(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】圧縮したヒドロゲル皮膚移植片を調製するための組織培養容器並びに関連する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20240614BHJP
C12N 5/071 20100101ALI20240614BHJP
C12N 5/077 20100101ALN20240614BHJP
C12N 5/0793 20100101ALN20240614BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N5/071
C12N5/077
C12N5/0793
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023577894
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 IL2022050656
(87)【国際公開番号】W WO2022269601
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523202129
【氏名又は名称】カッティス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100115679
【氏名又は名称】山田 勇毅
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】ホーレンシュタイン,クラウデ ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ロンファード,ヴィンセント
(72)【発明者】
【氏名】ディットリッヒ,アンナ‐レナ
(72)【発明者】
【氏名】グラフ,ジークフリート
(72)【発明者】
【氏名】ベイアー,クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】クラスノポルスキー,クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ルドロワ ディアーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーダー,ギルス
(72)【発明者】
【氏名】アーネット,ローマン
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,ノア
(72)【発明者】
【氏名】コーエン,シャルル
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA01
4B029AA08
4B029AA21
4B029BB11
4B029DF02
4B029DF03
4B029DF04
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BC02
4B065BC07
4B065BC12
4B065CA44
(57)【要約】
移植片支持トレー(200)並びに蓋(400)及びベースを有し、トレーと係合し保持する箱を含む組織培養容器。トレーは、トレーの床がベースの床に関してわずかに高い第1の動作状態、及びトレーの床が下がってベースの床と接触する第2の動作状態の2つの動作状態を有する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)移植片支持トレー(200)と、
(b)蓋(400)及びベース(300)を有する箱であって、前記箱が前記トレーと係合し保持する、箱と、
を備える組織培養容器(100)であって、
前記トレーは、
前記トレーの床が前記ベースの床に関してわずかに高い第1の動作状態、及び
前記トレーの前記床が下がって前記ベースの床と接触する第2の動作状態、の2つの動作状態を有する、
組織培養容器(100)。
【請求項2】
前記蓋に取り付けられた移動可能なプランジャーを備える、
請求項1に記載の組織培養容器。
【請求項3】
1つ又は複数の上昇区画を備える、
請求項1又は2に記載の組織培養容器。
【請求項4】
前記上昇区画の上面に気体透過膜(110)を備える、
請求項3に記載の組織培養容器。
【請求項5】
無菌状態を維持するよう滅菌され、包装された、
請求項1~4のいずれか一項に記載の組織培養容器。
【請求項6】
(a)硬いフレーム(210)と、
(b)前記フレームの下縁(212)に取り付けられた液体透過性膜床(220)と、
(c)前記フレームの2つの反対側の外部に取り付けられた第1の組の垂直に延びたバネ(230)と、を備える、
移植片支持トレー(200、201)。
【請求項7】
前記第1のバネに反対方向に取り付けられた第2の組の垂直に延びたバネ(232)を備える、
請求項6に記載の移植片支持トレー。
【請求項8】
前記フレームを取り付けたベースの対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピン(240)を備える、
請求項6又は7に記載の移植片支持トレー。
【請求項9】
前記支持フレーム上に位置する蓋の対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピン(242)を備える、
請求項6~8のいずれか一項に記載の移植片支持トレー。
【請求項10】
ベース中に完全に下がった移植片支持フレームの膜床を支持するよう設計及び構成された圧縮構造(310)であって、前記圧縮構造は、前記フレームが下がったとき培地の外部への流れを可能にするよう構成される、前記圧縮構造を備える、
組織培養容器のベース(300、301)。
【請求項11】
前記ベース中に位置する移植片支持トレーの1組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみ(320)を備える、
請求項10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項12】
前記ベース中に位置する移植片支持トレーの2組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみ(320)を備える、
請求項11に記載の組織培養容器のベース。
【請求項13】
前記ベース中に位置する移植片支持トレー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン(330)又は穴を備える、
請求項10~12のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項14】
前記ベースに嵌合した蓋のプランジャー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン又は穴(332)を備える、
請求項10~13のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項15】
Oリング(340)若しくは他のガスケット又はオーバーモールドエラストマーを備える、
請求項10~14のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項16】
少なくとも1つの液体除去ポート(344、346)を備える、
請求項10~15のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項17】
前記少なくとも1つのポートの少なくとも1つは、有刺コネクター(345、347)を備える、
請求項16に記載の組織培養容器のベース。
【請求項18】
蓋に取り付けるためのスナップフィットコネクター(350)を備える、
請求項10~17のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項19】
輸送ロック用のかみ合い留め金挿入部(350)を備える、
請求項10~18のいずれか一項に記載の組織培養容器のベース。
【請求項20】
(a)硬いフレーム(410)と、
(b)前記フレーム内部に配置された可撓性ベローズ(420)であって、前記ベローズが、プランジャー(431)を前記フレームに関して固定方向に保持する、前記可撓性ベローズと、を備える、
組織培養容器の蓋。
【請求項21】
前記ベローズは外力がない場合前記プランジャーを上昇位置に保持するよう、前記ベローズが通常開いている、
請求項20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項22】
前記フレームの上縁の平面上に延びる1つ又は複数の上昇区画(440)を備える、
請求項20又は21に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項23】
前記上昇区画の上面上に気体透過膜(110)を備える、
請求項22に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項24】
前記硬いフレーム上に、前記蓋によって覆われたベースと係合するよう寸法決めされ、位置した留め金フック(450)を備える、
請求項20~23のいずれか一項に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項25】
内部の出口ポート(462)と流体連通した1つ又は複数の外部の有刺コネクター(460)を備える、
請求項20~24のいずれか一項に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項26】
CO
2/空気を除去するための有刺ポートを備える、
請求項20~25のいずれか一項に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項27】
前記容器を組み立てた場合にベースと接触する前記蓋の側部上に弾性シールを備える、
請求項20~26のいずれか一項に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項28】
(a)線維芽細胞(FB)を含有するヒドロゲルを密封した組織培養容器に導入すること(510)と、
(b)前記FBが前記ゲルマトリックスに集合するまでインキュベートすること(520)と、
(c)前記ゲルマトリックスを前記同一の密封した組織培養容器内で圧縮すること(530)と、
(d)ケラチノサイト(KC)を前記同一の密封した組織培養容器内の前記圧縮したマトリックスに播種すること(540)と、
(e)前記移植片が形成され、移植する準備ができるまで、さらにインキュベートすること(550)と、を含む、
皮膚移植片製造方法。
【請求項29】
顕微鏡を使用して前記組織培養容器内の前記FB及び/又は前記KCの増殖を目視検査することを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
培地を交換することを含み、前記交換することは、
前記密封した組織培養容器を1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すこと、及び
前記密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて前記培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することを含む、
請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
共通セットの試薬貯蔵容器を用いて、制御装置及びポンプを用いてヒドロゲル、FB及びKCを複数の前記密封した組織培養容器へ提供することを含む、
請求項28~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)圧縮したヒドロゲル皮膚移植片を密封した組織培養容器の第1の位置に調製すること(610)と、
(b)増殖培地を除去し、輸送培地を前記密封した組織培養容器に導入すること(620)と、
(c)前記密封した組織培養容器の蓋の一体型プランジャーを少し下げること(630)及び適切な位置に固定すること(640)と、
(d)第2の位置に移動させること(650)と、を含む、
皮膚移植片製造方法。
【請求項33】
前記除去することは、
前記密封した組織培養容器を第1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すことと、
前記密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて前記培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することと、を含む、
請求項32に記載の方法。
【請求項34】
(a)請求項1に記載の組織培養容器(100)の寸法に適合するよう寸法決めされたスパニング部材(710)であって、
(i)輸送ロックの下縁に前記蓋(400)のフレーム(410)の輪郭と適合するよう構成された2つのノッチ(720)と、
(ii)前記ノッチ間の下方延長部(712)及び前記ノッチの各々の外方縁上の前記ベース(300)上でスナップフィットコネクター(350)と係合し、保持するよう寸法決めされた留め具(716)と、
(iii)スパニング部材の上縁の一連のスロット(714)であって、前記スロットは、上に位置する請求項1に記載の第2の組織培養容器(100)のベース(300)の下面上の対応するリブ(352)と係合し、保持するよう寸法決めされ、位置する、スロットと、を有する、
前記スパニング部材(710)を備える、
輸送ロック(700)。
【請求項35】
複数の培養容器の間に散在した請求項34に記載の輸送ロック(700)と垂直配列に配列された複数の培養容器(100)と、を備える、アセンブリ。
【請求項36】
(a)複数の移植片培養コンテナ(820A、820B、820C)と、
(b)細胞懸濁液(810、812)、ゲルマトリックス材料(814)及び培地(816)の貯蔵容器と、
(c)前記貯蔵容器の各々を前記培養コンテナの各々に接続する導管(818、822)と、
(d)前記細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を前記培養コンテナに前記導管を通じて協調して送達して移植片を製造するよう構成される制御装置(830)と、を備える、
システム(800)。
【請求項37】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、少なくとも1つの線維芽細胞(FB)貯蔵容器(810)及び少なくとも1つのケラチノサイト(KC)貯蔵容器(812)を備える、
請求項36に記載のシステム。
【請求項38】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、少なくとも2種類の異なる、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される細胞用の少なくとも2つの貯蔵容器を備える、
請求項36に記載のシステム。
【請求項39】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、上皮由来の少なくとも第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される第2の細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を備える、
請求項36に記載のシステム。
【請求項40】
前記導管中に前記制御装置の制御下の弁を備える、
請求項36~39のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項41】
前記ゲルマトリックス(814)用の前記貯蔵容器が、冷却要素(840)を備える、
請求項36~40のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項42】
前記制御装置は、前記導管を通じて前記細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を移動するポンプ(832)を含む、
請求項36~41のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項43】
前記培地を加熱するよう位置する加熱器(850)を備える、
請求項36~42のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項44】
一方の貯蔵容器から細胞を、別の貯蔵容器からゲルマトリックスを受け取り、細胞を前記マトリックスに混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する混合モジュール(835)を備える、
請求項36~43のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項45】
前記混合モジュール(835)が、一方の貯蔵容器の細胞を第2の貯蔵容器の緩衝液と混合して緩衝した細胞懸濁液を製造し、次いで前記緩衝した細胞懸濁液を第3の貯蔵容器のゲルマトリックスと混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する、
請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記複数の移植片培養コンテナを入れるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバー(860)を備える、
請求項36~45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
1つ又は複数の前記移植片培養コンテナ中のゲルマトリックスを圧縮するよう前記制御装置によって操作可能な圧縮機構(870)を備える、
請求項36~46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
カメラ(880)及び外部入力装置への双方向データ通信リンク(882)を備える、
請求項36~47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記制御装置は、周期的に、前記移植片培養コンテナから培地を除去し、前記貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される、
請求項36~48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記移植片培養コンテナの各々が、組織培養容器(100)を備える、
請求項36~49のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項51】
(a)複数の細胞培養コンテナ(920A、920B及び920C)と、
(b)細胞懸濁液(910)及び培地(916)用の貯蔵容器と、
(c)前記貯蔵容器の各々を前記培養コンテナの各々に接続する導管(918、922)と、
(d)前記導管を通じて前記細胞懸濁液及び培地を前記培養コンテナに協調して送達して前記コンテナ中に培養物を製造するよう構成される制御装置(930)と、を備える、
システム(900)。
【請求項52】
細胞懸濁液用の前記貯蔵容器(910、912)が、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される少なくとも1つの細胞型を含有する、
請求項51に記載のシステム。
【請求項53】
細胞懸濁液用の前記貯蔵容器(910、912)が、上皮由来の第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型を含有する、
請求項51に記載のシステム。
【請求項54】
前記細胞懸濁液及び培地の前記貯蔵容器は、温度制御機構(950、952)を備える、
請求項51~53のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項55】
前記制御装置は、前記導管を通じて前記細胞懸濁液及び培地を移動するポンプ(932)を含む、
請求項51~54のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項56】
前記導管を前記細胞培養コンテナに取り付けるためのコネクターを備える、
請求項51~55のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項57】
前記複数の細胞培養コンテナを含むよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバー(960)を備える、
請求項51~56のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項58】
カメラ(980)及び外部入力装置への双方向データ通信リンク(982)を備える、
請求項51~57のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項59】
前記制御装置が、周期的に、前記細胞培養コンテナから培地を除去し、前記貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される、
請求項51~58のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項60】
(a)少なくとも1つのポート(1012)を備えた細胞培養コンテナ(1010)と、
(b)前記コンテナ中の培地(999)のパラメータを測定し、インジケーター信号(1022)を生成する検出器(1020)と、
(c)消費した培地を前記少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培地(1042)を前記少なくとも1つのポートを介して導入するポンプ(1040)を操作することにより、前記インジケーター信号の閾値に応答するよう構成された制御装置(1030)を含む培地交換機構と、を備える、
システム(1000)。
【請求項61】
前記パラメータは、pH、CO
2濃度、グルコース濃度、乳酸濃度及び浮遊細胞(数及び/又は割合)から成る群から選択される、
請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記検出器は、pH電極及び/又はカメラを備える、
請求項60又は61に記載のシステム。
【請求項63】
細胞培養コンテナは、移植片培養容器(100)を備える、
請求項60~62のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項64】
(a)少なくとも1つの気体ポート(1112)を備えた閉鎖した細胞培養コンテナ(1110)と、
(b)調整器(1122)を介して前記少なくとも1つの気体ポートと接続したCO
2タンク(1120)と、
(c)前記タンクのCO
2を前記調整器及び前記少なくとも1つの気体ポートの間に通す水貯蔵容器(1130)と、を備える、
システム(1100)。
【請求項65】
前記閉鎖した細胞培養コンテナが、移植片培養容器(100)を備える、
請求項64に記載のシステム。
【請求項66】
(a)複数の移植片培養容器(100)用の支持面(1210)と、
(b)前記支持面の角度を制御する傾斜機構(1220)と、
(c)前記機構を操作して、1つ又は複数のポートを通じた前記容器からの培地の制御された除去を提供するよう構成された制御装置(1230)と、を備える、
システム(1200)。
【請求項67】
前記支持面は、請求項41に記載のインキュベーションチャンバー中に取り付けた、
請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
前記制御装置は、前記傾斜機構を+18°に、次いで-30°に操作して培地を廃棄コンテナに排出するよう構成される、
請求項66又は67に記載のシステム。
【請求項69】
前記制御装置は、前記傾斜機構を-5°に操作して試料採取を促進するよう構成される、
請求項66~68のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項70】
前記制御装置は、前記傾斜機構を+18°に操作して培地を前記上部区画から上昇区画に除去し、次いで-30°に操作してすべての培地を排出するよう構成される、
請求項66~69のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項71】
(a)複数の移植片培養コンテナ(100)であって、各コンテナがこの蓋(400)中に移動可能なプランジャー(431)を有する、前記複数の移植片培養コンテナと、
(b)少なくとも1つのピストン(1310)と、
(c)垂直変位機構(1330)を操作して前記少なくとも1つのピストンを低下及び上昇させて前記コンテナの前記蓋中の前記プランジャーの各々を押し下げ及び開放するよう構成される制御装置(1320)と、を備える、
システム(1300)。
【請求項72】
水平変位機構(1332)を備え、前記制御装置は、前記少なくとも1つのピストンを前記プランジャーと整列させる、
請求項71に記載のシステム。
【請求項73】
前記垂直変位機構は、異なる力及び圧縮パターン(例えば線形、段階的)に調整可能である、
請求項71又は72に記載のシステム。
【請求項74】
前記制御装置は、プログラム可能である、
請求項71~73のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項75】
圧力センサー(1340)を備える、
請求項71~74のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項76】
前記ピストン上にカメラを備える、
請求項71~75のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項77】
(a)少なくとも1つのポート(1412)を備える組織培養コンテナ(1410)と、
(b)前記コンテナ中の培養物の画像出力を提供するカメラ(1420)と、
(c)培地交換機構(1450)を制御する制御装置(1430)と、を備える、
システム1400。
【請求項78】
(d)前記画像出力(1422)を受け取り、前記制御装置の操作用のユーザーインターフェース(1442)を備えた遠隔装置(1440)を備える、
請求項77に記載のシステム。
【請求項79】
前記培地交換機構は、消費した培地を少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培地を前記少なくとも1つのポートを介して導入する少なくとも1つのポンプ(1452)を備える、
請求項77又は78に記載のシステム。
【請求項80】
前記培地交換機構は、前記組織培養コンテナを保持する支持面(1458)の角度を制御する傾斜機構(1456)を備える、
請求項77~79のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本PCT出願は、2021年6月20に出願した米国仮特許出願第63/212,662号及び2021年9月2日に出願した米国仮特許出願第63/240,360号の米国特許法第119条(e)による利益を主張し、これらの先の出願の各々は本願と同一の発明の名称及び出願人を有し、これらの先の出願の各々は本明細書に参照により完全に援用される。
【0002】
本発明に記載された様々な実施形態は、組織培養実験器具の分野である。
【背景技術】
【0003】
ヒトの皮膚は、3つの主要な層、表皮(最外層)、真皮(中間層)及び皮下組織(最深層)から成る。
【0004】
やけど事故などの後に深い傷ができると(皮膚全層の傷)、表皮及び全真皮(場合によっては皮下組織も)が損傷を受け、外科的処置が必要となる。
【0005】
小さな皮膚全層の傷は典型的には全層皮膚の自家移植により治療され、この場合表皮及び全真皮が身体の健康な部分から採取され、傷に移植される。
【0006】
大きな皮膚全層の傷は典型的には分層皮膚の自家移植により治療される。分層皮膚の自家移植は、表皮及び薄くて不完全な真皮層から成る。分層皮膚の自家移植は、大きな皮膚全層の傷の問題に対して満足な臨床上の解決策とはならない。大きな皮膚全層の傷は、上手く治らず、醜い痕や瘢痕が生じることが多い。
【0007】
全層皮膚の自家移植が分層皮膚の自家移植よりも深い傷をより良く治す理由は、全層皮膚の自家移植は、血管構造などの、分層皮膚の自家移植にはない特徴を含むからである。血管構造(血管及び/又はリンパ管)は、酸素及び栄養分並びに免疫細胞輸送を提供し、全ての機能及び組織生存に寄与する。全層植皮の毛細血管は、創傷床の毛細血管と接続する必要があるのみである一方、分層植皮の場合には、毛細血管は、組織の中を灌流するために創傷床から移植片まで成長する必要がある。
【0008】
全層皮膚の自家移植が分層皮膚の自家移植よりも深い傷をより良く治す更なる理由は、分層皮膚の自家移植片を全層の傷に移植すると、瘢痕及び/又は線維症及び/又は他の醜い外観の一因となる組織の収縮が起こることができる。あるいは又はその上、瘢痕は、移植した代用皮膚が患者(例えば子供)と共に成長できない一因となることができ、皮膚が更に悪化する。結果として、分層皮膚の自家移植を使用するには、これらの問題を軽減するために数年にわたる数回の連続する外科手術が必要となることができる。これらの追加の外科手術は、患者に大きな経済的及び心理学的負荷を課す。
【0009】
つい最近、皮膚の組織工学は、全層皮膚の自家移植の代用品を作製するために使用されている。組織工学は、3D細胞基質を提供する足場材料としてヒドロゲルを利用する。ヒドロゲルは生体適合性及び生体模倣型であり、免疫原性が低く(種間で保存される)、線維ネットワーク内部の細胞間に容易に播種することができる細胞によって自然に再構築される。しかしながら、ヒドロゲルの不十分な機械的特性は、組織工学用途の足場としての臨床使用の制限となる。面積が比較的大きく、皮膚移植片の薄さ特性のため(皮膚移植片に臨床的に適した大きさは50cm2以上で、厚さは2mm以下である)、ヒドロゲルに基づく培養皮膚組織の臨床応用にとって機械的安定性は重要である。
【0010】
機械的安定性は、培養の最中及び後並びに手術応用及び/又は試験の最中及び後のヒドロゲル系組織培養皮膚移植片の取り扱い及び処理を可能にする。ヒドロゲルの機械的安定性は、圧縮によって高めることができる。
【発明の概要】
【0011】
本発明の広い態様は、無菌条件下単一容器での圧縮したヒドロゲル皮膚移植片の製造及び運送に関する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態の一態様は、蓋及びベースを有する箱の中に移植片支持フレームを含む密封した組織培養容器に関する。これらの実施形態によれば、フレームは、フレームが内部に存在するベースの床に関してフレームがわずかに高い第1の動作状態、及びフレームが下がって、フレームが内部に存在するベースの床と接触する第2の動作状態の2つの動作状態を有する。いくつかの実施形態では、蓋は、押し下げたとき、フレームを第1から第2の動作状態に移動させる移動可能なプランジャーを含む。いくつかの実施形態では、蓋は、プランジャーが押し下げられたとき、フレームから変位した培地を収容する一つ又は複数の上昇区画を含む。いくつかの実施形態では、上昇区画は、上面上に気体透過膜を含む。これらの気体透過膜は、プランジャーが下がったとき空気が容器から逃げるのを可能にし、プランジャーが上がったとき空気が容器に入るのを可能にする。気体透過膜は、周囲環境及び容器の内部の間で気体の交換を可能にする一方無菌状態を維持する。いくつかの実施形態では、気体透過膜は、組織培養フードの容器外部の内容物の無菌状態を維持する能力に寄与する。気体透過膜はまた、細胞培養中の気体交換を支援する、例えば、このような制御された気体環境があるインキュベーター中に設置される一方、豊富にする(5%CO2)。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、培地透過性膜床、及び外力がない場合に膜床を上昇位置に支持する外部の第1の垂直に延びたバネを備える移植片支持トレーに関する。いくつかの実施形態では、反対方向の第2の組の垂直に延びたバネが第1のバネに取り付けられる。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2の組のバネは、板バネである。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のバネは、フレームの2つの反対側に取り付けられる。いくつかの実施形態では、フレームは、ベース及び/又は蓋の対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピンを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の態様は、移植片支持フレームを収容するよう構成された組織培養容器のベースに関する。いくつかの実施形態では、ベースは、移植片支持フレームが完全に下がったときに移植片支持フレームの膜床を支持するが、フレームが下がったとき培地の外部への流れを依然として可能にする圧縮構造を含む。いくつかの実施形態では、ベースは、ベース中に位置するフレームの第1及び/又は第2の組のバネを収容するためのくぼみを含む。いくつかの実施形態では、ベースは、フレーム上に設けられた同等の穴又はピンと嵌合するピン又は穴を含む。いくつかの実施形態では、これらのピン/穴は、ベース内部のフレームを配向するのに役立つ。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、ベースは、蓋のプランジャー上に設けられた同等の穴又はピンと係合するピン又は穴を含む。いくつかの実施形態では、これらのピン/穴は、フレームがベース中に位置する場合にプランジャーをフレームに関して配向するのに役立つ。いくつかの実施形態では、蓋又はベースは、Oリング又は他のガスケットを含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、このガスケットは、蓋又はベースの一部として一体形成される。いくつかの実施形態では、Oリングは、気密シールの形成に寄与する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、ベースは、排水ポート及び/又は試料除去ポートを含む。いくつかの実施形態では、これらのポートは、有刺コネクターとして提供される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、ベースは、蓋に適応させるためのスナップフィットコネクターを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、ベースは、輸送ロック用のかみ合い留め金挿入部を含む。いくつかの実施形態では、輸送ロックは、プランジャーを少し下がった位置に保持する。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の態様は、組織培養容器の蓋に関する。いくつかの実施形態では、蓋は、プランジャーをフレームに関して固定方向に保持する可撓性ベローズを備える硬いフレームを含む。いくつかの実施形態では、外力がない場合プランジャーを上昇位置に保持するよう、ベローズは通常開いている。いくつかの実施形態では、蓋は、一つ又は複数の高い上昇区画を含む。いくつかの実施形態では、上昇区画は、上昇区画上面の気体透過膜と嵌合する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、膜は、上昇区画の内側又は外側に設置される。
【0016】
いくつかの実施形態では、硬いフレームは、ベースの対応する構造と係合する留め金フックを備える。いくつかの実施形態では、蓋は、適した位置の内部の出口ポートに取り付けられた一連の外部の有刺コネクターを含む。例えば、CO2/空気流入及び/又は線維芽細胞(FB)及び/又は培地及び/又はケラチノサイト及び/又はコラーゲンヒドロゲル用の有刺コネクターを提供する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、CO2/空気除去用の追加の有刺ポートを提供する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、CO2/空気は、上昇区画の気体透過膜を介して組織培養容器を出る。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の別の態様は、線維芽細胞を含むヒドロゲルを密封した組織培養容器に導入し、線維芽細胞がゲルマトリックスに集合できるようインキュベートする組織培養方法に関する。ヒドロゲルが形成された後、同一の密封した組織培養容器内にある間にヒドロゲルを圧縮する。次いでケラチノサイト(KC)を同一の密封した組織培養容器内に播種し、移植片を移植する準備をできるまで、更にインキュベーションを実施する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、ヒドロゲル形成は、PHを上げることによる架橋(コラーゲン/細胞混合物を緩衝液と混合する)を含む。このプロセスは時には、重合と呼ばれるが、真の重合ではない。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態の更なる追加の態様は、移植片を密封した組織培養容器中で増殖させ、増殖培地を除去し、輸送培地を導入し、密封した組織培養容器の蓋の一体型プランジャーを少し下げ、適切な位置に固定する圧縮したヒドロゲル皮膚移植片の輸送方法に関する。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の態様は、組織培養コンテナの同時管理及び操作システムに関する。いくつかの実施形態では、組織培養コンテナは、移植片培養コンテナである。本発明のいくつかの例示的実施形態では、移植片培養コンテナは、本明細書で上述したとおりである。本発明のいくつかの例示的実施形態では、システムは、導管を通して細胞及び/又は培地及び/又はマトリックス材料をコンテナ分配するためのコンピュータ制御の制御装置に依存する。いくつかの実施形態では、システムは、間葉系細胞(すなわち線維芽細胞)を細胞外マトリックス材料(例えばコラーゲン)と混合することを制御し、生じた細胞/マトリックス混合物を培養容器に協調して分配する。いくつかの実施形態では、システムの様々な区画を加熱及び/又は冷却する。いくつかの実施形態では、細胞マトリックスの冷却は、早期ゲル化の低減に寄与する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、少なくとも1つのシステム区画のCO2レベル及び/又は湿度を制御する。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の態様は、複数の組織培養コンテナの培地を自動的に変えるシステムに関する。いくつかの実施形態では、組織培養コンテナは、移植片培養コンテナである。本発明のいくつかの例示的実施形態では、移植片培養コンテナは、本明細書で上述したとおりである。いくつかの実施形態では、システムは、傾斜機構を利用する。
【0021】
本発明のいくつか実施形態の更に別の態様は、複数の組織培養コンテナの細胞外マトリックス材料(例えばヒドロゲル)を自動的に圧縮するシステムに関する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、圧縮は、並列して及び/又は順番に実施される。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態の更に別の追加の態様は、遠隔位置で細胞培養物(例えば移植片培養物)の視覚画像を提供し、遠隔位置でユーザーインターフェースにより1つ又は複数の培養パラメータの遠隔操作を可能にするシステムに関する。いくつかの実施形態では、視覚画像は、カメラによって捕捉され、ネットワークを通じてスマートデバイス(例えば電話又はタブレット)に送信される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、ユーザーインターフェースは、スマートデバイスのグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)である。
【0023】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的では、用語「カメラ」は、従来の光学カメラ並びにOCT(光干渉断層計)装置を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、カメラは拡大しない。本発明の他の例示的実施形態では、カメラは取得した画像を2倍、5倍、10倍、50倍、100倍、250倍、500倍、1000倍又は中間の倍率若しくはより大きい倍率に拡大する。いくつかの実施形態では、拡大は、カメラに顕微鏡を取り付ける又はカメラを顕微鏡と一体化することにより達成される。
【0024】
図面にいくつかでは、本発明のいくつかの実施形態による例示的組織培養容器は、「移植片箱」(例えば
図8I又は
図8J)又は「処理箱」(例えば
図12C)として示される。
【0025】
上に記載した様々な態様は、ある場所から別の場所への輸送時の皮膚移植片のしわの発生及び/又は断裂と関連する技術的問題の解決策に関すると理解される。
【0026】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、皮膚移植片の製造用の非常に高度な組織培養設備の必要性を低減することに関する技術的問題の解決策に関すると理解される。
【0027】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、少量の生検材料から大量の移植片材料(例えば1000cm2、1500cm2、2000cm2、2500cm2、3000cm2、3500cm2、4000cm2、4500cm2、5000cm2、5500cm2又は中間若しくはより広い面積)を製造することに関する技術的問題の解決策に関すると理解される。本発明の様々な例示的実施形態によれば、移植片面積は、生検の面積より100倍、150倍、200倍、250倍、又は中間若しくはより大きい倍率分大きい。
【0028】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、組織培養物の遠隔管理に関する技術的問題の解決策に関すると理解される。
【0029】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、組織培養技術者の作業量の低減に関する技術的問題の解決策に関すると理解される。
【0030】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、移植片製造プロセスの頑健性及び再現性を改善すること及び/又はバッチ間のばらつきを低減することに関する技術的問題の解決策に関すると理解される。
【0031】
あるいは又はその上、上に記載した様々な技術的態様は、全製造コストの低下に寄与すると理解される。
【0032】
あるいは又はその上、上に記載した様々な態様は、閉鎖した自動化箱内での組織移植片の製造に関する技術的問題の解決策に関すると理解される。この方法では、重い製造室及び/又はクリーンルームの必要性が除去される。結果として、患者が収容されている病院などの多様な場所で一致する移植片を製造することができる。
【0033】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)移植片支持トレー、(b)蓋及びベースを有する箱であって、この箱がトレーと係合し保持する、箱を含む組織培養容器であって、このトレーは、このトレーの床がこのベースの床に関してわずかに高い第1の動作状態、及びこのトレーのこの床が下がってこのベースの床と接触する第2の動作状態の2つの動作状態を有する、組織培養容器を提供する。いくつかの実施形態では、容器は、この蓋に取り付けられた移動可能なプランジャーを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、1つ又は複数の上昇区画を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、この上昇区画の上面に気体透過膜を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、無菌状態を維持するよう滅菌され、包装されている。
【0034】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)硬いフレーム、(b)このフレームの下縁に取り付けられた液体透過性膜床、及び(c)このフレームの2つの反対側の外部に取り付けられた第1の組の垂直に延びたバネを含む、移植片支持トレーを提供する。いくつかの実施形態では、このトレーは、この第1のバネに反対方向に取り付けられた第2の組の垂直に延びたバネを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このトレーは、このフレームを取り付けたベースの対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピンを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このトレーは、この支持フレーム上に位置する蓋の対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピンを含む。
【0035】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、このベース中に完全に下がった移植片支持フレームの膜床を支持するよう設計及び構成された圧縮構造であって、この圧縮構造は、このフレームが下がったとき培地の外部への流れを可能にするよう構成される、この圧縮構造を含む、組織培養容器のベースを提供する。いくつかの実施形態では、この容器は、このベース中に位置する移植片支持トレーの1組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、このベース中に位置する移植片支持トレーの2組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、このベース中に位置する移植片支持トレー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン又は穴を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、このベースに嵌合した蓋のプランジャー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン又は穴を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、Oリング若しくは他のガスケット又はオーバーモールドエラストマーを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、少なくとも1つの液体除去ポートを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この少なくとも1つのポートの少なくとも1つは、有刺コネクターを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、蓋に取り付けるためのスナップフィットコネクターを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この容器は、輸送ロック用のかみ合い留め金挿入部を含む。
【0036】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)硬いフレーム、及び(b)このフレーム内部に配置された可撓性ベローズであって、このベローズが、プランジャーをこのフレームに関して固定方向に保持する、可撓性ベローズを含む組織培養容器の蓋を提供する。いくつかの実施形態では、このベローズは外力がない場合プランジャーを上昇位置に保持するよう、このベローズが通常開いている。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、このフレームの上縁の平面上に延びる1つ又は複数の上昇区画を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、この上昇区画の上面上に気体透過膜を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、この硬いフレーム上に、この蓋によって覆われたベースと係合するよう寸法決めされ、位置した留め金フックを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、内部の出口ポートと流体連通した1つ又は複数の外部の有刺コネクターを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、CO2/空気を除去するための有刺ポートを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この蓋は、この容器を組み立てた場合ベースと接触するこの蓋の側部上に弾性シールを含む。
【0037】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)線維芽細胞(FB)を含有するヒドロゲルを密封した組織培養容器に導入すること、(b)このFBがこのゲルマトリックスに集合するまでインキュベートすること、(c)このゲルマトリックスを同一の密封した組織培養容器内で圧縮すること、(d)ケラチノサイト(KC)を同一の密封した組織培養容器内のこの圧縮したマトリックスに播種すること、及び(e)この移植片が形成され、移植する準備ができるまで、さらにインキュベートすることを含む、皮膚移植片製造方法を提供する。いくつかの実施形態では、この方法は、顕微鏡を使用してこの組織培養容器内のこのFB及び/又はこのKCの増殖を目視検査することを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この方法は、培地を交換することを含み、この交換することは、この密封した組織培養容器を1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すこと、及びこの密封した組織培養容器を第2の方向に傾けてこの培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することを含む。
【0038】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)圧縮したヒドロゲル皮膚移植片を密封した組織培養容器の第1の位置に調製すること、(b)増殖培地を除去し、輸送培地をこの密封した組織培養容器に導入すること、(c)この密封した組織培養容器の蓋の一体型プランジャーを少し下げること及び適切な位置に固定すること、並びに(d)第2の位置に輸送することを含む、皮膚移植片製造方法を提供する。いくつかの実施形態では、この除去することは、この密封した組織培養容器を1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すこと、及びこの密封した組織培養容器を第2の方向に傾けてこの培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することを含む。
【0039】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)上述した組織培養容器の寸法に適合するよう寸法決めされ、(i)輸送ロックの下縁にこの蓋のフレームの輪郭と適合するよう構成された2つのノッチ、(ii)このノッチ間の下方延長部及びこのノッチの各々の外方縁上のこのベース上でスナップフィットコネクターと係合し、保持するよう寸法決めされた留め具、(iii)スパニング部材の上縁の一連のスロットであって、このスロットは、上に位置する上述した第2の組織培養容器のベースの下面上の対応するリブと係合し、保持するよう寸法決めされ、位置する、スロットを有する、スパニング部材を含む、輸送ロックを提供する。
【0040】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、複数の培養容器の間に散在した上述した輸送ロックと垂直配列に配列された上述した複数の培養容器を含む、アセンブリを提供する。
【0041】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)複数の移植片培養コンテナ、(b)細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地の貯蔵容器、(c)この貯蔵容器の各々をこの培養コンテナの各々に接続する導管、及び(d)この細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地をこの培養コンテナにこの導管を通じて協調して送達して移植片を製造するよう構成される制御装置を含む、システムを提供する。いくつかの実施形態では、細胞懸濁液のこの貯蔵容器が、少なくとも1つの線維芽細胞(FB)貯蔵容器及び少なくとも1つのケラチノサイト(KC)貯蔵容器を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、細胞懸濁液のこの貯蔵容器が、少なくとも2種類の異なる、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、細胞懸濁液のこの貯蔵容器が、上皮由来の少なくとも第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、この導管中にこの制御装置の制御下の弁を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このゲルマトリックス用のこの貯蔵容器が、冷却要素を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、この導管を通じてこの細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を移動するポンプを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、この培地を加熱するよう位置する加熱器を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、一方の貯蔵容器から細胞を、別の貯蔵容器からゲルマトリックスを受け取り、細胞をこのマトリックスに混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する混合モジュールを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この混合モジュールが、一方の貯蔵容器の細胞を第2の貯蔵容器の緩衝液と混合して緩衝した細胞懸濁液を製造し、次いでこの緩衝した細胞懸濁液を第3の貯蔵容器のゲルマトリックスと混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、この複数の移植片培養コンテナを入れるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバーを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、1つ又は複数のこの移植片培養コンテナ中のゲルマトリックスを圧縮するようこの制御装置によって操作可能な圧縮機構を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、カメラ及び外部入力装置への双方向データ通信リンクを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は周期的に、この移植片培養コンテナから培地を除去し、この貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この移植片培養コンテナの各々が、本明細書で上述した組織培養容器を含む。
【0042】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)複数の細胞培養コンテナ、(b)細胞懸濁液及び培地用の貯蔵容器、(c)この貯蔵容器の各々をこの培養コンテナの各々に接続する導管、及び(d)この導管を通じてこの細胞懸濁液及び培地をこの培養コンテナに協調して送達してこのコンテナ中に培養物を製造するよう構成される制御装置を含むシステムを提供する。いくつかの実施形態では、細胞懸濁液用のこの貯蔵容器が、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される少なくとも1つの細胞型を含有する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、細胞懸濁液用のこの貯蔵容器が、上皮由来の第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型を含有する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この細胞懸濁液及び培地のこの貯蔵容器は、温度制御機構を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、この導管を通じてこの細胞懸濁液及び培地を移動するポンプ(932)を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、この導管をこの細胞培養コンテナに取り付けるためのコネクターを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、この複数の細胞培養コンテナを備えるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバーを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、カメラ及び外部入力装置への双方向データ通信リンク(982)を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置が周期的に、この細胞培養コンテナから培地を除去し、この貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される。
【0043】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)少なくとも1つのポートを備えた細胞培養コンテナ、(b)このコンテナ中の培地のパラメータを測定し、インジケーター信号を生成する検出器、及び(c)消費した培地をこの少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培地をこの少なくとも1つのポートを介して導入するポンプを操作することにより、このインジケーター信号の閾値に応答するよう構成された制御装置を含む培地交換機構を含む、システムを提供する。いくつかの実施形態では、このパラメータは、pH、CO2濃度、グルコース濃度、乳酸濃度及び浮遊細胞(数及び/又は割合)から成る群から選択される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この検出器は、pH電極及び/又はカメラを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この細胞培養コンテナは、本明細書で上述した移植片培養容器を含む。
【0044】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)少なくとも1つの気体ポートを備えた閉鎖した細胞培養コンテナ、(b)調整器を介してこの少なくとも1つの気体ポートと接続したCO2タンク、及び(c)このタンクのCO2をこの調整器及びこの少なくとも1つの気体ポートの間に通す水貯蔵容器を含む、システムを提供する。いくつかの実施形態では、この閉鎖した細胞培養コンテナが、本明細書で上述した移植片培養容器を含む。
【0045】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)複数の移植片培養容器用の支持面、(b)この支持面の角度を制御する傾斜機構、及び(c)この機構を操作して、1つ又は複数のポートを通じたこの容器からの培地の制御された除去を提供するよう構成された制御装置を含むシステムを提供する。いくつかの実施形態では、この支持面を請求項41に記載のインキュベーションチャンバー中に取り付ける。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、この傾斜機構を+18°に、次いで-30°に操作して培地を廃棄コンテナに排出するよう構成される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、この傾斜機構を-5°に操作して試料採取を促進するよう構成される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、この傾斜機構を+18°に操作して培地をこの上部区画から上昇区画に除去し、次いで-30°に操作してすべての培地を排出するよう構成される。
【0046】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)複数の移植片培養コンテナであって、各コンテナがこの蓋中に移動可能なプランジャーを有する、複数の移植片培養コンテナ、(b)少なくとも1つのピストン、及び(c)垂直変位機構を操作してこの少なくとも1つのピストンを低下及び上昇させてこのコンテナのこの蓋中のこのプランジャーの各々を押し下げ及び開放するよう構成される制御装置を含むシステムを提供する。いくつかの実施形態では、このシステムは、水平変位機構を含み、この制御装置は、この少なくとも1つのピストンをこのプランジャーと整列させる。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この垂直変位機構は、異なる力及び圧縮パターン(例えば線形、段階的)に調整可能である。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この制御装置は、プログラム可能である。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、圧力センサーを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、このシステムは、このピストン上にカメラを含む。
【0047】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、(a)少なくとも1つのポートを含む組織培養コンテナ、(b)このコンテナ中の培養物の画像出力を提供するカメラ、及び(c)培地交換機構を制御する制御装置を含むシステムを提供する。いくつかの実施形態では、このシステムは、この画像出力を受け取り、この制御装置の操作用のユーザーインターフェースを備えた遠隔装置を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この培地交換機構は、消費した培地を少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培地をこの少なくとも1つのポートを介して導入する少なくとも1つのポンプを含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、この培地交換機構は、この組織培養コンテナを保持する支持面の角度を制御する傾斜機構を含む。
【0048】
別段の定めがない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。以下に好適な方法及び材料を記載するが、本発明を実施する際、本明細書に記載したものと類似する又は同等の方法及び材料を使用することができる。抵触する場合、定義を含む本明細書が支配する。全ての材料、方法及び例は例証のみであり、限定することを意図していない。
【0049】
本明細書で用いる場合、用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」又はこれらの文法的変形は、1つ又は複数の追加の特徴、整数、動作、構成要素又はこれらの群の付加を除外することなく、記載した特徴、整数、動作又は構成要素の含有を規定するものとみなすものとする。この用語は、アメリカ合衆国特許商標庁のManual of Patent Examination Procedureによって定義される用語「から成る(consisting of)」及び「から本質的に成る(consisting essentially of)」より広く、これらを含む。したがって、実施形態がある特徴を「含む(includes)」又は「含む(comprises)」という任意の記載は、下位実施形態が記載した特徴「から本質的に成る(consist essentially of)」及び/又は「から成る(consist of)」という特定の記載である。
【0050】
本明細書で用いる語句「から本質的に成る(consisting essentially of)」又はこの文法的変形は、記載した特徴、整数、ステップ又は構成要素を規定するものとみなものとするが、追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はこれらの群が請求した組成、装置又は方法の基本的及び新規な特徴を実質的に変更しない場合に限り、1つ又は複数の追加の特徴、整数、ステップ、構成要素又はこれらの群の追加を除外しない。
【0051】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる語句「するよう適合される」は、以前に記載した構成要素に追加の構造的限定を課す。
【0052】
用語「方法」とは、構造及び/又はコンピュータサイエンスの実務家に公知の方法、手段、技術及び手順、又は実務家によって公知の方法、手段、技術及び手順から容易に開発されるもののいずれかのものを含むが、これらに限定されない、所定の作業を達成するための方法、手段、技術及び手順を指す。
【0053】
本発明を理解し、本発明を実際にどのように実行してもよいかを理解するために、非限定的な例のみとして、添付の図面を参照して、実施形態を記載する。図面では、1つを超える図面に現れる同一及び漏示する構造、要素又はそれらの部分は、現れる図面中で同一又は類似する参照で概して表示される。図面の構成要素及び特徴の寸法は、主に提示の便利さ及び明確さのために選択され、必ずしも縮尺で描写されていない。添付の図面は、以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【
図1A】
図1Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による組織培養容器の分解図であり、
【
図2A】
図2Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による、移植片支持トレーの上面斜視図であり、
【
図3A】
図3Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による組織培養容器のベースの上面斜視図であり、
【
図3C】
図3Cは、本発明のいくつかの例示的実施形態による例示的圧縮構造の図式詳細図であり、
【
図3D】
図3Dは、上面(右下)、直線A-Aの断面(右上)、及び上面斜視(左側)図からの本発明のいくつかの例示的実施形態による例示的圧縮構造の図式詳細であり、
【
図4A】
図4Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による組織培養容器の蓋の上面斜視図であり、
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの例示的実施形態による移植片調整法の単純化したフロー図であり、
【
図6】
図6は、本発明の追加の例示的実施形態による移植片製造法の単純化したフロー図であり、
【
図7A】
図7Aは、固定機構を詳細に図示する挿入図「L」を含む本発明の例示的実施形態による2つの輸送ロックと嵌合した組織培養容器の斜視図であり、
【
図7B】
図7Bは、本発明の例示的実施形態による組織培養容器の蓋及びベース並びに輸送ロック間の連結部の横断面部であり、
【
図7C】
図7Cは、本発明の例示的実施形態による2つの輸送ロックで組み立てた2つの組織培養容器の側面図であり、
【
図8A】
図8Aは、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの単純化した略図であり、
【
図8B】
図8Bは、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの正面図であり、
【
図8C】
図8Cは、本発明のいくつかの例示的実施形態による混合モジュールの正面図であり、
【
図8D】
図8Dは、本発明のいくつかの例示的実施形態による分注モジュールの正面図であり、
【
図8E】
図8Eは、本発明の例示的実施形態による培地又は他の細胞培養試薬用の余熱ステーションとして構成される培地貯蔵容器の正面図であり、
【
図8F】
図8Fは、本発明の例示的実施形態によるインキュベーションチャンバーの正面図であり、
【
図8G】
図8Gは、本発明の例示的実施形態による、圧縮モジュール及び傾斜に基づく培地交換機構と共に組み立てた
図8Fのようなインキュベーションチャンバーの正面図であり、
【
図8H】
図8Hは、本発明の例示的実施形態による傾斜に基づく培地交換機構の正面図であり、
【
図8I】
図8Iは、本発明の例示的実施形態による培地注入の単純化した図解フロー図であり、
【
図8J】
図8Jは、本発明の例示的実施形態によるケラチノサイト播種の単純化した図解フロー図であり、
【
図8J2】
図8J2は、本発明の例示的実施形態によるヒドロゲル形成及び線維芽細胞播種の単純化した図解フロー図であり、
【
図8J3】
図8J3は、本発明の例示的実施形態によるヒドロゲルインキュベーション及び圧縮の単純化した図解フロー図であり、
【
図8K】
図8Kは、本発明のいくつかの例示的実施形態で利用される静的ミキサの単純化した略図であり、
【
図9A】
図9Aは、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムの単純化した略図であり、
【
図9B】
図9Bは、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムで使用するための標準的な組織培養コンテナの適合の略図であり、
【
図10】
図10は、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の培地交換システムの単純化した略図であり、
【
図11】
図11は、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の加湿CO
2供給システムの単純化した略図であり、
【
図12A】
図12Aは、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の傾斜に基づく培地交換システムの単純化した略図であり、
【
図12B】
図12Bは、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の傾斜に基づく培地交換システムの単純化した図解フロー図であり、
【
図12C】
図12Cは、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムの単純化した図解フロー図であり(アイコンは、
図8J、8J2及び8J3と同じである)、
【
図13A】
図13Aは、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの圧縮モジュールの単純化した略図であり、
【
図13B】
図13Bは、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの圧縮モジュールの正面図であり、挿入図は、ピストンアセンブリを別個に示し、
【
図14】
図14は、本発明の例示的実施形態による遠隔操作に適合した移植片培養システムの略図であり、
【
図15】
図15は、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の環境制御システムの単純化した図解フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の実施形態は、皮膚移植片を製造するよう構成された組織培養容器及び関連する方法に関する。
【0056】
具体的には、本発明のいくつかの実施形態は、閉鎖した容器中で皮膚移植片を製造するために使用することができる。いくつかの実施形態では、容器は無菌的に閉鎖されており、汚染を制限し、EU GMP規則に従ったC又はDなどの低グレードのGMPクリーンルーム分類での操作を支援する単回使用(使い捨て)を目的とする。
【0057】
本発明の例示的実施形態による組織培養容器及び/又は方法の原則及び操作は、図面及び添付の説明を参照してより良好に理解されてもよい。
【0058】
本発明の少なくとも1つの実施形態を詳細に説明する前に、本発明は、以下の説明に記載され、又は実施例によって例示される詳細への本発明の適用に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態になることができ、様々な方法で実行され、行われることができる。また、本明細書で利用される表現法及び専門用語は、説明する目的のためであり、限定するものとみなされるべきでないと理解されたい。
【0059】
例示的組織培養容器の概要
図1Aは、概して100と示される、本発明のいくつかの例示的実施形態による組織培養容器の分解図である。
【0060】
図示された例示的組織培養容器100は、移植片支持トレー200、蓋400及びベース300を有する箱を含む。図示された実施形態では、この箱は、2つの動作状態を有するトレー200のフレーム210(
図2A参照)と係合し保持する。第1の動作状態では、トレー200は、ベース300の床に関してわずかに高い。第2の動作状態では、トレー200は下がってベース300の床と接触する。いくつかの実施形態では、トレー200は通常第1の動作状態にあり、外力に応じて第2の動作状態に移動する。図示された実施形態では、容器100は、蓋400に取り付けられた移動可能なプランジャー431を含む。いくつかの実施形態では、外力によってプランジャー431を押し下げると、トレー200を第2の動作状態に切り替える。本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的では、用語「わずかに高い」とは、トレー200及びベース300の床の間には液体培地が空間に入るのに充分な空間があることを表す。
【0061】
図示された例示的容器100は、一つ又は複数の上昇区画441を含む。いくつかの実施形態では、上昇区画441は、プランジャー431が下がったとき及び/又は上昇区画441が容器の残りの部分より下になるよう容器100全体を傾斜したとき、トレー200から移した培地を収容する。
【0062】
図示された例示的容器100は、上昇区画441の上面上に気体透過膜110を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、気体透過膜110は、上昇区画の内側又は外側に取り付けられる。気体透過膜110は、プランジャー431が下がったとき空気が容器100から逃げるのを可能にし、プランジャー431が上がったとき空気が容器に入るのを可能にする及び/又は周囲環境及び容器100の内部の間で気体の交換を可能にする一方無菌状態を維持する。
【0063】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、容器100は、無菌状態を維持するよう滅菌され、包装されている。例えば、一つ又は複数の容器100を組み立て、プラスチックスリーブ中に包装し、次いでX線滅菌する。いくつかの実施形態では、容器100への接続は、滅菌管接続(例えば管溶接)によりなされ、その結果通常の使用条件下では容器内部の環境への曝露は、移植又は他の用途で移植片を取り除くまで起こらない。
【0064】
図示された実施形態では、蓋400及びベース300の間を気密封止するためにOリング120を使用する。本発明の他の例示的実施形態では、Oリング120をガスケットで置換するか又はベース300及び/又は蓋400上に直接オーバーモールドする。
【0065】
移植片支持トレー200、ベース300及び蓋400の各々は、本明細書で以下にさらに詳述する。これらの個別の部分を特徴づけるために使用される特性も、容器100を特徴づける。
【0066】
図1Bは、概して101として示される、部分間の相互関係を示した
図1Aのような組み立てた組織培養容器の横断面図である。
【0067】
例示的支持トレー
図2Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による、概して200として示される、移植片支持トレーの上面斜視図である。
【0068】
図2Bは、概して201として示される、
図2Aの移植片支持トレーの下面斜視図である。
【0069】
図示された実施形態では、移植片支持トレー200は、硬いフレーム210、フレーム210の下縁212(
図2B)に取り付けられた液体透過性膜床220及びフレーム210の2つの反対側の外部に取り付けられた第1の組の垂直に延びたバネ230を含む。バネ230は、本明細書で上述した
図1の文脈の「第1の動作状態」に記載したように、外力がない場合膜床220を上昇位置に支持するよう機能する。
【0070】
図示された実施形態では、移植片支持トレー200は、第1のバネ230に反対方向に取り付けられた第2の組の垂直に延びたバネ232を含む。いくつかの実施形態では、第1及び/又は第2のバネは、フレームの2つの反対側に取り付けられる。
【0071】
図示された実施形態では、バネ230及び232は、板バネである。本発明の他の例示的実施形態では、これらの組のバネの一方又は両方は、コイルばねとして設けられる。
【0072】
図示された実施形態では、移植片支持トレー200は、フレームを取り付けたベースの対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピン(240)を含む。
【0073】
図示された実施形態では、移植片支持トレー200は、支持フレーム上に位置する蓋の対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピン(242)を含む。
【0074】
いくつかの実施形態では、移植片支持トレー200の片側に傾斜211が配置される。傾斜211を特徴づける実施形態では、傾斜は、注入した液体が膜床220を有する領域に流れるのを案内する。いくつかの実施形態では、傾斜の角度は、2°、3°、4°、5°、6°、7°若しくは8°又は中間若しくは大きい角度である。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、傾斜211の長さは、液体入口460の配置及び膜420のサイズによって決定される。
【0075】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、移植片支持トレー200の他の側上に、穴213を有する構造が位置し、この構造は溢流又は傾斜時に効率的な排出を可能とする。
【0076】
移植片支持トレー200は、蓋の4個のスペーサー411(
図4Aに2個見える)により初期応力がかけられた組み立て状態にあり、スペーサーは、硬いフレーム210と同じ高さの2個の耳215上に圧力をかける。
【0077】
硬いフレーム210は、平坦になり、結合した膜220の支持を改善するよう設計されている。
【0078】
図面に示される硬いフレーム210は、中間に2個の穴及びリブがあり、膜220を確実に平坦にするのに必要とされる剛性を高めるよう設計されている。
【0079】
例示的ベース
図3Aは、概して300として示される、本発明のいくつかの例示的実施形態による組織培養容器のベースの上面斜視図である。
【0080】
図3Bは、概して301として示される、
図3Aの組織培養容器のベースの下面斜視図である。
【0081】
図示された例示的ベース300は、ベース中に完全に下がった移植片支持フレームの膜床を支持するよう設計及び構成された圧縮構造310を含む。ベース300を組織培養容器100に組み立てた場合、蓋のプランジャー431が下がって移植片支持トレーを下方に押し込むので、培地は圧縮構造310を通過して上昇区画(441及び/又は440、それぞれ
図1及び
図4)に入る。本発明のいくつかの例示的実施形態では、圧縮構造310は、圧縮時に培地を上昇区画へと流すベースに成形されたパターンとして設けられる。これらの実施形態によれば、パターンは、液体の流れを促進するチャネルを含む。
図3C及び
図3Dは、例示的圧縮構造310の詳細図を提供する。本発明の他の例示的実施形態では、圧縮構造310は、液体透過性材料から構成される。いずれの場合でも、圧縮構造310は、該フレームが下がったとき、培地の外部への流れを可能にする。
【0082】
本発明の様々な例示的実施形態によれば、圧縮は適切な重量の適用及び/又は外部線形力制御又は変位制御駆動の適用により達成される。
【0083】
図示された例示的ベース300は、ベース300中に位置する移植片支持トレーの1組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみ320を含む。図示された実施形態では、ベース300は、ベース中に位置する移植片支持トレーの2組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼみ(320)を含む。図示された実施形態では、ベース300は、移植片支持トレーを位置する段差322を含む。
【0084】
図示された例示的ベース300は、ベース中に位置する移植片支持トレー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン330又は穴を含む。いくつかの実施形態では、これらのピン/穴は、ベース内部の移植片支持トレーを配向するのに役立つ。いくつかの実施形態では、ベース300内部の移植片支持トレーの配向は、移植片支持トレーと蓋のプランジャー431との整列の精度に寄与する。
【0085】
図示された例示的ベース300は、ベース300に嵌合した蓋のプランジャー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン及び/又は穴332を含む。いくつかの実施形態では、これらのピン又は穴332は、フレームがベース300中に位置する場合にプランジャーをフレームに関して配向するのに役立つ。いくつかの実施形態では、穴332は、プランジャーのピン用の空間を設ける簡素な凹部である。これらの実施形態によれば、プランジャー内のピン470は、移植片支持トレー200案内穴242と係合する。
【0086】
図示された実施形態では、ベース300は、Oリング340若しくは他のガスケット又はオーバーモールドエラストマー構造を含む。いくつかの実施形態では、Oリング340(又はガスケット)は、気密及び/又は水密シールの形成に寄与する。
【0087】
図示された実施形態では、ベース300は、少なくとも1つの液体除去ポート344及び/又は346を含む。図示された実施形態では、ポート344は、排水ポートであり、346は、試料除去ポートである。
図3Bは、これらのポートが有刺コネクター345及び347と嵌合していることを示す。
【0088】
図示された実施形態では、ベース300は、蓋に取り付けるためのスナップフィットコネクター350を含む。いくつかの実施形態では、蓋400がコネクター350に留め金で留まる一方、輸送ロックは同一のコネクター構造の外部にカチッと合う。
【0089】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、ベース300は、輸送ロック用のかみ合い留め金挿入部350を含む。いくつかの実施形態では、輸送ロックは、ベースに取り付けられた蓋のプランジャーを少し下がった位置に保持する。
【0090】
また、
図3Bから見て取れるのは、構造支持及び/又は強度のためのリブ352及びブレース354、脚356及びスタッキングスペーサー358である。
【0091】
【0092】
例示的蓋
図4Aは、本発明のいくつかの例示的実施形態による、概して400として示される、組織培養容器の蓋の上面斜視図である。
【0093】
図4Bは、概して401として示される、
図4Aの組織培養容器の蓋の下面斜視図である。
【0094】
図示された例示的蓋400は、内部に可撓性ベローズ420が配置された硬いフレーム410を含む。ベローズ420は、プランジャー431をフレーム410に関して固定方向に保持する。いくつかの実施形態では、プランジャー431は、蓋400の下に取り付けられた移植片支持トレー内で培養されている細胞を目視検査しやすくするよう透明物質から構成される。
【0095】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、外力がない場合プランジャー431を上昇位置に保持するよう、ベローズ420は通常開いている。本発明の様々な例示的実施形態によれば、上昇位置は、フレーム410の平面以上の高さである。あるいは又はその上、いくつかの実施形態ではベローズ420は移植片のエンドユーザーにより手で取り外し可能である(例えば粘着性貼着のため)。いくつかの実施形態では、手で取り外し可能なベローズは、容器から移植片を除去する利用の便利さに寄与する。
【0096】
図示された実施形態では、蓋400は、フレーム410の上縁の平面上に延びる1つ又は複数の上昇区画440を含む。
図4Bは、上昇区画440を2つの区画に分割する構造支持体442を示す。図示された実施形態では、上昇区画440は、その上面に気体透過膜110を備える。本発明の様々な例示的実施形態によれば、気体透過膜110は、内側又は外側から取り付けられる。いくつかの実施形態では、気体透過膜110は、OXYPADS(Oxyphen GMBH, Switzerland)として提供される。OXYPADSは、粘着性縁によって囲まれた膜中心を含み、これを面上に押し付けてパッドを所定の位置に密封する。
【0097】
図示された実施形態では、蓋400は、硬いフレーム410上に、蓋によって覆われたベースと係合するよう寸法決めされ、位置した留め金フック450を含む。
【0098】
図示された実施形態では、蓋400は、内部の出口ポート462と流体連通した1つ又は複数の外部の有刺コネクター460(5つを図示するが、少なくても多くてもよい)を含む(
図4B)。例えば、有刺コネクター460は、CO
2/空気流入及び/又は線維芽細胞(FB)及び/又はコラーゲンゲル(内部に細胞を含んでも含まなくても)及び/又は培地及び/又はケラチノサイト(KC)用の供給配管と接続可能である。いくつかの実施形態では、有刺ポート460の1つは、CO
2/空気を除去するために使用される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、CO
2/空気は、上昇区画440の気体透過膜110を介して組織培養容器を出る。有刺コネクター460の配置は、互いに隣同士であってもより効率的な大量製造のために互いに縦一列であってもよい。
【0099】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、蓋400は、容器を組み立てた場合ベースと接触する蓋の側部上の弾性シール(
図1の120参照)と嵌合する。これらの実施形態によれば、シールはベースと気密及び漏れ止め接続を形成する。
【0100】
例示的方法
図5は、概して500として示される、本発明のいくつかの例示的実施形態による移植片調整法の単純化したフロー図である。
【0101】
図示された実施形態では、方法500は、線維芽細胞(FB)を含有するヒドロゲルを密封した組織培養容器に導入すること510を含む。ヒドロゲル含有線維芽細胞を導入した後、ゲルを「重合させる」(細胞培地への緩衝液の添加による架橋)。
【0102】
図示された実施形態では、次いでFBがゲルマトリックスに集合するまでFBインキュベートする(典型的には架橋後)520。一度FBがゲルマトリックスに集合したら、マトリックスを同一の密封した組織培養容器内で圧縮する530。
【0103】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、圧縮後、細胞がゲルに付着し、集合し、再構築することができるよう、ゲルを数日間(典型的には5)インキュベートさせる。いくつかの実施形態では、細胞培地は、2日ごとに交換する。
【0104】
図示された実施形態では、ケラチノサイト(KC)を同じ密封した組織培養容器内の圧縮したマトリックスに播種し540、移植片が準備できるまで、さらにインキュベートする550。いくつかの実施形態では、線維芽細胞豊富皮層及び連続ケラチノサイト/表皮層が形成されたとき、移植片を移植する準備ができたとみなされる。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、皮膚培養中の培地交換/除去は、インキュベーション520及び/又は550(例えば、上昇区画441を使用して)中に実施される。いくつかの実施形態では、交換は、密封した組織培養容器を1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すこと、及び密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することを含む。全ての培地交換と同様に、結果は、細胞用の新鮮な栄養分の導入及び/又は代謝廃棄物の除去である。
【0105】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、試料ポートは、細胞培地の試料を取り除くために使用される。いくつかの実施形態では、乳酸及び/又はグルコース及び/又は他の代謝物を測定すると、細胞増殖の評価及び移植準備の判断が可能になる。あるいは又はその上、試料ポートを介して細胞培地をサンプリングすると、培地の微生物学的負荷の測定が可能になる(例えば無菌状態、マイコプラズマ、エンドトキシンなど)。
【0106】
いくつかの実施形態では、顕微鏡を用いた組織培養容器内のFB及び/又はKCの増殖の目視検査を実施する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、目視検査を、例えば520及び/又は550で及び/又は510及び/又は540中に実施する。
【0107】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、方法500は、共通セットの試薬貯蔵容器(例えば810、812、814及び816)を用いて、制御装置830(
図8)及びポンプ832を用いてヒドロゲル、FB及びKCを複数の密封した組織培養容器へ提供することを含む。
【0108】
追加の例示的方法
図6は、概して600として示される、本発明の追加の例示的実施形態による移植片製造法の単純化したフロー図である。
【0109】
図示された例示的方法600は、圧縮したヒドロゲル皮膚移植片を密封した組織培養容器の第1の位置(
図5の文脈に記載されるように)に調製すること610を含む。図示された例示的方法600は、増殖培地を除去し、輸送培地を密封した組織培養容器に導入すること620及び、密封した組織培養容器の蓋の一体型プランジャーを部分的に下げること630及びプランジャーを適切な位置に固定すること640、及びその後第2の位置に移動させること650を含む。いくつかの実施形態では、固定640は、移植片を適切な位置に確実に保持する能力に寄与する。
【0110】
図示された実施形態では、除去すること620は、密封した組織培養容器を1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すこと622及び密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて培地を重力流により廃棄コンテナへ除去すること624を含む。
【0111】
例示的輸送ロック
図7Aは、概して700として示される、本発明の例示的実施形態による2つの輸送ロック710と嵌合した組織培養容器の斜視図である。挿入
図Lは、コネクター716のクローズアップ図を提供する。
【0112】
図7Bは、概して701として示される、本発明の例示的実施形態による組織培養容器の蓋400及びベース300並びに輸送ロック710間の連結部の横断面部である。
【0113】
図示された実施形態では、輸送ロックは、組織培養容器100(
図1A)の寸法に適合するよう寸法決めされたスパニング部材710を含む。輸送ロックは、輸送ロックの下縁に蓋400のフレーム410の輪郭と適合するよう構成された2つのノッチ720並びにノッチ720間の下方延長部712及びノッチの各々の外方縁上のベース300上でスナップフィットコネクター350と係合し、保持するよう寸法決めされた留め具716を有する。輸送ロックの使用中、下方延長部712及び留め具716は、トレー200を本明細書で上述した第2の動作状態に保持するよう協調して働く。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、留め具716は、「スナップフィット」式であり、手で取り外せるよう可撓性プラスチックから構成される。
【0114】
図示された実施形態では、輸送ロックは、スパニング部材710の上縁上に一連のスロット(714)を含む。いくつかの実施形態では、スロット714は、輸送ロックの上に位置する第2の組織培養容器100のベース300の下面上の対応するリブ352(
図3B参照)と係合し、保持するよう寸法決めされ、位置する。
【0115】
図7Cは、概して703として示される、本発明の例示的実施形態による2つの輸送ロック710で組み立てた2つの組織培養容器100の側面図である。図示された例示的アセンブリは、複数の培養(明確さのため2つを図示したが、実務では典型的にはより多くが存在する)容器100の間に散在した上述の輸送ロックと垂直配列に配列された複数の培養容器を含む。
【0116】
例示的測定及び材料
いくつかの実施形態では、組織培養容器100は、160~170mlの培地を保持するよう寸法決めされる。
【0117】
いくつかの実施形態では、移植片支持トレー200は、5~15mm(例えば10mm)の高さ、110~120mm(例えば115mm)の幅、及び170mm~180mm(例えば175.4mm)の長さを有する。この大きさの移植片支持トレーは、Ineos Styrolution PS 158N/Lなどのポリスチレンから構成される場合、30~35グラム(例えば32.1g)である。いくつかの実施形態では、トレーの膜床は、Oxyphen Unique-Memトラックエッチング膜コロナ処理、51.9069.101.111、ポリエステル(PET)、厚さ12μm、細孔径3.0μm、及び細孔密度0.6e6/cm2である。いくつかの実施形態では、トレー200は、射出成形及びその後の膜の熱接合により製造される。
【0118】
いくつかの実施形態では、蓋400は、35~45mm(例えば40.5mm)の高さ、155~165mm(例えば158mm)の幅及び255~265mm(例えば259.3mm)の長さを有する。いくつかの実施形態では、硬い部分は、Trinseo Calibre Megarad 2081-15ポリカーボネートなどのポリカーボネートから構成され、可撓性ベローズ420は、Kraiburg TPE Thermolast M TM5ADT(50Sh)などの熱可塑性エラストマーから構成される。いくつかの実施形態では、蓋400は、射出成形及びその後のオーバーモールド及びポートの穴開けにより製造される。
【0119】
いくつかの実施形態では、ベース300は、20~30mm(例えば24mm)の高さ、160~165mm(例えば162.3mm)の幅及び250~255mm(例えば253.6mm)の長さを有する。この大きさの箱は、Trinseo Calibre Megarad 2081-15 ポリカーボネートなどのポリカーボネートから構成される場合、200~204グラム(例えば202グラム)である。いくつかの実施形態では、ベース300は、射出成形及びその後のポートの穴開けにより製造される。
【0120】
例示的な操作上の検討事項
容器100から培地を取り出すために、容器をまず廃棄物排出ポート344から横軸に沿って後方に(離れて)傾けて培地を上部区画から上昇区画440に除去する。一度培地が上昇区画440に蓄積したら、容器100を廃棄物排出ポート344に<20°の角度で傾ける。ポート344は廃棄物容器に接続され、開いている。20°の角度では、10%未満の培地が容器100内に残っている。容器100を中立位置に戻すことにより、ポート344が液体レベルより上に上昇し、蓋400のポート460の1つにより新鮮な培地を導入することができる。
【0121】
KC(ケラチノサイト)の播種については、容器をまず廃棄物排出ポート344から横軸に沿って後方に(離れて)26°の角度で傾けて液体を上部区画から上昇区画440に除去する。26°の角度では、4mlの培地しかトレー200に保持されない。容器100を中立位置に戻した後、蓋400のポート460の1つによりKCを播種することができる。
【0122】
上述した寸法の容器100は、支持トレー200中での移植片増殖で確実に4mm浸漬するのに充分な165ml±10%の培地を保持する。およそ40mlの培地が移植片支持トレー200中に存在する。残量は、ベース300内部にあるが、トレー200の外部及び/又は下にある。
【0123】
ヒドロゲルを移植片支持トレー200中に導入する間、膜床220はベース300の支持面310より上に上昇している必要がある。支持トレー200上の第1のバネ230は、この状況を確実にする。第1のインキュベーション(ヒドロゲルを架橋させる)の後、ゲルを圧縮する。圧縮を促進するためには、濡れるよう及び/又は反対圧力支持が可能となるよう(触った場合に漏れ始めるテント布など)膜がベース300の支持面310と接触する必要がある。圧縮後、バネ230及び/又は232により支持トレー200を初期位置に戻す。支持トレー200下の空間は、移植片の細胞増殖に必要とされる量の培地に充分である。いくつかの実施形態では、液体透過性膜床220は、トレー200の下の空間の培地由来の栄養分がトレー中のヒドロゲル中及び/又は上の細胞増殖に栄養分を与えるのを可能にする。
【0124】
例示的移植片培養システム
図8Aは、概して800として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの単純化した略図である。
【0125】
図8Bは、概して801として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの正面図である。
【0126】
図示された実施形態では、システム(800)は、複数の移植片培養コンテナ(820A、820B、820C)及び細胞懸濁液の貯蔵容器(810、812)、ゲルマトリックス材料(814)及び培地(816)を含む。図示された実施形態では、導管(818、822)は、貯蔵容器(810、812、814及び816)の各々を培養コンテナ(820A、820B、820C)の各々に接続する。明確さのため3つの培養コンテナを図示したが、本発明の多くの実施形態では、実際はずっと多くが存在する。図示された例示的システム800は、導管を通じて細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を培養コンテナに協調して送達して移植片を製造するよう構成される制御装置(830)を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、細胞懸濁液の貯蔵容器は、少なくとも1つの線維芽細胞(FB)貯蔵容器(810)及び少なくとも1つのケラチノサイト(KC)貯蔵容器(812)を含む。
【0127】
本発明の様々な例示的実施形態によれば、細胞懸濁液の貯蔵容器は、少なくとも2種類の異なる、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、幹細胞は、上皮幹細胞及び/又は間葉系幹細胞を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、複数の細胞型の使用は、組織(軟組織及び/又は硬組織)及び/又は器官を生成する能力に寄与する。
【0128】
いくつかの実施形態では、細胞懸濁液の貯蔵容器は、上皮由来の少なくとも第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を含む。
【0129】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、システム800は、導管中に制御装置830の制御下の弁(例えば
図8Dの2910参照)を含む。
図8Dでは、2930は、未使用の導管用の支持構造体である。
【0130】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、ゲルマトリックス814用の貯蔵容器は、冷却要素840を含む。いくつかの実施形態では、ゲルマトリックスを冷却すると、早期ゲル化を抑制し、及び/又は導管818及び/又は822中の流動性に寄与する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、冷却要素840は、ペルチェ冷却体を含む。図示された実施形態では、制御装置830は、導管818及び/又は822を通じて細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を移動するポンプ832を含む。いくつかの実施形態では、ポンプ832は、制御装置830の外部にある。図示された実施形態では、システム800は、貯蔵容器816中の培地を加熱するよう位置する加熱器850を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、一般的なペルチェユニットが貯蔵容器814中のマトリックス材料を冷却し、貯蔵容器816中の培地を加熱する。
【0131】
図示された実施形態では、システム800は、一方の貯蔵容器(例えば810)から細胞を、別の貯蔵容器(例えば814)からゲルマトリックスを受け取り、細胞をマトリックスに混合して細胞のゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する混合モジュール835を含む。
【0132】
図8Kを参照すると、いくつかの実施形態では、混合モジュール(835)は、一方の貯蔵容器(例えば810)の細胞を第2の貯蔵容器(例えば817)の緩衝液と混合して緩衝した細胞懸濁液を製造する。図示された実施形態では、これは、静的ミキサ837を使用して達成される。図示された実施形態では、モジュール835は次いで、緩衝した細胞懸濁液を第3の貯蔵容器(例えば814)のゲルマトリックスと混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する。図示された実施形態では、これは、静的ミキサ837を使用して達成される。
【0133】
図示された実施形態では、システム800は、複数の移植片培養コンテナを入れるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバー860を含む。いくつかの実施形態では、チャンバー860内の温度及び/又は湿度及び/又はCO2濃度が制御装置830によって制御される。
【0134】
図示された実施形態では、システム800は、1つ又は複数の移植片培養コンテナ100中のゲルマトリックスを圧縮するよう制御装置830によって操作可能な圧縮機構870を含む。
【0135】
図示された実施形態では、システム800は、カメラ880及び外部ユーザー入力装置への双方向データ通信リンク882を含む。いくつかの実施形態では、外部ユーザー入力装置は、カメラ880からの出力画像を表示し、制御装置830へのコマンドを入力するためのユーザーインターフェース(例えばグラフィカルユーザーインターフェース(GUI))を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、カメラ880によって出力された画像は、培地の色の評価(培地のpH変化及び関連する栄養価のインジケーター)及び/又は濁度(汚染物質の存在を示す)の評価に使用される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、カメラ880による出力は、組織形成プロセスの品質評価の一部として、ゲルの表面の平滑性の評価及び/又は気泡の存在を検出するために使用される。
【0136】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、制御装置830は、周期的に、移植片培養コンテナ(例えば820A、820B及び820C)から培地を除去し、貯蔵容器(例えば816)の1つの新しい培地を添加するよう適合される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、制御装置830は、日程表を用いてプログラムされる。いくつかの実施形態では、制御装置830は、導管822により培養コンテナから培地を除去するためにポンプ832の流れ方向を反転する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、消費した培地の除去及び新鮮な培地の導入のために異なる導管を使用する。
【0137】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、移植片培養コンテナ(例えば820A、820B及び820C)の各々は、本明細書で上述した組織培養容器100である。いくつかの実施形態では、制御装置830は、本明細書で以下に更に詳述するように、培養コンテナ100を所定の角度に傾けて培地を除去する。
【0138】
図8Cは、概して835として示される、本発明のいくつかの例示的実施形態による混合モジュールの正面図である。
【0139】
図8Cは、混合モジュール835の更に詳細な例示的実施形態を示す。図示された実施形態では、混合モジュール835は、分岐管類戦略を使用した静的ミキサを含む。図示された実施形態では、混合モジュール835は、支持板2851上にある角度(45°)で固定された複数の蠕動ポンプ2832(例として3つを図示する)を含む。図示された実施形態では、液分配を制御できるよう流体センサー2840を蠕動ポンプの下及び上に位置する。図示された例示的混合モジュールは、閉鎖したシステム配置で標準的な、単回使用チューブキットを利用する。図示された例示的構成は、無菌接続点用の保持構造2850を含む。図示された実施形態では、単一の又は分岐したチューブセット用の追加の保持構造を設計2860に含める。
【0140】
図8Kは、本発明のいくつかの例示的実施形態により
図8Cの混合モジュール835に利用される静的ミキサの単純化した略図である。図示された実施形態では、ミキサ837は、導管818により貯蔵容器810、814、817から液体/懸濁液を受け取り、導管822により混合物を産出する。図示された実施形態では、ミキサ837は、2つの入力及び一つの出力を有するコネクターである。この2つの入力流は、ミキサ837中で合流したときに生成する乱れにより混ざる。いくつかの実施形態では、この構成では、ミキサ中に可動部の必要性が除去される。
【0141】
図8Dは、概して2900として示される、本発明のいくつかの例示的実施形態による分注モジュールの正面図である。本発明のいくつかの例示的実施形態では、分注モジュールは、複数の液体を同時に分注するための単回使用チューブツリーを利用する。
図8Dの図示された例示的実施形態では、分注モジュール2900は、複数の分岐チューブツリー用のホルダー2920を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、ホルダー2920は、液体が管類を均等に流れる能力に寄与する及び/又は流れの閉塞を引き起こすこともある管類のねじれ形成の防止に寄与する。図示された実施形態では、2930は、未使用のチューブを固定する。
【0142】
図示された実施形態では、モジュール2900は、4つのソレノイド弁2910を有する。この配置は、液分配を制御する能力に寄与する。例えば、ソレノイド弁2910が1秒毎に連続して動作する場合、均等な液分配が実現する。本発明の他の例示的実施形態では、より多くのコンテナに同時に液体を分配するためにより多くの弁を使用する。
【0143】
図8Eは、概して851として示される、本発明の例示的実施形態による培地又は他の細胞培養試薬用の余熱ステーションとして構成される培地貯蔵容器の正面図である。
【0144】
図8Eは、本明細書で上述した単回使用コンテナ100に分注する前の培地又は他の細胞培養試薬用の余熱ステーション851として構成された例示的培地貯蔵容器816(
図8A)を図示する。図示された例示的ステーション851は、使い捨てプラスチック管類及びバッグシステムと接続して使用される。例えば、一端でプラスチックバッグ(培地貯蔵容器816(
図8A))に無菌で(例えばASEPTIQUICK)接続する管類システムを室温で保管した(装置の左側の外部保管フック)。貯蔵容器はまた、冷却区画中で保管することもある。図示された実施形態では、片側で培地貯蔵容器(816、
図8A)に接続する管類は、他の側で小さな培地バッグ2816に接続する。バッグ2816は、余熱が必要な場合に一定量の培地で満たされる。バッグ2816は、余熱した培地をコンテナ100に分配するための第2の管類出口を有する。
【0145】
図示された実施形態では、チャンバー2940は、接続点2942を介して外部から予熱された空気(37°Cなどの所望の温度に)で満たされる。本発明のいくつかの例示的実施形態では、接続点2942は、大口径管類を介してLIFE IMAGING SYSTEM社の環境制御システム「CUBE」又はインキュベーターなどの環境制御システムと接続する。図示された実施形態では、チャンバー2940は、培地バッグ2816が設置される貯蔵ユニット2944を含有する。ユニットは、バッグを保持するための上部のフックでバッグを支持するよう形成される。貯蔵ユニット2944は、蓋2946を有する。いくつかの実施形態では、貯蔵ユニット2944及び蓋2946は、培地バッグ2816を要求温度に加熱するペルチェ素子を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、ペルチェ素子の使用は、チャンバー2940を環境制御システムと接続する必要性を部分的に又は完全に除去する。いずれの場合にも(環境制御システムへの接続の有無にかかわらず)、チャンバー2940は、入ってくる及び出ていく管類用のガイド及び出口ポート2953と嵌合する。
【0146】
図8Fは、概して860として示される、本発明の例示的実施形態によるインキュベーションチャンバーの正面図である。図示された実施形態では、本明細書で上述した単回使用移植片培養コンテナ100をインキュベーションチャンバー860中でインキュベートする。いくつかの例示的実施形態では、チャンバー860は、数日間又は数週間の3次元マトリックス(ヒドロゲル)の圧縮及び/又は移植片の培養に適合する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、3D移植片の構築の一部は、チャンバー860外部で生じる。図示された実施形態では、チャンバー860は、コンテナ100の組み立て用に正面に2枚のスライドドア2862を有する。図示された実施形態では、小さなドア2864はチャンバー内の温度変動が望ましくないプロセス中の相互作用に適している。図示された実施形態では、4枚の小さなドア2864が適しているが、コンテナ100の数に応じて、小さなドア2864の数が増えることもある。スライドドアは、管類が環境チャンバーの外側から内部と接続できるようゴムで覆われたスリット2863と嵌合している。類似するゴムで覆われたスリット2866は、廃棄物処理用の管類が環境チャンバーを出てゴミ袋に接続できるよう装置の底部に嵌合している。
【0147】
いくつかの実施形態では、インキュベーションチャンバー860は、所望の温度(37℃など)の環境を作り出すよう予熱した空気で満たされる。空気は、LIFE IMAGING SYSTEM社の環境制御システム「CUBE」又はインキュベーターなどの環境制御システムにより予熱される。いくつかの実施形態では、加熱器の入口ポート2868は、大口径管類を介して環境制御システムに接続される。図示された実施形態では、環気ポート2865は、空気を管類を介して環境制御システムに戻す。
【0148】
図示された実施形態では、開口2869は、本明細書で以下に記載する圧縮モジュール1301(
図8G及び
図13B並びに対応する本文参照)用の取付インターフェースを備える。図示された実施形態では、接続点2861は、片側ではCO
2豊富な加湿空気の貯蔵容器及び他の側では培養コンテナ(例えば
図8Aの820A)に接続された管類への取り付けを促進する。
【0149】
チャンバー860内部の培養コンテナ100での細胞増殖に好適な環境には、空気を加湿し、5%CO2を含有することが要求される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、5%CO2を含有する空気混合物を湿度室2870に注入する。いくつかの実施形態では、空気混合物は、LIFE IMAGING SYSTEM社の「BRICK」又はインキュベーターなどのシステムにより提供される。図示された実施形態では、水柱2872は、空気をコンテナ100に分配する前に確実に加湿する。図示された実施形態では、2861は、湿度室2870のコネクターポートとして機能する。いくつかの実施形態では、培養コンテナ100は、管類を介してコネクター2861と接続して空気を受け取る。
【0150】
図8Gは、本発明の例示的実施形態による、圧縮モジュール1301及び傾斜に基づく培地交換機構3000と共に組み立てた
図8Fのようなインキュベーションチャンバーの正面図である。図示された実施形態では、インキュベーションチャンバー860は、
図13Bとの関連で以下に記載する圧縮モジュール1301と共に組み立てられる。図示された実施形態では、チャンバー860の正面上部(外側)に弁2910を見て取れる(
図8D及び対応する本文を参照)。図示された実施形態では、圧縮システム1301を上からインキュベーションチャンバー860中に挿入する。図示された実施形態では、金属傾斜テーブル3000をチャンバー860内に配置する。
図8H、
図12A及び
図12Bとの関連で以下に記載されるように培地をコンテナ100から排出できるよう傾斜テーブル3000を傾ける。図示された実施形態では、傾斜テーブル3000は、アクチュエータ3010(
図8H参照)により駆動される。いくつかの実施形態では、傾斜テーブル3000は、蓄熱の第2の機能を考慮して設計される。これらの実施形態によれば、テーブル3000の構成に厚い金属板を使用すると、蓄熱体が作られる。本発明のいくつかの例示的実施形態では、蓄熱体は、チャンバー860中の温度の均一性に寄与する。
【0151】
図示された実施形態では、ピストンヘッド1354を見て取れる(ピストンヘッドの機能については、
図13B及び添付の本文を参照)。
【0152】
図8Hは、チャンバー860から除去された本発明の例示的実施形態による傾斜に基づく培地交換機構3000の正面図である。取り扱いを改善するために、2つのハンドルを有する金属板を含む構造体3020が設計された。金属板は、バイオリアクターの管類用の空間を確保するよう形成される。この特定の設計では、4つの培養コンテナ100(更に拡張されることもある)を金属板上に組み立てる。フレーム3030を使用して、培養コンテナ100を構造体上の所定の位置に保持する。いくつかの実施形態では、構造体3020を一つ又は複数のコンテナ100と共に組み立て、インキュベーションチャンバー860中に持ち上げ、傾斜テーブル3000の上部に設置する。
【0153】
図8Iは、本発明の例示的実施形態による培地注入の単純化した図解フロー図である。
【0154】
図8J、本発明の例示的実施形態によるケラチノサイト播種の単純化した図解フロー図である(例えば
図5の540など)。
【0155】
図8J2は、本発明の例示的実施形態によるヒドロゲル形成及び線維芽細胞播種(例えば
図5の510など)の単純化した図解フロー図である。
【0156】
図8J3は、本発明の例示的実施形態によるヒドロゲルインキュベーション及び圧縮(例えば
図5の520及び530など)の単純化した図解フロー図である。
【0157】
例示的細胞培養システム
図9Aは、概して900として示される、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムの単純化した略図である。図示された例示的システム900は、複数の細胞培養コンテナ(例えば920A、920B及び920C)、細胞懸濁液の貯蔵容器910及び培地916並びに貯蔵容器の各々を培養コンテナの各々に接続する導管(例えば918及び922)を含む。図示された実施形態では、制御装置(930)は、導管918及び922を通じて細胞懸濁液910及び培地916を培養コンテナ920A、920B及び920Cに協調して送達してコンテナ内で培養物を製造するよう構成される。明確さのため、3つの培養コンテナのみを図示したが、典型的には多くが存在する。
【0158】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、細胞懸濁液の貯蔵容器(910及び/又は912)は、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞及び幹細胞から成る群から選択される少なくとも1つの細胞型を含有する。本発明の様々な例示的実施形態によれば、細胞懸濁液の貯蔵容器は、少なくとも2種類の異なる、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、幹細胞は、上皮幹細胞及び/又は間葉系幹細胞及び/又は人工多能性細胞(IPC)を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、細胞懸濁液の貯蔵容器(910、912)は、上皮由来の第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型を含有する。
【0160】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、複数の細胞型の使用は、組織(軟組織及び/又は硬組織)及び/又は器官を生成する能力に寄与する。あるいは又はその上、本発明の様々な例示的実施形態によれば、培地916及び/又は緩衝液及び/又は細胞マトリックス用の追加の貯蔵容器を備える。本発明の様々な例示的実施形態によれば、様々な貯蔵容器の内容物を制御された比率の全ての可能な組合せで混合する(例えばミキサ935により)。本発明のいくつかの例示的実施形態では、制御装置930のプログラム命令は、調製される混合物の割合及び/又は成分を制御する。
【0161】
図示された実施形態では、細胞懸濁液の貯蔵容器910及び/又は912及び又は培地の貯蔵容器916は各々、温度制御機構(950及び/又は952)を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、温度制御機構は、加熱及び/又は冷却することができるペルチェ素子を備える。図示された実施形態では、制御装置930は、導管を介して細胞懸濁液及び培地を移動させるポンプ932を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、ポンプは、制御装置の外部にある。
【0162】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、システム900は、
図9Bに図示するように導管922を細胞培養コンテナ(920A、920B及び920C)に取り付けるためのコネクターを含む。
【0163】
図示された例示的システム900は、複数の組織培養コンテナ(920A、920B及び920C)を入れるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバー960を含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、インキュベーションチャンバー960は、本明細書で上述及び本明細書で以下に論ずる温度及び/又は湿度及び/又はCO2の制御機構を備える。
【0164】
図示された実施形態では、システム900は、カメラ980及び外部入力装置への双方向データ通信リンク982を含む。いくつかの実施形態では、外部ユーザー入力装置は、カメラ980からの出力画像又は動画を表示し、制御装置930へのコマンドを入力するためのユーザーインターフェース(例えばグラフィカルユーザーインターフェース(GUI))を含む。
【0165】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、制御装置930は、周期的に、培養コンテナ(920A、920B及び920C)から培地を除去し、貯蔵容器916の新しい培地を添加するよう適合される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、制御装置930は、日程表を用いてプログラムされ、導管922によりコンテナ920A、920B及び920Cから培地を除去するためにポンプ932の流れ方向を反転する。いくつかの実施形態では、除去した培地は廃棄コンテナへ汲みだされる。簡単にするために1組の導管922のみを図示するが、いくつかの実施形態では廃棄物除去及び新鮮な培地の導入用に別々の導管922を備える。
【0166】
図示された実施形態では、システム900は、一つ又は複数のコンテナ920A、920B及び920C中のゲルマトリックスを圧縮するよう制御装置930によって操作可能な圧縮機構970を含む。
【0167】
図9Bは、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムで使用するための標準的な組織培養コンテナの適合の略図である。
図9Bは、管類(導管)923が通るカバー921と嵌合した組織培養フラスコ920を図示する。図示された実施形態では、管類923の遠位端が無菌コネクター925と嵌合する。いくつかの実施形態では925としてASEPTQUICKコネクターが使用される。本発明の様々な例示的実施形態によれば、管類923は、フラスコ920に培地を導入/から除去し、及び/又は空気及びCO
2の加湿混合物を導入するために使用される。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では管類923は、ポンプ932に接続される(
図9A)。本発明の他の例示的実施形態では、フラスコ920の代わりにローラーボトルを使用する。
【0168】
例示的ポンプに基づく培地交換システム
図10は、概して1000として示される、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の培地交換システムの単純化した略図である。
【0169】
図示された例示的システム1000は、少なくとも1つのポート1012を備えた細胞培養コンテナ1010、コンテナ1010中の培地999のパラメータを測定し、インジケーター信号1022を生成する検出器1020を含む。図示された実施形態では、システム1000は、消費した培地を少なくとも1つのポート1012を介して取り除き、新鮮な培地1042を少なくとも1つのポート1012を介して導入するポンプ1040を操作することにより、インジケーター信号1022の閾値に応答するよう構成された制御装置1030を含む培地交換機構を含む。本発明の様々な例示的実施形態によれば、パラメータは、pH、CO2濃度、グルコース濃度、乳酸濃度及び浮遊細胞(数及び/又は割合)から成る群から選択される。
【0170】
あるいは又はその上、本発明の様々な例示的実施形態によれば、検出器1020は、pH電極及び/又はカメラを含む。本発明のいくつかの例示的実施形態では、培地999のpHが変化すると、検出器1020として働くカメラからのデジタル出力信号の機械可読変化を生成する培地のpHインジケーターの色が変化する。
【0171】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、検出器1020は、培地に溶解した溶質(例えばグルコース及び乳酸)を測定する。いくつかの実施形態では、培地に溶解した溶質の測定は、酵素に基づく電流測定機構を利用するバイオセンサーにより達成される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、細胞培養コンテナ1010は、本明細書で上述した移植片培養容器100である。本発明の他の例示的実施形態では、細胞培養コンテナ1010は、組織培養フラスコ920(
図9B)又はローラーボトルである。
【0172】
例示的加湿CO
2供給システム
図11は、概して1100として示される、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の加湿CO
2供給システムの単純化した略図である。図示された例示的システム1100は、少なくとも1つの気体ポート1112を備えた閉鎖した細胞培養コンテナ1110を含む。図示された実施形態では、コンテナ1110は、培地999で部分的に満たされている。図示された実施形態では、システム1100は、調整器1122を介して少なくとも1つの気体ポート1112と接続したCO
2タンク1120及びタンク1120のCO
2を調整器1122及び少なくとも1つの気体ポート1112の間に通す水1132で部分的に満たされた水貯蔵容器1130を含む。図示された実施形態によれば、調整器1122からの気体が貯蔵容器1130の水1132を通って泡立つとき、気体が加湿される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、閉鎖した細胞培養コンテナ1110は、本明細書で上述した移植片培養容器100である。
【0173】
例示的傾斜に基づく培地交換システム
図12Aは、概して1200として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養用の傾斜に基づく培地交換システムの単純化した略図である。
図12Bは、概して1201として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養用の傾斜に基づく培地交換システムの単純化した図解フロー図である。
図示された例示的システム1200は、複数の組織培養容器100用の支持面1210及び支持面1210の角度を制御する傾斜機構1220、並びに機構1220を操作して、1つ又は複数のポートを通じたコンテナ100からの培地の制御された除去を提供するよう構成された制御装置1230を含む。
【0174】
いくつかの実施形態では、支持面1210を本明細書で上述したインキュベーションチャンバー860中に取り付ける。
【0175】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、制御装置1230は、
図12Bに図示するように、傾斜機構1220を+18°に、次いで-30°に操作して培地を廃棄コンテナに排出するよう構成される。
図12Bでは、角度の(+)又は(-)は、コンテナ100の方向によって定義される。上昇区画441が上昇する場合、角度は(-)である。上昇区画441が降下する場合、角度は(+)である。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、制御装置1230は、
図12Bに図示するように、傾斜機構1220を-5°に操作して試料採取を促進するよう構成される。
【0176】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、制御装置1230は、傾斜機構1220を+18°に操作して培地をコンテナ100の上部区画から上昇区画441に除去するよう構成される。傾斜機構は次いで、初期位置0°に戻って角度-30°になる。コンテナ100の設計を考慮すると、0°の標準培地レベルを超える培地は、ゴミ袋に自動的に流れる。したがって、培地が上部区画に再び入ることはない。傾斜角度30°では全ての培地がコンテナ100から出る。コンテナ100の特定の構成では、上部区画からの培地は、常に下部区画を介して除去される。
【0177】
図12Cは、本発明の例示的実施形態による細胞培養システムの単純化した図解フロー図である(アイコンは、
図8J、8J2及び8J3と同じである)。
図12Cに図示されたプロセスは、
図8J3に関連して記載されるものと類似する。
【0178】
例示的圧縮モジュール
図13Aは、概して1300として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの圧縮モジュールの単純化した略図である。
【0179】
図13Bは、概して1301として示される、本発明の例示的実施形態による移植片培養システムの圧縮モジュールの正面図であり、挿入図は、概して1311として示される、ピストンアセンブリを別個に示す。
【0180】
図示された例示的システム1300は、複数の移植片培養コンテナ100を含み、各コンテナがこの蓋400中に移動可能なプランジャー431を有する(
図4A及び
図4B並びに添付の本明細書の上の記載を参照)。図示された実施形態では、システム1300は、少なくとも1つのピストン1310及び垂直変位機構1330を操作してピストン1310を低下及び上昇させてコンテナ100の蓋400中のプランジャー431の各々を押し下げ及び開放するよう構成される制御装置1320を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、システム1300は、水平変位機構(1332)を含む。これらの実施形態によれば、制御装置1320は、少なくとも1つのピストン1310を少なくとも1つのプランジャー431と整列させる。
【0182】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、全てのコンテナ100が1列に並び、同数のピストン1310が一致する列に設けられる。この構成では、いずれの水平変位も必要なく、そうでなければ1回だけの水平変位によりピストン1310の列がコンテナ100の列と整列する。いずれの場合でも、垂直変位機構1330がピストン1310を低下させる場合、全てのプランジャー431は同時に押し下げられる。垂直変位機構1330がピストン1310を上昇させる場合、全てのプランジャー431は同時に解放される。これは単一サイクル並列動作である。
【0183】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、全てのコンテナ100は1列に並ぶか並列に並び、少ない数のピストン1310が提供される。最も単純な場合では、1つのピストン1310のみが提供される。この構成では、ピストン1310を順次コンテナ100のプランジャーと整列させるために水平変位が必要とされる。垂直変位機構1330がピストン1310を低下させるたびに、追加のプランジャー431を押し下げる。垂直変位機構1330がピストン1310を上昇させると、押し下げられたプランジャー431の全てが同時に解放される。これは順次動作である。
【0184】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、コンテナ100は、並列であり、コンテナの数に対応する数のピストン1310が提供される。この構成では、各一連の動作の後にピストン1310を次の列と整列させるために水平変位が必要とされる。垂直変位機構1330がピストン1310を低下させるたびに、ある列のプランジャー431を押し下げる。垂直変位機構1330がピストン1310を上昇させると、その列の押し下げられたプランジャー431の全てが同時に解放される。これは多重サイクル並列動作である。
【0185】
動作モードにかかわらず、ピストン1310によりプランジャー431を押し下げると、コンテナ100中のヒドロゲルマトリックスを圧縮する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、垂直変位機構1330は、異なる力及び圧縮パターン(例えば線形、段階的)に調整可能である。
【0186】
例えば、いくつかの実施形態では、力は初めに第1の停止まで増加し、ある時間維持し、次いで第2の停止まで増加する。例えば、停止1:268Pa、5分間維持し、停止2:625Paまで増加し、5分間維持し、停止3:1517Paまで増加し、5分間維持する。
【0187】
本発明の他の例示的実施形態では、ピストン1310は、最終的な力に達して維持するまで、力を連続的に増加させる。例えば、いくつかの実施形態では、ピストン1310は、15分後に1517Paに達し、1517Paで5分間最終維持されるまで、秒当たり4Paの速度で連続的に増加する圧力をかける。
【0188】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、制御装置1320は、プログラム可能である(例えば水平変位パターンなど)。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、システム1300は、圧力センサー1340を含む。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、システム1300は、ピストン1310上にカメラ1340を含む。いくつかの実施形態では、圧縮によりコンテナ100中の200が移動する(
図1A、2A、2B及び対応する本文を参照)。望ましい圧縮段階に達すると、230及び232はコンテナ100内に視覚的に示される位置になる。この位置は、カメラ(例えば1340及び/又は
図8Aの880及び/又は
図9の980)によって検出され、カメラは制御装置1320へ出力を提供する。制御装置1320は、カメラ出力を停止信号に翻訳する。現在の実施形態では、カメラは、コンテナ100と整列し、目視検査に使用するために圧縮システム上に位置し、圧縮それ自体には関与しない。
【0189】
図13Bは、上部から環境チャンバー(例えば
図8Bの860)中へ挿入される例示的圧縮モジュール1301を図示する。本発明のいくつかの実施形態では、環境チャンバーは装置の一部としてそこに固定される。図示された設計では、4つのピストン1311が、4つのヒドロゲルを圧縮するための垂直変位機構1331を備えた4つの制御装置1321に一列に配置されている。制御装置1321は、垂直変位機構1331を使用してピストン1311を低下させることにより一定の力を発生させる。圧力センサー1341は圧力の高まりを監視する。この圧力は、バネ1350を介してピストンヘッド1354の圧力版1352に移動する。いくつかの実施形態では、ピストンヘッド1354はまず移植片培養コンテナ100に結合し、次いでピストン1311に結合する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、バネ1350は取り外し可能な部品であり、ピストン1311又はコンテナ100に固定されていない。
【0190】
いくつかの実施形態では、一度移植片培養コンテナ100をヒドロゲルで満たしてインキュベーションチャンバー中に設置すると、ピストンヘッド1354をコンテナ100上に設置する。ピン1360は、コンテナ100の一致する接続点に嵌合する。図示された実施形態では、1321/1331によって発生した圧力は、バネ1350を通じて圧力版1352に移動し、そこから4つのピン1360を介してコンテナ100のカバー430のプランジャー431に均等に移動する(
図13Aを参照)。
【0191】
図示された実施形態では、カメラ1343はカメラホルダー1344により所定の位置に固定される。カメラにより、3D組織培養物の写真を捕捉することができる(顕微鏡写真ではない)。
【0192】
例示的遠隔制御システム
図14は、概して1400として示される、本発明の例示的実施形態による遠隔操作に適合した移植片培養システムの略図である。
【0193】
図示された例示的システム1400は、少なくとも1つのポート1412を備える組織培養コンテナ1410及びコンテナ1410の培養物の画像出力1422を提供するカメラ1420及び培地交換機構1450を制御する制御装置1430を含む。
【0194】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、画像出力1422を遠隔装置1440によって受け取り、表示装置1423で装置1440の使用者に表示する。使用者は次いで、制御装置1430の操作用のユーザーインターフェース1442を利用する。
【0195】
図示された実施形態では、培地交換機構1450は、消費した培地を少なくとも1つのポート1412を介して取り除き、新鮮な培地を少なくとも1つのポートを介して導入する少なくとも1つのポンプ1452を含む。
【0196】
あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、培地交換機構1450は、組織培養コンテナ1410を保持する支持面1458の角度を制御する傾斜機構1456を含む。1450などの傾斜機構の使用は、
図12A及び
図12Bに関連して本明細書で上述する。
【0197】
本発明のいくつかの例示的実施形態では、交換機構1450は、
図12Bに図示するように、分析用に培地の試料を除去するために使用される。本発明の様々な例示的実施形態によれば、グルコース及び/又は乳酸などの代謝インジケーターを分析する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、ポンプ1452は、試料を分析装置(図示せず)に汲みだす。本発明の他の例示的実施形態では、コンテナ1410内にバイオセンサー(図示せず)を配置し、遠隔装置1440に出力信号を提供する。
【0198】
例示的環境制御システム
図15は、本発明の例示的実施形態による細胞培養用の環境制御システムの単純化した図解フロー図である。
図15は、管類マニホールドがどのように所望の温度/CO2含有量及び湿度の空気を複数の移植片ボックス(他の図面では組織培養容器100)に送達するために利用するかを示す。
【0199】
例示的使用シナリオ
上記の記述のほとんどは皮膚線維芽細胞及び表皮ケラチノサイトに関するものだが、本発明の追加の実施形態ではヒト又は異なる起源の動物組織から単離された他の細胞型を利用する。線維芽細胞株(ヒト又は動物)は常に、真皮、腱、肺、臍帯、軟骨、尿道、角膜実質、口腔粘膜、及び腸を含むがこれらに限定されない、供給源に由来する。ヒト/動物は、線維芽細胞、平滑筋細胞、軟骨細胞及び間葉系起源の他の結合組織細胞を含むが、これらに限定されない。本発明のいくつかの例示的実施形態では、線維芽細胞は、毛包の毛乳頭から顕微解剖により単離される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、角膜構築物は、角膜実質に由来するマトリックス産生細胞を使用して製造される。本発明のいくつかの例示的実施形態では、細胞ドナーは、発達及び年齢で変化する。あるいは又はその上、いくつかの実施形態では、細胞は、胚、新生児、又は成人を含む他の個人のドナー組織に由来する。本発明のいくつかの例示的実施形態では、間葉系幹細胞などの胚前駆細胞は、本発明の実施形態で使用され、既知の分化因子及び/又は分化条件を使用して所望の組織へ発達するよう分化誘導される。
【0200】
あるいは又はその上、ヒト又は動物上皮細胞は、ヒト又は動物表皮、皮膚、肺、臍帯、尿道、角膜実質、口腔粘膜、腸、膀胱、食道及び角膜に含まれるがこれらに限定されない供給源である。
【0201】
ヒト細胞は本発明の多くの実施形態で使用されるが、動物細胞も多くの実施形態で使用される。ウマ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ供給源及びげっ歯類種(例えばマウス及び/又はラット及び/又はウサギ)を含むが、これらに限定されない他の哺乳類種の細胞も使用される。さらに、自発的に、化学的に若しくはウイルスで遺伝子導入された細胞又は組換え細胞又は遺伝子改変細胞を本発明のいくつかの実施形態で使用する。1つを超える細胞型を組み込んだこれらの実施形態では、2つ以上の供給源の正常細胞のキメラ混合物、正常及び遺伝子組換え又は遺伝子導入細胞の混合物、又は2つ以上の種又は組織供給源の細胞の混合物を本発明の異なる実施形態で使用する。
【0202】
本特許の存続期間中に多くの細胞培地、膜型、及びポリマーが開発されることが予想され、本発明の範囲は事前にこのような新しい技術全てを含む。
【0203】
本発明はその特定の実施形態と共に記載されてきたが、多くの代替、変更及び変形が当業者にとって明らかなことは明白である。したがって、添付の特許請求の範囲の精神及び広い範囲内にあるすべてのこのような代替、変更及び変形を包含することが意図される。
【0204】
特に、多様な数的表示が使用されている。これらの数的表示は、本発明の様々な実施形態に組み込まれた多様な工学的原理、材料、意図した使用及び設計に基づいて、更にずっと変化することもあると理解されるべきである。さらに、本発明の例示的実施形態に属し、単一ユニットとして図示された構成要素及び/又は動作をサブユニットに分割してもよい。逆に、本発明の例示的実施形態に属し、サブユニット/個別の動作として図示された構成要素及び/又は動作を記載された/図示された機能と共に単一ユニット/動作に組み合わせてもよい。
【0205】
あるいは又はその上、方法を記載するために用いた特徴を、装置を特徴づけるために用いることができ、装置を記載するために用いた特徴を、方法を特徴づけるために用いることができる。
【0206】
本明細書で上述した個別の特徴を全ての可能な組合せ及びサブ組合せに組み合わせて本発明の追加の実施形態を作成することができることを更に理解すべきである。上述した実施例は、本来例示的であり、以下の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0207】
特定の特徴、部分、構成要素、モジュール又はプロセスを含む本発明の実施形態の各記載は、記載した特徴、部分、構成要素、モジュール又はプロセスを含まない本発明の追加の実施形態が存在するという明示的な記述である。
【0208】
あるいは又はその上、本発明の様々な例示的実施形態は、本明細書に具体的に開示されていないいかなる特定の特徴、部分、構成要素、モジュール、プロセス又は要素も除外する。
【0209】
具体的には、本発明は、皮膚移植片のエクスビボ製造に関して記載してきたが、圧縮したヒドロゲルでの製造に従う他の組織型のインプラントの製造及び/又は移植以外の用途の組織製造のために使用してもよい。
【0210】
本明細書で言及した全ての公報、参照、特許及び特許出願は、各個別の公報、特許又は特許出願が参照により本明細書に援用されると明確に個別に示されるような程度で本明細書に参照によりその全体を援用される。さらに、本明細書での全ての参照の引用又は特定は、このような参照を本発明の先行技術として利用できるという承認とみなされるべきではない。
【0211】
本明細書で用いる用語「含む(include)」及び「有する(have)」並びに同根語は、「含むが、これらに限定されない(including but not necessarily limited to)」ことを表す。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)移植片支持トレ
ーと、
(b)
蓋及びベースを有する箱であって、前記箱が前記トレーと係合し保持する、箱と、
を備える組織培養容
器であって、
前記トレーは、
前記トレーの床が前記ベースの床に関してわずかに高い第1の動作状態、及び
前記トレーの前記床が下がって前記ベースの床と接触する第2の動作状態、の2つの動作状態を有する、
組織培養容
器。
【請求項2】
前記蓋に取り付けられた移動可能なプランジャーを備える、
請求項1に記載の組織培養容器。
【請求項3】
1つ又は複数の上昇区画を備える、
請求項
1に記載の組織培養容器。
【請求項4】
前記上昇区画の上面に気体透過
膜を備える、
請求項3に記載の組織培養容器。
【請求項5】
無菌状態を維持するよう滅菌され、包装された、
請求項
1に記載の組織培養容器。
【請求項6】
(a)硬いフレー
ムと、
(b)前記フレームの下
縁に取り付けられた液体透過性膜
床と、
(c)前記フレームの2つの反対側の外部に取り付けられた第1の組の垂直に延びたバ
ネと、を備える、
移植片支持トレ
ー。
【請求項7】
前記第1のバネに反対方向に取り付けられた第2の組の垂直に延びたバ
ネを備える、
請求項6に記載の移植片支持トレー。
【請求項8】
前
記フレームを取り付けたベースの対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピ
ンを備える、
請求項
6に記載の移植片支持トレー。
【請求項9】
前記フレーム上に位置する蓋の対応するピン/穴とかみ合う案内穴/ピ
ンを備える、
請求項
6に記載の移植片支持トレー。
【請求項10】
ベース中に完全に下がった移植片支持フレームの膜床を支持するよう設計及び構成された圧縮構
造であって、前記圧縮構造は、前記フレームが下がったとき培地の外部への流れを可能にするよう構成される、前記圧縮構造を備える、
組織培養容器のベー
ス。
【請求項11】
前記ベース中に位置する移植片支持トレーの1組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼ
みを備える、
請求項10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項12】
前記ベース中に位置する移植片支持トレーの2組のバネを収容するよう寸法決めされ、位置したくぼ
みを備える、
請求項11に記載の組織培養容器のベース。
【請求項13】
前記ベース中に位置する移植片支持トレー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピ
ン又は穴を備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項14】
前記ベースに嵌合した蓋のプランジャー上に設けられた対応する穴又はピンと係合するよう寸法決めされ、位置したピン又は
穴を備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項15】
Oリン
グ若しくは他のガスケット又はオーバーモールドエラストマーを備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項16】
少なくとも1つの液体除去ポー
トを備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項17】
前記少なくとも1つのポートの少なくとも1つは、有刺コネクタ
ーを備える、
請求項16に記載の組織培養容器のベース。
【請求項18】
蓋に取り付けるためのスナップフィットコネクタ
ーを備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項19】
輸送ロック用のかみ合い留め金挿入
部を備える、
請求項
10に記載の組織培養容器のベース。
【請求項20】
(a)硬いフレー
ムと、
(b)前記フレーム内部に配置された可撓性ベロー
ズであって、前記ベローズが、プランジャ
ーを前記フレームに関して固定方向に保持する、前記可撓性ベローズと、を備える、
組織培養容器の蓋。
【請求項21】
前記ベローズは外力がない場合前記プランジャーを上昇位置に保持するよう、前記ベローズが通常開いている、
請求項20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項22】
前記フレームの上縁の平面上に延びる1つ又は複数の上昇区
画を備える、
請求項
20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項23】
前記上昇区画の上面上に気体透過
膜を備える、
請求項22に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項24】
前記硬いフレーム上に、前記蓋によって覆われたベースと係合するよう寸法決めされ、位置した留め金フッ
クを備える、
請求項
20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項25】
内部の出口ポー
トと流体連通した1つ又は複数の外部の有刺コネクタ
ーを備える、
請求項
20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項26】
CO
2/空気を除去するための有刺ポートを備える、
請求項
20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項27】
前記
組織培養容器を組み立てた場合にベースと接触する前記蓋の側部上に弾性シールを備える、
請求項
20に記載の組織培養容器の蓋。
【請求項28】
(a)線維芽細胞(FB)を含有するヒドロゲルを密封した組織培養容器に導入するこ
とと、
(b)前記FB
がゲルマトリックスに集合するまでインキュベートするこ
とと、
(c)前記ゲルマトリックスを前記同一の密封した組織培養容器内で圧縮するこ
とと、
(d)ケラチノサイト(KC)を前記同一の密封した組織培養容器内の前記圧縮したマトリックスに播種するこ
とと、
(e)前記移植片が形成され、移植する準備ができるまで、さらにインキュベート
し、培地を交換することと、を含み
、前記交換することは、
前記密封した組織培養容器を第1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すことと、
前記密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて前記培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することを含む、
皮膚移植片製造方法。
【請求項29】
顕微鏡を使用して前記組織培養容器内の前記FB及び/又は前記KCの増殖を目視検査することを含む、
請求項28に記載の方法。
【請求項30】
共通セットの試薬貯蔵容器を用いて、制御装置及びポンプを用いてヒドロゲル、FB及びKCを複数の前記密封した組織培養容器へ提供することを含む、
請求項
28又は29に記載の方法。
【請求項31】
(a)圧縮したヒドロゲル皮膚移植片を密封した組織培養容器の第1の位置に調製するこ
とと、
(b)増殖培地を除去し、輸送培地を前記密封した組織培養容器に導入するこ
とと、
(c)前記密封した組織培養容器の蓋の一体型プランジャーを少し下げるこ
と及び適切な位置に固定するこ
とと、
(d)第2の位置に移動させるこ
とと、を含む、
皮膚移植片製造方法。
【請求項32】
前記除去することは、
前記密封した組織培養容器を第1方向に傾けて培地を上昇区画へと流すことと、
前記密封した組織培養容器を第2の方向に傾けて前記培地を重力流により廃棄コンテナへ除去することと、を含む、
請求項
31に記載の方法。
【請求項33】
(a)請求項1に記載の組織培養容
器の寸法に適合するよう寸法決めされたスパニング部
材であって、
(i)輸送ロックの下縁に前記
蓋のフレー
ムの輪郭と適合するよう構成された2つのノッ
チと、
(ii)前記ノッチ間の下方延長
部及び前記ノッチの各々の外方縁上の前記ベー
ス上でスナップフィットコネクタ
ーと係合し、保持するよう寸法決めされた留め
具と、
(iii)スパニング部材の上縁の一連のスロッ
トであって、前記スロットは、上に位置する請求項1に記載の第2の組織培養容
器のベー
スの下面上の対応するリ
ブと係合し、保持するよう寸法決めされ、位置する、スロットと、を有する、
前記スパニング部
材を備える、
輸送ロッ
ク。
【請求項34】
複数の培養容器の間に散在した請求項
33に記載の輸送ロッ
クと垂直配列に配列された複数の培養容
器と、を備える、アセンブリ。
【請求項35】
(a)複数の移植片培養コンテ
ナと、
(b)細胞懸濁
液、ゲルマトリックス材
料及び培
地の貯蔵容器と、
(c)前記貯蔵容器の各々を前記培養コンテナの各々に接続する導
管と、
(d)前記細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を前記培養コンテナに前記導管を通じて協調して送達して移植片を製造するよう構成される制御装
置と、を備
え、
前記移植片培養コンテナの各々は、請求項1から27のいずれか一項に記載の組織培養容器を備える、
システ
ム。
【請求項36】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、少なくとも1つの線維芽細胞(FB)貯蔵容
器及び少なくとも1つのケラチノサイト(KC)貯蔵容
器を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項37】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、少なくとも2種類の異なる、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される細胞用の少なくとも2つの貯蔵容器を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項38】
細胞懸濁液の前記貯蔵容器が、上皮由来の少なくとも第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞、幹細胞、及び人工多能性細胞(IPC)から成る群から選択される第2の細胞型用の少なくとも2つの貯蔵容器を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項39】
前記導管中に前記制御装置の制御下の弁を備える、
請求項
35~
38のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項40】
前記ゲルマトリック
ス用の前記貯蔵容器が、冷却要
素を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項41】
前記制御装置は、前記導管を通じて前記細胞懸濁液、ゲルマトリックス材料及び培地を移動するポン
プを含む、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項42】
前記培地を加熱するよう位置する加熱
器を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項43】
一方の貯蔵容器から細胞を、別の貯蔵容器からゲルマトリックスを受け取り、細胞を前記マトリックスに混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する混合モジュー
ルを備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項44】
前記混合モジュー
ルが、一方の貯蔵容器の細胞を第2の貯蔵容器の緩衝液と混合して緩衝した細胞懸濁液を製造し、次いで前記緩衝した細胞懸濁液を第3の貯蔵容器のゲルマトリックスと混合してゲルマトリックス細胞懸濁液を製造する、
請求項
43に記載のシステム。
【請求項45】
前記複数の移植片培養コンテナを入れるよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバ
ーを備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項46】
1つ又は複数の前記移植片培養コンテナ中のゲルマトリックスを圧縮するよう前記制御装置によって操作可能な圧縮機
構を備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項47】
カメ
ラ及び外部入力装置への双方向データ通信リン
クを備える、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項48】
前記制御装置は、周期的に、前記移植片培養コンテナから培地を除去し、前記貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される、
請求項
35に記載のシステム。
【請求項49】
(a)複数の細胞培養コンテ
ナと、
(b)細胞懸濁
液及び培
地用の貯蔵容器と、
(c)前記貯蔵容器の各々を前記
細胞培養コンテナの各々に接続する導
管と、
(d)前記導管を通じて前記細胞懸濁液及び培地を前記
細胞培養コンテナに協調して送達して前記
細胞培養コンテナ中に培養物を製造するよう構成される制御装
置と、を備
え、
前記移植片培養コンテナの各々は、請求項1から27のいずれか一項に記載の組織培養容器を備える、
システ
ム。
【請求項50】
細胞懸濁液用の前記貯蔵容
器が、線維芽細胞(FB)、ケラチノサイト(KC)、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される少なくとも1つの細胞型を含有する、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項51】
細胞懸濁液用の前記貯蔵容
器が、上皮由来の第1の細胞型並びに間葉系細胞の細胞、皮膚由来の細胞、脂肪細胞、筋細胞、神経細胞、周皮細胞及び幹細胞から成る群から選択される第2の細胞型を含有する、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項52】
前記細胞懸濁液及び培地の前記貯蔵容器は、温度制御機
構を備える、
請求項
49~
51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記制御装置は、前記導管を通じて前記細胞懸濁液及び培地を移動するポン
プを含む、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項54】
前記導管を前記細胞培養コンテナに取り付けるためのコネクターを備える、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項55】
前記複数の細胞培養コンテナを含むよう設計及び構成されるインキュベーションチャンバ
ーを備える、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項56】
カメ
ラ及び外部入力装置への双方向データ通信リン
クを備える、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項57】
前記制御装置が、周期的に、前記細胞培養コンテナから培地を除去し、前記貯蔵容器の1つの新しい培地を添加するよう適合される、
請求項
49に記載のシステム。
【請求項58】
(a)少なくとも1つのポー
トを備えた細胞培養コンテ
ナと、
(b)前記
細胞培養コンテナ中の培
地のパラメータを測定し、インジケーター信
号を生成する検出
器と、
(c)消費した培地を前記少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培
地を前記少なくとも1つのポートを介して導入するポン
プを操作することにより、前記インジケーター信号の閾値に応答するよう構成された制御装
置を含む培地交換機構と、を備
え、
前記細胞培養コンテナは、請求項1から27のいずれか一項に記載の移植片培養容器を備える、
システ
ム。
【請求項59】
前記パラメータは、pH、CO
2濃度、グルコース濃度、乳酸濃度及び浮遊細胞(数及び/又は割合)から成る群から選択される、
請求項
58に記載のシステム。
【請求項60】
前記検出器は、pH電極及び/又はカメラを備える、
請求項
58又は
59に記載のシステム。
【請求項61】
(a)少なくとも1つの気体ポー
トを備えた閉鎖した細胞培養コンテ
ナと、
(b)調整
器を介して前記少なくとも1つの気体ポートと接続したCO
2タン
クと、
(c)前記タンクのCO
2を前記調整器及び前記少なくとも1つの気体ポートの間に通す水貯蔵容
器と、を備
え、
前記閉鎖した細胞培養コンテナは、請求項1から27のいずれか一項に記載の移植片培養容器を備える、
システ
ム。
【請求項62】
(a)複数の移植片培養容
器用の支持
面と、
(b)前記支持面の角度を制御する傾斜機
構と、
(c)前記
傾斜機構を操作して、1つ又は複数のポートを通じた前記容器からの培地の制御された除去を提供するよう構成された制御装
置と、を備
え、
前記閉鎖した細胞培養コンテナは、請求項1から27のいずれか一項に記載のものである、
システ
ム。
【請求項63】
前記支持面は
、インキュベーションチャンバー中に取り付けた、
請求項
62に記載のシステム。
【請求項64】
前記制御装置は、前記傾斜機構を+18°に、次いで-30°に操作して培地を廃棄コンテナに排出するよう構成される、
請求項
62に記載のシステム。
【請求項65】
前記制御装置は、前記傾斜機構を-5°に操作して試料採取を促進するよう構成される、
請求項
62に記載のシステム。
【請求項66】
前記制御装置は、前記傾斜機構を+18°に操作して培地を前記上部区画から上昇区画に除去し、次いで-30°に操作してすべての培地を排出するよう構成される、
請求項
62に記載のシステム。
【請求項67】
(a)複数の移植片培養コンテ
ナであって、
前記移植片培養コンテナ
の各々がこの
蓋中に移動可能なプランジャ
ーを有する、前記複数の移植片培養コンテナと、
(b)少なくとも1つのピスト
ンと、
(c)垂直変位機
構を操作して前記少なくとも1つのピストンを低下及び上昇させて前記コンテナの前記蓋中の前記プランジャーの各々を押し下げ及び開放するよう構成される制御装
置と、を備
え、
前記移植片培養コンテナは、請求項1から27のいずれか一項に記載のものである、
システム(1300)。
【請求項68】
水平変位機
構を備え、前記制御装置は、前記少なくとも1つのピストンを前記プランジャーと整列させる、
請求項
67に記載のシステム。
【請求項69】
前記垂直変位機構は、異なる力及び圧縮パターン(例えば線形、段階的)に調整可能である、
請求項
67に記載のシステム。
【請求項70】
前記制御装置は、プログラム可能である、
請求項
67に記載のシステム。
【請求項71】
圧力センサ
ーを備える、
請求項
67に記載のシステム。
【請求項72】
前記ピストン上にカメラを備える、
請求項
67に記載のシステム。
【請求項73】
(a)少なくとも1つのポー
トを備える組織培養コンテ
ナと、
(b)前記コンテナ中の培養物の画像出力を提供するカメ
ラと、
(c)培地交換機
構を制御する制御装
置と、を備
え、
前記組織培養容器は、請求項1から27のいずれか一項に記載のものである、
システ
ム。
【請求項74】
(d)前記画像出
力を受け取り、前記制御装置の操作用のユーザーインターフェー
スを備えた遠隔装
置を備える、
請求項
73に記載のシステム。
【請求項75】
前記培地交換機構は、消費した培地を少なくとも1つのポートを介して取り除き、新鮮な培地を前記少なくとも1つのポートを介して導入する少なくとも1つのポン
プを備える、
請求項
73に記載のシステム。
【請求項76】
前記培地交換機構は、前記組織培養コンテナを保持する支持
面の角度を制御する傾斜機
構を備える、
請求項
73に記載のシステム。
【国際調査報告】