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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】歯肉縁下医薬送達トレー
(51)【国際特許分類】
   A61C 19/06 20060101AFI20240614BHJP
   A61C 17/024 20060101ALI20240614BHJP
   A61C 17/028 20060101ALI20240614BHJP
   A61C 17/02 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61C19/06 Z
A61C17/024
A61C17/028
A61C17/02 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577897
(86)(22)【出願日】2021-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2021039951
(87)【国際公開番号】W WO2022265659
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】17/352,202
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523472205
【氏名又は名称】シェーファー、リサ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー、リサ
【テーマコード(参考)】
4C052
【Fターム(参考)】
4C052MM05
(57)【要約】
口腔の健康、特に歯肉縁下領域の維持又は改善に使用するための口腔内装置送達トレーが提供される。個別化された口腔内装置送達トレーを製造する方法が提供される。予め配置された化合物を含む予め製作された口腔内装置トレーが提供される。組成物及び方法は、口腔、歯周及び全身の健康を維持もしくは改善するため、又は口腔に関連する口腔、歯周もしくは全身の健康問題を防止又は遅らせるために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための口腔内装置トレーであって、ガスケットを備え、ガスケットが、(a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域及び(c)歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、送達ポートが、送達リザーバ及び歯肉縁上領域内に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される、口腔内装置トレー。
【請求項2】
ガスケットが、経口使用に適した材料を含む、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項3】
経口使用に適した材料が、非生分解性ポリマー、熱形成性プラスチック及び熱形成性ポリマーを含む群から選択される、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項4】
トレーが対象の口の中に配置される場合、化合物が、1つ又は複数の送達細孔を通って、少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁下、又は歯肉及び歯肉縁下の領域に流れる、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項5】
トレーが対象の口の中に配置される場合、送達リザーバが、少なくとも1つの歯の歯肉縁下領域内に化合物及び出口を維持する、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項6】
該対象の少なくとも2つの歯の歯肉、歯肉縁下、又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための1つ又は複数の送達ポートを含む、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項7】
少なくとも1つの歯が、1つのインプラント又は複数のインプラントである、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項8】
歯肉領域が、歯肉、歯肉縁下領域、溝、歯根膜、歯根膜領域、歯根、天然及び再建歯列の縁、歯科インプラント領域、及びインプラントベースを含む群から選択される1つ又は複数の領域を含む、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項9】
下顎弓口腔内装置トレー及び上顎弓口腔内装置トレーを含む群から選択される、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項10】
化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、脱感作剤、再石灰化化合物、治療用化合物、医薬化合物、抗プラーク化合物、抗齲蝕化合物、ホワイトニング化合物、pHを上げる化合物、口腔pHを維持する化合物、バイオフィルムを管理する化合物、クレンジング化合物及び維持化合物を含む群から選択される、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項11】
1つ又は複数の送達細孔の直径が、0.5mm~12mmの範囲内である、請求項4に記載の口腔内装置トレー。
【請求項12】
1つ又は複数の送達ポートの出口の高さが0.5mm~12mmの範囲内であり、1つ又は複数の送達ポートの出口の幅が0.5mm~12mmの範囲内である、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項13】
歯肉縁上部分及び歯肉送達領域が、対象の歯及び歯肉組織構造に適合するように形成される、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項14】
個別化された口腔内装置トレーであり、少なくとも1つの出口の位置が、対象の歯からの少なくとも1つの歯周測定値によって決定される、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項15】
出口の位置が、対象の歯からの6つの歯周測定値によって決定される、請求項12に記載の口腔内装置トレー。
【請求項16】
歯周疾患、口腔不快感、口腔変性特性、全身性疾患症状のリスクがある対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を低減する方法であって、(a)請求項1に記載の口腔内装置トレーを準備する工程と、(b)化合物を対象に送達する工程であって、化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、再石灰化化合物、脱感作化合物、ホワイトニング化合物、クレンジング化合物、pHを上げる化合物、pH安定化化合物を含む群から選択され、化合物が口腔内装置トレー内に提供される工程とを含む方法。
【請求項17】
細菌が、グラム陰性細菌、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、キャプノサイトファーガ(Capnocytophaga)種(ジンジバリス(gingivalis)、オクラチエ(ochracea)、スプティゲナ(sputigena))、口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)、ストレプトコッカスソブリナス(Streptocococcus sabrinus)、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococus mutans)、ラクトバチリス(Lactobacillis)種、エイケネラコローデンス(Eikenella corrodens)及びエイケネラ(Eikenella)種を含む群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
複数の送達事象を含む送達レジメンに従って化合物を準備する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
(a)歯周疾患のリスクがある対象及び疾患の生物学的マーカーを示す対象を含む群から選択される対象の歯から少なくとも1つの歯周測定値を得る工程と、
(b)対象の歯列弓の形態を決定する工程と、
(c)少なくとも1つの歯周測定値を使用して、少なくとも1つの送達ポートの出口の配置を決定する工程と、
(d)対象の歯列弓の形態に対して相補的なガスケットを備える個別化された口腔内装置トレーを形成する工程であって、該ガスケットが、a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域、及び(c)歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、送達ポートが、送達リザーバ及び歯肉縁上領域内に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される、工程と
を含む、請求項1に記載の個別化された口腔内装置トレーを製造する方法。
【請求項20】
口腔内装置トレーを形成する工程が、レーザ切断、層堆積、レーザ印刷、レーザ堆積、成形、及び鋳造を含む群から選択されるプロセスを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
対象におけるバイオフィルムを管理する工程をさらに含み、(a)口腔内装置トレー内に化合物を提供する工程と、(b)該化合物と共に口腔内装置トレーを対象の口内に配置する工程と、(c)対象の口内に配置された口腔内装置トレーを所定の期間及び頻度で維持する工程とを含み、バイオフィルム蓄積率、pH、又は対象の口内のバイオフィルム蓄積率及びpHが変更される、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
誘導バイオフィルム療法をもたらす、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
少なくとも1つの送達ポートの出口の少なくとも1つの寸法を少なくとも1つの歯周測定値と相関させる工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項24】
マスク着用又は任意の呼吸器疾患による口腔病原体のリスクを低減するための化合物の送達用の、請求項1に記載の口腔内装置トレー。
【請求項25】
対象の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための予め作製された口腔内装置トレーであって、ガスケットを備え、ガスケットが、(a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域及び(c)歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートであって、送達リザーバ及び歯肉縁上領域内に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される、送達ポートを含み、化合物がトレーに予め載せられ、化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、脱感作化合物、再石灰化化合物、治療用化合物、医薬化合物、抗プラーク化合物、抗齲蝕化合物、ホワイトニング化合物、pHを上げる化合物、口腔pHを維持する化合物、バイオフィルムを管理する化合物、クレンジング化合物及び維持化合物を含む群から選択される、予め作製された口腔内装置トレー。
【請求項26】
非ヒト動物の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための獣医学的口腔内装置トレーであって、ガスケットを備え、該ガスケットが、(a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域及び(c)歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、該送達ポートが、送達リザーバ及び歯肉縁上領域内に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される、獣医学的口腔内装置トレー。
【請求項27】
非一時的コンピュータ可読媒体であって、3次元(3D)印刷機のプロセッサによって実行される場合、
上顎弓及び下顎弓からなる群から選択される対象の少なくとも1つの歯列弓のデジタル3D画像モデルを受信及び処理し、歯科デバイスを作成する、
口腔内装置トレーで構成される送達ポートの座標及び寸法であって、対象の上顎弓及び下顎弓からなる群から選択される少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定に基づく、送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理し、歯科デバイスを作成する、
送達ポートの座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングする、ならびに
デジタル3D画像モデルに従って、かつデジタル3D画像モデルにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、送達ポートを有する歯科デバイスを形成するように3D印刷機に指示する
ようにプロセッサに指示する命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
3次元(3D)印刷機で動作可能なコンピュータ実装方法であって、
対象の上顎弓及び下顎弓からなる群から選択される少なくとも1つの歯列弓のデジタル3D画像モデルを受信及び処理し、歯科デバイスを作成する工程と、
歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法であって、対象の歯列弓に対して行われた歯周測定に基づく、送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程と、
送達ポートの座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングする工程と、
デジタル3D画像モデルに従ってかつデジタル3D画像モデルにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、送達ポートを有する歯科デバイスを形成するように3D印刷機に指示する工程と
を含むコンピュータ実装方法。
【請求項29】
CAD/CAM機械で動作可能なコンピュータ実装方法であって、
歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程であって、送達ポートの座標及び寸法が、対象の少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定値に基づく、工程と、
送達ポートの座標及び寸法を歯科デバイスにマッピングする工程と、
歯科デバイスにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って歯科デバイス上に送達ポートを形成するようにCAD/CAM機械に指示する工程と
を含むコンピュータ実装方法。
【請求項30】
CAD/CAM機械で動作可能なコンピュータ実装方法であって、
歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程であって、送達ポートの座標及び寸法が、対象の少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定値に基づく、工程と、
送達ポートの座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングする工程と、
送達ポートの座標及び寸法に従って、及びデジタル3Dモデルに従って、送達ポートを含む歯科デバイスを形成するようにCAD/CAM機械に指示する工程と
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔健康状態、治療歯科適用及び全身健康適用ならびに歯周ケアの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
30歳を超える全成人の半数超及び65歳を超える成人の70%が歯周疾患(periodontal disease)を有する。未処置の歯周疾患は、骨及び歯の損失を引き起こす口腔感染症である慢性歯周炎をもたらし得る。歯周疾患は、糖尿病、心血管疾患、アルツハイマー病、呼吸器疾患、消化器疾患、自己免疫変性疾患及びリウマチ性疾患を含む多くの他の全身状態に関連している。コントロール不良の糖尿病を有する人々は、歯周病(gum disease)及び歯の損失をより受けやすい。歯周病を有する人々は、経口的及び全身的に糖尿病及びプラーク蓄積の影響をより受けやすい。歯周疾患は、糖尿病の制御をより困難にする。2型糖尿病を含む糖尿病患者は、歯周病によりかかりやすく、感染症と闘う能力が低下している。糖尿病患者は、唾液中のグルコースが増加する傾向にあり、これにより口腔細菌が供給され、歯周病及びその損傷作用が経時的にはるかに広範囲に及び、蔓延する。歯周病は、死を招く可能性のある既存の心臓状態の予後を悪化させ、脳卒中の危険性を増加させる。口腔細菌は動脈プラークに見られる。歯周疾患はまた、米国の成人570万人が罹患しているアルツハイマー病のリスク因子である可能性が高い。慢性歯周病(10年以上)を有する60歳を超える人々は、健康な歯肉を有する人々よりも認知症になる可能性が70%高かった。歯周病を有するアルツハイマー患者は、歯周病を有さない患者よりも急速に衰弱する。歯周疾患に由来する有害細菌は、肺に吸入され、気管支炎、気腫及び肺炎を引き起こす可能性がある。これは、慢性閉塞性肺疾患(COPD)につながる場合があり、呼吸器系に不可逆的な損傷を引き起こす可能性がある。歯周病による慢性炎症は、これらの呼吸器状態を悪化させる場合があり、COVID及びSARSなどの新たな呼吸器状態の他のリスクを潜在的に増加させる可能性がある。妊娠中の歯周疾患(歯周病)は、早期産児及び/又は低出生体重児を出産するリスクを増加させる。中程度から進行した歯周病は、関節リウマチを有する人々において一般的である。進行した歯周疾患を有する関節リウマチ患者は、関節損傷などの永続的な変性作用の増加と共に、慢性及び有痛性の再発が増加する傾向がある。歯周病のより高い発生率及びより重度の歯周病は、ループス、クローン病、大腸炎、炎症性腸疾患及び結腸直腸がんを含む免疫関連慢性炎症性疾患を有する患者において生じる。これらの疾患は、潰瘍及び穿細孔を引き起こす可能性があり、人々の全体的な健康及び幸福をさらに悪化させる可能性があり、致命的でさえあり得る。
【0003】
歯肉縁上及び歯肉縁下又は歯肉領域下の溝へのバイオフィルムの蓄積は、継続的に起こる。食事及び歯科通院は、バイオフィルムの蓄積を破壊するか、又は一時的に遅らせる場合があるが、このバイオフィルムの蓄積は毎日起こり、定着する。歯科現場での専門臨床医による完全なデブリードマンは、バイオフィルムの多くを一時的に破壊又は除去するが、バイオフィルムは蓄積し続ける。バイオフィルムは、歯の構造、再建歯構造、露出した象牙質又は骨損失領域の部位に付着し、セメント質及び象牙質表面に蓄積する。バイオフィルムの蓄積は、pHの低下をもたらし、疾患過程を促進させる。軟組織、歯根膜(PDL)付着及び/又は歯槽骨の破壊が起こると、歯周疾患の損傷的及び破壊的結果は不可逆的である。骨吸収及び骨変性が起こる場合がある。骨が失われると、再び成長せず、永久的である。
【0004】
ペリクルは、歯の構造上に形成される無細胞のタンパク質性フィルムである。細菌はペリクルに付着し、歯の表面に定着する。最初にコロニー形成する細菌は酸素依存性細菌である。酸素依存性細菌のコロニーが増殖すると、プラークが形成される。酸素拡散が制限され、嫌気性グラム陰性細菌がプラークに定着する。グラム陰性菌は、乳酸を副生成物として生成する発酵経路を使用して、細菌を含むコロニーを形成する。経時的に、乳酸はpHを5.5未満に低下させ、歯の脱灰をもたらす可能性がある。エナメル質ロッド及び象牙質表面の破壊を回避し、齲歯のリスクを低減するために、対象の口腔内のミネラル化率は脱灰率と等しいままでなければならない。
【0005】
歯周ポケットにおけるグラム陰性細菌及びグラム陽性細菌の特定形態の蓄積は、歯周ポケットの罹患をもたらし、罹患状態はより一般化され、複数の歯周ポケットの罹患をもたらす可能性がある。病原体レベルが増加するにつれて、pHが低下し、溝滲出液の流れが増加し、酸素濃度が低下する。病原体の存在は、付着喪失、さらなる変性歯周疾患機能、ならびに歯の損失ならびに全体的な口腔疾患及び全身性疾患の将来の全身性リスクに寄与する。歯肉炎、歯周病又は歯周炎が生じ得る。さらなる健康リスクには、アルツハイマー病/認知症疾患、呼吸器疾患、心血管/心臓及び脳卒中疾患、2型糖尿病、新生児における早期及び低出生体重、結腸直腸疾患及び潜在的ながん、関節リウマチ及び有痛性関節損傷及び勃起障害に寄与する自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0006】
変性歯周疾患の場合には、骨構造ソケットを取り囲む口腔構造は、歯肉溝及び歯根膜(PDL)付近を含む組織付着領域の周りで炎症を起こす。機序によって制限されるものではないが、出血及び浮腫性の溝滲出液の流れの増加は、グラム陰性菌の増殖及びバイオフィルムの増加をもたらす。軟らかいプラークが蓄積し、硬い歯石の棘状物質まで上昇する。セメント質が変性し、疾患過程により歯根膜に感染する。罹患したPDLは、歯の強度、安定性及び支持に必要な健康な支持歯槽骨構造に損傷を与える。最終的に、1つ又は複数の歯が失われる場合がある。対象は、歯構造の除去、補綴及び再建歯科手順、軟組織又は結合組織移植、骨移植、外科的に設置されたインプラント、取り外し可能もしくは永久義歯又は部分歯科デバイスなどの複雑かつ費用のかかる手順を選択してもよい。
【0007】
臨床的デブリードマンはチタン糸を損傷する可能性があり、歯科用プローブ又は他の器具を用いたプロービング又はスケーリングはインプラント感染及び故障のリスクを増加させる可能性があるため、歯科インプラントの手入れはさらに複雑である。X線写真は、インプラントの健全性に関する2次元情報のみを提供し、臨床的な軟組織情報が存在しないと、インプラント部位又はその付近での感染の診断までの時間が長くなる場合がある。歯根尖部のX線写真は3次元物体の2次元画像を提供することができるだけなので、多くの感染性骨欠損が見逃される可能性がある。頬舌骨の寸法を決定することができないことは、インプラント処置に関して大きな欠点である。二次元X線写真は、骨の量及び質を決定し、重要な構造を特定し、提案されたインプラント部位内の構造間の空間的関係を描写するには不十分である。したがって、歯根尖部のX線写真は、通常、提案されたインプラント部位の初期評価、術中評価、及び術後評価に限定される。したがって、インプラント不全を適時に診断及び監視することは困難である。
【0008】
【0009】
ブラッシング及びフロッシングによって、一部のバイオフィルム及び細菌は除去されるが、ブラッシング及びフロッシングは、3~4mmのポケット深度にしか達しない。歯肉炎、歯周疾患、及び変性した歯槽骨支持構造の破壊につながる付着喪失のための多くの処置プロトコルがある。処置方法としては、以下に限定されないが、一般的な衛生的デブリードマン、化学的局所溶液リンス、抗微生物注射、ミノサイクリンなどの抗生物質注射、HCl、ミクロスフェア、スケーリング及びルートプレーニング、歯肉切除、骨切除外科手技及び骨移植が挙げられる。しかし、これらの処置の多くは歯科専門家によって行われなければならず、費用がかかるか又は効果がない。
【0010】
さらに、現在、固定された外科的に設置された歯科インプラントの維持を行うためのデバイスは存在しない。歯科インプラントは、天然歯と同じ劣化力を受ける。インプラント材料は、天然歯よりも劣化に対して耐性であり得るが、インプラントは、細菌定着及び歯周疾患過程のための部位として機能することができる。さらに、インプラントを取り囲むポケットは、感染症及び歯周疾患に対して脆弱であり、もはや支持のための歯根膜を有さない。歯周プロービング、臨床的デブリードマン、及びスケーリングなどの日常的なデンタルケア手順は、すべてのインプラントタイプに適切であるとは限らない。
【発明の概要】
【0011】
本出願は、対象の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下領域に化合物を送達するための口腔内装置(オーラルアプライアンス)トレー、歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下領域に化合物を送達するための個別化された口腔内装置トレーを製造する方法、ならびに対象のpHを管理することによってバイオフィルムを管理する方法を提供する。口腔内装置トレーは、ガスケットを備え、ガスケットは、歯肉縁上部分、歯肉送達領域及び歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、送達ポートは、送達リザーバを含む群から選択され、入口を含む送達細孔は、歯肉縁上部分に位置する。一態様では、ガスケットは、経口使用に適した材料を含む。いくつかの態様では、経口使用に適した材料は、非生分解性ポリマー、熱形成性プラスチック及び熱形成性ポリマーを含む群から選択される。いくつかの態様では、トレーが対象の口の中に配置される場合、化合物は、1つ又は複数の送達細孔を通って、少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁下、又は歯肉及び歯肉縁下の領域に流れる。いくつかの態様では、トレーが対象の口の中に配置される場合、送達リザーバは、少なくとも1つの歯の歯肉縁下領域の固定リザーバ内に出口及び化合物を維持する。
【0012】
様々な態様では、口腔内装置トレーは、対象の少なくとも2つの歯の歯肉、歯肉縁下、又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための1つ又は複数の送達ポートを含む。様々な態様では、歯肉領域は、歯肉縁上領域、歯肉、歯肉縁下領域、溝、歯根膜、歯根膜領域、歯根、天然及び再建歯列の縁、歯科インプラント領域、及びインプラントベースを含む群から選択される1つ又は複数の領域を含む。いくつかの態様では、口腔内装置トレーは、下顎弓口腔内装置トレー及び上顎弓口腔内装置トレーを含む群から選択される。
【0013】
いくつかの態様では、化合物は、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、脱感作化合物、再石灰化化合物、治療用化合物、抗プラーク形成化合物、抗齲蝕化合物、ホワイトニング化合物、pHを上げる化合物、pHを維持する化合物、バイオフィルムを管理する化合物、クレンジング化合物及び維持化合物を含む群から選択される。
【0014】
様々な態様では、1つ又は複数の送達細孔の直径は、0.5mm~12mmの範囲内である。ある特定の態様では、1つ又は複数の送達ポートの出口の高さは0.5mm~12mmの範囲内であり、1つ又は複数の送達ポートの出口の幅は0.5mm~12mmの範囲内である。いくつかの態様では、歯肉縁上部分及び歯肉送達領域は、対象の歯及び歯肉組織構造に適合するように形成される。ある特定の態様では、トレーは個別化された口腔内装置トレーであり、少なくとも1つの出口位置は、対象の歯からの少なくとも1つの歯周測定値によって決定される。いくつかの態様では、出口位置は、対象の歯からの少なくとも6つの歯周測定値によって決定される。
【0015】
本出願は、歯周疾患のリスクがある対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を低減する方法であって、(a)本出願の口腔内装置トレーを準備する工程と、(b)化合物を対象に送達する工程であって、化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、再石灰化化合物、脱感作化合物、ホワイトニング化合物、抗齲蝕化合物、媒介小胞水疱性化合物、クレンジング化合物、安定化を増強する化合物、pHを適度にする化合物を含む群から選択され、化合物が口腔内装置トレー内に提供される工程とを含む方法を提供する。方法の態様では、細菌は、グラム陰性細菌、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter.actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、キャプノサイトファーガ(Capnocytophaga)種(ジンジバリス(gingivalis)、オクラチエ(ochracea)、スプティゲナ(sputigena))、口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)及びエイケネラコローデンス(Eikenella corrodens)種を含む群から選択される細菌を含む群から選択される。本方法は、複数の送達事象を含む送達レジメンに従って前記化合物を準備する工程をさらに含み得る。
【0016】
請求項1に記載の個別化された口腔内装置トレーを製造する方法が提供される。本方法は、歯周疾患のリスクがある対象、脱灰のリスクがある対象、プロービング時の出血のリスクがある対象、炎症又は変性のリスクがある対象、アクチノマイセス(actinomyces)及び好気性球菌のバイオフィルム蓄積の増加のリスクがある対象、術前細菌処置を必要とする対象、術後細菌処置を必要とする対象、術前感受性のリスクがある対象、術後感受性のリスクがある対象、歯の不快感のリスクがある対象、食作用のリスクがある対象、応答亢進性の食作用のリスクがある対象、インターロイキン、プロスタグランジン及びサイトカインの過剰産生のリスクがある対象、嫌気性グラム陰性細菌の制御不能なコロニー形成のリスクがある対象、エンドトキシンのリスクがある対象、溝滲出液の増加のリスクがある対象、酸性唾液産生の増加のリスクがある対象、C反応性タンパク質(CRP)レベルの増加のリスクがある対象、口腔又は全身の自己免疫応答のリスクがある対象、インプラント周囲炎のリスクがある対象、インプラント不全のリスクがある対象、急性及び慢性の口腔乾燥症のリスクがある対象、口臭症のリスクがある対象、pHレベル低下のリスクがある対象、全身性疾患のリスクがある対象、ならびに急性及び慢性疾患からの薬物療法から影響のリスクがある対象を含む群から選択される対象の歯から少なくとも1つの歯周測定値を得る工程を含む。本方法は、少なくとも1つの歯周測定値を用いて少なくとも1つのポートの出口の配置を決定するために少なくとも1つの歯周測定値を使用して対象の歯列弓の形態を決定する工程と、対象の歯列弓の形態に対して相補的なガスケットを備える個別化された口腔内装置トレーを形成する工程とをさらに含み、ガスケットは、歯肉縁上部分、歯肉送達領域、及び歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、前記送達ポートは、送達リザーバ及び歯肉縁上方部分に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される。本方法の態様では、口腔内装置トレーを形成する工程は、レーザ切断、層堆積、レーザ印刷、レーザ堆積、成形及び鋳造を含む群から選択されるプロセスを含む。様々な態様では、本方法は、送達ポートの出口の少なくとも1つの寸法を少なくとも1つの歯周測定値と相関させる工程をさらに含む。
【0017】
対象におけるバイオフィルムを管理する方法が提供される。本方法は、本出願の口腔内装置トレー内に化合物を提供する工程と、化合物を含む口腔内装置トレーを対象の口内に配置する工程と、対象の口内に配置された口腔内装置トレーを所定の期間及び頻度で維持する工程とを含み、前記対象の口内のバイオフィルム蓄積率、pH、又はバイオフィルム蓄積率及びpHが変更される。様々な態様では、本方法は、誘導バイオフィルム療法を提供する。いくつかの態様では、本方法は、少なくとも1つの歯周測定値を使用して少なくとも1つのポートの位置を決定する工程をさらに含む。様々な態様では、本方法は、少なくとも1つのポートの出口の寸法を少なくとも1つの歯周測定値と相関させる工程をさらに含む。
【0018】
一実施形態では、本出願は、マスク着用、呼吸器感染又は任意の呼吸器疾患からの口腔病原体のリスクを低減するための化合物の送達用の口腔内装置トレーを提供する。
【0019】
対象の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための予め製作された口腔内装置トレーであって、ガスケットを備え、ガスケットは、歯肉縁上部分、歯肉送達領域及び歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含み、送達ポートは、送達リザーバ及び歯肉縁上領域内に位置する入口を含む送達細孔を含む群から選択される口腔内装置トレー。
【0020】
一実施形態では、非ヒト動物の少なくとも1つの歯の歯肉、歯肉縁上、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達するための獣医学的口腔内装置トレーが提供される。獣医学的口腔内装置トレーは、ガスケットを備え、ガスケットは、(a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域ならびに(c)入口及び出口を含む1つ又は複数の送達細孔であって、入口が歯肉縁上部分に位置し、出口が歯肉送達領域内にある、送達細孔を含む。いくつかの態様では、獣医学的口腔内装置トレーは、玩具要素をさらに含む。
【0021】
一実施形態では、本出願は、3次元(3D)印刷機のプロセッサによって実行される場合、歯科デバイスを作成するために、患者の上顎弓、下顎弓又は上顎弓と下顎弓の両方のデジタル3D画像モデルを受信及び処理する;歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法であって、患者の上顎弓及び下顎弓に対して行われた歯周測定に基づく、送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する;送達ポートの座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングする;ならびにデジタル3D画像モデルに従って、かつそれにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、送達ポートを有する歯科デバイスを形成するように3D印刷機に指示するようにプロセッサに指示する命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を提供する。
【0022】
一実施形態では、コンピュータ実装方法が提供される。コンピュータ実装方法は、3次元(3D)印刷機で動作可能であり、対象の上顎弓及び下顎弓からなる群から選択される少なくとも1つの歯列弓のデジタル3D画像モデルを受信及び処理し、歯科デバイスを作成する工程と、歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法であって、対象の歯列弓に対して行われた歯周測定に基づく、送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程と、送達ポートの座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングする工程と、デジタル3D画像モデルに従ってかつそれにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、送達ポートを有する歯科デバイスを形成するように3D印刷機に指示する工程とを含む。
【0023】
一実施形態では、CAD/CAM機械で動作可能なコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程であって、送達ポートの座標及び寸法が、対象の少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定値に基づく、工程と、送達ポートの座標及び寸法を歯科デバイスにマッピングする工程と、それにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って前記歯科デバイス上に送達ポートを形成するようにCAD/CAM機械に指示する工程とを含む。
【0024】
一実施形態では、CAD/CAM機械で動作可能なコンピュータ実装方法が提供される。本方法は、歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法を受信及び処理する工程であって、送達ポートの座標及び寸法が、対象の少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定値に基づく工程と、送達ポートの座標及び寸法を対象の歯列弓のデジタル3D画像モデルにマッピングし、歯科デバイスを作成する工程であって、前記少なくとも1つの歯列弓が対象の上顎弓及び下顎弓からなる群から選択される、工程と、送達ポートの座標及び寸法に従って、かつデジタル3Dモデルに従って、送達ポートを含む歯科デバイスを形成するようにCAD/CAM機械に指示する工程とを含む。
【0025】
参照による組み込み
本明細書において言及されるすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1A】健康な歯及び溝を示す。
図1B】健康な歯及び溝、ならびに歯の隣に配置されたブラシを示す。
【0027】
図2】溝を測定する歯周歯科プローブを用いた歯のX線写真を提供する。図2Aは、健康な歯及び健康な浅溝を測定する歯周歯科プローブを示し、溝の深さは3mm未満である。図2Aは、健康な付着を示す。図2Bは、歯周疾患を有する歯を示す。溝は、歯科用プローブを用いて5mmの深さにわたって測定される。骨損失及び分岐が見られる。図2Bは、付着喪失、骨損失及び分岐部病変(furcation involvement)ならびに歯周疾患状態を有する不健康な例を示す。
【0028】
図3】ブラシ毛の到達範囲を超えた罹患溝を有する歯を示す。
【0029】
図4】罹患溝及び歯肉の目に見える炎症を有する歯を示す。
【0030】
図5】歯周プローブを用いて示される図4と同様の歯を示す。溝は5mmよりも深い。
【0031】
図6】口腔内装置トレーが歯の上に配置された、図4に示すような歯を示す。
【0032】
図7】歯の上に配置され、歯肉縁上及び歯肉線より下の歯肉縁下に目的の化合物を送達する口腔内装置トレーを有する歯を示す。
【0033】
図8】溝プローブ深さの低減、炎症の低下及び硬い歯石の除去を含む処置レジメン完了後の歯を示す。
【0034】
図9】口腔内装置トレーによる処置前に患者から得られた唾液試料中の口腔DNA分析の結果をまとめたものである。コピー/ml(細菌ゲノム)で示される細菌数をy軸上に示し、細菌型をx軸上に示す。A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)(Aa)、P.ジンジバリス(P.gingivalis)(Pg)、T.フォーサイシア(T.forsythia)(Tf)、及びトレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)(Td)を含む高リスクの病原体は、治療閾値を超えるレベルで存在する。ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)(En)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)(Fn)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)(Pi)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)(Cr)、及び口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)(Pm)を含む中程度リスクの病原体は、治療閾値を超えるレベルで存在する。エイケネラ(Eikenella)を含む低リスクの病原体は、治療閾値を超えるレベルで存在する。LQは、繰り返し測定することができる定量限界を指す。各バーを横切る線は、治療閾値を示す。口腔DNAラボは、OralDNA Labs、Access Genetics、Eden Prairie MNによって実施された。
【0035】
図10】口腔内装置トレー内の目的の化合物を用いた30日間の1日2回15分間の処置後に同じ患者(図9に示されている)から得られた唾液試料の口腔DNA分析の結果をまとめたものである。コピー/ml(細菌ゲノム)で示される細菌数をy軸上に示し、細菌型をx軸上に示す。A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)(Aa)、P.ジンジバリス(P.gingivalis)(Pg)、T.フォーサイシア(T.forsythia)(Tf)、及びトレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)(Td)を含む高リスクの病原体は、治療閾値を下回った。A.actinomycetemcomitans(Aa)、P.gingivalis(Pg)、及びTreponema denticola(Td)は定量限界未満であった。ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)(En)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)(Fn)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)(Pi)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)(Cr)、及び口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)(Pm)を含む中程度リスクの病原体は、治療閾値を下回るレベルで存在した。ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)(En)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)(Pi)及びカンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)(Cr)は定量限界未満であった。エイケネラ(Eikenella)を含む低リスクの病原体は、治療閾値を下回るレベルで存在した。本出願の口腔内装置トレーを使用する処置後の病原体有病率の変化は顕著かつ重要である。各バーを横切る線は、治療閾値を示す。口腔DNAラボは、OralDNA Labs、Access Genetics、Eden Prairie MNによって実施された。
【0036】
図11A】健康な組織から不健康な歯周疾患組織への進行の描写を提供する。
図11B】Johnson&Johnson Consumer Inc 2018から入手したバイオフィルム形成の描写を提供する。
【0037】
図12】進行した歯周疾患を有する対象からの口腔内写真を提供する(症例1)。分類IVの歯肉縁下及び歯肉縁上の軟らかいプラーク及び硬い歯石が存在する。過去の外科的歯周ポケット低減手順からの露出した象牙質及びより低い歯肉レベルに留意されたい。対象の毎日の在宅ケアのルーチンは、電池式歯ブラシによるブラッシング、フロッシング、インプラント及びブリッジ修復歯科用のフロス通し、薬用マウスウォッシュ、及びフッ素添加マウスリンスからなっていた。さらに、対象は、処置前に最大で1ヶ月に2回臨床デブリードマンを受けていた。歯は、以下のようないくつかの問題を有する:付着喪失、骨損失、浮腫性罹患組織、炎症、出血、再建クラウン及びブリッジワーク上の開口縁、露出した象牙質、露出した象牙質を有する脱灰切歯切縁の断裂、頬側、顔面、咬合面及び切歯面上の歯ぎしり及び酸侵食からのエナメル質の摩耗、骨損失に起因する細長い隆起した歯冠及び天然の歯列ならびに構成された骨ソケット及び付着喪失、骨損失及び付着安定性に起因する悪性化、偏位、破砕歯列ならびに不安定な整列及び閉塞、壊死組織及びさらなる全身性疾患の潜在的リスクの増加を伴う進行した不可逆的な歯周病を引き起こす、分割された硬い歯石付着物に起因する軟組織における酸素化及び血液循環の喪失。
【0038】
図13】進行した歯周疾患を有する対象からの口腔内写真であって、症例特異的な目的の化合物が適用された口腔内装置送達トレーの10日間の使用後の(症例1)の口腔内写真を提供する。図12と比較して、歯肉縁上及び歯肉縁下の歯石の実質的な減少、ならびに炎症及び浮腫性軟組織の実質的な減少がある。
【0039】
図14】進行した歯周疾患を有する対象からの口腔内写真であって、症例特異的な目的の化合物が適用された口腔内装置送達トレーの20日間の使用後の(症例1)の口腔内写真を提供する。20日時点と10日時点(図13)及び治療前(図12)の両方との間で、歯肉縁上及び歯肉縁下の歯石の実質的な減少ならびに炎症及び浮腫性軟組織の実質的な減少がある。
【0040】
図15】症例特異的な目的の化合物を含む口腔内装置送達トレーの30日間の使用後の(症例1)の対象からの口腔内写真を提供する。歯肉縁下及び歯肉縁上の歯石は見られず、浮腫領域及び発赤などの視覚的指標は解消され、プロービング時に出血は起こらず、最大プロービング深度は3mm以下で健康的であった。
【0041】
図16】最初の提示時、処置開始時、及び口腔内装置トレーによる30日間の処置完了後の症例1の対象からの歯周チャートを示す。処置後のプローブ深さの低減に留意されたい。
【0042】
図17】外科的に設置されたチタンアバットメントコアインプラント、磁器チタンインプラントブリッジに融合された3単位の半貴金属、磁器クラウンに融合された半貴金属、結合複合修復物、及び磁器カンチレバー融合クラウンに融合された半貴金属、ならびに磁器クラウンに融合された半貴金属を用いた歯内歯根管手順を有する対象の全口腔シリーズのX線写真を示す。X線写真シリーズは、インプラント再建歯科処置、再建クラウン及びブリッジワーク及びインプラントアバットメントブリッジワーク、進行した付着喪失を示す天然な歯列の存在、骨損失、再建クラウン及びブリッジワーク上の開口縁、露出した象牙質、露出した象牙質を有する脱灰切歯切縁の断裂、頬側、顔面、咬合面及び切歯面上の歯ぎしり及び酸侵食からのエナメル質の摩耗、骨損失に起因する細長い隆起した歯冠及び天然の歯列ならびに構成された骨ソケット及び付着喪失、骨損失及び付着安定性に起因する悪性化、偏位、破砕歯列ならびに不安定な整列、壊死組織及び進行した不可逆的な歯周病を引き起こす、分割された硬い歯石付着物に起因する軟組織における酸素化及び血液循環の喪失の存在を示す。この写真の例は、この口腔デバイスの概念の有効性及び能力、ならびに歯周疾患に易感染性の患者の予後改善について満足のいく結果を実証する。
【0043】
図18A】上顎弓用の口腔内装置送達トレーの画像である。細孔入口又はチャネル入口は、歯肉縁上領域内に位置する。出口は、対象の歯周チャート及び歯周測定値に基づいて配置される。出口は、目的の化合物の対象の拡張したポケット深度への送達を可能にする。
図18B】ポートが見える口腔内装置送達トレーの画像を提供する。トレーの遠位頬側壁及び遠位舌側壁上の暗い領域は、化合物が歯周インプラント周囲測定の全周に位置する開放領域に流入することを可能にするように設計された細孔又はポートチャネルを示す。トレーは、患者が歯根膜及び以前の歯肉縁下感染領域からの骨損失をもはや有さないことに起因して存在するトレー形成に利用可能な大きな保護されていない間隙を示す。このデバイスは、感染領域をクレンジングし、周囲の軟組織構造に恒常性及び安定性を取り戻させることが極めて困難な歯肉縁下周囲領域にアクセスするように設計された。使用した測定値は、歯周検査において歯周プローブから得た。測定値を使用して、患者が付着及び骨損失、炎症、出血、浮腫組織、露出した象牙質及び後退した歯肉ならびに硬い石灰化した歯石ならびに内因性及び外因性染色のエビデンスを有した位置、ならびにクラスIV進行性歯周疾患分類が存在する位置と一致するように細孔出口を位置決めした。典型的には、歯周チャートは、歯当たり最低6つのポケット深度の正確な測定値を確立する。歯周測定は、出血、陥凹、インプラント周囲の陥凹、分岐部病変、可動性、臨床的付着喪失又は(CAL)、歯肉縁、プラーク量、プロービング時の出血又は(BOP)、セメント-エナメル質接合部又は(CEJ)、インプラント、健康又は非健康なインプラント及びインプラント周囲組織、歯槽骨付着、歯肉過形成、疑似ポケット、インプラント周囲ポケット、及び審美ゾーンに関する情報を含み得る。歯当たり最低6回の測定で歯周測定値を確実にするために、アルギナート印象及びデジタルスキャンを行って歯科用装置トレーを製作した。トレーは、歯周チャートの所見をミラーリングすることによって、罹患組織中の溝への化合物の直接的送達を可能にした。
【0044】
図19】単一の罹患ポケット深度の化合物の送達又は外科用インプラントポケットへの化合物の送達のための上顎弓用の口腔内装置送達トレーの画像を提供する。図19Aは、図19Bに示されているトレー全体の一部の画像である。送達トレーは、送達リザーバを含む。
【0045】
図20】各歯ポケットの複数のポケット深度に化合物を送達するための下顎弓用の標準的な口腔内装置送達トレーの画像を提供する。送達トレーは送達細孔を含む。
【0046】
図21】処置前及び口腔内装置送達トレーによる化合物の1日2回15分間隔の送達の30日間後の3名の対象からの歯の画像を提供する。治療後、歯及び歯肉は改善される。プラーク、歯石(tartar)及び硬い歯石(calculus)の集積は、処置後に低減する。歯が処置前の組織と出会う縁の基部の白い石灰化した線は、縁を横切る白い画定された線を描く。2番目の処置後の画像では、硬い石灰化したプラークと歯石(tarter)の線がなくなっている。第2の例では、硬く石灰化したプラークに加えて黒色の濃いしみもなくなっている。これは、硬く石灰化したプラーク及びその罹患形成物に含有される病原体、バイオフィルム及び細菌が実質的に低減したことを実証する。これは、トレーデバイスの内部に設置された規定の場合の特定の化合物によって実質的に低減されている。患者は、朝に15分間及び夕方に15分間トレーを着用し、検査後10日間で病原体は実質的に低減し、患者の口腔及び全身の健康は本発明により有意に改善された。この患者の特注で製作されたトレーデバイスにおいて使用される化合物は、3%のエチルアルコール、ソルビン酸カリウム、ペパーミントオイル、キシリトール、1%のポビドンヨード及び1%のクロルヘキシジン溶液から構成される経口創傷クレンザーとして記載されている泡製剤中の1.7個の過酸化水素経口デブリーディング剤の組合せであり、ポートチャネルに直接アクセスして抗微生物性及び消毒性の酸素化クレンジング源として作用し、コロニー形成する病原体形成を破壊するために日常的に定常状態の時間測定間隔を達成し維持した。したがって、バイオフィルム、ペリクル及びプラークの石灰化のさらなる形成を破壊することならびに染色により、変性病原体を除去し、現在の単為生殖形成物のデブリーディングを確立する。この特定の組合せは、ホメオスタシスまでpHレベルを上昇させ、周囲の天然歯の構造の崩壊、さらなる歯周感染、膿瘍、周囲膿瘍、さらなる付着及び骨損失、口臭症などの変性作用の形成を減少させ、非常に多くの患者の口腔及び全体的な健康及び幸福を主張する進行した変性歯周疾患及び全身性疾患のこの困難で壊滅的な予後の広がりを減少させる。
【0047】
図22】処置前及び口腔内装置送達トレーによる化合物の1日2回の15分間隔の送達の30日間後の対象からの複数の歯の画像を提供する。
【0048】
白色の石灰化した線は、歯が処置前の画像の組織と出会う縁の基部におけるマーキングを区別し、縁を横切る白い画定された線を描く。2番目の処置後の写真では、その線はなくなっている。硬く石灰化したプラーク及びその罹患形成物に含有される病原体、バイオフィルム及び細菌は、実質的に低減している。これは、トレーデバイスの内部に設置された規定の場合の特定の化合物によって実質的に低減されている。これは、朝に15分間、夕方に15分間、検査時に10日間トレーを着用した患者によってなされ、病原体は低減し、患者の口腔及び全身の健康は本発明により有意に改善された。この症例の特定の患者が特注で製作されたトレーデバイスを用いて使用した化合物は、この対象の過敏性により異なる配合の組合せであった。この対象は、露出した象牙質及び歯ブラシ摩耗による陥凹、ならびに歯のミネラルを脱灰し、エナメル質ロッド及び象牙質表面の細管を乾燥させる市販のホワイトニング製品の過剰使用に関連する過敏性を経験していた。患者は、天然歯の構造のさらなる脱灰を最小限に抑えるように設計されたデブリーディング及び酸素化機構の組合せを必要とした。機序によって制限されるものではないが、脱灰は感度を増加させ、歯の変性を促進し、将来、激しい齲歯をもたらす場合がある。感度のための3%の硝酸カリウム、天然歯の構造の脱灰によるエチルアルコールなし、ソルビン酸カリウム、ペパーミントオイル、キシリトール、ゲル溶液に含まれる1%のポビドンヨード及び1%のクロルヘキシジン溶液、ならびに抗微生物性及び消毒性の酸素化クレンジング源として作用する1%のフッ化ナトリウムで構成される、経口創傷クレンザーとして記載されるゲル製剤中1.7%の過酸化水素経口デブリーディング剤の組合せを使用した。ポートチャネルへの直接的アクセスによるこの化合物の送達は、コロニー形成する病原体形成を破壊するために日常的に定常状態の時間測定間隔で化合物の送達を維持する。この組合せは、飲食に対する感度を低下させる快適性の大きな源を提供し、象牙細管を再石灰化させて、感度を低下させるだけでなく、露出した保護されていない歯の構造を強化することによって将来の齲蝕の潜在的なリスクも低下させた。機序によって制限されるものではないが、この組合せは、バイオフィルム、ペリクル及びプラークの石灰化のさらなる形成を破壊し得る。変性病原体を除去し、現在の病原体形成物のデブリーディングを導入することも有益であり得る。この特異的な組合せは、ホメオスタシスまでpHレベルを上昇させ、変性作用の形成を減少させた。変性作用としては、以下に限定されないが、周囲の天然歯の構造の崩壊、再建歯構造の不全、さらなる歯周感染、膿瘍、周囲膿瘍、さらなる付着及び骨損失、口腔乾燥及び口臭症が挙げられ得る。
【0049】
図23】進行した歯周分類を有する対象のためのより広いポートを有する歯周トレーの画像を提供する。この図は、2本の歯の6つの頬側ポートを示す。舌側ポートも存在し得る(図示せず)。
【0050】
図24】それにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、1つ又は複数の送達ポートを有する歯科デバイスを形成するための例示的なプロセスを示し、ポートの座標及び寸法は、対象の少なくとも1つの歯列弓に対して行われた歯周測定に基づく。
【0051】
図25】コンピュータ可読媒体206が本明細書に開示される方法のいずれかを実行するための命令を提供することができるコンピューティングシステム200を示す。
【0052】
図26図23に示されている口腔内装置送達トレーを用いた進行歯周症例の処置後のX線画像(Eaglesoft)を提供する。骨再生が起こり、インプラントが安定した。
【0053】
図27図23に示されている口腔内装置送達トレーを用いた進行歯周症例の処置後の口腔内画像を提供する。複数の歯周疾患関連症状の重症度は低下した。口腔の健康の改善は重要である。
【発明を実施するための形態】
【0054】
以下の節は、本発明の異なる態様をより詳細に説明する。本発明の各態様、実施形態、又は特徴は、そうでないことが明確に示されていない限り、本発明の任意の他の態様、実施形態、又は特徴と組み合わせることができる。
【0055】
他に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。
【0056】
値の範囲が提供される場合、各介在値は本発明に包含されることが理解される。より小さい範囲の上限及び下限は、より小さい範囲に独立して含まれてもよく、本出願に包含される。ある特定の範囲は、本明細書において、「約」という用語が先行する数値で示されている。「約」という用語は、それが先行する正確な数、及びその用語が先行する数に近いか又はほぼ近い数の文字通りの支持を提供するために使用される。ある数が具体的に列挙された数に近いか又はほぼ近い数であるかを決定する際に、近いか又は近似する列挙されていない数は、それが提示される文脈において、具体的に列挙された数の実質的な等価物を提供する数であってもよい。
【0057】
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、本明細書で使用される場合、1つの指示対象に明示的かつ明確に限定されない限り、複数の指示対象を含むことができる。
【0058】
歯周疾患は、世界的及び国家的に重要な問題である。歯周疾患は、多数の全身性疾患のリスク又は程度を増加させると考えられている。米国の成人の90パーセント超が体腔を有しており、4人に1人が未処置の体腔を有する。本出願の前に、遺伝的素因のある患者を含むがこれらに限定されない患者における歯周疾患の持続的なリスク低下のための有効な処置は存在しなかった。
【0059】
本出願は、歯周疾患のリスクがある患者の歯肉及び/又は歯肉縁下領域に化合物を送達するための口腔内装置トレーを提供する。口腔内装置トレーは、目的の化合物を対象の口腔内の1つ又は複数の歯の歯肉、歯肉縁上及び/又は歯肉縁下領域に非外科的に送達する。標準的な口腔内装置トレーと個別化された口腔内装置トレーの両方が提供される。口腔内装置トレーは、1日に複数回の使用、毎日の使用、複数回の断続的な日の使用、毎週の使用、又は毎月の使用を含むレジメンにおいて使用されてもよい。本明細書で後述するように、口腔内装置トレーは、対象の口腔の上顎弓又は下顎弓に使用されてもよい。いくつかの事例では、口腔内装置トレーは、対象の歯に適合するように形成される。いくつかの事例では、口腔内装置トレー内の1つ又は複数の送達ポートは、対象から得られた測定値に基づいて配置される。いくつかの事例では、1つ又は複数の送達ポートは、一般に、すべてのポケット深度に化合物を送達するように配置される。口腔内装置トレーの使用は、歯周病原体レベルの顕著な低下をもたらし、口腔の健康を予想外に改善した。
【0060】
さらに、口腔内装置送達トレーは、化合物を送達し、歯周疾患を処置するか、防止するか又はその進行を遅らせるために使用され得る。口腔内装置トレー及び化合物の使用は、歯周疾患関連症状の変更をもたらし得る。歯周疾患関連症状の変更が改善であり得ることが認識されている。第2、第3、第4又は第5の歯周疾患関連症状は、変化しなくてもよく、負に変化してもよく、又は第1の歯周疾患関連症状とは異なる程度に改善されてもよいことがさらに認識される。口腔内装置送達トレーは、1つ又は複数のインプラントを取り囲む軟組織における口腔ホメオスタシスを維持するために使用されてもよい。
【0061】
口腔送達トレーは、溝、ポケット、ポケット基部、象牙細管(1つ又は複数)、構造化壁、口腔組織、歯槽骨、歯根膜、歯根膜領域、歯根部、分岐部、インプラント及びインプラント基部、アバットメント、固定修復クラウン、修復物のブリッジマージン、ラミネート、ベニヤ、複合材及びアマルガムマージン修復物、インレイ、オンレイ、天然エナメル質、天然セメント質表面、繊維、接着歯肉及び非接着歯肉を含むがこれらに限定されない歯肉、歯肉縁上又は歯肉縁下領域への化合物の送達を提供する。
【0062】
歯肉縁上方領域では、歯の歯冠などの健康な歯において露出される歯の領域が意図される。歯肉領域とは、歯肉縁下領域、溝、歯根膜、歯根膜領域、歯根、歯科インプラント領域、及びインプラントベースを含むがこれらに限定されない群から選択される1つ又は複数の領域を含む歯肉領域を意図する。歯肉縁下領域は、歯肉の下の領域、特に歯肉と歯の歯冠の基部との間の領域を包含することを意図しており、溝、歯根膜、歯根膜領域、歯根、及びインプラント基部を含むがこれらに限定されない。
【0063】
「歯」は、食物の咀嚼のための天然に存在する硬い骨付属物及び口内の天然に存在しない硬い製造された物体を包含することを意図している。歯には、乳歯、永久歯、歯科インプラント、義歯、ブリッジ、キャップ、クラウン、インレイ及びオンレイ、金、複合材及びアマルガム修復物、外科的に埋め込まれた歯、取り外し可能な置換用アバットメント及び歯、充填物、ならびに部分義歯が含まれるが、これらに限定されない。健康な溝は、歯周プローブなしで0mm~3mmの深さである。
【0064】
送達により、示された領域への化合物の分配、設置、曝露、堆積、インキュベーション、搬送、輸送、又は供給が意図される。送達は、所定の期間にわたって、所定の間隔で、又は所定の間隔で所定の期間にわたって行われてもよい。トレーは、化合物の濃度を大幅に変更することなく、所定の位置に化合物を送達する。口腔内装置トレーは、少なくとも1本の歯、2本の歯、3本の歯、4本の歯、5本の歯、6本の歯、7本の歯、8本の歯、9本の歯、10本の歯、11本の歯、12本の歯、13本の歯、14本の歯、15本の歯、16本の歯、17本以上の歯の歯肉、歯肉縁下、又は歯肉及び歯肉縁下の領域に化合物を送達することができる。獣医学的口腔内装置送達トレーは、対象動物の口腔構造に適合することが認識されている。獣医学的口腔内装置送達トレーは、非ヒト哺乳動物種又は系統のための標準的な口腔内装置送達トレー及び特定の対象のための個別化された獣医学的口腔内装置送達トレーを包含することが理解される。
【0065】
「対象」とは、1つ又は複数の歯を含む口腔を有する任意の生物を意図する。対象には、以下に限定されないが、ヒト、飼育動物、家畜、ペット、ウマ、ウシ、イヌ、ネコ、ヒツジ、ラクダ科動物、ブタ、ヤギ及び霊長類を含む動物標本、獣医学的動物及び哺乳動物が含まれ得るがこれらに限定されない。
【0066】
いくつかの実施形態では、口腔内装置トレーは、以下に限定されないが、少なくとも1つの出口位置が対象の歯からの少なくとも1つの歯周測定値によって決定されるトレーを含む、対象の歯の1つ又は複数の測定値に合わせてパーソナライズされた個別の口腔内装置トレーである。「個別化された」及び「症例特異的」という用語は、本明細書において互換的に使用される。いくつかの実施形態では、口腔内装置送達トレーは、対象の歯の1つ又は複数の1つ又は複数の測定値及びユニバーサル又は標準的な出口ポートの設置又は配置に従って適合させたトレーを有する個別化されたトレーの組合せである。いくつかの実施形態では、口腔内装置トレーは、患者の口に適合させることができるか、又は一般的なサイズを選択することができる標準トレー又は汎用トレーであり、いずれの場合も、送達ポートは汎用的に配置される。
【0067】
「口腔内装置トレー」、「口腔内装置送達トレー」及び「歯科デバイス」は、本明細書において互換的に使用される。少なくとも1つの歯の歯肉及び/又は歯肉縁下領域に化合物を送達するための口腔内装置トレー10は、歯肉縁上部分20、歯肉送達領域30、及び歯肉送達領域内に出口45をそれぞれ含む1つ又は複数の送達ポート40を含むガスケットを備える。デバイスは、対象の歯の上部(上顎)の歯列弓、下部(下顎)の歯列弓、又はいずれかの歯列弓の一部のいずれかに適合するように割り当てられる。ガスケットは、略U字形であり、内面は、上顎弓又は下顎弓のいずれかの歯に適合するように形成される。口腔内装置トレーは、下顎弓口腔内装置トレー、上顎弓口腔内装置トレー、部分下顎弓口腔内装置トレー、又は部分上顎弓口腔内装置トレーであってもよい。ガスケットは、歯に適合する歯肉縁上部分を含み、形成された内面は、化合物が歯肉又は歯肉縁下領域に送達されるためのリザーバを提供する。ガスケットは、歯肉組織構造に適合するポートチャネルを有する歯肉送達領域を含む。個別化された口腔内装置トレーにおいて、歯肉縁上部分は、対象の歯及び対象の歯肉領域に適合する。標準的な口腔内装置トレーでは、歯肉縁上部分は、特定の歯列弓の標準的な歯形成に適合し、歯肉送達領域は、標準的な歯肉領域に適合する。
【0068】
「標準的な」歯形成及び「標準的な」歯肉領域とは、対象の集団から得られた平均的な歯形成又は歯肉領域を意図する。成人対象の標準的な形成は、若年対象の標準的な形成と異なり得ることが認識され、標準的な形成が種によって異なり得ることも認識されている。
【0069】
ガスケットは、歯肉送達領域内に出口45を含む1つ又は複数の送達ポート40を含む。「送達ポート」及び「ポートチャネル」という用語は、本明細書において互換的に使用される。1つ又は複数の出口は、歯肉送達領域内に位置し、歯の顔面側、頬側、口唇側、舌側、口蓋側、近位側、前庭側、咬合側の近くのガスケットに配置されてもよい。一態様では、出口は、頬側歯肉領域、頬側歯肉縁下領域、頬側歯肉縁上領域、顔面歯肉領域、顔面歯肉縁下領域、顔面歯肉縁上領域、隣接面歯肉領域、隣接面歯肉縁下領域、隣接面歯肉縁上領域、咬合歯肉領域、咬合歯肉縁下領域、及び咬合歯肉縁上領域を含む群から選択される歯の領域に化合物を送達する。送達ポートは、送達リザーバ、及び歯肉縁上領域内に位置する入口55を含む送達細孔50を含む群から選択され得る。
【0070】
出口位置は、化合物を歯肉、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に送達するための汎用的に配置された普遍的な出口位置であり得る。出口は、個別化された出口位置に配置又は設置されてもよい。個別化された出口位置は、対象からの歯の少なくとも1つの歯周測定値によって決定され得る。出口の配置は、1つ又は複数の座標で記載されてもよい。個別化された出口位置は、対象からの歯の複数の歯周測定値によって決定されてもよい。いくつかの態様では、個別化された出口位置は、対象からの歯の少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20個、ならびに最大198個の歯周測定値によって決定されてもよい。一態様では、出口位置は、対象の歯からの6つのセクターの歯周測定値によって決定される。歯のセクターの歯周測定値が、セクターが歯周疾患のリスクがあることを示す場合、送達ポート出口は、リスクがあるセクターの近位のトレーの送達領域内に配置される。歯のセクターの歯周測定値がセクターが健康であることを示す場合、口腔内装置トレーはそのセクターの近位に出口を有していなくてもよい。歯のセクターの歯周測定値が、セクターが健康であるが不健康なセクターに隣接していることを示す場合、口腔内装置トレーは、健康なセクターの近位に出口を有してもよい。異なる歯周測定値を使用して、同じ歯又は異なる歯の追加の出口の位置を決定することができることが認識される。出口位置を決定するために使用される歯周測定値の数は、同じ個別化された口腔内装置トレーで異なる出口に対して異なり得ることが認識される。出口は、化合物を歯肉、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に送達するために、トレーの歯肉送達領域内に位置するか、配置されるか又は置かれる。インプラントを取り囲む1つ又は複数の歯科領域への化合物の送達は、インプラントを取り囲む1つ又は複数の追加の歯科領域への化合物の送達を含み得ることが理解される。
【0071】
少なくとも1つの送達ポートの出口の寸法は変化し得る。標準的な送達トレーでは、出口寸法は、意図された送達領域とほぼ相関するように予め決定されてもよい。このような近似は、対象の平均群又は集団からの測定値に基づいてもよい。個別化された送達トレーでは、出口の寸法は、少なくとも1つの歯周測定値と相関し得る。出口の高さは、約0.1mm~約60mm、0.1mm~約50mm、約0.25mm~約50mm、約0.25mm~約40mm、約0.3mm~約30mm、約0.3mm~約25mm、約0.4mm~約20mm、約0.5mm~約19mm、約0.5mm~約18mm、約0.5mm~約17mm、約0.5mm~約16mm、約0.5mm~約15mm、約0.5mm~約14mm、約0.5mm~約13mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約11mm、約1mm~約20mm、約1mm~約19mm、約1mm~約18mm、約1mm~約17mm、約1mm~約16mm、約1mm~約15mm、約1mm~約14mm、約1mm~約13mm、約1mm~約12mm、約1mm~約11mm、約2mm~約20mm、約3mm~約20mm、約4mm~約20mm、約2mm~約15mm、約3mm~約15mm、約4mm~約15mm、約2mm~約12mm、約3mm~約12mm、及び約4mm~約12mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、高さは、0.25mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、2.75mm、3mm、3.25mm、3.5mm、3.75mm、4mm、4.25mm、4.5mm、4.75mm、5mm、5.25mm、5.5mm、5.75mm、6mm、6.25mm、6.5mm、6.75mm、7mm、7.25mm、7.5mm、7.75mm、8mm、8.25mm、8.5mm、8.75mm、9mm、9.25mm、9.5mm、9.75mm、又は10mmの範囲であり得る。
【0072】
出口の幅は、約0.1mm~約60mm、0.1mm~約50mm、約0.25mm~約50mm、約0.25mm~約40mm、約0.3mm~約30mm、約0.3mm~約25mm、約0.4mm~約20mm、約0.5mm~約19mm、約0.5mm~約18mm、約0.5mm~約17mm、約0.5mm~約16mm、約0.5mm~約15mm、約0.5mm~約14mm、約0.5mm~約13mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約11mm、約1mm~約20mm、約1mm~約19mm、約1mm~約18mm、約1mm~約17mm、約1mm~約16mm、約1mm~約15mm、約1mm~約14mm、約1mm~約13mm、約1mm~約12mm、約1mm~約11mm、約2mm~約20mm、約3mm~約20mm、約4mm~約20mm、約2mm~約15mm、約3mm~約15mm、約4mm~約15mm、約2mm~約12mm、約3mm~約12mm、及び約4mm~約12mmの範囲であり得る。いくつかの実施形態では、幅は、0.25mm、0.5mm、1mm、1.5mm、2mm、2.5mm、2.75mm、3mm、3.25mm、3.5mm、3.75mm、4mm、4.25mm、4.5mm、4.75mm、5mm、5.25mm、5.5mm、5.75mm、6mm、6.25mm、6.5mm、6.75mm、7mm、7.25mm、7.5mm、7.75mm、8mm、8.25mm、8.5mm、8.75mm、9mm、9.25mm、9.5mm、9.75mm、又は10mmの範囲であり得る。
【0073】
任意の出口寸法は、歯周測定値と相関し得る。相関は、1:1、1:1.25、1:1.5、1:1.75、1:2、1:2.5、1:3、1:3.5、1:4、1:4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、1:10、10:1、9.5:1、9:1、8.5:1、8:1、7.5:1、7:1、6.5:1、6:1、5.5:1、5:1、4.5:1、4:1、3.5:1、3:1、2.5:1、2:1、1.75:1、1.5:1、及び1.25:1の範囲内であり得る。いくつかの態様では、出口の寸法は、歯周疾患のリスクがある歯の領域の寸法と一致し得る。例えば、限定されないが、歯周測定値は、5mmの出口高さと相関して、歯周疾患のリスクがある領域に対して5mmの深さを示し得る。いくつかの態様では、出口の寸法は、歯周疾患のリスクがある歯の面積の寸法を超える場合がある。いくつかの態様では、出口の高さ及び幅はそれぞれ、少なくとも1つの歯周測定値と相関する。出口の高さ及び幅は、同じ歯周測定値又は異なる歯周測定値と相関し得る。
【0074】
一態様では、ガスケットは送達リザーバを含む。送達リザーバとは、化合物が保持される口腔須知送達トレーの一部を意図する。送達リザーバは、窪み、空隙、溝、ポケット、中空、トラフ、凹み、スリット、開口又はノッチを含むことができるが、これらに限定されない。送達リザーバは、出口、特に、トレーが対象の口内に配置された場合に、対象の歯の歯肉、歯肉縁下又は歯肉及び歯肉縁下の領域に近接する出口を含んでもよい。個別化されたトレーでは、出口の寸法は、1つ又は複数の歯周測定値によって決定される歯周疾患のリスクがある歯の面積と相関する。トレーが対象の口内に配置される場合、送達リザーバは、1つ又は複数の歯の歯肉領域の近位に化合物を維持する。
【0075】
一態様では、ガスケットは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を含む1つ又は複数の送達細孔を含む。「送達細孔」及び「送達チャネル」という用語は、本明細書において互換的に使用される。1つ又は複数の入口は、形成された内面の歯肉縁上部分に位置する。化合物は、1つ又は複数の入口を介して細孔に入り、送達細孔を通って歯肉送達領域の1つ又は複数の出口に流れる。トレーが、1つ又は複数の歯又は歯科インプラントの1つ又は複数の領域に化合物を送達し得ることが認識される。様々な態様では、ガスケットの形成された内面は、トレー全体及び1つ又は複数の歯肉縁上面にわたる化合物の流れを可能にする。よって、化合物が歯肉縁上面に送達されることが認識される。
【0076】
送達細孔又は送達チャネルは、化合物が少なくとも1つの入口から少なくとも1つの出口まで送達細孔を通って流れることを可能にするのに十分な直径のガスケット内の連続通路である。送達細孔の構造は、円形、長方形、楕円形、三角形及び多角形を含むがこれらに限定されない任意の形状であってもよい。送達細孔の構造は、細孔の長さに沿って変化し得ることが認識されている。いくつかの実施形態では、細孔は円形であり、このような場合、細孔は「直径」などの用語で説明することができる。いくつかの実施形態では、細孔は、高さ及び幅などの用語で説明することができる。細孔高さは、連続通路の寸法を指し、細孔幅は、細孔高さから90°だけオフセットされた連続通路の第2寸法を指す。細孔高さと細孔幅の両方は、細孔長さからオフセットされる。単一の入口を有する送達細孔が複数の出口を有し得ることが認識されている。送達細孔が、複数の入口及び複数の出口を有し得ることが認識されている。複数の入口を有する送達細孔は単一の出口を有し得ることが認識されている。対象の口の中に口腔内装置トレーを配置すると、1つ又は複数の送達細孔を通る化合物の流量が増加し得ることが理解される。
【0077】
細孔長は、入口から出口までの距離である。孔の長さは、0.1mmから歯根、歯肉及び基礎骨を含む任意の歯の構造の全長までの範囲であり得る。細孔長さは、0.1mm~およそ40mm、0.3mm~およそ35mm、0.5mm~およそ30mm、0.6mm~およそ30mm、0.7mm~およそ30mm、0.8mm~およそ30mm、0.9mm~およそ30mm、1mm~およそ28mm、1mm~およそ26mm、1mm~およそ25mm、0.7mm~およそ28mm、0.7mm~およそ26mm、0.7mm~およそ25mm、0.7mm~およそ24mm、0.7mm~およそ23mm、0.7mm~およそ22mm、0.7mm~およそ21mm、0.7mm~およそ20mm、0.7mm~およそ19mm、0.7mm~およそ18mm、0.7mm~およそ17mm、0.7mm~およそ16mm、0.7mm~およそ15mm、0.7mm~およそ14mm、0.7~およそ13mm、0.7mm~およそ12mm、0.7mm~およそ11mm、0.7mm~およそ10mm、0.7mm~およそ9mm、0.7mm~およそ8mm、0.7mm~およそ7mm、0.7mm~およそ6mm、0.7mm~およそ5mm、0.7mm~およそ4mm、1mm~およそ3mm、及び1mm~およそ2mmの範囲であり得る。細孔は、曲がるか、回転するか、湾曲するか、傾斜するか、又は分割する場合がある。
【0078】
細孔直径は、約0.1mm~約60mm、0.1mm~約50mm、約0.25mm~約50mm、約0.25mm~約40mm、約0.3mm~約30mm、約0.3mm~約25mm、約0.4mm~約20mm、約0.5mm~約19mm、約0.5mm~約18mm、約0.5mm~約17mm、約0.5mm~約16mm、約0.5mm~約15mm、約0.5mm~約14mm、約0.5mm~約13mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約12mm、約0.5mm~約11mm、約1mm~約20mm、約1mm~約19mm、約1mm~約18mm、約1mm~約17mm、約1mm~約16mm、約1mm~約15mm、約1mm~約14mm、約1mm~約13mm、約1mm~約12mm、約1mm~約11mm、約2mm~約20mm、約3mm~約20mm、約4mm~約20mm、約2mm~約15mm、約3mm~約15mm、約4mm~約15mm、約2mm~約12mm、約3mm~約12mm、及び約4mm~約12mmの範囲であり得る。
【0079】
口腔内装置トレー上の各送達ポートの寸法が、互いに異なっていてもよく、又は同じであってもよいことが理解される。2つ以上の送達ポートが同じ寸法を有し得ることが認識される。
【0080】
ガスケットの厚さは変化する。ガスケットは、0.03インチ~およそ0.75インチの厚さ、好ましくは0.03インチからおよそ0.5インチの厚さの範囲であってもよい。歯肉縁上部分及び歯肉送達領域を備えるガスケットは、歯に適合するように形成される。汎用口腔内装置トレーは、一般的な又は平均的な歯列弓に対して形成されてもよい。
【0081】
個別化された口腔内装置トレーのガスケットの形成された内面は、対象の歯、内部輪郭、口腔、ポケット深度、溝、結合組織、線維、間膜、付着した歯肉、及び付着していない歯肉を含む群から選択される1つ又は複数の口腔構造に適合するように形成されてもよい。1つ又は複数の口腔構造に適合するようにガスケットを形成する方法は当技術分野で公知であり、印象、型、手動型、デジタル型、手動印象、物理モデル印象、物理モデル手動印象、デジタル印象、CTスキャン、X線スキャン、及び臨床歯周チャートを含んでもよい。口腔内装置トレーを製作する方法は、当技術分野で公知である。口腔内装置トレーを製作する方法は、レーザ切断、層堆積、レーザ印刷、レーザ堆積、成形、手動印象の鋳造及び製作、デジタル化印象の鋳造及び製作、Iteroデジタルスキャン、CTスキャン及びMRI技術を含むことができるが、これらに限定されない。形成された内面の歯ポケットの長さ、深さ及び幅は、対象の口の中の歯構造の長さ、深さ及び幅を補完する。当技術分野で公知の対象の歯列弓の形態を決定する任意の方法を、現在の方法で使用することができる。対象の歯列弓の形態を決定する方法は、印象、型、手動型、デジタル型、手動印象、物理モデル印象、物理モデル手動印象、デジタル印象、CTスキャン、X線スキャン、及び臨床歯周チャートを含み得るが、これらに限定されない。
【0082】
出口位置は、少なくとも1つの歯からの少なくとも1つの歯周測定値によって決定され得る。歯周測定には、プローブ周囲測定、X線測定、及びCTスキャン測定が含まれるが、これらに限定されない。歯周測定には、歯肉縁、ポケット形成深度、プラーク測定、プロービング時の出血、分岐、可動性、インプラント周囲のプロービング深度、インプラント周囲の粘膜、粘膜縁、再建欠陥、構造的欠陥、臨床的付着、陥凹、インプラント周囲の陥凹、歯槽骨損失、二次的な骨損失、付着喪失、セメント-エナメル質接合部、歯肉過形成、歯肉過成長、疑似ポケット形成深度、審美ゾーンの縁、残留ポケット形成深度及びインプラント周囲炎の測定が含まれるが、これらに限定されない。歯又はインプラントごとに任意の数の歯周測定値を得ることができることが認識されている。一態様では、歯又はインプラントごとに6つの歯周測定値を使用して、出口位置を決定する。6つの適切な歯周測定の例を図17に示す。出口位置は、1つ又は複数の歯周測定値に基づいて歯周疾患のリスクがある部位に対応し得る。歯周プローブ測定値が1~3mmであり、その部位に感染又は疾患の視覚的指標がない場合、歯周部位は健康であると考えられ得る。部位が感染又は疾患の指標を有し、又は歯周プローブ測定値が3mmを超える場合、歯周部位は歯周疾患のリスクがあると考えることができる。個別化された口腔内装置トレーにおいて、ポート出口は、トレーが口腔内に配置された場合に、出口が歯周疾患のリスクのある部位の近位にあるようにトレー上に配置されてもよい。よって、口腔内装置トレーは、歯の各歯周セクションの近位にポート出口を有してもよく、又は歯の各歯周セクションよりも少ない歯周セクションの近位にポート出口を有してもよい。
【0083】
咬合面から観察した場合、歯が複数のセクションに分割され得ることが認識される。歯周の測定値は、各セクションから得ることができる。歯は、以下に限定されないが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、又はそれより多くのセクションを含む多くのセクションに分割され得ることが認識される。いくつかの態様では、好ましいセクションの数は、1~50の範囲、1~25の範囲、1~12の範囲、2~10の範囲、3~9の範囲、4~9の範囲、4~8の範囲、5~8の範囲、又は5~7の範囲である。いくつかの事例では、1つ又は複数のセクションからプローブ周囲の測定値が得られる。
【0084】
好ましい実施形態は、歯又はインプラントごとに6つの部位からの歯周測定値を使用する。Perio Probe Charting:歯周ポケットと付着レベルの両方の測定のための歯又はインプラントごとの6つの部位の選択が重要である。各歯又はインプラントは、咬合面から観察した場合、6つのセクションに分割される。歯周又はインプラント周囲のプロービング深度が最も深い部位は、周辺プローブでプロービングする際に各セクションについて記録されるべきである。口腔内装置トレーを製造する様々な実施形態は、歯周プローブの角度を含むがこれに限定されない他の測定された寄与因子を用いて歯当たり6つの部位のそれぞれの最深部で歯周測定値を記録することと、口腔内装置トレーが口腔内に配置された場合に1つ又は複数の送達ポート出口が歯周疾患のリスクがある各セグメントの近位にあるように配置された1つ又は複数の送達ポート出口を有する口腔内装置トレーを製作することとを含み得る。歯周プローブは、歯周プロービング深度を測定するために歯根表面に沿って挿入される。器具は、歯の長軸に平行に保ちながら(頬舌方向の角度付けを回避しながら)近心-遠心方向にそれぞれ角度付けされるべきである。周辺プローブ測定では、歯肉縁、ポケット形成深度、プラーク測定、プロービング時の出血、分岐、可動性、インプラント周囲のプロービング深度、インプラント周囲の粘膜、粘膜縁、再建欠陥、構造的欠陥、臨床的付着、陥凹、インプラント周囲の陥凹、歯槽骨損失、二次的な骨損失、付着喪失、セメント-エナメル質接合部、歯肉過形成、歯肉過成長、疑似ポケット形成深度、審美ゾーンの縁、残留ポケット形成深度、インプラント周囲炎に寄与する測定値を含む文書を記録する。
【0085】
このデバイスでは、本発明者らは、標準的な歯周プローブ測定及びデジタルスキャンを使用して、各歯周プローブ歯及び全歯列までに必要な各歯周分類の正確な深さ及び関与を決定する。すべての用語及び説明を用いた完全な歯周検査及び評価は、口腔粘膜及び口腔を含む最大歯列全体で最低6つの歯周プロービング測定値を有する各指定された歯の詳細を包含する。完全な歯周検査よりも少ない歯周検査からの歯周測定値が、口腔内装置送達トレーを製造するために使用され得ることが認識されている。
【0086】
歯周プローブチャートは、当技術分野で知られている。典型的には、歯又はインプラントあたり最低6つの部位が使用される。いくつかの実施形態では、歯当たり6つの歯周測定は、近心頬側測定、直接頬側測定、遠位頬側測定、近心舌側測定、直接舌側測定及び遠位舌側測定である。近心頬側測定、直接頬側測定、遠位頬側測定、近心舌側測定、直接舌側測定及び遠位舌側測定などの歯周測定が、複数の態様に影響を及ぼし得ることが認識されている。例えば、直接的な舌の測定値が、セクションが歯周疾患のリスクがあることを示す場合、送達ポート出口は、直接的な舌のセクションに配置され得る。直接舌側測定のプロービング深度は、送達ポート出口の寸法と相関し得る。測定値があるセクションが歯周疾患のリスクがないことを示す場合、そのセクションに出口がないことが望ましいと決定することができる。歯周プローブチャート化には、分岐部病変、歯の可動性、歯肉縁、プロービング深度及び付着レベルの評価を含み得る。例えば、www.perio-tools.comによるPeriodontal Chart-Department of Periodontology School of Dental Medicine University of Bern-Switzerland-copyrightを参照されたい。図1A図1B、及び図3図8は、www.perio-tools.comから得られた図に基づいている。
【0087】
歯周ポケットと付着レベルの両方の測定のための歯又はインプラント当たり6つの部位の選択は重要である。各歯又はインプラントは、咬合面から観察した場合、6つのセクションに分割される。歯周又はインプラント周囲のプロービング深度が最も深い部位を各セクションについて記録する。歯周プローブは、歯周プロービング深度を測定するために歯根表面に沿って挿入される。器具は、歯の長軸に平行に保ちながら(頬舌方向の角度付けを回避しながら)近心-遠心方向A又はBにそれぞれ角度付けされるべきである。上顎のすべての臼歯及び第1小臼歯の分岐は、分岐プローブを用いて評価されるべきである。分岐部病変は、患者が手を伸ばしてアクセスすることが最も困難な態様であり、したがって手入れして清潔に保つことが極めて困難である。多くの歯周病原体は、これらの領域に毎日定着し、機序によって制限されるものではないが、進行した骨及び付着の喪失の増加に寄与する。プロービングの水平成分は、以下の基準に従って等級付けされる(0~3):
グレード0=フルカチオンが検出されない
グレード1=検出可能なフルカチオン、プロービングの水平成分≦3mm
グレード2=検出可能なフルカチオン、プロービングの水平成分>3mm
グレード3=分岐部が貫通して開口している
歯の可動性は、2つのシングルエンド機器を使用して決定され、基準に従って評価されるべきである。
グレード0=正常な(生理学的な)歯の可動性
グレード1=検出可能な可動性(水平方向に最大1mm)
グレード2=検出可能な可動性(水平方向に1mm超)
グレード3=検出可能な垂直方向の歯の可動性
【0088】
臨床歯周チャートの目標は、歯肉陥凹、プロービング深度、及び付着レベルを歯又はインプラントあたり6つの部位でmm単位で記録することである。歯周プローブで測定されたすべての読み取り値をまとめることが一般的である。
【0089】
すべての部位で、「歯肉縁」の値が最初に決定され、続いて歯周の測定「プローブ深さ」が行われる。「歯肉縁」は、臨床的歯肉縁から、ほとんどの場合、セメントエナメル質接合部などの任意の所与の基準までの距離である。クラウン縁及び修復縁は、それらがセメントエナメル質接合部(CEJ)に対して少なくとも3mmの頂端であれば基準として選択されるべきであり、そうでなければ、仮想基準線は元のセメントエナメル質接合部の位置で選択されるべきである。「プローブ深さ」は、それぞれ、歯肉縁と歯肉溝又は歯周ポケットの底との間の距離である。各部位の「付着レベル」は、以下の式に基づいて計算される:
プローブ深さ(mm)-歯肉縁(mm)=付着レベル(mm)
【0090】
健康な歯周組織では、セメントエナメル質接合部は、歯肉縁の下及び付着レベルのすぐ上に位置する。健康な歯周組織を有する部位での付着喪失はない。この場合、歯肉縁とプロービング深度との両方の値は同一であり、付着レベルは0mmである。健康なインプラント周囲部位では、上側構造の縁部は、インプラント周囲の粘膜の縁部のいくらか下に位置する。健康なインプラント周囲部位における歯槽骨損失はない。このような場合、付着レベル又は歯槽骨レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:付着レベル=プロービング深度-粘膜縁。
【0091】
歯肉の過成長又は歯肉の過形成の場合、セメント-エナメル質接合部は、歯肉縁のはるか下であるが付着レベルのすぐ上に位置し得る。このような事例では、歯肉縁とプロービング深度の値は同一である場合があり、付着レベルは0mmである。疑似ポケットは、4mm以上のポケットであり、付着喪失はない。
【0092】
健康なインプラント周囲部位では、審美ゾーンにおいて、上部構造の縁はインプラント周囲の粘膜の縁のさらに下方に位置する。審美ゾーンの健康なインプラント周囲部位では、歯槽骨損失はほとんど又は全くない。このような場合、付着レベル又は歯槽骨レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:付着レベル=プロービング深度-粘膜縁。いくつかの罹患部位では、セメント-エナメル質接合部は、歯肉縁のいくらか下又は上に位置し得る。次いで、歯肉縁と歯周ポケットの底との間の距離が歯周プロービング深度として記録される。このような場合、付着レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:付着レベル=プロービング深度-歯肉縁。能動的歯周治療後に4mmを超える歯周ポケットは、残留ポケットとしても知られている。
【0093】
インプラント周囲炎を有する部位では、上部構造の縁は、インプラント周囲の粘膜の縁のいくらか下又は上に位置し得る。次いで、粘膜縁とインプラント周囲ポケットの底部との間の距離がインプラント周囲プロービング深度として記録される。付着レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:付着レベル=プロービング深度-粘膜縁。
【0094】
歯肉陥凹は、歯肉縁がセメント-エナメル質接合部の頂端に位置する場合に見られる状態である。歯肉縁として記された値は、負の値として記録されるべきである。付着レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:付着レベル=プロービング深度-歯肉縁。
【0095】
インプラント周囲陥凹は、粘膜縁が上部構造の縁の頂端に位置する場合に見られる状態である。粘膜縁として示される値は、負の値として記録される。このような場合、歯槽骨(付着)レベルは、以下の式に基づいて計算することができる:歯槽骨(付着)レベル=プロービング深度-粘膜縁。
【0096】
個別化された口腔内装置トレーを製造する方法が提供される。本方法は、対象の歯から少なくとも1つの歯周測定値を取得する工程と、対象の歯列弓の形態を決定する工程と、少なくとも1つのポートの出口の位置を少なくとも1つの歯周測定値と相関させる工程と、a)歯肉縁上部分、(b)歯肉送達領域及び(c)歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含む、対象の歯列弓の形態に対して相補的なガスケットを備える個別化された口腔内装置トレーを形成する工程であって、前記送達ポートが、送達リザーバ及び歯肉縁上部分に配置された入口を含む送達ポートを含む群から選択される、工程とを含む。「~に対して相補的である」とは、構造的に逆、反対又は逆の形態を意図し、例えば、鋳型はその鋳造物に対して相補的である。
【0097】
「バイオフィルム」及び「イブニングバイオフィルム」は、本明細書において互換的に使用される。バイオフィルムの形成は、昼夜連続して起こる。バイオフィルムは、グラム陰性細菌、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)、キャプノサイトファーガ(Capnocytophaga)種、キャプノサイトファーガジンジバリス(Capnocytophaga gingivalis)、キャプノサイトファーガオクラチエ(Capnocytophaga ochracea)、キャプノサイトファーガスプティゲナ(Capnocytophaga sputigena)、エイケネラ(Eikenella)種、ラクトバチリス(Lactobacillis)種、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカスソブリナス(Streptococcus sobrinus)、及びストレプトコッカス(Streptococcus)種を含む群からの1つ又は複数の細菌を含み得る。バイオフィルムは、バイオフィルムの固体化合物、軟プラーク、硬い石灰化したプラーク、歯石(tartar)、歯石(calculus)、内因性染色、外因性染色、溝滲出液の増加、疾患に寄与するpHレベルの変化、酸性唾液化合物、リポ多糖もしくは(LPD)、発酵炭水化物、又はコラゲナーゼの増加に寄与し得る。
【0098】
歯周疾患のリスクがある対象には、以下に限定されないが、齲蝕の程度が高い対象、歯周疾患の初期段階の対象、歯科インプラントを有する対象、30歳を超える対象、家庭の歯の衛生状態が悪い病歴を有する対象、歯周疾患の病歴を有する対象、歯周疾患の家族歴を有する対象、素因となるIL-1多型を有する対象、素因となるIL-2多型を有する対象、素因となるIL-6多型を有する対象、ILIAの4845位及びILIBの3954位にあるチミン塩基の存在、発酵性炭水化物の食事摂取量が多いこと、糖尿病、喫煙、咀嚼タバコ及び嗅ぎタバコ様製品の使用、疾患の生物学的マーカーを有する対象、衰弱状態の病歴を有する対象、脱灰化のリスクがある対象、齲蝕のリスクがある対象、プロービング時に出血のリスクがある対象、炎症又は変性のリスクがある対象、放線菌及び好気性球菌バイオフィルム蓄積の増加のリスクがある対象、術前細菌処置を必要とする対象、術後細菌処置を必要とする対象、術前感受性のリスクがある対象、術後感受性のリスクがある対象、歯の不快感のリスクがある対象、食作用のリスクがある対象、高応答性食作用のリスクがある対象、インターロイキン、プロスタグランジン及びサイトカインの過剰産生のリスクがある対象、嫌気性グラム陰性細菌の制御不能なコロニー形成のリスクがある対象、エンドトキシンのリスクがある対象、溝滲出液の増加のリスクがある対象、酸性唾液産生の増加のリスクがある対象、C反応性タンパク質(CRP)レベルの増加、負の自己免疫応答、変性バイオフィルムマーカーの増加、リポ糖の増加、低応答性食細胞、インターロイキン過剰産生、プロスタグランジンのレベルの増加、サイトカインの増加、急性期タンパク質の全身レベルの増加、血漿抗体レベルの増加、凝固因子の増加、総白血球数の増加、好中球の増加、INF-γの増加、TNF-αの増加、IL-1βの増加、IL-2の増加、IL-6の増加、破骨活性、骨損失、基礎的骨損失、構造的骨損失、口腔組織の破壊、歯根及び象牙質への曝露、エナメル質又は象牙質の菲薄化又は摩耗、歯ぎしり、濃い粘液の増加、バイオフィルム形成の増加、唾液産生の減少及び過敏症のリスクがある対象、口腔又は全身の自己免疫応答のリスクがある対象、インプラント周囲炎のリスクがある対象、インプラント(1つ又は複数)不全のリスクがある対象、慢性口腔乾燥のリスクがある対象、口臭症のリスクがある対象、全身疾患のリスクがある対象、及び慢性疾患からの薬物療法から影響のリスクがある対象が含まれる。
【0099】
疾患の生物学的マーカーを示す対象は、疾患の少なくとも1つの生物学的マーカーを示す対象である。疾患の生物学的マーカーには、以下に限定されないが、リポ多糖の増加、低応答性食細胞、インターロイキンの過剰産生、プロスタグランジンのレベルの増加、サイトカインの増加、急性期タンパク質の全身レベルの増加、血漿抗体レベルの増加、凝固因子の増加、総白血球数の増加、好中球の増加、INF-γの増加、TNF-αの増加、IL-1βの増加、IL-2の増加、IL-6の増加、C反応性タンパク質の増加、及びpHレベルの低下が含まれる。
【0100】
歯科インプラントは、食物残屑、軟らかいプラーク、硬い石灰化したプラーク、残屑の蓄積、歯石の形成、及びバイオフィルムの形成から保護されていない。歯科インプラントは、電気化学的分解、腐食、生体毒素又は生体毒性イオンの口腔内への放出及びpHレベルの変化を経験し得る。よって、歯科インプラントは歯周疾患のリスクとなる。
【0101】
歯周疾患は、様々な身体的特徴及び臨床基準に基づいて異なる段階に分類され得る。歯周疾患のいくつかの臨床基準及び段階を表1に記載する。臨床基準には、以下に限定されないが、プロービング時の出血(BOP)、及び3mmを超えるプローブ深さが含まれる。約3mmを超えるプローブ深度は、ある種の歯周疾患を示唆する。健康段階から不健康段階への進行を図11Aに示す。歯周疾患が進行するにつれて、歯肉、歯肉縁下及び/又は歯肉縁上領域のpHレベルが低下し得る。機序によって制限されるものではないが、歯周疾患の進行中に存在するより低いpHレベル、より多い溝滲出液の流れ及びより少ないレダックス(redux)は、グラム陰性細菌の増殖に適した酸化的減少及びより低い酸素濃度をもたらし得る。この場合も、機序によって制限されるものではないが、pHレベルを健康レベルに回復させることにより、歯周疾患関連症状のリスクを低下させることができる。
【表1】
【0102】
歯周疾患には、以下に限定されないが、インプラント周囲炎、インプラント不全、歯根の崩壊、歯周膿瘍、歯肉感染、膿漏、口臭症、口腔乾燥症、歯肉炎、炎症、口腔組織の破壊、齲蝕、及び齲歯が含まれる。
【0103】
歯周疾患は、分岐部病変、分岐部浸潤、プロービング時の出血、出血、骨形成の変性、基礎的骨損失、及び構造的骨損失などの合併症をもたらし得る。
【0104】
「分岐部病変」及び「分岐部浸潤」とは、歯根の分岐点における骨欠損の領域を意図する。分岐部病変は歯の損失につながる場合がある。
【0105】
インプラント周囲炎は、歯科インプラントを取り囲む領域の感染症である。インプラント周囲炎は、インプラント不全及びインプラントの除去さえももたらし得る。
【0106】
歯周疾患に関連する症状は、当技術分野で公知である。歯周疾患関連症状には、以下に限定されないが、分岐部病変、脱灰、分岐部浸潤、発赤、プロービング時の出血、激しい痛み、痛み及び炎症の増加、プローブ深さの増加、感度、温度感受性、歯石沈着、プラーク形成、軟プラーク形成、バイオフィルム形成の増加、軟組織損失、歯槽骨損失、歯周膿瘍、ペリクル形成、炎症、限局性炎症、全身性炎症、嫌気性グラム陰性細菌による定着、エンドドキシンレベルの増加、唾液産生の減少、酸性唾液配合物、溝滲出液の増加、C反応性タンパク質レベル(CRP)の増加、負の自己免疫応答、変性バイオフィルムマーカーの増加、食作用、リポ多糖の増加、低応答性食細胞、インターロイキンの過剰産生、プロスタグランジンのレベルの増加、サイトカインの増加、急性期タンパク質の全身レベルの増加、血漿抗体レベルの増加、凝固因子の増加、総白血球数の増加、好中球の増加、INF-γの増加、TNF-αの増加、IL-1βの増加、IL-2の増加、IL-6の増加、破骨細胞活性、骨損失、基礎的骨損失、構造的骨損失、口腔組織の破壊、歯根の露出、エナメル質の菲薄化、歯ぎしりからのエナメル質の摩耗、象牙質の摩耗、濃い粘液の増加、バイオフィルム形成の増加、唾液産生の減少及び過敏症が含まれる。1つ又は複数の歯周疾患関連症状が歯のそのセグメントに存在する場合、又は1つ又は複数の歯周疾患関連症状が隣接又は近接するセグメントに存在する場合、歯のセグメントは歯周疾患のリスクがある。「セグメント」、「セクション」、「部分」、及び「分割」という用語は、本明細書において互換的に使用され得る。
【0107】
歯周疾患関連症状の改善には、再石灰化、象牙細管へのバリアの増加、感度の低下、温度感受性の低下、プロービング深度の減少、プロービング時の出血の低減、溝滲出液の減少、pHレベルの増加及びバイオフィルム配合物の減少、ならびに疾患及び疾患過程に寄与する変性病原体及び生物学的マーカーの存在が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0108】
歯周の健康の改善は、歯周炎又は歯周の健康不良に関連する1つ又は複数の状態のリスクを低減し得る。歯周炎又は歯周の健康不良に関連する状態には、心血管疾患、脳卒中、動脈硬化症、呼吸器感染症、肺疾患、耳鼻咽喉感染症、認知症、脳疾患、アルツハイマー病、未熟児出生、早期出生率、妊娠合併症、口腔がん、がん、糖尿病、自己免疫障害、骨及び関節の疾患、関節炎、関節リウマチ、消化管疾患、勃起不全、肥満、腸のバイオーム破壊、腸バリア機能障害、腸免疫プロファイルの変化、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、線維症、エンドトキシン血症、低グレードの炎症、中グレードの炎症、高グレードの炎症、菌血症炎症メディエーター、ディスバイオシス、重度の骨減少症、骨粗鬆症、カンジダ症、ウイルス性疾患、シェーグレン病ならびに男性及び女性の健康問題が含まれるが、これらに限定されない。
【0109】
化合物は、デンタルケアにおける使用に適した任意の化合物であり得る。デンタルケアに使用するのに適した化合物には、齲蝕リスク制御、プラークコントロール、バイオフィルム制御、口腔pHレベル維持、口腔pHレベル補正、口腔pHレベル安定化、歯周疾患防止、歯周疾患進行阻害、歯科インプラント維持、再建歯科維持、固定補綴物維持、骨切除外科維持、歯石落し及び歯根平坦化維持、ポケット深度低減外科維持、骨移植維持、結合組織格子維持、遊離組織移植片維持、結合組織及びペダル組織移植片維持、漂白、ホワイトニング、又は内因性及び外因性染色維持のための化合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0110】
デンタルケアにおける使用に適した化合物としては、以下に限定されないが、フッ素化医薬、ACP、非晶質リン酸カルシウム、酸素化医薬、フッ素化ゲル、再石灰化化合物、鎮痛剤、過酸化水素塩基酸化ゲル、ドキシサイクリン/ビブロマイシン液体溶液、抗微生物剤、クロルヘキシジンゲル、非晶質リン酸カルシウム/可溶性ホスファート、pH調節カルシウム塩、水酸化カルシウムペースト、ドキシシクリンゲル、骨芽細胞促進剤、ミノサイクリン、HCl、抗生物質、脱感作化合物、酸素化剤、抗プラーク剤、エッセンシャルオイル、過酸化水素、重曹、キシリトール、経口治療薬及び抗不安剤が挙げられる。
【0111】
酸素化剤としては、以下に限定されないが、過酸化水素液、酸化ゲル溶液、酸化ゲルペースト、過酸化水素液体ペースト、ならびに細菌及び病原体の歯肉縁上及び歯肉縁下の蓄積物を酸化するためのペースト、歯肉炎、歯周疾患、出血、炎症ならびに口腔細菌叢、口腔病理学及び周囲の組織及びすべての歯の構造を包含する歯の構造を破壊的に破壊するグラム陰性及びグラム陽性の病原体及び細菌の存在によって損なわれ、また、単一の歯科インプラント又は複数のインプラント、ならびにインプラントアバットメント及び天然歯構造アバットメントを有するか又は有しない、再建用固定及び取り外し可能な歯科クラウン及びブリッジ補綴物、外科用ステンレス鋼、チタン、セラミック、ジルコニア、及び金の構造体を取り囲むすべての構造を有する破壊された口腔組織に寄与するすべての破壊的及び変性グラム陰性、さらには一部のグラム陽性の細菌及び病原体の歯肉縁上及び歯肉縁下の蓄積物を酸化するためのペースト形態が含まれる。骨形成の変性をもたらし、不可逆的な基礎的及び構造的骨損失を引き起こす破骨細胞活性への破壊を引き起こす骨芽細胞活性の増加にも寄与する。
【0112】
抗菌剤としては、以下に限定されないが、クロルヘキシジン溶液、局所送達抗微生物剤(LDA)、ミノシクリンモノスフェアを含むLDA、吸収性ポリマー中のドキシサイクリン塩酸塩、ゼラチンマトリックス中のクロルヘキシジン、可溶性ホスファート、カルシウム塩、金属塩、Sn-11、Zn-11、酸化塩、ヨウ素、ポビドンヨード、重曹、ビタミンC、木炭、グリオキサイド、エッセンシャルオイル、ティーツリーオイル、アルニカ、水和シリカ、キシリトール、炭酸カルシウム、クエン酸亜鉛、ココイルナトリウム、erthirto、ペパーミントオイル、ココナッツオイル、ティーツリーオイル、及び変性バイオフィルム、グラム陰性又はグラム陽性病原体の存在を減少させる抗微生物剤が挙げられる。
【0113】
抗プラーク剤としては、以下に限定されないが、漂白剤、フッ化物、二塩化物、モノフルオロリン酸ナトリウム、サンキニリア、消毒クレンザー、消毒リンス、塩酸塩、過酸化水素、亜塩素酸ナトリウム、酸素及びキシリトールを挙げることができる。
【0114】
抗生物質製剤としては、以下に限定されないが、ドキシサイクリン、ミノサイクリンミクロスフェア、吸収性ポリマー中のドキシサイクリン塩酸塩、ビブロマイシン、テトラサイクリン、塩酸テトラサイクリン、ミノサイクリン、クリンダマイシン、アモキシシリン、シプロフロキサシン、ジゴキシン、フロキサシリン、レボフロキサシン、クラリスロマイシン、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ならびにグラム陰性及び/又はグラム陽性病原体の存在を減少させる抗生物質溶液が挙げられる。
【0115】
脱感作剤及び再石灰化剤としては、以下に限定されないが、ACP、非晶質リン酸カルシウム、フッ化ナトリウム、フッ化ナトリウムゲル、フッ化物イオン、フッ化第一スズ、水酸化物イオン、炭酸カルシウム、グリセリン、リン酸カリウム、硝酸カリウム及び硝酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、チンクチャーミル、水和シリカ、カルシウムイオン、リン酸イオン、不溶性カルシウム化合物、アミノ酸、重炭酸アルギニン、フッ素化剤、及び石灰化剤が挙げられる。非晶質リン酸カルシウム(ACP)は、再石灰化、断熱ならびに感度、脱灰、歯根露出、象牙細管、エナメル質の菲薄化、歯ぎしりからのエナメル質及び象牙質の摩耗、浸食、歯肉の陥凹、歯肉切除、骨切除手術、感染組織の外科的除去、感染骨の外科的除去、歯の構造の漂白/ホワイトニングからの影響、スケーリング及びルートプレーニング、外科手技の影響、過敏症ならびに1つ又は複数の歯の壊れやすい歯の構造の通常の摩耗及び裂傷及び表面破壊に対する治療的使用のために使用され得る。フッ化物を含むがこれに限定されないミネラルが、ミネラルヒドロキシアパタイトを形成する歯のヒドロキシアパタイト結晶に取り込まれ得ることが認識されている。機序によって制限されるものではないが、ヒドロキシアパタイト結晶及びミネラルヒドロキシアパタイトは、酸の攻撃に対する歯の抵抗を増加させ、象牙細管を閉塞して感受性を低下させ、象牙質構造を強化することができる。pHを健康なレベルに操作するためのミネラル化剤であって、健康な持続可能なレベル及び恒常性の増加、管理可能性又は改善のために溝の基部及び/又は周囲の口腔組織のpH条件を制御するように設計されたミネラル化剤。
【0116】
鼻腔を開き、鼻づまりを解消するための経口治療薬には、カンフル、メントール、ユーカリオイル、シダーウッドオイル、シダーリーフオイル、ナツメグ、チモール、ペパーミントオイルが含まれるが、これらに限定されない。鼻腔を開き、鼻づまりを解消するための経口治療薬は、液体形態、ゲル及びペースト形態を含む群から選択される製剤であり得る。鼻づまりは、マスク着用又は他の呼吸器疾患によるものである場合がある。不安症又はストレスのための経口治療薬が包含される。
【0117】
不安又はストレスは、以下に限定されないが、口腔過敏、急性疼痛、顎関節(TMJ)障害に起因する慢性疼痛及び筋攣縮、上述の歯科手順及び歯科的問題の任意の形態に起因する不快感、修復歯科の欠如、必要な修復作業、衛生処置及び修復歯科の利用可能性の欠如、歯科恐怖症、歯科恐怖ならびに自然界の全体的及び有機的な供給源からの抗不安薬及び治療薬の治療的送達の必要性をもたらす歯科通院による以前の悪経験を含む任意の理由で存在し得る。抗不安剤としては、以下に限定されないが、ヘンプオイル、ヘンプシードオイル、テトラヒドロカンナビノール(THC)、カンナビジオール、カンナビノール、テトラヒドロカンナビバリン、ならびにカンナビスサティバ(Cannabis sativa)、カンナビスインディカ(Cannabis indica)及びカンナビスルデラリス(Cannabis ruderalis)の花及び/又は果実を挙げることができる。ヘンプオイルは、3:1の比のオメガ-6対オメガ-3必須脂肪酸を含み得る。ヘンプシードオイルは、約76%の多価不飽和脂肪、約5%~約11%の一価不飽和脂肪、及び約5%~7%の飽和脂肪を含み得る。ヘンプシードオイルは、リノール酸及びガンマ-リノレン酸などのオメガ-6脂肪酸、ならびにアルファ-リノレン酸(ALA)及びステアリドン酸などのオメガ-3脂肪酸を含み得る。LAとALAは両方とも必須脂肪酸である。さらに、ヘンプシードオイルは、5%~11%の一価不飽和脂肪及び5%~7%の飽和脂肪を含有する。他のオイル及び脂肪と共通して、ヘンプシードオイルは9kcal/gを与え、口腔過敏、疼痛及び不快感を和らげ、快適にするために液体形態で使用することができる。ヘンプシードオイルは、口腔粘膜への適用を介して、歯科恐怖症、歯科治療恐怖症(dental phobia)及び歯科治療恐怖症(dental fear)を低減し得る。
【0118】
化合物は、少なくとも1つの歯周疾患関連症状、口腔過敏に起因する不快感、急性疼痛、慢性疼痛、顎関節(TMJ)障害による筋攣縮、歯科作業に関連する不快感又は感受性を緩和するか、改善するか、消失させるか、低下させるか、防止するか、又は軽減し、鼻腔を開き、鼻づまりを低減する。
【0119】
「維持化合物」とは、インプラント不全又は歯周疾患のリスクを低下させる化合物を意図する。維持化合物には、抗プラーク剤、酸素化剤、消毒剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、及び脱感作剤が含まれ得るが、これらに限定されない。歯科インプラント不全は、インプラントの寿命の間の任意の時点で起こり得る。歯科インプラント不全の臨床指標には、(1+)可動性、炎症、発赤、出血、インプラント周囲炎(インプラント周囲の感染又は膿瘍化膿)、最初の1年間で1.0mmを超える骨損失、又はインプラント後の1年で0.2mmを超える骨損失が含まれるが、これらに限定されない。
【0120】
化合物は、以下に限定されないが、水溶液、ゲル、泡、軟膏、オイル、ペースト、ポリマー、溶液、ゲル、泡、オイル、ポリマー又はペーストに懸濁した粉末、粉末及び歯科分野で公知の他の配合物を含む様々な配合物中に存在し得る。製剤の粘度は、口腔内装置送達トレーの送達細孔の適切な直径に影響を及ぼし得ることが認識されている。製剤の粘度は、口腔内装置トレーの細孔を通る化合物の流速に影響を及ぼし得ることが認識されている。下顎弓上の歯の歯肉又は歯肉縁下領域に化合物を送達するための口腔内装置トレーに中粘度又は高粘度の配合物を使用することが好ましい場合があることも認識されている。
【0121】
化合物の流速は、好ましい送達期間に影響を及ぼし得る。適切な送達期間としては、以下に限定されないが、約15秒、30秒、1分、2分、3分、4分、5分、10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分、60分、65分、70分、75分、80分、85分、90分、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、15時間、18時間、21時間、24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月又はそれより長い期間を含み得る。処置期間が処置の経過中に変化し得ることがさらに認識されている。例えば、早期処置は、後の処置よりも長い期間を伴い得る。あるいは、後の処置は、早期処置よりも長い期間を伴い得る。適切な送達頻度には、以下に限定されないが、1時間毎、1日6回、1日5回、1日4回、1日3回、1日2回、1日1回、隔日、週3回、毎週、毎月、及び毎年が含まれ得る。処置の過程で頻度が変化し得ることがさらに認識されている。例えば、早期処置はより高い頻度を伴い得るが、後の処置はより低い頻度であり得る。
【0122】
化合物が、口腔内装置トレーに設置、配置、堆積、負荷、配備、提供、適用、又は予め負荷されてもよいことが認識されている。個人、歯科医療専門家又は製造業者は、化合物を口腔内装置送達トレーに設置することができる。予め製作されたトレーは、口腔内装置送達トレーと、製造業者によって口腔内装置トレーに予め負荷された目的の化合物とを含む。予め製作されたトレーは、所定用量の目的の化合物を含み得る。予め製作されたトレーは、口腔pHレベルの変更、口腔恒常性の回復、齲蝕リスクの変更、脱感作、再石灰化、歯肉感度の変更、口臭症、口腔乾燥、誘導バイオフィルム療法、抗微生物、消毒、抗プラーク、疼痛、不快感、口腔療法、TMJの緩和、又は歯周疾患において使用するための化合物を送達し得る。口腔内装置送達トレー及び目的の化合物を含む予め製作されたトレーは、使い捨てトレーであってもよい。口腔内装置トレーに化合物を提供することは、トレー内に化合物を設置すること、配置すること、堆積させること、負荷すること、適用すること又は予め負荷することを包含することが理解される。
【0123】
デンタルケア手順には、以下に限定されないが、歯肉退縮、歯肉切除、骨切除術、感染組織の外科的除去、感染骨の外科的除去、漂白/ホワイトニング処置、歯石除去、ルートプレーニング、再建及び修復歯科手順が含まれる。再建及び修復歯科処置には、以下に限定されないが、外科的に設置されたチタンアバットメントコアインプラント、磁器チタンインプラントブリッジに融合された3単位の半貴金属、磁器クラウンに融合された半貴金属、結合複合修復物、磁器のカンチレバー融合クラウンに融合された半貴金属、磁器クラウンに融合された半貴金属を用いた歯内根管手順、ならびに固定式及び取り外し可能な歯科用クラウン及びブリッジ補綴物、アバットメント及び天然歯構造アバットメントの有無にかかわらないインプラントが含まれる。歯科用材料には、以下に限定されないが、ステンレス鋼、外科用ステンレス鋼、チタン、セラミック、ジルコニア、銀又はアマルガム、アートガラス、複合材、磁器及び金が含まれ得る。歯科インプラントは、歯周疾患のリスクを高める。歯科インプラントは、歯根膜を欠いている。機序によって限定されるものではないが、歯根膜(PDL)がないことは、歯科インプラントを有する患者において生じる歯周疾患のリスク増加の要因であり得る。
【0124】
ガスケットは、経口使用に適した材料を含む。経口使用に適した材料は当技術分野で公知である。経口使用に適した材料には、以下に限定されないが、生体適合性の非毒性ポリマー、ポリアクリラート、ポリアミドイミド、フェノール、ナイロン、ニトリル樹脂、石油樹脂、フルオロポリマー、コポリビドン(コポビドン)、エポキシ、メラミン-ホルムアルデヒド、ジアリルフタラート、アセタール、クマロンインデン、アクリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、アルキド、セルロース、ポリブチレン、ポリカーボナート、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアセタート、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアルコール-コ-エチレン)、スチレンアクリロニトリル、スルホンポリマー、飽和又は不飽和ポリエステル、尿素-ホルムアルデヒド、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマー、及びこれらの組合せ又は混合物が含まれる。好ましいポリマーは、低い融点を有し得る。熱成形可能なプラスチック又はポリマーは、可塑剤又は任意のデュロメータ調整物質で必要に応じて改質されてもよい。可塑剤は、ガスケットの柔らかさ、柔軟性又は圧縮性を調整するために添加されてもよい。様々な態様において、ガスケット材料は、圧縮性の非多孔質材料である。いくつかの態様では、ガスケットは非生分解性材料を含む。いくつかの実施形態では、口腔内装置は外層をさらに含む。様々な実施形態では、外層は、圧縮、剛性、硬さ又はそれらの組合せに対してより耐性があり得る。
【0125】
歯周疾患のリスクがある対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を低減する方法が提供される。本方法は、酸素化剤、抗真菌剤、抗生物質製剤、齲蝕予防剤、維持剤、及び再石灰化化合物を含む群から選択される化合物を、本出願の口腔内装置トレーを使用して対象に送達する工程を含む。細菌には、グラム陰性細菌、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinoymycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacterium nucleaturm)、フゾバクテリウム(Fusobacterium)種、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラ(Prevotella)種、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクター(Campylobacter)種、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptococcus micros)、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカスソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ラクトバチルス(Lactobacillu)種、及びエイケネラ(Eikenella)種が含まれるがこれらに限定されない。対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を低減する方法は、1つの送達事象又は複数の送達事象を含む送達レジメンに従って化合物を準備する工程を含み得る。配送事象は、所定の期間を有し得る。複数の送達事象は、所定の頻度又は所定の頻度及び期間を有し得る。所定の頻度及び所定の期間は、複数の送達事象にわたって変化し得ることが認識されている。本出願の口腔内装置トレーは、誘導バイオフィルム療法を提供するために所定の頻度及び期間で化合物を提供することができる。
【0126】
対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を分析する方法は、当技術分野で公知である。対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を分析する任意の方法が、本方法において使用され得る。対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を分析する方法は、唾液の採取及び培養、唾液染色、PCR、NGS、抗体染色、免疫学的方法、抗体スクリーニング、抗体試験、培養増殖、及び標識プライマー結合を含み得るが、これらに限定されない。
【0127】
歯科インプラントベース領域に維持化合物を送達するための口腔内装置トレーを含む歯科インプラント維持デバイスであって、前記口腔内装置トレーが、歯肉縁上部分、歯肉送達領域、及び歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含むガスケットを備え、前記送達ポートが、送達リザーバを含む群から選択され、歯肉縁上部分に位置する入口を含む送達細孔が提供される、歯科インプラント維持デバイス。
【0128】
対象におけるバイオフィルムを管理する方法が提供される。本方法は、口腔内装置トレーに化合物を提供する工程と、化合物を含む口腔内装置トレーを対象の口の中に配置する工程と、口腔内装置トレーを所定の期間及び頻度で対象の口内の適所に維持する工程とを含む。「バイオフィルムの管理」とは、バイオフィルムの蓄積率を変えることを意図している。バイオフィルム蓄積率を変えることは、バイオフィルムの量を低減するか、排除するか、防止するか、消失させるかもしくは減少させること、又はバイオフィルム形成速度を遅らせるか、低下させるか、消失させるかもしくは減少させることを含む。バイオフィルム蓄積率を決定する方法は当技術分野で公知であり、プラークインデックス測定、生体分子染色、染色、画像分析、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)試験、バイオフィルム診断、定量的PCR(Q-PCR)、及びグラム染色分析が含まれるが、これらに限定されない。
【0129】
口腔内に存在する細菌を同定する方法は当技術分野で公知であり、本明細書で以下に記載される。当該技術分野で公知の口腔内に存在することを特定する任意の方法が、本方法において使用され得る。いくつかのアッセイが特定の用途に好ましいことが認識されており、当業者は適切なアッセイを選択するであろう。Biofilm Diagnostics Q-PCR(定量的ポリメラーゼ連鎖反応)技術は、口腔内に存在する細菌を同定する。Q-PCRは、この方法が単一の細菌細胞さえも検出することができるので、個々の口腔バイオフィルム内の標的種の数を正確に測定する特異的で高感度かつ定量的な方法である。
【0130】
Q-PCR技術は、スワブ又は特定の診断ツールで採取されたバイオフィルム試料を分析するために使用され、BiofilmDNA検査は、紙ポイント及び拭き取りパッドを介して採取された唾液、歯肉下及び舌/喉試料の非常に正確なDNA分析を提供する。
【0131】
部位特異的グラム染色分析であるBiofilmGS試験は、6つの個々の部位特異的グラム染色分析を与え、これは、舌根、舌背、及び4つの口腔四分円上のバイオフィルムに関する情報を提供し、病原体が二次唾液及び口腔粘膜内で移動しているのを見るのに役立つ。スイッシュ及びリンス試験とは異なり、OraVitalのBiofilmDNA試験は、患者の口腔の健康の全口腔写真を提供する。これらのリザーバは歯肉ケア/インプラント設置後の再感染に寄与するので、咽喉及び舌を試験することは非常に重要である。この包括的試験によって、以下の細菌:トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、口腔内嫌気性菌(Pepto streptococcus micros)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobacteria nucleatum)、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococus mutans)、及び真菌:カンジダアルビカンス(Candida albicans)が同定される。
【0132】
トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)及びタンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)は、最も有害な日和見病原体のいくつかである。アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)侵襲性細菌は、破壊性歯周炎に関与しており、CVDなどの多くの全身性疾患の原因となっている。口腔内嫌気性菌(Pepto streptococcus micros)及びフソバクテリアヌクレアタム(Fusobacteria nucleatum)は、病原性バイオフィルムの重要な構成成分である。ストレプトコッカスミュータンス(Streptococus mutans)齲蝕病変の開始に関与し得る細菌の種である。
【0133】
カンジダアルビカンス(Candida albicans)は、プラークバイオフィルム中のS.ミュータンス(S.mutans)による(重度の)歯周感染と共に頻繁に検出され、重度の幼児期の齲歯を引き起こす原因でもある。これは、歯周病原体がこれらの創傷を通して組織に容易に侵入することを可能にするカンジダ症及び軟組織における他の病変をもたらす口腔内のリザーバを形成する。この種はまた、他の病原体と共定着したインプラント周囲炎部位でも検出される。
【0134】
MyPerioPath(登録商標)は、歯周病を引き起こし、口腔及び全身の健康を脅かす口腔病原体の検出のために広く使用されている試験である。MyPerioPath(登録商標)は、歯周処置の個別化を可能にするための口腔病原体の早期警告を提供する。MyPerioPath(登録商標)で試験された病原体は、患者が心血管疾患、糖尿病、脳卒中及び出生時合併症のリスクが高いかどうかを決定するのに役立ち得る。MyPerioPath(登録商標)試験によって以下の種類:アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)を含む高リスクの病原体、ユーバクテリウムノダタム(Eubacterium nodatum)、フゾバクテリウムヌクレアタム/ペリオディカム(Fusobacterium nucleatum/periodonticum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptococcus(ミクロモナス)(Micromonas)micros)を含む中リスクの病原体、及びエイケネラコローデンス(Eikenella corrodens)及びキャプノサイトファーガ(Capnocytophaga)種(ジンジバリス(gingavalis)、オクラチエ(ochracea)、スプティゲナ(sputigena))を含む高リスクの病原体を含む口腔細菌が同定される。
【0135】
MyPerioID(登録商標)IL-6(インターロイキン-6)試験は、歯周疾患に対する個体の遺伝的感受性を特定する。この情報により、臨床医は、個別化された治療及び処置を可能にする過度の免疫応答のために、どの患者がより重度の歯周感染症のリスクが高いかを確立することができる。MyPerio唾液診断試験は、口腔疾患リスク及び全身性疾患リスクに対する遺伝的素因の増加を示すように設計された特定のリンスを用いて、単純な含嗽液で行うことができる。
【0136】
OraRisk(登録商標)Cariesは、空洞をもたらすことが知られている3種類の有害細菌:ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)、ストレプトコッカスソブリナス(Streptococcus sobrinus)及びラクトバチルスカゼイ(Lactobacillus casei)を同定する単純な唾液スクリーニング試験である。Celsus One(商標)は、遺伝学が健康にどのように影響するかを理解するのに役立つ。Celsus One(商標)は、炎症応答インターロイキン1複合遺伝子型、インターロイキン6、インターロイキン17A、ベータ-デフェンシン1、CD14、腫瘍壊死因子アルファ、Toll様受容体4複合遺伝子型、及びマトリックスメタロプロテイナーゼ3に関連する8つの遺伝子マーカーを評価する。OraRisk(登録商標)Candidaは、酵母のすべての一般的な種、Candidaを同定し、これは、正常な免疫系又は易感染性の免疫系を有する患者において鵞口瘡を引き起こすことが知られている。いくつかの種類のカンジダは標準的な抗真菌処置に耐性があるため、カンジダ種の同定は処置選択の鍵となる。このアッセイによって同定されるカンジダ種には、C.アルビカンス(C.albicans)、C.グラブラタ(C.glabrata)、C.クルセイ(C.krusei)、C.パラプローシス(C.parapsilosis)、C.トロピカリス(C.tropicalis)、C.ルゴーサ(C.rugosa)、C.ギリエルモンジィ(C.guilliermondii)/C.ゼイラノイデス(C.zeylanoides)、C.ケフィール(C.kefyr)、C.ルシタニエ(C.lusitaniae)(3種類まで報告され得る)が含まれる。
【0137】
MyPerioID(登録商標)IL-1(インターロイキン-1)試験は、歯周疾患に対する個体の遺伝的感受性を特定する。この情報により、臨床医は、特許請求されるデバイス及び方法によって提供される個別化された治療及び処置を可能にする過度の免疫応答のために、どの患者がより重度の歯周感染症のリスクが高いかを確立することができる。
【0138】
OraRisk(登録商標)HSV試験は、中咽頭を含む単純ヘルペスウイルスの大流行を診断するための正確で感度が高く簡単な方法である。HSV感染は非常に一般的であるが、口腔小胞、潰瘍及び他の形態の有痛性口腔及び咽頭病変の他の原因としばしば間違えられ得る。OraRisk(登録商標)HSVは、活動性感染又は大流行に特異的な「杼口ウイルス」を検出することによってHSV1又はHSV2を同定することになる。
【0139】
OraRisk(登録商標)CT/NGは、中咽頭のSTDの出現、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)(CT)及び又は淋菌(Neisseria gonorrhea)(NG)のうちの1つを試験する最も感度の高い方法である。これらの状態は無症候性であるか、又は軽度の咽頭炎のみを伴う場合があるが、確認されていない感染の結果は重度であり得、密接な接触を共有するパートナー及び他の者に伝染性である。
【0140】
OraRisk(登録商標)CT/NGは、クラミジアトラコマチス(Chlamydia trachomatis)又は淋菌(Neisseria gonorrhea)のいずれか又は両方の高感度検出を提供し、報告は、処置のための特定の推奨を含む解釈コメントを含む。SARS-CoV-2は、呼吸上皮:鼻、口腔、気管及び気管支を被覆する細胞に感染するウイルスである。具体的には、ウイルスはACE2と呼ばれる細胞表面の受容体に結合する。感染は、RNAからなるウイルスゲノムが複製され、パッケージングされて新しいビリオンを産生する宿主細胞に取り込まれるウイルスを含む。
【0141】
COVID-19を診断するために、鼻又は口腔分泌物の試料を採取し、ウイルスRNA、その人におけるSARS-CoV-2の存在の証拠を探す。RNAを抽出し、次いでポリメラーゼ連鎖反応(又はPCR)を使用してSARS-CoV-2に特異的な配列を増幅する。これらの試験の結果は、「検出」-ウイルスが陽性、「検出されず」-ウイルスがないかもしくはほとんど検出できない、又は「不確定」-試料が分解されているかもしくは試験を行うのに材料中に不十分である。COVID-19 RT-PCR試験を適用することができる。
【0142】
マスク着用による、及びSARS-CoV-2又は呼吸器上皮:鼻、口腔、気管及び気管支を被覆する細胞に感染する任意のウイルスによる、口腔病原体のリスクを低減するための化合物を送達するための口腔内装置トレー。具体的には、ウイルスはACE2と呼ばれる細胞表面の受容体に結合する。感染は、ウイルスが宿主細胞に取り込まれることを伴い、RNAからなるウイルスゲノムが複製され、パッケージングされて新たなビリオンを産生し、前記口腔内装置トレーは、歯肉縁上部分、歯肉送達領域及び歯肉送達領域内に出口を含む1つ又は複数の送達ポートを含むガスケットを備え、前記送達ポートは、送達リザーバを含む群から選択され、歯肉縁上部分に位置する入口を含む送達細孔が提供される。
【0143】
獣医学的口腔内装置送達トレーのための入口又は出口の設置は、対象種又は対象株の標準であってもよく、又は非ヒト動物対象からの1つ又は複数の歯周測定値で決定されてもよい。適切な歯周測定値は、種によって異なることが理解される。獣医学的口腔内送達トレーは、玩具要素をさらに含んでもよいことがさらに認識されている。「玩具要素」とは、獣医学的口腔内装置送達トレーが所定の位置に維持されている間に動物が遊べる構造的構成要素を意図する。いくつかの態様では、玩具要素は、口腔内に配置された獣医学的口腔内装置送達トレーの不慣れさから非ヒト対象動物を遠ざける。
【0144】
図1は、歯科装置を形成するための例示的なプロセス100を示す。プロセス100は、デジタル3D画像モデルに従って、かつそれにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、1つ又は複数の送達ポートを有する口腔内送達トレーを形成する。ブロック102において、対象のアーチのデジタル3D画像モデルが、コンピューティングデバイスの1つ又は複数のプロセッサによって受信され得る。デジタル3D画像モデルは、対象のアーチのデジタルスキャンによって、被検体のアーチの印象のデジタルスキャンによって、又は対象の歯列弓の鋳造物のデジタルスキャンによって生成され得る。デジタル3D撮像モデルは、対象の上顎弓、対象の下顎弓、又は対象の上顎弓と下顎弓の両方のものであり得る。ブロック104において、歯科装置に含まれる特徴の存在が決定される。特徴は、送達ポート(ブロック106)又は別の特徴であり得る。別の特徴が歯科装置を用いて構成される場合、少なくとも1つの特徴の座標及び寸法が受信され、処理され得る(ブロック114)。同様に、追加の特徴が歯科デバイスを用いて構成される場合、追加の特徴の座標及び寸法は、ブロック116において受信及び処理され得る。ブロック118において、1つ又は複数の特徴の座標及び寸法をデジタル3D画像モデルにマッピングすることができる。ブロック108において、歯科デバイスで構成される送達ポートの座標及び寸法であって、対象の歯列弓に対して行われた歯周測定に基づく、送達ポートの座標及び寸法。ブロック110において、送達ポートの座標及び寸法はデジタル3D画像モデルにマッピングされる。ブロック112において、3D印刷機は、3Dデジタル画像モデルに従って、かつそれにマッピングされた送達ポートの座標及び寸法に従って、送達ポート又は他の特徴を有する歯科デバイスを形成するように指示され得る。他の特徴は、玩具要素、配置要素、負荷要素及び任意の他の所望の構造又は構成要素を含み得るが、これらに限定されない。
【0145】
本明細書における上記実施形態のいずれかは、他の実施形態と再構成及び/又は組み合わせることができる。したがって、本明細書の概念は、本明細書に開示されたいずれかの特定の実施形態に限定されるものではない。さらに、実施形態は、完全にハードウェアの形態をとることができ、又はハードウェア要素とソフトウェア要素の両方を含むことができる。実施形態の一部は、ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含むがこれらに限定されないソフトウェアで実行することができる。図25は、コンピュータ可読媒体206が本明細書に開示された方法のいずれかを実行するための命令を提供することができるコンピューティングシステム200を例示する。
【0146】
さらに、実施形態は、コンピュータ又は任意の命令実行システムによって、又はそれに関連して使用するためのプログラムコードを提供する、コンピュータ可読媒体206からアクセス可能なコンピュータプログラム製品の形態をとることができる。この説明の目的のために、コンピュータ可読媒体206は、コンピュータシステム200を含む命令実行システム、装置、又はデバイスによって、又はそれらに関連して使用するためのプログラムを有形に記憶することができる任意の装置とすることができる。
【0147】
媒体206は、任意の有形の電子、磁気、光学、電磁気、赤外線、又は半導体システム(又は装置もしくはデバイス)とすることができる。コンピュータ可読媒体206の例には、半導体又は固体メモリ、磁気テープ、リムーバブルコンピュータディスケット、ランダムアクセスメモリ(RAM)、NANDフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、剛体磁気ディスク及び光ディスクが含まれる。光ディスクのいくつかの例には、コンパクトディスク-読み出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク-読み出し/書き込み(CD-R/W)、及びデジタル多用途ディスク(DVD)が含まれる。
【0148】
プログラムコードを記憶及び/又は実行するのに適したコンピューティングシステム200は、システムバス210を介してメモリ208に直接的又は間接的に接続された1つ又は複数のプロセッサ202を含むことができる。メモリ208は、プログラムコードの実際の実行中に用いられるローカルメモリ、大容量記憶装置、及び実行中に大容量記憶装置からコードが取得される回数を減らすために少なくとも一部のプログラムコードの一時的な記憶を提供するキャッシュメモリを含むことができる。入力/出力又はI/Oデバイス204(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含むがこれらに限定されない)は、直接又は介在するI/Oコントローラを介してシステムに接続することができる。ネットワークアダプタはまた、コンピューティングシステム200が、ホストシステムインターフェース212を介して、又は介在するプライベートネットワークもしくはパブリックネットワークを介してリモートプリンタもしくはストレージデバイスを介してなど、他のデータ処理システムに接続されることを可能にするためにシステムに接続されてもよい。モデム、ケーブルモデム及びイーサネットカードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一部である。
【0149】
コンピュータ支援ドラフト(CAD)を含む3次元(3-D)印刷システムは、当技術分野で公知である。3-D印刷システムには、FDMベースのシステム、PolyJetベースのシステム、Stratasys F123シリーズ、F770、F900、Fortus、uPrint SE及びSE Plus、Dimension Elite、Dimension BST/SST 1200 es、J8シリーズ、J7シリーズ、J5シリーズ、J4100、Connex3、Objet30、Objet 30 V3、Objet 30 V5、dental Objet1000 Plusなどが含まれるが、これらに限定されない。経口使用に適した材料と共に使用することができる3-D印刷システムが好ましい。
【0150】
コンピュータ支援設計(CAD)及びコンピュータ支援製造(CAM)は、当技術分野で公知である。CAD/CAMシステムは当技術分野で公知である。CAD/CAMシステムには、Solid Edge CAM Pro、Gibbs CAM、Fusion 360、Solidworks CAM、及びSolidCAMが含まれるが、これらに限定されない。CAD/CAMシステムは、歯科デバイスのフライス加工、穿孔、タップ加工、ボーリング、旋削加工、機械加工又は真空成形を含むことができる。CAD/CAM機械は、CAD/CAMフライス盤、CAD/CAMミル、CEREC PrimeMill、Dentsply Sirona CEREC、Planmeca Planmill及びIvoclar PrograMill One、湿式フライス盤、乾式フライス盤、真空成形機、CNC機械加工及び熱成形機を含むことができるが、これらに限定されない。真空成形機には、TrayVac、Formech 508FS、及びPrecision Dental Vacuum Former IIが含まれるが、これらに限定されない。経口使用に適した材料と共に使用することができるシステムが好ましい。
【0151】
以下の例への言及は、例示のみを目的としており、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【0152】
【実施例
【0153】
例1.処置前及び処置後の病原体の分析
【0154】
唾液は、歯周疾患を示す対象から得た。唾液をMyPerioPath(商標)による分析に供した。A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)、P.ジンジバリス(P.gingivalis)、T.フォーサイシア(T.forsythia)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacterium nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptococcus micros)及びエイケネラ(Eikenella)のレベルを決定した。
【0155】
口の歯周測定を行った。ガスケット、歯肉縁上部、歯肉送達領域及び送達細孔を含む口腔内装置トレーを作製した。所定の化合物をデバイスの歯肉縁上領域内に設置した。口腔内装置トレー及び化合物を対象の口内に配置し、化合物が歯肉縁上領域の入口に入り、細孔を通って流れ、対象の歯肉領域の出口から出ることを可能にした。装置トレー及び化合物は、15分間対象の口内に配置されたままであった。15分間の処置を30日間にわたって1日2回(朝と夕方)行った。
【0156】
30日後、対象から唾液を採取した。唾液をMyPerioPath(商標)による分析に供した。A.アクチノミセテムコミタンス(A.actinomycetemcomitans)、P.ジンジバリス(P.gingivalis)、T.フォーサイシア(T.forsythia)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacterium nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobacterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptococcus micros Pepto streptococcus micros)及びフゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobacteria nucleatum)のレベル、病原性バイオフィルム及びエイケネラ(Eikenella)の重要な構成成分を決定した。1つのこのような実験の結果を図9及び図10に示す。1mm×1mm厚のペーストゲル及び/又は泡濃度に相当する薄層をトレー内に設置した。例1の化合物の濃度は、3%のエチルアルコール、ソルビン酸カリウム、ペパーミントオイル、キシリトール、1%のポビドンヨード及び1%のクロルヘキシジン溶液から構成される経口創傷クレンザーとして記載されている泡製剤中の1.7個の過酸化水素経口デブリーディング剤の組合せであり、ポートチャネルに直接アクセスして抗微生物性及び消毒性の酸素化クレンジング源として作用し、コロニー形成する病原体形成を破壊するために日常的に定常状態の時間測定間隔を達成し維持した。臨床的歯周検査時の完全かつ徹底的な歯周プロービング及び完全な歯周チャートからの上顎弓及び下顎弓についての口腔粘膜、歯槽骨、PDL、溝、歯の歯表面のサイズ及び形状の全周の正確な測定値を反映するために、トレーをデジタル式に製作した。
【0157】
トレーは、対象の症例アルギネート印象を使用し、モデルの上まで注いで、上顎及び下顎弓の鋳造石試験画像モデルを作製し、シリコーンプラスチック及び他の材料を溶融して歯周検査からの正確な測定値を反映する溶融機械から、製作された口腔デバイストレーのケーシングを鋳造する認可された検査技師によって形成された。トレーは1つ又は複数の送達細孔を含み、各細孔は歯肉縁上領域内に少なくとも1つの入口及び歯肉送達領域内に少なくとも1つの出口を含む。図18Aは、上顎弓用の口腔内装置送達トレーの画像である。細孔入口チャネルは、歯肉縁上領域内に位置する。出口は、トレーが口腔内に配置された場合に、出口が歯周疾患又は治癒及び修復のリスクがある歯又はインプラントのセクションの近位にあるように、対象の歯周チャート及び歯周測定値に基づいて配置される。出口は、目的の化合物の対象の拡張したポケット深度への送達を可能にする。図18Bは、細孔が見える口腔内装置送達トレーの画像を提供する。
【0158】
口腔内装置は、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマー及びそれらの混合物を含む非生分解性ポリマーから作製した。これらの熱成形可能なプラスチック又はポリマーの特徴又は特性は、可塑剤及び任意のデュロメータ調整物質の使用によって必要に応じて変更した。可塑剤は、プラスチック又はポリマーをより柔らかく又はより柔軟にするなど、最終的な特性及び特徴を良好に調整するために添加される。口腔内装置は、非多孔質材料を含み、使い捨てである。
【0159】
(例1)の患者は、#15でインプラントの交換を行っている。例1の口腔内写真(図12)では、組織の色調の改善、ならびに硬い歯肉の石灰化したプラーク及び硬い歯石が除去され、内因性及び外因性の染色が消失するのが見える。図13図15は、患者が経口的に増加した恒常性レベルに戻ることを示す。機序によって限定されるものではないが、対象の全体的な全身改善は、免疫応答による感染と戦う必要がなく、患者がそれらの病原体をもはや嚥下及び摂取しないことに関連し得る。
【0160】
例2:症例研究1
【0161】
心疾患及び進行した歯周疾患のためのいくつかの医薬品を服用している対象(症例1)を評価した。対象の在宅歯科ケアレジメンは、電池式歯ブラシによる毎日のブラッシング、フロッシング、インプラント及びブリッジ修復歯科用のフロス通し、薬用マウスリンスの使用、及びフッ素添加マウスリンスの使用を含んだ。さらに、対象は、装置による処置前に最大で1ヶ月に2回臨床歯科デブリードマンを受けていた。対象は、分類IVの歯肉縁下及び歯肉縁上の軟らかいプラーク及び硬い歯石を示した。以前の歯周ポケット低減手順から露出した象牙質があった。症例1の歯の口腔内写真を得た(図12を参照されたい)。対象は、いくつかの歯を失い、そのインプラントの経済的に高いコスト及び投資のリスクがあった。
【0162】
歯周測定を行い、歯肉縁上部分、歯肉及び歯肉縁下送達領域ならびに送達細孔を含むガスケットを含む口腔内送達トレーを作製した。化合物を口腔内装置トレーの歯肉縁上部分に設置した。口腔内装置トレー及び化合物を対象の口内に配置し、化合物が歯肉縁上領域の入口に入り、細孔を通って流れ、対象の歯肉領域及び歯肉縁下領域の出口から出ることを可能にした。装置トレー及び化合物を対象の口内に配置した。処置は30日間毎日行った。10、20、及び30日間の毎日の処置後の症例1の歯の口腔内写真。口腔内写真をそれぞれ図13図14図15に示す。歯周測定を処置過程の前、その間及びその後に行い、歯周測定値を図16に示す。1mm×1mm厚のペーストゲル及び/又は泡濃度に相当する薄層をトレー内で使用した。この化合物は、感度のための3%の硝酸カリウム、天然歯の構造の脱灰によるエチルアルコールなし、ソルビン酸カリウム、ペパーミントオイル、キシリトール、ゲル溶液に含まれる1%のポビドンヨード及び1%のクロルヘキシジン溶液、ならびに抗微生物性及び消毒性の酸素化クレンジング源として作用する1%のフッ化ナトリウムで構成される、経口創傷クレンザーとして記載されるゲル製剤中1.7%の過酸化水素経口デブリーディング剤の組合せを含んだ。コロニーを形成する病原体の形成を破壊するために毎日対象の口内の適所に留まる時間測定間隔を達成し維持するためのポートチャネルへの化合物の直接的アクセス。この組合せは、飲食に対する感度を低下させる快適性の大きな源を提供し、象牙細管を再石灰化させて、感度を低下させるだけでなく、露出した保護されていない歯の構造を強化することによって将来の齲蝕の潜在的なリスクも低下させた。機序に限定されるものではないが、変性病原体を除去するためにバイオフィルム、ペリクル及びプラークの石灰化のさらなる形成を破壊し、現在の単為生殖形成物のデブリーディングを確立することが有益であり得る。この特定の組合せは、ホメオスタシスまでpHレベルを上昇させ、周囲の天然歯の構造の崩壊、さらなる歯周感染、膿瘍、周囲膿瘍、さらなる付着及び骨損失、口臭症などの変性作用の形成を減少させ、非常に多くの患者の口腔及び全体的な健康及び幸福を主張する進行した変性歯周疾患及び全身性疾患のこの困難で壊滅的な予後の広がりを減少させた。トレーを15分/am及び15分/pmで1日2回使用した。これは、患者が朝に15分間及び夕方に15分間、検査時に10日間トレーを着用した患者によって家庭でなされ、病原体は実質的に減少し、患者の口腔及び全身の健康は本発明により有意に改善された。
【0163】
口腔粘膜、歯槽骨、PDL、溝、歯の全表面のサイズ及び形状、ならびに臨床的歯周/検査時の完全かつ徹底的な歯周プロービング及び完全な歯周チャートから作製された上顎弓及び下顎弓の全周の正確な測定値を反映するトレーをデジタル式に製作した。トレーは、前記対象の症例アルギネート印象を使用し、モデルの上まで注いで、上顎及び下顎弓の鋳造石試験画像モデルを作製し、シリコーンプラスチック及び列挙された材料を溶融して歯周検査からの正確な測定値を反映する溶融機械から、製作された口腔デバイストレーのケーシングを鋳造する認可された検査技師が形成した。口腔内装置は、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマー及びそれらの混合物を含む非生分解性ポリマーから作製した。これらの熱成形可能なプラスチック又はポリマーの特徴又は特性は、可塑剤及び任意のデュロメータ調整物質の使用によって必要に応じて変更した。可塑剤は、プラスチック又はポリマーをより柔らかく又はより柔軟にするなど、最終的な特性及び特徴を良好に調整するために添加される。口腔内装置は、非多孔質材料を含み、使い捨てである。
【0164】
例3.歯周測定
【0165】
各歯又はインプラントを、咬合面から観察した場合に、6つのセクションに分割した。歯周プローブを歯根表面に沿って挿入し、歯周プロービング深度を測定した。器具を歯の長軸に平行に維持しながら、それぞれ近心-遠心方向に角度付けした。頬-舌方向の角度は回避した。歯周又はインプラント周囲のプロービング深度が最も深い部位を、周辺プローブでプロービングした際に各セクションについて記録した。歯周プロービングチャートの仕様及び説明については、本明細書の上記を参照されたい。歯科印象、デジタル診断及び口腔スキャン及びスクリーニングによって、歯列、歯槽粘膜、溝、歯槽骨及び歯根膜の範囲をカバーする周囲のありとあらゆる個々のポケット深度及び空間、又は完全な天然歯列の又は再建したすべての個々の歯の(PDL)、又はインプラントもしくは複数のインプラント位置の正確な仕様及び測定値を反映するように行われる正確な歯周プロービングの着色を決定する。
【0166】
例4 進行した歯周疾患のための口腔内装置トレー
【0167】
より広いポートを有する個別化された口腔内装置トレーを製造した。この事例では、近心頬側送達ポートは2.5mm×6.5mm(ポート1)であり、直接頬側ポートは3mm×5mm(ポート2)である。遠位頬側送達ポートは2.5mm×6.5mmである(ポート3)。近心頬側送達ポートは2mm×5.5mmである(ポート4);直接頬側送達ポートは2mm×4mmである(ポート5);遠位頬側ポートは、3mm×5.8mmの長さである(ポート6)。近心頬側送達ポート、直接頬側ポート及び遠位頬側ポートを示す口腔内装置トレーの一部を図23に示し、舌側送達ポートは、画像では見えない。
【0168】
例5.事例研究2
【0169】
進行した歯周疾患及びインプラントを有する対象を特定した。対象は、高価な歯科インプラント及び再建歯科を失うリスクがあった。対象を、本明細書における上記の口腔内装置送達トレーで処置した。処置後のX線画像を図26に示し、処置後の口腔内画像を図27に示す。骨はインプラントを再生及び安定化させ、インプラントは一体化されている。対象の予後は安定しており、複数の歯周疾患関連症状の重症度の低下は有意である。その改善は顕著である。
【0170】
例示的実施形態
【0171】
以下の実施形態への言及は、例示のみを目的としており、特許請求の範囲を限定するものではないことが理解されよう。
【0172】
実施形態1
【0173】
対象の少なくとも1つの歯の歯肉領域に化合物を送達するための口腔内装置トレーであって、ガスケットデバイスを備え、前記ガスケットが(a)歯肉縁上部分、(b)歯肉及び歯肉縁下送達領域ならびに(c)入口及び出口を含む1つ又は複数の送達ポケット細孔であって、前記入口が歯肉縁上部分に位置し、前記出口が歯肉及び歯肉縁下送達領域内にある、送達ポケット細孔を含む、口腔内装置トレー。
【0174】
実施形態2
【0175】
前記ガスケット製作及び内壁によって、前記化合物を歯周の測定ポート及びポケット形成深度及び周囲組織に直接的にもたらし、化合物を選択された時間間隔又は無制限の長さの測定時間にわたって固定して保持する加圧された材料の力が損なわれる、上記の口腔内装置トレー。
【0176】
実施形態3
【0177】
この方法は、治療的、医学的、経口的及び全身的な維持ならびに経口的及び全身的な治癒のための誘導バイオフィルム療法(GBT)及び唾液診断を促進するために使用される。
【0178】
ガスケットシールデバイスは、頬側領域、顔面領域、近位領域、咬合領域、歯肉縁上領域及び歯肉縁下領域からなる定位置に化合物を固定保持し、対象のpHを操作して、嫌気性グラム陰性細菌の制御不能なコロニー形成、エンドトキシン、唾液産生の減少、酸性唾液配合物、溝滲出液の増加、負の自己免疫応答を引き起こすC反応性タンパク質(CRP)レベルの増加(C反応性タンパク質(CRP)は、口腔と全身とのつながりの最も明確で、定量可能で、容易にアクセス可能なマーカーであるため)から、変性及び周囲の歯構造の不全を引き起こす罹患した口腔組織の限局的及び全身的な炎症に寄与する口腔周囲病原体及びバイオフィルムの段階を制御及び矯正するための方法として、無制限期間、ポートチャネルへの化合物の濃度を希釈又は変更することなく、化合物を定位置に構造的に保持するように設計されている。
【0179】
インターロイキン1又は(IL-1)、インターロイキン2(IL-2)及び6又は(IL-6)遺伝子多型の変性バイオフィルムマーカーも含有する歯周疾患、ならびにこの多型を有する患者は、より多くのIL-1及びIL-6を産生する。これは、急性だけでなく、はるかに厄介で変性性の「慢性」歯周炎のリスクを劇的に増加させる。また、炎症性生物学的マーカーに加えて、ILIA(+4845)位とILIB(+3954)位の両方に「T」ヌクレオチドを含むILIA及びILIB遺伝子の複合遺伝子型は、今や歯周炎のリスクを増加させ、(1:51)のオッズ比では、高レベルのインターロイキン-1及びインターロイキン-6の存在、ならびに病原体及びグラム陰性細菌の制御不能なコロニー形成が認められる。
【0180】
食作用又は低応答性食細胞の存在、インターロイキン、プロスタグランジン及びサイトカインの過剰産生、リポ多糖(LPS)も存在する。さらに、本発明は、歯周病検査及び臨床カルテから、対象の疾患又は変化、危うい状態及びホメオスタシスからの逸脱を明らかにする、1~6以上の測定値から、罹患口腔組織、易感染性で傷つきやすい、露出又は損傷した歯構造、周囲の固定補綴物又は付着した口腔構造を改善するための治療、薬用、抗微生物、抗生物質化合物の適用、抗微生物化合物剤、抗生物質化合物剤ならびにミネラル化及び脱感作化合物剤を哺乳及び送達する。また、単一のインプラント又は複数のインプラント、固定補綴物及び周囲の構造化壁、溝、口腔組織及び歯槽骨を維持するために設計される。
【0181】
付着装置及び歯の周囲の骨の進行性損失をもたらす、歯の支持構造に影響を及ぼす慢性歯周炎疾患。歯肉ポケット形成及び/又は歯肉陥凹によって特徴付けられる。この疾患は、細菌及びそれらのリポ多糖様構成成分によって開始され、高い宿主炎症応答を引き起こす。炎症反応のこのカスケードは、最終的に、破骨細胞活性の増加及び骨損失をもたらす。歯周炎を有する個体は、急性期タンパク質、血漿抗体レベル、凝固因子、総白血球数、好中球、C反応性タンパク質(CRP)、ならびにINF-ガンマ(インターフェロンガンマ)、TNF-α(腫瘍壊死因子-アルファ)、IL(インターロイキン)-1β、IL-2及びIL-6などのサイトカインの全身レベルが上昇している。全身性疾患で見られる同じ慢性炎症モデルには、2つの間の双方向リンクを相関させるための十分に文書化されたピアレビューエビデンスがある。
【0182】
心血管疾患及び脳卒中、動脈硬化症、呼吸器感染症、肺疾患、耳、鼻及び喉感染症、認知症及び脳疾患、未熟児、早期出産率、妊娠合併症、口腔及び他のがん、糖尿病、自己免疫障害、骨及び関節疾患、関節炎、関節リウマチ、消化管疾患、勃起不全、肥満、腸のバイオーム破壊及び腸バリア機能障害、腸免疫プロファイルの変化、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLED)、線維症、エンドトキシン血症、低、中及び高グレードの全身性炎症、菌血症炎症性メディエーター、ディスバイオシス及び重度の骨減少症及び骨粗鬆症、カンジダ症、ウイルス性疾患及び女性の健康問題の有害な全身性リスクを低下させるための前記化合物を含む口腔内トレー。
【0183】
本明細書における上記の口腔内装置トレーであって、歯科又は医療免許を有する専門家の監督外で自身に適用して快適に使用される購入のために、前記列挙した化合物が化学的に設置され、及び口腔内トレーデバイスに医薬が予め製作され、予め負荷されかつ予め投与された、予め製作され、予め負荷されかつ予め投与された口腔内トレーデバイスを購入するのに必要な処方箋を必要としない前記対象が店頭で利用可能な予め製作され、予め負荷され、予め投与された口腔内トレーデバイスからなる、口腔内装置トレー。これらの化合物には、酸素化剤、抗微生物剤、抗プラーク剤、エッセンシャルオイル、過酸化水素、重曹、キシリトールなどの総合的な健康化合物、ならびに再石灰化及び脱感作化合物が含まれる。予め製作されたトレーは、実施形態1及び実施形態4からの前記上記に列挙された化合物のいずれかを、FDAによる各個々の州法の要件、又は歯構造上の連鎖球菌のコロニー形成が齲蝕のリスクを低下させ、口腔pHレベルを矯正、改善及び操作して対象を恒常性及び齲蝕のリスクの低下まで回復させる中等度から高度の齲蝕リスクの対象のための齲蝕制御の維持のため、ならびに脱感作化合物、歯及び歯肉の感度のための再石灰化化合物、口臭症、口腔乾燥、抗微生物、消毒、抗プラーク、誘導バイオフィルム療法(GBT)、疼痛、不快感、感度ならびに治療的及び医学的特性のための任意の他の州の選択要件により認可された市販の法定量で含有することができる。
【0184】
本明細書における上記の口腔内装置トレーであって、前記化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗プラーク剤、抗生物質製剤、ならびに再石灰化及び脱感作化合物ならびに追加の治療用途を含む群から選択される、口腔内装置トレー。
【0185】
実施形態3
【0186】
本明細書における上記の口腔内装置トレーであって、トレーが前記対象の口腔内に配置された場合、化合物が前記1つ又は複数の送達ポート及び測定されたポケット深度を通って、少なくとも1つの歯の歯肉及び歯肉縁下の領域まで流れる、口腔内装置トレー。
【0187】
実施形態4
【0188】
本明細書における上記の口腔内装置トレーであって、前記対象の少なくとも2つの歯の歯肉領域内への化合物の送達のための送達ポート及び個々のポケット形成深度、ならびに対象の完全な/全体の天然の口腔構造及び歯列、又は外科的もしくは美容的に再建された口腔歯列までを含む、口腔内装置トレー。
【0189】
実施形態5
【0190】
本明細書における上記の口腔内装置トレーであって、少なくとも1つの歯がインプラント(1つ又は複数)である、口腔内装置トレー。
【0191】
実施形態6
【0192】
歯科インプラント維持デバイスであって、歯科インプラントへの維持化合物の送達のための口腔内装置トレー、アバットメント、周囲のベース領域、歯根膜(surrounding ligament)及び歯槽骨構造を含み、周囲の内壁及び外壁がポートチャネルアクセス開口部を提供するガスケットデバイスを備え、前記ガスケットが、インプラント又は複数のインプラントの寿命期間の予測がさらに成功するために、クレンジング及び毎日の衛生的な維持プロセスを促進する、歯科インプラント維持デバイス。
【0193】
インプラント設置の成功率を高めるためのインプラント維持及び固定されたインプラント補綴物を維持するための予防的な解決策としての適用された酸素化化合物であって、対象の歯の構造及び開口ポート領域の抽出時に対象が歯根膜の周囲の支持構造を失っており、食物残屑、軟らかいプラーク、硬い石灰化したプラーク、歯石及びインプラントポケット周囲の領域内に蓄積する任意の他の残屑からの保護のバリアがなく、インプラント及び周囲の構造が食物残屑、軟らかいプラーク、硬い石灰化したプラーク、歯石及びpHレベル又はグラム陰性病原体のコロニー形成を引き起こす他の残屑、エンドトキシン及び感染及び病的状態から保護されず、これらはインプラントの不全及び歯周炎に寄与し得る。
【0194】
さらに、口腔内に放出されたイオンによる電気化学的分解、腐食、生体毒性。合成材料で作製されたインプラントは、身体によって作り出されたバイオフィルムによって天然にコーティングされ、これは、細菌増殖、変性バイオフィルム、嫌気性グラム陰性細菌のための好ましい培地として機能し、さらに、インプラント(1つ又は複数)ならびに周囲の組織及び下にある骨構造に有害であり得る破壊性病原体のリスクを増加させ、インプラント不全のリスクを増加させる。
【0195】
歯科インプラントは、可動性が(1+)であることが判明した臨床検査時に不全であると考えられ、又は炎症、発赤、出血、インプラント周囲炎(インプラント周囲の感染症又は膿瘍化膿)、最初の年に1.0mmを超え、1年後に0.2mmを超える骨損失のうちのいずれかの徴候を示す。インプラントの細菌感染によるインプラント不全は、インプラントの寿命の任意の時点で起こり得る。
【0196】
外科的に配置された単一のインプラント及び複数のインプラントは毎日維持されなければならないが、これは、フロス、歯間フロス機構、歯間プロキシブラシ及びフロスピック、ブリッジフロス、ウォーターピック、歯ブラシ、電動又は音波歯ブラシ及びマウスリンスを用いて1mm~3mmのポケット深度よりもさらに下方に到達することが不可能ではないにしても非常に困難であるため、行われないことも多い。細菌及びバイオフィルムは既にインプラント上に存在しているか、又はインプラントの設置中又はその直後に毎日導入される場合があり、インプラント構造を囲むアクセス可能な領域の欠如に起因する維持の欠如は、上記に列挙した不全及びインプラント周囲炎を引き起こし、したがって、細菌病原体の中断されないバイオフィルム定着及びグラム陰性コロニー形成の蓄積、ならびに一定の重複蓄積のためにインプラント不全を引き起こす可能性がある。典型的な不全メカニズムには、組織損傷、グラム陰性病原体のコロニー形成、細菌及び細菌が生じるバイオフィルムに起因するインプラント剥離が含まれ、これは、トレーが、健康及び適切な健康なpHレベル及びこれらの変性細菌病原性リスクの低下を補償し、したがって毎日維持するように設計された到達不可能なアクセス領域に起因して、毎日の口腔衛生では対処されない。
【0197】
実施形態7
【0198】
歯肉領域が、歯肉縁下領域、溝、歯根膜、歯根膜領域、歯根、分岐、インプラント及びインプラントベース、アバットメント、歯槽骨、固定修復及び修復物のブリッジマージン、ラミネート(lamanents)、ベニヤ、複合材及びアマルガムマージン修復物、金、磁器、アートガラス、インレイ、オンレイ、複合材及びハイブリッド複合材、全エナメル質の天然歯構造、象牙質、セメント質表面、繊維、取り付けられた歯肉及び取り付けられていない歯肉を含む群から選択される1つ又は複数の領域を含む、口腔内装置トレー。
【0199】
実施形態8
下顎弓口腔内装置トレー及び上顎弓口腔内装置トレーを含む群から選択される口腔内装置トレー。
【0200】
実施形態9
【0201】
口腔内装置トレーであって、前記化合物が、エナメル質、象牙質、セメント質上に定着及び配合し、歯の崩壊、酸侵食及び前記歯の構造の破壊を引き起こす変性バイオフィルム及び嫌気性グラム陰性細菌及び病原体からの齲蝕及び維持の傾向がある高度、中から低度のリスクの齲蝕対象を損なう群から選択される、口腔内装置トレー。脱灰、溝滲出液の増加、口腔及び周囲の歯の構造及び組織のpHレベルの負の変化、病変、酸性蓄積物、口腔乾燥症(ドライマウス)から生じるエナメル質、象牙質及びセメント質のミネラル分解、食物消費における単糖及び合成糖の摂取、発酵性炭水化物の高食事性摂取、酸への発酵性糖、スクロース、フルクトース、グルコース、アシドーシス、真性糖尿病、口腔カンジダ「スラッシュ様」微生物の存在、シェーグレン病、齲蝕原性バイオフィルム、ウイルス性疾患、抗ヒスタミン薬及び抗うつ薬、処方薬、市販薬、不衛生、喫煙、咀嚼タバコ及び嗅ぎタバコ様製品、ならびに疲弊状態。上に列挙したこれらの疾患は、唾液産生の減少、口腔乾燥症、バイオフィルムのペリクル付着の増加、ならびに口腔及び全身状態の悪化に寄与する濃い粘液含有病原体及びグラム陰性細菌の増加に寄与する。口腔に関連する最も一般的な細菌は、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococci mutans)、最も顕著であるが以下に限定されないストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus mutans)及びストレプトコッカスソブリナス(Streptococcus sobrinus)、ならびに乳酸桿菌(lactobacilli)である。
【0202】
実施形態10
【0203】
口腔内装置トレーであって、低、中から高度の齲蝕リスクに対する齲蝕制御及び維持デバイスを、すべての形態の変性グラム陰性菌のコロニー形成及び蓄積ならびにすべての形態の歯の構造上の連鎖球菌のコロニー形成のリスク対象に送達し、齲蝕リスクを低下させ、口腔のpHレベルを恒常性まで補正、改善及び操作し、前記対象を口腔の全体的な健康及び恒常性まで回復させ、前記対象の生涯にわたって齲蝕の拡大リスクを低下させるように構築されている、口腔内装置トレー。
【0204】
実施形態11
【0205】
口腔内装置トレーであって、前記1つ又は複数の送達細孔の直径及びポケット深度が、0.1mm~12mmの範囲、又は任意の歯の構造、周囲のポケット深度及び上記無制限の領域、ならびに単一から無制限の複数の領域に対する感染性領域及び罹患領域の限界までの周囲構造の全長までである、口腔内装置トレー。口腔内装置ガスケットデバイスシステムのそれぞれのポートサイズ区画は、0.5mm~およそ7mmの深度を有する。口腔内装置ガスケットデバイスシステムのポートサイズは、0.5mm~およそ12mmの幅サイズを有する。口腔内装置ガスケットデバイスシステムは、0.03~およそ0.5インチの厚さを有する。
【0206】
ポートサイズは、規定されたポケット形成長さであり、深度及び幅は、測定可能なサイズのガスケットリザーバを必要とする罹患領域又は膿瘍領域の容量により制限されない。このポートリザーバは、感染組織及び易感染性組織の罹患領域の位置によって示されるサイズの大きな構造によって製作される。トレー測定値のポケット深度の長さ、深さ及び幅は、感染した周囲溝及び口腔組織構造の長さ及び深さ及び幅に近似し、これは、プローブ周囲測定値の臨床歯周チャートならびにX線又はCTスキャン、又は感染領域が消費した疾患組織及び歯の構造の全測定スペクトルを明らかにするデジタル及び臨床所見に相当する。ポートは、感染した罹患領域の正確に測定された割合に対応し、手動及びデジタル印象は、単一の局所感染部位又は複数の部位へのアクセス可能な送達について計算及び対応し、有効性、信頼性及び測定可能な有効な結果についてこの設計されたポートシステムによる最大100%のアクセス可能性に達する。
【0207】
実施形態12
【0208】
口腔内装置トレーであって、歯肉縁上及び歯肉縁下部分が、前記対象の歯、その内部輪郭、口腔、ポケット深度、溝、結合組織、線維、間膜、付着した歯肉及び付着していない歯肉に適合するように正確な精度で形成されている、口腔内装置トレー。内面は、連続的な流れの緩衝を顔、頬、舌、歯間、噛み合わせ及び周囲の歯肉組織構造の上に延ばすことを可能にする輪郭を画定し、材料化合物の流れを、予定された活性化された設置又は前記対象の無制限の時間の間、適所に固定及び固定して保持することを可能にする。
【0209】
実施形態13
【0210】
口腔内装置トレーであって、個別化された口腔内装置トレーであり、少なくとも1つの出口が、前記対象の歯からの少なくとも1つの臨床的歯周測定に従って配置される、口腔内装置トレー。
【0211】
実施形態14
【0212】
個別化された口腔内装置トレーであって、出口設置が、前記対象の単一の歯から複数の歯までの1つの歯あたり6つの歯周測定値によって決定され、歯からの歯周測定が、以下を含む群から選択される、個別化された口腔内装置トレー。
【0213】
実施形態15 個別化された口腔内装置トレーであって、歯からの歯周測定が、歯又はインプラントあたり6つの部位:Perio Probe Chartingを損なう群から選択される、個別化された口腔内装置トレー。
【0214】
歯周ポケットと付着レベルの両方の測定のための歯又はインプラント当たり6つの部位の選択は重要である。各歯又はインプラントは、咬合面から観察した場合、6つのセクションに分割される。歯周又はインプラント周囲のプロービング深度が最も深い部位は、周辺プローブでプロービングする際に各セクションについて記録されるべきである。口腔内装置トレーであって、歯周測定値が記録され、以下に列挙される他の測定された寄与因子:歯周プローブの角度と共に歯当たり6つの部位のそれぞれにおいて最も深い深度まで製作される、口腔内装置トレー。
【0215】
周辺プローブ測定では、歯肉縁、ポケット形成深度、プラーク測定、プロービング時の出血、分岐、可動性、インプラント周囲のプロービング深度、インプラント周囲の粘膜、粘膜縁、再建欠陥、構造的欠陥、臨床的付着、陥凹、インプラント周囲の陥凹、歯槽骨損失、二次的な骨損失、付着喪失、セメント-エナメル質接合部、歯肉過形成、歯肉過成長、疑似ポケット形成深度、審美ゾーンの縁、残留ポケット形成深度、インプラント周囲炎に寄与する測定値を含む文書を記録する。
【0216】
実施形態16
【0217】
歯周疾患のリスクがある対象の歯肉領域内の1つ又は複数の細菌の量を低減する方法であって、化合物を前記対象に送達する工程を含み、前記化合物が、酸素化剤、抗微生物剤、抗生物質製剤、及び再石灰化化合物を含む群から選択され、前記化合物が、本出願の口腔内装置トレー内に提供される、方法。
【0218】
実施形態17
【0219】
1つ又は複数の細菌の量を低減する方法であって、前記細菌が、バイオフィルムの固体化合物、軟プラーク、硬い石灰化したプラーク、歯石(tarter)、歯石(calculus)、内因性染色、外因性染色、溝滲出液の増加、疾患に寄与するpHレベルの変化、酸性唾液化合物、発酵炭水化物、バイオフィルムから形成され、バイオフィルムを誘引するコラゲナーゼの増加に寄与するグラム陰性細菌を含む群から選択される、方法。歯周疾患マーカーには、インターロイキン1又は(IL-1)、インターロイキン6又は(IL-6)遺伝子多型が含まれ、この多型を有する患者は、より多くのIL-1及びIL-6を産生する。これは、急性だけでなく、はるかに厄介で変性性の「慢性」歯周炎のリスクを劇的に増加させる。また、炎症性生物学的マーカーに加えて、ILIA(+4845)及びILIB(+3954)位の両方に「T」ヌクレオチドを含むILIA及びILIB遺伝子の複合遺伝子型は現在、歯周炎のリスクが増加しており、オッズ比は(1:51)である。この変性バイオフィルムは、アグリゲイティバクターアクチノミセテムコミタンス(Aggregatibacter.actinomycetemcomitans)、ポルフィロモナスジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、トレポネーマデンティコラ(Treponema denticola)、タンネレラフォーサイシア(Tannerella forsythia)、ユーバクテリウムヌクレアターム(Eubacteruim nucleaturm)、フゾバクテリウムヌクレアタム(Fusobcterium nucleatum)、プレボテラインターメディア(Prevotella intermedia)、カンピロバクターレクタス(Campylobacter rectus)、口腔内嫌気性菌(Peptostreptocococcus micros)、キャプノサイトファーガ(Capnocytophaga)種(ジンジバリス(gingavalis)、オクラチエ(ochracea)、スプティゲナ(sputigena))、及びエイケネラ(Eikenella)種からなる。齲蝕リスクの増加に寄与することに加えて、ストレプトコッカスミュータンス(Streptococcus Mutans)、ストレプトコッカスソブリナス(Streptococcus sobrinus)及び乳酸桿菌(lactobacilli)も含まれる。
【0220】
実施形態18
【0221】
本出願の方法であって、齲蝕リスク制御維持、プラーク及びバイオフィルム制御維持、適切な口腔pHレベルの矯正及び安定化維持、歯周疾患分類維持、インプラント維持、再建歯科維持、固定補綴物維持、骨切除外科維持、スケーリング及びルートプレーニング維持、ポケット深度低減外科維持、骨移植維持、結合組織格子維持、自由組織移植維持、ペダル組織移植片維持、漂白、ホワイトニング、内因性及び外因性染色維持を含む複数の送達事象を含む送達レジメンに従って前記化合物を、口腔及び全身の全体的な健康及び幸福に積極的でありたい、ならびに口腔疾患のリスクならびに有機及び無機の口腔構造の口腔健康の変性を減少させるために恒常性及び適切なpHレベルを維持したい任意の対象に提供する工程をさらに含む方法。
【0222】
実施形態19
【0223】
本出願の個別化された口腔内装置トレーを製造する方法であって、歯周疾患のリスクがある対象の歯から少なくとも1つの歯周測定値を得る工程と、歯周疾患のリスクがある対象の歯列弓の形態を決定する工程と、前記少なくとも1つの歯周測定値を使用して、少なくとも1つのポートの出口の配置を決定する工程と、周囲の固定被覆及びバリアを有する加圧配合ガスケットデバイスを含む個別化された口腔内装置トレーを形成する工程であって、a)前記対象の歯列弓の形態に対して相補的な歯肉縁上部分及び歯肉縁下部分、(b)歯肉送達領域、ならびに(c)歯肉縁下送達領域内に出口及び臨床的に歯周ポケット測定を含む1つ又は複数の送達ポートを含む、工程とを含む方法。送達ポートが送達細孔を含む場合、入口は歯肉縁上部分に位置する。
【0224】
実施形態20
個別化された口腔内装置トレーを製造する方法であって、前記口腔内装置トレーを形成する工程が、レーザ切断、層堆積、レーザ印刷、レーザ堆積、成形、ならびに鋳造及び製作手動印象及びデジタル化印象、Iteroデジタルスキャン、CT操作及びMRI技術を含む群から選択されるプロセスを含む、方法。
【0225】
実施形態21
【0226】
口腔内トレーデバイスの製作方法は、歯の少なくとも前記部分及び口腔内の軟組織領域を表す初期デジタルコンピュータ実装方法又は物理的モデル手動印象セットを受信する工程から構成される。内部口腔及び組織測定値の初期データベースのこの初期印象又はデータセットは、歯の延長された頬側表面の前記領域ならびに周囲の軟組織及び歯肉組織内に化合物を加圧するための内部分割表面及び適合されたガスケットを損ない、歯の咬合面、歯の舌側、歯間スペース、個々の隣接する歯肉組織、対応する溝及びポケット領域を覆い、多孔質製作物は、0.05mmから始まり、多孔質材料の長さに対して横方向に延びる増加した幅及び厚さを有する。ガスケットからのこの区画は、化合物を静止状態にし、医薬品及び治療薬の使用に必要な製剤を所定の位置に保持したままにする前方力によって前方に推進及び駆動する。
【0227】
実施形態22
【0228】
口腔内装置トレーであって、前記ガスケット製作及び内壁が、経口使用に適した材料を含む、口腔内装置トレー。安全かつ効果的であり、経口使用のために持続可能であり、経口使用のために適切かつ非毒性であるプラスチック及びプラスチックの組合せのポリマー非毒性生体適合性配合プロセスに適切な多孔質材料を形成する方法は、以下を含む:口腔内装置を作製するための適切なポリマーは、低融点を有するものであり得る。物質の融点(又は、まれに、液化点)は、物質が固体から液体に状態を変化させる温度である。固相及び液相の融点は平衡状態で存在するため、一般に非毒性又は生体適合性であり、配合プロセス中に多孔質材料を容易に組み込むことができる。プラスチック及びプラスチックの組合せは、口腔内装置を作製するのに適している。
【0229】
これらのプラスチックには、ポリアクリラート、ポリアミドイミド、フェノール、ナイロン、ニトリル樹脂、石油樹脂、フルオロポリマー、コポリビドン(コポビドン)、エポキシ、メラミン-ホルムアルデヒド、ジアリルフタラート、アセタール、クマロン-インデン、アクリル、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン、アルキド、セルロース、ポリブチレン、ポリカーボナート、ポリカプロラクトン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリフェニレンオキシド、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリビニルアセタート、ポリ塩化ビニル、ポリ(ビニルアルコール-コエチレン)、スチレンアクリロニトリル、スルホンポリマー、飽和もしくは不飽和ポリエステル、尿素-ホルムアルデヒド、又はそれらの任意の同様のプラスチックの組合せが含まれる。口腔内装置は、エチレン酢酸ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアミド、コポリマー及びそれらの混合物を含む非生分解性ポリマーから作製されてもよい。これらの熱成形可能なプラスチック又はポリマーの特徴又は特性は、可塑剤及び任意のデュロメータ調整物質の使用によって必要に応じて変更されてもよい。可塑剤は、プラスチック又はポリマーをより柔らかく又はより柔軟にするなど、最終的な特性及び特徴を良好に調整するために添加されてもよい。典型的には、口腔内装置は、非多孔質材料を含み、使い捨てである。
【0230】
実施形態23
【0231】
SARS又はCOVID呼吸器疾患のいずれかに関連する疾患突然変異、病原体及び微生物の外来リスクを低下させるための任意の口腔内トレーデバイス。マスク着用から定着し、あらゆるSARSもしくはCOVID又はあらゆる他のパンデミック疾患もしくは呼吸器疾患の蔓延に寄与する口腔及び鼻腔経路への酸素の欠如、空気波を介した口腔内伝染病、ならびに空気波に付着した細菌負荷の移動可能な液滴が増加したあらゆる表面、ヒトとヒトとの接触、ヒトと動物との接触、マスク又は顔の被覆物から伝達される口腔内伝染病、ならびに感染性、移動可能、投資可能、摂取可能及び注射可能な細菌負荷を保有及び有する交差汚染表面の障壁を減少させるために使用される任意の口腔内トレーデバイス。
【0232】
実施形態24
【0233】
予め製作された化合物あるいは抗微生物性、抗生物性、消毒性、脱感作性、再石灰化、酸素化、インプラント維持、ホワイトニング/漂白維持を低下させるために、測定された利益を手動で設置又は予め製作、予め負荷もしくは予め投与することができる化合物を保有する任意の口腔内トレーデバイス/装置は、口腔、歯冠のpHならびにブリッジ及び固定補綴物の維持、グラム陰性細菌の細菌定着、バイオフィルム、エンドトキシン及び他の有害イオン放出からの齲蝕リスクの低下ならびに口腔構造を脅かす病原性蓄積を安定化させ、前記化合物が歯肉縁上及び周囲の歯構造、組織構造、有機及び無機の周囲構造に対して歯肉縁下に到達し、口腔の健康ならびに治療的及び医学的に改善された口腔及び全身の恒常性を毎日維持するため持続可能に増加した利益を維持し、増加させる局所的及び全身的な有害リスクに寄与する。
【0234】
実施形態25
【0235】
口腔内トレーデバイス/装置、泡、ゲルもしくは化合物もしくはリンスもしくは経口玩具、症例特異的もしくは広範な動物種を保有する動物食品又はスナック、又は個別に製造もしくは予め製作された化合物又は測定された利益を手動で配置又は予め製作、予め負荷又は予め投与され得る化合物。イヌ及び動物種に変性及び/又は歯周疾患ならびに全身性の疾病を引き起こすことが知られている口腔細菌に寄与すること。抗微生物性、抗生物性、消毒性、脱感作性、再石灰化、酸素化、口腔健康維持を低下させるために使用される任意の口腔トレーデバイス/増値、泡、ゲル又は化合物又はリンス又は口腔玩具、動物の食物又はスナックは、動物の口腔のpH、グラム陰性細菌の細菌定着、バイオフィルム、エンドトキシン及びその他の有害イオンの放出からの齲蝕リスクの低下ならびに口腔構造を脅かす病原性蓄積を安定化させ、前記化合物が歯肉縁上及び周囲の歯構造、組織構造、有機及び無機の周囲構造に対して歯肉縁下に到達し、口腔の健康ならびに任意の動物種の治療的及び医学的に改善された口腔及び全身の恒常性を毎日維持するため持続可能に増加した利益を維持し、増加させる局所的及び全身的な有害リスクの悪化に寄与する。
【0236】
実施形態26
【0237】
一実施形態は、購入するために処方箋を必要とする場合もそうでない場合もあり、認可された医療又は歯科専門家の管理外で購入される場合もそうでない場合もある前記対象による、店頭での入手可能性及び生産のための予め製作され、予め負荷され、予め注文され、予め投与された口腔内トレーデバイスを含む、口腔内装置送達トレーを提供する。これは、中程度から高度の齲蝕リスクに対処し、pHレベル及び状態を改善及び管理し、酸素化する、全体的な化合物、脱感作ミネラル及び化合物、再石灰化化合物は、口臭症、口腔乾燥症、抗微生物性、抗プラーク、誘導バイオフィルム療法及び管理、疼痛、不快感、感受性、治療的、医学的、経口的及び全身的特性に対処して、病気を低減し、健康を高める。
図1A
図1B
図2A
図2B
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図11B
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図19B
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【国際調査報告】