(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】髄膜腫治療薬の調製におけるホノキオールの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 31/05 20060101AFI20240614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240614BHJP
A61K 36/575 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K31/05
A61P35/00
A61K36/575
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577888
(86)(22)【出願日】2022-08-11
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 CN2022111765
(87)【国際公開番号】W WO2023016519
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】202110924249.1
(32)【優先日】2021-08-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523250348
【氏名又は名称】成都金瑞基業生物科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李文斌
(72)【発明者】
【氏名】王策
(72)【発明者】
【氏名】頼新天
(72)【発明者】
【氏名】王暁波
【テーマコード(参考)】
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C088AB65
4C088BA32
4C088MA24
4C088MA35
4C088MA37
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4C088ZB26
4C206AA01
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4C206KA01
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4C206MA85
4C206MA86
4C206NA12
4C206NA14
4C206ZB26
(57)【要約】
本発明は、ホノキオールの医学的使用に関し、特に、髄膜腫を治療するための薬剤の調製におけるホノキオールの使用に関する。ホノキオールは、髄膜腫の成長を効果的に阻害し、髄膜腫の病変を除去および/または縮小できることが実験で証明されている。さらに、臨床実験では、ホノキオールの安全性と耐性が良好であることが示されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
髄膜腫の治療薬の製造におけるホノキオールの使用。
【請求項2】
ホノキオールがホノキオールリポソームとして製造されることを特徴とする、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
ホノキオールリポソームが注射用ホノキオールリポソームであることを特徴とする、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
ホノキオールが髄膜腫の細胞増殖を阻害することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
髄膜腫の治療のためのホノキオールリポソーム。
【請求項6】
ホノキオールリポソームが注射用ホノキオールリポソームであることを特徴とする、請求項5に記載のホノキオールリポソーム。
【請求項7】
ホノキオールリポソームは、注射用凍結乾燥粉末製剤および経口用凍結乾燥粉末製剤を含む凍結乾燥粉末製剤;即時放出錠剤および徐放性錠剤を含む錠剤;硬カプセル剤、軟カプセル剤、徐放性カプセル剤および腸溶性カプセル剤を含むカプセル剤;または経皮吸収製剤の剤形を含むことを特徴とする、請求項5に記載のホノキオールリポソーム。
【請求項8】
ホノキオールリポソームは、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、経口投与、眼投与、肺投与、経皮投与および経鼻投与の経路で投与されることを特徴とする、請求項5に記載のホノキオールリポソーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホノキオールの医療用途に関する。具体的には、本発明は髄膜腫の治療におけるホノキオールの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
髄膜腫は中枢神経系の最も一般的な原発性腫瘍であり、そのほとんどはクモ膜の内皮細胞から発生し、主にクモ膜の顆粒または絨毛に発生する。髄膜腫は、すべての原発性中枢神経系腫瘍の約36.6%および非悪性原発性中枢神経系腫瘍の53.2%を占める。髄膜腫は良性髄膜腫および悪性髄膜腫に分けられる。髄膜腫の典型的な臨床症状は、頭蓋内圧亢進、局所性神経系(脳神経を含む)障害、および局所性腫瘤効果による全般てんかん発作および部分てんかん発作であり、最も多いのは頭痛、てんかん発作、視覚症状、四肢脱力、および精神状態の変化である。
【0003】
髄膜腫の罹患率は年々増加傾向にあり、1998~2002年は10万人あたり4.52人であったが、2010~2014年は10万人あたり8.3人となっている。髄膜腫の発症は高齢者に多く、その多くは70~80歳である。
【0004】
電離放射線は髄膜腫発生の危険因子である。広島および長崎では、80,160人の原爆被爆者のうち88人の髄膜腫が観察された。頭部へのごく少量の放射線(例えば、歯科用X線撮影に使用される放射線)でも、髄膜腫の発生リスクを増加させる可能性がある。しかし、電離放射線と髄膜腫の発生率との間に明確な線量反応関係はない。疫学的研究によると、頭部外傷の既往、喫煙、および携帯電話の使用は、髄膜腫のリスク増加とは関連しないことが示されている。
【0005】
現在、髄膜腫を治療するための標準的なプロトコールには、一般に手術と放射線治療が含まれる。手術と放射線治療は進歩しており、ほとんどの患者は治癒できるが、悪性髄膜腫の再発率は50%~80%と高く、一部の患者の生存期間中央値は2年未満である。この病気の治療は非常に難しい。これまでのところ、化学療法、ホルモン療法、免疫療法は、悪性髄膜腫の患者には非常に限られた効果しかなかった。脳腫瘍の特殊性により、再発患者に対する外科治療も非常に限られており、手術、放射線療法、化学療法は患者の耐性を低下させる。人口の高齢化に伴い、髄膜腫の発生率は増加している。安全性と耐性に優れた髄膜腫に対する効果的な治療法の開発は、臨床的にますます重要になってきており、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
先行技術における髄膜腫の治療における欠陥について、本発明の目的は、髄膜腫を効果的に治療することができ、その方法が良好な安全性と耐性を有する方法を開発することである。
【0007】
ホノキオール、英名はHonokiol、化学名は3’,5-ジ-2-プロペニル-1,1’-ビフェニル-2,4’-ジフェノールであり、構造式は式(I)の通りである:
【0008】
【0009】
ホノキオールは、マグノリア・オフィシナリス(Magnolia officinalis Rehd. et Wils.)の樹皮から抽出・単離された、幅広い生物活性を有する低分子化合物である。ホノキオールの主な生物活性には、抗炎症作用、抗菌作用、抗潰瘍作用、抗酸化作用、抗不安作用、抗うつ作用、抗血栓作用、抗老化作用、コレステロール低下作用などがある。
【0010】
ホノキオールの幅広い薬効について、本発明者はさらにホノキオールの新たな利用法を研究した。臨床研究において、本発明者は、ホノキオールが髄膜腫の増殖を効果的に抑制し、髄膜腫の病変を消失および/または縮小させることを見出した。
【0011】
したがって、本発明の目的の一つは、髄膜腫を治療するための薬剤の調製におけるホノキオールの使用を提供することである。
【0012】
本発明の髄膜腫を治療するための使用によれば、ホノキオールはホノキオールリポソーム、好ましくは注射用ホノキオールリポソームとして調製される。
【0013】
本発明の髄膜腫を治療するための使用によれば、ホノキオールは髄膜腫の細胞増殖を阻害する。
【0014】
本発明のもう一つの目的は、髄膜腫を治療するためのホノキオールリポソームを提供することである。
【0015】
本発明のホノキオールリポソームによれば、ホノキオールリポソームは注射用ホノキオールリポソームである。
【0016】
本発明のホノキオールリポソームによれば、ホノキオールリポソームの剤形としては、注射用凍結乾燥粉末製剤および経口用凍結乾燥粉末製剤を含む凍結乾燥粉末製剤;即時放出錠剤および徐放性錠剤を含む錠剤;硬カプセル剤、軟カプセル剤、徐放性カプセル剤および腸溶性カプセル剤を含むカプセル剤;または経皮吸収製剤などが挙げられる。
【0017】
本発明のホノキオールリポソームによれば、ホノキオールリポソームは、静脈内注射、筋肉内注射、皮下注射、経口投与、眼球投与、肺投与、経皮投与および鼻腔投与などの経路で投与されることができる。
【0018】
〔有益な効果〕
臨床試験において、ホノキオールが髄膜腫を効果的に治療し、髄膜腫の成長を効果的に抑制し、髄膜腫の病変を消失および/または縮小させることが判明している。さらに、臨床試験では、ホノキオールの安全性と耐性が良好であることが示されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】実施例1におけるホノキオール治療前の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図1B】実施例1におけるホノキオール治療1サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図1C】実施例1におけるホノキオール治療3サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図2A】実施例2におけるホノキオールによる治療前の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図2B】実施例2におけるホノキオールによる治療1サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図2C】実施例2におけるホノキオールによる治療3サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図3A】実施例3におけるホノキオールによる治療前の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図3B】実施例3におけるホノキオールによる治療1サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図3C】実施例3におけるホノキオールによる治療3サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図4A】実施例4におけるホノキオールによる治療前の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図4B】実施例4におけるホノキオールによる治療1サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【
図4C】実施例4におけるホノキオールによる治療3サイクル後の髄膜腫患者の頭蓋磁気共鳴画像である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
髄膜腫の治療薬の調製におけるホノキオールの使用をさらに説明するために、以下に実施例を示す。
【0021】
実施例に関わる専門用語の略称を以下の表1に示す。
【0022】
【0023】
この例で使用したテスト材料は以下の通りである。
【0024】
注射用ホノキオールリポソームは、成都金瑞基金生物科技有限公司由来であるか、または、ホノキオール50mg、大豆レシチン500mg、コレステロール200mg、シャクヤクホスファチジルエタノールアミン200mgを絶対エタノール50mLに完全に溶解し、得られた溶液を精製水300mLに注入して撹拌し、その後、エタノールをロータリーエバポレーションで除去し、凍結乾燥賦形剤としてスクロース800mgを添加し、凍結乾燥する方法によって調製することもできる。
【実施例】
【0025】
〔実施例1〕
〔対象者の説明〕
男性、20歳。
【0026】
2018年1月20日、対象者の頭蓋MRは、右側のCPAと頸孔領域の空間占拠を示した。
【0027】
2018年11月27日、対象者は、深頭蓋底病変の切除術を受け、内皮性髄膜腫であり、局所的に血管腫型髄膜腫を示し、出血を伴い、非定型髄膜腫、骨組織への浸潤、総合的な悪性髄膜腫を示した。免疫組織化学:EMA(陽性)、PR(少し陽性が散在)、SSTR(局所陽性)、CD34(血管陽性)、CD99(+)、S100(-)、Syn(-)、CgA(-)、CK(時折陽性)、Ki67(約8~20%)。
【0028】
2019年2月、対象者は頭蓋内感染症の治療を受けた。
【0029】
2019年6月、対象者は全脳放射線治療を受けた。
【0030】
2021年3月5日、対象者は頭蓋MR検査を再検査し、腫瘍が再発した。対象者は、さらに治療を進めるため、首都医科大学北京天壇病院外来で、神経腫瘍総合治療病棟に入院し、「悪性腫瘍維持治療」を受けた。
【0031】
2021年5月13日、対象者は「進行性悪性固形がん患者に対するホノキオールリポソーム(HK)注射の臨床的安全性と耐性に関する第I相臨床試験」グループに入り、選択された基準は以下の通りである。
(1) 18歳≦年齢≦80歳、性別は限定されない。
(2) 組織学的または細胞学的に診断された進行性悪性固形腫瘍患者で、以前の標準治療計画が失敗し、既存の治療法に耐えられないか、拒否しており、肺癌、肝癌、神経膠腫、卵巣癌、結腸癌などの腫瘍種が望ましい。
(3) RECIST 1.1基準(またはRANO基準)によると、評価された腫瘍病変がある。
(4) 神経膠腫を除き、他の腫瘍種で選択された脳転移患者は以下の条件を満たす必要がある:脳転移に関連する臨床症状がないこと、全身性副腎皮質ステロイドまたは抗けいれん薬治療の必要がないこと、治療を受けた脳転移患者は治療終了後28日後の再検査で進行がないこと、脳内出血のリスクがないこと。
(5) 重度の造血機能障害がない者(好中球の絶対値≧1.5×109/L、血小板≧80×109/L、ヘモグロビン≧100g/L)。
(6) 心臓、肺、肝臓、腎臓に重篤な器質的疾患のない者(LVEF(左室駆出率)≧50%、総ビリルビン≦1.5×ULN、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)≦2.5×ULN(肝転移がある場合は≦5×ULN);アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)≦2.5×ULN(肝転移がある場合は≦5×ULN);血清クレアチニン≦1.5×ULNまたはCCr>40mL/分)。
(7) 重度の凝固異常のない者(PT≦1.5×ULN、APTT≦1.5×ULN、TT≦1.5×ULN)。
(8) 群に入る前に最後の抗腫瘍治療(化学療法、放射線療法、生物学的療法、ホルモン療法、標的療法)を受けてから少なくとも4週間経過している。
(9) 予想生存期間≧12週。
(10) 神経膠腫の患者については、KPSスコアが50点を超えること。
(11) その他の固形がん患者については、ECOGスコア≦1。
(12) 本研究への参加に同意し、インフォームド・コンセントに署名した者。
【0032】
対象者に対し、1週間あたり5日間の連続投与および2日間の休薬を3週間行い、1週間休息するという28日間を1サイクルとして、注射用ホノキオールリポソームを投与し、投与量はホノキオール420mg/日であり、投与方法は末梢挿入型中心静脈カテーテルによる投与であり、注入時間は2時間とするという投薬が、3サイクル行われた。
【0033】
1サイクルの投薬終了後、頭蓋MR再検査を実施した。
図1Aと
図1Bは、治療前後の頭蓋MR比較画像である。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて17.46%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は治療前の77.3mm×65mmから76.1mm×54.5mmに縮小した。3サイクルの投薬終了後、頭蓋MR再検査を行い、頭蓋MR画像を
図1Cに示す。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて11.13%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は70.1mm×63.7mmに縮小した。治癒効果は、臨床成績の改善があり副作用がない、安定した病勢(SD)と評価された。
【0034】
2021年5月31日現在、実施例1の上記「進行性悪性固形腫瘍患者の治療に対するホノキオールリポソーム(HK)注射剤の臨床的安全性および耐性に関する第I相臨床試験」の組み入れ基準に従い、37例の対象者を安全性解析セットに組み入れ、異なる用量のホノキオールリポソーム注射剤を投与した。投与量は、20mg/日:4例、40mg/日:3例、80mg/日:4例、140mg/日:3例、210mg/日:5例、300mg/日:6例、420mg/日:12例であった。投与方法は末梢挿入型中心静脈カテーテルによる投与で、点滴時間は2時間である。4週間を1投与サイクルとし、1投与サイクルあたり、3週間(このサイクルの1週目から3週目まで)は1日1回週5日連続投与して2日間休薬とし、1週間は休息とした。
【0035】
注射用ホノキオールリポソーム投与後、対象者の主な副作用は、好中球減少、便秘、貧血、ALT上昇、フィブリノゲン減少、頭痛、めまい、低カリウム血症であった。これらの副作用のほとんどは軽度であった。DLTは1例(CTCAEグレード3のALT増加)、SAEは4例認められたが、いずれも寛解しており、疑われる予期せぬ重篤な有害反応は認められなかった。有害事象、副作用、SAEの発現率、対象者のバイタルサイン、身体所見、臨床検査値、12誘導心電図、心エコー図、その他の臨床的に重要な変化については、投与量の増加に伴う増加傾向は認められなかった。
【0036】
注射用ホノキオールリポソームは、髄膜腫を効果的に治療できるだけでなく、安全性と耐性も良好であることが臨床試験で示された。
【0037】
〔実施例2〕
〔対象者の説明〕
女性、39歳。
【0038】
入院1年前から、明らかな誘因のない頚部と枕部の痛みと違和感があり、運動後に増悪し、四肢の運動障害はなく、明らかな上肢の放散痛はなく、夜間に増悪した。治療のため大連医科大学第二病院を受診し、頭部MRIで髄質の空間占拠を指摘された。周術期治療中、大連医科大学第二病院を受診した。2020年1月10日、同病院で全身麻酔下の下部脳幹腫瘍切除術が行われた。手術中、腫瘍の大きさは約1.5×1.5cmで、腫瘍出血を伴い、腐った魚のようで、血液供給が豊富で、顕微鏡下で腫瘍は完全に切除された。術後病理所見:非定型髄膜腫(WHO II)、KI-67(25%)。術後嗄声が生じた。
【0039】
入院前、めまい、脱力感、時折咳があった。天壇病院を受診し、入院1週間前に頭蓋MRIを撮ったところ、髄質病変が進行していた。自費のPD-1免疫療法を2サイクル行い、経過は順調であった。現在、さらなる治療のため、外来患者は「髄膜腫」で入院している。
【0040】
2021年10月14日、実施例1「進行性悪性固形腫瘍患者の治療に対するホノキオールリポソーム(HK)注射の臨床的安全性および耐性に関する第I相臨床試験」に記載のとおり、標準投与群に選択された。
【0041】
対象者に対し、1週間あたり5日間の連続投与および2日間の休薬を3週間行い、1週間休息するという28日間を1サイクルとして、注射用ホノキオールリポソームを投与し、投与量はホノキオール420mg/日であり、投与方法は末梢挿入型中心静脈カテーテルによる投与であり、注入時間は2時間とするという投薬が、3サイクル行われた。
【0042】
1サイクルの投薬が終了した後、頭蓋MR再検査を実施した。
図2Aと
図2Bは、治療前後の頭蓋MR比較画像である。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて22.97%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は治療前の14.3mm×12.9mmから14.1mm×10mmに縮小した。3サイクルの投薬終了後、頭蓋MR再検査を行い、頭蓋MR画像を
図2Cに示す。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて29.13%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は13.8mm×9.4mmに縮小した。治癒効果は、病勢安定(SD)と評価され、臨床症状は安定し、薬剤に対する耐性が認められた。
【0043】
〔実施例3〕
〔対象者の説明〕
男性、53歳。
【0044】
入院5年前、患者は「口から泡を吹きながら手足が痙攣し、4時間目を丸くする」明らかな原因はなく、記憶障害、頭痛、めまい、吐き気、嘔吐、手足の運動障害、聴力・視力低下もなかった。頭蓋MRIで頭蓋内腔占拠が確認され、済寧市第一人民病院で関連検査を受けた。2016年2月21日、右前頭部腫瘍切除術が行われ、術後病理診断:髄膜腫。手術後、山東武装警察総合病院でガンマナイフ治療を1回行った。2017年10月に頭蓋形成術を施行。
【0045】
2019年2月13日、てんかん発作が発生し、再検査にて腫瘍再発を考慮。2019年2月18日、髄膜腫の骨盤動脈塞栓術を施行。2019年2月21日、原切開アプローチ腫瘍切除術を施行。術後病理:髄膜腫(WHO I)、術後全脳放射線治療を施行。2021年4月、再検査にて腫瘍再発を考慮し、無治療。2021年5月、てんかん発作が発生し、デバキンを投与して治療。2021年6月、てんかん大発作、対症療法で改善、頭部MRIで以前より大きな腫瘍を認める。
【0046】
2021年7月21日、右前頭葉横の腫瘍の切除を再度実施。術後病理:退形成性髄膜腫(WHO III)、Ki-67(50%)。2021年8月17日、tislelizumabを1サイクル投与。今後の治療のため、外来は「髄膜腫」で入院。
【0047】
2021年10月21日、実施例1「進行性悪性固形腫瘍患者の治療に対するホノキオールリポソーム(HK)注射の臨床的安全性および耐性に関する第I相臨床試験」に記載のとおり、標準投与群に選択された。
【0048】
対象者に対し、1週間あたり5日間の連続投与および2日間の休薬を3週間行い、1週間休息するという28日間を1サイクルとして、注射用ホノキオールリポソームを投与し、投与量はホノキオール420mg/日であり、投与方法は末梢挿入型中心静脈カテーテルによる投与であり、注入時間は2時間とするという投薬が、3サイクル行われた。
【0049】
1サイクルの投薬が終了した後、頭蓋MR再検査を実施した。
図3Aと
図3Bは、治療前後の頭蓋MR比較画像である。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて35.30%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は治療前の12.5mm×30.8mmから10.9mm×22.5mmに縮小した。3サイクルの投薬終了後、頭蓋MR再検査を行い、頭蓋MR画像を
図3Cに示す。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて13.42%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は12.3mm×27.1mmに縮小した。治癒効果は、臨床症状の改善と薬剤に対する耐性を伴う病勢安定(SD)と評価された。
【0050】
〔実施例4〕
〔対象者の説明〕
女性、53歳。
【0051】
てんかん発作のため2012年に地方病院を受診し、検査で頭蓋内腔占拠を指摘された。右前頭側頭開頭術および空間占拠の切除を実施、術後病理所見:右中頭蓋窩低位髄膜腫(WHO I)、術後1年毎に定期再検査。
【0052】
2016年、2018年、再発のためガンマナイフ治療を実施。1年前より右側の視力が徐々に低下し、その後断続的な頭痛、四肢痙攣なし、失禁なし、悪心嘔吐なし、四肢運動障害なし。入院3ヶ月前に地元の病院を受診し、頭部MRIを施行したところ、右前頭側頭開頭術の術後変化として、右蝶形骨隆起、中頭蓋窩、下側頭蓋窩、右眼窩に空間占拠:右眼窩頂、前頭蓋窩、右触頭辺縁に多発性増強を伴う髄膜腫の再発;多発性脳虚血性白質病変が認められた。病理所見:退形成性髄膜腫(WHO III)、Ki-67(約40~60%)。今後の治療のため、外来患者は「髄膜腫」で入院となる。
【0053】
2021年10月28日、実施例1「進行性悪性固形腫瘍患者の治療に対するホノキオールリポソーム(HK)注射の臨床的安全性および耐性に関する第I相臨床試験」に記載のとおり、標準投与群に選択された。
【0054】
対象者に対し、1週間あたり5日間の連続投与および2日間の休薬を3週間行い、1週間休息するという28日間を1サイクルとして、注射用ホノキオールリポソームを投与し、投与量はホノキオール420mg/日であり、投与方法は末梢挿入型中心静脈カテーテルによる投与であり、注入時間は2時間とするという投薬が、3サイクル行われた。
【0055】
1サイクルの投薬が終了した後、頭蓋MR再検査を実施した。
図4Aおよび
図4Bは、治療前後の頭蓋MR比較画像である。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて15.68%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は治療前の23.3mm×35.3mmから22.3mm×31.1mmに縮小した。3サイクルの投薬終了後、頭蓋MR再検査を行い、頭蓋MR画像を
図4Cに示す。RANO基準によると、標的病変は治療前に比べて15.68%縮小し、標的病変の2つの垂直径の積は22.3mm×31.1mmに縮小した。治癒効果は、臨床症状の改善と薬剤に対する耐性を伴う病勢安定(SD)と評価された。
【国際調査報告】