IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アンラーン.エーアイ, インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-522840共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法
<>
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図1
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図2
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図3
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図4
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図5
  • 特表-共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化試験における処置効果を推測するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 70/00 20180101AFI20240614BHJP
【FI】
G16H70/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023578917
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-16
(86)【国際出願番号】 US2022073165
(87)【国際公開番号】W WO2022272308
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,643
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/363,796
(32)【優先日】2022-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520139815
【氏名又は名称】アンラーン.エーアイ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】シューラー ダ コスタ フェロ, アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー, デイビッド パットナム
(72)【発明者】
【氏名】リー, ユンファン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンダービーク, アリッサ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA03
(57)【要約】
本発明の実施形態によれば、共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化比較試験において処置効果を推測するためのシステムおよび方法が、例証される。1つの実施形態は、無作為化比較試験において処置効果を推測するための方法を含み、ここで上記方法は、以前の無作為化臨床試験の外部データを受容する工程を包含する。上記方法は、複数の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する工程、層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程、および疑似値回帰を使用して、治験被験体の時間-事象(TTE)処置効果を推測する工程をさらに包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無作為化比較試験において処置効果を推測するための方法であって、前記方法は、
以前の無作為化臨床試験の外部データを受容する工程;
複数の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する工程;
層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程;および
疑似値回帰を使用して、治験被験体の時間-事象(TTE)処置効果を推測する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程は、
前記受容した外部データを使用して予後モデルを訓練する工程;
前記予後モデルを使用して、治験被験体に関するアウトカム推定を生成する工程;
変数を定義して、前記治験被験体を前記アウトカム推定に基づいて層別化する工程;
全ての治験被験体を前記変数によって複数の層へと層別化する工程;および
全ての層において治験被験体に関する処置アウトカムを推測する工程、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
疑似値回帰を使用して、治験被験体のTTE処置効果を推測する工程は、
予後モデルを、前記受容した外部データを使用して訓練する工程;
前記予後モデルおよび前記生成した治験被験体の被験体特性を使用して、治験被験体の予後スコアを生成する工程;ならびに
疑似値回帰モデルおよび前記予後スコアを使用して、治験被験体に関するTTE処置効果を推測する工程、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
複数の治験被験体の1またはこれより多くの特性の前記セットは、治験被験体のベースライン共変数、および治験被験体の処置割当てを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記予後モデルは、生成モデルである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記予後モデルは、一般化線形モデルである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記予後モデルは、単純ルールに基づくモデルである、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記予後モデルは、モデルベースの生成機械学習モデルである、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
TTE処置効果を推測する工程は、治験被験体の制限付き平均生存期間を推測する工程を包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記推測される処置効果に基づいて臨床試験をデザインする工程をさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
無作為化比較試験において処置効果を推測するためのプロセッサ命令を含む非一時的機械読み取り可能媒体であって、ここでプロセッサによる前記命令の実行は、前記プロセッサに、
以前の無作為化臨床試験の外部データを受容する工程;
複数の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する工程;
層別化プロセスを使用して、治験被験体の二値処置アウトカムを推測する工程;および
疑似値回帰を使用して、治験被験体の時間-事象(TTE)処置効果を推測する工程、
を包含するプロセスを行わせる、非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項12】
層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程は、
前記受容した外部データを使用して予後モデルを訓練する工程;
前記予後モデルを使用して、治験被験体に関するアウトカム推定を生成する工程;
変数を定義して、前記治験被験体を前記アウトカム推定に基づいて層別化する工程;
全ての治験被験体を前記変数によって複数の層へと層別化する工程;および
全ての層において治験被験体に関する処置アウトカムを推測する工程、
を包含する、請求項11に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項13】
疑似値回帰を使用して治験被験体のTTE処置効果を推測する工程は、
予後モデルを、前記受容した外部データを使用して訓練する工程;
前記予後モデルおよび前記生成した治験被験体の被験体特性を使用して、治験被験体の予後スコアを生成する工程;ならびに
疑似値回帰モデルおよび前記予後スコアを使用して、治験被験体に関するTTE処置効果を推測する工程、
を包含する、請求項11に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項14】
複数の治験被験体の1またはこれより多くの特性の前記セットは、治験被験体のベースライン共変数、および治験被験体の処置割当てを含む、請求項11に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項15】
前記予後モデルは、生成モデルである、請求項12に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項16】
前記予後モデルは、一般化線形モデルである、請求項12に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項17】
前記予後モデルは、単純ルールに基づくモデルである、請求項13に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項18】
前記予後モデルは、モデルベースの生成機械学習モデルである、請求項13に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項19】
TTE処置効果を推測する工程は、治験被験体の制限付き平均生存期間を推測する工程を包含する、請求項13に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【請求項20】
前記推測される処置効果に基づいて臨床試験をデザインする工程をさらに包含する、請求項11に記載の非一時的機械読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2021年6月24日出願の米国仮特許出願第63/214,643号(発明の名称「Systems and Methods for Randomized Trials via Prognostic Score Stratification」)および2022年4月28日出願の米国仮特許出願第63/363,796号(発明の名称「RMST Pseudovalue Regression Variance」)の利益および優先権を主張する(これらの開示は、それらの全体において全ての目的のために本明細書に参考として援用される)。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、臨床試験デザイン、およびより具体的には、検定力(statistical power)を改善して、層別化および/または疑似値回帰のための生成モデルから導出される共変数を使用して、処置効果を検出することに関する。
【背景技術】
【0003】
背景
臨床研究および臨床試験は、ヒトに対する生体医学的または行動的な介入の安全性および有効性を研究することを目的とする。新薬および医療デバイスが発明される場合、それらは、臨床での使用に関連する当局による承認を受けるために、その有効性および安全性に関するデータを生成する厳格な治験を受けなければならない。満足のいく安全性または有効性のレベルを生じない試験物品は、大規模商業利用に関して承認されない。
【0004】
無作為化比較試験(randomized controlled trial)(RCT)は、臨床試験を行うために使用される1つの方法である。RCTは概して、2つのアーム、すなわち、処置アームおよびコントロールアームを有する。登録された被験体は、各アームへと無作為に割り当てられ、新たな処置を受けた処置アームに登録された被験体の治験アウトカムを既存の処置を受容したコントロールアームに登録された被験体の治験アウトカムに対して比較することによって、提唱される新たな処置の有効性が決定される。微妙な面で参加者が互いに異なることに起因して、アウトカムは彼ら参加者の個々の特性によって影響されるが、RCTは、統計学者がこれらの影響をコントロールすることを可能にする。十分にデザインされたRCTは、治験アウトカムのみならず、実験の考えられる有害効果に関する情報に対しても、信頼性の高い表示(indication)を提供し得る。
【0005】
共変数補正とは、処置効果を推測する場合に、治験被験体のベースライン特性の制御に言及する。大部分の場合、治験アウトカムは、上記治験被験体のベースライン特性に相関される。RCTの文脈において、共変数補正は、処置効果の推測を補助する有効なツールである。ベースライン特性は、無作為割当ての前に収集および測定されることから、統計学者は、無作為化治験群の既知の共変数を補正することによって、上記無作為化治験群にわたって処置効果を試験する能力を保持する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明の実施形態によれば、共変量補正層別化(covariate adjusted stratification)および疑似値回帰(pseudovalue regression)を使用して、無作為化比較試験において処置効果を推測するためのシステムおよび方法が例証される。1つの実施形態は、無作為化比較試験において処置効果を推測するための方法であって、ここで上記方法は、以前の無作為化臨床試験の外部データを受容する工程を包含する方法を含む。上記方法は、複数の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する工程、層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程、および疑似値回帰を使用して、治験被験体の時間-事象(time-to-event)(TTE)処置効果を推測する工程をさらに包含する。
【0007】
別の実施形態において、上記方法は、層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測するための工程を包含し、ここで上記方法は、上記受容した外部データを使用して予後モデルを訓練する工程、上記予後モデルを使用して、治験被験体のアウトカム推定を生成する工程、変数を定義して、上記治験被験体を上記アウトカム推定に基づいて層別化する工程、全ての治験被験体を上記変数によって複数の層へと層別化する工程、および全ての層において治験被験体に関する処置アウトカムを推測する工程を包含する。
【0008】
さらなる実施形態において、上記方法は、疑似値回帰を使用して、治験被験体のTTE処置効果を推測する工程をさらに包含し、ここで上記方法は、予後モデルを、上記受容した外部データを使用して訓練する工程、上記予後モデルおよび上記生成した治験被験体の被験体特性を使用して、治験被験体の予後スコアを生成する工程、ならびに疑似値回帰モデルおよび上記予後スコアを使用して、治験被験体に関するTTE処置効果を推測する工程を包含する。
【0009】
さらに別の実施形態において、複数の治験被験体の1またはこれより多くの特性の上記セットは、治験被験体のベースライン共変数、および治験被験体の処置割当てを含む。
【0010】
なおさらなる実施形態において、上記予後モデルは、生成モデルである。
【0011】
さらに別の実施形態において、上記予後モデルは、一般化線形モデルである。
【0012】
なおさらなる実施形態において、上記予後モデルは、単純ルールに基づくモデルである。
【0013】
別のさらなる実施形態において、上記予後モデルは、モデルベースの生成機械学習モデルである。
【0014】
再びさらに追加の実施形態において、TTE処置効果を推測する工程は、治験被験体の制限付き平均生存期間を推測する工程を包含する。
【0015】
再び別の実施形態において、上記方法は、推測される処置効果に基づいて臨床試験をデザインする工程をさらに包含する。
【0016】
1つの実施形態は、共変量補正層別化および疑似値回帰を使用して、無作為化比較試験において処置効果を推測するためのプロセッサ命令を含む非一時的機械読み取り可能媒体を含み、ここでプロセッサによる上記命令の実行は、上記プロセッサに、以前の無作為化臨床試験の外部データを受容する工程を含むプロセスを行わせる。上記方法は、複数の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する工程、層別化プロセスを使用して、治験被験体の2値アウトカムを推測する工程、および疑似値回帰を使用して、治験被験体の時間-事象(TTE)処置効果を推測する工程をさらに包含する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図面の簡単な説明
詳細な説明および特許請求の範囲は、本発明の例示的実施形態として表される以下の図面およびデータグラフを参照しながらより十分に理解され、本発明の範囲の完全な記載として解釈されるべきではない。
【0018】
図1図1は、無作為化比較試験において処置効果を推測するプロセスのフローチャートである。
【0019】
図2図2は、本発明の一実施形態によれば、無作為化比較試験のデザインにおいて生成モデルに基づく層を組み込むプロセスのチャートートである。
【0020】
図3図3は、本発明の一実施形態によれば、TTEアウトカムに関する処置効果を推測するプロセスのフローチャートである。
【0021】
図4図4は、本発明の一実施形態によれば、処置効果を推測するプロセスが実行され得るネットワークのダイアグラムである。
【0022】
図5図5は、本発明の一実施形態によれば、実行されるべき処置効果を推測するプロセスのためのシステムの高レベルブロック図である。
【0023】
図6図6は、本発明の一実施形態によれば、処置効果を推測するプロセスを実行するアプリケーションの高レベルブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
詳細な説明
本発明のいくつかの実施形態に従うシステムおよび方法は、無作為化比較試験(RCT)において処置効果を推測し得る。いくつかの実施形態において、上記処置効果は、治験に登録された被験体に関するコントロール条件および処置条件の下で、アウトカムから推測され得る。本発明の種々の実施形態に従うシステムおよび方法は、共変量補正層別化を使用して、処置アウトカムを推測し得る。多くの実施形態において、事象アウトカムに関する上記処置効果は、コントロールおよび処置条件下で時間-事象における差異に基づいて評価され得る。本発明の多くの実施形態に従うシステムおよび方法は、共変数補正疑似値回帰を使用して、時間-処置効果(time to treatment effect)を推測し得る。
【0025】
本発明のある特定の実施形態に従うプロセスは、治験に必要とされるサンプルサイズを低減することによって、RCTデザインを改善し得る。多くの実施形態において、プロセスは、実施される推測の分散を低減し得、これは、推測の正確度を改善し得る。
【0026】
RCTはしばしば、結果が代表的であるために、十分に大きなサンプルサイズを必要とする。しかし、治験被験体のサンプルサイズが大きいと、適切な数の参加者を登録することの困難さが増大し得、これは、試験を完了させること、または処置効果を推測する十分な検出力(power)を提供することを困難にし得る。本発明の実施形態は、データ層別化を通じてこの問題を解決し得る。多くの実施形態において、治験被験体は、上記治験被験体のある特定の特性によって重複しない群へと分割され得る。いくつかの実施形態において、治験被験体の層別化は、多数の被験体特性に基づいて多数回行われ得る。本発明の多くの実施形態に従う機械学習モデルは、コントロール条件下でのアウトカムを推測するために使用され得、これは、上記治験被験体を層別化するために使用され得る最適な群分けを特定するために使用され得る。
【0027】
RCTにおいて、時間-事象(TTE)分析は、主要な臨床事象が治験において起こり得る時間枠を確立するそれらの能力にとって重要である。しかし、臨床研究および治験では、目的の臨床事象に達する前に治験から脱落する被験体が常に存在する。十分に管理されたRCTは、代表的には、治験被験体のうちのおよそ10~20%が、意図した追跡の期間の前に治験から離脱する。その失われた被験体は、最後の既知の追跡の時点で、治験の目的のために打ち切りデータとして処理される。打ち切りデータの累積量は、治験における主要な臨床事象までの確立された時間枠に影響を及ぼし得、これは、結論として、処置効果の推測に影響を及ぼし得る。本発明の実施形態は、治験被験体のTTE処置効果を分析するために、疑似値回帰を使用することによってこの問題を解決し得る。ある特定の実施形態において、疑似値回帰は、TTE処置効果を推測するために適用される打ち切りデータである。
【0028】
本発明の多くの実施形態によれば、RCTにおいて処置効果を推測する例示的なプロセスは、図1に図示される。多くの実施形態において、プロセス100は、(110)以前の無作為化臨床試験からの治験被験体の外部データを獲得する。いくつかの実施形態において、外部データは、高品質観察研究に由来し得る。本発明のいくつかの実施形態に従う外部データは、治験被験体の被験体特性、および/または以前の無作為化臨床試験からの彼らの最終的な治験アウトカムを含み得る。多くの実施形態において、予後モデルは、獲得した外部データで訓練され、上記モデルは、コントロール条件下で患者に関するアウトカムを推測するために使用され得る。本発明の実施形態は、推測される処置効果の精度を改善するために、これらの推測されるアウトカムを活用し得、これは、以下でさらに詳細に説明される。
【0029】
プロセス100は、(120)標的治験の治験被験体の1またはこれより多くの被験体特性のセットを生成する。ある特定の実施形態において、被験体特性は、各治験被験体のベースライン共変数および被験体の処置アーム割当てを含む。被験体特性は、個々に、または以下で詳細に考察される処置効果の推測における2もしくはこれより多くのものの組み合わせにおいて使用され得る。
【0030】
プロセス100は、(130)治験被験体の処置効果を推測する。多くの実施形態において、推測される処置効果は、処置アウトカム、およびTTE処置効果を含む。いくつかの実施形態において、処置アウトカムは、治験被験体が所望の処置アウトカムを達成しているか否かを説明するという点において二値であり得る。二値処置アウトカムは、層別化された分析を使用して推測され得、それによって、治験被験体の全体が、全ての治験被験体が有するある特定の被験体特性によって層として公知の重複しない群へと分割され、研究者がある特定の被験体特性と上記二値治験アウトカムとの間の相関を観察することを可能にする。多くの実施形態において、処置割当ては、上記被験体の層とは独立している場合もある。なぜなら治験被験体は、層別化が起こる前に、上記治験のコントロールアームまたは処置アームのいずれかに無作為に割り当てられるからである。
【0031】
時間-事象(TTE)分析は、主要な臨床事象が治験において起こり得る時間枠を確立し、治験時の新たな処置の有効性の別のインジケーターであり得る。多くの実施形態における目的の事象は、上記治験被験体が所望の処置アウトカムを得るか否かであり得る。多くの実施形態において、処置効果は、TTE処置効果を含み得る。本発明の実施形態によれば、TTE処置効果は、ある特定の事象に関するTTEが上記治験被験体の間でどの程度変動するかを研究者が観察することを可能にし得る。しかし、TTE処置効果は、目的の事象を得る前に治験から脱落する治験被験体によって影響を及ぼされ得る。従って、多くの実施形態において、打ち切られた被験体を含む被験体のTTE処置効果は、元の治験登録に基づく治験結果の正確な反映を維持するために推測され得る。いくつかの実施形態において、TTE処置効果は、疑似値回帰法を含むパラメトリック回帰モデルを使用して推測され得る。これは、以下でさらに詳細に考察される。
【0032】
多くの実施形態において、臨床研究は、推測される処置効果に基づいてデザインされ得る。多くの実施形態において、推測される処置効果に基づいてデザインされた臨床研究は、コストを節約するためにサンプルサイズを小さく維持しながら、試験検出力の所望のレベルを維持し得る。試験の分散はまた、本発明の実施形態によれば、可能な最大の正確度を達成するために低減され得る。
【0033】
RCTにおいて処置効果を推測するための具体的なプロセスは、上記で記載されるが、種々のプロセスのうちのいずれかが、特定のアプリケーションの要件に適している場合、RCTにおいて処置効果を推測するために利用され得る。ある特定の実施形態において、工程は、示されかつ記載される順番およびシーケンスに限定されない任意の順番またはシーケンスにおいて実行されるかまたは行われ得る。多くの実施形態において、上記工程のうちのいくつかは、適切な場合には実質的に同時に、または待ち時間および処理時間を低減するために並行して、実行されるかまたは行われる。いくつかの実施形態において、上記工程のうちの1またはこれより多くのものは、省略され得る。
【0034】
2値アウトカムに関する処置効果の推測
層別化を使用して2値アウトカムに関する処置効果を推測することは、多工程プロセスである。層別化および推測プロセスの概念図は、図2に図示される。プロセス200は、(210)以前の治験から獲得した外部データを使用して、予後モデルを訓練する。いくつかの実施形態において、外部データは、高品質観察研究に由来し得る。外部データは、本発明のいくつかの実施形態によれば、治験被験体の被験体特性、および/または以前の無作為化臨床試験からの彼らの最終的な治験アウトカムを含み得る。ある特定の実施形態において、上記予後モデルは、生成モデルであり得る。多くの実施形態において、上記予後モデルは、各治験参加者に関する二値アウトカムの確率を導出するために引き続いて使用される、二値、分類別の、連続および時間-事象の出力を有し得る。
【0035】
プロセス200は、(220)上記訓練された予後モデルを使用して、治験被験体に関するコントロールアーム条件下で推定されるアウトカムを生成する。いくつかの実施形態において、予後モデルは、1またはこれより多くの被験体特性の全体のセットを使用して、アウトカム推定を生成する。目的のアウトカムはしばしば、RCTにおいて二値であることから、本発明の多くの実施形態において生成されるアウトカム推定はまた、性質が二値であり得る。なぜならそのスコアは、2つの考えられるアウトカム間のアウトカム確率を推定するからである。2値アウトカムが、いくつかの根底にある連続変数によって定義される場合、上記連続変数自体の推定は、本発明のある特定の実施形態において、層別化変数として使用され得る。いくつかの実施形態において、上記層別化変数の選択は、上記アウトカムおよび上記期待される分散の定義によって一緒に決定され得、サンプルサイズ低減を可能にし得る。
【0036】
多くの実施形態において、上記層別化プロセスは、旧来のCochran-Mantel-Haenszel(CMH)検定のフレームワークを使用する。上記CMH法は、層別化変数を使用して、上記治験被験体を以下のとおりに例証される一連の2×2分割表へと分離する:
【表1】
表1: 処置アームおよびコントロールアームの両方における治験被験体の二値アウトカムに関する2×2表
全ての治験アウトカムが観察される場合、セルAは、所望のアウトカムを得た処置アームに割り当てられた被験体の数を表す。セルBは、所望のアウトカムを得なかった処置アームに割り当てられた被験体の数を表す。コントロールアームに対するCおよびDに関しても同じ解釈が生じる。
【0037】
プロセス200は、(230)上記治験被験体を層別化するために使用する推定されるアウトカムに基づいて変数Xを定義する。いくつかの実施形態において、Xは、アウトカムY観察する確率pとして定義され得、順序(ordinal)であり得る。ある特定の実施形態において、プロセス200は、全ての処置アウトカム推定aを組み合わせ、全てのaを、jによって示される層の数へと分離することによって、変数Xを定義し得る。処置アウトカム推定をCMH法とともに使用する治験の文脈において、本発明のある特定の実施形態に従うプロセスは、試験中に起こる二値アウトカムの確率に基づいて、層へと上記治験被験体を分離し得る。いくつかの実施形態において、これは、ベースライン変数の範囲において上記予後情報のより融通の利く適用を可能にして、層を作成し得、ここで上記層は、コントロール条件下でのアウトカム推定に基づく。CMH法の下でのアウトカム推定で層別化されない治験に関しては、治験の層別化方法論は、処置アウトカム推定によって定義される層によって置き換えられ得る。なぜなら処置アウトカム推定によって定義される層は、1またはこれより多くの被験体特性の全体のセットを組み込むからである。
【0038】
いくつかの実施形態において、プロセス200は、(230)GLMを使用して層別化変数を定義し、提唱される共変数補正分析を行い得る。GLMは、提唱される層別化変数に加えて、多数のさらなる共変数がモデル層別化分析において含められることを可能にし得る。Yi={0,1}が被験体iに関するアウトカムを示すアウトカムベクトルであり、ZXiが被験体iに関する共変数のベクトルであるとする。多くの実施形態において、GLMは、g(X)=Xβとして定義され得る。本発明の多くの実施形態によれば、gは、ロジット関数、ポワソン関数、および対数二項回帰関数(log-binomial function)が挙げられるが、これらに限定されないリンク関数であり得る。
【0039】
プロセス200は、(240)変数Xによって上記治験被験体をj個の層へと層別化する(ここでj=1,2,…,Jである)。多くの実施形態において、p0jおよびp1jは、層xjに関して、それぞれ、コントロールアームおよび処置アームの下で期待されるアウトカム確率を示し、n0jおよびn1jは、それぞれ、各層に関するコントロールアームおよび処置アームにおける被験体の観察される数を表す。プロセス200は、(250)コントロール条件下で全ての層に関するアウトカム分布を推測する。いくつかの実施形態において、プロセス200は、帰無仮説
【数1】
を、対立仮説
【数2】
に対して検定する(ここで
【数3】
は、限界処置効果(marginal treatment effect)の推測値である)。帰無仮説および対立仮説の下でのψの標本分布は、本発明の多くの実施形態によれば、
【数4】
および
【数5】
によってそれぞれ示され得る(ここで
【数6】
は、限界処置効果の推測値の分散を示す)。ある特定の実施形態において、プロセスは、限界処置効果および層の数に基づく推測値の分散、ならびに各層に関する処置アウトカム推定を推測し得る。推測される限界処置効果および対立仮説の下での分散は、J個の層レベル値の加重和の両方であり得る(ここで重さwjは、観察される数n0jおよびn1jによって定義され得る)。さらに、限界処置効果に関するαレベル信頼区間は、対立仮説の下での標本分布から推測され得る。
【0040】
本発明の実施形態は、処置効果の推測と関連する第一種過誤を制御し、偏りのない処置効果を維持することができる。上述のように、処置割当ては、本発明のいくつかの実施形態において層とは無関係であり得る。いくつかの実施形態において、wjpP(X=j)であり、それによって、
【数7】
および
【数8】
は、全てのjの真の確率の一貫した推測値であり得る。
【数9】
であることになり、
【数10】
を、一貫した推測量にし、
【数10-1】
はまた、多くの実施形態において
【数11】
の真の標本分散に関して一貫性があり得る。
【0041】
プロセス200は、(260)層別化一次分析を想定して推測されるアウトカム分布に基づいて試験検出力を推測する。多くの実施形態において、N→∞として、
【数12】
であり、ここでVは、確率および層の重みについていくつかの想定の下でのCMH推測値の期待される分散である。ある特定の実施形態において、wj=P(X=xj)という想定が行われ得る。いくつかの実施形態において、治験のサンプルサイズが増大するにつれて、N→∞、試験の検出力は以下に近づく:
【数13】
【0042】
二値アウトカム推定を使用しない推測の分散と比較したCMHモデルおよび二値アウトカム推定を使用する推測の分散における低減は、以下のとおりに表され得る:
【数14】
実際に、式(2)の演繹的近似は、履歴データセットから推測され得るいくつかの変数の期待値を有する必要があり得る。
【0043】
ある特定の実施形態において、式(2)は、コントロール処置Y(rXY)に関してXおよびYとの間の相関を二乗したRによって近似され得る。いくつかの実施形態において、スピアマン相関は、XとYとの間の関連を決定するために使用され得る。なぜならXは、分類別の順序共変数として定義され得、Yは、分類別の二値アウトカムとして定義され得るからである。いくつかの実施形態において、ケンドールのタウまたは曲線下面積(AUC)のような他の有意義な尺度は、関連のレベルを決定するために使用され得る。
【0044】
多くの実施形態において、CMH検定によって推測される処置効果の分散、
【数15】
はまた、層レベルのアウトカムの関数である。Jおよびp0jの値が全ての層に関して既知である場合、E(γ)は、期待値として計算され得る。デザインパラメーターの値が制限される場合、別の演繹的プロセスが、層可能性を推測するために必要とされ得る。いくつかの実施形態において、上記プロセスは、サンプルサイズNに関してシミュレートされるために、パラメーターJ、
【数16】
およびrXYを必要とする。シミュレートしたデータにおける被験体は、アウトカム(xi,yi)を有する層に割り当てられ得、ここでp0jは、平均として理解され得る。ある特定の想定の下で、分散低減は、
【数17】
によって近似され得、ここでV(xj)は、推測されるp0jに基づく層xjに関する期待される分散である。実際に、CMHおよび未補正検定(unadjusted test)の両方に関するσ2の形式的推測は、上記に記載されるとおりの期待されるパラメーター値を使用して行われるべきである。
【0045】
本発明の実施形態は、所望の検出力および第一種過誤制御を維持しながら、RCTに必要なコントロールアームサンプルサイズを低減し得る。n0 *がCMH検定の下でコントロールアームサンプルサイズであるとし、n0が未補正検定からのコントロールアームサンプルサイズであるとする。いくつかの実施形態において、プロセスは、サンプルサイズの低減
【数18】

【数19】
を解くことによって演繹的に近似する。ここで下付文字1は、上記で示される対立仮説の下での値を示す。
【0046】
RCTにおいて層別化を使用して2値アウトカムに関する処置効果を推測するための具体的なプロセスは、上記で記載されるが、種々のプロセスのうちのいずれかが、特定のアプリケーションの要件に適している場合、RCTにおいて層別化を使用して2値アウトカムに関する処置効果を推測することに利用され得る。ある特定の実施形態において、工程は、示されかつ記載される順番およびシーケンスに限定されない任意の順番またはシーケンスにおいて実行されるかまたは行われ得る。多くの実施形態において、上記工程のうちのいくつかは、適切な場合には実質的に同時に、または待ち時間および処理時間を低減するために並行して、実行されるかまたは行われる。いくつかの実施形態において、上記工程のうちの1またはこれより多くのものは、省略され得る。
【0047】
TTE処置効果の推測
TTEエンドポイントとは、ある特定の事象が治験において起こる時点に言及する。TTEエンドポイントから検出される処置効果は、新たな処置の有効性の別のインジケーターであり得る。治験被験体が異なれば、進行も異なり得るので、処置条件とコントロール条件との間での被験体のTTEにおいて検出される差異は、医薬品に対する潜在的な改善を行っている研究者を補助し得る。疑似値回帰とともに生成モデルから獲得した共変数を使用して、TTE処置効果を推測することの概念的図示は、図3に図示される。多くの実施形態において、TTE処置効果を推測する目的に関する目的の事象は、治験被験体が、試験において有利なまたは不利なアウトカムを有するかどうかであり、これは、中間事象をも説明する。プロセス300は、(310)獲得した外部データを使用して予後モデルを訓練する。いくつかの実施形態において、外部データは、臨床試験のコントロールアーム、高品質観察研究、または高品質データセットに近似し得る任意の他のデータ源に由来し得る。外部データは、本発明のいくつかの実施形態によれば、治験被験体の被験体特性および以前の無作為化臨床試験からの彼らの最終的な治験アウトカムを含み得る。いくつかの実施形態において、上記予後モデルは、単純ルールに基づくモデルであり得る。上記予後モデルは、ある特定の実施形態において、モデルベースの生成機械学習モデルであり得る。
【0048】
プロセス300は、(320)上記訓練された予後モデルおよび被験体の被験体特性を使用して、治験被験体の予後スコアを生成する。ある特定の実施形態において、予後スコアは、上記予後モデルによって推定される処置アウトカム推定の期待値であり得る。予後スコアは、
【数20】
によって定義され得、ここでXは、i番目の潜在的予後ベースライン特性を表し得る。多くの実施形態において、プロセスは、上記予後モデルからサンプルを抽出し、その抽出されたサンプルに対してモンテカルロ法を適用することによって、アウトカム推定の期待値を計算し得る。
【0049】
プロセス300は、(330)疑似値回帰モデルおよび予後スコアを使用して、TTEアウトカムに関する処置効果を推測する。ある特定の実施形態において、プロセスは、利用可能なTTEデータが容易に収集され得る標的治験の完了後に、この推測を行う。多くの実施形態において、目的の時間-事象は、制限付き平均生存期間(RMST)であり得る。本発明のいくつかの実施形態に従うプロセスは、一般化線形モデル(GLE)を、打ち切りデータを含むTTEデータに適合させる。θがRMSTを示し、Xi,…,Xnが独立しかつ同一に分布した量を表すある関数fについてθ=E[f(x)]とする。θi=E[f(Xi)|zi]は、ziが与えられる場合のf(Xi)の条件付き期待値であり、ここでzi,…,znは、共変数の独立したかつ同一に分布したサンプルを表す。多くの実施形態において、θの偏りのない推測量
【数21】
は、以下のようにθのi番目の疑似観測値を定義するために使用され得る:
【数22】
ここで
【数23】
は、{Xj:j≠i}に基づくθのジャックナイフリーブワンアウト推測量である。いくつかの実施形態において、線形モデルθi011T2ciを使用して、以下の推測式:
【数24】
からβ=(β012)を解き得る。係数βは、推測され得、帰無仮説は、本発明の実施形態によれば、t分布に基づいて両側のp値を計算することによって評価され得る。疑似値
【数25】
は、上記モデルにおいて観察されるデータXを置き換える。これは、打ち切りデータを無修正データと同じようにモデル化することから、次善策として働き得る。共変数補正疑似値回帰における予後スコアcは、より高い精度で係数推測を提供する。多くの実施形態において、共変数と疑似値との間の相関が増大するにつれて、精度の増大がより大きい可能性がある。いくつかの実施形態において、増大した精度は、効率を押し上げるおよび/またはサンプルサイズを低減するために使用され得る。
【0050】
選択された実施形態において、プロセスは、各治験被験体iに関する条件付き生存分布の推測値を提供するために、生存モデルPを適合させることによって、分散低減において最大の増大を得る可能性がある。いくつかの実施形態において、条件付き生存分布の推測値は、
【数26】
によって表され得る。
【0051】
多くの実施形態において、プロセスは、ci
【数27】
との間の相関を推測することによって、治験のサンプルサイズを低減し得る。多くの実施形態において、治験被験体に関する相関の推測は、外部データにおける検定データセットおよび標的治験における期待される処置効果に基づき得る。ここで相関は、上記外部データと上記標的治験との間の類似性に基づいて推測され得る。推測される相関は、上記標的治験において示されるアウトカムが外部データとは異なる場合に減少している可能性がある。いくつかの実施形態において、上記推測される相関は、治験のデザイン段階においてサンプルサイズ計算のために使用され得る。多くの実施形態において、プロセスは、第一種過誤を維持し、処置効果の偏りのない推測値を生成する。
【0052】
本発明のいくつかの実施形態において上記のプロセスが実行され得るネットワークの例は、図4に図示される。多くの実施形態において、ネットワーク400は、通信ネットワーク460を含む。通信ネットワーク460は、ネットワーク460に接続されたデバイスが他の接続されたデバイスと通信することを可能にするインターネットのようなネットワークであり得る。多くの実施形態において、サーバーシステム440および470は、ネットワーク460に接続され得る。本発明の種々の実施形態によれば、サーバーシステム440および470の各々は、ネットワーク460を介してユーザーにクラウドサービスを提供するプロセスを実行する、内部ネットワークを介して互いに通信するように接続された1またはこれより多くのサーバーの群であり得る。この考察の目的に関しては、クラウドサービスは、ネットワークを介してデータおよび/実行可能なアプリケーションをデバイスに提供するために、1またはこれより多くのサーバーシステムによって実行される1またはこれより多くのアプリケーションである。
【0053】
上記サーバーシステム440および470が示され、各々、内部ネットワークの中で3つのサーバーを有する。しかし、上記サーバーシステム440および470は、任意の数のサーバーを含んでいてもよく、任意のさらなる数のサーバーシステムが、クラウドサービスを提供するために上記ネットワーク460に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、ユーザーにサービスを提供するために、ネットワーク460に接続される単一サーバー410のみが存在してもよい。本発明の種々の実施形態によれば、本発明の一実施形態に従って無作為化比較試験において処置効果を推測するシステムおよび方法を使用するコンピューティングシステムは、単一サーバーシステムおよび/またはネットワーク460を介して通信するサーバーシステムの群で実行されるプロセスによって提供され得る。
【0054】
ユーザーは、本発明の種々の実施形態に従って無作為化比較試験において処置効果を推測するプロセスを行うためにネットワーク460に接続するパーソナルデバイス480を使用し得る。示される実施形態において、パーソナルデバイス480は、ネットワーク460に従来の「有線」接続を介して接続されるデスクトップコンピューターとして示される。しかし、パーソナルデバイス480は、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、スマートテレビ、娯楽用ゲーム機、または「有線」接続を介してネットワーク460に接続する任意の他のデバイスであり得る。モバイルデバイス420は、無線接続を使用して、ネットワーク460に接続し得る。無線接続は、高周波(RF)シグナル、赤外線シグナル、またはネットワーク460に接続するための無線信号方式の任意の他の形態を使用する接続であり得る。この図の例では、モバイルデバイス420は、携帯電話である。しかし、モバイルデバイス420は、モバイルフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、タブレット、スマートフォン、または本発明から逸脱することなく無線接続を介してネットワーク460に接続する任意の他のタイプのデバイスであり得る。
【0055】
本発明のいくつかの実施形態において上記のプロセスが実行され得るコンピューティングシステムの一例は、図5に図示される。処置効果推測要素500は、外部データを受容し得るネットワークインターフェース530、および外部データメモリ544の下で外部データを保存するメモリ530を含む。プロセッサ510は、処置効果推測アプリケーション542を実行して、本発明のいくつかの実施形態に従って無作為化比較試験において処置効果を推測し得る。当業者は、上記コンピューティングシステムが、本発明から逸脱することなく、簡潔さのために、ある特定の構成要素を排除し得ることおよび/省略され得る他の構成要素を含み得ることを認識する。
【0056】
多くの実施形態において、プロセッサ510は、メモリ540の中に保存された命令を行って、メモリの中に保存された治験データを操作する、プロセッサ、マイクロプロセッサ、コントローラー、またはプロセッサ、マイクロプロセッサ、および/もしくはコントローラーの組み合わせを含み得る。プロセッサ命令は、プロセッサ510が本発明のある特定の実施形態に従うプロセスを行うように構成し得る。種々の実施形態において、プロセッサ命令は、非一時的機械読み取り可能媒体に保存され得る。
【0057】
処置効果推測要素500の具体例がこの図の中に図示されるが、種々の処置効果推測要素のうちのいずれも、本発明の実施形態に従う特定のアプリケーションの要件に適切な場合に、本明細書で記載されるものに類似のRCTにおいて処置効果を推測するためのプロセスを行うために利用され得る。
【0058】
本発明の一実施形態に従って無作為化比較試験において処置効果を推測するために命令を実行する推測アプリケーションの一例は、図6に図示される。いくつかの実施形態において、推測アプリケーション600は、推測量602、層別化エンジン604、および疑似値回帰エンジンを含み得る。本発明の種々の実施形態に従う推測量602は、無作為化比較試験において処置効果を推測するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記層別化エンジン604は、2値アウトカムに関する処置効果を推測するために、治験被験体を層別化するために使用され得る。いくつかの実施形態において、上記疑似値回帰エンジン606は、治験被験体のTTE処置効果を推測するために使用され得る。
【0059】
処置効果推測アプリケーションの具体例がこの図の中に図示されるが、種々の処置効果推測アプリケーションのうちのいずれも、本発明の実施形態に従う特定のアプリケーションの要件に適切な場合に、本明細書で記載されるものに類似のRCTにおいて処置効果を推測するためのプロセスを行うために利用され得る。
【0060】
RCTにおいて処置効果を推測する特定の方法が上記で考察されているが、多くの異なるデザイン方法が、本発明の多くの異なる実施形態に従って実行され得る。従って、本発明が、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく、具体的に記載されるもの以外の方法で実施され得ることは、理解されるべきである。従って、本発明の実施形態は、全ての点において例証として見做されるべきであって、限定として見做されるべきではない。よって、本発明の範囲は、例証される実施形態によって決定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって決定されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】