(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ゲノム編集のための組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/09 20060101AFI20240614BHJP
C12N 15/11 20060101ALI20240614BHJP
C12M 1/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C12N15/09 100
C12N15/11 Z ZNA
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578194
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022067351
(87)【国際公開番号】W WO2022269037
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523475538
【氏名又は名称】クウィディタス エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】シェルボンノー フランソワ
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA23
4B029AA27
4B029BB01
4B029BB20
4B029CC01
4B029GA03
4B029GA08
4B029GB10
(57)【要約】
本発明は、トランスポザーゼの少なくとも2つの結合半部位を含む第1の一本鎖核酸分子と、トランスポザーゼの少なくとも1つの結合半部位を含む第2の一本鎖核酸分子と、を含有する、分子複合体に関する。複合体は、第1及び第2の一本鎖核酸が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しているようなものである。本発明は更に、特にDNA編集のための、複合体の使用に関する。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか、又は本質的にそれからなる第1の一本鎖核酸分子であって、
前記A配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、前記第1及び第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、前記第1のドメインの配列が、前記第2のドメインの配列に相補的であり、前記第1及び第2のドメインが、前記A配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、前記第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための少なくとも1つの第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子と、
前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の少なくとも1つの相補配列をその5’末端に含むか、又は本質的にそれからなる第2の一本鎖核酸分子と、を含む、複合体であって、
前記第1及び第2の一本鎖核酸分子が、前記トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しているようなものである、複合体。
【請求項2】
前記A配列が、目的の核酸の相補配列を含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第2の配列と、を含み、
前記第2の分子が、その5’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の第1の相補配列と、それに続く、前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の第2の相補配列と、を含む、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
前記第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための第2の配列と、それに続く、前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の第1の相補配列と、を含み、
前記第2の分子が、その5’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の相補配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
前記トランスポザーゼが、細菌トランスポザーゼ、特にTn5、Tn9、Tn10又はTc1/marinerから選択されるトランスポザーゼである、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
前記第1の分子が、特に修飾ヌクレオチドを介して酵素とカップリングしている、請求項1~5のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
前記第1の分子が、以下の配列:配列番号436、配列番号440、配列番号443、配列番号444、配列番号448、配列番号449、配列番号450、配列番号454、配列番号455、配列番号456、配列番号457、配列番号458、配列番号462、配列番号463、配列番号464、配列番号465、配列番号466及び配列番号641のうちの1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項8】
前記複合体が第1及び第2の分子の対を含み、前記第1及び第2の分子が表2に規定される配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項9】
表4に規定される第1及び第2の分子300対のうちの1つを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項10】
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか若しくは本質的にそれからなるか、又は目的の核酸の相補配列を含む第1の一本鎖核酸分子であって、前記相補配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のTリッチ配列に結合し、前記第1及び第2のTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、前記第1のドメインの配列が前記第2のドメインの配列に相補的であり、前記第1及び第2のドメインが前記A配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、前記第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された少なくとも1つの第1の配列と、その3’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子と、
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするB配列を含むか若しくは本質的にそれからなるか、又は目的の核酸の相補配列を含む第2の一本鎖核酸分子であって、前記相補B配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第3のTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第4のTリッチ配列に結合し、前記第3及び第4のTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第3及び第4のドメインを含み、前記第3のドメインの配列が前記第4のドメインの配列に相補的であり、前記第3及び第4のドメインが前記B配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、前記第2の分子が、その5’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された少なくとも1つの第1の配列と、その3’末端に、前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列と、を含み、
前記B配列が目的の前記核酸の相補配列であり、前記A配列が目的の前記核酸の目的の領域の5’に位置付けられ、前記B配列が目的の前記核酸の目的の前記領域の3’に位置付けられている、第2の一本鎖核酸分子と、
第3の一本鎖分子であって、
その5’部分において、前記第1の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の少なくとも1つの相補配列と、
その3’部分において、前記第2の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の少なくとも1つの相補配列と、を含む、第3の一本鎖分子と、
前記第1の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の相補配列と、一本鎖置換核酸分子の挿入を可能にする前記第2の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の前記相補配列との間に位置する領域と、を含む、集合体であって、
前記第1及び第3の一本鎖核酸分子が、前記トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しており、前記第2及び第3の一本鎖核酸分子が、前記トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合している、集合体。
【請求項11】
表5に規定される第1及び第3の分子300対のうちの1つを含む、請求項10に記載の集合体。
【請求項12】
リコンビナーゼの発現を可能にする少なくとも1つのベクターと、請求項10に記載の集合体の前記第1、第2及び第3の分子と、を含む、キット。
【請求項13】
核酸を操作するための、特に標的配列を目的の配列で置換するための、請求項10に記載の集合体の使用であって、次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法を含まないこと、かつ手術又は療法によって前記ヒト又は動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする、使用。
【請求項14】
ハイブリッド核酸分子を得るように、核酸分子の標的領域を別の核酸分子の目的の領域でインビトロで置換するための方法であって、
請求項10に記載の集合体を、前記標的領域を含む前記核酸と接触させることであって、
前記集合体が、
前記第1の分子の前記A配列が、前記標的領域の5’にすぐ前記領域の相補配列を含み、
前記第1の分子の前記B配列が、前記標的領域の3’にすぐ前記領域の相補配列を含み、
前記第3の分子が、置換複合体を得るために、前記第1の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の相補配列と、前記第2の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の前記相補配列との間に位置する領域に目的の前記領域を含む、接触させることと、
組換え複合体を得るために、前記集合体に含まれる前記トランスポザーゼの前記二本鎖結合部位を認識するトランスポザーゼの存在下に前記置換複合体を配置することと、
前記標的領域の代わりに目的の前記領域を含む前記ハイブリッド核酸分子を得るために、組み合わせ複合体を組換えることと、を含み、
次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法ではないこと、かつ手術又は療法によって前記ヒト又は動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする、方法。
【請求項15】
細胞のゲノムを編集するためのインビトロ又はエクスビボ方法であって、前記細胞の前記ゲノムの二本鎖DNAの特定の断片を目的の他の二本鎖DNA断片で置換して、二本鎖DNAの前記特定の断片の代わりに目的の前記他の二本鎖DNA断片を含む組換えハイブリッドゲノムを得ることを可能にするものであり、
請求項10に記載の第1の集合体を準備することであって、
前記第1の分子の前記A配列が、前記特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
前記第2の分子の前記B配列が、前記特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
前記第3の分子が、前記第1の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の相補配列と、前記第2の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の前記相補配列との間に位置する領域の間に、前記特定の断片の鎖のうちの一方の配列を含む、請求項10に記載の第1の集合体を準備することと、
任意選択で、請求項10に記載の第2の集合体を準備することであって、
前記第2の集合体の前記第1の分子の前記相補領域の前記A配列が、前記特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
前記第2の集合体の前記第2の分子の前記相補領域の前記B配列が、前記特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
前記第2の集合体の前記第3の分子が、前記第2の集合体の前記第1の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第2の配列の相補配列と、前記第2の集合体の前記第2の分子の前記トランスポザーゼを認識するための前記第1の配列の前記相補配列との間に位置する領域の間に、前記第1の集合体の前記第3の配列に含まれる前記特定の断片の相補鎖の配列を含み、
前記第1の集合体の前記第1の分子のA領域に含まれる前記特定の断片の5’の隣接領域の前記相補配列が、前記第2の集合体の前記第1の分子のA領域に含まれる前記特定の断片の5’の隣接領域の前記相補配列に対して最大で95%相補的であり、
前記第1の集合体の前記第1の分子のB領域に含まれる前記特定の断片の3’の隣接領域の前記相補配列が、前記第2の集合体の前記第1の分子のB領域に含まれる前記特定の断片の3’の隣接領域の前記相補配列に対して最大で95%相補的である、請求項10に記載の第2の集合体を準備することと、
組換え複合体を得るために、
編集される準備が整った細胞を得るために、前記細胞を前記組換え複合体と接触させることと、
編集された細胞を得るために、編集される準備が整った前記細胞において前記トランスポザーゼを発現させることと、
前記編集された細胞を選択することであって、前記編集された細胞のゲノムが、前記特定の二本鎖DNA断片の代わりに、目的の前記他の二本鎖DNA断片を含む、選択することと、を含み、
次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法ではないこと、かつ手術又は療法によって前記ヒト又は動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲノム編集のための組成物及び方法に関する。
【0002】
生細胞の遺伝情報を改変することの効果を理解したいという願望は、遺伝学の最初の工程にさかのぼる。
【0003】
第一に、従来の遺伝学は、特定の遺伝子部位を選択することによって、遺伝子改変及びそれから生じる表現型を理解しようと試みる。
【0004】
その後、生化学者は、実験生物における遺伝子変異の確率を増加させるために放射線及び化学的突然変異誘発剤を使用してきた。これらの方法は、非常に有用であるが、高価であり、遺伝物質に導入された改変の容易な制御を可能にしない。
【0005】
細胞修復又は宿主生物に対する防御のための分子生物学及び分子機構の知識は、多数の技術を開発することを可能にし、いわゆる逆遺伝学の開発を可能にし、その目的は、いわゆる従来の遺伝子スクリーニングの反対である。
【0006】
逆遺伝学は、得られる表現型効果を測定及び分析する目的で遺伝物質に変異を導入することを目的とする。
【0007】
ゲノム編集戦略は、ここ30年にわたって進化しており、標的遺伝子改変の文脈における最新の革新及び改革は、CRISPR/タンパク質9(Cas9)関連CRISPR系(CRISPR/Cas-9)である。この点に関して、欧州特許第3144390 B1号及び米国特許第8697359 B1号の2つの特許を挙げることができ、両方ともこの技術を記載している。
【0008】
したがって、CRISPR/Cas-9系は、それ自体を遺伝子改変のための参照ツールとして課している。しかしながら、このCRISPR改革は分子バサミに類似しており、エクソン全体の全組換えを可能にするのに十分ではない。
【0009】
より最近では、CRISPR(トランスポゾンコードCRISPR-Cas系)系によってコードされるトランスポザーゼは、CRISPR技術の欠損に対する半応答である。実際、この技術は、トランスポゾンTn7を介して標的化された組込みと、それに続くCRISPR技術によるゲノムへの配列の付加の両方を使用する。しかしながら、いかなる場合も、それは組換えではない。
【0010】
プライム編集技術は、CRISPRツールを逆転写酵素と関連付ける遺伝子置換の別の可能性である。ゲノム編集におけるこの最新の進化は、サイズに依存して、2つのDNA鎖のうちの一方の置換を可能にするが、これは依然として、細胞組込み及び修復系に固有であり、それらに付随する強い制限である。
【0011】
また、本発明は、特に、従来技術のこれらの欠点を克服することを目的とする。
【0012】
本発明の目的のうちの1つは、ゲノム編集を可能にする組換えツールを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、この新たなツールが操作される配列のサイズに依存せず、この系がユーザによって制御され、かつ制御可能にすることである。
【0014】
本発明の更に別の目的は、制御され、かつ制限された様式でDNA修復系を使用して、ユーザの意思で、目的の分子の一本鎖又は二本鎖置換を可能にするツールを提供することである。
【0015】
本発明は、目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか、又は本質的にそれからなる第1の一本鎖核酸分子であって、
A配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のTリッチ配列に結合し、第1及び第2のTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、第1のドメインの配列が、第2のドメインの配列に相補的であり、第1及び第2のドメインが、A配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための少なくとも1つの第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子に関する。
【0016】
また、本発明は、
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか、又は本質的にそれからなる第1の一本鎖核酸分子であって、
A配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、第1及び第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、第1のドメインの配列が、第2のドメインの配列に相補的であり、第1及び第2のドメインが、A配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための少なくとも1つの第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子と、
トランスポザーゼを認識するための第2の配列の少なくとも1つの相補配列をその5’末端に含むか、又は本質的にそれからなる第2の一本鎖核酸分子と、を含む、分子複合体であって、
第1及び第2の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しているようなものである、分子複合体に関する。
【0017】
これは、本発明が、第1の一本鎖核酸分子及び第2の一本鎖核酸分子を含む分子複合体であって、第2の一本鎖核酸分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための第2の配列の少なくとも1つの相補配列を含むか、又は本質的にそれからなり、
第1及び第2の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しているようなものである、分子複合体に関することを意味する。
【0018】
本発明は、目的の核酸の領域を標的とすることができる特定の一本鎖ガイドの使用が、制御された「部位特異的」様式でトランスポザーゼを動員することを可能にし、したがってトランスポザーゼの組換え特性を使用して目的の分子中の配列を置換することを可能にするという、本発明者によってなされた予想外の観察に基づく。
【0019】
前述の分子複合体は、実際、本発明において規定される技術の基本単位である。この基本単位は、組換え、したがって配列置換が起こらなければならない特定の部位にリコンビナーゼを誘導するのに有用である。PAM型(NGG)配列の存在を必要とするCRISPR/Cas9系とは異なり、本明細書で規定される分子ツールは、その配列にかかわらず、任意の標的配列に対して使用され得る。
【0020】
したがって、前述の分子複合体は、以下によって完成される基本単位である。
標的配列の相同性領域、及び
標的配列の置換領域。
【0021】
したがって、これは、以下に説明するツールの中間産物である。
【0022】
分子複合体は、2つの一本鎖核酸分子からなり、これは、DNA分子、RNA分子又は混合RNA及びDNA分子であり得る。
【0023】
これらの2つの分子は、ワトソン・クリックによって規定される核酸の塩基相補性に従って、互いに部分的に相補的であり、すなわち、アデニンはチミジン又はウラシルと対合し、シトシンはグアニンと対合し、逆もまた同様である。
【0024】
より具体的には、前述の複合体を形成する2つの分子はそれぞれ、トランスポザーゼの結合配列に対応する二本鎖分子の鎖のうちの一方の配列を含む。また、各一本鎖分子は、したがって、トランスポザーゼ結合「半配列」を含み、したがって、対応するトランスポザーゼと相互作用することができない。他方、複合体の2つの分子が一緒に相互作用する場合、本明細書において先に規定されたような塩基対形成によって、二本鎖分子がこのように形成され、トランスポザーゼの二本鎖結合部位を再構成し、したがって後者は形成された分子と相互作用することができる。
【0025】
第1の分子。
【0026】
複合体の第1の分子は、修飾されると、目的の核酸分子の目的の領域を特異的に標的とすることを可能にする核酸配列を含む分子である。この目的の配列は、選択された標的に従って系のユーザによって選択される。この目的の配列は、A領域で複合体の第1の分子に挿入される。このA領域は、標的分子を標的とすることを可能にする配列が間に挿入される少なくとも2つの核酸に対応する。核酸の配向された構造(5’から3’への方向)を考慮すると、標的配列との対合を可能にするためには、目的の領域を標的とすることを可能にする配列が正しい方向に位置付けられることが重要である。
【0027】
また、有利には、A領域は、配向された挿入を促進するために制限酵素を認識する1つ以上の部位を含む。以下の部位のうちの1つ以上がA領域に存在し得る。
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
明らかに、第1の分子の化学合成の文脈において、標的領域を標的とすることを可能にする配列のクローニング(又は挿入)部位を有する必要はなく、むしろ、正確に配向された配列を提供するために十分な注意を払う必要がある。しかしながら、これはもちろん可能である。
【0035】
第1の分子は更に、構造のある特定の柔軟性を可能にするために、A領域のいずれかの側において、A/Tリッチ配列からなり、又はRNAの場合には、A/Uリッチ配列からなる。A/Tリッチ又はA/Uリッチは、本発明において、配列を構成するヌクレオチドの総数に対して、50%を超えるA若しくはT、又はU、好ましくは50%を超えるT若しくはUを含む配列を意味すると理解される。A領域のいずれかの側のこれらの配列は、10ヌクレオチド~60ヌクレオチドの範囲のヌクレオチドサイズを有する。
【0036】
A領域に隣接するこれらの配列の柔軟性は、多数のA、T又はU塩基の存在に起因して、おそらく複合体がまだ標的分子を認識していない場合であっても、十分に制御されていないリコンビナーゼを介した組換えを可能にする効果を有し得る。
【0037】
また、この問題を克服するために、GCリッチ配列が、A領域に隣接するA/Tリッチ配列、特にTリッチ配列、又はA/Uリッチ配列の各々に導入される。これらのG/Cリッチ領域は、6~12ヌクレオチドからなり、C又はG塩基の量は、G/Cリッチ配列に含まれるヌクレオチドの50%を超える。
【0038】
第1の分子の構造を安定化させるために、かつ、本明細書において先に記載されたように、不注意な組換えを防ぐために、G/Cリッチ領域は、A領域の末端から15~52ヌクレオチドに位置付けられる。
【0039】
より明確にするために、A領域が3つのヌクレオチド(中央ヌクレオチドが0位に対応する)からなる場合、A/Tリッチ領域又はA/Uリッチ領域は、左側の-2位及び右側の+2位から始まる。したがって、G/Cリッチ領域は、左側では-17位~-54位に位置付けられ、右側では+17位~+54位に位置付けられる。
【0040】
別の重要な要素:A領域の右側(又は5’)のG/Cリッチ配列は、A領域の右側(又は3’)のG/Cリッチ領域に対して必然的に相補的である(ワトソン・クリック対合則に従う)。また、第1の一本鎖分子は、G/Cリッチ領域でそれ自体と対合し、第1の分子のA領域に挿入される領域の相補的標的配列との相互作用がない限り、トランスポザーゼによる任意の組換えを防止する。
【0041】
最後に、第1の分子は、その5’末端にトランスポザーゼに結合するための第1の部位に対応する配列を含み、その3’末端にトランスポザーゼに結合するための第2の部位を含む。
【0042】
第1の結合部位及び第2の結合部位は有利には同じであり、とりわけ両方ともトランスポザーゼの二本鎖結合部位の同じ鎖に対応する。これは、第1の分子の5’領域に存在する第1のトランスポザーゼ結合部位のみが、3’領域に存在するトランスポザーゼ結合部位と一体的に、したがって安定に対合することができることを意味する。
【0043】
第1の結合部位及び第2の結合部位は有利には同じであるが、各々が二本鎖トランスポザーゼ結合部位の異なる鎖に対応する。また、例えば、第1のトランスポザーゼ結合部位がセンス鎖に対応する場合、第2のトランスポザーゼ結合部位は相補鎖の配列に対応する。次いで、2つの立体配置のいずれかを有することが可能である:i)相補鎖に対応する第2の結合部位が3’から5’方向に配向される(この場合、第1のトランスポザーゼ結合部位と対合して二本鎖部位を形成することができる)か、又はii)相補鎖に対応する第2の結合部位が5’から3’への方向に配向される(この場合、それらの配向が相補的でないために、第1のトランスポザーゼ結合配列と対合することができない)。上記の場合i)において、第1の一本鎖分子が第1及び第2の結合部位でそれ自体と対合する場合、2つの二本鎖トランスポザーゼ結合部位を形成するように第2の分子と対合するために利用可能な一本鎖相補領域がもはや存在しないので、前述の複合体を形成することは不可能である。
【0044】
また、第1の分子は、A部分に標的領域の相補配列を欠いている場合、又はそのような標的配列を含むがこの標的配列と相互作用しない(対合しない)場合、互いに対合するG/Cリッチ領域に対応する領域を除いて分子全体が一本鎖である三次元構造を形成する。
【0045】
第1の分子の線形模式図を[
図1]に示し、その対合形態の模式図を[
図2]に示す。
【0046】
第2の分子。
【0047】
前述の複合体の第2の分子は、第1の分子よりも単純である。第2の分子は、その5’部分に、第1の分子の3’部分に存在するトランスポザーゼに結合するための部位に相補的であるトランスポザーゼ結合部位を含む。したがって、複合体が形成される場合、第1の分子の3’に位置する(一本鎖)トランスポザーゼ結合半部位は、第2の分子の5’に位置する(一本鎖)トランスポザーゼ結合半部位と対合して、二本鎖トランスポザーゼ結合部位、トランスポザーゼが結合することができる二本鎖部位を形成することができる。
【0048】
第2の分子の3’部分には、第1の分子のA領域に類似した領域があり、この領域は、目的の標的分子の代わりに挿入される配列に対応する特定の配列を受容することを可能にする。以下は、この置換を可能にする第2の分子を調製する方法のより詳細な説明である。
【0049】
複合体
第1の分子と第2の分子から形成される複合体を[
図3]に模式的に示す。
【0050】
複合体は、第1の分子と第2の分子とがトランスポザーゼ結合半部位を介して対合している場合に、複合体がトランスポザーゼ二量体(組換えを可能にする機能的二量体)を結合することができるようなものである。
【0051】
また、第1又は第2の分子のうちのいずれか一方は、第1の分子の5’に位置するトランスポザーゼ結合半部位の相補配列を更に含む。第1の分子の5’に位置するトランスポザーゼ結合部位のこの相補領域は、第1の分子の5’若しくは3’に、又は更には第2の分子の5’に、好ましくは第1の分子の3’に位置するトランスポザーゼ結合部位の相補配列の5’に位置し得る。
【0052】
本発明では、「第1及び第2の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合しているようなものである」。第1の分子は、その5’領域に少なくとも1つのトランスポザーゼ結合半部位を含み、その3’領域に少なくとも1つのトランスポザーゼ結合半部位を含み、第2の分子もまた、少なくとも1つのトランスポザーゼ結合半部位を含むので、これは、
*第1の分子が、その5’領域に、第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列及び第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列の相補配列を含み、その3’部分に、第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列を含み、
*第2の分子が、第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列の相補配列を含むか、
又は
*第1の分子が、その5’領域に第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列を含み、その3’部分に第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列及び第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列の相補配列を含み、
*第2の分子が、第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列の相補配列を含むか、
又は
*第1の分子が、その5’領域に第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列を含み、その3’部分に第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列を含み、
*第2の分子が、第1のトランスポザーゼ結合部位の第1の配列の相補配列、及び第2のトランスポザーゼ結合部位の第2の配列の相補配列を含むので、
第1の分子と第2の分子との間の対合中に、2つの完全な部位が形成されることを意味する。
【0053】
使用される用語「少なくとも」、及び分子がトランスポザーゼ認識部位を形成する配列を「含む」という事実は、当業者が結合部位を形成する半配列の位置を選択することを可能にし、その結果、最終的に、複合体が形成される場合、2つの完全な部位が再構成される。
【0054】
3つの選択肢(そのうちの2つを以下に詳述する)を[
図4]に概略的に示す。
【0055】
有利には、本発明は、A配列が目的の核酸の相補配列を含む、前述の複合体に関する。
【0056】
上記のように、A領域は、目的の核酸の相補配列を含み得る。より詳細には、上記複合体の第1の分子のA領域に含まれる配列は、目的の分子の配列の5’又は3’の配列に相補的であり、その結果、この複合体は、核酸分子のこの領域を特異的に認識し、この複合体が、A領域に含まれる配列に相補的な領域に相補的な領域に隣接領域を置換することを可能にする。
【0057】
換言すれば、本発明は、有利には、
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか、又は本質的にそれからなる第1の一本鎖核酸分子であって、相補A配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、第1及び第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、第1のドメインの配列が第2のドメインの配列に相補的であり、第1及び第2のドメインがA配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための少なくとも1つの第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子と、
トランスポザーゼを認識するための第2の配列の少なくとも1つの相補配列をその5’末端に含むか、又は本質的にそれからなる第2の一本鎖核酸分子と、を含む、前述の複合体であって、
第1及び第2の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン・クリックによって規定される塩基相補性に従って対合している、前述の複合体に関する。
【0058】
有利な一実施形態では、本発明は、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第2の配列と、を含み、
第2の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための第1の配列の第1の相補配列と、それに続く、トランスポザーゼを認識するための第2の配列の第2の相補配列と、を含む、前述の複合体に関する。
【0059】
本発明の複合体のこの有利な実施形態において、第1の分子は、5’位に第1のトランスポザーゼ認識配列と、3’位に第2のトランスポザーゼ認識配列と、を含む。次に、第2の分子は、5’位に、第1の分子の第1のトランスポザーゼ認識配列の第1の相補配列と、それに続く、第1の分子の第2のトランスポザーゼ認識配列の第2の相補配列と、を含む。また、複合体の各分子は、2つのトランスポザーゼ結合半部位を含み、その結果、複合体が形成されると、すなわち、第1の分子が第2の分子と対合すると、2つの隣接する二本鎖トランスポザーゼ結合部位が形成され、次いでトランスポザーゼ二量体がそれに結合することができる。
【0060】
【0061】
有利には、本発明は、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための第2の配列と、それに続く、トランスポザーゼを認識するための第1の配列の第1の相補配列と、を含み、
第2の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列を含む、前述の複合体に関する。
【0062】
本発明の複合体のこの有利な実施形態において、第1の分子は、5’位に第1のトランスポザーゼ認識配列及び3’位に第2のトランスポザーゼ認識配列を含み、後者のすぐ後に、第1の分子の5’に位置するトランスポザーゼ認識配列の第1の相補配列が続く。次に、第2の分子は、5’位に、第1の分子の第2のトランスポザーゼ認識配列の第2の相補配列を含む。
【0063】
また、この実施形態では、第1の分子は、第1の分子の5’の第1の認識配列と分子の3’の第1の認識配列とを対合させることによって、トランスポザーゼ認識二本鎖結合部位を再形成することができる。次に、第1の分子の3’にある第2の認識配列及び第2の分子の5’に位置する第2の相補的トランスポザーゼ認識配列を用いて第2の二本鎖トランスポザーゼ結合部位を再構成するために、第2の分子を第1の分子と対合させなければならない。
【0064】
【0065】
第1の分子が5’に第1のトランスポザーゼ認識部位の第1の相補配列と、それに続く、第1のトランスポザーゼ認識部位と、を含む、本発明による複合体の別の有利な実施形態を想定することも可能である。更に、第1の分子は、3’に第2のトランスポザーゼ認識部位を含む。次に、第2の分子は、前述の実施形態に関して変化しないままである。
【0066】
本明細書において、第1の分子の5’部分は、第1の認識部位及び直接隣接する相補配列によって、対合によって二本鎖トランスポザーゼ認識部位を再構成するように、それ自体の上に折り畳まれる。この実施形態は、[
図7]に示されている。
【0067】
第1の分子が5’に第1のトランスポザーゼ部位の第1の相補配列を含み、その直後に第1のトランスポザーゼを認識するための第1の部位を含む、追加の同様の実施形態が存在する。
【0068】
有利には、上記トランスポザーゼは、トランスポゾンTn5のトランスポザーゼ、トランスポゾンTn9のトランスポザーゼ、トランスポゾンTn10、Tn903、Tn602のトランスポザーゼ、又は更にトランスポゾンTc1のトランスポザーゼ、又はより一般的にはmarinerトランスポゾンスーパーファミリーのトランスポザーゼから選択される細菌型トランスポザーゼである。
【0069】
本発明の文脈において使用することができるトランスポザーゼの他の例は、ビブリオ・ハーベイ(Vibrio harveyi)トランスポザーゼ(Agilentによって特徴付けられ、製品SureSelect QXTにおいて使用されるトランスポザーゼ)、MutAトランスポザーゼ並びに末端配列R1及びR2を含むMuトランスポザーゼ認識部位、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)トランスポゾンTn552のトランスポザーゼ、トランスポゾンTn7のトランスポザーゼ、Tn/O及びIS10トランスポザーゼ、トランスポゾンTn3のトランスポザーゼである。
【0070】
Tn5トランスポザーゼが最もよく知られている。これはトランスポゾンTn5のTnp遺伝子によってコードされる。トランスポザーゼは、その標的配列に結合するトランスポザーゼ二量体を形成することによって転位を開始する。この複合体に関連して、トランスポザーゼは、次いで、4つのホスホリル転移反応(DNA切断、DNAヘアピン形成、ヘアピン分解及び標的DNAへの鎖転移)を触媒し、トランスポゾンのその新たなDNA部位への組込みをもたらす。これは、「タグメンテーション」として知られるものである。
【0071】
本発明は、このタグメンテーション原理に基づいている。トランスポザーゼのタグメンテーション特性を使用することによって、前述の複合体によって、1つの配列を別の配列に標的化された様式で挿入することが可能である。
【0072】
また、本発明の文脈において、トランスポザーゼについて言及される場合、前述のトランスポザーゼのうちの1つ、すなわち、トランスポゾンTn5、Tn9、Tn10又はTc1/marinerのトランスポザーゼ(又はそれらの転位若しくはタグメンテーション活性を増加させるように変異させたトランスポザーゼ)について言及されている。
【0073】
本発明において、第1の分子と第3の分子により形成される複合体に結合するトランスポザーゼと、第2の分子と第3の分子により形成される複合体に結合するトランスポザーゼを同時に用いる場合、トランスポゾンTn5とTn10に由来するトランスポザーゼの対が好ましい。
【0074】
1つの有利な実施形態において、本発明は、前述の複合体の第1の分子の発現を可能にするベクターと、前述の第2の分子の発現を可能にするベクターと、を含む、キットに関する。
【0075】
このキットに関連して、ベクターは、好ましくは、宿主細胞(原核細胞及び/又は真核細胞)における複製を可能にするための全ての要素を有し、かつ前述の複合体の第1又は第2の分子の発現を可能にするための要素を有する二本鎖DNAの環状分子である。
【0076】
第1の分子及び第2の分子が一本鎖DNA分子の形態でなければならない場合、第1及び第2の分子の各々の配列は、二本鎖DNAからの一本鎖DNAの合成を可能にする配列の制御下にある。これは、例えば、ファージミド型ベクターに含まれるf1バクテリオファージの複製起点配列の場合である。したがって、f1配列を活性化するのに必要な全ての遺伝子を有する補助相M13の存在下で、ベクターは二本鎖プラスミドDNAから一本鎖DNAを産生する。
【0077】
したがって、キットは、前述の複合体を形成する第1及び第2の分子のうちの一方又は他方の配列を各々含む2つの独立したベクター、又は2つの配列を含むが互いに遺伝的に単離された単一のベクターのいずれかを含むことができる。
【0078】
前述のキットはまた、転位を可能にするトランスポザーゼなどの他の要素を含んでもよい。
【0079】
有利には、前述の複合体は、第1及び第2のトランスポザーゼ認識配列が、以下の配列のうちの1つを有するTn5トランスポザーゼを認識するための配列であるようなものである:
-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)、
-CTGACTCTTataCACAagT(配列番号3)、及び
-CTGtCTCTTgatCAgATCT(配列番号5)。
【0080】
結果として、対応する相補配列は以下の通りである:
-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)、
-ActTGTGtatAAGAGTCAG(配列番号4)、及び
-AGATcTGatcAAGAGaCAG(配列番号6)。
【0081】
他のトランスポザーゼ認識配列は以下の通りである:
Tn5MErev、
5’-[phos]CTGTCTCTTATACACATCT-3’(配列番号11)
Tn5ME-A(Illumina FC-121-1030)、
5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3’、(配列番号12)
及びTn5ME-B(Illumina FC-121-1031)、
5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号13)
【0082】
更なる配列は以下の通りである。
配列番号iのセンス配列
配列番号i+1のアンチセンス配列、
iは269~424の範囲である。
【0083】
これは、例えば、以下のそれぞれのセンス配列及びアンチセンス配列対が考慮されることを意味する:配列番号269及び配列番号270、配列番号:271及び配列番号:272、配列番号:273及び配列番号:274、配列番号:275及び配列番号:276、配列番号:277及び配列番号:278、配列番号:279及び配列番号:280、配列番号:281及び配列番号:282、配列番号:283及び配列番号:284、配列番号:285及び配列番号:286、配列番号:287及び配列番号:288、配列番号:289及び配列番号:290、配列番号:291及び配列番号:292、配列番号:293及び配列番号:294、配列番号:295及び配列番号:296、配列番号:297及び配列番号:298、配列番号:299及び配列番号:300、配列番号:301及び配列番号:302、配列番号:303及び配列番号:304、配列番号:305及び配列番号:306、配列番号:307及び配列番号:308、配列番号:309及び配列番号:310、配列番号:311及び配列番号:312、配列番号:313及び配列番号:314、配列番号:315及び配列番号:316、配列番号:317及び配列番号:318、配列番号:319及び配列番号:320、配列番号:321及び配列番号:322、配列番号:323及び配列番号:324、配列番号:325及び配列番号:326、配列番号:327及び配列番号:328、配列番号:329及び配列番号:330、配列番号:331及び配列番号:332、配列番号:333及び配列番号:334、配列番号:335及び配列番号:336、配列番号:337及び配列番号:338、配列番号:339及び配列番号:340、配列番号:341及び配列番号:342、配列番号:343及び配列番号:344、配列番号:345及び配列番号:346、配列番号:347及び配列番号:348、配列番号:349及び配列番号:350、配列番号:351及び配列番号:352、配列番号:353及び配列番号:354、配列番号:355及び配列番号:356、配列番号:357及び配列番号:358、配列番号:359及び配列番号:360、配列番号:361及び配列番号:362、配列番号:363及び配列番号:364、配列番号:365及び配列番号:366、配列番号:367及び配列番号:368、配列番号:369及び配列番号:370、配列番号:371及び配列番号:372、配列番号:373及び配列番号:374、配列番号:375及び配列番号:376、配列番号:377及び配列番号:378、配列番号:379及び配列番号:380、配列番号:381及び配列番号:382、配列番号:383及び配列番号:384、配列番号:385及び配列番号:386、配列番号:387及び配列番号:388、配列番号:389及び配列番号:390、配列番号:391及び配列番号:392、配列番号:393及び配列番号:394、配列番号:395及び配列番号:396、配列番号:397及び配列番号:398、配列番号:399及び配列番号:400、配列番号:401及び配列番号:402、配列番号:403及び配列番号:404、配列番号:405及び配列番号:406、配列番号:407及び配列番号:408、配列番号:409及び配列番号:410、配列番号:411及び配列番号:412、配列番号:413及び配列番号:414、配列番号:415及び配列番号:416、配列番号:417及び配列番号:418、配列番号:419及び配列番号:420、配列番号:421及び配列番号:422、配列番号:423及び配列番号:424、
【0084】
有利には、第1の分子の第1のG/Cリッチドメインは、以下の配列
【0085】
【表2】
に対応し、その結果、第2のG/Cリッチドメインは同じである。実際、分子がそれ自体の上に折り畳まれているため、第2のG/Cリッチドメインは、第1のG/Cリッチドメインに対して相補的かつ逆平行配向であり、相互作用は、パリンドローム領域(本明細書における先の配列において下線が引かれている)で起こる。
【0086】
第1及び第2のG/Cリッチドメインはまた、以下の配列
【0087】
【表3】
であってもよい。本明細書における先の説明が必要な変更を加えて適用される。
【0088】
他のG/Cリッチドメイン配列は、以下の通りであり得る:
配列GGTCGC(配列番号427)の第1のG/Cリッチドメイン及び配列GCGACC(配列番号428)の第2のC/Cリッチドメイン。
【0089】
これらの実施例は説明のためにのみ与えられ、本発明の範囲を限定するものではない。
【0090】
有利な一実施形態では、複合体の第1の分子のA/Tリッチ配列は、A若しくはTから本質的になるか、又はA若しくはTから構成される。
【0091】
更により有利には、複合体の第1の分子のA/Tリッチ配列はTからなる。
【0092】
更により有利には、前述の複合体は、第1の分子に対応する以下の配列を含むようなものである:
【0093】
【表4】
式中、Xは、ヌクレオチドなし、2つのヌクレオチド又は少なくとも1つの制限部位を表す。
【0094】
第1のトランスポザーゼ結合部位は隣接して示され、第2のトランスポザーゼ結合部位は下線付きで示される。
【0095】
更により有利には、前述の複合体は、第2の分子に対応する以下の配列を含むようなものである:
【0096】
【表5】
式中、Yはヌクレオチドなし、2つのヌクレオチド又は少なくとも1つの制限部位を表す。
【0097】
第1のトランスポザーゼ結合部位は隣接して示され、第2のトランスポザーゼ結合部位は下線付きで示される。
【0098】
有利には、前述の複合体は、第1の分子に対応する以下の配列を含むようなものである:
【0099】
【表6】
式中、Xは、ヌクレオチドなし、2つのヌクレオチド又は少なくとも1つの制限部位を表す。
【0100】
第1のトランスポザーゼ結合部位及び第2のトランスポザーゼ結合部位の相補配列は下線付きで示され、第1のトランスポザーゼ結合部位はイタリック体及び下線付きで示される。
【0101】
この実施形態において、前述の複合体は、第2の分子に対応する以下の配列を含むようなものである:
【0102】
【表7】
式中、Yはヌクレオチドなし、2つのヌクレオチド又は少なくとも1つの制限部位を表す。
【0103】
第2のトランスポザーゼ結合部位の相補配列は下線付きで示されている。
【0104】
有利には、本発明は以下の複合体に関する:
-以下の配列の第1の分子
5’-TGCAGCTGR1TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGGCGATCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTXTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGCGATCGCCTTTTTTTTTTTTTTTTGATACATGTTTR2CTGTAAGC-3’(配列番号436)
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Xは、標的領域の認識を可能にする配列に対応する
かつ、
-以下の配列を含む第2の分子:
5’-R2CAGCTGCAGACAAAGCTTACAGR1TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTcatatgccaagtY-3’配列番号437)
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Yは、ヌクレオチドなし、又は標的領域の置換配列に対応する。
【0105】
これは、複合体が以下の配列の分子からなることを意味する
5’-TGCAGCTGCTGtCTCTTataCAcAtcTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGGCGATCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTXTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGCGATCGCCTTTTTTTTTTTTTTTTGATACATGTTTAgaTgTGtatAAGAGaCAG CTGTAAGC-3’(配列番号438)
及び
5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAGCAGCTGCAGACAAAGCTTACAGCTGtCTCTTataCAcAtcTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTcatatgccaagtY-3’(配列番号439)
又は、X及びYは本明細書において先に規定した通りである。
【0106】
有利には、本発明は以下の複合体に関する:
-以下の配列の第1の分子
【0107】
【表8】
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Xは、標的領域の認識を可能にする配列に対応する
かつ、
-以下の配列を含む第2の分子:
【0108】
【表9】
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Yは、ヌクレオチドなし、又は標的領域の置換配列に対応する。
【0109】
有利には、本発明は以下の複合体に関する:
-以下の配列の第1の分子
5’-TGCAGCTGR2TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGGCGATCGCTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTXTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTGCGATCGCCTTTTTTTTTTTTTTTTGATACATGTTTR2CTGTAAGC-3’(配列番号643)
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Xは、標的領域の認識を可能にする配列に対応する
かつ、
-以下の配列を含む第2の分子:
5’-R1CAGCTGCAGACAAAGCTTACAGR1TTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTTcatatgccaagtY-3’配列番号644)
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Yは、ヌクレオチドなし、又は標的領域の置換配列に対応する。
【0110】
有利には、本発明は以下の複合体に関する:
-以下の配列の第1の分子
【0111】
【表10】
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Xは、標的領域の認識を可能にする配列に対応する
かつ、
-以下の配列を含む第2の分子:
【0112】
【表11】
式中、R1は、5’-CTGtCTCTTataCAcAtcT(配列番号1)であり、
R2は、5’-AgaTgTGtatAAGAGaCAG(配列番号2)であり、
Yは、ヌクレオチドなし、又は標的領域の置換配列に対応する。
【0113】
有利には、前述の複合体は、以下の配列対からなる。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
【0126】
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
換言すれば、本発明は、有利には、第1及び第2の分子の対を含む前述の複合体であって、第1及び第2の分子が以下のそれぞれの配列を含む、複合体に関する:
配列番号440及び配列番号441(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号440及び配列番号441(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号440及び配列番号442(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号440及び配列番号442(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号440及び配列番号443(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号440及び配列番号443(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号444及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号444及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号444及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号444及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号444及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号444及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号448及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号448及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号448及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号448及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号448及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号448及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号449及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号449及び配列番号445(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号449及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号449及び配列番号446(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号449及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号449及び配列番号447(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号450及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号450及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号450及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号450及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号450及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号450及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号454及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号454及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号454及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号454及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号454及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号454及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号455及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号455及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号455及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号455及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号455及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号455及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号456及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号456及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号456及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号456及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号456及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号456及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号457及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号457及び配列番号451(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号457及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号457及び配列番号452(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号457及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号457及び配列番号453(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号458及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号458及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号458及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号458及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号458及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号458及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号462及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号462及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号462及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号462及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号462及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号462及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号463及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号463及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号463及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号463及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号463及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号463及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号464及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号464及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号464及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号464及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号464及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号464及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号465及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号465及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号465及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号465及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号465及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号465及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号466及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号466及び配列番号459(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号466及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号466及び配列番号460(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)、
配列番号466及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の偶数であり、R2は配列番号n+1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ偶数である)、
配列番号466及び配列番号461(式中、R1は配列番号nの配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の奇数であり、R2は配列番号n-1の配列のうちのいずれか1つであり、nは269~424の範囲の、R1と同じ奇数である)。
【0132】
有利には、本発明は、以下の表4の第1及び第2の分子300対のうちの1つを含む、前述の複合体に関する。
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
別の態様では、本発明は、
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするA配列を含むか若しくは本質的にそれからなるか、又は目的の核酸の相補配列を含む第1の一本鎖核酸分子であって、相補A配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第1のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列に結合し、第1及び第2のA/Tリッチ、特にTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第1及び第2のドメインを含み、第1のドメインの配列が第2のドメインの配列に相補的であり、第1及び第2のドメインがA配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、第1の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための少なくとも1つの第2の配列と、を含む、第1の一本鎖核酸分子と、
目的の核酸の相補配列の挿入を可能にするB配列を含むか若しくは本質的にそれからなるか、又は目的の核酸の相補配列を含む第2の一本鎖核酸分子であって、相補B配列が、5’で40~60ヌクレオチド長の第3のTリッチ配列に結合し、3’で40~60ヌクレオチド長の第4のTリッチ配列に結合し、第3及び第4のTリッチ配列が、それぞれ6~12個のG/Cリッチヌクレオチドの第3及び第4のドメインを含み、第3のドメインの配列が第4のドメインの配列に相補的であり、第3及び第4のドメインがB配列から15~52ヌクレオチドに位置付けられ、第2の分子が、その5’末端に、トランスポザーゼを認識するための5’から3’に配向された少なくとも1つの第1の配列と、その3’末端に、トランスポザーゼを認識するための第2の配列と、を含み、
B配列が目的の核酸の相補配列であり、A配列が目的の核酸の目的の領域の5’に位置付けられ、B配列が目的の核酸の目的の領域の3’に位置付けられている、第2の一本鎖核酸分子と、
第3の一本鎖分子であって、
その5’部分において、第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の少なくとも1つの相補配列と、
その3’部分において、(第2の分子の)トランスポザーゼを認識するための第1の配列の少なくとも1つの相補配列と、を含む、第3の一本鎖分子と、
(第1の分子の)トランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、置換核酸分子(一本鎖)の挿入を可能にする(第2の分子の)トランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域と、を含む、集合体であって、
第1及び第3の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン及びクリックによって規定される塩基相補性に従って対合しており、第2及び第3の一本鎖核酸分子が、トランスポザーゼの2つの二本鎖結合部位を規定するように、ワトソン及びクリックによって規定される塩基相補性に従って対合している、集合体に関する。
【0141】
したがって、前述の集合体は、本明細書において先に記載された分子複合体を含む。また、分子複合体について本明細書において先に記載された全ての実施形態及び技術的詳細は、必要な変更を加えて前述の集合体に適用される。
【0142】
本発明のこの態様において、目的の核酸に含まれる配列を選択された配列で正確に置換することを可能にする、3つの分子の集合体が記載される。
【0143】
本発明による集合体は、上述の複合体に基づいており、この複合体には、第1の分子に類似した第3の分子が付加されている。[
図8]は、本発明による集合体を概略的に示す。
【0144】
複合体の第1の分子は集合体の第1の分子に対応し、複合体の第2の分子は集合体の第3の分子に対応し、集合体の第3の分子が加えられ、集合体又は複合体の第1の分子と構造的に類似している。
【0145】
本発明による集合体は、3つの分子が正しく対合している場合、2対のトランスポザーゼ認識二本鎖結合部位:
第1の分子と第3の分子とのハイブリダイゼーションによって得られる第1の対、及び
第2の分子と第3の分子とのハイブリダイゼーションによって得られる第2の対
を含む。
【0146】
集合体の第1の分子に含まれるA配列は、第2の分子に含まれるB配列に相補的な核酸の同じ鎖に相補的である。換言すれば、第1の分子に含まれるA配列及び第2の分子に含まれるB配列は、2つの配列A及びBが同じ配列を認識しないので、同じ核酸と同時にハイブリダイズし得る。
【0147】
所見を更に明確にするために、本発明において規定される集合体の関心は、第1の分子及び第2の分子(両方とも本明細書において先に規定されたようなものである)を提案することであり、それぞれの配列A及びBは、一方については、目的の核酸の標的配列の5’に位置する配列を認識し得、他方については、目的の核酸の同じ標的配列の3’に位置する配列を認識し得るようなものである。したがって、配列A及びBは、目的の核酸分子の、置換しようとする目的の配列に隣接する領域に相補的である。
【0148】
したがって、目的の第1及び第2の分子は、置換される配列に隣接するために、目的の分子を特異的に標的とするのに必須である。
【0149】
次に、集合体の第3の分子は、置換配列を含む核酸分子を提供する分子である。
【0150】
機構的観点から、本発明による集合体は、その3つの分子からなるようなものであり、第1及び第2の分子は、それらのG/Cリッチ領域が対合するように空間的に構造的に組織化されている。
【0151】
第3の分子のいずれかの側、すなわち5’及び3’のいずれかの側において、第1及び第2の分子とのハイブリダイゼーションにより、トランスポザーゼに結合するための部位の2つの対は、トランスポザーゼが存在する場合、トランスポザーゼ二量体が集合体に結合することを可能にする。
【0152】
第1の分子のトランスポザーゼ結合部位は、第2の分子のトランスポザーゼ結合部位と同じであっても、異なっていてもよいことに留意されたい。結合配列が同じである場合、第3の分子の5’におけるトランスポザーゼ(第3の分子の5’部分と第1の分子とのハイブリダイゼーションによる)、及び第3の分子の3’におけるトランスポザーゼ(第3の分子の3’部分と第2の分子とのハイブリダイゼーションによる)は同じである。また、例として、結合部位が全てTn5トランスポザーゼに対する結合部位である場合、集合体は2つのTn5トランスポザーゼ二量体と会合する。
【0153】
第1の分子及び第2の分子の結合部位が同じトランスポザーゼを認識しないことも可能である。この場合、本明細書において先に示した集合体の規定によれば、第3の分子の5’部分は、第1の分子とのハイブリダイゼーションによって、第1のトランスポザーゼに結合するための2つの二本鎖部位を形成し、第3の分子の3’部分は、第2の分子とのハイブリダイゼーションによって、第2のトランスポザーゼに結合するための2つの二本鎖部位を形成する。
【0154】
次に、2つのトランスポザーゼ二量体に連結された前述の集合体が、その5’部分が集合体の第1の分子のA配列に相補的であり、その3’部分が集合体の第2の分子のB配列に相補的である目的の核酸分子の存在下にもたらされる場合、目的の核酸分子は、上記の領域A及びBで集合体と対合する。この相互作用は、集合体の第1及び第2の分子の各々の2つのG/Cリッチ配列の相互作用を破壊するという結果を有する。したがって、第3の分子及び目的の核酸分子は、空間において互いに接近して移動し、トランスポザーゼは、それらのタグメンテーション活性を発揮することができ、その結果、配列A及びBの相補配列によって隣接された目的の分子の配列が、5’及び3’においてトランスポザーゼに結合するための半部位間に位置する集合体の第3の分子の配列によって置換される。
【0155】
本発明において、一本鎖DNA分子を形成するために、集合体の第1分子、第2分子及び第3分子は、有利には、デオキシリボヌクレオチドからなる分子である。
【0156】
更により有利には、集合体の第1の分子、第2の分子及び第3の分子はハイブリッドDNA/RNA分子であり、分子の「骨格」はDNAであり、目的の核酸分子の認識配列A及びB並びに第3の分子の中心領域はRNAである。これは、本発明を可能にする配列置換がRNA分子に対して直接行われる場合に特に有利である。
【0157】
[
図9]-Aは、対象分子と本発明による集合体との相互作用を示す。
【0158】
有利には、本発明は、第1の分子若しくは第2の分子、又は両方の分子が、特に修飾ヌクレオチドを介して酵素とカップリングしている、前述の複合体に関する。この酵素は、目的の分子の置換を促進することが意図される。この酵素は、
ヘリカーゼ(スーパーコイルであるか、又は更にはヒストンなどのタンパク質と会合している二本鎖分子の二本鎖を解離させる(opening)ことができる酵素)、
トポイソメラーゼ(一時的切断を生成することによってDNAのトポロジー構造に作用する酵素)、
ヌクレオチドのリン酸5’末端と別のヌクレオチドのOH 3’末端との間にホスホジエステル連結を形成することを可能にするリガーゼ、
特にワトソン・クリックモデルに従って逆平行相補鎖をコピーすることによって、開始部位である遊離OH 3’から5’から3’に方向に核酸分子を合成するポリメラーゼ
であり得る。
【0159】
本発明の範囲内で企図される配列置換を可能にするのに必要な全ての酵素材料を有するために、酵素のうちの2つ以上を組み合わせることも可能である。
【0160】
特定の一態様では、集合体の第1の分子は、その5’部分に、より正確には第1のトランスポザーゼ結合部位とA領域との間に、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有することができる。同様に、集合体の第3の分子は、その3’部分に、より正確には第1のトランスポザーゼ結合部位と3領域との間に、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含有することができる。
【0161】
この修飾ヌクレオチドは、特に、置換された炭素鎖を、タンパク質タグ、又はストレプトアビジン若しくはビオチンなどの特定の相互作用を可能にする分子でグラフトすることによって修飾される。
【0162】
次いで、このような改変は、この集合体の第1の分子に、タグメンテーション及び配列置換を促進するために有用であり得る酵素を特異的に結合させることを可能にする。例えば、二本鎖分子の二本鎖を解離させるのに有用なビオチン化ヘリカーゼ(又は逆に、ストレプトアビジン及びビオチン化ヌクレオチドにグラフトされたヘリカーゼ)をグラフトすることを可能にするストレプトアビジングラフトを有することが特に有利である。組換え鎖を3’側に接続するために、ビオチン化リガーゼ(又はストレプトアビジンとカップリングしたリガーゼ)によるグラフティングを企図することも可能である。
【0163】
オリゴヌクレオチドを集合体の第1の分子又は第2の分子と会合させて、オリゴヌクレオチドが第1又は第2の分子の所定の領域上で対合するようにすることも可能である。次いで、このオリゴヌクレオチドは、有利には、本明細書において先に説明したようなグラフト分子とカップリングしている。
【0164】
上記集合体は、例えば、一本鎖DNA分子又はRNA上の配列の置換などの一本鎖配列置換に適している。
【0165】
二本鎖分子の2つの鎖を置換するために、前述の集合体のうちの2つを使用することが有用であり、これらの2つの集合体は、
第1の集合体が、本明細書において先に規定された第1、第2及び第3の分子を含み、
第2の集合体が、第4、第5、及び第6の配列を含み、
その結果:
第3及び第6の配列が各々、置換配列の鎖を含み、これらの配列がワトソン・クリック対合に従って相補的であり、
第1及び第4の配列が、A領域及びA’領域(A’領域は、第1の分子のA領域の第4の分子の等価物である)において、置換される領域の5’部分及び置換される領域の相補鎖の3’部分をそれぞれ認識する配列を含み、
第2及び第5の配列が、B領域及びB’領域(B’領域は、第2の分子のB領域の第5の分子の等価物である)において、置換される領域の3’部分及び置換される領域の相補鎖の5’部分をそれぞれ認識する配列を含む
ようなものである。
【0166】
次に、この二重複合体又はこの二重集合体を、[
図10]-Aに示す。
【0167】
有利には、本発明は、以下の表5の第1及び第3の分子300対のうちの1つを含む、前述の集合体に関する。
【0168】
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
【0173】
【0174】
【0175】
更に別の態様では、本発明は、リコンビナーゼの発現を可能にする少なくとも1つのベクターと、本明細書において先に規定された集合体の第1、第2及び第3の分子と、を含む、キット又はセットに関する。
【0176】
このキットは、集合体の3つの分子を含む1つの容器、又はいくつかの別々の容器のいずれかからなる。
【0177】
上記キットに含まれるトランスポザーゼは、複合体の第1の分子と第3の分子、及び/又は複合体の第2の分子と第3の分子との相互作用によって形成される結合部位を認識することができるトランスポザーゼである。
【0178】
複合体が2つの異なるトランスポザーゼに対する2つの結合部位を含有するようなものである場合、キットは、各々がトランスポザーゼのうちの1つをコードする2つの異なるベクターを含む。
【0179】
キットはまた、本明細書において先に議論されたように、他の酵素(例えば、ヘリカーゼ又はリガーゼ)を更に含み得る。
【0180】
本発明によるキットは、有利には、本明細書において先に規定された2つの集合体を形成するのに必要なものを含む。
【0181】
本発明はまた、核酸操作のための、特に標的配列を目的の配列で置換するための、本明細書において先に規定された集合体の使用に関する。前述の使用は、特に、次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法を含まないこと、かつ/又は手術若しくは療法によってヒト若しくは動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする。
【0182】
本明細書において先に説明したように、前述の集合体は、トランスポザーゼタグメンテーション特性を使用することによって、標的領域を特異的に標的とし、それを目的の配列で置換することを可能にする。
【0183】
本発明による集合体は、異なる生物において、例えば、遺伝的に改変された植物を得るための植物において、又はヒト疾患のモデルを作製するための動物において、又は薬物を試験することを可能にする生きた治療ツールにおいて、標的遺伝子改変(及び特に、遺伝子又は非コード配列の置換)を行うのに特に有利である。
【0184】
更に、本発明は、薬物として、より具体的には遺伝子治療薬として使用するための、特に核酸修飾に関連する疾患を治療又は予防するための前述の集合体に関する。
【0185】
前述の集合体は特定の配列の置換を可能にするので、置換、欠失又は挿入などの改変によって変異遺伝子を特異的に認識する第1及び第2の分子を設計すること、並びに変異遺伝子の参照野生型配列を含む第3の分子を設計することが可能である。
【0186】
また、適切なトランスポザーゼの存在下で、変異遺伝子の配列を野生型配列で置換することが可能であり、したがって、遺伝子の変異によって引き起こされる疾患に罹患している個体を治療することが可能である。
【0187】
本発明はまた、核酸修飾に関連する疾患を治療又は予防するための薬剤を製造するための、上記複合体の使用に関する。
【0188】
いくつかの態様では、これらの薬物は、ヒトの生殖系列同一性を改変することを意図しておらず、動物において不当な苦痛を与えることも意図していない。
【0189】
本発明は更に、ハイブリッド核酸分子を得るように、核酸分子の標的領域を別の核酸分子の目的の領域で置換するための、特にインビトロの方法であって、
本明細書において規定された集合体を、標的領域を含む核酸と接触させることであって、
集合体は、第1の分子のA配列が、標的領域の5’にすぐ領域の相補配列を含み、
第1の分子のB配列が、標的領域の3’にすぐ領域の相補配列を含み、
第3の分子が、置換複合体を得るために、第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、第2の分子のトランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域に目的の領域を含むようなものである、接触させることと、
組換え複合体を得るために、集合体に含まれるトランスポザーゼの二本鎖結合部位を認識するトランスポザーゼの存在下に置換複合体を配置することと、
標的領域の代わりに目的の領域を含むハイブリッド核酸分子を得るために、組み合わせ複合体を組換えることと、を含む、方法に関する。
【0190】
置換、すなわちトランスポザーゼによるタグメンテーションの間、置換断片の3’末端は、置換された配列の直後の配列の5’末端にホスホジエステル結合によって結合することに留意されたい。このライゲーションは、タグメンテーション中に起こる。
【0191】
逆に、置換された配列の直前に位置する配列の3’末端と置換鎖の5’末端は互いに結合しない。また、置換を終結させるために、リガーゼを使用して、これらの2つの末端を接続することが必要である。
【0192】
置換部位において、置換分子は、トランスポザーゼ認識配列によって3’及び5’に隣接することにも留意されたい。
【0193】
【0194】
第1の工程において、標的配列の5’部分の相補領域、標的配列の3’部分の相補領域、及び目的の配列をそれぞれ含む第1、第2及び第3の分子からなる集合体は、第1の分子のG/Cリッチな相補領域が互いに対合し、第2の分子のG/Cリッチな相補領域が一緒に対合するように、空間において組織化される([
図9])-A)。
【0195】
標的配列の存在下で、第1及び第2の分子にそれぞれ含まれる標的配列の5’部分及び3’部分の相補領域は、それらのそれぞれの相補領域と対合して、標的分子及び集合体の3つの分子を含む4分子複合体を形成する。第1及び第2の分子とそれらの標的との間の相互作用(又は対合)は、G/Cリッチ領域の相互作用を破壊する効果を有し、その結果、トランスポザーゼ二量体が位置付けられているトランスポザーゼ結合部位が標的分子に空間的に近接して位置付けられる。次いで、トランスポザーゼは、それらの活性を発揮し、[
図9]-Bに示すように、標的分子及び目的の分子の両方を(2つの結合部位の間で)切断することができる。
【0196】
したがって、タグメンテーションは、
第3の分子の3’末端が、標的配列の3’の領域においてトランスポザーゼによって生成された遊離5’末端に結合する
ように行われる。この結合は、2つの末端のライゲーションによる共有結合であり、
第3の分子の5’末端は、標的配列の5’の領域においてトランスポザーゼによって生成された遊離3’末端の反対側にもたらされる。トランスポザーゼによって、標的配列の5’の領域に9塩基対の欠失が生じる([
図9]-Cの点線の円によって示されている)。最初の標的配列の5’及び3’の領域間に位置する目的の配列を有する分子全体を回収するために、ライゲーションが必要である。
【0197】
タグメンテーションから得られる最終分子は、5’から3’への方向に、9塩基対が部分的に欠失した最初の標的配列の5’領域の一部、それに続く第2のトランスポザーゼ結合配列、それに続く目的の配列それ自体、それに続く第1のトランスポザーゼ結合配列、及び最後に最初の標的配列の5’領域の一部分からなる。
【0198】
更に別の態様では、本発明は、細胞のゲノムの二本鎖DNAの特定の断片を目的の他の二本鎖DNA断片で置換して、二本鎖DNAの特定の断片の代わりに目的の他の二本鎖DNA断片を含む組換えハイブリッドゲノムを得ることを可能にする、細胞のゲノムを編集するための、特にインビトロ又はエクスビボの方法であって、
本明細書において先に規定された第1の集合体を準備することであって、
第1の分子のA配列が、特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の分子のB配列が、特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
第3の分子が、第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、第2の分子のトランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域の間に、特定の断片の鎖のうちの一方の配列を含む、第1の集合体を準備することと、
任意選択で、本明細書において先に規定された第2の集合体を準備することであって、
第2の集合体の第1の分子の相補領域のA配列が、特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の集合体の第2の分子の相補領域のB配列が、特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の集合体の第3の分子が、第2の集合体の第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、第2の集合体の第2の分子のトランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域の間に、第1の集合体の第3の配列に含まれる特定の断片の相補鎖の配列を含み、
第1の集合体の第1の分子のA領域に含まれる特定の断片の5’の隣接領域の相補配列が、第2の集合体の第1の分子のA領域に含まれる特定の断片の5’の隣接領域の相補配列に対して最大で95%相補的であり、
第1の集合体の第1の分子のB領域に含まれる特定の断片の3’の隣接領域の相補配列が、第2の集合体の第1の分子のB領域に含まれる特定の断片の3’の隣接領域の相補配列に対して最大で95%相補的である、第2の集合体を準備することと、
組換え複合体を得るために、
編集される準備が整った細胞を得るために、細胞を組換え複合体と接触させることと、
編集された細胞を得るために、編集される準備が整った細胞においてトランスポザーゼを発現させることと、
編集された細胞を選択することであって、編集された細胞のゲノムが、特定の二本鎖DNA断片の代わりに、目的の他の二本鎖DNA断片を含む、選択することと、を含み、
次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法ではないこと、かつ手術又は療法によってヒト又は動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする、方法に関する。
【0199】
有利には、本発明は、細胞のゲノムを編集するための方法であって、細胞のゲノムの二本鎖DNAの特定の断片を目的の他の二本鎖DNA断片で置換して、二本鎖DNAの特定の断片の代わりに目的の他の二本鎖DNA断片を含む組換えハイブリッドゲノムを得ることを可能にするものであり、
本明細書において先に規定された第1の集合体を準備することであって、
第1の分子のA配列が、特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の分子のB配列が、特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
第3の分子が、第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、第2の分子のトランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域の間に、特定の断片の鎖のうちの一方の配列を含む、第1の集合体を準備することと、
本明細書において先に規定された第2の集合体を準備することであって、
第2の集合体の第1の分子の相補領域のA配列が、特定の断片の5’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の集合体の第2の分子の相補領域のB配列が、特定の断片の3’に隣接領域の相補配列を含み、
第2の集合体の第3の分子が、第2の集合体の第1の分子のトランスポザーゼを認識するための第2の配列の相補配列と、第2の集合体の第2の分子のトランスポザーゼを認識するための第1の配列の相補配列との間に位置する領域の間に、第1の集合体の第3の配列に含まれる特定の断片の相補鎖の配列を含み、
第1の集合体の第1の分子のA領域に含まれる特定の断片の5’の隣接領域の相補配列が、第2の集合体の第1の分子のA領域に含まれる特定の断片の5’の隣接領域の相補配列に対して最大で95%相補的であり、
第1の集合体の第1の分子のB領域に含まれる特定の断片の3’の隣接領域の相補配列が、第2の集合体の第1の分子のB領域に含まれる特定の断片の3’の隣接領域の相補配列に対して最大で95%相補的である、第2の集合体を準備することと、
組換え複合体を得るために、
編集される準備が整った細胞を得るために、細胞を組換え複合体と接触させることと、
編集された細胞を得るために、編集される準備が整った細胞においてトランスポザーゼを発現させることと、
編集された細胞を選択することであって、編集された細胞のゲノムが、特定の二本鎖DNA断片の代わりに、目的の他の二本鎖DNA断片を含む、選択することと、を含み、
次のこと:ヒトの生殖系列遺伝的同一性を改変するための方法ではないこと、かつ手術又は療法によってヒト又は動物の身体を治療するための方法ではないことを条件とする、方法に関する。
【0200】
このゲノム編集方法が、本明細書において先に記載された単一分子を置換し、本明細書において先に記載された集合体を使用するための方法に基づく限りにおいて、全ての先に記載された特徴及び全ての変異体が、本明細書において必要な変更を加えて適用される。
【0201】
本発明のこの態様では、考慮された集合体(第1又は第2)の第1の分子は、常に、考慮された集合体の第3の分子の5’に位置付けられていることに留意されたい。
【0202】
また、第1の集合体の第1の分子は、第2の集合体の第2の分子の「上」に位置し、逆もまた同様である。また、前述の5’から3’への配向は、標的配列に対して目的の配列を正確に位置付けることを可能にする。
【0203】
ゲノム編集は、細胞のゲノムを高精度で改変することからなる。遺伝子を不活性化すること、標的変異を導入すること、特定の変異を修正すること、又は新たな遺伝子を挿入することが可能である。この遺伝子操作技術は、ホスホジエステル結合で核酸を切断することができるヌクレアーゼ(本明細書ではトランスポザーゼ)を伴う。
【0204】
本発明に関連して、先に説明したように、本発明による集合体の第1及び第2の分子は、第3の配列に含まれる目的の配列でそれを置換するために、標的領域に隣接するように標的領域に集合体を位置付けることを可能にする。
【0205】
二本鎖分子を編集する文脈では、標的分子の2本の鎖を同時に置き換えて本発明による2つの集合体を有するようにするために、各集合体が標的分子の2本の鎖のうちの一方を特異的に標的とすることが必要である。
【0206】
第1の集合体の第1の分子のA配列に含まれる相補配列は、第2の集合体の第1の分子のA配列に含まれる相補配列に相補的ではないことに留意されたい。同様に、第1の集合体の第2の分子のB配列は、第2の集合体の第2の分子のB配列に含まれる相補配列に相補的ではない。
【0207】
更に、第1の集合体の第1の分子のA配列に含まれる相補配列が、第1の集合体の第2の分子のB配列に含まれる相補配列に対してずれている(これらの2つの分子は、一方が他方の「上」にある)ことが有利である。これは、これらの相補配列を認識するための領域が最大で95%であることを意味する。換言すれば、A配列及びB配列に含まれる相補配列が20ヌクレオチドを含む場合、相補配列は、最大19ヌクレオチドが互いに相補的であるにすぎない。
【0208】
しかしながら、これらの相補領域の相互相補性は可能な限り低いことが好ましく、又は更にはそれらが相互に相補的でないことが好ましい。
【0209】
これらの所見を明確に説明するために、標的配列の5’部分が40ヌクレオチドを含むと考えられる場合、第1の集合体の第1の分子のA配列に含まれる相補領域が最初の20ヌクレオチドに相補的であるのに対して、第2の集合体の第2の分子のB配列に含まれる相補領域は、標的配列の5’部分の相補配列の最後の20ヌクレオチドに相補的であることが適切である。
【0210】
このオフセットは、配列配向がそれを可能にしない場合であっても、目的の配列のいかなる不正確な配向も回避する。
【0211】
タグメンテーション工程の順序及び結果を[
図10]に記載する。
【0212】
最終分子を得るために、そしてタグメンテーション後の5’において9塩基対が欠失していることに起因して、細胞が修復系を動員化して、特に、その3’末端がタグメンテーション中に結合された相補鎖をコピーするDNAポリメラーゼを使用することによって、ホールを充填することが必要である。
【図面の簡単な説明】
【0213】
本発明は、以下の実施例及び図面を読めばより良く理解されるであろう。
【
図1】[
図1]は、直鎖状の第1の核酸分子の模式図である。矢印付きの長方形はトランスポザーゼに結合するための部位を示し、斜線付きの長方形はG/Cリッチ領域を示す。
【
図2】[
図2]は、構造化された形態の第1の核酸分子の模式図である。説明は[
図1]と同じである。
【
図3】[
図3]は、本発明による複合体の模式図である。説明は[
図1]と同じである。
【
図4】[
図4]は、本発明による複合体の2つのバージョンの模式図である。説明は[
図1]と同じである。異なるオプションが点線で示されている。
【
図5】[
図5]は、本発明による複合体の第1の実施形態の模式図である。説明は[
図1]と同じである。
【
図6】[
図6]は、本発明による複合体の第2(6A)及び第3(6B)の実施形態の模式図であるか、又は第1の配列の3’領域が2つのトランスポザーゼ半部位を含む。説明は[
図1]と同じである。
【
図7】[
図7]は、本発明による複合体の第3の実施形態の模式図である。説明は[
図1]と同じである。
【
図8】[
図8]は、本発明による集合体の模式図である。説明は[
図1]と同じである。
【
図9】[
図9]は、一本鎖分子の標的配列を目的の配列で置換する、ある特定の工程の順序の模式図である。 A:不対標的分子及び集合体を表す。 B:対合した標的分子及び集合体を表す。トランスポザーゼは点線で示され、切断はハサミで示される。集合体の第3の分子上の切断は、分子のいずれかの側の2つのトランスポザーゼ結合部位間で行われる(2つの切断)ことに留意されたい。 C:タグメンテーションから生じる分子を表す。置換された領域の5’における9塩基の欠失を点線で示す。
【
図10】[
図10]は、二本鎖分子の標的配列を、それ自体が二本鎖である目的の配列で置換する、ある特定の工程の順序の模式図である。 A:不対標的分子及び集合体を表す。 B:対合した標的分子及び集合体を表す。トランスポザーゼは点線で示され、切断はハサミで示される。集合体の第3の分子上の切断は、分子のいずれかの側の2つのトランスポザーゼ結合部位間で行われる(2つの切断)ことに留意されたい。 C:タグメンテーションから生じる分子を表す。置換された領域の5’における9塩基の欠失を点線で示す。
【
図11】[
図11]は、本発明によるタグメンテーションを示すアガロースゲルを示す。a.3つの試料群を含むアガロースゲル;mCherry-CD9プラスミドを用いた、異なるトランスポザーゼ複合体(陰性対照、Tn5 WT、Tn5 Me及びTn5 DREAMT、すなわち本発明による)の試験、HEK 293T全mRNAのPCR増幅、及びmCherry-CD9プラスミドをトランスフェクトしたHEK 293T全mRNAのPCR増幅(PCR+/-対照の付加)。b.mCherry-CD9プラスミド上で10倍濃縮された異なるトランスポザーゼミックス(aを参照)のアガロースゲル。
【
図12】[
図12]は、Tn5 DREAMTミックスについて、陽性増幅バンド(ゲル[
図10]a)のサンガー配列決定の結果を示す。得られた配列(配列番号429)及び対応するクロマトグラムを提示する。
**はGFP挿入ゾーンを示す。GFP配列に隣接し、mCherry配列に下線が引かれている。
【
図13】[
図13]は、3つの試料群を含むアガロースゲル;mCherry-CD9プラスミドを用いた、異なるトランスポザーゼ複合体(陰性対照、Tn5 WT、Tn5 Me及びTn5 DREAMT)の試験、HEK 293T全cDNAのPCR増幅、及びmCherry-CD9プラスミドをトランスフェクトしたHEK 293T全cDNAのPCR増幅(PCR+/-対照の付加)を示す。
【
図14】[
図14]は、Tn5 DREAMTミックスについて、陽性増幅バンド(ゲル[
図13])のサンガー配列決定の結果を示す。得られた配列(配列番号430)及び対応するクロマトグラムを提示する。
**はGFP挿入ゾーンを示す。CD9配列が隣接している。
【
図15】[
図15]は、3つの試料群を含むアガロースゲルを示す。mCherry-CD9プラスミドを用いた、異なるトランスポザーゼ複合体(陰性対照、Tn5 WT、Tn5 Me及びTn5 DREAMT)の試験、HEK 293T全cDNAのPCR増幅、及びmCherry-CD9プラスミドをトランスフェクトしたHEK 293T全cDNAのPCR増幅(PCR+/-対照の付加)を示す。
【
図16】[
図16]は、Tn5 DREAMTミックスについて、陽性増幅バンド(ゲル[
図15])のサンガー配列決定の結果を示す。得られた配列(配列番号431)及び対応するクロマトグラムを提示する。
**はGFP挿入ゾーンを示す。CD9配列が隣接している。
【
図17】[
図17]は、mCherry-CD9プラスミド上の「新規設計」UVRD-mSA/Tn5/DREAMT複合体の試験を示す。HEK 293T細胞へのmCherry-CD9プラスミドの注入(トランスフェクション)及びその後のDREAMT技術は、目に見える色の変化(図に示されるように、赤から緑)を検索する。
【
図18】[
図18]は、mCherry-CD9を安定に発現するHEK 293T細胞株における本発明による技術のトランスフェクション、その後の目に見える色の変化(図に示されるように、赤から緑)の検索を示す。
【
図19】[
図19]は、「新規設計」DREAMT技術をトランスフェクトしたHEK 293T細胞(D18で使用された細胞)のmCherry-CD9+細胞株に由来するcDNAライブラリーからの増幅GFP断片のサンガー配列決定結果を示す(配列番号432)。GFP置換が隣接して示されている。配列番号433の配列は、理論上のGFP配列(隣接部分)を示す。
【実施例】
【0214】
実施例1-インビトロでの本発明の実施。
この実施例の目的は、本発明による集合体が、一本鎖核酸分子(RNA又はcDNA)の配列を目的の配列で容易かつ特異的に置換することを可能にすることを示すことである。
【0215】
この実施例において、目的は、mCherry-CD9の配列をGFPの配列で置換することである。
-mCherry-CD9を標的とする組換え集合体を調製すること。
【0216】
以下を収容する2つの別々のチューブを準備すること:
チューブ1(10μL)について:
+mCherryの配列を認識するための配列をA領域に含む、10μMのループAオリゴヌクレオチド(第1の分子);
+制限半部位を3’に含む、10μMのオリゴヌクレオチドA(第3の分子)
+リバースBSPEi Fragオリゴ(10μM)
チューブ2(10μL)について、
+CD9の配列を認識するための配列をB領域に含む、10μMのループBオリゴヌクレオチド(第2の分子);
+制限半部位を3’に含む、10μMのオリゴヌクレオチドA(第3の分子)
+NdeI Fragオリゴ(10μM)。
【0217】
次いで、2本のチューブを95℃に5分間加熱し、次いで室温で1時間放置する。
【0218】
室温になったら、制限部位の消化を可能にするために、チューブの内容物を酵素NdeI又は酵素BSPEiのいずれかの存在下に置く。
【0219】
次いで、消化産物をPCR精製キット(溶出量20μL)で精製する。
【0220】
並行して、5’及び3’にNde I及びBSPEi制限部位を有するように、GFPをコードする配列を増幅する。次に、PCR産物を2つの制限酵素で消化し、消化産物をPCR精製キット(溶出量20μL)で精製する。
【0221】
次いで、チューブ1及び2の内容物を、T4ファージのリガーゼ(4μL、すなわち100U)の存在下で、5μLのT4緩衝液(10倍)及び1μLのddH20と共に、(増幅及び消化)GFP断片と合わせて、50μLの総反応体積とする。
【0222】
次いで、この溶液を室温で1時間放置し、次いで、ゲル精製を行って、1キロベース(kb)より大きく、その5’末端及び3’末端に2つの一本鎖分子(集合体の第1の分子及び第2の分子)を含む最大のGFP断片を単離して、組換え複合体を形成する。
【0223】
次いで、組換え複合体は、トランスポザーゼ二量体と共にインキュベートされる準備が整う。
【0224】
対照において、各々10μMのMeA及びMeBオリゴヌクレオチドを、MERev断片(S.Picelli et al Genome Res 2014に以前に記載された):
Tn5MErev、
5’-[phos]CTGTCTCTTATACACATCT-3’(配列番号11)
Tn5ME-A(Illumina FC-121-1030)、
5’-TCGTCGGCAGCGTCAGATGTGTATAAGAGACAG-3’、(配列番号12)
及びTn5ME-B(Illumina FC-121-1031)、
5’-GTCTCGTGGGCTCGGAGATGTGTATAAGAGACAG-3’(配列番号13)
を用いて、95℃で5分間対合させた後、周囲温度で1時間放置することによって調製した。これらのオリゴは、タグメンテーション反応の陽性対照として有用である。
【0225】
Tn5トランスポザーゼの作製に関して、以下の刊行物:S.Picelli et al.Genome res 2014.の推奨を用いて、Tn5トランスポザーゼを作製する。
【0226】
次いで、2つの先の調製物、組換え複合体及び陽性対照オリゴを、以下のプロトコルを介してTn5トランスポザーゼの作製と混合した:
0.125体積の組換え複合体又は対照オリゴの10μM溶液(又はいわゆるWT野生型Tn5については透析緩衝液(S.Picelli et al.Genome,2014参照)のみ)+0.4体積の100%グリセロール溶液+0.24体積の透析緩衝液(S.Picelli et al.Genome res 2014参照)+0.36体積のTn5溶液。
【0227】
次いで、反応物を30分かけて45℃から37℃にし、サーモサイクラー中で4分毎に1℃ずつ低下させる。
【0228】
同時に、本発明による技術を試験するために、いくつかの標的を作製した。
【0229】
mCherry-CD9プラスミドを陰性対照として使用し、並びにmCherry-CD9ベクターを用いて、リポフェクタミン3000によって予めトランスフェクトしたHEK 293T細胞に由来するmRNA及びcDNAのライブラリーを作製した。
【0230】
HEK細胞のトランスフェクション及び目視検査(mCherryの発現による赤色膜)から48時間後、mRNAの全集団を抽出し、cDNAに逆転写させる。
【0231】
次いで、これらのmRNA又はcDNAライブラリーを、DREAMT技術の本発明者らの「試験管内」試験のために使用する。
【0232】
本発明による技術を特徴付け、試験するために、異なるmRNA/cDNA及びプラスミド標的を、以下のものと接触させた:
Tn5 WT二量体:オリゴを含まない、
Tn5 Me:Meオリゴ(陽性対照)を含む、及び
Tn5複合体:本発明による集合体を含む。
【0233】
mCherry-CD9プラスミド及びmCherry-CD9のトランスフェクションを伴う又は伴わないmRNA又はcDNAライブラリーの3種類の標的を試験した。
【0234】
二本鎖又は一本鎖DNA/RNA溶液を、以下の反応により活性化されたTn5の異なる溶液と接触させた:
1倍又は10倍濃度のTn5 WT、Tn5 Me、Tn5複合体溶液又は同体積のddH20+500ngのmCherry-CD9プラスミド又は2μLのcDNA若しくはmRNA
+5倍タグメンテーション緩衝液(100mM HEPES、50mM MgCl2、40%PEG 3500)
+ddH20(適量20μL)。
【0235】
各タグメンテーション反応を、サーモサイクラーにおいて55℃で7分間行い、次いで、0.5μLのプロテイナーゼK溶液(20μg/μL)を、7分間55℃の第2のインキュベーション温度の前に添加して、トランスポザーゼを不活性化させる。
【0236】
したがって、[
図11]に示されるように、GFPの3’末端の沈降(ライゲーション)をmCherry標的配列に対して行った。
【0237】
[
図11]のアガロースゲル上で、mCherry-CD9プラスミド(Davidson Lab)を、2つの濃度(1倍及び10倍)のTn5溶液と接触させた。予想通り、高濃度(10倍)で、Tn5 WTミックス及びTn5 Me陽性対照は、プラスミドの分解(スメア、プラスミドバンドの消失)によって示される、それらのタグメンテーションを行った。
【0238】
更に、予想通り、集合体単独では、アガロースゲル上でのDNAバンドの保存([
図11])によって示されるタグメンテーション(プラスミド分解)を行うことができなかった[なぜなら、それは、Tn5分子を放出し、タグメンテーションを可能にするmCherry-CD9標的と対合するために、プラスミドの二本鎖DNAの二本鎖を解離させるための分子(ヘリカーゼ)を含まないからである]。このデータは、組換えられる鎖を標的一本鎖(本明細書ではmCherry-CD9 mRNA断片)と対合させることによってのみそれらのタグメンテーション活性を発揮することができるTn5複合体二量体を制限することによって結論付けることを可能にする。
【0239】
同じ濃度のTn5溶液(1倍)を、2μLのmRNAライブラリー(正常な又はmCherry-CD9をトランスフェクトしたHEK 293T細胞に由来する)と共に使用した。次いで、mCherryフォワードプライマー及びGFPフォワードプライマーを用いてPCRを行った(表3参照)。
【0240】
表3:PCR反応及びプラスミド構築に使用したオリゴ
【0241】
【0242】
予想通り、mCherry-CD9ベクターのトランスフェクションを伴わない細胞から得られたmRNAライブラリーについては、シグナルは検出されなかった。更に、陰性対照(mRNA断片単独、mRNA+Tn5 WT、mRNA+Tn5 Me)及びmCherry-CD9のトランスフェクションを伴うmRNAライブラリーの試料についても同様に増幅は検出されなかった。それにもかかわらず、この同じバッチの試料を残して、mCherry-CD9のGFP配列による置換に対応する試料(Tn5複合体)について、正しい分子量約1kbで明確なバンドが検出された([
図11])。このバンドは、GFP 3’末端(センス鎖)の挿入を伴うmCherry 3’末端(アンチセンスmRNA)の切断、又は言い換えれば、3’から5’への方向でのmCherry mRNAアンチセンス鎖のGFPセンス鎖へのライゲーションを強調する。
【0243】
増幅産物を配列決定し、得られた配列を[
図12]に提示する。予想通り、GFP 3’側へのmCherryの増幅が、ライゲーションによって接続された2つの配列の検出と共に検出された。この配列決定のクロマトグラムは、標的配列から10bpの沈降ゾーン(タグメンテーション)を明確に示す([
図12])。
【0244】
同じ分析を、今回は、cDNAセンス鎖の3’側:CD9へのライゲーションのための設計を変更することによって繰り返した([
図12])。したがって、mCherry-CD9トランスフェクションを用いて本発明による集合体(Tn5複合体)と接触させたcDNAライブラリーについて、約1kb程度の予想されるバンドを示す増幅ゲルを用いても同じ結果が得られ([
図13])、得られた断片の配列決定を行った([
図14])。予想通り、この配列決定により、標的配列から5bpにあるGFP 5’側センス鎖の複数の配列を有する沈降cDNA(GFPセンス配列の3’でのライゲーション、[
図14])のCD9センス鎖の配列を同定することが可能になった。
【0245】
実施例2-インセルロ(in cellulo)での本発明の実施。
これらの有望な結果によって強化されて、Tn5プラスミド及び二本鎖解離(strand opening)タンパク質、単量体ストレプトアビジンと融合するUVRD細菌ヘリカーゼのプラスミド(UVRD-mSAプラスミド)の集合体の直接トランスフェクションに適合するバージョンを得るために設計が改変され、その結果、後者は、予めビオチン化されたオリゴを介して集合体の分子のうちの1つにインサイチュで結合される。これを行うために、配置をより容易にし、設計の100%に近い制御(Beaconサルコファガス(sarcophagus)系によって制限されないTn5二量体の減少、したがって関連する「オフターゲット」の可能性の減少)を可能にするために、集合体の新たなバージョンを開発した。したがって、この「新規設計集合体」のために、以前と同じタイプのプロトコルを、ある特定の主要な変更を加えて実行した。実際の設計に関して、ループnDREAMT A、B、C及びDオリゴ(Tn5二量体当たり1つ、及び4つの標的領域のタグメンテーションのための標的当たり1つ-完全二本鎖置換)は、トランスポザーゼへの結合のための3つの配列を含んで、より長い。これは、mCherry-CD9標的断片(nDREAMT A、B、C及びDオリゴ)を置換するためのGFP断片に連結されたトランスポザーゼへの結合のための最後の配列の単純な付加による、迅速かつ制御された対合を可能にする。更に、他のnDREAMT Bio A及びBオリゴ(ビオチン化オリゴ)を添加して、UVRD-mSA融合タンパク質との集合体のインセルロアセンブリを可能にする。
【0246】
以下のオリゴマーを2つの別々のチューブ1及び2中で混合した:チューブ1(10μL)については、nDREAMT A及びCループ(10μM)+nDREAMT A及びCオリゴ(10μM)+nDREAMT Bio Aオリゴ(10μM)、チューブ2 10μl)については、nDREAMT B及びDループ(10μM)+nDREAMT B及びDオリゴ(10μM)+nDREAMT Bio Bオリゴ(10μM)。次いで、2つのチューブを95℃に5分間加熱し、次いで室温で1時間放置し、次いで各チューブを対応する制限酵素で消化し、PCR精製キット(溶出量20μL)で精製する。
【0247】
同時に、5’において制限酵素NdeI及び3’において制限酵素BSPEi(PCR後に消化された制限部位構造を有するオリゴ)の配列に隣接する末端として含むGFPの増幅配列を増幅し、次いで、対応する制限酵素で消化し、20μLの体積で溶出するPCR精製キットによって精製した。
【0248】
次いで、チューブ1及び2の内容物を、増幅及び消化されたGFP neo断片、T4リガーゼの溶液(4μL又は100U)、5μLのT4緩衝液(10倍)及び1μLのddH20と混合して、50μLの総反応体積にする。溶液を室温で1時間放置し、次いでゲル精製を行って、1kbより大きく、その5’及び3’末端に4つのサルコファガスA、B、C及びDを含む最大のGFP断片を単離する。次いで、5’及び3’末端に位置付けられたその4つのサルコファガスを有するGFP置換断片は、トランスポザーゼ二量体を受容する準備が整う([
図15])。
【0249】
この系を細胞レベルで試験する前に、新たな設計を、mCherry-CD9標的cDNA(センス鎖)のCD9側へのGFP 3’側ライゲーション(センス鎖)を用いて、以前と同じ一連の実験を介して試験した。したがって、GFPフォワード及びCD9リバースPCRプライマーによる増幅後に、0.5kb程度の予想されるバンド([
図15])を伴って、以前と同じタイプの結果が得られた(残りの陰性対照は全て検出不能である)。このバンドのサンガー配列決定後、予想通り、元の標的配列([
図16])の2つの塩基内で、その3’末端([
図16])でのGFPの多重配列のライゲーションにより、5’から3’への方向でのCD9断片の検出を行った。
【0250】
この新たな設計のこの陽性検証の後、mCherry-CD9を発現するHEK 293T細胞におけるインサイチュ試験を行った。この目的のために、Tn5トランスポザーゼ及びUVRD-mSAタンパク質のための2つの細胞内タンパク質発現プラスミドを作製した。Tn5プラスミドについては、PTXB1-Tn5プラスミド(S.Picelli et al Genome Res 2014)を介してPCRによってTn5配列を増幅した。キチンビーズとの結合及び自己切断によってTn5トランスポザーゼの精製を可能にし、Tn5タンパク質上にタグの要素を残さないインテインテールタグ(S.Picelli et al Genome Res 2014)を停止コドンで置換したことに留意されたい。全体を、mCherry-CD9プラスミド(Davidson Lab)のmCherry-CD9断片の代わりに、BMT1及びEcoR1制限酵素を介してクローニングし、最終的にCMV-Tn5プロモータープラスミドを得た。5’にBMT1制限部位及び3’にEcoR1制限部位を付加したpRSET-mSAプラスミド(Sheldon Park Lab)(表1)を介して、mSA断片のPCR増幅を行った(表1)。第1のクローニング工程を、BM1及びEcoR1酵素を介してmCherry-CD9プラスミドにおいて行い、mCherry-CD9断片をmSA断片で置換して、CMV-mSAプロモータープラスミドを得た。UVRD断片について、大腸菌(E.coli)細菌のcDNAライブラリーを生成した(DH5α)。UVRD cDNAのPCR増幅を、正確なオリゴヌクレオチド(表1)を用いて行った。5’側には、クローニングのためのBMT1配列及びKozac配列などの通常の要素が見出されるが、完全な複合体+Tn5+UVRD-mSA複合体を細胞核に移入させるためのNLS移入配列も見出される。3’では、柔軟な部分(GGGSx3型ポリグリシンテール)が付加され、mSA 5’配列の一端は、PMiI mSA 5’配列に含まれる正確な制限酵素に付加された。次いで、第2のクローニング工程を、BMT1及びPMiI制限酵素を用いて行い、UVRD配列の5’での付加を可能にし、そしてCMV-UVRD-mSAプロモーター型の最終プラスミドを得た。
【0251】
HEK 293T細胞のトランスフェクションを、mCherry-CD9プラスミドを用いてリポフェクタミン3000によって行った。24時間待機し、細胞膜上の赤色シグナルを共焦点顕微鏡で確認した後、3つの化合物:CMV-Tn5及びCMV-UVRD-mSAプラスミド及び新規設計複合体を細胞にトランスフェクトした。この完全な複合体は、CMV-GFP配列での、4つの標的(標的の4つ組(quadruplet of targets);2つのmCherry側及び2つのCD9側)間に位置する配列の二本鎖置換を可能にする。したがって、この実験によって、赤色膜シグナルの減少又は赤色膜シグナルの緑色細胞質シグナルによる置換さえも予想された。
【0252】
予想され、[
図17]に提示されるように、本発明による技術による第2のトランスフェクションから5日後に、緑色細胞が検出された。
【0253】
これらの細胞を、サイトメトリーによる細胞選別によって単離し、CMV-GFP断片がCMV-mCherry-CD9プラスミドのmCherry-CD9部分に置き換わったことを知った上で、この新たなCMV-GFPプラスミドは、NeoR/KanR細胞株を作製するための抗生物質選択配列を含むはずである。トランスフェクションの6日より後に、これらのまだ緑色の細胞を、2mg/mlのG418を含む培地に入れ、14日間毎日交換し、次いで0.5mg/mlの濃度で3ヶ月間維持した。
【0254】
予想通り、トランスフェクション後19日目に新たなGFP+緑色細胞株が得られ、これは凍結及び解凍サイクルを繰り返したにもかかわらず非常に安定であった([
図17]参照)。
【0255】
この結果をインサイチュでより確実に再確認するために、安定なHEK 293T赤色膜細胞株を、CMV-mCherry-CD9プラスミドでのトランスフェクション及び以前のような2mg/mlのG418での処理によって作製した。2週間の処理後、HEK 293T赤色膜細胞株を得た。
【0256】
この細胞株を、前述の技術を用いて以前のようにトランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、最初の緑色細胞が現れ始めた([
図18]参照)。トランスフェクションの14日後、ある特定の緑色細胞群を同定し、更なる分析のために単離した([
図18]参照)。
【0257】
これらの細胞を単離した後、cDNAライブラリーを得るために、トランスフェクションの18日後にこれらの細胞を用いて逆転写を行った。
【0258】
次いで、GFP配列をPCRによって増幅し、次いで、増幅された断片をサンガー法に従って配列決定した。
【0259】
予想通り、配列データベース(NCBI BLAST)との比較による分析の後、mCherry-CD9配列を置換する理論上のGFP断片と非常に近い類似性が見出される[
図19]。加えて、ほぼ1ヶ月後、得られた緑色細胞は、強い緑色シグナルを伴って安定なままである([
図18])。これらの結果は、膜の赤から細胞質の緑への色の変化によって示されるGFP置換配列によるmCherry-CD9標的配列の置換を可能にする、本発明による技術の有効性をインセルロで確認する。この色の変化は、新規設計+Tn5+UVRD-mSA複合体(UVRDのN-Term配列上にNLSを有する)の核内移行、2つの5’及び3’側ヘリカーゼによって行われるDNA鎖の二本鎖解離、4つの所望の標的点(mCherry側に2つ及びCD9側に2つ)での対合、並びに本発明による技術によるmCherry-CD9配列のCMV-GFP断片による置換を検証することを可能にする。
【配列表】
【国際調査報告】