IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アイエフディ インターナル フォウルト ディテクター コーポレイションの特許一覧

特表2024-522859ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法
<>
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図1
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図2A
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図2B
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図3A
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図3B
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図4
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図5A
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図5B
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図5C
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図6
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図7
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図8
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図9
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図10
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図11
  • 特表-ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】ハウジング内に収容された流体の内部温度を非侵襲的に感知する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240614BHJP
   G01K 13/02 20210101ALI20240614BHJP
【FI】
G01K1/14 L
G01K13/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023579220
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 CA2022050980
(87)【国際公開番号】W WO2022266748
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/214,695
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521030685
【氏名又は名称】アイエフディ テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】IFD TECHNOLOGIES INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー、マチュー ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】テュライン、ベンジャミン ドナルド コーマック
(72)【発明者】
【氏名】ポールガード、マイケル スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ランデッカー、ジェームズ トーマス アイザック
(72)【発明者】
【氏名】シルガルド、エイドリアン バーナード
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ホーン、ジェレミー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】チザム、ジョン ポール
(72)【発明者】
【氏名】シーバート-ティマー、オードリー ジョイ コリン
(72)【発明者】
【氏名】リン、イェン-ヨウ
(72)【発明者】
【氏名】ザイデルフェーン、トーマス ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】テューイ、アマンダ マーン ハー
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CL07
2F056WF03
2F056WF08
(57)【要約】
ハウジング内の流体の温度を非侵襲的に判定するための装置及び方法が提供される。第1及び第2の温度センサは、第1の温度センサと第2の温度センサとの間に温度差が存在するように配置される。ハウジング内部の流体の温度を推定すべく、第1の温度センサの温度と第2の温度センサの温度との差が使用可能であり、かつ/またはハウジング内部の流体の温度を決定すべく、ゼロ熱流法が使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部の温度を非侵襲的に推定するための装置であって、
一般的な環境条件から前記ハウジングの少なくとも一部を遮蔽するように形成及び構成された環境遮蔽部分と、
前記環境遮蔽部分内に配置されるとともに、前記装置の使用時に前記ハウジングに近接して位置決め可能に配置された第1の温度感知素子と、
前記環境遮蔽部分から離間されるとともに、前記装置の使用時に前記ハウジングに近接して位置決め可能に配置された第2の温度感知素子と
を備える装置。
【請求項2】
前記第2の温度感知素子は、大部分が一般的な環境条件に晒されているか、又は前記第1の温度感知素子よりも一般的な環境条件に晒されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の温度感知素子及び前記第2の温度感知素子の少なくとも一方は、前記装置の使用時に前記ハウジングに対向して位置決め可能に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の温度感知素子及び前記第2の温度感知素子の少なくとも一方は、前記装置の使用時に前記ハウジングに隣接して位置決め可能に配置される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置は、前記ハウジングの内側に延びるカートリッジハウジング内に挿入するように形成及び構成されたカートリッジ部分を有し、前記カートリッジ部分が前記第2の温度感知素子を備えている、装置。
【請求項6】
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたことを判定するためのセンサを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置を使用する方法であって、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたかどうかを判定することと、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたと判定された場合に、前記ハウジング内に収容された流体の温度を直接測定すべく第3の熱感知素子を使用すること、又は、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されていないと判定された場合に、前記ハウジング内に収容された流体の温度を推定すべく、第1及び第2の熱感知素子を使用すること
を含む方法。
【請求項8】
前記第2の温度センサおよび前記第3の温度センサが同じ温度センサである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
前記ハウジング上の第1の外部位置で第1の温度を測定することであって、前記第1の外部位置は環境条件から保護されていることと、
前記ハウジング上の第2の外部位置で第2の温度を測定することであって、前記第2の外部位置は環境条件に晒されているか、又は前記第1の外部位置よりも前記環境条件に晒されていることと、
前記ハウジング内に収容された流体の温度を推定するために、前記第1の温度と前記第2の温度との間の差を相関させることと
を含む方法。
【請求項10】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置であって、
第1の熱感知素子と、
第2の熱感知素子と、
前記第1及び第2の熱感知素子の両方の外側に配置された加熱素子と、
前記第1及び第2の熱感知素子に対して差動配置された断熱材と
を備える装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の熱感知素子に対して差動配置された前記断熱材が、(i)前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間、又は(ii)前記第1の熱感知素子と前記加熱素子との間に介在されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記断熱材は、前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間、及び前記第1の熱感知素子と前記第2の熱感知素子との間に配置されているが、前記断熱材は、前記ハウジングと前記第1の熱感知素子との間に配置されていない、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の熱感知素子は、前記第2の熱感知素子から横方向に離間されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の熱感知素子は、前記装置が使用中であるとき、前記ハウジングから同じ距離だけ離間される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
(i)ハウジングに近接した第1の位置で第1の温度を測定することと、
(ii)第2の位置で第2の温度を測定することであって、最初に前記第1の位置と前記第2の位置との間に温度差が存在することと、
(iii)前記第1の温度が前記第2の温度と異なる場合、前記第1及び第2の位置の両方の外側に配置された加熱素子を作動させることと、
(iv)前記第1及び第2の温度が同じであると判定されるまで、ステップ(i)~(iii)を繰り返すことと、
(v)前記ハウジング内に収容された前記流体の温度が、前記第1及び第2の温度と同じであると判定することと
を含む方法。
【請求項16】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の温度差が、(i)前記ハウジングと前記第2の位置との間、又は(ii)前記加熱素子と前記第1の位置との間に配置された断熱材によって提供される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記断熱材は前記第1及び第2の位置の間に介在される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置であって、
第1の熱感知素子と、
第2の熱感知素子と、
前記装置の使用中に前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間に位置するように配置された断熱材とを備える装置。
【請求項19】
前記断熱材は、前記第1及び第2の熱感知素子の間に介在される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
前記ハウジング上の第1の位置で第1の温度を測定することと、
第2の位置で第2の温度を測定することであって、断熱材が前記ハウジングと前記第2の位置との間に配置されることと、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の関係に基づいて、前記ハウジング内に収容された前記流体の温度を推定することと
を含む方法。
【請求項21】
前記断熱材が前記第1の位置と前記第2の位置との間に介在される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ハウジングの外側の環境の周囲温度を測定するためのセンサをさらに備える、請求項1乃至6、10乃至14、及び18乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
請求項7乃至9、15乃至17、及び20乃至21のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ハウジングの外側の環境の周囲温度を測定することと、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の関係に基づいて前記ハウジング内に収容された前記流体の前記温度を推定すべく、前記測定された周囲温度を追加のパラメータとして使用することと
をさらに含む方法。
【請求項24】
請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、及び22のいずれか一項に記載の装置であって、前記ハウジングの外部温度が所定の閾値を超えたことを示す視覚インジケータをさらに備える装置。
【請求項25】
特定の型のハウジング用の較正係数を作成すべく、請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、22、及び24のいずれか一項に記載の装置を使用する方法であって、
前記特定の型のハウジングを表す第1のハウジングの内部温度を測定することと、
第1及び第2の温度を提供すべく前記第1及び第2の温度感知素子の各々によって記録された前記温度を測定することと、
前記較正係数を得るべく前記第1の温度と前記第2の温度との間の数学的関係を導出することと
を含む方法。
【請求項26】
前記ハウジングは、電気機器の一部のハウジングを含み、前記電気機器の一部は、任意選択で変圧器を含む、請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、22、及び24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ハウジングは、電気機器の一部のハウジングを含み、前記電気機器の一部は、任意選択で変圧器を含む、請求項7乃至9、15乃至17、20乃至21、23、及び25のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
いくつかの実施形態は、温度を測定するための装置に関する。いくつかの実施形態は、ハウジング内に収容された流体の温度を非侵襲的に判定及び/又は推定するための装置に関する。いくつかの実施形態は、温度を測定するための方法に関する。いくつかの実施形態は、ハウジング内に収容された流体の温度を非侵襲的に判定及び/又は推定するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気機器は、現代社会では当たり前のものとなっている。配電網では、変圧器、コンデンサ、リアクトル、及び電圧調整器などの様々な電気機器が使用されている。変圧器などの電気機器には、ハウジング内に封入された構成要素が収容されている場合が多く、ハウジングには、電気機器のための安定した動作温度を維持し、いかなる放電も防止又は急速に消失させるために、鉱油、天然もしくは合成エステル流体、又はシリコーンオイルなどの誘電性流体が充填されている。
【0003】
電気機器のハウジング内に収容された誘電性流体の温度によって反映される電気機器の動作温度を、所望の範囲内に維持することが重要である。変圧器などの電気機器の余命は、電気機器の動作温度が上昇するにつれて短くなる可能性がある。例えば、変圧器などのいくつかの電気機器では、機器が経験する連続動作温度が約5℃~10℃上昇するごとに、機器の余命が半分ほど短くなる可能性がある。
【0004】
電気機器が定期的に又は一貫して高温で動作している場合、電気機器は早期に(すなわち、電気機器の予測寿命が経過する前に)故障する可能性がある。所望の動作温度よりも高い温度で定期的に又は一貫して動作している場合には、そのような電気機器をより大きな負荷容量を有する電気機器と交換することが賢明であり得る。
【0005】
一例として、変圧器の寿命低下は、時間と温度の両方の関数であるため、変圧器が過負荷温度で動作している時間が長くなるほど、変圧器の予想寿命は短くなる。短時間の過負荷は、非常に極端な温度でない限り、予想寿命に大きな影響を与えることはない。しかしながら、頻繁な過負荷は、変圧器の予想寿命に大きな影響を与えることになる。したがって、変圧器がわずかに過負荷になっている場合には、電力会社は、これが定期的な発生であるか又は偶然の出来事であるかを判定するために、更に監視することになる。定期的な発生であることが分かった場合、変圧器を、より高い負荷を処理するように設計されたより大型のものに交換することができる。変圧器が著しく過負荷になっている場合、それは重大な寿命低下が既に発生している可能性があり、変圧器が定期的にある程度の過負荷になっている可能性があることを示している。
【0006】
一部の電力会社は、機器の寿命とその維持に必要な労力を最適化するための手法を開発してきた。そのような手法は、基準温度に対する動作温度に基づいて過負荷機器を分類し、そのような分類に基づいて異なるアクションを実行することを含み得る。例えば、変圧器が90℃の基準温度で動作するように設計されている場合、変圧器は、110℃で動作している場合には「過負荷」として分類され、120℃で動作している場合には「極度に過負荷」として分類され得る。「過負荷」である機器は、一定期間より厳密に監視されてもよく、「極度に過負荷」である機器は、直ちに交換されてもよい。
【0007】
電気機器が「過負荷」状態又は「極端に過負荷」状態で動作しているか否かを判断することを支援するために、電気機器内の温度変化を感知して通信することができる装置を提供する必要性がある。このような過温度状況がより迅速に検出され得、関連する電力当局に通知され得るほど、より早く状況に対処することができるため、電気機器の早期故障又は壊滅的故障を防止することができる。
【0008】
また、電気機器内の温度変化を非侵襲的かつ正確に感知し、通信することができる装置を提供する必要性もある。フラウンフェルカー(Frounfelker)らの特許文献1は、電気デバイス内に収容された流体の温度を、流体と直接熱連通することなく推定するためのシステム及び方法を教示している。この方法は、電気デバイスのハウジングの外壁の温度を測定することと、ハウジングの周りの周囲温度を測定することと、測定された壁温度及び測定された周囲温度を使用してハウジング内の流体の温度を推定することとを含む。この方法はまた、周囲湿度条件に合わせて推定流体温度を調整することもできるとされている。
【0009】
上述の関連技術の例、及び、それらに関連する制限は、例示的であることが意図されており、排他的なものではない。当業者には、本明細書を読み込み、図面を検討することで、関連技術の他の制限が明らかとなるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第9395252号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
以下の実施形態及びそれらの態様は、範囲を限定するものではなく、例示的かつ説明的であることが意図されている、システム、ツール、及び方法に関連して、説明及び図示される。様々な実施形態では、上述の問題のうちの1つ以上が軽減又は解消されており、その一方で、他の実施形態は、他の改善を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様では、ハウジング内部の温度を非侵襲的に推定するための装置が提供される。本装置は、一般的な環境条件からハウジングの少なくとも一部を遮蔽するように形成及び構成された環境遮蔽部分と、環境遮蔽部分内に配置され、本装置の使用中にハウジングに近接して位置決め可能に配置された第1の温度感知素子と、環境遮蔽部分から離間され、本装置の使用時にハウジングに近接して位置決め可能に配置された第2の温度感知素子とを有する。いくつかの態様では、第2の温度感知素子は、大部分が一般的な環境条件に晒されているか、又は第1の温度感知素子よりも一般的な環境条件に晒されている。いくつかの態様では、本装置は、ハウジングの内側に延びたカートリッジハウジング内に挿入するように形成及び構成されたカートリッジ部分を有し、カートリッジ部分が、第2の温度感知素子を収容している。いくつかの態様では、本装置は、カートリッジ部分がカートリッジハウジング内に挿入されたことを判定するためのセンサを有する。
【0013】
一態様では、上述の装置の使用方法が提供され、本方法は、カートリッジ部分がカートリッジハウジング内に挿入されたかどうかを判定するステップと、カートリッジ部分がカートリッジハウジング内に挿入されたと判定された場合に、第3の熱感知素子を使用して、ハウジング内に収容された流体の温度を直接測定するステップか、又は、カートリッジ部分がカートリッジハウジング内に挿入されていないと判定された場合に、第1及び第2の熱感知素子を使用して、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するステップと、を有する。
【0014】
一態様では、ハウジング内に収容された流体の温度を推定する方法が提供され、本方法は、ハウジング上の第1の外部位置で第1の温度を測定するステップであって、第1の外部位置は環境条件から保護されている、測定するステップと、ハウジング上の第2の外部位置で第2の温度を測定するステップであって、第2の外部位置は環境条件に晒されているか、又は第1の外部位置と比べて環境条件により晒されている、測定するステップと、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するために、第1の温度と第2の温度との差を相関させるステップと、を有する。
【0015】
一態様では、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置が提供され、本装置は、第1の熱感知素子と、第2の熱感知素子と、第1及び第2の熱感知素子の両方の外側に配置された加熱素子と、第1及び第2の熱感知素子に対して差動配置された断熱材とを有する。
【0016】
一態様では、ハウジング内に収容された流体の温度を推定する方法が提供され、本方法は、(i)ハウジングに近接した第1の位置で第1の温度を測定するステップと、(ii)第2の位置で第2の温度を測定するステップであって、最初に第1の位置と第2の位置との間に温度差が存在する、ステップと、(iii)第1の温度が第2の温度と異なる場合、第1及び第2の位置の両方の外側に配置された加熱素子を作動させるステップと、(iv)第1及び第2の温度が同じであると判定されるまで、ステップ(i)~(iii)を繰り返すステップと、(v)ハウジング内に収容された流体の温度が、第1及び第2の温度と同じであると判定するステップと、を有する。
【0017】
一態様では、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置が提供され、本装置は、第1の熱感知素子と、第2の熱感知素子と、本装置の使用中にハウジングと第2の熱感知素子との間に位置するように配置された断熱材とを有する。
【0018】
一態様では、ハウジング内に収容された流体の温度を推定する方法が提供され、本方法は、ハウジング上の第1の位置で第1の温度を測定するステップと、第2の位置で第2の温度を測定するステップであって、断熱材がハウジングと第2の位置との間に配置されている、測定するステップと、第1の温度と第2の温度との間の関係に基づいて、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するステップとを有する。
【0019】
上述の例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、図面を参照し、以下の詳細な説明を検討することによって明らかとなるであろう。
例示的実施形態が、図面の参照図に示されている。本明細書で開示される実施形態及び図は、制限的ではなく例示的なものと見なされるべきであることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】1つの電気機器、すなわち変圧器の例示的実施形態を示す。
図2A】内部に内部凹部が形成された1つの電気機器、すなわち変圧器の第2の例示的実施形態を示す。
図2B】線2B-2Bに沿った図2Aの電気機器の断面図である。
図3A】ゼロ熱流法を使用してハウジング内の流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの例示的実施形態の断面図を示す。
図3B】ゼロ熱流法を使用してハウジング内の流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの第2の例示的実施形態の断面図を示す。
図4】ゼロ熱流法を使用してハウジング内の流体の温度を推定する方法の例示的実施形態を示す。
図5A】温度差又はデルタT法を使用してハウジング内の流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの例示的実施形態の断面図を示す。
図5B】温度差又はデルタT法を使用してハウジング内の流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの例示的実施形態の拡大断面図を示す。
図5C】温度差又はデルタT法を使用してハウジング内の流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの例示的実施形態の部分斜視図を示す。
図6】温度差又はデルタT法を使用してハウジング内の流体の温度を推定する方法の例示的実施形態を示す。
図7】ハウジング内に収容された流体の温度を直接測定又は推定するために温度センサが設置されているかどうかを判定する例示的実施形態を示す。
図8】周囲環境温度についての補償係数を組み込む温度差又はデルタT法を使用して、ハウジング内の流体の温度を推定する方法の例示的実施形態を示す。
図9】修正されたゼロ熱流法を使用して、ハウジング内に収容された流体の温度を推定するために使用することができる温度センサの例示的実施形態を示す。
図10】ハイブリッドゼロ熱流法及び温度差又はデルタT法を使用して、ハウジング内の流体の温度を推定する方法の例示的実施形態を示す。
図11】有線接続を有する温度センサの例示的実施形態を示す。
図12】推定内部温度とハウジングの測定温度との間の相関を実証する例示的な試験を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の明細書本文の全体を通して、具体的な詳細が、より完全な理解を当業者に提供するために記載されている。しかしながら、周知の要素は、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、詳細には図示又は説明されていない場合がある。したがって、明細書本文及び図面は、制限的ではなく例示的な意味として見なされるべきである。
【0022】
本明細書で使用される場合、「環境条件」は、ハウジング内に収容された流体の内部温度に影響を及ぼし得る任意の外部環境パラメータ、又はそのようなパラメータの任意の組み合わせを含み得る。環境条件の例としては、一般的な環境温度、湿度、風条件、降水、日射などが挙げられ、このような条件の任意の組み合せも含まれる。例えば、ハウジング及びハウジング内に収容された流体は、寒さのみ又は風のみによる冷却効果と比較して、寒さと風との組み合わせによるより大きな冷却効果を受ける可能性がある。
【0023】
本明細書で使用される場合、「外部」はハウジングの外面を意味し、「内部」はハウジングの内面又は内側部分を意味する。「外向き」とは、ハウジングの内部から離れる方向を向いていることを意味する。
【0024】
本明細書で使用される場合、「隣接する」又は「近接する」という用語は、直接接触していることを意味することもあれば、例えば、温度センサが、「隣接する」又は「近接する」表面の温度の近似値を依然として測定することができるほどに、任意の介在要素又は空間を通して十分に近く接していることを意味することもある。
【0025】
図1を参照すると、変圧器100である1つの例示的な電気機器が示されている。変圧器100は、その内部に流体104を封入しているタンク又はハウジング102を有する。流体104は、ハウジング102によって、ハウジング102を取り囲んでいる外部環境106から流体的に分離されている。すなわち、流体104はハウジング102内に密封されており、その結果、流体がハウジング102から流出することはほとんど許容されない。場合によっては、流体104は環境に有害である可能性があり(例えば、流体104は、認識されている温室効果ガスである可能性があり、又は様々な生物に対して悪い影響もしくは有害な影響を及ぼす可能性がある)、したがって、変圧器100内の圧力があるレベルを超えて上昇して、変圧器100に関連付けられた任意の圧力逃がし弁を作動させた場合、いくらかの流体104は排出される可能性があるが、流体104の大部分をハウジング102内に収容しておくことが重要である。いくつかの実施形態では、特定の変圧器100に適用可能な設計及び規制に応じて、ハウジング102は、例えば、吸引チューブを介して、圧力均一化を可能にするために、限定された範囲で外部環境に開放されてもよい。いくつかの実施形態では、吸引チューブは、空気を通過させるが流体104のそこを通っての通過は制限するミネラルウール又は他の物質で塞ぐことができる。
【0026】
流体104は、電気機器での使用に適した任意の好適な電気絶縁性又は誘電性流体であってよく、鉱油、天然もしくは合成エステル流体、シリコーンオイル、又はSFなどのガスなどが挙げられる。
【0027】
ハウジング102は、変圧器100のような変圧器などの1つの電気機器のための任意の好適なタンク又はハウジングであり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング102は、炭素鋼、ステンレス鋼、又は任意の他の好適な材料から形成される。異なる変圧器100のための異なる型のハウジング102は、多数の異なる設計態様において異なっていてもよく、例えば、ハウジングの厚さ、ハウジングが形成される材料、ハウジングが形成される材料の熱伝導率、ハウジング上に設けられた保護コーティング(例えば、塗料)の種類及び厚さ、ハウジングのサイズ及び寸法(例えば、体積、高さ、長さ、幅、直径など)、ハウジングの形状(例えば、円形又は矩形)、ハウジング内の流体の流体循環パターンなどにおいて異なっていてもよい。
【0028】
図示された実施形態では、108として概略的に図示されるハウジング102の第1の部分は、環境条件の影響から遮蔽されており、一方で、110として概略的に図示されるハウジング102の第2の部分は、環境条件の影響に晒されている。
【0029】
図2A及び図2Bを参照すると、カートリッジハウジング252を内部に収容した入口250を有するハウジング202を有する変圧器200の代替的実施形態が示されている。変圧器200は、その他の点では変圧器100と同様であり、同様の要素は、流体204、外部雰囲気206、ハウジング202の遮蔽部分208及び露出部分210を含め、100だけインクリメントした同様の参照番号で図示されており、これ以上は再度説明しない。図示された実施形態では、カートリッジハウジング252は、入口250の周りでハウジング202と密封係合するように配置され、ハウジング202の内部空間からの流体204の流出を防止する。流体204の流体面212は、図2Bに破線で示されており、これは、最上部の油面と呼ぶことができる。
【0030】
図3Aを参照すると、以下に説明するゼロ熱流法を使用して変圧器100又は200内の流体104又は204の温度を判定するために使用することができる温度センサ300の例示的実施形態が提供される。ゼロ熱流法とは、2つの温度感知素子を使用してハウジング102又は202を通る熱流束又は熱流を判定し、かつ能動的に電力供給されるヒータを使用してその熱損失を補償するものである。
【0031】
温度センサ300は、電気デバイスのハウジング、例えばハウジング102に取り付け可能に形成及び構成された本体302を有する。温度センサ300は、第1及び第2の温度感知素子304及び306を備え、これらは互いに離間され、断熱材308の層によって隔てられている。第1の温度感知素子304がより直接的にハウジング102に露出される一方で、温度感知素子306は断熱材308によってハウジング102を出る熱から熱的に遮蔽されているので、すなわち、温度センサ300の使用中に、断熱材308が第1及び第2の温度感知素子に対して差動配置されているので、温度センサ300の使用中に第1及び第2の温度感知素子304、306の間に温度差が生じる。
【0032】
任意の好適な温度センサ、例えば、熱電対、測温抵抗体(RTD:resistive thermal device)センサ、サーミスタ、半導体ベースの集積回路などを、第1及び第2の温度感知素子304、306に使用することができる。任意の好適な材料、例えば、発泡体、封入空気、温度センサ300の一部又は構成要素を形成する材料などを使用して断熱材308を提供することができる。以下に説明される温度センサ300の較正を使用して、本明細書に説明されるようなハウジング102又は202内の流体104又は204の温度を判定することができるように、断熱材308によって提供される断熱値は、温度センサ300の使用中ずっと一定に保たれる必要がある。例えば、断熱材308の一部を形成する構成要素は、断熱材308によって提供される断熱値を変化させる可能性がある方法で除去又は修正されるべきではない。
【0033】
加熱素子310は、第2の温度感知素子306の外側に設けられる。温度センサ300は、第1の温度感知素子304がハウジング102と熱接触した状態か、又は熱接触に近い状態で配置され得るように構成される。断熱材308は、第1の温度感知素子304の外側に配置されるため、熱流経路(矢印312によって示される)に沿って外向きに移動する熱は、断熱材308より本体302の外側に配置された第2の温度感知素子306に到達するためには断熱材308を通過しなければならない。最後には、熱流経路312に沿って第2の温度感知素子306を通過したいかなる熱も、加熱素子310に到達するであろう。この構成の結果として、第1の温度感知素子304及び第2の温度感知素子306のそれぞれによって測定される温度に差が生じることになり、この差は、流体104から外部環境106への温度勾配の一部分を反映している。
【0034】
温度センサ300によって覆われるハウジング102の表面積は、熱流の経路312以外の移動経路に沿ってかなりの量の熱が失われることがないように、十分に大きい必要があり、すなわち、温度センサ300によって覆われるハウジング102の表面積が小さすぎる場合、熱は、熱流経路312に沿って移動するだけでなく、それに直交する方向にも移動することになり、これは、第2の温度感知素子306によって測定される温度が、熱が熱流経路312に沿ってのみ流れたとした場合よりも低くなり得ることを意味する。同様に、断熱材308及び加熱素子310によって覆われる表面積は、熱流経路312以外の移動経路に沿ってかなりの量の熱が失われないことを確実にするために、十分な大きさである必要がある。
【0035】
使用中、第1の熱感知素子304と第2の熱感知素子306との間に温度勾配がなくなるまで、加熱素子310を使用して本システムに熱が加えられる。このような状況は、熱が熱流経路312に沿って流れるのを停止し、その結果、第1及び第2の温度感知素子304、306及び断熱材308の全てが、ハウジング102内の流体104と同じ温度になっていることを意味する。この段階では、温度センサ304、306の読み取り値は、流体104の温度に相当することになる。
【0036】
第1及び第2の温度感知素子304、306のそれぞれとハウジング102又は加熱素子310のいずれかとの間に介在する断熱の程度が異なる(すなわち、第1及び第2の温度感知素子304、306の間に温度差が確立されるようになっており、これは、断熱材308が第1及び第2の温度感知素子304、306に対して差動配置されているためであり得る)ことに起因して、第1及び第2の温度感知素子304、306によって最初に測定された温度が異なる限り、代替的構成を使用して、ゼロ熱流法を使用して変圧器100又は200内の流体104又は204の温度を判定してもよい。
【0037】
例えば、図3Bを参照すると、第1及び第2の温度感知素子304’、306’が互いに横方向に離間されている温度センサ300’の代替的実施形態が示されている。図示された実施形態では、第1の温度感知素子304’は、本体302’内の変圧器のハウジング102’に近接しているが、第1の温度感知素子304’とハウジング102’との間に介在する大きな絶縁材料がないため、第1の温度感知素子304’によって測定される温度は、ハウジング102の温度を反映しているか、又はより密接に近似している。第2の温度感知素子306’は、断熱材308’によってハウジング102’から離間されているため、断熱材308’の差動配置により、第1の温度感知素子304’と第2の温度感知素子306’との間に温度差が確立される(すなわち、第1の温度感知素子304’は、第2の温度感知素子306’よりも内部流体104の温度の変化により影響を受けることになる)。断熱材308に関しては、任意の好適な材料、例えば、発泡体、封入空気、温度センサ300’の一部又は構成要素を形成する材料などを使用して断熱材308’を提供することができる。
【0038】
図示された実施形態では、第2の温度感知素子306’は、第1の温度感知素子304’よりもハウジング102’から外向きにより遠くに配置されているように示されているが、代替的実施形態では、第1及び第2の温度感知素子は、ハウジング102’から外向きに同じ距離に配置されてもよく、又は、第2の温度感知素子306’とハウジング102’との間の材料の断熱値が、第1の温度感知素子304’とハウジング102’との間に配置された材料の断熱値の大きさよりも大きい限り、第2の温度感知素子306’は、第1の温度感知素子304’と第2の温度感知素子306’との間に温度差をもたらすために、ハウジング102’のより近くに実際に配置されてもよい。
【0039】
同様に、図示された実施形態では、断熱材308’は、第2の温度感知素子306’とハウジング102’との間に配置され、第1及び第2の温度感知素子304’、306’に対して断熱材308’の差動配置をもたらすように示されているが、代替的実施形態では、第1及び第2の温度感知素子304’、306’間の温度差は、代わりに第1の温度センサ304’と加熱素子310’との間に断熱材308’を配置することによって生成されてもよい。
【0040】
更に、例えば、第1の温度感知素子304’を第2の温度感知素子306’よりも横方向の熱流からより大きく遮蔽することによって、センサの周りに断熱材を異なる向きで配置して差動配置をもたらすことによって、熱が流れるときに感知素子304’と感知素子306’との間に温度差を生じさせる代替的実施形態を展開することも可能である。
【0041】
温度センサ300’の場合、熱は、ハウジング102’から流出し、熱流の第1の経路312Aに沿って第1の温度感知素子304を通過し、一方で、熱は、ハウジング102’から流出し、断熱材308を通過し、次いで、熱流の第2の経路312Bに沿って第2の温度感知素子306を通過する。この場合も、第1の温度感知素子304’及び第2の温度感知素子306’のそれぞれによって測定される温度差は、流体104から外部環境106への温度勾配の一部分を反映しており、また、この温度差は、同様に、第1の熱感知素子304’と第2の熱感知素子306’との間に温度勾配がなくなるまでの加熱素子310からの熱の印加と併せて使用することができる。このような状況に達すると、これは、熱が熱流経路312A及び熱流経路312Bの両方に沿って流れるのを停止して、その結果、第1及び第2の温度感知素子304’、306’及び断熱材308の全てが、ハウジング102内の流体104と同じ温度になっていることを意味する。この場合も、この時点での、温度センサ304’、306’の読み取り値は、流体104の温度に相当する。
【0042】
更なる代替的実施形態では、加熱素子310又は310’の形状及び構成は、変更されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、加熱素子310又は310’は、円形又は楕円形の形状であってもよく、熱流経路312(又は312A/312B)から横方向に逃げる熱の量を最小限に抑えるために、任意選択で、円形又は楕円形の中心を通る開口部を有してもよい(例えば、ドーナツ形状を備える)。他の実施形態では、第1及び第2の温度感知素子の両方は、ハウジングから同じ又はほぼ同じ距離で離間され得るが、2つの温度感知素子間に温度差をもたらすために、断熱材が、第2の温度感知素子とハウジングとの間のみに配置される(すなわち、第1の温度感知素子とハウジングとの間には配置されない)か、又は断熱材が、第1の温度感知素子と加熱素子との間のみに配置される(すなわち、第2の温度感知素子と加熱素子との間には配置されない)。
【0043】
温度センサ300又は300’は、図4に示された、ゼロ熱流法を使用したハウジング内の流体の温度を推定するための方法3000において使用することができる。最初に、3002で、熱は、流体104からハウジング102を通って熱流経路312(又は312A/312B)に沿って外部環境106に向かって外向きに流れる。断熱材308又は308’の存在により、第2の温度感知素子306又は306’に到達する熱量は、第1の温度感知素子304又は304’に到達する熱量よりも少なくなり、第2の温度感知素子306又は306’によって測定される温度Tは、第1の温度感知素子304又は304’によって測定される温度Tよりも低くなるであろう。
【0044】
3004で、TがTよりも大きいと判定された場合、3006で、加熱素子308を作動させて熱を供給することになる。ステップ3004及び3006は、ステップ3004でTがTと同じであると判定されるまで繰り返されることになる。その時点で、ステップ3008で、ハウジング102内の流体104の温度が、T及びTの両方と同じであると結論付けられることになる。ステップ3004でTがTより大きいと判定された場合、加熱素子308は熱の印加を停止することができ、ステップ3004でTが再びTより大きいと判定されるまで(この時点で、ステップ3006を繰り返すことができる)、又はステップ3004でTがTに等しいと判定されるまで(この時点で、ステップ3008でハウジング102内部の流体104の温度がT及びTの両方の温度と同じであると結論付けることができる)、ステップ3004を繰り返すことができる。
【0045】
図5A図5B、及び図5Cを参照すると、温度差又はデルタT法を使用してハウジング102内の流体104の温度を推定するために使用することができる温度センサ400の例示的実施形態が示されている。センサ400は、本体402を有し、この本体402は、第1の部分又はヘッド404と、第2の部分ステム406とを有する。図示された実施形態では、ヘッド404は、ステム406の垂直方向上方に配置されているが、これらの構成要素の相対位置は、センサ400の向きに応じて変動し得ることが理解されるであろう。
【0046】
センサ400は、ヘッド404内に配置された、第1の温度感知素子又はヘッド温度感知素子408を有するため、図5Aに示すように、センサ400が設置構成にある場合、ハウジング102と熱接触した状態で配置され得る。また、センサ400は、ステム406内に配置された第2の温度感知素子又はステム温度感知素子410を有するため、センサ400が設置構成にある場合に、ステム温度感知素子410はハウジング102と熱接触した状態で配置され得る。任意の好適な温度センサ、例えば、熱電対、測温抵抗体(RTD)センサ、サーミスタ、半導体ベースの集積回路などを、第1及び第2の温度感知素子408、410に使用することができる。
【0047】
図5Aにおいて412として概略的に示される断熱及び環境遮蔽バリアが、ヘッド404内に設けられ、センサ400が設置構成にあるときに、ヘッド温度感知素子408、及びヘッド404が取り付けられたハウジング102の対応する遮蔽部分414を、外部環境から保護する。したがって、センサ400が設置構成にあるときに、ヘッド温度感知素子408及びヘッド404が取り付けられたハウジング102の対応する遮蔽部分414は、外部環境から保護される。
【0048】
対照的に、ステム406上には、このような断熱又は環境遮蔽バリアは設けられない。更に、ハウジング102に接触するステム406の表面積は相対的に小さいので、ステム温度感知素子410が接触するハウジング102の部分416は、外部環境に相対的に晒されている。
【0049】
図5B及び図5Cを更に参照すると、物理的バリアである断熱及び環境遮蔽バリアの一例示的実施形態が、より詳細に示されている。図示された実施形態では、ヘッド温度感知素子408は、内周ガスケット420によって周方向に取り囲まれている。ハウジング102に接触するヘッド404の部分の外周は、同様に、外周ガスケット421によって周方向に取り囲まれている。内周ガスケット420及び外周ガスケット421は、ヘッド温度感知素子408およびヘッド404が取り付けられたハウジング102の部分414への風、雨、および日射などの環境要素の侵入を物理的に防止および/又は低減することによって、そのような特定の環境条件の影響を防止又は最小化するのに役立ち得る。これにより、ハウジング102の部分414の温度に対するそのような環境要素の影響が最小限に抑えられ、ヘッド温度感知素子408に対するそのような環境要素の影響が最小限に抑えられる。
【0050】
内周ガスケット420及び外周ガスケット421は、そのような最小化を達成するために、ハウジング102の外面に対して100%の密閉効果を達成する必要はない。ヘッド404の本体402の材料及びその中に収容された構成要素(例えば、混入空気430、回路基板432、内部ガスケット422など)だけでも、ヘッド404が取り付けられたハウジング102の外面の部分414に、風、雨、及び日射が到達することを困難にする。内周ガスケット及び/又は外周ガスケットの追加は、ヘッド404によってもたらされるそのような環境要素の遮断を強化することができるが、いくつかの実施形態では、内周ガスケット及び/又は外周ガスケットのいずれか又は両方を取り外してもよい。ヘッド404は、ヘッド温度感知素子408が遮蔽された温度を感知していることを確実にするために、ハウジング102の十分に大きな表面積を遮蔽するのに十分な量の表面積414を覆うように設計される必要がある。したがって、遮蔽部分414からハウジング102の壁を通って横方向に流れる熱流は、遮蔽された温度を適切に判定することができるように十分に低い必要がある。
【0051】
ヘッド温度感知素子408はまた、外部環境から熱的に遮蔽されてもいる。図示された実施形態では、ヘッド404の本体402の材料及びその中に収容された構成素子(例えば、混入空気430、回路基板432、内側ガスケット422、本体402の壁、内周ガスケット420及び外周ガスケット421など)は、風、雨、及び日射が、ヘッド404が取り付けられたハウジング102の外面の部分414に到達することを困難にし、また、全体として、ヘッド温度感知素子408を外部環境から熱的に遮蔽するための断熱材として機能する。これにより、ヘッド温度感知素子408及びハウジング102の遮蔽部分414を、周囲温度及び環境条件の影響に対して全体として遮蔽する。
【0052】
ヘッド温度感知素子408とは対照的に、ステム温度感知素子410は、外部環境から遮蔽されず、ステム406によってもたらされる遮蔽は、例えば、ヘッド404と比較して相対的に狭い幅及び小さいサイズを有するステム406によって最小限に抑えられている。
【0053】
図6を参照すると、温度差又はデルタT法を使用して流体104の内部温度を推定する方法4000が示されている。センサ400を使用して、方法4000のいくつかの実施形態を実行することができる。4002において、温度感知素子408は、ハウジング102の遮蔽部分414の温度Tを測定する。4004において、ステム温度感知素子410は、ハウジング102の露出部分416の温度T4を測定する。
【0054】
は遮蔽部分414上で測定され、Tは露出部分416上で測定されるので、温度は互いに異なる。温度間の差すなわちデルタTは、流体104の温度、及び変圧器100の冷却に対する外部環境106の影響などのパラメータの関数である。ヘッド温度感知素子408及びステム温度感知素子410は、流体104の既知の温度で動作する基準変圧器を使用して較正することができる。既知の基準測定値を使用して、TとTとの間の相関を使用して、これらの2つの測定値と流体104の内部温度との間の関係を導出することができるため、TとTとの間の差を、ステップ4006におけるフィールドで使用して、流体104の温度を予測することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、内部オイル温度は、べき乗、線形などの多くの数学的形式をとることができる伝達関数を使用して推定される。べき乗式が使用される場合、それは、以下の式(1)のようになり得る。
【0056】
Oil=A(T-T-B (1)
式中、
・TOilは、推定オイル温度である。
【0057】
・Tは、遮蔽タンク温度である。
・Tは、露出タンク温度である。
・A及びBは経験的に導出された係数である。
【0058】
線形関数が使用される場合、以下の式(2)の形をとり得る。
Oil=A+BT+CT (2)
式中、
・TOilは、推定オイル温度である。
【0059】
・Tは、遮蔽タンク温度である。
・Tは、露出タンク温度である。
・A、B、及びCは経験的に導出された係数である。
【0060】
内部オイル温度を推定するための前述の式は単なる例示である。当業者であれば、同じT及びT(上述のT及びTに対応する)の入力が与えられた場合に同様に有効な結果をもたらすであろう、べき乗又は線形以外の形式を使用した代替の伝達方程式を決定することができるであろう。
【0061】
いくつかの実施形態では、温度センサ400のステム406は、カートリッジハウジング252内に挿入可能に形成及び構成される。このような実施形態では、変圧器200がカートリッジハウジング252を備えている場合、温度センサ400をその中に挿入することができる。このような構成では、ステム温度感知素子410は、使用中にハウジング202の内部の内側に配置され、ハウジング202の内部空間内の流体204の温度を直接又はほぼ直接測定することができる。したがって、ハウジング202内の流体204の実際の温度の測定を行うことができる。
【0062】
一例示的実施形態では、温度センサ400は、較正係数を求める方法において使用することができ、較正係数を使用して、それを通して内部温度を判定することができる開口又はオリフィスを含まない変圧器100のような変圧器内の流体の内部温度を推定することができる。例えば、センサ400が変圧器102又は202の外部に取り付けられている場合に、ヘッド温度感知素子408及びステム温度感知素子410によって測定されたTとTとの間の差に関するある特定の変圧器100の較正は、変圧器100又はハウジング102に関連付けられた様々なパラメータに依存し得、パラメータには、ハウジング102の壁の厚さ、適用された塗装コーティング、ハウジング102が作られた金属の種類などが含まれる。較正は、これらのパラメータが変化する各変圧器100に対して別々に行われる必要があるが、これらのパラメータの特定のセットを有する1つの変圧器100に対して(すなわち、1つの特定の型の変圧器に対して)実行された較正は、同じパラメータのセットを共有する他の変圧器100にわたって有効となる。同じ原理を適用して、他の電気機器又はデバイス内に収容された流体の内部温度を判断するための較正係数を求めることができる。
【0063】
第1のそのようなセンサ400のステム406を変圧器200のカートリッジハウジング252内に挿入し、かつ第2のそのようなセンサ400をハウジング202の外側に取り付けることによって、センサ400を使用してそのような較正を実行することができる。変圧器200は、複数の異なる温度で又は異なる環境下で、第2のセンサ400のヘッド温度センサ408及びステム温度センサ410によって測定されたT及びTのそれぞれの異なる値を判定し、第2のセンサからのT及びTの値を、第3の温度センサとして機能する第1のそのようなセンサのステム温度感知素子410によって(又はハウジング202内の流体204の内部温度を直接測定する任意の他の方法によって)測定されたハウジング202内の流体204の温度の測定値と比較するために、複数の異なる温度及び環境条件に晒されることができる。測定データを使用して、タンクの内部温度対T及びTをモデル化するために使用される式の係数を決定することができる。
【0064】
一例示的実施形態では、温度センサ400は、センサ440として概略的に示される、ジャイロスコープ又は接触センサなどの方向センサを更に含む。センサ440に使用することができるセンサの例としては、センサ400が垂直に取り付けられているか(外部取り付けを示す)又は水平に取り付けられているか(カートリッジハウジング252の内部に取り付けられていることを示す)を判定するための傾斜スイッチ、磁石付きリードスイッチ、測定温度に基づく論理規則、例えば、ステムセンサがヘッドセンサよりも高い温度であれば、センサ400がカートリッジハウジング252内に設置されている可能性が高いが、逆の温度条件であれば、外部取り付けの可能性が高いなどの論理規則、加速度センサ、センサ400がある特定の構成で設置されたときに切り替えられる物理スイッチ、一方の取り付け位置ではトリガされるが、他方の取り付け位置ではトリガされない光ゲート又は他のデジタルスイッチなどが挙げられる。
【0065】
方向センサ440を使用して、温度センサ400がハウジングの外側に取り付けられているかどうか、又は温度センサ400がカートリッジハウジング252内に挿入されているかどうかを判定することができる。方向センサ440が、温度センサ400がカートリッジハウジング252内に挿入されていると判定した場合、ステム温度感知素子410を使用して、ハウジングの内部温度を直接測定することができ、ある特定の変圧器200の較正を実行する場合には、ステム温度感知素子410を更に第3のセンサとして使用することができる。方向センサ440が、温度センサ400がハウジングの外側に取り付けられていると判定した場合、温度感知素子408及び410を使用して、例えば、方法4000を実行することによって、ハウジング内の流体の内部温度を推定する。
【0066】
例えば、図7を参照すると、方法700を使用して、温度センサ400のような温度センサがどのように設置されているかを判定し、それに応じてハウジング内に収容された流体の温度を判定することができる。702において、温度センサ400のステム406が電気デバイス内のカートリッジハウジング内に挿入されているかどうかを判定する。704では、温度センサ400のステム406がカートリッジハウジング252に挿入されていると判定された場合に、ステム温度感知素子410を使用してハウジング内に収容された流体の温度を直接測定する。706では、温度センサ400のステム406がカートリッジハウジング252に挿入されていないと判定された場合に、断熱材414によって隔てられた熱感知素子410及び412を使用して、例えば、方法4000を実行することによって、ハウジング内の流体の内部温度を推定する。
【0067】
いくつかの実施形態では、周囲環境温度に基づく追加の補償係数を組み込んだ、温度差又はデルタT法を使用して流体104の温度を推定するための方法が提供される。このような方法5000の一例を図8に示す。方法5000は、遮蔽位置108及び露出位置110におけるハウジング102の温度を測定するための任意の好適な装置(例えば、温度センサ400)、並びに周囲環境温度を測定するための任意の好適な装置、例えば、熱電対、抵抗熱デバイス(RTD)センサ、サーミスタ、半導体ベースの集積回路などを使用して実行することができる。その周囲温度を方法5000における追加の変数として使用して、3つの測定された温度を流体104の温度に相関させることができ、これは、例えば、式(1)及び(2)と同様の式に周囲温度を含め、方法4000を参照して説明した温度差又はデルタT法について上述したような既知の基準測定値を使用して、T、T及び周囲温度と流体104の温度との間の相関を導出することによって行われる。
【0068】
方法5000では、5002において、遮蔽位置108の温度(方法4000を参照して説明したTに対応する)を測定する。5004において、露出領域110の温度(方法4000を参照して説明したTに対応する)を測定する。5006において、周囲温度を測定する。5008において、流体104の内部温度を、T、T及び周囲環境温度の測定値に基づいて推定する。
【0069】
図9を参照すると、ハイブリッドゼロ熱流温度差法を使用して流体104の内部温度を推定するために使用することができる温度センサ600の例示的実施形態が示されている。温度センサ600は、本体602を有し、ハウジング102の外面に取り付け可能に構成されている。第1の温度感知素子604が、ハウジング102の外面に隣接して取り付け可能に配置され、次に、温度センサ300と同様に、断熱材608の層が、第1の温度感知素子604より外側に配置され、次に、第2の温度感知素子606が、断熱材608より外側に配置されている。したがって、熱は、矢印612によって表される熱流経路に沿ってハウジング102から外向きに流れる。
【0070】
温度センサ600は、加熱素子が省略されている点で温度センサ300とは異なる。したがって、温度センサ600は、ゼロ熱流法を使用して流体104の内部温度を計算するために加熱素子から加えられた熱を使用するのではなく、一連の既知の内部温度条件下での第1の温度感知素子604と第2の温度感知素子606との間の温度差の較正を使用して、第1の温度感知素子604と第2の温度感知素子606との間の温度差に基づいて流体104の温度をモデル化して予測するために使用することができる方程式を求める。
【0071】
いくつかの実施形態では、ハイブリッドゼロ熱流法及び温度差又はデルタT法を使用して流体104の温度を推定するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、このような方法は、方法5000と同様に、周囲環境温度に基づく追加の補償係数を組み込んでもよい。そのような方法6000の一例を図10に示す。方法6000は、温度センサ600を使用して実行することができる。いくつかの実施形態では、流体104の内部温度を推定する際に周囲温度が使用される場合、周囲環境温度を測定するための任意の好適な装置、例えば、熱電対、測温抵抗体(RTD)センサ、サーミスタ、半導体ベースの集積回路なども使用することができる。
【0072】
6002において、ハウジング102の最も近くに配置された第1の温度感知素子604の温度Tを測定する。6004において、ハウジング102からより遠くに配置された第2の温度感知素子606の温度Tを測定する。6006において、周囲温度を任意選択的に測定する。6008において、流体104の内部温度を、1つの電気機器について以前に導出された係数に基づくT及びTの測定値に基づいて推定する。いくつかの実施形態では、ステップ6006において周囲環境温度が測定されると、ステップ6008において、流体104の内部温度が、T、T、及び測定された周囲温度の全てに基づいて推定される。
【0073】
いくつかの実施形態では、温度センサ300又は400は、320/320’/420として概略的に示されるライト、又は他の視覚的インジケータを備えることができ、これは、ハウジングの外部温度が所定の温度閾値、例えば、それを超えると人がハウジングの外面に触れることが安全でない閾値、を超える温度を超えたことを示す。
【0074】
いくつかの実施形態では、図11に示される温度センサ800に関して示されるように、本明細書に説明される温度センサのうちのいずれかはまた、有線接続部806も備えてもよく、例えば、デジタルセンサバス又は他のプロセッサもしくは通信モジュールへの接続を可能にする。温度センサ800は、ヘッド802及びステム804を有する。有線接続部806は、温度センサ800が、感知された温度に関する情報をコントローラ又は他のプロセッサに中継することを可能にする。代替的実施形態では、無線通信モジュールは、温度センサ800が、感知された温度に関する情報を、並列無線通信モジュールを装備したコントローラ又は他のプロセッサに中継することを可能にし得る。いくつかのそのような実施形態では、有線接続部806は省略されてもよい。
【0075】

ある実施形態が、本質的に限定するものではなく例示的であることが意図されている、以下の例を参照して更に説明される。
【0076】
例1.0 推定内部温度と実際の内部温度との比較
本発明者らは、温度センサ400の一実施形態を使用して試験を行い、方法4000を使用してハウジング内の流体の内部温度を推定した。推定された温度の精度を評価するために、ハウジング内の流体の実際の内部温度の対照測定値を取った。オイル温度、並びに周囲温度及び風速などの環境条件は、実験装置において独立して制御することができた。時刻T及びTのそれぞれにおいて、周囲温度を含む環境条件は変更されたが、実際の内部オイル温度は、T及びTが変化させられる期間を通じて変わらない。
【0077】
結果を図12に示す。ハウジング内の流体の測定温度(実際のオイルT)は、既知の温度値を表す。タンクのハウジングの遮蔽部分の温度(遮蔽部分センサT)及びタンクのハウジングの露出部分の温度(露出部分センサT)を測定し、上述の伝達関数を使用してハウジング内の流体の内部温度(推定オイルT)を推定するために使用した。
【0078】
図から分かるように、特に、環境条件の変化の直後に(すなわち、周囲温度がT及びTのそれぞれにおいて変更された直後に)定常状態に達した後は、推定温度は、測定温度(ハウジング内に配置された別個の温度センサを使用して独立して取得される)を厳密になぞる。対照的に、遮蔽部分センサTも露出部分センサTも実際のオイルTには特に近くはなく、内部オイル温度を判定する代替方法の必要性を示している。
【0079】
いくつもの例示的な態様及び実施形態が上記で論じられてきたが、当業者には、それらの特定の修正、置換、追加、及びサブコンビネーションが認識されるであろう。それゆえ、以下の添付の特許請求の範囲、及び今後導入される特許請求の範囲は、本明細書全体の最広義の解釈と一致するような、全ての修正、置換、追加、及びサブコンビネーションを含むように解釈されることが意図されている。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-06-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの内部の温度を非侵襲的に推定可能な装置であって、
一般的な環境条件から前記ハウジングの少なくとも一部を遮蔽するように形成及び構成された環境遮蔽部分と、
前記環境遮蔽部分内に配置されるとともに、前記装置の使用時に前記ハウジングに熱接触した状態で位置決め可能に配置された第1の温度感知素子と、
前記環境遮蔽部分から離間されるとともに、前記装置の使用時に前記ハウジングに熱接触した状態で位置決め可能に配置された第2の温度感知素子と
を備える装置。
【請求項2】
前記第2の温度感知素子は、大部分が一般的な環境条件に晒されているか、又は前記第1の温度感知素子よりも一般的な環境条件に晒されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の温度感知素子及び前記第2の温度感知素子の少なくとも一方は、前記装置の使用時に前記ハウジングに隣接して位置決め可能に配置される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の温度感知素子及び前記第2の温度感知素子の少なくとも一方は、前記装置の使用時に前記ハウジングに対向して位置決め可能に配置される、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置は、前記ハウジングの内側に延びるカートリッジハウジング内に挿入するように形成及び構成されたカートリッジ部分を有し、前記カートリッジ部分が前記第2の温度感知素子を備えている、装置。
【請求項6】
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたことを判定するためのセンサを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置を使用する方法であって、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたかどうかを判定することと、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されたと判定された場合に、前記ハウジング内に収容された流体の温度を直接測定すべく第3の熱感知素子を使用すること、又は、
前記カートリッジ部分が前記カートリッジハウジング内に挿入されていないと判定された場合に、前記ハウジング内に収容された流体の温度を推定すべく、第1及び第2の熱感知素子を使用すること
を含む方法。
【請求項8】
前記第2の温度センサおよび前記第3の温度センサが同じ温度センサである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
前記ハウジング上の第1の外部位置で第1の温度を測定することであって、前記第1の外部位置は環境条件から保護されていることと、
前記ハウジング上の第2の外部位置で第2の温度を測定することであって、前記第2の外部位置は環境条件に晒されているか、又は前記第1の外部位置よりも前記環境条件に晒されていることと、
前記ハウジング内に収容された流体の温度を推定するために、前記第1の温度と前記第2の温度との間の差を相関させることと
を含む方法。
【請求項10】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置であって、
第1の熱感知素子と、
第2の熱感知素子と、
前記第1及び第2の熱感知素子の両方の外側に配置された加熱素子と、
前記第1及び第2の熱感知素子に対して差動配置された断熱材と
を備える装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の熱感知素子に対して差動配置された前記断熱材が、(i)前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間、又は(ii)前記第1の熱感知素子と前記加熱素子との間に介在されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記断熱材は、前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間、及び前記第1の熱感知素子と前記第2の熱感知素子との間に配置されているが、前記断熱材は、前記ハウジングと前記第1の熱感知素子との間に配置されていない、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の熱感知素子は、前記第2の熱感知素子から横方向に離間されている、請求項10又は11に記載の装置。
【請求項14】
前記第1及び第2の熱感知素子は、前記装置が使用中であるとき、前記ハウジングから同じ距離だけ離間される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
(i)ハウジングに近接した第1の位置で第1の温度を測定することと、
(ii)第2の位置で第2の温度を測定することであって、最初に前記第1の位置と前記第2の位置との間に温度差が存在することと、
(iii)前記第1の温度が前記第2の温度と異なる場合、前記第1及び第2の位置の両方の外側に配置された加熱素子を作動させることと、
(iv)前記第1及び第2の温度が同じであると判定されるまで、ステップ(i)~(iii)を繰り返すことと、
(v)前記ハウジング内に収容された前記流体の温度が、前記第1及び第2の温度と同じであると判定することとを含む方法。
【請求項16】
前記第1の位置と前記第2の位置との間の温度差が、(i)前記ハウジングと前記第2の位置との間、又は(ii)前記加熱要素と前記第1の位置との間に配置された断熱材によって提供される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記断熱材は前記1及び第2の位置の間に介在される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための装置であって、
第1の熱感知素子と、
第2の熱感知素子と、
前記装置の使用中に前記ハウジングと前記第2の熱感知素子との間に位置するように配置された断熱材とを備える装置。
【請求項19】
前記断熱材は、前記第1及び第2の熱感知素子の間に介在される、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
ハウジング内に収容された流体の温度を推定するための方法であって、
前記ハウジング上の第1の位置で第1の温度を測定することと、
第2の位置で第2の温度を測定することであって、断熱材が前記ハウジングと前記第2の位置との間に配置されることと、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の関係に基づいて、前記ハウジング内に収容された前記流体の温度を推定することと
を含む方法。
【請求項21】
前記断熱材が前記第1の位置と前記第2の位置との間に介在される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ハウジングの外側の環境の周囲温度を測定するためのセンサをさらに備える、請求項1乃至6、10乃至14、及び18乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
請求項7乃至9、15乃至17、及び20乃至21のいずれか一項に記載の方法であって、
前記ハウジングの外側の環境の周囲温度を測定することと、
前記第1の温度と前記第2の温度との間の関係に基づいて前記ハウジング内に収容された前記流体の前記温度を推定すべく、前記測定された周囲温度を追加のパラメータとして使用することと
をさらに含む方法。
【請求項24】
請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、及び22のいずれか一項に記載の装置であって、前記ハウジングの外部温度が所定の閾値を超えたことを示す視覚インジケータをさらに備える装置。
【請求項25】
特定の型のハウジング用の較正係数を作成すべく、請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、22、及び24のいずれか一項に記載の装置を使用する方法であって、
前記特定の型のハウジングを表す第1のハウジングの内部温度を測定することと、
前記第1及び第2の温度を提供すべく前記第1及び第2の温度感知要素の各々によって記録された前記温度を測定することと、
前記較正係数を得るべく前記第1の温度と前記第2の温度との間の数学的関係を導出することと
を含む方法。
【請求項26】
前記ハウジングは、電気機器の一部のハウジングを含み、前記電気機器の一部は、任意選択で変圧器を含む、請求項1乃至6、10乃至14、18乃至19、22、及び24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記ハウジングは、電気機器の一部のハウジングを含み、前記電気機器の一部は、任意選択で変圧器を含む、請求項7乃至9、15乃至17、20乃至21、23、及び25のいずれか一項に記載の方法。
【国際調査報告】