(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】レール車輪を補修するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B60B 17/00 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B60B17/00 B
B60B17/00 F
B60B17/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578788
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CA2022050985
(87)【国際公開番号】W WO2022266750
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522369348
【氏名又は名称】チェン、ポール ポー
【氏名又は名称原語表記】CHENG,Paul PO
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ポール ポー
(57)【要約】
レール車輪を補修する方法であって、レール車輪のリムの選択されたセグメントを除去して、第1の係合面を有する残りのセグメントを提供するステップと、第1の係合面と嵌合するように形成された第2の係合面を有する交換本体要素を含む交換ワークピースを提供するステップと、を含む方法が開示される。交換ワークピースは、第1係合面と第2係合面との間に所定の間隙を画定するように位置決めされる。残りのセグメント及び交換ワークピースの第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分、並びに第1の係合面及び第2の係合面を、その塑性変形のために熱間加工温度まで非酸化性雰囲気中で誘導加熱するために、1つ以上の加熱要素が所定の間隙内に位置決めされる。加熱要素は除去され、第1の係合面及び第2の係合面は、第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに係合面の少なくとも一部の塑性変形のために係合される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
摩耗した本体要素と、レールとの係合のために形成された、前記摩耗した本体要素上の摩耗した踏面及び摩耗したフランジとを含むリムを有するレール車輪を補修する方法であって、前記レール車輪は、車軸を受け入れることができる、前記レール車輪の軸を画定するボスと、前記リムと前記ボスとを互いに接続する板部とを含み、前記方法は、
(a)前記摩耗した本体要素、前記摩耗した踏面、及び前記摩耗したフランジを備える前記リムの選択されたセグメントを除去して、残りの本体要素及び前記残りの本体要素上の第1の係合面を有する前記リムの残りのセグメントを画定するステップであって、前記第1の係合面は、少なくとも部分的に平面であり、前記軸に対して鋭角を画定するように配置され、前記鋭角は、頂点を有し、前記鋭角の開きを画定する、ステップと、
(b)前記第1の係合面と嵌合するように形成された第2の係合面を有する交換本体要素を備える交換ワークピースを提供するステップであって、前記交換ワークピースは、前記第2の係合面の反対側に配置された、前記交換本体要素上の交換踏面及び交換フランジを備える、ステップと、
(c)前記第1の係合面から所定の距離だけ離間して前記第2の係合面を配置するように、前記交換ワークピースを位置決めして、前記第1の係合面と前記第2の係合面との間に所定の間隙を画定するステップと、
(d)少なくとも1つの加熱要素を前記所定の間隙内に位置決めして、前記残りの本体要素及び前記交換本体要素のそれぞれの第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面を誘導加熱によって加熱するステップであって、前記第1の被加熱部分は、前記第1の係合面から前記残りの本体要素内に第1の予め選択された距離だけ延び、前記第2の被加熱部分は、前記第2の係合面から前記交換本体要素内に第2の予め選択された距離だけ延びる、ステップと、
(e)前記第1の係合面及び前記第2の係合面並びに前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分を覆う非酸化性雰囲気を供給するステップと、
(f)前記非酸化性雰囲気において、前記少なくとも1つの加熱要素を用いて、前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面を所定の熱間加工温度まで加熱するステップであって、前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記熱間加工温度にある間に塑性変形可能である、ステップと、
(g)前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分が前記熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面の少なくとも一方が他方に対して移動している間に、前記第1の係合面及び前記第2の係合面を互いに係合させ、前記頂点から離れて前記開きに向かう方向で前記残りのセグメントに対して前記交換ワークピースを付勢するとともに、前記残りのセグメントに対して前記交換ワークピースを付勢し、前記第1の係合面及び前記第2の係合面と前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分の少なくとも一部とを塑性変形させるステップと、
(h)前記第1の係合面及び前記第2の係合面並びに前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分を冷却し、前記交換ワークピースと前記リムの前記残りのセグメントとを互いに接合させるステップと、を含む方法。
【請求項2】
前記残りのセグメントは、前記レール車輪の内側及び外側の近位にそれぞれある、前記残りのセグメントの内側と外側との間に延び、
前記第1の係合面は、前記残りのセグメントの前記内側及び前記外側にそれぞれ隣接する前記第1の係合面の第1の内側端部と第1の外側端部との間に延び、
前記残りのセグメントは、前記第1の係合面の前記第1の内側端部と前記軸との間に画定される第1の残りセグメント外径と、前記第1の係合面の前記第1の外側端部と前記軸との間に画定される第2の残りセグメント外径とを有し、
前記交換ワークピースは、前記レール車輪の前記内側及び前記外側の近位にそれぞれ配置可能な、前記交換ワークピースの内側と外側との間に延び、
前記第2の係合面は、前記交換ワークピースの前記内側及び前記外側にそれぞれ隣接する前記第2の係合面の第2の内側端部と第2の外側端部との間に延び、
前記交換ワークピースは、前記第2の係合面が前記第1の係合面と係合されるときに、前記第2の係合面の前記第2の内側端部と前記軸との間に画定される第1の交換ワークピース内径と、前記第2の係合面が前記第1の係合面と係合されるときに、前記第2の係合面の前記第2の外側端部と前記軸との間に画定される第2の交換ワークピース内径とを有し、
前記第1の交換ワークピース内径は、前記第1の残りセグメント外径よりも小さく、
前記第2の交換ワークピース内径は、前記第2の残りセグメント外径よりも小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
摩耗した本体要素と、レールとの係合のために形成された、前記摩耗した本体要素上の摩耗した踏面及び摩耗したフランジとを含むリムを有するレール車輪を補修する方法であって、前記レール車輪は、車軸を受け入れることができる、前記レール車輪の軸を画定するボスと、前記リムと前記ボスとを互いに接続する板部とを含み、前記レール車輪は、前記摩耗したフランジが近位である内側と、前記摩耗したフランジが遠位である反対側の外側とを有し、前記方法は
(a)前記摩耗した本体要素、前記摩耗した踏面、及び前記摩耗したフランジを備える前記リムの選択されたセグメントを除去して、残りの本体要素及び前記残りの本体要素上の第1の係合面を有する前記リムの残りのセグメントを画定するステップであって、前記第1の係合面は、少なくとも部分的に平面であり、前記軸に対して少なくとも部分的に横方向に配置される、ステップと、
(b)前記第1の係合面と嵌合するように形成された第2の係合面を有する交換本体要素を備える交換ワークピースを提供するステップであって、前記交換ワークピースは、前記第2の係合面の反対側に配置された、前記交換本体要素上の交換踏面及び交換フランジを備える、ステップと、
(c)前記第1の係合面から所定の距離だけ離間して前記第2の係合面を配置するように、前記交換ワークピースを位置決めして、前記第1の係合面と前記第2の係合面との間に所定の間隙を画定するステップと、
(d)少なくとも1つの加熱要素を前記所定の間隙内に位置決めして、前記残りの本体要素及び前記交換本体要素のそれぞれの第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分を誘導加熱によって加熱するステップであって、前記第1の被加熱部分は、前記第1の係合面から前記残りの本体要素内に第1の予め選択された距離だけ延び、前記第2の被加熱部分は、前記第2の係合面から前記交換本体要素内に第2の予め選択された距離だけ延びる、ステップと、
(e)前記第1の係合面及び前記第2の係合面並びに前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分を覆う非酸化性雰囲気を供給するステップと、
(f)前記非酸化性雰囲気において、前記少なくとも1つの加熱要素を用いて、前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面を所定の熱間加工温度まで加熱するステップであって、前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記熱間加工温度にある間に塑性変形可能である、ステップと、
(g)前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分が前記熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面の少なくとも一方が他方に対して移動している間に、前記第1の係合面及び前記第2の係合面を互いに係合させ、前記交換ワークピースを前記残りのセグメントに対して付勢して、前記第1の係合面及び前記第2の係合面と前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分の少なくとも一部とを塑性変形させるステップと、
(h)前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分を冷却し、前記交換ワークピースと前記リムの前記残りのセグメントとを互いに接合させるステップと、を含む方法。
【請求項4】
前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記軸に対して第1の鋭角を画定するように配置され、前記第1の鋭角は、前記レール車輪の前記内側に向かって開く、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記軸に対して第2の鋭角を画定するように配置され、前記第2の鋭角は、前記レール車輪の前記外側に向かって開く、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記レール車輪の前記外側の近位に位置する第1の鋭角頂点を有する第1の鋭角を画定するように配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分が熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面が互いに係合されるとき、前記交換ワークピースが前記レール車輪の前記内側に向かって付勢される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の係合面及び前記第2の係合面は、前記レール車輪の前記内側の近位に位置する第2の鋭角頂点を画定するように配置される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分が熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面が互いに係合されるとき、前記交換ワークピースが前記レール車輪の前記外側に向かって付勢される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記交換本体要素の外側から延びる少なくとも1つの第1の突起を設けるステップと、
前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面が前記熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面が互いに係合されるとき、第1の係合ツールを用いて、前記少なくとも1つの第1の突起を係合させ、前記レール車輪の前記内側に向かって前記交換ワークピースを付勢するステップと、をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の係合ツールが前記少なくとも1つの第1の突起と係合されている間、前記交換ワークピースは、前記第1の係合ツールによって前記軸を中心に回転するように付勢される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記交換フランジに取り付けられ、前記交換フランジから前記軸に直交して延びる少なくとも1つの第2の突起を設けるステップと、
前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分並びに前記第1の係合面及び前記第2の係合面が前記熱間加工温度にあり、前記第1の係合面及び前記第2の係合面が互いに係合されるとき、第2の係合ツールを用いて、前記少なくとも1つの第2の突起を係合させ、前記交換ワークピースを前記レール車輪の前記内側に向かって付勢するステップと、
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の係合ツールが前記少なくとも1つの第2の突起と係合されている間、前記交換ワークピースは、前記第2の係合ツールによって前記軸を中心に回転するように付勢される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱間加工温度が少なくとも約1,265℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記残りのセグメント及び前記交換ワークピースは、異なる材料から作製される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の係合面及び前記第2の係合面並びに前記第1の被加熱部分及び前記第2の被加熱部分が前記熱間加工温度にある間で、前記第1の係合面及び前記第2の係合面が互いに係合されるときに、前記交換ワークピースが前記軸を中心に回転される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール車輪を補修するための方法及びシステムである。
【背景技術】
【0002】
当該技術分野において公知の、列車、路面電車、及び天井クレーンは、通常、レールに係合するように形成されたレール車輪を含む。典型的なレール車輪セット10が
図1に示されており、そのレール車輪12A,12Bがレール14A,14Bに係合している。レール車輪12A,12Bは、レール車輪12A,12B間に延びる車軸16によって画定される軸「X」を中心に回転する。車軸16は、説明を簡略化するために
図1から省略されている鉄道車両のキャリッジ又はフレームに取り付けられることが理解されるであろう。通常、レール車輪は鋼鉄製であり、鋳造(すなわち、単一の鋳物から機械加工)又は鍛造(すなわち、鍛造及び圧延)されてもよい。
【0003】
典型的なレール車輪12の部分が
図2A及び
図2Bに示されている。
図2A及び
図2Bに見られるように、車輪12は、車軸16(
図2A又は
図2Bには図示せず)を受け入れることができるボア22を画定するボス20を含むハブ19と、リム部分24との間に位置する板部(web)18を含むことが好ましい。リム部分24は、レール(
図2A、2Bには図示せず)に係合するための踏面(tread)26及びフランジ28を含む。
【0004】
図2Bに見られるように、踏面26及びフランジ28は、車輪12が最初に製造されるときに、所定の設計に適合するプロファイル(
図2Bにおいて参照符号30によって概ね識別される)を有する。時間が経過すると、踏面26及びフランジ28は摩耗し、もはや設計に適合しなくなる。摩耗した踏面26及び摩耗したフランジ28の典型的なプロファイルの例は、
図2Bにおいて参照符号32によって識別される。
【0005】
従来技術では、踏面26及びフランジ28から摩耗した材料を置き換えるために、例えば、摩耗したプロファイル32を覆ってハブ19の基材34に追加の材料33(通常は鋼鉄)を溶接することによって、摩耗した踏面又は摩耗したフランジを補修する試みがなされてきた。
図2Bに示される例では、交換材料33は、
図2Aに示されている最初に製造された踏面26及びフランジ28のプロファイル30と同じ又は実質的に同じプロファイル30’を有する。
【0006】
しかしながら、これらの従来技術の補修方法は、交換材料33が基板34から剥がれ落ちたり分離したりする傾向があるので、一般に満足のいくものではなかった。交換材料の破損は、一般に、交換材料が従来の方法を使用して基材34に溶接されるときに生成される、基材及び交換材料における熱影響部「HAZ(heat-affected zone)」に起因すると考えられる。
【0007】
別の従来の補修方法は、摩耗した金属をミーリング加工又は切断して、元の踏面及びフランジよりも小さい半径で新しい踏面及び新しいフランジを形成することを含む。しかしながら、この手順は、通常、残っている金属が不十分であるために、特定のレール車輪に対して2回又は3回しか使用できず、その時点でレール車輪をリサイクルする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の理由から、従来技術の1つ以上の欠陥若しくは不備を克服又は軽減する方法及びシステムが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その広い態様において、本発明は、摩耗したレール車輪を補修する方法であって、摩耗したレール車輪の選択されたセグメントを除去して、第1の係合面を有するレール車輪のリムの残りのセグメントを提供する、方法を提供する。交換本体要素と、第1係合面と嵌合するように形成された第2係合面とを有する交換ワークピースが提供される。交換ワークピースは、第1係合面と第2係合面との間に所定の間隙を画定するように位置決めされる。1つ以上の加熱要素が所定の間隙内に位置決めされ、残りのセグメント及び交換ワークピースの第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面を非酸化性雰囲気中で熱間加工温度まで誘導加熱する。
【0010】
第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面が熱間加工温度まで加熱されると、加熱要素が除去され、第1の係合面及び第2の係合面の少なくとも一方が他方に対して動いている間に、第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面の少なくとも一部の塑性変形のために、第1の係合面及び第2の係合面が係合される。第1の係合面及び第2の係合面並びに第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分を冷却させ、交換ワークピースと残りのセグメントとを互いに接合する。
【0011】
本発明は、以下の添付図面を参照して、より良好に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(前述された)従来技術のレール車輪セットの側面図である。
【
図2A】(前述された)従来技術のレール車輪の部分的に切り取られた等角図である。
【
図2B】(前述された)
図2Aの従来技術のレール車輪の一部の、より大きい縮尺で描かれた断面図である。
【
図3A】補修される摩耗したレール車輪の一部の、より大きい縮尺で描かれた断面図である。
【
図3B】所定の間隙を間に画定するように配置された交換ワークピースの実施形態を伴った、
図2Cのレール車輪の残りのセグメントの断面図である。
【
図3C】
図3Bの、より大きい縮尺で描かれた一部の断面図である。
【
図3D】
図3Aの交換ワークピースの、より大きい縮尺で描かれた断面図である。
【
図3E】互いに係合された
図3Aの残りのセグメント及び交換ワークピースの、より小さい縮尺で描かれた断面図である。
【
図3F】
図3Eの、より大きい縮尺で描かれた一部の断面図である。
【
図3G】補修されたレール車輪の、より小さい縮尺で描かれた側面図である。
【
図4A】補修される摩耗したレール車輪の一部の、より大きな縮尺で描かれた断面図である。
【
図4B】所定の間隙を間に画定するように配置された交換ワークピースの代替的な実施形態を伴った、
図2Cのレール車輪の残りのセグメントの断面図である。
【
図4C】
図4Bの、より大きい縮尺で描かれた一部の断面図である。
【
図4D】
図4Bの交換ワークピースの、より大きい縮尺で描かれた断面図である。
【
図4E】互いに係合された
図4Dの残りのセグメント及び交換ワークピースの、より小さい縮尺で描かれた断面図である。
【
図4F】
図4Eの、より大きい縮尺で描かれた一部の断面図である。
【
図5A】所定の間隙を間に画定するようレール車輪の残りのセグメントに対して配置された、本発明の交換ワークピースの別の代替実施形態の、より小さい縮尺で描かれた断面図である。
【
図5B】補修されたレール車輪の、より小さい縮尺で描かれた側面図である。
【
図6A】所定の間隙を間に画定するようレール車輪の残りのセグメントに対して配置された、本発明の交換ワークピースの別の代替実施形態の、より大きい縮尺で描かれた断面図である。
【
図6B】補修されたレール車輪の、より小さい縮尺で描かれた側面図である。
【
図7】残りのセグメントに対する交換ワークピースの位置決めを示す、より大きな縮尺で描かれた概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付図面では、同様の参照番号は、全体を通して、対応する要素を示す。特に、説明を簡略化するために、
図1~
図2Bにおいて先に使用された参照番号は、そのような参照番号の各々が100だけ(又は場合によってはその整数倍だけ)増やされることを除いて、以下の本発明の説明に関連して再び使用され、説明される要素は、
図1~
図2Bに示される従来技術の要素に対応する。最初に
図3A~
図3Gを参照して、本発明による方法の実施形態を説明する。
【0014】
この方法は、摩耗した本体要素125、並びにレール(
図3A~
図3Fには図示せず)と係合するためにその上に形成された、摩耗した踏面126及び摩耗したフランジ128を含むリム124を有するレール車輪112を補修するためのものである。補修される摩耗したレール車輪112の一例が
図3Aに示されている。説明を明確にするために、摩耗したレール車輪112の一部のみが
図3Aに示されていることが理解されるであろう。
図3Aに見られるように、レール車輪112は、車軸116を受け入れることができる、その軸「2X」を画定するボス120と、リム124とボス120とを互いに接続する板部118とを含む。
【0015】
好ましくは、本方法は、リム124の選択されたセグメント140を識別して除去し、リム124の残りのセグメント142を画定することを含む。選択されたセグメント140は、好ましくは、摩耗した本体要素125、摩耗した踏面126、及び摩耗したフランジ128を含む。
図3A~
図3Cに見られるように、残りのセグメント142は、残りの本体要素143と、残りの本体要素143上の第1の係合面144とを含む。好ましくは、第1の係合面144は、少なくとも部分的に平面であり、軸「2X」に対して鋭角θを画定するように配置される。鋭角θは、頂点「V」を有し、鋭角θの開き145を画定する(
図3B)。
【0016】
図3Bにおいて、参照符号「2X
1」によって識別された線分は、軸「2X」に平行であることが理解されよう。
除去済みの選択されたセグメント140を置き換えるために、交換ワークピース146が提供される(
図3B~
図3F)。交換ワークピース146は、第1の係合面144(
図3C)と嵌合するように形成された第2の係合面150を有する交換本体要素148を含むことが好ましい。
図3Dに見られるように、交換ワークピース146は、好ましくは、第2の係合面150の反対側の交換本体要素148上に配置された交換本体要素148上の交換踏面152及び交換フランジ154を含む。好ましくは、交換ワークピース146は、所定の距離155だけ第1の係合面144から離間して第2の係合面150を配置し、第1の係合面144および第2の係合面150の間に所定の隙間156を画定するように位置決めされる(
図3C)。
【0017】
交換ワークピース146の一部のみが
図3B~
図3Fに示されていることが理解されるであろう。当業者は、残りのセグメント142が、軸「2X」を中心とする立面図において円形であり、交換ワークピース146も、残りのセグメント142と係合するように形成された立面図において円形であることを理解するであろう。
【0018】
残りの本体要素143及び交換本体要素148のそれぞれの第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138、並びに第1の係合面144及び第2の係合面150を誘導加熱によって加熱するために、1つ以上の加熱要素158が所定の間隙156内に位置決めされることが好ましい。
図3Bに見られるように、第1の被加熱部分136は、第1の係合面144から残りの本体要素143内に第1の予め選択された距離137だけ延び、第2の被加熱部分138は、第2の係合面150から交換本体要素148内に第2の予め選択された距離139だけ延びる。
【0019】
当業者であれば、第1の予め選択された距離137及び第2の予め選択された距離139は、様々なパラメータ、例えば、第1の係合面144の近傍における残りのセグメント142の平均幅若しくは厚さ、又は交換ワークピース146の全体の厚さ、すなわち、第2の係合面150と交換踏面152との間の厚さ、及び関連する材料に少なくとも部分的に基づいて決定されてもよいことを理解するであろう。第1の予め選択された距離137及び第2の予め選択された距離139は、それぞれわずか数ミリメートルである。
【0020】
また、非酸化性雰囲気を供給して、第1の係合面144及び第2の係合面150並びに第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138を、その加熱中、覆うことも好ましい。非酸化性雰囲気は、便宜上参照符号135によって識別される
図3Cの破線によって概略的に表されるエンベロープ又はカバーの内側に位置することが理解されるであろう。
【0021】
非酸化性雰囲気において、加熱要素158を用いて、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは、誘導加熱によって所定の熱間加工温度まで加熱される。熱間加工温度は、材料の溶融温度未満である。説明されるように、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは、熱間加工温度にある間、塑性変形可能である。
【0022】
第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138が熱間加工温度にあり、第1の係合面144及び第2の係合面150の少なくとも一方が他方に対して移動している間に、第1の係合面144及び第2の係合面150は互いに係合し、交換ワークピース146は、頂点「V」から離れて開き145に向かう方向で残りのセグメント142に対して付勢されるとともに、残りのセグメント142に対して付勢されて、第1の係合面144及び第2の係合面150を塑性変形させ、また第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138の少なくともそれぞれの部分を塑性変形させる。次いで、第1の係合面144及び第2の係合面150並びに第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138を冷却させ、交換ワークピース146とリム124の残りのセグメント142とを互いに接合することが好ましい。
【0023】
被加熱部分136,138及び係合面144,150は熱間加工温度にある間、可塑性であり、上述のように、互いに鍛造され、せん断を受ける。しかしながら、被加熱部分136,138及び係合面144,150の温度は、加熱要素が除去された後に熱間加工温度を急速に下回り、その温度が熱間加工温度未満であるとき、係合面及び被加熱部分は、上述のように互いに接合される。第1の係合面144及び第2の係合面150並びに第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138は、その後、室温(例えば、約20℃)まで比較的遅い速度で冷却させることが好ましい。
【0024】
当業者であれば、交換ワークピース146と残りのセグメント142とが上述のように互いに接合されると、補修されたレール車輪112’(
図3E、
図3G)は、補修されたレール車輪112’の踏面及びフランジを予め選択された設計に適合させるために、必要に応じて機械加工されてもよいことを理解するであろう。
【0025】
図3Aに見られるように、レール車輪112は、フランジ128が位置する内側160と、内側160の反対側に位置する外側162とを有する。したがって、
図3Fでは、交換ワークピース146と残りのセグメント142とを接合するために、交換ワークピース146は、
図3C及び
図3Fの矢印「A」によって全体的に示される方向で、残りのセグメント142に対して、かつ外側162から内側に向かって付勢されることが分かる。
【0026】
上述したように、残りのセグメント142は、交換ワークピース146と同様に、立面図において円形である。一実施形態では、説明されるように、軸に対する第1の係合面144の内側端部168及び外側端部170の外径は、好ましくは、第2の係合面150のそれぞれの内側端部180及び外側端部182よりもわずかに大きい。
【0027】
図3Aでは、残りのセグメント142が、レール車輪112の内側160及び外側162の近位にそれぞれある内側164と外側166との間に延びることが分かる。好ましくは、第1の係合面144は、残りのセグメント142の内側160及び外側162にそれぞれ隣接する第1の内側端部168と第1の外側端部170との間に延びる(
図3C)。残りのセグメント142は、第1の係合面144の第1の内側端部168(
図3C)と軸「2X」との間に画定された第1の残りセグメント外径172と、第1の係合面144の第1の外側端部170(
図3C)と軸「2X」(
図3A)との間に画定された第2の残りセグメント外径174とを有する。
【0028】
図3Dに見られるように、交換ワークピース146は、レール車輪112の内側160及び外側162の近位にそれぞれ配置可能な内側176と外側178との間に延びる。交換ワークピース146が残りのセグメント142と係合されるときの、内側160及び外側162に対する交換ワークピース146の位置は、
図3E及び
図3Fに見ることができる。第2の係合面150は、交換ワークピース146の内側176及び外側178にそれぞれ隣接する第2の内側端部180と第2の外側端部182との間に延びる(
図3D)。
【0029】
交換ワークピース146は、好ましくは、第2の係合面150が第1の係合面144と係合されるときに、第2の係合面150の第2の内側端部180と軸「2X」との間に画定される第1の交換ワークピース内径184と、第2の係合面150が第1の係合面144と係合されるときに、第2の係合面150の第2の外側端部182と軸「2X」との間に画定される第2の交換ワークピース内径186とを有する(
図3E)。
【0030】
第1の交換ワークピース内径184は、第1の残りセグメント外径172よりも小さいことが好ましい。また、第2の交換ワークピース内径186は、第2の残りセグメント外径174よりも小さいことが好ましい。
【0031】
(i)第1の交換ワークピース内径184と第1の残りセグメント外径172との間、及び(ii)第2の交換ワークピース内径186と第2の残りセグメント外径174との間のわずかな差のために、交換ワークピース146及び残りのセグメント142が最初に係合されるとき、交換ワークピース146は、
図3B及び
図3Cで見た場合に、残りのセグメント142に対してわずかな距離だけ右にオフセットされることが理解されるであろう。しかしながら、説明を簡略化するために、
図3B及び
図3Cでは、交換ワークピース146は、残りのセグメント142に対してオフセットされているものとして示されておらず、所定の間隙156の幅も誇張されている。
【0032】
交換ワークピース146の内径、すなわち第2の係合面150に沿った、選択された位置における内径は、第2の係合面150上の選択された位置における半径にそれぞれ対応することも理解されるであろう。同様に、第1の係合面144上の対応する選択された位置における残りのセグメント142の外径は、第1の係合面上の選択された位置における半径にそれぞれ対応する。
【0033】
当業者であれば、被加熱部分136,138及び係合面144,150が熱間加工温度にあるとき、係合面150上の第1の選択された位置における交換ワークピース146の内径は、第1の選択された位置に対応する第2の選択された位置における残りのセグメント142の係合面144の外径よりもわずかに小さいことが好ましいことを理解するであろう。交換ワークピース146の内径(第2の係合面150によって画定される)と残りのセグメント142の外径(第1の係合面144によって画定される)との間の差は非常に小さく、したがってここでの図面には示されていないことが理解されよう。
【0034】
好ましくは、係合面144,150間の嵌合は、適切な圧力嵌めである。すなわち、交換ワークピース146が残りのセグメント142上に付勢されるとき、交換ワークピースの内径が残りのセグメントの外径よりも小さいので、ある程度の力が使用される(すなわち、
図3C及び
図3Fの矢印「A」によって全体的に示される方向に加えられる)。しかしながら、加えられる力は、交換ワークピース146をその最終位置に配置するのに十分なだけであり、その最終位置では、その内側176及び外側178が、内側164及び外側166のそれぞれと位置合わせされることが理解されるであろう。
図3E及び
図3Fでは、交換ワークピース146は、残りのセグメント142に対してその最終位置で示されている。
【0035】
上述したように、被加熱部分136,138は、交換ワークピース146及び残りのセグメント142それぞれの比較的小さな部分である。また、
図3Bに見られるように、被加熱部分136,138は、第1の係合面144及び第2の係合面150に、隣接して連続している。したがって、被加熱部分136,138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150が熱間加工温度に加熱されるとき、被加熱部分136,138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150は、熱膨張を受ける場合、全体的に外向きに(すなわち、軸から離れるように)及び内向きに(すなわち、軸に向かって)膨張する傾向がある。しかしながら、被加熱部分136及び第1の係合面144が膨張する傾向は、熱間加工温度まで加熱されていない残りのセグメント142のバランスによって抑制される。同様に、被加熱部分138及び第2の係合面150が膨張する傾向は、熱間加工温度まで加熱されていない交換ワークピース146のバランスによって抑制される。
【0036】
被加熱部分136,138は、交換ワークピース146及び残りのセグメント142それぞれの比較的小さな部分であり、また交換ワークピース146及び残りのセグメント142は立面図で円形であるので、被加熱部分136,138は圧搾され、被加熱部分136,138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150の熱膨張の結果として応力を受けると考えられる。また、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150の、熱間加工温度にある間の塑性変形は、動的再平衡プロセスにおいて、そのような応力を少なくとも部分的に緩和すると考えられる。
【0037】
当業者であれば、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150が熱間加工温度に加熱されたときに、その熱膨張がある限りにおいて、第1の係合面144と第2の係合面150との嵌合が適切な圧力嵌めであることを確実にするために、交換ワークピース146及び残りのセグメント142が形成されるときにそのような熱膨張が考慮されることも理解するであろう。
【0038】
当業者であれば、交換ワークピース146が残りのセグメント142上の最終位置にあった後(
図3E、
図3F)、被加熱部分136,138並びに係合面144,150が周囲温度まで冷却されると、交換ワークピース146の熱収縮により、交換ワークピース146も残りのセグメント142に固定されることを理解するであろう。上述したように、交換ワークピース146が残りのセグメント142に対してその最終位置にあると、補修されたレール車輪112’を予め選択された設計に適合させるために何らかの機械加工が必要となる場合がある。
【0039】
便宜上、補修されたレール車輪は、
図3E及び
図3Gにおいて参照符号112’によって識別される。
図3Gに見られるように、補修されたレール車輪112’の交換踏面152及び交換フランジ154は、レール114Bと係合するように形成されている。
【0040】
上述したように、選択された部分140は、リム124の残りの部分142を残すために、任意の適切な方法によって最初に除去される。当業者は、選択された部分140を除去する適切な方法を認識しているであろう。
図3A及び
図3Bでは、選択された部分140を除去すると、残りの部分142の一部である第1の係合面144が露出することが分かる。レール車輪112は、軸を中心とした円形であり、
図3Aには、説明を明確にするために、補修される摩耗したレール車輪112の一部のみが示されていることが理解されよう。
【0041】
選択されたセグメント140が除去された後、交換ワークピース146が提供され、所定の間隙156が第1の係合面144と第2の係合面150との間に画定されるように、残りのセグメント142に対して位置決めされる。第1の係合面144及び第2の係合面150は、所定の距離155だけ離間している。当業者であれば、所定の距離155は、とりわけ、加熱要素158によって生成される熱と、加熱要素158が第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150を熱間加工温度まで加熱するのに必要な時間とを考慮することによって、決定され得ることを理解するであろう。鋼鉄の種類及びレール車輪の幾何学的形状も考慮する必要がある。
【0042】
図3Aに示すように、一実施形態では、第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは平面であり、実質的に平行であり、両方とも、車軸116の軸「2X」に対して鋭角θを画定するように配置される。しかしながら、係合面は平面でなくてもよい。
【0043】
有利なことに、本発明の方法は、車軸116から車輪112を取り外すことなく、選択された部分140を交換ワークピース146によって交換することを可能にする。
図3Gでは、補修されたレール車輪112’は車軸に取り付けられたままである。
【0044】
図3Aに見られるように、第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは、レール車輪112の内側160に向かって開く鋭角θを軸「2X」に対して画定するように形成され配置される。
図3Bに見られるように、一実施形態では、鋭角θの頂点「V」は、レール車輪の外側162の近位に位置してもよい。しかしながら、残りのセグメントは、第1の係合面が異なって配置されるように、例えば、そのことによって画定される鋭角が、説明されるように、内側160(
図4A-
図4F)の近位に頂点を有するように配置されるように形成されてもよいことが理解されるであろう。
【0045】
図3Cでは、間隙156内に位置決めされた加熱要素158が示されている。非酸化性雰囲気の外周135は、
図3Cに破線で表されている。当業者であれば、非酸化性雰囲気(図示せず)は、好ましくは、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150の外側縁部の周りに、迅速に設置及び除去することができる一時的構造(例えば、交換ワークピース146及びその縁部の周りの残りのセグメント142に全体的に嵌合するボックス)135によって収容されるか、又は実質的に収容されることを認識しているであろう。非酸化性雰囲気が確立されると、加熱要素が通電されて、第1の係合面144及び第2の係合面150を熱間加工温度まで加熱する。
【0046】
当業者であれば、非酸化性雰囲気が配置される領域を覆い、容器内にポンプで送り込まれる適切な不活性ガス(例えば、アルゴン)によって空気を置換することによって、非酸化性雰囲気を作り出すことができることを認識しているであろう。このような置換が起こるためには、容器は気密ではないことが理解されるであろう。当業者は、選択された領域上に非酸化性雰囲気を一時的に確立する方法を認識しているので、非酸化性雰囲気のさらなる議論は不要である。
【0047】
上述したように、第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150が熱間加工温度になると、加熱要素158は好ましくは間隙156から除去され、非酸化性雰囲気も除去される。その直後に、第1の係合面144及び第2の係合面150の一方又は両方が、好ましくは、任意の好適な運動、例えば、円運動又は同様の運動で、他方に対して移動される。交換ワークピース146は、好ましくは係合面144,150の一方又は両方が他方に対して移動している間に、
図3Cの矢印「A」によって全体的に示される方向に押されて、第1の係合面144と第2の係合面150を互いに係合する。
【0048】
例えば、一実施形態では、交換ワークピース146は、好ましくは、第1の係合面144及び第2の係合面150並びに第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138が熱間加工温度にある間で、第1の係合面144及び第2の係合面150が互いに係合されるときに、軸「2X」を中心に回転される。
【0049】
第1の被加熱部分136及び第2の被加熱部分138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150の少なくとも一部を変形させるために、第1の係合面144及び第2の係合面150の一方又は両方を、その最初の係合の直後に、例えば、係合面144,150に直交する軸を中心とした円運動又は同様の運動で、互いに対して連続的に移動させることが好ましいことが理解されよう。あるいは、相対運動は、残りのセグメント142が静止している間に、矢印「A」によって示される方向への交換ワークピース146の移動から生じてもよい。被加熱部分が熱間加工温度よりも低い温度にまで冷却されると、相対運動は停止する。交換部分146及び残りの部分142を周囲温度まで冷却させ、交換部分146及び残りの部分142を互いに冶金学的に接合する。また、上述したように、嵌合は適切な圧力嵌めであるので、冷却時に、交換ワークピース146は、その熱収縮によって固定される。
【0050】
当業者であれば、熱間加工温度が材料に適した任意の温度であってよいことを理解するであろう。上述したように、熱間加工温度は、鋼鉄が塑性変形可能な任意の温度であってよい。例えば、熱間加工温度は約1,265℃であってもよい。しかしながら、異なるパラメータ、例えば、鋼鉄のタイプが、選択される熱間加工温度に影響を及ぼす可能性がある。
【0051】
従来の摩擦圧接とは異なり、本発明の方法では、熱は主に加熱要素を介して、すなわち誘導加熱を介して供給されることが理解されるであろう。また、第1の係合面144及び第2の係合面150が係合されている間にその一方又は両方の運動に起因して本発明の方法で生成される熱エネルギーは、誘導加熱によって生成される熱と比較して有意ではないことも理解されるであろう。接合に必要な熱の約95%以上は誘導加熱によって供給され、約5%以下の残りは、第1の係合面144及び第2の係合面150が係合され(すなわち、互いに押されるか又は付勢され)、一方又は両方が他方に対して移動されるときに、被加熱部分136,138並びに第1の係合面144及び第2の係合面150が受ける鍛造及びせん断によって供給されると考えられる。
【0052】
この1つの結果として、従来の摩擦圧接に必要とされる機器と比較して、第1の係合面144及び第2の係合面150のうちの1つ以上を移動させるために、並びに第1の係合面144及び第2の係合面150を係合させるために利用される機器は、比較的軽重量又は頑丈であり得る。また、通電された加熱要素によって熱の大部分が供給されるので、本発明の方法を使用して、レール車輪112が車軸116に取り付けられたままで、摩耗したレール車輪112を補修することができる。
【0053】
当業者であれば、レール車輪112が車軸116に取り付けられている場合、レール車輪112の補修は、比較的迅速に行うことができることを理解するであろう。従来の補修方法が使用される場合、摩耗した車輪を車軸116から取り外し、その後、補修された車輪を車軸116に取り付けるのに費やされる時間は、相当なものになり得る。
【0054】
当業者はまた、本発明の方法が、異なる材料で作製される要素(すなわち、残りのセグメント142及び交換ワークピース146)を接合するために使用され得ることを理解するであろう。例えば、交換ワークピース146は鍛鋼製であってもよく、残りのワークピース142は鋳鋼製であってもよく、その逆であってもよい。
【0055】
本発明の方法の代替的実施形態が、
図4A~
図4Fに示される。
図4Aでは、除去される摩耗したレール車輪212の選択されたセグメント240が識別される。レール車輪212は、車軸116を受け入れることができるボス220を含み、板部218は、ボス220とリム224とを接続する(
図4A)。レール車輪212は、内側260及び外側262を有する。
【0056】
まず、リム224の残りの部分242が残るように、選択されたセグメント240がリム224から除去される(
図4B)。選択されたセグメント240は、摩耗した踏面226及び摩耗したフランジ228(
図4A)を含むことが理解されるであろう。残りの部分242は、残りの本体要素243と、残りの本体要素243上の第1の係合面244とを含む。第1の係合面244と嵌合するように形成された第2の係合面250を有する交換本体要素248を含む交換ワークピース246が提供される(
図4B、
図4C)。
【0057】
この実施形態では、第1の係合面244及び第2の係合面250は、車軸116の軸「2X」に対して、レール車輪212の外側262に向かって開く鋭角θ
2を画定するように形成及び配置されることが好ましい(
図4A)。鋭角θ
2は、頂点「V
2」を有し、鋭角θ
2の開き245を画定する。
【0058】
図4Bにおいて、線分「2X
2」は軸「2X」に平行であることが理解されるであろう。
好ましくは、交換ワークピース246は、第1の係合面244及び第2の係合面250が所定の距離255だけ離間して、所定の間隙256を間に画定するように、残りの部分242に対して配置される(
図4C)。
【0059】
この実施形態においても、1つ以上の加熱要素258が好ましくは間隙256(
図4C)内に位置決めされ、非酸化性雰囲気が外周235(
図4C)の内側に確立されることが理解されるであろう。外周235は、加熱要素258が通電されたときに非酸化性雰囲気を収容するのに適した装置の外周である。第1の係合面244及び第2の係合面250並びに第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238は、非酸化性雰囲気中で誘導加熱によって、熱間加工温度まで加熱される。
図4Bに見られるように、第1の被加熱部分236は、第1の係合面244から残りの本体要素243内に第1の予め選択された距離237だけ延び、第2の被加熱部分238は、第2の係合面250から交換本体要素248内に第2の予め選択された距離239だけ延びる。
【0060】
第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238並びに第1の係合面244及び第2の係合面250が熱間加工温度まで加熱されると、加熱要素258が除去され、非酸化性雰囲気も除去される。
【0061】
第1の係合面244及び第2の係合面250並びに第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238が熱間加工温度にある間に、交換ワークピース246は、
図4C及び
図4Fの矢印「B」によって全体的に示される方向に押されて、第2の係合面250を第1の係合面244と係合する。第1の係合面244及び第2の係合面250の一方又は両方は、その最初の係合の後、交換ワークピース246が残りの部分242に対して付勢されるときに、第1の係合面244及び第2の係合面250並びに第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238の一方又は両方を少なくとも部分的に変形させるために、例えば、係合面244,250に直交する軸を中心とした円運動又は同様の運動で、他方に対して移動されることが理解されるであろう。
【0062】
次に、交換部分246及び残りの部分242を冷却させ、互いに接合する。補修されたレール車輪は、説明を明確にするために、
図4Cにおいて参照符号212’によって識別される。
【0063】
上述したように、第1の係合面及び第2の係合面が最初に係合された後、その一方又は両方が他方に対して移動されることが好ましい。このような相対運動は、係合面に直交する軸を中心とした円若しくは同様の運動、又は係合している間の任意の他の運動であってもよい。第1の係合面及び第2の係合面は、最初に係合されるとき、両方とも熱間加工温度にあることが好ましい。当業者であれば、係合直後に、第1の係合面及び第2の係合面は、熱間加工温度からの温度の比較的急速な低下により互いに溶着することを理解するであろう。当業者であれば、加熱要素258が所定の間隙から除去された後、第1の係合面244及び第2の係合面250並びに第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238の温度が急速に低下することも理解するであろう。
【0064】
したがって、実際問題として、第1の係合面及び第2の係合面は、好ましくは、加熱要素が除去されるとすぐに係合されることが理解されるであろう。実際問題として、係合面が最初に係合された後に互いに対して移動され得る時間が比較的短いことを考慮すると、加熱要素が引き抜かれるとすぐに、かつ係合面が係合される前に、係合面の一方又は両方の移動を開始することが有利であり得る。
【0065】
実際には、係合面244,250の一方又は両方を他方に対して移動させるために、その上に係合面を有する要素は、適切な要素によって係合又は保持されなければならない。当業者であれば、レール車輪が車軸に取り付けられている間に補修された場合(
図3A~
図3G)、第1の係合面144に対する第2の係合面150の移動は、相応に交換ワークピース146を移動させることによって達成され得ることを理解するであろう。上述したように、2つの表面が係合している間に、第1の係合面に対する第2の係合面が相対的に移動することで、係合面並びに第1及び第2の被加熱部分の少なくとも一部の塑性変形をもたらす。
【0066】
上述したように、選択されたセグメント140は、好ましくは、残りのセグメント142と、残りのセグメント要素143上の第1の係合面144とを設けるために識別され、除去される。一実施形態では、第1の係合面144は、好ましくは、少なくとも部分的に平面であり、軸「2X」に対して少なくとも部分的に横方向に配置される。
【0067】
例えば、
図3B及び
図3Cに見られるように、第2の係合面150は、少なくとも部分的に平面であり、軸「2X」に対して少なくとも部分的に横方向に配置され、所定の間隙156を画定することもまた好ましい。
【0068】
一実施形態では、
図3Bに示すように、第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは、軸「2X」に対して第1の鋭角θを画定するように配置され、第1の鋭角は、レール車輪112の内側160に向かって開く。
【0069】
一実施形態では、第1の係合面144及び第2の係合面150は、好ましくは、レール車輪112の外側162の近位に位置する第1の鋭角頂点「V」を有する第1の鋭角θを画定するように配置される(
図3B)。この実施形態では、第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面が熱間加工温度にあり、第1の係合面及び第2の係合面が互いに係合されるとき、交換ワークピースは、レール車輪112の内側160に向かって付勢される(
図3B~
図3F)。
【0070】
別の実施形態では、
図4Bに示すように、第1の係合面244及び第2の係合面250は、好ましくは、軸に対して第2の鋭角θ
2を画定するように配置され、第2の鋭角は、レール車輪112の外側162に向かって開く。
【0071】
別の実施形態では、第1の係合面244及び第2の係合面250は、好ましくは、レール車輪112の内側160の近位に位置する第2の鋭角頂点「V
2」を画定するように配置される(
図4B)。この実施形態では、第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面が熱間加工温度にあり、第1の係合面及び第2の係合面が互いに係合されるとき、交換ワークピース246は、レール車輪112の外側262に向かって付勢される(
図4B~
図4F)。
【0072】
残りのセグメント242は、交換ワークピース246と同様に、立面図において円形である。一実施形態では、説明されるように、軸に対する第1の係合面244の内側端部268及び外側端部270の外径は、好ましくは、第2の係合面250のそれぞれの内側端部280及び外側端部282よりもわずかに大きい。
【0073】
図4Aでは、残りのセグメント242が、レール車輪212の内側260及び外側262の近位にそれぞれある内側264と外側266との間に延びることが分かる。好ましくは、第1の係合面244は、残りのセグメント242の内側260及び外側262にそれぞれ隣接する第1の内側端部268と第1の外側端部270との間に延びる(
図4C)。残りのセグメント242は、第1の係合面244の第1の内側端部268(
図4C)と軸「2X」との間に画定された第1の残りセグメント外径272と、第1の係合面244の第1の外側端部270(
図4C)と軸「2X」(
図4A)との間に画定された第2の残りセグメント外径274とを有する。
【0074】
図4Dに見られるように、交換ワークピース246は、レール車輪212の内側260及び外側262の近位にそれぞれ配置可能な内側276と外側278との間に延びる。交換ワークピース246が残りのセグメント242と係合されるときの、内側260及び外側262に対する交換ワークピース246の位置は、
図4E及び
図4Fに見ることができる。第2の係合面250は、交換ワークピース246の内側276及び外側278にそれぞれ隣接する第2の内側端部280と第2の外側端部282との間に延びる(
図4D)。
【0075】
交換ワークピース246は、好ましくは、第2の係合面250が第1の係合面244と係合されるときに、第2の係合面250の第2の内側端部280と軸「2X」との間に画定される第1の交換ワークピース内径284と、第2の係合面250が第1の係合面244と係合されるときに、第2の係合面250の第2の外側端部282と軸「2X」との間に画定される第2の交換ワークピース内径286とを有する(
図4E)。
【0076】
第1の交換ワークピース内径284は、第1の残りセグメント外径272よりも小さいことが好ましい。また、第2の交換ワークピース内径286は、第2の残りセグメント外径274よりも小さいことが好ましい。
【0077】
(i)第1の交換ワークピース内径284と第1の残りセグメント外径272との間、及び(ii)第2の交換ワークピース内径286と第2の残りセグメント外径274との間のわずかな差のために、交換ワークピース246及び残りのセグメント242が最初に係合されるとき、交換ワークピース246は、
図4B及び
図4Cで見た場合に、残りのセグメント242に対してわずかな距離だけ左にオフセットされることが理解されるであろう。しかしながら、説明を簡略化するために、
図4B及び
図4Cでは、交換ワークピース246は、残りのセグメント242に対してオフセットされているものとして示されておらず、所定の間隙256の幅も誇張されている。
【0078】
交換ワークピース246の内径、すなわち第2の係合面250に沿った、選択された位置における内径は、第2の係合面250上の選択された位置における半径にそれぞれ対応することが理解されるであろう。同様に、第1の係合面244上の対応する選択された位置における残りのセグメント242の外径は、第1の係合面上の選択された位置における半径にそれぞれ対応する。
【0079】
当業者であれば、被加熱部分236,238及び係合面244,250が熱間加工温度にあるとき、係合面250上の第1の選択された位置における交換ワークピース246の内径は、第1の選択された位置に対応する第2の選択された位置における残りのセグメント242の係合面244の外径よりもわずかに小さいことが好ましいことを理解するであろう。交換ワークピース246の内径(第2の係合面250によって画定される)と残りのセグメント242の外径(第1の係合面244によって画定される)との間の差は非常に小さく、したがってここでの図面には示されていないことが理解されよう。
【0080】
好ましくは、係合面244,250間の嵌合は、適切な圧力嵌めである。すなわち、交換ワークピース246が残りのセグメント242上に付勢されるとき、交換ワークピースの内径が残りのセグメントの外径よりも小さいので、ある程度の力が使用される(すなわち、
図4C及び
図4Fの矢印「B」によって全体的に示される方向に加えられる)。しかしながら、加えられる力は、交換ワークピース246をその最終位置に配置するのに十分なだけであり、その最終位置では、その内側276及び外側278が内側264及び外側266のそれぞれと位置合わせされることが理解されるであろう。
図4E及び
図4Fでは、交換ワークピース146は、残りのセグメント242に対してその最終位置で示されている。
【0081】
当業者であれば、第1の係合面244と第2の係合面250との間の嵌合が適切な圧力嵌めであることを確実にするために、交換ワークピース246及び残りのセグメント242が形成されるときに、交換ワークピース246及び残りのセグメント242の熱膨張(すなわち、第1の被加熱部分236及び第2の被加熱部分238並びに第1の係合面244及び第2の係合面250の熱間加工温度への加熱による)が考慮されることも理解するであろう。
【0082】
当業者であれば、交換ワークピース246が残りのセグメント242上の最終位置にあった後(
図4E、
図4F)、被加熱部分236,238及び係合面244,250が周囲温度まで冷却されると、交換ワークピース246の熱収縮により、交換ワークピース246も残りのセグメント242に固定されることを理解するであろう。
【0083】
便宜上、補修されたレール車輪は、
図4Eにおいて参照符号212’によって識別される。
一実施形態では、本発明の方法は、好ましくは、交換ワークピース346の外側378から延びる1つ以上の第1の突起387を設けることをさらに含む。好ましくは、第1の突起387の各々は第1の係合ツール388(
図5A)によって係合され、第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに第1の係合面及び第2の係合面が熱間加工温度にあり、第1の係合面及び第2の係合面が互いに係合されるとき、第1の係合ツール388は、第1の突起387に係合し、交換ワークピース346をレール車輪312の内側に向かって付勢する。
【0084】
第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分並びに加熱要素は、説明を明確にするために、
図5A及び
図5Bから省略されていることが理解されるであろう。
一実施形態では、第1の係合ツール388が第1の突起387のうちの1つ以上と係合される間、交換ワークピース346は、そのことによって、軸「2X」(
図5A、
図5B)を中心に回転するように付勢される。
【0085】
複数の係合ツール388が、複数の突起387にそれぞれ同時に係合されてもよいことが理解されるであろう。図面を簡略化するために、
図5Aでは、1つの係合ツール388のみが示されている。
【0086】
図5A及び
図5Bに見られるように、一実施形態では、交換ワークピース346は、好ましくは、第1の係合面344及び第2の係合面350が係合されるときに、交換ワークピース346を残りの部分342に対して車軸116(
図5A)の軸「2X」を中心に移動させるように、第1のツール388によって係合され得る1つ以上の第1の歯又は突起387を含む。当業者は、交換ワークピース346が、時計回り又は反時計回りの方向に、残りの部分342に対して軸「2X」を中心に移動され得ることを理解するであろう。このような移動の時計回り及び反時計回りの方向は、
図5Bにおいて矢印「C」及び「D」によって示されている。
【0087】
上述のように、1つ以上の加熱要素(
図5Aには図示せず)が所定の間隙356内に位置決めされることが理解されるであろう。上記と同様に、係合面344,350は、非酸化性雰囲気中で熱間加工温度まで加熱された後に係合されることも理解されるであろう。矢印「C」及び「D」によって示される方向のうちの1つに交換ワークピース346を回転させることによる、そのような係合中の残りの部分342に対する交換ワークピース346の移動は、係合面の少なくとも一部の塑性変形をもたらす。
【0088】
上記から、第1のツール388は、
図5Aの矢印「E」によって全体的に示される方向に第1のツール388を移動させることによって第1の歯387に取り付けられることが分かる。好ましくは、矢印「E」によって示される方向は、車軸116の軸「2X」と実質的に整列される。軸「2X」を中心とした交換ワークピース346の回転は、
図5Aの矢印「E」によって示されるように、交換ワークピース346が残りの部分342に対して押し付けられるときに継続することが理解されるであろう。
図5Bに示されるように、交換ワークピース346は、リム324の残りの部分342と係合されることも理解されるであろう。
図5Aでは、交換ワークピース346は、最初に残りのセグメント342と係合されるとき、すなわち、交換ワークピース346が残りのセグメント342に対してその最終位置にある前の状態で示されている。交換ワークピース346は、矢印「E」によって示される方向に付勢され、車輪312の外側362から内側360に向かって付勢される。レール車輪312の外側が
図5Bに示されている。
【0089】
交換ワークピース346がリム324の残りの部分342と溶着された後、ツール388及び第1の歯387は、任意の適切な方法で除去されてもよい。
本発明の方法の別の代替的実施形態が、
図6A及び
図6Bに示される。この実施形態では、交換ワークピース446は、好ましくは、1つ以上の第2の歯又は突起490、並びに第1の歯又は突起487を含む。第2のツール492は、第2の歯490と係合可能である。第2の歯490と係合するために、第2のツールは、
図6Aの矢印「F」によって示される方向に移動する。そのように係合されると、第2のツールは、好ましくは、車軸116の軸「2X」を中心として、時計回り又は反時計回りのいずれかの方向に、交換ワークピース446を移動させる。
【0090】
第1のツール488は、
図6Aの矢印「E」によって全体的に示される方向に第1のツール488を移動させることによって、第1の歯487に取り付けられる。第1のツール488及び第2のツール492と第1の歯487及び第2の歯490とのそれぞれの係合は、実質的に同時であり得ることが理解されるであろう。第1のツール488及び第2のツール492は、好ましくは、係合面444,450が互いに係合されるときに、交換ワークピース446を残りのセグメント442に対して回転させるように協働する。
【0091】
時計回り又は反時計回りのいずれかの方向への軸「2X」を中心とした交換ワークピース446の移動は、
図6Bの矢印「G」及び「H」によって示されている。
上述のように、1つ以上の加熱要素(
図6Aには図示せず)が所定の間隙456内に位置決めされることが理解されるであろう。係合面444,450は、それらと第1の被加熱部分及び第2の被加熱部分(図示せず)とが非酸化性雰囲気中で熱間加工温度まで加熱された後に係合される。矢印「G」及び「H」によって示される方向のうちの1つに交換ワークピース346を回転させることによる、そのような係合中の残りの部分442に対する交換ワークピース446の移動は、係合面の少なくとも一部の塑性変形をもたらす。
【0092】
図6Aでは、交換ワークピース446は、最初に残りのセグメント442と係合されるとき、すなわち、交換ワークピース446が残りのセグメント442に対してその最終位置にある前の状態で示されている。交換ワークピース446は、矢印「E」によって示される方向に付勢され、車輪412の外側462から内側460に向かって付勢される。レール車輪412の外側が
図6Bに示されている。
【0093】
交換ワークピース446及びリム424の残りの部分442が互いに溶着された後、ツール488,492並びに第1及び第2の歯487,490は、任意の好適な方法によって除去されてもよい。
【0094】
上述したように、一実施形態では、補修されるレール車輪は、レール車輪が補修される間、車軸に取り付けられたままであってもよい。この場合、
図5A及び
図6Aに示すように、係合面は、好ましくは、軸「2X」に対してレール車輪の内側に向かって開く鋭角を画定するように形成される。
図5A及び
図6Aに示されるように、交換ワークピースは、全体的にレール車輪の外側からその内側に向かって付勢される。しかしながら、上述したように、いくつかの状況では、係合面が軸「2X」に対してレール車輪の外側に向かって開く鋭角を画定するように、係合面を形成することが望ましい場合がある。
【0095】
図7に示すように、係合面が、レール車輪の外側562に向かって開く鋭角を軸「2X」に対して画定する場合、交換ワークピース546は、係合面544,550が係合する際に、交換ワークピース546をリム524の残りの部分542に対して移動させるように、第1のツール588及び第2のツール592と協働するように形成された第1の歯587及び第2の歯590を含み得る。
【0096】
係合面544,550は、所定の間隙556内に配置された1つ以上の加熱要素(図示せず)によって、非酸化性雰囲気内で熱間加工温度まで加熱され、その時点で加熱要素が除去されることが理解されよう。
【0097】
第1のツール588を第1の歯587に取り付けるために、第1のツールは、係合されるまで、矢印「J」によって示される方向に、第1の歯587に向かって移動される。第2のツール592を第2の歯590に取り付けるために、第2のツールは、
図7の矢印「K」によって全体的に示される方向に移動される。第1のツール588及び第2のツール592と第1の歯587及び第2の歯590とのそれぞれの係合は、実質的に同時であり得る。
【0098】
好ましくは、交換ワークピース546は、第1のツールが交換ワークピース546を
図7の矢印「J」によって全体的に示される方向に押すときに、第1のツール及び第2のツールによって軸「2X」を中心に回転され、第2の係合面550が第1の係合面544と係合するときに、第2の係合面550を軸を中心に移動させる。
【0099】
上述したように、係合面が互いに係合した後に交換ワークピース546が軸「2X」を中心として回転することによって係合面が少なくとも部分的に塑性変形した後、交換ワークピース546及び残りの部分542を冷却させて、互いに溶着する。第1の歯587及び第2の歯590は、その後、任意の好適な手段によって除去されてもよい。
【0100】
本発明は、多くの形態を取ることができ、そのような形態は、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲内である点も、当業者には理解されるであろう。特許請求の範囲は、実施例に記載されている好ましい実施形態によって限定されるべきではなく、明細書本文全体と一致する、最も広義の解釈が与えられるべきである。
【国際調査報告】