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特表2024-522850遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240614BHJP
   C12N 15/20 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/17 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/67 20060101ALN20240614BHJP
   A61K 38/20 20060101ALN20240614BHJP
   A61K 38/30 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
C12N15/113 Z
C12N15/20
C12N15/17
A61K48/00
A61P19/02
A61P17/00
A61P29/00
A61P43/00 121
A61K31/713
C12N15/67 Z
A61K38/20
A61K38/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579057
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2022000358
(87)【国際公開番号】W WO2022269356
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/213,829
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521265726
【氏名又は名称】ヴェルサメブ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァラージ, ジャスティン アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ザイデベェルド, クラース ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン-ヴュルナー, ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー, フリードリヒ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084BA44
4C084DA16
4C084DB58
4C084MA02
4C084NA06
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZA96
4C084ZB11
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA06
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB11
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む、遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法に関する。本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、少なくとも2種の遺伝子エレメントのうちの多くとも1種を含む相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトによって誘導される免疫応答よりも低い、ヒト細胞における免疫応答を誘導する。疾患を治療することにおける、および2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける、組成物の使用も本明細書に開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)の第1のRNA配列と、少なくとも2種の遺伝子エレメントのうちの多くとも1種を含む(ii)の相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物。
【請求項2】
組み換えRNAコンストラクトが、1つまたは複数のウリジンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
組み換えRNAコンストラクトが、修飾されたウリジンを含まない、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物。
【請求項5】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物。
【請求項6】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物。
【請求項7】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
組み換えRNAコンストラクトは、非修飾のヌクレオチドまたは天然のヌクレオチドだけを含む、組成物。
【請求項8】
(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、
(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、
(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または
(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは、非修飾のウリジンである、組成物。
【請求項9】
ヌクレオチドバリアントが、修飾されたウリジンを含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
修飾されたウリジンが、N1-メチルシュードウリジンを含む、請求項3、5、および9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
相当する組み換えRNAコンストラクトが、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントのいずれも含まない、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
第2のRNA配列が、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも3種の遺伝子エレメントを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
第2のRNA配列が、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも6種の遺伝子エレメントを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
第1のRNA配列が、メッセンジャーRNA(mRNA)配列である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、二次構造を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、ヘアピン構造またはループ構造を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、短いまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)である、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、細胞内タンパク質によってプロセシングされるまたは切断される、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、細胞の内因性タンパク質によってプロセシングされるまたは切断される、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、内因性DICERによってプロセシングされるまたは切断される、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、低分子干渉RNA(siRNA)を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれが、1種または複数の標的RNAに結合し得る、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
免疫応答が、ヒトToll様受容体7(TLR7)免疫応答、インターフェロンアルファ/ベータ(IFNα/β)免疫応答、ヒトToll様受容体3(TLR3)免疫応答、ヒトToll様受容体8(TLR8)免疫応答、またはその任意の組み合わせである、請求項1から3または11から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、ヒトToll様受容体7(TLR7)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、請求項1から3または11から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
ヒトTLR7免疫原性アッセイが、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
ヒトTLR7免疫原性アッセイが、HEK293細胞またはその誘導体において実施される、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
HEK293細胞が、hTLR7およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
レポーター遺伝子が、分泌型レポーター遺伝子である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
分泌型レポーター遺伝子が、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
レポーター遺伝子が、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある、請求項27から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
プロモーターがIFN-β最小プロモーターである、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答が、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも少なくとも1.5倍または少なくとも2倍低い、請求項24から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、インターフェロンアルファ/ベータ(IFNα/β)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、請求項1から3または11から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
IFNα/β免疫原性アッセイが、JAK-STATおよび/またはISG3の活性化を測定する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
IFNα/β免疫原性アッセイが、HEK293細胞またはその誘導体において実施される、請求項33または34に記載の組成物。
【請求項36】
HEK293細胞が、ヒトSTAT2および/またはIRF9遺伝子ならびにレポーター遺伝子を発現するように操作されている、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
レポーター遺伝子が、分泌型レポーター遺伝子である、請求項36に記載の組成物。
【請求項38】
分泌型レポーター遺伝子が、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
レポーター遺伝子が、1つまたは複数のSTAT2および/またはIRF9結合部位を有するプロモーターの制御下にある、請求項36から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
プロモーターがISG54プロモーターである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答が、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、または少なくとも100倍低い、請求項33から40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、ヒトToll様受容体3(TLR3)免疫原性アッセイに従った実質的な免疫応答をもたらさない、請求項1から3または11から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
ヒトTLR3免疫原性アッセイが、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定する、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
ヒトTLR3免疫原性アッセイが、HEK293細胞またはその誘導体において実施される、請求項42または43に記載の組成物。
【請求項45】
HEK293細胞が、hTLR3およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
レポーター遺伝子が、分泌型レポーター遺伝子である、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
分泌型レポーター遺伝子が、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
レポーター遺伝子が、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある、請求項45から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
プロモーターがIFN-β最小プロモーターである、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、ヒトToll様受容体8(TLR8)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、請求項1から3または11から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
ヒトTLR8免疫原性アッセイが、NF-κB、AP1、および/またはIRFの活性化を測定する、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
ヒトTLR8免疫原性アッセイが、HEK293細胞またはその誘導体において実施される、請求項50または51に記載の組成物。
【請求項53】
HEK293細胞が、hTLR8およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
レポーター遺伝子が、分泌型レポーター遺伝子である、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
分泌型レポーター遺伝子が、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である、請求項54に記載の組成物。
【請求項56】
レポーター遺伝子が、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある、請求項53から55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
プロモーターがIFN-β最小プロモーターである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
免疫応答が、細胞において炎症促進性サイトカインの発現を誘導する、請求項1から3または11から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
炎症促進性サイトカインがインターロイキン6(IL-6)を含む、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
細胞が、ヒト肺上皮癌細胞(A549)またはヒト単球白血病細胞(THP-1)を含む、請求項58または59に記載の組成物。
【請求項61】
第2のRNA配列が、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAを含み、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAは、
(i)異なる標的RNA;
(ii)同じ標的RNAの異なる領域;
(iii)同じ標的RNAの同じ領域;または
(iv)その任意の組み合わせ
に結合し得るsiRNAを含む、請求項21から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
第2のRNA配列が、少なくとも3種のsiRNAを含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
第2のRNA配列が、少なくとも6種のsiRNAを含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項64】
組み換えRNAコンストラクトが、1種または複数のリンカーをさらに含む、請求項1から63のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
1種または複数のリンカーのそれぞれが、
式(I):XCAACAAX
[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および
式(II):XTCCCX
[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]
からなる群から選択される構造を有する、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
1種または複数のリンカーのそれぞれが、ACAACAAを含む配列を含む、請求項64に記載の組成物。
【請求項67】
1種または複数のリンカーのそれぞれが、(a)TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または(b)RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、請求項64に記載の組成物。
【請求項68】
1種または複数のリンカーのそれぞれが、(a)第1のRNA配列と第2のRNA配列との間、(b)第2のRNA配列の2、3、4、5、6種、もしくはそれより多くのsiRNAのそれぞれの間、または(c)(a)および(b)の両方の間に存在する、請求項64から67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
1種または複数のリンカーのそれぞれが、配列番号27、28、85~95からなる群から独立して選択される配列を含む、請求項64から68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
関心のある遺伝子の発現がモジュレートされる、請求項1から69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
関心のある遺伝子の発現が、組み換えRNAコンストラクトを含む細胞において上方調節される、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質の発現が、組み換えRNAコンストラクトを含む細胞において上方調節される、請求項70に記載の組成物。
【請求項73】
1種または複数の標的RNAの発現がモジュレートされる、請求項1から72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
1種または複数の標的RNAの発現が、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントによって下方調節される、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントが、関心のある遺伝子の発現を阻害しない、請求項1から74のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項76】
関心のある遺伝子が、インターロイキン4(IL-4)およびインスリン様成長因子1(IGF-1)からなる群から選択される、請求項1から75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
1種または複数の標的RNAが、ノンコーディングRNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)を含む、請求項1から76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
1種または複数の標的RNAのそれぞれがノンコーディングRNAである、請求項1から77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
1種または複数の標的RNAのそれぞれがmRNAである、請求項1から77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
標的RNAが、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン1ベータ(IL-1ベータ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン17(IL-17)、またはその機能的バリアントを含むタンパク質をコードするmRNAである、請求項1から77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントが、1種または複数の標的RNAのエクソンに結合する、請求項1から80のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントが、1種の標的RNAに特異的に結合する、請求項1から81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントが、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない、請求項1から82のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項84】
関心のある遺伝子が、RNAスプライシングなしで発現される、請求項1から83のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項85】
第1のRNA配列が、第2のRNA配列の下流または3’に存在する、請求項1から84のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
第1のRNA配列が、第2のRNA配列の上流または5’に存在する、請求項1から85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
RNAコンストラクトが、第1のRNA配列の上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項1から86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
ポリ(A)テール、5’キャップ、またはコザック配列をさらに含む、請求項1から87のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
第1のRNA配列および第2のRNA配列が、両方とも組み換えである、請求項1から88のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
siRNAが、配列番号57~70から選択されるセンス鎖配列を含む、請求項1から89のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項91】
細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための、請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項92】
請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む、薬学的組成物。
【請求項93】
請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、ベクター。
【請求項94】
請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物、または請求項93に記載のベクターを含む、細胞。
【請求項95】
請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物、または請求項93に記載のベクターを細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを同時に発現させる方法。
【請求項96】
請求項1から90のいずれか一項に記載の組成物、または請求項92に記載の薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法。
【請求項97】
疾患または病状が、皮膚疾患もしくは病状、または関節疾患もしくは病状を含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
皮膚疾患または病状が炎症性皮膚障害を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
炎症性皮膚障害が乾癬を含む、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
関節疾患または病状が関節変性を含む、請求項97に記載の方法。
【請求項101】
関節変性が、椎間板疾患(IVDD)または変形性関節症(OA)を含む、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
対象がヒトである、請求項96から101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、
(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-8 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物。
【請求項104】
(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、
(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)と
を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-1ベータmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物。
【請求項105】
組み換えRNAコンストラクト:
(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、
(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)と
を含む組成物であって、
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物。
【請求項106】
組み換えRNAコンストラクト:
(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、
(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)と
を含む組成物であって、
ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることが、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAおよびIL-17 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物。
【請求項107】
配列番号1~24、42、125、97~108、121~122、および127~128からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月23日に出願された米国仮出願第63/213,829号の利益を主張するものであり、それは参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は配列表を含有する。
【背景技術】
【0003】
数多くのヒト疾患および障害は、ある特定のタンパク質の、疾患または障害を有しないヒトにおけるこれらのタンパク質の発現レベルと比較して、より高くかつ/またはより低い発現レベルの組み合わせによって引き起こされる。単一コンストラクトを用いた、標的タンパク質の発現を選択的に増加させ得、別の異なる標的タンパク質の発現を減少させ得るRNA治療薬は、治療効果を有し得る。しかしながら、外因性RNAは、望ましくない自然免疫応答を誘発し得る。したがって、不要な自然免疫活性化を回避する低下した免疫原性を有するRNA治療薬を開発する必要がある。
【発明の概要】
【0004】
1種の組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを使用して、2種または3種以上のタンパク質の発現を同時にモジュレートするための組成物および方法が本明細書において提供される。例えば、本明細書において提供される組成物および方法を使用して、第1のタンパク質の発現を増加させ得、第2のタンパク質の発現を減少させ得る。例えば、本明細書において提供される組成物および方法を使用して、第1のタンパク質の発現を増加させ得、第2のタンパク質の発現を減少させ得、第3のタンパク質の発現を減少させ得る。
【0005】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)の第1のRNA配列と、少なくとも2種の遺伝子エレメントのうちの多くとも1種を有する(ii)の相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたウリジンを含まない。一部の実施形態において、ヌクレオチドバリアントは、修飾されたウリジンを含む。一部の実施形態において、修飾されたウリジンは、N1-メチルシュードウリジンを含む。
【0006】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0007】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0008】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0009】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは、非修飾のヌクレオチドまたは天然のヌクレオチドだけを含む、組成物が本明細書において提供される。
【0010】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0011】
一部の態様において、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含むベクターが本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を含む細胞が本明細書において提供される。
【0012】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを同時に発現させる方法が本明細書において提供される。
【0013】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載される薬学的組成物のいずれか1種をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。
【0014】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-8 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0015】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-1ベータmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0016】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0017】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAおよびIL-17 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0018】
一部の態様において、配列番号1~24、42、125、97~108、121~122、および127~128からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。
【0019】
参照による組み入れ
本明細書において触れられるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み入れられることを具体的にかつ個々に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0020】
本開示の特質は、添付の特許請求の範囲において特定性を有して明記される。本開示の特質および利点についてのよりよい理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および付属の図面を参照することにより獲得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】コンストラクト設計の概略図である。ポリ核酸(例えば、DNA)コンストラクトは、T7 RNAポリメラーゼ結合、ならびに単一RNA転写産物における関心のある遺伝子(例えば、IGF-1またはIL-4)およびsiRNAの両方のin vitro転写の成功のために、関心のある遺伝子配列の上流にT7プロモーター配列を含み得る。関心のある遺伝子のシグナルペプチドは、灰色のボックスで強調されている。mRNAをsiRNAにまたはsiRNAをsiRNAに接続するリンカーは、それぞれ水平の縞模様を有するボックスまたはチェックの縞模様を有するボックスで示されている。T7:T7プロモーター、siRNA:低分子干渉RNA。
図2A】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.1~Cpd.6;0.3μg/ウェル)を用いたトランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞におけるNF-κB経路の活性化に関するプロットである。X軸は、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示す。R848をポジティブコントロールとして使用した。siRNA構造を有しないIL-4 mRNAを、比較(修飾されたおよび非修飾の)のために使用した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。Y軸は、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞におけるNF-κB経路の活性化レベルを示す、BG補正されたOD620を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。
図2B】修飾または非修飾の化合物(Cpd.1~Cpd.6;0.6μg/ウェル)をトランスフェクトされているヒト胎児性腎臓(HEK293)細胞の上清による、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるJAK-STATおよびISG3経路の活性化に関するプロットである。X軸は、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞を刺激するために使用された種々の試料を示す。IFN-アルファをポジティブコントロールとして使用した。トランスフェクトされていないHEK293細胞の上清を、バックグラウンドコントロールとして使用した。Y軸は、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるJAK-STATおよびISG3経路の活性化レベルを示す、BG補正されたOD620を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。
図3A】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.4、Cpd.6~Cpd.9;0.3μg/ウェル)を用いたトランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞におけるNF-κB経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。R848をポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、NF-κB経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNA位置との関連でのNF-κB経路活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.7非修飾(unmod.)(5’位における1×siRNA)およびCpd.8非修飾(3’位における1×siRNA)についてのスチューデントt検定によって査定した。
図3B】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.4、Cpd.6~Cpd.9;0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているヒト胎児性腎臓(HEK293)細胞の上清による、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるJAK-STATおよびISG3経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていないHEK293細胞の上清を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。IFN-アルファをポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞を刺激するために使用された種々の試料を示し、Y軸は、JAK-STATおよびISG3経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNA位置との関連でのJAK-STATおよびISG3経路活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.7非修飾およびCpd.8非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図4A】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.10~Cpd.12;0.45μg/ウェル)を用いたトランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞におけるNF-κB経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用した。R848をポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、NF-κB経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。
図4B】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.10~Cpd.12;0.6μg/ウェル)をトランスフェクトされているヒト胎児性腎臓(HEK293)細胞の上清による、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるJAK-STATおよびISG3経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていないHEK293細胞の上清を、バックグラウンドコントロールとして使用した。IFN-アルファをポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞を刺激するために使用された種々の試料を示し、Y軸は、JAK-STATおよびISG3経路の活性化レベルを示すOD620(バックグラウンド補正された)を示す。データは、Cpd.あたり4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。
図5A】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14;0.6μg/ウェル)を用いたトランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR3細胞におけるNF-κBおよびAP-1シグナル伝達経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。ポリ(I:C)HMWをポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)hTLR3細胞を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、NF-κB/AP1経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連でのTLR3媒介性NF-κB/AP1活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.3非修飾対Cpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連でのTLR3媒介性NF-κB/AP1活性化に関して、有意性(*、<0.05)を、Cpd.3非修飾対Cpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図5B】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14;0.6μg/ウェル)を用いたトランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR8細胞におけるNF-κB/AP-1およびIRF媒介性シグナル伝達経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。R848をポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)hTLR8細胞を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、NF-κB/AP1およびIRF経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連でのTLR8媒介性NF-κB/AP1/IRF活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.3非修飾対Cpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連でのTLR3媒介性NF-κB/AP1/IRF活性化に関して、有意性(*、<0.05)を、Cpd.3非修飾対Cpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図6A】24時間後の、修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)のトランスフェクションに対する免疫応答としての、ヒト白色人種肺癌(A549)細胞におけるIL-6発現に関するプロットである。X軸は、A549細胞におけるIL-6発現を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、ヒトIL-6レベル(pg/mL)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連での免疫応答としてのIL-6発現に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.3非修飾およびCpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連での免疫応答としてのIL-6発現に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.4非修飾およびCpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図6B】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているヒト白色人種肺癌(A549)細胞に由来する等価容量(20μl)の上清による、HEK-Blue(商標)ヒトIL-6レポーター細胞におけるSTAT-3経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていないA549細胞の上清(20μl)を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。組み換えIL-6(100ng/mL)をポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)ヒトIL-6レポーター細胞を刺激するために使用された種々の試料を示し、Y軸は、STAT-3経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連でのSTAT3経路活性化に関して、有意性(**、<0.01)を、Cpd.3非修飾およびCpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連でのSTAT3経路活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.4非修飾およびCpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図7A】24時間後の、修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)のトランスフェクションに対する免疫応答としての、ヒト血液単球(THP-1)細胞におけるIL-6発現に関するプロットである。X軸は、THP-1細胞におけるIL-6発現を刺激するために使用された種々のコンストラクト試料を示し、Y軸は、ヒトIL-6レベル(pg/mL)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連での免疫応答としてのIL-6発現に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.3非修飾およびCpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連での免疫応答としてのIL-6発現に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.4非修飾およびCpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
図7B】修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)を逆トランスフェクトされているヒト血液単球(THP-1)細胞に由来する等価容量(20μl)の上清による、HEK-Blue(商標)ヒトIL-6レポーター細胞におけるSTAT-3経路の活性化に関するプロットである。トランスフェクトされていないTHP1細胞の上清を、バックグラウンド(BG)コントロールとして使用した。組み換えIL-6(100ng/mL)をポジティブコントロールとして使用した。X軸は、HEK-Blue(商標)ヒトIL-6レポーター細胞を刺激するために使用された種々の試料を示し、Y軸は、STAT-3経路の活性化レベルを示すOD620(BG補正された)を示す。データは、Cpd.あたり8つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。修飾を有するCpd.は黒色の棒として提示されており、非修飾のCpd.は点付きの棒として提示されている。siRNAの存在または非存在との関連でのSTAT3経路活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.3非修飾およびCpd.13非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。siRNAの存在または非存在との関連でのSTAT3経路活性化に関して、有意性(***、<0.001)を、Cpd.4非修飾およびCpd.14非修飾についてのスチューデントt検定によって査定した。
【発明を実施するための形態】
【0022】
詳細な説明
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、それぞれが、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントをコードするまたは含む少なくとも2種の核酸配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む、2種以上の遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法が本明細書において提供される。本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物と接触した1つまたは複数の細胞は、低下したレベルの自然免疫活性およびより低い免疫応答を有し得、1つまたは複数の細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする効力を増加させ得る。
【0023】
本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、1種または複数のリンカーをさらに含み得る。1つの場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントをコードするまたは含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間に存在し得る。別の場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種または複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントをコードするまたは含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種もしくは複数の遺伝子をコードする核酸配列と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントをコードするもしくは含む核酸配列との間、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間、および/または関心のある1種もしくは複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも3種の遺伝子エレメントを含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも6種の遺伝子エレメントを含み得る。
【0024】
本明細書に記載される組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、または本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトをコードするベクターも本明細書において提供される。本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物またはベクターを含む細胞が本明細書において提供される。本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、薬学的組成物に製剤化され得る。並行して2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする組成物および方法が本明細書においてさらに提供される。
【0025】
本明細書に記載される組成物または薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療するための組成物および方法が本明細書において提供される。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、第1のRNA配列および第2のRNA配列を含み得る。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数のメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得、mRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させ得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントであり得る。例えば、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)を含み得、標的RNAによってコードされるタンパク質のレベルを下方調節し得る。例えば、mRNAおよび標的RNAは、本明細書に記載される遺伝子関連疾患および病状のものであり得る。
【0026】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは等価の方法および材料が、本開示の実践または試験において使用され得るものの、適切な方法および材料が下で記載される。
【0027】
定義
様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために、本説明についてのある特定の具体的な詳細が明記される。しかしながら、当業者であれば、本開示はこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。別の場合には、実施形態の説明を不必要に分かりにくくすることを回避するために、周知の構造は詳細に示されていないまたは記載されていない。文脈が別途要しない限り、本明細書および後に続く特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等のその変形は、開かれた内包的な意味で、つまり「含むがそれらに限定されない」として捉えられるべきである。さらに、本明細書において提供される見出しは、単なる便宜上のものであり、主張される開示の範囲または意味を解釈するわけではない。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が別途はっきりと述べていない限り、複数形の指示対象を含む。「または」という用語は、文脈が別途はっきりと述べていない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に採用されることにも留意すべきである。本明細書において使用される「および/または」および「その任意の組み合わせ」という用語、ならびにそれらの文法的等価物は、互換可能に使用され得る。これらの用語は、任意の組み合わせが具体的に企図されることを伝え得る。例示的な目的のためだけに、以下の語句「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはその任意の組み合わせ」は、「個々にA;個々にB;個々にC;AおよびB;BおよびC;AおよびC;ならびにA、B、およびC」を意味し得る。「または」という用語は、文脈が離接的使用に具体的に言及しない限り、接続的にまたは離接的に使用され得る。
【0029】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって判定される特定の値に対して許容される誤差域内にあることを意味し得、それは、値がどのように測定されたまたは判定されたか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野における実践につき、1以内または1より大きい標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」は、所与の値の最高20%まで、最高10%まで、最高5%まで、または最高1%までの域を意味し得る。代替的に、特に生物学的システムまたは過程に関して、該用語は、値の1桁以内、5倍以内、または2倍以内にあることを意味し得る。本出願および特許請求の範囲において特定の値が記載される場合、別途指定のない限り、特定の値に対して許容される誤差域内にあることを意味する「約」という用語が仮定されるべきである。
【0030】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、「含む(comprising)」(ならびに、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」等、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに、「有する(have)」および「有する(has)」等、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに、「含む(includes)」および「含む(include)」等、含む(including)の任意の形態)、または「含有する(containing)」(ならびに、「含有する(contains)」および「含有する(contain)」等、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、内包的でありまたは非制約的であり、付加的な挙げられていない要素または方法工程を除外するわけではない。本明細書において論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法または組成物に関して実行され得、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本開示の組成物を使用して、本開示の方法を達成し得る。
【0031】
本明細書における「実施形態」、「ある特定の実施形態」、「好ましい実施形態」、「具体的な実施形態」、「一部の実施形態」、「一実施形態」、「1つの実施形態」、または「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特質、構造、または特徴が、本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本開示についての理解を促すために、いくつかの用語および語句が下で定義される。
【0032】
本明細書において使用される「RNA」という用語は、アミノ酸配列をコードするRNA(例えば、mRNA等)、ならびにアミノ酸配列をコードしないRNA(例えば、siRNA、shRNA、miRNA等)を含む。本明細書において使用されるRNAは、コードRNA、すなわちアミノ酸配列をコードするRNAであり得る。そのようなRNA分子は、mRNA(メッセンジャーRNA)とも称され、一本鎖RNA分子である。本明細書において使用されるRNAは、ノンコーディングRNA、すなわちアミノ酸配列をコードしないまたはタンパク質に翻訳されないRNAであり得る。ノンコーディングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、短いまたは低分子ハーピン(harpin)RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、および長いノンコーディングRNA(IncRNA)を含み得るが、それらに限定されるわけではない。本明細書において使用されるsiRNAは、二本鎖RNA(dsRNA)領域、ヘアピン構造、ループ構造、またはその任意の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、siRNAは、少なくとも1つのshRNA、少なくとも1つのdsRNA領域、または少なくとも1つのループ構造を含み得る。一部の実施形態において、siRNAは、dsRNAまたはshRNAからプロセシングされ得る。一部の実施形態において、siRNAは、shRNAから、DICER等の内因性タンパク質によってプロセシングされ得るまたは切断され得る。一部の実施形態において、ヘアピン構造またはループ構造は、siRNAから切断され得るまたは除去され得る。例えば、shRNAのヘアピン構造またはループ構造は、切断され得るまたは除去され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるRNAは、当業者に公知の合成的、化学的、もしくは酵素的方法論によって作製され得る、当業者に公知の組み換え技術によって作製され得る、または天然供給源から単離され得る、あるいはその任意の組み合わせによって作製され得る。RNAは、修飾されたもしくは非修飾のヌクレオチド、またはその混合物を含み得、例えばRNAは、当技術分野において公知の化学的なおよび天然に存在するヌクレオシド修飾(例えば、本明細書においてメチルシュードウリジンとも称されるN-メチルシュードウリジン)を任意選択で含み得る。
【0033】
「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、本明細書において同一の意味を有し、DNAまたはRNAを指す。一部の実施形態において、核酸配列は、糖/ホスフェート骨格のホスホジエステル結合によって互いに共有結合的に連結されているヌクレオチド単量体を含むまたはそれからなるポリマーである。「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、非修飾の核酸配列を包含し得、すなわち非修飾のヌクレオチドまたは天然のヌクレオチドを含む。「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、塩基修飾された、糖修飾された、または骨格修飾された等のDNAまたはRNA等、修飾された核酸配列も包含し得る。
【0034】
「天然のヌクレオチド」および「標準ヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、本明細書において同一の意味を有し、天然に存在するヌクレオチド塩基のアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)、チミン(T)を指す。
【0035】
「非修飾のヌクレオチド」という用語は、天然に修飾されない、例えばin vivoでエピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されない、天然のヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。好ましくは、「非修飾のヌクレオチド」という用語は、天然に修飾されず、例えばin vivoでエピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されず、化学修飾されない、例えばin vitroで化学修飾されない、天然のヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。
【0036】
「修飾されたヌクレオチド」という用語は、エピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されたヌクレオチド等の天然に修飾されたヌクレオチド、および化学修飾されたヌクレオチド、例えばin vitroで化学修飾されるヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。
【0037】
組み換えRNAコンストラクト
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/またはそれぞれが、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも2種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメント、例えばsiRNAは、センスsiRNA鎖およびアンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。例えば、一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1種の遺伝子エレメント、例えばsiRNAのセンス鎖を含む核酸配列およびsiRNAのアンチセンス鎖を含む核酸配列等、少なくとも1種のsiRNAを含み得る。本明細書に記載される1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種の遺伝子エレメント、例えば1種のsiRNAとは、1種のセンス鎖siRNAおよび1種のアンチセンス鎖siRNAを指し得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメント、例えば少なくとも2種のsiRNAを含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれより多くの遺伝子エレメント、例えばsiRNAのセンス鎖およびsiRNAのアンチセンス鎖を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれより多くのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1~20種の遺伝子エレメント、例えば1~20種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、または少なくとも10種の遺伝子エレメント、例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、または少なくとも10種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種、または多くとも20種の遺伝子エレメント、例えば多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種、または多くとも20種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種、または多くとも20種の遺伝子エレメント、例えば多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種、または多くとも20種のsiRNAを含み得る。
【0038】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする2種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする3種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする4種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする5種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする6種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする7種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする9種の遺伝子エレメント~1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする10種の遺伝子エレメント、好ましくは、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする2種の遺伝子エレメント~1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする6種の遺伝子エレメント、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする3種の遺伝子エレメント~1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする6種の遺伝子エレメント、または1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする4種の遺伝子エレメント~1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする6種の遺伝子エレメントを含み得る。好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも3種の遺伝子エレメントを含む。さらに別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも6種の遺伝子エレメントを含む。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、2種のsiRNA~10種のsiRNA、3種のsiRNA~10種のsiRNA、4種のsiRNA~10種のsiRNA、5種のsiRNA~10種のsiRNA、6種のsiRNA~10種のsiRNA、7種のsiRNA~10種のsiRNA、9種のsiRNA~10種のsiRNA、好ましくは、2種のsiRNA~6種のsiRNA、3種のsiRNA~6種のsiRNA、または4種のsiRNA~6種のsiRNAを含み得る。好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも2種のsiRNAを含む。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも3種のsiRNAを含む。さらに別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも6種のsiRNAを含む。
【0039】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクト組成物は、1種または複数のリンカーをさらに含み得る。1つの場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間に存在し得る。別の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種または複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種もしくは複数の遺伝子をコードする核酸配列と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む核酸配列との間;1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間;および/または関心のある1種もしくは複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。
【0040】
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/またはそれぞれが、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも2種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む、2種以上の遺伝子の発現をモジュレートするための組成物が本明細書において提供される。関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/またはそれぞれが、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも2種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む、疾患または病状を治療するための組成物が本明細書においてさらに提供される。本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクト組成物は、第1のRNA配列および第2のRNA配列を含み得る。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数のメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得、mRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させ得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントであり得る。一部の実施形態において、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、1種または複数の標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。例えば、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAに結合し得るsiRNAを含み得、標的RNAによってコードされるタンパク質のレベルを下方調節し得る。一部の場合には、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、関心のある遺伝子の発現を阻害しない。一部の場合には、mRNAおよび標的RNAは、本明細書に記載される遺伝子関連疾患および病状のものであり得る。単一RNA転写産物を使用して、並行して2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする組成物および方法も本明細書において提供される。
【0041】
関心のある遺伝子と、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる少なくとも2種の遺伝子エレメントとを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトであって、関心のある遺伝子、およびsiRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントは、図1に例示されるように5’から3’方向に、または3’から5’方向に連続的様式で存在し得る、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトが本明細書においてさらに提供される。1つの例では、図1に例示されるように、関心のある遺伝子(例えば、IGF-1またはIL-4)は、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントに対して5’またはその上流に存在し得、関心のある遺伝子は、リンカー(mRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー、「スペーサー」とも称され得る)によってsiRNAに連結され得る。別の例では、関心のある遺伝子は、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントに対して3’またはその下流に存在し得、siRNAは、リンカー(siRNA/shRNAからmRNAへのリンカー、「スペーサー」とも称され得る)によって関心のある遺伝子に連結され得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種より多くのsiRNAを含み得、1種より多くのsiRNAのそれぞれは、リンカー(siRNAからsiRNAへの、またはshRNAからshRNAへのリンカー)によって連結され得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNAへの(またはsiRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は異なり得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は同じであり得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種より多くの遺伝子を含み得、関心のある1種より多くの遺伝子のそれぞれは、リンカー(mRNAからmRNAへのリンカー)によって連結され得る。一部の場合には、関心のある遺伝子は、図1に示されるように、N末端にシグナルペプチド配列を含み得る。一部の場合には、関心のある遺伝子は、非修飾の(WT)シグナルペプチド配列または修飾されたシグナルペプチド配列を含み得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸コンストラクト(例えば、DNAコンストラクト)は、RNAポリメラーゼ結合のためのプロモーター配列も含み得る。例えば、DNAコンストラクトは、本明細書に記載されるRNAコンストラクトを発現するために、DNA依存性RNAポリメラーゼ結合のためのプロモーター配列を含み得る。例として、T7 RNAポリメラーゼ結合のためのT7プロモーターが図1に示される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるRNAコンストラクトは、プロモーター配列を含まなくてもよい。
【0042】
組み換えポリ核酸または組み換えRNAとは、天然に存在せず、in vitroで合成されるまたは操縦されるポリ核酸またはRNAを指し得る。組み換えポリ核酸またはRNAは、実験室において合成され得、酵素的制限消化、ライゲーション、クローニング、および/またはin vitro転写等、DNAまたはRNAの酵素的修飾を使用することによる組み換えDNAまたはRNA技術を使用することによって調製され得る。組み換えポリ核酸は、in vitroで転写されてメッセンジャーRNA(mRNA)を産生し得、組み換えmRNAは単離され得、精製され得、細胞へのトランスフェクションに使用され得る。本明細書において使用される組み換えポリ核酸またはRNAは、タンパク質、ポリペプチド、標的モチーフ、シグナルペプチド、および/または低分子干渉RNA(siRNA)等のノンコーディングRNAをコードし得る。一部の実施形態において、適切な条件下で、組み換えポリ核酸またはRNAは、細胞に組み入れられ得、細胞内で発現され得る。
【0043】
組み換えRNAを含めた組み換えポリ核酸等の外因性核酸は、細胞に導入された場合に自然免疫応答を誘導し得る。外因性RNAは、細胞表面、エンドソーム、および細胞質の自然免疫受容体を含めた種々のタイプの自然免疫受容体によって認識され得る。エンドソーム自然免疫受容体は、toll様受容体3(TLR3)、TLR7、およびTLR8を含むが、それらに限定されるわけではない。細胞質自然免疫受容体の例は、レチノイン酸誘導性遺伝子1(RIG1)、黒色腫分化関連遺伝子5(MDA5)、NOD様受容体、ピリンドメイン含有3(NLRP3)、ならびにヌクレオチド結合およびオリゴマー化ドメイン含有2(NOD2)を含むが、それらに限定されるわけではない。TLR3、RIG1、およびMDA5は、二本鎖RNA(dsRNA)を認識し得、TLR7およびTLR8は、一本鎖RNA(ssRNA)およびRNA分解産物(例えば、ウリジンおよびグアノシン-ウリジンリッチな断片)を認識し得る。これらのRNA感知器(例えば、TLR3、TLR7、TLR8、RIG1、MDA5、NOD2等)は、インターフェロン制御因子(IRF)媒介性シグナル伝達および核内因子κB(NF-κB)媒介性シグナル伝達を活性化して、I型インターフェロン(IFN-α/β)および炎症促進性サイトカインの産生を増加させ得る、またはNLRP3の場合には、インフラマソーム形成を開始し得、成熟のためにサイトカインをプロセシングする。そのため、より少ない自然免疫応答を誘導するポリ核酸およびRNA治療薬を開発することは、大いに興味深く重要である。本明細書に記載される組み換えポリ核酸または組み換えRNA組成物は、低下したレベルの自然免疫活性およびより低い免疫応答を有して、並行して2種以上の遺伝子をモジュレートする手段を提供し得る。
【0044】
関心のある少なくとも1種の遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む、2種以上の遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法が本明細書において提供される。関心のある少なくとも1種の遺伝子をコードするRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含むRNA配列とを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある少なくとも1種の遺伝子をコードするRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする2種未満(例えば、0または1種)の遺伝子エレメントを含むRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトと比して、免疫応答を低下させるまたはより低いレベルの免疫応答を誘導することにおいて有利であり得る。例えば、細胞と本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触した細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらし得る。一部の実施形態において、相当する組み換えRNAコンストラクトは、標的RNAの発現をモジュレートする1種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列を含み得る。一部の実施形態において、相当する組み換えRNAコンストラクトは、標的RNAの発現をモジュレートするいかなる遺伝子エレメントも含まない第2のRNA配列を含み得る。一部の実施形態において、1つまたは複数の細胞は、ヒト起源のものである。
【0045】
本明細書に記載される免疫応答は、当技術分野において公知の任意の方法によって測定され得る。1つの例では、免疫応答は、サイトカインの分泌、DC活性化マーカーの発現、または適応免疫応答に対するアジュバントとして作用する能力を測定することによって査定され得る。別の例では、免疫応答は、当技術分野において公知の任意のキット、例えば市販のキットを使用して測定され得る。免疫応答を測定するための方法の詳細は、実施例に記載される。一部の実施形態において、本明細書に記載される免疫応答は、ヒト免疫応答である。一部の実施形態において、免疫応答は、ヒトTLR7免疫応答、ヒトTLR3免疫応答、もしくはIFNα/β免疫応答、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態において、本明細書に記載される免疫応答は、ヒト免疫応答である。一部の実施形態において、免疫応答は、ヒトTLR7免疫応答、もしくはIFNα/β免疫応答、またはその任意の組み合わせである。
【0046】
ヒトTLR7免疫応答は、ヒトTLR7免疫原性アッセイを使用することによって測定され得る。一部の実施形態において、ヒトTLR7免疫原性アッセイは、ヒトTLR7遺伝子およびレポーター遺伝子を発現するように操作されているHEK293細胞において実施され得る。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子であり得る。例えば、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を含み得るが、それに限定されるわけではない。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のNF-κBおよび/または活性化因子タンパク質1(AP1)結合部位を有するプロモーターの制御下にあり得る。一部の実施形態において、プロモーターはIFN-β最小プロモーターである。一部の実施形態において、ヒトTLR7免疫原性アッセイは、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定し得る。
【0047】
ヒトTLR3免疫応答は、ヒトTLR3免疫原性アッセイを使用することによって測定され得る。一部の実施形態において、ヒトTLR3免疫原性アッセイは、ヒトTLR3遺伝子およびレポーター遺伝子を発現するように操作されているHEK293細胞において実施され得る。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子であり得る。例えば、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を含み得るが、それに限定されるわけではない。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にあり得る。一部の実施形態において、プロモーターはIFN-β最小プロモーターである。一部の実施形態において、ヒトTLR3免疫原性アッセイは、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定し得る。
【0048】
IFNα/β免疫応答は、IFNα/β免疫原性アッセイを使用することによって測定され得る。一部の実施形態において、IFNα/β免疫原性アッセイは、ヒトシグナル伝達兼転写活性化因子2(STAT2)遺伝子および/またはIRF9遺伝子ならびにレポーター遺伝子を発現するように操作されているHEK293細胞において実施され得る。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子であり得る。例えば、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を含み得るが、それに限定されるわけではない。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のSTAT2および/またはIRF9結合部位を有するプロモーターの制御下にあり得る。一部の実施形態において、プロモーターは、インターフェロン刺激遺伝子因子54(ISG54)プロモーターである。一部の実施形態において、IFNα/β免疫原性アッセイは、ヤヌスキナーゼ(JAK)-STATおよび/またはISG3の活性化を測定し得る。
【0049】
一部の実施形態において、ヒト細胞と本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、本明細書に記載されるヒトTLR7免疫原性アッセイに従って、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらし得る。一部の実施形態において、ヒト細胞と本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、本明細書に記載されるヒトTLR3免疫原性アッセイに従って、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらし得る。一部の実施形態において、ヒト細胞と本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、本明細書に記載されるIFNα/β免疫原性アッセイに従って、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらし得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも、少なくとも約1.1倍、約1.2倍、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2.0倍、約2.1倍、約2.2倍、約2.3倍、約2.4倍、約2.5倍、約2.6倍、約2.7倍、約2.8倍、約2.9倍、約3.0倍、約3.1倍、約3.2倍、約3.3倍、約3.4倍、約3.5倍、約3.6倍、約3.7倍、約3.8倍、約3.9倍、約4.0倍、約4.1倍、約4.2倍、約4.3倍、約4.4倍、約4.5倍、約4.6倍、約4.7倍、約4.8倍、約4.9倍、約5.0倍、約10倍、約15倍、約20倍、約25倍、約30倍、約35倍、約40倍、約45倍、約50倍、約55倍、約60倍、約65倍、約70倍、約75倍、約80倍、約85倍、約90倍、約95倍、約100倍、約105倍、約110倍、約115倍、約120倍、約125倍、約130倍、約135倍、約140倍、約145倍、または少なくとも約150倍低くあり得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも、約1.1倍~約10倍、約1.5倍~約15倍、約2.0倍~約20倍、約2.5倍~約25倍、約3.0倍~約30倍、約3.5倍~約35倍、約4.0倍~約40倍、約4.5倍~約45倍、約5.0倍~約50倍、約5.5倍~約55倍、約6.0倍~約60倍、約6.5倍~約65倍、約7.0倍~約70倍、約7.5倍~約75倍、約8.0倍~約80倍、約8.5倍~約85倍、約9.0倍~約90倍、約9.5倍~約95倍、約10倍~約100倍、約15倍~約150倍、約20倍~約200倍、約25倍~約250倍、約30倍~約300倍、約35倍~約350倍、約40倍~約400倍、約45倍~約450倍、または約50倍~約500倍低くあり得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする多くとも1種の遺伝子エレメントを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答と比較して、少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、または少なくとも99.9%低下する。
【0050】
一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、本明細書に記載される任意の方法によって測定されるいかなる検出可能な免疫応答も誘発しない可能性がある。例えば、ヒト細胞と本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、本明細書に記載される免疫原性アッセイ(例えば、ヒトTLR3免疫原性アッセイ、ヒトTLR7免疫原性アッセイ、またはIFNα/β免疫原性アッセイ等)に従った実質的な免疫応答をもたらさない可能性がある。
【0051】
第1のRNA配列および第2のRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、第1のRNA配列および/または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子、または標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントをコードし得る、組成物が本明細書において提供される。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするmRNAであり得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)等、標的RNAの発現を低下させる遺伝子エレメントであり得る。一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるイントロン配列の一部ではない。一部の場合には、関心のある遺伝子は、RNAスプライシングなしで発現される。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、標的RNAのエクソンに結合する。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、1種の標的RNAに特異的に結合する。
【0052】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、複数コピーの関心のある遺伝子を含み得、複数コピーの関心のある遺伝子のそれぞれは、同じタンパク質をコードする。関心のある複数の遺伝子を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、関心のある複数の遺伝子のそれぞれは、異なるタンパク質をコードする、組成物も本明細書において提供される。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、同じタンパク質をコードする複数コピーの関心のある遺伝子と、そのそれぞれが、異なるタンパク質をコードする関心のある複数の遺伝子との組み合わせを含み得る。
【0053】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする1種より多くの核酸配列を含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15種、またはそれより多くの核酸配列を含み得る。一部の場合には、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子をコードし得、関心のある同じ遺伝子によってコードされるmRNAは、siRNA標的mRNAとは異なる。一部の場合には、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある異なる遺伝子をコードし得、関心のある異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする3種以上の核酸配列を含み得、3種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子または関心のある異なる遺伝子をコードし得、関心のある同じまたは異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする4種の核酸配列を含み得、4種の核酸配列のうちの3種は、関心のある同じ遺伝子をコードし、4種の核酸配列のうちの1種は、関心のある異なる遺伝子をコードし、関心のある同じまたは異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。
【0054】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、複数の種のsiRNAを含み得、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAに結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAの同じ領域に結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAの一部は、同じ標的RNAに結合し得、複数の種のsiRNAの一部は、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。複数の種のsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトであって、複数の種のsiRNAのそれぞれは、異なる標的RNAに結合し得る、組み換えRNAコンストラクトも本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的RNAはノンコーディングRNAである。一部の実施形態において、標的RNAはメッセンジャー(mRNA)である。
【0055】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、本明細書に記載される疾患または病状と関連した遺伝子のRNAを標的にする少なくとも2種のsiRNAを含み得る。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、同じRNAまたは異なるRNAを標的にする2~10種のsiRNAを含み得る。一部の場合には、同じRNAを標的にする2~10種のsiRNAのそれぞれは、同じ配列を含み得る、すなわち2~10種のsiRNAのそれぞれは、標的RNAの同じ領域に結合する。一部の場合には、同じRNAを標的にする2~10種のsiRNAのそれぞれは、異なる配列を含み得る、すなわち2~10種のsiRNAのそれぞれは、標的RNAの異なる領域に結合する。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1種のRNAを標的にする3種のsiRNAを含み得、3種のsiRNAのそれぞれは、RNAの同じ領域を標的にする同じ核酸配列を含む。この例では、3種のsiRNAのそれぞれは、エクソン1を標的にする同じ核酸配列を含み得る。別の例では、3種のsiRNAのそれぞれは、RNAの異なる領域を標的にする異なる核酸配列を含み得る。この例では、3種のsiRNAのうちの1種は、エクソン1を標的にする核酸配列を含み得、3種のsiRNAのうちの別の1種は、エクソン2を標的にする核酸配列を含み得る、等。さらに別の例では、3種のsiRNAのそれぞれは、異なるRNAを標的にする異なる核酸配列を含み得る。すべての態様において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトにおけるsiRNAは、同じRNAコンストラクト組成物におけるmRNAによって発現される、関心のある遺伝子の発現に影響を及ぼし得ない。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAに結合し得る6種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、標的RNAはmRNAである。
【0056】
リンカーをさらに含み得る組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(I)XCAACAAXの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である]を有し得る。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(II):XTCCCXの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]を有し得る。1つの実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、リンカーRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれを接続し得る(例えば、siRNAからsiRNAへのリンカー、またはshRNAからshRNAへのリンカー)。別の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、リンカーRNA配列は、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントとを接続し得る(例えば、mRNAからsiRNAへのリンカー、siRNAからmRNAへ、mRNAからshRNAへのリンカー、またはshRNAからmRNAへのリンカー)。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は異なり得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は同じであり得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、同じRNAリンカー配列は、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントとを(例えば、mRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー、またはsiRNA/shRNAからmRNAへのリンカー)、ならびに1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間を(例えば、siRNA/shRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー)を接続し得る。
【0057】
一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約50、約4~約45、または約4~約40、約4~約35、または約4~約30ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約18ヌクレオチドである。例えば、リンカーの長さは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、多くとも約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または多くとも約50ヌクレオチドであり得る。一部の実施形態において、リンカーの長さは4ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは7ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは11ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは12ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは18ヌクレオチドである。
【0058】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(I)XCAACAAXの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり;mは1~12の整数であり、nは0~4の整数であり;mは1であり、nは0である]を有し得る。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、CAACAA(配列番号91)、TCCC(配列番号89)、またはACAACAA(配列番号85)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号87)、ACGTACCAACAA(配列番号88)、TCCC(配列番号89)、ACAACAATCCC(配列番号90)、およびACAACAA(配列番号85)からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号92)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号93)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号94)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号95)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、配列番号27、28、85~95からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号28)を含む配列を含まなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、ATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む配列を含まなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号28)またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含まない。
【0059】
一部の場合には、tRNAリンカーが使用され得る。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の場合には、本明細書に記載されるtRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号96)を含む核酸配列を含み得る。一部の場合には、ATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し得る。一部の実施形態において、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号28)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれを接続し得る。
【0060】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、二次構造を形成しなくてもよい。例えば、本明細書に記載されるリンカーは、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトの核酸配列に結合しなくてもよいまたは塩基対合しなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるインカー(inker)RNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない。一部の実施形態において、本明細書に記載されるsiRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成し得る。
【0061】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種を含む組み換えRNAコンストラクト組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有するリンカーによって接続される、組み換えRNAコンストラクト組成物が本明細書においてさらに提供される。
【0062】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは切断され得る。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、細胞取り込みの後に内因的に切断され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、細胞内タンパク質または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、DICER、例えば内因性DICERによって切断され得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトであって、リンカーRNA配列が第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する組み換えRNAコンストラクトは、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間で切断され得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーを含む。この実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間で切断され得る。別の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントとの間で切断され得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントとの間、および/または1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれの間で切断され得る。
【0063】
一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトの切断は、本明細書に記載されるリンカーを含まない相当するRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーの1種または複数を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、本明細書に記載されるリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有しないリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。
【0064】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載されるリンカーを含まない相当する組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載されるリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有しないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。
【0065】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加または増強は、少なくとも約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、または少なくとも約25倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、約1.3倍~約3倍、約1.5倍~約4倍、約2倍~約5倍、約2倍~約10倍、約2倍~約15倍、約2倍~約17倍、約2倍~約18倍、約2倍~約19倍、約2倍~約20倍、約2倍~約21倍、約2倍~約22倍、約2倍~約25倍、約2倍~約30倍、約5倍~約10倍、約5倍~約15倍、約5倍~約17倍、約5倍~約18倍、約5倍~約19倍、約5倍~約20倍、約5倍~約21倍、約5倍~約22倍、約5倍~約25倍、約5倍~約30倍、約10倍~約15倍、約10倍~約17倍、約10倍~約18倍、約10倍~約19倍、約10倍~約20倍、約10倍~約21倍、約10倍~約22倍、約10倍~約25倍、約10倍~約30倍、約15倍~約17倍、約15倍~約18倍、約15倍~約19倍、約15倍~約20倍、約15倍~約21倍、約15倍~約22倍、約15倍~約25倍、約15倍~約30倍、約17倍~約18倍、約17倍~約19倍、約17倍~約20倍、約17倍~約21倍、約17倍~約22倍、約17倍~約25倍、約17倍~約30倍、約18倍~約19倍、約18倍~約20倍、約18倍~約21倍、約18倍~約22倍、約18倍~約25倍、約18倍~約30倍、約19倍~約20倍、約19倍~約21倍、約19倍~約22倍、約19倍~約25倍、約19倍~約30倍、約20倍~約21倍、約20倍~約22倍、約20倍~約25倍、約20倍~約30倍、約21倍~約22倍、約21倍~約25倍、約21倍~約30倍、約22倍~約25倍、約22倍~約30倍、または約25倍~約30倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、約25倍、または約30倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、多くとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、約25倍、または約30倍である。
【0066】
一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、ネイキッドRNAであり得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、特に翻訳を向上させるために、5’キャップ、コザック配列、および/または内部リボソーム進入部位(IRES)、および/またはポリ(A)テールをさらに含み得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、当業者に公知の翻訳を促進する1種または複数の領域をさらに含み得る。5’キャップの非限定的な例は、アンチリバースCAPアナログ、クリーンキャップ(Clean Cap)、Cap0、Cap1、Cap2、またはロックド核酸キャップ(LNAキャップ)を含み得る。一部の場合には、5’キャップは、m 7,3’-OG(5’)ppp(5’)G、m7G、m7G(5’)G、m7GpppG、またはm7GpppGmを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードするRNA配列の上流または5’にIRESを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードするRNA配列のすぐ上流または5’にIRESを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1種の遺伝子エレメントをコードするRNA配列の下流または3’にIRESを含み得、標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1種の遺伝子エレメントをコードするRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするRNA配列の上流に存在する。
【0067】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、ポリ(A)テールをさらに含み得る。一部の場合には、ポリ(A)テールは、1~220塩基対のポリ(A)を含む。例えば、ポリ(A)テールは、1、3、5、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、または220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、1~20、1~40、1~60、1~80、1~100、1~120、1~140、1~160、1~180、1~200、1~220、20~40、20~60、20~80、20~100、20~120、20~140、20~160、20~180、20~200、20~220、40~60、40~80、40~100、40~120、40~140、40~160、40~180、40~200、40~220、60~80、60~100、60~120、60~140、60~160、60~180、60~200、60~220、80~100、80~120、80~140、80~160、80~180、80~200、80~220、100~120、100~140、100~160、100~180、100~200、100~220、120~140、120~160、120~180、120~200、120~220、140~160、140~180、140~200、140~220、160~180、160~200、160~220、180~200、180~220、または200~220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、1、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、または220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、少なくとも1、20、40、60、80、100、120、140、160、180、または少なくとも200塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、多くとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、または多くとも220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、120塩基対のポリ(A)を含む。
【0068】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、コザック配列をさらに含み得る。コザック配列とは、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸配列モチーフを指し得る。コザック配列は、文献において、例えば本明細書における参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、Kozak,M.、Gene 299(1-2):1~34によって詳細に記載される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるコザック配列は、GCCACC(配列番号25)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、核局在化シグナル(NLS)をさらに含み得る。
【0069】
1つの態様において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、ヌクレオチドバリアントを含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含み得る。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたウリジンを含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のN1-メチルシュードウリジンを含まなくてもよい。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの99%~1%、98%~2%、97%~3%、96%~4%、95%~2%、94%~6%、93%~7%、92%~8%、91%~9%、90%~10%、97%~3%は非修飾である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または少なくとも99.9%は非修飾である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの多くとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または少なくとも99.9%は修飾されている。1つの実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、非修飾のヌクレオチドだけを含む。例えば、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、天然のヌクレオチドのみを含む。例えば、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、標準ヌクレオチドのみを含む。好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含み、1つまたは複数のウリジンのすべては非修飾である。別の態様において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、非標準的なヌクレオチド、非天然のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、および/または修飾されたヌクレオチドを含めた、1つまたは複数のヌクレオチドバリアントを含み得る。修飾されたヌクレオチドの例は、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン(xantine)、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケウオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケウオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、ケウオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6-ジアミノプリン、N1-メチルシュードウリジン等を含むが、それらに限定されるわけではない。一部の場合には、ヌクレオチドは、トリホスフェート部分の修飾を含めた、それらのホスフェート部分における修飾を含み得る。そのような修飾の非限定的な例は、より大きな長さ、およびチオール部分を用いた修飾のホスフェート鎖を含む。一部の実施形態において、ホスフェート鎖は、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのホスフェート部分を含み得る。一部の実施形態において、チオール部分は、アルファ-チオトリホスフェートおよびベータ-チオトリホスフェートを含み得るが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、5-メチルシトシンおよび/またはN6-メチルアデノシンを含まない。
【0070】
一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、塩基部分、糖部分、またはホスフェート骨格において修飾されていてもよい。例えば、修飾は、相補的ヌクレオチドと水素結合を形成するために典型的に使用可能である1つもしくは複数の原子における、および/または相補的ヌクレオチドと水素結合を典型的に形成し得ない1つもしくは複数の原子におけるものであり得る。一部の実施形態において、骨格修飾は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデート(phosphoraniladate)、ホスホロアミダート、およびホスホロジアミダート連結を含むが、それらに限定されるわけではない。ホスホロチオエート連結は、ホスフェート骨格における非架橋酸素の代わりに硫黄原子を用い、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ分解を遅延させる。ホスホロジアミダート連結(N3’→P5’)は、ヌクレアーゼ認識および分解を阻止するのを可能にする。一部の実施形態において、骨格修飾は、骨格構造におけるリンの代わりにペプチド結合、またはカルバメート、アミド、ならびに線状および環状炭化水素基を含めた結合基を有することを含む。例えば、N-(2-アミノエチル)-グリシン単位は、ペプチド核酸におけるペプチド結合によって連結され得る。修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドは、Micklefield、Backbone modification of nucleic acids:synthesis,structure and therapeutic applications、Curr.Med.Chem.、8(10):1157~79、2001、およびLyerら、Modified oligonucleotides-synthesis,properties and applications、Curr.Opin.Mol.Ther.、1(3):344~358、1999に概説される。
【0071】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含み得る。一部の場合には、アデノシン-、グアノシン-、およびシチジン-含有ヌクレオチドは、非修飾であるか、または部分的に修飾されている。一部の場合には、修飾されたRNAコンストラクトに関して、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は修飾されていてもよい。一部の実施形態において、ウリジンヌクレオチドの5%~25%は、組み換えRNAコンストラクトにおいて修飾されている。修飾されたウリジンヌクレオチドの非限定的な例は、シュードウリジン、N-メチルシュードウリジン、またはN1-メチルシュード-UTPを含み得、当技術分野において公知の任意の修飾されたウリジンヌクレオチドが利用され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含有し得、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、シュードウリジン、N-メチルシュードウリジン、N1-メチルシュード-UTP、または当技術分野において公知の任意の他の修飾されたウリジンヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含有し得、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、N-メチルシュードウリジンを含み得る。
【0072】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、コドン最適化されていてもよい。一般的に、コドン最適化とは、関心のある宿主細胞における発現のために、その宿主細胞の遺伝子においてより高頻度にまたは最も高頻度に使用されるコドンで、天然配列の少なくとも1種のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50種より多くの、またはそれより多くのコドン)を置き換えることによって核酸配列を改変し、一方で天然アミノ酸配列を維持する過程を指す。コドン使用法の表は、例えば「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかのやり方で適応され得る。特定の宿主細胞における発現のために、好ましいGene Forge(登録商標)(Aptagen、PA)およびGeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)等、特定の配列をコドン最適化するためのコンピューターアルゴリズムも入手可能である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、コドン最適化されていなくてもよい。
【0073】
一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号1~12および97~108からなる群から選択される配列を含む核酸配列を含み得る。
【0074】
RNA干渉および低分子干渉RNA(siRNA)
RNA干渉(RNAi)またはRNAサイレンシングとは、標的mRNA分子を中和することによって、RNA分子が遺伝子発現または翻訳を阻害する過程である。RNAi過程は、Mello&Conte(2004)Nature 431、338~342、Meister&Tuschl(2004)Nature 431、343~349、Hannon&Rossi(2004)Nature 431、371~378、およびFire(2007)Angew.Chem.Int.Ed.46、6966~6984に記載される。簡潔には、天然の過程において、反応は、dsRNA特異的エンドヌクレアーゼDicerによる、ヘアピン構造を有する低分子dsRNA断片またはsiRNA(すなわち、shRNA)への、長い二本鎖RNA(dsRNA)の切断とともに開始する。次いで、これらの低分子dsRNA断片またはsiRNAは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に統合され、RISCを標的mRNA配列にガイドする。干渉の間、siRNA二重鎖はほどけ、アンチセンス鎖は、RISCと複合したままとどまって、RISCを標的mRNA配列へ導いて、分解および後続のタンパク質翻訳の抑制を誘導する。本発明の組み換えRNAコンストラクトにおけるsiRNAは、ヘアピンループ構造を含み得ることから、市販の合成siRNAとは異なり、本発明におけるsiRNAは、細胞の細胞質において内因性のDicerおよびRISC経路を利用して、組み換えRNAコンストラクト(例えば、mRNAおよび少なくとも2種のsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクト)から切断され得、上で詳述される天然の過程をたどり得る。加えて、組み換えRNAコンストラクトの残部(すなわち、mRNA)は、DicerによるsiRNAの切断後に無傷の状態のままであることから、本発明の組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子からの所望のタンパク質発現が実現される。
【0075】
それぞれが、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも2種の核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、標的RNAに結合し得るsiRNAであり得る。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも1種の核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、標的RNAはノンコーディングRNAである。一部の場合には、標的RNAはmRNAである。一部の実施形態において、siRNAは、5’非翻訳領域において標的mRNAに結合し得る。一部の実施形態において、siRNAは、3’非翻訳領域において標的mRNAに結合し得る。一部の実施形態において、siRNAは、エクソンにおいて標的mRNAに結合し得る。
【0076】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、センスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、アンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、センスsiRNA鎖を含む核酸配列およびアンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。本発明に含まれるsiRNAの詳細は、参照により本明細書に組み入れられる、Chengら(2018)J.Mater.Chem.B.、6、4638~4644に記載される。
【0077】
一部の場合には、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメント、例えばsiRNAは、センスsiRNA鎖およびアンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。例えば、一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも1種のsiRNA、すなわち、siRNAのセンス鎖を含む核酸配列およびsiRNAのアンチセンス鎖を含む核酸配列を含み得る。本明細書に記載される1種のsiRNAとは、1種のセンス鎖siRNAおよび1種のアンチセンス鎖siRNAを指し得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1種より多くのsiRNA、例えばsiRNAのセンス鎖およびsiRNAのアンチセンス鎖を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10種、またはそれより多くのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1~20種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、または少なくとも10種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19種、または多くとも20種のsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、2種のsiRNA~10種のsiRNA、3種のsiRNA~10種のsiRNA、4種のsiRNA~10種のsiRNA、5種のsiRNA~10種のsiRNA、6種のsiRNA~10種のsiRNA、7種のsiRNA~10種のsiRNA、9種のsiRNA~10種のsiRNA、好ましくは2種のsiRNA~6種のsiRNA、3種のsiRNA~6種のsiRNA、または4種のsiRNA~6種のsiRNAを含み得る。好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも2種のsiRNAを含む。別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも3種のsiRNAを含む。さらに別の好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも6種のsiRNAを含む。
【0078】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種を含む組み換えRNAコンストラクトの組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、標的RNAに結合し得る、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的RNAは、mRNAまたはノンコーディングRNAである。一部の場合には、siRNA種のそれぞれは、同じ標的RNAに結合する。1つの場合には、siRNA種のそれぞれは、同じ配列を含み得、同じ標的RNAの同じ領域または配列に結合し得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、標的RNAの同じ領域を標的にする同じ配列を含む、すなわち、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くの冗長な種のsiRNAを含み得る。別の場合には、siRNA種のそれぞれは、異なる配列を含み得、同じ標的RNAの異なる領域または配列に結合し得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、同じ標的RNAの異なる領域を標的にする異なる配列を含み得る。この例では、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの1種のsiRNAは、エクソン1を標的にし得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの別のsiRNAは、同じmRNAのエクソン2を標的にし得る、等。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、同じ標的RNAの同じおよび異なる領域に結合し得る1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの2種は、同じ配列を含み得、標的RNAの同じ領域に結合し得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの3種以上は、異なる配列を含み得、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。一部の場合には、siRNA種のそれぞれは、異なる標的RNAに結合する。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、同じおよび異なる標的RNAに結合し得る1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種を含み得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの2種は、同じ標的RNAの同じまたは異なる領域に結合し得る配列を含み得、1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNA種のうちの3種以上は、異なる標的RNAに結合し得る配列を含み得る。一部の実施形態において、標的RNAは、mRNAおよび/またはノンコーディングRNAであり得る。
【0079】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種を含む組み換えRNAコンストラクトの組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、本明細書に記載されるリンカーによって接続される、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、リンカーは非切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、自己切断性リンカー等の切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、タンパク質、例えば細胞内または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の場合には、リンカーは、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する。一部の場合には、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号87)、ACGTACCAACAA(配列番号88)、TCCC(配列番号89)、またはACAACAATCCC(配列番号90)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号92)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号93)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号94)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号95)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号28)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む配列を含まない。
【0080】
一部の場合には、リンカーの長さは、約4~約50、約4~約45、または約4~約40、約4~約35、または約4~約30ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約18ヌクレオチドである。例えば、リンカーの長さは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、多くとも約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または多くとも約50ヌクレオチドであり得る。一部の実施形態において、リンカーの長さは4ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは7ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは11ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは12ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは18ヌクレオチドである。
【0081】
一部の場合には、リンカーは、式(I)XCAACAAXの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり;mは1~12の整数であり、nは0~4の整数であり;mは1であり、nは0である]を有し得る。一部の場合には、リンカーは、CAACAA(配列番号91)、TCCC(配列番号89)、またはACAACAA(配列番号85)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号87)、ACGTACCAACAA(配列番号88)、TCCC(配列番号89)、ACAACAATCCC(配列番号90)、およびACAACAA(配列番号85)からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号92)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号93)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号94)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号95)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号27)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号27、28、85~95からなる群から選択される配列を含み得る。
【0082】
一部の場合には、リンカーはtRNAリンカーであり得る。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の実施形態において、tRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号96)を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号28)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれを接続し得る。
【0083】
一部の場合には、その標的mRNAへのsiRNAの特異的結合は、標的mRNAの正常な機能への干渉をもたらし、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性のモジュレーション、例えば下方調節につながり、特異的結合が望まれる条件下における、すなわちin vivoアッセイまたは治療的処置の場合には生理的条件下における、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下における、非標的核酸配列へのsiRNAの非特異的結合を回避する十分な程度の相補性がある。
【0084】
本明細書において使用されるタンパク質とは、1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドを典型的に含む分子を指し得る。ペプチドまたはポリペプチドとは、典型的に、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の鎖である。ペプチドは、通常、2~50個のアミノ酸残基を含む。ポリペプチドは、通常、50個より多くのアミノ酸残基を含む。タンパク質は、典型的に、タンパク質がその生物学的機能を発揮するために要され得る3次元形態に折り畳まれる。本明細書において使用されるタンパク質は、タンパク質の断片、タンパク質の機能的バリアント、および融合タンパク質を含み得る。本明細書において使用される機能的バリアントとは、完全長分子、その断片、またはそのバリアントを指し得る。例えば、バリアント分子は、タンパク質配列の場合には1つもしくは複数のアミノ酸の、または核酸配列の場合には1つもしくは複数のヌクレオチドの、挿入、欠失、および/または置換によって改変された配列を含み得る。例えば、バリアント分子は、機能獲得型または機能喪失型の変異体を含むがそれらに限定されない変異体タンパク質を含み得るまたはコードし得る。断片は、DNAもしくはRNAのような核酸分子、またはタンパク質の完全長配列のより短い部分であり得る。したがって、断片は、典型的に、完全長配列内の相当する一続きと同一である配列を含む。一部の実施形態において、配列の断片は、断片が由来する完全長ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の少なくとも5%~少なくとも80%を含み得る。一部の実施形態において、タンパク質は哺乳動物タンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質はヒトタンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質は、細胞から分泌されたタンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質は、細胞膜上のタンパク質であり得る。一部の実施形態において、本明細書において言及されるタンパク質は、分泌され、免疫学的反応にしばしば関わる、細胞表面上の受容体を介して標的細胞シグナル伝達のモジュレーターとして局所的にもしくは全身的に作用するタンパク質、またはウイルス感染に関わる他の宿主タンパク質であり得る。関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質を含めた、本発明の文脈において有用なタンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、文献において入手可能である。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質を含めた、本発明の文脈において有用なタンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、UniProtデータベースにおいて入手可能である。
【0085】
標的mRNAの発現をモジュレートするための、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、標的mRNAの発現(例えば、標的mRNAによってコードされるタンパク質のレベル)は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって下方調節される。一部の実施形態において、標的mRNAの発現は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって阻害される。本明細書に記載される、標的mRNAの発現の阻害または下方調節は、標的mRNAからのタンパク質の翻訳に干渉するための標的mRNAへの干渉を指し得るがそれに限定されるわけではなく;ゆえに、標的mRNAの発現の阻害または下方調節は、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの非存在下における標的mRNAから発現されるタンパク質のレベルと比較した、標的mRNAから発現されるタンパク質の減少したレベルを指し得るがそれに限定されるわけではない。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0086】
1種または複数の標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも2種の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なる、組成物が本明細書において提供される。1種または複数の標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも2種の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、siRNAは、関心のある遺伝子の発現に影響を及ぼさない、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAに結合し得ない。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子の発現を阻害しない。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子の発現を下方調節しない。本明細書に記載される、関心のある遺伝子の発現を阻害することまたは下方調節することは、組み換えRNAコンストラクトからのタンパク質の翻訳に干渉することを指し得るがそれに限定されるわけではなく;ゆえに、関心のある遺伝子の発現を阻害することまたは下方調節することは、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの非存在下において発現されるタンパク質のレベルと比較した、タンパク質の減少したレベルを指し得るがそれに限定されるわけではない。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、RIA、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0087】
1種または複数の標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも2種の核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。siRNAが結合し得る標的mRNAの非限定的な例のリストは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファまたはTNF-α)、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン1ベータ(IL-1ベータ)、インターロイキン17(IL-17)、Turbo緑色蛍光性タンパク質(Turbo GFP)、またはその機能的バリアントを含む遺伝子のmRNAを含む。一部の実施形態において、Turbo GFP配列は、海生カイアシ類ポンテリーナ・プルマーテ(Pontellina plumate)に由来し得る。本明細書において使用される機能的バリアントとは、完全長分子、その断片、またはそのバリアントを指し得る。例えば、バリアント分子は、タンパク質配列の場合には1つもしくは複数のアミノ酸の、または核酸配列の場合には1つもしくは複数のヌクレオチドの、挿入、欠失、および/または置換によって改変された配列を含み得る。
【0088】
一部の実施形態において、TNF-アルファは、配列番号40に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、IL-8は、配列番号37に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、IL-1ベータは、配列番号38に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、IL-17は、配列番号39に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、Turbo GFPは、配列番号41に列挙された配列を含む。
【0089】
一部の態様において、siRNAは、配列番号57~70から選択される配列によってコードされるセンス鎖を含む。一部の態様において、siRNAは、配列番号71~84から選択される配列によってコードされるアンチセンス鎖を含む。一部の態様において、siRNAは、配列番号57~70から選択される配列によってコードされるセンス鎖、および配列番号71~84から選択される配列によってコードされる相当するアンチセンス鎖を含む。
【0090】
関心のある遺伝子
関心のある遺伝子をコードする1つまたは複数のコピーの核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列を含み得る。一部の場合には、関心のある遺伝子をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子をコードする。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、サイトカインをコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列を含み得る。
【0091】
関心のある遺伝子をコードする2つ以上のコピーの核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトであって、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある異なる遺伝子をコードし得る、組み換えRNAコンストラクトも本明細書において提供される。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、分泌タンパク質をコードする核酸配列を含み得る。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、サイトカイン、例えばインターロイキン4(IL-4)をコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、異なる分泌タンパク質をコードし得る。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸のそれぞれは、インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする核酸配列を含み得る。本明細書に記載されるリンカーを含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書においてさらに提供される。一部の実施形態において、リンカーは、関心のある遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれを接続し得る。一部の場合には、リンカーは非切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは自己切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、タンパク質、例えば細胞内タンパク質または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の場合には、リンカーは、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される。一部の場合には、リンカーは、ACAACAA(配列番号85)を含む配列を含む。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号27、28、85~95からなる群から選択される。
【0092】
リンカーの他の例は、柔軟性のあるリンカー、T2A、P2A、E2A、またはF2A等の2Aペプチドリンカー(または2A自己切断性ペプチド)、およびtRNAリンカー等を含むが、それらに限定されるわけではない。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の実施形態において、tRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号96)を含む核酸配列を含み得る。
【0093】
関心のある遺伝子の発現をモジュレートするための、関心のある遺伝子をコードするRNAを含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。例えば、関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質の発現はモジュレートされ得る。例えば、関心のある遺伝子の発現は、組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質を発現させることによって上方調節される。例えば、関心のある遺伝子の発現は、組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させることによって上方調節される。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、RIA、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0094】
関心のある遺伝子をコードするRNAを含む組み換えRNAコンストラクトであって、関心のある遺伝子は関心のあるタンパク質をコードする、組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。一部の場合には、関心のあるタンパク質は治療用タンパク質である。一部の場合には、関心のあるタンパク質はヒト起源のものであり、すなわちヒトタンパク質である。一部の場合には、関心のある遺伝子は分泌タンパク質をコードする。一部の実施形態において、関心のある遺伝子はインスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質はIGF-1である。一部の場合には、関心のある遺伝子はサイトカインをコードする。一部の実施形態において、サイトカインはインターロイキンを含む。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質は、インターロイキン4(IL-4)またはその機能的バリアントである。
【0095】
一部の場合には、関心のある遺伝子をコードする核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトは、ヒトインスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする核酸配列を含み得る。一部の場合には、本明細書において使用されるIGF-1とは、ヒトIGF-1の天然配列(Uniprotデータベース:P05019、およびGenbankデータベースにおける:NM_001111285.3)、断片、またはその機能的バリアントを指し得る。1つの実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1をコードする核酸配列を含むネイキッドRNAであり得る。この実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得る。ヒトIGF-1をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIGF-1の天然配列は、21個のアミノ酸(ヌクレオチド1~63)を有するシグナルペプチド、27個のアミノ酸(ヌクレオチド64~144)を有するプロ-ペプチド、70個のアミノ酸(ヌクレオチド145~354)を有する成熟ヒトIGF-1、および77個のアミノ酸(ヌクレオチド355~585)を有するE-ペプチドを含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のプロ-ペプチド(プロ-ドメインとも呼ばれる)をコードする核酸配列、IGF-1の成熟タンパク質をコードする核酸配列、またはIGF-1のE-ペプチド(E-ドメインとも呼ばれる)(すなわち、カルボキシル末端伸長を有するIGF-1)を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、IGF-1の成熟タンパク質をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、IGF-1はヒトIGF-1である。
【0096】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、IGF-1の、好ましくはヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および成熟IGF-1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得、好ましくはIGF-1のE-ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まず、好ましくはIGF-1のヒトE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、IGF-1の、好ましくはヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、成熟IGF-1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まず、より好ましくはIGF-1のヒトE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。
【0097】
一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得、好ましくはヒトIGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まず、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列、およびE-ペプチドをコードする核酸配列は、UniprotデータベースにおいてUniProtKB-P05019と称される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIGF-1は、配列番号34または配列番号36を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0098】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1をコードするmRNAを含み得る。一部の実施形態において、IGF-1をコードするmRNAとは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および/または70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIGF-1 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIGF-1 mRNAを含み得る。
【0099】
一部の場合には、本明細書において使用されるインターロイキン4(IL-4)またはIL-4とは、ヒトIL-4の天然配列(Uniprotデータベース:P05112、およびGenbankデータベースにおける:NM_000589.4)、断片、またはその機能的バリアントを指し得る。ヒトIL-4をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIL-4の天然配列は、24個のアミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するシグナルペプチド、および153個のアミノ酸(ヌクレオチド73~459)を有する成熟ヒトIL-4を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、非修飾のIL-4シグナルペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-4シグナルペプチドである。一部の実施形態において、本明細書において使用されるインターロイキン4(IL-4)またはIL-4とは、成熟ヒトIL-4を指し得る。一部の実施形態において、成熟タンパク質とは、該タンパク質を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟IL-4とは、IL-4を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-4タンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟ヒトIL-4とは、ヒトIL-4を発現しかつ分泌するヒト細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-4タンパク質を指し得、通常、配列番号31に示されるヌクレオチドによってコードされるアミノ酸を含有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-4は、配列番号32または配列番号42を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0100】
IL-4をコードするmRNAとは、153個のアミノ酸を有する、ヒトIL-4のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、または129個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-4をコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIL-4のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIL-4をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIL-4 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIL-4 mRNAを含み得る。
【0101】
標的モチーフ
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。本明細書において使用される標的モチーフまたは標的化モチーフとは、細胞質またはサイトゾルを除いた、細胞膜、細胞外コンパートメント、または細胞内コンパートメントの任意の部分に運命付けられる、新たに合成されたポリペプチドまたはタンパク質に存在する任意の短いペプチドを指し得る。一部の実施形態において、ペプチドとは、典型的には、近接アミノ酸残基のα-アミノおよびカルボキシル基の間のペプチド結合によって、一方からもう一方に接続された一連のアミノ酸残基を指し得る。細胞内コンパートメントは、核、核小体、エンドソーム、プロテアソーム、リボソーム、染色質、核膜、核孔、エキソソーム、メラノソーム、ゴルジ装置、ペルオキシソーム、小胞体(ER)、リソソーム、中心体、微小管、ミトコンドリア、葉緑体、マイクロフィラメント、中間フィラメント、または原形質膜等の細胞内オルガネラを含むが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、シグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列、またはリーダーペプチドと称され得る。一部の実施形態において、標的モチーフは、関心のある遺伝子をコードする核酸配列に動作可能に連結される。一部の実施形態において、「動作可能に連結された」という用語は、2種以上の核酸配列間の機能的関係性、例えば転写配列に対する転写制御配列またはシグナル配列の機能的関係性を指し得る。例えば、標的モチーフ、または標的モチーフをコードする核酸は、それが、コード配列によってコードされるポリペプチドを、細胞膜、細胞内、または細胞外コンパートメントに標的化することに関与するプレタンパク質として発現される場合、コード配列に動作可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド、またはシグナルペプチドをコードする核酸は、それが、コード配列によってコードされるポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、コード配列に動作可能に連結されている。例えば、プロモーターは、それがコード配列の転写を刺激するまたはモジュレートする場合、動作可能に連結されている。標的モチーフの非限定的な例は、シグナルペプチド、核局在化シグナル(NLS)、核小体局在化シグナル(NoLS)、リソソーム標的化シグナル、ミトコンドリア標的化シグナル、ペルオキシソーム標的化シグナル、微小管先端局在化シグナル(MtLS)、エンドソーム標的化シグナル、葉緑体標的化シグナル、ゴルジ標的化シグナル、小胞体(ER)標的化シグナル、プロテアソーム標的化シグナル、膜標的化シグナル、膜貫通標的化シグナル、中心体局在化シグナル(CLS)、またはタンパク質を、細胞膜、細胞外コンパートメント、もしくは細胞内コンパートメントのある特定の部分に標的化する任意の他のシグナルを含む。
【0102】
シグナルペプチドとは、分泌経路へ運命付けられる、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する任意の短いペプチドである。本発明のシグナルペプチドは、10~40個のアミノ酸長であり得る。シグナルペプチドは、関心のあるタンパク質のN末端に、または関心のあるタンパク質のプロ-タンパク質形態のN末端に位置付けられ得る。シグナルペプチドは、真核生物起源のものであり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、哺乳動物タンパク質であり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、ヒトタンパク質であり得る。一部の場合には、シグナルペプチドは、同種シグナルペプチド(すなわち、同じタンパク質由来)または異種シグナルペプチド(すなわち、異なるタンパク質由来または合成シグナルペプチド)であり得る。一部の場合には、シグナルペプチドは、タンパク質の天然に存在するシグナルペプチド、または改変されたシグナルペプチドであり得る。
【0103】
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的モチーフは、(a)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフ;(b)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、標的モチーフ;(c)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフ;(d)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、標的モチーフ;ならびに(e)天然には標的モチーフの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって任意選択で改変されている、天然に存在するアミノ酸配列、からなる群から選択され得る、組成物が本明細書において提供される。
【0104】
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的モチーフはシグナルペプチドである、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、(a)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチド;(b)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドは、タンパク質が酸化還元酵素ではないという条件で、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、シグナルペプチド;(c)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチド;(d)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、シグナルペプチド;ならびに(e)天然にはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって任意選択で改変されている、天然に存在するアミノ酸配列、からなる群から選択される。一部の場合には、シグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~9は、2より高い平均疎水性スコアを有する。
【0105】
一部の場合には、本明細書において使用される、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフ、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドとは、タンパク質の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドとは異なる、天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。例えば、標的モチーフまたはシグナルペプチドは、関心のある遺伝子に由来しない。通常、所与のタンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、所与のタンパク質とは関係しない別のタンパク質由来の標的モチーフまたはシグナルペプチドである。例えば、所与のタンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、所与のタンパク質の標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列と50%、60%、70%、80%、90%を上回って、または95%を上回って異なるアミノ酸配列を有する。異種配列は、同じ生物体に由来し得るものの、それらは、天然に(天然には)、同じmRNAに等、同じ核酸分子に存在しない。タンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチド、および標的モチーフまたはシグナルペプチドがそれに対して異種であるタンパク質は、同じまたは異なる起源のものであり得る。一部の実施形態において、それらは真核生物起源のものである。一部の実施形態において、それらは、同じ真核生物生物体のものである。一部の実施形態において、それらは哺乳動物起源のものである。一部の実施形態において、それらは、同じ哺乳動物生物体のものである。一部の実施形態において、それらはヒト起源である。例えば、RNAコンストラクトは、ヒトIL-4遺伝子、および別のヒトタンパク質のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、タンパク質とは異種のシグナルペプチドを含み得、シグナルペプチドおよびタンパク質は、同じ起源のもの、すなわちヒト起源のものである。
【0106】
一部の場合には、本明細書において使用される、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフ、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドとは、タンパク質の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、それが天然に存在することから、タンパク質の遺伝子によってコードされる標的モチーフまたはシグナルペプチドである。タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、通常、真核生物起源のものである。一部の実施形態において、タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、哺乳動物起源のものである。一部の実施形態において、タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、ヒト起源のものである。
【0107】
一部の場合には、本明細書において使用される、天然には標的モチーフの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列、または天然にはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列とは、天然に存在し、天然に存在するいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列とも同一でないアミノ酸配列を指し得る。天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、10~50個のアミノ酸長であり得る。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、真核生物起源のものであり、真核生物起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、哺乳動物起源のものであり、哺乳動物起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、ヒト起源のものであり、天然に存在するヒト起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、通常、タンパク質のコード配列のアミノ酸配列である。本明細書において使用される「天然に存在する」、「天然の」、および「天然には」という用語は、等価の意味を有する。
【0108】
一部の場合には、本明細書において使用されるシグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~9とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の9個のアミノ酸を指し得る。類似的に、本明細書において使用されるシグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~7とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の7個のアミノ酸を指し得、シグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~5とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の5個のアミノ酸を指し得る。
【0109】
一部の場合には、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたアミノ酸配列とは、アミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含むアミノ酸配列を指し得る。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドは、本明細書において使用されるように、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含む、タンパク質とは異種の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列を指し得る。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドは、本明細書において使用されるように、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含む、タンパク質と同種の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。一部の実施形態において、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変され得、天然に存在するアミノ酸配列は、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含み得る。アミノ酸置換または置換とは、別のアミノ酸での、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の置き換えを指し得る。例えば、置換R34Kとは、34位におけるアルギニン(ArgまたはR)がリジン(LysまたはK)で置き換えられているポリペプチドを指す。先行する例に関して、34Kは、リジン(LysまたはK)での、34位におけるアミノ酸の置換を示す。一部の実施形態において、複数の置換は、典型的にスラッシュによって分離される。例えば、R34K/L38Vとは、置換R34KおよびL38Vを含むバリアントを指す。アミノ酸挿入または挿入とは、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の付加を指し得る。例えば、挿入-34とは、34位における挿入を指定する。アミノ酸欠失または欠失とは、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の除去を指し得る。例えば、R34-とは、34位におけるアルギニン(ArgまたはR)の欠失を指定する。
【0110】
一部の場合には、欠失したアミノ酸は、-0.8、-0.7、-0.6、-0.5、-0.4、-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8を下回る、または1.9を下回る疎水性スコアを有するアミノ酸である。一部の場合には、置換するアミノ酸は、置換されたアミノ酸の疎水性スコアよりも高い疎水性スコアを有するアミノ酸である。例えば、置換するアミノ酸は、2.8以上または3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。一部の場合には、挿入されたアミノ酸は、2.8以上または3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。
【0111】
一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、1~7個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、アミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~30の中に、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~30の中に、1~9個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~20の中に、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~20の中に、1~9個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸は、欠失および/または置換によって任意選択で改変され得る。
【0112】
一部の場合には、改変されたシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の9個のアミノ酸の平均疎水性スコアは、改変なしのシグナルペプチドと比較して、1.0単位以上増加する。一部の場合には、疎水性(hydrophobic)スコアまたは疎水性(hydrophobicity)スコアは、本明細書においてハイドロパシースコアと同義的に使用され得、Kyte-Doolittle尺度に従って算出される、アミノ酸の疎水性の程度を指し得る(Kyte J.、Doolittle R.F.;J.Mol.Biol.157:105~132(1982))。Kyte-Doolittle尺度に従ったアミノ酸疎水性スコアは、以下のとおりである:
【0113】
【0114】
一部の場合には、アミノ酸配列の平均疎水性スコアは、アミノ酸の数で割った、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれについてのKyte-Doolittle尺度に従った疎水性スコアを足すことによって算出され得る。例えば、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアは、9で割った、9個のアミノ酸のそれぞれについての疎水性スコアを足すことによって算出され得る。
【0115】
極性は、Zimmerman極性指数(Zimmerman J.M.、Eliezer N.、Simha R.;J.Theor.Biol.21:170~201(1968))に従って算出される。一部の実施形態において、アミノ酸配列の平均極性は、アミノ酸の数で割った、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれについてのZimmerman極性指数に従って算出された極性値を足すことによって算出され得る。例えば、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均極性は、9で割った、N末端のアミノ酸1~9の9個のアミノ酸のそれぞれについての平均極性を足すことによって算出され得る。Zimmerman極性指数に従ったアミノ酸の極性は、以下のとおりである:
【0116】
【0117】
一部の場合には、インスリン様成長因子1(IGF-1)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IGF-1の天然に存在するシグナルペプチドは、UniprotデータベースにおいてP05019としてのおよびGenbankデータベースにおいてNM_001111285.3としてのIGF-1アミノ酸配列のアミノ酸1~20を指す。一部の場合には、IGF-1シグナルペプチドのアミノ酸配列は、G2L、K3-、S5L、T9L、Q10L、およびC15-からなる群から選択される1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得る。一部の場合には、IGF-1の天然に存在するシグナルペプチドは、別のタンパク質のシグナルペプチドで置き換えられ得る。一部の場合には、IGF-1の天然に存在するシグナルペプチドは、別のタンパク質の天然に存在するシグナルペプチドで置き換えられ得る。例えば、IGF-1の天然に存在するシグナルペプチドは、脳由来神経栄養因子(BDNF)の天然に存在するシグナルペプチドで置き換えられ得る。一部の実施形態において、野生型(WT)IGF-1シグナルペプチドアミノ酸配列は、配列番号49を含む配列を含む。一部の場合には、改変されたIGF-1シグナルペプチドは、配列番号45に示されるDNA配列によってコードされる配列番号44を含む配列を含むアミノ酸配列を有する。一部の実施形態において、改変されたIGF-1シグナルペプチドは、別のタンパク質由来のシグナルペプチドを含み得る。一部の場合には、改変されたIGF-1シグナルペプチドは、配列番号52に示されるDNA配列によってコードされる配列番号51を含む配列を含むアミノ酸配列を有する。
【0118】
配列番号44
Met-Leu-Ile-Leu-Leu-Leu-Pro-Leu-Leu-Leu-Phe-Lys-Cys-Phe-Cys-Asp-Phe-Leu-Lys
【0119】
配列番号45
ATGCTGATTCTGCTGCTGCCCCTGCTGCTGTTCAAGTGCTTCTGCGACTTCCTGAAA
【0120】
配列番号51
MTILFLTMVISYFGCMKA
【0121】
配列番号52
ATGACCATCCTGTTTCTGACAATGGTCATCAGCTACTTCGGCTGCATGAAGGCC
【0122】
一部の場合には、IGF-1のプロ-ペプチドは改変され得る。一部の実施形態において、天然にはシグナルペプチドの機能を有しない、IGF-1のプロ-ペプチドの天然に存在するアミノ酸配列(UniprotデータベースP05019として)は、プロ-ペプチドのN末端における隣接する22~31の10個のアミノ酸残基(VKMHTMSSSH(配列番号48))の欠失によって改変され、配列番号45に示されるDNA配列によってコードされる配列番号46に示されるアミノ酸配列を好ましくは有する。
【0123】
配列番号46
Met-Leu-Phe-Tyr-Leu-Ala-Leu-Cys-Leu-Leu-Thr-Phe-Thr-Ser-Ser-Ala-Thr-Ala
【0124】
配列番号47
ATGCTGTTCTATCTGGCCCTGTGCCTGCTGACCTTTACCAGCTCTGCTACCGCC
【0125】
一部の場合には、IGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および成熟IGF-1をコードする核酸配列を含むが、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まないmRNAは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列を含むが、ヒトIGF-1のE-ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まない、すなわちEa-、Eb-、またはEc-ドメインをコードするヌクレオチド配列を含まないmRNAを指し得る。27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。
【0126】
一部の場合には、インターロイキン4(IL-4)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IL-4の天然に存在するシグナルペプチドは、UniprotデータベースにおいてP05112としてのおよびGenbankデータベースにおいてNM_000589.4としてのIL-4アミノ酸配列のアミノ酸1~24を指す。一部の場合には、野生型(WT)IL-4シグナルペプチドアミノ酸配列は、配列番号53に示される配列を含む。一部の場合には、WT IL-4シグナルペプチドは、配列番号54に示されるDNA配列によってコードされる。一部の場合には、改変されたIL-4シグナルペプチドは、配列番号55に示される配列を含むアミノ酸配列を有する。一部の場合には、改変されたIL-4シグナルペプチドは、配列番号56に示されるDNA配列によってコードされる。
【0127】
リンカー
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する、組成物が本明細書において提供される。
【0128】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、ACAACAAを含む配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0129】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャー(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、(a)リンカーRNA配列は、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または(b)リンカーRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、組成物が本明細書において提供される。
【0130】
一部の実施形態において、第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列である。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAA、ATCCCTACGTACCAACAA、ACGTACCAACAA、TCCC、またはACAACAATCCCを含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、GOIをコードする第1のmRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、GOIをコードする第1のmRNA配列である。
【0131】
一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAを含む。
【0132】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、GOIをコードする第2のmRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、第2のsiRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、第3のsiRNA配列を含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、4種、5種、またはそれより多くのsiRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、siRNA配列のそれぞれは、標的RNAに結合し、標的RNAの発現をモジュレートする。
【0133】
一部の実施形態において、siRNA配列のそれぞれは、(a)異なる標的RNA;(b)同じ標的RNAの異なる領域;(c)同じ標的RNAの同じ領域;または(d)その任意の組み合わせ、に結合し得る。一部の実施形態において、(c)のsiRNA配列は同じである。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、それぞれがGOIをコードする3種、4種、5種、またはそれより多くのmRNA配列を含む。一部の実施形態において、mRNA配列のそれぞれは、同じGOIをコードする。一部の実施形態において、mRNA配列のそれぞれは、異なるGOIをコードする。
【0134】
一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さは、約4~約18ヌクレオチドである。一部の実施形態において、mは1であり、nは0である。一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列は、ACAACAATCCCである。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAAである。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号85、87~95からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号85に従った配列を含む。
【0135】
一部の実施形態において、GOIの発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、GOIの発現は、GOIによってコードされるタンパク質を発現させることによって上方調節される。一部の実施形態において、標的RNAの発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、標的RNAの発現は、標的RNAに結合し得るsiRNA配列によって下方調節される。一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNA配列は、GOIの発現を阻害しない。
【0136】
一部の実施形態において、siRNA配列間のRNAリンカー配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない。一部の実施形態において、siRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成する。
【0137】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、細胞内タンパク質によって切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、内因性タンパク質によって切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、内因性DICERによって切断される。
【0138】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。
【0139】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。
【0140】
一部の態様において、配列番号1~24および97~108からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。
【0141】
発現ベクター、およびRNAコンストラクトの産生
本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。第1のRNA配列および第2のRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするmRNAであり得る。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、それぞれが標的RNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAを含み得る。例えば、関心のある遺伝子をコードするmRNAは、IL-4またはIGF-1のmRNAであり得る。例えば、標的RNAは、TNF-アルファ、IL-17、IL-8、IL-1ベータ、またはTurbo GFPのmRNAであり得る。
【0142】
関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種をコードし得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、標的mRNAに向けられた2種のsiRNA種をコードし得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが標的mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得る。関連した態様において、siRNA種のそれぞれは、同じ配列、異なる配列、またはその組み合わせを含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが、標的mRNAの同じ領域または配列に向けられた3種のsiRNAをコードし得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが、標的mRNAの異なる領域または配列に向けられた3種のsiRNAをコードし得る。一部の態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、3種のsiRNA種をコードし得、3種のsiRNA種のそれぞれは、異なる標的mRNAに向けられる。一部の実施形態において、標的mRNAは、TNF-アルファmRNA、IL-8 mRNA、IL-17 mRNA、Turbo GFP mRNA、またはIL-1ベータmRNAであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号13~24からなる群から選択される配列を含み得る。
【0143】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトは、DNA鎖を化学合成することによる、PCRによる、またはギブソン・アセンブリ法による等、当技術分野において公知の任意の方法によって獲得され得る。化学合成、またはPCR法の組み合わせ、またはギブソン・アセンブリ法によってポリ核酸コンストラクトを構築する利点は、融合タンパク質が宿主細胞において高いレベルで発現されることを確実にするように、コドンが最適化され得ることである。コドン最適化とは、関心のある宿主細胞における発現のために、その宿主細胞の遺伝子においてより高頻度にまたは最も高頻度に使用されるコドンで、天然配列の少なくとも1種のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50種より多くの、またはそれより多くのコドン)を置き換えることによって核酸配列を改変し、一方で天然アミノ酸配列を維持する過程を指し得る。コドン使用法の表は、例えば「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかのやり方で適応され得る。特定の宿主細胞における発現のために、Gene Forge(登録商標)(Aptagen、PA)およびGeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)等、特定の配列をコドン最適化するためのコンピューターアルゴリズムも入手可能である。獲得され次第、ポリヌクレオチドは適切なベクターに組み入れられ得る。本明細書において使用されるベクターとは、in vivoまたはin vitroにおける核酸の取り込み、増殖、発現、または伝達のための、天然に存在するまたは合成的に作出されたコンストラクト、例えばプラスミド、ミニサークル、ファージミド、コスミド、人工染色体/ミニ染色体、バクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、バクテリオファージ等のウイルスを指し得る。ベクターを構築するために使用される方法は、当業者に周知であり、様々な刊行物に記載される。特に、プロモーター、エンハンサー、終結およびポリアデニル化シグナル、選択マーカー、複製の起点、ならびにスプライシングシグナル等の機能的および制御的成分の説明を含めた、適切なベクターを構築するための手法は、当業者に公知である。多様なベクターが当技術分野において周知であり、一部は、Agilent Technologies、Santa Clara、Calif.;Invitrogen、Carlsbad、Calif.;Promega、Madison、Wis.;Thermo Fisher Scientific;またはInvivogen、San Diego、Calif.等の会社から市販されている。in vitro転写のためのベクターの非限定的な例は、pT7CFE1-CHis、pMX(pMA-T、pMA-RQ、pMC、pMK、pMS、pMZ等)、pEVL、pSP73、pSP72、pSP64、およびpGEM(pGEM(登録商標)-4Z、pGEM(登録商標)-5Zf(+)、pGEM(登録商標)-11Zf(+)、pGEM(登録商標)-9Zf(-)、pGEM(登録商標)-3Zf(+/-)、pGEM(登録商標)-7Zf(+/-)等)を含む。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトはDNAであり得る。
【0144】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトは、環状または線状であり得る。例えば、環状ポリ核酸コンストラクトは、pMX、pMA-T、pMA-RQ、またはpT7CFE1-CHis等のベクターシステムを含み得る。例えば、線状ポリ核酸コンストラクトは、pEVL等の線状ベクター、または線状化ベクターを含み得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、プロモーターをさらに含み得る。一部の場合には、プロモーターは、第1のRNA配列および第2のRNA配列をコードする配列の上流またはそれに対して5’に存在し得る。プロモーターの非限定的な例は、T3、T7、SP6、P60、Syn5、およびKP34を含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えポリ核酸コンストラクトは、TAATACGACTCACTATA(配列番号26)を含む配列を含むT7プロモーターを含み得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、コザック配列をコードする配列をさらに含む。コザック配列とは、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸配列モチーフを指し得る。コザック配列は、文献において、例えば本明細書における参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、Kozak,M.、Gene 299(1-2):1~34によって詳細に記載される。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、GCCACC(配列番号25)を含む配列を含むコザック配列をコードする配列を含む。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えポリ核酸コンストラクトは、コドン最適化されていてもよい。
【0145】
それぞれが、1種または複数の標的RNAに結合し得るsiRNAをコードする少なくとも2種の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする1種または複数の核酸配列とを含む、本明細書に記載されるRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物であって、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるイントロン配列の一部ではない、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、関心のある遺伝子は、RNAスプライシングなしで発現される。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、標的RNAのエクソンに結合する。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、1種の標的RNAに特異的に結合する。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号13~24からなる群から選択される配列を含む核酸配列を含み得る。
【0146】
本明細書に記載されるRNAコンストラクト組成物を産生する方法が本明細書において提供される。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、RNAポリメラーゼに対するプロモーター、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列、1種または複数の標的mRNAに結合し得るsiRNAをコードする少なくとも2種の核酸配列、およびポリ(A)テールをコードする核酸配列、を含むポリ核酸コンストラクトからのin vitro転写によって産生され得る。in vitro転写反応は、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチドトリホスフェートの混合物(NTP)、および/またはキャッピング酵素をさらに含み得る。in vitro転写を使用してRNAを産生すること、ならびに転写RNAを単離することおよび精製することについての詳細は、当技術分野において周知であり、例えばBeckert&Masquida((2011)Synthesis of RNA by In vitro Transcription.RNA.Methods in Molecular Biology(Methods and Protocols)、第703巻.Humana Press)に見出され得る。in vitro転写産物キットの非限定的なリストは、MEGAscript(商標)T3転写キット、MEGAscript T7キット、MEGAscript(商標)SP6転写キット、MAXIscript(商標)T3転写キット、MAXIscript(商標)T7転写キット、MAXIscript(商標)SP6転写キット、MAXIscript(商標)T7/T3転写キット、MAXIscript(商標)SP6/T7転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)T3転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)T7転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)SP6転写キット、MEGAshortscript(商標)T7転写キット、HiScribe(商標)T7 High Yield RNA合成キット、HiScribe(商標)T7 In Vitro転写キット、AmpliScribe(商標)T7-Flash(商標)転写キット、AmpliScribe(商標)T7 High Yield転写キット、AmpliScribe(商標)T7-Flash(商標)ビオチン-RNA転写キット、T7転写キット、HighYield T7 RNA合成キット、DuraScribe(登録商標)T7転写キット等を含む。
【0147】
in vitro転写反応は、転写バッファーシステム、ヌクレオチドトリホスフェート(NTP)、およびRNase阻害剤をさらに含み得る。一部の実施形態において、転写バッファーシステムは、ジチオスレイトール(DTT)およびマグネシウムイオンを含み得る。NTPは、天然に存在するまたは天然に存在しない(修飾された)NTPであり得る。天然に存在しない(修飾された)NTPの非限定的な例は、N-メチルシュードウリジン、シュードウリジン、N-エチルシュードウリジン、N-メトキシメチルシュードウリジン、N-プロピルシュードウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-メトキシウリジン、5-メチルウルジン(methylurdine)、5-カルボキシメチルエステルウリジン、5-ホルミルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ブロモウリジン、5-ヨードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、6-アザウリジン、チエノウリジン、3-メチルウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、5-メチルシチジン、5-メトキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヨードシチジン、5-ブロモシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、N-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、および4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、N-メチルアデノシン、N-メチルアデノシン、N-メチル-2-アミノアデノシン、N-イソペンテニルアデノシン、N,N-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、ならびに2-メトキシ-アデニンを含む。DNA依存性RNAポリメラーゼの非限定的な例は、T3、T7、SP6、P60、Syn5、およびKP34 RNAポリメラーゼを含む。一部の実施形態において、RNAポリメラーゼは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、P60 RNAポリメラーゼ、Syn5 RNAポリメラーゼ、およびKP34 RNAポリメラーゼからなる群から選択される。
【0148】
本明細書に記載される転写RNAは、in vitro転写反応混合物から単離され得、精製され得る。例えば、転写RNAは、カラム精製を使用して単離され得、精製され得る。in vitro転写反応混合物から転写RNAを単離することおよび精製することについての詳細は、当技術分野において周知であり、任意の市販のキットが使用され得る。RNA精製キットの非限定的なリストは、MEGAclearキット、Monarch(登録商標)RNA Cleanupキット、EasyPure(登録商標)RNA精製キット、NucleoSpin(登録商標)RNA Clean-up等を含む。
【0149】
治療的適用
疾患または病状の治療において有用な組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、組成物は、疾患または病状を治療するまたは阻止するのに十分な量で存在するまたは投与される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。一部の態様において、それを必要とする対象における疾患または病状を治療する方法における使用のための、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、それを必要とする対象における疾患または病状を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物の使用が本明細書において提供される。一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、または関節疾患もしくは病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、関節変性は、椎間板疾患(IVDD)または変形性関節症(OA)を含む。関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントのうちの多くとも1種を含む相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得る。一部の実施形態において、関心のある遺伝子は、IL-4またはIGF-1を含み得る。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、本明細書に記載される疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る少なくとも2種の遺伝子エレメントを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、TNF-アルファmRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、IL-8 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、IL-1ベータmRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、IL-17 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。
【0150】
本明細書に記載される任意の組み換えRNAコンストラクト組成物、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物も本明細書において提供される。薬学的組成物とは、それを必要とする対象に投与されるべき1種または複数の薬学的に許容される添加物と一緒に医薬品有効成分の治療的有効量を含む混合物または溶液を表し得る。「薬学的に許容される」という用語は、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にもそれ以外の点でも非所望でなく、獣医学的ならびにヒト薬学的使用に許容される薬学的組成物を調製することにおいて有用である材料の性質を表す。「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物活性または特性を破棄せず、比較的非毒性である、担体または希釈剤等の材料を指し得る、すなわち、材料は、非所望の生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含有される組成物の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。薬学的に許容される添加物とは、薬学的製品を製剤化することにおいて使用される崩壊剤、結合剤、充填剤、溶媒、バッファー、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、担体、希釈剤、添加物、防腐剤、または潤滑剤等、治療活性を有せず、投与される対象に非毒性である、薬学的組成物における任意の薬学的に許容される構成成分を表し得る。薬学的組成物は、生物体への化合物の投与を促し得、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物のプロセシングを促す1種または複数の薬学的に許容される不活性構成成分を使用して従来的様式で製剤化され得る。適正な製剤化は、選定される投与の経路に依存し、薬学的組成物の概要は、参照により本明細書に組み入れられる、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第19編(Easton、Pa.:Mack Publishing Company、1995);Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7編(Lippincott Williams&Wilkins 1999)に見出され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、疾患組織または疾患細胞への注射のための水溶液に活性物質(例えば、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト)を溶解することによって製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、疾患組織または疾患細胞への直接注射のための水溶液に活性物質(例えば、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト)を溶解することによって製剤化され得る。
【0151】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトまたは組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における疾患または病状を治療する方法も本明細書において提供される。本明細書において使用される「有効量」または「治療的有効量」という用語は、治療されている疾患または病状の症状の1つまたは複数をある程度軽減するであろう、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す;例えば、疾患の1つもしくは複数の兆候、症状、もしくは原因の低下および/もしくは緩和、または生物学的システムの任意の他の所望の変更。例えば、治療的使用のための「有効量」とは、1つまたは複数の病徴の臨床的に有意な減少を提供する薬剤の量であり得る。適当な「有効な」量は、個々の症例において、用量漸増調査等の手法を使用して判定され得る。
【0152】
本明細書において使用される「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、疾患もしくは病状の少なくとも1つの症状を緩和すること、鎮めること、もしくは改善すること、付加的な症状を阻止すること、疾患もしくは病状を阻害すること、例えば疾患もしくは病状の発症を停止させること、疾患もしくは病状を軽減すること、疾患もしくは病状の後退を引き起こすこと、疾患もしくは病状によって引き起こされた病状を軽減すること、または予防的にかつ/もしくは治療的に疾患もしくは病状の症状を食い止めることを含む。一部の実施形態において、疾患または病状を治療することは、疾患組織または疾患細胞のサイズを低下させることを含む。一部の実施形態において、対象における疾患または病状を治療することは、対象の生存期間を増加させることを含む。一部の実施形態において、疾患または病状を治療することは、疾患の重症度を低下させることもしくは改善すること、疾患の発生を遅延させること、疾患の進行を阻害すること、対象に対する入院期間もしくは入院期間の長さを低下させること、対象の生活の質を向上させること、疾患と関連した症状の数を低下させること、疾患と関連した症状の重症度を低下させることもしくは改善すること、疾患と関連した症状の継続期間を低下させること、疾患と関連した症状の再発を阻止すること、疾患の症状の発症もしくは発生を阻害すること、または疾患と関連した症状の進行を阻害することを含む。
【0153】
一部の場合には、対象は哺乳動物を包含し得る。哺乳動物の例は、哺乳動物綱の任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、ならびに他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の家畜;ウサギ、イヌ、およびネコ等の家庭用動物;ラット、マウス、およびモルモット等のげっ歯類を含めた実験室用動物を含むが、それらに限定されるわけではない。一部の場合には、哺乳動物はヒトである。一部の場合には、対象は動物であり得る。一部の場合には、動物は、人間および非ヒト動物を含み得る。1つの実施形態において、非ヒト動物は、哺乳動物、例えばラットまたはマウス等のげっ歯類であり得る。別の実施形態において、非ヒト動物はマウスであり得る。一部の場合には、対象は哺乳動物である。一部の場合には、対象はヒトである。一部の場合には、対象は、成人、子ども、または幼児である。一部の場合には、対象は伴侶動物である。一部の場合には、対象は、ネコ、イヌ、またはげっ歯類である。一部の場合には、対象は、イヌまたはネコである。
【0154】
一部の態様において、関心のある遺伝子をコードするmRNA、および標的mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的mRNAは、TNF-アルファ、IL-1ベータ、IL-8、IL-17、Turbo GFP、またはその機能的バリアントのmRNAを含む。一部の実施形態において、関心のある遺伝子をコードするmRNAは、IGF-1またはその機能的バリアントをコードする。一部の実施形態において、関心のある遺伝子をコードするmRNAはサイトカインをコードする。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-4またはその機能的バリアントである。
【0155】
一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IGF-1をコードするmRNA、およびIL-8のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IGF-1をコードするmRNA、およびIL-1ベータのmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-4をコードするmRNA、およびTNF-アルファのmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-4をコードするmRNA、およびIL-17のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-4をコードするmRNA、TNF-アルファのmRNAに結合し得るsiRNA、およびIL-17のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、または関節疾患もしくは病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、関節疾患または病状は関節変性を含む。一部の実施形態において、関節変性は、椎間板疾患(IVDD)または変形性関節症(OA)を含む。
【0156】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-4をコードするmRNAと;(ii)TNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、TNF-アルファmRNAに向けられた2種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAに向けられた3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号100、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、または配列番号105(Cpd.4~Cpd.9)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19、配列番号20、または配列番号21(Cpd.4~Cpd.9)に明記される配列を含み得る。
【0157】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IGF-1をコードするmRNAと;(ii)IL-8 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、IL-8 mRNAに向けられた2種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-8 mRNAに向けられた3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号1、配列番号2、配列番号97、または配列番号98(Cpd.1またはCpd.2)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号13または配列番号14(Cpd.1またはCpd.2)に明記される配列を含み得る。
【0158】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IGF-1をコードするmRNAと;(ii)IL-1ベータmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、IL-1ベータmRNAに向けられた2種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-1ベータmRNAに向けられた3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号3または配列番号99(Cpd.3)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号15(Cpd.3)に明記される配列を含み得る。
【0159】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-4をコードするmRNAと;(ii)IL-17 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、IL-17 mRNAに向けられた2種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-17 mRNAに向けられた3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号4または配列番号100(Cpd.4)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16(Cpd.4)に明記される配列を含み得る。
【0160】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-4をコードするmRNAと;(ii)TNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAと;および(iii)IL-17 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、TNF-アルファmRNAに向けられた2種のsiRNA、およびIL-17 mRNAに向けられた2種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAまたはIL-17 mRNAに向けられた3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAまたはIL-17 mRNAに向けられた6種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、3種がTNF-アルファmRNAに向けられ、3種がIL-17 mRNAに向けられた、6種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号4または配列番号100(Cpd.4)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16(Cpd.4)に明記される配列を含み得る。
【0161】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IGF-1 mRNAと;(ii)Turbo GFP mRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、Turbo GFP mRNAに向けられた1種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAに向けられた2種または3種のsiRNAを含み得る。関連した態様において、少なくとも2種または少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、配列番号10、配列番号11、配列番号12、配列番号106、配列番号107、または配列番号108(Cpd.10~Cpd.12)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号22、配列番号23、または配列番号24(Cpd.10~Cpd.12)に明記される配列を含み得る。
【0162】
本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物は、併用療法として投与され得る。2種以上の治療剤または療法を用いた併用療法は、異なる作用のメカニズムによって働く薬剤および療法を使用し得る。異なる作用のメカニズムを有する薬剤または療法を使用した併用療法は、相加的なまたは相乗的な効果をもたらし得る。併用療法は、単剤療法において使用されるよりも低い用量の各薬剤を可能にし得、それによって、有毒な副作用を低下させかつ/または薬剤の治療指数を増加させる。併用療法は、耐性疾患細胞が生じるであろう可能性を減少させ得る。一部の場合には、併用療法は、免疫応答に影響を及ぼす(例えば、応答を増強するまたは活性化する)治療剤または療法、および疾患細胞に影響を及ぼす(例えば、阻害するまたは殺傷する)治療剤を含む。一部の場合には、併用療法は、(i)本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物;および(ii)本明細書に記載される疾患に対する、当技術分野において公知の1種または複数の付加的な療法を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物は、併用療法のため1種または複数の付加的な療法の投与の前に、それと同時に、および/または後に、疾患または病状を有する対象に投与され得る。一部の実施形態において、1種または複数の付加的な療法は、1、2、3種、またはそれより多くの付加的な治療剤または療法を含み得る。
【0163】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物は、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して対象に投与され得る。本発明における使用のための適切な製剤、および送達の方法は、当技術分野において一般的に周知である。例えば、本明細書に記載される組成物は、非経口的に、静脈内に、皮内に、筋肉内に、結腸に(colonically)、直腸に、または腹腔内に、を含めた、多様なやり方で対象に投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、対象の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射によって投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または経口的に投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、疾患組織または細胞への注射を介して投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、疾患組織または細胞への注射のための水溶液として投与され得る。
【0164】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物のいずれかは、取扱説明書と一緒に提供され得る。取扱説明書は、本発明に従って本明細書に記載される疾患または障害(例えば、頭頸部がん等のがん)をどのように治療する(または阻止する)のか、当業者または主治医のための手引きを含み得る。一部の実施形態において、取扱説明書は、それぞれ、本明細書に記載される送達/投与の様態、および送達/投与レジメンに関する手引き(例えば、送達/投与の経路、投薬量レジメン、送達/投与の時間、送達/投与の頻度等)を含み得る。一部の実施形態において、取扱説明書は、どのように本発明の組成物が投与されるもしくは注射されるべきであり、かつ/または投与もしくは注射のために調製されるかという説明書を含み得る。原則として、それぞれ送達/投与の様態および送達/投与レジメンに関して本明細書における他の箇所に記載されているものは、取扱説明書におけるそれぞれの説明書として含まれ得る。
【0165】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物は、遺伝子療法において使用され得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、遺伝子療法ベクターにおいて細胞に送達され得る。遺伝子療法ベクターおよび遺伝子送達の方法は、当技術分野において周知である。これらの方法の非限定的な例は、細胞への送達後にエピソーム性または組み込み型ゲノムのいずれかを有する、DNAおよびRNAウイルスを含めたウイルスベクター送達システム、DNAプラスミド、ネイキッド核酸、および送達ビヒクルと複合した核酸を含めた非ウイルスベクター送達システム、トランスポゾンシステム(宿主ゲノムへの送達および組み込みのための;Moriarityら(2013)Nucleic Acids Res 41(8)、e92、Aronovichら、(2011)Hum.Mol.Genet.20(R1)、R14~R20)、レトロウイルス媒介性DNA移入(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、レトロウイルス、例えばラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳房腫瘍ウイルス;例えば、Kayら(1993)Science 262、117~119、Anderson(1992)Science 256、808~813を参照されたい)、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス、パルボウイルス、およびアデノ随伴ウイルスを含めたDNAウイルス媒介性DNA移入(例えば、Aliら(1994)Gene Therapy 1、367~384)を含む。ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、および単純ヘルペスウイルスベクターも含むが、それらに限定されるわけではない。宿主ゲノムへの組み込みの能力があるベクターは、レトロウイルスまたはレンチウイルスを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0166】
一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、直接DNA移入を介して細胞に送達され得る(Wolffら(1990)Science 247、1465~1468)。組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、細胞を一時的に透過処理する、細胞膜の穏やかな機械的分断の後に細胞に送達され得る。そのような膜の穏やかな機械的分断は、小さな開口部を通じて細胞を優しく押し破ることによって遂行され得る(Shareiら、PLOS ONE(2015)10(4)、e0118803)。別の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、リポソーム媒介性DNA移入を介して細胞に送達され得る(例えば、Gao&Huang(1991)Biochem.Ciophys.Res.Comm.179、280~285、Crystal(1995)Nature Med.1、15~17、Caplenら(1995)Nature Med.3、39~46)。リポソームは、閉鎖された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される多様な単一のおよび多層状の脂質ビヒクルを包含し得る。組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、リポソームの水性内部にカプセル化され得る、リポソームの脂質二重層内に散在される、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と結び付いている連結分子を介してリポソームに付着される、リポソーム内に封入される、またはリポソームと複合され得る。
【0167】
遺伝子発現のモジュレーション
本明細書に記載される任意の組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からmRNAおよび少なくとも2種のsiRNAを発現させる方法が本明細書において提供される。関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントは、標的メッセンジャーRNA(mRNA)に結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)を含み、標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なり、それによって、単一RNA転写産物からの標的mRNAおよび関心のある遺伝子の発現をモジュレートする、方法が本明細書においてさらに提供される。一部の場合には、本明細書において使用されるポリ核酸、遺伝子、DNA、またはRNAの発現とは、ポリ核酸、遺伝子、DNA、またはRNAの転写および/または翻訳を指し得る。一部の場合には、本明細書において使用される、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの発現をモジュレートすること、増加させること、上方調節すること、減少させること、または下方調節することは、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの転写および/または翻訳に影響を及ぼすことによって、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAによってコードされるタンパク質のレベルをモジュレートすること、増加させること、上方調節すること、減少させること、下方調節することを指し得る。一部の場合には、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの発現を阻害することは、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAによってコードされるタンパク質のレベルが低下するまたは消失するように、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの転写および/または翻訳に影響を及ぼすことを指し得る。
【0168】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNA配列はIL-4をコードし、第2のRNA配列は、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのTNF-アルファmRNAおよびIL-4の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0169】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNA配列はIGF-1をコードし、第2のRNA配列は、IL-8 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのIL-8 mRNAおよびIGF-1の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0170】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNA配列はIGF-1をコードし、第2のRNA配列は、IL-1ベータmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのIL-1ベータmRNAおよびIGF-1の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0171】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNA配列はIL-4をコードし、第2のRNA配列は、IL-17 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのIL-17 mRNAおよびIL-4の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0172】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNA配列はIL-4をコードし、第2のRNA配列は、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)、およびIL-17 mRNAに結合し得るsiRNAをコードし、それによって、単一RNA転写産物からのTNF-アルファmRNA、IL-17 mRNA、およびIL-4の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0173】
例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列はIGF-1をコードし、第2のRNA配列は、Turbo GFP mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのTurbo GFP mRNAおよびIGF-1の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0174】
関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNAはIL-4をコードし、第2のRNAは、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IL-4およびTNF-アルファの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-4の発現は上方調節され、TNF-アルファの発現は同時に下方調節される、方法が本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号4~9または100~105(Cpd.4~Cpd.9)に示される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16~21(Cpd.4~Cpd.9)に示される配列を含み得る。
【0175】
関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNAはIGF-1をコードし、第2のRNAは、IL-8 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IGF-1およびIL-8の発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IGF-1の発現は上方調節され、IL-8の発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-8 mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-8 mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号1(Cpd.1)、配列番号97(Cpd.1)、配列番号2(Cpd.2)、または配列番号98(Cpd.2)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号13(Cpd.1)または配列番号14(Cpd.2)を含む配列を含み得る。
【0176】
関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNAはIGF-1をコードし、第2のRNAは、IL-1ベータmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IGF-1およびIL-1ベータの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IGF-1の発現は上方調節され、IL-1ベータの発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-1ベータmRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-1ベータmRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたは組み換えRNAコンストラクトは、配列番号3または配列番号99(Cpd.3)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号15(Cpd.3)を含む配列を含み得る。
【0177】
関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNAはIL-4をコードし、第2のRNAは、IL-17 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IL-4およびIL-17の発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-4の発現は上方調節され、IL-17の発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-17 mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-17 mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号4または配列番号100(Cpd.4)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16(Cpd.4)を含む配列を含み得る。
【0178】
関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、第1のRNAはIL-4をコードし、第2のRNAは、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)、およびIL-17 mRNAに結合し得るsiRNAをコードし;IL-4、TNF-アルファ、およびIL-17の発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-4の発現は上方調節され、同時に、TNF-アルファおよびIL-17の発現は下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがIL-17 mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファおよび/またはIL-17 mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、6種のsiRNAをコードし得または含み得、6種のsiRNAのうちの3種は、TNF-アルファの異なる領域に向けられ、他の6種のsiRNAは、IL-17 mRNAの異なる領域に向けられる。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号4または配列番号100(Cpd.4)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号16(Cpd.4)を含む配列を含み得る。
【0179】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIGF-1をコードし、第2のRNAは、Turbo GFP mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし:IGF-1およびTurbo GFPの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IGF-1の発現は上方調節され、Turbo GFPの発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号10~12および106~108(Cpd.10~Cpd.12)からなる群から選択される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号22~24(Cpd.10~Cpd.12)からなる群から選択される配列を含み得る。
【0180】
関心のある遺伝子(例えば、IL-4またはIGF-1)をコードする第1のRNA配列と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とをコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現を上方調節するおよび下方調節する方法であって、第2のRNAは、標的mRNA(例えば、TNF-アルファ IL-8、IL-17、Turbo GFP、またはIL-1ベータ)に結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なり、標的mRNAの発現は下方調節され、関心のある遺伝子の発現は同時に上方調節される、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的mRNAの発現は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって下方調節される。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAまたはタンパク質を発現させることによって上方調節される。
【0181】
例示的な実施形態
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)の第1のRNA配列と、少なくとも2種の遺伝子エレメントのうちの多くとも1種を有する(ii)の相当する第2のRNA配列とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたウリジンを含まない。
【0182】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、ヌクレオチドバリアントは、修飾されたウリジンを含む。一部の実施形態において、修飾されたウリジンは、N1-メチルシュードウリジンを含む。
【0183】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0184】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0185】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは、非修飾のヌクレオチドまたは天然のヌクレオチドだけを含む、組成物が本明細書において提供される。
【0186】
一部の態様において、(i)関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列と、(ii)1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種の遺伝子エレメントを含む第2のRNA配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0187】
一部の実施形態において、相当する組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントのいずれも含まない。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも3種の遺伝子エレメントを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも6種の遺伝子エレメントを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種または少なくとも4種の遺伝子エレメントを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする2種もしくは4種、またはそれより多くの遺伝子エレメントを含む。
【0188】
一部の実施形態において、第1のRNA配列は、メッセンジャーRNA(mRNA)配列である。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、二次構造を含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、ヘアピン構造またはループ構造を含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、短いまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)である。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、細胞内タンパク質によってプロセシングされるまたは切断される。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、細胞の内因性タンパク質によってプロセシングされるまたは切断される。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、内因性Dicerによってプロセシングされるまたは切断される。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、低分子干渉RNA(siRNA)を含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列の少なくとも2種の遺伝子エレメントのそれぞれは、1種または複数の標的RNAに結合し得る。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも2種または少なくとも4種のsiRNAを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする2種もしくは4種、またはそれより多くのsiRNAを含む。
【0189】
一部の実施形態において、免疫応答は、ヒトToll様受容体7(TLR7)免疫応答、インターフェロンアルファ/ベータ(IFNα/β)免疫応答、ヒトToll様受容体3(TLR3)免疫応答、ヒトToll様受容体8(TLR8)免疫応答、またはその任意の組み合わせである。一部の実施形態において、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、ヒトToll様受容体7(TLR7)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす。一部の実施形態において、ヒトTLR7免疫原性アッセイは、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定する。一部の実施形態において、ヒトTLR7免疫原性アッセイは、HEK293細胞またはその誘導体において実施される。一部の実施形態において、HEK293細胞は、hTLR7およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子である。一部の実施形態において、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある。一部の実施形態において、プロモーターはIFN-β最小プロモーターである。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答は、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも少なくとも1.5倍または少なくとも2倍低い。
【0190】
一部の実施形態において、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、インターフェロンアルファ/ベータ(IFNα/β)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす。一部の実施形態において、IFNα/β免疫原性アッセイは、JAK-STATおよび/またはISG3の活性化を測定する。一部の実施形態において、IFNα/β免疫原性アッセイは、HEK293細胞またはその誘導体において実施される。一部の実施形態において、HEK293細胞は、ヒトSTAT2および/またはIRF9遺伝子ならびにレポーター遺伝子を発現するように操作されている。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子である。一部の実施形態において、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のSTAT2および/またはIRF9結合部位を有するプロモーターの制御下にある。一部の実施形態において、プロモーターはISG54プロモーターである。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答は、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞における免疫応答よりも少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、または少なくとも100倍低い。
【0191】
一部の実施形態において、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、ヒトToll様受容体3(TLR3)免疫原性アッセイに従った実質的な免疫応答をもたらさない。一部の実施形態において、ヒトTLR3免疫原性アッセイは、NF-κBおよび/またはAP1の活性化を測定する。一部の実施形態において、ヒトTLR3免疫原性アッセイは、HEK293細胞またはその誘導体において実施される。一部の実施形態において、HEK293細胞は、hTLR3およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子である。一部の実施形態において、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある。一部の実施形態において、プロモーターはIFN-β最小プロモーターである。
【0192】
一部の実施形態において、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、ヒトToll様受容体8(TLR8)免疫原性アッセイに従って、相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす。一部の実施形態において、ヒトTLR8免疫原性アッセイは、NF-κB、AP1、および/またはIRFの活性化を測定する。一部の実施形態において、ヒトTLR8免疫原性アッセイは、HEK293細胞またはその誘導体において実施される。一部の実施形態において、HEK293細胞は、hTLR8およびレポーター遺伝子を発現するように操作されている。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、分泌型レポーター遺伝子である。一部の実施形態において、分泌型レポーター遺伝子は、分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)である。一部の実施形態において、レポーター遺伝子は、1つまたは複数のNF-κBおよび/またはAP1結合部位を有するプロモーターの制御下にある。一部の実施形態において、プロモーターはIFN-β最小プロモーターである。
【0193】
一部の実施形態において、免疫応答は、細胞において炎症促進性サイトカインの発現を誘導する。一部の実施形態において、炎症促進性サイトカインはインターロイキン6(IL-6)を含む。一部の実施形態において、細胞は、ヒト肺上皮癌細胞(A549)またはヒト単球白血病細胞(THP-1)を含む。
【0194】
一部の実施形態において、第2のRNA配列は、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAを含み、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAは、(i)異なる標的RNA;(ii)同じ標的RNAの異なる領域;(iii)同じ標的RNAの同じ領域;または(iv)その任意の組み合わせ、に結合し得るsiRNAを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、少なくとも3種のsiRNAを含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、少なくとも6種のsiRNAを含む。
【0195】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数のリンカーをさらに含む。一部の実施形態において、1種または複数のリンカーのそれぞれは、式(I):XCAACAAX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XTCCCX[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する。一部の実施形態において、1種または複数のリンカーのそれぞれは、ACAACAAを含む配列を含む。一部の実施形態において、1種または複数のリンカーのそれぞれは、(a)TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または(b)RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない。一部の実施形態において、1種または複数のリンカーのそれぞれは、(a)第1のRNA配列と第2のRNA配列との間、(b)第2のRNA配列の2、3、4、5、6種、もしくはそれより多くのsiRNAのそれぞれの間、または(c)(a)および(b)の両方の間に存在する。一部の実施形態において、1種または複数のリンカーのそれぞれは、配列番号27、28、85~95からなる群から独立して選択される配列を含む。
【0196】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、組み換えRNAコンストラクトを含む細胞において上方調節される。一部の実施形態において、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質の発現は、組み換えRNAコンストラクトを含む細胞において上方調節される。
【0197】
一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントによって下方調節される。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、関心のある遺伝子の発現を阻害しない。
【0198】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子は、インターロイキン4(IL-4)およびインスリン様成長因子1(IGF-1)からなる群から選択される。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAは、ノンコーディングRNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)を含む。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAのそれぞれはノンコーディングRNAである。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAのそれぞれはmRNAである。一部の実施形態において、標的RNAは、インターロイキン8(IL-8)、インターロイキン1ベータ(IL-1ベータ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン17(IL-17)、またはその機能的バリアントを含むタンパク質をコードするmRNAである。
【0199】
一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、1種または複数の標的RNAのエクソンに結合する。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、1種の標的RNAに特異的に結合する。一部の実施形態において、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の実施形態において、関心のある遺伝子は、RNAスプライシングなしで発現される。
【0200】
一部の実施形態において、第1のRNA配列は、第2のRNA配列の下流または3’に存在する。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、第2のRNA配列の上流または5’に存在する。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、第1のRNA配列の上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。
【0201】
一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、ポリ(A)テール、5’キャップ、またはコザック配列をさらに含む。一部の実施形態において、第1のRNA配列および第2のRNA配列は、両方とも組み換えである。一部の実施形態において、siRNAは、配列番号57~70から選択されるセンス鎖配列を含む。
【0202】
一部の態様において、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含むベクターが本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を含む細胞が本明細書において提供される。
【0203】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを同時に発現させる方法が本明細書において提供される。
【0204】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載される薬学的組成物のいずれか1種をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。
【0205】
一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、または関節疾患もしくは病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、関節疾患または病状は関節変性を含む。一部の実施形態において、関節変性は、椎間板疾患(IVDD)または変形性関節症(OA)を含む。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0206】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-8 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0207】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIGF-1をコードするmRNAと、(ii)のIL-1ベータmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0208】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0209】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、ヒト細胞と組み換えRNAコンストラクトとを接触させることは、(i)のIL-4をコードするmRNAと、(ii)のTNF-アルファmRNAおよびIL-17 mRNAに結合し得る少なくとも2種のsiRNAのうちの多くとも1種とを含む相当する組み換えRNAコンストラクトと接触したヒト細胞の免疫応答よりも低い免疫応答をもたらす、組成物が本明細書において提供される。
【0210】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0211】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0212】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0213】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-8(IL-8)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0214】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0215】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0216】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0217】
一部の態様において、(i)インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)インターロイキン-1ベータ(IL-1ベータ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0218】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0219】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0220】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0221】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAに結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0222】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはヌクレオチドバリアントを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0223】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトは修飾されたウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0224】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはN1-メチルシュードウリジンを含まない、組成物が本明細書において提供される。
【0225】
一部の態様において、組み換えRNAコンストラクト:(i)インターロイキン-4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)と、(ii)腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)mRNAおよびインターロイキン17(IL-17)に結合し得る少なくとも2種の低分子干渉RNA(siRNA)とを含む組成物であって、組み換えRNAコンストラクトはウリジンを含み、(a)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるすべてのウリジンは、非修飾もしくは天然のヌクレオチドであるか;または(b)組み換えRNAコンストラクトによって含まれるウリジンの少なくとも1つは非修飾のウリジンである、組成物が本明細書において提供される。
【0226】
一部の態様において、配列番号1~24、42、125、97~108、121~122、および127~128からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。
【0227】
好ましい実施形態において、第1のRNA配列によってコードされる関心のある遺伝子は、インターロイキン2(IL-2)ではなく、第2のRNA配列によって含まれる少なくとも2種の遺伝子エレメントによってモジュレートされる1種または複数の標的RNAは、血管内皮増殖因子A(VEGFA)、VEGFAのアイソフォーム、MHCクラスI鎖関連配列A(MICA)、またはMHCクラスI鎖関連配列B(MICB)ではない。
【0228】
好ましい実施形態において、第1のRNA配列によってコードされる関心のある遺伝子は、インターロイキン2(IL-2)、その断片、またはその機能的バリアントではなく、第2のRNA配列によって含まれる少なくとも2種の遺伝子エレメントによってモジュレートされる1種または複数の標的RNAは、血管内皮増殖因子A(VEGFA)、VEGFAのアイソフォーム、MHCクラスI鎖関連配列A(MICA)、MHCクラスI鎖関連配列B(MICB)、その断片、またはその機能的バリアントではない。
【実施例
【0229】
これらの実施例は、例示的目的のためのみに提供されるものであり、本明細書において提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0230】
実施例1:コンストラクト設計、配列、および合成
【0231】
コンストラクト設計
【0232】
siRNAおよび関心のある遺伝子の両方とも、in vitro転写によって生成された単一転写産物から同時に発現される(表1;配列番号1~12および97~108)。IL-4およびIGF-1コード配列は、ホモサピエンス(Homo sapiens)を起源とし、結果として生じるアミノ酸配列の変化は、IL-4(hIL-4:NP_000580.1;配列番号31および32;Cpd.4~Cpd.9)、およびIGF-1コンストラクトの一部(Cpd.10~Cpd.13;IGF-1:NP_000609.1)に対して導入されなかった。トランスフェクトされた細胞からのmRNA誘導性IGF-1(NP_000609.1)の分泌を増加させるために、内因性のIGF-1プレ-ドメイン(シグナルペプチド;配列番号33および34)を、Cpd.1~Cpd.4 mRNAコンストラクトにおいて、BDNF(NP_733931.1;配列番号35および36)シグナルペプチド(BDNF-プロ-IGF-1)によって交換した。さらに、コンストラクトは、70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1の全コード配列をコードする配列を含有した(配列番号35および36)。C末端E-ドメインは、コンストラクトに付加されなかった。IL-8(NM_000584.3;配列番号37)、IL-1ベータ(NM_000576.2;配列番号38)、IL-17(NM_002190.2;配列番号39)、およびTNF-アルファ(NM_000594.3;配列番号40)に対するsiRNA標的配列は、ホモサピエンス(Homo sapiens)を起源とし、配列の変化は導入されなかった。Turbo GFP配列は、海生カイアシ類ポンテリーナ・プルマーテ(Pontellina plumate)に由来した(配列番号41)。siRNA構造を有するおよびsiRNA構造を有しないmRNAを比較するために、最適化されたシグナルペプチドを有するIL-4分子を使用した(配列番号42および43)。
【0233】
ポリ核酸コンストラクトは、コザック配列(5’GCCACC3’;配列番号25)を含み得る。加えて、ポリ核酸コンストラクトは、RNAポリメラーゼ結合、ならびに単一転写産物における関心のある遺伝子およびsiRNAの両方のin vitro転写の成功のために、関心のある遺伝子配列の上流にT7プロモーター配列(5’TAATACGACTCACTATA3’;配列番号26)を含み得る。代替的プロモーター、例えばSP6、T3、P60、Syn5、およびKP34が使用され得る。T7プロモーター、関心のある遺伝子、およびsiRNA配列に隣接するように設計されたプライマーを使用して、転写鋳型をPCRによって生成して、mRNAを産生する。リバースプライマーは、mRNAに120bp長のポリ(A)テールを付加するために、一続きのチミジン(T)塩基(120)を含む。ポリヌクレオチドまたはRNAコンストラクトの一部は、Chengら(2018)J.Mater.Chem.B.、6、4638~4644に記載されるsiRNA設計を含むように操作され、異なるRNAセグメントを接続する(関心のある遺伝子mRNAをsiRNAに(配列番号27)、またはsiRNAをsiRNAに(配列番号28))リンカーとともに、siRNA配列の上流または下流に関心のある1種または複数の遺伝子をさらに含む。組み換えコンストラクトは、同じまたは異なる標的mRNAを標的にする1種より多くのsiRNA配列をコードし得るまたは含み得る。同じように、コンストラクトは、関心のある2種以上の遺伝子の核酸配列を含み得る。
【0234】
コンストラクト合成
【0235】
表1に示されるコンストラクト(化合物ID番号Cpd.1~Cpd.14)を、コドン最適化(GeneOptimizerアルゴリズム)を用いて、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含有するpMA-RQプラスミド骨格ベクターにおいてGeneArt、Germany(Thermo Fisher Scientific)によって合成した。表1は、各化合物(Cpd.)に関して、相当するmRNA(siRNA標的)へのsiRNA結合により下方調節される対象となるタンパク質、化合物におけるsiRNA位置、化合物におけるsiRNAの数、関心のある遺伝子、およびそれぞれの適応症を示している。各コンストラクトの配列は表2に示されており、表の下に示されるように注釈を付されている(配列番号1~12、42、125、97~108、および121~122)。各コンストラクトのプラスミド骨格配列は表3に示されており、化合物配列は、太字でかつ下線が引かれている(配列番号13~24および127~128)。
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
実施例2:RNAコンストラクトのin vitro転写およびデータ分析
【0240】
Cpd.1~Cpd.14をコードするpMA-RQ/pMA-Tベクターを使用して、PCRベースのin vitro転写を行ってmRNAを産生する。表4におけるフォワードおよびリバースプライマー(配列番号29および30)を使用したPCRによって、転写鋳型を生成した。120bpポリ(A)テールをもたらす鋳型において、ポリ(A)テールをコードした。siRNA隣接領域のそれぞれの配列を考慮して、最適化を必要に応じて行って特異的増幅を達成した。最適化は、1)ベクターのプラスミドDNAの量を減少させること、2)DNAポリメラーゼを変化させること(Q5ホットスタートポリメラーゼ、New England Biolabs)、3)PCRの各サイクルに対して、変性時間(30秒間から10秒間へ)および伸長時間(45秒間/kbから10秒間/kbへ)を低下させること、4)PCRの各サイクルに対して、アニーリングを増加させること(10秒間から30秒間へ)、ならびに5)PCRの各サイクルに対して、最終伸長時間を増加させること(最高15分間まで)を含む。加えて、非特異的プライマー結合を回避するために、融解試薬を含めた、PCR反応混合物を氷上で調製し、PCRサイクルの数を25回に低下させた。
【0241】
in vitro転写に関しては、T7 RNAポリメラーゼ(MEGAscriptキット、Thermo Fisher Scientific)を37℃で2時間使用した。合成されたRNAを、100%N1-メチルシュード-UTP(修飾されたRNA)を用いて化学修飾して免疫原性を低下させた、または標準UTP(非修飾のRNA)を使用して非修飾であった。すべての合成されたRNAを、5’末端でアンチリバースCAPアナログ(ARCA;[m 7,3’-OG(5’)ppp(5’)G])を用いて共転写的にキャッピングした(Jena Bioscience)。in vitro転写の後、RNAを、MEGAclearキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してカラム精製し、Nanophotometer-N60(Implen)を使用して定量した。
【0242】
【0243】
in vitro転写を使用して、Cpd.1~Cpd.14をRNAコンストラクトとして作出し、免疫原性モジュレーションについて様々なin vitroモデルにおいて試験した。
【0244】
コンストラクトの分子量の判定を、以下のように実施した。各配列に存在する各塩基(A、C、G、T、またはN1-UTP)の総数を判定し、該数にそれぞれの分子量(例えば、A:347.2g/mol;C 323.2g/mol;G 363.2g/mol;N1-UTP:338.2g/mol)を掛けることによって、各コンストラクトの分子量を各配列から判定した。各塩基に対して獲得された全重量と817.4g/molのARCA分子量との合計によって、分子量を判定した。各コンストラクトの分子量を使用して、ナノモル(nM)濃度まで、各ウェルにおけるトランスフェクションに使用されるRNAの量を算出した。QUANTI-Blue(商標)を使用し、620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って、SEAP活性を査定した。トランスフェクトされていない細胞の上清をバックグラウンドコントロールとして使用し、試験された試料における獲得されたO.D.値から差し引いた。データを、GraphPad Prism 8(San Diego、USA)を使用して分析した。スチューデントt検定を使用して統計分析を行って、群間の有意差を比較した。
【0245】
実施例3:免疫原性アッセイ
【0246】
NF-κB活性化に関するHEK-Blue(商標)hTLR7免疫原性アッセイ
【0247】
2種の異なる細胞株において実施される修飾されたRNAおよび非修飾のRNAを有する種々の化合物の免疫原性は、免疫原性の主要な経路を表す。第1のアッセイは、NF-κB/AP1の活性化をモニターすることによってヒトTLR7(hTLR7)の活性化を調査するために設計されているHEK-Blue(商標)hTLR7(Invivogen、カタログコード:hkb-htlr7)細胞を利用する。エンドソームTLR7受容体は、一本鎖RNAにおけるウリジンおよびグアノシン塩基を検出し、抗ウイルス応答としての免疫反応を引き出す。これらの細胞は、ヒト胎児性腎臓HEK293細胞株に由来し、5つのNF-κBおよびAP-1結合部位を有するIFN-β最小プロモーターの制御下でhTLR7および分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を発現するように操作されている。TLR7活性化があり次第、SEAPは産生され、細胞培養上清においてHEK-Blue(商標)検出細胞培地を用いてリアルタイムで判定され得る。HEK-Blue(商標)hTLR7細胞の刺激を、修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.1~Cpd.12;0.3~0.45μg/ウェル)の直接トランスフェクションによって達成した。
【0248】
HEK-Blue(商標)hTLR7細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質ブラストサイジン(10μg/mL)およびゼオシン(100μg/mL)を培地に添加して、hTLR7およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、HEK-293細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、0.3~0.45μg/ウェルの特異的RNAコンストラクトをトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。5時間後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。R848(レシキモド;1μg/ml;Invivogen、カタログコード:tlrl-r848)hTLR7アゴニストを、ポジティブコントロールとして使用した。24時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用した。
【0249】
ISGF3経路の活性化をモニターするHEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞免疫原性アッセイ
【0250】
HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞(Invivogen、カタログコード:hkb-ifnab)は、I型インターフェロンによって誘導されるJAK-STATおよびISG3の活性化を調査するために設計されている。I型IFNの活性化は、それが主要なRNA感知器によって検出されることから、IVT mRNAの主たる免疫原性経路である。HEK293細胞を、ヒトSTAT2およびIRF9遺伝子を安定に発現してI型IFNシグナル伝達経路を活性化するように操作した。IFN経路の活性化は、ISG54プロモーターの制御下にあるSEAPの分泌、および細胞培養上清におけるその後続の検出につながった。HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質ブラストサイジン(10μg/mL)およびゼオシン(100μg/mL)を培地に添加して、STAT2、IRF9、およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、刺激の前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞の刺激を、下に詳細を有して、修飾されたおよび非修飾の化合物(Cpd.1~Cpd.12;0.3~0.6μg/ウェル)を以前にトランスフェクトされた20μl HEK293細胞上清に由来する組み換えIFN-α(1μg/ml)またはIFN-α/βによって達成した。
【0251】
ヒト胎児性腎細胞293(HEK293T;ATCC、CRL-1573、Rockville、MD、USA)を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに20,000または40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、HEK293細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、修飾されたおよび非修飾のRNA化合物(Cpd.1~Cpd.12;0.3~0.6μg/ウェル)をトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。5時間後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞培養上清(20μl)を回収し、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞の培地に添加して、JAK-STATおよびISG3経路の刺激を通じて、分泌されたIFN活性を測定した。組み換えヒトIFN-α10(1μg/ml)をポジティブコントロールとして使用した(Invivogen、カタログコード:rcyc-hifna10)。2時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用し、試験された試料における獲得されたO.D.値から差し引いた。
【0252】
結果
【0253】
Cpd.1~Cpd.6の免疫原性評価
【0254】
修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.1~Cpd.6;0.3μg/ウェル)の直接トランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞におけるNF-κB経路の活性化を、実験的に確認した。ポジティブコントロールとして使用されたhTLR7アゴニストであるR848(レシキモド;1μg/ml)は、予想どおり高レベル(O.D.>2)のTLR7活性化を誘導した。修飾されたおよび非修飾のCpd.1~Cpd.6に関する、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞を使用した免疫原性アッセイは、N1-メチルシュード-UTPでの化学修飾が、それらの非修飾の対応物と比較して、免疫活性化を有意に減じることを実証した(**、P<0.01;図2A)。3×siRNA(Cpd.2、Cpd.3、Cpd.5、およびCpd.6)または6×siRNA(Cpd.4)を有する非修飾の化合物は、siRNAを有しない非修飾の化合物(IL-4 mRNAのみ)または1×siRNAを有するCpd.1と比較して、低下したhTLR7活性化を示した(***、P<0.001;図2A)。同じように、修飾されたまたは非修飾のCpd.1~Cpd.6(0.6μg)を以前にトランスフェクトされたHEK293細胞の上清に由来する組み換えIFN-α(1μg/ml)またはIFN-α/βを用いたHEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞の刺激を、ポジティブコントロールとしてIFNαを用いて実験的に確認した。hTLR7活性化と一致して、修飾された化合物は、それらの非修飾の対応物と比較して、IFNα/β経路の有意に低下した活性化を示した(***、P<0.001;図2B)。アッセイは、3×または6×siRNAを有する非修飾の化合物(Cpd.2~Cpd.6)をトランスフェクトされた細胞の上清が、siRNAを有しない非修飾の化合物または1×siRNAを有するCpd.1と比較して、JAK-STATおよびISG3経路の減少した活性化を呈示することを明らかにした(***、P<0.001;図2B)。加えて、IL-4の下流またはそれに対して3’に存在する、TNF-アルファを標的にする3×siRNAを有するCpd.5は、IL-4の上流またはそれに対して5’に存在する、TNF-アルファを標的にする3×siRNAを有するCpd.6と比較して、有意な様式で免疫原性を引き下げた(*、P<0.05;図2B)。要約すると、両アッセイは、強力に低下したin vitro免疫原性を実証し、非修飾の化合物の潜在的により良好な安全性プロファイルを提供した。
【0255】
Cpd.6~Cpd.9およびCpd.4の免疫原性評価
【0256】
Cpd.6~Cpd.9およびCpd.4は、TNF-アルファを標的にする漸増数のsiRNAとともに、IL-4をコードするmRNAを有するコンストラクトである。Cpd.7およびCpd.8は、それぞれ、IL-4コード配列に対して5’(または上流)および3’(または下流)に1×siRNAを含有する。Cpd.6は、A1リンカーとともに3×siRNAを含有し、一方でCpd.9は、A2リンカーとともに3×siRNAを含む。Cpd.4は、6×siRNA(TNF-アルファを標的にする3×、およびIL-17を標的にする3×)を含有する。修飾されたまたは非修飾のCpd.6~Cpd.9およびCpd.4の直接トランスフェクション(0.3μg/ウェル)を用いたHEK-Blue(商標)hTLR7細胞の刺激は、24時間後のトランスフェクトされた細胞におけるSEAP分泌によって測定される、NF-κB経路の様々な活性化レベルを呈示した。修飾された化合物は、すべての試験されたコンストラクトに関して、低下した免疫原性を呈示した(***、P<0.001;図3A)。IL-4コード配列に対して5’(またはその上流)に存在する1×siRNAを有する非修飾のCpd.7は、免疫原性が高いことが見出されたものの、IL-4に対して3’(またはその下流)に同じsiRNAを再配置することは、NF-κB経路活性化の3倍の減衰をもたらした(***、P<0.001;図3A)。Cpd.6、Cpd.9、およびCpd.4における3×または6×siRNAの付加は、hTLR7結合から逃れるために、RNAコンストラクトに対して修飾された塩基を使用する必要性を排除した(図3A)。ポジティブコントロールR848は、予想どおり高レベルのTLR7活性化を誘導した。漸増数のsiRNA(Cpd.6もしくはCpd.9における3×、またはCpd.4における6×)を有する非修飾の化合物をトランスフェクトされた細胞培養物の上清を使用した、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるCpd.6~Cpd.8およびCpd.4の免疫原性査定は、IFNシグナル伝達のレベルが、1×siRNAを有する非修飾の化合物(Cpd.7およびCpd.8;図3A)をトランスフェクトされた細胞培養物の上清を使用したことと比較して、検出不能であることを示した。hTRL7活性化に関して観察されたように、化合物における1×siRNAの位置の変更(関心のある遺伝子の5’から3’へ)は、4倍低下した免疫原性を引き起こした(***、P<0.001;図3B)。要約すると、両アッセイは、非修飾の化合物の免疫活性化のsiRNAコピー数依存的(例えば、siRNAの数)減衰を実証した。
【0257】
Cpd.10~Cpd.12の免疫原性評価
【0258】
Cpd.10~Cpd.12は、IGF-1コードmRNA、およびTurbo GFPを標的にする漸増数(それぞれ1×、2×、および3×)のsiRNAを有するコンストラクトである。HEK-Blue(商標)hTLR7細胞における非修飾のCpd.10~Cpd.12の免疫刺激は、図4Aに示されるように、SEAP分泌によって測定される、NF-κB経路の活性化の用量依存的(コンストラクトにおけるsiRNAの数)低下を呈示した(***、P<0.001)。同じように、HEK-Blue(商標)IFN-α/β細胞におけるCpd.9~Cpd.11の免疫原性査定は、IFNシグナル伝達の用量依存的(コンストラクトにおけるsiRNAの数)減少を示した(図4B)。要約すると、少なくとも2×siRNAを有する化合物は、hTLR7活性化のレベルを中程度に低下させ、IFNシグナル伝達を有意に低下させる。
【0259】
NF-κB/AP-1活性化に関するHEK-Blue(商標)hTLR3免疫原性アッセイ
【0260】
組み合わせコンストラクト(mRNA+siRNA)は、より短いdsRNA構造(約20ヌクレオチド)を有するヘアピンループを所有し、二本鎖RNA(dsRNA)モチーフを検出するエンドソームTLR3リガンドを通じて不要な免疫応答を潜在的に誘導し得る。エンドソームTLR3受容体はdsRNAを検出し、抗微生物応答としての免疫反応を引き出す。HEK-Blue(商標)hTLR3(Invivogen、カタログコードhkb-htlr3)細胞は、NF-κB/AP1シグナル伝達カスケードの活性化をモニターすることによってヒトTLR3(hTLR3)の活性化を調査するために設計されている。これらの細胞は、ヒト胎児性腎臓HEK293細胞株に由来し、NF-kBおよびAP-1誘導性プロモーターの制御下でhTLR3および分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を発現するように操作されている。TLR3活性化があり次第、SEAPは産生され、細胞培養上清においてHEK-Blue(商標)検出細胞培地を用いてリアルタイムで判定され得る。HEK-Blue(商標)hTLR3細胞の刺激を、修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14;0.6μg/ウェル)の直接トランスフェクションによって達成した。
【0261】
HEK-Blue(商標)hTLR3細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質ブラストサイジン(10μg/mL)およびゼオシン(100μg/mL)を培地に添加して、hTLR3およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、HEK-293細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、0.6μg/ウェルの特異的RNAコンストラクトをトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、90μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中10μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。ポリ(I:C)HMW(1μg/ml;Invivogen、カタログコード:tlrl-pic)を、ポジティブコントロールとして使用した。24時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用した。
【0262】
結果
【0263】
Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14の免疫原性評価
【0264】
修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3およびCpd.13;0.6μg/ウェル)の直接トランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR3細胞におけるNF-κB/AP1経路の活性化を、実験的に確認した。ポジティブコントロールとして使用されたhTLR3アゴニストであるポリ(I:C)HMW(1μg/ml)は、予想どおり高レベル(O.D.>1.95)のTLR3活性化を誘導した。エンドソームTLR3リガンドは、感知するウリジン(U)またはグアノシン(G)モチーフではなくdsRNAに向くことから、修飾されたおよび非修飾のCpd.3、Cpd.13、およびCpd.14に関する、HEK-Blue(商標)hTLR3細胞を使用した免疫原性アッセイは、N1-メチルシュード-UTPでの化学修飾が、それらの非修飾の対応物と比較して、TLR3活性化に対していかなる影響も有しないことを実証した。IGF-1とともにIL-1ベータを標的にする3×siRNAを有する非修飾のCpd.3は、siRNAを有しない非修飾の化合物Cpd.13(***、P<0.001;図5A)またはCpd.14(*、P<0.05;図5A)と比較して、有意に低下したhTLR3活性化を示した。同様に、非修飾のCpd.3における3×siRNAの存在は、修飾されたCpd.3と比較して、TLR8媒介性免疫活性化を減じた(***、P<0.001;図5B)。
【0265】
NF-κB/AP-1/IRF活性化に関するHEK-Blue(商標)hTLR8免疫原性アッセイ
【0266】
HEK-Blue(商標)hTLR8(Invivogen、カタログコードhkb-htlr8)細胞は、NF-κB/AP1/IRFシグナル伝達カスケードの活性化をモニターすることによってヒトTLR8(hTLR8)の活性化を調査するために設計されている。エンドソームTLR8受容体は、一本鎖RNAにおけるウリジンおよびグアノシンモチーフを検出し、抗ウイルス応答としての免疫反応を引き出す。HEK-Blue(商標)hTLR8細胞は、ヒト胎児性腎臓HEK293細胞株に由来し、5つのNF-κBおよびAP-1結合部位を有するIFN-β最小プロモーターの制御下でhTLR8および分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)レポーター遺伝子を発現するように操作されている。TLR8活性化があり次第、SEAPは産生され、細胞培養上清においてHEK-Blue(商標)検出細胞培地を用いてリアルタイムで判定され得る。HEK-Blue(商標)hTLR7細胞の刺激を、修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14;0.6μg/ウェル)の直接トランスフェクションによって達成した。
【0267】
HEK-Blue(商標)hTLR8細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質ブラストサイジン(10μg/mL)およびゼオシン(100μg/mL)を培地に添加して、hTLR8およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、HEK-293細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、0.6μg/ウェルの特異的RNAコンストラクトをトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、90μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中10μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。R848(レシキモド;1μg/ml;Invivogen、カタログコード:tlrl-r848)hTLR7/8アゴニストを、ポジティブコントロールとして使用した。24時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用した。
【0268】
結果
【0269】
Cpd.3、Cpd.13、およびCpd.14の免疫原性評価
【0270】
修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3およびCpd.13;0.6μg/ウェル)の直接トランスフェクションによる、HEK-Blue(商標)hTLR8細胞におけるNF-κB/AP1/IRF経路の活性化を、実験的に確認した。ポジティブコントロールとして使用されたhTLR7/8アゴニストであるR848(1μg/ml)は、HEK-Blue(商標)hTLR7細胞に関してとは異なり、中程度レベルのTLR8活性化(O.D.>0.45)を誘導した。修飾されたおよび非修飾のCpd.3、Cpd.13、およびCpd.14に関する、HEK-Blue(商標)hTLR8細胞を使用した免疫原性アッセイは、N1-メチルシュード-UTPでの化学修飾が、それらの非修飾の対応物と比較して、TLR8活性化に対していかなる影響も有しないことを実証した。TLR8リガンドは、ウリジン(U)モチーフを検出することが公知であるものの、修飾されたおよび非修飾のコンストラクトに関して観察されたTLR8活性化に差はなかった。このことは、TLR8の結合アフィニティーが、HEK-Blue(商標)hTLR8細胞においてグアノシンモチーフ特異的であることが観察されるという報告によって説明され得る(Huら、Bioorg Med Chem.2018年1月1日;26(1):77~83)。IGF-1とともにIL-1ベータを標的にする3×siRNAを有する非修飾のCpd.3は、siRNAを有しない非修飾の化合物、すなわちCpd.13(***、P<0.001;図5B)またはCpd.14(*、P<0.05;図5B)と比較して、有意に低下したhTLR8活性化を示した。同様に、非修飾のCpd.3における3×siRNAの存在は、修飾されたCpd.3と比較して、TLR8媒介性免疫活性化を減じた(***、P<0.001;図5B)。
【0271】
A549細胞における内因性のIL-6発現を刺激することによる免疫原性査定
【0272】
ヒト肺上皮癌細胞(A549;Sigma-Aldrich、カタログ#6012804)細胞を、mRNAの直接トランスフェクションがあり次第の、インターロイキン6(IL-6)の内因性発現をモニターすることによって、in vitro転写されたmRNA(IVT mRNA)に対する免疫応答を調査するために利用した。IVT mRNAに対する免疫原性の刺激は、RNA感知器(例えば、TLR、PKR)によって誘発され、IVT mRNAに対する免疫活性化において中心的役割を果たす、IL-6を含めたいくつかの炎症促進性サイトカインの発現を誘導する。A549細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS、VWR、カタログ#97068-091)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地高グルコース(DMEM、Sigma-Aldrich)中で維持した。トランスフェクションの前に、A549細胞を96ウェル培養プレートに10,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。次いで、細胞を、トランスフェクションの前に<70%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、A549細胞に、1:1w/vのmRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して、特異的mRNAコンストラクト(0.3μg)をトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)を各ウェルに添加し、その後にOpti-MEM中50μlのmRNAおよびLipofectamine 2000複合体が続いた。5時間のインキュベーションの後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞培養上清を回収して、ELISA(ThermoFisher、カタログ#887066)を使用して分泌されたヒトIL-6を測定した。
【0273】
結果
【0274】
Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14の免疫原性評価
【0275】
修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)の直接トランスフェクションによる、A549細胞におけるIL-6の内因性発現を、実験的に確認した。修飾されたまたは非修飾のRNA化合物をトランスフェクトされた細胞間のIL-6レベルの明白な差(図6A)は、N1-メチルシュード-UTPでの化学修飾が、A549細胞において免疫活性化を減じることを実証した。修飾された化合物に関して、siRNA構造の存在(Cpd.3における3×;Cpd.4における6×)は、siRNAを有しないそれぞれの化合物と比べて、IL-6レベルを有意にさらに低下させた(例えば、Cpd.3対Cpd.13(**、<0.01);Cpd.4対Cpd.14(***、<0.001)を参照されたい)。IL-6レベルの顕著な低下が、siRNAの存在または非存在との関連で、非修飾の化合物に対して認められた。IGF-1とともにIL-1ベータを標的にする3×siRNAを有する非修飾のCpd.3は、siRNAを有せずIGF-1を含む非修飾の化合物、すなわちCpd.13と比較して、有意に低下したIL-6レベルを示した(***、P<0.001;図6A)。同様に、非修飾のCpd.4におけるIL-4 mRNAに加えた6×siRNA(TNF-アルファを標的にする3×、およびIL-17を標的にする3×)の存在は、siRNAを有せずIL-4コードmRNAを含む非修飾のCpd.14と比較して、減少したIL-6レベルを実証した(***、P<0.001;図6A)。非修飾のCpd.3(3×)およびCpd.4(6×)の比較は、siRNAの増加がIL-6刺激を減少させることを示している(*、P<0.05;図6A)。
【0276】
THP-1細胞における内因性のIL-6発現を刺激することによる免疫原性査定
【0277】
ヒト単球白血病細胞株THP-1(Sigma-Aldrich、カタログ#88081201)を、mRNAの直接トランスフェクションがあり次第の、IL-6の内因性発現をモニターすることによって、in vitro転写されたmRNA(IVT mRNA)に対する免疫応答を調査するために利用した。IVT mRNAに対する免疫原性の刺激は、RNA感知器(例えば、TLR、PKR)によって誘発され、IVT mRNAに対する免疫活性化において中心的役割を果たす、IL-6を含めたいくつかの炎症促進性サイトカインの発現を誘導する。THP-1細胞を、成長培地(10%FBSおよび2mMグルタミンを補給されたRPMI 1640)中で維持した。細胞を96ウェル細胞培養プレートに40,000個のTHP-1細胞で播種し、Lipofectamine MessengerMax(Thermo Fisher Scientific)を使用して、特異的mRNA(0.3μg/ウェル)を逆トランスフェクトした。プレートを、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。トランスフェクション後、細胞培養上清を回収し、ELISA(ThermoFisher、カタログ#887066)を使用してヒトIL-6について定量した。
【0278】
結果
【0279】
Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14の免疫原性評価
【0280】
修飾されたまたは非修飾の化合物(Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14;0.3μg/ウェル)の直接トランスフェクションによる、THP-1細胞におけるIL-6の内因性発現を実験的に確認したが、しかしながら、発現レベルは、A549細胞における発現レベルと比較して低かった。A549細胞と同様に、修飾されたおよび非修飾のRNA化合物の間に、IL-6レベルの差が認められた(図7A)。IL-6レベルの有意な低下が、siRNAの存在または非存在との関連で、非修飾の化合物に関して観察された。IGF-1 mRNAとともに、IL-1ベータを標的にする3×siRNAを有する非修飾のCpd.3は、IGF-1 mRNAだけを含む非修飾の化合物、すなわちCpd.13と比較して、有意に低下したIL-6レベルを示した(***、P<0.001;図7A)。同様に、非修飾のCpd.4におけるIL-4 mRNAに加えた6×siRNA(TNF-アルファを標的にする3×、およびIL-17を標的にする3×)の存在は、siRNAを有せずIL-4コードmRNAを含む非修飾のCpd.14と比較して、減少したIL-6レベルを実証した(***、P<0.001;図7A)。
【0281】
STAT-3活性化に関するHEK-Blue(商標)IL-6レポーターアッセイ
【0282】
A549およびTHP-1 in vitroモデルにおける分泌されたIL-6の機能活性を、STAT-3経路の活性化をモニターすることによってIL-6シグナル伝達を調査するために設計されているHEK-Blue(商標)IL-6レポーター細胞(Invivogen、カタログコード:hkb-il6)において試験した。HEK-Blue(商標)IL-6細胞は、ヒト胎児性腎臓HEK293細胞株に由来し、IL-6受容体(IL-6R)およびシグナル伝達転写活性化因子3(STAT3)を発現するように操作されている。IL-6シグナル伝達は、4つのSTAT3結合部位に融合されたIFN-β最小プロモーターの制御下で分泌型胚性アルカリホスファターゼ(SEAP)を発現するレポーター遺伝子によって検出される。IL-6刺激があり次第、HEK-Blue(商標)IL-6細胞は、STAT3の活性化を誘発し、それに続くSEAPの分泌は、細胞培養上清においてHEK-Blue(商標)検出細胞培地を用いてリアルタイムで判定され得る。HEK-Blue(商標)IL-6細胞の刺激を、下に詳細を有して、Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、またはCpd.14(0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているA549細胞またはTHP-1細胞の細胞培養上清に由来する等価容量(20μl)のIL-6によって達成した。
【0283】
HEK-Blue(商標)IL-6細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質HEK-Blue(商標)selection(培地を用いて1:250希釈)を培地に添加して、IL6R、STAT3、およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%COを含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、またはCpd.14(0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているA549細胞およびTHP-1細胞由来の等価容量(20μl)の細胞培養上清を回収し、HEK-Blue(商標)IL-6細胞の培地に添加して、IL-6受容体動員、それに続くSTAT3経路活性化を測定した。rhIL-6(100ng/mL)をポジティブコントロールとして使用した。24時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用し、試験された試料における獲得されたO.D.値から差し引いた。
【0284】
結果
【0285】
Cpd.3、Cpd.4、Cpd.13、およびCpd.14の免疫原性評価
【0286】
rhIL-6、または修飾されたもしくは非修飾のCpd.3、Cpd.4、Cpd.13、もしくはCpd.14をトランスフェクトされているA549もしくはTHP-1細胞の細胞培養上清に由来するIL-6を用いたHEK-Blue(商標)IL-6細胞の刺激は、SEAP産生がすべての試料において観察されたことから、機能的であった(図6Bおよび7B)。予想どおり、N1-メチルシュードウリジンで修飾されたRNA化合物をトランスフェクトされたA549およびTHP-1細胞に由来する上清は、非修飾の化合物をトランスフェクトされたA549およびTHP-1細胞に由来する上清と比較して、より低いSTAT-3シグナル伝達を誘導した(図6Bおよび7B)。IGF-1 mRNAとともに、IL-1ベータを標的にする3×siRNAを有する非修飾のCpd.3をトランスフェクトされたA549およびTHP-1細胞に由来する上清は、IGF-1 mRNAだけを含む非修飾の化合物、すなわちCpd.13をトランスフェクトされたA549およびTHP-1細胞に由来する上清と比較して、有意に低下したIL-6シグナル伝達を示した(図6Bおよび7B)。同じように、非修飾のCpd.4におけるIL-4 mRNAに加えた6×siRNA(TNF-アルファを標的にする3×、およびIL-17を標的にする3×)の存在は、A549およびTHP-1の両細胞に由来する上清に関して、siRNAを有せずIL-4コードmRNAを含む非修飾のCpd.14と比較して、減少したIL-6媒介性STAT3活性化を実証した(***、P<0.001;図6Bおよび7B)。非修飾のCpd.3(3×)およびCpd.4(6×)の比較は、3×から6×へのsiRNAの数の増加が、IL-6媒介性免疫活性化を減少させることを示している(A549細胞、*、P<0.05;図6B;THP-1細胞、**、P<0.01;図7B)。
【0287】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、単なる例示的目的のものであり、当業者に示唆される様々な改変または変化は、本出願の精神および権限、ならびに添付の特許請求の範囲の内に含まれるべきである。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
【配列表】
2024522850000001.app
【国際調査報告】