(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】耐汚染性に優れた分離膜およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B01D 71/82 20060101AFI20240614BHJP
B01D 69/10 20060101ALI20240614BHJP
B01D 69/12 20060101ALI20240614BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20240614BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20240614BHJP
B01D 71/52 20060101ALI20240614BHJP
B01D 71/44 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
B01D71/82 500
B01D69/10
B01D69/12
B01D69/02
B01D71/68
B01D71/52
B01D71/44
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578055
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 KR2022095101
(87)【国際公開番号】W WO2022270999
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】10-2021-0083161
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520080171
【氏名又は名称】東レ尖端素材株式会社
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INC.
【住所又は居所原語表記】(Imsu-dong)300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】100111132
【氏名又は名称】井上 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100170900
【氏名又は名称】大西 渉
(72)【発明者】
【氏名】イム ジェウォン
【テーマコード(参考)】
4D006
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006MA03
4D006MA21
4D006MA31
4D006MB03
4D006MB06
4D006MB20
4D006MC40X
4D006MC45
4D006MC48
4D006MC62
4D006MC63X
4D006MC74X
4D006MC88
4D006NA05
4D006NA46
4D006NA64
4D006PA01
4D006PB03
4D006PB04
(57)【要約】
本発明は、疎水性ポリマー、親水性ポリマーおよびスルホン化ポリマーを含む高分子溶液を支持体の表面にコーティングさせることによって、耐汚染性および流量に優れるだけでなく、排除率性能の低下がない、耐汚染性に優れた分離膜およびその製造方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体の少なくとも一面に形成されたコーティング膜と、を含む分離膜であって、
前記コーティング膜は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、および親水性ポリマーを含み、
前記コーティング膜は、前記スルホン化ポリマーを0.002~0.500重量%で含み、
前記分離膜は、20℃~30℃の温度および40~60psiの圧力条件で100~5,000ppm濃度のポリエチレングリコール溶液下で50分~70分間作動させたとき、流量が63gfd(gal/ft
2・day)以上であり、ポリエチレングリコール排除率が90%以上であることを特徴とする耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項2】
前記スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリスルホン(Sulfonated polysulfone)およびスルホン化ポリエーテルスルホン(Sulfonated polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項3】
前記疎水性ポリマーは、ポリスルホン(Polysulfone)およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項4】
前記親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)およびポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項5】
前記分離膜は、ナノ分離膜、限外ろ過分離膜または精密ろ過分離膜であることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項6】
前記分離膜の上面接触角が20°~50°であることを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項7】
前記疎水性ポリマーは、前記コーティング膜の全重量中、85~95重量%で含むことを特徴とする請求項1に記載の耐汚染性に優れた分離膜。
【請求項8】
疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、親水性ポリマーを含む混合ポリマーおよび溶媒を含む高分子溶液を製造する段階と、
前記高分子溶液を支持体の少なくとも一面にコーティングさせた後、蒸留水に浸漬させて、コーティング膜を形成させる段階と、
前記コーティング膜が形成された支持体を乾燥させる段階と、を含む耐汚染性に優れた分離膜の製造方法。
【請求項9】
前記溶媒は、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)、N-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(Dimetylformamide)およびジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の中から選ばれた1種以上を含むことを特徴とする請求項8に記載の耐汚染性に優れた分離膜の製造方法。
【請求項10】
前記スルホン化ポリマーは、スルホン化度が0.25~0.50であることを特徴とする請求項8に記載の耐汚染性に優れた分離膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、耐汚染性に優れた分離膜およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の分離膜は、地表水や海水に解離した多様な溶存物質を様々な選択的な膜を用いて溶媒から分離することができ、このような膜としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノ分離膜および逆浸透膜などがある。地表水、海水から塩(salt)を除去し、飲水、農業用水、工業用水に活用するために、分子レベル(molecular level)で物質を分離する方法に対する研究が活発に行われているが、そのうち、スルホン化ポリマーを添加する方法について多くの研究が行われている。
【0003】
しかしながら、従来のスルホン化ポリマーを添加する方法は、流量および耐汚染性を向上させる効果があるが、分離膜の排除率が低下する問題があり、その改善のための研究が不十分な状況である。
【0004】
これに対する一例として、韓国公開特許第10-2013-0037387号には、スルホン化した高分子膜を用いて分離膜を製造したが、このように製造した分離膜は、塩排除率が大きく低下する問題があるので、適正な割合でスルホン化ポリマーを導入し、流量に優れながらも、排除率が低下しない分離膜に対する研究が急務である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような問題を解決するための本発明の耐汚染性に優れた分離膜は、分離膜にスルホン化した高分子溶液をコーティングさせることによって、流量および耐汚染性に非常に優れるだけでなく、排除率の低下が発生しない耐汚染性に優れた分離膜およびその製造方法を提供しようと思う。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の耐汚染性に優れた分離膜は、支持体と、前記支持体の少なくとも一面に形成されたコーティング膜と、を含む分離膜であって、前記コーティング膜は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、および親水性ポリマーを含み、 前記コーティング膜は、前記スルホン化ポリマーを0.002~0.5重量%で含み、前記分離膜は、20~30℃の温度および40~60psiの圧力条件で100~5,000ppm濃度のポリエチレングリコール溶液下で50~70分間作動させたとき、流量が63gfd(gal/ft2・day)以上であり、ポリエチレングリコール排除率が90%以上であってもよい。
【0007】
本発明の好ましい一実施形態において、前記スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリスルホン(Sulfonated polysulfone)およびスルホン化ポリエーテルスルホン(Sulfonated polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態において、前記疎水性ポリマーは、ポリスルホン(Polysulfone)およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0009】
本発明の好ましい一実施形態において、前記親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)およびポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0010】
本発明の好ましい一実施形態において、前記疎水性ポリマーは、前記混合ポリマー全重量中、85~95重量%で含んでもよい。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態において、前記分離膜は、ナノ分離膜、限外ろ過分離膜または精密ろ過分離膜であってもよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施形態において、前記分離膜は、上面接触角が20°~50°であってもよい。
【0013】
本発明の他の態様として、耐汚染性に優れた分離膜の製造方法は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、親水性ポリマーを含む混合ポリマーおよび溶媒を含む高分子溶液を製造する段階と、前記高分子溶液を支持体の少なくとも一面にコーティングさせた後、蒸留水に浸漬させて、コーティング膜を形成させる段階と、前記コーティング膜が形成された支持体を乾燥させる段階と、を含んでもよい。
【0014】
本発明の好ましい一実施形態において、前記溶媒は、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)、N-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(Dimetylformamide)およびジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の中から選ばれた1種以上を含んでもよい。
【0015】
本発明の好ましい一実施形態において、前記スルホン化ポリマーは、スルホン化度が0.25~0.50であってもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、流量および耐汚染性に非常に優れるだけでなく、排除率の低下が発生しない耐汚染性に優れた分離膜を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の耐汚染性に優れた分離膜の製造方法に基づいて本発明についてより詳細に説明する。
【0018】
耐汚染性に優れた分離膜の製造方法は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、親水性ポリマーを含む混合ポリマーおよび溶媒を含む高分子溶液を製造する第1段階と、前記高分子溶液を支持体の少なくとも一面にコーティングさせた後、蒸留水(DI)に浸漬させて、コーティング膜を形成させる第2段階と、前記コーティング膜が形成された支持体を乾燥させる第3段階と、を含んでもよい。
【0019】
前記疎水性ポリマー、スルホン化ポリマーおよび親水性ポリマーの和を「混合ポリマー」と定義すると、前記第1段階の高分子溶液は、前記混合ポリマー20~36重量%および100重量%中の残りの残量の溶媒を含んでもよいし、好ましくは、前記混合ポリマー23~33重量%および100重量%中の残りの残量の溶媒を含んでもよい。
【0020】
もし、前記混合ポリマーを20重量%未満で含む場合、分離膜の除去性能が低い問題があり得、36重量%を超過する場合、高分子溶液の粘度が高いため、分離膜の形成に困難があり得、混合ポリマーの含有量が高いため、分離膜の流量が急激に減少する問題があり得る。
【0021】
以下、前記混合ポリマーの各構成について詳細に説明する。
まず、前記疎水性ポリマーは、ポリスルホン(Polysulfone)およびポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、より好ましくは、ポリエーテルスルホンを含んでもよい。
【0022】
また、前記疎水性ポリマーは、前記混合ポリマー全重量中、85~95重量%で含んでもよいし、好ましくは、86~94重量%で含んでもよい。
【0023】
なお、前記スルホン化ポリマーは、スルホン化ポリスルホン(Sulfonated polysulfone)およびスルホン化ポリエーテルスルホン(Sulfonated polyethersulfone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、より好ましくは、スルホン化ポリエーテルスルホンを含んでもよい。
【0024】
また、前記スルホン化ポリマーは、前記混合ポリマー全重量中、0.002~0.500重量%で含まれてもよく、好ましくは、0.0035~0.3500重量%で含まれてもよい。
この際、前記スルホン化ポリマーが0.002重量%未満で含まれる場合、作動後に一定時間以降、流量が大きく低下し、耐汚染性が不良な問題があり得、0.500重量%を超過して含まれる場合、ポリエチレングリコールの排除率が大きく低下する問題があり、流量およびポリエチレン排除率を全部優れたレベルに維持するためには、適正量のスルホン化ポリマーを使用することが必須である。
【0025】
また、前記スルホン化ポリマーは、スルホン化度が0.25~0.50であってもよく、好ましくは、0.30~0.45であってもよい。この際、前記スルホン化度は、スルホン化ポリマー全体モル数のうち、スルホン化反復単位の割合を意味するが、前記スルホン化度が0.25未満の場合、分離膜の耐汚染性の向上がなされない問題があり得、0.50を超過する場合、ポリエチレングリコールの排除率が大きく低下する問題があり得る。
【0026】
また、前記スルホン化ポリマーは、重量平均分子量(Mw)が100,000~180,000であってもよく、好ましくは、110,000~170,000であってもよい。
もし、前記重量平均分子量が100,000未満の場合、スルホン化ポリマーの合成が難しい問題があり得、180,000を超過する場合、ポリマー溶液の粘度が高くなり、分離膜の形成が難しい問題があり得る。
【0027】
なお、前記親水性ポリマーは、ポリエチレングリコール(Polyethylene glycol)およびポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、より好ましくは、ポリビニルピロリドンを含んでもよい。
【0028】
また、前記親水性ポリマーは、前記混合ポリマー全重量中、前記疎水性ポリマーおよび親水性ポリマーを除いた残量で含んでもよい。
【0029】
なお、前記溶媒は、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)、N-メチル-2-ピロリドン(N-Methyl-2-pyrrolidone)、ジメチルホルムアミド(Dimetylformamide)およびジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide)の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、好ましくは、ジメチルアセトアミドを含んでもよい。
【0030】
前述の第1段階で製造した高分子溶液は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマーおよび親水性ポリマーが架橋も反応せず、単純混合された混合物であってもよい。
【0031】
次に、前記第2段階のコーティングは、前記支持体の少なくとも一面にディッピング(dipping)、スプレー(spraying)、ドロップキャスティング(drop casting)、自己集合(self-assembly)、スピンコーティング(spin coating)、ドクターブレード(doctor blade)、バーコーティング(bar coating)、スロットダイコーティング(slot die coating)、マイクロクラビアコーティング(microgravure coating)、コンマコーティング(comma coating)、プリンティング(printing)またはキャスティング工法(casting method)で行うことができる。
【0032】
また、前記支持体は、ポリエステル系支持体、ポリエチレン系支持体、ポリプロピレン系支持体の中から選ばれた1種以上を含んでもよいし、好ましくは、ポリエステル系支持体であってもよい。
【0033】
また、前記支持体は、気孔率および親水性によって膜の物性を調節することができる。
この際、優れた膜の物性を具現するために、前記支持体は、2cc/cm2・sec以上の空気透過量を有していてもよく、好ましくは、2~20cc/cm2・secの空気透過量を有していてもよく、前記支持体の平均気孔の孔径は、1~600μmであってもよく、好ましくは、5~300μmであってもよい。前記空気透過量および平均気孔の孔径条件を満たす場合、水の円滑な流入および水透過性を高めることができる。
【0034】
また、前記支持体の厚さは、20~150μmであってもよく、20μm未満であると、全体膜の強度が低下することがあり、150μmを超えると、流量低下の原因となる恐れがある。
【0035】
次に、前記第2段階のコーティング膜形成は、前記高分子溶液をコーティングさせた支持体を蒸留水に10分~120分間浸漬させて行うことができ、好ましくは、30分~60分間浸漬させて行うことができる。
この際、前記蒸留水は、15~30℃であってもよく、好ましくは、18~25℃であってもよい。
【0036】
次に、前記第3段階の乾燥は、25~100℃下で0.5分~5分間行うことができ、好ましくは、60~90℃下で1分~3分間行うことができる。
この際、前記乾燥は、熱風乾燥および自然乾燥の中から選ばれた1種の方法で行うことができる。
【0037】
以下、前述のような耐汚染性に優れた分離膜の製造方法で製造された耐汚染性に優れた分離膜について説明する。
後述する分離膜に関する説明は、前述の製造方法で説明した部分を省略する。
【0038】
本発明の耐汚染性に優れた分離膜は、支持体と、前記支持体の少なくとも一面に形成されたコーティング膜と、を含んでもよい。
この際、前記コーティング膜は、疎水性ポリマー、スルホン化ポリマー、および親水性ポリマーを含んでもよい。
この際、前記分離膜は、ナノ分離膜、限外ろ過分離膜または精密ろ過分離膜であってもよいが、好ましくは、限外ろ過分離膜であってもよい。
【0039】
前記分離膜の物性について説明すると、まず、前記分離膜は、前記分離膜の上面接触角が20°~50°であってもよく、好ましくは、30°~40°であってもよい。
【0040】
もし、前記上面接触角が20°未満である場合、分離膜の排除率が低下する問題があり得、50°を超える場合、分離膜の流量が低下する問題があり得る。
【0041】
なお、従来の分離膜は、ポリエチレングリコール溶液下で作動させたとき、流量およびポリエチレングリコール排除率を全部優れたレベルに具現しない問題があった。
【0042】
本発明は、ポリエチレングリコール溶液下でも流量および耐汚染性に優れながらも、前記分離膜は、後述する試験条件で作動時に流量が63gfd(gal/ft2・day)以上であってもよく、好ましくは、65gfd以上であってもよく、より好ましくは、65.5~120gfd以上であってもよい。
【0043】
また、前記分離膜は、ポリエチレン排除率が90%以上であってもよく、好ましくは、95%以上であってもよい。
この際、前記試験条件は、前記分離膜を20℃~30℃の温度および40~60psiの圧力条件で100~5,000ppm濃度のポリエチレングリコール溶液下で50~70分間作動させることを意味し得、好ましくは、22~28℃の温度および45~55psiの圧力条件で500~4,000ppm濃度のポリエチレングリコール溶液下で55~65分間作動させることを意味し得る。
【0044】
以下、本発明を下記実施例に基づいて説明する。この際、下記実施例は、ただ発明を例示するために提示されたものであり、本発明の権利範囲が下記実施例によって限定されるわけではない。
【0045】
[実施例]
実施例1:耐汚染性に優れた分離膜の製造
混合ポリマー28重量%および残量の溶媒を含む高分子溶液を製造した。
この際、前記混合ポリマーは、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)89.2重量%、0.35のスルホン化度を有するスルホン化ポリエーテルスルホン(Sulfonated polyethersulfone)0.035重量%および残量のポリビニルピロリドン(Polyvinyl pyrrolidone)を含む。
【0046】
また、前記スルホン化ポリエーテルスルホンの重量平均分子量は、重量平均分子量(Mw)が143,000である。
この際、前記溶媒は、ジメチルアセトアミド(Dimethylacetamide)を使用した。
【0047】
次に、横の長さ、縦の長さおよび厚さが150mm×250mm×0.09mmのポリエステル系支持体の一面に前記高分子溶液をバーコーティング(bar coating)方式でコーティングし、コーティング膜の厚さが支持体を含んで0.13mmとなるようにコーティングした。
【0048】
次に、前記支持体を蒸留水(DI water)に浸漬させて、コーティング膜を形成させた。
【0049】
次に、前記コーティング膜が形成された支持体を90℃下で2分間乾燥させて、耐汚染性に優れた分離膜を製造した。
【0050】
実施例2~実施例8および比較例1~比較例8:耐汚染性に優れた分離膜の製造
実施例1と同じ方法で耐汚染性に優れた分離膜を製造するものの、下記表1~表5の条件で実施例2~実施例8および比較例1~比較例8を実施した。
【0051】
実験例1:分離膜の物性の評価
実施例1~実施例8および比較例1~比較例8で製造した耐汚染性に優れた分離膜を下記のような方法で物性評価して、下記表1~表4に示した。
【0052】
(1)上面接触角(濡れ性)の測定
水に対する濡れ性(wettability)を測定するために、接触角(Contact angle, °)測定装置で膜の表面と水滴との成す接触角を測定した。液滴の形状をCCDカメラで撮った後、最終的に撮影された液滴の形状に最適化された界面張力(γ)を計算する方法を使用した。マイクロシリンジーを用いて注入容量は、0.05mLとし、2次蒸留水を用いた。接触角は、膜表面の化学的不均一性と粗度によって誤差が発生し得るので、実験では、10回以上の分析を通じて誤差範囲が最大±2°を超えない範囲で実験した。
【0053】
(2)流量および排除率の測定
分離膜を25℃の温度および50psiの圧力条件で1,000ppm濃度のポリエチレングリコール(Polyethyleneglycol)溶液下で60分間作動させたとき、流量およびポリエチレングリコール排除率を測定した。
【0054】
(3)耐汚染性の評価
分離膜に対してドライミルク(Dry milk)50ppm、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド(DTAB)5ppmおよびソジウムドデシルサルフェート(SDS)50ppmをそれぞれ独立して含む2000ppm塩化ナトリウム水溶液で25℃、50psiおよび24時間運転の条件で初期流量対比流量減少率を評価した。
この際、前記流量減少率は、下記関係式1を通じて計算した。
【0055】
[関係式1]
流量減少率(%)=(24時間作動後の流量-初期流量)/初期流量×100(%)
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
前記表1~表4を参照すると、実施例1~実施例8は、ポリエチレングリコール溶液下でも優れた流量およびポリエチレングリコール排除率を示し、流量減少率が少ないため、汚染性に優れた分離膜であることを確認することができた。また、実施例2は、優れた物性を示すが、実施例1と比較して、多少不良な物性を示すことを確認することができた。
【0061】
また、実施例2は、優れた物性を示すが、実施例1と比較して、多少不良な物性を示すことを確認することができた。
【0062】
一方、スルホン化ポリマーを混合ポリマー中で0.002重量%未満で含む比較例1は、流量減少率が非常に不良であることを確認することができ、0.5重量%を超過して含む比較例2および比較例3は、ポリエチレングリコール排除率が非常に低いことを確認することができた。
【0063】
また、スルホン化ポリマーのスルホン化度が0.25未満の場合、流量減少率が大きくなり、耐汚染性が不良であることを確認することができ、スルホン化度が0.50を超える比較例5は、ポリエチレングリコール排除率が不良であることを確認することができた。
【0064】
また、混合高分子溶液中、混合ポリマーの含有量が20重量%未満の比較例6は、排除率が不良であり、流量減少率が大きく、分離膜の耐汚染性が不良であることを確認することができ、36重量%を超える比較例7は、分離膜の形成が不可能で、すべての物性が測定不可能であった。
【0065】
また、混合ポリマー中、疎水性ポリマーが85重量%未満の比較例8は、流量が高く、塩排除率、耐汚染性の物性が不良であることを確認することができた。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施形態に限定されず、本発明の思想を理解する当業者は、同じ思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などによって他の実施例を容易に提案することができるが、これも、本発明の思想範囲内に入ると言える。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0058
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0058】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
一方、スルホン化ポリマーを混合ポリマー中で0.002重量%未満で含む比較例1は、流量減少率が非常に不良であることを確認することができ、0.5重量%を超過して含む比較例3は、ポリエチレングリコール排除率が非常に低いことを確認することができた。
【国際調査報告】