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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】微多孔性断熱付きヒーター組立品
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/46 20200101AFI20240614BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20240614BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578729
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022066985
(87)【国際公開番号】W WO2023274803
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182040.2
(32)【優先日】2021-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ベサント ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】イム ジュン ウェイ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB12
4B162AB14
4B162AC10
4B162AC22
4B162AD23
(57)【要約】
本発明は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備える。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されている。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いてさらに配設されている。ヒーターケーシングは、気密空間をさらに含む。気密空間は、微多孔性断熱材料を含む。本発明は、ヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置にさらに関し、かつエアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
前記加熱チャンバーの周りに配設されたヒーターケーシングであって、前記ヒーターケーシングが、前記加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されていて、前記ヒーターケーシングが、気密空間を含み、前記気密空間が、微多孔性断熱材料を含む、ヒーターケーシングと、を備える、ヒーター組立品。
【請求項2】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングを接続する第一の接続壁と、前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングを接続する第二の接続壁と、をさらに備え、前記気密空間が、前記加熱チャンバーと、前記ヒーターケーシングと、前記第一および第二の接続壁との間に画定される、請求項1に記載のヒーター組立品。
【請求項3】
前記気密空間が、前記微多孔性断熱材料で少なくとも部分的に充填され、好ましくは前記気密空間が、前記微多孔性断熱材料で部分的にのみ充填される、請求項1または2のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項4】
前記気密空間が、少なくとも一つのエアギャップを含む、請求項1~3のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項5】
前記微多孔性断熱材料が、二つのエアギャップの間に半径方向に挟まれている、請求項4に記載のヒーター組立品。
【請求項6】
前記微多孔性断熱材料が、少なくとも一つの第一の接続要素を含む少なくとも一つの第一の断熱要素、および少なくとも一つの第二の接続要素を含む第二の断熱要素から形成され、前記第一および第二の接続要素が、合致する接続要素として構成されている、請求項1~5のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項7】
前記第一および第二の接続要素が、雄接続要素および雌接続要素、形態嵌合接続要素、スナップ嵌合接続要素、またはバヨネット接続要素として構成されている、請求項6に記載のヒーター組立品。
【請求項8】
前記微多孔性断熱材料が、細長い延長部を有し、前記微多孔性断熱材料が、前記加熱チャンバーの長軸方向軸に平行に延びることが好ましい、請求項1~7のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項9】
前記加熱チャンバーと前記ヒーターケーシングとの間の距離が、1.5ミリメートル~7ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~4ミリメートル、好ましくは約3.1ミリメートルである、請求項1~8のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項10】
発熱体をさらに備え、前記発熱体が、少なくとも部分的に前記加熱チャンバーの周りに配設されることが好ましく、前記微多孔性断熱材料が、前記発熱体の前記長軸方向の延長部と同じか、またはこれより大きな長軸方向の延長部を有することが好ましい、請求項1~9のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項11】
前記微多孔性断熱材料が、摂氏280度の温度において0.05W/m・K未満、好ましくは0.04W/m・K未満、より好ましくは0.03W/m・K未満の熱伝導率を有する、請求項1~10のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項12】
前記微多孔性断熱材料の前記熱伝導率が、摂氏20度における前記微多孔性断熱材料の前記熱伝導率と比較して、摂氏280度の温度において最大40パーセント、好ましくは最大30パーセント、より好ましくは最大20パーセント増大する、請求項1~11のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項13】
前記微多孔性断熱材料が、100ナノメートル未満、好ましくは70ナノメートル未満、より好ましくは50ナノメートル未満、より好ましくは20ナノメートル未満、より好ましくは2ナノメートル未満の細孔サイズを有する、請求項1~12のいずれかに記載のヒーター組立品。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
【請求項15】
請求項14に記載のエアロゾル発生装置と、前記加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に受容されるように構成されたエアロゾル形成基体と、を備えるエアロゾル発生システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品に関する。本開示は、エアロゾル発生装置にさらに関する。本開示は、エアロゾル発生装置とエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。
【背景技術】
【0002】
吸入可能なベイパーを発生するためのエアロゾル発生装置を提供することが知られている。こうした装置は、エアロゾル発生物品中に含有されたエアロゾル形成基体を燃焼することなく加熱してもよい。エアロゾル発生物品は、エアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中にエアロゾル発生物品を挿入するためにロッド形状を有してもよい。発熱体は典型的に、エアロゾル発生物品がエアロゾル発生装置の加熱チャンバーの中に挿入された後に、エアロゾル形成基体を加熱するために、加熱チャンバーの中に、またはその周りに配設されている。
【0003】
発熱体によって生成された熱は、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、環境に、またはエアロゾル発生システムの他の構成要素に放散される場合がある。熱は、自由空気対流によって加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、放射によって加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、エアロゾル発生装置の構成要素を介した熱伝導によって、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。熱は、例えばエアロゾル形成基体を介して、エアロゾル発生物品の構成要素を介した熱伝導によって、加熱チャンバーから不注意に放散される場合がある。加熱チャンバーからの熱放散は、加熱されることが意図されていない装置の構成要素の加熱を引き起こす場合がある。例えば、ユーザーが掴む装置のハウジングが、不快なほど高温になる場合がある。加熱チャンバーからの熱放散は、加熱チャンバー内の熱損失を引き起こす場合がある。加熱チャンバー内の熱損失は、より低効率の加熱をもたらす場合がある。加熱チャンバーを所望の温度に加熱するために、過剰な量のエネルギーが必要になる場合がある。
【0004】
加熱チャンバーからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。エアロゾル発生装置の他の構成要素に対して加熱チャンバーを断熱することが望ましいであろう。ユーザーが掴む装置の外側ハウジングの加熱を低減しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。有効な断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。低い製造コストで断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。軽量の断熱を提供しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。改善された断熱を有しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。低減されたヒーターケーシングの外径を有しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。よりコンパクトな装置寸法を有しうるエアロゾル発生装置を有することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備えてもよい。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングを備えてもよい。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されてもよい。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されてもよい。ヒーターケーシングは、気密空間を含んでもよい。気密空間は、微多孔性断熱材料を含みうる。
【0006】
本発明の一実施形態によると、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供されている。ヒーター組立品は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーを備える。ヒーター組立品は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに配設されている。ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いてさらに配設されている。ヒーターケーシングは、気密空間をさらに含む。気密空間は、微多孔性断熱材料を含む。
【0007】
加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、ヒーターケーシングの内部と外部空気との間の空気循環に起因する熱損失が低減または回避されうる。また、加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、気密空間内の空気対流に起因する熱損失も低減または回避されうる。加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することは、放射熱伝達を低減しうる。有利なことに、加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、ヒーターケーシングの外表面に対する加熱チャンバーの断熱が改善されうる。加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、加熱チャンバーからの熱損失を低減しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、ユーザーが掴む装置の外側ハウジングの加熱を低減しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。加熱チャンバーの周りに微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、有効な断熱を提供しうるエアロゾル発生装置用ヒーター組立品が提供される。微多孔性断熱材料を含む気密空間を提供することにより、気密中空空間と比較して、エアロゾル発生装置の動作温度において改善された断熱が提供されうる。
【0008】
「動作温度」は、エアロゾル発生装置のタイプおよび使用されるエアロゾル形成基体に依存する。エアロゾル発生装置の動作温度は、摂氏150~300度の範囲であってもよい。エアロゾル発生装置の動作温度は、摂氏200~230度の範囲であってもよい。エアロゾル発生装置の動作温度は、摂氏280度を超えない場合がある。
【0009】
気密中空空間は、断熱材料として空気を含んでもよい。しかしながら、温度が上昇するのに伴い空気の熱伝導率は増大する。微多孔性断熱材料は、小さな空洞または細孔を含む。これらの空洞内に空気または他の気体状組成物が封入されるため、空気と比較して、温度が上昇するのに伴う微多孔性断熱材料の熱伝導率は低い。微多孔性断熱材料は、室温における熱伝導率と比較して、エアロゾル発生装置の動作温度においてその熱伝導率をほぼ維持しうる。微多孔性断熱材料の低い熱伝導率は、より良好な断熱をもたらす。
【0010】
より良好な断熱に起因して、微多孔性断熱材料を含むヒーターケーシングは、低減された外径を有しうる。微多孔性断熱材料を含む気密空間を有するヒーターケーシングを提供することにより、よりコンパクトな装置寸法を有しうるエアロゾル発生装置がもたらされうる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「上流」および「下流」という用語は、その使用中にエアロゾル発生装置を通って空気が流れる方向に対する、エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分の相対的な位置を説明するために使用される。本発明によるエアロゾル発生装置は、使用時にエアロゾルが通って装置を出る近位端を備える。エアロゾル発生装置の近位端はまた、口側端または下流端と呼ばれてもよい。口側端は遠位端の下流である。エアロゾル発生物品の遠位端はまた、上流端と呼ばれてもよい。エアロゾル発生装置の構成要素または構成要素の部分は、エアロゾル発生装置の気流経路に対するこれらの相対的な位置に基づいて、互いの上流または下流にあるものとして説明されてもよい。
【0012】
本発明によるヒーター組立品の近位端は、エアロゾル発生装置内で装置の口側端または下流端に向かう方向に配設されるように構成されている。本発明によるヒーター組立品の遠位端は、エアロゾル発生装置内で装置の遠位端または上流端に向かう方向に配設されるように構成されている。加熱チャンバーの長軸方向軸は、加熱チャンバーの近位端と加熱チャンバーの遠位端との間に延びてもよい。加熱チャンバーの長軸方向軸は、ヒーター組立品の近位端とヒーター組立品の遠位端との間に延びてもよい。
【0013】
加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体を少なくとも部分的に受容するために構成されてもよい。加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体が中に挿入されうる空洞を備えてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。空洞は、空洞の中に受容されるエアロゾル発生物品の形状に対応する形状を有してもよい。空洞は円形断面を有してもよい。空洞は楕円形または長方形の断面を有してもよい。空洞は、エアロゾル発生物品の外径に対応する内径を有してもよい。
【0014】
加熱チャンバーは、エアロゾル形成基体を受容するために、加熱チャンバーの近位端に開口部を備えてもよい。開口部はまた、空気出口の役割を果たしてもよい。加熱チャンバーは、加熱チャンバーの遠位端に空気吸込み口を備えてもよい。
【0015】
加熱チャンバーは細長い形状を有してもよい。加熱チャンバーは中空管であってもよい。中空管は、加熱チャンバーの壁から形成されてもよい。加熱チャンバーの壁は、金属もしくは合金を含んでもよく、または金属もしくは合金で作製されてもよい。加熱チャンバーの壁は、ステンレス鋼を含んでもよく、またはステンレス鋼で作製されてもよい。
【0016】
ヒーターケーシングは、加熱チャンバーから半径方向に距離dだけ間隔を置いて配設されてもよい。距離dは、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。加熱チャンバーは、加熱チャンバーの壁を備えてもよい。ヒーターケーシングは、ヒーターケーシングの壁を備えてもよい。距離dは、加熱チャンバーの壁とヒーターケーシングの壁との間で半径方向で測定されてもよい。距離dは、加熱チャンバーの壁の外側とヒーターケーシングの壁の内側との間で半径方向で測定されてもよい。
【0017】
加熱チャンバーとヒーターケーシングとの間の距離dは、1.5ミリメートル~7ミリメートルであってもよい。加熱チャンバーとヒーターケーシングとの間の距離は、2ミリメートル~4ミリメートル、好ましくは約3.1ミリメートルであってもよい。
【0018】
ヒーターケーシングは、加熱チャンバーの周りに同軸に整列してもよい。加熱チャンバーおよびヒーターケーシングは、合致する形状を有してもよい。合致する形状は、ヒーターケーシングと加熱チャンバーの間に一定の半径方向距離dを提供することを可能にしてもよい。
【0019】
ヒーターケーシングの壁は、距離dがほぼ一定でありうるように、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状と一致してもよい。例えば、加熱チャンバーは中空管であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、加熱チャンバーの周りに同軸に整列している円筒壁であってもよい。距離dは、加熱チャンバーの中空管の外径とヒーターケーシングの円筒壁の内径との間で半径方向で測定されてもよい。例えば、加熱チャンバーは、中空の切断された円錐であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、同軸に整列した円錐壁であってもよい。当業者であれば、他のタイプの一致する形状が可能であると理解するであろう。例えば、合致する形状は、湾曲もしくは波状であってもよく、または加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って異なる形状の組み合わせを含んでもよい。
【0020】
加熱チャンバーおよびヒーターケーシングは、逸脱する形状を有してもよい。ヒーターケーシングの壁の形状は、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状から、ある程度逸脱してもよい。ヒーターケーシングの壁の形状は、距離dが加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って1ミリメートルを超えて変動しないように、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って加熱チャンバーの壁の形状から逸脱してもよい。例えば、加熱チャンバーは直円錐状の中空筒であってもよく、ヒーターケーシングの壁は、加熱チャンバーの周りに同軸に整列しているわずかに円錐状の中空円筒であってもよい。ヒーターケーシングの壁の円錐形状に起因して、距離dは、加熱チャンバーの長軸方向軸に沿って1ミリメートル以下だけ変動してもよい。
【0021】
ヒーターケーシングの外径は、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。ヒーターケーシングの外径は、8ミリメートル~20ミリメートル、好ましくは14ミリメートル~18ミリメートル、好ましくは約16ミリメートルであってもよい。
【0022】
加熱チャンバーの外径は、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定されてもよい。ヒーターケーシングの外径と加熱チャンバーの外径との比は、1.3~3.5、好ましくは1.5~2.5、より好ましくは約2.0であってもよい。特に、一実施形態において、加熱チャンバーの外径は、約5.6ミリメートルであってもよく、ヒーターケーシングの外径は、約17ミリメートルであってもよく、結果として約3.0の比がもたらされる。一実施形態では、加熱チャンバーの外径は、約5.6ミリメートルであってもよく、ヒーターケーシングの外径は、約16.5ミリメートルであってもよく、結果として約2.95の比がもたらされる。一実施形態では、加熱チャンバーの外径は、約7.6ミリメートルであってもよく、ヒーターケーシングの外径は、約16.5ミリメートルであってもよく、結果として約2.17の比がもたらされる。
【0023】
気密空間は、外部空気から気密封止されている。言い換えれば、気密空間の内部は、外部空気と流体接続していない。それによって、気密空間とヒーター組立品外部の空気との間の気体の循環に起因する熱損失が回避されうる。
【0024】
気密空間は、周囲圧力にあってもよい。気密空間内の気体圧力は、0.9バール~1.1バール、好ましくは約1.0バールであってもよい。気密空間は、摂氏約20度で、ほぼ周囲圧力にて気体状組成物で充填されてもよい。当業者に公知の通り、気密空間内の気体圧力の温度依存性の変動が生じる場合がある。周囲圧力で気密空間を提供することは、真空下で真空気密空間を製造するよりも費用がかからない場合がある。真空ベースの断熱は、製造するのに、より費用がかかる場合がある。
【0025】
1.5ミリメートル~7ミリメートルの距離dを有する気密中空空間は、熱損失を十分に低減することが見出された。こうした距離dを提供する場合、気密空間内に封入された空気または他の気体状組成物は、静止空気と見なされてもよい。静止空気、または非移動空気はさらに、気密空間内の空気対流を低減する。気密空間内の空気対流に起因する熱損失は、低減されうる。
【0026】
空気の熱伝導率は、温度が上昇するのに伴い増大する。摂氏25度における空気の熱伝導率は、約0.0262W/m・Kである。摂氏280度の動作温度において、空気の熱伝導率は、既に約0.043W/m・Kである。したがって、気密中空空間内で空気のみを断熱材料として使用するには、十分な断熱を提供するために比較的大きな厚さのエアギャップが必要である。
【0027】
微多孔性断熱材料は、室温における空気よりも低い熱伝導率を有しうる。高温では、空気の熱伝導率と微多孔性断熱材料の熱伝導率との差は、さらに大きくなりうる。微多孔性断熱材料の熱伝導率は、空気の熱伝導率ほど急速には増大しない場合がある。微多孔性断熱材料は、高温においてもその熱伝導率をほぼ維持しうる。例えば、微多孔性断熱材料は、摂氏20度で0.018W/m・Kの熱伝導率を有しうる。摂氏200度において、熱伝導率は0.022W/m・Kである。摂氏400度の温度において、熱伝導率はASTM C177に従って0.028W/m・Kまで増大する。この例示的な微多孔性断熱材料の熱伝導率は、室温における空気とほぼ同じエアロゾル発生装置の最大動作温度よりもさらに高温である。熱伝導率が低いほど、より良好な断熱がもたらされる。
【0028】
低い熱伝導率を有する断熱材料を含む気密空間は、より小さな厚さを有する一方で、依然として十分な断熱を提供しうる。空気のみを含む気密中空空間の代わりに微多孔性断熱材料を含む気密空間は、より小さな距離dを有しうる。距離dが小さいほど、より小さなエアロゾル発生装置の外径がもたらされうる。
【0029】
本発明に適した微多孔性断熱材料は、100ナノメートル未満、好ましくは70ナノメートル未満、より好ましくは50ナノメートル未満、より好ましくは20ナノメートル未満、より好ましくは2ナノメートル未満の細孔直径を有してもよい。
【0030】
微多孔性断熱材料は、無機であってもよい。微多孔性断熱材料は、セラミックであってもよい。微多孔性断熱材料は、シリカ(SiO2)を含んでもよい。微多孔性断熱材料は、焼成シリカを含んでもよい。微多孔性断熱材料は、乳白剤および繊維のような他の構成要素を含んでもよい。乳白剤は赤外線を散乱させ、それによって赤外線の透過を減少させうる。
【0031】
本開示の微多孔性断熱材料は、500kg/m3未満、好ましくは400kg/m3未満、より好ましくは300kg/m3未満の公称密度を有してもよい。
【0032】
本発明の微多孔性断熱材料は、摂氏20度において、ASTM C177に従い0.05W/m・K未満、好ましくは0.04W/m・K未満、より好ましくは0.03W/m・K未満、より好ましくは0.02W/mK未満の熱伝導率を有してもよい。微多孔性断熱材料は、摂氏280度の温度において、ASTM C177に従い0.05W/m・K未満、好ましくは0.04W/m・K未満、より好ましくは0.03W/m・K未満の熱伝導率を有してもよい。微多孔性断熱材料の熱伝導率は、摂氏20度における微多孔性断熱材料の熱伝導率と比較して、摂氏280度の温度において、最大40パーセント、好ましくは最大30パーセント、より好ましくは最大20パーセント増大しうる。
【0033】
エアロゾル発生装置の動作温度において、微多孔性断熱材料を含む気密空間は、代わりに周囲空気を含む同じ気密中空空間よりも低い熱伝導率を有しうる。
【0034】
気密空間は、微多孔性断熱材料で完全に充填されてもよい。
【0035】
別の方法として、気密空間は、微多孔性断熱材料で完全に充填されない場合がある。気密空間を微多孔性断熱材料で完全に充填しないことによって、エアロゾル発生装置の重量が低減しうる。しかしながら、気密空間は、微多孔性断熱材料で少なくとも部分的に充填されてもよい。気密空間は、さらに気体状組成物で少なくとも部分的に充填されてもよい。気体状組成物は、周囲圧力にあってもよい。気体状組成物は、空気であってもよい。気体状組成物は、窒素、アルゴン、二酸化炭素、酸素、クリプトン、六フッ化硫黄もしくはそれらの混合物、または他の好適な気体状組成物のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0036】
気密空間に気体状組成物を追加的に提供することにより、エアロゾル発生装置の重量が低減しうる。気密空間に気体状組成物を提供することにより、製造コストが低減しうる。
【0037】
微多孔性断熱材料で充填された気密空間の体積は、30体積パーセント、40体積パーセント、50体積パーセント、60体積パーセント、70体積パーセント、80体積パーセント、または90体積パーセントであってもよい。微多孔性断熱材料と気体状組成物との比は、エアロゾル発生装置の動作温度に依存しうる。高い動作温度を有するエアロゾル発生装置は、より多くの微多孔性断熱材料を必要としうる。
【0038】
気密空間は、少なくとも一つのエアギャップを含んでもよい。気体状組成物は、エアギャップ内に提供されてもよい。
【0039】
気密空間は、一つのエアギャップを含んでもよい。気密空間は、二つのエアギャップを含んでもよい。気密空間は、三つのエアギャップを含んでもよい。微多孔性断熱材料は、二つのエアギャップの間に半径方向に挟まれてもよい。
【0040】
エアギャップは、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向で測定される厚さを有してもよい。エアギャップの厚さは、0.5ミリメートル~4ミリメートル、好ましくは1ミリメートル~3ミリメートル、より好ましくは約2ミリメートルであってもよい。
【0041】
一つ以上のエアギャップは、微多孔性断熱材料内にあってもよい。一つ以上のエアギャップは、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行な方向に延びてもよい。一つ以上のエアギャップは、微多孔性断熱材料の長軸方向の延長部と同じか、またはこれより短い長軸方向の延長部を有してもよい。一つ以上のエアギャップは、円形断面を有してもよい。別の方法として、一つ以上のエアギャップは、微多孔性断熱材料の全周の周りに延びなくてもよい。一つ以上のエアギャップは、微多孔性断熱材料によって完全に囲まれてもよい。一つ以上のエアギャップは、以下でより詳細に説明するように、第一および第二の接続壁と直接接触していてもよい。一つ以上のエアギャップは、加熱チャンバーと直接接触していてもよい。一つ以上のエアギャップは、ヒーターケーシングと直接接触していてもよい。
【0042】
気密空間内にエアギャップを提供することにより、エアロゾル発生装置の重量が低減しうる。気密空間内にエアギャップを提供することにより、製造コストが低減されうる。
【0043】
微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーと直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、エアギャップによって囲まれてもよい。加熱チャンバーの周りの温度は、加熱チャンバーの長軸方向軸からの距離が増大するにつれて半径方向に低下しうる。微多孔性断熱材料は、例えば、空気よりも高温においてより良好な断熱を提供しうる。微多孔性断熱材料が、エアギャップによって囲まれた加熱チャンバーと直接接触している組立品は、逆に配設される組立品よりも改善された断熱を有しうる。
【0044】
ヒーター組立品は、加熱チャンバーとヒーターケーシングを接続する第一の接続壁と、加熱チャンバーとヒーターケーシングを接続する第二の接続壁とをさらに備えてもよい。気密空間は、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定されてもよい。気密空間は、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁によって制限されうる。第一および第二の接続壁は、気密空間の簡単な組み立てを提供しうる。第一および第二の接続壁は、気密空間の単純な製造を提供しうる。第一および第二の接続壁を提供することにより、加熱チャンバーからのヒーターケーシングの画定された距離dが確保されうる。第一および第二の接続壁を提供することにより、微多孔性断熱材料の正確な配置が確保されうる。第一および第二の接続壁は、微多孔性断熱材料と接触していてもよく、それによって微多孔性断熱材料の近位端および遠位端上の空気対流による熱損失が防止される。
【0045】
第一および第二の接続壁のそれぞれは、加熱チャンバーの壁とヒーターケーシングの壁との間に延びてもよい。第一および第二の接続壁は、ヒーターケーシングを加熱チャンバーの外壁と密封的に接続してもよい。接続壁は、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されてもよい。第一の接続壁は、近位接続壁であってもよい。第二の接続壁は、遠位接続壁であってもよい。
【0046】
微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーと直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、ヒーターケーシングと直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、第一および第二の接続壁と直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーおよびヒーターケーシングと直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、加熱チャンバー、ヒーターケーシング、および第一および第二の接続壁と直接接触していてもよい。微多孔性断熱材料は、第一の接続壁と第二の接続壁との間に取り付けられてもよい。微多孔性断熱材料は、第一の接続壁と第二の接続壁との間の距離にわたって配設されてもよい。微多孔性断熱材料は、第一の接続壁と第二の接続壁との間に取り付けられる一方で、ヒーターケーシングおよび加熱チャンバーのうちの一方または両方と接触していなくてもよい。
【0047】
微多孔性断熱材料は、細長い延長部を有してもよい。微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーの長軸方向軸に平行に延びてもよい。微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーの周りに延びる中空管であってもよい。
【0048】
微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーの長軸方向軸に直交する方向に測定された厚さを有してもよい。微多孔性断熱材料は、距離dと同じ厚さを有してもよい。微多孔性断熱材料の厚さは、1ミリメートル~7ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~6ミリメートル、より好ましくは3ミリメートル~5ミリメートルであってもよい。
【0049】
微多孔性断熱材料は、単一の要素から形成されてもよい。別の方法として、微多孔性断熱材料は、少なくとも二つの断熱要素から形成されてもよい。微多孔性断熱材料は、二つの断熱要素から形成されてもよい。微多孔性断熱材料は、少なくとも第一の接続要素を含む少なくとも第一の断熱要素と、少なくとも第二の接続要素を含む第二の断熱要素とから形成されてもよい。第一および第二の接続要素は、合致する接続要素として構成されてもよい。接続されると、合致する接続要素により、第一および第二の微多孔性断熱要素の接続が可能になりうる。接続された第一および第二の接続要素は、中空管を形成する全体的な断熱材料をもたらしうる。中空管は、加熱チャンバーの外径に対応する内径を有してもよい。二つの断熱要素から微多孔性断熱材料を提供することは、加熱チャンバーの周りの微多孔性断熱材料の簡単な組み立てを提供しうる。二つの断熱要素から微多孔性断熱材料を形成することによって、微多孔性断熱材料と加熱チャンバーとの完全な形態嵌合が提供されうる。微多孔性断熱材料と加熱チャンバーとの完全な形態嵌合を提供することにより、より良好な断熱が確保されうる。
【0050】
第一および第二の接続要素は、雄接続要素および雌接続要素として、形態嵌合接続要素として、スナップ嵌合接続要素として、バヨネット接続要素もしくはそれらの組み合わせ、または当業者に公知の他の一般的に使用される接続要素として構成されてもよい。第一の接続要素は雄接続要素を含んでもよく、第二の接続要素は雌接続要素を含んでもよい。第一の接続要素および第二の接続要素は、形態嵌合接続要素を含みうる。第一の接続要素および第二の接続要素は、スナップ嵌合接続要素を含みうる。第一の接続要素および第二の接続要素は、バヨネット接続要素を含みうる。
【0051】
微多孔性断熱材料は、二部品組立品として構成されてもよい。二部品組立品は、第一および第二の断熱要素を含みうる。第一および第二の断熱要素は、例えば中空の半円筒要素の形態であってもよい。中空の半円筒要素は、合致する第一および第二の接続要素を含んでもよい。接続されると、中空の半円筒要素は単一の中空管を形成しうる。中空管の内径は、加熱チャンバーの外径と同じサイズを有してもよい。それによって、簡便な組み立てが確保されうる。その一方で、加熱チャンバーの外径と同じ内径を有する一つの要素として形成された微多孔性断熱材料は、摩擦に起因して加熱チャンバーの周りに組み立てることがより困難である場合がある。微多孔性断熱材料と加熱チャンバーとの近接または直接接触は、加熱チャンバーの断熱を改善しうる。
【0052】
加熱チャンバーは、温度センサーを含んでもよい。温度センサーは、加熱チャンバーの上部上にあってもよい。微多孔性断熱材料は、温度センサーと合致する形状を有してもよい。微多孔性断熱材料は、温度センサーに面する空洞を有してもよい。微多孔性断熱材料は、加熱チャンバーの周りに完全に閉じられてもよい。温度センサーは、微多孔性断熱材料によって囲まれてもよい。温度センサーは、加熱チャンバーと微多孔性断熱材料との間に挟まれてもよい。
【0053】
ヒーター組立品は、発熱体をさらに備えてもよい。加熱チャンバーは、発熱体を含んでもよい。
【0054】
発熱体は、少なくとも部分的に加熱チャンバーの周りに配設されてもよい。発熱体は、少なくとも部分的に加熱チャンバーの壁の周りに配設されてもよい。発熱体は、加熱チャンバーの壁の外側周辺部を完全に同軸に囲むように配設されていることが好ましい。発熱体は、加熱チャンバーの長軸方向軸の少なくとも一部に沿って配設されてもよい。
【0055】
発熱体は、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電性トラックを備えてもよい。一つ以上の導電性トラックは、抵抗加熱トラックであってもよい。一つ以上の導電性トラックは、誘導加熱されるサセプタとして構成されてもよい。電気的に絶縁された基体は可撓性基体であってもよい。
【0056】
発熱体は可撓性であってもよく、加熱チャンバーの周りに巻かれてもよい。発熱体は、加熱チャンバーとヒーターケーシングの間に配設されてもよい。
【0057】
微多孔性断熱材料は、発熱体の長軸方向の延長部と同じか、またはこれより大きな長軸方向の延長部を有してもよい。それによって、発熱体によって発生した熱の適切な断熱が確保されうる。
【0058】
微多孔性断熱材料は、発熱体の周りに延びてもよい。微多孔性断熱材料は、発熱体と直接接触していてもよい。
【0059】
本開示のすべての態様において、発熱体は電気抵抗性材料を含んでもよい。適切な電気抵抗性材料としては、ドープされたセラミックなどの半導体、「導電性」のセラミック(例えば、二ケイ化モリブデンなど)、炭素、黒鉛、金属、合金、およびセラミック材料と金属材料とで作製された複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。こうした複合材料は、ドープされたセラミックまたはドープされていないセラミックを含んでもよい。
【0060】
記載の通り、本開示の態様のいずれにおいても、発熱体はエアロゾル発生装置用ヒーター組立品の加熱チャンバーの一部であってもよい。ヒーター組立品は、内部発熱体、または外部発熱体、または内部発熱体と外部発熱体の両方を備えてもよく、ここで「内部」および「外部」は、エアロゾル形成基体に関して言及する。内部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、内部発熱体は加熱ブレードの形態を取ってもよい。別の方法として、内部ヒーターは、異なる導電性部分または電気抵抗性の金属管を有するケーシングまたは基体の形態を取ってもよい。別の方法として、内部発熱体は、エアロゾル形成基体の中心を通り抜ける一つ以上の加熱針またはロッドであってもよい。他の代替としては、加熱ワイヤまたはフィラメント、例えばNi-Cr(ニッケルクロム)、白金、タングステン、または合金ワイヤもしくは加熱プレートが挙げられる。随意に、内部発熱体は剛直な担体材料の中またはこの材料上に配置されてもよい。一つのこうした実施形態において、電気抵抗性のある発熱体は、温度と比抵抗の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は、セラミック材料などの適切な断熱材料上にトラックとして形成され、その後ガラスなどの別の断熱材料中に挟まれてもよい。この様態で形成されたヒーターは動作中に、発熱体の加熱と、その温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0061】
外部発熱体は任意の適切な形態を取ってもよい。例えば、外部発熱体は、ポリイミドなどの誘電性基板上の一つ以上の可撓性の加熱箔の形態を取ってもよい。可撓性加熱箔は、基体受容空洞の周辺部に適合する形状されることができる。別の方法として、外部発熱体は、金属のグリッド(複数可)、可撓性プリント基板、成形回路部品(MID)、セラミックヒーター、可撓性炭素繊維ヒーターの形態を取ってもよく、または適切な形状の基体上にプラズマ蒸着などの被覆技法を使用して形成されてもよい。外部発熱体はまた、温度と比抵抗の間の明確な関係を有する金属を使用して形成されてもよい。こうした例示的な装置において、金属は適切な断熱材料の二つの層の間のトラックとして形成されてもよい。この様態で形成された外部発熱体は動作中に、外部発熱体の加熱と、外部発熱体の温度のモニターの両方に使用されてもよい。
【0062】
発熱体は有利なことに、熱伝導によってエアロゾル形成基体を加熱する。発熱体は基体と少なくとも部分的に接触、または基体が堆積されている担体と少なくとも部分的に接触してもよい。別の方法として、内部発熱体または外部発熱体のいずれかからの熱は、熱伝導性要素によって基体に伝導されてもよい。
【0063】
動作中、エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生装置内に完全に包含されてもよい。その場合、ユーザーはエアロゾル発生装置のマウスピースを吸煙してもよい。別の方法として、動作中、エアロゾル形成基体を含有する喫煙物品は、エアロゾル発生装置内に部分的に包含されてもよい。その場合、ユーザーは喫煙物品を直接吸煙してもよい。
【0064】
発熱体は、誘導発熱体として構成されてもよい。誘導発熱体は、誘導コイルおよびサセプタを備えてもよい。概して、サセプタは、交番磁場によって貫通された時に熱を発生する能力を有する材料である。本発明によると、サセプタは導電性、または磁性、または導電性と磁性の両方であってもよい。一つまたは幾つかの誘導コイルによって発生された交番磁場は、サセプタを加熱し、これはその後、エアロゾルが形成されるように、熱をエアロゾル形成基体に伝達する。熱伝達は主に、熱の伝導によってもよい。こうした熱伝達は、サセプタがエアロゾル形成基体と密接な熱的接触状態にある場合に、最も良好である。誘導発熱体が採用される場合、誘導発熱体は、本明細書に記載の通りの内部発熱体として、または本明細書に記載の通りの外部ヒーターとして構成されてもよい。誘導発熱体が内部発熱体として構成されている場合、サセプタ素子は、エアロゾル発生物品を貫通するためのピンまたはブレードとして構成されていることが好ましい。誘導発熱体が外部発熱体として構成されている場合、サセプタ素子は、空洞を少なくとも部分的に囲むか、または空洞の側壁を形成する円筒状サセプタとして構成されていることが好ましい。
【0065】
加熱チャンバーは、発熱体を備える中央領域を備えてもよい。中央領域という用語は、長軸方向を指す。加熱チャンバーは、近位領域および遠位領域をさらに備えてもよい。近位領域および遠位領域は、長軸方向に発熱体から間隔を置いていてもよい。使用中、近位領域および遠位領域は、加熱チャンバーの中央領域よりも冷たくてもよい。第一の接続壁は、近位領域内で加熱チャンバーに接触してもよく、第二の接続壁は、遠位領域内で加熱チャンバーに接触してもよい。それ故に、第一および第二の接続壁は、使用中に加熱チャンバーの最も冷たい点で加熱チャンバーに接触してもよい。それによって、加熱チャンバーから接続壁およびヒーターケーシングへの熱損失がさらに低減されてもよい。断熱は、さらに改善されてもよい。
【0066】
加熱チャンバーの壁は、ステンレス鋼で作製されてもよい。これは、使用中に近位領域および遠位領域が、加熱チャンバーの中央領域よりも冷たい場合があるという効果を有利に高める場合がある。
【0067】
ヒーターケーシングの壁の厚さは、約2ミリメートル未満であってもよい。ヒーターケーシングの壁の厚さは、1.2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルであってもよい。第一の接続壁と第二の接続壁のうちの一方または両方の厚さは、1.2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルであってもよい。こうした薄い壁を有すると、ヒーターケーシングの熱質量が最小化される場合がある。これは、加熱チャンバーからの熱損失をさらに低減する場合がある。
【0068】
ヒーターケーシングの壁と第一および第二の接続壁とのうちの一つ以上は、低熱伝導率材料で作製されてもよい。これは、加熱チャンバーからの熱損失をさらに低減する場合がある。ヒーターケーシングの壁は、プラスチック材料を含んでもよく、またはプラスチック材料で作製されてもよい。第一および第二の接続壁は、プラスチック材料を含んでもよく、またはプラスチック材料で作製されてもよい。プラスチック材料は、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンスルホン(PPSU)のうちの一つまたは両方を含んでもよい。プラスチック材料は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)を含むことが好ましい。
【0069】
ヒーターケーシングの壁の内側は、金属被覆を備えてもよい。第一の接続壁と第二の接続壁のうちの一方または両方の内側は、金属被覆を備えてもよい。金属被覆は、壁の内側の放射率を低減する場合がある。例えば、PEEK壁の放射率は、約0.95から約0.4に低減されてもよい。金属被覆は、加熱チャンバーから放射された熱放射を反射する場合がある。金属被覆は、ヒーターケーシングの外側に対する加熱チャンバーの追加の断熱を提供してもよい。金属被覆は、低放射率金属被覆であってもよい。金属被覆は、アルミニウム、金、銀のうちの一つ以上を含んでもよい。
【0070】
本発明はさらに、本明細書に記載のヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置に関する。
【0071】
エアロゾル発生装置は、発熱体に電力を供給するように構成された電力供給源を備えることが好ましい。電力供給源は電源を備えることが好ましい。電源はリチウムイオン電池などの電池であることが好ましい。代替として、電源はコンデンサなどの別の形態の電荷蓄積装置であってもよい。電源は再充電を必要とする場合がある。例えば、電源は約六分間、または六分の倍数の時間にわたるエアロゾルの連続的な発生を可能にするのに十分な容量を有してもよい。別の例において、電源は所定の回数の吸煙、またはヒーター組立品の不連続的な起動を可能にするのに十分な容量を有してもよい。
【0072】
電力供給源は制御電子機器を備えてもよい。制御電子機器はマイクロコントローラを備えてもよい。マイクロコントローラはプログラム可能なマイクロコントローラであることが好ましい。電気回路はさらなる電子構成要素を含んでもよい。電気回路はヒーター組立品への電力の供給を調節するように構成されてもよい。電力はシステムの起動後、ヒーター組立品に連続的に供給されてもよく、または断続的に(例えば、吸煙するごとに)供給されてもよい。電力は、電流パルスの形態でヒーター組立品に供給されてもよい。
【0073】
本発明は、本明細書に記載の通りのエアロゾル発生装置と、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されたエアロゾル形成基体とを備えるエアロゾル発生システムにさらに関する。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよく、エアロゾル発生物品は、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に挿入されるように構成されてもよい。
【0074】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有する基体を指す。揮発性化合物はエアロゾル形成基体を加熱する、または燃焼することによって放出されてもよい。加熱または燃焼の代替として、一部の場合において、化学反応によって、または超音波などの機械的な刺激によって揮発性化合物が放出されてもよい。エアロゾル形成基体は固体または液体であってもよく、または固体構成成分と液体構成成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
【0075】
エアロゾル形成基体は、固体エアロゾル形成基体であってもよい。エアロゾル形成基体は固体成分と液体成分の両方を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、加熱に伴い基体から放出される揮発性のたばこ風味化合物を含有するたばこ含有材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は非たばこ材料を含んでもよい。エアロゾル形成基体は、高密度で安定したエアロゾルの形成を容易にするエアロゾル形成体を含んでもよい。適切なエアロゾル形成体の例は、グリセリンおよびプロピレングリコールである。
【0076】
本明細書で使用される「エアロゾル発生物品」という用語は、エアロゾルを形成することができる揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成基体を含む物品を指す。エアロゾル発生物品は使い捨てであってもよい。
【0077】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を指す。エアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品と、エアロゾル形成基体を含むカートリッジとのうちの一方または両方と相互作用してもよい。一部の実施例において、エアロゾル発生装置はエアロゾル形成基体を加熱して、基体からの揮発性化合物の放出を容易にする場合がある。電気的に作動するエアロゾル発生装置は、エアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを形成するための、電気ヒーターなどのアトマイザーを備えてもよい。
【0078】
本明細書で使用される「エアロゾル発生システム」という用語は、エアロゾル形成基体とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル形成基体が、エアロゾル発生物品の一部を形成する時、エアロゾル発生システムは、エアロゾル発生物品とのエアロゾル発生装置の組み合わせを指す。エアロゾル発生システムにおいて、エアロゾル形成基体およびエアロゾル発生装置は協働して、エアロゾルを発生する。
【0079】
以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【実施例
【0080】
実施例A:
エアロゾル発生装置用ヒーター組立品であって、
エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバーと、
加熱チャンバーの周りに配設されたヒーターケーシングであって、ヒーターケーシングが、加熱チャンバーから半径方向に間隔を置いて配設されていて、ヒーターケーシングが、気密空間を含み、気密空間が、微多孔性断熱材料を含む、ヒーターケーシングと、を備える、ヒーター組立品。
実施例B:
加熱チャンバーとヒーターケーシングを接続する第一の接続壁と、加熱チャンバーとヒーターケーシングを接続する第二の接続壁と、をさらに備え、気密空間が、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、第一および第二の接続壁との間に画定される、実施例Aによるヒーター組立品。
実施例C:
接続壁が、加熱チャンバーの長軸方向軸に対して垂直に配向されている、実施例Bによるヒーター組立品。
実施例D:
気密空間が、周囲圧力にある、実施例A~Cのいずれかによるヒーター組立品。
実施例E:
気密空間が、微多孔性断熱材料で少なくとも部分的に充填されている、実施例A~Dのいずれかによるヒーター組立品。
実施例F:
気密空間が、周囲圧力において気体状組成物で少なくとも部分的に充填されている、実施例A~Eのいずれかによるヒーター組立品。
実施例G:
気密空間が、少なくとも一つのエアギャップを含む、実施例A~Fのいずれかによるヒーター組立品。
実施例H:
微多孔性断熱材料が、二つのエアギャップの間に半径方向に挟まれている、実施例Gによるヒーター組立品。
実施例I:
微多孔性断熱材料が、加熱チャンバーと直接接触している、実施例A~Hのいずれかによるヒーター組立品。
実施例J:
微多孔性断熱材料が、ヒーターケーシングと直接接触している、実施例A~Iのいずれかによるヒーター組立品。
実施例K:
微多孔性断熱材料が、実施例Bの第一および第二の接続壁と直接接触している、実施例A~Jのいずれかによるヒーター組立品。
実施例L:
微多孔性断熱材料が、加熱チャンバーと、ヒーターケーシングと、実施例Bの第一および第二の接続壁と直接接触している、実施例A~Kのいずれかによるヒーター組立品。
実施例M:
微多孔性断熱材料が、少なくとも一つの第一の接続要素を含む少なくとも一つの第一の断熱要素、および少なくとも一つの第二の接続要素を含む第二の断熱要素から形成され、第一および第二の接続要素が、合致する接続要素として構成されている、実施例A~Lのいずれかによるヒーター組立品。
実施例N:
第一の接続要素が雄接続要素を含み、第二の接続要素が雌接続要素を含む、実施例Mによるヒーター組立品。
実施例O:
第一の接続要素および第二の接続要素が、形態嵌合接続要素を含む、実施例MまたはNによるヒーター組立品。
実施例P:
第一の接続要素および第二の接続要素が、スナップ嵌合接続要素を含む、実施例M~Oのいずれかによるヒーター組立品。
実施例Q:
第一の接続要素および第二の接続要素が、バヨネット接続要素を含む、実施例M~Pのいずれかによるヒーター組立品。
実施例R:
微多孔性断熱材料が、細長い延長部を有する、実施例A~Qのいずれかによるヒーター組立品。
実施例S:
微多孔性断熱材料が、加熱チャンバーの長軸方向軸に平行に延びる、実施例A~Rのいずれかによるヒーター組立品。
実施例T:
加熱チャンバーとヒーターケーシングとの間の距離が、1.5ミリメートル~7ミリメートル、好ましくは2ミリメートル~4ミリメートル、好ましくは約3.1ミリメートルである、実施例A~Sのいずれかによるヒーター組立品。
実施例U:
発熱体をさらに備える、実施例A~Tのいずれかによるヒーター組立品。
実施例V:
発熱体が、少なくとも部分的に加熱チャンバーの周りに配設されている、実施例Uによるヒーター組立品。
実施例W:
微多孔性断熱材料が、発熱体の長軸方向の延長部と同じか、またはこれより大きな長軸方向の延長部を有する、実施例UまたはVによるヒーター組立品。
実施例X:
発熱体が可撓性であり、加熱チャンバーの周りに巻かれる、実施例U~Wのいずれか一つによるヒーター組立品。
実施例Y:
発熱体が、加熱チャンバーとヒーターケーシングとの間に配設されている、実施例U~Xのいずれか一つによるヒーター組立品。
実施例Z:
発熱体が、電気的に絶縁された基体上に一つ以上の導電トラックを含む、実施例U~Yのいずれか一つによるヒーター組立品。
実施例AA:
ヒーターケーシングの外径と加熱チャンバーの外径との比が、1.3~3.5、好ましくは1.5~2.5、より好ましくは約2.0である、実施例A~Zのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AB:
微多孔性断熱材料が、摂氏280度の温度において0.05W/m・K未満、好ましくは0.04W/m・K未満、より好ましくは0.03W/m・K未満の熱伝導率を有する、実施例A~AAのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AC:
微多孔性断熱材料の熱伝導率が、室温における微多孔性断熱材料の熱伝導率と比較して、摂氏280度の温度において最大40パーセント、好ましくは最大30パーセント、より好ましくは最大20パーセント増大する、実施例A~ABのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AD:
微多孔性断熱材料が、100ナノメートル未満、好ましくは70ナノメートル未満、より好ましくは50ナノメートル未満、より好ましくは20ナノメートル未満、より好ましくは2ナノメートル未満の細孔直径を有する、実施例A~ACのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AE:
加熱チャンバーが細長い形状を有し、好ましくは加熱チャンバーが中空管である、実施例A~ADのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AF:
加熱チャンバーが、実施例Uの発熱体を備える中央領域と、
近位領域と、
遠位領域と、を備え、
近位領域および遠位領域が、長軸方向に発熱体から間隔を置いていて、
実施例Bの第一の接続壁が、近位領域内で加熱チャンバーに接触し、実施例Bの第二の接続壁が、遠位領域内で加熱チャンバーと接触する、実施例A~AEのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AG:
ヒーターケーシングの壁の内側が、金属被覆を含み、随意に加熱チャンバーの壁が、ステンレス鋼を含む、請求項A~AFのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AH:
ヒーターケーシングの壁、および請求項2の第一および第二の接続壁のうちの一つ以上の厚さが、2ミリメートル未満、好ましくは1.2ミリメートル未満、好ましくは約0.8ミリメートルである、実施例A~AGのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AI:
ヒーターケーシングの壁、および実施例Bの第一および第二の接続壁のうちの一つ以上が、プラスチック材料、好ましくはポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、またはポリフェニレンスルホン(PPSU)、より好ましくはポリフェニレンスルホン(PPSU)を含む、実施例A~AHのいずれかによるヒーター組立品。
実施例AJ:
実施例A~AIのいずれかによるヒーター組立品を備えるエアロゾル発生装置。
実施例AK:
実施例AJによるエアロゾル発生装置と、加熱チャンバーの中に少なくとも部分的に受容されるように構成されたエアロゾル形成基体と、を備える、エアロゾル発生システム。
【0081】
一つの実施形態に関して説明される特徴は、本発明の他の実施形態にも等しく適用されてもよい。
【0082】
例証としてのみであるが、以下の添付図面を参照しながら本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0083】
図1図1は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図2図2は、ヒーター組立品の加熱チャンバーの一実施形態を示す。
図3図3は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図4図4は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図5図5は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図6図6は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の一実施形態を示す。
図7図7は、エアロゾル発生装置用ヒーター組立品の微多孔性断熱材料の一実施形態を示す。
図8図8は、エアロゾル発生装置の一実施形態を示す。
図9図9は、エアロゾル発生装置の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0084】
図1は、ヒーター組立品10を概略的に示す。ヒーター組立品10は、エアロゾル形成基体を加熱するための加熱チャンバー12を備える。加熱チャンバー12は細長い形状を有する。加熱チャンバー12は、エアロゾル形成基体の挿入のための空洞を取り囲む加熱チャンバーの壁14を備える。加熱チャンバーの壁14は中空管を形成する。ヒーター組立品10は、ヒーターケーシングをさらに備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバー12の周りに同軸に配設されている。ヒーターケーシングは、ヒーターケーシング16の円筒壁を備える。ヒーターケーシングは、加熱チャンバー12から半径方向に距離dだけ間隔を置いてさらに配設されている。距離dは、加熱チャンバーの壁14によって形成された中空管の外径と、ヒーターケーシング16の円筒壁の内径との間で半径方向で測定される。加熱チャンバーの壁14およびヒーターケーシング16の壁は、一致する形状を有する。それによって、距離dは、加熱チャンバー12の長軸方向軸に沿って一定である。
【0085】
ヒーター組立品10は、ヒーター組立品10の近位端に第一の接続壁18をさらに備える。ヒーター組立品10は、ヒーター組立品10の遠位端に第二の接続壁20をさらに備える。第一および第二の接続壁18、20は、加熱チャンバー12の長軸方向軸に対して垂直に配向されている。ヒーター組立品10は、気密空間22をさらに備える。気密空間22は、加熱チャンバーの壁14と、ヒーターケーシングの壁16と、第一および第二の接続壁18、20との間に画定されている。
【0086】
図2は、加熱チャンバー12の一実施形態を示す。加熱チャンバー12は、発熱体を備える中央領域を備える。発熱体は、部分的に加熱チャンバー12の周りに配設されている。加熱チャンバーの壁14は金属管である。発熱体は可撓性であり、金属管の周りに巻かれている。発熱体は、電気的に絶縁された可撓性基体26上に導電性加熱トラック24を備える。示された実施形態において、可撓性基体26の近位縁部分および遠位縁部分は、加熱トラック24によって覆われていない。他の実施形態において、可撓性基体26の異なる領域、または表面全体でさえも、加熱トラック24によって覆われてもよい。加熱チャンバー12の近位領域28および遠位領域30は、長軸方向に発熱体から間隔を置いている。
【0087】
図3は、図2の加熱チャンバー12を備えるヒーター組立品10の一実施形態を示す。発熱体は、加熱チャンバー12とヒーターケーシングの間に配設されている。
【0088】
第一および第二の接続壁18、20は、ヒーターケーシングの壁16を加熱チャンバーの壁14と密封的に接続し、それによって気密空間22を気密に密閉する。
【0089】
第一および第二の接続壁18、20はそれぞれ、近位領域28および遠位領域30において加熱チャンバー12に接触する。第一および第二の接続壁18、20は、発熱体から間隔を置いた位置で加熱チャンバー12に接触する。それ故に、第一および第二の接続壁18、20は、使用中に加熱された時、加熱チャンバーの最も冷たい点12で加熱チャンバーに接触する。それによって、熱伝導による加熱チャンバー12から接続壁18、20およびヒーターケーシングへの熱移動に起因する熱損失は、さらに低減される。断熱は、さらに改善されてもよい。
【0090】
気密空間22は、微多孔性断熱材料32を含む。微多孔性断熱材料32は、例えば、ZIRCAR Ceramics,Inc.製のMICROSIL微多孔性絶縁材、Unifrax I LLC製のExcelfrax(登録商標)、Promat Inc製のMicrotherm 1000グレードまたはその他の市販の微多孔性断熱材料であってもよい。
【0091】
図3に示す実施形態において、気密空間22全体が微多孔性断熱材料32で充填されている。微多孔性断熱材料32は、加熱チャンバーの壁14、加熱トラック24、第一および第二の接続壁18および20、ならびにヒーターケーシングの壁16と接触している。図示されていないが、図3に示す微多孔性断熱材料32はまた、エアロゾル発生装置の長軸方向軸に平行な方向に延びる一つ以上のエアギャップを含みうる。これらのエアギャップは、加熱チャンバーの壁14と、ヒーターケーシングの壁16と、または第一および第二の接続壁18、20と直接接触していてもよい。これらのエアギャップは、微多孔性断熱材料32よりも短い長軸方向の延長部を有してもよい。
【0092】
図4、5および6は、気密22空間が微多孔性断熱材料32で部分的にのみ充填されている代替的な実施形態を示す。主要な要素は、図3のヒーター組立品と同様である。図4、5および6に示す実施形態では、気密空間22は、少なくとも一つの追加的なエアギャップ34を含む。これらの実施形態のすべてにおいて、微多孔性断熱材料32は、第一の接続壁18および第二の接続壁20と接触している。微多孔性断熱材料32は、第一の接続壁18および第二の接続壁20上に取り付けられてもよい。
【0093】
図4では、エアギャップ34が加熱チャンバー12の周りに延びるヒーター組立品が示されている。微多孔性断熱材料32は、加熱チャンバー12から半径方向に間隔を置いたエアギャップ34の周りに延びる。微多孔性断熱材料32は、ヒーターケーシングの壁16と直接接触している。
【0094】
図5は、微多孔性断熱材料32が加熱チャンバー12と直接接触している代替的な実施形態を示す。エアギャップ34は、加熱チャンバー12から半径方向に間隔を置いた微多孔性断熱材料32の周りに延びる。エアギャップ34は、ヒーターケーシングの壁16と直接接触している。
【0095】
図6は、気密空間22が二つのエアギャップ34を含む代替的な実施形態を示す。一つのエアギャップ34は、加熱チャンバー12の周りに延び、かつ加熱チャンバー12と直接接続している。このエアギャップ34から半径方向に距離を置いて、微多孔性断熱材料32が延びる。続いて、追加のエアギャップ34が、微多孔性断熱材料32から半径方向に間隔を置いて微多孔性断熱材料32の周りに延びる。微多孔性断熱材料32は、二つのエアギャップ34の間に半径方向に挟まれている。
【0096】
図3、4、5および6に示す気密空間22は、異なる比で微多孔性断熱材料32で充填されてもよい。例えば、気密空間22の体積の半分が微多孔性断熱材料32で充填される。しかしながら、他の比も可能である。例えば、気密空間22の20体積パーセント、30体積パーセント、40体積パーセント、50体積パーセント、60体積パーセント、70体積パーセント、80体積パーセント、または90体積パーセントが、微多孔性断熱材料32で充填される。
【0097】
図7は、微多孔性断熱材料32の二部品組立品を示す。図3、4、5および6に図示したヒーター組立品10はすべて、図7の二部品組立品を備えることができる。しかしながら、二部品組立品は、図3および5の実施形態に特に好適である。図7で分かる通り、微多孔性断熱材料32は、第一の接続要素40を有する第一の断熱要素36、および第二の接続要素42を有する第二の断熱要素38から形成される。第一の接続要素40および第二の接続要素42は、合致する接続要素として構成されている。二つの第一の断熱要素36および第二の断熱要素38が接続されると、第一の接続要素40および第二の接続要素42が相互に接続される。第一の接続要素40および第二の接続要素42の接続は、第一の断熱要素36および第二の断熱要素38の直接接触を提供する。第一の断熱要素36および第二の断熱要素38は、図7に示す通り、中空の半円筒設計を有することができる。ただし、その他の形状および構成も可能である。接続されると、中空の半円筒設計は中空管を提供する。中空管は、加熱チャンバー12の外径と同じ内径を有することができる。中空管はまた、加熱チャンバー12および加熱トラック24を一緒にした外径と同じ内径を有してもよい。この二部品組立品によって、微多孔性断熱材料32は、加熱チャンバー12および加熱トラック24が加熱チャンバーの周りにある完全な嵌合を有することができる。さらに、加熱チャンバーが温度センサー(図示せず)を含む場合、微多孔性断熱材料32の内側形状は、温度センサーに嵌合するように構成することができる。微多孔性断熱材料32は、センサーに面する空洞を含んでもよい。空洞は、温度センサーが有するのと同じ体積および逆形状を有してもよい。微多孔性断熱材料32は、加熱チャンバー12および加熱トラック24の周りに完全に閉じられてもよい。微多孔性断熱材料32の単一の要素のみを含む中空管を使用することは、加熱チャンバー12とのこうした完全な嵌合を提供しない場合がある。
【0098】
図8は、図3のヒーター組立品10を備えるエアロゾル発生装置の一実施形態を示す。エアロゾル発生装置は電力供給源をさらに備える。電力供給源は、電源44および制御電子回路46を含む。電源44は、再充電可能電池であってもよい。図8の実施形態において、ヒーターケーシングの壁16は、エアロゾル発生装置の外側ハウジング48の一部を形成する。
【0099】
開口部50にて、エアロゾル形成基体は、加熱チャンバー12の中に少なくとも部分的に挿入されてもよい。エアロゾル形成基体は、エアロゾル発生物品の一部であってもよい。
図9は、図3のヒーター組立品10を備えるエアロゾル発生装置の一実施形態を示す。図8の実施形態と異なり、図9の実施形態において、ヒーター組立品10は、エアロゾル発生装置の別個の外側ハウジング48内に配設されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】