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特表2024-522856細胞の低温保護及び/又は凍結保護のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】細胞の低温保護及び/又は凍結保護のための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/04 20060101AFI20240614BHJP
   C12N 5/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C12N1/04
C12N5/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579148
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022067054
(87)【国際公開番号】W WO2022268900
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/215,094
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】21192555.7
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391003864
【氏名又は名称】ロンザ リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LONZA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】マルクス・カルドーフ
(72)【発明者】
【氏名】ダナンジェイ・イェレ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065BD09
4B065BD10
4B065BD32
4B065BD36
4B065CA44
(57)【要約】
生存可能細胞を維持しつつ、凍結又は凍結乾燥に適している細胞の集合体を含む組成物が提供される。組成物は、単糖、尿素、及びいくつかの実施形態では、増量剤を含む。また、保管中に細胞を生存可能なまま維持することを可能にする様式で、凍結又は凍結乾燥によって細胞を調製し、保管するための方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素及び単糖を含む、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、増量剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、ヒアルロナンゲルを更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記単糖の濃度が、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4M、又は約0.2M~約1.25M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記尿素の濃度が、約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4M、又は約0.2M~約1.25M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6M、又は約0.6M~約2.0Mである、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物中の前記尿素の単糖に対するモル比が、約5:1~約1:5、若しくは約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記単糖が、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記増量剤が、
a)二糖であって、
前記二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースである、二糖、又は
b)糖アルコールであって、
前記糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、若しくはイノシトールである、糖アルコール、又は
c)二糖及び糖アルコールの両方、又は
d)スクロース及びマンニトールの両方を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、DMSOを含まないか、又は
前記組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含むか、又は前記組成物が、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
細胞の前記集合体が、哺乳動物細胞を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、約-10℃~約-100℃、又は約-20℃~約-90℃、又は約-40℃~約-60℃の温度で、凍結状態にある、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、凍結乾燥組成物である、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、約90%(体積/体積)未満の水を含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
凍結細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を凍結させて、凍結細胞の前記集合体を製造するステップ(a)を含む、方法。
【請求項15】
再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造するステップ(a)と、
(b)凍結細胞の前記集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(b)と、を含み、前記細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
【請求項16】
凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を凍結させるステップ(a)と、
(b)前記凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の前記集合体を製造するステップ(b)と、を含む、方法。
【請求項17】
再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を凍結させるステップ(a)と、
(b)凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、
(c)凍結乾燥細胞の前記集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(c)と、を含み、前記細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
【請求項18】
ステップ(a)での前記凍結前に、細胞の前記集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ポレーション溶液が、トレハロースを含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ポレーション溶液中のトレハロースの濃度が、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.6Mである、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、凍結(freezing)又は凍結乾燥(lyophilization)によって保管される細胞の低温保護(cryoprotection)及び/又は凍結保護(lyoprotection)を提供する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、脂肪、筋肉、軟骨、骨、又は神経細胞などの異なる組織に(インビトロで)分化する能力を有する重要な多能性幹細胞である[1~3]。再生医療及び細胞療法におけるhMSCの使用は拡大しつつある[4、5]。hMSCは、免疫抑制能力を示すため[6]、成人ドナーから採取され、増殖され、改変され、その後に同種異系治療に使用される可能性を有する[5]。これを可能にするには、hMSCを長期間保管する必要がある。hMSCの長期保管のための現在のプロトコルは、液体窒素中での低温保存によるものである[7]。しかしながら、液体窒素中に細胞を保管することは、細胞の制御されない解凍及び損傷を回避するために液体窒素の定期的な供給が必要であるため[9]、特に流通及び輸送の場合は煩雑であり、かつ高価である[8]。
【0003】
hMSCの液体窒素保管には、細胞を保存するために、ウシ胎児血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)の添加も必要である[7、10]。DMSOは、毒性であり[11~14]、hMSCにおける転写因子の発現及び遺伝子発現を変化させる可能性がある[15、16]。更に、FBSは、ヒトにおいて非常に免疫原性であり、病原体を伝搬する可能性がある[7]。したがって、DMSO及びFBSは、通常、ヒトに投与する前に除去され、このプロセスは、労働集約的であり、特別に訓練された人員及び特別な施設を必要とする。したがって、投与された製品が基準に満たず、品質が一貫しないという高いリスクを伴い、安全性への影響がある。
【0004】
また、他の多くの生物学的製品と同様に、細胞療法製品を冷蔵温度で保管して、取り扱いをより容易にし、経済的な輸送を容易にすることも有益であろう。これを達成する1つの可能な方法は、細胞を凍結乾燥(フリーズドライ)することである[18、19]。凍結乾燥は、液体製剤では不安定であるが、ワクチン、タンパク質、ペプチド、又は抗生物質などの固体/乾燥形態で安定化される(薬物)製品に日常的に適用される[20]。
【0005】
EP3403502A1は、細胞、生物及び/又は組織の保存及び/又は保護における低温保護剤及び/又は低温保存組成物、その方法及び使用を開示する。
【0006】
US2009/123436A1は、生物学的材料の低温保管のための組成物、及び関連する方法を開示する。
【0007】
WO2021/050896A1は、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、(a)細胞の集合体、水性成分、ポリオール、糖、及び多糖を含む組成物を凍結させることと、(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法を開示する。
【0008】
本発明の1つの目的は、保管中に細胞を生存可能なまま維持することを可能にする、細胞の低温保存及び凍結乾燥のための方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素及び単糖を含む組成物に関する。
【0010】
実施形態では、組成物は、増量剤を更に含む。実施形態では、組成物は、ヒアルロナンゲルを更に含む。
【0011】
組成物の実施形態では、単糖の濃度は、約0.2M~約1.25M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0012】
組成物の実施形態では、尿素の濃度は、約0.2M~約1.25M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0013】
組成物の実施形態では、単糖の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0014】
組成物の実施形態では、尿素の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0015】
組成物の実施形態では、組成物中の尿素の単糖に対するモル比は、約5:1~約1:5、若しくは約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0016】
組成物の実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。
【0017】
組成物の実施形態では、増量剤は、a)二糖であって、二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースである、二糖、又はb)糖アルコールであって、糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、若しくはイノシトールである、糖アルコール、又はc)二糖及び糖アルコールの両方、又はd)スクロース及びマンニトールの両方を含む。
【0018】
組成物の実施形態では、組成物が、DMSOを含まないか、又は組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含むか、又は組成物が、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。
【0019】
組成物の実施形態では、細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含む。
【0020】
実施形態では、組成物は、約-10℃~約-100℃、又は約-20℃~約-90℃、又は約-40℃~約-60℃の温度で、凍結状態にある。
【0021】
実施形態では、組成物は、凍結乾燥組成物である。
【0022】
組成物が、約90%(体積/体積)未満の水を含有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【0023】
実施形態では、本開示はまた、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造するステップ(a)を含む、方法に関する。
【0024】
実施形態では、本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造するステップ(a)と、凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(b)と、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0025】
実施形態では、本開示はまた、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させるステップ(a)と、凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、を含む、方法に関する。
【0026】
実施形態では、本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させるステップ(a)と、凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(c)と、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0027】
上の方法の実施形態では、ステップ(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロースを含む。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.6Mである。
【0028】
本開示はまた、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法に関する。
【0029】
本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0030】
方法の実施形態では、組成物は、ヒドロゲルを更に含む。実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性ヒドロゲルである。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル、又はそれらの組み合わせである。
【0031】
実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。
【0032】
方法の実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.6M~約2M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0033】
方法の実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。
【0034】
方法の実施形態では、単糖は、グルコースであり、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.0M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0035】
方法の実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.0M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0036】
方法の実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0037】
方法の実施形態では、単糖は、グルコースであり、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0038】
方法の実施形態では、凍結は、懸濁液中、若しくは容器の表面に付着した細胞を用いて、又はヒドロゲルに懸濁した細胞の集合体を用いて、かつ/又はコラーゲンコーティングを伴うか、若しくは伴わない容器中で行われ、任意選択的に、容器は、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック容器である。
【0039】
本開示はまた、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法に関する。
【0040】
本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0041】
方法の実施形態では、細胞の集合体は、ヒアルロナンゲルに懸濁される。
【0042】
方法の実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0043】
方法の実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。
【0044】
方法の実施形態では、単糖は、グルコースであり、凍結前のグルコースの濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0045】
方法の実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0046】
方法の実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0047】
方法の実施形態では、単糖は、グルコースであり、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0048】
方法の実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり1×10個の細胞である。実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり4×10個の細胞である。実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約2×10個の細胞~1mL当たり2.5×10個の細胞である。
【0049】
方法の実施形態では、増量剤は、二糖を含む。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約0.5Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.2M~約0.4Mである。実施形態では、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース又はゲンチオビオースである。
【0050】
実施形態では、二糖は、スクロースである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.5Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.4Mである。
【0051】
方法の実施形態では、増量剤は、糖アルコールを含む。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0052】
実施形態では、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである。実施形態では、糖アルコールは、マンニトールである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0053】
方法の実施形態では、増量剤は、二糖及び糖アルコールの両方を含む。実施形態では、増量剤は、スクロース及びマンニトールの両方を含む。
【0054】
方法の実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。
【0055】
方法の実施形態では、(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロースを含む。ポレーション溶液は、任意選択的に、細胞培養培地を更に含んでもよい。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。
【0056】
細胞の再構成を含む方法の実施形態では、再構成剤は、細胞培養培地を含む。実施形態では、再構成剤は、リン酸緩衝溶液を含む。
【0057】
方法の実施形態では、組成物は、等張性溶液である。実施形態では、組成物は、高張性溶液である。
【0058】
方法の実施形態では、細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、人工多能性幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、神経芽腫細胞を含む。実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。
【0059】
本発明の文脈では、水性成分は水であり、任意選択的に、緩衝液又は細胞培養培地などの更なる成分を含む。
【0060】
方法の実施形態では、水性成分は、緩衝液を含む。実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態では、水性成分は、細胞培養培地を含む。実施形態では、細胞培養培地は、血清を含まない。
【0061】
方法の実施形態では、水性成分を除去することは、水性成分を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含む。実施形態では、水性成分を除去することは、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含む。実施形態では、水性成分を除去することは、一次乾燥ステップのみを含む。実施形態では、一次乾燥ステップは、水性成分を除去するために圧力を下げることを含む。実施形態では、二次乾燥ステップは、水性成分を除去するために熱を加えることを含む。
【0062】
方法の実施形態では、凍結は、-10℃から約-100℃で行われる。実施形態では、凍結は、-20℃から約-90℃で行われる。実施形態では、凍結は、-40℃から約-60℃で行われる。実施形態では、凍結は、組成物の温度を約-80℃まで下げる。
【0063】
方法の実施形態では、凍結は、組成物の温度を-40℃まで下げ、水性成分は、約60mTorr~約80mTorrのチャンバ圧の圧力で除去される。
【0064】
方法の実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後2時間を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1日を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1週間を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1ヶ月を超えて行われる。
【0065】
細胞が凍結乾燥される実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後2時間を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1日を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1週間を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1ヶ月を超えて行われる。
【0066】
方法の実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃未満で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃~約30℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約4℃~約28℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約10℃~約27℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約2℃~約8℃で保管される。
【0067】
方法の実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に2日間より長く、約-20℃を超えて保管される。実施形態では、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、約20℃~約25℃で保管される。実施形態では、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、約2℃~約8℃で保管される。
【0068】
方法の実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%は、例えば、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。
【0069】
実施形態では、本開示はまた、生存可能細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物であって、尿素及び単糖が、約1:3~約3:1のモル比で組成物中に含まれ、組成物が、約90%(体積/体積)未満の水を含有する、組成物に関する。
【0070】
組成物の実施形態では、単糖は、グルコースであり、尿素及びグルコースは、約1:3~約3:1のモル比で組成物中に含まれる。組成物の実施形態では、尿素及びグルコースは、約1:2~約2:1のモル比で組成物中に含まれる。組成物の実施形態では、尿素及びグルコースは、約1:1~約1:1のモル比で組成物中に含まれる。
【0071】
実施形態では、本開示はまた、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物中の単糖の尿素に対するモル比が、約5:1~約1:5である、組成物に関する。実施形態では、組成物中の単糖の尿素に対するモル比は、約3:1~約1:3である。実施形態では、組成物中の単糖の尿素に対するモル比は、約2:1~約1:2である。実施形態では、組成物中の単糖の尿素に対するモル比は、約1:1~約1:1である。
【0072】
組成物の実施形態では、単糖は、グルコースである。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約3:1~約1:3である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約2:1~約1:2である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約1:1~約1:1である。
【0073】
実施形態では、本開示はまた、生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び増量剤を含む組成物に関する。実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのグルコースを含む。実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mのグルコースを含む。
【0074】
実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mの尿素を含む。実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mの尿素を含む。
【0075】
実施形態では、組成物は、スクロースを更に含む。実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.5Mのスクロースを更に含む。
【0076】
実施形態では、組成物は、マンニトールを更に含む。実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.8Mのマンニトールを更に含む。
【0077】
組成物の実施形態では、生存可能細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、人工多能性幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、神経芽腫細胞を含む。実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。
【0078】
組成物の実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。組成物の実施形態では、組成物は、約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。組成物の実施形態では、組成物は、約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。
【0079】
実施形態では、本開示はまた、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法に関する。
【0080】
実施形態では、本開示はまた、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、約0.6M~約2.0Mの尿素、約0.6M~約2.0Mのグルコース、及び約0.1M~約1.0Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法に関する。
【0081】
実施形態では、本開示はまた、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0082】
実施形態では、本開示はまた、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、約0.6M~約2.0Mの尿素、約0.6M~約2.0Mのグルコース、及び約0.1M~約1.0Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0083】
実施形態では、本開示はまた、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法に関する。
【0084】
実施形態では、本開示はまた、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、約0.6M~約2.0Mの尿素、約0.6M~約2.0Mのグルコース、及び約0.1M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法に関する。
【0085】
実施形態では、本開示はまた、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0086】
実施形態では、本開示はまた、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、約0.6M~約2.0Mの尿素、約0.6M~約2.0Mのグルコース、及び約0.1M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0087】
方法の実施形態では、組成物は、約1%~約8%のDMSOを更に含む。方法の実施形態では、組成物は、ヒドロゲルを更に含む。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、又はコラーゲンゲルである。実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。
【0088】
組成物が再構成される方法の実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%は、例えば、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。
【0089】
以下の図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の特定の態様の例示的な実施形態を更に示すために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0090】
図1図1A図1Cは、実施例1に記載される、異なる低温保護剤(CPA)製剤における凍結解凍後のhMSCの生存率を示すプロットである。各実験を5回繰り返し、棒グラフは、平均値を示し、エラーバーは、標準偏差を示している。生存率は、蛍光性色素の代謝転化によって評価した。U=尿素、G=グルコース、DMSO=ジメチルスルホキシド、M=マンニトール、S=スクロース。細胞生存率は、生存可能細胞の割合としてプロットされる。(図1A)尿素単独では、容易に低温保護されないが、グルコースでは容易に低温保護される。2つのCPAは、相乗的に作用し、DMSO対照と同等の生存率を得る。(図1B)尿素のグルコースに対する比の評価(総量で1M CPAに加える)1:1のモル比が好ましい。(図1C)U/G製剤に増量剤を添加すると、浸透圧ストレスの増加にもかかわらず、生存可能細胞も提供した。更に、CPA適用及び凍結解凍の前に、hMSCを、0.2Mのトレハロースを追加した培地中で一晩インキュベートした(図1C「Tre Inc有り」)。前処理は、U/G/S製剤中の生存率をわずかに増加させた。2%のDMSOの添加は、生存率を更に改善する。(図1D1図1D3)トレハロースインキュベーション及びその後のFTを受けたhMSCの顕微鏡画像を示す。細胞は、蛍光性色素を変換し、形態は変化せず、プラスチック表面に付着し、生存率を示す。スケールバーは200μmである。
図2図2は、高濃度のCPAを用いた異なる製剤での凍結乾燥後に増殖するhMSCの顕微鏡画像を示し、hMSCが生存可能なままであり、実施例1に記載のフリーズドライプロセスの苛酷な条件に耐えることができることを示している。U=尿素、G=グルコース、DMSO=ジメチルスルホキシド、M=マンニトール、S=スクロース、Tre=トレハロース。全ての細胞を、凍結乾燥前にトレハロース中で事前インキュベーションした。スケールバーは400μmである。
【発明を実施するための形態】
【0091】
本開示は、保管中に細胞を生存可能なまま維持することを可能にする様式で、凍結又は凍結乾燥によって細胞を調製し、保管する方法を提供する。本開示はまた、生存可能細胞を維持しつつ、凍結又は凍結乾燥に適している細胞の集合体を含む組成物を提供する。
【0092】
本明細書で使用される場合、「a」又は「an」は、1つ以上を意味し得る。本明細書で使用される場合、単語「a」又は「an」は、単語「含む」と併せて使用される場合、1つ又は1つより多くを意味し得る。本明細書で使用される場合、「別の」又は「更なる」は、少なくとも第2の、又はそれより多くを意味し得る。
【0093】
本出願全体を通して、「約」という用語は、値が、その値を決定するために用いられる方法/デバイスについての固有の誤差の変動、又は研究対象の間に存在する変動を含むことを示すために使用される。典型的には、「約」という用語は、状況に応じて、およそ1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、又は20%以下、又はそれより大きな変動を包含することを意味する。実施形態では、当業者は、「約」という用語によって示される変動のレベルを、それが本明細書で使用される文脈によって理解するであろう。「約」という用語の使用が、具体的に列挙された値も含むこともまた理解されるべきである。
【0094】
特許請求の範囲における「又は」という用語の使用は、選択肢のみを指すことが明示的に示されるか、又は選択肢が互いに排他的でない限り、「及び/又は」を意味するように使用されるが、本開示は、選択肢のみ及び「及び/又は」を指す定義を支持する。
【0095】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」(並びに「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの含む(comprising)の任意の異形若しくは形態)、「有する(having)」(並びに「有する(have)」及び「有する(has)」などの有する(having)の任意の異形若しくは形態)、「含む(including)」(並びに「含む(includes)」及び「含む(include)」などの含む(including)の任意の異形若しくは形態)、又は「含有する(containing)」(並びに「含有する(contains)」及び「含有する(contain)」などの含有する(containing)の任意の異形若しくは形態)という用語は、包括的であるか、又はオープンエンド(open-ended)であり、追加の列挙されていない要素又は方法ステップを排除しない。
【0096】
「例えば(for example)」という用語及びその対応する略語である「例えば(e.g.)」(イタリック体であるか否かによらない)の使用は、別段の明示的な記述がない限り、列挙された特定の用語が、参照又は引用された特定の例に限定されることは意図されない本開示の代表的な例及び実施形態であることを意味する。
【0097】
本明細書で使用される場合、「間(between)」は、範囲の末端を含む範囲である。例えば、xとyとの間の数には、x及びyの数、並びにxとyとの範囲に入る任意の数が明示的に含まれる。
【0098】
細胞の集合体の製造方法
実施形態では、本開示は、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、細胞の集合体、水性成分(例えば、水)、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法を提供する。
【0099】
実施形態では、本開示は、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分(例えば、水)、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0100】
実施形態では、本開示は、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、b)凍結組成物から少なくとも約90%の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法を提供する。
【0101】
実施形態では、本開示は、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、b)凍結組成物から少なくとも約90%の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0102】
凍結及び凍結乾燥
実施形態では、凍結は、液体状態から固体状態への物質(例えば、1つ以上の成分を含む組成物)の遷移である。「凍結乾燥」(「フリーズドライ」及び「低温乾燥」とも呼ばれる)及びそれらの変形語は、広く、物質を凍結させ、次いで、消化及び解離(すなわち、「乾燥」)によって、溶質のうちの1つ、典型的には水の濃度を低下させることを指す。実施形態では、乾燥は、凍結物質、例えば、凍結組成物に真空を適用することを含む。実施形態では、乾燥は、凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含む。
【0103】
本明細書に提供される方法の実施形態では、凍結乾燥プロセスの一部として、組成物の凍結を伴う。本明細書に提供される方法の実施形態では、組成物の凍結を伴うが、乾燥ステップを伴わない。組成物を凍結させるための本明細書に記載の装置及び方法のいずれも、本明細書に提供される凍結のみの方法又は本明細書に提供される凍結乾燥の方法のいずれかで使用することができる。
【0104】
凍結乾燥は、微生物及びタンパク質などの熱的に不安定な化合物の乾燥に使用することができる。小分子に共通する溶媒除去の蒸発機構を用いる代わりに、昇華を用いる。凍結乾燥は、凍結、一次乾燥、及び二次乾燥の3つのプロセスステップからなっていてもよい。凍結乾燥は、凍結乾燥される組成物を凍結乾燥チャンバ中に配置することによって達成することができ、凍結、乾燥、及び最終的には不活性雰囲気下での停止が行われる。乾燥中、水蒸気は、接続ダクトを通って凝縮器に入ってもよい。いくつかの実施形態では、凝縮器中の温度は、水蒸気が氷に変わるように、凍結乾燥チャンバの温度よりも低い。
【0105】
凍結
凍結は、乾燥の速度及び均一性に大きな影響を与える可能性がある。溶媒の凍結は、冷却、相変化及び固化に細分することができる。いくつかの実施形態では、製剤は、平衡凍結温度では凍結せず、より低い温度で凍結する。これは、溶液中にまだ氷結晶核が形成されていないか、又は系内に著しい温度差があるためである。一次核生成及び次いで二次核生成から始まる相変化が生じる程度は、過冷却の程度と呼ばれる。一次核形成は、第1の氷核の出現として定義され、一方、二次核形成は、追加の核形成部位の形成を特徴とする。相変化段階の後、固化が開始される。ここで、氷結晶が成長し始め、液体水相の量が減少し、溶質濃度が増加する。臨界濃度を超えると、濃縮された溶液は、共晶凍結又はガラス化のいずれかを受ける。これが生じる温度は、結晶系の場合は共晶温度(Teu)、非晶系の場合は最大限に凍結濃縮された溶液のガラス転移温度(T’)と呼ばれる。これらの温度を下回ると、系は、完全に固化したとみなされる。過冷却の程度に応じて、異なる結晶サイズ及び形態が形成される。これにより、乾燥ステップ中に昇華すると、乾燥生成物中の孔径に影響を及ぼす。小さい氷の結晶は、より小さい孔を形成し、これにより、質量移動に対するより高い抵抗を引き起こし、したがって、一次乾燥が遅くなる。しかしながら、表面積が大きいため、この場合の二次乾燥は、より高い速度で進行することができる。より大きな氷の結晶について、その逆を当てはめることができる。いくつかの実施形態では、結晶化が迅速なほど、より小さな結晶を生じさせ、一次乾燥は遅くなるが、二次乾燥は迅速になる。
【0106】
一次乾燥
凍結乾燥方法の実施形態では、方法は、一次乾燥ステップを含む。製剤がその凍結状態になった後、チャンバを真空に近い圧力まで排出させ、棚の温度を、崩壊温度(T)に近いがそれを下回る温度までゆっくりと増加させる。Tは、通常、T’より数度高く、ケーキがその構造を失う温度である。崩壊したケーキと製品の安定性との相関関係は、まだ議論の余地がある。しかしながら、視覚的崩壊があると、製造業者による目視検査の後に、凍結乾燥細胞製品が拒絶される可能性がある。
【0107】
一次乾燥の原動力は、氷の蒸気圧とチャンバ圧との間の勾配である。氷の蒸気圧は、プロセスで最も重要なパラメータである製品の温度に依存する。製品温度は、棚温度及びチャンバ圧の両方を変更することによって制御される。棚温度が高くなるほど、製品温度が高くなり、したがって、昇華がより迅速になる。一方で、昇華は吸熱プロセスであるため、チャンバ圧が低いと製品が冷却され、昇華の速度が遅くなる。
【0108】
細胞を乾燥させるときに、増量剤に加えて、水分損失及び低温に対する保護剤を使用することが重要な場合がある。保護剤としては、ソルビトール、スクロース、トレハロース、マンニトール、ポリビニルピロリドン(PVP)、デキストロース及びグリシンを挙げることができる。これらの化合物のほとんどは、製剤のT’を増加させる追加の正の効果を有する。これにより、プロセスをより高い温度で実行することができ、これにより、プロセスがより速く、したがってより効率的になるため、望ましい。増量剤は、凍結乾燥細胞製品の優れた外観及び構造を提供し、一部は保護剤としても機能する。マンニトールは、その一例である。結晶性増量剤は、美しいケーキ構造を提供する傾向があるため、望ましい。
【0109】
二次乾燥
凍結乾燥方法の実施形態では、方法は、二次乾燥ステップを含む。他の実施形態では、二次乾燥ステップは行われない。遊離氷は、一次乾燥中に昇華され、これが凍結乾燥ステップの中で最も長いステップである。しかしながら、水の一部は、製品に結合したままであり、したがって、より積極的な処理で除去する必要がある。これは、二次乾燥中に達成され、チャンバ圧は一次乾燥と同じままであり、棚温度を典型的には30~50℃まで上げる。この時点で、バイアル中にこれ以上の遊離氷が存在しないため、凍結乾燥ケーキの崩壊の危険性がないため、そのようなレベルまで温度を上げることが可能である。
【0110】
実施形態では、組成物の凍結は、組成物を含有する容器を液体窒素中に配置することを含む。実施形態では、組成物の凍結は、組成物を含有する容器を-80℃の冷凍庫中に配置することを含む。実施形態では、組成物の凍結は、組成物を含む容器を、凍結容器、例えば、THEFRMO SCIENTIFIC製のMR.FROSTY Freezing Container中に配置することを含む。実施形態では、組成物の凍結は、組成物を含む容器を、冷凍庫中の予備冷却された棚の上に配置することを含む。実施形態では、容器は、低温バイアル又は注入ガラスバイアル、例えば、2Rガラスバイアルを含む。実施形態では、組成物の凍結は、液体窒素を使用しない。
【0111】
実施形態では、細胞の集合体を含む組成物の温度が低下する速度は、細胞の生存率に影響を及ぼし得る。冷却速度は、冷却装置、容器、組成物、及び組成物の体積を含む多くの要因に依存する。実施形態では、組成物の温度は、約1℃~約50℃/秒、約2℃~約40℃/秒、約3℃~約30℃/秒、約4℃~約20℃/秒、又は約5℃~約10℃/秒低下する。実施形態では、組成物の温度は、約1℃~約50℃/分、約2℃~約40℃/分、約3℃~約30℃/分、約4℃~約20℃/分、又は約5℃~約10℃/分低下する。実施形態では、細胞の集合体を含む組成物の温度は、凍結プロセス中に組成物のTを超えない。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法において水性成分(特に水)を除去することは、水性成分を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含む。実施形態では、圧力を下げることは、凍結組成物に真空を適用することを含む。実施形態では、圧力を下げることは、圧力を10torr、例えば、約8torr未満、約5torr未満、約2torr未満、又は約1torr未満に低下させることを含む。実施形態では、圧力を下げることは、圧力を約0.8torr未満に低下させることを含む。実施形態では、圧力を下げることは、圧力を約0.4torr未満に低下させることを含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、水性成分(特に水)を除去することは、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含む。実施形態では、一次乾燥ステップは、水を除去するために圧力を下げることを含む。実施形態では、二次乾燥ステップは、水性成分を除去するために熱を加えることを含む。実施形態では、一次乾燥ステップは、組成物の水の昇華(すなわち、固相から気相への遷移)を含む。実施形態では、二次乾燥ステップは、組成物の水の解離を含む。凍結乾燥の文脈で使用される場合、「解離」は、水性成分(例えば、水分子)と凍結組成物の1つ以上の成分との間の生理化学的相互作用の破壊を指す。実施形態では、圧力及び温度は、組成物の水が昇華及び/又は解離することができるように選択される。
【0114】
いくつかの実施形態では、二次乾燥ステップにおいて熱を加えることは、組成物を-20℃を超えて加熱することを含む。実施形態では、熱を加えることは、組成物を-10℃を超えて加熱することを含む。実施形態では、熱を加えることは、組成物を0℃を超えて加熱することを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥は、組成物から溶質(例えば、水又は水性成分)を除去する。当業者は、「凍結乾燥細胞」が依然としていくつかの量の水を含み得ることを理解するであろう。実施形態では、凍結乾燥細胞の集合体に残存する溶質の量は、細胞が再構成されるときに生存率を維持する細胞内の因子であり得る。実施形態では、凍結乾燥細胞の集合体は、10%w/w未満の水を含む。実施形態では、凍結乾燥細胞の集合体は、5%w/w未満の水を含む。実施形態では、凍結乾燥細胞の集合体は、10%w/w未満、9%w/w未満、8%w/w未満、7%w/w未満、6%w/w未満、5%w/w未満、4%w/w未満、3%w/w未満、2%w/w未満、又は1%w/w未満の水を含む。実施形態では、細胞と、グリセロール、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせから選択される凍結乾燥剤との凍結乾燥混合物を含む組成物は、10%未満の水を含む。実施形態では、細胞と、グリセロール、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせから選択される凍結乾燥剤との凍結乾燥混合物を含む組成物は、5%未満の水を含む。実施形態では、細胞と、グリセロール、プロピレングリコール、又はそれらの組み合わせから選択される凍結乾燥剤との凍結乾燥混合物を含む組成物は、10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、又は1%未満の水を含む。
【0116】
他の実施形態では、組成物は、凍結乾燥後に、約90%(体積/体積)未満、時には約80%(体積/体積)未満、時には約70%(体積/体積)未満、時には約60%(体積/体積)未満、時には約50%(体積/体積)未満、時には約40%(体積/体積)未満、時には約30%(体積/体積)未満、時には約20%(体積/体積)未満、時には約10%(体積/体積)未満、時には約9%(体積/体積)未満、時には約8%(体積/体積)未満、時には約7%(体積/体積)未満、時には約6%(体積/体積)未満、時には約5%(体積/体積)未満、時には約4%(体積/体積)未満、時には約3%(体積/体積)未満、時には約2%(体積/体積)未満、又は時には約1%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0117】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥は、組成物を凍結させること、及び水を除去することの両方ができるデバイス、例えば、LABCONCO製のFREEZONE凍結乾燥機、SP SCIENTIFIC製のFREEZEMOBILE、VIRTIS、及びHULL凍結乾燥機、並びにMILLROCK TECHNOLOGY製のSTELLAR、REVO、MAGNUM、及びEPIC凍結乾燥機などの凍結乾燥機で行われる。実施形態では、組成物の凍結及び水性成分の除去は、別個のデバイス(例えば、冷凍庫、例えば、-80℃の冷凍庫)中で、又は組成物を凍結させるための液体窒素、及び水を除去するための真空システムで行われる。
【0118】
いくつかの実施形態では、細胞は、2次元表面上で、例えば、プレート又は容器の表面上で凍結乾燥される。実施形態では、凍結乾燥は、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない表面上(例えば、容器中)で行われる。実施形態では、表面(例えば、容器)は、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック表面/容器である。
【0119】
いくつか実施形態では、細胞は、3次元マトリックス上で凍結乾燥される。実施形態では、凍結乾燥は、例えば、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない、容器中の3Dマトリックス上で行われる。
【0120】
いくつかの実施形態では、細胞、水性成分、及び凍結乾燥剤を含む組成物は、マトリックスを更に含む。マトリックスの非限定的な例としては、例えば、コラーゲン(例えば、I型、II型、又はIV型コラーゲン)、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチン、カドヘリン、テナシン-C、及び他のマトリックス由来のペプチドが挙げられる。実施形態では、そのような細胞の集合体は、マトリックスに懸濁される。実施形態では、マトリックスは、ヒドロゲルである。
【0121】
上の方法のいずれかの実施形態では、組成物は、ヒドロゲルを更に含む。ヒドロゲルは、親水性であるポリマー鎖のネットワークであり、水が分散媒体であるコロイドゲルとして見られることがある。実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性ヒドロゲルである。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル、又はそれらの組み合わせである。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、又はコラーゲンゲルの組み合わせである。実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。実施形態では、細胞の集合体の凍結は、懸濁液中で行われるか、又は容器に付着して行われる。実施形態では、細胞の集合体の凍結は、ヒドロゲルに懸濁された細胞の集合体で行われる。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲルである。
【0122】
いくつかの実施形態では、ヒドロゲルは、Sigma Aldrichから入手可能なHYSTEM(商標)Gelである。HYSTEM(商標)は、チオール修飾HA(GLYCOSIL(登録商標))及びチオール反応性架橋剤(EXTRALINK(登録商標))から構成されるHYSTEM(商標)を含み得る。例えば、Chen D,et al.,Eye(Lond),2017 Jun;31(6):962-971、Devarasetty M,,et al.,Biofabrication,2017 Jun 7;9(2):021002、Mannino RG,et al.,Lab Chip,2017 Jan 31;17(3):407-414、Chen X,et al.,J Tissue Eng Regen Med,2016 May;10(5):437-46、及びEngel BJ,,et al.,Adv Healthc Mater,2015 Aug 5;4(11):1664-74を参照されたい。架橋剤は、ゲル化プロセスを可能にする(架橋剤がなければ、HA溶液は液体のままである)。HYSTEM(商標)にはまた、HYSTEM(商標)を含んでもよく、GLYCOSIL(登録商標)及びEXTRALINK(登録商標)だけではなく、いくつかの細胞付着のニーズ(例えば、幹細胞)に対応するために、GELIN-S(登録商標)と呼ばれるチオール修飾変性コラーゲン線維も含まれ得る。HYSTEM(商標)はまた、HYSTEM(商標)HP(HYSHP020-1KT、sigmaaldrich.com/catalog/product/sigma/hyshp020?lang=en&region=US)も含まれ得る。これには、HYSTEM(商標)C及びヘパリン硫酸が全て含まれており、細胞のすぐ近くで成長因子が確実に放出される。実施形態では、ヒドロゲルは、1つより多いHYSTEM(商標)ゲルを含む。実施形態では、ヒドロゲルは、更に処理された(例えば、化学修飾された)HYSTEM(商標)ゲルを含む。実施形態では、ヒドロゲルは、HYSTEMゲル及びアルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル及び/又は異なるヒアルロナンゲルを含む。
【0123】
本明細書に提供される方法の実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。実施形態では、細胞の集合体の凍結は、懸濁液中で行われるか、又は容器に付着して行われる。実施形態では、細胞の集合体の凍結は、ヒドロゲルに懸濁された細胞の集合体で行われる。
【0124】
本明細書に提供される方法の実施形態では、組成物中の単糖の濃度は、凍結前に調節される。本明細書で使用される場合、凍結前の濃度は、本明細書に提供される方法の適用前の組成物中の成分の濃度である。
【0125】
本明細書に提供される方法の実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4M、又は約0.2M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.4M~約0.6Mである。実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0126】
実施形態では、単糖は、糖のD形態及びL形態の両方を含み得る。いくつかの実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、又はデオキシリボースである。実施形態では、糖は、天然に存在しないか、又は半人工の単糖を含み得る。実施形態では、糖は、(i)D-及びL-アロース、D-及びL-アルトロース、D-及びL-フコース、D-及びL-グロース、D-ソルボース、D-タガトースを含むヘキソース(6個の炭素を含有する)、(ii)D-及びL-アラビノース、D-及びL-リキソース、ラムノース、D-リボース、リブロース及びその合成形態のスクロリブロース、及びD-キシロース又は木糖といったペントース(5個の炭素を含有する)を含み得る。
【0127】
本発明に提供される方法の実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。実施形態では、単糖は、グルコースである。
【0128】
単糖がグルコースである方法の実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0129】
本明細書に提供される方法の実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4M、又は約0.2M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mである。実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0130】
本明細書に提供される方法の実施形態では、尿素の単糖に対するモル比は、いずれかの成分の濃度を変化させることによって調節することができる。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1である。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:2~約2:1である。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:1である。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:5~約5:1である。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:4~約4:1である。実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5である。
【0131】
単糖がグルコースである方法の実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1である。実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:2~約2:1である。実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:1である。実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:5~約5:1である。実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:4~約4:1である。実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5である。
【0132】
本明細書に提供される方法の実施形態では、凍結は、懸濁液中、又は容器の表面に付着した細胞で行われ得る。実施形態では、凍結は、一部の細胞が懸濁液中にあり、一部の細胞が容器の表面に付着した状態で、例えば、懸濁細胞及び付着細胞の両方で行われ得る。実施形態では、凍結は、ヒドロゲルに懸濁された細胞の集合体で行われる。好適なヒドロゲルは、本明細書に記載されている。
【0133】
実施形態では、凍結は、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない容器中で行われる。実施形態では、容器は、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック容器である。実施形態では、凍結は、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない表面上で行われる。実施形態では、表面は、ガラス又はプラスチックである。
【0134】
本明細書に提供される方法の実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり1×10個の細胞である。実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり4×10個の細胞である。実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約2×10個の細胞~1mL当たり2.5×10個の細胞である。実施形態では、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞、1mL当たり1.5×10個の細胞、1mL当たり2×10個の細胞、1mL当たり2.5×10個の細胞、1mL当たり3×10個の細胞、1mL当たり3.5×10個の細胞、1mL当たり4×10個の細胞、1mL当たり4.5×10個の細胞、又は1mL当たり5×10個の細胞である。
【0135】
本明細書に提供される方法の実施形態では、増量剤は、二糖を含む。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約0.5Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.2M~約0.4Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約0.4Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約0.3Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.25M~約0.45Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0136】
実施形態では、二糖は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース又はゲンチオビオースである。実施形態では、二糖は、C~Cグリコシド結合を有する。実施形態、実施形態では、二糖は、例えば、α(1→2)β、β(1→4)、又はα(1→4)結合を含み得る。実施形態では、二糖は、スクロースである。
【0137】
スクロースが使用される方法の実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.5Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.4Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.4Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.3Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.25M~約0.45Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0138】
本明細書に提供される方法の実施形態では、増量剤は、糖アルコールを含む。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0139】
実施形態では、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである。実施形態では、糖アルコールは、マンニトールである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4M、又は約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.25M~約0.75Mである。実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0140】
本明細書に提供される方法の実施形態では、増量剤は、二糖及び糖アルコールの両方を含む。実施形態では、増量剤は、二糖のみを含む。実施形態では、増量剤は、糖アルコールのみを含む。実施形態では、増量剤は、スクロース及びマンニトールの両方を含む。実施形態では、増量剤は、スクロースのみを含む。実施形態では、増量剤は、マンニトールのみを含む。
【0141】
実施形態では、本明細書に提供される方法は、細胞の保存のためにDMSOを使用しない。実施形態では、本明細書に提供される方法は、従来の方法を使用した細胞の保存に必要とされる濃度よりも低い濃度でのDMSOの使用を可能にする。本明細書に提供される方法の実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約1~約10%、又は約1.5%~約8%、又は約2%~約5%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約3%~約8%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約4.5%、又は約1%~約4%、又は約1%~約3%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、凍結前に約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%の濃度でDMSOを含む。
【0142】
本明細書に提供される方法の実施形態では、(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。本明細書で使用される「ポレーション溶液」という用語は、典型的には細胞培地及び糖から構成される溶液に関する。細胞膜を穿孔する目的はない。むしろ、ポレーション溶液は、糖、例えば、そこに含有されるトレハロースを細胞に導入し、次いで低温保護を容易にする目的で、プレインキュベーション溶液として使用される。実施形態では、方法は、凍結前に、細胞の集合体が、単離され(例えば、遠心分離されるか、又は濾過されるか、又は細胞からの培地の単純な除去によって、通常、培養フラスコなどの容器の壁又は底部に付着する)、ポレーション溶液に再懸濁されるステップを含む。ポレーション溶液は、水溶液中に糖(例えば、トレハロース)を含む。実施形態では、ポレーション溶液は、糖及び水を含む。実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロース及び水を含む。実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロース及び細胞培養培地を含む。実施形態では、細胞の集合体は、ポレーション溶液中に配置され、次いで、熱処理を受ける。実施形態では、熱処理は、He et al.,(He,X.,et al.,Cell Preservation Technology 4,178-187(2006))に概説されるように行われる。実施形態では、熱処理は、例えば、細胞の集合体をポレーション溶液中に配置し、次いで、組成物を1~60分間、例えば、2~50分間、3~40分間、4~30分間、5~20分間、5~15分間、又は約10分間冷却し、その後、組成物を1~60分間、例えば、2~50分間、3~40分間、4~30分間、5~20分間、5~15分間加熱することを含む。冷却及び加熱は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回繰り返すことができる。実施形態では、冷却及び加熱は、1回、2回、又は3回繰り返すことができる。実施形態では、冷却は、-20℃~10℃、又は-10℃~10℃、又は0℃~10℃、又は2℃~8℃であった。実施形態では、加熱は、0℃~50℃、又は4℃~40℃、8℃~40℃ 又は20℃~40℃であった。実施形態では、冷却温度と加熱温度との差は、4℃より大きく、6℃より大きく、8℃より大きく、10℃より大きく、15℃より大きく、又は20℃より大きかった。
【0143】
ポレーション溶液がトレハロースを含む実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.2M~約0.6Mである。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、又は1.0Mである。
【0144】
実施形態では、組成物の張度は、細胞生存率及び付着に影響を及ぼし得る。「張度」は、浸透によって水を細胞内に、又は細胞外に移動させる細胞外溶液の能力を指す。張度は、溶液の浸透圧、すなわち、溶液中の全ての溶質の総濃度に関連する。「等張性」溶液は、細胞と同じ浸透圧であり、したがって、細胞の内側又は外側への水の正味の移動がない溶液を指す。「高張性」溶液は、細胞の浸透圧濃度よりも高く、したがって、水が細胞から細胞外溶液に移動する溶液を指す。「低張性」溶液は、細胞の浸透圧が低く、したがって、水が細胞外溶液から細胞内に移動する溶液を指す。実施形態では、細胞の集合体を含む組成物は、等張性溶液である。実施形態では、細胞を含む組成物は、高張性溶液である。いくつかの実施形態では、組成物の張度は、凍結乾燥プロセスを容易にし、細胞を損傷若しくは溶解から保護し、かつ/又は細胞生存率を増加させる。
【0145】
いくつかの実施形態では、組成物の水性成分は、緩衝液を含む。緩衝液の非限定的な例としては、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、HEPES緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリシン緩衝液、TES緩衝液などが挙げられる。実施形態では、組成物の水性成分は、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、又はそれらの組み合わせを含む。
【0146】
いくつかの実施形態では、組成物の水性成分は、細胞培養培地を含む。細胞培養培地の非限定的な例としては、GIBCO製のDMEM、MEM、RPMI 1640、EXPI293、OPTI-MEM、及びSTEMPRO、HYCLONE製のHYQ-RS、LONZA BIOWHITTAKER製のX-VIVO及びHybridoma Serum-Free Culture Mediaなどが挙げられる。実施形態では、培地は、血清を含まない。実施形態では、培地は、ウシ胎児血清、ウシ血清、又はヒト血清を含まない。実施形態では、培地は、化学的に定義された培地である。例示的な化学的に定義された媒体は、基礎培地(例えば、DMEM、F12、又はRPMI 1640)、デキストロース及びグルコースなどの糖、アミノ酸、ビタミン、無機塩、緩衝液、酸化防止剤、成長因子及びエネルギー源、組換え血清アルブミン、化学的に定義された脂質、組換えインスリン及び/又は亜鉛、組換えトランスフェリン又は鉄、セレン、及び/又は酸化防止チオール、例えば、2-メルカプトエタノール又は1-チオグリセロールを含み得る。実施形態では、細胞培養培地は、デキストロース、グルコース、アミノ酸、組換え血清アルブミン、成長因子、又はそれらの組み合わせを含む。
【0147】
本明細書に提供される方法の実施形態では、細胞は、再構成剤、例えば、凍結又は凍結乾燥された細胞を懸濁させるために使用することができる任意の液体中で、再構成される。実施形態では、再構成剤は、細胞培養培地を含む。実施形態では、再構成剤は、上記の細胞培養培地を含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥プロセスは、少なくとも全ての細胞ではなく、細胞を溶解又は損傷しない。実施形態では、凍結乾燥細胞は、再構成することが可能であり、生存可能である。凍結乾燥の文脈では、「再構成」は、凍結乾燥物質、例えば、凍結乾燥細胞を再水和させるプロセスを指す。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、生存可能である。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、凍結乾燥を受けない細胞と同じ細胞機能を発揮することができる。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、生存可能である。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、他の細胞に接着又は付着する能力を保持する。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、増殖する能力を保持する。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される幹細胞は、分化する能力を保持する。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、細胞療法、例えば、ヒト又は動物への導入における使用に好適である。実施形態では、凍結乾燥後に再構成される細胞は、培養フラスコに付着し、増殖し、規則的な形態のものであり、したがって、生存率、したがって、規則的な細胞機能を示している。
【0149】
いくつかの実施形態では、凍結乾燥細胞の再構成は、凍結乾燥細胞を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することを含む。凍結乾燥の文脈では、「再構成剤」は、凍結乾燥製品を再懸濁し、再水和する物質を指す。実施形態では、再構成剤は、水を含む。実施形態では、再構成剤は、緩衝液を含む。実施形態では、再構成剤は、細胞培養培地を含む。実施形態では、再構成剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)を含む。実施形態では、再構成剤は、トレハロースを含む。実施形態では、再構成剤は、PVP、トレハロース、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態では、再構成剤は、リン酸緩衝溶液(PBS)を含む。いくつかの実施形態では、再構成剤は、細胞の生存率を維持することが知られている溶液であり得る。
【0150】
本明細書に提供される方法は、凍結又は凍結乾燥又は様々な種類の細胞及び様々な供給源からの細胞のために使用され得る。いくつかの実施形態では、細胞は、細胞培養物、すなわち、培養細胞から得られる。実施形態では、細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、人工多能性幹細胞を含む。実施形態では、細胞の集合体は、神経芽腫細胞を含む。実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。実施形態では、上に列挙した細胞のいずれかは、ヒト細胞である。
【0151】
実施形態では、細胞の集合体は、細菌細胞を含む。そのような細菌細胞の例としては、限定されないが、E.coli、S.aureus、V.cholerae、S.pneumoniae、B.subtilis、C.crescentus、M.genitalium、A.fischeri、Synechocystis、P.fluorescens、A.vinelandii、S.coelicolorが挙げられる。実施形態では、細菌細胞は、食品及び/又は飲料の調製に使用される細菌のものである。そのような細胞の非限定的な例示的な属としては、限定されないが、Acetobacter、Arthrobacter、Bacillus、Bifidobacterium、Brachybacterium、Brevibacterium、Carnobacterium、Corynebacterium、Enterococcus、Gluconacetobacter、Hafnia、Halomonas、Kocuria、Lactobacillus(L.acetotolerans、L.acidipiscis、L.acidophilus、L.alimentarius、L.brevis、L.bucheri、L.casei、L.curvatus、L.fermentum、L.hilgardii、L.jensenii、L.kimchii、L.lactis、L.paracasei、L.plantarum、及びL.sakeiを含む)、Leuconostoc、Microbacterium、Pediococcus、Propionibacterium、Weissella、並びにZymomonasが挙げられる。
【0152】
実施形態では、細胞の集合体は、真核細胞を含む。実施形態では、真核細胞は、動物又はヒトの細胞である。実施形態では、真核細胞は、ヒト又はげっ歯類又はウシの細胞株又は細胞系統である。そのような細胞、細胞株又は細胞系統の例としては、限定されないが、マウス骨髄腫(NSO)細胞株、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株、HT1080、H9、HepG2、MCF7、MDBK Jurkat、NIH3T3、PC12、BHK(ベビーハムスター腎臓細胞)、VERO、SP2/0、YB2/0、Y0、C127、L cell、COS、例えば、COS1及びCOS7、QC1-3、HEK-293、VERO、PER.C6、HeLA、EBl、EB2、EB3、腫瘍溶解性若しくはハイブリドーマ細胞株が挙げられる。実施形態では、真核細胞は、CHO細胞株である。実施形態では、真核細胞は、CHO細胞である。実施形態では、細胞は、CHO-K1細胞、CHO-K1 SV細胞、DG44 CHO細胞、DUXB11 CHO細胞、CHOS細胞、CHO GSノックアウト細胞、CHO FUT8 GSノックアウト細胞、CHOZN細胞、又はCHO由来細胞である。CHO GSノックアウト細胞(例えば、GSKO細胞)は、例えば、CHO-K1 SV GSノックアウト細胞である。真核細胞はまた、例えば、EBX細胞、EB14、EB24、EB26、EB66、又はEbvl3などのトリ細胞、細胞株、又は細胞系統であってもよい。
【0153】
いくつかの実施形態では、真核細胞は、ヒト細胞である。実施形態では、ヒト細胞は、幹細胞である。実施形態では、本明細書に提供される方法は、例えば、細胞療法で使用するために、再構築時に生存可能である凍結乾燥幹細胞を製造するのに有利である。幹細胞は、例えば、胚幹細胞(ESC)、成体幹細胞、人工多能性幹細胞(iPSC)、組織特異的幹細胞(例えば、造血幹細胞、神経幹細胞、上皮幹細胞、皮膚幹細胞など)、及び間葉系幹細胞(MSC)を含む、多能性幹細胞であってもよい。実施形態では、幹細胞は、間葉系幹細胞(MSC)である。実施形態では、MSCは、ヒト対象の骨髄、臍帯血、末梢血、卵管、肝臓、及び/又は肺から得られる。実施形態では、幹細胞は、人工多能性幹細胞(iPSC)である。実施形態では、iPSCは、1つ以上の多能性因子を発現することができる少なくとも1つのベクターを有する。実施形態では、iPSCは、ヒト対象の線維芽細胞、ケラチノサイト、末梢血単核細胞(PBMC)、肝細胞、神経細胞、B細胞、筋細胞、副腎細胞、及び/又は腎上皮細胞、あるいは人工多能性幹細胞になるのに好適であることが知られている任意の他の種類の細胞に由来する。実施形態では、ヒト細胞は、本明細書に記載の細胞のいずれかの分化形態である。実施形態では、細胞は、1つ以上の多能性因子を発現することができる少なくとも1つのベクターを含むが、多能性因子は、凍結乾燥の前にはまだ発現されておらず、したがって、細胞は、まだ多能性に誘導されていない。実施形態では、真核細胞は、培養中の任意の一次細胞に由来する細胞である。
【0154】
いくつかの実施形態では、真核細胞は、ヒト肝細胞、動物肝細胞、又は非実質細胞などの肝細胞である。例えば、真核細胞は、播種可能な代謝適格ヒト肝細胞、播種可能な誘導適格ヒト肝細胞、播種可能なヒト肝細胞、懸濁適格ヒト肝細胞(10ドナー及び20ドナーのプールされた肝細胞を含む)、ヒト肝クッパー細胞、ヒト肝星細胞、イヌ肝細胞(単一及びプールされたビーグル肝細胞を含む)、マウス肝細胞(CD-1及びC57BI/6肝細胞を含む)、ラット肝細胞(Sprague-Dawley、Wistar Han、及びWistar肝細胞を含む)、サル肝細胞(カニクイザル又はアカゲザル肝細胞を含む)、ネコ肝細胞(ドメスティック・ショートヘア肝細胞を含む)、並びにウサギ肝細胞(ニュージーランド・ホワイト肝細胞を含む)であり得る。実施形態では、細胞は、眼由来である。実施形態では、細胞は、網膜細胞、強膜細胞、脈絡膜上皮細胞、マクロファージ細胞、又は免疫細胞である。
【0155】
いくつかの実施形態では、細胞は、細胞株から得られる。細胞株の非限定的な例としては、MOLT-4(分化型又は未分化型)、Jurkat、HL60(分化型又は未分化型)、U-937(分化型又は未分化型)、HDLM-2、THP-1(分化型又は未分化型)、GA10、Ramos、HUVEC、PANC-1、Expi293、HaCat、HCT-15、H-2228、末梢血単核細胞(PBMC)、KU-812、MC-04、HT-1376、TT、HCT-1116、MCF-7、Calu-3などが挙げられる。例示的な単球細胞株としては、THP-1、分化型THP-1、HL60、及び分化型HL60が挙げられる。例示的なNK細胞株は、NK92である。例示的なT細胞株としては、Jurkat及びMolt-4が挙げられる。例示的なB細胞株は、GA-10である。例示的な内皮細胞株としては、HUVEC及び分化型HUVECが挙げられる。例示的な肝細胞株としては、HepG2及び分化型HepG2が挙げられる。例示的な上皮細胞株としては、A549、A431、Caco-2、HT29、LNCap、SKOV3、SW480、PC3、MDMB-468、MDMB-231、MCF7、HT-1376、PANC-1、HCT15、Calu-3、Skov3、Bewo、K562、及びHeLa.が挙げられる。更なる追加の細胞株としては、例えば、HT-29 sARPE-19、SH-SY5Y、及びU87-MGが挙げられる。
【0156】
細胞の更なる例としては、T細胞、B細胞、樹状細胞、NK細胞、単球、マクロファージ、顆粒球、血小板、赤血球、内皮細胞(例えば、大動脈内皮細胞)、上皮細胞、幹細胞前駆細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、白血球、老化細胞、脂肪細胞、肝細胞、筋細胞、又は骨格筋細胞が挙げられる。T細胞としては、例えば、サブタイプTh1、Th2、Th9、Th17、Th22及びTfhなどのヘルパーT細胞;調節T細胞;キラーT細胞;γδTCR+T細胞;及びナチュラルキラーT細胞が挙げられる。脂肪細胞としては、例えば、正常脂肪細胞、糖尿病性脂肪細胞、大網脂肪細胞、MSC由来脂肪細胞、脂肪前駆細胞、及び大網脂肪前駆細胞が挙げられる。
【0157】
いくつかの実施形態では、真核細胞は、植物細胞である。例えば、植物細胞は、キャッサバ、トウモロコシ、ソルガム、小麦、又は米などの作物植物のものであり得る。植物細胞は、藻類、樹木、又は植物のものであり得る。植物細胞は、単子葉植物若しくは双子葉植物のもの、又は作物若しくは穀物植物のもの、生産植物、果実、若しくは野菜のものであり得る。例えば、植物細胞は、樹木、例えば、オレンジ、グレープフルーツ、又はレモンの樹木などの柑橘類樹木;モモ又はネクタリンの樹木;リンゴ又はナシの樹木;アーモンド又はクルミ又はピスタチオの樹木などのナッツ樹木;ナス科の植物、例えば、ジャガイモ;Brassica属の植物、Lactuca属の植物;Spinacia属の植物;Capsicum属の植物;ワタ、タバコ、アスパラガス、ニンジン、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、トマト、ナス、コショウ、レタス、ホウレンソウ、イチゴ、ブルーベリー、ラズベリー、ブラックベリー、ブドウ、コーヒー、ココアなどのものであり得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、細胞は、微生物叢中の細胞を含む。実施形態では、細胞は、微生物叢を含む細胞の組み合わせである。実施形態では、細胞は、生物、例えば、ヒト、家畜(例えば、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマなど)、又は動物園動物の表面及び内部に生息する、微生物叢中の多数の完全な微生物を含む。実施形態では、微生物叢は、細菌、古細菌(原始的な単細胞生物)、真菌、及び更にいくつかの原生動物及び非生物であるウイルスを含む。実施形態では、微生物叢は、消化管微生物叢(例えば、食道、胃、及び/又は腸内微生物叢)、経口微生物叢、尿路微生物叢、鼻微生物叢、呼吸器微生物叢、皮膚微生物叢、膣微生物叢、直腸微生物叢、又はそれらの組み合わせである。実施形態では、微生物叢は、乳児の微生物叢である。実施形態では、微生物叢は、成人の微生物叢である。
【0159】
本明細書に提供される凍結乾燥方法では、水を除去することは、水を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含む。凍結乾燥方法は、本明細書に記載されている。実施形態では、水を除去することは、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含む。一次及び二次乾燥ステップは、本明細書に記載されている。実施形態では、水を除去することは、一次乾燥ステップのみを含む。実施形態では、一次乾燥ステップは、水性成分を除去するために圧力を下げることを含む。実施形態では、二次乾燥ステップは、水性成分を除去するために熱を加えることを含む。
【0160】
いくつかの実施形態では、凍結は、約-30℃~約-100℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-60℃~約-90℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-70℃~約-80℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-60℃、約-65℃、約-70℃、約-75℃、約-80℃、約-85℃、又は約-90℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-10℃~約-100℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-20℃~約-90℃で行われる。実施形態では、凍結は、約-40℃~約-60℃で行われる。実施形態では、凍結は、組成物の温度を約-50℃まで下げる。実施形態では、凍結は、組成物の温度を約-80℃まで下げる。実施形態では、凍結は、組成物の温度を約-40℃、-50℃、-60℃、-70℃、-80℃、又は-90℃まで下げる。
【0161】
いくつかの実施形態では、凍結は、組成物の温度を-50℃まで下げ、水は、約20mTorr~約40mTorrのチャンバ圧の圧力で除去される。実施形態では、凍結は、組成物の温度を-40℃まで下げ、水は、約60mTorr~約80mTorrのチャンバ圧の圧力で除去される。
【0162】
本明細書に提供される方法を使用して処理されたら、細胞は、長期間保管することができる。細胞を凍結させる方法の実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後2時間を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1日を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1週間を超えて行われる。実施形態では、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1ヶ月を超えて行われる。
【0163】
細胞を凍結乾燥させる方法の実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水の除去後2時間を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水の除去後1日を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水の除去後1週間を超えて行われる。実施形態では、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水の除去後1ヶ月を超えて行われる。
【0164】
方法の実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃未満で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃~約30℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約4℃~約28℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約10℃~約27℃で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約2℃~約8℃で保管される。
【0165】
実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に2日より長く、例えば、再懸濁させる前に2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月より長く、約-20℃未満で保管される。実施形態では、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に2日より長く、例えば、再懸濁させる前に2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月より長く、約-20℃を超えて保管される。実施形態では、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、例えば、再懸濁させる前に2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月より長く、約20℃~約25℃で保管される。実施形態では、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、例えば、再懸濁させる前に2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、又は6ヶ月より長く、約2℃~約8℃で保管される。
【0166】
本明細書で考察されるように、方法は、凍結又は凍結乾燥の後に生存可能細胞を提供する。「生存」細胞は、生存し、機能する細胞、例えば、生存し、正常な細胞機能を発揮することができる細胞を指す。実施形態では、細胞の正常な細胞機能は、他の細胞への接着又は付着である。「細胞接着」又は「細胞付着」は、表面タンパク質の相互作用を通じて、細胞が相互作用し、隣接する細胞及び/又はそれらの成長容器の表面に付着するプロセスを指す。付着することができない細胞は、増殖又は正常な細胞機能を発揮することができない場合がある。例えば、付着することができない幹細胞は、分化することができない場合がある。別の例では、細胞療法のために患者に導入されるが、付着することができない細胞は、細胞が患者において正常な機能を発揮することができないため、治療上の利益を提供しない場合がある。したがって、実施形態では、生存可能細胞は、付着が可能な細胞である。実施形態では、生存可能細胞は、増殖が可能な細胞である。実施形態では、生存幹細胞は、分化が可能な幹細胞である。
【0167】
いくつかの実施形態では、細胞の生存率は、例えば、細胞集合体の酸化還元電位及び/又は代謝活性を測定することによって決定される。細胞集合体の酸化還元電位及び/又は代謝活性は、ALAMARBLUE(登録商標)及びPRESTOBLUE(登録商標)の試薬の成分であるレサズリン、VYBRANT MTT Cell Viability Assayに使用されるMTT(3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)、又はCYQUANT XTT Cell Viability Assayに使用されるXTT(2,3-ビス-(2-メトキシ-4-ニトロ-5-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム-5-カルボキサニリド)などの試薬によって測定することができる。実施形態では、細胞の生存率は、細胞膜の完全性を測定又は検査することによって、例えば、顕微鏡法又はフローサイトメトリーを使用して決定される。生存率の決定に使用される場合、顕微鏡法は、例えば、細胞の形態が、生存可能であることが知られている細胞に類似しているように見えるかどうか、及び/又は細胞が増殖するかどうか、及び/又は細胞が培養フラスコの壁又は底部に付着しているかどうかを観察することを可能にする。実施形態では、細胞の生存率は、細胞が凍結され、次いで解凍されるか、又は再懸濁された後に測定される。実施形態では、細胞の生存率は、細胞が凍結乾燥され、次いで再構成された後に測定される。
【0168】
細胞生存率アッセイの追加の例は、例えば、Riss et al.,“Cell Viability Assays,”2013 May 1[Updated 2016 Jul 1].In:Sittampalam GS,Coussens NP,Brimacombe K,et al.,editors.Assay Guidance Manual[Internet].Bethesda(MD):Eli Lilly&Company and the National Center for Advancing Translational Sciences;2004に記載されている。www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK144065から入手可能。
【0169】
当業者は、細胞(すなわち細胞の集合体)の生存率を議論するとき、細胞の100%が生存可能ではないことを理解することができる。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも1%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも5%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも10%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも15%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも20%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも30%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも40%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも50%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも60%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも70%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも80%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも90%の生存可能細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、約1%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、5%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、10%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、20%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約30%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約40%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約50%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約60%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約70%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、約80%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞、又は約90%の生存可能細胞~約99%の生存可能細胞を含む。
【0170】
いくつかの実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも1%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも5%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも10%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも20%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも30%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも40%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも50%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも60%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも70%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも80%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、少なくとも90%の付着が可能な細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞集合体は、約1%~約99%の付着が可能な細胞、5%~約99%の付着が可能な細胞、10%~約99%の付着が可能な細胞、20%~約99%の付着が可能な細胞、約30%~約99%の付着が可能な細胞、約40%~約99%の付着が可能な細胞、約50%~約99%の付着が可能な細胞、約60%~約99%の付着が可能な細胞、約70%~約99%の付着が可能な細胞、約80%~約99%の付着が可能な細胞、又は約90%~約99%の付着が可能な細胞を含む。
【0171】
いくつかの実施形態では、再構成された細胞は、生存可能である。細胞の生存率を測定する方法は、本明細書に記載されている。実施形態では、細胞生存率は、無傷の細胞膜を染色し、検出することによって測定される。実施形態では、細胞生存率は、代謝活性を評価することによって、例えば、ALAMARBLUE(登録商標)、MTT、又はXTT試験を使用することによって測定される。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約5%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約10%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約60%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約70%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約80%が生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約90%が生存可能である。
【0172】
いくつかの実施形態では、再構成された細胞は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着が可能である。本明細書に記載される場合、ALAMARBLUE(登録商標)試験は、細胞の代謝活性を評価し、これは、細胞付着の指標であり得る。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも20%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも60%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも70%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも80%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも90%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、付着する。
【0173】
生存可能細胞の集合体を含む組成物
実施形態では、本開示は、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素及び単糖を含む組成物を提供する。実施形態では、組成物は、増量剤を更に含む。実施形態では、組成物は、ヒアルロナンゲルを更に含む。
【0174】
組成物の実施形態では、単糖の濃度は、約0.2M~約1.25M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0175】
組成物の実施形態では、尿素の濃度は、約0.2M~約1.25M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである。
【0176】
組成物の実施形態では、単糖の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0177】
組成物の実施形態では、尿素の濃度は、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである。
【0178】
組成物の実施形態では、組成物中の尿素の単糖に対するモル比は、約5:1~約1:5、若しくは約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である。
【0179】
組成物の実施形態では、増量剤は、a)二糖であって、二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースである、二糖、又はb)糖アルコールであって、糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、若しくはイノシトールである、糖アルコール、又はc)二糖及び糖アルコールの両方、又はd)スクロース及びマンニトールの両方を含む。組成物の実施形態では、凍結前の二糖類の濃度は、約0.1M~約1.0M、若しくは約0.1M~約0.5M、若しくは約0.2M~約0.4Mであり、かつ/又は凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M~約1.0M、若しくは約0.3M~約0.8M、若しくは約0.4M~約0.6Mである。
【0180】
組成物の実施形態では、組成物は、約0.2M~約1.25Mの尿素と、約0.2M~約1.25Mのグルコースと、を含む。
【0181】
組成物の実施形態では、組成物が、DMSOを含まないか、又は組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含むか、又は組成物が、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。
【0182】
実施形態では、組成物は、約-10℃~約-100℃、又は約-20℃~約-90℃、又は約-40℃~約-60℃の温度で、凍結状態にある。実施形態では、組成物は、凍結乾燥組成物である。実施形態では、組成物は、約90%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約80%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約70%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約60%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約50%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約40%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約30%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約20%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約10%(体積/体積)未満、約9%(体積/体積)未満、約8%(体積/体積)未満、約7%(体積/体積)未満、約6%(体積/体積)未満、約5%(体積/体積)未満、約4%(体積/体積)未満、約3%(体積/体積)未満、約2%(体積/体積)未満、又は約1%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0183】
実施形態では、組成物は、約-10℃~約-100℃、又は約-20℃~約-90℃、又は約-40℃~約-60℃の温度で凍結状態にある。実施形態では、上述の組成物は、凍結乾燥組成物である。実施形態では、上述の組成物は、約90%(体積/体積)未満、又は約80%(体積/体積)未満、又は約70%(体積/体積)未満、又は約60%(体積/体積)未満、又は約50%(体積/体積)未満、又は約40%(体積/体積)未満、又は約30%(体積/体積)未満、又は約20%(体積/体積)未満、又は約10%(体積/体積)未満、又は約9%(体積/体積)未満、又は約8%(体積/体積)未満、又は約7%(体積/体積)未満、又は約6%(体積/体積)未満、又は約5%(体積/体積)未満、又は約4%(体積/体積)未満、又は約3%(体積/体積)未満、又は約2%(体積/体積)未満、又は約1%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0184】
実施形態では、本開示は、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、上述の組成物が、約90%(体積/体積)未満、又は約80%(体積/体積)未満、又は約70%(体積/体積)未満、又は約60%(体積/体積)未満、又は約50%(体積/体積)未満、又は約40%(体積/体積)未満、又は約30%(体積/体積)未満、又は約20%(体積/体積)未満、又は約10%(体積/体積)未満、又は約9%(体積/体積)未満、又は約8%(体積/体積)未満、又は約7%(体積/体積)未満、又は約6%(体積/体積)未満、又は約5%(体積/体積)未満、又は約4%(体積/体積)未満、又は約3%(体積/体積)未満、又は約2%(体積/体積)未満、又は約1%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0185】
実施形態では、本開示は、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物であって、組成物が、約10%(体積/体積)未満の水を含有する、組成物を提供する。実施形態では、組成物は、約5%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約3%(体積/体積)未満の水を含有する。実施形態では、組成物は、約1%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0186】
組成物の実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比(すなわち、(M/M)比)は、約30:1~約1:3である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約15:1~約1:2である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約3:1~約1:1である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5である。
【0187】
実施形態では、本開示はまた、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比が、約30:1~約1:3である、組成物を提供する。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約15:1~約1:2である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約3:1~約1:1である。実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約30:1、25:1、20:1、15:1、10:1、5:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、又は1:5である。
【0188】
本明細書に提供される組成物の実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、リボース、又はデオキシリボースである。実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。実施形態では、単糖は、グルコースである。
【0189】
実施形態では、本開示はまた、生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を提供する。
【0190】
実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのグルコースを含む。実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mのグルコースを含む。実施形態では、組成物は、約0.5Mのグルコースを含む。
【0191】
実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mの尿素を含む。実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mの尿素を含む。実施形態では、組成物は、約0.5Mの尿素を含む。
【0192】
実施形態では、組成物は、スクロースを更に含む。実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む。実施形態では、組成物は、約0.25M~約0.5Mのスクロースを含む。実施形態では、組成物は、約0.25Mのスクロースを含む。実施形態では、組成物は、約0.5Mのスクロースを含む。
【0193】
実施形態では、組成物は、マンニトールを更に含む。実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのマンニトールを含む。実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.5Mのマンニトールを含む。実施形態では、組成物は、約0.25M~約0.5Mのマンニトールを含む。実施形態では、組成物は、約0.25Mのマンニトールを含む。実施形態では、組成物は、約0.5Mのマンニトールを含む。実施形態では、組成物は、約0.4Mのマンニトールを含む。
【0194】
組成物の実施形態では、生存可能細胞の集合体は、本明細書に記載される真核細胞又は原核細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、人工多能性幹細胞を含む。実施形態では、生存可能細胞の集合体は、神経芽腫細胞を含む。実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。
【0195】
実施形態では、本明細書に提供される組成物は、DMSOを含まない。実施形態では、本明細書に提供される組成物は、従来の方法を使用した細胞の保存のための組成物に必要とされる濃度よりも低い濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。実施形態では、組成物は、約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、約2%~約5%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、約3%~約8%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、約1%~約3%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、又は10%の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、体積パーセント(体積%)基準で、上記の濃度でDMSOを含む。実施形態では、組成物は、重量パーセント(重量%)基準で、上記の濃度でDMSOを含む。いくつかの実施形態では、DMSOの濃度は、組成物の1%(重量%)未満、0.5%(重量%)未満、0.2%(重量%)未満、又は0.1%(重量%)未満である。
【0196】
更なる方法
実施形態では、本開示はまた、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造するステップ(a)を含む、方法に関する。
【0197】
実施形態では、本開示は、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法を提供する。
【0198】
実施形態では、本開示は、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分(特に水)を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分(特に水)が、約10%w/w未満である、方法を提供する。
【0199】
実施形態では、本開示はまた、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、本明細書に定義される組成物を凍結させるステップ(a)と、凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、を含む方法に関し、実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約20%(体積/体積)、少なくとも約30%(体積/体積)、少なくとも約40%(体積/体積)、少なくとも約50%(体積/体積)、少なくとも約60%(体積/体積)、少なくとも約70%(体積/体積)、少なくとも約80%(体積/体積)、少なくとも約90%(体積/体積)、少なくとも約91%(体積/体積)、少なくとも約92%(体積/体積)、少なくとも約93%(体積/体積)、少なくとも約94%(体積/体積)、少なくとも約95%(体積/体積)、少なくとも約96%(体積/体積)、少なくとも約97%(体積/体積)、少なくとも約98%(体積/体積)、又は少なくとも約99%(体積/体積)の水を除去することを含む。
【0200】
実施形態では、本開示はまた、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させるステップ(a)と、凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、を含む、方法に関する。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約20%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約30%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約40%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約50%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約60%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約70%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約80%(体積/体積)の水を除去することを含む。実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約90%(体積/体積)、約91%(体積/体積)、約92%(体積/体積)、約93%(体積/体積)、約94%(体積/体積)、約95%(体積/体積)、約96%(体積/体積)、約97%(体積/体積)、約98%(体積/体積)、又は約99%(体積/体積)の水を除去することを含む。
【0201】
実施形態では、本開示は、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0202】
実施形態では、本開示は、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分(特に水)を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分(特に水)が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0203】
実施形態では、本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造するステップ(a)と、凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(b)と、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0204】
実施形態では、本開示はまた、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、上に定義される組成物を凍結させるステップ(a)と、凍結組成物から少なくとも約10%(体積/体積)の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造するステップ(b)と、凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成するステップ(c)と、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関し、実施形態では、ステップ(b)は、少なくとも約20%(体積/体積)、少なくとも約30%(体積/体積)、少なくとも約40%(体積/体積)、少なくとも約50%(体積/体積)、少なくとも約60%(体積/体積)、少なくとも約70%(体積/体積)、少なくとも約80%(体積/体積)、少なくとも約90%(体積/体積)、少なくとも約91%(体積/体積)、少なくとも約92%(体積/体積)、少なくとも約93%(体積/体積)、少なくとも約94%(体積/体積)、少なくとも約95%(体積/体積)、少なくとも約96%(体積/体積)、少なくとも約97%(体積/体積)、少なくとも約98%(体積/体積)、又は少なくとも約99%(体積/体積)の水を除去することを含む。
【0205】
実施形態では、本開示は、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法を提供する。
【0206】
実施形態では、本開示は、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分(特に水)を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分(特に水)が、約10%w/w未満である、方法を提供する。
【0207】
実施形態では、本開示は、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0208】
実施形態では、本開示は、細胞の生存集合体を製造する方法であって、a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、b)凍結組成物から水性成分(特に水)を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分(特に水)が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法を提供する。
【0209】
上の方法のいずれかの実施形態では、組成物は、約1%~約8%のDMSOを更に含む。
【0210】
上の方法のいずれかの実施形態では、組成物は、ヒドロゲルを更に含む。実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、又はコラーゲンゲルである。実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。
【0211】
上の方法のいずれかの実施形態では、組成物は、DMSOを含まない。
【0212】
上の方法のいずれかの実施形態では、ステップ(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロースを含む。実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.6Mである。
【0213】
上の方法のいずれかの実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。
【0214】
上の方法のいずれかの実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能である。
【0215】
本発明を以下の実施形態によって更に説明する。
【0216】
方法
一実施形態では、本発明は、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、
細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法に関する。
【0217】
更なる実施形態では、本発明は、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、
(b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0218】
更なる実施形態では、本発明は、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法に関する。
【0219】
更なる実施形態では、本発明は、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0220】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、ヒドロゲルを更に含んでもよい。
【0221】
一実施形態では、ヒドロゲルは、生体適合性ヒドロゲルである。
【0222】
一実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル、又はそれらの組み合わせである。
【0223】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体が、ヒドロゲルに懸濁されてもよい。
【0224】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の単糖の濃度は、約0.2M~約1.0Mであってもよい。
【0225】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の単糖の濃度は、約0.3M~約0.8Mであってもよい。
【0226】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の単糖の濃度は、約0.4M~約0.6Mであってもよい。
【0227】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースであってもよい。
【0228】
一実施形態では、単糖は、グルコースである。
【0229】
一実施形態では、凍結前のグルコースは、約0.2M~約1.0Mである。
【0230】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。
【0231】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0232】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.0Mであってもよい。
【0233】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の濃度は、約0.3M~約0.8Mであってもよい。
【0234】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mであってもよい。
【0235】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1であってもよい。
【0236】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:2~約2:1であってもよい。
【0237】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:1であってもよい。
【0238】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1であってもよい。
【0239】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:2~約2:1であってもよい。
【0240】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:1であってもよい。
【0241】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、懸濁液中、又は容器の表面に付着した細胞で行われ得る。
【0242】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、ヒドロゲルに懸濁された細胞の集合体で行われ得る。
【0243】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない容器中で行われ得る。
【0244】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、容器は、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック容器であってもよい。
【0245】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり1×10個の細胞であってもよい。
【0246】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり4×10個の細胞であってもよい。
【0247】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、1mL当たり約2×10個の細胞~1mL当たり2.5×10個の細胞であってもよい。
【0248】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、増量剤は、二糖を含んでもよい。
【0249】
一実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約1.0Mである。
【0250】
一実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.1M~約0.5Mである。
【0251】
一実施形態では、凍結前の二糖の濃度は、約0.2M~約0.4Mである。
【0252】
一実施形態では、二糖は、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース又はゲンチオビオースである。
【0253】
一実施形態では、二糖は、スクロースである。
【0254】
一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。
【0255】
一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.5Mである。
【0256】
一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.4Mである。
【0257】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、増量剤は、糖アルコールを含んでもよい。
【0258】
一実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。
【0259】
一実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。
【0260】
一実施形態では、凍結前の糖アルコールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0261】
一実施形態では、糖アルコールは、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである。
【0262】
一実施形態では、糖アルコールは、マンニトールである。
【0263】
一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。
【0264】
一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.3M~約0.8Mである。
【0265】
一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0266】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、増量剤は、二糖及び糖アルコールの両方を含んでもよい。
【0267】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、増量剤は、スクロース及びマンニトールの両方を含んでもよい。
【0268】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、DMSOを含まなくてもよい。
【0269】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含んでもよい。
【0270】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、凍結前に約2%~約5%の濃度でDMSOを含んでもよい。
【0271】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触してもよい。
【0272】
一実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロース及び任意選択的に細胞培養培地を含む。
【0273】
一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。
【0274】
一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.2M~約0.6Mである。
【0275】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成剤は、細胞培養培地を含んでもよい。
【0276】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成剤は、リン酸緩衝溶液を含んでもよい。
【0277】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、等張性溶液であってもよい。
【0278】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、組成物は、高張性溶液であってもよい。
【0279】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含んでもよい。
【0280】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、幹細胞を含んでもよい。
【0281】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含んでもよい。
【0282】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含んでもよい。
【0283】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、人工多能性幹細胞を含んでもよい。
【0284】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、細胞の集合体は、神経芽腫細胞を含んでもよい。
【0285】
一実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。
【0286】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、水性成分は、緩衝液を含んでもよい。
【0287】
一実施形態では、緩衝液は、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、又はそれらの組み合わせを含む。
【0288】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、水性成分は、細胞培養培地を含んでもよい。
【0289】
一実施形態では、細胞培養培地は、血清を含まない。
【0290】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、水性成分を除去することは、水性成分を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含んでもよい。
【0291】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、水性成分を除去することは、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含んでもよい。
【0292】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、水性成分を除去することは、一次乾燥ステップのみを含んでもよい。
【0293】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、一次乾燥ステップは、水性成分を除去するために圧力を下げることを含んでもよい。
【0294】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、二次乾燥ステップは、水性成分を除去するために熱を加えることを含んでもよい。
【0295】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、約-10℃~約-100℃で行われてもよい。
【0296】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、約-20℃~約-90℃で行われてもよい。
【0297】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、約-40℃~約-60℃で行われてもよい。
【0298】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、組成物の温度を約-80℃まで下げる。
【0299】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結は、組成物の温度を-40℃まで下げてもよく、水性成分は、約60mTorr~約80mTorrのチャンバ圧の圧力で除去されてもよい。
【0300】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後2時間を超えて行われてもよい。
【0301】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1日を超えて行われてもよい。
【0302】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1週間を超えて行われてもよい。
【0303】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結細胞を再懸濁させることは、凍結後1ヶ月を超えて行われてもよい。
【0304】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後2時間を超えて行われてもよい。
【0305】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1日を超えて行われてもよい。
【0306】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1週間を超えて行われてもよい。
【0307】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞を再懸濁させることは、水性成分の除去後1ヶ月を超えて行われてもよい。
【0308】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃未満で保管されてもよい。
【0309】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約-20℃~約30℃で保管されてもよい。
【0310】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約4℃~約28℃で保管されてもよい。
【0311】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約10℃~約27℃で保管されてもよい。
【0312】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に約2℃~約8℃で保管されてもよい。
【0313】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結又は凍結乾燥された細胞は、再懸濁させる前に2日間より長く、約-20℃を超えて保管されてもよい。
【0314】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、約20℃~約25℃で保管されてもよい。
【0315】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、凍結乾燥細胞は、再懸濁させる前に1週間より長く、約2℃~約8℃で保管されてもよい。
【0316】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0317】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0318】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0319】
上の実施形態のうちのいずれか1つでは、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0320】
組成物
本発明は更に、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物が、約10%(体積/体積)未満の水を含有する、組成物に関する。
【0321】
一実施形態では、組成物は、約5%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0322】
一実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約30:1~約1:3である。
【0323】
一実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約15:1~約1:2である。
【0324】
一実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約3:1~約1:1である。
【0325】
本発明は更に、生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比が、約30:1~約1:3である、組成物に関する。
【0326】
一実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約15:1~約1:2である。
【0327】
一実施形態では、組成物中のグルコースの尿素に対するモル比は、約3:1~約1:1である。
【0328】
組成物のいずれかの一実施形態では、単糖は、グルコースであってもよい。
【0329】
本発明は更に、生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び任意選択的に増量剤を含む、組成物に関する。
【0330】
一実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのグルコースを含む。
【0331】
一実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mのグルコースを含む。
【0332】
一実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mの尿素を含む。
【0333】
一実施形態では、組成物は、約0.4M~約0.6Mの尿素を含む。
【0334】
組成物のいずれかの一実施形態では、組成物は、スクロースを更に含んでもよい。
【0335】
一実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む。
【0336】
組成物のいずれかの一実施形態では、組成物は、マンニトールを更に含んでもよい。
【0337】
一実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのマンニトールを含む。
【0338】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集合体は、哺乳動物細胞を含んでもよい。
【0339】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集団は、幹細胞を含んでもよい。
【0340】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集合体は、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含んでもよい。
【0341】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集合体は、間葉系幹細胞を含んでもよい。
【0342】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集団は、人工多能性幹細胞を含んでもよい。
【0343】
組成物のいずれかの一実施形態では、生存可能細胞の集団は、神経芽腫細胞を含んでもよい。
【0344】
一実施形態では、神経芽腫細胞は、SK-N-AS細胞である。
【0345】
組成物のいずれかの一実施形態では、組成物は、DMSOを含まなくてもよい。
【0346】
方法
本発明は更に、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法に関する。
【0347】
本発明は更に、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法に関する。
【0348】
本発明は更に、細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0349】
本発明は更に、細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0350】
本発明は更に、細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法に関する。
【0351】
本発明は更に、細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法に関する。
【0352】
本発明は更に、細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0353】
本発明は更に、細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0354】
方法のいずれかの一実施形態では、組成物は、約1%~約8%のDMSOを更に含んでもよい。
【0355】
方法のいずれかの一実施形態では、組成物は、ヒドロゲルを更に含んでもよい。
【0356】
一実施形態では、ヒドロゲルは、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、又はコラーゲンゲルである。
【0357】
一実施形態では、細胞の集合体は、ヒドロゲルに懸濁される。
【0358】
方法のいずれかの一実施形態では、組成物は、DMSOを含まなくてもよい。
【0359】
方法のいずれかの一実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0360】
方法のいずれかの一実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0361】
方法のいずれかの一実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0362】
方法のいずれかの一実施形態では、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%は、ALAMARBLUE(登録商標)試験によって測定される場合、生存可能であってもよい。
【0363】
項目
項目は、次のとおりである。
1.凍結細胞の集合体を製造する方法であって、
細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法。
2.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、
(b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
3.凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法。
4.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
5.組成物が、ヒドロゲルを更に含む、項目1~4のうちのいずれか1つの方法。
6.ヒドロゲルが、生体適合性ヒドロゲルである、項目5の方法。
7.ヒドロゲルが、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル、又はそれらの組み合わせである、項目5の方法。
8.細胞の集合体が、ヒドロゲルに懸濁される、項目1~7のうちのいずれか1つの方法。
9.凍結前の単糖の濃度が、約0.2M~約1.0Mである、項目1~8のうちのいずれか1つの方法。
10.凍結前の単糖の濃度が、約0.3M~約0.8Mである、項目1~8のうちのいずれか1つの方法。
11.凍結前の単糖の濃度が、約0.4M~約0.6Mである、項目1~8のうちのいずれか1つの方法。
12.単糖が、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである、項目1~11のうちのいずれか1つの方法。
13.単糖が、グルコースである、項目12の方法。
14.凍結前のグルコースの濃度が、約0.2M~約1.0Mである、項目13の方法。
15.凍結前のグルコースの濃度が、約0.3M~約0.8Mである、項目13の方法。
16.凍結前のグルコースの濃度が、約0.4M~約0.6Mである、項目13の方法。
17.凍結前の尿素の濃度が、約0.2M~約1.0Mである、項目1~16のうちのいずれか1つの方法。
18.凍結前の尿素の濃度が、約0.3M~約0.8Mである、項目1~16のうちのいずれか1つの方法。
19.凍結前の尿素の濃度が、約0.4M~約0.6Mである、項目1~16のうちのいずれか1つの方法。
20.凍結前の尿素の単糖に対する比が、約1:3~約3:1である、項目1~19のうちのいずれか1つの方法。
21.凍結前の尿素の単糖に対する比が、約1:2~約2:1である、項目1~19のうちのいずれか1つの方法。
22.凍結前の尿素の単糖に対する比が、約1:1である、項目1~19のうちのいずれか1つの方法。
23.凍結前の尿素のグルコースに対する比が、約1:3~約3:1である、項目13~19のうちのいずれか1つの方法。
24.凍結前の尿素のグルコースに対する比が、約1:2~約2:1である、項目1~19のうちのいずれか1つの方法。
25.凍結前の尿素のグルコースに対する比が、約1:1である、項目1~19のうちのいずれか1つの方法。
26.凍結が、懸濁液中、又は容器の表面に付着した細胞で行われる、項目1~25のうちのいずれか1つの方法。
27.凍結が、ヒドロゲルに懸濁された細胞の集合体で行われる、項目1~25のうちのいずれか1つの方法。
28.凍結が、コラーゲンコーティングを伴うか、又は伴わない容器中で行われる、項目1~27のうちのいずれか1つの方法。
29.容器が、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック容器である、項目1~28のうちのいずれか1つの方法。
30.細胞の集合体が、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり1×10個の細胞である、項目1~29のうちのいずれか1つの方法。
31.細胞の集合体が、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり4×10個の細胞である、項目1~29のうちのいずれか1つの方法。
32.細胞の集合体が、1mL当たり約2×10個の細胞~1mL当たり2.5×10個の細胞である、項目1~29のうちのいずれか1つの方法。
33.増量剤が、二糖を含む、項目1~32のうちのいずれか1つの方法。
34.凍結前の二糖の濃度が、約0.1M~約1.0Mである、項目33の方法。
35.凍結前の二糖の濃度が、約0.1M~約0.5Mである、項目33の方法。
36.凍結前の二糖の濃度が、約0.2M~約0.4Mである、項目33の方法。
37.二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースである、項目33~36のうちのいずれか1つの方法。
38.二糖が、スクロースである、項目33の方法。
39.凍結前のスクロースの濃度が、約0.1M~約1.0Mである、項目35の方法。
40.凍結前のスクロースの濃度が、約0.1M~約0.5Mである、項目35の方法。
41.凍結前のスクロースの濃度が、約0.2M~約0.4Mである、項目35の方法。
42.増量剤が、糖アルコールを含む、項目1~32のうちのいずれか1つの方法。
43.凍結前の糖アルコールの濃度が、約0.1M~約1.0Mである、項目42の方法。
44.凍結前の糖アルコールの濃度が、約0.3M~約0.8Mである、項目42の方法。
45.凍結前の糖アルコールの濃度が、約0.4M~約0.6Mである、項目42の方法。
46.糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールである、項目42~45のうちのいずれか1つの方法。
47.糖アルコールが、マンニトールである、項目46の方法。
48.凍結前のマンニトールの濃度が、約0.1M~約1.0Mである、項目47の方法。
49.凍結前のマンニトールの濃度が、約0.3M~約0.8Mである、項目47の方法。
50.凍結前のマンニトールの濃度が、約0.4M~約0.6Mである、項目47の方法。
51.増量剤が、二糖及び糖アルコールの両方を含む、項目1~50のうちのいずれか1つの方法。
52.増量剤が、スクロース及びマンニトールの両方を含む、項目1~50のうちのいずれか1つの方法。
53.組成物が、DMSOを含まない、項目1~52のうちのいずれか1つの方法。
54.組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含む、項目1~52のうちのいずれか1つの方法。
55.組成物が、凍結前に約2%~約5%の濃度でDMSOを含む、項目1~52のうちのいずれか1つの方法。
56.(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する、項目1~55のうちのいずれか1つの方法。
57.ポレーション溶液が、トレハロース及び細胞培養培地を含む、項目56の方法。
58.ポレーション溶液中のトレハロースの濃度が、約0.1M~約1.0Mである、項目57の方法。
59.ポレーション溶液中のトレハロースの濃度が、約0.2M~約0.6Mである、項目57の方法。
60.再構成剤が、細胞培養培地を含む、項目2又は4~59のうちのいずれか1つの方法。
61.再構成剤が、リン酸緩衝溶液を含む、項目2又は4~62のうちのいずれか1つの方法。
62.組成物が、等張性溶液である、項目1~62のうちのいずれか1つの方法。
63.組成物が、高張性溶液である、項目1~63のうちのいずれか1つの方法。
64.細胞の集合体が、哺乳動物細胞を含む、項目1~64のうちのいずれか1つの方法。
65.細胞の集合体が、幹細胞を含む、項目1~65のうちのいずれか1つの方法。
66.細胞の集合体が、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む、項目1~66のうちのいずれか1つの方法。
67.細胞の集合体が、間葉系幹細胞を含む、項目1~67のうちのいずれか1つの方法。
68.細胞の集合体が、人工多能性幹細胞を含む、項目1~68のうちのいずれか1つの方法。
69.細胞の集合体が、神経芽腫細胞を含む、項目1~67のうちのいずれか1つの方法。
70.神経芽腫細胞が、SK-N-AS細胞である、項目70の方法。
71.水性成分が、緩衝液を含む、項目1~71のうちのいずれか1つの方法。
72.緩衝液が、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、又はそれらの組み合わせを含む、項目72の方法。
73.水性成分が、細胞培養培地を含む、項目1~73のうちのいずれか1つの方法。
74.細胞培養培地が、血清を含まない、項目74の方法。
75.水性成分を除去することが、水性成分を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含む、項目3~75のうちのいずれか1つの方法。
76.水性成分を除去することが、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含む、項目3~76のうちのいずれか1つの方法。
77.水性成分を除去することが、一次乾燥ステップのみを含む、項目3~77のうちのいずれか1つの方法。
78.一次乾燥ステップが、水性成分を除去するために圧力を下げることを含む、項目3~78のうちのいずれか1つの方法。
79.二次乾燥ステップが、水性成分を除去するために熱を加えることを含む、項目3~79のうちのいずれか1つの方法。
80.凍結が、約-10℃~約-100℃で行われる、項目1~80のうちのいずれか1つの方法。
81.凍結が、約-20℃~約-90℃で行われる、項目1~80のうちのいずれか1つの方法。
82.凍結が、約-40℃~約-60℃で行われる、項目1~80のうちのいずれか1つの方法。
83.凍結が、組成物の温度を約-80℃まで下げる、項目1~80のうちのいずれか1つの方法。
84.凍結が、組成物の温度を-40℃まで下げ、水性成分が、約60mTorr~約80mTorrのチャンバ圧の圧力で除去される、項目3~84のうちのいずれか1つの方法。
85.凍結細胞を再懸濁させることが、凍結後2時間を超えて行われる、項目2又は5~85のうちのいずれか1つの方法。
86.凍結細胞を再懸濁させることが、凍結後1日を超えて行われる、項目2又は5~85のうちのいずれか1つの方法。
87.凍結細胞を再懸濁させることが、凍結後1週間を超えて行われる、項目2又は5~85のうちのいずれか1つの方法。
88.凍結細胞を再懸濁させることが、凍結後1ヶ月を超えて行われる、項目2又は5~85のうちのいずれか1つの方法。
89.凍結乾燥細胞を再懸濁させることが、水性成分の除去後2時間を超えて行われる、項目4~85のうちのいずれか1つの方法。
90.凍結乾燥細胞を再懸濁させることが、水性成分の除去後1日を超えて行われる、項目4~85のうちのいずれか1つの方法。
91.凍結乾燥細胞を再懸濁させることが、水性成分の除去後1週間を超えて行われる、項目4~85のうちのいずれか1つの方法。
92.凍結乾燥細胞を再懸濁させることが、水性成分の除去後1ヶ月を超えて行われる、項目4~85のうちのいずれか1つの方法。
93.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約-20℃未満で保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
94.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約-20℃~約30℃で保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
95.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約4℃~約28℃で保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
96.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約10℃~約27℃で保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
97.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約2℃~約8℃で保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
98.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に2日間より長く、約-20℃を超えて保管される、項目2又は4~93のうちのいずれか1つの方法。
99.凍結乾燥細胞が、再懸濁させる前に1週間より長く、約20℃~約25℃で保管される、項目4~98のうちのいずれか1つの方法。
100.凍結乾燥細胞が、再懸濁させる前に1週間より長く、約2℃~約8℃で保管される、項目4~98のうちのいずれか1つの方法。
101.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%が、生存可能である、項目1~101のうちのいずれか1つの方法。
102.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%が、生存可能である、項目1~101のうちのいずれか1つの方法。
103.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%が、生存可能である、項目1~101のうちのいずれか1つの方法。
104.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%が、ALAMARBLUE試験によって測定される場合、生存可能である、項目1~101のうちのいずれか1つの方法。
105.生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物であって、組成物が、約10%(体積/体積)未満の水を含有する、組成物。
106.組成物が、約5%(体積/体積)未満の水を含有する、項目106の組成物。
107.組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約30:1~約1:3である、項目107の組成物。
108.組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約15:1~約1:2である、項目107の組成物。
109.組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約3:1~約1:1である、項目107の組成物。
110.生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約30:1~約1:3である、組成物。
111.組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約15:1~約1:2である、項目111の組成物。
112.組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約3:1~約1:1である、項目111の組成物。
113.単糖が、グルコースである、項目107~113のうちのいずれか1つの組成物。
114.生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び任意選択的に増量剤を含む、組成物。
115.約0.3M~約0.8Mのグルコースを含む、項目115の組成物。
116.約0.4M~約0.6Mのグルコースを含む、項目115の組成物。
117.約0.3M~約0.8Mの尿素を含む、項目115~117のうちのいずれか1つの組成物。
118.約0.4M~約0.6Mの尿素を含む、項目115~117のうちのいずれか1つの組成物。
119.スクロースを更に含む、項目115~117のうちのいずれか1つの組成物。
120.約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む、項目120の組成物。
121.マンニトールを更に含む、項目115~117のうちのいずれか1つの組成物。
122.約0.3M~約0.8Mのマンニトールを含む、項目122の組成物。
123.生存可能細胞の集合体が、哺乳動物細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
124.生存可能細胞の集合体が、幹細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
125.生存可能細胞の集合体が、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、又は造血幹細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
126.生存可能細胞の集合体が、間葉系幹細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
127.生存可能細胞の集合体が、人工多能性幹細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
128.生存可能細胞の集合体が、神経芽腫細胞を含む、項目107~123のうちのいずれか1つの組成物。
129.神経芽腫細胞が、SK-N-AS細胞である、項目129の組成物。
130.組成物が、DMSOを含まない、項目107~130のうちのいずれか1つの組成物。
131.細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法。
132.細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法。
133.細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
134.細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.1M~約0.5Mのスクロースを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
135.細胞の集合体を凍結させる方法であって、細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることを含み、凍結が、約-30℃未満で行われる、方法。
136.細胞の集合体を凍結乾燥させる方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含み、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、方法。
137.細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
138.細胞の生存集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1Mの尿素、約0.2M~約1Mのグルコース、及び約0.2M~約0.8Mのマンニトールを含む組成物を凍結させることであって、凍結が、約-30℃未満で行われる、凍結させることと、
(b)凍結組成物から水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することであって、凍結乾燥細胞の集合体中の水性成分が、約10%w/w未満である、水性成分を除去することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
139.組成物が、約1%~約8%のDMSOを更に含む、項目132~138のうちのいずれか1つの方法。
140.組成物が、ヒドロゲルを更に含む、項目132~139のうちのいずれか1つの方法。
141.ヒドロゲルが、ヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、又はコラーゲンゲルである、項目140の方法。
142.細胞の集合体が、ヒドロゲルに懸濁される、項目141の方法。
143.組成物が、DMSOを含まない、項目132~142のうちのいずれか1つの方法。
144.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%が、生存可能である、項目133、134、137又は138~143のうちのいずれか1つの方法。
145.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%が、生存可能である、項目133、134、137又は138~143のうちのいずれか1つの方法。
146.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%が、生存可能である、項目133、134、137又は138~143のうちのいずれか1つの方法。
147.再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%が、ALAMARBLUE試験によって測定される場合、生存可能である、項目133、134、137又は138~143のうちのいずれか1つの方法。
【0364】
本発明は更に、以下の付番された実施形態に関する。
1.凍結細胞の集合体を製造する方法であって、
細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法。
2.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、
(b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
3.凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法。
4.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
5.組成物が、ヒドロゲルを更に含み、好ましくは、ヒドロゲルが、生体適合性ヒドロゲル、又はヒアルロナンゲル、アルギネートゲル、アガロースゲル、コラーゲンゲル、又はそれらの組み合わせである、実施形態1~4のうちのいずれか1つの方法。
6.細胞の集合体が、ヒドロゲルに懸濁される、実施形態1~5のうちのいずれか1つの方法。
7.凍結前の単糖の濃度が、約0.2M~約1.0M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、実施形態1~6のうちのいずれか1つの方法。
8.単糖が、グルコース、フルクトース、又はガラクトースであり、好ましくは、単糖が、グルコースであり、任意選択的に、凍結前のグルコースの濃度が、約0.2M~約1.0M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、実施形態1~7のうちのいずれか1つの方法。
9.凍結前の尿素の濃度が、約0.2M~約1.0M、好ましくは約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mであり、かつ/又は凍結前の尿素の単糖に対する比が、約1:3~約3:1、好ましくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態1~8のうちのいずれか1つの方法。
10.凍結前の尿素のグルコースに対する比が、約1:3~約3:1、好ましくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態8の方法。
11.凍結が、
懸濁液中、若しくは容器の表面に付着した細胞を用いて、又は
ヒドロゲルに懸濁した細胞の集合体を用いて、及び/又は
コラーゲンコーティングを伴うか、若しくは伴わない容器中で行われ、任意選択的に、容器が、細胞付着又は成長のための膜を伴うか、若しくは伴わないガラス又はプラスチック容器である、実施形態1~10のうちのいずれか1つの方法。
12.細胞の集合体が、1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり1×10個の細胞であるか、又は
1mL当たり約1×10個の細胞~1mL当たり4×10個の細胞であるか、又は
1mL当たり約2×10個の細胞~1mL当たり2.5×10個の細胞である、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
13.増量剤が、
a)二糖であって、
任意選択的に、凍結前の二糖の濃度が、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.5M、又は約0.2M~約0.4Mであり、
任意選択的に、二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースであり、好ましくは、二糖は、スクロースであり、任意選択的に、凍結前のスクロースの濃度が、約0.1M~約1.0、若しくは約0.1M~約0.5M、若しくは約0.2M~約0.4Mである、二糖、又は
b)糖アルコールであって、
任意選択的に、凍結前の糖アルコールの濃度が、約0.1M~約1.0M、若しくは約0.3M~約0.8M、若しくは約0.4M~約0.6Mであり、
任意選択的に、糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、又はイノシトールであり、好ましくは、糖アルコールが、マンニトールであり、任意選択的に、凍結前のマンニトールの濃度が、約0.1M~約1.0M、若しくは約0.3M~約0.8M、若しくは約0.4M~約0.6Mである、糖アルコール、又は
c)二糖及び糖アルコールの両方、又は
d)スクロース及びマンニトールの両方を含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
14.組成物が、DMSOを含まないか、又は
組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含むか、又は組成物が、凍結前に約2%~約5%の濃度でDMSOを含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
15.(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触し、
好ましくは、ポレーション溶液が、トレハロース及び細胞培養培地を含み、
任意選択的に、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度が、約0.1M~約1.0M、又は約0.2M~約0.6Mである、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
16.再構成剤が、細胞培養培地を含むか、又は再構成剤が、リン酸緩衝溶液を含む、実施形態2又は4~15のうちのいずれか1つの方法。
17.組成物が、等張性溶液であるか、又は組成物が、高張性溶液である、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
18.細胞の集合体が、哺乳動物細胞を含み、好ましくは、細胞の集合体が、幹細胞を含み、任意選択的に、細胞の集合体が、多能性幹細胞、胚幹細胞、間葉系幹細胞、若しくは造血幹細胞を含み、かつ/又は細胞の集合体が、間葉系幹細胞を含み、及び/又は細胞の集合体が、人工多能性幹細胞を含み、かつ/又は細胞の集合体が、神経芽腫細胞を含み、好ましくは、神経芽腫細胞が、SK-N-AS細胞である、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
19.水性成分が、
a)緩衝液であって、好ましくは、緩衝駅が、リン酸緩衝液、Tris緩衝液、酢酸緩衝液、重炭酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、クエン酸緩衝液、若しくはそれらの組み合わせを含む、緩衝液、及び/又は
b)細胞培養培地であって、好ましくは、細胞培養培地が血清を含まない、細胞培養培地を含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
20.水性成分を除去することが、水性成分を除去するために凍結組成物に対して圧力を下げること、熱を加えること、又はその両方を含み、かつ/又は
水性成分を除去することが、一次乾燥ステップ及び二次乾燥ステップを含み、かつ/又は
水性成分を除去することが、一次乾燥ステップのみを含み、好ましくは、一次乾燥ステップが、水性成分を除去するために圧力を下げることを含み、かつ/又は
二次乾燥ステップが、水性成分を除去するために熱を加えることを含む、実施形態3~19のうちのいずれか1つの方法。
21.凍結が、約-10℃~約-100℃で、好ましくは、約-20℃~約-90℃で、若しくは約-40℃~約-60℃で行われるか、又は凍結が、組成物の温度を約-80℃まで下げ、好ましくは、凍結が、組成物の温度を約-40℃まで下げ、水性成分が、約60mTorr~約80mTorrのチャンバ圧の圧力で除去される、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
22.凍結細胞を再懸濁させることが、凍結後2時間を超えて、好ましくは、凍結後1日を超えて、又は凍結後1週間を超えて、又は凍結後1ヶ月を超えて、行われる、実施形態2又は5~21のうちのいずれか1つの方法。
23.凍結乾燥細胞を再懸濁させることが、水性成分の除去後2時間を超えて、好ましくは、水性成分の除去後1日を超えて、又は水性成分の除去後1週間を超えて、又は水性成分の除去後1ヶ月を超えて、行われる、実施形態4~22のうちのいずれか1つの方法。
24.凍結又は凍結乾燥された細胞が、再懸濁させる前に約-20℃未満で、好ましくは、再懸濁させる前に約-20℃~約30℃で、又は再懸濁させる前に約4℃~約28℃で、又は再懸濁させる前に約10℃~約27℃で、又は再懸濁させる前に約2℃~約8℃で、又は再懸濁させる前に2日間より長く、約-20℃を超えて、保管される、実施形態2又は4~23のうちのいずれか1つの方法。
25.凍結乾燥細胞が、再懸濁させる前に1週間より長く、約20℃~約25℃で、好ましくは、再懸濁させる前に1週間より長く、約2℃~約8℃で、保管される、実施形態4~24のうちのいずれか1つの方法。
26.ALAMARBLUE試験によって測定される場合、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約20%が、生存可能であり、好ましくは、再構成された組成物中の細胞の少なくとも約30%が、生存可能であり、又は再構成された組成物中の細胞の少なくとも約40%が、生存可能であり、又は再構成された組成物中の細胞の少なくとも約50%が、生存可能である、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
27.生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物であって、組成物が、約10%(体積/体積)未満の水、好ましくは、約5%(体積/体積)未満の水を含有し、任意選択的に、
組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約30:1~約1:3、又は約15:1~約1:2、又は約3:1~約1:1である、組成物。
28.生存可能細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約30:1~約1:3であり、任意選択的に、組成物中のグルコースの尿素に対する重量比が、約15:1~約1:2、又は約3:1~約1:1である、組成物。
29.単糖が、グルコースである、実施形態27~28のうちのいずれかの組成物。
30.生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び任意選択的に増量剤を含み、任意選択的に、約0.3M~約0.8Mのグルコース、若しくは約0.4M~約0.6Mのグルコース、及び/又は約0.3M~約0.8Mの尿素、若しくは約0.4M~約0.6Mの尿素を含み、及び/又はスクロース、好ましくは約0.1M~約0.5Mのスクロースを更に含む、組成物。
【0365】
本発明はまた、以下の付番された実施形態に関する。
1.凍結細胞の集合体を製造する方法であって、
細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法。
2.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、
(b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
3.凍結前の単糖の濃度が、約0.2M~約1.25M、又は約0.3M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、実施形態1又は2の方法。
4.単糖が、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである、実施形態1~3のうちのいずれか1つの方法。
5.単糖が、グルコースであり、凍結前のグルコースの濃度が、約0.2M~約1.25M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、実施形態1~4のうちのいずれか1つの方法。
6.凍結前の尿素の濃度が、約0.2M~約1.25M、又は約0.2M~約0.8M、又は約0.4M~約0.6Mである、実施形態1~5のうちのいずれか1つの方法。
7.凍結前の尿素の単糖に対するモル比が、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態1~6のうちのいずれか1つの方法。
8.単糖が、グルコースであり、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比が、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態1~7のうちのいずれか1つの方法。
9.凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法。
10.再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水性成分を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法。
11.凍結前の単糖の濃度が、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである、実施形態9又は10の方法。
12.単糖が、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである、実施形態9~11のうちのいずれか1つの方法。
13.単糖が、グルコースであり、凍結前のグルコースの濃度が、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである、実施形態9~12のうちのいずれか1つの方法。
14.凍結前の尿素の濃度が、約0.6M~約2.0M、又は約0.7M~約1.7M、又は約0.8M~約1.4Mである、実施形態9~13のうちのいずれか1つの方法。
15.凍結前の尿素の単糖に対するモル比が、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態9~14のうちのいずれか1つの方法。
16.単糖が、グルコースであり、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比が、約1:3~約3:1、若しくは約1:2~約2:1であるか、又は約1:1である、実施形態9~15のうちのいずれか1つの方法。
17.増量剤が、
a)二糖であって、
凍結前の二糖の濃度が、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.5M、又は約0.2M~約0.4Mであり、
二糖が、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース、キトビオース、ラクツロース、イソマルトースメリビオース若しくはゲンチオビオースである、二糖、又は
b)糖アルコールであって、
凍結前の糖アルコールの濃度が、約0.1M~約1.0M、若しくは約0.3M~約0.8M、若しくは約0.4M~約0.6Mであり、
糖アルコールが、マンニトール、ソルビトール、ガラクチトール、フシトール、イジトール、若しくはイノシトールである、糖アルコール、又は
c)二糖及び糖アルコールの両方、又は
d)スクロース及びマンニトールの両方を含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
18.組成物が、DMSOを含まないか、又は
組成物が、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含むか、又は組成物が、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
19.(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
20.ポレーション溶液が、トレハロースを含み、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度が、約0.1M~約1.0M、又は約0.1M~約0.6Mである、実施例19の方法。
21.細胞の集合体が、哺乳動物細胞を含む、先行実施形態のうちのいずれか1つの方法。
【0366】
凍結によって保管される細胞の低温保護:
本発明は、凍結細胞の集合体を製造する方法であって、細胞の集合体、水性成分、尿素、及び単糖を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することを含む、方法に関する。
【0367】
本発明は更に、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物を凍結させて、凍結細胞の集合体を製造することと、
(b)凍結細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0368】
一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.1M~約1.5Mである。一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.2M~約1.2Mである。好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.2M~約1.0Mである。より好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.2M~約0.8Mである。なおより好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.3M~約0.7Mである。更により好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.4M~約0.6Mである。最も好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.5Mである。
【0369】
一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.10M、1.15M、1.20M、1.25M、1.30M、1.35M、1.40M、1.45M、又は1.50Mである。
【0370】
一実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトースである。
【0371】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.1M~約1.5Mである。一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.2Mである。好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.0Mである。より好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約0.8Mである。なおより好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.3M~約0.7Mである。更により好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。最も好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.5Mである。
【0372】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.10M、1.15M、1.20M、1.25M、1.30M、1.35M、1.40M、1.45M、又は1.50Mである。
【0373】
一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.1M~約1.5Mである。一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.2Mである。好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.0Mである。より好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約0.8Mである。なおより好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約0.8Mである。更により好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mである。最も好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.5Mである。
【0374】
一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.1M、0.15M、0.2M、0.25M、0.3M、0.35M、0.4M、0.45M、0.5M、0.55M、0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.10M、1.15M、1.20M、1.25M、1.30M、1.35M、1.40M、1.45M、又は1.50Mである。
【0375】
一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:5~約5:1である。一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:4~約4:1である。一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1である。一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:1である。
【0376】
一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:5~約5:1である。一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:4~約4:1である。一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1である。一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:1である。
【0377】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.2Mである。好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約1.0Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約1.0Mである。より好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.2M~約0.8Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.2M~約0.8Mである。更により好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mである。最も好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.5Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.5Mである。
【0378】
一実施形態では、組成物は、増量剤を更に含む。
【0379】
一実施形態では、増量剤は、マンニトールである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.8Mである。好ましくは、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。より好ましくは、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.15M~約0.55Mである。
【0380】
一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.3Mである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。
【0381】
一実施形態では、増量剤は、スクロースである。一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.5Mである。好ましくは、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約0.4Mである。より好ましくは、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.3Mである。
【0382】
一実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約5%の濃度でDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約3%の濃度でDMSOを含む。
【0383】
一実施形態では、(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。一実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロース及び細胞培養培地を含む。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.8Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.3Mである。
【0384】
一実施形態では、細胞は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、又は少なくとも12時間、ポレーション溶液と接触する。一実施形態では、細胞は、1時間~24時間、1時間~18時間、又は1時間~12時間、ポレーション溶液と接触する。
【0385】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、及びマンニトールを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。
【0386】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、及びスクロースを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.3Mである。
【0387】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、スクロース、及びDMSOを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.3Mであり、凍結前のDMSOの濃度は、約1%~約3%である。
【0388】
本発明は更に、生存可能細胞の集合体、水性成分、約0.2M~約1.0Mの尿素、約0.2M~約1.0Mのグルコース、及び任意選択的に増量剤を含む、組成物に関する。
【0389】
一実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mのグルコース、好ましくは約0.4M~約0.6Mのグルコースを含む。
【0390】
一実施形態では、組成物は、約0.3M~約0.8Mの尿素、好ましくは約0.4M~約0.6Mの尿素を含む。
【0391】
一実施形態では、増量剤は、スクロースである。一実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.5Mを含む。好ましくは、組成物は、約0.1M~約0.4Mを含む。より好ましくは、組成物は、約0.2M~約0.3Mを含む。
【0392】
一実施形態では、増量剤は、マンニトールである。一実施形態では、組成物は、約0.1M~約0.8Mを含む。好ましくは、組成物は、約0.1M~約0.6Mを含む。より好ましくは、組成物は、約0.15M~約0.55Mを含む。
【0393】
一実施形態では、組成物は、DMSOを更に含む。一実施形態では、組成物は、約1%~約10%のDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、約1%~約5%のDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、約1%~約3%のDMSOを含む。
【0394】
凍結乾燥によって保管される細胞の凍結保護:
本発明はまた、凍結乾燥細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、
凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、を含む、方法に関する。
【0395】
本発明は更に、再構成された生存可能細胞の集合体を製造する方法であって、
(a)細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び増量剤を含む組成物を凍結させることであって、
凍結前の単糖の濃度が、少なくとも約0.6Mであり、凍結前の尿素の濃度が、少なくとも約0.6Mである、凍結させることと、
(b)凍結組成物から少なくとも約90%の水を除去して、凍結乾燥細胞の集合体を製造することと、
(c)凍結乾燥細胞の集合体を再構成剤に再懸濁させて、再構成された組成物を形成することと、を含み、細胞の少なくとも約1%が生存可能である、方法に関する。
【0396】
ヒアルロナンゲルは、当業者に既知である。一実施形態では、ヒアルロナンゲルは、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸ナトリウム塩、好ましくはヒアルロン酸ナトリウム塩に由来する。一実施形態では、ヒアルロナンゲルは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)又は水及びヒアルロン酸ナトリウム塩に基づく。好ましくは、ヒアルロナンゲルは、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)及びヒアルロン酸ナトリウム塩に基づく。
【0397】
一実施形態では、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸ナトリウム塩は、組成物中に、凍結前に5mg/mL~約50mg/mL、例えば、約5mg/mL、10mg/mL、15mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、35mg/mL、40mg/mL、45mg/mL、又は50mg/mLの濃度で含まれる。好ましくは、ヒアルロン酸又はヒアルロン酸ナトリウム塩は、組成物中に、凍結前に約5mg/mL~約35mg/mL、例えば、約5mg/mL~約15mg/mL、約15mg/mL~約25mg/mL、又は約25mg/mL~約35mg/mLの濃度で含まれる。
【0398】
一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.6M~約2.0Mである。一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.7M~約1.7Mである。好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.8M~約1.4Mである。より好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約0.9M~約1.2Mである。最も好ましくは、凍結前の単糖の濃度は、約1.0Mである。
【0399】
一実施形態では、凍結前の単糖の濃度は、約0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.1M、1.15M、1.2M、1.25M、1.3M、1.35M、1.4M、1.45M、1.5M、1.55M、1.60M、1.65M、1.70M、1.75M、1.80M、1.85M、1.90M、1.95M、又は2.0Mである。
【0400】
一実施形態では、単糖は、グルコース、フルクトース、又はガラクトース、好ましくは、グルコースである。
【0401】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.6M~約2.0Mである。一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.7M~約1.7Mである。好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.4Mである。より好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.9M~約1.2Mである。最も好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約1.0Mである。
【0402】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.1M、1.15M、1.2M、1.25M、1.3M、1.35M、1.4M、1.45M、1.5M、1.55M、1.60M、1.65M、1.70M、1.75M、1.80M、1.85M、1.90M、1.95M、又は2.0Mである。
【0403】
一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.6M~約2.0Mである。一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.7M~約1.7Mである。好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.4Mである。より好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約0.9M~約1.2Mである。最も好ましくは、凍結前の尿素の濃度は、約1.0Mである。
【0404】
一実施形態では、凍結前の尿素の濃度は、約0.6M、0.65M、0.7M、0.75M、0.8M、0.85M、0.9M、0.95M、1.0M、1.05M、1.1M、1.15M、1.2M、1.25M、1.3M、1.35M、1.4M、1.45M、1.5M、1.55M、1.60M、1.65M、1.70M、1.75M、1.80M、1.85M、1.90M、1.95M、又は2.0Mである。
【0405】
一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:3~約3:1である。一実施形態では、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、凍結前の尿素の単糖に対するモル比は、約1:1である。
【0406】
一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:3~約3:1である。一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:1である。
【0407】
一実施形態では、凍結前のグルコースの濃度は、約0.6M~約2.0Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.6M~約2.0Mである。好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.7M~約1.7Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.7M~約1.7Mである。より好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.4Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.4Mである。更により好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約0.9M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.9M~約1.2Mである。最も好ましくは、凍結前のグルコースの濃度は、約1.0Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約1.0Mである。
【0408】
一実施形態では、増量剤は、マンニトールである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.8Mである。好ましくは、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。より好ましくは、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.4Mである。一実施形態では、凍結前のマンニトールの濃度は、少なくとも約0.2Mである。
【0409】
一実施形態では、増量剤は、スクロースである。一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、約0.2M~約0.8Mである。好ましくは、凍結前のスクロースの濃度は、約0.3M~約0.7Mである。より好ましくは、凍結前のスクロースの濃度は、約0.4M~約0.6Mである。一実施形態では、凍結前のスクロースの濃度は、少なくとも約0.4Mである。
【0410】
一実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約10%の濃度でDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、凍結前に約1%~約8%の濃度でDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、凍結前に約2%~約6%の濃度でDMSOを含む。一実施形態では、組成物は、凍結前に約3%~約5%の濃度でDMSOを含む。
【0411】
一実施形態では、(a)での凍結前に、細胞の集合体が、単離され、ポレーション溶液と接触する。一実施形態では、ポレーション溶液は、トレハロース及び細胞培養培地を含む。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約1.0Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.8Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.6Mである。一実施形態では、ポレーション溶液中のトレハロースの濃度は、約0.1M~約0.3Mである。
【0412】
一実施形態では、細胞は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも6時間、少なくとも7時間、少なくとも8時間、少なくとも9時間、少なくとも10時間、少なくとも11時間、又は少なくとも12時間、ポレーション溶液と接触する。一実施形態では、細胞は、1時間~24時間、1時間~18時間、又は1時間~12時間、ポレーション溶液と接触する。
【0413】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、スクロース、及びマンニトールを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前のスクロースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.4Mである。
【0414】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、スクロース、及びDMSOを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前のスクロースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のDMSOの濃度は、約3%~約5%である。
【0415】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、スクロース、マンニトール、及びDMSOを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前のスクロースの濃度は、約0.4M~約0.6Mであり、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.4Mであり、凍結前のDMSOの濃度は、約3%~約5%である。
【0416】
一実施形態では、組成物は、尿素、グルコース、マンニトール、及びDMSOを含み、凍結前のグルコースの濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前の尿素の濃度は、約0.8M~約1.2Mであり、凍結前のマンニトールの濃度は、約0.1M~約0.4Mであり、凍結前のDMSOの濃度は、約3%~約5%である。
【0417】
本発明は更に、細胞の集合体、ヒアルロナンゲル、水性成分、尿素、単糖、及び任意選択的に増量剤を含む組成物であって、尿素及び単糖が、約1:3~約3:1のモル比で組成物中に含まれ、組成物が、約10%(体積/体積)未満の水を含有する、組成物に関する。
【0418】
一実施形態では、尿素の単糖に対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、尿素の単糖に対するモル比は、約1:1である。
【0419】
一実施形態では、単糖は、グルコースである。一実施形態では、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:2~約2:1である。好ましくは、凍結前の尿素のグルコースに対するモル比は、約1:1である。
【0420】
一実施形態では、組成物は、約5%(体積/体積)未満の水を含有する。
【実施例
【0421】
実施例1-ヒト間葉系幹細胞の低温保護及び凍結保護
概要
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、骨、脂肪、軟骨、又は筋肉などの様々な種類の組織へとインビトロで分化することができ、それを研究及び細胞療法製品で使用するのに好適なものにする。しかしながら、液体窒素中でのhMSCの現在の保管方法には欠点がある。保管及び流通は、高価であり、かつ労働集約的であり、標準的な凍結プロトコルは、それぞれ嫌悪される免疫反応を引き起こし得るか、又は毒性であり得るウシ胎児血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)などの試薬を一般的に使用する。したがって、凍結したhMSCを含有する製品をヒトに適用する前に、これらの薬剤を除去する必要がある。非毒性製剤中の細胞の凍結乾燥は、解決策になる可能性があるが、現在のところ、低温保護特性及び凍結保護特性を有する満足のいく非毒性製剤は報告されていない。
【0422】
本明細書に提示される研究は、hMSCを用いた非毒性かつ相乗的に作用する低温保護剤(CPA)である尿素及びグルコースの低温保護能力の最初の既知の評価を提供する。CPAとして尿素/グルコースを使用する異なる凍結乾燥戦略が、本明細書で定性的に評価される。0.5Mの尿素及び0.5Mのグルコース中での-80℃でのhMSCの凍結は、DMSO対照と同等の生存率を得た。また、大量のCPAを有する製剤中のhMSCは、凍結乾燥の過酷な条件に耐えることができ、解凍すると増殖した。
【0423】
序論
ヒト間葉系幹細胞(hMSC)は、脂肪、筋肉、軟骨、骨、又は神経細胞などの異なる組織に(インビトロで)分化する能力を有する重要な多能性幹細胞である。再生医療及び細胞療法におけるhMSCの使用は拡大しつつある。hMSCは、免疫抑制能力を示すため、成人ドナーから採取され、増殖され、改変され、その後に同種異系治療に使用される可能性を有する。これを可能にするには、hMSCを長期間保管する必要がある。hMSCの長期保管のための現在のプロトコルは、液体窒素中での低温保存によるものである。しかしながら、液体窒素中に細胞を保管することは、細胞の制御されない解凍及び損傷を回避するために液体窒素の定期的な供給が必要であるため、特に流通及び輸送の場合は煩雑であり、かつ高価である。
【0424】
hMSCの液体窒素保管には、細胞を保存するために、ウシ胎児血清(FBS)及びジメチルスルホキシド(DMSO)の添加も必要である。DMSOは、毒性であり、hMSCにおける転写因子の発現及び遺伝子発現を変化させる可能性がある。更に、FBSは、ヒトにおいて非常に免疫原性であり、病原体を伝搬する可能性がある。したがって、DMSO及びFBSは、通常、ヒトに投与する前に除去され、このプロセスは、労働集約的であり、特別に訓練された人員及び特別な施設を必要とする。したがって、投与された製品が基準に満たず、品質が一貫しないという高いリスクを伴い、安全性への影響がある。
【0425】
また、他の多くの生物学的製品と同様に、細胞療法製品(CTP)を冷蔵温度で保管して、取り扱いをより容易にし、経済的な輸送を容易にすることも有益であろう。これを達成する1つの可能な方法は、細胞を凍結乾燥(フリーズドライ)することである。凍結乾燥は、液体製剤では不安定であるが、ワクチン、タンパク質、ペプチド、又は抗生物質などの固体/乾燥形態で安定化される(薬物)製品に日常的に適用される。hMSCに凍結乾燥の原理を適用することは、CTPとしてのそれらの有用性を大いに裏付けるであろう。
【0426】
hMSCを低温保存するために、DMSOの様々な代替物が探索されている。主に、スクロース、トレハロース、グルコース、マンニトール、グリセロール、又はエチレングリコールなどの糖又は糖アルコールだけではなく、ポリビニルピロリドン、ペンタイソマルトース、又はエクトインの細胞内又は細胞外導入が評価されている。
【0427】
冬眠カエルのいくつかの種では、尿素の蓄積は、浸透圧保護硬化及び低温保護効果を有すると報告されている。これらの効果は、体細胞グルコースレベルの更なる増加によって更に強化され、グルコース/尿素の組み合わせは、凍結ストレスに対する耐性を改善した。これらの薬剤は、ヒトにおいて比較的安全であり、安価であり、市販されているため、hMSCにおける低温保護及び凍結乾燥のための尿素/グルコースの組み合わせの可能性は、高度な製剤、ヒドロゲル、及び安定剤によって探索された。
【0428】
材料及び方法
細胞培養
接着性骨髄由来ヒト間葉系幹細胞(hMSC)(ATCC)を増殖させて、細胞バンクを作製し、50%のFBS及び7.5%のDMSOを追加した成長培地中の液体窒素の蒸気相中で、継代3で保管した。これらの試料のアリコートを37℃の水浴中で加温し、hMSCの未分化増殖を容易にする市販の培地であるMSCGM(商標)Mesenchymal Stem Cell Growth Medium BulletKit(商標)(FBS、Lonzaを含有する)で培養した。細胞を37℃、5%COで、加湿インキュベータ中で保持し、成長培地を3~4日ごとに交換した。hMSCが約90%のコンフルエンスに達したら、それを分割し、約5000個の細胞/cmで再播種し、更なる増殖を促進した。実験のために、継代4~8の細胞を使用した。
【0429】
凍結解凍実験
コンフルエント又はほぼコンフルエントなhMSCを、培地を吸引し、事前に加温しておいたリン酸緩衝生理食塩水pH7.4(PBS、Gibco)で洗浄し、約0.02ml/cmのトリプシン溶液(Lonza)を適用することによって細胞を解離させることによって、回収した。その後、成長培地を加えることによって、トリプシン反応を停止させた。細胞濃度の決定のために、アリコートを採取した(NucleCounter(登録商標)NC-200(商標)を使用して)。次いで、細胞を遠心分離によってペレット化し、続いてPBSに再懸濁して、1mL当たり2×10個の細胞の目標濃度を達成した。0.5mLの体積の細胞懸濁液を、PBSで希釈した0.5mlの低温保護剤(CPA)の2倍濃縮した溶液(尿素:GE Healthcare、グルコース:Aldrich、スクロース及びトレハロース:Pfanstiehl、マンニトール:Avantor、DMSO:Arcos)を含有する6Rバイアル(Schott)に添加し、1×10個の細胞を含有し、1倍の目標濃度の低温保護剤を含有する総体積1mlを得た。その後、バイアルをストッパー(West)で止め、-80℃の冷凍庫に移し、生存率測定が行われるまで2~3日間保管した。各実験を5回繰り返した。
【0430】
フリーズドライ実験
hMSCを、異なるヒドロゲル(HyStem(商標)、HyStem(商標)C、若しくは寒天(Sigma)上で培養するか、又はヒアルロン酸(HA)(Alfa Aesar)に懸濁させ、ゲルマトリックスを提供し、これを培養のために、かつ/又は凍結ケーキのための足場として使用することができる。
【0431】
フリーズドライ実験のための試料を以下の方法で調製した。
【0432】
アガロースゲルを、加熱しながらPBSに2%寒天を溶解させることによって調製した。ゲルを冷却し、約20時間かけてゼリー状にした。続いて、細胞を、ゲル1平方センチメートル当たり約20,000個の細胞の濃度で、ゲルの表面に播種し、細胞培養培地とともに約20時間インキュベートし、その結果、細胞が、ゲル表面に再付着することができた。凍結乾燥前に、培地を除去し、HA及び1倍濃度のCPAを含有する粘性溶液(表1に見られるような、いわゆる粘性CPA/HA製剤、およそ1倍濃度のCPAをPBSに溶解し、次いでヒアルロン酸ナトリウム塩を添加することによって調製され、この溶液を約20分間撹拌して、HAの完全な溶液を確保して(HAが溶解したら、溶液は粘性になる)、粘性CPA/HA製剤を提供する)の層を、寒天ゲル/細胞層の上部に添加し、凍結乾燥させる前に、試料を-80℃で約20時間凍結させた。
【0433】
HyStem(商標)ゲルを、製造業者の指示に従って調製した。これらのHyStem(商標)ゲルの上部に、細胞をゲル表面に播種し、次いで、アガロースゲルの調製について記載したように、粘性CPA/HA製剤を重ねた。
【0434】
粘性CPA/HA製剤は、およそ1倍濃度のCPAをPBSに溶解し、次いで10mg/ml HA塩の目標濃度(=1%w/v)に達するようにヒアルロン酸ナトリウム塩を添加することによって調製された。溶液を約20分間撹拌して、HAの完全な溶液を確保して(HAが溶解したら、溶液は粘性になる)、粘性CPA/HA製剤を提供した。
【0435】
HAで懸濁した細胞について、粘性CPA/HA製剤を、説明したように調製した。細胞を、凍結解凍実験について記載される細胞の調製に類似して調製した。成長培地を添加することによってトリプシン反応を停止させた後、細胞を遠心分離によってペレット化し、続いてPBSに再懸濁して、1ml当たり2×10個の細胞の目標濃度を達成した。0.5mLの体積の細胞懸濁液を、6Rバイアル(Schott)に添加し、次いで、ゲルの上部に細胞を層状にする代わりに、6Rバイアル内で沈降させ、次いで、1mlの粘性CPA/HA製剤に再懸濁させた。
【0436】
CPA溶液又は粘性CPA/HA製剤を添加した後、全てのバイアルをすぐに-80℃の冷凍機に移動し、一晩凍結させた。凍結乾燥のために、試料を、-65℃に予め冷却しておいたパイロットスケールのLyoStar(商標)3凍結乾燥機に入れた。試料を、-40℃、75mTorr未満で、1’000(サイクル1)又は1’800(サイクル2)又は3’640(サイクル3)分のいずれかで凍結乾燥させた。生存可能細胞の損失の可能性を回避するために、二次乾燥ステップを省略した。凍結乾燥の後、試料を6mlの温かい成長培地中で再構成し、フラスコに移して、細胞をプラスチック表面に再付着させた。
【0437】
凍結乾燥の後、組成物は、依然として一定量の水、典型的には約90%(体積/体積)未満の水を含有する。
【0438】
生存率評価
凍結試料、すなわち凍結及び解凍後の試料については、製造業者の指示に従ってalamarBlue(商標)アッセイ(Invitrogen)を行うことによって、生存率を測定した。そのアッセイは、非蛍光性染料から蛍光性染料への還元に基づく。この反応は、代謝的に活性(生存可能)である細胞でのみ起こり、したがって、測定された蛍光と生存可能細胞とが相関している。凍結細胞を37℃の水浴中で解凍し、1cm当たり20000個の細胞(死細胞及び生存可能細胞)の密度で48ウェルプレート中に配置し、生存可能細胞が表面に付着し、それらの代謝活性を再び得る時間を可能にするために、インキュベータに一晩保存した。次いで、アッセイ試薬を適用し、4時間のインキュベーションの後、λex=550nm及びλem=590nmの波長を用いたSpectraMax(登録商標)iD3を使用して蛍光を測定した。バックグラウンド蛍光値を測定値から差し引き、未処理細胞の蛍光値と比較した。
【0439】
凍結乾燥試料については、成長培地中で試料を再構成し、フラスコ中にバイアルの内容物全体を再播種することによって、hMSCを生存率について定性的に評価した。一晩のインキュベーションの後、細胞をそのように顕微鏡的に検査して、フラスコの表面に再付着したかどうか、生存可能細胞の既知の形態と比較して、形態が不規則性を示さなかったかどうかを調べた。その後、細胞を前述のように培養し、数日後に増殖を検査した。全ての実験について、試料サイズは、条件ごとに1つである。
【0440】
結果及び考察
凍結解凍中のhMSCにおける低温保護剤としての尿素及びグルコース
hMSCの低温保護について、異なる濃度の尿素及びグルコースを評価した(図1A)。0.05、0.1(これら2つは図1Aには示されていない)、0.2、及び0.5Mの濃度の尿素は、実質的に生存可能細胞を有しておらず、このことは、尿素単独では低温保存中にhMSCを保護するのに十分ではないことを示している。興味深いことに、約26%の細胞生存率が、0.5Mのグルコース単独で達成され、グルコース濃度を0.2Mまで下げると、約20%までわずかに低下した。尿素とグルコースの組み合わせ(0.5Mのグルコース及び0.5Mの尿素)は、生存可能細胞の数を、5%DMSO対照と同等のレベルまで更に増加させた(58%)。尿素/グルコースがそれぞれ1Mまで更に増加すると、hMSCの生存率は、約50%まで減少した。これらの結果は、hMSCにおいて、尿素及びグルコースが相乗的に働き、それらを組み合わせた低温保護能力が、各薬剤単独の能力より大きいことを示唆している。図1Aに示されるように、0.5Mの尿素及び0.5Mのグルコースの組み合わせは、hMSCを凍結/解凍(FT)ストレスから保護するのに最適であり、細胞生存率は、対照と同等であった。FT生存率を潜在的に増加させるための尿素のグルコースに対する異なる比率の更なる評価(図1B)は、0.5Mでの尿素/グルコースの1:1モル比が最大の低温保護を提供することを確認した。以下の細胞生存率が観察された。尿素:グルコースモル比:1:2比:45%、1:3比:40%。2:1比:45%、3:1比:30%。試験した比率のうち、最適な1:1モル比よりも大きな生存率を有するものはなかった。
【0441】
凍結解凍によって試験された凍結乾燥のための製剤化
0.5Mの濃度での1:1モル比の尿素/グルコースを使用して、低温保存が首尾良く達成されたため、凍結乾燥プロセスの一次乾燥ステップのための製剤を改善しようと試みた。スクロースが、幹細胞におけるFT後生存率を改善することができるため、スクロース及びマンニトールを、好ましい凍結保護機能を有するケーキ形成能力について、増量剤として選択した。
【0442】
0.2M及び0.5Mのマンニトールの添加は、それぞれ45%及び40%の生存可能細胞を提供し、0.25Mのスクロースは、39%の生存可能細胞を提供した(図1C)。細胞生存率は、以前のFT対照又は0.5M尿素/グルコースを含む製剤よりも低いが、生存率は、尿素/グルコース/スクロース製剤に少量のDMSO(2%)を添加することによって、更に改善した。糖濃度の増加に伴う生存率の低下は、おそらく浸透圧ストレスの増加によるものである。高い生存率を有する糖濃度は、浸透圧の過度の増加を引き起こすことなく、CPAとして高モル量の細胞外糖の利点をもたらすようである。糖の内在化及び細胞内蓄積は、hMSCのFT生存に有益である可能性がある。
【0443】
低温保護剤及び凍結保護剤としてのトレハロースの内在化
トレハロースは、低温保護剤及び凍結保護剤として機能することが知られているが、これは細胞内及び細胞外の両方に存在するときにのみ可能である。しかし、この分子は膜透過性ではない。したがって、細胞内トレハロース取り込みのためのいくつかの方法は、細胞孔の遺伝子改変、細胞透過性ペプチド、リポソーム、又はエレクトロポレーションを使用するが、これらの方法は、複雑であり、高価であり、時間がかかり、hMSCの遺伝子構成に重大な変化を引き起こす可能性がある。代替的な、単純な内在化方法は、トレハロースを追加した培地からのエンドサイトーシスによるトレハロース取り込みを伴い、これはCPAとして作用すると報告されている[32]。
【0444】
細胞培養培地に溶解した0.2MのトレハロースとともにhMSCを約20時間インキュベーションし、その後の0.5Mの尿素/0.5Mのグルコース/0.25Mのスクロースの最適製剤中のFTは、収縮などの形態学的変化なしに良好な生存率を示し、このことは、hMSCが、適用された浸透圧ストレスに耐えることができたことを示唆している(図1C及び図1D1図1D3)。トレハロース中での更なるインキュベーションは、尿素/グルコース/スクロース製剤においてhMSCの生存率を約65%までわずかに増加させ、2%DMSOを添加すると約72%まで更に増加させることができ、このことは、FTに対する細胞生存率を改善するために、異なるCPAの組み合わせが、単一のCPAより優れていることを示唆している。0.2Mのマンニトール製剤では、細胞生存率は約70%であった。これらの結果は、hMSCが、0.2Mのトレハロースを追加した成長培地において短期間の高張性状態に耐えることができ、hMSCの低温保存及び潜在的な凍結保存を改善するのに更に役立つことを実証する。
【0445】
hMSCの凍結乾燥
凍結乾燥サイクルの最適化
凍結サイクル及び残存水分は、hMSC生存率に顕著な影響を及ぼす可能性がある。1’000~1’800~3’640分の2つの異なる乾燥時間を-40℃で評価した。また、ローディング及びアンローディングの温度並びに再構成手順を更に最適化するためのステップを行った。
【0446】
3Dゲルマトリックスを使用した凍結乾燥
スクロース、マンニトール、及びトレハロースだけではなく、一次CPAとして尿素及びグルコースを使用して、hMSCについて異なる凍結乾燥戦略を評価した。hMSCを、異なるゲルマトリックス、すなわち、HyStem(商標)、HyStem(商標)C、及び2%アガロースゲル上で成長させた。HyStem(商標)及びHyStem(商標)Cは、チオール修飾ヒアルロン酸に基づく3D細胞培養用に市販されている。HyStem(商標)Cは、付着部位として機能するコラーゲン繊維を更に含有し、したがって、ゲルに対する細胞付着性を改善する[33]。あるいは、hMSCを懸濁させ、その後、ヒアルロン酸(HA)及びCPA中で凍結乾燥させた。
【0447】
HyStem(商標)上で培養したhMSCは、どのCPAを使用したかとは無関係に、凍結乾燥後に生存可能細胞を有しなかった(表1)。細胞はまた、ヒドロゲル表面に付着し、細胞の層を形成することができなかった。HyStem(商標)Cマトリックス上で培養した細胞は、ゲルに付着することはできたが、凍結乾燥後に有意な細胞生存率を示さなかった。また、細胞生存率は、アガロース/HA二重マトリックス中で非常に低いままであった。しかしながら、より高い濃度でHA及び異なる量のCPAの粘性製剤に懸濁させたhMSCは、凍結乾燥後にフラスコに付着し、増殖もした生存可能細胞を得ることができ(図2)、このことは、hMSCが、生存可能であり、凍結乾燥プロセスの苛酷な条件に耐えることができることを示している。本願発明者の知る限り、これは、形態が変化しなかった未修飾hMSCの凍結乾燥を報告し、そのようなプロセスにおいて尿素及びグルコースの組み合わせを利用する最初の事例である。hMSCはまた、最適なCPA量を有するが、細胞内トレハロースインキュベーション又はDMSOの添加を伴わないHAゲルにおいて生存可能なままであった(表1)。細胞は、凍結乾燥プロセスを生き延びたが、ケーキ形成は、多量の目に見える液滴を伴って基準を満たしておらず、部分的な融解を示唆している。ケーキ形成及び品質は、HAの量及び/又はマンニトールの添加を更に増やしても増加しなかったが、細胞は生存可能なままであった。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0448】
結論
ヒト間葉系幹細胞CTPは、依然として、細胞の保管のために毒性及び/又は免疫応答誘発剤(DMSO及びFBS)を使用する。DMSOに対する安全かつ効果的な代替物であるCPAが、低温保存のために特定された。尿素及びグルコースは、hMSCの凍結保存において等モル濃度で相乗的CPA活性を示した。糖の更なる添加及び製剤の最適化は、凍結保存の改善に役立った。製剤及び凍結乾燥プロセスを最適化することによって、細胞生存率を改善する試みを行った。凍結乾燥の初期の試みは、hMSCの生存及び増殖能力を示した。凍結乾燥についても、DMSOを用いない凍結乾燥後に生存可能細胞を提供する例が見出された。
【0449】
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図1
図2
【国際調査報告】