(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240614BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20240614BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20240614BHJP
C12N 1/21 20060101ALI20240614BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20240614BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20240614BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240614BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240614BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240614BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240614BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240614BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20240614BHJP
C12N 15/67 20060101ALN20240614BHJP
A61K 38/30 20060101ALN20240614BHJP
A61K 38/20 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N15/63 Z
A61K48/00
A61P17/06
A61P17/00
A61P21/00
A61P35/00
A61P35/02
A61K31/7105
A61K31/713
C12N15/62
C12N15/67 Z
A61K38/30
A61K38/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579058
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-15
(86)【国際出願番号】 IB2022000344
(87)【国際公開番号】W WO2022269349
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521265726
【氏名又は名称】ヴェルサメブ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】セルヴァラージ, ジャスティン アントニー
(72)【発明者】
【氏名】ザイデベェルド, クラース ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ヒルマン-ヴュルナー, ペトラ
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー, フリードリヒ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084AA13
4C084BA44
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA89
4C084ZA94
4C084ZB26
4C084ZB27
4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA16
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZB26
4C086ZB27
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトの組成物であって、リンカーRNAは、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する、組成物に関する。加えて、組み換えRNAコンストラクトの切断を増強するリンカーが記載される。疾患を治療することにおける、および2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける、組成物の使用も本明細書に開示される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;
(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;
(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、
式(I):X
mCAACAAX
n
[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および
式(II):X
pTCCCX
r
[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]
からなる群から選択される構造を有する、組成物。
【請求項2】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;
(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;
(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、ACAACAAを含むまたはそれからなる、組成物。
【請求項3】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉(siRNA)配列であり;
(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャー(mRNA)配列であり;
(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、
(a)リンカーRNA配列は、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または
(b)リンカーRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、組成物。
【請求項4】
第2のRNA配列が第2のsiRNA配列である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
リンカーRNA配列が、ACAACAA、ATCCCTACGTACCAACAA、ACGTACCAACAA、TCCC、またはACAACAATCCCを含むまたはそれからなる、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
組み換えRNAコンストラクトは、GOIをコードする第1のmRNA配列をさらに含む、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
第2のRNA配列が、GOIをコードする第1のmRNA配列である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
リンカーRNA配列が、ACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAを含むまたはそれからなる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
組み換えRNAコンストラクトが、GOIをコードする第2のmRNA配列をさらに含む、請求項6から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組み換えRNAコンストラクトが第2のsiRNA配列をさらに含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組み換えRNAコンストラクトが第3のsiRNA配列を含む、請求項4から6または10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組み換えRNAコンストラクトが、4種、5種、またはそれより多くのsiRNA配列をさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
siRNA配列のそれぞれが、標的RNAに結合し、標的RNAの発現をモジュレートする、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
siRNA配列のそれぞれが、
(a)異なる標的RNA;
(b)同じ標的RNAの異なる領域;
(c)同じ標的RNAの同じ領域;または
(d)その任意の組み合わせ
に結合し得る、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
(c)のsiRNA配列が同じである、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
組み換えRNAコンストラクトが、それぞれがGOIをコードする3種、4種、5種、またはそれより多くのmRNA配列を含む、請求項9から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
mRNA配列のそれぞれが、同じGOIをコードする、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
mRNA配列のそれぞれが、異なるGOIをコードする、請求項16に記載の組成物。
【請求項19】
siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さが、約4~約27ヌクレオチドである、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さが、約4~約18ヌクレオチドである、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
mが1であり、nが0である、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
siRNA配列間のリンカーRNA配列が、ACAACAATCCCである、請求項2に記載の組成物。
【請求項23】
リンカーRNA配列が、ACAACAAである、請求項2に記載の組成物。
【請求項24】
リンカーRNA配列が、配列番号23および67~75からなる群から選択される配列を含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
リンカーRNA配列が、配列番号23に従った配列を含むまたはそれからなる、請求項1から24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
リンカーRNA配列が、配列番号67に従った配列を含むかまたはそれからなる、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
リンカーRNA配列が、配列番号68に従った配列を含むかまたはそれからなる、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
リンカーRNA配列が、配列番号69に従った配列を含むかまたはそれからなる、請求項1から27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
リンカーRNA配列が、配列番号70に従った配列を含むかまたはそれからなる、請求項1から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
siRNAによって標的にされる標的RNAの発現が、(i)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、(ii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、(iii)配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、および/または(iv)配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現と比較して、配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より低い、請求項24から29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
GOIをコードする第1のmRNA配列の発現が、(i)配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(ii)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(iii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、および/または(iv)配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現と比較して、配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より高い、請求項24から30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
siRNAによって標的にされる標的RNAの発現が、(i)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、および/または(ii)配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現と比較して、配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より低い、請求項24から31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
GOIをコードする第1のmRNA配列の発現が、(i)配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(ii)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、および/または(iii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現と比較して、配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より高い、請求項24から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
リンカーRNA配列が、GOIをコードする第1のmRNA配列の所望の発現レベル、および/またはsiRNAによって標的にされる標的RNAの所望の発現レベル、もしくはsiRNAによって標的にされる標的RNAによってコードされるタンパク質の所望の発現レベルに基づいて選択される、請求項1から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
GOIの発現がモジュレートされる、請求項1から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
GOIの発現が、GOIによってコードされるタンパク質を発現させることによって上方調節される、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
標的RNAの発現がモジュレートされる、請求項1から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
標的RNAの発現が、標的RNAに結合し得るsiRNA配列によって下方調節される、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
標的RNAに結合し得るsiRNA配列が、GOIの発現を阻害しない、請求項1から38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
siRNA配列間のRNAリンカー配列が、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、請求項1から39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
siRNA配列が、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成する、請求項1から40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
siRNA配列が、ヘアピン構造またはループ構造を含む、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
siRNA配列が、1つまたは複数の短いまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)を含む、請求項1から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
組み換えRNAコンストラクトが切断される、請求項1から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
組み換えRNAコンストラクトが、細胞内タンパク質によって切断される、請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
組み換えRNAコンストラクトが、内因性タンパク質によって切断される、請求項44または45に記載の組成物。
【請求項47】
組み換えRNAコンストラクトが、内因性DICERによって切断される、請求項44から46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
組み換えRNAコンストラクトの切断が、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される、請求項44から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
組み換えRNAコンストラクトの切断が、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される、請求項44から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
組み換えRNAコンストラクトの切断が、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される、請求項44から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
関心のある遺伝子の発現が、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される、請求項1から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
関心のある遺伝子の発現が、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される、請求項1から51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
GOIが、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン12(IL-12)、またはインスリン様成長因子1(IGF1)を含む、請求項1から52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
標的RNAがノンコーディングRNAである、請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
標的RNAがメッセンジャーRNA(mRNA)である、請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
標的RNAが、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)、血管内皮増殖因子A(VEGFA)、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、およびAkt3からなる群から選択されるタンパク質をコードするmRNAである、請求項1から53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
標的RNAに結合し得るsiRNA配列が、標的RNAのエクソンに結合する、請求項1から56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
標的RNAに結合し得るsiRNA配列が、1種の標的RNAに特異的に結合する、請求項1から57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
標的RNAに結合し得るsiRNA配列が、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない、請求項1から58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
GOIが、RNAスプライシングなしで発現される、請求項1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
第1のRNA配列が、第2のRNA配列の下流または3’に存在する、請求項1から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
RNAコンストラクトが、第2のRNA配列の下流または3’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項61に記載の組成物。
【請求項63】
RNAコンストラクトが、第1のRNA配列のすぐ上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項61または62に記載の組成物。
【請求項64】
第1のRNA配列が、第2のRNA配列の上流または5’に存在する、請求項1から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項65】
RNAコンストラクトが、第1のRNA配列の上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む、請求項64に記載の組成物。
【請求項66】
RNAコンストラクトが、ポリ(A)テール、5’キャップ、またはコザック配列をさらに含む、請求項1から65のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項67】
第1のRNA配列および第2のRNA配列が、両方とも組み換えである、請求項1から66のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項68】
siRNAが、配列番号50~57および127~132からなる群から選択されるセンス鎖配列を含む、請求項1から67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための、請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む、薬学的組成物。
【請求項71】
請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物を含む、細胞。
【請求項72】
請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、ベクター。
【請求項73】
請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物、または請求項72に記載のベクターを細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを産生する方法。
【請求項74】
細胞に、請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物、または請求項72に記載のベクターを導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少する、方法。
【請求項75】
細胞に、請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物、または請求項72に記載のベクターを導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、方法。
【請求項76】
細胞に、請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物、または請求項72に記載のベクターを導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少し、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、方法。
【請求項77】
請求項1から68のいずれか一項に記載の組成物、または請求項70に記載の薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法。
【請求項78】
疾患または病状が、皮膚疾患もしくは病状、または筋肉疾患もしくは病状を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
皮膚疾患または病状が炎症性皮膚障害を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
炎症性皮膚障害が乾癬を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
筋肉疾患または病状が骨格筋障害を含む、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
骨格筋障害が進行性骨化性線維異形成症(FOP)を含む、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
疾患または病状ががんを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項84】
がんが、膠芽細胞腫、ヒト舌扁平上皮癌、ヒト肺癌、またはヒト単球白血病を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
対象がヒトである、請求項77から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、インターロイキン4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;
(ii)第2のRNA配列は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;
(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;
(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物。
【請求項87】
第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、インスリン様成長因子1(IGF1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;
(ii)第2のRNA配列は、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;
(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;
(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物。
【請求項88】
第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、インターロイキン2(IL-2)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;
(ii)第2のRNA配列は、血管内皮増殖因子A(VEGFA)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;
(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;
(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23および67~70からなる群から選択される配列を含む、組成物。
【請求項89】
第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、
(i)第1のRNA配列は、インターロイキン12(IL-12)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;
(ii)第2のRNA配列は、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、および/またはAkt3のmRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;
(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;
(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物。
【請求項90】
配列番号1~18、および76~108からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年6月23日に出願された米国仮出願第63/213,830号の利益を主張するものであり、それは参照によりその全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
配列表
本出願は配列表を含有する。
【背景技術】
【0003】
数多くのヒト疾患および障害は、ある特定のタンパク質の、疾患または障害を有しないヒトにおけるこれらのタンパク質の発現レベルと比較して、より高くかつ/またはより低い発現レベルの組み合わせによって引き起こされる。標的タンパク質の発現および/または分泌を増加させ、かつ1種または複数の他の異なる標的タンパク質の発現を減少させるコンビナトリアル療法は、治療効果を有し得る。例えば、1種または複数の標的遺伝子産物の産生を有効にかつ特異的に減少させ、並行して、他のものの産生を増加させる、皮膚疾患、筋肉疾患、またはがんに対する療法が必要とされる。
【発明の概要】
【0004】
1種の組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを使用して、2種以上のタンパク質または核酸配列の発現を同時にモジュレートするための組成物および方法が本明細書において提供される。
【0005】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する、組成物が本明細書において提供される。
【0006】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、ACAACAAを含むまたはそれからなる、組成物が本明細書において提供される。
【0007】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャー(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、(a)リンカーRNA配列は、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または(b)リンカーRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、組成物が本明細書において提供される。
【0008】
一部の態様において、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための、本明細書に記載される組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種を含む細胞が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含むベクターが本明細書において提供される。
【0009】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターを細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを産生する方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少する、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少し、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、方法が本明細書において提供される。
【0010】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載される薬学的組成物のいずれか1種をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。
【0011】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0012】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インスリン様成長因子1(IGF1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iii)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0013】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン2(IL-2)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、血管内皮増殖因子A(VEGFA)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23および67~70からなる群から選択される配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0014】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン12(IL-12)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、および/またはAkt3のmRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0015】
一部の態様において、配列番号1~18、および76~108からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。
【0016】
参照による組み入れ
本明細書において触れられるすべての刊行物、特許、および特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み入れられることを具体的にかつ個々に示されるのと同じ程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0017】
本開示の特質は、添付の特許請求の範囲において特定性を有して明記される。本開示の特質および利点についてのよりよい理解は、本開示の原理が利用される例示的な実施形態を明記する以下の詳細な説明、および付属の図面を参照することにより獲得されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】コンストラクト設計の概略図である。ポリ核酸(例えば、DNA)コンストラクトは、T7 RNAポリメラーゼ結合、ならびに単一RNA転写産物における関心のある遺伝子(例えば、IGF-1またはIL-4)およびsiRNAの両方のin vitro転写の成功のために、関心のある遺伝子配列の上流にT7プロモーター配列を含み得る。関心のある遺伝子のシグナルペプチドは、灰色のボックスで強調されている。mRNAをsiRNAにまたはsiRNAをsiRNAに接続するリンカーは、それぞれ水平の縞模様を有するボックスまたはチェックの縞模様を有するボックスで示されている。T7:T7プロモーター、siRNA:低分子干渉RNA。
【
図2A-2B】THP-1細胞における、事実上A1-リンカーまたはA2リンカーに対する、ELISAによって測定された、TNF-α発現の干渉およびIL-4タンパク質レベルの過剰発現に関するプロットである。
図2Aは、刺激されたTHP-1細胞における内因性のTNF-α発現における、それぞれA1-リンカーおよびA2-リンカーとともに、3’に3×TNF-α標的化siRNAを含む化合物1(Cpd.1)および化合物2(Cpd.2)についてのRNA干渉を示している。THP-1細胞を、大腸菌(E.coli)由来リポ多糖類(10μg/mL)およびR848(1μg/mL)で刺激し、その後にCpd.1、Cpd.2、およびスクランブルsiRNA(sc-siRNA)のトランスフェクション(600ng/ウェル)が続いた。トランスフェクトされていない試料をコントロールとして使用し、100%に設定し、TNF-αノックダウンのパーセントを算出した。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。Cpd.1およびCpd.2の両方に関する有意性(***、p<0.001)を、コントロールと関連して、一方向ANOVA、それに続くダネットの多重比較検定によって査定した。
図2Bは、
図1Aにおいてと同じ細胞(THP-1)培養上清における、Cpd.1およびCpd.2についてのIL-4発現を示している。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。IL-4発現に関して、有意性(**、<0.01)を、Cpd.1およびCpd.2についてのスチューデントt検定によって査定した。
【
図3A-3B】HEK293細胞における、事実上A1-リンカーまたはA2リンカーに対する、ELISAによって測定された、TNF-α発現の干渉およびIL-4タンパク質レベルの過剰発現に関するプロットである。
図3Aは、HEK293細胞におけるTNF-α過剰発現モデルにおける、それぞれA1-リンカーおよびA2-リンカーとともに、3’に3×TNF-α標的化siRNAを含むCpd.1およびCpd.2についてのRNA干渉を示している。HEK293細胞に、TNF-α mRNA(600ng/ウェル)およびCpd.1またはCpd.2のいずれか(900ng/ウェル)をコトランスフェクトした。TNF-αレベルをELISAによって算出する。トランスフェクトされていない試料をコントロールとして使用し、100%に設定し、TNF-αノックダウンのパーセントを算出した。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。Cpd.1およびCpd.2の両方に関する有意性(**、p<0.01)を、コントロールと関連して、一方向ANOVA、それに続くダネットの多重比較検定によって査定した。
図3Bは、
図2Aにおいてと同じ細胞(HEK293)培養上清における、Cpd.1およびCpd.2についてのIL-4発現を示している。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。IL-4発現に関して、有意性(*、<0.05)を、Cpd.1およびCpd.2についてのスチューデントt検定によって査定した。
【
図4A-4D】A549細胞およびHEK293細胞における、事実上A1-リンカーまたはA2リンカーに対する、ELISAによって測定されたIGF-1タンパク質レベル、およびqPCRによって査定されたALK2発現の干渉に関するプロットである。
図4Aは、ALK-2を内因的に発現する肺上皮細胞(A549細胞)における、それぞれA1-リンカーおよびA2-リンカーとともに、3’に3×ALK2標的化siRNAを含むCpd.3およびCpd.4についてのIGF-1発現を示している。A549細胞に、漸増nM濃度(0.65、1.33、2.7、5.4、および10.8)のCpd.3またはCpd.4 RNAのいずれかをトランスフェクトした。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。Cpd.3とCpd.4との間の有意性(***、p<0.001)を、二方向ANOVA、それに続くテューキーの多重比較検定によって査定した。
図4Bは、
図3Aにおいてと同じ細胞(A549)培養溶解物におけるALK2発現における、Cpd.3およびCpd.4についてのRNA干渉を示している。ALK2 mRNAレベルを、相対的定量(18s遺伝子によって正規化された)によるqPCRによって算出した。トランスフェクトされていない試料をコントロールとして使用し、100%に設定し、ALK2ノックダウンのパーセントを算出した。ALK2 RNA干渉において、Cpd.3とCpd.4との間に有意差は認められなかった。
図4Cおよび
図4Dは、それぞれHEK293細胞およびA549細胞における、Cpd.3およびCpd.4についてのIGF-1発現を示している(1.33nM/ウェル)。データは、12個の複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。IGF-1発現に関して、有意性(*、HEK293において<0.05;***、A549細胞において<0.001)を、Cpd.3およびCpd.4についてのスチューデントt検定によって査定した。
【
図5A-5C】ヒト舌細胞癌細胞(SCC-4)における、事実上A1-リンカーまたはA2リンカーに対する、ELISAによって測定されたIGF-1タンパク質レベル、および顕微鏡によって査定された外因的に発現されたTurbo GFPの干渉に関するプロットである。
図5Aは、A1-リンカーおよびA2-リンカーとともに、3’に1×または2×Turbo GFP標的化siRNAのいずれかを含むCpd.5~Cpd.9についてのIGF-1発現を示している。SCC4細胞に、0.3μgのTurbo GFPコードおよび30nMのCpd.5~Cpd.9のうちの1種をコトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後、IGF-1レベルを、特異的ELISAによって細胞培養上清において測定した。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。Cpd.5に関する有意性(***、p<0.001)を、Cpd.6と比較して、一方向ANOVA、それに続くダネットの多重比較検定によって査定した。Cpd.7およびCpd.8の両方に関する有意性(***、p<0.001)を、Cpd.9と比較して、一方向ANOVA、それに続くダネットの多重比較検定によって査定した。
図5Bは、事実上Cpd.5~Cpd.9コトランスフェクションに対する、顕微鏡による外因的に発現されたTurbo GFP(300ng/ウェル)の干渉を示している。30nMのスクランブルsiRNA(sc-siRNA)をネガティブコントロールとして使用した。
図5Cは、Turbo GFP発現に関する、コントロール、sc.siRNA、Cpd.5、およびCpd.6の代表的な顕微鏡画像を示している。Turbo GFP陽性細胞を、ImageJ分析ツールを使用してグレースケールに変換した(1ウェルからの代表的な図)。
【
図6A】A549細胞における、種々のリンカーを含む化合物(Cpd.10~Cpd.15;リンカーA1、A2、B~E)によって誘導されたIL-2の用量依存的分泌レベルを示したプロットである。細胞培養上清におけるIL-2レベルを、トランスフェクションの24時間後にELISAによって測定した。X軸は、A549細胞へのトランスフェクションに使用された各化合物の濃度(1、3、10、および30nM/ウェル)を示す。Y軸は、細胞培養上清におけるIL-2タンパク質レベル(pg/mL)についての測定結果を示している。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図6B】A549細胞における、種々のリンカーを含む化合物(Cpd.10~Cpd.15;リンカーA1、A2、B~E)によって誘導された内因的に発現されたVEGFAの用量依存的下方調節を示したプロットである。X軸は、A549細胞へのトランスフェクションに使用された各化合物の濃度(1、3、10、および30nM/ウェル)を示す。トランスフェクトされていない細胞の上清におけるVEGFAタンパク質レベルを100%に設定した。Y軸は、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化されたVEGFAレベルの下方調節を示す。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図6C】10nMの濃度を有するCpd.10~Cpd.15(リンカーA1、A2、B~E)をトランスフェクトされたA549細胞におけるIL-2レベルおよびVEGFAレベルの比較のための表である。Cpd.11(A2リンカー)およびCpd.14(Eリンカー)をトランスフェクトされたA549細胞は、他の化合物をトランスフェクトされたA549細胞と比較して、1.5~2.5倍高いIL-2レベルを示した。種々の化合物をトランスフェクトされたA549細胞は、等価のVEGFA下方調節を呈した。
【
図7A】SCC-4細胞における、種々のリンカーを含む化合物(Cpd.10~Cpd.15;リンカーA1、A2、B~E)によって誘導されたIL-2の用量依存的分泌レベルを示したプロットである。細胞培養上清におけるIL-2レベルを、トランスフェクションの24時間後にELISAによって測定した。X軸は、SCC-4細胞へのトランスフェクションに使用された各化合物の濃度(1、3、10、および30nM/ウェル)を示す。Y軸は、細胞培養上清におけるIL-2タンパク質レベル(pg/mL)についての測定結果を示している。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図7B】SCC-4細胞における、種々のリンカーを含む化合物(Cpd.10~Cpd.15;リンカーA1、A2、B~E)によって誘導された内因的に発現されたVEGFAの用量依存的下方調節を示したプロットである。X軸は、SCC-4細胞へのトランスフェクションに使用された各化合物の濃度(1、3、10、および30nM/ウェル)を示す。トランスフェクトされていない細胞からのVEGFAレベルを100%に設定した。Y軸は、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化されたVEGFAレベルの下方調節を示す。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図7C】10nMの濃度を有するCpd.10~Cpd.15(リンカーA1、A2、B~E)をトランスフェクトされたSCC-4細胞におけるIL-2レベルおよびVEGFAレベルの比較のための表である。Cpd.11(A2リンカー)およびCpd.14(Eリンカー)をトランスフェクトされたSCC-4細胞は、他の化合物をトランスフェクトされたSCC-4細胞と比較して、1.2~2.5倍高いIL-2レベルを示した。Cpd.12をトランスフェクトされたSCC-4細胞は、他の化合物をトランスフェクトされたSCC-4細胞と比較して、向上したVEGFA下方調節を呈した。
【
図8A-8B】ヒト初代筋肉細胞(HSMM)における、事実上A1-リンカーまたはA2リンカーに対する、ELISAによって測定されたIGF-1タンパク質レベルに関するプロットである。
図8Aは、成長培地中で培養されているHSMM細胞における、それぞれA1-リンカーおよびA2-リンカーとともに、3’に3×ALK2標的化siRNAを含むCpd.3およびCpd.4からのIGF-1発現を示している。
図8Bは、分化培地中で培養されているHSMM細胞における、Cpd.3およびCpd.4からのIGF-1発現を示している。HSMM細胞に、漸増nM濃度(0.1、0.3、1、3、10、および30nM)のCpd.3またはCpd.4 RNAのいずれかをトランスフェクトした。データは、4つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。Cpd.3とCpd.4との間の有意性(***、p<0.001)を、二方向ANOVA、それに続くテューキーの多重比較検定によって査定した。
【
図9A】最高24時間までの、A-172細胞における、Cpd.16およびCpd.17によって誘導されたIL-12の経時的分泌を示した図である。細胞培養上清におけるIL-12レベルを、トランスフェクションの0~24時間後までELISAによって測定した(10nM/ウェル)。X軸は、トランスフェクション後の時間(時間)を示し、Y軸は、細胞培養上清におけるIL-12タンパク質レベル(pg/mL)についての測定結果を示している。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図9B】rhIL-12、またはCpd.16もしくはCpd.17(0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているヒト胎児性腎臓(HEK293)細胞の上清に由来するIL-12(0.001ng~300ng)によって誘導されかつELISAによって定量された、HEK-Blue(商標)IL-12レポーター細胞におけるSTAT4経路の用量依存的活性化を示したプロットである。X軸は、種々の濃度のCpd.16もしくはCpd.17由来IL-12、またはrhIL-12を示す。Y軸は、rhIL-12に対して正規化されたIL-12シグナル伝達活性化を示す(rhIL-12の最も低いSEAP値を0に設定し、rhIL-12の最も高いSEAP値を100%に設定した)。データは、用量あたり3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図9C-9D】Cpd.16(
図9C)またはCpd.17(
図9D)をトランスフェクトされたA172細胞における、KRASおよびpan-Akt(Akt1、Akt2、およびAkt3)レベルの時間依存的下方調節を示したプロットである。KRASおよびpan-AktのRNAレベルを、トランスフェクションの最高24時間後まで、技術的3重でqPCRによって細胞溶解物から測定した。X軸は、トランスフェクション後の時間(時間)を示す。Y軸は、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化されたKRASおよびpan-Aktレベルの下方調節を示す。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【
図9E-9F】Cpd.16(
図9E)またはCpd.17(
図9F)をトランスフェクトされたA172細胞における、c-Mycレベルの時間依存的下方調節を示したプロットである。c-MycのRNAレベルを、トランスフェクションの12~24時間後、技術的3重でqPCRによって細胞溶解物から測定した。X軸は、トランスフェクション後の時間(時間)を示す。Y軸は、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化されたc-Mycレベルの下方調節を示す。データは、3つの複製物の平均についての平均±標準誤差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列および/または、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントをコードするもしくは含む少なくとも1種の核酸配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む、2種以上の遺伝子の発現をモジュレートするための組成物および方法が本明細書において提供される。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、1種または複数のリンカーをさらに含み得る。1つの場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントをコードするまたは含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間に存在し得る。別の場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種または複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントをコードするまたは含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種もしくは複数の遺伝子をコードする核酸配列と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントをコードするもしくは含む核酸配列との間、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間、および/または関心のある1種もしくは複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。
【0020】
本明細書に記載される組み換えポリ核酸コンストラクトを含む、または本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトをコードするベクターも本明細書において提供される。本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物またはベクターを含む細胞が本明細書において提供される。本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、薬学的組成物に製剤化され得る。並行して2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする組成物および方法が本明細書においてさらに提供される。
【0021】
本明細書に記載される組成物または薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療するための組成物および方法が本明細書において提供される。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物は、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含み得、リンカーRNA配列のリンカーは、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数のメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得、mRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させ得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントであり得る。例えば、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)を含み得、標的RNAによってコードされるタンパク質のレベルを下方調節し得る。例えば、mRNAおよび標的RNAは、本明細書に記載される遺伝子関連疾患および病状のものであり得る。
【0022】
別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術的および科学的用語は、本開示が属する技術分野における当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様のまたは等価の方法および材料が、本開示の実践または試験において使用され得るものの、適切な方法および材料が下で記載される。
【0023】
定義
様々な実施形態の徹底的な理解を提供するために、本説明についてのある特定の具体的な詳細が明記される。しかしながら、当業者であれば、本開示はこれらの詳細なしで実施され得ることを理解するであろう。別の場合には、実施形態の説明を不必要に分かりにくくすることを回避するために、周知の構造は詳細に示されていないまたは記載されていない。文脈が別途要しない限り、本明細書および後に続く特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語、ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」等のその変形は、開かれた内包的な意味で、つまり「含むがそれらに限定されない」として捉えられるべきである。さらに、本明細書において提供される見出しは、単なる便宜上のものであり、主張される開示の範囲または意味を解釈するわけではない。
【0024】
本明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるとき、「a」、「an」、および「the」という単数形は、文脈が別途はっきりと述べていない限り、複数形の指示対象を含む。「または」という用語は、文脈が別途はっきりと述べていない限り、「および/または」を含むその意味で一般的に採用されることにも留意すべきである。本明細書において使用される「および/または」および「その任意の組み合わせ」という用語、ならびにそれらの文法的等価物は、互換可能に使用され得る。これらの用語は、任意の組み合わせが具体的に企図されることを伝え得る。例示的な目的のためだけに、以下の語句「A、B、および/またはC」または「A、B、C、またはその任意の組み合わせ」は、「個々にA;個々にB;個々にC;AおよびB;BおよびC;AおよびC;ならびにA、B、およびC」を意味し得る。「または」という用語は、文脈が離接的使用に具体的に言及しない限り、接続的にまたは離接的に使用され得る。
【0025】
「約」または「およそ」という用語は、当業者によって判定される特定の値に対して許容される誤差域内にあることを意味し得、それは、値がどのように測定されたまたは判定されたか、すなわち測定システムの限界に部分的に依存するであろう。例えば、「約」は、当技術分野における実践につき、1以内または1より大きい標準偏差を意味し得る。代替的に、「約」は、所与の値の最高20%まで、最高10%まで、最高5%まで、または最高1%までの域を意味し得る。代替的に、特に生物学的システムまたは過程に関して、該用語は、値の1桁以内、5倍以内、または2倍以内にあることを意味し得る。本出願および特許請求の範囲において特定の値が記載される場合、別途指定のない限り、特定の値に対して許容される誤差域内にあることを意味する「約」という用語が仮定されるべきである。
【0026】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、「含む(comprising)」(ならびに、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」等、含む(comprising)の任意の形態)、「有する(having)」(ならびに、「有する(have)」および「有する(has)」等、有する(having)の任意の形態)、「含む(including)」(ならびに、「含む(includes)」および「含む(include)」等、含む(including)の任意の形態)、または「含有する(containing)」(ならびに、「含有する(contains)」および「含有する(contain)」等、含有する(containing)の任意の形態)という単語は、内包的でありまたは非制約的であり、付加的な挙げられていない要素または方法工程を除外するわけではない。本明細書において論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法または組成物に関して実行され得、逆もまた同様であることが企図される。さらに、本開示の組成物を使用して、本開示の方法を達成し得る。
【0027】
本明細書における「実施形態」、「ある特定の実施形態」、「好ましい実施形態」、「具体的な実施形態」、「一部の実施形態」、「一実施形態」、「1つの実施形態」、または「他の実施形態」への言及は、実施形態に関連して記載される特定の特質、構造、または特徴が、本開示の少なくとも一部の実施形態に含まれるが、必ずしもすべての実施形態に含まれるわけではないことを意味する。本開示についての理解を促すために、いくつかの用語および語句が下で定義される。
【0028】
本明細書において使用される「RNA」という用語は、アミノ酸配列をコードするRNA(例えば、mRNA等)、ならびにアミノ酸配列をコードしないRNA(例えば、siRNA、shRNA、miRNA等)を含む。本明細書において使用されるRNAは、コードRNA、すなわちアミノ酸配列をコードするRNAであり得る。そのようなRNA分子は、mRNA(メッセンジャーRNA)とも称され、一本鎖RNA分子である。本明細書において使用されるRNAは、ノンコーディングRNA、すなわちアミノ酸配列をコードしないまたはタンパク質に翻訳されないRNAであり得る。ノンコーディングRNAは、低分子干渉RNA(siRNA)、短いまたは低分子ハーピン(harpin)RNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、piwi相互作用RNA(piRNA)、および長いノンコーディングRNA(IncRNA)を含み得るが、それらに限定されるわけではない。本明細書において使用されるsiRNAは、二本鎖RNA(dsRNA)領域、ヘアピン構造、ループ構造、またはその任意の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、siRNAは、少なくとも1つのshRNA、少なくとも1つのdsRNA領域、または少なくとも1つのループ構造を含み得る。一部の実施形態において、siRNAは、dsRNAまたはshRNAからプロセシングされ得る。一部の実施形態において、siRNAは、shRNAから、DICER等の内因性タンパク質によってプロセシングされ得るまたは切断され得る。一部の実施形態において、ヘアピン構造またはループ構造は、siRNAから切断され得るまたは除去され得る。例えば、shRNAのヘアピン構造またはループ構造は、切断され得るまたは除去され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるRNAは、当業者に公知の合成的、化学的、もしくは酵素的方法論によって作製され得る、当業者に公知の組み換え技術によって作製され得る、または天然供給源から単離され得る、あるいはその任意の組み合わせによって作製され得る。RNAは、修飾されたもしくは非修飾のヌクレオチド、またはその混合物を含み得、例えばRNAは、当技術分野において公知の化学的なおよび天然に存在するヌクレオシド修飾(例えば、本明細書においてメチルシュードウリジンとも称されるN1-メチルシュードウリジン)を任意選択で含み得る。
【0029】
「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、本明細書において同一の意味を有し、DNAまたはRNAを指す。一部の実施形態において、核酸配列は、糖/ホスフェート骨格のホスホジエステル結合によって互いに共有結合的に連結されているヌクレオチド単量体を含むまたはそれからなるポリマーである。「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、非修飾の核酸配列を包含し得、すなわち非修飾のヌクレオチドまたは天然のヌクレオチドを含む。「核酸配列」、「ポリ核酸配列」、および「ヌクレオチド配列」という用語は、塩基修飾された、糖修飾された、または骨格修飾された等のDNAまたはRNA等、修飾された核酸配列も包含し得る。
「天然のヌクレオチド」および「標準ヌクレオチド」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、本明細書において同一の意味を有し、天然に存在するヌクレオチド塩基のアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)、チミン(T)を指す。
【0030】
「非修飾のヌクレオチド」という用語は、天然に修飾されない、例えばin vivoでエピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されない、天然のヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。好ましくは、「非修飾のヌクレオチド」という用語は、天然に修飾されず、例えばin vivoでエピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されず、化学修飾されない、例えばin vitroで化学修飾されない、天然のヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。
【0031】
「修飾されたヌクレオチド」という用語は、エピジェネティックにまたは翻訳後に修飾されたヌクレオチド等の天然に修飾されたヌクレオチド、および化学修飾されたヌクレオチド、例えばin vitroで化学修飾されるヌクレオチドを指すために本明細書において使用される。
【0032】
組み換えRNAコンストラクト
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/または標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクト組成物は、1種または複数のリンカーをさらに含み得る。1つの場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間に存在し得る。別の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種または複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある1種または複数の遺伝子をコードする核酸配列、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含む核酸配列、および1種または複数のリンカーを含み得、リンカーは、関心のある1種もしくは複数の遺伝子をコードする核酸配列と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含む核酸配列との間;1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間;および/または関心のある1種もしくは複数の遺伝子のそれぞれの間に存在し得る。
【0033】
関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/または標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む、2種以上の遺伝子の発現をモジュレートするための組成物が本明細書において提供される。関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列と、および/または標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントを含む少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む、疾患または病状を治療するための組成物が本明細書においてさらに提供される。本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクト組成物は、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカー配列を含み得、リンカー配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数のメッセンジャーRNA(mRNA)を含み得、mRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させ得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントであり得る。一部の実施形態において、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、1種または複数の標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)であり得る。例えば、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAに結合し得るsiRNAを含み得、標的RNAによってコードされるタンパク質のレベルを下方調節し得る。一部の場合には、標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントは、関心のある遺伝子の発現を阻害しない。一部の場合には、mRNAおよび標的RNAは、本明細書に記載される遺伝子関連疾患および病状のものであり得る。単一RNA転写産物を使用して、並行して2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする組成物および方法も本明細書において提供される。
【0034】
関心のある遺伝子と、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントとを含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトであって、関心のある遺伝子、およびsiRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントは、
図1に例示されるように5’から3’方向に、または3’から5’方向に連続的様式で存在し得る、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトが本明細書においてさらに提供される。1つの例では、
図1に例示されるように、関心のある遺伝子(例えば、IGF-1、IL-2、IL-12、またはIL-4)は、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントに対して5’またはその上流に存在し得、関心のある遺伝子は、リンカー(mRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー、「スペーサー」とも称され得る)によってsiRNAに連結され得る。別の例では、関心のある遺伝子は、siRNA等、別の遺伝子の発現を低下させる遺伝子エレメントに対して3’またはその下流に存在し得、siRNAは、リンカー(siRNA/shRNAからmRNAへのリンカー、「スペーサー」とも称され得る)によって関心のある遺伝子に連結され得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1種より多くのsiRNAを含み得、1種より多くのsiRNAのそれぞれは、リンカー(siRNAからsiRNAへのリンカー、またはshRNAからshRNAへのリンカー)によって連結され得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は異なり得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は同じであり得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、関心のある1種より多くの遺伝子を含み得、関心のある1種より多くの遺伝子のそれぞれは、リンカー(mRNAからmRNAへのリンカー)によって連結され得る。一部の場合には、関心のある遺伝子は、
図1に示されるように、N末端にシグナルペプチド配列を含み得る。一部の場合には、関心のある遺伝子は、非修飾の(WT)シグナルペプチド配列または修飾されたシグナルペプチド配列を含み得る。本明細書において提供される組み換えポリ核酸コンストラクト(例えば、DNAコンストラクト)は、RNAポリメラーゼ結合のためのプロモーター配列も含み得る。例えば、DNAコンストラクトは、本明細書に記載されるRNAコンストラクトを発現するために、DNA依存性RNAポリメラーゼ結合のためのプロモーター配列を含み得る。例として、T7 RNAポリメラーゼ結合のためのT7プロモーターが
図1に示される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるRNAコンストラクトは、プロモーター配列を含まなくてもよい。
【0035】
組み換えポリ核酸または組み換えRNAとは、天然に存在せず、in vitroで合成されるまたは操縦されるポリ核酸またはRNAを指し得る。組み換えポリ核酸またはRNAは、実験室において合成され得、酵素的制限消化、ライゲーション、クローニング、および/またはin vitro転写等、DNAまたはRNAの酵素的修飾を使用することによる組み換えDNAまたはRNA技術を使用することによって調製され得る。組み換えポリ核酸は、in vitroで転写されてメッセンジャーRNA(mRNA)を産生し得、組み換えmRNAは単離され得、精製され得、細胞へのトランスフェクションに使用され得る。本明細書において使用される組み換えポリ核酸またはRNAは、タンパク質、ポリペプチド、標的モチーフ、シグナルペプチド、および/または低分子干渉RNA(siRNA)等のノンコーディングRNAをコードし得る。一部の実施形態において、適切な条件下で、組み換えポリ核酸またはRNAは、細胞に組み入れられ得、細胞内で発現され得る。
【0036】
標的RNAに結合し得るsiRNAを含む1種または複数の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする1種または複数の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトであって、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるイントロン配列の一部ではない、組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。一部の場合には、関心のある遺伝子は、RNAスプライシングなしで発現される。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、標的RNAのエクソンに結合する。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、1種の標的RNAに特異的に結合する。
【0037】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、複数コピーの関心のある遺伝子を含み得、複数コピーの関心のある遺伝子のそれぞれは、同じタンパク質をコードする。関心のある複数の遺伝子を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、関心のある複数の遺伝子のそれぞれは、異なるタンパク質をコードする、組成物も本明細書において提供される。本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、複数の種のsiRNAを含み得、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAに結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAの同じ領域に結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAのそれぞれは、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。一部の実施形態において、複数の種のsiRNAの一部は、同じ標的RNAに結合し得、複数の種のsiRNAの一部は、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。複数の種のsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトであって、複数の種のsiRNAのそれぞれは、異なる標的RNAに結合し得る、組み換えRNAコンストラクトも本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的RNAはノンコーディングRNAである。一部の実施形態において、標的RNAはメッセンジャー(mRNA)である。
【0038】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカー配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、第1のRNA配列および/または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子、または標的RNAの発現をモジュレートする遺伝子エレメントをコードし得る、組成物が本明細書において提供される。1つの例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするmRNAであり得る。別の例では、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)等、標的RNAの発現を低下させる遺伝子エレメントであり得る。
【0039】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする1種より多くの核酸配列を含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15種、またはそれより多くの核酸配列を含み得る。一部の場合には、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子をコードし得、関心のある同じ遺伝子によってコードされるmRNAは、siRNA標的mRNAとは異なる。一部の場合には、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある異なる遺伝子をコードし得、関心のある異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする3種以上の核酸配列を含み得、3種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子または関心のある異なる遺伝子をコードし得、関心のある同じまたは異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする4種の核酸配列を含み得、4種の核酸配列のうちの3種は、関心のある同じ遺伝子をコードし、4種の核酸配列のうちの1種は、関心のある異なる遺伝子をコードし、関心のある同じまたは異なる遺伝子によってコードされるmRNAは、同じRNAコンストラクトに含まれるsiRNAの標的ではない。
【0040】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、本明細書に記載される疾患または病状と関連した遺伝子のRNAを標的にする1種より多くのsiRNAを含み得る。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、同じRNAまたは異なるRNAを標的にする1~10種のsiRNAを含み得る。一部の場合には、同じRNAを標的にする1~10種のsiRNAのそれぞれは、同じ配列を含み得る、すなわち1~10種のsiRNAのそれぞれは、標的RNAの同じ領域に結合する。一部の場合には、同じRNAを標的にする1~10種のsiRNAのそれぞれは、異なる配列を含み得る、すなわち1~10種のsiRNAのそれぞれは、標的RNAの異なる領域に結合する。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1種のRNAを標的にする3種のsiRNAを含み得、3種のsiRNAのそれぞれは、RNAの同じ領域を標的にする同じ核酸配列を含む。この例では、3種のsiRNAのそれぞれは、エクソン1を標的にする同じ核酸配列を含み得る。別の例では、3種のsiRNAのそれぞれは、RNAの異なる領域を標的にする異なる核酸配列を含み得る。この例では、3種のsiRNAのうちの1種は、エクソン1を標的にする核酸配列を含み得、3種のsiRNAのうちの別の1種は、エクソン2を標的にする核酸配列を含み得る、等。さらに別の例では、3種のsiRNAのそれぞれは、異なるRNAを標的にする異なる核酸配列を含み得る。すべての態様において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトにおけるsiRNAは、同じRNAコンストラクト組成物におけるmRNAによって発現される、関心のある遺伝子の発現に影響を及ぼし得ない。一部の実施形態において、標的RNAはmRNAである。
【0041】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(I)XmCAACAAXnの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である]を有し得る。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(II):XpTCCCXrの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]を有し得る。1つの実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、リンカーRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれを接続し得る(例えば、siRNAからsiRNAへのリンカー、またはshRNAからshRNAへのリンカー)。別の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、リンカーRNA配列は、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントとを接続し得る(例えば、mRNAからsiRNAへのリンカー、siRNAからmRNAへ、mRNAからshRNAへのリンカー、またはshRNAからmRNAへのリンカー)。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は異なり得る。一部の実施形態において、mRNAからsiRNA/shRNAへの(またはsiRNA/shRNAからmRNAへの)リンカーの配列、およびsiRNAからsiRNAへの(またはshRNAからshRNAへの)リンカーの配列は同じであり得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、同じRNAリンカー配列は、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントとを(例えば、mRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー、またはsiRNA/shRNAからmRNAへのリンカー)、ならびに1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間を(例えば、siRNA/shRNAからsiRNA/shRNAへのリンカー)を接続し得る。
【0042】
一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約50、約4~約45、または約4~約40、約4~約35、または約4~約30ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約18ヌクレオチドである。例えば、リンカーの長さは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、多くとも約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または多くとも約50ヌクレオチドであり得る。一部の実施形態において、リンカーの長さは4ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは7ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは11ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは12ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは18ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは16ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは20ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは23ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは27ヌクレオチドである。
【0043】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、式(I)XmCAACAAXnの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり;mは1~12の整数であり、nは0~4の整数であり;mは1であり、nは0である]を有し得る。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、CAACAA(配列番号71)、TCCC(配列番号69)、またはACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)、ACGTACCAACAA(配列番号68)、TCCC(配列番号69)、ACAACAATCCC(配列番号70)、およびACAACAA(配列番号23)からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号72)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号73)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号74)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号75)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、配列番号23、67~75からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号22)を含む配列を含まなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、ATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む配列を含まなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるリンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号22)またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含まない。
【0044】
一部の場合には、tRNAリンカーが使用され得る。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の場合には、本明細書に記載されるtRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号39)を含む核酸配列を含み得る。一部の場合には、ATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し得る。一部の実施形態において、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号22)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれを接続し得る。
【0045】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、二次構造を形成しなくてもよい。例えば、本明細書に記載されるリンカーは、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトの核酸配列に結合しなくてもよいまたは塩基対合しなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーは、リンカー配列内に二次構造を形成しなくてもよい。例えば、本明細書に記載されるリンカーは、リンカー配列内に塩基ペアリングを有しなくてもよい。一部の実施形態において、本明細書に記載されるインカー(inker)RNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない。一部の実施形態において、本明細書に記載されるsiRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成し得る。
【0046】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種を含む組み換えRNAコンストラクト組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有するリンカーによって接続される、組み換えRNAコンストラクト組成物が本明細書においてさらに提供される。
【0047】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは切断され得る。例えば、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、細胞取り込みの後に内因的に切断され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、細胞内タンパク質または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、DICER、例えば内因性DICERによって切断され得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトであって、リンカーRNA配列が第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する組み換えRNAコンストラクトは、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間で切断され得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーを含む。この実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間で切断され得る。別の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子と、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントとの間で切断され得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得、第2のRNA配列は、1種または複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子と、1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントとの間、および/または1種もしくは複数の標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントのそれぞれの間で切断され得る。
【0048】
一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトの切断は、本明細書に記載されるリンカーを含まない相当するRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーの1種または複数を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、本明細書に記載されるリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有しないリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトの切断は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。
【0049】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載されるリンカーを含まない相当する組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載されるリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有しないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、ACGTACCAACAA(配列番号68)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、TCCC(配列番号69)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、ACAACAATCCC(配列番号70)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。
【0050】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーを含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカーを有する相当する組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるA2-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、B-リンカー、C-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるB-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、C-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるC-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるD-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、C-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるE-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、C-リンカー、またはD-リンカー)を含むRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強され得る。一部の実施形態において、A2-リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、Bリンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、C-リンカーは、ACGTACCAACAA(配列番号68)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、D-リンカーは、TCCC(配列番号69)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、E-リンカーは、ACAACAATCCC(配列番号70)を含む配列を含み得る。
【0051】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加または増強は、少なくとも約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、または少なくとも約25倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、約1.3倍~約3倍、約1.5倍~約4倍、約2倍~約5倍、約2倍~約10倍、約2倍~約15倍、約2倍~約17倍、約2倍~約18倍、約2倍~約19倍、約2倍~約20倍、約2倍~約21倍、約2倍~約22倍、約2倍~約25倍、約2倍~約30倍、約5倍~約10倍、約5倍~約15倍、約5倍~約17倍、約5倍~約18倍、約5倍~約19倍、約5倍~約20倍、約5倍~約21倍、約5倍~約22倍、約5倍~約25倍、約5倍~約30倍、約10倍~約15倍、約10倍~約17倍、約10倍~約18倍、約10倍~約19倍、約10倍~約20倍、約10倍~約21倍、約10倍~約22倍、約10倍~約25倍、約10倍~約30倍、約15倍~約17倍、約15倍~約18倍、約15倍~約19倍、約15倍~約20倍、約15倍~約21倍、約15倍~約22倍、約15倍~約25倍、約15倍~約30倍、約17倍~約18倍、約17倍~約19倍、約17倍~約20倍、約17倍~約21倍、約17倍~約22倍、約17倍~約25倍、約17倍~約30倍、約18倍~約19倍、約18倍~約20倍、約18倍~約21倍、約18倍~約22倍、約18倍~約25倍、約18倍~約30倍、約19倍~約20倍、約19倍~約21倍、約19倍~約22倍、約19倍~約25倍、約19倍~約30倍、約20倍~約21倍、約20倍~約22倍、約20倍~約25倍、約20倍~約30倍、約21倍~約22倍、約21倍~約25倍、約21倍~約30倍、約22倍~約25倍、約22倍~約30倍、または約25倍~約30倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、約1.3倍、約1.4倍、約1.5倍、約1.6倍、約1.7倍、約1.8倍、約1.9倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約7倍、約8倍、約9倍、約10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、約25倍、または約30倍である。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現のまたは組み換えRNAコンストラクトの切断の相対的増加は、多くとも約2倍、約3倍、約5倍、約10倍、約15倍、約17倍、約18倍、約19倍、約20倍、約21倍、約22倍、約25倍、または多くとも約30倍である。
【0052】
一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、ネイキッドRNAであり得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、特に翻訳を向上させるために、5’キャップ、コザック配列、および/または内部リボソーム進入部位(IRES)、および/またはポリ(A)テールをさらに含み得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、当業者に公知の翻訳を促進する1種または複数の領域をさらに含み得る。5’キャップの非限定的な例は、アンチリバースCAPアナログ、クリーンキャップ(Clean Cap)、Cap0、Cap1、Cap2、またはロックド核酸キャップ(LNAキャップ)を含み得る。一部の場合には、5’キャップは、m2
7,3’-OG(5’)ppp(5’)G、m7G、m7G(5’)G、m7GpppG、またはm7GpppGmを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードするRNA配列の上流または5’にIRESを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードするRNA配列のすぐ上流または5’にIRESを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1種の遺伝子エレメントをコードするRNA配列の下流または3’にIRESを含み得、標的RNAの発現をモジュレートする少なくとも1種の遺伝子エレメントをコードするRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするRNA配列の上流に存在する。
【0053】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、ポリ(A)テールをさらに含み得る。一部の場合には、ポリ(A)テールは、1~220塩基対のポリ(A)を含む。例えば、ポリ(A)テールは、1、3、5、8、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、105、110、115、120、125、130、135、140、145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215、または220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、1~20、1~40、1~60、1~80、1~100、1~120、1~140、1~160、1~180、1~200、1~220、20~40、20~60、20~80、20~100、20~120、20~140、20~160、20~180、20~200、20~220、40~60、40~80、40~100、40~120、40~140、40~160、40~180、40~200、40~220、60~80、60~100、60~120、60~140、60~160、60~180、60~200、60~220、80~100、80~120、80~140、80~160、80~180、80~200、80~220、100~120、100~140、100~160、100~180、100~200、100~220、120~140、120~160、120~180、120~200、120~220、140~160、140~180、140~200、140~220、160~180、160~200、160~220、180~200、180~220、または200~220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、1、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、または220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、少なくとも1、20、40、60、80、100、120、140、160、180、または少なくとも200塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、多くとも20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、または多くとも220塩基対のポリ(A)を含む。一部の実施形態において、ポリ(A)テールは、120塩基対のポリ(A)を含む。
【0054】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、コザック配列をさらに含み得る。コザック配列とは、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸配列モチーフを指し得る。コザック配列は、文献において、例えば本明細書における参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、Kozak,M.、Gene 299(1-2):1~34によって詳細に記載される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるコザック配列は、GCCACC(配列番号19)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、核局在化シグナル(NLS)をさらに含み得る。
【0055】
1つの態様において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、ヌクレオチドバリアントを含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含み得る。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたウリジンを含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のN1-メチルシュードウリジンを含まなくてもよい。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの99%~1%、98%~2%、97%~3%、96%~4%、95%~2%、94%~6%、93%~7%、92%~8%、91%~9%、90%~10%、97%~3%は非修飾である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または少なくとも99.9%は非修飾である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトに含まれる1つまたは複数のウリジンの多くとも1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、または少なくとも99.9%は修飾されている。1つの実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、非修飾のヌクレオチドだけを含む。例えば、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、天然のヌクレオチドのみを含む。例えば、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、標準ヌクレオチドのみを含む。好ましい実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1つまたは複数のウリジンを含み、1つまたは複数のウリジンのすべては非修飾である。
【0056】
別の態様において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、非標準的なヌクレオチド、非天然のヌクレオチド、ヌクレオチドアナログ、および/または修飾されたヌクレオチドを含めた、1つまたは複数のヌクレオチドバリアントを含み得る。修飾されたヌクレオチドの例は、ジアミノプリン、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン(xantine)、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、ベータ-D-ガラクトシルケウオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、ベータ-D-マンノシルケウオシン、5’-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸(v)、ワイブトキソシン(wybutoxosine)、シュードウラシル、ケウオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸メチルエステル、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、(acp3)w、2,6-ジアミノプリン、N1-メチルシュードウリジン等を含むが、それらに限定されるわけではない。一部の場合には、ヌクレオチドは、トリホスフェート部分の修飾を含めた、それらのホスフェート部分における修飾を含み得る。そのような修飾の非限定的な例は、より大きな長さ、およびチオール部分を用いた修飾のホスフェート鎖を含む。一部の実施形態において、ホスフェート鎖は、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのホスフェート部分を含み得る。一部の実施形態において、チオール部分は、アルファ-チオトリホスフェートおよびベータ-チオトリホスフェートを含み得るが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、5-メチルシトシンおよび/またはN6-メチルアデノシンを含まない。
【0057】
一部の場合には、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、塩基部分、糖部分、またはホスフェート骨格において修飾されていてもよい。例えば、修飾は、相補的ヌクレオチドと水素結合を形成するために典型的に使用可能である1つもしくは複数の原子における、および/または相補的ヌクレオチドと水素結合を典型的に形成し得ない1つもしくは複数の原子におけるものであり得る。一部の実施形態において、骨格修飾は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホロアニラデート(phosphoraniladate)、ホスホロアミダート、およびホスホロジアミダート連結を含むが、それらに限定されるわけではない。ホスホロチオエート連結は、ホスフェート骨格における非架橋酸素の代わりに硫黄原子を用い、オリゴヌクレオチドのヌクレアーゼ分解を遅延させる。ホスホロジアミダート連結(N3’→P5’)は、ヌクレアーゼ認識および分解を阻止するのを可能にする。一部の実施形態において、骨格修飾は、骨格構造におけるリンの代わりにペプチド結合、またはカルバメート、アミド、ならびに線状および環状炭化水素基を含めた結合基を有することを含む。例えば、N-(2-アミノエチル)-グリシン単位は、ペプチド核酸におけるペプチド結合によって連結され得る。修飾された骨格を有するオリゴヌクレオチドは、Micklefield、Backbone modification of nucleic acids:synthesis,structure and therapeutic applications、Curr.Med.Chem.、8(10):1157~79、2001、およびLyerら、Modified oligonucleotides-synthesis,properties and applications、Curr.Opin.Mol.Ther.、1(3):344~358、1999に概説される。
【0058】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含み得る。一部の場合には、アデノシン-、グアノシン-、およびシチジン-含有ヌクレオチドは、非修飾であるか、または部分的に修飾されている。一部の場合には、修飾されたRNAコンストラクトに関して、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は修飾されていてもよい。一部の実施形態において、ウリジンヌクレオチドの5%~25%は、組み換えRNAコンストラクトにおいて修飾されている。修飾されたウリジンヌクレオチドの非限定的な例は、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、またはN1-メチルシュード-UTPを含み得、当技術分野において公知の任意の修飾されたウリジンヌクレオチドが利用され得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含有し得、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、シュードウリジン、N1-メチルシュードウリジン、N1-メチルシュード-UTP、または当技術分野において公知の任意の他の修飾されたウリジンヌクレオチドを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、修飾されたおよび非修飾のヌクレオチドの組み合わせを含有し得、ウリジンヌクレオチドの1%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%は、N1-メチルシュードウリジンを含み得る。
【0059】
本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、コドン最適化されていてもよい。一般的に、コドン最適化とは、関心のある宿主細胞における発現のために、その宿主細胞の遺伝子においてより高頻度にまたは最も高頻度に使用されるコドンで、天然配列の少なくとも1種のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50種より多くの、またはそれより多くのコドン)を置き換えることによって核酸配列を改変し、一方で天然アミノ酸配列を維持する過程を指す。コドン使用法の表は、例えば「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかのやり方で適応され得る。特定の宿主細胞における発現のために、好ましいGene Forge(登録商標)(Aptagen、PA)およびGeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)等、特定の配列をコドン最適化するためのコンピューターアルゴリズムも入手可能である。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、コドン最適化されていなくてもよい。
【0060】
一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号1~9および76~84からなる群から選択される配列を含む核酸配列を含み得る。
【0061】
RNA干渉および低分子干渉RNA(siRNA)
RNA干渉(RNAi)またはRNAサイレンシングとは、標的mRNA分子を中和することによって、RNA分子が遺伝子発現または翻訳を阻害する過程である。RNAi過程は、Mello&Conte(2004)Nature 431、338~342、Meister&Tuschl(2004)Nature 431、343~349、Hannon&Rossi(2004)Nature 431、371~378、およびFire(2007)Angew.Chem.Int.Ed.46、6966~6984に記載される。簡潔には、天然の過程において、反応は、dsRNA特異的エンドヌクレアーゼDicerによる、ヘアピン構造を有する低分子dsRNA断片またはsiRNA(すなわち、shRNA)への、長い二本鎖RNA(dsRNA)の切断とともに開始する。次いで、これらの低分子dsRNA断片またはsiRNAは、RNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)に統合され、RISCを標的mRNA配列にガイドする。干渉の間、siRNA二重鎖はほどけ、アンチセンス鎖は、RISCと複合したままとどまって、RISCを標的mRNA配列へ導いて、分解および後続のタンパク質翻訳の抑制を誘導する。本発明の組み換えRNAコンストラクトにおけるsiRNAは、ヘアピンループ構造を含むことから、市販の合成siRNAとは異なり、本発明におけるsiRNAは、細胞の細胞質において内因性のDicerおよびRISC経路を利用して、細胞取り込みの後に組み換えRNAコンストラクト(例えば、mRNAおよび2種以上のsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクト)から切断され得、上で詳述される天然の過程をたどり得る。加えて、組み換えRNAコンストラクトの残部(すなわち、mRNA)は、DicerによるsiRNAの切断後に無傷の状態のままであることから、本発明の組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子からの所望のタンパク質発現が実現される。
【0062】
標的RNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも1種の核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、標的RNAはノンコーディングRNAである。一部の場合には、標的RNAはmRNAである。一部の実施形態において、siRNAは、5’非翻訳領域において標的mRNAに結合し得る。一部の実施形態において、siRNAは、3’非翻訳領域において標的mRNAに結合し得る。一部の実施形態において、siRNAは、エクソンにおいて標的mRNAに結合し得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、センスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、アンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、センスsiRNA鎖を含む核酸配列およびアンチセンスsiRNA鎖を含む核酸配列を含み得る。本発明に含まれるsiRNAの詳細は、参照により本明細書に組み入れられる、Chengら(2018)J.Mater.Chem.B.、6、4638~4644に記載される。
【0063】
例えば、一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも1つの種またはコピーのsiRNA、すなわちsiRNAのセンス鎖を含む核酸配列、およびsiRNAのアンチ鎖を含む核酸配列を含み得る。本明細書に記載される1種または1つのコピーのsiRNAとは、1種または1つのコピーのセンス鎖siRNAおよび1種または1つのコピーのアンチセンス鎖siRNAを指し得る。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、1つより多くの種または1つより多くのコピーのsiRNA、例えば、siRNAのセンス鎖およびsiRNAのアンチ鎖を含む2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれより多くの種またはコピーのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、1~20種またはコピーのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9種、または少なくとも10種またはコピーのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、多くとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または多くとも20の種またはコピーのsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1~2、1~3、1~4、1~5、1~6、1~7、1~8、1~9、1~10、2~3、2~4、2~5、2~6、2~7、2~8、2~9、2~10、3~4、3~5、3~6、3~7、3~8、3~9、3~10、4~5、4~6、4~7、4~8、4~9、4~10、5~6、5~7、5~8、5~9、5~10、6~7、6~8、6~9、6~10、7~8、7~9、7~10、8~9、8~10、または9~10の種またはコピーのsiRNAを有する。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の種またはコピーのsiRNAを有する。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、または9の種またはコピーのsiRNAを有する。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、多くとも2、3、4、5、6、7、8、9、または10の種またはコピーのsiRNAを有する。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、2種のsiRNA~10種のsiRNA、3種のsiRNA~10種のsiRNA、4種のsiRNA~10種のsiRNA、5種のsiRNA~10種のsiRNA、6種のsiRNA~10種のsiRNA、7種のsiRNA~10種のsiRNA、9種のsiRNA~10種のsiRNA、好ましくは2種のsiRNA~6種のsiRNA、3種のsiRNA~6種のsiRNA、または4種のsiRNA~6種のsiRNAを含み得る。
【0064】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含む組み換えRNAコンストラクトの組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのそれぞれは、標的RNAに結合し得る、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的RNAは、mRNAまたはノンコーディングRNAである。一部の場合には、siRNA種またはコピーのそれぞれは、同じ標的RNAに結合する。1つの場合には、siRNA種またはコピーのそれぞれは、同じ配列を含み得、同じ標的RNAの同じ領域または配列に結合し得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのそれぞれは、標的RNAの同じ領域を標的にする同じ配列を含む、すなわち、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くの冗長な種またはコピーのsiRNAを含み得る。別の場合には、siRNA種またはコピーのそれぞれは、異なる配列を含み得、同じ標的RNAの異なる領域または配列に結合し得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのそれぞれは、同じ標的RNAの異なる領域を標的にする異なる配列を含み得る。この例では、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの1種のsiRNAは、エクソン1を標的にし得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの別のsiRNAは、同じmRNAのエクソン2を標的にし得る、等。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、同じ標的RNAの同じおよび異なる領域に結合し得る1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの2種は、同じ配列を含み得、標的RNAの同じ領域に結合し得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの3種以上は、異なる配列を含み得、同じ標的RNAの異なる領域に結合し得る。一部の場合には、siRNA種またはコピーのそれぞれは、異なる標的RNAに結合する。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、同じおよび異なる標的RNAに結合し得る1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーを含み得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの2種は、同じ標的RNAの同じまたは異なる領域に結合し得る配列を含み得、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種またはコピーのうちの3種以上は、異なる標的RNAに結合し得る配列を含み得る。一部の実施形態において、標的RNAは、mRNAおよび/またはノンコーディングRNAであり得る。一部の場合には、siRNA種またはコピーのそれぞれは、異なる標的RNAに結合し得る同じ配列を含み得る。例えば、siRNA種またはコピーのそれぞれは、2種以上の標的RNAに共通のまたはそれによって共有される配列に結合し得る。例は、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、およびAkt3(pan-Akt3)に共通のまたはそれによって共有される配列に結合し得るsiRNA配列を含むが、それらに限定されるわけではない。
【0065】
1~20種またはそれより多くのsiRNA種を含む組み換えRNAコンストラクトの組成物であって、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれは、本明細書に記載されるリンカーによって接続される、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、リンカーは非切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、自己切断性リンカー等の切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、タンパク質、例えば細胞内または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の場合には、リンカーは、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する。一部の場合には、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)、ACGTACCAACAA(配列番号68)、TCCC(配列番号69)、またはACAACAATCCC(配列番号70)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号72)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号73)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号74)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号75)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含む。一部の実施形態において、リンカーは、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号22)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む配列を含まない。
【0066】
一部の場合には、リンカーの長さは、約4~約50、約4~約45、または約4~約40、約4~約35、または約4~約30ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、約4~約18ヌクレオチドである。例えば、リンカーの長さは、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは、多くとも約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または多くとも約50ヌクレオチドであり得る。一部の実施形態において、リンカーの長さは4ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは7ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは11ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは12ヌクレオチドである。一部の実施形態において、リンカーの長さは18ヌクレオチドである。
【0067】
一部の場合には、リンカーは、式(I)XmCAACAAXnの構造[式中、Xは任意のヌクレオチドであり;mは1~12の整数であり、nは0~4の整数であり;mは1であり、nは0である]を有し得る。一部の場合には、リンカーは、CAACAA(配列番号71)、TCCC(配列番号69)、またはACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)、ACGTACCAACAA(配列番号68)、TCCC(配列番号69)、ACAACAATCCC(配列番号70)、およびACAACAA(配列番号23)からなる群から選択される配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)、ATAGTGAGTCGTATTATCCC(配列番号72)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC(配列番号73)、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA(配列番号74)、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA(配列番号75)、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAA(配列番号21)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号23、67~75からなる群から選択される配列を含み得る。
【0068】
一部の場合には、リンカーはtRNAリンカーであり得る。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の実施形態において、tRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号39)を含む核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAA(配列番号22)を含む核酸配列を含むリンカーを使用して、1~20種またはそれより多くのsiRNA種のそれぞれを接続し得る。
【0069】
一部の場合には、その標的mRNAへのsiRNAの特異的結合は、標的mRNAの正常な機能への干渉をもたらし、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性のモジュレーション、例えば下方調節につながり、特異的結合が望まれる条件下における、すなわちin vivoアッセイまたは治療的処置の場合には生理的条件下における、およびin vitroアッセイの場合にはアッセイが実施される条件下における、非標的核酸配列へのsiRNAの非特異的結合を回避する十分な程度の相補性がある。
【0070】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載されるリンカーを含まない相当する組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載されるリンカーを含まないRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有しないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、ACGTACCAACAA(配列番号68)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、TCCC(配列番号69)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、ACAACAATCCC(配列番号70)を含む配列を含まないリンカーを含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。
【0071】
一部の場合には、本明細書に記載されるリンカーを含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカーを有する相当する組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるA2-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、B-リンカー、C-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるB-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、C-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるC-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、D-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるD-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、C-リンカー、またはE-リンカー)を含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、および本明細書に記載されるE-リンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節は、本明細書に記載される別のリンカー(例えば、A2-リンカー、B-リンカー、C-リンカー、またはD-リンカー)を含むRNAコンストラクト由来のsiRNAによる、標的mRNAによってコードされるタンパク質の発現レベル、機能、および/または活性の下方調節と比較して増強され得る。一部の実施形態において、A2-リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、Bリンカーは、ATCCCTACGTACCAACAA(配列番号67)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、C-リンカーは、ACGTACCAACAA(配列番号68)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、D-リンカーは、TCCC(配列番号69)を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、E-リンカーは、ACAACAATCCC(配列番号70)を含む配列を含み得る。
【0072】
本明細書において使用されるタンパク質とは、1つまたは複数のペプチドまたはポリペプチドを典型的に含む分子を指し得る。ペプチドまたはポリペプチドとは、典型的に、ペプチド結合によって連結されたアミノ酸残基の鎖である。ペプチドは、通常、2~50個のアミノ酸残基を含む。ポリペプチドは、通常、50個より多くのアミノ酸残基を含む。タンパク質は、典型的に、タンパク質がその生物学的機能を発揮するために要され得る3次元形態に折り畳まれる。本明細書において使用されるタンパク質は、タンパク質の断片、タンパク質のバリアント、および融合タンパク質を含み得る。本明細書において使用される機能的バリアントとは、完全長分子、その断片、またはそのバリアントを指し得る。例えば、バリアント分子は、タンパク質配列の場合には1つもしくは複数のアミノ酸の、または核酸配列の場合には1つもしくは複数のヌクレオチドの、挿入、欠失、および/または置換によって改変された配列を含み得る。例えば、バリアント分子は、機能獲得型または機能喪失型の変異体を含むがそれらに限定されない変異体タンパク質を含み得るまたはコードし得る。断片は、DNAもしくはRNAのような核酸分子、またはタンパク質の完全長配列のより短い部分であり得る。したがって、断片は、典型的に、完全長配列内の相当する一続きと同一である配列を含む。一部の実施形態において、配列の断片は、断片が由来する完全長ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の少なくとも5%~少なくとも80%を含み得る。一部の実施形態において、タンパク質は哺乳動物タンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質はヒトタンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質は、細胞から分泌されたタンパク質であり得る。一部の実施形態において、タンパク質は、細胞膜上のタンパク質であり得る。一部の実施形態において、本明細書において言及されるタンパク質は、分泌され、免疫学的反応にしばしば関わる、細胞表面上の受容体を介して標的細胞シグナル伝達のモジュレーターとして局所的にもしくは全身的に作用するタンパク質、またはウイルス感染に関わる他の宿主タンパク質であり得る。関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質を含めた、本発明の文脈において有用なタンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、当技術分野において公知であり、文献において入手可能である。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質を含めた、本発明の文脈において有用なタンパク質のヌクレオチドおよびアミノ酸配列は、UniProtデータベースにおいて入手可能である。
【0073】
標的mRNAの発現をモジュレートするための、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、標的mRNAの発現(例えば、標的mRNAによってコードされるタンパク質のレベル)は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって下方調節される。一部の実施形態において、標的mRNAの発現は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって阻害される。本明細書に記載される、標的mRNAの発現の阻害または下方調節は、標的mRNAからのタンパク質の翻訳に干渉するための標的mRNAへの干渉を指し得るがそれに限定されるわけではなく;ゆえに、標的mRNAの発現の阻害または下方調節は、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの非存在下における標的mRNAから発現されるタンパク質のレベルと比較した、標的mRNAから発現されるタンパク質の減少したレベルを指し得るがそれに限定されるわけではない。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、ラジオイムノアッセイ(RIA)、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0074】
標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも1種の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なる、組成物が本明細書において提供される。標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも1種の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列とを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、siRNAは、関心のある遺伝子の発現に影響を及ぼさない、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAに結合し得ない。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子の発現を阻害しない。一部の場合には、siRNAは、関心のある遺伝子の発現を下方調節しない。本明細書に記載される、関心のある遺伝子の発現を阻害することまたは下方調節することは、組み換えRNAコンストラクトからのタンパク質の翻訳に干渉することを指し得るがそれに限定されるわけではなく;ゆえに、関心のある遺伝子の発現を阻害することまたは下方調節することは、標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む組み換えRNAコンストラクトの非存在下において発現されるタンパク質のレベルと比較した、タンパク質の減少したレベルを指し得るがそれに限定されるわけではない。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、RIA、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0075】
標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む少なくとも1種の核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。siRNAが結合し得る標的mRNAの非限定的な例のリストは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファまたはTNF-α)、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)、Turbo緑色蛍光性タンパク質(Turbo GFP)、血管内皮増殖因子A(VEGFA)、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、プロテインキナーゼB-2(Akt2)、プロテインキナーゼB-3(Akt3)、またはその機能的バリアントを含む遺伝子のmRNAを含む。一部の実施形態において、Turbo GFP配列は、海生カイアシ類ポンテリーナ・プルマーテ(Pontellina plumate)に由来し得る。本明細書において使用される機能的バリアントとは、完全長分子、その断片、またはそのバリアントを指し得る。例えば、バリアント分子は、タンパク質配列の場合には1つもしくは複数のアミノ酸の、または核酸配列の場合には1つもしくは複数のヌクレオチドの、挿入、欠失、および/または置換によって改変された配列を含み得る。
【0076】
一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトは、1種または複数のsiRNAをコードし得または含み得、1種または複数のsiRNAのそれぞれは、異なるmRNAに結合し得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも3種のsiRNAをコードし得または含み得、3種のsiRNAのそれぞれは、異なるmRNAに結合し得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも3種のsiRNAをコードし得または含み得、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種はc-Mycに結合し、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種はKRASに結合し、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種は、Akt1、Akt2、および/またはAkt3に結合する。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、少なくとも3種のsiRNAをコードし得または含み得、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種はc-Mycに結合し、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種はKRASに結合し、少なくとも3種のsiRNAのうちの1種は、pan-Akt(Akt1、Akt2、およびAkt3)に結合する。
【0077】
一部の実施形態において、TNF-アルファは、配列番号32に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、ALK2は、配列番号33に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、Turbo GFPは、配列番号34に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、VEGFAは、配列番号115に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、c-Mycは、配列番号122に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、KRASは、配列番号123に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、Akt1は、配列番号124に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、Akt2は、配列番号125に列挙された配列を含む。一部の実施形態において、Akt3は、配列番号126に列挙された配列を含む。
【0078】
一部の態様において、siRNAは、配列番号50~57、および127~132からなる群から選択される配列によってコードされるセンス鎖を含む。一部の態様において、siRNAは、配列番号58~65、および133~138からなる群から選択される配列によってコードされるアンチセンス鎖を含む。一部の態様において、siRNAは、配列番号50~57、および127~132からなる群から選択される配列によってコードされるセンス鎖、ならびに配列番号58~65、および133~138からなる群から選択される配列によってコードされる相当するアンチセンス鎖を含む。
【0079】
関心のある遺伝子
関心のある遺伝子をコードする1つまたは複数のコピーの核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、関心のある遺伝子をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列を含み得る。一部の場合には、関心のある遺伝子をコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列のそれぞれは、関心のある同じ遺伝子をコードする。一部の場合には、組み換えRNAコンストラクトは、サイトカインをコードする1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個、またはそれより多くのコピーの核酸配列を含み得る。
【0080】
関心のある遺伝子をコードする2つ以上のコピーの核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトであって、2種以上の核酸配列のそれぞれは、関心のある異なる遺伝子をコードし得る、組み換えRNAコンストラクトも本明細書において提供される。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、分泌タンパク質をコードする核酸配列を含み得る。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、サイトカイン、例えばインターロイキン4(IL-4)、インターロイキン2(IL-2)、またはインターロイキン12(IL-12)をコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれは、異なる分泌タンパク質をコードし得る。一部の場合には、関心のある異なる遺伝子をコードする2種以上の核酸のそれぞれは、インスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする核酸配列を含み得る。本明細書に記載されるリンカーを含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書においてさらに提供される。一部の実施形態において、リンカーは、関心のある遺伝子をコードする2種以上の核酸配列のそれぞれを接続し得る。一部の場合には、リンカーは非切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは自己切断性リンカーであり得る。一部の場合には、リンカーは、タンパク質、例えば細胞内タンパク質または内因性タンパク質によって切断され得る。一部の場合には、リンカーは、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される。一部の場合には、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含む。一部の実施形態において、リンカーは、配列番号23、67~75からなる群から選択される。
【0081】
リンカーの他の例は、柔軟性のあるリンカー、T2A、P2A、E2A、またはF2A等の2Aペプチドリンカー(または2A自己切断性ペプチド)、およびtRNAリンカー等を含むが、それらに限定されるわけではない。tRNAシステムは、生存生物にわたって進化的に保存され、内因性のRNase PおよびZを利用して、マルチシストロン性コンストラクトをプロセシングする(Dongら、2016)。一部の実施形態において、tRNAリンカーは、AACAAAGCACCAGTGGTCTAGTGGTAGAATAGTACCCTGCCACGGTACAGACCCGGGTTCGATTCCCGGCTGGTGCA(配列番号39)を含む核酸配列を含み得る。
【0082】
関心のある遺伝子の発現をモジュレートするための、関心のある遺伝子をコードするRNAを含む組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。例えば、関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質の発現はモジュレートされ得る。例えば、関心のある遺伝子の発現は、組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質を発現させることによって上方調節される。例えば、関心のある遺伝子の発現は、組み換えRNAコンストラクトにおける関心のある遺伝子のmRNAによってコードされるタンパク質のレベルを増加させることによって上方調節される。タンパク質発現のレベルは、当技術分野において周知の任意の方法を使用することによって測定され得、これらは、ウェスタンブロッティング、フローサイトメトリー、ELISA、RIA、および様々なプロテオミクス手法を含むが、それらに限定されるわけではない。ポリペプチドを測定するまたは検出する例示的方法は、ELISA等のイムノアッセイである。このタイプのタンパク質定量は、特異的抗原を捕捉し得る抗体、および捕捉された抗原を検出し得る二次抗体に基づき得る。ポリペプチドの検出および/または測定のための例示的アッセイは、Harlow,E.およびLane,D.Antibodies:A Laboratory Manual、(1988)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載される。
【0083】
関心のある遺伝子をコードするRNAを含む組み換えRNAコンストラクトであって、関心のある遺伝子は関心のあるタンパク質をコードする、組み換えRNAコンストラクトが本明細書において提供される。一部の場合には、関心のあるタンパク質は治療用タンパク質である。一部の場合には、関心のあるタンパク質はヒト起源のものであり、すなわちヒトタンパク質である。一部の場合には、関心のある遺伝子は分泌タンパク質をコードする。一部の実施形態において、関心のある遺伝子はインスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質はIGF-1である。一部の場合には、関心のある遺伝子はサイトカインをコードする。一部の実施形態において、サイトカインはインターロイキンを含む。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質は、インターロイキン4(IL-4)またはその機能的バリアントである。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質は、インターロイキン2(IL-2)またはその機能的バリアントである。一部の実施形態において、関心のあるタンパク質は、インターロイキン12(IL-12)またはその機能的バリアントである。
【0084】
一部の場合には、関心のある遺伝子をコードする核酸配列を含む組み換えRNAコンストラクトは、ヒトインスリン様成長因子1(IGF-1)をコードする核酸配列を含み得る。一部の場合には、本明細書において使用されるIGF-1とは、ヒトIGF-1の天然配列(Uniprotデータベース:P05019、およびGenbankデータベースにおける:NM_001111285.3)、断片、またはその機能的バリアントを指し得る。1つの実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1をコードする核酸配列を含むネイキッドRNAであり得る。この実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得る。ヒトIGF-1をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIGF-1の天然配列は、21個のアミノ酸(ヌクレオチド1~63)を有するシグナルペプチド、27個のアミノ酸(ヌクレオチド64~144)を有するプロ-ペプチド、70個のアミノ酸(ヌクレオチド145~354)を有する成熟ヒトIGF-1、および77個のアミノ酸(ヌクレオチド355~585)を有するE-ペプチドを含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のプロ-ペプチド(プロ-ドメインとも呼ばれる)をコードする核酸配列、IGF-1の成熟タンパク質をコードする核酸配列、またはIGF-1のE-ペプチド(E-ドメインとも呼ばれる)(すなわち、カルボキシル末端伸長を有するIGF-1)を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、IGF-1の成熟タンパク質をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、IGF-1はヒトIGF-1である。
【0085】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、IGF-1の、好ましくはヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および成熟IGF-1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得、好ましくはIGF-1のE-ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まず、好ましくはIGF-1のヒトE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、IGF-1の、好ましくはヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、成熟IGF-1、好ましくは70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列、および脳由来神経栄養因子(BDNF)のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まず、より好ましくはIGF-1のヒトE-ペプチドをコードする核酸配列を含まない。
【0086】
一部の実施形態において、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列を含み得、好ましくはヒトIGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まず、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードする核酸配列、およびE-ペプチドをコードする核酸配列は、UniprotデータベースにおいてUniProtKB-P05019と称される。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIGF-1は、配列番号29または配列番号31を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0087】
一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、IGF-1をコードするmRNAを含み得る。一部の実施形態において、IGF-1をコードするmRNAとは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および/または70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIGF-1 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIGF-1 mRNAを含み得る。
【0088】
一部の場合には、本明細書において使用されるインターロイキン4(IL-4)またはIL-4とは、ヒトIL-4の天然配列(Uniprotデータベース:P05112、およびGenbankデータベースにおける:NM_000589.4)、断片、またはその機能的バリアントを指し得る。ヒトIL-4をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIL-4の天然配列は、24個のアミノ酸(ヌクレオチド1~72)を有するシグナルペプチド、および153個のアミノ酸(ヌクレオチド73~459)を有する成熟ヒトIL-4を含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、非修飾のIL-4シグナルペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-4シグナルペプチドである。一部の実施形態において、本明細書において使用されるインターロイキン4(IL-4)またはIL-4とは、成熟ヒトIL-4を指し得る。一部の実施形態において、成熟タンパク質とは、該タンパク質を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟IL-4とは、IL-4を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-4タンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟ヒトIL-4とは、ヒトIL-4を発現しかつ分泌するヒト細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-4タンパク質を指し得、通常、配列番号26に示されるヌクレオチドによってコードされるアミノ酸を含有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-4は、配列番号27を含むアミノ酸配列を有し得る。
【0089】
IL-4をコードするmRNAとは、153個のアミノ酸を有する、ヒトIL-4のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、または129個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-4をコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIL-4のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIL-4をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIL-4 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIL-4 mRNAを含み得る。
【0090】
一部の場合には、本明細書において使用されるインターロイキン2(IL-2)またはIL-2とは、ヒトIL-2の天然配列(Uniprotデータベース:P60568またはQ0GK43、およびGenbankデータベースにおける:NM_000586.3)、断片、またはその機能的バリアントを指し得る。ヒトIL-2をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIL-2の天然配列は、20個のアミノ酸(ヌクレオチド1~60)を有するシグナルペプチド、および133個のアミノ酸(ヌクレオチド61~459)を有する成熟ヒトIL-2からなり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、非修飾のIL-2シグナルペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-2シグナルペプチドである。一部の実施形態において、IL-2のシグナルペプチドは、配列番号112を含む配列を含み得る。一部の実施形態において、本明細書において使用されるインターロイキン2(IL-2)またはIL-2とは、成熟ヒトIL-2を指し得る。一部の実施形態において、成熟タンパク質とは、該タンパク質を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟IL-2とは、IL-2を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-2タンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟ヒトIL-2とは、ヒトIL-2を発現しかつ分泌するヒト細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-2タンパク質を指し得、通常、配列番号111に示されるヌクレオチドによってコードされるアミノ酸を含有する。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-2断片は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-2と比較して同様のまたはより低いレベルでIL-2活性を果たし得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-2断片は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-2と比較して同じレベルでIL-2活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-2バリアント、IL-2突然変異タンパク質、またはIL-2変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-2アミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態において、IL-2バリアント、IL-2突然変異タンパク質、またはIL-2変異体は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-2と比較して同様のまたはより低いレベルでIL-2活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-2バリアント、IL-2突然変異タンパク質、またはIL-2変異体は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-2と比較して同じレベルでIL-2活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-2バリアント、IL-2突然変異タンパク質、またはIL-2変異体は、野生型IL-2と比較してより高いレベルでIL-2活性を果たし得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-2は、配列番号109または110を含むアミノ酸配列を有し得る。一部の実施形態において、IL-2は、IL-2断片、IL-2バリアント、IL-2突然変異タンパク質、またはIL-2変異体を含み得る。
【0091】
IL-2をコードするmRNAとは、153個のアミノ酸を有する、ヒトIL-2のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、または133個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-2をコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIL-2のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIL-2をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIL-2 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIL-2 mRNAを含み得る。
【0092】
一部の場合には、本明細書において使用されるインターロイキン12(IL-12)またはIL-12とは、ヒトIL-12アルファの天然配列(Uniprotデータベース:P29459、およびGenbankデータベースにおける:NM_000882.3)、ヒトIL-12ベータの天然配列(Uniprotデータベース:P29460、およびGenbankデータベースにおける:NM_002187.2)、その断片、またはその機能的バリアントを指し得る。ヒトIL-12をコードする天然DNA配列は、コドン最適化され得る。ヒトIL-12アルファの天然配列は、配列番号116に示されるように、22個のアミノ酸を有するシグナルペプチド、および197個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-12からなり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、非修飾のIL-12アルファシグナルペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-12アルファシグナルペプチドである。ヒトIL-12ベータの天然配列は、配列番号119に示されるように、22個のアミノ酸を有するシグナルペプチド、および306個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-12からなり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、非修飾のIL-12ベータシグナルペプチドである。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-12ベータシグナルペプチドである。
【0093】
一部の実施形態において、本明細書において使用されるインターロイキン12(IL-12)またはIL-12とは、成熟ヒトIL-12アルファを指し得る。一部の実施形態において、本明細書において使用されるインターロイキン12(IL-12)またはIL-12とは、成熟ヒトIL-12ベータを指し得る。一部の実施形態において、成熟タンパク質とは、該タンパク質を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟IL-12とは、IL-12を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-12アルファタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟IL-12とは、IL-12を発現しかつ分泌する細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-12ベータタンパク質を指し得る。一部の実施形態において、成熟ヒトIL-12とは、ヒトIL-12を発現しかつ分泌するヒト細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-12アルファタンパク質を指し得、通常、配列番号118に示されるヌクレオチドによってコードされるアミノ酸を含有する。一部の実施形態において、成熟ヒトIL-12とは、ヒトIL-12を発現しかつ分泌するヒト細胞において、小胞体において合成され、ゴルジ装置を介して分泌されるIL-12ベータタンパク質を指し得、通常、配列番号121に示されるヌクレオチドによってコードされるアミノ酸を含有する。
【0094】
一部の実施形態において、IL-12アルファは、IL-12アルファ断片、IL-12アルファバリアント、IL-12アルファ突然変異タンパク質、またはIL-12アルファ変異体を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-12アルファ断片は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-12アルファと比較して同様のまたはより低いレベルでIL-12アルファ活性を果たし得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-12アルファ断片は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-12アルファと比較して同じレベルでIL-12アルファ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12アルファバリアント、IL-12アルファ突然変異タンパク質、またはIL-12アルファ変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-12アルファアミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態において、IL-12アルファバリアント、IL-12アルファ突然変異タンパク質、またはIL-12アルファ変異体は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-12アルファと比較して同様のまたはより低いレベルでIL-12アルファ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12アルファバリアント、IL-12アルファ突然変異タンパク質、またはIL-12アルファ変異体は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-12アルファと比較して同じレベルでIL-12アルファ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12アルファバリアント、IL-12アルファ突然変異タンパク質、またはIL-12アルファ変異体は、野生型IL-12アルファと比較してより高いレベルでIL-12アルファ活性を果たし得る。
【0095】
一部の実施形態において、IL-12ベータは、IL-12ベータ断片、IL-12ベータバリアント、IL-12ベータ突然変異タンパク質、またはIL-12ベータ変異体を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-12ベータ断片は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-12ベータと比較して同様のまたはより低いレベルでIL-12ベータ活性を果たし得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるIL-12ベータ断片は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型または完全長IL-12ベータと比較して同じレベルでIL-12ベータ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12ベータバリアント、IL-12ベータ突然変異タンパク質、またはIL-12ベータ変異体は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたIL-12ベータアミノ酸配列を含み得る。一部の実施形態において、IL-12ベータバリアント、IL-12ベータ突然変異タンパク質、またはIL-12ベータ変異体は、少なくとも部分的に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-12ベータと比較して同様のまたはより低いレベルでIL-12ベータ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12ベータバリアント、IL-12ベータ突然変異タンパク質、またはIL-12ベータ変異体は、完全に機能的であり得る、すなわち、野生型IL-12ベータと比較して同じレベルでIL-12ベータ活性を果たし得る。一部の実施形態において、IL-12ベータバリアント、IL-12ベータ突然変異タンパク質、またはIL-12ベータ変異体は、野生型IL-12ベータと比較してより高いレベルでIL-12ベータ活性を果たし得る。
【0096】
IL-12をコードするmRNAとは、219個のアミノ酸を有する、ヒトIL-12アルファのプロペプチドをコードするヌクレオチド配列、または197個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-12アルファをコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIL-12アルファのプロペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIL-12をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。IL-12をコードするmRNAとは、328個のアミノ酸を有する、ヒトIL-12ベータのプロペプチドをコードするヌクレオチド配列、または306個のアミノ酸を有する成熟ヒトIL-12ベータをコードするヌクレオチド配列を含むmRNAを指し得る。ヒトIL-12ベータのプロペプチドをコードするヌクレオチド配列、および成熟ヒトIL-12をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、1コピーのIL-12 mRNAを含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えRNAコンストラクトは、2コピー以上のIL-12 mRNAを含み得る。
【0097】
標的モチーフ
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。本明細書において使用される標的モチーフまたは標的化モチーフとは、細胞質またはサイトゾルを除いた、細胞膜、細胞外コンパートメント、または細胞内コンパートメントの任意の部分に運命付けられる、新たに合成されたポリペプチドまたはタンパク質に存在する任意の短いペプチドを指し得る。一部の実施形態において、ペプチドとは、典型的には、近接アミノ酸残基のα-アミノおよびカルボキシル基の間のペプチド結合によって、一方からもう一方に接続された一連のアミノ酸残基を指し得る。細胞内コンパートメントは、核、核小体、エンドソーム、プロテアソーム、リボソーム、染色質、核膜、核孔、エキソソーム、メラノソーム、ゴルジ装置、ペルオキシソーム、小胞体(ER)、リソソーム、中心体、微小管、ミトコンドリア、葉緑体、マイクロフィラメント、中間フィラメント、または原形質膜等の細胞内オルガネラを含むが、それらに限定されるわけではない。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、シグナル配列、標的化シグナル、局在化シグナル、局在化配列、輸送ペプチド、リーダー配列、またはリーダーペプチドと称され得る。一部の実施形態において、標的モチーフは、関心のある遺伝子をコードする核酸配列に動作可能に連結される。一部の実施形態において、「動作可能に連結された」という用語は、2種以上の核酸配列間の機能的関係性、例えば転写配列に対する転写制御配列またはシグナル配列の機能的関係性を指し得る。例えば、標的モチーフ、または標的モチーフをコードする核酸は、それが、コード配列によってコードされるポリペプチドを、細胞膜、細胞内、または細胞外コンパートメントに標的化することに関与するプレタンパク質として発現される場合、コード配列に動作可能に連結されている。例えば、シグナルペプチド、またはシグナルペプチドをコードする核酸は、それが、コード配列によってコードされるポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、コード配列に動作可能に連結されている。例えば、プロモーターは、それがコード配列の転写を刺激するまたはモジュレートする場合、動作可能に連結されている。標的モチーフの非限定的な例は、シグナルペプチド、核局在化シグナル(NLS)、核小体局在化シグナル(NoLS)、リソソーム標的化シグナル、ミトコンドリア標的化シグナル、ペルオキシソーム標的化シグナル、微小管先端局在化シグナル(MtLS)、エンドソーム標的化シグナル、葉緑体標的化シグナル、ゴルジ標的化シグナル、小胞体(ER)標的化シグナル、プロテアソーム標的化シグナル、膜標的化シグナル、膜貫通標的化シグナル、中心体局在化シグナル(CLS)、またはタンパク質を、細胞膜、細胞外コンパートメント、もしくは細胞内コンパートメントのある特定の部分に標的化する任意の他のシグナルを含む。
【0098】
シグナルペプチドとは、分泌経路へ運命付けられる、新たに合成されたタンパク質のN末端に存在する任意の短いペプチドである。本発明のシグナルペプチドは、10~40個のアミノ酸長であり得る。シグナルペプチドは、関心のあるタンパク質のN末端に、または関心のあるタンパク質のプロ-タンパク質形態のN末端に位置付けられ得る。シグナルペプチドは、真核生物起源のものであり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、哺乳動物タンパク質であり得る。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、ヒトタンパク質であり得る。一部の場合には、シグナルペプチドは、同種シグナルペプチド(すなわち、同じタンパク質由来)または異種シグナルペプチド(すなわち、異なるタンパク質由来または合成シグナルペプチド)であり得る。一部の場合には、シグナルペプチドは、タンパク質の天然に存在するシグナルペプチド、または改変されたシグナルペプチドであり得る。
【0099】
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的モチーフは、(a)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフ;(b)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、標的モチーフ;(c)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフ;(d)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、標的モチーフ;ならびに(e)天然には標的モチーフの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって任意選択で改変されている、天然に存在するアミノ酸配列、からなる群から選択され得る、組成物が本明細書において提供される。
【0100】
標的モチーフを含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、標的モチーフはシグナルペプチドである、組成物が本明細書において提供される。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、(a)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチド;(b)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドは、タンパク質が酸化還元酵素ではないという条件で、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、シグナルペプチド;(c)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチド;(d)関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドであって、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されている、シグナルペプチド;ならびに(e)天然にはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列であって、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって任意選択で改変されている、天然に存在するアミノ酸配列、からなる群から選択される。一部の場合には、シグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~9は、2より高い平均疎水性スコアを有する。
【0101】
一部の場合には、本明細書において使用される、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフ、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドとは、タンパク質の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドとは異なる、天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。例えば、標的モチーフまたはシグナルペプチドは、関心のある遺伝子に由来しない。通常、所与のタンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、所与のタンパク質とは関係しない別のタンパク質由来の標的モチーフまたはシグナルペプチドである。例えば、所与のタンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、所与のタンパク質の標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列と50%、60%、70%、80%、90%を上回って、または95%を上回って異なるアミノ酸配列を有する。異種配列は、同じ生物体に由来し得るものの、それらは、天然に(天然には)、同じmRNAに等、同じ核酸分子に存在しない。タンパク質とは異種の標的モチーフまたはシグナルペプチド、および標的モチーフまたはシグナルペプチドがそれに対して異種であるタンパク質は、同じまたは異なる起源のものであり得る。一部の実施形態において、それらは真核生物起源のものである。一部の実施形態において、それらは、同じ真核生物生物体のものである。一部の実施形態において、それらは哺乳動物起源のものである。一部の実施形態において、それらは、同じ哺乳動物生物体のものである。一部の実施形態において、それらはヒト起源である。例えば、RNAコンストラクトは、ヒトIL-4遺伝子、および別のヒトタンパク質のシグナルペプチドをコードする核酸配列を含み得る。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、タンパク質とは異種のシグナルペプチドを含み得、シグナルペプチドおよびタンパク質は、同じ起源のもの、すなわちヒト起源のものである。
【0102】
一部の場合には、本明細書において使用される、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフ、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドとは、タンパク質の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、それが天然に存在することから、タンパク質の遺伝子によってコードされる標的モチーフまたはシグナルペプチドである。タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、通常、真核生物起源のものである。一部の実施形態において、タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、哺乳動物起源のものである。一部の実施形態において、タンパク質と同種の標的モチーフまたはシグナルペプチドは、ヒト起源のものである。
【0103】
一部の場合には、本明細書において使用される、天然には標的モチーフの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列、または天然にはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列とは、天然に存在し、天然に存在するいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列とも同一でないアミノ酸配列を指し得る。天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、10~50個のアミノ酸長であり得る。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、真核生物起源のものであり、真核生物起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、哺乳動物起源のものであり、哺乳動物起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。一部の実施形態において、天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、ヒト起源のものであり、天然に存在するヒト起源のいかなる標的モチーフまたはシグナルペプチドとも同一でない。天然には標的モチーフまたはシグナルペプチドの機能を有しない天然に存在するアミノ酸配列は、通常、タンパク質のコード配列のアミノ酸配列である。本明細書において使用される「天然に存在する」、「天然の」、および「天然には」という用語は、等価の意味を有する。
【0104】
一部の場合には、本明細書において使用されるシグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~9とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の9個のアミノ酸を指し得る。類似的に、本明細書において使用されるシグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~7とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の7個のアミノ酸を指し得、シグナルペプチドのN末端のアミノ酸1~5とは、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の5個のアミノ酸を指し得る。
【0105】
一部の場合には、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変されたアミノ酸配列とは、アミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含むアミノ酸配列を指し得る。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質とは異種のシグナルペプチドは、本明細書において使用されるように、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含む、タンパク質とは異種の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列を指し得る。例えば、関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種の標的モチーフは、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、または関心のある遺伝子によってコードされるタンパク質と同種のシグナルペプチドは、本明細書において使用されるように、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/もしくは置換によって改変され、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含む、タンパク質と同種の天然に存在する標的モチーフまたはシグナルペプチドを指し得る。一部の実施形態において、天然に存在するアミノ酸配列は、少なくとも1つのアミノ酸の挿入、欠失、および/または置換によって改変され得、天然に存在するアミノ酸配列は、その天然に存在するアミノ酸配列内に少なくとも1つのアミノ酸のアミノ酸置換、挿入、および/または欠失を含み得る。アミノ酸置換または置換とは、別のアミノ酸での、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の置き換えを指し得る。例えば、置換R34Kとは、34位におけるアルギニン(ArgまたはR)がリジン(LysまたはK)で置き換えられているポリペプチドを指す。先行する例に関して、34Kは、リジン(LysまたはK)での、34位におけるアミノ酸の置換を示す。一部の実施形態において、複数の置換は、典型的にスラッシュによって分離される。例えば、R34K/L38Vとは、置換R34KおよびL38Vを含むバリアントを指す。アミノ酸挿入または挿入とは、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の付加を指し得る。例えば、挿入-34とは、34位における挿入を指定する。アミノ酸欠失または欠失とは、アミノ酸またはポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の除去を指し得る。例えば、R34-とは、34位におけるアルギニン(ArgまたはR)の欠失を指定する。
【0106】
一部の場合には、欠失したアミノ酸は、-0.8、-0.7、-0.6、-0.5、-0.4、-0.3、-0.2、-0.1、0、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8を下回る、または1.9を下回る疎水性スコアを有するアミノ酸である。一部の場合には、置換するアミノ酸は、置換されたアミノ酸の疎水性スコアよりも高い疎水性スコアを有するアミノ酸である。例えば、置換するアミノ酸は、2.8以上または3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。一部の場合には、挿入されたアミノ酸は、2.8以上または3.8以上の疎水性スコアを有するアミノ酸である。
【0107】
一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、1~7個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、アミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含まなくてもよい。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~30の中に、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~30の中に、1~9個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~20の中に、1~15個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載されるアミノ酸配列は、標的モチーフまたはシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~20の中に、1~9個のアミノ酸挿入、欠失、および/または置換を含み得る。一部の場合には、本明細書に記載されるアミノ酸配列の少なくとも1つのアミノ酸は、欠失および/または置換によって任意選択で改変され得る。
【0108】
一部の場合には、改変されたシグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端の最初の9個のアミノ酸の平均疎水性スコアは、改変なしのシグナルペプチドと比較して、1.0単位以上増加する。一部の場合には、疎水性(hydrophobic)スコアまたは疎水性(hydrophobicity)スコアは、本明細書においてハイドロパシースコアと同義的に使用され得、Kyte-Doolittle尺度に従って算出される、アミノ酸の疎水性の程度を指し得る(Kyte J.、Doolittle R.F.;J.Mol.Biol.157:105~132(1982))。Kyte-Doolittle尺度に従ったアミノ酸疎水性スコアは、以下のとおりである:
【0109】
【0110】
一部の場合には、アミノ酸配列の平均疎水性スコアは、アミノ酸の数で割った、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれについてのKyte-Doolittle尺度に従った疎水性スコアを足すことによって算出され得る。例えば、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均疎水性スコアは、9で割った、9個のアミノ酸のそれぞれについての疎水性スコアを足すことによって算出され得る。
【0111】
極性は、Zimmerman極性指数(Zimmerman J.M.、Eliezer N.、Simha R.;J.Theor.Biol.21:170~201(1968))に従って算出される。一部の実施形態において、アミノ酸配列の平均極性は、アミノ酸の数で割った、アミノ酸配列のアミノ酸のそれぞれについてのZimmerman極性指数に従って算出された極性値を足すことによって算出され得る。例えば、シグナルペプチドのアミノ酸配列のN末端のアミノ酸1~9の平均極性は、9で割った、N末端のアミノ酸1~9の9個のアミノ酸のそれぞれについての平均極性を足すことによって算出され得る。Zimmerman極性指数に従ったアミノ酸の極性は、以下のとおりである:
【0112】
【0113】
一部の場合には、インスリン様成長因子1(IGF-1)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IGF-1の天然に存在するシグナルペプチドは、UniprotデータベースにおいてP05019としてのおよびGenbankデータベースにおいてNM_001111285.3としてのIGF-1アミノ酸配列のアミノ酸1~20を指す。一部の場合には、IGF-1シグナルペプチドのアミノ酸配列は、G2L、K3-、S5L、T9L、Q10L、およびC15-からなる群から選択される1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得る。一部の実施形態において、野生型(WT)IGF-1シグナルペプチドアミノ酸配列は、配列番号46を含む配列を含む。一部の場合には、改変されたIGF-1シグナルペプチドは、配列番号42に示されるDNA配列によってコードされる配列番号41を含む配列を含むアミノ酸配列を有する。一部の場合には、改変されたIGF-1シグナルペプチドは、配列番号49に示されるDNA配列によってコードされる配列番号48を含む配列を含むアミノ酸配列を有する。
【0114】
配列番号41
Met-Leu-Ile-Leu-Leu-Leu-Pro-Leu-Leu-Leu-Phe-Lys-Cys-Phe-Cys-Asp-Phe-Leu-Lys
【0115】
配列番号42
ATGCTGATTCTGCTGCTGCCCCTGCTGCTGTTCAAGTGCTTCTGCGACTTCCTGAAA
【0116】
配列番号48
MTILFLTMVISYFGCMKA
【0117】
配列番号49
ATGACCATCCTGTTTCTGACAATGGTCATCAGCTACTTCGGCTGCATGAAGGCC
【0118】
一部の場合には、IGF-1のプロ-ペプチドは改変され得る。一部の実施形態において、天然にはシグナルペプチドの機能を有しない、IGF-1のプロ-ペプチドの天然に存在するアミノ酸配列(UniprotデータベースP05019として)は、プロ-ペプチドのN末端における隣接する22~31の10個のアミノ酸残基(VKMHTMSSSH(配列番号45))の欠失によって改変され、配列番号44に示されるDNA配列によってコードされる配列番号43に示されるアミノ酸配列を好ましくは有する。
【0119】
配列番号43
Met-Leu-Phe-Tyr-Leu-Ala-Leu-Cys-Leu-Leu-Thr-Phe-Thr-Ser-Ser-Ala-Thr-Ala
【0120】
配列番号44
ATGCTGTTCTATCTGGCCCTGTGCCTGCTGACCTTTACCAGCTCTGCTACCGCC
【0121】
一部の場合には、IGF-1のプロ-ペプチドをコードする核酸配列、および成熟IGF-1をコードする核酸配列を含むが、IGF-1のE-ペプチドをコードする核酸配列を含まないmRNAは、27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列を含むが、ヒトIGF-1のE-ペプチドをコードするヌクレオチド配列を含まない、すなわちEa-、Eb-、またはEc-ドメインをコードするヌクレオチド配列を含まないmRNAを指し得る。27個のアミノ酸を有する、ヒトIGF-1のプロ-ペプチドをコードするヌクレオチド配列、および70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1をコードするヌクレオチド配列は、コドン最適化され得る。
【0122】
一部の場合には、インターロイキン4(IL-4)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IL-4の天然に存在するシグナルペプチドは、UniprotデータベースにおいてP05112としてのおよびGenbankデータベースにおいてNM_000589.4としてのIL-4アミノ酸配列のアミノ酸1~24を指す。一部の場合には、IL-4シグナルペプチドのアミノ酸配列は、1種または複数のアミノ酸残基の1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得る。
【0123】
一部の場合には、インターロイキン2(IL-2)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IL-2の天然に存在するシグナルペプチドは、UniprotデータベースにおいてP60568またはQ0GK43としてのおよびGenbankデータベースにおいてNM_000586.3としてのIL-2アミノ酸配列のアミノ酸1~20を指す。一部の場合には、IL-2シグナルペプチドのアミノ酸配列は、Y2L、R3K、R3-、M4L、Q5L、S8L、S8A、-13A、L14T、L16A、V17-、およびV17Aからなる群から選択される1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得る。一部の場合には、野生型(WT)IL-2シグナルペプチドは、配列番号113を含むDNA配列によってコードされる。一部の場合には、改変されたIL-2シグナルペプチドは、配列番号112を含む配列を含むアミノ酸配列を有する。一部の場合には、改変されたIL-2シグナルペプチドは、配列番号114を含むDNA配列によってコードされる(Y2L/R3-/M4L/Q5L/S8A/-A13/L14T/L16AおよびV17A)。
【0124】
一部の場合には、インターロイキン12(IL-12)の天然に存在するシグナルペプチドは、1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得、IL-12の天然に存在するシグナルペプチドは、GenbankデータベースにおいてNM_000882.4としてのまたはGenbankデータベースにおいてNM_002187.2としてのIL-12アミノ酸配列のアミノ酸1~22を指す。一部の場合には、IL-12シグナルペプチドのアミノ酸配列は、1種または複数のアミノ酸残基の1つまたは複数の置換、欠失、および/または挿入によって改変され得る。
【0125】
発現ベクター、およびRNAコンストラクトの産生
本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを接続する、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、リンカーは、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から独立して選択される構造を有する。一部の場合には、リンカーは、ACAACAA(配列番号23)を含む配列を含み得る。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードするmRNAであり得る。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、標的RNAの発現をモジュレートする1種または複数の遺伝子エレメントを含み得る。一部の実施形態において、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、それぞれが標的RNAに結合し得る1種または複数のsiRNAを含み得る。例えば、関心のある遺伝子をコードするmRNAは、IL-4、IL-2、IL-12またはIGF-1のmRNAであり得る。例えば、標的RNAは、TNF-アルファmRNA、ALK2 mRNA、Turbo GFP mRNA、VEGFA mRNA、c-Myc mRNA、KRAS mRNA、Akt1 mRNA、Akt2 mRNA、またはAkt3 mRNAであり得る。
【0126】
関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、1、2、3、4、5種、またはそれより多くのsiRNA種をコードし得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、標的mRNAに向けられた1種のsiRNA種をコードし得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが標的mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得る。関連した態様において、siRNA種のそれぞれは、同じ配列、異なる配列、またはその組み合わせを含み得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが、標的mRNAの同じ領域または配列に向けられた3種のsiRNAをコードし得る。例えば、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、それぞれが、標的mRNAの異なる領域または配列に向けられた3種のsiRNAをコードし得る。一部の態様において、組み換えRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトは、3種のsiRNA種をコードし得、3種のsiRNA種のそれぞれは、異なる標的mRNAに向けられる。一部の実施形態において、標的mRNAは、TNF-アルファ、ALK2、Turbo GFP mRNA、VEGFA mRNA、c-Myc mRNA、KRAS mRNA、Akt1 mRNA、Akt2 mRNA、またはAkt3 mRNAであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号10~18および93~100からなる群から選択される配列を含み得る。
【0127】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトは、DNA鎖を化学合成することによる、PCRによる、またはギブソン・アセンブリ法による等、当技術分野において公知の任意の方法によって獲得され得る。化学合成、またはPCR法の組み合わせ、またはギブソン・アセンブリ法によってポリ核酸コンストラクトを構築する利点は、融合タンパク質が宿主細胞において高いレベルで発現されることを確実にするように、コドンが最適化され得ることである。コドン最適化とは、関心のある宿主細胞における発現のために、その宿主細胞の遺伝子においてより高頻度にまたは最も高頻度に使用されるコドンで、天然配列の少なくとも1種のコドン(例えば、1、2、3、4、5、10、15、20、25、50種より多くの、またはそれより多くのコドン)を置き換えることによって核酸配列を改変し、一方で天然アミノ酸配列を維持する過程を指し得る。コドン使用法の表は、例えば「Codon Usage Database」で容易に入手可能であり、これらの表は、いくつかのやり方で適応され得る。特定の宿主細胞における発現のために、Gene Forge(登録商標)(Aptagen、PA)およびGeneOptimizer(登録商標)(ThermoFischer、MA)等、特定の配列をコドン最適化するためのコンピューターアルゴリズムも入手可能である。獲得され次第、ポリヌクレオチドは適切なベクターに組み入れられ得る。本明細書において使用されるベクターとは、in vivoまたはin vitroにおける核酸の取り込み、増殖、発現、または伝達のための、天然に存在するまたは合成的に作出されたコンストラクト、例えばプラスミド、ミニサークル、ファージミド、コスミド、人工染色体/ミニ染色体、バクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、単純ヘルペスウイルス、バクテリオファージ等のウイルスを指し得る。ベクターを構築するために使用される方法は、当業者に周知であり、様々な刊行物に記載される。特に、プロモーター、エンハンサー、終結およびポリアデニル化シグナル、選択マーカー、複製の起点、ならびにスプライシングシグナル等の機能的および制御的成分の説明を含めた、適切なベクターを構築するための手法は、当業者に公知である。多様なベクターが当技術分野において周知であり、一部は、Agilent Technologies、Santa Clara、Calif.;Invitrogen、Carlsbad、Calif.;Promega、Madison、Wis.;Thermo Fisher Scientific;またはInvivogen、San Diego、Calif.等の会社から市販されている。in vitro転写のためのベクターの非限定的な例は、pT7CFE1-CHis、pMX(pMA-T、pMA-RQ、pMC、pMK、pMS、pMZ等)、pEVL、pSP73、pSP72、pSP64、およびpGEM(pGEM(登録商標)-4Z、pGEM(登録商標)-5Zf(+)、pGEM(登録商標)-11Zf(+)、pGEM(登録商標)-9Zf(-)、pGEM(登録商標)-3Zf(+/-)、pGEM(登録商標)-7Zf(+/-)等)を含む。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトはDNAであり得る。
【0128】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトは、環状または線状であり得る。例えば、環状ポリ核酸コンストラクトは、pMX、pMA-T、pMA-RQ、またはpT7CFE1-CHis等のベクターシステムを含み得る。例えば、線状ポリ核酸コンストラクトは、pEVL等の線状ベクター、または線状化ベクターを含み得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、プロモーターをさらに含み得る。一部の場合には、プロモーターは、第1のRNA配列および第2のRNA配列をコードする配列の上流またはそれに対して5’に存在し得る。プロモーターの非限定的な例は、T3、T7、SP6、P60、Syn5、およびKP34を含み得る。一部の場合には、本明細書において提供される組み換えポリ核酸コンストラクトは、TAATACGACTCACTATA(配列番号20)を含む配列を含むT7プロモーターを含み得る。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、コザック配列をコードする配列をさらに含む。コザック配列とは、タンパク質翻訳開始部位として機能する核酸配列モチーフを指し得る。コザック配列は、文献において、例えば本明細書における参照によりその全体として本明細書に組み入れられる、Kozak,M.、Gene 299(1-2):1~34によって詳細に記載される。一部の実施形態において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、GCCACC(配列番号19)を含む配列を含むコザック配列をコードする配列を含む。一部の場合には、本明細書に記載される組み換えポリ核酸コンストラクトは、コドン最適化されていてもよい。
【0129】
標的RNAに結合し得るsiRNAをコードする1種または複数の核酸配列と、関心のある遺伝子をコードする1種または複数の核酸配列とを含む、本明細書に記載されるRNAコンストラクトをコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物であって、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるイントロン配列の一部ではない、組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、関心のある遺伝子は、RNAスプライシングなしで発現される。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、標的mRNAのエクソンに結合する。一部の場合には、標的RNAに結合し得るsiRNAは、1種の標的RNAに特異的に結合する。一部の場合には、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号10~18および101~108からなる群から選択される配列を含む核酸配列を含み得る。
【0130】
本明細書に記載されるRNAコンストラクト組成物を産生する方法が本明細書において提供される。例えば、組み換えRNAコンストラクトは、RNAポリメラーゼに対するプロモーター、関心のある遺伝子をコードする少なくとも1種の核酸配列、標的mRNAに結合し得るsiRNAをコードする少なくとも1種の核酸配列、およびポリ(A)テールをコードする核酸配列、を含むポリ核酸コンストラクトからのin vitro転写によって産生され得る。in vitro転写反応は、RNAポリメラーゼ、ヌクレオチドトリホスフェートの混合物(NTP)、および/またはキャッピング酵素をさらに含み得る。in vitro転写を使用してRNAを産生すること、ならびに転写RNAを単離することおよび精製することについての詳細は、当技術分野において周知であり、例えばBeckert&Masquida((2011)Synthesis of RNA by In vitro Transcription.RNA.Methods in Molecular Biology(Methods and Protocols)、第703巻.Humana Press)に見出され得る。in vitro転写産物キットの非限定的なリストは、MEGAscript(商標)T3転写キット、MEGAscript T7キット、MEGAscript(商標)SP6転写キット、MAXIscript(商標)T3転写キット、MAXIscript(商標)T7転写キット、MAXIscript(商標)SP6転写キット、MAXIscript(商標)T7/T3転写キット、MAXIscript(商標)SP6/T7転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)T3転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)T7転写キット、mMESSAGE mMACHINE(商標)SP6転写キット、MEGAshortscript(商標)T7転写キット、HiScribe(商標)T7 High Yield RNA合成キット、HiScribe(商標)T7 In Vitro転写キット、AmpliScribe(商標)T7-Flash(商標)転写キット、AmpliScribe(商標)T7 High Yield転写キット、AmpliScribe(商標)T7-Flash(商標)ビオチン-RNA転写キット、T7転写キット、HighYield T7 RNA合成キット、DuraScribe(登録商標)T7転写キット等を含む。
【0131】
in vitro転写反応は、転写バッファーシステム、ヌクレオチドトリホスフェート(NTP)、およびRNase阻害剤をさらに含み得る。一部の実施形態において、転写バッファーシステムは、ジチオスレイトール(DTT)およびマグネシウムイオンを含み得る。NTPは、天然に存在するまたは天然に存在しない(修飾された)NTPであり得る。天然に存在しない(修飾された)NTPの非限定的な例は、N1-メチルシュードウリジン、シュードウリジン、N1-エチルシュードウリジン、N1-メトキシメチルシュードウリジン、N1-プロピルシュードウリジン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、5-メトキシウリジン、5-メチルウルジン(methylurdine)、5-カルボキシメチルエステルウリジン、5-ホルミルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-ブロモウリジン、5-ヨードウリジン、5,6-ジヒドロウリジン、6-アザウリジン、チエノウリジン、3-メチルウリジン、1-カルボキシメチル-シュードウリジン、4-チオ-1-メチル-シュードウリジン、2-チオ-1-メチル-シュードウリジン、ジヒドロウリジン、ジヒドロシュードウリジン、2-メトキシウリジン、2-メトキシ-4-チオ-ウリジン、4-メトキシ-シュードウリジン、4-メトキシ-2-チオ-シュードウリジン、5-メチルシチジン、5-メトキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-ホルミルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヨードシチジン、5-ブロモシチジン、2-チオシチジン、5-アザシチジン、シュードイソシチジン、3-メチル-シチジン、N4-アセチルシチジン、5-ホルミルシチジン、N4-メチルシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、1-メチル-シュードイソシチジン、4-メトキシ-シュードイソシチジン、および4-メトキシ-1-メチル-シュードイソシチジン、N1-メチルアデノシン、N6-メチルアデノシン、N6-メチル-2-アミノアデノシン、N6-イソペンテニルアデノシン、N6,N6-ジメチルアデノシン、7-メチルアデニン、2-メチルチオ-アデニン、ならびに2-メトキシ-アデニンを含む。DNA依存性RNAポリメラーゼの非限定的な例は、T3、T7、SP6、P60、Syn5、およびKP34 RNAポリメラーゼを含む。一部の実施形態において、RNAポリメラーゼは、T3 RNAポリメラーゼ、T7 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ、P60 RNAポリメラーゼ、Syn5 RNAポリメラーゼ、およびKP34 RNAポリメラーゼからなる群から選択される。
【0132】
本明細書に記載される転写RNAは、in vitro転写反応混合物から単離され得、精製され得る。例えば、転写RNAは、カラム精製を使用して単離され得、精製され得る。in vitro転写反応混合物から転写RNAを単離することおよび精製することについての詳細は、当技術分野において周知であり、任意の市販のキットが使用され得る。RNA精製キットの非限定的なリストは、MEGAclearキット、Monarch(登録商標)RNA Cleanupキット、EasyPure(登録商標)RNA精製キット、NucleoSpin(登録商標)RNA Clean-up等を含む。
【0133】
治療的適用
疾患または病状の治療において有用な組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、組成物は、疾患または病状を治療するまたは阻止するのに十分な量で存在するまたは投与される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。一部の態様において、それを必要とする対象における疾患または病状を治療する方法における使用のための、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、それを必要とする対象における疾患または病状を治療するための医薬の製造のための、本明細書に記載される組成物または薬学的組成物の使用が本明細書において提供される。一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患または病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、疾患または病状は、筋肉疾患または病状を含む。一部の実施形態において、筋肉疾患または病状は骨格筋障害を含む。一部の実施形態において、骨格筋障害は進行性骨化性線維異形成症(FOP)を含む。一部の実施形態において、疾患または病状はがんを含む。一部の実施形態において、がんは、膠芽細胞腫、ヒト舌扁平上皮癌、ヒト肺癌、またはヒト単球白血病を含む。第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結する、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト組成物が本明細書において提供される。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし得る。一部の実施形態において、関心のある遺伝子は、IL-4、IL-2、IL-12またはIGF-1を含み得る。一部の場合には、第1のRNA配列または第2のRNA配列は、本明細書に記載される疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、TNF-アルファmRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、ALK2 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、VEGFA mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、c-Myc mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、KRAS mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、Akt1 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、Akt2 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。一部の実施形態において、疾患または病状と関連した遺伝子の発現を低下させ得る遺伝子エレメントは、Akt3 mRNAまたは機能的バリアントを標的にするsiRNAを含み得る。
【0134】
本明細書に記載される任意の組み換えRNAコンストラクト組成物、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物も本明細書において提供される。薬学的組成物とは、それを必要とする対象に投与されるべき1種または複数の薬学的に許容される添加物と一緒に医薬品有効成分の治療的有効量を含む混合物または溶液を表し得る。「薬学的に許容される」という用語は、一般的に安全であり、非毒性であり、生物学的にもそれ以外の点でも非所望でなく、獣医学的ならびにヒト薬学的使用に許容される薬学的組成物を調製することにおいて有用である材料の性質を表す。「薬学的に許容される」という用語は、化合物の生物活性または特性を破棄せず、比較的非毒性である、担体または希釈剤等の材料を指し得る、すなわち、材料は、非所望の生物学的効果を引き起こすことなく、またはそれが含有される組成物の成分のいずれとも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。薬学的に許容される添加物とは、薬学的製品を製剤化することにおいて使用される崩壊剤、結合剤、充填剤、溶媒、バッファー、等張化剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤、担体、希釈剤、添加物、防腐剤、または潤滑剤等、治療活性を有せず、投与される対象に非毒性である、薬学的組成物における任意の薬学的に許容される構成成分を表し得る。薬学的組成物は、生物体への化合物の投与を促し得、薬学的に使用され得る調製物への活性化合物のプロセシングを促す1種または複数の薬学的に許容される不活性構成成分を使用して従来的様式で製剤化され得る。適正な製剤化は、選定される投与の経路に依存し、薬学的組成物の概要は、参照により本明細書に組み入れられる、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第19編(Easton、Pa.:Mack Publishing Company、1995);Hoover,John E.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、Mack Publishing Co.、Easton、Pennsylvania 1975;Liberman,H.A.およびLachman,L.編、Pharmaceutical Dosage Forms、Marcel Decker、New York、N.Y.、1980;ならびにPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7編(Lippincott Williams&Wilkins 1999)に見出され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、疾患組織または疾患細胞への注射のための水溶液に活性物質(例えば、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト)を溶解することによって製剤化され得る。一部の実施形態において、薬学的組成物は、疾患組織または疾患細胞への直接注射のための水溶液に活性物質(例えば、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクト)を溶解することによって製剤化され得る。
【0135】
本明細書に記載されるポリ核酸コンストラクトまたは組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物の治療的有効量を対象に投与することを含む、それを必要とする対象における疾患または病状を治療する方法も本明細書において提供される。本明細書において使用される「有効量」または「治療的有効量」という用語は、治療されている疾患または病状の症状の1つまたは複数をある程度軽減するであろう、投与されている薬剤または化合物の十分な量を指す;例えば、疾患の1つもしくは複数の兆候、症状、もしくは原因の低下および/もしくは緩和、または生物学的システムの任意の他の所望の変更。例えば、治療的使用のための「有効量」とは、1つまたは複数の病徴の臨床的に有意な減少を提供する薬剤の量であり得る。適当な「有効な」量は、個々の症例において、用量漸増調査等の手法を使用して判定され得る。
【0136】
本明細書において使用される「治療する」、「治療すること」、または「治療」という用語は、疾患もしくは病状の少なくとも1つの症状を緩和すること、鎮めること、もしくは改善すること、付加的な症状を阻止すること、疾患もしくは病状を阻害すること、例えば疾患もしくは病状の発症を停止させること、疾患もしくは病状を軽減すること、疾患もしくは病状の後退を引き起こすこと、疾患もしくは病状によって引き起こされた病状を軽減すること、または予防的にかつ/もしくは治療的に疾患もしくは病状の症状を食い止めることを含む。一部の実施形態において、疾患または病状を治療することは、疾患組織または疾患細胞のサイズを低下させることを含む。一部の実施形態において、対象における疾患または病状を治療することは、対象の生存期間を増加させることを含む。一部の実施形態において、疾患または病状を治療することは、疾患の重症度を低下させることもしくは改善すること、疾患の発生を遅延させること、疾患の進行を阻害すること、対象に対する入院期間もしくは入院期間の長さを低下させること、対象の生活の質を向上させること、疾患と関連した症状の数を低下させること、疾患と関連した症状の重症度を低下させることもしくは改善すること、疾患と関連した症状の継続期間を低下させること、疾患と関連した症状の再発を阻止すること、疾患の症状の発症もしくは発生を阻害すること、または疾患と関連した症状の進行を阻害することを含む。一部の実施形態において、がんを治療することは、腫瘍のサイズを低下させること、またはがんを有する患者の生存期間を増加させることを含む。
【0137】
一部の場合には、対象は哺乳動物を包含し得る。哺乳動物の例は、哺乳動物綱の任意のメンバー:ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、ならびに他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ等の家畜;ウサギ、イヌ、およびネコ等の家庭用動物;ラット、マウス、およびモルモット等のげっ歯類を含めた実験室用動物を含むが、それらに限定されるわけではない。一部の場合には、哺乳動物はヒトである。一部の場合には、対象は動物であり得る。一部の場合には、動物は、人間および非ヒト動物を含み得る。1つの実施形態において、非ヒト動物は、哺乳動物、例えばラットまたはマウス等のげっ歯類であり得る。別の実施形態において、非ヒト動物はマウスであり得る。一部の場合には、対象は哺乳動物である。一部の場合には、対象はヒトである。一部の場合には、対象は、成人、子ども、または幼児である。一部の場合には、対象は伴侶動物である。一部の場合には、対象は、ネコ、イヌ、またはげっ歯類である。一部の場合には、対象は、イヌまたはネコである。
【0138】
一部の態様において、関心のある遺伝子をコードするmRNA、および標的mRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的mRNAは、TNF-アルファ、ALK2、VEGFA、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、Akt3、またはその機能的バリアントのmRNAを含む。一部の実施形態において、関心のある遺伝子をコードするmRNAは、IGF-1またはその機能的バリアントをコードする。一部の実施形態において、関心のある遺伝子をコードするmRNAはサイトカインをコードする。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-4またはその機能的バリアントである。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-2またはその機能的バリアントである。一部の実施形態において、関心のある遺伝子をコードするmRNAはサイトカインをコードする。一部の実施形態において、サイトカインは、IL-12またはその機能的バリアントである。
【0139】
一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-4をコードするmRNA、およびTNF-アルファのmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IGF-1をコードするmRNA、およびALK2のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-2をコードするmRNA、およびVEGFAのmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-12をコードするmRNA、ならびにc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt2のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の態様において、対象における疾患または病状を治療する方法であって、方法は、IL-12をコードするmRNA、ならびにc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt2のmRNAに結合し得るsiRNAを含む、本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物または薬学的組成物を対象に投与することを含む、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、筋肉疾患もしくは病状、またはがんを含む。一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、または筋肉疾患もしくは病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、筋肉疾患または病状は骨格筋障害を含む。一部の実施形態において、骨格筋障害は進行性骨化性線維異形成症(FOP)を含む。一部の実施形態において、疾患または病状はがんを含む。一部の実施形態において、がんは、膠芽細胞腫、ヒト舌扁平上皮癌、ヒト肺癌、またはヒト単球白血病を含む。
【0140】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-4 mRNAと;(ii)TNF-アルファmRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、TNF-アルファmRNAに向けられた1種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号1、配列番号2、配列番号76または配列番号77(Cpd.1またはCpd.2)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号10または配列番号11(Cpd.1またはCpd.2)に明記される配列を含み得る。
【0141】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IGF-1 mRNAと;(ii)ALK2 mRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、ALK2 mRNAに向けられた1種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがALK2 mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号3、配列番号4、配列番号78、または配列番号79(Cpd.3またはCpd.4)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号12、または配列番号13(Cpd.3またはCpd.4)に明記される配列を含み得る。
【0142】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IGF-1 mRNAと;(ii)Turbo GFP mRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、Turbo GFP mRNAに向けられた1種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号80、配列番号81、配列番号82、配列番号83、または配列番号84(Cpd.5~Cpd.9)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号14、配列番号15、配列番号16、配列番号17、または配列番号18(Cpd.5~Cpd.9)に明記される配列を含み得る。
【0143】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-2 mRNAと;(ii)VEGFA mRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、VEGFA mRNAに向けられた1種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがVEGFA mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、または配列番号106(Cpd.10、Cpd.11、Cpd.12、Cpd.13、Cpd.14、またはCpd.15)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、または配列番号98(Cpd.10、Cpd.11、Cpd.12、Cpd.13、Cpd.14、またはCpd.15)に明記される配列を含み得る。
【0144】
一部の態様において、それを必要とする対象に投与される組成物または薬学的組成物は、(i)IL-12 mRNAと;(ii)c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに結合し得る少なくとも1種のsiRNAとを含む組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトを含む。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに向けられた1種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトまたはRNAコンストラクトは、それぞれがc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じであり得る、異なり得る、またはその組み合わせであり得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれが、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3 mRNAから選択される1種のmRNAに向けられた少なくとも3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれが、c-Myc、KRAS、pan-Akt(すなわち、Akt1、Akt2、およびAkt3に結合する)mRNAから選択される1種のmRNAに向けられた少なくとも3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号91、配列番号92、配列番号107、または配列番号108(Cpd.16またはCpd.17)に明記される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号100または配列番号101(Cpd.16またはCpd.17)に明記される配列を含み得る。
【0145】
本明細書に記載される組み換えRNAコンストラクト組成物は、併用療法として投与され得る。2種以上の治療剤または療法を用いた併用療法は、異なる作用のメカニズムによって働く薬剤および療法を使用し得る。異なる作用のメカニズムを有する薬剤または療法を使用した併用療法は、相加的なまたは相乗的な効果をもたらし得る。併用療法は、単剤療法において使用されるよりも低い用量の各薬剤を可能にし得、それによって、有毒な副作用を低下させかつ/または薬剤の治療指数を増加させる。併用療法は、耐性疾患細胞が生じるであろう可能性を減少させ得る。一部の場合には、併用療法は、免疫応答に影響を及ぼす(例えば、応答を増強するまたは活性化する)治療剤または療法、および疾患細胞に影響を及ぼす(例えば、阻害するまたは殺傷する)治療剤を含む。一部の場合には、併用療法は、(i)本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物;および(ii)本明細書に記載される疾患に対する、当技術分野において公知の1種または複数の付加的な療法を含み得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えRNA組成物または薬学的組成物は、併用療法のため1種または複数の付加的な療法の投与の前に、それと同時に、および/または後に、疾患または病状を有する対象に投与され得る。一部の実施形態において、1種または複数の付加的な療法は、1、2、3種、またはそれより多くの付加的な治療剤または療法を含み得る。
【0146】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物は、当技術分野において公知の任意の適切な方法を使用して対象に投与され得る。本発明における使用のための適切な製剤、および送達の方法は、当技術分野において一般的に周知である。例えば、本明細書に記載される組成物は、非経口的に、静脈内に、皮内に、筋肉内に、結腸に(colonically)、直腸に、または腹腔内に、を含めた、多様なやり方で対象に投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、対象の腹腔内注射、筋肉内注射、皮下注射、または静脈内注射によって投与される。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、非経口的に、静脈内に、筋肉内に、または経口的に投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、疾患組織または細胞への注射を介して投与され得る。一部の実施形態において、本明細書に記載される組成物は、疾患組織または細胞への注射のための水溶液として投与され得る。
【0147】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物のいずれかは、取扱説明書と一緒に提供され得る。取扱説明書は、本発明に従って本明細書に記載される疾患または障害(例えば、がん)をどのように治療する(または阻止する)のか、当業者または主治医のための手引きを含み得る。一部の実施形態において、取扱説明書は、それぞれ、本明細書に記載される送達/投与の様態、および送達/投与レジメンに関する手引き(例えば、送達/投与の経路、投薬量レジメン、送達/投与の時間、送達/投与の頻度等)を含み得る。一部の実施形態において、取扱説明書は、どのように本発明の組成物が投与されるもしくは注射されるべきであり、かつ/または投与もしくは注射のために調製されるかという説明書を含み得る。原則として、それぞれ送達/投与の様態および送達/投与レジメンに関して本明細書における他の箇所に記載されているものは、取扱説明書におけるそれぞれの説明書として含まれ得る。
【0148】
本明細書に記載される組成物および薬学的組成物は、遺伝子療法において使用され得る。ある特定の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、遺伝子療法ベクターにおいて細胞に送達され得る。遺伝子療法ベクターおよび遺伝子送達の方法は、当技術分野において周知である。これらの方法の非限定的な例は、細胞への送達後にエピソーム性または組み込み型ゲノムのいずれかを有する、DNAおよびRNAウイルスを含めたウイルスベクター送達システム、DNAプラスミド、ネイキッド核酸、および送達ビヒクルと複合した核酸を含めた非ウイルスベクター送達システム、トランスポゾンシステム(宿主ゲノムへの送達および組み込みのための;Moriarityら(2013)Nucleic Acids Res 41(8)、e92、Aronovichら、(2011)Hum.Mol.Genet.20(R1)、R14~R20)、レトロウイルス媒介性DNA移入(例えば、モロニーマウス白血病ウイルス、脾臓壊死ウイルス、レトロウイルス、例えばラウス肉腫ウイルス、ハーベイ肉腫ウイルス、トリ白血病ウイルス、テナガザル白血病ウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、アデノウイルス、骨髄増殖性肉腫ウイルス、および乳房腫瘍ウイルス;例えば、Kayら(1993)Science 262、117~119、Anderson(1992)Science 256、808~813を参照されたい)、ならびにアデノウイルス、ヘルペスウイルス、パルボウイルス、およびアデノ随伴ウイルスを含めたDNAウイルス媒介性DNA移入(例えば、Aliら(1994)Gene Therapy 1、367~384)を含む。ウイルスベクターは、アデノ随伴ウイルス、アデノウイルスウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、および単純ヘルペスウイルスベクターも含むが、それらに限定されるわけではない。宿主ゲノムへの組み込みの能力があるベクターは、レトロウイルスまたはレンチウイルスを含むが、それらに限定されるわけではない。
【0149】
一部の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、直接DNA移入を介して細胞に送達され得る(Wolffら(1990)Science 247、1465~1468)。組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、細胞を一時的に透過処理する、細胞膜の穏やかな機械的分断の後に細胞に送達され得る。そのような膜の穏やかな機械的分断は、小さな開口部を通じて細胞を優しく押し破ることによって遂行され得る(Shareiら、PLOS ONE(2015)10(4)、e0118803)。別の実施形態において、本明細書に記載される組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物は、リポソーム媒介性DNA移入を介して細胞に送達され得る(例えば、Gao&Huang(1991)Biochem.Ciophys.Res.Comm.179、280~285、Crystal(1995)Nature Med.1、15~17、Caplenら(1995)Nature Med.3、39~46)。リポソームは、閉鎖された脂質二重層または凝集体の生成によって形成される多様な単一のおよび多層状の脂質ビヒクルを包含し得る。組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、リポソームの水性内部にカプセル化され得る、リポソームの脂質二重層内に散在される、リポソームおよびオリゴヌクレオチドの両方と結び付いている連結分子を介してリポソームに付着される、リポソーム内に封入される、またはリポソームと複合され得る。
【0150】
遺伝子発現のモジュレーション
本明細書に記載される任意の組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを発現させる方法が本明細書において提供される。第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNAは、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列は、関心のある遺伝子をコードし;第2のRNA配列は、標的メッセンジャーRNA(mRNA)に結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なり、それによって、単一RNA転写産物からの標的mRNAおよび関心のある遺伝子の発現をモジュレートする、方法が本明細書においてさらに提供される。一部の場合には、本明細書において使用されるポリ核酸、遺伝子、DNA、またはRNAの発現とは、ポリ核酸、遺伝子、DNA、またはRNAの転写および/または翻訳を指し得る。一部の場合には、本明細書において使用される、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの発現をモジュレートすること、増加させること、上方調節すること、減少させること、または下方調節することは、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの転写および/または翻訳に影響を及ぼすことによって、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAによってコードされるタンパク質のレベルをモジュレートすること、増加させること、上方調節すること、減少させること、下方調節することを指し得る。一部の場合には、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの発現を阻害することは、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAによってコードされるタンパク質のレベルが低下するまたは消失するように、ポリ核酸、関心のある遺伝子等の遺伝子、DNA、または標的mRNA等のRNAの転写および/または翻訳に影響を及ぼすことを指し得る。
【0151】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配とを連結し、第1のRNA配列はIL-4をコードし、第2のRNA配列は、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのTNF-アルファmRNAおよびIL-4の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0152】
例えば、関心のある遺伝子をコードする第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列はIGF-1をコードし、第2のRNA配列は、ALK2 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのALK2 mRNAおよびIGF-1の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0153】
例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列はIGF-1をコードし、第2のRNA配列は、Turbo GFP mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのTurbo GFP mRNAおよびIGF-1の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0154】
例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列はIL-2をコードし、第2のRNA配列は、VEGFA mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのVEGFA mRNAおよびIL-2の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。
【0155】
例えば、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNA配列はIL-12をコードし、第2のRNA配列は、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし、それによって、単一RNA転写産物からのVEGFA mRNAおよびIL-12の発現をモジュレートする、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、それぞれがc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに結合し得る1種または複数の低分子干渉RNA(siRNA)をコードし得、それによって、単一RNA転写産物からのVEGFA mRNAおよびIL-12の発現をモジュレートする。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の低分子干渉RNA(siRNA)をコードし得、1種または複数のsiRNAのそれぞれは、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3 mRNAから選択される1種のmRNAに結合し得る。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、1種または複数の低分子干渉RNA(siRNA)をコードし得、1種または複数のsiRNAのそれぞれは、c-Myc、KRAS、pan-Akt(すなわち、Akt1、Akt2、およびAkt3に結合する)mRNAから選択される1種のmRNAに結合し得る。
【0156】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIL-4をコードし、第2のRNAは、TNF-アルファmRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IL-4およびTNF-アルファの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-4の発現は上方調節され、TNF-アルファの発現は同時に下方調節される、方法が本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTNF-アルファmRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号1、配列番号2、配列番号76、または配列番号77(Cpd.1またはCpd.2)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号10または配列番号11(Cpd.1またはCpd.2)を含む配列を含み得る。
【0157】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIGF-1をコードし、第2のRNAは、ALK2 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IGF-1およびALK2の発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IGF-1の発現は上方調節され、ALK2の発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがALK2 mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがALK2 mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号3、配列番号4、配列番号78または配列番号79(Cpd.3またはCpd.4)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号12または配列番号13(Cpd.3またはCpd.4)を含む配列を含み得る。
【0158】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIGF-1をコードし、第2のRNAは、Turbo GFP mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IGF-1およびTurbo GFPの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IGF-1の発現は上方調節され、同時に、Turbo GFPの発現は下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがTurbo GFP mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号5~9および80~84(Cpd.5~Cpd.9)からなる群から選択される配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号14~18(Cpd.5~Cpd.9)からなる群から選択される配列を含み得る。
【0159】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIL-2をコードし、第2のRNAは、VEGFA mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし:IL-2およびVEGFAの発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-2の発現は上方調節され、VEGFAの発現は同時に下方調節される、方法も本明細書において提供される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがVEGFA mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがVEGFA mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号85、配列番号86、配列番号87、配列番号88、配列番号89、配列番号90、配列番号101、配列番号102、配列番号103、配列番号104、配列番号105、または配列番号106(Cpd.10、Cpd.11、Cpd.12、Cpd.13、Cpd.14、またはCpd.15)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号93、配列番号94、配列番号95、配列番号96、配列番号97、または配列番号98(Cpd.10、Cpd.11、Cpd.12、Cpd.13、Cpd.14、またはCpd.15)を含む配列を含み得る。
【0160】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートする方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAはIL-12をコードし、第2のRNAは、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAに結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;IL-12、ならびにc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3の発現は同時にモジュレートされる、すなわち、IL-12の発現は上方調節され、同時に、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3の発現は下方調節される、方法も本明細書において提供される。一部の実施形態において、IL-12の発現は上方調節され、同時に、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3の発現は下方調節される。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、少なくとも1、2、3、4、5、6種、またはそれより多くのsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAの同じ領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれがc-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、および/またはAkt3 mRNAの異なる領域に向けられた3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、少なくとも3種のsiRNAのそれぞれは、同じもの、異なるもの、またはその組み合わせに向けられ得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれが、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3 mRNAから選択される1種のmRNAに向けられた少なくとも3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトは、それぞれが、c-Myc、KRAS、pan-Akt(すなわち、Akt1、Akt2、およびAkt3に結合する)mRNAから選択される1種のmRNAに向けられた少なくとも3種のsiRNAをコードし得るまたは含み得る。関連した態様において、組み換えRNAコンストラクトは、配列番号91、配列番号92、配列番号107、または配列番号108(Cpd.16またはCpd.17)を含む配列を含み得る。関連した態様において、組み換えポリ核酸コンストラクトは、配列番号100または配列番号101(Cpd.16またはCpd.17)を含む配列を含み得る。
【0161】
第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列をコードするまたは含む組み換えポリ核酸またはRNAコンストラクトを含む組成物を細胞に導入することを含む、細胞において2種以上の遺伝子の発現を上方調節するおよび下方調節する方法であって、リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、第1のRNAは、関心のある遺伝子(例えば、IL-4、IL-2、IL-12、またはIGF-1)をコードし、第2のRNAは、標的mRNA(例えば、TNF-アルファ、ALK2、Turbo GFP、VEGFA、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、またはAkt3)に結合し得る低分子干渉RNA(siRNA)をコードし;標的mRNAは、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAとは異なり、標的mRNAの発現は下方調節され、関心のある遺伝子の発現は同時に上方調節される、方法が本明細書において提供される。一部の実施形態において、標的mRNAの発現は、標的mRNAに結合し得るsiRNAによって下方調節される。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、関心のある遺伝子によってコードされるmRNAまたはタンパク質を発現させることによって上方調節される。
【0162】
例示的な実施形態
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、式(I):XmCAACAAXn[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、mは1~12の整数であり、nは0~4の整数である];および式(II):XpTCCCXr[式中、Xは任意のヌクレオチドであり、pは0~17の整数であり、rは0~13の整数である]からなる群から選択される構造を有する、組成物が本明細書において提供される。
【0163】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉RNA(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャーRNA(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、リンカーRNA配列は、ACAACAAを含むまたはそれからなる、組成物が本明細書において提供される。
【0164】
一部の態様において、第1のRNA配列、第2のRNA配列、およびリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、第1の低分子干渉(siRNA)配列であり;(ii)第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列、または関心のある遺伝子(GOI)をコードする第1のメッセンジャー(mRNA)配列であり;(iii)リンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列とを連結し、(a)リンカーRNA配列は、TTTATCTTAGAGGCATATCCCTACGTACCAACAAもしくはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAではないか;または(b)リンカーRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない、組成物が本明細書において提供される。
【0165】
一部の実施形態において、第2のRNA配列は、第2のsiRNA配列である。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAA、ATCCCTACGTACCAACAA、ACGTACCAACAA、TCCC、またはACAACAATCCCを含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、GOIをコードする第1のmRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、第2のRNA配列は、GOIをコードする第1のmRNA配列である。
【0166】
一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAATCCC、ATAGTGAGTCGTATTAACAACAA、ATAGTGAGTCGTATTAATCCCTACGTACCAACAA、またはATAGTGAGTCGTATTAACGTACCAACAAを含むまたはそれからなる。
【0167】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、GOIをコードする第2のmRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、第2のsiRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、第3のsiRNA配列を含む。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、4種、5種、またはそれより多くのsiRNA配列をさらに含む。一部の実施形態において、siRNA配列のそれぞれは、標的RNAに結合し、標的RNAの発現をモジュレートする。
【0168】
一部の実施形態において、siRNA配列のそれぞれは、(a)異なる標的RNA;(b)同じ標的RNAの異なる領域;(c)同じ標的RNAの同じ領域;または(d)その任意の組み合わせ、に結合し得る。一部の実施形態において、(c)のsiRNA配列は同じである。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、それぞれがGOIをコードする3種、4種、5種、またはそれより多くのmRNA配列を含む。一部の実施形態において、mRNA配列のそれぞれは、同じGOIをコードする。一部の実施形態において、mRNA配列のそれぞれは、異なるGOIをコードする。
【0169】
一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さは、約4~約27ヌクレオチドである。一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列の長さは、約4~約18ヌクレオチドである。一部の実施形態において、mは1であり、nは0である。一部の実施形態において、siRNA配列間のリンカーRNA配列は、ACAACAATCCCである。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、ACAACAAである。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号23および67~75からなる群から選択される配列を含む。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号23に従った配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号67に従った配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号68に従った配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号69に従った配列を含むまたはそれからなる。一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、配列番号70に従った配列を含むまたはそれからなる。
【0170】
一部の実施形態において、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現は、(i)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、(ii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、(iii)配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、および/または(iv)配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現と比較して、配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より低い。
【0171】
一部の実施形態において、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現は、(i)配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(ii)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(iii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、および/または(iv)配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現と比較して、配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より高い。
【0172】
一部の実施形態において、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現は、(i)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、(ii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、および/または(iii)配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現と比較して、配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より低い。
【0173】
一部の実施形態において、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現は、(i)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現、および/または(ii)配列番号70に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、siRNAによって標的にされる標的RNAの発現と比較して、配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より低い。
【0174】
一部の実施形態において、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現は、(i)配列番号67に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、(ii)配列番号68に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現、および/または(iii)配列番号69に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用した、GOIをコードする第1のmRNA配列の発現と比較して、配列番号23に従ったリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを使用して、より高い。
【0175】
一部の実施形態において、リンカーRNA配列は、GOIをコードする第1のmRNA配列の所望の発現レベル、および/またはsiRNAによって標的にされる標的RNAの所望の発現レベル、もしくはsiRNAによって標的にされる標的RNAによってコードされるタンパク質の所望の発現レベルに基づいて選択される。
【0176】
一部の実施形態において、GOIの発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、GOIの発現は、GOIによってコードされるタンパク質を発現させることによって上方調節される。一部の実施形態において、標的RNAの発現はモジュレートされる。一部の実施形態において、標的RNAの発現は、標的RNAに結合し得るsiRNA配列によって下方調節される。一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNA配列は、GOIの発現を阻害しない。
【0177】
一部の実施形態において、siRNA配列間のRNAリンカー配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成しない。一部の実施形態において、siRNA配列は、RNAfoldウェブサーバーに従った二次構造を形成する。一部の実施形態において、siRNA配列は、ヘアピン構造またはループ構造を含む。一部の実施形態において、siRNA配列は、1つまたは複数の短いまたは低分子ヘアピンRNA(shRNA)を含む。
【0178】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、細胞内タンパク質によって切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、内因性タンパク質によって切断される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトは、内因性DICERによって切断される。
【0179】
一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。一部の実施形態において、組み換えRNAコンストラクトの切断は、二次構造を形成するリンカーを含むRNAコンストラクトの切断と比較して増強される。
【0180】
一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、式(I)および式(II)からなる群から選択される構造を有するリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。一部の実施形態において、関心のある遺伝子の発現は、ACAACAAを含む配列を含むリンカーを含まないRNAコンストラクトからの関心のある遺伝子の発現と比較して増強される。
【0181】
一部の実施形態において、GOIは、インターロイキン4(IL-4)、インターロイキン2(IL-2)、インターロイキン12(IL-12)、またはインスリン様成長因子1(IGF1)を含む。一部の実施形態において、標的RNAはノンコーディングRNAである。一部の実施形態において、標的RNAはメッセンジャーRNA(mRNA)である。一部の実施形態において、標的RNAは、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)、血管内皮増殖因子A(VEGFA)、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、およびAkt3からなる群から選択されるタンパク質をコードするmRNAである。
【0182】
一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNA配列は、標的RNAのエクソンに結合する。一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNA配列は、1種の標的RNAに特異的に結合する。一部の実施形態において、標的RNAに結合し得るsiRNA配列は、関心のある遺伝子のイントロン配列によってコードされないまたはそれから構成されない。一部の実施形態において、GOIは、RNAスプライシングなしで発現される。
【0183】
一部の実施形態において、第1のRNA配列は、第2のRNA配列の下流または3’に存在する。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、第2のRNA配列の下流または3’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、第1のRNA配列のすぐ上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。一部の実施形態において、第1のRNA配列は、第2のRNA配列の上流または5’に存在する。一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、第1のRNA配列の上流または5’に内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。
【0184】
一部の実施形態において、RNAコンストラクトは、ポリ(A)テール、5’キャップ、またはコザック配列をさらに含む。一部の実施形態において、第1のRNA配列および第2のRNA配列は、両方とも組み換えである。一部の実施形態において、siRNAは、配列番号50~57および127~132からなる群から選択されるセンス鎖配列を含む。
【0185】
一部の態様において、細胞において2種以上の遺伝子の発現をモジュレートすることにおける使用のための組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種の治療的有効量、および薬学的に許容される添加物を含む薬学的組成物が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種を含む細胞が本明細書において提供される。一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種をコードする組み換えポリ核酸コンストラクトを含むベクターが本明細書において提供される。
【0186】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターを細胞に導入することを含む、細胞において単一RNA転写産物からsiRNAおよびmRNAを産生する方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少する、タンパク質発現をモジュレートする方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、タンパク質発現をモジュレートする方法が本明細書において提供される。一部の態様において、細胞に、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載されるベクターのいずれか1種を導入することを含む、タンパク質発現をモジュレートする方法であって、標的RNAによってコードされるタンパク質の発現は減少し、関心のある遺伝子(GOI)によってコードされるタンパク質の発現は増加する、タンパク質発現をモジュレートする方法が本明細書において提供される。
【0187】
一部の態様において、本明細書に記載される組成物のいずれか1種、または本明細書に記載される薬学的組成物のいずれか1種をそれを必要とする対象に投与することを含む、疾患または病状を治療する方法が本明細書において提供される。
【0188】
一部の実施形態において、疾患または病状は、皮膚疾患もしくは病状、または筋肉疾患もしくは病状を含む。一部の実施形態において、皮膚疾患または病状は炎症性皮膚障害を含む。一部の実施形態において、炎症性皮膚障害は乾癬を含む。一部の実施形態において、筋肉疾患または病状は骨格筋障害を含む。一部の実施形態において、骨格筋障害は進行性骨化性線維異形成症(FOP)を含む。一部の実施形態において、疾患または病状はがんを含む。一部の実施形態において、がんは、膠芽細胞腫、ヒト舌扁平上皮癌、ヒト肺癌、またはヒト単球白血病を含む。一部の実施形態において、対象はヒトである。
【0189】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン4(IL-4)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0190】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インスリン様成長因子1(IGF1)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、アクチビン受容体様キナーゼ2(ALK2)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0191】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン2(IL-2)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、血管内皮増殖因子A(VEGFA)mRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23および67~70からなる群から選択される配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0192】
一部の態様において、第1のRNA配列、第1のリンカーRNA配列、第2のRNA配列、および第2のリンカーRNA配列を含む組み換えRNAコンストラクトを含む組成物であって、(i)第1のRNA配列は、インターロイキン12(IL-12)をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)であり;(ii)第2のRNA配列は、細胞骨髄球腫症(c-Myc)、カーステンラット肉腫(KRAS)、プロテインキナーゼB-1(Akt1)、Akt2、および/またはAkt3のmRNAに結合し得る2種以上の低分子干渉RNA(siRNA)を含み;(iii)第1のリンカーRNA配列は、第1のRNA配列と第2のRNA配列との間に存在し;(iv)第2のリンカーRNA配列は、2種以上のsiRNAのそれぞれを連結し、配列番号23に従った配列を含む、組成物が本明細書において提供される。
【0193】
一部の態様において、配列番号1~18および76~108からなる群から選択される核酸配列を含む組み換えポリ核酸コンストラクトを含む組成物が本明細書において提供される。
【実施例】
【0194】
これらの実施例は、例示的目的のためのみに提供されるものであり、本明細書において提供される特許請求の範囲を限定するものではない。
【0195】
実施例1:コンストラクト設計、配列、および合成
【0196】
コンストラクト設計
【0197】
in vitro転写によって生成された単一転写産物からsiRNAおよび関心のある遺伝子の両方を同時に発現するように、コンストラクトを設計した(表1;配列番号1~9および76~84)。IL-4およびIGF-1コード配列は、ホモサピエンス(Homo sapiens)を起源とし、結果として生じるアミノ酸配列の変化は、IL-4(hIL4:NP_000580.1;配列番号26および27)に対して導入されなかった。トランスフェクトされた細胞からのmRNA誘導性IGF-1(NP_000609.1)の分泌を増加させるために、内因性のIGF-1プレ-ドメイン(シグナルペプチド;配列番号28および29)を、mRNAコンストラクトにおいて、BDNF(NP_733931.1;配列番号30および31)シグナルペプチド(BDNF-プロ-IGF-1)によって交換した。さらに、コンストラクトは、70個のアミノ酸を有する成熟ヒトIGF-1の全コード配列をコードする配列を含有した(配列番号30および31)。C末端E-ドメインは、コンストラクトに付加されなかった。TNF-アルファ(NM_000594.3;配列番号32)およびALK2(NM_001105.4;配列番号33)に対するsiRNA標的配列は、ホモサピエンス(Homo sapiens)を起源とし、配列の変化は導入されなかった。Turbo GFP配列は、海生カイアシ類ポンテリーナ・プルマーテ(Pontellina plumate)に由来した(配列番号34)。
【0198】
ポリ核酸コンストラクトは、コザック配列(5’GCCACC3’;配列番号19)を含み得る。加えて、ポリ核酸コンストラクトは、RNAポリメラーゼ結合、ならびに単一転写産物における関心のある遺伝子およびsiRNAの両方のin vitro転写の成功のために、関心のある遺伝子配列の上流にT7プロモーター配列(5’TAATACGACTCACTATA3’;配列番号20)を含み得る。代替的プロモーター、例えばSP6、T3、P60、Syn5、およびKP34が使用され得る。T7プロモーター、関心のある遺伝子、およびsiRNA配列に隣接するように設計されたプライマーを使用して、転写鋳型をPCRによって生成して、mRNAを産生した。リバースプライマーは、mRNAに120bp長のポリ(A)テールを付加するために、一続きのチミジン(T)塩基(120)を含む。ポリヌクレオチドまたはRNAコンストラクトの一部は、Chengら(2018)J.Mater.Chem.B.、6、4638~4644に記載されるsiRNA設計を含むように操作され、以降A1-リンカーと称される、異なるRNAセグメントを接続する(関心のある遺伝子mRNAをsiRNAに(配列番号21)、またはsiRNAをsiRNAに(配列番号22))リンカーとともに、siRNA配列の上流に関心のある1種または複数の遺伝子をさらに含む。一部のコンストラクトにおいて、以降A2-リンカー(配列番号23)と称される、異なるRNAセグメントを接続する(例えば、関心のある遺伝子をコードするmRNAとsiRNAとを接続する、およびsiRNAとsiRNAとを接続する)ように、新規のリンカー配列を設計した。組み換えコンストラクトは、同じまたは異なる標的mRNAを標的にする1種より多くのsiRNA配列をコードし得るまたは含み得る。同じように、コンストラクトは、関心のある2種以上の遺伝子の核酸配列を含み得る。
【0199】
コンストラクト合成
【0200】
表1に示されるコンストラクト(化合物ID番号Cpd.1~Cpd.17)を、GeneOptimizerアルゴリズムを使用して、オープンリーディングフレーム(ORF)に対するコドン最適化を用いて、T7 RNAポリメラーゼプロモーターを含有する、GeneArt、Germany(Thermo Fisher Scientific)によるpMA-RQプラスミド骨格ベクターにおいて、またはGeneWiz、ChinaによるpUC-GW-Kan骨格ベクターにおいて合成する。表1は、各化合物(Cpd.)に関して、相当するmRNA(siRNA標的)へのsiRNA結合により下方調節される対象となるタンパク質、化合物におけるsiRNA位置、化合物におけるsiRNAの数、関心のある遺伝子、およびそれぞれの適応症を示している。各コンストラクトの配列は表2および表6に示されており、表の下に示されるように注釈を付されている(配列番号1~9、85~92、76~84、および85~92)。各コンストラクトのプラスミド骨格配列は表3に示されており、化合物配列は、太字でかつ下線が引かれている(配列番号10~18および93~100)。
【0201】
【0202】
【0203】
【0204】
実施例2:RNAコンストラクトのin vitro転写およびデータ分析
【0205】
Cpd.1~Cpd.17をコードするpMA-RQ/pUC-GW-Kanベクターを使用して、PCRベースのin vitro転写を行ってRNAコンストラクトを産生した。表4におけるフォワードおよびリバースプライマー(配列番号24および25)を使用したPCRによって、転写鋳型を生成した。120bpポリ(A)テールをもたらす鋳型において、ポリ(A)テールをコードした。siRNA隣接領域のそれぞれの配列を考慮して、最適化を必要に応じて行って特異的増幅を達成した。最適化は、1)ベクターのプラスミドDNAの量を減少させること、2)DNAポリメラーゼを変化させること(Q5ホットスタートポリメラーゼ、New England Biolabs)、3)PCRの各サイクルに対して、変性時間(30秒間から10秒間へ)および伸長時間(45秒間/kbから10秒間/kbへ)を低下させること、4)PCRの各サイクルに対して、アニーリングを増加させること(10秒間から30秒間へ)、ならびに5)PCRの各サイクルに対して、最終伸長時間を増加させること(最高15分間まで)を含む。加えて、非特異的プライマー結合を回避するために、融解試薬を含めた、PCR反応混合物を氷上で調製し、PCRサイクルの数を25回に低下させた。
【0206】
in vitro転写に関しては、T7 RNAポリメラーゼ(MEGAscriptキット、Thermo Fisher Scientific)を37℃で2時間使用した。合成されたRNAを、100%N1-メチルシュード-UTPを用いて化学修飾して、5’末端でアンチリバースCAPアナログ(ARCA;[m2
7,3’-OG(5’)ppp(5’)G])を用いて共転写的にキャッピングした(Jena Bioscience)。免疫原性を測定する非修飾のRNAを作出するために、N1-メチルシュード-UTPの代わりに標準dUTPを使用した。in vitro転写の後、RNAコンストラクトを、MEGAclearキット(Thermo Fisher Scientific)を使用してカラム精製し、Nanophotometer-N60(Implen)を使用して定量した。
【0207】
【0208】
in vitro転写を使用して、Cpd.1~Cpd.17をRNAコンストラクト(200~500μg)として作出し、IL-4、IGF1、IL-2、およびIL-12発現、ならびにTNF-アルファ、ALK2、Turbo-GFP、VEGFA、c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3下方調節と並行したIL-4、IGF1、IL-2、およびIL-12過剰発現のコンビナトリアル効果について、下で指定される様々なin vitroモデルにおいて試験した。
【0209】
コンストラクトの分子量の判定を、以下のように実施した。各配列に存在する各塩基(A、C、G、T、またはN1-UTP)の総数を判定し、該数にそれぞれの分子量(例えば、A:347.2g/mol;C 323.2g/mol;G 363.2g/mol;N1-UTP:338.2g/mol)を掛けることによって、各コンストラクトの分子量を各配列から判定した。各塩基に対して獲得された全重量と817.4g/molのARCA分子量との合計によって、分子量を判定した。各コンストラクトの分子量を使用して、ナノモル(nM)濃度まで、各ウェルにおけるトランスフェクションに使用されるRNAの量を算出した。
【0210】
データを、GraphPad Prism 8(San Diego、USA)を使用して分析した。標準物質または試料におけるELISAを使用したタンパク質レベルの推定に関しては、ブランクの平均吸収度値を、標準物質または試料の平均吸収度から差し引いた。メーカーのプロトコールに従って4パラメーター非線形回帰を使用して、標準曲線を作出しかつプロットした。各試料におけるタンパク質の濃度を判定するために、種々のタンパク質の濃度を標準曲線から内挿した。試料の最終タンパク質濃度を、希釈係数での掛け算によって算出した。統計分析を、スチューデントt検定または一方向ANOVA、それに続くダネットの多重比較検定を使用することによって行った。
【0211】
実施例3:THP-1細胞のin vitroトランスフェクション、およびTHP-1細胞における内因性のTNF-アルファ発現モデル
【0212】
THP-1細胞のin vitroトランスフェクション
【0213】
ヒト単球白血病細胞株THP-1(Sigma-Aldrich、カタログ#88081201)を、成長培地(10%FBSおよび2mMグルタミンを補給されたRPMI 1640)中で維持した。細胞を、トランスフェクションの72時間前に、96ウェル細胞培養プレートに30,000個のTHP-1細胞で播種し、成長培地に希釈された50nMのホルボール12-ミリステート13-アセテート(PMA)(Sigma-Aldrich、カタログ#P8139)で活性化した。細胞に、Lipofectamine 2000(Thermo Fisher Scientific)を使用して、特異的RNAコンストラクト(600ng/ウェル)およびスクランブルsiRNA(600ng/ウェル;Sigma、カタログ#SIC002)をトランスフェクトした。100μlのDMEMを各ウェルから除去し、50μlのOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)、ならびにOpti-MEM中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。5時間後、培地を、50nM PMAを補給された新鮮な成長培地で置き換え、プレートを、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。
【0214】
THP-1細胞における内因性のTNF-アルファ発現モデル
【0215】
THP-1細胞におけるTNF-アルファの内因性の分泌に関しては、THP-1細胞を、1μg/mL最終濃度のR848(TLR7/8アゴニスト;Invivogen)とともに、10μg/mL最終濃度の大腸菌由来リポ多糖類(LPS-L4391;Sigma Aldrich)で刺激し、90分間インキュベートした。TNF-アルファの誘導性産生は、乾癬において観察される生理的条件に相当する。刺激の後、50μlの培地を除去し、Opti-MEM中にLipofectamine 2000と複合した特異的RNAコンストラクト(Cpd.1およびCpd.2)を含有するトランスフェクション複合体で置き換え、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。トランスフェクションの後、細胞培養上清を回収し、ELISAによってTNF-アルファ(下方調節する標的遺伝子)およびIL-4(過剰発現する関心のある遺伝子)について定量した。トランスフェクトされていないが刺激された試料におけるTNF-アルファレベルを、コントロールとして使用し、100%に設定し、TNF-アルファノックダウンのパーセントを算出した。
【0216】
結果
【0217】
TNF-アルファの下方調節における、Cpd.1(A1-リンカーとともに、3’においてTNF-アルファを標的にする3×siRNA、およびIL-4コード配列を含む)およびCpd.2(A2-リンカーとともに、3’においてTNF-アルファを標的にする3×siRNA、およびIL-4コード配列を含む)の効果を、内因性のTNF-アルファ分泌を誘導するために10μg/mL LPSおよび1μg/mL R848で刺激されたTHP-1細胞において評価した。確立されたTHP-1モデルは、乾癬の生理的免疫条件を模倣する。
図2Aにおいて実証されるように、Cpd.1およびCpd.2は、THP-1細胞において内因性のTNF-アルファ発現の発現(>80%)を下方調節した(P<0.001)。同じ細胞培養上清をIL-4発現について測定し、IL-4発現が損なわれないことを確認した(
図2B)。
図2Bに示されるように、Cpd.2によるIL-4発現のレベルは、Cpd.1によるIL-4発現のレベルよりも2.5倍高いことが認められる(P<0.01)。
【0218】
実施例4:HEK-293のin vitroトランスフェクション、およびHEK-293細胞におけるTNF-アルファ過剰発現モデル
【0219】
HEK-293細胞のin vitroトランスフェクション
【0220】
ヒト胎児性腎細胞293(HEK-293;ATCC CRL-1573)を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)およびペニシリン-ストレプトマイシン-アンホテリシンB混合物(882087、Biozym Scientific)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Biochrom)中で維持した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに20,000個細胞/ウェルで播種し、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<60%の培養密度に達するように、抗生物質なしで10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。その後、HEK-293細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して、様々な濃度(600~1500ng)を有する特異的RNAコンストラクト(TNF-アルファmRNA、Cpd.1、またはCpd.2)をトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。5時間後、培地を新鮮な培地によって置き換え、プレートを、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。
【0221】
HEK-293細胞におけるTNF-アルファ過剰発現モデル
【0222】
HEK-293細胞におけるCpd.1およびCpd.2についてのTNF-アルファRNA干渉(RNAi)およびIL-4発現の同時効果を査定するために、TNF-アルファmRNAトランスフェクション(600ng/ウェル)を使用して、TNF-アルファ過剰発現モデルを確立した。TNF-アルファ下方調節および同時IL-4発現における、TNF-アルファ標的化siRNAを含有するCpd.1およびCpd.2の能力を査定するために、細胞に、Cpd.1およびCpd.2(900ng/ウェル)、ならびにTNF-アルファmRNA(600ng/ウェル)をコトランスフェクトした。トランスフェクションの後、細胞を、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートし、その後に、同じ細胞培養上清における、ELISAによるTNF-アルファ(下方調節する標的遺伝子)およびIL-4(過剰発現する関心のある遺伝子)の定量が続いた。トランスフェクトされていない試料におけるTNF-アルファレベルを、コントロールとして使用し、100%に設定し、TNF-アルファノックダウンのパーセントを算出した。
【0223】
結果
【0224】
それぞれA1-リンカーまたはA2-リンカーのいずれかを有する、TNF-アルファ標的化siRNAおよびIL-4タンパク質コード配列を含むCpd.1およびCpd.2を、外因的に送達されたTNF-アルファmRNA(600ng/ウェル)を有するHEK-293細胞において、同時のTNF-アルファ下方調節およびIL-4発現について試験した(900ng/ウェル)。
図3Aに示されるように、Cpd.1およびCpd.2の両方とも、未処理のコントロールと比較して、TNF-アルファレベルを最高80%下方調節した(P<0.01)。加えて、
図3Bに示されるように、Cpd.2によるIL-4発現のレベルは、Cpd.1によるIL-4発現のレベルよりも1.6倍高かった(P<0.05)。
【0225】
実施例5:A549細胞のin vitroトランスフェクション、およびA549細胞における内因性のALK2発現モデル
【0226】
A549細胞のin vitroトランスフェクション
【0227】
A549細胞は、ヒト肺癌に由来する典型的な肺胞II型(ATII)細胞である。A549細胞は、内因性のALK2 RNA転写産物(進行性骨化性線維異形成症、FOPに対する治療標的)を中程度のレベルで発現することから、A549細胞を使用して、IGF-1発現を測定することと並行して、ALK2 mRNAを分解することにおけるCpd.3およびCpd.4の効果を調査した。A549細胞(Sigma-Aldrich、Buchs Switzerland、カタログ#6012804)を、10%FBS(Thermo Fisher Scientific、Basel、Switzerland;カタログ#10500-064)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地高グルコース(DMEM、Sigma-Aldrich、Buchs Switzerland、カタログ#D0822)で維持した。Cpd.3およびCpd.4活性を査定するために、トランスフェクションの24時間前に、A549細胞を常用成長培地に10,000個細胞/ウェルの密度で播いた。その後、細胞に、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(www.invitrogen.com)を使用して、漸増濃度のCpd.3およびCpd.4(0.65、1.33、2.7、5.4、および10.8nM)をトランスフェクトした。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM(www.thermofisher.com)を各ウェルに添加し、その後にOpti-MEM中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体が続いた。5時間のインキュベーションの後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートし、その後に、ELISAによるIGF-1定量、ならびにSYBR 1-Step Cells to CTキット(Thermo Fisher Scientific、Basel、Switzerland;カタログ#A25599)を使用した、ヒトALK2 mRNAを標的にするプライマー(フォワードプライマー:5’-GACGTGGAGTATGGCACTATCG-3’、およびリバースプライマー:5’-CACTCCAACAGTGTAATCTGGCG-3’;それぞれ配列番号35および36)を用いたqPCRを使用した相対的定量によるALK2 mRNAが続いた。ヒト18S rRNAを参照コントロールとして使用した(フォワードプライマー:5’-ACCCGTTGAACCCCATTCGTGA-3’、およびリバースプライマー:5’-GCCTCACTAAACCATCCAATCGG-3’;それぞれ配列番号37および38)。
【0228】
結果
【0229】
用量応答結果は、A549細胞において、IGF-1発現に対するCpd.4におけるA2-リンカーの効果が、Cpd.3におけるA1-リンカーよりも有意に高いことを示した(
図4A;P<0.001)。同じ細胞培養溶解物において、残存ALK-2発現に対するCpd.3およびCpd.4のRNA干渉を、相対的定量によって査定した。
図4Bにおいて実証されるように、Cpd.3およびCpd.4の両方とも、内因性のALK2 RNA転写産物発現を最高75%等しく下方調節した。
【0230】
1.33nM/ウェルに関する12個の複製物を用いたA549細胞における分析において、Cpd.4処理細胞は、Cpd.3と比較して、1.5倍高いIGF-1発現および分泌を示した(
図4D、P<0.001)。別の細胞タイプにおけるIGF-1発現におけるA2-リンカーの効果を確認するために、同じ実験(1.33nM/ウェル、12個の複製物)を、実施例4に記載されるようにHEK293細胞において行った。結果は、Cpd.4で処理された細胞からのIGF-1発現および分泌のレベルが、Cpd.3によるものよりも1.8倍高いことを示している(
図4C、P<0.05)。
【0231】
実施例6:SCC-4細胞のin vitroトランスフェクション、ならびにTurbo GFP過剰発現モデルにおけるSCC-4細胞におけるIGF1分泌およびTurbo GFP下方調節のコンビナトリアル効果
【0232】
SCC-4細胞のin vitroトランスフェクション
【0233】
ヒト舌扁平上皮癌(SCC-4;Sigma、カタログ#89062002 CRL-1573)細胞を、HAM F12(1:1)+2mMグルタミン+10%ウシ胎児血清(FBS)+0.4μg/mlヒドロコルチゾンを補給されたダルベッコ改変イーグル高グルコース培地(DMEM、Sigma Aldricht)中で維持した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに15,000個細胞/ウェルで播種し、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<70%の培養密度に達するように、DMEM/HAM F-12成長培地中で成長させた。その後、SCC-4細胞に、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して、Turbo GFP過剰発現モデルを確立するためのTurbo GFP mRNA(0.3μg)、ならびにIGF-1タンパク質コードRNA配列と、Turbo GFPに対する1×または2×siRNAとを含む特異的RNAコンストラクト(Cpd.5~Cpd.9、30nM/ウェル)をコトランスフェクトした。ユニバーサルスクランブルsiRNA(Sigma、カタログ#SIC002)をコントロールとして使用した(30nM/ウェル)。RNA対Lipofectamine比は1:1w/vであった。100μlのDMEMを除去し、50μlのOpti-MEM、ならびにOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific)中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。5時間後、培地を、FBSを有しない新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。トランスフェクトされていない試料におけるTurbo GFP陽性細胞を、コントロールとして使用し、0%に設定し、Turbo GFPノックダウンのパーセントを算出した。
【0234】
結果
【0235】
IGF-1発現に対するリンカーA1(Cpd.5、Cpd.7、およびCpd.8)およびA2(Cpd.6およびCpd.9)の効果を、SCC-4細胞において査定した。データは、A2-リンカーを含有するCpd.6およびCpd.9が、それらのA1-リンカー対応物と比較して、1.8倍~2.2倍高いIGF1レベルの増加を示したことを実証する(
図5A;P<0.001)。A2リンカーと比較したA1リンカーのIGF-1レベルの低下に関して、siRNAの数(1×または2×siRNA)およびsiRNA配列差(Cpd.7は、2回繰り返された同じsiRNA配列を有し、一方でCpd.8は、2種の異なるsiRNA配列を有する)において、差は示されなかった。すべての試験されたコンストラクトは、完全なTurbo GFP下方調節をもたらした(98~99%;
図4B)。
図4Cは、グレースケールでの、Turbo GFP発現に関する、コントロール、sc.siRNA、Cpd.5、およびCpd.6についての代表的な顕微鏡画像を示している。
【0236】
実施例7:A549細胞におけるIL-2発現および内因性のVEGFA下方調節に関する、種々のリンカーを有する化合物(Cpd.10~Cpd.15)についての比較分析
【0237】
A549細胞のin vitroトランスフェクション
【0238】
A549細胞を、上で記載されるように培養し、トランスフェクトした。実験におけるFBS由来VEGFA効果を回避するために、成長培地はFBSを含有しなかった。A549細胞を、これらの細胞はin vitroでVEGFAを最高50~100ng/mL内因的に発現することから、使用した。同時のVEGFA RNA干渉(RNAi)およびIL-2発現に対する種々のリンカー(A1、A2、B~E)の影響を評価するために、A549細胞に漸増濃度(1、3、10、および30nM)のCpd.10~Cpd.15をトランスフェクトした。次いで、細胞を、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートし、その後に、特異的ELISAを使用することによる、同じ細胞培養上清に存在するVEGFA(ThermoFisher、カタログ#KHG0112)およびIL-2(ThermoFisher、カタログ#887025)の定量が続いた。トランスフェクトされていない細胞からのVEGFAレベルを100%に設定し、VEGFAレベルの下方調節を、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化した。
【0239】
結果
【0240】
IL-2発現に対するリンカーA1(Cpd.10)、A2(Cpd.11)、B(Cpd.12)、C(Cpd.13)、D(Cpd.14)、およびE(Cpd.15)の効果を、A549細胞において査定した。データは、A2-リンカーを含有するCpd.11およびE-リンカーを含有するCpd.15をトランスフェクトされた細胞が、他のリンカーをトランスフェクトされた細胞と比較して、増加したIL-2レベル(1.5倍~2.5倍高い)を示したことを実証する(
図6Aおよび6C)。内因性のVEGFA発現の阻害に対するリンカーの効果を査定するために、用量応答調査をA549細胞において実施した。種々のリンカーを有する化合物(10nMおよび30nM濃度)をトランスフェクトされた細胞は、完全なVEGFA下方調節(98~99%)を呈した(
図6Bおよび6C)。しかしながら、B-リンカーを含有するCpd.12は、3nM濃度で65%のVEGFA下方調節というより高い力価を示し、一方でCpd.10(A1;50%)、Cpd.11(A2;40%)、Cpd.13(C;39%)、Cpd.14(D;46%)、およびCpd.15(E;31%)は、VEGFA下方調節における低下した力価を明らかにした。向上したVEGFA下方調節(30%)の同様の傾向が、他のリンカーを有する化合物と比較して、Cpd.12(B-リンカーを含有する)に関して1nM濃度で認められた。それにもかかわらず、Cpd.12からのIL-2発現は、3nM濃度のCpd.11およびCpd.15と比較したIL-2発現よりも約9倍低かった(
図6A)。
【0241】
実施例8:SCC-4細胞におけるIL-2発現および内因性のVEGFA下方調節に関する、種々のリンカーを有する化合物(Cpd.10~Cpd.15)についての比較分析
【0242】
SCC-4細胞のin vitroトランスフェクション
【0243】
SCC-4細胞を、上で記載されるように培養し、トランスフェクトした。実験におけるFBS由来VEGFA効果を回避するために、成長培地はFBSを含有しなかった。SCC-4細胞を、これらの細胞はin vitroでVEGFAを最高800ng/mL内因的に発現することから、使用した。同時のVEGFA RNA干渉(RNAi)およびIL-2発現に対する種々のリンカー(A1、A2、B~E)の影響を評価するために、SCC-4細胞に漸増濃度(1、3、10、および30nM)のCpd.10~Cpd.15をトランスフェクトした。次いで、細胞を、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートし、その後に、特異的ELISAを使用することによる、同じ細胞培養上清に存在するVEGFA(ThermoFisher、カタログ#KHG0112)およびIL-2(ThermoFisher、カタログ#887025)の定量が続いた。トランスフェクトされていない細胞からのVEGFAレベルを100%に設定し、VEGFAレベルの下方調節を、トランスフェクトされていない試料(基底レベル)に対して正規化した。
【0244】
結果
【0245】
IL-2発現に対するリンカーA1(Cpd.10)、A2(Cpd.11)、B(Cpd.12)、C(Cpd.13)、D(Cpd.14)、およびE(Cpd.15)の効果を、SCC-4細胞において査定した。A549細胞と同様に、A2-リンカーを含有するCpd.11およびE-リンカーを含有するCpd.15をトランスフェクトされた細胞は、他のリンカーをトランスフェクトされた細胞と比較して、増加したIL-2レベル(1.2倍~2.5倍高い)を示した(
図7Aおよび7C)。B-リンカーを含有するCpd.12は、3nM濃度で、A2-リンカーを含有するCpd.11(14915pg/mL対30361pg/mL)およびE-リンカーを含有するCpd.15(14915pg/mL対34127pg/mL)と比較して、減少したIL-2レベルをもたらした。SCC-4細胞における内因性のVEGFA発現阻害の査定は、B-リンカーを含有するCpd.12が、10nM濃度で72%のVEGFA下方調節というより高い力価を示すことを明らかにし、一方でCpd.10(A1;52%)、Cpd.11(A2;40%)、Cpd.13(C;47%)、Cpd.14(D;38%)、およびCpd.15(E;34%)は、VEGFA下方調節における低下した力価を明らかにした。種々のリンカーを有するすべての化合物は、30nM濃度で等価レベルのVEGFA下方調節(80~90%)を呈した(
図7B)。
【0246】
実施例9:初代HSMM細胞のin vitroトランスフェクション、および種々のリンカーを有する化合物からのIGF-1発現の査定
【0247】
HSMM細胞のin vitroトランスフェクション
【0248】
成人ヒト骨格筋筋芽細胞(HSMM、CC-2580、Lonza、Switzerland)細胞は、通常の健常ドナーの上腕または脚筋から単離された初代骨格筋細胞である。HSMM細胞は、進行性骨化性線維異形成症(FOP)疾患に対する疾患関連細胞タイプである。タンパク質発現に対するA1およびA2リンカーの影響を、精選された(curated)細胞株に加えて、初代細胞において評価した。HSMM細胞を、Skeletal Muscle-2 SingleQuotsキット(SkGMキット、CC-3244、Lonza、Switzerland)を補給された、Skeletal Muscle-2基礎培地(SkBM、CC-3246、Lonza、Switzerland)を含有する骨格成長培地(SkGM)中で維持した。分化培地(成長培地+2%熱活性化ウマ血清;26050-070、Life Technologies、Switzerland)の添加は、初代筋芽細胞を、FOPに関連する多核筋管に分化させる。Cpd.3およびCpd.4活性を査定するために、トランスフェクションの24時間前に、HSMM細胞を、96ウェル細胞培養プレートに10,000個細胞/ウェルを用いて播いた。細胞を、SkGM成長培地(GM)または分化培地(DM)中で成長させた。その後、細胞に、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000を使用して、漸増濃度のCpd.3およびCpd.4(0.1、0.3、1、3、10、および30nM)をトランスフェクトした。100μlのSkGMを除去し、50μlのOpti-MEM(www.thermofisher.com)を各ウェルに添加し、その後にOpti-MEM中50μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体が続いた。5時間のインキュベーションの後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートし、その後に、細胞培養上清におけるELISAによるIGF-1定量が続いた(Mediagnost、Germany;カタログ#E20)。
【0249】
結果
【0250】
用量応答結果は、HSMM成長培地中で培養されたHSMM細胞において、IGF-1発現に対するCpd.4におけるA2-リンカーの効果が、Cpd.3におけるA1-リンカーの効果よりも有意に高いことを示した(
図8A;P<0.001;10nMにおけるCmaxは、57ng/mL対23ng/mLである)。分化したHSMMにおけるIGF-1発現におけるA1-リンカーと比したA2-リンカーの効果を、分化培地中で培養されたHSMM細胞において行い、結果は、A2-リンカーを含有するCpd.4で処理された細胞からのIGF-1発現および分泌のレベルが、10nM濃度で、A1-リンカーを含有するCpd.3で処理された細胞からのIGF-1発現および分泌のレベルよりも2倍高いことを示している(
図8B、P<0.001)。
【0251】
実施例10:in vitro膠芽細胞腫がんモデルA172細胞における、サイトカイン発現および複数のsiRNA標的のRNA干渉に対するA1およびA2リンカーの経時的効果
【0252】
A172細胞のin vitroトランスフェクション
【0253】
ヒト膠芽細胞腫細胞株(A172;ECACC、カタログ#88062428)は、53歳男性から取り出された膠芽細胞腫に由来した。A172細胞を、10%FBSおよび2mMグルタミンを補給されたRPMI 1640培地中で維持した。トランスフェクションの前に、細胞を96ウェル培養プレートに20,000個細胞/ウェルで播種し、5%CO
2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、トランスフェクションの前に<70%の培養密度に達するように、RPMI成長培地中で成長させた。その後、A172細胞に、1:1w/vのRNA対Lipofectamine比を用いて、メーカーの説明書に従ってLipofectamine 2000(Invitrogen)を使用して、10nMの濃度を有するCpd.16(A1リンカー;IL-12 mRNA+1×c-Myc siRNA+1×KRAS siRNA+1×pan-Akt siRNA)およびCpd.17(A2リンカー;IL-12 mRNA+1×c-Myc siRNA+1×KRAS siRNA+1×pan-Akt siRNA)をトランスフェクトした。100μlのRPMIを除去し、90μlのOpti-MEM(Thermo Fisher Scientific、Switzerland、カタログ#31985-070)、ならびにOpti-MEM中10μlのRNAおよびLipofectamine 2000複合体で置き換えた。6時間後、培地を新鮮な成長培地によって置き換え、プレートを、5%CO
2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。経時的査定に関しては、
図9Aに指定されるように、試料を0~24時間から回収した。ELISAを実施して、細胞培養上清に存在するヒトIL-12p70(ThermoFisher、カタログ#88-7126)レベルを定量した。それぞれの細胞溶解物も処理して、Cells-to-CT(商標)1-Step Power SYBR Greenキット(ThermoFisher、カタログ#A25599)およびプライマー(プライマー配列詳細は、表5に列挙される)を使用したRT-qPCRによる、トランスフェクトされていない試料に対する相対的定量によって、siRNA標的遺伝子(c-Myc、KRAS、Akt1、Akt2、およびAkt3のRNA存在量を測定した。ヒト18s rRNAを参照コントロールとして使用した。1フェーズ減衰(one phase decay)分析をGraphPad Prism v.9.2において実施して、トランスフェクション後の標的遺伝子のsiRNAの半減期を算出した。
【0254】
【0255】
結果
【0256】
c-Mycを標的にする1×siRNA、KRASを標的にする1×siRNA、およびpan-Akt(Akt1、Akt2、およびAkt3)を標的にする1×siRNAとともに、IL-12 mRNAを含むCpd.16(A1-リンカー)およびCpd.17(A2-リンカー)の経時的効果を、A172細胞に10nMのCpd.16またはCpd.17をトランスフェクトすることによって、A172細胞においてIL-12発現および同時の標的遺伝子の下方調節について評価した。データは、
図9Aに示されるように、試験されたすべての時点で、Cpd.17(A2-リンカー)をトランスフェクトされた細胞が、Cpd.16(A1-リンカー)をトランスフェクトされた細胞よりも高いレベルのIL-12タンパク質(1.4~4倍)を発現することを実証する。同じ細胞溶解物において、c-Myc、KRAS、およびpan-Akt(Akt1、Akt2、およびAkt3)RNA転写産物に対するCpd.16およびCpd.17のRNA干渉も査定した。
図9C~9Dにおいて実証されるように、Cpd.16およびCpd.17の両方とも、24時間の時点で、内因性のAkt-1、Akt-2、Akt-3、およびKRASを>95%下方調節した。1フェーズ分析は、A1-リンカーを有するCpd.16が、A2-リンカーよりも1または2時間早く標的遺伝子のRNA干渉を達成する(t
1/2:1.7~2.3h対2.2~3.4h)が、A2-リンカーを有するCpd.17と比較して、低下したレベルのIL-12を発現することを明らかにした。Cpd.16およびCpd.17によって標的にされるc-MycのRNA干渉は12時間後に観察され、内因性のc-Myc mRNAを最高24時間まで持続的に減少させた(27%対21%)。3種すべてのAkt遺伝子(Akt1、Akt2、およびAkt3)を標的にするpan-Akt siRNAの設計は成功し、実験的に立証され、同様の配列を有する複数の遺伝子を標的にする特異的siRNAを設計することの実現可能性を実証した。
【0257】
実施例11:STAT4活性化に関する、HEK-Blue(商標)hIL-12レポーターアッセイにおける、A1-およびA2-リンカーを有する化合物に由来するIL-12の機能的分析
【0258】
HEK-Blue(商標)hIL-12レポーターアッセイ
【0259】
A1-リンカーを有するCpd.16およびA2-リンカーを有するCpd.17に由来するIL-12の機能活性を、STAT-4経路の活性化をモニターすることによってヒトIL-12受容体の活性化を調査するために設計されている、HEK-Blue(商標)hIL-12レポーター細胞(Invivogen、カタログコード:hkb-il12)において試験した。これらの細胞は、ヒト胎児性腎臓HEK293細胞株に由来し、完全に機能的なIL-12シグナル伝達カスケードを達成するために、ヒトJAK2およびSTAT4遺伝子と一緒に、ヒトIL-12Rβ1およびIL-2Rβ2遺伝子を発現するように操作されている。加えて、STAT4誘導性SEAPレポーター遺伝子を導入した。IL-12活性化、それに続くSTAT4があり次第、産生されたSEAPは、細胞培養上清においてHEK-Blue(商標)検出細胞培地を用いてリアルタイムで判定され得る。HEK-Blue(商標)hIL-12細胞の刺激を、下に詳細を有して、組み換えヒトIL-12(rhIL-12)、またはCpd.16もしくはCpd.17(0.3μg/ウェル)をトランスフェクトされているHEK293細胞の細胞培養上清に由来するIL-12によって達成した。
【0260】
HEK-Blue(商標)hIL-2細胞を、10%(v/v)ウシ胎児血清(FBS)を補給されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Sigma Aldrich)中で維持した。抗生物質HEK-Blue(商標)selection(培地を用いて1:250希釈)を培地に添加して、IL-12Rβ1、IL-2Rβ2、STAT4、およびSEAP導入遺伝子プラスミドを含有する細胞を選択した。刺激の前に、細胞を96ウェル培養プレートに40,000個細胞/ウェルで播種し、5%CO2を含有する加湿された大気中にて37℃で24時間インキュベートした。細胞を、刺激の前に<80%の培養密度に達するように、10%のFBSを含有するDMEM成長培地中で成長させた。HEK293細胞培養上清に由来する規定濃度(0.001~300ng)のIL-12を回収し、20μlの培地に希釈し、HEK-Blue(商標)hIL-12細胞の培地に添加して、IL-12受容体動員、それに続くSTAT4経路活性化を測定した。rhIL-12、またはCpd.16およびCpd.17に由来するIL-12(0.001~300ng)を並行して試験した。2時間のインキュベーションの後、SEAP活性を、QUANTI-Blue(商標)(20μl細胞培養上清+180μl QUANTI-Blue(商標)溶液)を使用し、SpectraMax i3マルチモードプレートリーダー(Molecular Device)において620nmにおける光学濃度(O.D.)を読み取って査定した。トランスフェクトされていない試料を、バックグラウンドコントロールとして使用し、試験された試料における獲得されたO.D.値から差し引いた。
【0261】
結果
【0262】
rhIL-12、またはCpd.16(A1-リンカー)もしくはCpd.17(A2-リンカー)をトランスフェクトされているHEK293細胞の細胞培養上清に由来するIL-12を用いたHEK-Blue(商標)hIL-12細胞の刺激は、3種すべての試験された化合物が、同様の用量依存的形式でSEAP産生を誘導したことから、機能的であった。IL-12機能性に対して、リンカー依存的影響は観察されなかった(
図9B)。要約すると、Cpd.16およびCpd.17に由来するIL-12は機能的であり、rhIL-2と同様に、IL-12シグナル伝達カスケードを誘導し得る。
【0263】
本明細書に記載される実施例および実施形態は、単なる例示的目的のものであり、当業者に示唆される様々な改変または変化は、本出願の精神および権限、ならびに添付の特許請求の範囲の内に含まれるべきである。
【0264】
【配列表】
【国際調査報告】