(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】貴金属インサートおよびスカートを有するモジュール式スパッタリングターゲット
(51)【国際特許分類】
C23C 14/34 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
C23C14/34 C
C23C14/34 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579363
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 US2022034877
(87)【国際公開番号】W WO2022272045
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508348680
【氏名又は名称】マテリオン コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ゲレロ,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ワン,チェン
【テーマコード(参考)】
4K029
【Fターム(参考)】
4K029AA24
4K029BA04
4K029BA05
4K029BA06
4K029BA13
4K029BA16
4K029CA05
4K029DC04
4K029DC20
4K029EA01
4K029EA02
(57)【要約】
ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと、一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造とを備えるスパッタリングターゲット。一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置され、第1の金属化合物を含む。二次スカートは、第1の金属化合物とは異なる第2の金属化合物を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリングターゲットであって、
ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと;
一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造であって、前記一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置される、スカート構造と
を備え、
前記一次スカートは、第1の金属化合物を含み、前記二次スカートは、前記第1の金属とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲット。
【請求項2】
前記第1の金属化合物が、前記ターゲットインサートと同じ金属を含む、請求項1に記載のターゲット。
【請求項3】
前記第1の金属化合物が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む、請求項1または2に記載のターゲット。
【請求項4】
前記第2の金属化合物が、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項5】
前記ターゲット金属が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項6】
前記一次スカートが、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項7】
前記二次スカートが、100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項8】
一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比が、5未満:1である、請求項1から7のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項9】
前記第1の金属化合物のCTEが、5.5~11.5の範囲であり、前記第2の金属化合物のCTEが、11.5~21.5の範囲であり、前記第1の金属化合物のCTEと前記第2の金属化合物のCTEとの間の分散が、200%未満である、請求項1から8のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項10】
前記第1の金属化合物の伝導率が、100~200の範囲であり、前記第2の金属化合物の伝導率が、315~515の範囲であり、前記第1の金属化合物の伝導率と前記第2の金属化合物の伝導率との間の分散が、200%未満である、請求項1から9のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項11】
前記一次スカートが、前記二次スカートに接合されている、請求項1から10のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項12】
前記接合が、はんだ付けまたは拡散接合により達成され、好ましくは、前記接合は、コーティングまたはめっきにより達成されない、請求項10に記載のターゲット。
【請求項13】
前記ターゲットインサートの下および前記スカートの下に配置されたバッキングプレートをさらに備える、請求項1から12のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項14】
前記一次スカートと前記二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備える、請求項1から13のいずれか一項に記載のターゲット。
【請求項15】
基板との使用において、前記ターゲットが、前記基板にわたり25%未満だけ変動する堆積速度を示し、および/または、前記ターゲットが、前記基板にわたり25%未満だけ変動する膜均一性を示す、請求項1から14のいずれか一項に記載のターゲット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]優先権の主張
本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月24日に出願された米国仮特許出願第63/214,411号の優先権を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、貴金属の堆積のためのスパッタリングターゲットに関し、特に、ターゲットインサートとスカート構造とを備えるスパッタリングターゲットに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]スパッタリング堆積は、薄膜堆積の物理気相堆積(PVD)法である。スパッタリングプロセスは、非常に大まかには、スパッタリングターゲット(材料の源)から材料を基板上に射出することを含む。多くのプロセスおよび材料パラメータの利用可能性によって、これは複雑なプロセスとなる。有益には、これはまた、このようにして形成される膜の成長および微細構造に対する大きな制御を提供する。
【0004】
[0004]スパッタリングの1つのタイプは、イオンビーム衝撃スパッタリングであり、高エネルギー源のイオンがターゲット源(ターゲットインサート)に向けられる。イオンの衝撃力は、エネルギーを得た原子をターゲット源から排出させ(スパッタ)、粒子束を形成させ、基板上に薄膜を堆積させるのに十分なエネルギーをターゲット源の原子に付与する。イオンビームスパッタ堆積を使用する利点には、エネルギー電子衝撃からの基板の隔離、ならびにターゲットに衝突するイオンエネルギーおよび電流密度に対する独立した制御が含まれる。イオンビームスパッタ堆積の基本的な技術は周知である。
【0005】
[0005]一般に、真空チャンバ内に物理的に設置され得る任意のターゲット源材料が、イオンビーム堆積によりスパッタリングされ得る。これには、単一の化学元素、合金、複合材、および化合物で構成される材料が含まれる。所与の化学組成の薄膜を堆積させる上で、ターゲット源が堆積材料の一次源として依存される場合、ターゲット源は、真空、不活性、または開放雰囲気溶融により調製され得る。材料は、誘導、抵抗、電気アーク、または同様の溶融法によって溶融される。材料はその後、既知の材料処理法により適切な形状に成形される。代替として、材料は、いくつかの粉末圧密法、例えば加圧および焼結、熱間等方圧加圧、一軸熱間加圧、または同様の周知の技術によって成形され得る。これらの方法は、高い純度および構造的完全性の材料を生成するように設計され得る。堆積ターゲットは、典型的には、真空チャンバ内への正確な配置のために、接合層によってバッキングホルダまたはプレートに取り付けられる。接合層は、通常、はんだを含む。
【0006】
[0006]イオンビームがターゲットインサートに到達してスパッタリングを開始する際、いくつかの場合ではプロセスの非一貫性に起因して、ビームはターゲット自体以外のエリアに接触し得る。しばしば、ターゲットインサートを所定位置に保持するために外側スカートが利用される。一例として、米国特許第6,755,944号は、外側領域により包囲された取り外し可能な中央に位置する内側インサートからなるイオンビーム堆積ターゲット源を開示している。インサートは、摩滅したら取り外して交換され得るが、一方、イオンビームにより摩滅されないターゲット源の外側領域は、バッキングプレートの所定位置に取り付けられたままである。内側インサートおよび外側領域は、内側インサートおよび外側領域の対向する合わせ面上に位置する係合リップまたは溝構造を備える接続部によって互いに連結され、それによりこれらの構成要素が一体化した際に堆積ターゲット源を形成する。堆積ターゲット源は、接合層によって、イオンビーム堆積機内に設置されるバッキングプレートに取り付けられ得る。
【0007】
[0007]外側スカートは、有害にも、イオンビームと接触し得る。その結果、スカート自体が、不都合にも汚染粒子を放出するターゲット材料となる。この汚染は、所望の膜組成および特性に対する有害な効果を有する。
【0008】
[0008]この問題を改善するために、スカート材料は、ターゲットインサートと同じ高純度(および高コスト)の貴金属/合金によって構築され得る。残念ながら、スパッタリングターゲットにおける著しくより多量の貴金属の利用は、特に貴金属の価格が歴史的に高い現在では、コストを増大させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009]したがって、既知の技術を鑑みても、膜汚染を最小限化または排除し、貴金属含有量および全体的コストを削減しながら、ターゲットインサートを効果的に固定する外側スカートを有するスパッタリングターゲットが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0010]一実施形態において、本開示は、ターゲットインサートとスカート構造とを備えるスパッタリングターゲットに関する。ターゲットインサートは、ターゲット金属化合物を含み、好ましくは、ターゲット金属化合物は、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。スカート構造は、一次スカートおよび二次スカートを含み、一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置される。一次スカートは、第1の金属化合物、例えばロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む。二次スカートは、第2の金属化合物、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。一実施形態において、第2の金属化合物は、第1の金属化合物とは異なる。第1の金属化合物は、ターゲットインサートと同じ金属を任意選択で含む。一次スカートは、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよく、二次スカートは、100ミクロン~25000ミクロン、好ましくは100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよく、および/または一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は、5未満:1であってもよい。第1の金属化合物のCTEは、5.5~11.5の範囲であってもよく、第2の金属化合物のCTEは、11.5~21.5の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物のCTEと第2の金属化合物のCTEとの間の分散は、200%未満であってもよい。第1の金属化合物の伝導率は、100~200の範囲であってもよく、第2の金属化合物の伝導率は、315~515の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物の伝導率と第2の金属化合物の伝導率との間の分散は、200%未満であってもよい。一次スカートは、例えばはんだ付けまたは拡散接合により二次スカートに接合されてもよい。いくつかの場合において、接合は、コーティングまたはめっきにより達成されない。ターゲットは、ターゲットインサートの下およびスカートの下に配置されたバッキングプレート、ならびに/または一次スカートと二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備えてもよい。基板との使用において、ターゲットは、基板にわたり25%未満だけ変動する堆積速度、および/または、基板にわたり25%未満だけ変動する膜均一性を示してもよい。
【0011】
[0011]一実施形態において、本開示は、ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと、一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造であって、一次スカートは二次スカートに接合されている、スカート構造とを備えるスパッタリングターゲットであって、一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第1の金属とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲットに関する。一次スカートは、例えばはんだ付けまたは拡散接合により二次スカートに接合されてもよい。いくつかの場合において、接合は、コーティングまたはめっきにより達成されない。ターゲットインサートは、ターゲット金属化合物を含み、好ましくは、ターゲット金属化合物は、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。スカート構造は、一次スカートおよび二次スカートを含み、一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置される。一次スカートは、第1の金属化合物、例えばロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む。二次スカートは、第2の金属化合物、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。一実施形態において、第2の金属化合物は、第1の金属化合物とは異なる。第1の金属化合物は、ターゲットインサートと同じ金属を任意選択で含む。一次スカートは、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよく、二次スカートは、100ミクロン~25000ミクロン、好ましくは100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよく、および/または一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は、5未満:1であってもよい。第1の金属化合物のCTEは、5.5~11.5の範囲であってもよく、第2の金属化合物のCTEは、11.5~21.5の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物のCTEと第2の金属化合物のCTEとの間の分散は、200%未満であってもよい。第1の金属化合物の伝導率は、100~200の範囲であってもよく、第2の金属化合物の伝導率は、315~515の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物の伝導率と第2の金属化合物の伝導率との間の分散は、200%未満であってもよい。ターゲットは、ターゲットインサートの下およびスカートの下に配置されたバッキングプレート、ならびに/または一次スカートと二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備えてもよい。基板との使用において、ターゲットは、基板にわたり25%未満だけ変動する堆積速度、および/または、基板にわたり25%未満だけ変動する膜均一性を示してもよい。
【0012】
[0012]一実施形態において、本開示は、ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと、一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造とを備えるスパッタリングターゲットであって、一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は5未満:1であり、一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第1の金属とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲットに関する。ターゲットインサートは、ターゲット金属化合物を含み、好ましくは、ターゲット金属化合物は、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。スカート構造は、一次スカートおよび二次スカートを含み、一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置される。一次スカートは、第1の金属化合物、例えばロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む。二次スカートは、第2の金属化合物、例えば、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。一実施形態において、第2の金属化合物は、第1の金属化合物とは異なる。第1の金属化合物は、ターゲットインサートと同じ金属を任意選択で含む。一次スカートは、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよく、二次スカートは、100ミクロン~25000ミクロン、好ましくは100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有してもよい。第1の金属化合物のCTEは、5.5~11.5の範囲であってもよく、第2の金属化合物のCTEは、11.5~21.5の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物のCTEと第2の金属化合物のCTEとの間の分散は、200%未満であってもよい。第1の金属化合物の伝導率は、100~200の範囲であってもよく、第2の金属化合物の伝導率は、315~515の範囲であってもよく、および/または第1の金属化合物の伝導率と第2の金属化合物の伝導率との間の分散は、200%未満であってもよい。一次スカートは、例えばはんだ付けまたは拡散接合により二次スカートに接合されてもよい。いくつかの場合において、接合は、コーティングまたはめっきにより達成されない。ターゲットは、ターゲットインサートの下およびスカートの下に配置されたバッキングプレート、ならびに/または一次スカートと二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備えてもよい。基板との使用において、ターゲットは、基板にわたり25%未満だけ変動する堆積速度、および/または、基板にわたり25%未満だけ変動する膜均一性を示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】[0013]本開示の一実施形態のスパッタリングターゲットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0014]緒論
上述のように、従来のスパッタリングターゲットは、ターゲットインサートと、インサートを所定位置に保持するためのスカートとを備え得る。典型的には、スカート材料は、ターゲットインサートと同じ高純度(および高コスト)の貴金属/合金で構築され、これは、典型的なターゲット貴金属、例えばロジウム、金、または白金の高コストに少なくとも部分的に起因して、コスト効率的ではないスパッタリングターゲットをもたらす。過去には、貴金属のコストがそれほど高くはなく、当技術分野では、特にそのような二部または二層構造が伴う複雑性およびプロセスステップを鑑みて、スカート材料の組成への取り組みに対しては評価されていなかった。換言すれば、二層スカート構成は、以前の文献では議論または取り組まれていない。
【0015】
[0015]ここで、本発明者らは、2つの構成要素、すなわち第1のターゲット貴金属化合物を含む一次スカート、および第2の(よりコストの低い)金属化合物を含む二次スカートを含むスカートの利用が、膜汚染を効果的に低減または排除しながら、同時におよび有利にスパッタリングターゲットの全体的貴金属含有量を低減することを見出した。本明細書に記載のように構成された場合、一次スカートは、イオンビームが接触すると、最小限の不純物を伴って高純度堆積粒子をスパッタリングすることが発見された。いくつかの場合において、イオンビームは、二次スカートに到達しない(またはごくわずかに接触するのみである)。一次および二次スカートがこの様式で(ならびに特に本明細書に記載の厚さおよび厚さ比で)構成された場合、全体としてのスカート構造から放出される望ましくない堆積粒子は、あるとしてもわずかである。したがって、一次スカートおよび二次スカートの相乗的組合せは、膜汚染を最小限化または排除し、貴金属含有量および全体的コストを削減しながら、ターゲットインサートを効果的に固定するという有益な目標を達成する。
【0016】
[0016]対照的に、従来のスカート構成は、全体が高価な貴金属で、または全体がより低コストの金属で構築されており、これは、イオンビームが接触した場合に膜汚染をもたらす。これらの従来のスカート構成は、本明細書で議論されるプロセス/コスト問題を示していた。
【0017】
[0017]スパッタリングターゲット
一実施形態において、本開示は、ターゲット金属を含むターゲットインサートと、ターゲットインサートを所定位置に保持するためのスカート構造とを備えるスパッタリングターゲットに関する。
【0018】
[0018]スカート構造は、有利には、(従来のスカート構成とは対照的に)一次スカートおよび二次スカートの両方を含む。一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置され、例えば、一次スカートは、二次スカートの上に層状に配置されてもよい。一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第2の金属化合物を含む。重要なことに、第1の金属化合物は、第2の金属化合物とは異なってもよく、例えば、第1の金属化合物は、貴金属ターゲット金属を含み、一方第2の金属化合物は、より安価な「フィラー」金属を含む。このような第1および第2の金属化合物の使用は、上述の利益を提供する。
【0019】
[0019]いくつかの場合において、一次スカートおよび二次スカート(およびスカート構造における任意選択の他のスカート構成要素)は、層として構成される。例えば、一次は、二次スカートの少なくとも一部の上に位置付けられた層であってもよく、二次スカートもまた、例えばバッキングプレートの上に位置する層であってもよい。いくつかの場合において、一次スカートは、ターゲットインサートと実質的に同一平面上にある、例えばターゲットインサートと同一平面上にあるように配置される。
【0020】
[0020]上述のように、インサートは、有益にも、摩滅したら取り外され交換され得る。イオンビームにより摩滅していないスカート構造は、所定位置(バッキングプレートに取り付けられた状態)に維持され得るか、またはより効率的なリサイクルのために、ターゲット源が取り外される場合、新たな中央インサートと共に再使用され得る。上述のスカート構成の利点は、交換ターゲットインサートの使用にも適用され得る。例えば、ターゲットインサートが交換される場合、同じスカート構造が使用されてもよく、したがって、膜汚染を最小限化または排除し、貴金属含有量および全体的コストを削減しながらも、交換ターゲットインサートが固定され得る。
【0021】
[0021]スパッタリングターゲット源は、様々な形状およびサイズで作製され得、これらに限定されないが、金属および金属合金、複合材、セラミック化合物、ならびに他の化学組成物(以下の議論を参照されたい)を含む様々な材料を含み得る。いくつかの場合において、スパッタリングターゲットは、約25cm~約40cmの直径を有する円形状、約22cm×30cmの寸法を有する楕円形状、および約25cm×36cmの寸法を有する矩形形状である。これらの寸法は、単なる例示であり、本開示の範囲を限定することを意図しない。
【0022】
[0022]ターゲットインサートおよびスカート構造
ターゲットインサートは、一般に、かなり良く知られている。また、ターゲットインサートの構成は、広く変動し得る。いくつかの場合において、インサートは、中央に位置する。スカート構造は、(少なくとも部分的に)ターゲットインサートに隣接して配置されてもよく、インサートを所定位置に保持し得る。いくつかの場合において、スカートは、インサートを(完全に)包囲し、インサートを所定位置に保持する。例えば、インサートおよびスカートは、互いに密接して構成または連結され得る。いくつかの実施形態において、汚染、例えば非貴金属原子が粒子束内に形成されるのを防止するために、係合接続部を使用してインサートとスカート構造との間の接続を確立してもよい。
【0023】
[0023]ターゲットインサートは、ターゲット金属化合物を含む(ターゲット金属化合物で作製される)。ターゲット金属は、スパッタリングされて基板上に膜を形成する材料を提供する。ターゲット金属化合物は周知であり、広く変動し得、一般に高コストの金属または合金である。ターゲット金属化合物は、1種または複数種の貴金属であってもよい。例示的なターゲット金属/合金は、これらに限定されないが、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。ターゲット金属はまた、上述の金属の組合せおよび合金を含んでもよい。いくつかの場合において、ターゲット金属は、ロジウムである。大まかに説明すると、ターゲット金属化合物は、基板上に効果的にスパッタリングされ得る任意の材料または化合物であり得る。
【0024】
[0024]上述のように、スカート構造は、一次スカートおよび二次スカートを備える。いくつかの場合において、一次スカートおよび二次スカートは、互いに接合される。一例において、接合は、はんだ付けまたは拡散接合により達成され得る。いくつかの実施形態において、接合は、コーティングプロセスまたはめっきにより達成されない。本発明者らは、いくつかの場合において、コーティングおよびめっきは、必要とされる追加の余計な処理ステップから生じる問題に起因して、回避されるべきであることを見出した。また、コーティングおよびめっきを用いると、サプライチェーンの問題が顕著であることが判明した。対照的に、上述の方法等の他の方法の使用は、接合の効率、例えばスカート構造にわたる熱膨張係数(CTE)の一貫性、および処理効率と共に、改善された層間接着を提供し、これは、スパッタリング操作条件、例えばより高い温度下で特に重要である。処理効率は、例えば、プロセスステップ、プロセス条件、および物流問題の排除を含む。はんだ付けまたは拡散接合等の方法を使用することによって、必要とされる処理ステップおよび/または物流がより少なくなる。
【0025】
[0025]一次スカートは、(不用意に)イオンビームと接触し得る部分である。少なくともこの理由のために、一次スカートは、ターゲット金属/合金と同じでなくとも同様の高純度の金属/合金で構築され得る。一次スカートは、第1の金属化合物を含み、これは、ターゲット金属に関して上で言及された金属を含み得る。いくつかの場合において、第1の金属化合物は、ターゲット金属化合物と同じ金属を含む。いくつかの実施形態において、第1の金属化合物および/またはターゲット金属化合物は、高純度の金属、例えば汚染をほとんどまたは全く有さない、例えば10wt%未満の他の金属、例えば5wt%未満、3wt%未満、1wt%未満、0.5wt%未満、または0.1wt%未満の他の金属を含む純粋な金属である。
【0026】
[0026]いくつかの実施形態において、第1の金属化合物およびターゲット金属化合物は両方とも合金であり、合金金属のいくつかが第1の金属化合物およびターゲット金属化合物の両方に存在し、例えば、第1の金属化合物およびターゲット金属化合物中の金属のいくらかの重複があってもよい。
【0027】
[0027]二次スカートは、スパッタリングターゲットにターゲットインサートを固定するように一次スカートと連動する目的を果たす。一次スカートが使用される場合、二次スカートの冶金学(第2の金属化合物の組成)は、有利には、より低コストの金属のものであってもよいことが発見された。本発明の1つの教義は、一般により高価な材料で作製されるスカートの一部を、より安価な材料の少なくともある部分(二次スカート)で効果的に置き換える能力である。
【0028】
[0028]第2の金属化合物は、一般に知られており、より低コストの金属または合金である。例示的な第2の金属/合金は、これらに限定されないが、銅、ニッケル、アルミニウム、もしくは(任意選択で)コバルト、またはそれらの組合せもしくは合金を含む。いくつかの場合において、コバルトは、第2の金属化合物および第1の金属化合物に含まれ得るが、大幅に異なる、例えばより高い量で含まれ得る。第2の金属化合物はまた、上述の金属の組合せおよび合金を含んでもよい。いくつかの場合において、第2の金属は、銅である。いくつかの場合において、第2の金属化合物(またはいくつかの場合では第1の金属化合物)は、本来金属でなくてもよい。第2の金属(またはいくつかの場合では第1の金属化合物)は、単一の化学元素、合金、複合材、ポリマー、酸化物、セラミック、フィラー、および他の化合物を含む材料を含んでもよい。一般に、これらの材料または化合物は、高コストである。他の既知のフィラー材料が企図される。
【0029】
[0029]いくつかの場合において、このセクションでの列挙内のこれらの構成要素の1つまたは複数は、例えば特許請求の範囲の文言により明示的に除外され得る。これは、本明細書において企図される。例えば、開示された組成物は、第1の金属化合物としてコバルトを除外し得、または第2の金属化合物としてアルミニウムが除外され得る。この除外の選択肢は、特定の例に限定されず、むしろ本明細書における列挙内の全ての他の構成要素またはステップに適用され得る。これは、特許請求の範囲の文言におけるこれらの構成要素の1つまたは複数の明示的な除外をサポートする。
【0030】
[0030]本発明者らはさらに、スカート構造の構成要素の厚さが重要であることを見出した。特に、一次スカートの厚さは、イオンビームを第2のスカートに到達させることなく、ひいては望ましくない汚染粒子をスパッタリングさせることなくイオンビームが接触するのに十分でなければならない。いくつかの実施形態において、一次スカートは、10ミクロン超、例えば20ミクロン超、50ミクロン超、100ミクロン超、300ミクロン超、500ミクロン超、800ミクロン超、1000ミクロン超、2000ミクロン超、3000ミクロン超、4000ミクロン超、5000ミクロン超、または6000ミクロン超の厚さを有する。範囲に関しては、一次スカートは、10ミクロン~15000ミクロン、例えば100ミクロン~10000ミクロン、10ミクロン~7000ミクロン、10ミクロン~6350ミクロン、50ミクロン~5000ミクロン、100ミクロン~4000ミクロン、500ミクロン~3500ミクロン、500ミクロン~3000ミクロン、または1000ミクロン~2500ミクロンの範囲の厚さを有してもよい。上限に関しては、一次スカートは、15000ミクロン未満、例えば12000ミクロン未満、10000ミクロン未満、7000ミクロン未満、6000ミクロン未満、5000ミクロン未満、4000ミクロン未満、3500ミクロン未満、3000ミクロン未満、2500ミクロン未満、2000ミクロン未満、または1500ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0031】
[0031]いくつかの場合において、二次スカートは、100ミクロン超、例えば500ミクロン超、800ミクロン超、1000ミクロン超、2000ミクロン超、3000ミクロン超、4000ミクロン超、5000ミクロン超、または6000ミクロン超の厚さを有する。範囲に関しては、二次スカートは、100ミクロン~25000ミクロン、例えば100ミクロン~6350ミクロン、500ミクロン~20000ミクロン、500ミクロン~15000ミクロン、500ミクロン~10000ミクロン、500ミクロン~7000ミクロン、1000ミクロン~6000ミクロン、2000ミクロン~6000ミクロン、または3000ミクロン~5000ミクロンの範囲の厚さを有し得る。上限に関しては、二次スカートは、25000ミクロン未満、例えば20000ミクロン未満、15000ミクロン未満、10000ミクロン未満、7000ミクロン未満、例えば6000ミクロン未満、5000ミクロン未満、4000ミクロン未満、3500ミクロン未満、3000ミクロン未満、2500ミクロン未満、2000ミクロン未満、または1500ミクロン未満の厚さを有し得る。
【0032】
[0032]本明細書において使用される場合、限界値「超」および「未満」は、それに関連する数値もまた含み得る。換言すれば、「超」および「未満」は、「以上」および「以下」として解釈され得る。この文言は、特許請求の範囲において「またはそれに等しい」を含むように後に修正され得ることが企図される。例えば、「4.0超」は、「4.0以上」として解釈され得、また後に特許請求の範囲において修正され得る。
【0033】
[0033]重要なことに、いくつかの場合において、一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は、5未満:1、例えば2未満:1、1未満:1、0.7未満:1、0.5未満:1、0.3未満:1、0.2未満:1、または0.1未満:1である。いくつかの場合において、一次スカートは、二次スカートより薄い。いくつかの実施形態において、一次スカートはまだ、イオンビームが二次スカートに到達するのを防止するのに十分堅牢でなければならない。例えば、一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は、0.1超:1、例えば0.2超:1、0.3超:1、0.4超:1、0.5超:1、0.6超:1、0.7超:1、0.8超:1、0.9超:1、または1超:1であってもよい。
【0034】
[0034]第1の金属化合物および第2の金属化合物はまた、互いに十分良好に相互作用しなければならない。金属化合物の特性は、いくつかの場合において、過度に異なるべきではない。
【0035】
[0035]第1の金属化合物のCTE(0~100℃(×10-6℃-1))は、4~20、例えば5~19、7~15、5~11、5.5~10.5、6~10、6.5~9.5、7~9、または7.5~8.5の範囲であってもよい。上限に関しては、第1の金属のCTEは、20未満、例えば19未満、15未満、12未満、10.5未満、10未満、9.5未満、9未満、または8.5未満であってもよい。下限に関しては、第1の金属のCTEは、4超、例えば5超、5.5超、6超、6.5超、7超、7.5超、8超、または8.5超であってもよい。
【0036】
[0036]第2の金属化合物のCTE(0~100℃(×10-6℃-1))は、4~20、例えば4~18、5~15、11.5~21.5、例えば13.5~19.5、14.5~18.5、15.5~17.5、または16~17の範囲であってもよい。上限に関しては、第2の金属のCTEは、21.5未満、例えば20未満、19.5未満、18.5未満、17.5未満、または17未満であってもよい。下限に関しては、第2の金属のCTEは、4超、例えば6超、8超、10超、11.5、例えば13.5超、14.5超、15.5超、または16超であってもよい。
【0037】
[0037]第1の金属化合物の伝導率(0~100℃(Wm-1K-1))は、50~350、例えば50~300、100~300、100~250、120~180、130~170、140~160、または145~155の範囲であってもよい。上限に関しては、第1の金属化合物の伝導率は、350未満、例えば300未満、250未満、200未満、180未満、170未満、160未満、または155未満であってもよい。下限に関しては、第1の金属化合物の伝導率は、50超、例えば100超、120超、130超、140超、または145超であってもよい。
【0038】
[0038]第2の金属化合物の伝導率(0~100℃(Wm-1K-1))は、200~515、例えば200~450、250~400、315~515、365~465、390~440、400~430、または410~420の範囲であってもよい。上限に関しては、第2の金属化合物の伝導率は、515未満、例えば465未満、440未満、430未満、または420未満であってもよい。下限に関しては、第2の金属化合物の伝導率は、200超、例えば250超、300超、315超、365超、390超、400超、または410超であってもよい。
【0039】
[0039]いくつかの実施形態において、第1の金属化合物のCTEと第2の金属化合物のCTEとの間の分散は、200%未満、例えば150%未満、100%未満、75%未満、50%未満、25%未満、または10%未満である。
【0040】
[0040]いくつかの実施形態において、第1の金属化合物の伝導率と第2の金属化合物の伝導率との間の分散は、200%未満、例えば150%未満、100%未満、75%未満、50%未満、25%未満、または10%未満である。
【0041】
[0041]これらの特性を管理することによって、一次スカートと二次スカートとの間の接合の改善が驚くほど改善される。例えば、均一な接合および均一なターゲットが達成され、例えば、接着が高く、ホットスポットが最小限化または排除される。その結果、スパッタリング操作において基板と共に使用された場合、スパッタリングターゲットは、基板にわたり25%未満、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ変動する堆積速度(オングストローム/秒)を示す。別の利益として、スパッタリング操作において基板と共に使用された場合、スパッタリングターゲットは、基板にわたり25%未満、例えば20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、または1%未満だけ変動する膜均一性を示す。
【0042】
[0042]接合層および他の層
上述の構成要素に加えて、スパッタリングターゲットは、他の層をさらに備えてもよい。例えば、スパッタリングターゲットは、一次スカートと二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備えてもよい。接合層は、接合操作、例えばはんだ付け、拡散接合、またはめっき操作の結果であってもよい。複数の接合層が企図される。接合層の組成および処理は広く変動し得る。いくつかの接合層形成技術が知られている。接合層は、いくつかの場合において、はんだを含む。
【0043】
[0043]いくつかの場合において、ターゲットインサートの下およびスカートの下に配置されたバッキングプレートを備える。バッキングプレートは、広く変動し得、多くの従来のバッキングプレートが当技術分野において知られている。いくつかの場合において、ターゲットおよび/またはスカート構造は、接合層によって、イオンビーム堆積(IBD)機に位置するバッキングプレートに取り付けられてもよい。
【0044】
[0044]図は、ターゲットインサート102およびスカート構造104を備える例示的スパッタリングターゲット100を示す。この特定の場合において、スカート構造104は、ターゲットインサート102を包囲および受容する。図に示されるように、スカート構造は、一次スカート106および二次スカート108を備え、これらは本明細書に記載のように構築および構成される。ターゲットインサート102およびスカート構造104は、バッキングプレート110の上に配置される。
【0045】
[0045]いくつかの場合において、交換が必要となる程ターゲットが十分に摩滅したら、バッキングプレートははんだを溶融するのに十分な温度まで加熱され得、それにより摩滅したインサートを取り外すことができ、これは、開示されたスパッタリングターゲットのモジュール性を示している。
【0046】
[0046]実施形態
以下の実施形態が企図される。特徴および実施形態の全ての組合せが企図される。
【0047】
[0047]実施形態1:ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと;一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造であって、一次スカートは、二次スカートの少なくとも一部に隣接して配置される、スカート構造とを備えるスパッタリングターゲットであって、一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第1の金属化合物とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲット。
【0048】
[0048]実施形態2:第1の金属化合物が、ターゲットインサートと同じ金属を含む、実施形態1の実施形態。
【0049】
[0049]実施形態3:第1の金属化合物が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む、実施形態1または2の実施形態。
【0050】
[0050]実施形態4:第2の金属化合物が、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、実施形態1から3の実施形態。
【0051】
[0051]実施形態5:ターゲット金属が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、実施形態1から4の実施形態。
【0052】
[0052]実施形態6:一次スカートが、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態1から5の実施形態。
【0053】
[0053]実施形態7:二次スカートが、100ミクロン~25000ミクロン、好ましくは100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態1から6の実施形態。
【0054】
[0054]実施形態8:一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比が、5未満:1である、実施形態1から7の実施形態。
【0055】
[0055]実施形態9:第1の金属化合物のCTEが、5.5~11.5の範囲であり、第2の金属化合物のCTEが、11.5~21.5の範囲であり、第1の金属化合物のCTEと第2の金属化合物のCTEとの間の分散が、200%未満である、実施形態1から8の実施形態。
【0056】
[0056]実施形態10:第1の金属化合物の伝導率が、100~200の範囲であり、第2の金属化合物の伝導率が、315~515の範囲であり、第1の金属化合物の伝導率と第2の金属化合物の伝導率との間の分散が、200%未満である、実施形態1から9の実施形態。
【0057】
[0057]実施形態11:一次スカートが、二次スカートに接合されている、実施形態1から10の実施形態。
【0058】
[0058]実施形態12:接合が、はんだ付けまたは拡散接合により達成される、実施形態1から11の実施形態。
【0059】
[0059]実施形態13:接合が、コーティングまたはめっきにより達成されない、実施形態1から12の実施形態。
【0060】
[0060]実施形態14:ターゲットインサートの下およびスカートの下に配置されたバッキングプレートをさらに備える、実施形態1から13の実施形態。
【0061】
[0061]実施形態15:一次スカートと二次スカートとの間に配置された接合層をさらに備える、実施形態1から14の実施形態。
【0062】
[0062]実施形態16:基板との使用において、ターゲットが、基板にわたり25%未満だけ変動する堆積速度を示す、実施形態1から15の実施形態。
【0063】
[0063]実施形態17:基板との使用において、ターゲットが、基板にわたり25%未満だけ変動する膜均一性を示す、実施形態1から16の実施形態。
【0064】
[0064]実施形態18:ターゲット金属化合物を含むターゲットインサートと、一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造であって、一次スカートは二次スカートに接合されている、スカート構造とを備えるスパッタリングターゲットであって、一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第1の金属とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲット。
【0065】
[0065]実施形態19:接合が、はんだ付けまたは拡散接合により達成され、好ましくは、コーティングまたはめっきにより達成されない、18の実施形態。
【0066】
[0066]実施形態20:ターゲット金属化合物を含むターゲットインサート;一次スカートおよび二次スカートを含むスカート構造を備えるスパッタリングターゲットであって、一次スカートの厚さ対二次スカートの厚さの比は5未満:1であり、一次スカートは、第1の金属化合物を含み、二次スカートは、第1の金属とは異なる第2の金属化合物を含む、ターゲット。
【0067】
[0067]実施形態21:第1の金属化合物が、ターゲットインサートと同じ金属を含む、実施形態20の実施形態。
【0068】
[0068]実施形態22:第1の金属化合物が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、もしくは銀、またはそれらの組合せを含む、実施形態20または21の実施形態。
【0069】
[0069]実施形態23:第2の金属化合物が、銅、ニッケル、アルミニウム、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、実施形態20から22の実施形態。
【0070】
[0070]実施形態24:ターゲット金属が、ロジウム、ルテニウム、白金、金、イリジウム、コバルト、タンタル、タングステン、もしくは銀、またはそれらの組合せもしくは合金を含む、実施形態20から23の実施形態。
【0071】
[0071]実施形態25:一次スカートが、10ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態20から24の実施形態。
【0072】
[0072]実施形態26:二次スカートが、100ミクロン~25000ミクロン、100ミクロン~6350ミクロンの範囲の厚さを有する、実施形態20から25の実施形態。
【0073】
[0073]本発明を詳細に説明してきたが、本発明の趣旨および範囲内の修正は、当業者に容易に明らかとなるであろう。上記の議論、当技術分野における関連する知識、ならびに背景技術および発明を実施するための形態と併せて上記で議論された参考文献を鑑みて、それらの開示は全て参照により本明細書に組み込まれる。さらに、以下で、および/または添付の特許請求の範囲において列挙される本発明の態様、ならびに様々な実施形態および様々な特徴の一部は、全体的または部分的に組み合わされ得る、または交換され得ることが理解されるべきである。様々な実施形態の上記説明において、別の実施形態を参照するそれらの実施形態は、当業者には理解されるように、他の実施形態と適切に組み合わされ得る。さらに、当業者には、上記説明が例示のみを目的とし、制限を意図しないことが理解されるであろう。
【国際調査報告】