(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ロボット手術用の外科用器具
(51)【国際特許分類】
A61B 17/062 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
A61B17/062 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578698
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 IB2022055597
(87)【国際公開番号】W WO2022269421
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】102021000016154
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518132307
【氏名又は名称】メディカル・マイクロインストゥルメンツ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MEDICAL MICROINSTRUMENTS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ラッツァーリ,ジョルジョ
(72)【発明者】
【氏名】シミ,マッシミリアーノ
(72)【発明者】
【氏名】ピネスキ,ニコラ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160BB23
4C160MM32
4C160NN01
(57)【要約】
関節式エンドエフェクタ(9)を備える針保持器/カッター型外科用器具(1)が提供される。関節式エンドエフェクタ(9)は、2つの突起を含む支持構造体と、第1先端リンク(10)と、第2先端リンク(20)と、ブレードリンク(30)とを備える。ブレードリンク(30)が第1先端リンク(10)と一体に回転し、第1先端リンク(10)の第1の近位取り付け根元部と、第2先端リンク(20)の第2の近位取り付け根元部と、ブレードリンク(30)の第3の近位取り付け根元部とが軸方向に隣接に配置され、第2先端リンク(20)と一体に回転する対向ブレード表面(24)が設けられ、対向ブレード表面(24)は、ブレードリンク(30)の切縁に当接し、ブレードリンク(30)を軸方向に弾性的曲げるように適合され、それにより、ブレードリンク(30)の切縁と対向ブレード表面(24)とが、機械的干渉接触状態に達して切断動作を行う。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節式エンドエフェクタ(9)を備えるロボット手術システム(101)用の針保持器/カッター型外科用器具(1)であって、前記関節式エンドエフェクタ(9)は、
2つの突起(3,4)を含む支持構造体と、
第1の近位取り付け根元部(11)と、第1の遠位自由端(12)と、前記第1の近位取り付け根元部(11)と前記第1の遠位自由端(12)との間の第1把持面(13)とを一体に備える細長い本体を有する第1先端リンク(10)と、
第2の近位取り付け根元部(21)と、第2の遠位自由端(22)と、前記第2の近位取り付け根元部(21)と前記第2の遠位自由端(22)との間の第2把持面(23)とを一体に備える細長い本体を有する第2先端リンク(20)と、
第3の近位取り付け根元部(31)と、弾性変形可能な曲げ本体と、切縁(34)とを一体に備えるブレードリンク(30)と、
を備え、
前記支持構造体と、前記第1先端リンク(10)と、前記第2先端リンク(20)と、前記ブレードリンク(30)とは、共通回転軸(Y-Y)で互いに関節結合された別個の部品であって、前記共通回転軸(Y-Y)と一致する又は平行な軸方向を規定し、
前記ブレードリンク(30)は、前記第1先端リンク(10)と一体に回転し、
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)と、前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)と、前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)とは、前記軸方向において互いに隣接し、
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)と、前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)と、前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)とは、前記共通回転軸(Y-Y)の周りに前記支持構造体の前記突起(3,4)に対して関節結合され、前記支持構造体と、前記第1先端リンク(10)と前記第2先端リンク(20)と前記ブレードリンク(30)とによって形成されるグループとの間の方向自由度(Y)を規定し、
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)と前記第2先端リンク(21)の前記第2の近位取り付け根元部(21)とは、前記共通回転軸(Y-Y)の周りに相互に関節結合され、前記第2先端リンク(20)と、前記第1先端リンク(10)と前記ブレードリンク(30)とによって形成されるグループとの間の相対的開/閉自由度(G)を規定し、
前記第2先端リンク(20)と一体に回転する対向ブレード表面(24)が設けられ、
前記対向ブレード表面(24)は、前記ブレードリンク(30)の前記切縁(34)に当接し、前記ブレードリンク(30)を前記軸方向に弾性的曲げるように適合され、これによって、前記ブレードリンク(30)の前記切縁(34)と前記対向ブレード表面(24)とが、機械的干渉接触状態に達して切断動作を行う、
針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項2】
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)と、前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)と、前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)とによって形成された前記グループは、前記支持構造体の2つの前記突起(3,4)の間に共同で挿入されて挟まれ、それらと直接に密接している、
請求項1に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項3】
前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)は、前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)と前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)との間に軸方向に挿入されて挟まれ、それらと直接に密接している、
請求項1又は2に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項4】
前記第1の近位取り付け根元部(11)と、前記第2の近位取り付け根元部(21)と、前記第3の近位取り付け根元部(31)と、前記突起(3,4)とは、
全て互いに平行であって、それぞれ軸方向に面する接触面(51,52,53,54,55,56,57,58)を含む、
請求項1から3のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項5】
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)が第1貫通孔(16)を備え、前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)が第2貫通孔(26)を備え、前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)が第3貫通孔(36)を備え、
前記第1の近位取り付け根元部の前記第1貫通孔(16)と、前記第2の近位取り付け根元部の前記第2貫通孔(26)と、前記第3の近位取り付け根元部の前記第3貫通孔(36)とは、全て円形の貫通孔であって、前記共通回転軸(Y-Y)と同軸であり、前記支持構造体の第1突起(3)から前記支持構造体の第2突起(4)まで軸方向に延びる1つの関節ピン(5)を受け入れる、
請求項1から4のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項6】
前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)の前記第3貫通孔(36)が孔縁部を有し、前記孔縁部は、前記孔縁部の延伸の全体にわたって関節ピン(5)と直接に密接している、
請求項5に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項7】
前記第2先端リンク(20)と一体に回転する前記対向ブレード表面(24)は、前記ブレードリンク(30)を曲げるために軸方向に突出し、
好ましくは、前記対向ブレード表面(24)は、軸方向内側に面する凹面を有する湾曲突出面である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項8】
前記ブレードリンク(30)の前記本体は、非変形形態において実質的に平面であって、画定可能な横たわる表面上に横たわり、
好ましくは、前記ブレードリンク(30)の前記軸方向に面するブレード表面(35)は、前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)と直接に密接する前記ブレードリンク(30)の前記第3の近位取り付け根元部(31)の接触面(57)とは平行であり、整列している、
請求項1から7のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項9】
前記ブレードリンク(30)の前記切縁(34)は、前記第1先端リンク(10)の前記本体の第1接続部(81)と、前記第2先端リンク(20)の前記本体の第2接続部(82)との間に挿入されて挟まれ、これらに隣接し、
前記第1接続部(81)は、前記第1の近位取り付け根元部(11)と前記第1把持面(13)との間で延在し、前記第2接続部(82)は、前記第2の近位取り付け根元部と前記第2把持面(23)との間にある、
請求項1から8のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項10】
前記第1先端リンク(10)は、切断動作中に前記ブレードリンク(30)の前記ブレードの前記弾性的曲げを受けるための軸方向に延びる軸方向変形座部(14)を備え、
好ましくは、前記軸方向変形座部(14)は、
好ましくは前記対向ブレード表面(24)に平行であって、前記第1先端リンク(10)の軸方向内向き表面(18)によって軸方向に画定される、
請求項1から9のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項11】
前記ブレードリンク(30)を前記第1先端リンク(10)と一体に回転させるために、前記ブレードリンク(30)の前記切縁(34)の長手方向延伸に沿って配置され又は前記ブレードリンク(30)の前記切縁に対して遠位側に配置された抗力係合部が設けられ、
好ましくは、前記抗力係合部は、前記ブレードリンク(30)の前記切縁(34)に隣接するか又は前記切縁(34)の遠位端に設けられる、
請求項1から10のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項12】
前記第2先端リンク(20)はねじ止め壁(28)を備え、
前記ねじ止め壁(28)は、好ましくは、
前記第2先端リンク(20)の前記本体の把持側(P2)に面し、縫合ワイヤ(6)を受け入れる凹部(28.1)を画定し、カット閉鎖中に、前記縫合ワイヤ(6)と前記ブレードリンク(30)の前記ブレードの前記切縁(34)との接触を維持する、
請求項1から11のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項13】
前記関節式エンドエフェクタ(9)は、
3つの部品、すなわち、前記第1先端リンク(10)と、前記第2先端リンク(20)と、前記ブレードリンク(30)とであって、3つの前記部品は、2つの前記突起(3,4)を含む前記支持構造体に対して前記共通回転軸(Y-Y)で関節結合される、3つの前記部品と、
更に、前記共通回転軸(Y-Y)を規定する関節ピン(5)である更なる部品と、
で正確に構成され、
又は
前記関節式エンドエフェクタ(9)は、
前記共通回転軸(Y-Y)に関節結合された4つの部品、すなわち、支持リンク(2)と、前記第1先端リンク(10)と、前記第2先端リンク(20)と、前記ブレードリンク(30)とであって、前記支持リンク(2)は前記突起(3,4)を含む、4つの前記部品と、
更に、前記共通回転軸(Y-Y)を規定する関節ピン(5)である更なる部品と、
加えて、前記支持リンク(2)の近位回転軸(P-P)を規定する近位関節ピンである更なる部品と、
で正確に構成されている、
請求項1から12のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項14】
前記第1先端リンク(10)の前記第1の近位取り付け根元部(11)は、前記共通回転軸(Y-Y)の周りに前記第1先端リンク(10)の少なくとも1つの作動テンドン(71,72)用の少なくとも第1の終端座部(15)を一体に備え、
前記第2先端リンク(20)の前記第2の近位取り付け根元部(21)は、前記共通回転軸(Y-Y)の周りに前記第2先端リンク(20)の少なくとも1つの作動テンドン(73,74)用の少なくとも第2の終端座部(25)を一体に備え、
好ましくは、2つの前記突起(3,4)を含む前記支持構造体は、近位回転軸(P-P)の周りでシャフト(7)の遠位端(8)に対して関節結合された支持リンク(2)に含まれるとともに、前記近位回転軸(P-P)の周りに前記支持リンク(2)の少なくとも1つの作動テンドン(75,76)用の少なくとも第3の終端座部(67)を一体に備える、
請求項1から13のいずれか1項に記載の針保持器/カッター型外科用器具(1)。
【請求項15】
少なくとも1つの、請求項1から14のいずれか1項に記載の前記針保持器/カッター型外科用器具(1)を備える、ロボット手術システム(101)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、針保持器/カッター型外科用器具に関する。
【0002】
本発明に係る針保持器/カッター型外科用器具は、ロボット遠隔操作顕微鏡手術における応用に特に適している。
【0003】
本発明は、更に、少なくとも1つの針保持器/カッター型外科用器具を備えるロボット手術システムに関する。
【背景技術】
【0004】
ロボット手術装置は、一般に当技術分野で知られており、典型的には、中央ロボットタワー(又はカート)と、中央ロボットタワーから延びる1つ以上のロボットアームとを備える。各アームは、患者に対して外科的処置を実行するために、遠位に取り付け可能な外科用器具を動かせるための電動位置決めシステム(又はマニピュレータ)を備える。患者は、一般に、手術室に配置された手術台に横たわり、手術室は、ロボット装置の非無菌部品による細菌汚染を回避するために、無菌性が確保される。
【0005】
従来、すなわち、すなわちロボットを使用しない手術において、針保持器/カッター型器具が一般的に知られている。この類の器具は、典型的には、操作リングの反対側の端部に、外科用針のための把持面と縫合糸を切断するためのブレードとを有する2つの自由端によって形成された針保持器/カッターを備える。場合によっては、ブレードは、グリッパの本体内に形成された座部又は凹部に作られ、針の把持面にアクセスするための開口とは異なる別個のアクセス開口を介してアクセス可能である。
【0006】
更に、ロボット手術の分野では、腹腔鏡検査用の針保持器/カッター型エンドエフェクタソリューションが、細長いシャフトの遠位端に配置されることが提案されている。
【0007】
例えば、米国特許出願公開第2019-298465号明細書に示されるように、一般に、ブレードは、針用のそれぞれの把持面と共成形され、針は、把持面に対して片持ち突起を形成し、把持面に対して近位側に、すなわち、把持面と把持面の関節ヒンジとの間に配置される。したがって、単一の成形品は、通常、ヒンジの一部を形成するための根元部と、自由端と、把持面と、エンドエフェクタの反対側の対面する他方のブレードに向かって、閉鎖方向に把持面に対して延びるブレードとを備える。
【0008】
ヒンジにおいて、「ベルビルワッシャ(Belleville washer)」タイプの単一のワッシャ又は複数の弾性ワッシャが、針保持器/カッター型エンドエフェクタを形成する2つの部品の根元部間に弾性予荷重を確保し、閉鎖時切断を行なうことを目的としたブレード間の機械的干渉状態を決定する。したがって、エンドエフェクタが閉じると、対向する2つのブレードは、あるポイントで干渉に入り、それぞれの根元部の間で横方向の滑りが生じ、前記弾性ベルビルワッシャによってヒンジに及ぼされる弾性影響作用を打ち消す。
【0009】
他には、米国特許出願公開第2019-0105032号明細書は切断エンドエフェクタを示しており、この切断エンドエフェクタでは、ブレードがそれぞれ、弾性片持ちタブを一体に備え、2つの前記弾性片持ちタブは、ピンと平行な方向に互いに向かって延在し、それにより、弾性予荷重が2つの片持ちタブ間の接触によって与えられる。これにより、ベルビル型弾性ワッシャをヒンジ上に組み立てることが回避され、したがって、2つのブレード間のヒンジに軸方向の空間が残され、相互に接触している片持ち弾性タブによって及ぼされる弾性反力の変動に対するスライドに適応することができる。
【0010】
「ベルビルワッシャ」タイプの複数のワッシャに加えて又は代えて、ブレード間の切断干渉を調整するために、通常は関節ピン自体を形成する調整ねじをヒンジに設けることができる。調整ねじが「ベルビルワッシャ」タイプの複数の弾性ワッシャと組み合わせて設けられる場合、調整ねじは、ばねの弾性作用を打ち消すことによって作用し、弾性予荷重の調整の終了を可能にする。
【0011】
通常、既知の解決策は、把持面に配置された電極を設けることによって、電気熱焼灼処理能力などの更なる機能を同じエンドエフェクタに組み込むことを示唆している。例えば、針保持器/カッター型器具のブレードは、エンドエフェクタのそれぞれの自由端及び把持面と共成形された単一部品で作ることができ、把持面自体に電気焼灼電極を構成する電気的接続部を備えることができる。
【0012】
別の既知の例は、米国特許出願公開第2020-0107894号明細書によって与えられており、この米国特許出願は、ブレードが把持リンクの長手方向ポケットに収容されてポケットに対して独立して回転可能であり、それにより、必要に応じてブレードを取り出すことができる、針保持器/カッターの解決策を示す。
【0013】
外科用器具、特にロボット手術用の外科用器具の端部又はエンドエフェクタの小型化は、手術を受ける患者にとって侵襲性を最小限に抑え、並びに、組織のミリメートル及びサブミリメートルの切開能力が得られるという有利なシナリオが開かれるので、特に望ましい。
【0014】
前述のタイプの既知の解決策は、部品の製造のための不可能なプロセス、並びに組み立てられたエンドエフェクタを得るための部品の複雑な組み立て戦略を課すため、さらなる小型化には適していない。例えば、ベルビル型弾性ワッシャの弾性反力に対抗しながらヒンジにマイクロ部品を組み立てる必要性、並びに動作時にかなり高い応力に耐えるのに十分に頑強でなければならず、同時に摩擦を最小限に抑えるように幾何学的に成形されなければならないマイクロリッジ及びマイクロアンダーカットを共成形することによる製造の客観的な極端な困難性が考えられる。実際、よく知られているように、マイクロスケールでは、摩擦などの表面力が体積力よりも支配的である。
【0015】
マイクロ隆起部、マイクロ溝、及びアンダーカット微細加工の困難さに加えて、既知の解決策に関連して前述したブレードの本体内で得られた弾性片持ちタブも、マイクロスケールで正確かつ再現可能な方法で切断及び成形することが極めて困難である。
【0016】
更に、スケールが減少するにつれて、外科用器具のエンドエフェクタ把持端子などの回転ジョイントが組み立てられるときに形成されるように意図された要素を正確にサイズ決定することがますます複雑になる。なぜなら、支点のレベルでの小さな機械加工の不確実性が、回転ジョイントに対して遠位方向に配置されたそれぞれの片持ち自由端の近辺に大きな不正確さをもたらすためである。回転ジョイントは通常、外科用針、縫合ワイヤ、及び手術を受ける患者の解剖学的部分の非常に繊細な微細操操作を担う。
【0017】
作動テンドンを損傷することなく正確な切断動作を行うような高い閉鎖力を伝達しようとする場合、ブレードに関連するてこ装置(leverages)(それ自体は当該技術分野で知られている解決策)の提供はまた、小型化の障害となる。動作条件下での堅牢性を証明すると同時に、非常に小さな規模で部品を製造するという唯一の客観的な困難性に加え、自由端の共通回転軸に近い領域のフットプリント、及び組み立ての難しさもある。
【0018】
ヒンジに対して遠位側に配置されるエンドエフェクタ、すなわち、切断ブレード及び把持面は、一般に、極めて正確な作業を実行するように設計されると同時に、切断ブレードは正確できれいな切断動作を保証しなければならない。
【0019】
同じ出願人の米国特許第10864051号明細書、国際公開第2017-064301号、国際公開第2019-220407号、国際公開第2019-220408号、国際公開第2019-220409号及び米国特許出願公開第2021-059776号明細書は、1つ以上のマスターインタフェースによって制御される1つ以上の外科用器具を有する遠隔手術ロボット手術システムを開示している。更に、同じ出願人の米国特許第10582975号明細書、欧州特許第3586780号明細書、国際公開第2017-064303号、国際公開第2018-189721号、国際公開第2018-189729号、米国特許出願公開第2020-0170727号明細書及び米国特許出願公開第2020-0170726号明細書は、ロボット手術及び顕微手術に適した外科用器具の様々な実施形態を開示している。これらのタイプの外科用器具は、一般に、ロボットマニピュレータによって駆動されるようになっているインタフェースを有する近位インタフェース部と、シャフトと、シャフトの遠位端にある関節カフとを備える。関節カフは、複数のテンドン(又は作動ケーブル)によって動かされる複数のリンクからなる。2つの先端リンクは、自由端及びそれらの間の開閉自由度を有し、吻合又は他の外科的治療を行うための遠隔手術ロボット手術用の針保持器グリッパタイプのエンドエフェクタを形成する針並びに縫合ワイヤを操作するように適合させることができる。
【0020】
例えば、同じ出願人の国際公開第2017-064306号は、関節式エンドエフェクタリンクの開閉自由度を作動させるためのテンドンがエンドエフェクタリンクの凸状線織摺動面上を摺動し、同時に、凹部を有するガイド溝又はチャネル内でテンドンをルーティングすることを回避する外科用器具を示している。それにより、テンドンとリンクとの間の摺動接触部分の断面が最小化され、したがって、摺動摩擦が低減され、ピッチ及びヨーの回転ジョイントなどのエンドエフェクタジョイントによって与えられる高い器用さを確保しながら、関節式エンドエフェクタの小型化を促進することができる。
【0021】
更に、同じ出願人の国際公開第2018-189722号は、関節式エンドエフェクタの開/閉自由度を作動させるためのテンドンが、前に論じられたものと同様に、エンドエフェクタリンクの凸状線織摺動面上での摺動に加えて、前記凸状線織摺動面上に巻き付けられ、特に大きい巻回角の基礎となる弧状経路を示す外科用器具を開示している。実際、テンドンの低い摺動摩擦のために、テンドンは、比較的長く、弧状の長手方向断面にわたって、リンクの凸状線織面と接触したままであり得る。
【0022】
更に、同じ出願人の米国特許出願公開第2021-0106393号明細書は、絡み合ったポリマー繊維からなるテンドンの幾つかの実施形態を開示している。ポリマーテンドンの使用は、金属テンドンの使用に対する摺動摩擦を低減することを可能にし、同時にテンドンの適切な寸法設定は、関節式エンドエフェクタにおける曲がりくねった長手方向の経路の移動を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、極端な小型化に適し、同時に堅牢で信頼性があり、正確で再現可能な切断動作を提供することができる針保持器/カッター型外科用器具の解決策を提供する必要性が強く感じられている。
【0024】
更に、組み立てが簡単であり、構築が簡単であり、動作条件下では信頼性があり、正確で堅牢な、遠隔手術ロボット微細手術用の針保持器/カッター型外科用器具の解決策を提案する必要性が感じられる。この針保持器/カッター型外科用器具は、例えば、外科用器具本体のメイン長手方向延伸に関して、切断動作の所望の制御された空間方向を可能にするように適合されており、これによって、手術の観察が容易にすることができる。
【0025】
グリップ及びハサミを備えた関節式先端マイクロ器具を組み立てることを可能にし、関節式エンドエフェクタのわずかな器用さを低下させることなく、最小数の構成要素で構成され、負担をかけずに簡単かつコスト的に手頃な方法で組み立てることができる解決策を提案する必要があると感じられている。
【0026】
グリップ及びハサミを備えた関節式先端マイクロ器具の形成のために、微小機械部品、特に鋭利な微小機械部品を高い幾何学的精度及び再現性で製造することを可能にする解決策を提案する必要性が感じられる。
【0027】
本発明の目的は、背景技術に関して述べた欠点を取り除くことである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
この目的及び他の目的は、請求項1に記載の針保持器/カッター型外科用器具によって達成される。
【0029】
幾つかの有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0030】
本発明の一態様によれば、ロボット手術システム用の針保持器/カッター型外科用器具は関節式エンドエフェクタを備え、当該関節式エンドエフェクタは、2つの突起を含む支持構造体と、第1の近位取り付け根元部、第1の遠位自由端、及びこれらの間の第1把持面を一体に備える細長い本体を有する第1先端リンクと、第2の近位取り付け根元部、第2の遠位自由端、及びこれらの間の第2把持面を一体に備える細長い本体を有する第2先端リンクとを備える。
【0031】
関節式エンドエフェクタは、第3の近位取り付け根元部と、弾性変形可能な曲げ本体と、切縁とを一体に備えるブレードリンクを更に備える。
【0032】
ブレードリンクは、ブレードホルダリンクとして作用する前記第1先端リンクと一体に回転する。切縁に対して遠位側に配置され得る抗力係合部を、ブレードリンクと第1先端リンクとの間に設けることができる。
【0033】
更に、第2先端リンクと一体に回転し、したがって反作用リンクとして作用する対向ブレード表面が設けられる。対向ブレードリンク根元部を有する更なる対向ブレードリンクを設けることができる。
【0034】
対向ブレード表面は、ブレードリンクの前記切縁に当接して、前記ブレードリンクを軸方向に弾性的曲げるように適合され、それにより、ブレードリンクの前記切縁と前記対向ブレード表面とが機械的干渉接触状態に達して切断動作を行う。
【0035】
対向ブレードは、鋭利であり、切縁を備えることができる。
【0036】
支持構造体と、第1先端リンクと、第2先端リンクと、ブレードリンクとは、共通回転軸において互いに関節結合される別個の部品であり、共通回転軸と一致する又は平行な軸方向を規定する。
【0037】
根元部は、それぞれ軸方向に隣接し、支持構造体の突起に対して関節結合され、切断ジョイントの回転ジョイントを規定する。前記回転ジョイントは、軸方向の剛性回転ジョイントであってもよく、当該軸方向の剛性回転ジョイントにおいて、結合部には弾性要素が設けられず、回転ジョイントに対して遠位側、すなわち、ブレードリンクのブレードに弾性が設けられる。
【0038】
支持構造体は、単一部品に作られた支持リンクに含まれることができる。
【0039】
支持構造体は、外科用器具のロッド又はシャフトの遠位端と一体に形成することができる。
【0040】
一実施形態によれば、根元部は、全体的に支持構造体の前記2つの突起間のパック(pack)に介設され(interposed)、それらと直接に密接し、切断動作中にブレードリンクのブレードの弾性的曲げに対する反力をもたらし、軸方向において予荷重弾性要素が設けられておらず、調整ねじも設けられていない。前記第1、第2及び第3の根元部、並びに支持構造体の前記突起は、2つずつ互いに接触するそれぞれの接触面を備えることができ、これらの接触面は軸方向に面し、全て互いに平行である。
【0041】
一実施形態によれば、ブレードリンクの第3の根元部は、第1先端リンクの前記第1の根元部と第2先端リンクの前記第2の根元部との間に、軸方向に介設され、それらと直接に密接し、切断動作中にブレードリンクのブレードの弾性的曲げに対する反力をもたらす。突起間の規定可能な軸方向距離は、任意の切断条件において一定のままであり得る。第1の取り付け根元部は、軸方向外側に面する第1の表面を有することができ、第2の根元部は、軸方向外側に面する第2の表面を有することができ、前記第1の表面と前記第2の表面との間の軸方向の更なる距離は、いかなる切断条件に対しても一定であることが確認できる。
【0042】
一実施形態によれば、根元部はそれぞれ貫通孔を備え、貫通孔は全て、関節ピンを受けるために軸上にあり得る。
【0043】
前記第2先端リンクと一体に回転する対向ブレード表面は、開閉自由度の移動中にブレードリンクを曲げるように軸方向に突出させることができる。
【0044】
一実施形態によれば、対向ブレード表面は、軸方向内側に面する凹面を有する湾曲突出面である。
【0045】
一実施形態によれば、ブレードリンク本体は、非変形形態において実質的に平面であって、規定可能な横たわる表面上に横たわり、好ましくは、前記ブレードリンクの軸方向に面するブレード表面は、前記第2先端リンクの前記第2の根元部と直接に密接する前記ブレードリンクの前記第3の根元部の接触面と平行であり、整列している。
【0046】
第1先端リンクは、その一部と共に、切断動作中にブレードリンクのブレードの弾性的曲げを受けるように軸方向に延在する軸方向変形座部を規定することができる。一実施形態によれば、軸方向変形座部は、好ましくは対向ブレード表面と平行な軸方向内側に面する第1先端リンクの表面によって軸方向に画定される(delimited)。
【0047】
一実施形態によれば、第2の先端には、切断閉鎖中に縫合ワイヤをブレードリンクのブレードの切縁に接触させたままにするために、縫合ワイヤを受け入れるためのねじ止め凹部が設けられる。
【0048】
一実施形態によれば、第1先端リンクの第1の根元部は、前記共通回転軸を中心とする第1先端リンクの少なくとも1つの作動テンドン用の少なくとも第1の終端座部を一体に備え、第2先端リンクの第2の根元部は、前記共通回転軸を中心とする第2先端リンクの少なくとも1つの作動テンドン用の少なくとも第2の終端座部を一体に備える。
【0049】
前記2つの突起を含む支持構造体は、近位回転軸の周りでシャフトの遠位端に対して関節結合される支持リンクに含まれることができ、前記近位回転軸を中心とした前記支持リンクの少なくとも1つの作動テンドン用の少なくとも第3の終端座部を一体に備える。
【0050】
支持リンクは、第1先端リンク及び第2先端リンクの作動テンドンのための1つ以上の凸状線織摺動面を一体で更に備えることができる。
【0051】
好ましくは、支持リンクの前記1つ以上の凸状線織摺動面の表面と、第1の根元部又は第2の根元部の前記終端座部間の終端座部との間の規定可能な軸方向距離は、任意の切断状態において、好ましくは把持状態においても一定のままである。
【0052】
一実施形態によれば、切断動作を実行するのに必要な軸方向弾性がブレードによって与えられ、根元部が支持構造体で軸方向に詰められ、それにより、ブレードの弾性的曲げに対して反作用し、根元部間に軸方向変位が生じるのを防止する。
【0053】
第2の先端の対向ブレードの本体は、軸方向に、好ましくは軸方向外側に弾性的曲げることができる。それにより、切断動作を実行するのに必要な軸方向弾性は、例えば、先端の開放角度に応じて、一緒に又は別々に、ブレードと対向ブレードとによって与えられる。
【0054】
一実施形態によれば、第1の拮抗テンドン対は、第1の取り付け根元部、例えば、ブレードホルダリンク根元部に接続されて、前記共通の遠位回転軸の周りで切縁を移動させ、第2の拮抗テンドン対は、第2の根元部に接続されて、前記共通の遠位回転軸の周りで対向ブレードを動かせる。
【0055】
一実施形態によれば、第1の取り付け根元部、例えば、ブレードホルダリンク根元部は、前記第1の拮抗テンドン対を受ける少なくとも第1の終端座部を一体に備え、第2の取り付け根元部は、前記第2の拮抗テンドン対を受ける少なくとも第2の終端座部を一体に備える。
【0056】
第1の拮抗テンドン対と第2の拮抗テンドン対とは、接続リンクが設けられている場合には、接続リンクの前記1つ又は複数の凸状線織面上及び支持リンクの前記1つ又は複数の凸状線織面上を長手方向に摺動するように適合され、また、ブレードホルダリンク根元部、すなわち第1の根元部、又は反作用リンク、すなわち第2の根元部のそれぞれの凸状線織面上を摺動することなく巻き付き/巻き戻しをするように適合されて、ブレードリンク及び対向ブレードをそれぞれ開/閉動作させる。
【0057】
一実施形態によれば、第1のカンチレバドラッグレッグ(cantilevered drag leg)は、第1のレッグの自由端を形成する第1の根元部から延び、前記第1の終端座部を軸方向で画定し、第2のカンチレバドラッグレッグは、第2のレッグの自由端を形成する第2の根元部から延び、前記第2の終端座部を軸方向で画定し、前記第1及び第2のカンチレバレッグはそれぞれ、それぞれのテンドン終端用の抗力当接部(draging abutments)として作用するそれぞれの終端座部に対してアンダーカットとして配置された当接部(abutment)及び抗力壁(drag wall)をそれぞれ含む。そのような場合、第1のカンチレバレッグと支持構造体、例えば、支持リンクの前記1つ以上の凸状線織面の表面との間の軸方向の第1の距離が識別され、当該第1の距離は、任意の切断状態に対して一定であり、第2のカンチレバレッグと支持構造体、例えば、支持リンクの前記1つ以上の凸状線織面の表面との間の共通の遠位回転軸に平行な方向の第2の距離が識別され、当該第1の距離は、任意の切断状態に対して一定であることが可能である。
【0058】
第1の距離と第2の距離とは互いに等しくすることができる。
【0059】
第1の距離及び/又は第2の距離は0であり得る。
【0060】
一実施形態によれば、動作状態にあるときに、各テンドンと、テンドンが摺動するリンクの全ての線織面との間で交換される全体的な摺動摩擦力は、同じテンドンによって伝達される引張力よりもはるかに小さく、閉鎖時に開閉自由度が移動されて切断動作を行うときにブレードの弾性的曲げ変形を達成する。換言すれば、テンドンの摺動摩擦力は、ブレードと対向ブレードとの間の機械的干渉接触摩擦力よりもはるかに小さくすることができる。この目的のために、テンドンはポリマー材料で作ることができ、リンクは金属材料で作ることができ、リンクの平行な母線を有する凸状線織面は滑らかであり、リンク上のテンドンの長手方向摺動摩擦を低減することができる。例えば、リンクの線織面は、ワイヤ電気浸食によって得られる。
【0061】
好ましくは、接続リンク、支持リンク、第1の根元部のプーリ、及び第2の根元部のプーリの全ての凸状線織面は、長手方向チャネルを有さない。したがって、作動テンドンは凹状チャネル内で摺動しない。
【0062】
支持リンクを接続リンクに対して前記共通の近位回転軸を中心に動かせるために、第3の拮抗テンドン対を設けることができ、支持リンクは、前記第3の拮抗テンドン対のテンドン終端を受ける少なくとも第3の終端座部を備える。好ましくは、拮抗テンドンの前記第3対の支持リンクの作動テンドンは、支持リンクの前記1つ以上の凸状線織面上を長手方向に摺動することなく巻き付き/巻き戻し、したがって、凸状線織面は、拮抗テンドンの第3対の作動テンドンのためのプーリ面として作用する。
【0063】
本発明の一態様によれば、針保持器/カッター型外科用器具の切断ジョイントの回転ジョイントが提供される。
【0064】
本発明の一態様によれば、少なくとも1つの針保持器/カッター型外科用器具を備えるロボット手術システムが提供される。
【0065】
針保持器/カッター型外科用器具の更なる特徴及び利点は、添付の図面(本開示における「1つの」実施形態への言及は、必ずしも同じ実施形態を指すものではなく、少なくとも1つとして理解されるべきであり、更に、簡潔にし、図面の総数を減らす目的で、所定の図面を使用して複数の実施形態の特徴を示すことができ、図面の全ての要素が所定の実施形態に必要であるとは限らないことに留意されたい)を参照して、非限定的であり、例示として与えられる好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【
図1】一実施形態に係るロボット手術システムの不等角投影図
【
図2】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具の不等角投影図
【
図3】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係るシャフトの遠位端にエンドエフェクタを備える針保持器/カッター型外科用器具の一部の不等角投影図
【
図4】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの不等角投影図
【
図5A】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係る2つの動作構成の一方における針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタを概略的に示す図
【
図5B】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係る2つの動作構成の他方における針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタを概略的に示す図
【
図6】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部の不等角投影図
【
図7】分解図で部品を示す、
図6のエンドエフェクタの一部の不等角投影図
【
図8A】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係るシャフトの遠位端にエンドエフェクタを備える針保持器/カッター型外科用器具の不等角投影図
【
図8B】エンドエフェクタを示している、
図8Aの作動テンドンを概略的に示す図
【
図9】作動テンドンを概略的に示す、一実施形態に係るエンドエフェクタを備える針保持器/カッター型外科用器具の不等角投影図
【
図10】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す平面図
【
図11】組み立てられた部品を示す、切断構成の
図10のエンドエフェクタの一部の平面図
【
図12】
図11に示す切断構成のエンドエフェクタの一部の不等角投影図
【
図13A】
図10のエンドエフェクタの一部のブレードリンクの垂直立面図
【
図13B】一実施形態に係る
図10のエンドエフェクタのブレードホルダリンクの一部の垂直立面図
【
図14】一実施形態に係る様々な機械的切断干渉構成のブレード及び対向ブレード表面によって想定される形態を概略的に示す図
【
図15A】矢印Aで示す視点による
図11のエンドエフェクタの垂直立面図
【
図15B】矢印Bで示す視点による
図11のエンドエフェクタの垂直立面図
【
図16】
図11のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図17A】縫合ワイヤの想定し得る切断シーケンスにおける
図11のエンドエフェクタの一部を示す図
【
図17B】縫合ワイヤの想定し得る切断シーケンスにおける
図11のエンドエフェクタの一部を示す図
【
図17C】縫合ワイヤの想定し得る切断シーケンスにおける
図11のエンドエフェクタの一部を示す図
【
図18】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す平面図
【
図19】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部を分解図で示す平面図
【
図20】組み立てられた構成の切断形態の
図19のエンドエフェクタを示す図
【
図21】組み立てられた構成の
図19のエンドエフェクタの一部の不等角投影図
【
図22】
図19のエンドエフェクタの対向ブレードリンクの垂直立面図
【
図23】
図19のエンドエフェクタの第2先端リンクの一部の垂直立面図
【
図24】
図19のエンドエフェクタの一部を分解図で示す不等角投影図
【
図25】
図24のエンドエフェクタの一部の組み立てられた構成の垂直立面図
【
図26】5ユーロセントコインの表面上に配置されたブレードリンク及び対向ブレードリンクを示す電子顕微鏡写真画像
【
図27】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部の垂直立面図
【
図28A】一実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの第1先端リンクの一部の垂直立面図
【
図29A】一実施形態に係るブレードリンクの垂直立面図
【
図29B】一実施形態に係る対向ブレードリンクの垂直立面図
【
図29C】組み立てられた構成の
図29Aのブレードリンク及び
図29Bの対向ブレードリンクを備える針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部の垂直立面図
【
図30】別の実施形態に係る針保持器/カッター型外科用器具のエンドエフェクタの一部の切断構成を示す平面図
【
図31】一実施形態に係るシャフトの遠位端における針ドライバ/ハサミグリッパ型外科用器具のエンドエフェクタを示す電子顕微鏡写真画像
【
図32】一実施形態に係る外科用器具の関節式エンドエフェクタの切断ジョイントの回転ジョイントを示す図
【発明を実施するための形態】
【0067】
本明細書を通して「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は機能が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを示すことを意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施形態では」の記載は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すとは限らない。更に、異なる図面に示されているような所定の特徴、構造、又は機能は、特に明記しない限り、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0068】
一般的な実施形態によれば、外科用器具1が提供される。前記外科用器具1は、針保持器/カッター型(又は一般的に使用される専門用語による「針ドライバ/縫合糸カッター型」)外科用器具1である。
【0069】
針保持器/カッター型の前記外科用器具1は、ロボット手術に特に適しているが、一意には意図されておらず、例えば、
図1に示すように、ロボット手術システム101の電動アクチュエータを備えるロボットマニピュレータ63に接続可能であり得る。例えば、針保持器/カッター型の前記外科用器具1は、機械的及び手動的な制御装置、並びに作動デバイスに関連付けることができる。
【0070】
針保持器/カッター型の前記外科用器具1を備えるロボット手術システム101は、ロボット顕微手術操作に特に適しているが、一意的に意図されているわけではない。ロボット手術システム101は、ロボット腹腔鏡手術を対象とすることができる。
【0071】
針保持器/カッター型の前記外科用器具1は、関節式エンドエフェクタ9、言い換えれば関節式終端9を備える。一実施形態によれば、針保持器/カッター型の前記外科用器具1は、シャフト7と、シャフト7の遠位端8にある前記関節式エンドエフェクタ9とを備える。必ずしも前記シャフト7が剛性シャフトであるとは限らず、例えば、曲げ可能なシャフト及び/又は関節シャフトであってもよいが、好ましい実施形態によれば、前記シャフト7は剛性シャフトである。例えば、
図2に示すように、外科用器具1の近位インタフェース部61又は後端部分61をシャフト7の近位端62に設けて、ロボット手術システム101のロボットマニピュレータ63とのインタフェースを形成することができる。滅菌バリアは、ロボットマニピュレータと外科用器具の近位インタフェース部61との間に介設することができる。例えば、前記近位インタフェース部61は、ロボットマニピュレータ63によって付与された駆動動作を受け、それらを関節式エンドエフェクタ9に伝達するためのインタフェース伝達要素のセットを備えることができる。一実施形態によれば、針保持器/カッター型外科用器具1は、ロボット手術システム101のロボットマニピュレータ63に着脱可能に関連付けられる。
【0072】
シャフト7の遠位端8の関節式エンドエフェクタ9は、1つ又は複数の回転ジョイントで互いに関節結合される複数のリンクを備えることができる。これらのリンクは、シャフト7内で、近位インタフェース部61から関節式エンドエフェクタ9まで延び、関節式エンドエフェクタ9のリンクの少なくとも一部に設けられた終端座部で終端する複数対の拮抗作動テンドンによって移動可能である。複数対の拮抗作動テンドン対のうちの1つ又は複数の拮抗テンドン対の一対の作動テンドンは、器具の近位インタフェース部61から器具の関節式エンドエフェクタのリンクまでの往復経路を形成する単一のテンドンで構成することができる。
【0073】
関節式エンドエフェクタ9を形成する全てのリンクがシャフト7の遠位端8に対して、必ずしも関節結合される、すなわち、必ずしも移動可能であるとは限らない。例えば、前記エンドエフェクタ9は、当分野で広く採用されている専門用語によれば、「ロールピッチヨー(roll-pitch-yaw)」タイプの関節カフであり得る。例えば、前記エンドエフェクタ9は、「ヘビ(snake)」タイプの関節式エンドエフェクタ9であり得る、すなわち、多数の同一平面及び/又は非平面回転ジョイントを備えることができる。
【0074】
針保持器/カッター型外科用器具1の前記関節式エンドエフェクタ9は、支持フォーク(support fork)を形成する第1突起3及び第2突起4を備える2つの突起3,4を備える支持構造体を備えることができる。好ましくは、支持フォーク(又は支持構造体)は単一部品で作られ、すなわち、前記2つの突起3、4は一体に形成される。好ましい実施形態によれば、前記関節式エンドエフェクタ9は、前記2つの突起3、4を備える前記支持フォークを備える支持リンク2を備える。
【0075】
好ましくは、「リンク」という用語は、単一部品で作られた本体、すなわち、モノブロック本体(monobloc body)を指す。
【0076】
例えば、
図3に示す実施形態によれば、前記突起3、4を含む支持フォークを備える支持リンク2は、シャフト7に対して別個の部品であって、支持リンク2と別の接続リンク60のシャフト7の遠位端8との間に介設することによって、シャフト7に対して関節結合されている。接続リンク60は、固定装置64(図示の例では、一対の固定ピン64として示されているが、代わりに、固定装置64は、プラグ、リベット、ステープル、1つ以上のねじ付き要素、連結プロファイルなどを備えることができる)によってしっかりとシャフト7の遠位端に固定され、そして、共通の近位回転軸P-P、又はピッチ軸P-Pの周りでシャフト7に対して支持リンク2に関節結合された2つの突起60.1、60.2を備える(「ピッチ」という用語は、ここでは任意に使用されており、共通回転軸P-Pの任意の方向を示すことができる)。
【0077】
例えば、
図8A及び
図8Bに示される実施形態によれば、前記突起3、4を含む支持フォークを備える支持リンク2は、シャフト7に対して別個の部品であり、固定装置64(図示の例では、一対のピン)によってシャフト7にしっかりと固定されている、すなわち、関節結合ではない。したがって、そのような場合、突起3及び4は、シャフト7の遠位端8と一体である。
【0078】
例えば、
図9に示す実施形態によれば、前記突起3、4を含む支持構造体又はフォークは、シャフト7の遠位端8と一体に形成される。したがって、そのような場合、突起3及び4は、シャフト7の遠位端8に対して一体であり、関節式エンドエフェクタ9は、2つの突起3、4を有するシャフト7の遠位端8を更に備え、すなわち、本開示の目的のために、この実施形態では、2つの突起3、4を備えるシャフト7の遠位端8は、関節式エンドエフェクタ9に属するものとして理解される。
【0079】
針保持器/カッター型外科用器具1の前記関節式エンドエフェクタ9は、第1先端リンク10(又はブレードホルダリンク10)及び第2先端リンク20(又はリアクションリンク20)を更に備える。好ましくは、前記第1先端リンク10及び第2先端リンク20はそれぞれ細長い本体を有し、前記第1先端リンク10及び第2先端リンク20の細長い本体は、それぞれの近位部分又は根元部11、21において互いに拘束されて共通回転軸Y-Yを中心に回転し、外科用針を把持するための関節式エンドエフェクタ9の終端把持デバイスを形成するように構成されている。
【0080】
具体的には、第1先端リンク10の本体は、第1の近位取り付け根元部11と、第1の自由遠位端12と、それらの間の第1把持面13とを一体に備え、第2先端リンク20の本体は、第2の近位取り付け根元部21と、第2の自由遠位端22と、それらの間の第2把持面23とを一体に備える。取り付け根元部11又は21とそれぞれの把持面13、23との間に各先端リンク10、20の接続部81、82を規定することができる。使用時に、第1先端リンク10の第1把持面13と第2先端リンク20の第2把持面23とは、互いに対向し、回転時に互いに面して、互いに接触して移動し、例えば、外科用針に把持作用を行うように意図されている。各把持面13、23は、既知の技術に従って機械加工することができ、把持能力を高めるために隆起部及び凹部を形成することができる。
【0081】
好適には、針保持器/カッター型外科用器具1の前記関節式エンドエフェクタ9は、第3の近位取り付け根元部31と、切縁34とを一体に備えるブレードリンク30又はブレード30を更に備える。切縁34は、曲げによって弾性変形可能であり、鋭利化されることができる。すなわち、切縁34は、ブレードリンク30の本体の厚さに対して局所的に減少した厚さ及び/又は断面の鋭い形態を有するように鋭利にすることができる。前記ブレード30を設けることにより、針保持器/カッター型外科用器具1の前記関節式エンドエフェクタ9は、外科用針に接続することができる縫合ワイヤ6を切断するための有用な切断動作を行うことを可能にする。
【0082】
好ましくは、第1先端リンク10の本体及び第2先端リンク20の本体はそれぞれ、それぞれの取り付け根元部からそれぞれの自由端まで延びる長手方向において細長い形態を有し、それぞれの把持面はそれぞれの自由端に近接して配置され、第1先端リンク10、第2先端リンク20、及びブレードリンク30の根元部11、21、31は互いに隣接している。それぞれの根元部11、21とそれぞれの把持面13、23との間に長手方向に介設された、第1先端リンク10の本体及び第2先端リンク20の本体のそれぞれの接続部81、82においては、ブレードリンク30の本体をその切縁34で受けるための軸方向及び長手方向の座部が得られる。言い換えれば、第1先端リンク10と第2先端リンク20との細長い本体は、それぞれの根元部11、21及びそれぞれの接続部81、82で互いに隣接し、それぞれの把持面13、23で重なり合い、一方で、ブレードリンク30は、その根元部31で第1先端リンク10及び第2先端リンク20の根元部11、21に隣接し、第1先端リンク10及び第2先端リンク20の接続部81、82に隣接し、それらの間に介設される。
【0083】
好ましい実施形態によれば、ブレードリンク31の根元部は、第1先端リンク10及び第2先端リンク20の根元部11、21の間に介設される。好ましくは、ブレードリンク30の本体はまた、長手方向に細長い形状であり、ブレードリンク端部32を備えるが、第1先端リンク10及び第2先端リンク20の本体に対して短くされ、互いに隣接する取り付け根元部11、21から第1先端リンク10及び第2先端リンク23の把持表面領域13、23まで実質的に長手方向に延び、すなわち、ブレード30の遠位端32は、第1先端リンク10及び第2先端リンク20の把持表面13、23の近位端に近いレベルまで長手方向に延びる。
【0084】
一実施形態によれば、前記ブレードリンク30は、適切には実質的に平坦な弾性シート又はストリップを成形することによって、すなわちカットされることによって作製される。例えば、弾性シート又はストリップは、ばね鋼で作られ、ワイヤ電気浸食(WEDM)及び/又は光エッチング及び/又はレーザ切断及び/又は化学エッチングによって成形することができる。好ましくは、弾性シート又はストリップは、その一方の縁部で鋭利化されて、ブレードリンク30の切縁34を形成する。鋭利化加工は、ワイヤ電気浸食(WEDM)及び/又は研削(grinding)、例えば、石又はダイヤモンド研削によって行うことができる。一実施形態によれば、最初に、弾性シート又はストリップは、シート又はストリップの横たわっている平面に対して実質的に直交する方向に流れるステップにおいてワイヤ電気浸食(WEDM)によって成形され、次いで、成形されたシート又はストリップの1つ以上の縁部は、成形シート又はストリップの横たわっている平面に対して直交しない方向に流れるステップにおいてワイヤ電気浸食(WEDM)によって鋭利化される。
【0085】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の本体は、二次元の主延伸、すなわち、好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面(lying surface)上に配置され、前記好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面上の延伸に対して実質的に減少した厚さを有する。
【0086】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の切縁34は、好ましくは平坦又はアーチ状の横たわる表面において実質的に真っ直ぐであり、ブレードリンク30の本体の横たわる表面に凹面を設けることを回避する。
【0087】
好ましくは、ブレードリンク30の厚さは、前記第1先端リンク10及び第2先端リンク20の厚さに対して著しく小さく、動作状態にあるときに、ブレードリンク30の長手方向延伸に対して横方向に、すなわち厚さの方向に、ブレードが弾性的に曲がり可能であるように選択される。特に、ブレードリンク30は、第2先端リンク20よりも曲がり可能でなければならず、好ましくは第1先端リンク10よりも曲がり可能でなければならない。ブレードリンク30の可撓性、そしてブレードリンク30の切縁34の可撓性は、その厚さの方向、すなわち、ブレードリンクの横たわる表面に直交する方向に意図されている。ブレードリンク30の本体のそのような横たわる面は、適切に加工されてブレードリンク30を形成する出発金属ストリップ又はシートの横たわる面に実質的に対応することができるが、可能な実施形態によれば、ブレードリンク30の本体は、出発弾性ストリップ又はシートの横たわる面から出たり入ったりする方向に面する凹面を有するアーチ状、すなわち、凹面の構造を有するように強いられる。この場合、ブレードリンク本体の横たわる表面はアーチ状の表面となる。
【0088】
必ずしもブレードリンク30、したがって必ずしもブレードリンク30の切縁34が、横たわる面において弾性変形可能であるとは限らない、すなわち、その厚さに直交する方向の曲げ性は必ずしも含まれるとは限らない。
【0089】
ブレードリンク30の材料は、第1先端リンク10及び/又は第2先端リンク20の材料とは異なる材料であってもよい。例えば、ブレードリンク30は、ばね鋼で作ることができる。例えば、第1先端リンク10及び第2先端リンク20及び支持リンク2は、存在する場合、単一の金属材料、例えば鋼で作ることができる。例えば、対向ブレードリンク40は、存在する場合、ばね鋼で作ることができる。
【0090】
ブレードリンク30の第3の根元部31及び/又はブレードリンク30の本体(この評価では、前述のように鋭利であることが好ましい切縁34の厚さを除外する)のレベルでのブレードリンク30の厚さと、第1先端リンク10の第1の根元部11の厚さ及び/又は第2先端リンク20の第2の根元部21の厚さとの比は、1/5から1/20の間とすることができる。絶対値において、ブレードリンク30の厚さは、0.1mmから1mmの間とすることができる。
【0091】
突起3、4を含む前記支持構造体(例えば、支持リンク2又はシャフトの遠位端8によって形成された支持構造体)、第1先端リンク10、第2先端リンク20、及びブレードリンク30は、別個の部品で作られ、前記ブレードリンク30は、前記第1先端リンク10と一体に回転する。したがって、第1先端リンク10は、ブレードホルダリンクとして機能する。これにより、切縁34は、第1把持面13及び第1先端リンク10の第1の自由端12と一体に回転し、弾性的曲げることができ、切縁34は、動作状態にあるときに、一体に回転する第1先端リンク10に対して弾性変形することができる。切縁34の弾性変形は、好ましくは、第1先端リンク10の細長い本体の長手方向の延伸方向に対して横方向、すなわち、第1先端リンク10の第1の近位取り付け根元部11と第1の遠位自由端12とを接合する方向に対して横方向、言い換えれば、ブレードリンク30の厚さ方向に生じる。
【0092】
具体的には、第1先端リンク10の第1の根元部11、第2先端リンク20の第2の根元部21、及びブレードリンク30の第3の根元部31は、支持構造体と、前記第1先端リンク10、前記第2先端リンク20、及び前記ブレードリンク30によって形成されたグループとの間の方向自由度を規定する前記共通回転軸Y-Yの周りで支持構造体の突起3、4に対して関節結合されている。したがって、切断ジョイントの遠位回転ジョイント502が形成される。したがって、共通回転軸Y-Y(又はその直線延伸)は、前記2つの突起3、4、及び前記第1、第2及び第3の近位取り付け根元部11、21、31を通過し、関節ピン5によって規定することができる。更に、第1先端リンク10の第1の根元部11、第2先端リンク20の第2の根元部21、及びブレードリンク30の第3の根元部31は、前記共通回転軸Y-Yの周りで相互に関節結合され、第2先端リンク20と、第1先端リンク10及びブレードリンク30によって形成されるグループとの間の相対的開閉自由度G(又は自由度G)を規定する。これにより、第2先端リンク20の第2の自由端22及び第2把持面23と、ブレードリンク30の切縁34及び第1の自由端12、及び第1先端リンク10の第1把持面13によって形成されるグループとは、開閉方向、すなわち、相対的に接近する又は離間する方向において相対的に移動可能である。
【0093】
一実施形態によれば、前記対向であって、回転時に面する第1把持面13と第2把持面23とは、針保持器/カッター型外科用器具1の前記関節式エンドエフェクタ9の閉鎖ストローク端として作用する。
【0094】
近位方向及び遠位方向(又は意識(senses))は、
図2の矢印によって示されるように、用語の共通の意味に従って参照するものとして理解される。好ましくは、提示を明確にするために、共通回転軸Y-Yの方向と一致又は平行な軸方向が規定される。好ましくは、提示を明確にするために、第1先端リンク10に関して、第2先端リンク20に面する内軸方向も規定され、同様に、第2先端20に関して、前記内軸方向は反対に、すなわち、第1先端10に面する。好ましくは、提示を明確にするために、「径方向」という用語は、共通回転軸Y-Yに実質的に直交し、それに入射する方向を指す。好ましくは、表現を明確にするために、それは、針保持器/カッター型外科用器具1の延伸展開方向と全体的に実質的に一致する長手方向も意味し、また、第1先端リンク10の細長い本体の長手方向延伸と局所的に一致し、及び/又は第2先端リンク20の細長い本体の長手方向延伸と一致する。好ましくは、表現を明確にするために、第1先端リンク10の第1裏側D1と第2先端リンク20の第2裏側D2は、相対的開閉自由度Gを参照して規定される。前記第1裏側D1と第2裏側D2は互いに反対側を向いており、第1先端リンク10の第1把持側P1は、前記第1把持面13が第1先端リンク10の前記第1把持側P1に含まれるように規定され、第2先端リンク20の第2把持側P2は、前記第2把持面23が第2先端リンク20の前記第2把持側P2に含まれるように規定され、第1先端リンク10の第1把持側P1と第2先端リンク20の第2把持側P2とは対向し、回転時に実質的に並んで配置される。第1把持側P1と第2把持側P2とは、好ましは主に並んで配置されるが、開閉自由度Gが閉鎖構成にある場合にのみ前記第1把持面13と前記第2把持面23とが接触することができる。言い換えると、把持面13及び23は、第1先端リンク10の第1把持側P1及び第2先端リンク20の第2把持側P2のそれぞれの内軸方向突出部に形成される。
【0095】
前述したように、支持構造体(例えば、シャフト7の支持リンク2又は遠位端8によって形成される)、第1先端リンク10、第2先端リンク20、及びブレードリンク30は、別個の部品で形成され、好ましくは共通回転軸Y-Y、すなわち、共通回転軸ヨーY-Y軸に対して回転するように拘束された共通回転軸Y-Yで互いに接合された4つの別個の部品(例えば、4つのリンク2、10、20、30又は3つのリンク10、20、30及び2つの突起3、4を含むシャフト7の遠位端8)で形成される(「ヨー」という用語は、ここでは任意に使用され、共通回転軸Y-Yの任意の向きを示すことができるが、好ましい実施形態によれば、既に前述した近位共通回転軸ピッチP-P軸に非平行であり、好ましくは近位共通回転軸のピッチP-P軸に直交する共通回転軸ヨーY-Y軸を示すことを意味する)。
【0096】
更なるリンク及び更なる部品がエンドエフェクタ9内に存在することができるが、一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、前記共通軸Y-Yにおいて一緒に関節結合され、作動テンドンによって適切に移動可能な前記4つの部品で正確に構成される。一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、前記共通軸Y-Yにおいて互いに関節結合され、作動テンドンによって適切に移動可能な前記4つの部品と、前記共通軸Y-Yを規定する関節ピン5である更なる部品(合計5つの部品で、作動テンドンはカウントから除外される)とで正確に構成される。
【0097】
一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、前記支持構造に対して前記共通軸Y-Yにおいて互いに関節結合された3つの部品と、加えて、前記共通軸Y-Yを規定する関節ピン5である更なる部品(合計4つの部品で、作動テンドンはカウントから除外される)とで正確に構成される。なお、3つの部品は、前記第1先端リンク10、前記第2先端リンク20、及び前記ブレードリンク30である。作動テンドンは、第1リンク及び第2リンクに接続することができる。
【0098】
一実施形態によれば、関節式エンドエフェクタ9は、前記共通軸Y-Yで関節結合される前記4つの部品(すなわち、前記4つのリンク2、10、20、30)と、更に、前記共通軸Y-Yを規定する関節ピン5である更なる部品と、更に、前記近位共通回転軸ピッチP-P軸を規定する更なる近位関節ピン65によって、近位共通回転軸ピッチP-Pにおいて支持リンク2に対して関節結合されたシャフト7を備える接続リンク60とで正確に構成される(合計7つの部品で、作動テンドンがカウントから除外される)。この実施形態によれば、共通回転軸ピッチP-Pが共通回転軸ヨーY-Yに対して非平行(好ましくは直交)である場合、シャフト7の遠位端に関節カフを得ることができ、このとき、回転軸ピッチP-Pが、共通回転軸ヨーY-Yと非平行であり、好ましくは共通回転軸ヨーY-Yに直交し、関節式カフには、ピッチ、ヨー、及び把持自由度Gを与え、把持自由度Gは、把持及び切断を管理するように適合される。接続リンク60がシャフト7の遠位端8(図示せず)と一体に形成される場合、関節式エンドエフェクタ9は、依然として7つの部品で構成され、7つの部品は、シャフト7の遠位端8、支持リンク2、ブレードリンク30、第1先端リンク10、第2先端リンク20、及び2つの前記関節ピン5、65である。
【0099】
シャフト7と一体であり、好ましくは後端部分61とも一体であるロールRの自由度、例えば、外科用器具1全体をシャフト7の長手方向の延伸軸X-Xの周りで回転させることができるロールRの自由度を提供することができる。
【0100】
当業者であれば分かるように、部品の数を最小限に抑えることにより、針保持器/カッター型外科用器具1の関節式エンドエフェクタ9の組み立てが大幅に簡素化され、極端な小型化に適したものになる。特に、軸方向(関節ピン5に取り付けられたベルビル型弾性ワッシャなど)、すなわち、支持構造体の突起3、4間の共通回転軸Y-Yの方向に弾性予荷重要素を設けることを回避することにより、部品の組み立てを簡素化することが可能であり、したがって、関節式エンドエフェクタ9の極端な小型化、ひいてはシャフト7の断面の極端な小型化が促進されるとともに、動作条件で生じる可能性のある応力に対する十分な強度及び耐性を確保することができる。
【0101】
更に好適には、第2先端リンク20と一体に回転する対向ブレード表面24が設けられる。言い換えれば、関節式エンドエフェクタ9は、第2先端リンク20と回転が一体化された前記対向ブレード表面24を更に備える。対向ブレード表面24は、必ずしも第2先端リンク20と一体に形成されるとは限らないが、好ましい実施形態によれば、例えば、
図12に示されるように、前記第2先端リンク20と一体に形成される。
【0102】
例えば、
図21に示す実施形態によれば、対向ブレードリンク40が提供され、対向ブレードリンク40は、前記第2先端リンク20に対して別個の部品であって、第2先端リンク20と一体に回転することができる。前記対向ブレードリンク40は、前記共通回転軸Y-Yで関節結合された前記対向ブレード表面24及び第4の近位取り付け根元部41を備える。
【0103】
前記対向ブレード表面24は、弾性変形可能なブレードリンク30の前記切縁34に当接するように適合され、その結果、前記対向ブレード表面24とブレードリンク30の前記切縁34とは、機械的干渉接触状態に達して切断動作を行う。好ましくは、ブレードリンク30の切縁34が鋭利化されて、対向ブレード表面24に軸方向において対向して配置されたブレードリンク30の軸方向に面するブレード表面35と同一平面である。切断動作中、ブレード表面35の少なくとも一部は、対向ブレード表面24に接触して、実質的に開/閉方向Gにおいて直接に摩擦を引き起こすことができる。
【0104】
対向ブレード表面24が第2先端リンク20と一体に形成されている場合、対向ブレード表面24が内軸方向に面し、好ましくは、第2先端リンク20の細長い本体の接続部82に含まれ、それによりブレードの切縁34と機械的に干渉接触して切断動作を行うことができる。
【0105】
好ましい実施形態によれば、第2先端リンク20と一体に回転する対向ブレード表面24は、切縁34と機械的に干渉接触したときにブレードリンク30を弾性的曲げるように、ブレードリンク30の本体の回転フットプリントに向かって突出する。言い換えれば、対向ブレード表面24は、内軸方向に突出する。対向ブレード表面24の前記突出部は、遠位方向に向かって、すなわち、第2先端リンク20の長手方向延伸に沿って共通回転軸Y-Yから離れるように強調され、好ましくは、前記突出部は、ブレードリンク30の遠位端32の近く又は遠位端32において最大である。好ましい実施形態によれば、対向ブレード表面24の突出部は、対向ブレード表面を遠位方向に辿ることによって徐々に得られ、例えば、漸進的により多くの遠位部分が突出を強める。
【0106】
したがって、一実施形態によれば、第1先端リンク10は、ブレードリンク本体30の本体から離れるように傾斜した軸方向内向き表面18を備え、軸方向内側において、切断動作中に前記第2先端リンク20と一体に回転する突出した対向ブレード表面24の作用によって弾性的曲げられたときにブレードリンク30の本体を収容するように適合された軸方向変形凹部14(又は変形座部14)を画定する。したがって、対向ブレード表面24及び軸方向内向き表面18は両方とも、ブレードリンク30に面し、切断動作中に両方ともブレードリンク30と接触する。軸方向内向き表面18は、好ましくは、第1先端リンク10の細長い本体の前記接続部81に属する。
【0107】
好ましくは、第1先端リンク10の軸方向内向き表面18は、切断動作中に、対向ブレード表面24によって曲げられることによって変形されたときのブレードリンク30の変形のための軸方向ストローク端当接面として機能する。対向ブレード24の突出面及び第1先端リンク10の軸方向向き表面18の輪郭は、互いに平行であってもよく、一実施形態では対応して同一であってもよい。
【0108】
好ましくは、「回転接近フットプリント」という用語は、把持自由度Gの相対的な閉回転動作中に、要素の本体が占めることができる空間の体積を示すことを意味する。したがって、「ブレードリンク30の回転接近フットプリント」という用語は、把持自由度Gの相対的な閉鎖回転動作中に、ブレードリンク30の本体によって占められ得る空間の体積を示すことを意味する。同様に、「先端10の第1のリンクの回転接近寸法」は、把持自由度Gの相対的な閉鎖回転動作中に、第1先端リンク10の本体の把持側P1によって占有され得る空間の体積を示すことを意味し、「第2先端リンク20の回転接近寸法」は、把持自由度Gの相対的な閉回転動作中に、第2先端リンク20の本体の把持側P2によって占有され得る空間の体積を示すことを意味する。
【0109】
切断動作を決定する切縁34と対向ブレード表面24との間の機械的な干渉接触は、同時に、ブレードリンク30の本体を曲げ変形させる。切断動作中のブレードリンク30の本体の曲げ変形は、好ましくは、第1先端リンク10の軸方向内向き表面18に向かって軸方向に向けられる。切断動作中のブレードリンク30の本体の曲げ変形は、例えば、共通回転軸Y-Yと略平行に向けられる。
【0110】
切縁34と対向ブレード表面24との間の少なくとも1つの接触点POCは、好ましくは、例えば、
図14に図式的に示すように、グリップ開/閉自由度Gの開放角度の関数として位置及び/又はサイズが変化する。特に、比較的大きい開放角度(例えば、20°-30°の範囲の角度)では、接触は、切縁34のより近位部分、すなわち、第3の取り付け根元部31に近い部分で発生し、接触が遠位方向に移動するにつれて徐々に開放角度が減少し、ブレードリンク30の第3の根元部31に対するブレードリンク30の本体の弾性変形による曲げを強める。したがって、第1先端リンク10及び第2先端リンク20が実質的に閉じた構成にあるときのブレードリンク30の変形構成は、最大限に曲がり、いずれにせよ、第1のリンク先端10及び第2先端リンク20が部分的に閉じた構成及び部分的に開いた構成にあるときのブレードリンク30の変形構成よりも大きく曲がる。好ましくは、開放角度が最大限に開いており、ブレードが自由であるとき、ブレードは真っ直ぐであり、ブレードリンクは実質的に平面構成を有する。
【0111】
関節式エンドエフェクタ9のリンクを、近位共通軸及び/又は遠位回転共通軸、すなわち、ピッチP-P及び/又はヨーY-Yの周りに移動させて関節式エンドエフェクタ9の自由度を活性化するために、好ましくは、針保持器/カッター型外科用器具1は、以下に説明するように、後端部分61からシャフト9を通って関節式エンドエフェクタ9まで延在し、関節式エンドエフェクタ9のリンクの少なくとも一部で終端する複数対の拮抗作動テンドンを備える。
【0112】
好ましい実施形態によれば、第1先端リンク10は、第1の拮抗テンドン対71、72を受け入れる第1の終端座部15を一体に備え、第2先端リンク20は、第2の拮抗テンドン対73、74を受け入れる第2の終端座部25を一体に備える。当業者であれば分かるように、この好ましい実施形態では、第1の拮抗テンドン対と第2の拮抗テンドン対とのそれぞれは、開放作動テンドン71、73と閉鎖作動テンドン72、74とを備える。終端座部15、25をそれぞれの先端リンク10、20と一体に形成することにより、部品の数を小さく保つことができ、組み立てが容易になり、小型化が促進される。更に、ブレードリンク30の第3の根元部31は、曲がり可能な部分として非常に薄く、又は少なくとも薄くすることができ、ブレードリンク30の作成を弾性的に簡素化し、同時に切断動作に対して機能するその機械的特性の精密な特性評価を可能にする。更に、好ましい実施形態によれば、各終端座部15、25は、拮抗テンドンのそれぞれの対に含まれる2つの拮抗テンドンの終端座部として機能し、先端リンク10、20のそれぞれに対して行われるべき動作の数を最小限に保つのに役立ち、したがって小型化を促進する。したがって、第3のブレードリンク30は、終端座部を備えず、第1の先端リンク10によって回転時に引きずられる。第4のリンク40が存在する場合、第4のリンク40は第2の先端リンク20によって回転時に引きずられ、終端座部を備えない。これにより、作動テンドンの数を小さく保つことができ、終端座部の数を最小限に保つことができ、したがって小型化が促進される。
【0113】
一実施形態によれば、第1先端リンク10の第1の終端座部15及び第2先端リンクの第2の終端座部25は、それぞれの先端リンク10、20の細長い本体に隣接して、特に、それぞれのリンク部81、82に隣接して、それぞれの根元部11、21から長手方向に延びるカンチレバドラッグレッグ77、78によってそれぞれ画定される。これにより、第1の及び第2先端リンク10、20の各終端座部15、25は、実質的に径方向のスロット、好ましくは長手方向のスロットであり、それぞれの取り付け根元部11、21によって形成された径方向に面する底壁を有する。
【0114】
好ましくは、それぞれの先端10、20の裏側D1、D2とカット側P1、P2との間のカンチレバドラッグレッグ77、78の延伸は、それぞれの終端座部15、25の縁面に面するように、実質的に同一である。終端座部15、25は、同じ高さに並んで配置され、拮抗テンドンのそれぞれの対の各作動テンドン71、72、73、74のそれぞれのテンドン終端70に対する停止及び抗力当接部として作用する。各作動テンドンのテンドン終端70は、例えば、それぞれの終端座部15、25の前記縁壁に当接する結び目又はボスによって形成された拡大部分とすることができる。言い換えれば、各終端座部15、25の前記縁壁は、それぞれのカンチレバドラッグレッグ77、78によって、及びそれぞれの接続部81、82によって形成された縁壁であって、閉鎖抗力縁壁として作用するそれぞれの裏側D1、D2に面する縁壁と、同じそれぞれのカンチレバドラッグレッグ77、78の反対側に面する、すなわち、開放抗力縁壁として作用するそれぞれの把持側P1、P2に面するそれぞれの接続部81、82の反対側の縁壁とを備える。したがって、終端座部15、25の縁壁は、それぞれの終端座部15、25のそれぞれのテンドン終端70のためのアンダーカットとして配置され、各終端座部15、25は貫通終端座部であり、好ましくは、それぞれの先端リンク10、20の自由端12、22に向かって長手方向に面するアクセス開口を有する。したがって、前記第1の拮抗テンドン対及び第2の拮抗テンドン対の各作動テンドン71、72、73、74の遠位部分は、それぞれの終端座部15、25内で交差及び/又は重なり合って、それぞれのテンドン終端70を、それに対して周方向にアンダーカットされて配置された縁壁に当接させて、第1の先端リンク10又は第2先端リンク20の回転に開閉自由度Gの開放及び/又は閉鎖方向への抗力を与える。
【0115】
好ましい実施形態によれば、第1先端リンク10の第1の根元部11及び第2先端リンク20の第2の根元部21はそれぞれ、共通回転軸Y-Yに対して反対側に面する少なくとも1つのプーリ面79、80を備え、共通回転軸Y-Yに対して反対側に面するプーリ面は、それぞれの抗力座部15、25を周方向の反対側から包み込み、それぞれの終端座部15、25内で継続してその径方向に面する、すなわち、共通回転軸Y-Yの反対側に面する底壁を形成することができる。その結果、前記第1及び第2の拮抗テンドン対のテンドン71、72、73、74のそれぞれのテンドン終端70に近い遠位部分は、回転軸Y-Yに平行な母線を有する凸状線織面である前記少なくとも1つのプーリ面79、80に巻き付く。
【0116】
好ましい実施形態によれば、第1の根元部11の少なくとも1つのプーリ面79及び第2の根元部21の少なくとも1つのプーリ面80は全て、テンドンを案内又は保持するための周方向チャネル又は溝を含まない、平行な母線を有し、かつ共通回転軸Y-Yに平行な凸状線織面である。少なくとも1つのプーリ面79、80は、存在する場合、径方向カットチャネル19、29で中断することができる。
【0117】
シャフト7の遠位端8に対して関節結合された前記支持リンク2が設けられる実施形態によれば、針保持器/カッター型外科用器具1は、前記共通の近位回転軸P-Pの周りで支持リンク2を動かせるための第3の拮抗テンドン対75、76を更に備える。したがって、支持リンク2は、第3の拮抗テンドン対75、76のテンドン終端70を受ける少なくとも第3の終端座部67を備えることができる。例えば、
図3及び
図4に示す実施形態によれば、支持リンク2の前記少なくとも第3の終端座部67は、第1の終端座部15及び第2の終端座部25を参照して前述したものと同様に、第3の拮抗テンドン対のそれぞれの作動テンドン75、76のためのアンダーカットとして配置されたテンドン終端70のための当接壁及び抗力壁を形成する、支持リンク2の本体を通って軸方向に、すなわち、共通の遠位回転軸Y-Yに平行に直接通過する単一の終端座部である。一実施形態によれば、支持リンク2は、2つの別個の第3の終端座部67を備え、第3の拮抗テンドン対の各テンドン75、76に対して1つの座部を備える。
【0118】
好ましい実施形態によれば、支持リンク2は、平行な母線を有し、全てが共通の近位回転軸P-Pに平行な1つ以上の凸状線織面84、86を備え、第1及び第2の拮抗テンドン対の作動テンドン71、72、73、74は、第1先端リンク10及び/又は第2先端リンク20の作動中に支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86上を摺動し、支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86は、テンドンを受け入れて案内するためのガイドチャネル又は溝を含まない。支持リンク2はまた、第1及び第2の拮抗テンドン対の作動テンドン71、72、73、74が第1先端リンク10及び/又は第2先端リンク20の作動中に摺動する共通の遠位回転軸Y-Y(図示せず)に平行な1つ以上の凸状線織面を備えることができる。
【0119】
平行な母線を有し、支持リンク2の共通の近位回転軸P-Pに全て平行な同じ1つ以上の凸状線織面84、86はまた、第3の拮抗テンドン対の作動テンドン75、76のためのプーリ面として作用することができ、支持リンク2は、共通の近位回転軸P-Pの周りでシャフト7の遠位端8に対して関節結合される。支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86は、支持リンク2の両側に延在する。一実施形態によれば、第3の拮抗テンドン対の作動テンドン75、76のためのプーリ面は、支持リンク2の終端座部67の内面によって形成される。
【0120】
前記接続リンク60が設けられる実施形態によれば、接続リンク60は、平行な母線を有し、全てが共通の近位回転軸P-Pと平行な1つ以上の凸状線織面85、87を備え、前記第1の拮抗テンドン対、第2の拮抗テンドン対、及び第3の拮抗テンドン対の作動テンドン71、72、73、74、75、76は、接続リンク60の前記1つ以上の凸状線織面85、87上を摺動する。接続リンク60の前記1つ以上の凸状線織面85、87は、接続リンク60の両側に延在し、接続リンク60と支持リンク2との間で、前記第1の拮抗テンドン対、第2の拮抗テンドン対、及び第3の拮抗テンドン対のそれぞれのテンドン71、72、73、74、75、76は、それらが近位方向に摺動する接続リンク60の線織面85、87に対して反対側に面する支持リンク2の1つ以上の凸状線織面84、86上を摺動するか、又は摺動することなく巻きつけるように互いに交差する。例えば、支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86は、リンク60の突起60.1、60.2の間に介設され、共通の近位回転軸P-Pに対して反対に向けられる。
【0121】
テンドン71、72、73、74、79、80と摺動又は巻取り接触するリンクの平行な母線を有する凸状線織面75、76、84、85、86、87は、好ましくはそれぞれのリンクの全ての外面である。
【0122】
作動テンドン71、72、73、74、75、76は、好ましくは、絡み合ったポリマー繊維によって形成されたポリマーテンドンである。
【0123】
好ましい実施形態によれば、第1先端リンク10の前記第1の根元部11、及び第2先端リンク20の前記第2の根元部21、及びブレードリンク30の前記第3の根元部31によって形成されるグループは、支持構造体の前記2つの突起3、4の間に全体的に介設され、2つの突起3、4と直接に密接する。これにより、根元部間及び各根元部と突起との間の相対移動が回避され、したがって、関節ピン5が設けられている場合、根元部と突起との間の関節ピン5に沿った相対摺動は、ブレードリンク30の弾性変形中に回避される。換言すれば、根元部及び突起は、好ましくは並んで配置され、互いに直接に密接し、それらの間に弾性反力がなく、遠位側にあっても、すなわち共通回転軸Y-Yに対して所定の長手方向距離であったとしても、それぞれのリンクの幾何学的形状により、それぞれのリンクの回転接近寸法が重なったり、干渉したりすることができる。例えば、第1先端リンク10の第1把持面13と第2先端リンク20の第2把持面23との間の把持接触が生じる。同様に、ブレードリンク30の切縁34と、第2先端リンク20と一体に回転する対向ブレード表面24との間の切断干渉接触が生じる。
【0124】
同様に、対向ブレード表面24は、弾性変形構成において、第1先端リンク10の本体の長手方向の延伸方向を横断する方向に、第1先端リンク10の回転フットプリントに対して局所的に並進するとき、第1先端リンク10の本体及びブレードリンク30の本体の回転接近フットプリントと少なくとも部分的に重なることができる。しかしながら、好ましい実施形態によれば、対向ブレード表面24及び第1先端リンク10の軸方向内向き表面18は、それぞれの回転フットプリントにおいて重ならないように幾何学的に成形されている。
【0125】
一実施形態によれば、第2先端リンク20に対して別個の部品で作られ、特に第4の近位取り付け根元部41を有する対向ブレードリンク40に属する対向ブレード表面24がある場合、第1先端リンク10の前記第1の根元部11、及び第2先端リンク20の前記第2の根元部21、並びにブレードリンク30の前記第3の根元部31、及び対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41によって形成されるグループは、全体として、支持構造体の前記2つの突起3、4の間に介設され、それらと直接に密接する。
【0126】
根元部のこのようなパッケージ配置により、切断動作中にブレード本体の弾性的曲げに対する反力がもたらされるとともに、根元部間に弾性作用を及ぼす要素を設けることが回避され、その結果、組み立てが簡素化され、極端な小型化が促進される。
【0127】
根元部のこのようなパック配置により、関節ピン5に対する、好ましくはより薄いブレードリンク30の第3の根元部31の関節ピン5に対する衝突が回避され、それにより、開/閉自由度Gの各開放角度に対して、対向ブレード24に対する切縁34の位置決めの十分な精度が提供され、したがって、極めて高いカット精度が得られる。同様に、これは、対向ブレードリンク40が設けられている場合、対向ブレードリンク40の第4の根元部41にも適合することができる。
【0128】
したがって、遠位回転ジョイント502には、軸方向に剛性、すなわち、回転軸Y-Yの方向において軸方向に剛性を持たせることができる。
【0129】
一実施形態によれば、
図5A及び
図5Bに概略的に示されるように、拮抗テンドン対の作動テンドン71、72、73、74は、エンドエフェクタ9の遠位回転ジョイント502を作動させ、接続リンク60の1つ以上の凸状線織面85、87上で長手方向に摺動し、支持リンク2の1つ以上の凸状線織面84、86上で長手方向に摺動するように適合される。言い換えれば、線織面上の作動テンドンの摺動は、テンドン自体71、72、73、74の長手方向延在方向に生じる。各テンドン71、72、73、74の経路は、それが摺動する凸状線織面に対して静止している、すなわち、各テンドンは長手方向に摺動するが、軸方向には摺動せず、各テンドンの長手方向延在方向は、いかなる動作状態でも変化しない。加えて、好ましくは、エンドエフェクタ9の遠位回転ジョイント502を作動させるように適合された拮抗テンドン対の作動テンドン71、72、73、74は、第1先端リンク10の根元部11上で終端する第1の拮抗テンドン対のテンドン71、72と、第2先端リンクの根元部21上で終端する第2の拮抗テンドン対のテンドン73、74とを含み、第1の拮抗テンドン対のテンドン71、72は、遠位回転軸Y-Yに平行な母線を有する1つ以上の凸状線織面79によって形成されるプーリ面79上を長手方向に摺動することなく巻き付き、第2の拮抗テンドン対のテンドン73、74は、遠位回転軸Y-Yに平行な母線を有する1つ以上の凸状線織面80によって形成されるプーリ面80上を長手方向に摺動することなく巻き付く。
【0130】
一方、接続リンク60の凸状線織面85、87、及び支持リンク2の凸状線織面84、86は、テンドンをガイド溝内に保持するためのガイドチャネル又は溝を含まない。テンドン71、72、73、74の終端座部15、25と、遠位回転ジョイント502の作動テンドンがその上を長手方向に摺動するか、又は摺動することなく巻き付く線織面79、80、84、85、86、87との間の幾何学的関係は、エンドエフェクタ9のリンクの本体にガイドチャネル又は溝がない場合であっても、各テンドンの経路の定常性に有利である。更に、テンドンを案内するためのガイドチャネル又は溝がないことにより、各テンドンの断面とそれが摺動する凸状線織面との間の接触面を最小限に抑えながら、摺動摩擦を最小限に抑えることができる。
【0131】
一実施形態によれば、
図5A及び
図5Bに概略的に示すように、関節式エンドエフェクタ9の近位回転ジョイント509を作動させるようになっている拮抗作動テンドン75、76は、支持リンク2上で終端し、支持リンク2に対して長手方向に摺動しない、すなわち、支持リンク2の前記1つ以上の線織面84、86上で長手方向に摺動しないが、摺動することなくその周りに巻き付き、一方、リンク60の前記1つ以上の線織面85、87上で長手方向に摺動して、近位回転ジョイント509を動かせる。好ましくは、支持リンク2の本体は、第3の拮抗テンドン対の作動テンドン75、76を受けるための少なくとも第3の終端座部67を一体に備える。したがって、テンドンの長手方向延伸は、テンドンが局所的に接触している線織面を生成する線に対して局所的に直交している。
【0132】
遠位回転ジョイント502は、切断動作を引き起こすことができる。ブレードリンク30の切縁34は、機械的干渉接触状態で開閉自由度Gが移動して切断動作を行う間、第2先端リンク10と一体に回転する前記対向ブレード表面24に当接するようになっている。これにより、切断動作を得るための軸方向の弾性は、ブレードリンク30の弾性によって少なくとも部分的に提供されるが、ブレードリンク30の第3の根元部31が関節結合される遠位回転ジョイント502は、軸方向に剛性であり、すなわち、遠位回転軸Y-Y上の突起3、4と根元部11、21、31との間の相対変位が回避されるため、弾性的負荷がかからない。
【0133】
好ましくは、第1先端リンク10の根元部11の第1の終端座部15と支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86の表面84との間の共通の遠位回転軸Y-Yに平行な方向の軸方向距離Y5は、任意の切断状態に対して一定である。同様に、第2先端リンク20の根元部21の第2の終端座部25と支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86の表面86との間の共通の遠位回転軸Y-Yに平行な方向の軸方向距離Y5’は、任意の切断状態に対して一定である。すなわち、開閉自由度Gの開放角度が変化するとき、支持リンク2の凸状線織面84、86と第1対又は第2対のテンドン71、72、73、74の終端座部15、25との間の軸方向距離Y5、Y5’は同じのままである。
【0134】
一実施形態によれば、前記第1の距離Y5は0であり、すなわち、終端座部15は、支持リンク2の凸状線織面84と長手方向に位置合わせされる。そのような場合、第1先端リンク10の作動テンドン71、72は、互いに平行なそれぞれの遠位経路を有することができる。同様に、一実施形態によれば、前記第2の距離Y5’は0であり、すなわち、終端座部25は、支持リンク2の凸状線織面86と長手方向に位置合わせされる。そのような場合、リアクションリンク20の作動テンドン73、74は、互いに平行なそれぞれの遠位経路を有することができる。
【0135】
好ましい実施形態によれば、リンク10の根元部11の第1の終端座部15と支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86の表面84との間の軸方向距離Y5は、リンク20の根元部21の第2の終端座部25と支持リンク2の前記1つ以上の凸状線織面84、86の表面86との間の軸方向距離Y5’に等しい。
【0136】
したがって、根元部間、並びに根元部と突起との間の関節ピン5に沿った軸方向の摺動を回避し、その上で第1の拮抗テンドン対又は第2の拮抗テンドン対のテンドン71、72、73、74が長手方向に摺動して開/閉自由度Gを作動させる。すなわち、切断作用を行う支持リンク2の線織面84、86と、リンク10の根元部11又はリンク20の根元部21とそれぞれ一体に作られたそれぞれのテンドンの終端座部15、25との間の幾何学的関係が維持される。それによって、遠位共通回転軸Y-Yの周りの前記複数のリンク間の相対回転を妨げないようにすることができる。
【0137】
回転軸に平行な方向において、テンドンは、そのそれぞれの線織面に対して摺動しない。
【0138】
したがって、それにより、切断ジョイントの軸方向剛性回転ジョイント502を形成することができる。軸方向剛性回転ジョイント502と一体に回転する切縁34及び対向ブレード表面24を有するブレードが提供され、共同で開閉自由度の閉鎖動作中に切断動作を行うことができる。したがって、関節ピン5に取り付けられるか又は支持構造体の突起3、4の間に挿入されるベルビル(Belleville)型の弾性要素を設けることを回避することができる。更に、根元部を軸方向に一緒に締め付けるように適合された調整ねじを設けることが回避される。
【0139】
前記軸方向に剛性の遠位回転ジョイント502はまた、切縁34をヨーY-Yの回転軸の周りに回転させることによって切縁を方向付けることを可能にし、切断方向の調整を制御することを可能にする。
【0140】
そのような遠位回転ジョイント502はまた、ヨーYの自由度の任意の向き、すなわち、支持構造体に対する第1先端リンク10、ブレードリンク30、及び第2先端リンク20によって形成されるグループの任意の動き、並びに、存在する場合、近位回転ジョイント509のピッチPの自由度の任意の向き、すなわち、支持リンク2、及び第1先端リンク10、ブレードリンク30、及び第2先端リンク20によって形成されるグループのリンク60に対するシャフト7への任意の動きに関して、軸方向で剛性がある。好ましくは、シャフトへの接続リンク60は、例えば、一対のピン94によってシャフト7の遠位端8にしっかりと固定され、この場合、ピッチPの自由度は、特にシャフト7が剛性シャフトである場合に、シャフト7に対する支持リンク2の向きとして理解することができる。
【0141】
好ましくは、支持構造体の突起3、4間の距離は、任意の切断状態に対して一定のままであり、突起は、第1の根元部11及び第2の根元部21のそれぞれの表面と直接に密接したままである。
【0142】
したがって、好ましくは、第1先端リンク10の第1の根元部11は、第1の外部接触面52を備え、支持構造体の第1突起3は、第1内部接触面53を備え、第1の根元部11の前記第1の外部接触面52は、第1突起3の前記第1内部接触面53と接触し、第2先端リンク20の第2の根元部21は、第2の外部接触面55を備え、支持構造体の第2突起4は、第2の内部接触対向面54を備え、第2の根元部21の前記第2の外部接触面55は、第2突起4の前記第2の内部接触対向面54と接触する。
【0143】
例えば、
図30に示す実施形態によれば、ブレードリンク30の第3の根元部31は、支持構造体の第1突起3と第1先端リンク10の第1の根元部11との間に介設され、それらと直接に密接する。第1先端リンク10の本体の回転接近フットプリントを横切る横断ブリッジ33をブレードリンク30の本体に設けることにより、切縁34は、第2先端リンク20と一体に回転する、すなわち、第1先端リンク10と第2先端リンク20との間の対向ブレード表面24と接触位置になる。言い換えれば、横断ブリッジ33は、第1先端リンク10の細長い本体の接続部81及び/又は第1先端リンク10の第1の根元部11を横切ることができる。そのような場合、第1の根元部11の第1内部接触面51は第2の根元部21の第2内部接触面56と接触し、第1の根元部11の第1の外部接触面52は第3の根元部31の第2接触面57と接触し、第1突起3の第1接触面53は第3の根元部31の第1接触面58と接触する。したがって、この実施形態によれば、切縁34を有するブレードは、第1先端リンクと第2先端リンクとの間に介設したままであり、ブレードリンク30の第3の根元部31は、支持構造体の第1突起3と第1先端リンク10の第1の根元部11との間に介設される。
【0144】
例えば、
図11に示す好ましい実施形態によれば、ブレードリンク30の第3の根元部31は、第1先端リンク10の前記第1の根元部11と第2先端リンク20の前記第2の根元部21との間に介設され、それらと直接に密接して、切断動作中にブレードリンク30のブレード34の弾性的曲げに対する反力をもたらす。第1先端リンク10の前記第1の根元部11と第2先端リンク20の前記第2の根元部21との間のブレードリンクの第3の根元部の接触により、切縁34と対向ブレード表面24との干渉接触から実行されるブレードリンク30の本体の厚さ方向の弾性変形の間に、ブレードリンク30の第3の根元部31は、第1先端リンク10の第1の根元部11と第2先端リンク20の第2の根元部21との間の共通軸回転Y-Y方向の変形が拘束されるため、第1の根元部11及び第2の根元部21に対して変形しないことが決定される。
【0145】
したがって、好ましくは、第1先端リンク10の第1の根元部11は第1内部接触面51を備え、ブレードリンク30の第3の根元部31は第1接触面58を備え、第1の根元部11の前記第1内部接触面51は第3の根元部31の第1接触面58と接触している。第2先端リンク20の第2の根元部21は第2内部接触面56を備え、ブレードリンク30の第3の根元部31は第2接触面57又は対向ブレード57に面する接触面を備え、第2の根元部21の前記第2内部接触面56は第3の根元部31の前記第2接触面57と接触している。
【0146】
好ましい実施形態によれば、根元部11、21、31及び突起3、4の全ての前記接触面は、互いに平行であり、好ましくは全て共通回転軸Y-Yに直交する。好ましくは、開閉自由度Gの各構成において、根元部11、21、31及び突起3、4の全ての前記接触面は、常に互いに平行のままであり、互いに直接に密接する。
【0147】
一実施形態によれば、第2先端リンク20に対して別個の部品として作られた対向ブレード表面24が存在し、特に第4の近位取り付け根元部41を有する対向ブレードリンク40に属する。ブレードリンク30の第3の根元部31は、第1先端リンク10の前記第1の根元部11と対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41との間に軸方向に介設され、それと直接に密接し、対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41は、ブレードリンク30の前記第3の根元部30と第2先端リンク20の前記第2の根元部21との間に軸方向に介設され、それと直接に密接して、切断動作中のブレードリンク30のブレードの弾性的曲げに対する反力をもたらす。したがって、この実施形態によれば、対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41は、2つの対向する接触面59、66を備え、その結果、前記第1、第2、第3及び第4の根元部11、21、31、41及び前記突起3、4は、軸方向に回転し、全て互いに平行であるそれぞれの接触面51、52、53、54、55、56、57、58、59、66を備える。
【0148】
根元部は、好ましくは、共通回転軸Y-Yを中心とするシリンダ形状を有し、第3の根元部31が第1の根元部11及び第2の根元部21よりも実質的に小さい厚さを有する場合、第3の根元部31は、円板形のシリンダ形状を有する。同様に、これは、設けられている場合、対向ブレードリンク40の第4の根元部41に適合することができる。
【0149】
ワイヤ電気浸食プロセスによる部品の製造は、増大された公差を得ることを可能にするが、共通回転軸Y-Yの方向において、根元部及び/又は突起の前記接触面の少なくとも幾つかの間に、10分の1ミリメートル程度の最小限の局所的マイクロクリアランスを提供して、直接的な密接を確保することができる。同時に、開/閉自由度G及び/又はヨーY自由度の作動中に、共通回転軸Y-Yを中心とした相対回転を可能にすることができる。関節ピン5は、根元部及び/又は突起の少なくとも1つと干渉し、すなわち、根元部及び/又は突起の少なくとも1つと一体に回転することができる。
【0150】
特に、2つの突起3、4を有する支持構造体、第1先端リンク10の第1の根元部11、第2先端リンク20の第2の根元部21、及びブレードリンク30の第3の根元部31が別個の部品で作られていることで、軸方向、すなわち、それぞれの接触面間の共通回転軸Y-Yの方向には、最小のマイクロクリアランスが必然的に含まれる。そして、全体としての前記マイクロクリアランスは、一実施形態によれば、ブレードリンク30の第3の根元31の厚さの1/20と1/5の間の範囲にあり、分割され、すなわち、突起3、4の接触面とそれぞれのリンクの根元部との間に局所的に分布し、ここで、第1及び第2先端リンク10のそれぞれの突起3、4の接触面、及び第1及び第2の根元部11、21の接触面はそれぞれワイヤ電気浸食(WEDM)によって作られる。
【0151】
したがって、「直接に密接する」という表現はまた、支持構造体の突起及びそれぞれのリンクの根元部の接触面の少なくとも一部の間だけでなく、それらの全部の間に最小のマイクロクリアランスがいずれの場合にも提供される実施形態を示すことを意図している。切断動作中、特に開閉自由度Gの比較的大きい開放角度(例えば、把持面13、23の間の約20°-30°の角度)では、したがって、ブレードリンク30の切縁34と対向ブレード表面24との間の機械的干渉接触は、関節ピン5に沿って第3の根元の100分の1ミリメートル程度の最小の微小変位を生成することができる。また、存在する場合は、第4の根元部41も同様である。
【0152】
例えば、本発明者らによって行われた分析から明らかなように、一実施形態によれば、ブレードリンク30の第3の根元部31の厚さは約0.2mmであり、突起の接触面とそれぞれのリンクの根元部との間に局所的に分布する、動作状態にある共通回転軸Y-Yの方向の全体的なマイクロクリアランスは、全体的に約0.02mmであり、動作状態にあるとき、ブレードリンク30の第3の根元部31と第2先端リンク20の第2の根元部21との間の共通回転軸Y-Yの方向の局所的なマイクロクリアランスは、約0.01mm、すなわち、ブレードリンク30の第3の根元部31の厚さの1/20に実質的に等しい。
【0153】
2つの突起3、4を有する支持構造体、第1先端リンク10の第1の根元部11、第2先端リンク20の第2の根元部21、及びブレードリンク30の第3の根元部31が、上記で説明したように、共通回転軸Y-Yの方向に最小のクリアランスを課す別個の部品で作られる。これによって、開閉回転の自由度Gを開く方向と閉じる方向との両方において正確かつ制御された方法で操作することが可能になり、同時に把持動作及び/又は切断動作を行うことができる。
【0154】
関節ピン5は、第1先端リンク10の第1の根元部11と一体の2つの対向して整列したカンチレバレッグの形態で、又は第2先端リンク20の第2の根元部21と一体の2つの対向して整列したカンチレバレッグの形態で作ることができる。あるいは、関節ピン5は、2つの部品で作製することができ、第1の部品は、第1先端リンク10の第1の根元部11を備えた単一部品の2つの対向して整列したカンチレバレッグの形態であり、第2の部品は、第2先端リンク20の第2の根元21を備えた単一部品であって、対向して整列した2つのカンチレバレッグの形態であり、関節ピン5の前記第1の部分と第2の部分は、共通の回転軸Y-Yに沿って整列している。
【0155】
好ましい実施形態によれば、第1先端リンク10の前記第1の根元部11は第1貫通孔16を備え、第2先端リンク20の前記第2の根元部21は第2貫通孔26を備え、ブレードリンク30の前記第3の根元部31は第3貫通孔36を備え、第1の根元部11の前記第1貫通孔16、第2の根元部21の前記第2貫通孔26、及び第3の根元部31の前記第3貫通孔36は、前記共通回転軸Y-Yと軸線上で整列している。一実施形態によれば、関節ピン5は、前記第1、第2、及び第3貫通孔16、26、36の内側に受け入れられる。この場合、前記関節ピン5は、支持構造体の突起3、4のうちの1つを備える単一のカンチレバレッグとして作製することができ、又は、関節ピン5は、2つの対向して整列したカンチレバレッグの形で2つの部品として作製することができ、2つの部品のそれぞれが支持構造の突起3、4のうちの1つを備える単一部品である。ただし、好ましい実施形態によれば、関節ピン5は、根元11、21、31に関して、また、突起3、4に関しても別個の部品である。一実施形態によれば、2つの突起3、4のそれぞれは、前記共通の回転軸Y-Yと軸線上で整列され、第1、第2、及び第3の根元部11、21、31のそれぞれの前記第1、第2、及び第3の貫通孔16、26、26のそれぞれ、及び全てと整列された突起165の貫通孔を備える。
【0156】
一実施形態によれば、第1の根元部11の前記第1貫通孔16、及び第2の根元部21の前記第2貫通孔26、及び第3の根元部31の前記第3貫通孔36は全て円形の貫通孔であり、前記共通回転軸Y-Yと同軸であり、支持構造体の第1突起3から支持構造体の第2突起4まで共通回転軸Y-Yの方向に延在する単一の関節ピン5を受け入れる。一実施形態によれば、第1の根元部11の前記第1貫通孔16、第2の根元部21の前記第2貫通孔26、及び第3の根元部31の前記第3貫通孔36は全て、実質的に同じ直径を有し、それぞれの孔縁部16.1、26.1、36.1の周方向延伸の全体にわたって直接に密接して前記関節ピン5を受け入れる。
【0157】
ブレードリンク30の第3の根元部31の円形の前記第3貫通孔36を、その孔縁部36.1の周方向延伸の全体にわたって関節ピン5と直接に密接させて設けることにより、ブレードリンク30の切縁34によって及ぼされる切断動作に対して反力を与えることが可能になる。特に、切断動作中に、把持自由度Gの開放角度が徐々に減少し、ブレードリンク30の切縁34(及び好ましくはブレード表面35も)と、第2先端リンク20と一体に回転する対向ブレード表面24との間の機械的干渉接触をもたらし、したがって、開放方向の直接摩擦力が、対向ブレード表面24と接触しているブレードリンク30の本体の切縁34(及び好ましくはブレード表面35も)に発生し、これは、ブレードリンク30の第3の根元部31の第3貫通孔36の孔縁部36.1と関節ピン5との間の相互接触の部分で交換される切断動作の摩擦に対する反力によって平衡がとられる。切断動作の摩擦反力は、好ましくは、共通回転軸Y-Yに対して実質的に径方向に沿って向けられる。切断動作の摩擦に対する反力は、好ましくは、円形の貫通孔36に面するブレードリンク30の第3の根元部31の円形の第3貫通孔36の孔縁部36.1の厚さの円弧面38に影響を与える。
【0158】
一実施形態によれば、第2先端リンク20に対して別個の部品で作られ、特に前記第4の近位取り付け根元部41を有する前記対向ブレードリンク40に属する対向ブレード表面24がある場合、対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41は第4の貫通孔43を備え、第1の根元部11の前記第1貫通孔16、第2の根元部21の前記第2貫通孔26、第3の根元部31の前記第3貫通孔36、及び第4の根元部41の前記第4の貫通孔43は全て円形の貫通孔であり、前記共通回転軸Y-Yと同軸であり、支持構造体の第1突起3から支持構造体の第2突起4まで共通回転軸Y-Yの方向に延在する単一の関節ピン5を受け入れる。一実施形態によれば、対向ブレードリンク40の第4の根元部41の前記第4の貫通孔43は、孔縁部の延伸の全体にわたって関節ピン5と直接に密接する孔縁部43.1を有し、切断動作中にブレードリンク30と対向ブレードリンク40の対向ブレード表面24との間で交換される摩擦に対する反力を孔縁部の厚さの円弧面に及ぼす。
【0159】
根元部の貫通孔の少なくとも一部だけでなく全部もがワイヤ電気浸食(WEDM)によって作られる場合、ワイヤ電気浸食によって貫通孔を作るために使用されるカットワイヤの連続カット経路の効果として、径方向カットチャネル19、29、39、49が、孔縁部とそれぞれの根元部の外縁部との間のそれぞれの根元部に設けられる。好ましくは、それぞれの根元部上の径方向カットチャネルの配置は、動作状態にあるときのそれぞれのリンクの静的又は動的挙動に基づいて研究される。特に、好ましい実施形態によれば、ブレードリンク30の根元部31のカットチャネル39は、第2先端リンク20の第2の根元部21のカットチャネル29及び対向ブレードリンク40の第4の根元部41のカットチャネル49に対して径方向にオフセットされて、開閉動作中にカットチャネルの縁部が互いに噛み合うのを防止する。
【0160】
一実施形態によれば、前記2つの突起3、4のそれぞれの突起165の貫通孔は、前記共通回転軸Y-Yと同軸の円形の貫通孔である。支持構造体の突起3、4がワイヤ電気浸食によって作られる場合、それぞれの突起の孔縁部と外縁部との間の少なくとも1つの径方向チャネルを突起に設けることができる。
【0161】
一実施形態によれば、前記対向ブレード表面24は、第2先端リンク20の本体の長手方向延伸を横断し、好ましくは第2先端リンク20の本体の長手方向延伸に直交し、共通回転軸Y-Yを横断し、好ましくは、共通回転軸Y-Yに直交する方向に傾斜するように構成することができる。すなわち、換言すれば、前記対向ブレード表面24は、裏側D2を第2先端リンク20の把持側P2と結合する方向に傾斜するように構成することができ、好ましくは、裏側D2に向かってより突出するように構成される。なお、対向ブレード表面24は、突出していても必ずしも傾斜するとは限らない。
【0162】
一実施形態によれば、前記対向ブレード表面24は湾曲面である。これにより、対向ブレード表面24は、そのアーチ形状によって突出する。対向ブレード表面24の凹面は、好ましくは、軸方向及び内側に面しており、すなわち、共通回転軸Y-Yに平行で、ブレードリンク30の回転フットプリントに面している。
【0163】
対向ブレード表面24は、切縁34およびブレードリンク30を適切に曲げて、実質的に対向ブレード表面24の長手方向延伸の全体に沿って切断作用を及ぼす楔として機能することができる。
【0164】
一実施形態によれば、ブレードリンク30は、非変形形態にあるとき、すなわち、規定可能な横たわる表面上にあるとき、実質的に平坦である。ブレードリンク30の弾性的曲げは、ブレードリンク30を前記非変形平面構成に戻す傾向がある。したがって、軸方向内側に面するブレード表面35は、ブレードリンク30の第3の根元部31の第2接触面57と平行であり、好ましくは、例えば、継ぎ目なく位置合わせすることもできる。言い換えれば、一実施形態によれば、ブレードリンク30の規定可能な横たわる表面は、ブレードリンク30の第3の根元部31の第2接触面57に平行であり、ブレードリンク30の第3の根元部31の第1接触面58に平行である。好ましくは、切縁34は、非変形状態にあるときは真っ直ぐであり、すなわち、ブレードリンク30の第3の根元部31の第2接触面57に平行な、好ましくは真っ直ぐな延伸として実質的に直線状に延びる。言い換えれば、一実施形態によれば、切縁34は、ブレードリンク30の規定可能な横たわる表面に平行に延在する。
【0165】
ブレードリンク30の切縁34は、例えば、シャフト7が真っ直ぐで剛性のシャフトであり、切縁34が対向ブレード表面24の突出部と接触していない場合に、少なくとも1つの動作構成でシャフト7の長手方向延伸X-Xと位置合わせすることができる。
【0166】
一実施形態によれば、ブレードリンク30を第1先端リンク10と一体に回転させるために、共通回転軸Y-Yに対して遠位側に配置された抗力係合部が設けられる。抗力係合部は、ブレードリンク30の切縁34の長手方向延伸に沿って(必ずしも切縁34を中断することによるとは限らない)形成することができ、好ましくは、ブレードリンク30の切縁34の遠位端に近接して又は遠位端で形成される。抗力係合部は、ブレードリンク30と第1先端リンク10との係合によって得ることができる。
【0167】
一実施形態によれば、前記第1先端リンク10は、ブレードリンク30を定量(ration)に引き込むための少なくとも1つの抗力面17.1、17.2を備え、好ましくは開放抗力面17.2と閉鎖抗力面17.1とを備える。一実施形態によれば、第1先端リンク10の前記少なくとも1つの抗力面17.1、17.2は、ブレードリンク30の抗力部分を受け入れる抗力座部17を画定して、前記ブレードリンク30及び前記第1先端リンク10と一体に回転させる。この場合、第1先端リンク10の少なくとも1つの抗力面17.1、17.2は、2つの対向する抗力対向面17.1、17.2を備え、ブレードリンク30の2つの対向する抗力対向面37.1、37.2とインタフェースして、ブレードリンク30を開閉自由度Gの開放方向及び閉鎖方向の両方に回転させる。そのような場合、より有利な機械的伝達を達成するために、ブレードリンク30の抗力部分を第3の根元部31に配置することができるが、正確な抗力を確保するために、ブレードリンク30の抗力部分は、ブレードリンク30の第3の根元部31から離れて配置されることが好ましい。ブレードリンク30の開放抗力対向面37.2及び閉鎖抗力対向面37.1は、単一部分上に、例えば、ブレードリンク30の遠位端32と一致し得る単一の突出部の対向面として配置することができる。
【0168】
一実施形態によれば、ブレードリンク30の抗力部分は、ブレードリンク30の遠位端32と一致し、第1先端リンク10の抗力座部17は、第1先端リンク10の軸方向内向き表面18に対して、すなわち、ブレードの変形のための当接部として作用することができる表面に対して遠位側に位置する。そのような場合、抗力座部17は、ブレードリンク30の遠位端32を受け入れるように軸方向延伸を有し、したがって、切断動作中のブレードリンク30の変形を前記変形座部14と共に受け入れる。ブレードリンク30の遠位端32は、前記切縁34の遠位部分を含むことができ、そのような場合、前記切縁34の前記遠位部分は、第1のブレードリンク10のそれぞれの開放抗力面17.2に対して協働する開口方向37.2の抗力対向面として作用する。一実施形態によれば、第1把持面13に対して近位側に、抗力歯17.0が近位側に、すなわち、共通回転軸Y-Yに向かって延び、近位側に開口し、軸方向に延びる第1把持面13に対してアンダーカット座部を形成し、ブレードリンク30の遠位端32を受け入れる抗力座部17を形成する。
【0169】
ブレードリンク30の抗力部分がブレードリンク30の遠位端32と一致する実施形態によれば、ブレードリンク30の前記遠位端32は、第1先端リンク10と共に回転するように拘束され、切断動作中の弾性的曲げ変形中に抗力座部17内で先端リンク10に対して軸方向に自由に摺動する。
【0170】
ブレードリンク30の開放抗力対向面37.2及び閉鎖抗力対向面37.1は、例えば
図28Aに示すように、共通回転軸Y-Yから異なる距離に、例えば、ブレードリンク30の異なる突出部に配置することができる。特に
図28A、
図28B及び
図28C、並びに
図29Aを参照すると、ブレードリンク30の第3の根元部31は、第1先端リンク10の第1の根元部11上に折り畳まれた,径方向ドラッグイヤー(radial drag ear)37を備えることができ、前記ドラッグイヤー37は、例えば第1先端リンク10の本体の接続部81の後部D1の一部に配置された開放抗力面17.2と抗力接触する前記開放抗力対向面37.2を含む。
【0171】
一実施形態によれば、別個の部品で作られた前記第1先端リンク10及び前記ブレードリンク30は、解放可能な態様で互いに一体に回転し、解放は、好ましくは関節式エンドエフェクタ9を分解することによってのみ行うことができる。
【0172】
本明細書に記載の全ての実施形態と必ずしも組み合わせることができるとは限らない代替の実施形態によれば、
図18に示すように、例えば、ブレード30は、第1先端リンク10と一体に作られ、それにより、長手方向に延在し、第1先端リンク10の第1の根元部11からカンチレバー状に突き出た切縁34を有するブレード30が規定される。特に、この代替形態では、ブレードリンク30の第3の根元部31及び第1先端リンク10の第1の根元部11は一体に形成され、前記切縁34を有するブレード本体は、第1先端リンク10の接続部81に隣接して第1先端リンク10の根元部からカンチレバー状に延びる。したがって、この代替形態では、第1先端リンク10の第1の根元部11の第1内部接触面51は、第2先端リンク20の第2の根元部21の第2内部接触面56と直接に密接しており、切縁34及びブレード30のブレード表面35は、前記第1内部接触面51と整列することができる。この代替形態は、本明細書に記載の対向ブレード表面24の任意の実施形態と組み合わせることができ、例えば、対向ブレード表面24は、第2先端リンク20と一体で、又は対向ブレードリンク40を提供する別個の部品で作製することができる。
【0173】
一実施形態によれば、前記第2先端リンク20は、共通回転軸Y-Yに面するねじ止め壁28を備え、このねじ止め壁は、縫合ワイヤ6を受け入れて、切断閉鎖中に縫合ワイヤ6をブレードリンク30のブレードの切縁34と接触させ続けるためのねじ止め凹部28.1を画定する。ねじ止め壁28を設けることにより、閉鎖動作の効果として、切断動作中に縫合ワイヤ6がブレードの遠位端32を越えて遠位側に摺動することが防止される。
【0174】
ねじ止め壁28及びねじ止め凹部28.1は、第2先端リンク20の把持側P2に面することが好ましく、例えば、ねじ止め壁28は、第2先端リンク20の把持側P2に面する凹部28.1を規定する凹面を有するアーチ型壁である。凹部28.1は、第2先端リンク20の本体に設けられた切り欠きの形態で作ることができ、そのような場合、ねじ止め壁28は前記切り欠きを画定する壁である。凹部28.1は、第2先端リンク20の本体の突出部に設けられたアンダーカット壁の形態で作ることができ、そのような場合、ねじ止め壁28は、共通回転軸Y-Yに面する前記突出部のアンダーカット壁である。
【0175】
一実施形態によれば、ねじ止め壁28は、その軸方向の内縁で、第2先端リンク20の把持側P2から対向ブレード表面24を画定する。対向ブレード表面24が第2先端リンク20に対して別個の部品で作られる場合、ねじ止め壁28及び凹部28.1は、対向ブレードリンク40の本体に形成することができる。
【0176】
前述したように、一実施形態によれば、前記第2先端リンク20は、前記対向ブレード表面24を一体に備える。或いは、前述したように、対向ブレードリンク40は、前記第2先端リンク20に対して別個の部品で提供され、それと一体に回転することができ、前記対向ブレードリンク40は、前記対向ブレード表面24と、前記共通回転軸Y-Y内で関節結合された第4の近位取り付け根元部41とを備える。一実施形態によれば、第2先端リンク20は、対向ブレードリンク40のためのハウジングシートを形成する軸方向凹部45を備える。前記軸方向凹部45は、好ましくは、第2先端リンク20の軸方向内向き表面48によって軸方向に画定される。
【0177】
好ましい実施形態によれば、対向ブレードリンク40は、曲げることによって弾性変形可能である。これにより、ブレードリンク30の切縁34が対向ブレードリンク40の対向ブレード表面24に機械的に干渉して切断動作を行うと、対向ブレードリンク40の本体も軸方向に弾性的に曲がる。
【0178】
対向ブレードリンク40は、好ましくは弾性シート又はストリップから作製され、切断動作中にブレードリンク30を弾性的曲げるために、軸方向内側に面する凹面を有する湾曲して突出した対向ブレード表面24を形成するように予め湾曲している。曲げによって弾性変形可能な湾曲して突出した対向ブレード表面24を有する対向ブレードリンク40を設けることにより、切断動作中に、第2先端リンク20の軸方向凹部45の軸方向内向き表面48とブレードリンク30の切縁34との間に弾性反力を得ることが可能になる。特に、対向ブレードリンク40は、第2先端リンク20の軸方向凹部45の軸方向内側に面する前記表面48に当接する、対向ブレード表面24に対向して軸方向に向けられた静止表面46を備え、対向ブレードリンク40が、切断動作中にブレードリンク30を弾性的曲げることを目的として、ブレードリンク30の切縁34に弾性動作を提供することを可能にする。
【0179】
対向ブレードリンク40は、ブレードリンク30を参照して前述した特徴及び特性の少なくとも一部を有することができるが、全部を有することもできる。対向ブレードリンク40の厚さは、前述したように、ブレードリンク30の厚さと実質的に同等、又は同等であり得る。一実施形態によれば、対向ブレードリンク40は、好ましくは、ブレードリンク30の切縁34に対して反対側に配置される対向ブレード切縁44を備え、すなわち、換言すれば、対向ブレードの切縁44は第2先端リンク20の把持側P2に面する。対向ブレードリンク40の第4の近位取り付け根元部41は、ブレードリンク30の第3の根元部31を参照して前述した特徴及び特性の少なくとも一部を有することができるが、全部を有することもできる。特に、好ましい実施形態によれば、対向ブレードリンク40の前記第4の根元部41は、前記関節ピン5を受け入れるための第4の貫通孔46を画定する。第4の根元部41は、ブレードリンク30の径方向カットチャネル39と位置ずれした径方向カットチャネル49を備えることができる。
【0180】
一実施形態によれば、対向ブレードリンク40及び第2先端リンク20を一体に回転させるために、対向ブレード表面24の長手方向延伸に沿って、又はそれに対して遠位側に抗力係合部が設けられる。好ましくは、抗力係合部は、対向ブレードリンク24の遠位端42の近く又は遠位端に得られる。
【0181】
一実施形態によれば、第2先端リンク20は、ブレードホルダリンク40を一体に回転させるために、開放抗力面27.2及び反対側の閉鎖抗力面27.1を有する抗力座部47を備える。抗力座部47は、対向ブレードリンク40の遠位端42を受け入れるために、第2先端リンク20の第2把持面23に対してアンダーカットとして形成された抗力座部内に遠位側に配置することができる。一実施形態によれば、対向ブレードリンクの前記遠位端42は、第2先端リンク20の前記開放抗力面27.2と抗力接触する開放抗力面47.2と、前記閉鎖抗力面27.1と抗力接触する反対側の閉鎖抗力面47.1とを備える。
【0182】
例えば、
図29Bに示す実施形態によれば、対向ブレードリンク40は、第2先端リンク20の第2の根元部21に折り畳まれた径方向ドラッグイヤー47.0を備え、対向ブレードリンク40の前記ドラッグイヤー47.0は、例えば、第2先端リンク20の本体の接続部82の裏側D2に配置された開放抗力面27.2と抗力接触する開放抗力面47.2を備え、対向ブレードリンク40は、第2先端リンク20の閉鎖抗力面27.1と抗力接触する対向ブレードリンク40の遠位端42に近接して配置された閉鎖抗力面47.1を更に備える。
【0183】
図27に示す実施形態によれば、例えば、対向ブレード切縁44は、開/閉方向に対して凹形状を有することができる。
【0184】
一般的な実施形態によれば、前述の実施形態のいずれか1つによる関節の回転ジョイント502が提供される。
【0185】
切断ジョイントの回転ジョイント502は、軸方向剛性カップリングである。
【0186】
一般的な実施形態によれば、前述の実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの針保持器/カッター型外科用器具1を備えるロボット手術システム101が提供される。したがって、ロボット手術システム101は、針保持器/カッター型外科用器具1が外科用針を操作すると同時に縫合ワイヤを切断することができる吻合及び/又は縫合の外科的又は顕微外科的処置を実行することができる。
【0187】
一実施形態によれば、前記ロボット手術システム101は、2つの外科用器具を備え、そのうちの少なくとも1つは、前述の実施形態のいずれか1つによる針保持器/カッター型外科用器具1であり、他の外科用器具は、針ドライバタイプの外科用器具又は拡張器タイプの外科用器具であり得るが、一実施形態によれば、両方の外科用器具は、針保持器/カッター型外科用器具1である。
【0188】
ロボット手術システム101は、好ましくは、少なくとも1つのロボットマニピュレータ63を備え、針保持器/カッター型少なくとも1つの外科用器具1は、前記少なくとも1つのロボットマニピュレータ63に動作可能に接続される。例えば、例えば滅菌手術布などの滅菌手術バリア(図示せず)が、少なくとも1つのロボットマニピュレータ63と、針保持器/カッター型少なくとも1つの外科用器具1の後端部分61との間に介設される。ロボットマニピュレータ63は、ピッチP、ヨーY、及び把持自由度Gの前記作動テンドンに応力を与える。すなわち、外科用器具1を把持して切断するための電動アクチュエータと、転動自由度を規定するシャフト7の周りで外科用器具1を回転させるための電動アクチュエータとを備えることができる。ロボット手術システム101は、例えば、車輪又は他の接地ユニットを備える支持部69(カート又はタワー)と、支持部69と少なくとも1つのロボットマニピュレータ63との間に延在する、例えば、手動で移動可能な、すなわち、受動的な関節式位置決めアーム70とを備えることができる。一実施形態によれば、ロボット手術システム101は、マスタースレーブ構造に従って、針保持器/カッター型少なくとも1つの外科用器具1、好ましくは、それぞれのロボットマニピュレータ62も制御するための少なくとも1つのマスターコンソール68を備え、好ましくは、ロボット手術システム101は、マスターコンソール68の少なくとも1つのマスター制御デバイス50に対する針保持器/カッター型外科用器具の追跡を決定するように、マスターコンソール68及びロボットマニピュレータ63に動作可能に接続された制御ユニットを更に備える。一実施形態によれば、マスターコンソール68は、拘束されていない、すなわち地面から機械的に切り離されている少なくとも1つのマスター制御デバイス50と、例えば、光学的及び/又は磁気的な追跡システムとを備える。
【0189】
所定の実施形態並びに所定の動作モードにおいて別々に又は互いに組み合わせて提供される上記の特徴のおかげで、不一致があっても前述したニーズを満たすことができ、前述の利点、特に、以下の利点を含むことができる。
【0190】
-開閉自由度は、第1及び第2先端リンクの把持面におけるエンドエフェクタの一部における外科用針の把持動作と、第1及び第2先端リンクの把持面に対する近位部分における縫合ワイヤの切断動作とを実行することを可能にする。
【0191】
-既知の解決策に対して、針保持器/カッター型外科用器具の関節式エンドエフェクタの極端な小型化が可能である。
【0192】
-弾性ワッシャ並びに調整ねじの提供、並びに取り付け根元部のレベルでのタッピング(tapping)又はねじ切り機械加工を回避しながら、支持構造体の突起間にリンクの根元部を積み重ねることが可能であり、したがって関節式エンドエフェクタの極端な小型化を可能にする。
【0193】
-特に、関節ピン5はねじが切られていない。
【0194】
-それぞれのリンクの根元部の貫通孔の孔縁部表面はタップされておらず、すなわち、雌ねじも切られていない、また、支持構造体の突起を貫通する突起の貫通孔の内面もタップされておらず、すなわち、雌ねじも切られていない。
【0195】
-関節ピンに取り付けられたベルビルワッシャ型などの要素がない。
【0196】
-一方、切断動作に必要な全ての弾性は、根元部の外側、すなわち、ブレードリンク30の本体(及び存在する場合は対向ブレードリンク)に集中し、非常に小型化された関節式エンドエフェクタを作成するとともに正確な切断動作を実行することを可能にする。
【0197】
-特に、ブレードを開閉する比較的高い自由度の角度では、ブレードは自由であり、すなわち、弾性的に応力を受けず、好ましくは、このような構成では、ブレードは真っ直ぐである。開閉自由度の開放構成では、ブレードは、突出した対向ブレードの回転フットプリントと重複することができ、すなわち、第2先端リンク(存在する場合、対向ブレードリンクと同様に)の回転フットプリントと重複することができ、開閉自由度の開放構成では、ブレードは、第1先端リンクの接続部に対して離間しており、特に、第1先端リンクの軸方向内向き表面18から離間しており、それによってブレード用の変形座部14を規定している。
【0198】
-開閉自由度の開放角度が閉じるにつれて、ブレードは弾性的曲げられ、対向ブレード24を弾性的に押す。前記第1先端リンク及び第2先端リンクの前記接続部の間に前記ブレードを接触させて、前記ブレードを開閉する自由度の閉鎖構成において、前記第1先端リンク及び第2先端リンクの前記接続部の間に前記ブレードを介設することができる(又は、存在する場合に対向ブレードリンクと接触し、次いでブレードと第2先端リンクの本体との間に前記ブレードを介設する)。
【0199】
-切断動作に必要な弾性が根元部に対してブレードリンク本体の遠位側に集中しているため、ブレードの比較的高い軸方向曲げを受ける変形座部を設けることができる。
【0200】
-突起間のパック内に積み重ねられた根元部は、ブレードの弾性的曲げ変形に対する反力を提供し、ピン上の軸方向摺動を回避し、したがって、高い開放角度であっても切縁34の正確で効果的な切断動作を可能にし、すなわち、切縁は、関節ピンに隣接する根元部の位置で、近位側でさえ対向ブレードを押すことができる。
【0201】
-第1先端リンク及び第2先端リンクが作動テンドンによって直接作動されている間、ブレードリンク及び対向ブレードリンクは、存在する場合、第1先端リンク及び第2先端リンクによって回転方向に抗力が及ぼされる。
【0202】
-ブレードリンク30のそのような第3の根元部31を設けることにより、動作状態にあるとき、例えば、切断動作中に、ブレードリンク30を共通回転軸Y-Yにしっかりと固定することができ、また、ブレードリンクの遠位端32に近接して配置された第1先端リンク10とブレードリンク30とを一体に回転させるためのそのような抗力座部17を設けることにより、(存在する場合、対向ブレードリンク40にも同じことが適合される)ブレードリンクの遠位端32の軸方向変形を受けるとともに、ブレードリンク30をしっかりと固定することができ、位置決め及び切断の不正確さが生じることなく関節式エンドエフェクタの極端な小型化を可能にし、一方で、ブレードリンクの損失、すなわち、動作状態にあるときにブレードリンクの取り外しのリスクを回避する、堅牢で信頼性の高い解決策を提供することができる。
【0203】
-関節ピンを接触して受け入れる全ての同軸の根元部の貫通孔を設けることにより、根元部間の意図しない相対回転を回避することができ、動作状態にあるときに、対向ブレード表面24及び把持表面13、23に対するブレードリンク30の切縁34の位置決めの確実性を提供し、したがって、根元部のレベル、すなわち、共通回転軸の隣での小さな回転動作により、比較的大きな切断の不正確さが生じるため、関節式エンドエフェクタの極端な小型化が可能になる。
【0204】
-更に、ブレードリンクの孔36は、その近位縁部がピンを押すことによって、切断動作中にブレードと対向ブレードとの間の摩擦に対する反力を及ぼし、正確な切断動作を得るのに役立つ。
【0205】
-ブレードリンクの切縁は、真っ直ぐに、つまり凹面なしにすることができるため、連続生産が容易になり、例えば、単一のバンド又はストリップから開始することができる。
【0206】
-存在する場合、自由端を有するブレードリンクと対向ブレードリンクとの一体的回転は、外科医の手の向きを再現することができるように、ヨーの自由度の様々な向きで切断動作を実行することを可能にし、したがって、顕著な直観性を有するとともに、例えば、顕微鏡下での観察も容易である。
【0207】
-関節ピンから離れ、関節ピンに対して遠位の閉鎖ストローク端の当接を提供することにより、高精度の閉鎖が可能になるとともに、支持フォークの近位領域を占有せず、極端な小型化を促進する。
【0208】
-それぞれのリンクを有する一体で作られたテンドン及び線織プーリ面の終端座部は、小型化に有利であり、部品の数を少なく保ち、関節式エンドエフェクタをコンパクトに保つのに役立つ。
【0209】
-針ドライバ/ハサミ型外科用器具の場合、先端リンク間にブレードを介在させることにより、ブレードを閉じたエンドエフェクタで隠すことができ、例えば、縫合ワイヤが損傷することなく先端リンクの周りに縫合ワイヤを巻き付けることができる。
【0210】
-2つのリンク間の回転における単一の抗力係合部の提供は、抗力クリアランスを最小化することを可能にし、小型化を促進する。
【0211】
-共通回転軸Y-Yを規定する回転ジョイント502は、ヒンジとすることができる。
【0212】
添付の特許請求の範囲の1つ以上に開示された特徴、構造、又は機能の組み合わせは、本明細書の不可欠な部分を形成することが十分に理解されたい。
【0213】
所定の偶発的なニーズを満たすために、当業者は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、前述した実施形態に対して幾つかの変更及び適応を加え、要素を機能的に同等の他の要素に置き換えることができる。
【符号の説明】
【0214】
1 針保持器/カッター型外科用器具
2 支持リンク
3 第1支持構造体突起
4 第2支持構造体突起
5 回動ピン(pivot pin)又は関節ピン
6 縫合糸又は縫合ワイヤ
7 外科用器具シャフト
8 遠位シャフト端
9 関節式エンドエフェクタ、又は関節式端末
10 第1先端リンク又はブレードホルダリンク
11 第1先端リンクの第1の近位取り付け根元部、又は第1先端リンクの取り付け根元部
12 第1先端リンクの第1の遠位自由端、又は第1先端リンクの自由端
13 第1先端リンクの第1把持面、又は第1先端リンクの把持面
14 第1先端リンクブレード用の変形座部
15 第1リンクの第1終端座部、又は第1リンクの終端座部
16 第1先端リンクの第1の根元部の第1貫通孔、又は第1先端リンクの根元部孔
16.1 第1の根元部の第1孔の孔縁部
17 第1先端リンクの抗力座部
17.0 第1先端リンクの抗力歯
17.1 第1先端リンクの閉鎖抗力面
17.2 第1先端リンクの開放抗力面
18 軸方向内側に面する第1先端リンク面
19 第1先端リンクの第1の根元部のカットチャネル
20 第2先端リンク又はリアクションリンク
21 第2先端リンクの第2の近位取り付け根元部、又は第2先端リンクの取り付け根元部
22 第2先端リンクの第2の遠位自由端、又は第2先端リンクの自由端
23 第2先端リンクの第2把持面、又は第2先端リンクの把持面
24 対向ブレード表面
25 第2のリンクの第2終端座部、又は第2リンク終端座部
26 第2先端リンクの第2の根元部の第2貫通孔、又は第2先端リンクの根元部孔
26.1 第2の根元部の第2孔の孔縁部
28 ねじ止め壁
28.1 ねじ止め壁凹部
29 第2先端リンクの第2の根元部のカットチャネル
30 ブレードリンク又はブレード
31 ブレードリンクの第3の近位取り付け根元部、又はブレードリンク根元部
32 先端ブレードリンク端部
33 横ブレードリンクブリッジ
34 ブレードリンク切縁
35 ブレードリンクの軸方向内側に面するブレード表面
36 ブレードリンクの第3の根元部の第3貫通孔、又はブレードリンクの根元部孔
36.1 第3の根元部の第3孔の孔縁部
37 第3のブレードリンクのドラッグイヤー
37.1 ブレードリンクの閉鎖抗力対向面
37.2 ブレードリンクの開放抗力対向面
38 ブレードリンクの第3の根元部の孔縁部の円弧面
39 ブレードリンクの第3の根元部のカットチャネル
40 対向ブレードリンク
41 対向ブレードリンクの第4の近位取り付け根元部、又は対向ブレードリンクの第4の根元部
42 遠位対向ブレードリンク端部
43 対向ブレードリンクの貫通孔、又は対向ブレードリンクの第4の根元部の第4孔
43.1 対向ブレードリンク根元部の貫通孔の孔縁部
44 対向ブレード切縁
45 対向ブレードリンクの軸方向凹部
46 対向ブレードリンク支持面
47 第2先端リンクの抗力座部
47.0 対向ブレードリンクのドラッグイヤー
47.1 対向ブレードリンクの閉鎖抗力対向面
47.2 対向ブレードリンクの開放抗力対向面
48 軸方向内側に面する第2先端リンク面
49 対向ブレードリンクのカットチャネル
50 マスター制御デバイス
51 第1先端リンクの第1の根元部の第1内部接触面、又は第1先端リンクの根元部の内部接触面
52 第1先端リンクの第1の根元部の第1外部接触面、又は第1先端リンクの根元部の外部接触面
53 支持リンクの第1突起の第1内部接触面、又は支持リンクの第1突起の内部接触面
54 支持リンクの第2突起の第2内部接触面、又は支持リンクの第2突起の内部接触面
55 第2先端リンクの第2の根元部の第2外部接触面、又は第2先端リンクの根元部の外部接触面
56 第2先端リンクの第2の根元部の第2内部接触面、又は第2先端リンクの根元部の内部接触面
57 対向ブレードに面するブレードリンクの第3の根元部の接触面、又はブレードリンクの第3の根元部の第2接触面
58 ブレードリンクの第3の根元部の第1接触面
59 対向ブレードリンクの第4の根元部の接触面
60 シャフトに接続するためのエンドエフェクタリンク、又は接続リンク
60.1 接続リンクの第1突起
60.2 接続リンクの第2突起
61 外科用器具の後端部分、又は近位インタフェース部
62 近位シャフト端
63 ロボットマニピュレータ
64 シャフト固定装置
66 ブレードに面する対向ブレードリンクの第4の根元部の接触面
67 支持リンクの第3終端座部
68 マスターコンソール
69 ロボットシステムの支持部、又はカート、又はタワー
70 ロボットシステムの関節式位置決めアーム
71 第1先端リンクの開放作動テンドン
72 第1先端リンクの閉鎖作動テンドン
73 第2先端リンクの開放作動テンドン
74 第2先端リンクの閉鎖作動テンドン
75 支持リンクの作動テンドン
76 支持リンクの作動対向テンドン
77 第1先端リンクの第1終端座部のカンチレバドラッグレッグ
78 第2先端リンクの第2終端座部のカンチレバドラッグレッグ
79 第1先端リンクの線織ドプーリ面
80 第2先端リンクの線織プーリ面
81 第1の根元部と第1把持面との間の第1先端リンク接続部
82 第1の根元部と第1把持面との間の第2先端リンク接続部
70 テンドン終端
84 支持リンクの凸状線織面
85 接続リンクの凸状線織面
86 支持リンクの対向する凸状線織面
87 接続リンクの対向する凸状線織摺動面
101 ロボット手術システム
165 突起孔
502 切断ジョイントの回転ジョイント、又は遠位回転ジョイント
509 近位回転ジョイント
X-X 長手方向シャフト軸
Y-Y 共通回転軸、又は共通の遠位回転軸又は共通のヨー回転軸
P-P 共通の近位回転軸、又は共通のピッチ回転軸
Y ヨー自由度
P ピッチ自由度
G 開/閉方向、把持自由度
R ロール自由度
POC ブレードと対向ブレードとの間の少なくとも1つの接触点
D1 第1先端リンクの裏側
P1 第1先端リンクの把持側
D2 第2先端リンクの裏側
P2 第2先端リンクの把持側
【国際調査報告】