(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】酸素濃縮器モジュール
(51)【国際特許分類】
C25B 15/021 20210101AFI20240614BHJP
C25B 1/04 20210101ALI20240614BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20240614BHJP
C25B 9/19 20210101ALI20240614BHJP
【FI】
C25B15/021
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B9/19
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578024
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022033799
(87)【国際公開番号】W WO2022266326
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520094798
【氏名又は名称】スカイア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SKYRE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】モルター,トレント エム
(72)【発明者】
【氏名】マウルスロップ,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】マローニー,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マードック,カレン
(72)【発明者】
【氏名】ブラケット, ゲイル
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC02
4K021BC04
4K021BC05
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA10
4K021CA11
4K021CA12
4K021DA04
4K021DB31
4K021DC01
(57)【要約】
本発明による一態様の酸素濃縮器モジュールは、カソード34と、アノード54と、カソード34とアノード54との間に位置するプロトン交換膜42と、カソード34のプロトン交換膜42と反対側に位置するカソード側チャンバ32と、アノード54のプロトン交換膜42と反対側に位置するアノード側チャンバ52と、を備える電気化学セル40と、カソード側チャンバ32と流体連通するガス供給流10の流路と、アノード側チャンバ52と流体連通し、濃縮酸素流56をアノード側チャンバ52から除去する、濃縮酸素流56の流路と、カソード側チャンバ32と流体連通し、分離水流96をカソード側チャンバ32から除去する、分離水流96の流路と、被交換流22の流路を介してカソード側チャンバ32と流体連通するエンタルピー交換器20と、を備える。ガス供給流10の流路は、電気化学セル40の上流でエンタルピー交換器20と流体連通して被交換流22を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード(34)と、アノード(54)と、前記カソード(34)と前記アノード(54)との間に位置するプロトン交換膜(42)と、前記カソード(34)の前記プロトン交換膜(42)と反対側に位置するカソード側チャンバ(32)と、前記アノード(54)の前記プロトン交換膜(42)と反対側に位置するアノード側チャンバ(52)と、を備える電気化学セル(40)と、
前記カソード側チャンバ(32)と流体連通するガス供給流(10)の流路と、
前記アノード側チャンバ(52)と流体連通し、濃縮酸素流(56)を前記アノード側チャンバ(52)から除去する、濃縮酸素流(56)の流路と、
前記カソード側チャンバ(32)と流体連通し、分離水流(96)を前記カソード側チャンバ(32)から除去する、分離水流(96)の流路と、
被交換流(22)の流路を介して前記カソード側チャンバ(32)と流体連通するエンタルピー交換器(20)と、を備え、
前記ガス供給流(10)の流路は、前記電気化学セル(40)の上流で前記エンタルピー交換器(20)と流体連通して被交換流(22)を生成する、酸素濃縮器モジュール。
【請求項2】
前記エンタルピー交換器(20)は、スタック交換器であり、
前記酸素濃縮器モジュールは、前記電気化学セル(40)と前記スタック交換器とのスタックを備える、請求項1に記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項3】
前記濃縮酸素流(56)の流路を介して、前記アノード側チャンバ(52)と流体連通する乾燥器(60)をさらに備え、
水リサイクル流(80)の流路が、前記乾燥器(60)と、前記エンタルピー交換器(20)および前記アノード側チャンバ(52)の一方または両方と流体連通している、請求項1または2に記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項4】
前記エンタルピー交換器(20)と流体連通する水タンク(90)をさらに備える、請求項1から3のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項5】
混合器(72)をさらに備え、
前記混合器(72)は、前記ガス供給流(10)の流路および前記濃縮酸素流(56)の流路と流体連通しており、前記ガス供給流(10)および前記濃縮酸素流のそれぞれの流量が、出力流(78)の酸素濃度を調節できるように調節可能である、請求項1から4のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項6】
前記アノード側チャンバ(52)と流体連通する酸素タンク(70)をさらに備える、請求項1から5のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項7】
送風機(12)、空気圧縮機(26)、圧縮ガスタンク(2)、および、前記カソード側チャンバに前記ガス供給流(10)を供給するように構成されたポンプのうちの少なくとも1つをさらに備える、請求項1から6のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項8】
前記ガス供給流(10)または給水された水の少なくとも一方を浄化するための1つまたは複数のフィルタをさらに備える、請求項1から7のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項9】
前記酸素濃縮器モジュールは、1.3kW以下、または0.5~1.3kWの所要電力(power requirement)を有する、請求項1から8のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュール。
【請求項10】
酸素を濃縮する方法であって、
電気化学セル(40)は、カソード(34)と、アノード(54)と、前記カソード(34)と前記アノード(54)との間に位置するプロトン交換膜(42)と、前記カソード(34)の前記プロトン交換膜(42)と反対側に位置するカソード側チャンバ(32)と、前記アノード(54)の前記プロトン交換膜(42)と反対側に位置するアノード側チャンバ(52)と、を備え、前記方法は、
前記電気化学セル(40)の前記カソード側チャンバ(32)にガス供給流(10)を導入することと、
前記アノード側チャンバ(52)から濃縮酸素流(56)を除去することと、
前記カソード側チャンバ(32)から分離水流(96)を除去することと、
前記電気化学セル(40)の上流にあるエンタルピー交換器(20)に前記ガス供給流(10)を導き、前記エンタルピー交換器(20)内で前記ガス供給流(10)を水和させることと、を包含し、
請求項1から9のいずれか1つに記載の酸素濃縮器モジュールを使用する、方法。
【請求項11】
前記濃縮酸素流(56)を乾燥器(60)で乾燥することをさらに包含し、
前記ガス供給流(10)を水和することは、前記乾燥器(60)からの水リサイクル流(80)で前記ガス供給流(10)を水和することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガス供給流(10)を水和することは、水タンク(90)からの水流で前記ガス供給流(10)を水和することを含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記濃縮酸素流(56)を前記ガス供給流(10)の一部と混合することにより、前記濃縮酸素流(56)の酸素濃度を低減することをさらに包含する、請求項10から12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記濃縮酸素流を酸素貯蔵タンク(70)に導くことをさらに包含する、請求項10から13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
前記ガス供給流(10)および前記濃縮酸素流(56)の1つ以上を濾過することをさらに包含する、請求項10から14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
前記濃縮酸素流(56)を除去することによって、最大で毎分5.5リットルの純酸素が取り出される、請求項10から15のいずれか1つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2022年6月16日に出願された米国仮特許出願第63/211,248号の利益を主張する。この関連出願の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
次のような場合、高濃度の酸素を簡単に作り出すことが重要である。例えば、呼吸が苦しい患者に十分な量の酸素を供給することは非常に難しい。病院や介護施設では、必要に応じて患者に酸素を供給するため、加圧酸素タンクを常備していることが多い。しかしながら、これらのタンクは移動が面倒であり、保管や輸送の際には多くの安全上の注意を払わなければならない。
【0003】
したがって、必要なときに(オンデマンドで)酸素を濃縮するための改良されたシステムが求められている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、酸素濃縮器モジュールを開示する。
【0005】
ある1つの態様において、酸素濃縮器モジュールは、カソード34と、アノード54と、前記カソード34と前記アノード54との間に位置するプロトン交換膜42と、前記カソード34の前記プロトン交換膜42と反対側に位置するカソード側チャンバ32と、前記アノード54の前記プロトン交換膜42と反対側に位置するアノード側チャンバ52と、を備える電気化学セル40と、前記カソード側チャンバ32と流体連通するガス供給流10の流路と、前記アノード側チャンバ52と流体連通し、濃縮酸素流56を前記アノード側チャンバ52から除去する、濃縮酸素流56の流路と、前記カソード側チャンバ32と流体連通し、分離水流96を前記カソード側チャンバ32から除去する、分離水流96の流路と、被交換流22の流路を介して前記カソード側チャンバ32と流体連通するエンタルピー交換器20と、を備え、前記ガス供給流10の流路は、前記電気化学セル40の上流で前記エンタルピー交換器20と流体連通して被交換流22を生成する。
【0006】
別の態様において、酸素を濃縮する方法であって、電気化学セル40は、カソード34と、アノード54と、前記カソード34と前記アノード54との間に位置するプロトン交換膜42と、前記カソード34の前記プロトン交換膜42と反対側に位置するカソード側チャンバ32と、前記アノード54の前記プロトン交換膜42と反対側に位置するアノード側チャンバ52と、を備え、当該方法は、前記電気化学セル40の前記カソード側チャンバ32にガス供給流10を導入することと、前記アノード側チャンバ52から濃縮酸素流56を除去することと、前記カソード側チャンバ32から分離水流96を除去することと、前記電気化学セル40の上流にあるエンタルピー交換器20に前記ガス供給流10を導き、前記エンタルピー交換器20内で前記ガス供給流10を水和させることと、を包含する。
【0007】
上述した特徴およびその他の特徴は、添付の図面、詳細な説明、および特許請求の範囲によって例示される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
以下の図は例示的な実施形態であり、本開示を説明するために提供される。これらの図は例示であり、本開示に従って製造されるデバイスを、本明細書に規定される材料、条件、またはプロセスパラメータに限定することを意図するものではない。
【
図1】酸素濃縮器モジュールの一態様を示す説明図である。
【
図2A】アノード側給水部を備えた酸素濃縮器モジュールの一態様を示す説明図である。
【
図2B】ガス供給導入ユニットの一態様を示す説明図である。
【
図3】カソード側給水部を備えた酸素濃縮器モジュールの一態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
電気化学的プロセスを利用して、外部からの酸素の供給を必要とすることなく、濃縮酸素を製造し、貯蔵し、患者に投与することの可能な酸素濃縮器モジュール(OCM)が開発された。酸素濃縮器モジュールは、空気中の酸素を浄化(purify)、分離、濃縮し、同時に圧力をかけて酸素を製造することができる。酸素濃縮器モジュールは、ハードウェアの質量、体積、および電力を最小限に抑えるとともに、ある範囲の入口側の圧力および酸素濃度にわたって高い信頼性で動作し、ある範囲の出口側の流量および濃度を患者に供給することができる。酸素濃縮器モジュールのソリッドステート技術は、ポータブル酸素濃縮スタックと、それを支える電気、制御、および流体システムを備えることができる。コア技術は本質的にフローターンダウン(flow turndown)が可能であり、変化する需要に応答することができるため、アプリケーションフィードバックシステムと容易に統合することができる。消費電力は、濃縮酸素の流量に正比例することができ、その体積占有率(volume footprint)は他の商用技術に比べて小さい。
【0010】
酸素濃縮器モジュールは、水電解槽と燃料電池とを組み合わせた電気化学セルを備える。
図1に示されているように、湿った空気流(「空気、H
2O」と記載された矢印で示される。)を電気化学セル40のカソード側チャンバに導くことができる。水蒸気は、プロトン交換膜42を通って、電気化学セルの乾燥したアノード側に透過することができる。電気化学セルには直流電位が印加され、アノード54で水が電気分解され、酸素生成物流(「O
2」と記載された矢印で示す)が生じる。電気分解によって生成された正電荷を帯びたプロトンは、膜42を透過して負電荷を帯びたカソード34に透過し、そこで空気中の酸素と再結合して水を再生成する。酸素濃縮器モジュールは、所望の酸素の出力に応じて、複数の電気化学セルを備えることができる。酸素を同等の速度で消費および生成することができるので、酸素を濃縮して患者に供給し、または貯蔵するために供給することができる。環境湿度を正味変化させることなく、周囲の空気から水蒸気を消費および再生することができる。この設計の重要な点は、性能を最大化し、電力を最小化することができるように、セル内で水分の管理を実現できることであると考えられる。
【0011】
図2Aは、酸素濃縮器モジュールの一態様の説明図である。
図2Aに示すように、ガス供給流10の流路(gas feed stream)は、電気化学セル40と流体連通することができる。ガス供給流(gas feed stream)10は、例えば、送風機12、空気圧縮機、圧縮ガスタンク、ポンプなどの少なくとも1つを介してシステムに導入され得る。1つまたは複数のフィルタ8は、電気化学セル40の上流に配置され、電気化学セル40に導入する前にガス供給流10を濾過することができる。ガス供給流10は、湿った空気を含んでもよい。ガス供給流10は、窒素、酸素、二酸化炭素、および水を含んでもよい。ガス供給流10は、ガス供給流の総体積に対して、22体積パーセント以下、または5~21体積パーセント、または5~15体積パーセントの酸素を含むことができる。
【0012】
ガス供給流10の全部または一部は、電気化学セル40に導かれ得る。ガス供給流10の全部または一部は、電気化学セル40に導入される前に、エンタルピー交換器20に導かれ得る。ガス供給流10の全部または一部を含む被交換流(交換された流)22は、電気化学セル40のカソード側チャンバ32に導かれ得る。エンタルピー交換器20からは、空気出口流24が除去され得る。
【0013】
ガス供給流10からの水蒸気は、プロトン交換膜42を通ってアノード54に透過することができる。水はアノード54で電気分解され、反応(1)に従って酸素を生成することができる。
【0014】
【0015】
アノード54で生成されたプロトンは、プロトン交換膜42を透過してカソード34に戻り、そこで逆反応(2)によって酸素と再結合して水を生成することができる。
【0016】
【0017】
生成酸素はアノード側チャンバ52に集められ、濃縮酸素流56を生成することができる。濃縮酸素流56は、濃縮酸素流56の総体積に対して、25体積パーセント以上、または25~100体積パーセント、50~99体積パーセント、60~85体積パーセントの酸素を含み得る。濃縮酸素流56は、患者に供給され得る。濃縮酸素流56の流路は、酸素貯蔵タンク70と流体連通することができる。濃縮酸素流56の流路は、乾燥器60と流体連通することができる。乾燥器60は、例えば、酸素貯蔵タンク70または患者の上流に配置され得る。乾燥器60は、濃縮酸素流から水分を除去して乾燥酸素流62を生成することができる。乾燥器60は、凝縮器、膜分離器、熱交換器などのうち少なくとも1つを備えてもよい。乾燥酸素流62の一部は、さらなる乾燥のために乾燥器60に戻され得る。乾燥酸素流の全部または一部は、乾燥器60から除去され得る。乾燥器60から出る流れは、背圧レギュレーターによって調整可能であり、当該流れは、バルブによって、乾燥器60に戻され、および/または乾燥器60から遠ざけられ得る。
【0018】
任意に乾燥された濃縮酸素流56の少なくとも一部は、混合器72においてガス供給流10の一部と混合され得る。この混合は、その結果として得られる流れの酸素濃度を所定の酸素含有量に調整に利用され得る。
【0019】
任意に乾燥される、または任意にガス供給流10と混合される濃縮酸素流56の少なくとも一部の流路は、例えば、高効率微粒子空気(HEPA)フィルタなどのフィルタ74と流体連通され得る。出力流78の流量は、流量調整器76を介して調整され得る。出力流78としての濃縮酸素流56は、例えば、出力流78の総体積に対して、20~90体積パーセント、または25~90体積パーセント、または35~90体積パーセントの酸素を含むことができる。
【0020】
水リサイクル流80は、乾燥器60によって生成され得る。水リサイクル流80の全部または一部の流路は、カソード側チャンバ32およびアノード側チャンバ52のいずれか一方または両方への導入によって、電気化学セル40と流体連通することができる。水リサイクル流80の全部または一部の流路は、任意に、貯水タンク90およびエンタルピー交換器20の少なくとも一方を介してカソード側チャンバ32と流体連通することができる。水リサイクル流80の全部または一部の流路は、任意に、貯水タンク90を介してアノード側チャンバ52と流体連通することができる。
【0021】
貯水タンク90は、水リサイクル流80からの水、または淡水(fresh water)流94からの水の一方または両方を貯蔵することができる。貯水タンク90は水を貯蔵し、制御された方法で水を電気化学セル40に導入することができる。淡水源からの淡水流94の流路は、酸素濃縮器モジュールに入る前に、水フィルタ92と流体連通することができる。貯水タンク90の下流であり、かつ、エンタルピー交換器20の上流に、液体の水を気体に変換することができる相分離器が配置され得る。
【0022】
分離水流96は、カソード側チャンバ32内で形成され、引き出され得る。分離水流96の流路は、水タンク90と流体連通することができる。
【0023】
図2Bは、ガス供給流10を導入するための、
図2Aの破線枠内の例示的なユニットの説明図である。このユニットは、フィルタ8を備えることができる。フィルタ8は、例えば、スタック電源(一番下のボックスによって図示)、24ボルト直流(真ん中のボックスによって図示)を有するスタックによって給電され、グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)制御装置(一番上のボックスによって図示)によって動作可能にされる。
【0024】
図3は、酸素濃縮器モジュールの一態様の説明図である。
図3に示すように、ガス供給流10の流路は、電気化学セル40と流体連通することができる。ガス供給流10は、例えば、空気圧縮機26、送風機、圧縮ガスタンク2、ポンプなどのうちの少なくとも1つを介してシステムに導入され得る。1つまたは複数のフィルタ8は、電気化学セル40の上流に配置され、電気化学セル40に導入される前のガス供給流10を濾過することができる。ガス供給流10は、湿った空気を含んでもよい。ガス供給流10は、窒素、酸素、二酸化炭素、および水を含んでもよい。ガス供給流10は、ガス供給流の総体積に対して、22体積パーセント以下、または5~21体積パーセント、または5~15体積パーセントの酸素を含むことができる。
【0025】
ガス供給流10の全部または一部は、電気化学セル40に導かれ得る。ガス供給流10の全部または一部は、電気化学セル40に導入される前に、エンタルピー交換器20に導かれ得る。エンタルピー交換器20は、スタック交換器でもよい。ガス供給流10の全部または一部を含む被交換流22は、電気化学セル40のカソード側チャンバ32に導かれ得る。空気出口流24は、エンタルピー交換器20から除去され得る。水ブリード流18は、エンタルピー交換器20から除去され得る。
【0026】
ガス供給流10からの水蒸気は、プロトン交換膜42を通ってアノード54に透過することができる。水はアノード54で電気分解され、反応(1)に従って酸素を生成することができる。
【0027】
【0028】
アノード54で生成されたプロトンは、プロトン交換膜42を透過してカソード34に戻り、そこで逆反応(2)によって酸素と再結合して水を生成することができる。
【0029】
【0030】
生成酸素はアノード側チャンバ52に集められ、濃縮酸素流56を生成することができる。濃縮酸素流56は患者に供給され得る。濃縮酸素流56の流路は、酸素貯蔵タンク70と流体連通することができる。濃縮酸素流56の流路は、任意に、乾燥器と流体連通することができる。乾燥器は、例えば、酸素貯蔵タンク70または患者の上流に配置され得る。乾燥器は、濃縮酸素流から水分を除去して乾燥酸素流を生成することができる。乾燥器は、凝縮器、膜分離器、熱交換器などのうち少なくとも1つを備えてもよい。
【0031】
濃縮酸素流56の少なくとも一部は、混合器72においてガス供給流10の一部と混合され得る。この混合は、その結果として得られる流れの酸素濃度を所定の酸素含有量に調整するために利用され得る。
【0032】
任意にガス供給流10と混合される濃縮酸素流56の少なくとも一部の流路は、例えば、HEPAフィルタなどのフィルタ74と流体連通することができる。出力流78の流量は、流量調整器76を介して調整され得る。出力流78としての濃縮酸素流56は、例えば、出力流78の総体積に対して、20~90体積パーセント、または25~90体積パーセント、または35~90体積パーセントの酸素を含むことができる。
【0033】
貯水タンク90は、淡水流から酸素濃縮器モジュールに水を供給することができる。貯水タンク90は水を貯蔵し、制御された方法で水を電気化学セル40に導入することができる。淡水源からの淡水流の流路は、酸素濃縮器モジュールに入る前に、水フィルタと流体連通することができる。
【0034】
分離水流96は、カソード側チャンバ32で形成され、引き出され得る。分離水流96の流路は、エンタルピー交換器20と流体連通することができる。
【0035】
酸素濃縮器モジュールは、23キログラム(kg)未満、または5~15kg、または5~10kgの重さの携帯型であってもよい。酸素濃縮器モジュールは、例えば毎分52リットルの空気入力に対して、最大で毎分5.5リットルもの純酸素を生成することができる。酸素濃縮器モジュールは、5baraの酸素出力圧力を発生させることができる。生成酸素は、乾燥した状態でも、水で飽和させた状態でも製造され得る。システムの所要電力は、1.3キロワット(kW)以下、または0.5~1.3kWであってもよい。これらの値は、モジュール設計に依存することがある。酸素濃縮器モジュールは、同様に、所望に応じて、より高いまたはより低い量の最終酸素を、異なる圧力で供給するように構成され得ることに留意されたい。
【0036】
酸素濃縮器モジュールは、カソード34と、アノード54と、カソード34とアノード54との間に位置するプロトン交換膜42と、カソード34のプロトン交換膜42と反対側に位置するカソード側チャンバ32と、アノード54のプロトン交換膜42と反対側に位置するアノード側チャンバ52と、を備える電気化学セル40と、カソード側チャンバ32と流体連通するガス供給流10の流路と、アノード側チャンバ52と流体連通し、濃縮酸素流56をアノード側チャンバ52から除去する、濃縮酸素流56の流路と、カソード側チャンバ32と流体連通し、分離水流96をカソード側チャンバ32から除去する、分離水流96の流路と、被交換流22の流路を介してカソード側チャンバ32と流体連通するエンタルピー交換器20と、を備える。ガス供給流10の流路は、電気化学セル40の上流でエンタルピー交換器20と流体連通して被交換流22を生成する。
【0037】
エンタルピー交換器20は、スタック交換器であってもよく、酸素濃縮器モジュールは、電気化学セル40とスタック交換器とのスタックを備えてもよい。スタックは、1つ以上の電気化学セル40を備えることができる。酸素濃縮器モジュールは、濃縮酸素流56の流路を介してアノード側チャンバ52と流体連通する乾燥器60を備えることができる。水リサイクル流80の流路は、乾燥器60と、エンタルピー交換器20およびアノード側チャンバ52の一方または両方と流体連通することができる。酸素濃縮器モジュールは、エンタルピー交換器20と流体連通する水タンク90を備えることができる。酸素濃縮器モジュールは、ガス供給流10および濃縮酸素流の流路と流体連通する混合器72を備えることができる。ガス供給流10および濃縮酸素流のそれぞれの流量は調節可能であり、これによって、出力流78の酸素濃度を調節することができる。酸素濃縮器モジュールは、アノード側チャンバ52と流体連通する酸素タンク70を備えることができる。酸素濃縮器モジュールは、送風機12、空気圧縮機26、圧縮ガスタンク2、および、カソード側チャンバにガス供給流10を供給するように構成されたポンプのうちの少なくとも1つを備えることができる。酸素濃縮器モジュールは、ガス供給流10または給水された水(water supply)のうちの少なくとも1つを浄化するための1つまたは複数のフィルタを備えることができる。酸素濃縮器モジュールの所要電力は、1.3kW以下、または0.5~1.3kWであってもよい。
【0038】
酸素を濃縮する方法は、本明細書に開示される酸素濃縮器モジュールを用いて空気から酸素を濃縮することを包含する。電気化学セル40は、カソード34と、アノード54と、カソード34とアノード54との間に位置するプロトン交換膜42と、カソード34のプロトン交換膜42と反対側に位置するカソード側チャンバ32と、アノード54のプロトン交換膜42と反対側に位置するアノード側チャンバ52とを備える。当該方法は、電気化学セル40におけるカソード側チャンバ32にガス供給流10を導入することと、アノード側チャンバ52から濃縮酸素流56を除去することと、カソード側チャンバ32から分離水流96を除去することと、電気化学セル40の上流にあるエンタルピー交換器20にガス供給流10を導き、エンタルピー交換器20内でガス供給流10を水和(hydrating)させることと、を包含する。
【0039】
本方法は、濃縮酸素流56を乾燥器60で乾燥させることを包含することができる。ガス供給流10を水和させることは、乾燥器60からの水リサイクル流80でガス供給流10を水和することを含むことができる。ガス供給流10を水和することは、水タンク90からの水流でガス供給流10を水和することを含むことができる。本方法は、濃縮酸素流(56)をガス供給流(10)の一部と混合することによって濃縮酸素流(56)の酸素濃度を低減することを包含することができる。本方法は、濃縮酸素流を酸素貯蔵タンク(70)に導くことを包含することができる。本方法は、ガス供給流10または濃縮酸素流56の1つ以上を濾過することを包含することができる。この方法は、毎分5.5リットルもの純粋な酸素を生成することができ、言い換えれば、濃縮酸素流56を除去することにより、最大で毎分5.5リットルもの純粋な酸素を酸素濃縮器モジュールから取り出すことができる。
【0040】
組成物、方法、および物品は、代替的に、本明細書に開示される任意の適切な材料、ステップ、または成分を備えるか、それらの材料、ステップまたは成分からなるか、または本質的それらの材料、ステップまたは成分からなる。組成物、方法、および物品は、追加的に、または代替的に、組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に必要でない任意の材料(または種)、ステップ、または成分を含まないように、または実質的に含まないように形成され得る。
【0041】
本明細書において、「a」、「an」、「the」、および「少なくとも1つ」は、量の限定を示すものではなく、文脈上明らかにそうでないことが示されない限り、単数形および複数形の両方を網羅することを意図している。例えば、「ある要素」は、文脈上そうでないことが明らかでない限り、「少なくとも1つの要素」と同じ意味を有する。「組み合わせ」という用語には、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などが含まれる。また、「少なくとも1つの」とは、リストが各要素を個別に含むだけでなく、リストの2つ以上の要素の組み合わせ、およびリストの少なくとも1つの要素と名称が付されていない同様の要素との組み合わせを含むことを意味する。
【0042】
「または」という用語は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、「および/または」を意味する。本明細書全体を通して「ある一態様」、「別の態様」、「いくつかの態様」等への言及は、その態様に関連して記載される特定の要素(例えば、特徴、構造、ステップ、または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様には存在してもしなくてもよいことを意味する。さらに、記載された要素は、様々な局面において任意の適切な方法で組み合わされてもよいことを理解されたい。
【0043】
同じ成分または特性に向けられたすべての範囲の終点は、終点を包含し、独立に組み合わせ可能であり、すべての中間点および範囲を含む。例えば、「25vol%まで、または5~20vol%」の範囲は、例えば10~23vol%などのように、その範囲の複数の終点と、「5~25vol%」の範囲のすべての中間値とを含む。
【0044】
別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0045】
図では、バルブ(減圧弁など)、ポンプ、熱電対、圧力調整器など、その他さまざまな機器が存在し得る。TSはスタック温度を表す。
【0046】
引用された特許、特許出願、およびその他の文献はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。ただし、本出願の用語が組み込まれた参考文献の用語と矛盾または抵触する場合、本出願の用語が、組み込まれた参考文献の矛盾する用語に優先する。
【0047】
特定の実施形態について説明したが、出願人または当業者には、現在予測できない、または予測し得る代替案、変更例、変形例、改良例、および実質的等価物が生じる可能性がある。従って、出願時および補正される可能性のある添付の特許請求の範囲は、そのような代替物、変更例、変形例、改良例、および実質的等価物をすべて包含することを意図している。
【国際調査報告】