無菌環境がもはや必要ではないとき(たとえば、患者が回復し、手術室を出ると)、カバーリング139は取り除かれ、廃棄されてもよい。一実施形態では、カバーリング139は、LED114、116または他の入力/出力ディスプレイ118が無菌環境で依然として見ることができ、かつ/または対話できるように、透明である可とう性プラスチックカバーリングとすることができる。いくつかの実施形態では、カバーリング139は、カバーリング139がハウジング100および/またはいずれかの流体連通ライン52、86の周りで実質的に密封されることを可能にする1つまたは複数の弾性または接着性要素140を設けられてもよく、したがって無菌バリアとしてのカバーリング139の性能を向上させる。
【0088】
さらに、いくつかの実施形態では、
図9に示すように、ハウジング100は、それの外面137に結合されたストラップ136を含むことができる。ストラップ136は、患者の手足の周囲にフィットするように調整可能にサイズ変更でき、したがって、全長が止血帯10の本体12の長さと実質的に同様とすることができる。さらに、ストラップ136は、患者の手足の周りでストラップ136をそれ自体に固定するように構成された1つまたは複数のファスナー(面ファスナー(たとえば、ベルクロ(登録商標))の相補パッチ、スナップ、ボタン、ひも、ジッパー、またはかぎホックの組合せ、または他の好適なファスナーなど)を含むことができる。このようにして、ハウジング100はウェアラブルデバイスになり、患者の快適さおよび動きやすさを支援し、監視ユニット48の望まれない誤動作を防止し得る。代替実施形態では、ストラップ136は、ハウジング100を患者に固定するために互いに取外し可能に結合されるように構成された複数のストラップを代わりに含むことができる。したがって、この実施形態では、監視ユニット48は、小さい、携帯型の、かつ/またはウェアラブルのデバイスである。
【0089】
コントローラ102は、データ処理能力を与えることができる。この実施形態では、コントローラ102は、制御盤98に取り付けられた1つまたは複数のマイクロコントローラを含むことができる。コントローラ102はさらに、データストレージユニット104、充電/通信ポート106、送信機/受信機108、通信インターフェース112、(オプションの)入力/出力ディスプレイ118、張力構成要素圧力センサー66、圧力構成要素圧力センサー76、および/または電源120などの、監視ユニット48の1つまたは複数の構成要素と通信することがある。一般に、コントローラ102は、帯のきつさおよびバルーン圧力を示す測定値を記録すること、これらの測定値をローカルに記憶すること、測定値を分析すること(たとえば、それらを個人または同様の生理的属性をもつ個人の集団についての期待値と比較すること)、測定値、アラート、および/もしくはレポートを1人もしくは複数のユーザにローカルおよび/もしくはリモートに通信すること、ならびに/またはローカルおよび/もしくはリモートに情報(フィードバックもしくは他の患者情報など)を受け取ることを行うために、これらの構成要素と併せて動作することができる。
【0090】
たとえば、本実施形態では、データストレージユニット104は、監視ユニット48のためのローカルメモリとしての機能を果たし、コントローラ102による実行のためのプログラムおよび/またはアルゴリズムを含む、監視ユニットハードウェアの動作を管理するファームウェアを記憶することができる。さらに、コントローラ102は、センサー66、76からの生データ、処理された測定値、分析、患者情報、および/または他の情報を、データストレージユニット104によりローカルに記憶することができる。一例では、コントローラ102は、定期的な帯張力およびバルーン圧力測定値を含む回復手順のセッションログ、ユーザに通信されたアラートのログ、ユーザフィードバック、および/または他の情報を記憶することができる。さらに、コントローラ102は、回復手順の間に使用されるように、許容可能なまたは期待される患者パラメータ、たとえば、臨床医によって入力されたパラメータを記憶することができる。コントローラ102はまた、以下のうちの1つまたは複数を記憶することができ、すなわち、患者パラメータに基づいて特定の回復手順について最適な帯のきつさおよび/もしくはバルーン圧力を決定するためのアルゴリズム、最適な帯のきつさおよび/もしくはバルーン圧力を決定するためのアルゴリズムを継続的に更新するためにセッションログおよびユーザフィードバックから学習するアルゴリズム、アラートもしくは指示をユーザに通信するためのプロセス、ならびに/または他のアルゴリズムもしくはプロセスのうちの1つまたは複数を記憶することができる。
【0091】
監視ユニット48は、データストレージユニット104により情報をローカルに記憶することができるが、監視ユニット48はさらに、充電/通信ポート106および/または送信機/受信機108を介して1つまたは複数のリモートデバイス110に情報を伝えること、またはこれらから情報を受信することができる。詳細には、充電/通信ポート106は、監視ユニット48とリモートデバイス110との間のワイヤード通信を容易にすることができる。この実施形態では、充電/通信ポートは、制御盤98に取り付けられたUSBポートでありうる。したがって、リモートデバイス110は、
図3および
図8に示すように、USBポートに差し込まれたUSBコネクタケーブル138を介して監視ユニット48に接続され得る。リモートデバイス110と監視ユニット48との間の通信を容易にすることに加えて、USBコネクタケーブル138は、あるいは、監視ユニット48の電源120を充電するために外部電源(図示せず)に接続されることがある。しかしながら、代替実施形態では、充電/通信ポートは、他の好適なデータ接続および/または給電ポートでありえ、またはこれらの2つの機能が、別個のポートを介して果たされることがある。
【0092】
送信機/受信機108は、監視ユニット48とリモートデバイス110との間のワイヤレス通信を容易にすることができる。たとえば、送信機/受信機108は、セルラー、WiFi、Bluetooth(登録商標)、または他のワイヤレス送信プロトコルによってリモートデバイス110と通信するように構成されたワイヤレス通信モジュールを備えることができる。
【0093】
したがって、監視ユニット48は、リアルタイムでおよび/または遡及的に、ワイヤードおよび/またはワイヤレスにリモートデバイス110と通信するように構成され得る。いくつかの実施形態では、リモートデバイス110は、限定はしないが、外部コンピュータ、タブレット、モバイルデバイス、ウェアラブルデバイス、または他の好適なデバイスでありうる。上記のワイヤードまたはワイヤレス通信構成要素を通して、リモートデバイス110は、以下でさらに説明するように、監視ユニット48から患者データ、アラート、および/または指示を受信し、患者情報を監視ユニット48に伝え、かつ/またはたとえばアプリケーション(たとえば、モバイル医療アプリケーション)によって、視覚、音声、および/もしくは触覚のフィードバックをユーザに提供することができる。そのようなフィードバックは、患者データ、状態アラート、および/または指示、電源状態もしくは性能、または他のタイプのフィードバックに関係してもよい。動作モードの一例では、アプリケーションは、ユーザに患者データ(たとえば、BMI、MAP、ACT、タイトレーション量、および/もしくは経時的血圧変化)を問い合わせ、止血帯10が期待されるもしくは最適な張力で当てられているかどうか、ならびに/または圧迫要素16が止血処置にわたってアクセス部位に期待されるもしくは最適な圧力を加えているかどうかをユーザに伝えるために、止血処置の間にユーザに視覚的フィードバックを提供する。加えて、いくつかの実施形態では、リモートデバイス110は、オンボード通信インターフェース112に取って代わるか、またはこれを拡張してもよい。
【0094】
リモートデバイス110は、監視ユニット48からリモートに位置していながらユーザにフィードバックを伝えることができるが、通信インターフェース112もまた、ローカルにユーザに情報を伝えることができる。この実施形態では、通信インターフェース112は、2つのLED114、116を含み、これらはたとえば、緑色LED114および赤色LED116であってもよい。一例では、コントローラ102は、止血帯10が適正に締め付けられ、十分なバルーン圧力がもたらされ、かつ/または回復手順が期待されるもしくは最適な方法で進んでいるとき、緑色LED114を点灯することができる。対照的に、コントローラ102は、止血帯10が十分に締め付けられず、バルーン圧力が不十分であり、かつ/または回復手順が期待されるもしくは最適な方法で進んでいないとき、赤色LED116を点灯することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ102は、異なる情報を伝えるために、一定にまたは点滅させてLED114、116を点灯することができる。加えて、代替実施形態では、通信インターフェース112は、ユーザに情報を伝えるために、複数の緑色、赤色、および/または他の色のLED、または多色LEDを含んでもよい。さらに、通信インターフェース112は、可聴アラートを発することができるサウンドデバイス115を含む。一例では、コントローラ102は、止血帯10が適正に締め付けられ、十分なバルーン圧力がもたらされ、かつ/または回復手順が期待されるもしくは最適な方法で進んでいるとき、サウンドデバイス115を介して、第1の方法でビープまたは他の音を発することができる。対照的に、コントローラ102は、止血帯10が十分に締め付けられず、バルーン圧力が不十分であり、かつ/または回復手順が期待されるもしくは最適な方法で進んでいないとき、サウンドデバイス115を介して、第2の方法でビープまたは他の音を発することができる。
【0095】
いくつかの実施形態では、通信インターフェース112に加えてまたはそれの代替として、監視ユニット48は、入力/出力ディスプレイ118を含むことができる。
図7の監視ユニット48に示すように、入力/出力ディスプレイ118は、たとえば、(グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介するなどして)ユーザに情報を伝えることができる画面、ユーザから入力を受け取ることができるタッチスクリーン、または両方でありうる。したがって、そのような実施形態では、入力/出力ディスプレイ118は、通信インターフェース112に加えてまたはそれの代わりに、ローカルにユーザに情報を伝えることができる。入力/出力ディスプレイ118は、リモートデバイス110上のアプリケーションに加えてまたはそれの代わりに、ローカルにユーザから入力を受け取ることもできる。リモートデバイス110の代わりに使用されるとき、帯監視システム40は、回復手順を支援するために完全に自己完結型とすることができる。したがって、本明細書で説明するリモートデバイス110とコントローラ102との間のいかなる通信も、代わりに入力/出力ディスプレイ118とコントローラ102との間の通信と置き換えられ得る。代替実施形態では、監視ユニット48は、オンボード出力デバイス(たとえば、通信インターフェース112または入力/出力ディスプレイ118)を備えていない場合があり、すべての情報は、単に外部デバイス(たとえば、リモートデバイス110)へのワイヤードおよび/またはワイヤレス通信手段によってユーザに伝えられる場合がある。
【0096】
上述のように、本実施形態では、監視ユニット48は、帯張力およびバルーン圧力をそれぞれ監視するように構成された圧力センサー66、76を含む。
図2および
図3に示すように、圧力センサー66、76は、制御盤98に取り付けられ、それぞれの流体連通ライン52、86との接続を容易にするために開口128、130の方に向けられてもよい。代替実施形態では、監視ユニット48は、限定はしないが、(たとえば、再出血を監視するための)血液センサー、温度センサー、患者の動きセンサー、および/または局所開存性センサー(local patency sensor)(たとえば、超音波もしくは好適な同等物を使用する)などの他のセンサー用の追加の入力を含むことができる。
【0097】
最後に、この実施形態では、電源120は、監視ユニット48に電力を供給することができ、
図6に示すように、ハウジング100内の制御盤98上に収容されたバッテリーであってもよい。より詳細には、コントローラ102および/または監視ユニット48の1つもしくは複数の他の構成要素は、監視ユニット48に電力を供給するために電源120に接続され得る。いくつかの実施形態では、バッテリーは、たとえば、充電/通信ポート106を介して、再充電可能であってもよい。たとえば、この実施形態では、バッテリーは、再充電可能なリチウムイオンバッテリーであってもよい。代替実施形態では、バッテリーは、交換可能であってもよい。たとえば、ハウジング100またはその一部分は、交換のためにバッテリーにアクセスできるように構成され得る。加えて、いくつかの実施形態では、バッテリーを保持するために、監視ユニット48は、オン/オフボタン、スイッチ、または使用していないときに帯監視システム40をオフにするための他の機構を含むことができる。
【0098】
図10は、本開示の一実施形態による、上記で説明した止血帯監視システム40を使用して止血処置を行う方法150を示す。一般に、患者についての既知のデータ(たとえば、BMI、MAP、およびACT)が、ステップ152において止血帯監視システム40に入力され、帯監視システム40のテンションパッド50は、ステップ154において止血帯10および/または患者に対して配置され、止血帯10は、ステップ156において患者の周りに配置される。止血帯10は、次いでステップ158において患者の周りに締め付けられ、帯監視システム40は、ステップ160において帯張力が十分であるかどうかをチェックする。そうでない場合、帯監視システム40は、ステップ162において、帯張力を調整するためにユーザにフィードバックを送る。ステップ160において、帯張力が十分であると決定されると、ユーザは、ステップ164においてバルーン18、20の内部容積を満たすためにタイトレーション手順を始めることができ、帯監視システム40は、ステップ166においてバルーン圧力が十分であるかどうかをチェックする。そうでない場合、帯監視システム40は、ステップ168において、バルーン圧力を調整するためにユーザにフィードバックを送る。ステップ166において、バルーン圧力が十分であると決定されると、帯監視システム40は、ステップ170において帯張力およびバルーン圧力を監視し、データ測定値を記録する。帯監視システム40は、ステップ172において過度の圧力低下を継続的または定期的にチェックし、そのような低下が観測される場合、ステップ174においてユーザにアラートを送る。そうでない場合、帯監視システム40は、ステップ170に戻る。帯監視システム40はまた、ステップ176において止血帯10が動かされたまたは外されたことを示す帯張力測定値を継続的または定期的にチェックし、そのような測定値が観測される場合、ステップ178においてユーザにアラートを送る。そうでない場合、帯監視システム40は、ステップ170に戻る。さらに、帯監視システム40は、ステップ180において「記録時間」が終了したかどうか、またはステップ182においてユーザがセッションを手動で停止したかどうかを決定し、そのような時間が終了した、またはユーザがセッションを終了させた場合、ステップ184において随意にユーザからフィードバックを受け取り、手順のセッションログを記憶し、次いで手順を終了する。そうでない場合、帯監視システム40は、ステップ170に戻り、帯張力およびバルーン内部圧力が記録され続ける。
【0099】
より詳細には、ステップ152において、既知の患者データが、たとえば、リモートデバイス110または入力/出力ディスプレイ118上のGUIを通して、止血帯監視システム40に入力される。患者パラメータは、アクセス部位圧力および/または回復時間に影響を及ぼし得る患者の生理学的変数を含むことができる。たとえば、患者データは、限定はしないが、患者のボディマス指数(BMI)、活性化凝固時間(ACT)、および血圧または平均動脈圧(MAP)を含むことができる。
【0100】
たとえば、患者の体型が、圧迫要素16のバルーン18、20に加えられる空気の量と関係して、止血を実現するファクタとなり得る。より詳細には、浅橈骨動脈(superficial radial artery)をもつ非常に痩せた(すなわち、低BMI)患者は、非常に太った(すなわち、高BMI)患者と比較してより低い圧力が加えられて橈骨動脈の閉鎖を実現することができ、非常に太った患者は、動脈の閉鎖を実現するためにより高い圧力が加えられる必要がある。
【0101】
加えて、ACTは、凝固の影響により治癒時間に影響を及ぼすことがある。たとえば、橈骨インターベンション術の間、患者は、脈管構造における凝血塊形成のリスクを下げるためにいくらかの量のヘパリンを投与される場合がある。ヘパリンは、体内で代謝され、それの半減期の長さを考慮すれば、回復手順の間に動脈切開が自然に閉じる時間を増やす可能性がある。したがって、この延長された治癒時間が、止血帯10がより長い期間の間、開存止血圧力を加えることを必要とする場合がある。
【0102】
さらに、MAPは、治癒時間および圧力要件に影響を及ぼすことがある。たとえば、患者が高血圧を有する場合、止血を確保するために、さらなる圧迫が必要とされる可能性があり、これは、止血帯10のより高いバルーン圧力を必要とすることにつながる。
【0103】
さらに、止血帯10の材料(たとえば、PVCの薄層)は、時間とともに自然に緩み、バルーン18、20が膨らまされた後、対数圧力減衰(logarithmic pressure decay)を生じる。たとえば、内部圧力は、数分のうちに減衰し始め、数時間のうちに最大50%以上下がる可能性がある。この材料の緩みおよびBMI、ACT、MAPなどの他の変数、ならびに実施された血管アクセス処置のタイプの結果として、臨床医は、圧力減衰曲線がより長い時間期間の間、所望の(たとえば、より大きい)圧力を維持するように、経時的により多くの空気を加える必要があり得る。この目的を達成するために、いくつかの実施形態では、止血帯監視システム40は、臨床医が測定された圧力に基づいて、または止血帯監視システム40が動作するアルゴリズムに止血帯10の既知の材料緩和特性を含めることによって、一定の間隔で空気を加えるよう臨床医に促してもよく、したがって空気を追加することが必要である可能性があるときの予測を臨床医に提供する。
【0104】
一実施形態では、上記の変数のうちの1つまたは複数をユーザに促すために、一連のGUI画面が、入力/出力ディスプレイ118を介して(またはリモートデバイス110上のアプリケーションを介して)提供され得る。したがって、この実施形態では、ステップ152での入力された患者データに基づいて、コントローラ102は、止血処置のために最適な初期圧力もしくは初期圧力範囲および/または圧力減衰曲線を決定することができる。代替実施形態では、同様の測定されたまたは既知の特性を有する集団から収集された履歴データに基づいて(たとえば、データストレージユニット104内に記憶されたアルゴリズムに基づいて)、コントローラ102は、その個人に対する最適なまたは効果的な圧力減衰曲線を構成するものを決定し、それに応じて(たとえば、適切な最適初期圧力または初期圧力範囲に関して)臨床医にフィードバックを提供することができる。さらに、いくつかの実施形態では、入力されたデータまたは履歴集団データ、または医師の手による指示が、適切な患者観察間隔、すなわち臨床医によって取り消されない限り、デフォルトでデータが記録される時間の量を決定するために使用され得る。この入力されたまたは履歴の集団データ、または医師の手による指示は、臨床医が止血処置の間に特定の患者をチェックすべき頻度を決定するためにも使用され得る。
【0105】
上述のように、患者データは、リモートデバイス110または入力/出力ディスプレイ118を通して監視ユニット48に入力され得る。たとえば、リモートデバイス110は、グラフィカルユーザインターフェースを介してそのような情報をユーザに促す、それに記憶されたアプリケーションを含むことができる。いくつかの実施形態では、アプリケーションは、情報をコントローラ102に伝えることができ、コントローラ102は、したがって最適な圧力、圧力範囲、および/または圧力減衰曲線を決定することができる。代替実施形態では、アプリケーションは、カスタマイズされた圧力、圧力範囲、および/または圧力減衰曲線を決定して、監視ユニット48に提示するためのアルゴリズムを含むことができる。加えて、アプリケーションは、以下でさらに説明するように、止血処置全体を通してユーザをさらに支援することができる。
【0106】
再び
図10の方法150を参照すると、ステップ154において、ユーザは、上記で説明したように、止血帯10および/または患者に対してテンションパッド50を配置することができる。次に、止血帯10は、上記で説明したように(たとえば、マーカー28をアクセス部位と位置合わせすることによって)、ステップ156において患者の周りに配置される。止血帯10は、次いでステップ158において患者の周りに締め付けられ、帯監視システム40は、ステップ160において帯張力が十分であるかどうかをチェックする。より詳細には、止血を促進するために必要とされる空気の量は、臨床医がステップ158において止血帯10をどのくらいきつく付けるかに部分的に左右される。たとえば、動脈圧迫を生じるために必要とされる空気の量は、帯10が緩く付けられるとき、きつく固定された帯と比較して2倍以上になり得る。データストレージユニット104に記憶されるように、しきい値張力(またはしきい値張力範囲)を設定することによって、帯張力のばらつきは、処置から実質的になくされ得る。したがって、コントローラ102が、(張力監視構成要素44によって検出される)監視される張力がしきい値張力を下回ると判定する場合、帯10は十分に張力をかけられておらず、コントローラ102は、ステップ162において帯張力を調整するためにユーザにフィードバックを送る。患者を不快にする可能性がある、きつく締めすぎの帯を避けることもまた望ましいので、データストレージユニット104は、最大許容帯張力設定値に関するデータを記憶し、これらの値が超えられると、臨床医にアラートすることもできる。
【0107】
フィードバックは、通信インターフェース112を介して(たとえば、特定の方法で一方または両方のLED114、116および/またはサウンドデバイス115を作動させることにより)、またはリモートデバイス110上のアプリケーションを介して、ユーザに伝えられ得る。たとえば、
図11Aは、この実施形態による、帯のきつさに関してユーザにフィードバックを提供するアプリケーションからの例示的なグラフィカルユーザインターフェース190を示す。詳細には、グラフィカルユーザインターフェース190は、「きつさ不十分」から「最適な帯のきつさ」、さらに「きつすぎ」までに及ぶスライディングメーター上の矢印を示す。この実施形態では、コントローラ102は、以下でさらに説明するように、ユーザによってプログラムされた、かつ/またはユーザフィードバックを通してコントローラ102によって最適化された、好適な帯張力の記憶された範囲に、図示したメーターを相関させることができる。コントローラ102は、圧力センサー66によって、およびアプリケーションを通して、観測される実際の張力データを分析し、それに応じて矢印を「動かすこと」によって図示したメーターに沿って現在の帯張力をマッピングすることができる。したがって、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース190上のメーターに沿った矢印の位置を参照し、最適な帯張力範囲内で患者に止血帯10を適正に固定するために必要に応じて調整を行うことができる。
【0108】
メーターに沿った動く矢印をユーザに提示する、本実施形態のフィードバックについて図示および説明するが、代替実施形態では、アプリケーションによるフィードバックは、単に、「きつさ不十分」、「最適な帯のきつさ」、および「きつすぎ」という読出しなどの個別のメッセージ、張力が所望の範囲内もしくは範囲外であることに基づいて示される赤色/緑色、音声もしくは触覚通信、または最適な帯のきつさが達成されるときをユーザに伝えるための他のタイプのフィードバックであってもよい。加えて、グラフィカルユーザインターフェース190が、リモートデバイス110によって表示されると説明するが、代替実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース190は、入力/出力ディスプレイ118によって表示されてもよい。
【0109】
他の例では、フィードバックは、止血帯10が十分に張力をかけられていないとき、一方のLED114(たとえば、赤色LED)を点灯させること、および止血帯10が十分に張力をかけられているとき、他方のLED116(たとえば、緑色LED)を点灯させることによって、ユーザに伝えられ得る。他の例では、止血帯10が十分に張力をかけられていないとき、一方または両方のLED114、116が点滅することができ、止血帯10が十分に張力をかけられているとき、連続して点灯することができる。加えて、LED114、116は、止血帯10にかけられる張力が不十分であるとき、一定の速度で点滅することができ、または測定された張力が最適なきつさにどのくらい近いかに基づいて様々な速度で点滅することができる。また他の例では、サウンドデバイス115は、止血帯10が十分に張力をかけられるとき、可聴ビープ音を発することができる。サウンドデバイス115は、あるいは、止血帯10にかけられる張力が不十分であるとき、一定の速度で一連のビープ音を発し、次いで止血帯10が十分に張力をかけられるとき、1つの長いビープ音を発することができる。さらに、サウンドデバイス115は、測定された張力が最適なきつさにどのくらい近いかに基づいて変化する速度で一連のビープ音を発し、次いで止血帯10が十分に張力をかけられるとき、1つの長いビープ音を発することができる。したがって、フィードバックは、アナログ方式(たとえば、入力/出力ディスプレイ118もしくはリモートデバイス110上のメーターに沿って動くダイヤルもしくは矢印、変化する点滅速度のLED114、116、変化するビープ音などとして)、またはデジタル方式(たとえば、LED114、116、サウンドデバイス115、入力/出力ディスプレイ118、および/もしくはリモートデバイス110による個別の指示として)で提示され得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、帯監視システム40は、別個の張力監視構成要素44を含まない場合がある。そのような実施形態では、ステップ160および162は、代わりにユーザが十分な張力を視覚的にチェックすること、および/または患者から直接フィードバックを受け取ることを含んでもよい。さらに、十分な帯張力を決定することについて、張力監視構成要素44に関して上記で説明しているが、いくつかの実施形態では、帯張力または十分な帯張力を示すいくつかの変数を決定するために、バルーン圧力監視構成要素46からデータが検索され、分析されてもよい。
【0111】
ステップ160において、帯張力が十分であると決定されると、ユーザは、ステップ164においてバルーン18、20の内部容積を満たすためにタイトレーション手順を始めることができ、帯監視システム40は、ステップ166においてバルーン圧力が十分であるかどうかをチェックする。より詳細には、この実施形態では、コントローラ102は、バルーン圧力(バルーン圧力監視構成要素46によって検出される)を監視し、ステップ152において入力された患者データに基づいて決定される最適圧力および/または最適圧力減衰曲線とバルーン圧力を比較することができる。コントローラ102が、監視される圧力は最適な圧力または圧力減衰曲線外にあると決定する場合、コントローラ102は、ステップ168においてバルーン圧力を調整するためにユーザにフィードバックを送る。
【0112】
フィードバックは、通信インターフェース112を介して(たとえば、特定の方法で一方もしくは両方のLED114、116またはサウンドデバイス115を作動させることにより)、またはリモートデバイス110上のアプリケーションを介して、ユーザに伝えられ得る。たとえば、
図11Bは、この実施形態による、バルーン圧力に関してユーザにフィードバックを提供するアプリケーションからの例示的なグラフィカルユーザインターフェース192を示す。詳細には、グラフィカルユーザインターフェース192は、「バルーン圧力が低すぎる」から「最適なバルーン圧力」、さらに「バルーン圧力が高すぎる」までのスライディングメーター上の矢印を示す。この実施形態では、コントローラ102は、以下でさらに説明するように、ユーザによって初めにプログラムされ、入力された患者データに基づいてコントローラ102によって更新され、かつ/またはユーザフィードバックを通してコントローラ102によって最適化された、バルーン圧力の記憶された範囲に、図示したメーターを相関させることができる。コントローラ102は、圧力センサー76によって、およびアプリケーションを通して、観測される圧力データを分析し、それに応じて矢印を「動かすこと」によって図示したメーターに沿って現在のバルーン圧力をマッピングすることができる。したがって、ユーザは、グラフィカルユーザインターフェース192上のメーターに沿った矢印の位置を参照し、最適な圧力範囲を実現するようバルーン18、20を適正に満たすために必要に応じて調整を行うことができる。
【0113】
メーターに沿ったスライドする矢印をユーザに提示する、本実施形態のフィードバックについて図示および説明するが、代替実施形態では、アプリケーションによるフィードバックは、単に、「圧力が低すぎる」、「最適圧力」、および「圧力が高すぎる」という読出しなどの個別のメッセージ、圧力もしくは圧力減衰曲線が所望の範囲内もしくは範囲外であることに基づいて示される赤色/緑色、音声もしくは触覚通信、または最適なバルーン圧力が達成されるときをユーザに伝えるための他のタイプのフィードバックであってもよい。加えて、グラフィカルユーザインターフェース192が、リモートデバイス110によって表示されると説明するが、代替実施形態では、グラフィカルユーザインターフェース192は、入力/出力ディスプレイ118によって表示されてもよい。
【0114】
ステップ166において、バルーン圧力が十分であると決定されると、回復期間が始まり、コントローラ102は、上記で説明したように帯張力およびバルーン圧力を監視し続け、止血処置の残り全体を通してステップ170においてデータ測定値を記録する。たとえば、コントローラ102は、回復期間の経過時間とともに、そのようなデータをローカルストレージユニット104にローカルに記憶することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ102は、通信インターフェース112を介して(たとえば、緑色LED114を一定にまたは点滅させて発光させることによって)ユーザに、および/またはリモートデバイス110に、この監視動作を伝えることもできる。たとえば、一実施形態では、コントローラ102は、監視が進行中であることを示すグラフィカルユーザインターフェース(図示せず)、経過時間、および/またはユーザへの1つまたは複数のプロンプト(監視を続けるプロンプト、監視を止め、セッションデータをダウンロードするプロンプト、および/または監視を止め、セッションデータを削除するプロンプトなど)を示すように、リモートデバイス110上のアプリケーションを制御することができる。さらに、いくつかの実施形態では、バルーン圧力が十分になると、ユーザは、ステップ170に進むために監視を続けるための「開始」プロンプトを選択しなければならない。
【0115】
さらに、止血処置の残り全体を通して、コントローラ102は、過度の圧力低下(ステップ172)、帯の外れ(ステップ176)、記録時間切れ(ステップ180)、または手動停止(ステップ182)を継続的にチェックする。これらのアクションのいずれも観測されない場合、コントローラ102は、予定された記録時間期間の残りを通して帯張力およびバルーン圧力の監視を続けるためにステップ170に戻る。
【0116】
コントローラ102は、ステップ172において過度の圧力低下を継続的または定期的にチェックし、そのような低下が観測される場合、ステップ174においてユーザにアラートを送る。過度の圧力低下は、最適圧力、最適な圧力範囲、または圧力減衰曲線の範囲を超えた低下であり、たとえば、止血帯10の漏れまたは不適正な扱いを示すことがある。アラートは、ユーザが患者について止血帯10の漏れまたは他の誤った取扱いを直ちにチェックすることができるように、ユーザに提供され得る。たとえば、アラートは、サウンドデバイス115および/もしくはリモートデバイス110による可聴アラート、またはLED114、116、入力/出力ディスプレイ118、および/もしくはリモートデバイス110による視覚アラートでありうる。
【0117】
過度の圧力低下アラートは、通信インターフェース112を介して(たとえば、赤色LED116を一定にもしくは点滅させて発光させること、またはサウンドデバイス115により1つもしくは複数のビープ音を発することによって)、あるいはリモートデバイス110上のアプリケーションを介して、ユーザに伝えられ得る。たとえば、一実施形態では、アプリケーションは、ポップアップアラートをユーザに表示することができる。したがって、ユーザは、圧力低下の場合に直ちに注意を喚起される可能性があり、ユーザが患者のもとに戻ることができるようになる。そのようなフィードバックがなければ、臨床医が患者について次の空気除去をチェックするまでにいくらかの時間がある場合があり、結果として患者は、良くない転帰(outcome)を経験する可能性がある。
【0118】
この実施形態では、コントローラ102はまた、ステップ176において、止血帯10が動かされたまたは外されたことを示す帯張力測定値を継続的または定期的にチェックする。帯外れのアラート(band off alert)は、通信インターフェース112を介して(たとえば、赤色LED116を一定にもしくは点滅させて発光させること、またはサウンドデバイス115により1つもしくは複数のビープ音を発することによって)、あるいはリモートデバイス110上のアプリケーションを介して、ユーザに伝えられ得る。たとえば、一実施形態では、アプリケーションは、ポップアップアラートをユーザに表示することができる。したがって、ユーザは、そのような状況の場合に直ちに注意を喚起される可能性があり、ユーザが患者のもとに戻ることができるようになる。そのようなフィードバックがなければ、臨床医が患者について次の空気除去をチェックするまでにいくらかの時間がある場合があり、結果として患者は、良くない転帰を経験する可能性がある。
【0119】
この実施形態では低圧力および帯外れのアラートについて説明するが、いくつかの実施形態では他のアラートが提供される場合がある。たとえば、代替実施形態では、張力および圧力が監視されている間に、低張力のアラート、高張力のアラート、低圧力のアラート、および/または高圧力のアラートが、臨床医に提供される場合がある。さらなる実施形態では、臨床医が使用前または使用中にバッテリーまたは監視ユニット48を交換または充電することができるように、電源120のバッテリーレベルが低いことをコントローラ102が検知するとき、低バッテリーのアラートが提供される場合がある。
【0120】
ステップ180において、帯監視システム40は、「記録時間」が終了したかどうかを決定し、ステップ182において、帯監視システム40は、ユーザがセッションを手動で停止したかどうかを決定する。記録時間は、コントローラ102がその間動作することになる(たとえば、コントローラ102にあらかじめ入力された)設定時間とすることができる。さらに、ユーザは、上記で説明したように、監視中にアプリケーションを介して表示されるプロンプトによりセッションを停止することができる。ステップ180において、そのような時間が終了していると決定される場合、またはステップ182においてユーザがセッションを停止すると決定される場合、コントローラ102は、ステップ184においてユーザからフィードバックを受け取り、手順のセッションログを記憶し、次いで手順を終了することができる。
【0121】
上述のように、コントローラ102は、データストレージユニット104によってローカルにセッションログを記憶することができる。たとえば、データストレージユニット104は、不揮発性メモリとすることができ、監視ユニット48が電力を失った場合、電力が再び提供されるとき、データが依然として利用可能であり得るように、セッションからのデータは、手順全体を通して記憶され得る。さらに、手順が完了されると、フィードバックを受け取ることができ、手順に関係するすべてのデータが、完了されたセッションログとしてパッケージ化され得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、リモートストレージ用のリモートデバイス110にセッションログを送信し、かつ/またはデータストレージユニット104からセッションログをローカルで削除するオプションを有することができる。たとえば、一実施形態では、コントローラ102およびデータストレージユニット104は、一度に1つのセッションログをローカルに記憶するように構成され得る。結果として、新しい手順が開始される場合、ユーザは、前のセッションログを(それがまだ送信されていない場合は)リモートで送信する、または前のセッションログを削除するオプションを与えられてもよい。
【0122】
上述のように、セッションログが、患者および/またはユーザからのフィードバックを含むことができる。病院はますます、患者経験価値(patient experience)の質について評価されている。止血デバイスは、第1に出血を止め(すなわち、止血を実現し)、第2に長期の閉塞を引き起こさず(すなわち、血管開存性を維持し)、第3に可能な限り快適でなければならない。圧力が低ければ低いほど、快適さは大きくなるが、出血または二次的血腫という犠牲を払うわけにはいかない。監視ユニット48へのそのような患者フィードバックは、したがって、限定はしないが、(たとえば、主観的な1~10または0~10の快適さ段階での)患者の快適さの評価、血腫が生じたかどうか、および再流血(re-blood)が生じたかどうかを含むことができる。一例では、そのようなフィードバックは、(たとえば、グラフィカルユーザインターフェースを介して)リモートデバイス110上のアプリケーションからの1つまたは複数のプロンプトによりユーザから収集され得る。このデータは、最適なきつさおよび/または圧力を決定するために使用されるアルゴリズムを改善するためにコントローラ102によって使用され得る(限定はしないが、アルゴリズムにおいていくつかの変数に対して重み付け係数を調整することを含む)。したがって、帯監視システム40は、患者データに関係する、入力されたフィードバックおよび止血帯の性能に基づいて時間とともに改善され得る。
【0123】
例として、患者の快適さが低かった場合、計算された最適なきつさは、きつすぎであった可能性がある。したがって、コントローラ102は、患者経験価値データに基づいて時間とともに最適なきつさを計算するためのアルゴリズムを更新するように構成され得る。他の例では、処置中に血腫が生じた場合、計算された最適圧力減衰曲線は、長すぎる間、高すぎであった可能性があり、コントローラ102は、それに応じて最適圧力を計算するためのアルゴリズムを更新するように構成され得る。また他の例では、処置中に再出血が生じた場合、計算された最適圧力または圧力減衰曲線は、低すぎであった可能性があり、コントローラ102は、それに応じて最適圧力を計算するためのアルゴリズムを更新することができる。
【0124】
図10の方法150を特定の順序の一連のステップとして説明しているが、代替実施形態では、1つまたは複数のステップが削除されてもよく、または異なる順序で実行されてもよい。たとえば、1つの代替実施形態では、ステップ154、ステップ156の一方または両方が、ステップ152の前に完了されてもよい。他の代替実施形態では、ステップ152が、完全に削除されてもよい。そのような実施形態では、コントローラ102は、最適化されたバルーン圧力および圧力減衰を計算するために、記憶された一般集団データを代わりに使用してもよい。たとえば、そのような一般集団データは、様々なBMI、MAP、およびACTをもつ対象者の臨床研究に基づいていてもよい。
【0125】
上記に照らして、本実施形態では、帯監視システム40は、止血帯性能を監視してそれの使用を最適化するために止血処置の間に使用され得る。いくつかの実施形態では、帯監視システム40は、訓練のためにさらに使用され得る。したがって、一実施形態では、コントローラ102は、監視と訓練との間で選択するために、ユーザにプロンプトを提供するようアプリケーションを制御することができる。たとえば、監視中には、セッションデータは処置後にダウンロード可能であり、最適な張力および圧力を決定するためのアルゴリズムを最適化するために、フィードバックが受け取られ得る。一方、訓練中には、セッションデータは訓練セッション後にダウンロード可能であるが、被訓練者は、患者フィードバックを促されなくてもよい。
【0126】
例として、
図12A~
図12Cは、一実施形態による、リモートデバイス110上のアプリケーションのグラフィカルユーザインターフェース196、198、200を示している。ユーザがリモートデバイス110上のアプリケーションを開くと、リモートデバイス110は、監視ユニット48への接続(たとえば、ワイヤードまたはワイヤレス)を検索することができる。
図12Aは、この最初のアプリケーション起動を示すグラフィカルユーザインターフェース196を示している。リモートデバイス110が監視ユニット48を検出すると、グラフィカルユーザインターフェース198は、
図12Bに示すように表示され、ユーザにそのように通知し、ユーザが続けるためのプロンプトを提供することができる。ユーザが続けることを選択する場合、グラフィカルユーザインターフェース200は、
図12Cに示すように表示可能であり、ユーザに監視セッションまたは訓練セッションを選択するよう促すことができる。
【0127】
本開示の実施形態は、本明細書で
図1の従来技術の止血帯10に関して図示し、説明するが、本明細書で述べるシステムおよび方法は、いかなる従来技術の止血帯10でも使用され得ることに留意されたい。加えて、本開示で述べる概念は、一般に患者の手首42の周りで使用するよう指示された止血帯に関し、これらの概念は、患者の体の他の場所で、たとえば、いずれかの手足のいずれかの部分、または胴、首、もしくは頭部で、採用され得る他の止血デバイスに適用できることを理解されたい。1つの非限定的な例として、本明細書で述べる概念は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2019年6月14日に出願された、米国特許出願第16/442,009号に記載されている脛骨(tibiopedal)血管閉鎖帯に適用可能であり得る。最後に、本明細書で開示する特徴のいずれも、本開示による代替実施形態において、必要な変更を加えて組み合わせられ得ることを理解されたい。
【0128】
現在、止血処置は、加えられる帯のきつさまたは加えられるバルーン圧力にほとんど制限なしで止血帯を使用して行われる。臨床医は、最適に止血帯を使用するために、自身の経験および/または限られた訓練にゆだねられている(たとえば、患者は再出血、血腫、もしくは長期の橈骨動脈閉塞を経験しない、または帯の設置により不快であるようになる)。上記に照らして、本発明は、患者に固有の最適な帯のきつさおよび加えられるバルーン圧力についての、たとえば、臨床医の携帯電話を介した、臨床医へのフィードバックを含む帯監視システムを提供することによって、これらの欠点を克服する。結果として、帯監視システムは、血腫、長期の橈骨動脈閉塞、および再出血を減らし、治療コストを下げることができる。
【0129】
請求される本発明の原理を特定の実施形態に関して上記で説明したが、この説明は単に一例として行われ、添付の特許請求の範囲に明記する本発明の範囲の限定として行われないことは明確に理解されたい。
【符号の説明】
【0130】
10 止血帯
12 本体
14 剛性プレート
16 圧迫要素
18 主バルーン
20 副バルーン
22 ファスナー
24 膨張ポートアセンブリ
26 内面
28 マーカー
30 可とう管
32 バルブ
34 管状コネクタ
40 止血帯監視システム
42 患者の手首
44 帯張力監視構成要素
46 バルーン圧力監視構成要素
48 監視ユニット
50 テンションパッド
52 流体連通ライン
54 本体
56 内部空洞
58 フィラー材料
60 流体ポート
62 コネクタ
64 コネクタ
66 圧力センサー
68 外周
70 三方コネクタ
72 第1のポート
74 第2のポート
76 圧力センサー
78 第3のポート
80 膨張デバイス
82 コネクタ
84 コネクタ
86 流体連通ライン
88 コネクタ
90 副膨張ポートアセンブリ
92 可とう管
94 バルブ
96 管状コネクタ
98 制御盤
100 ハウジング
102 コントローラ
104 データストレージユニット
106 充電/通信ポート
108 送信機/受信機
110 リモートデバイス
112 通信インターフェース
114 LED
115 サウンドデバイス
116 LED
118 入力/出力ディスプレイ
120 電源
122 上側ハウジング
124 下側ハウジング
126 第1の開口
128 第2の開口
130 第3の開口
132 第4の開口
134 第5の開口
136 ストラップ
137 外面
138 USBコネクタケーブル
139 カバーリング
140 接着性要素
190 グラフィカルユーザインターフェース
192 グラフィカルユーザインターフェース
【国際調査報告】