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特表2024-522876アデノ随伴ウイルスパッケージングシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】アデノ随伴ウイルスパッケージングシステム
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20240614BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20240614BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/113 Z
C12N15/55
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579393
(86)(22)【出願日】2022-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022073138
(87)【国際公開番号】W WO2022272297
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/202,817
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/262,218
(32)【優先日】2021-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/266,646
(32)【優先日】2022-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523480783
【氏名又は名称】オックスフォード バイオメディカ ソリューションズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バン リースハウト, ローラ
(72)【発明者】
【氏名】スタンビック, マリッサ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA44
(57)【要約】
本明細書では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生のためのデュアルベクタートランスフェクションシステムが提供される。デュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般的に:(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクター、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列と;
導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;
AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含み、
ヘルパーウイルス遺伝子を含まない、第1の核酸ベクター。
【請求項2】
5’から3’方向に:
AAV Repタンパク質をコードする前記第1のヌクレオチド配列と;
導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む前記第2のヌクレオチド配列と;
AAVキャプシドタンパク質をコードする前記第3のヌクレオチド配列と、を含み、
ヘルパーウイルス遺伝子を含まない、請求項1に記載の核酸ベクター。
【請求項3】
5’から3’方向に:
AAV Repタンパク質をコードする前記第1のヌクレオチド配列と;
導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む前記第2のヌクレオチド配列と;
AAVキャプシドタンパク質をコードする前記第3のヌクレオチド配列と、を含む、請求項1に記載の核酸ベクター。
【請求項4】
前記核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、請求項1~3のいずれか1項に記載の核酸ベクター。
【請求項5】
(i)第1の核酸ベクターであって:
AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;
導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及び
AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む、前記第1の核酸ベクターと;
(ii):ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターと、を含む、
組換えAAV(rAAV)パッケージングシステム。
【請求項6】
前記第1の核酸ベクターが、5’から3’方向に:
AAV Repタンパク質をコードする前記第1のヌクレオチド配列と;
導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む前記第2のヌクレオチド配列と;
AAVキャプシドタンパク質をコードする前記第3のヌクレオチド配列と、を含む、請求項5記載のパッケージングシステム。
【請求項7】
前記第1の核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、請求項5または6に記載のパッケージングシステム。
【請求項8】
前記第2の核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、請求項5~7のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項9】
前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項10】
前記導入遺伝子が、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA、gRNA、アンタゴミル(antagomir)、miRNAスポンジ、RNAアプタザイム、RNAアプタマー、lncRNA、リボザイム、またはmRNAをコードする、請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項11】
前記導入遺伝子は、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)またはフラタキシン(FXN)をコードする、請求項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項12】
前記rAAVゲノムが、前記導入遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項13】
前記転写調節エレメントが、プロモーターエレメント及び/またはイントロンエレメントを含む、請求項12記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項14】
前記rAAVゲノムが、ポリアデニル化配列をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項15】
前記ポリアデニル化配列が、前記導入遺伝子に対して3’である、請求項14に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項16】
前記rAAVゲノムが、前記導入遺伝子の5’の5’逆位末端反復(5’ITR)ヌクレオチド配列、及び前記導入遺伝子の3’の3’逆位末端反復(3’ITR)ヌクレオチド配列をさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項17】
前記AAV Repタンパク質が、野生型Repタンパク質またはそのバリアントである、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項18】
前記AAV Repタンパク質が、AAV2 Repタンパク質またはそのバリアントである、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項19】
前記第1のヌクレオチド配列が、前記AAV Repタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項20】
前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項19に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項21】
前記プロモーターが、P5プロモーター、P19プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、請求項20に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項22】
前記AAVキャプシドタンパク質が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVRh32.33、AAVrh74、AAV-DJ、AAV-LK03、NP59、VOY101、VOY201、VOY701、VOY801、VOY1101、AAVPHP.N、AAVPHP.A、AAVPHP.B、PHP.B2、PHP.B3、G2A3、G2B4、G2B5、及びPHP.S.からなる群から選択される、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項23】
前記第3のヌクレオチド配列が、前記AAVキャプシドタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行請求項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項24】
前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項23に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項25】
前記プロモーターが、P40プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、請求項24に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【請求項26】
前記ヘルパーウイルス遺伝子が、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、サイトメガロウイルス、及びバキュロウイルスからなる群から選択されるヘルパーウイルスに由来する、請求項5~25のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項27】
前記ヘルパーウイルス遺伝子が、El、E2、E4及びVAからなる群から選択されるアデノウイルスに由来するRNA遺伝子である、請求項5~26のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項28】
前記第2の核酸ベクターが、前記ヘルパーウイルス遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、請求項5~27のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項29】
前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項28に記載のパッケージングシステム。
【請求項30】
前記プロモーターが、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、請求項29に記載のパッケージングシステム。
【請求項31】
前記第2の核酸ベクターが、配列番号60、61、または62に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項5~30のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項32】
前記第2の核酸ベクターが、配列番号63に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、請求項5~31のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項33】
前記ヘルパーウイルス遺伝子が、UL5/8/52、ICP0、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるヘルペスウイルス由来の遺伝子である、請求項5~32のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【請求項34】
前記第2の核酸ベクターが、前記ヘルパーウイルス遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、請求項33に記載のパッケージングシステム。
【請求項35】
前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、請求項34に記載のパッケージングシステム。
【請求項36】
前記プロモーターが、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、請求項35に記載のパッケージングシステム。
【請求項37】
請求項1~4、もしくは請求項9~25のいずれか1項に記載の核酸ベクター、または請求項5~36のいずれか1項に記載のパッケージングシステムを含む、宿主細胞。
【請求項38】
前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、請求項37に記載の宿主細胞。
【請求項39】
前記哺乳動物細胞が、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される、請求項38に記載の宿主細胞。
【請求項40】
前記哺乳動物細胞が、HEK293細胞である、請求項38または39に記載の宿主細胞。
【請求項41】
rAAVの組換え調製のための方法であって、前記rAAVを産生する条件下で、請求項5~36のいずれか1項に記載のパッケージングシステムを哺乳動物細胞に導入することを含む、前記方法。
【請求項42】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.2、1:0.4、1:0.6、1:0.8、1:1、1:2、1:3、または1:4からなる群から選択される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:2である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.2~1:1である、請求項41または42に記載の方法。
【請求項45】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.6である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.8である、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:1である、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記方法が、前記パッケージングシステムの0.1~4μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記方法が、前記パッケージングシステムの0.5~1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、請求項41~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記方法が、前記パッケージングシステムの0.6、0.7、0.8、0.9または1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、前記パッケージングシステムの0.75μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
(i)前記AAV Repタンパク質及び前記AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター;と
(ii)前記rAAVゲノムを含む第2のベクターと;
(iii)1つ以上の前記ヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクターと、を含む、哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比べて、増大したrAAV力価をもたらす、請求項41~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
(i)前記AAV Repタンパク質及び前記AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター;と
(ii)前記rAAVゲノムを含む第2のベクター;と
(iii)1つ以上の前記ヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクターと、を含む、哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比べて、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大をもたらす、請求項41~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記哺乳動物細胞が、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される、請求項41~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記哺乳動物細胞が、HEK293細胞である、請求項41~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記哺乳動物細胞を、細胞培養物中で提供する、請求項41~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
細胞培養物中に提供される、請求項37~40のいずれか1項に記載の宿主細胞の集団。
【請求項58】
前記細胞培養物が、少なくとも2リットル、少なくとも50リットルまたは少なくとも2000リットルの容積を有する、請求項56に記載の方法または請求項57に記載の宿主細胞の集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2021年6月25日に出願の米国仮特許出願第63/202,817号、2021年10月7日に出願の同第63/262,218号、及び2022年1月11日に出願の同第63/266,646号の優先権を主張しており、これらの開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる(2022年6月21日に作成された上記ASCIIコピーは「HMW-043_SL.txt」という名称で、サイズは336,866バイトである)。
【背景技術】
【0003】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、遺伝子治療の目的で外来DNAを細胞に送達するベクターとして魅力的なものとなる固有の特徴を有している。AAVの商業的製造には、一般に哺乳動物細胞系または昆虫細胞系のいずれかを使用している。市販の哺乳動物細胞ベースのAAV産生システムは、典型的には、3つのプラスミド、すなわちAAV Rep及びAAVキャプシドタンパク質をコードする配列を含む第1のプラスミド;AAVベクターゲノムを含む第2のプラスミド;ならびに1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子(通常はアデノウイルスまたはヘルペスウイルス遺伝子)を含む第3のプラスミドの細胞へのトランスフェクションを含む。そのような3つのプラスミドAAV製造システムは、効果的ではあるが、最適化するには複雑であり、商業的なAAV治療に関連する商品を高コストにさせる。
【0004】
したがって、効率的なAAV産生をもたらすが、複雑さ及びコストが低減された、改良されたAAV製造システムが当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生のためのデュアルベクタートランスフェクションシステムを提供する。本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般的に、(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクター、を含む。このようなデュアルベクタートランスフェクションシステムでは、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターは、宿主産生細胞と共に、AAV産生に必要な全ての成分を提供する。本明細書に開示されるデュアルベクタートランスフェクションシステムは、従来のトリプルベクタートランスフェクションシステムと比較して、rAAV生産性の増大をもたらすことが判明した。さらに、本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムにおける成分の特定の組織化は、従来技術のデュアルベクタートランスフェクションシステムよりも優れたrAAV生産性をもたらすことが判明した。
【0006】
したがって、一態様では、本開示は、AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクターであって、ヘルパーウイルス遺伝子を含まない、第1の核酸ベクターを提供する。
【0007】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含み、核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含まない。
【0008】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含み、この核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含まず、この導入遺伝子は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、アリールスルファターゼA(ARSA)、イズロン酸2-スルファターゼ(I2S)、及び抗補体成分5(C5)抗体からなる群から選択されない。
【0009】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含み、この核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含まず、このAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸を含まず、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Cであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Qであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Rであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり、配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり、または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。
【0010】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含み、この核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含まず、(i)この導入遺伝子が、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、アリールスルファターゼA(ARSA)、イズロン酸2-スルファターゼ(I2S)、及び抗補体成分5(C5)抗体からなる群から選択されず、(ii)このAAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列に対して少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含まず、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり、配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり、または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。
【0011】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む。
【0012】
特定の実施形態では、核酸ベクターは、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである。
【0013】
別の態様では、本開示は、(i)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクターと、(ii)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターと、を含む組換えAAV(rAAV)パッケージングシステムを提供する。
【0014】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、導入遺伝子は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、アリールスルファターゼA(ARSA)、イズロン酸2-スルファターゼ(I2S)及び抗補体成分5(C5)抗体からなる群から選択されない。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含まず、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または、配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである。特定の実施形態では、導入遺伝子は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、アリールスルファターゼA(ARSA)、イズロン酸2-スルファターゼ(I2S)及び抗補体成分5(C5)抗体からなる群から選択されず、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも95%同一であるアミノ酸配列を含まず、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである、または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。
【0015】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクターは、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである。
【0016】
特定の実施形態では、この導入遺伝子はポリペプチドをコードする。特定の実施形態では、この導入遺伝子は、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA、gRNA、アンタゴミル(antagomir)、miRNAスポンジ、RNAアプタザイム、RNAアプタマー、lncRNA、リボザイムまたはmRNAをコードする。特定の実施形態では、この導入遺伝子は、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)、イズロン酸-2-スルファターゼ(I2S)、アリールスルファターゼA(ARSA)、及びフラタキシン(FXN)からなる群から選択されるタンパク質をコードする。特定の実施形態では、この導入遺伝子は、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)またはフラタキシン(FXN)をコードする。
【0017】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、導入遺伝子に作動可能に連結されている転写調節エレメントをさらに含む。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、プロモーターエレメント及び/またはイントロンエレメントを含む。
【0018】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、ポリアデニル化配列をさらに含む。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、導入遺伝子に対して3’である。
【0019】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号71、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0020】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、導入遺伝子の5’の5’逆位末端反復(5’ITR)ヌクレオチド配列及び導入遺伝子の3’の3’逆位末端反復(3’ITR)ヌクレオチド配列をさらに含む。特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列は、配列番号39、41または42に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であり、及び/または3’ITRヌクレオチド配列は、配列番号40、43または44に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。
【0021】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号75、78、80、82または84に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0022】
特定の実施形態では、AAV Repタンパク質は、野生型Repタンパク質またはそのバリアントである。特定の実施形態では、AAV Repタンパク質は、AAV2 Repタンパク質またはそのバリアントである。
【0023】
特定の実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、AAV Repタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む。特定の実施形態では、プロモーターは、P5プロモーター、P19プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される。
【0024】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVRh32.33、AAVrh74、AAV-DJ、AAV-LK03、NP59、VOY101、VOY201、VOY701、VOY801、VOY1101、AAVPHP.N、AAVPHP.A、AAVPHP.B、PHP.B2、PHP.B3、G2A3、G2B4、G2B5、及びPHP.Sからなる群から選択される。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74からなる群から選択される。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8及びAAVrh74からなる群から選択される。
【0025】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0026】
特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。
【0027】
特定の実施形態では、(a)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(b)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(c)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(d)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または(e)配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。
【0028】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含む。
【0029】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0030】
特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである。
【0031】
特定の実施形態では、(a)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(b)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(c)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(d)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または(e)配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。
【0032】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む。
【0033】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む。
【0034】
特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり;配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸68に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がVであり;配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり;配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。
【0035】
特定の実施形態では、(a)配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり、かつ配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;(b)配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、かつ配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がYであり;(c)配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;(d)配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり、かつ配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;(e)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(f)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(g)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(h)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。
【0036】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む。
【0037】
特定の実施形態では、第3のヌクレオチド配列は、AAVキャプシドタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む。特定の実施形態では、プロモーターは、P40プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される。
【0038】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクターは、配列番号73または77に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0039】
特定の実施形態では、第2のヌクレオチド配列は、配列番号71、75、78、80、82、84、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む。
【0040】
特定の実施形態では、第1のヌクレオチド配列は、配列番号50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の配列を含み;第2のヌクレオチド配列は、配列番号71、75、78、80、82、84、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含み;第3のヌクレオチド配列は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736、138~736及び/または1~736のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列をコードする。
【0041】
特定の実施形態において、第1の核酸ベクターは、5’から3’方向に、第1のヌクレオチド配列;第2のヌクレオチド配列;及び第3のヌクレオチド配列を含む。
【0042】
特定の実施形態では、ヘルパーウイルス遺伝子は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、サイトメガロウイルス、及びバキュロウイルスからなる群から選択されるヘルパーウイルスに由来する。特定の実施形態では、ヘルパーウイルス遺伝子は、E1、E2、E4及びVAからなる群から選択されるアデノウイルス由来のRNA遺伝子である。特定の実施形態では、ヘルパーウイルス遺伝子は、UL5/8/52、ICP0、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるヘルペスウイルス由来の遺伝子である。
【0043】
特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、さらにヘルパーウイルス遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む。特定の実施形態では、プロモーターは、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される。
【0044】
特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、配列番号60、61、または62に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0045】
特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、配列番号63に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。
【0046】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の核酸ベクターまたは本明細書に記載のパッケージングシステムを含む宿主細胞を提供する。本開示はまた、そのような宿主細胞の集団を提供する。特定の実施形態では、宿主細胞の集団は細胞培養物で提供される。特定の実施形態では、細胞培養物は、少なくとも2リットル、少なくとも50リットルまたは少なくとも2000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約5000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約4000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約3000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約2500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約2000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約1500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約1000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約250リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約100リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約50リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約25リットルの容積を有する。
【0047】
特定の実施形態では、宿主細胞は、哺乳動物細胞である。特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される。特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、HEK293細胞である。
【0048】
別の態様では、本開示は、rAAVを産生する条件下で哺乳動物細胞に本明細書に記載のパッケージングシステムを導入することを含む、rAAVの組換え調製のための方法を提供する。
【0049】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.2、1:0.4、1:0.6、1:0.8、1:1、1:2、1:3、または1:4からなる群から選択される。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:2である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.2~1:1である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.6である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は1:0.8である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:1である。
【0050】
特定の実施形態では、この方法は、パッケージングシステムの0.1~4μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む。特定の実施形態では、この方法は、パッケージングシステムの0.5~1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む。特定の実施形態では、この方法は、パッケージングシステムの0.6、0.7、0.8、0.9、または1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む。特定の実施形態では、この方法は、パッケージングシステムの0.75μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む。
【0051】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2のベクター核酸の比は、1:2、1:3、または1:4である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比は、1:2である。
【0052】
特定の実施形態では、この方法は、(i)AAV Repタンパク質及びAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター、(ii)rAAVゲノムを含む第2のベクター、ならびに(iii)1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比較して、rAAV力価の増大を生じる。
【0053】
特定の実施形態では、この方法は、(i)AAV Repタンパク質及びAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター、(ii)rAAVゲノムを含む第2のベクター、ならびに(iii)1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比較して、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大を生じる。
【0054】
特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される。特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、HEK293細胞である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
図1A】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2)を用いた小規模rAAV産生から得られた、ウイルスゲノム(VG)生産性を示すグラフである。
図1B】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2)を用いた小規模rAAV産生から得られた、キャプシド生産性を示すグラフである。
図1C】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2)を用いた小規模rAAV産生から得られた、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。
【0056】
図2A】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1及び3)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2及び4)を用いた小規模rAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。rAAV生産性を、2つの異なるrAAV遺伝子編集ベクター:ヒト特異的遺伝子編集ベクター(1及び2)及びマウス特異的ベクター(3及び4)について決定した。様々な条件を表3に示す。
図2B】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1及び3)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2及び4)を用いた小規模rAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。rAAV生産性を、2つの異なるrAAV遺伝子編集ベクター:ヒト特異的遺伝子編集ベクター(1及び2)及びマウス特異的ベクター(3及び4)について決定した。様々な条件を表3に示す。
図2C】トリプルベクタートランスフェクションシステム(1及び3)及びデュアルベクタートランスフェクションシステム(2及び4)を用いた小規模rAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。rAAV生産性を、2つの異なるrAAV遺伝子編集ベクター:ヒト特異的遺伝子編集ベクター(1及び2)及びマウス特異的ベクター(3及び4)について決定した。様々な条件を表3に示す。
【0057】
図3】A~Cは、rAAVデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(A)、デザイン-2(B)及びデザイン-3(C)を示す概略図である。
【0058】
図4A】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1-3)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(4-6)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(7)を用いた小規模のrAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A及び3Bに示す。試験した各デュアルベクタートランスフェクションシステムデザインについて、トランスフェクションを、3つの異なる導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクターの比率:1:0.5(1及び4)、1:1(2及び5)、及び1:3(3及び6)で実施した。様々なトランスフェクション条件を表4に記載している。
図4B】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1-3)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(4-6)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(7)を用いた小規模のrAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A及び3Bに示す。試験した各デュアルベクタートランスフェクションシステムデザインについて、トランスフェクションを、3つの異なる導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクターの比率:1:0.5(1及び4)、1:1(2及び5)、及び1:3(3及び6)で実施した。様々なトランスフェクション条件を表4に記載している。
図4C】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1-3)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(4-6)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(7)を用いた小規模のrAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A及び3Bに示す。試験した各デュアルベクタートランスフェクションシステムデザインについて、トランスフェクションを、3つの異なる導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクターの比率:1:0.5(1及び4)、1:1(2及び5)、及び1:3(3及び6)で実施した。様々なトランスフェクション条件を表4に記載している。
【0059】
図5A】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(2)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-3(3)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(4)を用いた小規模のrAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A~3Cに示す。様々なトランスフェクション条件を表5に記載している。
図5B】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(2)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-3(3)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(4)を用いた小規模のrAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A~3Cに示す。様々なトランスフェクション条件を表5に記載している。
図5C】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(1)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-2(2)、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-3(3)、及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(4)を用いた小規模のrAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(「完全%」)を示すグラフである。試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを図3A~3Cに示す。様々なトランスフェクション条件を表5に記載している。
【0060】
図6A】以下の様々な導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクター比:1:2(「デュアル1:2」)、1:3(「デュアル1:3」)及び1:4(「デュアル1:4」)、ならびにトリプルベクタートランスフェクションシステム(トリプル):で、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を用いて2L規模rAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。6つの異なるrAAVベクターゲノム(1~6)を試験した。条件1~5はAAVHSC15キャプシドを使用し、条件6はAAVHSC17キャプシドを使用した。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
図6B】以下の様々な導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクター比:1:2(「デュアル1:2」)、1:3(「デュアル1:3」)及び1:4(「デュアル1:4」)、ならびにトリプルベクタートランスフェクションシステム(トリプル):で、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を用いて2L規模rAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。6つの異なるrAAVベクターゲノム(1~6)を試験した。条件1~5はAAVHSC15キャプシドを使用し、条件6はAAVHSC17キャプシドを使用した。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
図6C】以下の様々な導入遺伝子ベクター対ヘルパーベクター比:1:2(「デュアル1:2」)、1:3(「デュアル1:3」)及び1:4(「デュアル1:4」)、ならびにトリプルベクタートランスフェクションシステム(トリプル):で、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を用いて2L規模rAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。6つの異なるrAAVベクターゲノム(1~6)を試験した。条件1~5はAAVHSC15キャプシドを使用し、条件6はAAVHSC17キャプシドを使用した。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
【0061】
図7A】AAV2キャプシドを利用するデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた小規模rAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
図7B】AAV2キャプシドを利用するデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた小規模rAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
図7C】AAV2キャプシドを利用するデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた小規模rAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。様々なトランスフェクション条件を表6に記載している。
【0062】
図8】デザイン-1のデュアルプラスミドシステムを使用したrAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムの数を示すグラフであり、これらはそれぞれ、対応するトリプルプラスミドシステム対照から得られたインタクトなベクターゲノムの数に対する増加のパーセンテージとして表される。4つの異なるrAAVベクターゲノム(1~4)を試験した。条件1~3は、AAVHSC15キャプシドを使用し、条件4はAAVHSC17キャプシドを使用した。様々なトランスフェクション条件を表7に記載している。
【0063】
図9】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1及びデザイン-2からのキャプシド生成のレベルと、それぞれの各デザインのRep/Capの配列を含むベクターからのキャプシド産生のレベルとを一緒に示すグラフである。様々なトランスフェクション条件を表8に記載している。
【0064】
図10A】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた50LのバイオリアクターrAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。トランスフェクション条件を、デザイン-1について1:2のベクター比で、及び関連するトリプルトランスフェクション対照を用いて、表6、条件4に記載する。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10B】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた50LのバイオリアクターrAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。トランスフェクション条件を、デザイン-1について1:2のベクター比で、及び関連するトリプルトランスフェクション対照を用いて、表6、条件4に記載する。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10C】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(2TFX)及びトリプルベクタートランスフェクションシステム(3TFX)を用いた50LのバイオリアクターrAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。トランスフェクション条件を、デザイン-1について1:2のベクター比で、及び関連するトリプルトランスフェクション対照を用いて、表6、条件4に記載する。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10D】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクター中の残存宿主細胞タンパク質の純度パーセントを示すグラフである。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10E】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクター中の凝集パーセントを示すグラフである。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10F】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクター中の残存宿主細胞タンパク質のレベルを示すグラフである。試料が定量限界(BLoQ)を下回ると判定された場合のアッセイについて、水平の破線は検出限界を示す。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10G】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクターにパッケージ化された残存宿主細胞DNAを示すグラフである。nsは有意でないことを意味する。nsは有意でないことを意味し;*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10H】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクターにパッケージ化されたRep/Capの量を示すグラフである。nsは有意でないことを意味する。*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10I】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクターにパッケージ化されたE1aの量を示すグラフである。nsは有意でないことを意味する。試料が定量限界(BLoQ)を下回ると判定された場合のアッセイについて、水平の破線は検出限界を示す。*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
図10J】2TFX及び3TFXシステムを用いて得られた精製AAVベクターにパッケージ化されたヘルパー配列の量を示すグラフである。nsは有意でないことを意味する。*はp<0.05で統計的に有意であることを意味し;***はp<0.001で統計的に有意であることを意味する。
【0065】
図11A】表6の条件5、1:4のベクター比(デザイン1(2TFX))及び関連するトリプルトランスフェクション対照(3TFX)から得られたAAVベクターを、1E12VG/kgの用量で投与したPahenu2マウスの血清中で測定されたフェニルアラニン(Phe)の濃度を示すグラフである。対照としてビヒクルのみの投与を行った(ビヒクル)。
図11B】表6の条件5、1:4のベクター比(デザイン1(2TFX))及び関連するトリプルトランスフェクション対照(3TFX)から得られたAAVベクターを、1E14VG/kgの用量で投与したPahenu2マウスの血清中で測定されたフェニルアラニン(Phe)の濃度を示すグラフである。対照としてビヒクルのみの投与を行った(ビヒクル)。
図11C】投与後6週間の時点の処置マウスにおける、肝臓でのベクターゲノムの定量化を示すグラフである。nsは、有意ではないことを意味する。
図11D】投与後6週間の時点の処置マウスにおける、導入遺伝子発現の定量化を示すグラフである。nsは、有意ではないことを意味する。
図11E】投与後6週間の時点の処置マウスにおける、オンターゲット組み込みの定量化を示すグラフである。nsは、有意ではないことを意味する。
【0066】
図12A】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)で、ベクターV3とV12との間で示される様々な比率を試験した、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
図12B】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)で、ベクターV3とV12との間で示される様々な比率を試験した、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
図12C】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)で、ベクターV3とV12との間で示される様々な比率を試験した、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
【0067】
図13A】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)において、ベクターV3とV8との間で示される様々な比率を試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
図13B】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)において、ベクターV3とV8との間で示される様々な比率を試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
図13C】トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)において、ベクターV3とV8との間で示される様々な比率を試験したデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を使用した小規模rAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。使用したPEI:DNA比は2:1であった。
【0068】
図14A】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1及びAAVキャプシド血清型AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74にわたる関連するトリプルトランスフェクション対照を使用した2L規模のrAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。
図14B】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1及びAAVキャプシド血清型AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74にわたる関連するトリプルトランスフェクション対照を使用した2L規模のrAAV産生から得られたキャプシド生産性を示すグラフである。
図14C】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1及びAAVキャプシド血清型AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74にわたる関連するトリプルトランスフェクション対照を使用した2L規模のrAAV産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを示すグラフである。
【0069】
図15】デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1を用いた50L及び2000LのバイオリアクターrAAV産生から得られたVG生産性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0070】
本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生のためのデュアルベクタートランスフェクションシステムを提供する。本開示は、本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションアプローチを使用したrAAV産生が、従来のトリプルベクタートランスフェクションアプローチに比べて優れたAAV生産性をもたらすという知見に基づく。本明細書に記載されるデュアルベクタートランスフェクションシステムにおける成分の特定の組織化はまた、従来技術のデュアルベクタートランスフェクションアプローチに比べて優れたAAV生産性をもたらす。
【0071】
I.定義
本明細書で使用する場合、「組換えアデノ随伴ウイルス」または「rAAV」という用語は、機能的なrep及びcap遺伝子を欠くゲノムを含むAAVを指す。
【0072】
本明細書で使用する場合、「キャップ遺伝子」という用語は、AAVキャプシドタンパク質をコードする核酸配列を指す。
【0073】
本明細書で使用される「rep遺伝子」という用語は、AAV複製に必要なAAV Repタンパク質(例えば、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40)をコードする核酸配列を指す。
【0074】
本明細書で使用される場合、「Rep-Capエレメント」という用語は、AAV複製に必要なAAV Repタンパク質(例えば、Rep78、Rep68、Rep52、及びRep40)ならびにAAVキャプシドタンパク質(例えば、VP1、VP2、及びVP3)をコードする核酸配列を指す。
【0075】
本明細書で使用する場合、「ヘルパーウイルス遺伝子」という用語は、AAV複製を媒介するウイルス遺伝子(例えば、アデノウイルス遺伝子、またはヘルペスウイルス遺伝子)をコードする核酸配列を指す。
【0076】
本明細書で使用される場合、「rAAVゲノム」という用語は、rAAVのゲノム配列を含む核酸分子を指す。当業者は、rAAVゲノムが導入遺伝子を含む場合、rAAVゲノムが導入遺伝子の転写の方向に対してセンスまたはアンチセンス配向であり得ることを理解するであろう。
【0077】
本明細書で使用される場合、「編集ゲノム」という用語は、標的遺伝子における遺伝子欠陥を補正するために、標的遺伝子座への相同的組換えによって編集エレメント(例えば、1つ以上のヌクレオチドまたはヌクレオチド間結合)を組み込むことができる組換えAAVゲノムを指す。当業者は、5’相同性アーム、編集エレメント、及び3’相同性アームを含む編集ゲノムの部分が、標的遺伝子座に対してセンスまたはアンチセンス配向であり得ることを理解するであろう。
【0078】
本明細書で使用される場合、「編集エレメント」という用語は、標的遺伝子座で組み込まれた場合にその標的遺伝子座を修飾する編集ゲノムの部分を指す。編集エレメントは、標的遺伝子座における1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、または置換を媒介し得る。本明細書で使用される場合、「標的遺伝子座」という用語は、編集エレメントによって修飾される染色体またはヌクレオチド間結合の領域(例えば、標的遺伝子の領域またはヌクレオチド間結合)を指す。
【0079】
本明細書で使用される場合、「相同性アーム」という用語は、編集エレメントの5’または3’に位置する編集ゲノムの部分であって、標的遺伝子座に隣接するゲノムと実質的に同一である、部分を指す。
【0080】
本明細書で使用する場合、2つのヌクレオチド配列間または2つのアミノ酸配列間の「同一性パーセンテージ」は、整列した配列の対の間のマッチの数に100を掛け、これを、内部ギャップを含む整列した領域の長さで割ることによって計算される。同一性のスコアリングでは、完全マッチをカウントするだけであり、アミノ酸同士の類似度は考慮しない。内部ギャップのみが長さに含まれ、配列端部のギャップは含まれないことに留意されたい。
【0081】
本明細書で使用される場合、「コード配列」という用語は、開始コドンから開始して停止コドンで終了するポリペプチドをコードする相補的DNA(cDNA)の部分を指す。遺伝子は、代替スプライシング、代替の翻訳開始、及び母集団内での変動に起因して、1つ以上のコード配列を有し得る。コード配列は、野生型であっても、または天然に存在しないバリアント(例えばコドン最適化されたバリアント)であってもよい。
【0082】
本明細書で使用する場合、「転写調節エレメント」または「TRE」という用語は、RNA分子を形成するために、RNAポリメラーゼによって作動可能に連結されたヌクレオチド配列の転写を調節する(例えば、制御、増加、または減少させる)シス作用性ヌクレオチド配列、例えば、DNA配列を指す。TREは、転写を調節するために、転写因子などの1つ以上のトランス作用性分子に依存する。したがって、1つのTREは、異なるトランス作用性分子と接触する場合、例えば異なる種類の細胞である場合に、異なる方法で転写を調節し得る。TREは、1つ以上のプロモーターエレメント及び/またはエンハンサーエレメントを含み得る。当業者は、遺伝子内のプロモーター及びエンハンサーエレメントが位置的に近い場合があることを理解するであろうし、「プロモーター」という用語は、プロモーターエレメント及びエンハンサーエレメントを含む配列を指し得る。したがって、「プロモーター」という用語は、配列中のエンハンサーエレメントを除外しない。プロモーター及びエンハンサーエレメントは、同じ遺伝子または種から誘導される必要はなく、各プロモーターまたはエンハンサーエレメントの配列は、ゲノム内の対応する内在配列と同一であっても、または実質的に同一であってもよい。
【0083】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」という用語は、TREと転写されるコード配列との間の連結を説明するために使用される。典型的には、遺伝子発現は、1つ以上のプロモーター及び/またはエンハンサーエレメントを含むTREの制御下に置かれる。コード配列の転写がTREによって制御されるか、または影響を受ける場合、そのコード配列は、TREに「作動可能に連結されている」。TREのプロモーター及びエンハンサーエレメントは、所望の転写活性が得られる限り、コード配列から任意の配向及び/または距離にあってもよい。特定の実施形態では、TREはコード配列の上流にある。
【0084】
本明細書で使用する場合、「ポリアデニル化配列」という用語は、RNAに転写されるときポリアデニル化シグナル配列を構成するDNA配列を指す。ポリアデニル化配列は、天然型であっても外因性であってもよい。外因性ポリアデニル化配列は、哺乳動物またはウイルスのポリアデニル化配列(例えば、SV40ポリアデニル化配列)であってもよい。
【0085】
本明細書で使用する場合、「外因性ポリアデニル化配列」とは、導入遺伝子の内因性ポリアデニル化配列と同一でも実質的に同一でもないポリアデニル化配列を指す。特定の実施形態では、外因性ポリアデニル化配列とは、導入遺伝子とは異なるが同じ種(例えば、ヒト)内の遺伝子のポリアデニル化配列である。特定の実施形態では、外因性ポリアデニル化配列は、異なる生物体(例えば、ウイルス)のポリアデニル化配列である。
【0086】
II.第1の核酸ベクター
rAAVを産生するための従来のトリプルベクタートランスフェクションシステムは典型的には、AAV Repタンパク質及びAAVキャプシドタンパク質をコードする配列を含む第1のベクター;rAAVゲノムを含む第2のベクター;ならびに1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクターを含む。AAV Repタンパク質、AAVキャプシドタンパク質、及び1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子をコードする遺伝子を、同じベクター(「Rep-Cap-Helperベクター」)にクローニングできることは以前に示されている。このような場合、rAAVゲノムを含む第2のベクターと一緒にRep-Cap-Helperベクターのダブルトランスフェクション(すなわち、Rep、Cap、及びヘルパー遺伝子を、rAAVゲノムにトランスで提供する)を用いて、rAAVを産生し得る。例えば、Grimm et al.(1998)Hum.Gene Ther.9(18):2745-2760(その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0087】
以前のデュアルベクタートランスフェクションシステムとは対照的に、本開示のデュアルベクタートランスフェクションシステムは、rAAVゲノムとシスでRep及びCap遺伝子を提供する。したがって、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の産生のためのデュアルベクタートランスフェクションシステムを提供し、本明細書に記載されるデュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般に、(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクター、を含む。
【0088】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む。本開示の特定の態様は、第1の核酸ベクターがヘルパーウイルス遺伝子(例えば、AAV産生ヘルパー因子をコードする遺伝子)を含まないことを提示する。
【0089】
本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般的に、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを、AAV(例えば、rAAV)を産生するための適切な宿主細胞にトランスフェクションすることを含む。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターは一緒に、AAV(例えば、rAAV)産生に必要な全ての構成要素を提供する。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクター、さらに、宿主細胞は一緒になって、AAV(例えば、rAAV)産生に必要な全ての構成要素を提供する。
【0090】
本明細書に開示されるデュアルベクタートランスフェクションシステムは、従来のトリプルベクタートランスフェクションシステム及び前述のデュアルベクタートランスフェクションシステムの両方に比べて、rAAV生産性の増大をもたらすことが見出された。いかなる理論に縛られるものではないが、出願人は、本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムにおいてrAAVゲノムとシスでRep及びCap遺伝子を提供により、部分的には、より少ない空のAAVキャプシドしか産生されないおかげで、優れたrAAV生産性をもたらすと考えている。
【0091】
rAAVゲノム
本明細書に開示のデュアルベクターシステムでは、第1の核酸ベクターは、一般に、rAAVゲノムを含むヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、rAAVゲノムは導入遺伝子を含む。
【0092】
特定の実施形態では、導入遺伝子は、RNA分子をコードする1つ以上の配列を含む。適切なRNA分子としては、限定するものではないが、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA、gRNA、アンタゴミル(antagomir)、miRNAスポンジ、RNAアプタザイム、RNAアプタマー、mRNA、lncRNA、リボザイム及び当該技術分野で公知の合成RNAが挙げられる。
【0093】
特定の実施形態では、この導入遺伝子は、1つ以上のポリペプチドまたはその断片をコードする。そのような導入遺伝子は、ポリペプチドの完全なコード配列を含んでもよく、またはポリペプチドのコード配列の断片のみを含んでもよい。特定の実施形態では、この導入遺伝子は、対象における疾患または障害の処置に有用なポリペプチドをコードする。適切なポリペプチドとしては、限定するものではないが、β-グロビン、ヘモグロビン、組織プラスミノーゲンアクチベーター、及び凝固因子;コロニ-刺激因子(CSF);インターロイキン、例えば、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9など;増殖因子、例えば、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、幹細胞因子(SCF)、線維芽細胞増殖因子(FGF、例えば、塩基性FGF及び酸性FGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、インスリン様増殖因子(IGF)、骨形態形成タンパク質(BMP)、上皮増殖因子(EGF)、増殖分化因子-9(GDF-9)、肝癌由来増殖因子(HDGF)、ミオスタチン(GDF-8)、神経成長因子(NGF)、ニューロトロフィン、血小板由来増殖因子(PDGF)、トロンボポエチン(TPO)、形質転換増殖因子アルファ(TGF-a)、形質転換増殖因子ベータ(TGF-β)など;可溶性受容体、例えば、可溶性TNF-a受容体、可溶性インターロイキン受容体(例えば、可溶性IL-1受容体及び可溶性II型IL-1受容体)、可溶性γ/ΔT細胞受容体、可溶性受容体のリガンド結合断片など;酵素、例えば、a-グルコシダーゼ、イミグルセラーゼ、β-グルコセレブロシダーゼ、及びアルグルセラーゼ;酵素アクチベーター、例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター;ケモカイン、例えば、IP-10、インターフェロンガンマによって誘導されたモノカイン(Mig),Groα/IL-8、RANTES、MIP-1a、MIP-1β、MCP-1、PF-4など;血管形成剤、例えば、血管内皮増殖因子(VEGF、例えば、VEGF121、VEGF165、VEGF-C、VEGF-2)、グリオーマ由来増殖因子、アンギオゲニン、アンギオゲニン-2など;血管新生阻害剤、例えば、可溶性VEGF受容体;タンパクワクチン;向神経活性ペプチド、例えば、神経成長因子(NGF)、ブラジキニン、コレシストキニン、ガストリン、セクレチン、オキシトシン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ベータ-エンドルフィン、エンケファリン、サブスタンスP、ソマトスタチン、プロラクチン、ガラニン、成長ホルモン放出ホルモン、ボンベシン、ダイノルフィン、ワルファリン、ニューロテンシン、モチリン、チロトロピン、神経ペプチドY、黄体形成ホルモン、カルシトニン、インスリン、グルカゴン、バソプレシン、アンジオテンシンII、チロトロピン放出ホルモン、血管作用性小腸ペプチド、睡眠ペプチドなど;血栓溶解剤;心房性ナトリウム利尿ペプチド;リラキシン;グリア線維性酸性タンパク質;毛包刺激ホルモン(FSH);ヒトアルファ-1アンチトリプシン;白血病抑制因子(LIF);組織因子;マクロファージ活性化因子;腫瘍壊死因子(TNF);好中球走化性因子(NCF);メタロプロテイナーゼ組織阻害剤;血管作動性腸管ペプチド;アンギオゲニン;アンジオトロピン;フィブリン;ヒルジン;IL-1受容体アンタゴニスト;毛様体神経栄養因子(CNTF);脳由来神経栄養因子(BDNF);ニューロトロフィン3及び4/5(NT-3及び-4/5);グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF);芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(AADC);第VIII因子、第IX因子、第X因子;ジストロフィンまたはミニジストロフィン;リソソーム酸性リパーゼ;フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH);グリコーゲン貯蔵疾患関連酵素、例えば、グルコース-6-ホスファターゼ、酸性マルターゼ、グリコーゲン脱分枝酵素、筋グリコーゲンホスホリラーゼ、肝臓グリコーゲンホスホリラーゼ、筋ホスホフルクトキナーゼ、ホスホリラーゼキナーゼ、グルコーストランスポーター、アルドラーゼA、β-エノラーゼ、グリコーゲンシンターゼ;リソソーム酵素、例えば、イズロン酸-2-スルファターゼ(I2S)及びアリールスルファターゼA;ならびにフラタキシンなどのミトコンドリアタンパク質が挙げられる。
【0094】
特定の実施形態では、この導入遺伝子は、1つ以上のリソソーム蓄積症に欠陥があり得るタンパク質をコードする。適切なタンパク質としては、限定するものではないが、α-シアリダーゼ、カテプシンA、α-マンノシダーゼ、β-マンノシダーゼ、グリコシルアスパラギナーゼ、α-フコシダーゼ、α-N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-ヘキソサミニダーゼα-サブユニット、β-ヘキソサミニダーゼβ-サブユニット、GM2活性化タンパク質、グルコセレブロシダーゼ、サポシンC、アリールスルファターゼA、サポシンB、ホルミルグリシン生成酵素、β-ガラクトシルセラミダーゼ、α-ガラクトシダーゼA、イズロン酸スルファターゼ、α-イズロニダーゼ、ヘパランN-スルファターゼ、アセチル-CoAトランスフェラーゼ、N-アセチルグルコサミニダーゼ、β-グルクロニダーゼ、N-アセチルグルコサミン6-スルファターゼ、N-アセチルガラクトサミン4-スルファターゼ、ガラクトース6-スルファターゼ、ヒアルロニダーゼ、α-グルコシダーゼ、酸性スフィンゴミエリナーゼ、酸性セラミダーゼ、酸性リパーゼ、カテプシンK、トリペプチジルペプチダーゼ、パルミトイルタンパク質チオエステラーゼ、シスチノシン、シアリン、UDP-N-アセチルグルコサミン、ホスホトランスフェラーゼγ-サブユニット、ムコリピン-1、LAMP-2、NPC1、CLN3、CLN6、CLN8、LYST、MYOV、RAB27A、メラノフィリン、及びAP3 β-サブユニットが挙げられる。
【0095】
特定の実施形態では、導入遺伝子は、抗体またはその断片(例えば、Fab、scFv、または完全長抗体)をコードする。適切な抗体としては、限定するものではないが、ムロモナブ-cd3、エファリズマブ、トシツモマブ、ダクリズマブ、ネバクマブ、カツマキソマブ、エドレコロマブ、アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アダリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、オマリズマブ、セツキシマブ、ベバシズマブ、ナタリズマブ、パニツムマブ、ラニビズマブ、エクリズマブ、セルトリズマブ、ウステキヌマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、オファツムマブ、トシリズマブ、デノスマブ、ベリムマブ、イピリムマブ、ブレンツキシマブベドチン、ペルツズマブ、ラキシバクマブ、オビヌツズマブ、アレムツズマブ、シルツキシマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、ブリナツモマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イダルシズマブ、ネシツムマブ、ジヌツキシマブ、セクキヌマブ、メポリズマブ、アリロクマブ、エボロクマブ、ダラツムマブ、エロツズマブ、イセキズマブ、レスリズマブ、オララツマブ、ベズロトクスマブ、アテゾリズマブ、オビルトキアキシマブ、イノツズマブオゾガマイシン、ブロダルマブ、グセルクマブ、デュピルマブ、サリルマブ、アベルマブ、オクレリズマブ、エミシズマブ、ベンラリズマブ、ゲムツズマブオゾガマイシン、デュルバルマブ、ブロスマブ、エレヌマブ、ガルカネズマブ、ラナデルマブ、モガムリズマブ、チルドラキズマブ、セミプリマブ、フレマネズマブ、ラブリズマブ、エマパルマブ、イバリズマブ、モクセツモマブ、カプラシズマブ、ロモソズマブ、リサンキズマブ、ポラツズマブ、エプチネズマブ、レロンリマブ、サシツズマブ、ブロルシズマブ、イサツキシマブ、及びテプロツムマブが挙げられる。
【0096】
特定の実施形態では、この導入遺伝子はヌクレアーゼをコードする。適切なヌクレアーゼとしては、限定するものではないが、ジンクフィンガ-ヌクレアーゼ(ZFN)(例えば、Porteus,and Baltimore(2003)Science 300:763;Miller et al.(2007)Nat.Biotechnol.25:778-785;Sander et al.(2011)Nature Methods 8:67-69;及びWood et al.(2011)Science 333:307(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)(例えば、Wood et al.(2011)Science 333:307;Boch et al.(2009)Science 326:1509-1512;Moscou and Bogdanove(2009)Science 326:1501;Christian et al.(2010)Genetics 186:757-761;Miller et al.(2011)Nat.Biotechnol.29:143-148;Zhang et al.(2011)Nat.Biotechnol.29:149-153;及びReyon et al.(2012)Nat.Biotechnol.30(5):460-465(それぞれ参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、ホーミングエンドヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ(例えば、米国特許公開第US2014/0121115号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)、及びRNA誘導ヌクレアーゼ(例えば、Makarova et al.(2018)The CRISPR Journal 1(5):325-336;及びAdli(2018)Nat.Communications 9:1911(その各々は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと)が挙げられる。
【0097】
特定の実施形態では、この導入遺伝子はRNA誘導ヌクレアーゼをコードする。適切なRNA誘導ヌクレアーゼとしては、限定するものではないが、クラスI及びクラスIIのクラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)関連ヌクレアーゼが挙げられる。クラスIは、タイプI、III、及びIVに分類され、これらには、限定するものではないが、タイプI(Cas3)、タイプI-A(Cas8a、Cas5)、タイプI-B(Cas8b)、タイプI-C(Cas8c)、タイプI-D(Cas10d)、タイプI-E(Csel、Cse2)、タイプI-F(Csy1、Csy2、Csy3)、タイプI-U(GSU0054)、タイプIII(Cas10)、タイプIII-A(Csm2)、タイプIII-B(Cmr5)、タイプIII-C(Csx10またはCsx11)、タイプIII-D(Csx10)、及びタイプIV(Csf1)が挙げられる。クラスIIは、タイプII、V、及びVIに分類され、これらには、限定するものではないが、タイプII(Cas9)、タイプII-A(Csn2)、タイプII-B(Cas4)、タイプV(Cpf1、C2c1、C2c3)、及びタイプVI(Cas13a、Cas13b、Cas13c)が挙げられる。RNA誘導ヌクレアーゼとしてはまた、Cas9(タイプII)またはCas12a/Cpf1(タイプV)などの天然に存在するクラスII CRISPRヌクレアーゼ、ならびにそれらから誘導されるまたは得られるその他のヌクレアーゼも挙げられる。本発明において使用し得る例示的なCas9ヌクレアーゼとしては、限定するものではないが、S.pyogenes Cas9(SpCas9)、S.aureus Cas9(SaCas9)、N.meningitidis Cas9(NmCas9)、C.jejuni Cas9(CjCas9)、及びGeobacillus Cas9(GeoCas9)が挙げられる。
【0098】
特定の実施形態では、この導入遺伝子は、発現に際して検出可能なシグナルを生じる1つ以上のレポーター配列をコードする。このようなレポーター配列としては、限定するものではないが、β-ラクタマーゼ、β-ガラクトシダーゼ(LacZ)、アルカリホスファターゼ、チミジンキナーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)、ルシフェラーゼ、膜結合タンパク質、例としては、例えばCD2、CD4、CD8、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質、及び当該分野で周知の他のもの(これらに関する高親和性抗体が存在するか、または従来の手段で産生され得る)、ならびにとりわけ、ヘマグルチニンまたはMyc由来の抗原タグドメインに適切に融合された膜結合タンパク質を含む融合タンパク質をコードするDNA配列が挙げられる。
【0099】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、導入遺伝子に作動可能に連結されている転写調節エレメント(TRE)を含み、これによって、この導入遺伝子によりコードされるRNAまたはポリペプチドの発現が制御される。特定の実施形態では、TREは構成的プロモーターを含む。特定の実施形態では、TREは、任意の哺乳動物細胞(例えば、任意のヒト細胞)において活性であり得る。特定の実施形態では、TREは広範囲のヒト細胞において活性である。そのようなTREは、本明細書に記載されるもののいずれかと、当業者に公知のもののいずれかと、を含む、構成的プロモーター及び/またはエンハンサーエレメントを含んでもよい。特定の実施形態では、TREは、誘導性プロモーターを含む。特定の実施形態では、TREは組織特異的TREであってもよく、すなわち、TREは、特定の組織(複数可)及び/または臓器(複数可)において活性である。組織特異的TREは、1つ以上の組織特異的プロモーター及び/またはエンハンサーエレメント、ならびに任意選択で1つ以上の構成的プロモーター及び/またはエンハンサーエレメントを含む。当業者は、組織特異的プロモーター及び/またはエンハンサーエレメントを、当該技術分野で周知の方法によって組織で特異的に発現する遺伝子から単離できることを理解するであろう。
【0100】
適切なプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルスプロモーター(CMV)(Stinski et al.(1985)Journal of Virology 55(2):431-441)、CMV初期エンハンサー/チキンβ-アクチン(CBA)プロモーター/ウサギβ-グロビンイントロン(CAG)(Miyazaki et al.(1989)Gene 79(2):269-277)、CB SB(Jacobson et al.(2006)Molecular Therapy 13(6):1074-1084)、ヒト伸長因子1αプロモーター(EF1α)(Kim et al.(1990)Gene 91(2):217-223)、ヒトホスホグリセレートキナーゼプロモーター(PGK)(Singer-Sam et al.(1984)Gene 32(3):409-417)、ミトコンドリア重鎖プロモーター(Lodeiro et al.(2012)PNAS 109(17):6513-6518)、ユビキチンプロモーター(Wulff et al.(1990)FEBS Letters 261:101-105)が挙げられる。特定の実施形態では、TREは、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター/エンハンサー(例えば、配列番号18または19と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、SV40プロモーター、チキンベータアクチン(CBA)プロモーター(例えば、配列番号20または21と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、smCBAプロモーター(例えば、配列番号22と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、ヒト伸長因子1アルファ(EF1α)プロモーター(例えば、配列番号23と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、転写因子結合部位を含むマウス(MVM)イントロンの微小ウイルス(例えば、配列番号24または25と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、ヒトホスホグリセレートキナーゼ(PGK1)プロモーター、ヒトユビキチンC(Ubc)プロモーター、ヒトベータアクチンプロモーター、ヒトニューロン特異的エノラーゼ(ENO2)プロモーター、ヒトベータグルクロニダーゼ(GUSB)プロモーター、ウサギベータ-グロビンエレメント(例えば、配列番号26または27と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96、97%、98%、99%または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、ヒトカルモジュリン1(CALM1)プロモーター(例えば、配列番号28と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列を含む)、ヒトApoE/C-I肝制御領域(HCR1)(例えば、配列番号29と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、ヒトα1-アンチトリプシン(hAAT)プロモーター(例えば、配列番号30、31または32と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、伸長されたHCR1(例えば、配列番号33と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、hAATプロモーターのHS-CRM8エレメント(例えば、配列番号34と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、ヒトトランスサイレチン(TTR)プロモーター(例えば、配列番号35と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含む)、及び/またはヒトのメチル-CpG結合タンパク質2(MeCP2)プロモーターを含む。本明細書に記載のTREのいずれも、効率的な転写を促進するために任意の順序で組み合わせてもよい。例えば、rAAVゲノムは、総称的にCAGプロモーターと呼ばれる、CMVエンハンサー、CBAプロモーター、及びウサギベータ-グロビン遺伝子のエキソン3からのスプライスアクセプターを含むTRE(例えば、配列番号36と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のヌクレオチド配列を含む)を含んでもよい。例えば、rAAVゲノムは、CMVエンハンサー及びCBAプロモーターのハイブリッド、それに続いて、総称してCASIプロモーター領域と呼ばれる、スプライスドナー及びスプライスアクセプターとを含むTRE(例えば、配列番号37と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列を含む)を含んでもよい。例えば、rAAVゲノムは、HCR1及びhAATプロモーターを含むTREを含んでもよい(LP1プロモーターとも呼ばれ、例えば、配列番号38と少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列を含む)。
【0101】
特定の実施形態では、TREは脳特異的である(例えば、ニューロン特異的、グリア細胞特異的、アストロサイト特異的、オリゴデンドロサイト特異的、ミクログリア特異的及び/または中枢神経系特異的)。例示的な脳特異的TREは、限定するものではないが、ヒトグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、ヒトシナプシン1(SYN1)プロモーター、ヒトシナプシン2(SYN2)プロモーター、ヒトメタロチオネイン3(MT3)プロモーター、及び/またはヒトプロテオリピドタンパク質1(PLP1)プロモーターからの1つ以上のエレメントを含んでもよい。より多くの脳特異的プロモーターエレメントがWO2016/100575A1に開示されており、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
特定の実施形態では、導入遺伝子に対する天然プロモーターを使用し得る。天然プロモーターは、導入遺伝子の発現が天然発現を模倣することが望まれる場合に好ましい場合がある。天然プロモーターは、導入遺伝子の発現を時間的もしくは発生的に、または組織特異的な方法で、または特定の転写刺激に応答して調節する必要がある場合に使用してもよい。さらなる実施形態では、エンハンサーエレメント、ポリアデニル化部位、またはコザックコンセンサス配列などの他の天然発現制御エレメントも、天然発現を模倣するために使用してもよい。
【0103】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは編集ゲノムを含む。編集ゲノムを使用して、細胞内の標的遺伝子座を取り囲むゲノム領域との編集ゲノムの相同組換えにより、細胞のゲノムを編集し得る。特定の実施形態では、編集ゲノムは、相同組換えにより遺伝子の遺伝的欠陥を修正するように設計されている。編集ゲノムは、一般に、(i)標的遺伝子内の標的遺伝子座を編集するための編集エレメントと;(ii)標的遺伝子座に対して5’である第1のゲノム領域と相同性を有する編集エレメントの5’の5’相同性アームヌクレオチド配列と、(iii)標的遺伝子座に対して3’である第2のゲノム領域と相同性を有する編集エレメントの3’の3’相同性アームヌクレオチド配列とを含み、ここで5’相同性アーム、編集エレメント及び3’相同性アームを含む編集ゲノムの部分は、標的遺伝子座に対してセンス方向であっても、またはアンチセンス方向であってもよい。編集ゲノムを使用する編集に適した標的遺伝子としては、限定するものではないが、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子(CFTR)、ベータヘモグロビン(HBB)、眼皮膚白皮症II(OCA2)、ハンチンチン(HTT)、筋強直性ジストロフィープロテインキナーゼ(DMPK)、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)、アポリポタンパク質B(APOB)、ニューロフィブロミン1(NF1)、多発性嚢胞腎1(PKD1)、多発性嚢胞腎2(PKD2)、凝固第VIII因子(F8)、ジストロフィン(DMD)、リン酸制御エンドペプチダーゼ相同体、X結合型(PHEX)、メチルCpG結合タンパク質2(MECP2)、及びユビキチン特異的ペプチダーゼ9Y、Y結合型(USP9Y)が挙げられる。
【0104】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、転写ターミネーター(例えば、ポリアデニル化配列)をさらに含む。特定の実施形態では、転写ターミネーターは、導入遺伝子に対して3’である。転写ターミネーターは、転写を効果的に終了させる任意の配列であってよく、当業者は、このような配列が、抗体コード配列の少なくとも一部の転写が望まれる細胞で発現される任意の遺伝子から単離され得ることを理解するであろう。特定の実施形態では、転写ターミネーターはポリアデニル化配列を含む。特定の実施形態において、ポリアデニル化配列は、免疫グロブリン遺伝子の内因性ポリアデニル化配列と同一または実質的に同一である。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は外因性ポリアデニル化配列である。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、SV40ポリアデニル化配列(例えば、配列番号65、68または69と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列、あるいはそれと相補的なヌクレオチド配列を含む)である。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、配列番号65に記載のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、配列番号65に記載のヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、ウシ成長ホルモン(BGH)ポリアデニル化配列(例えば、配列番号67と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一のヌクレオチド配列、あるいはそれと相補的なヌクレオチド配列を含む)である。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、配列番号67に記載のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、ポリアデニル化配列は、配列番号67に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0105】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号71、85、86、87、または88に記載の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、編集エレメントは、配列番号71、85、86、87または88に記載のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、編集エレメントは、配列番号71、85、86、87または88に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0106】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVゲノムは、TREの5’の5’逆位末端反復(5’ITR)ヌクレオチド配列、及び抗体軽鎖コード配列に関連するポリアデニル化配列の3’の3’逆位末端反復(3’ITR)ヌクレオチド配列をさらに含む。任意のAAV血清型またはそのバリアントに由来するITR配列は、本明細書に開示されているrAAVゲノムで使用し得る。5’及び3’のITRは、同じ血清型のAAVに由来するものであっても、異なる血清型のAAVに由来するものであってもよい。本明細書に開示されているrAAVゲノムで使用するための例示的なITRは、本明細書の配列番号39、40、41、42、43及び44に記載されている。
【0107】
特定の実施形態では、5’ITRまたは3’ITRは、AAV2由来のものである。特定の実施形態では、5’ITR及び3’ITRは両方ともAAV2由来である。特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列は、配列番号39に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するか、または3’ITRヌクレオチド配列は、配列番号40に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列は、配列番号39に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有し、3’ITRヌクレオチド配列は、配列番号40に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号39の配列を有する5’ITRヌクレオチド配列、及び配列番号40の配列を有する3’ITRヌクレオチド配列を含む。
【0108】
特定の実施形態では、5’ITRまたは3’ITRは、AAV5由来のものである。特定の実施形態では、5’ITR及び3’ITRは両方ともAAV5由来である。特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列は、配列番号42に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有するか、または3’ITRヌクレオチド配列は、配列番号43に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列は、配列番号42に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有し、3’ITRヌクレオチド配列は、配列番号43に対して少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有する。特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号42の配列を有する5’ITRヌクレオチド配列、及び配列番号43の配列を有する3’ITRヌクレオチド配列を含む。
【0109】
特定の実施形態では、5’ITRヌクレオチド配列及び3’ITRヌクレオチド配列は、互いに実質的に相補的である(例えば、5’または3’のITRにおける1、2、3、4または5個のヌクレオチド位置でのミスマッチを除いて、互いに相補的である)。
【0110】
特定の実施形態では、5’ITRまたは3’ITRは、Repタンパク質による分解を軽減または消失させるために改変される(「非分解性ITR」)。特定の実施形態では、非分解性ITRは、最終分解部位のヌクレオチド配列における挿入、欠失または置換を含む。このような改変は、rAAVゲノムが感染細胞で複製された後に、AAVの自己相補的な二本鎖DNAゲノムの形成を可能にする。例示的な非分解性のITR配列は、当該技術分野で公知である(例えば、米国特許第7,790,154号及び同第9,783,824号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に示すものを参照のこと)。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号41に少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%もしくは100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号41と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号41に記載のヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、3’ITRは、配列番号44と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号44と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、3’ITRは、配列番号44に記載のヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号41に記載のヌクレオチド配列からなり、3’ITRは、配列番号44に記載のヌクレオチド配列からなる。特定の実施形態では、5’ITRは、配列番号41に記載のヌクレオチド配列からなり、3’ITRは、配列番号44に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0111】
特定の実施形態では、5’ITRは、野生型AAV2ゲノム配列に由来する追加のヌクレオチド配列に隣接している。特定の実施形態では、5’ITRは、AAV2ゲノム内の野生型AAV2 ITRに隣接する野生型AAV2配列から誘導されるさらなる46bpの配列に隣接している。特定の実施形態では、追加の46bpの配列は、rAAVゲノム内の5’ITRに対して3’である。特定の実施形態では、この46bpの配列は、配列番号45に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0112】
特定の実施形態では、3’ITRは、野生型AAV2ゲノム配列に由来する追加のヌクレオチド配列に隣接している。特定の実施形態では、3’ITRは、AAV2ゲノム内の野生型AAV2 ITRに隣接する野生型AAV2配列に由来するさらなる37bpの配列に隣接している。例えば、Savy et al.,Human Gene Therapy Methods(2017)28(5):277-289(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)を参照のこと。特定の実施形態では、追加の37bpの配列は、rAAVゲノム内の3’ITRに対して5’である。特定の実施形態では、この37bpの配列は、配列番号46に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0113】
特定の実施形態では、rAAVゲノムは、配列番号75、78、80、82、または84に記載の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、編集エレメントは、配列番号75、78、80、82、または84に記載のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、編集エレメントは、配列番号75、78、80、82、または84に記載のヌクレオチド配列からなる。
【0114】
AAV Repタンパク質
本開示は、Repタンパク質コード配列またはその機能的バリアントのコード配列を含む第1の核酸ベクターを提供する。AAV Rep遺伝子の発現は、2つのプロモーターの使用と選択的スプライシングとによって制御され、結果として4つのRepタンパク質、Rep78、Rep68、Rep52及びRep40が得られる。Repタンパク質は、AAVゲノム複製及びウイルスゲノムのパッケージングに関与する。Repタンパク質の発現は、p5及びp19プロモーターによって制御される。p5プロモーターは、選択的スプライスバリアントRep78及びRep68の発現を駆動する。p19プロモーターは、選択的スプライスバリアントRep52及びRep40の発現を駆動する。したがって、第1の核酸ベクターは、1つ以上のRepタンパク質またはその機能的バリアントをコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0115】
1つ以上のRepタンパク質は、AAV2から誘導され得る。例示的なAAV2ゲノム配列は、NCBI参照配列NC_001401.2を介して見出され得る。NCBIの参照配列によれば、Rep68は、ヌクレオチド321~2252によってコードされ;Rep78は、ヌクレオチド321~2186によってコードされ;Rep40は、ヌクレオチド993~2252によってコードされ;かつRep52は、ヌクレオチド993~2186によってコードされる。
【0116】
特定の実施形態では、本開示は、Rep78をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、Rep78をコードするヌクレオチド配列は、配列番号50に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列は、配列番号50に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、Rep78をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47に記載された配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号51に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep78をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号51に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型において、AAV2について記載されているRep78をコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0117】
特定の実施形態では、本開示は、Rep68をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、Rep68をコードするヌクレオチド配列は、配列番号52に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列は、配列番号52に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、Rep68をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47に記載された配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号53に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep68をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号53に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型において、AAV2について記載されているRep68をコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0118】
特定の実施形態では、本開示は、Rep40をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、Rep40をコードするヌクレオチド配列は、配列番号54に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列は、配列番号54に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、Rep40をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号48に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号48に記載された配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号55に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep40をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号55に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型において、AAV2について記載されているRep40をコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0119】
特定の実施形態では、本開示は、Rep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、Rep52をコードするヌクレオチド配列は、配列番号56に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列は、配列番号56に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、Rep52をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号48に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号48に記載された配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号57に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号57に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型において、AAV2について記載されているRep52をコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0120】
特定の実施形態では、本開示は、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供し、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列は、配列番号58に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列は、配列番号58に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列のそれぞれに作動可能に結合され得る、1つ以上の転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号59に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、Rep78、Rep68、Rep40及びRep52をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号59に記載される配列を含むか、またはそれからなる。
【0121】
AAVキャプシドタンパク質
本開示は、AAVキャプシドタンパク質コード配列を含むヌクレオチド配列を含む第1の核酸ベクターを提供する。第1の核酸ベクターは、天然のAAV単離物及びそれらのバリアントを含む、当該技術分野で公知の任意のAAVキャプシド由来のAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含んでもよい。
【0122】
AAVキャプシドタンパク質には、VP1、VP2、及びVP3キャプシドタンパク質が含まれる。VP1、VP2、及び/またはVP3キャプシドタンパク質は、rAAVゲノムを取り囲むキャプシドへアセンブルされる。特定の実施形態では、キャプシドタンパク質のアセンブリは、アセンブリ活性化タンパク質(AAP)によって促進される。特定のAAV血清型のキャプシドは、アセンブリのためにキャプシドタンパク質を核小体に輸送する際にAAPの役割を必要とする。例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、及びAAV12は、キャプシドを形成するためにAAPを必要とするが、AAV4、AAV5、及びAAV11のキャプシドはAAPなしにアセンブルし得る。例えば、Earley et al.(2017)J.Virol.91(3):e01980-16を参照のこと。
【0123】
異なるAAV血清型またはそれらのバリアントは、異なるアミノ酸配列を有するAAVキャプシドタンパク質を含む。適切なAAVキャプシドタンパク質としては、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、AAV13、AAV-DJ、AAV-LK03、NP59、VOY101、VOY201、VOY701、VOY801、VOY1101、AAVPHP.N、AAVPHP.A、AAVPHP.B、PHP.B2、PHP.B3、G2A3、G2B4、G2B5、PHP.S、AAVrh10、AAVRh32.33、AAVrh74、AAVHSC1、AAVHSC2、AAVHSC3、AAVHSC4、AAVHSC5、AAVHSC6、AAVHSC7、AAVHSC8、AAVHSC9、AAVHSC10、AAVHSC11、AAVHSC12、AAVHSC13、AAVHSC14、AAVHSC15、AAVHSC16、AAVHSC17、及びそれらの任意のバリアント由来のキャプシドタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74からなる群から選択される。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8及びAAVrh74からなる群から選択される。種々のAAVキャプシドタンパク質の配列は、例えば、米国特許公開第US20030138772号、同第US20140359799号、同第US20150159173号、同第US20150376607号、同第US20170081680号、及び同第US20170360962A1号、ならびにPCT公開第WO2020227515号に開示されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0124】
例えば、特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または、配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。特定の実施形態では、このキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含む。
【0125】
例えば、特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または、配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸はIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。特定の実施形態では、このキャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む。
【0126】
例えば、特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり;配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸68に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がVであり;配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり;配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または、配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり、かつ配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がYである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり、かつ配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRである。特定の実施形態では、配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである。特定の実施形態では、キャプシドタンパク質は、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む。
【0127】
特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号1、2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号1、2、3、4、6、7、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;(b)配列番号1、2、3、4、5、6、7、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0128】
特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号8のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号8のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号8のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号8のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;(b)配列番号8のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号8のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0129】
特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号11のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号11のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号11のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号11のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;(b)配列番号11のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号11のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0130】
特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号13のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号13のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号13のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号13のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;(b)配列番号13のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号13のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0131】
特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号16のアミノ酸138~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736の配列と少なくとも80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質、のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの1つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;(b)配列番号16のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含むキャプシドタンパク質のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドは、(a)配列番号16のアミノ酸203~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;(b)配列番号16のアミノ酸138~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質;及び(c)配列番号16のアミノ酸1~736からなるアミノ酸配列を有するキャプシドタンパク質を含む。
【0132】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチドは、AAVキャプシドタンパク質の発現を制御する転写調節エレメントに作動可能に連結されている。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む。AAVキャプシドタンパク質の発現を制御し得る当該技術分野で公知の任意のプロモーターを使用してもよい。使用に適したプロモーターは、当業者に公知であり、これには、限定するものではないが、p40プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターが挙げられる。他の適切なプロモーターとしては、限定するものではないが、CMVプロモーター、CBAプロモーター、及びCAGプロモーターが挙げられる。
【0133】
特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47、48または49に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結された転写調節エレメントは、配列番号47、48もしくは49に記載された配列を含むか、またはそれからなる。
【0134】
別の態様では、本開示は、Rep-Capエレメントを含む第1のヌクレオチド配列と、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列とを含む、第1の核酸ベクターを提供する。特定の実施形態では、Rep-Capエレメントは、AAV Repタンパク質をコードする核酸配列と、AAVキャプシドタンパク質をコードする核酸配列とを含む。Rep-Capエレメントは、当該技術分野で公知の任意のAAV Repタンパク質をコードする核酸配列と、当該技術分野で公知の任意のAAVキャプシドタンパク質をコードする核酸配列とを含み得る。特定の実施形態では、Rep-Capエレメントは、配列番号73または77に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0135】
III.第2の核酸ベクター
本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般的に、1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む。当業者には理解されるように、AAVの複製は、ヘルパーウイルス遺伝子によってコードされるヘルパー因子の存在に依存する。ヘルパー因子は、ヘルパーウイルス、例えば、限定はしないが、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、サイトメガロウイルス、バキュロウイルス及びヒトボカウイルス由来のヘルパーウイルスによる同時感染を介して提供され得る。しかしながら、ヘルパーウイルスの存在下でAAVを成長させると、宿主細胞の溶解及び/またはAAV産生物の汚染につながり得る。したがって、AAV複製に必要なヘルパー因子をコードするヘルパーウイルスの遺伝子を、宿主細胞をトランスフェクトするために使用されるベクターに提供し得る。
【0136】
本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステムは、一般的に、AAV(例えば、rAAV)産生のための宿主細胞に、2つの核酸ベクター、すなわち、(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを、トランスフェクションすることを含む。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、第1の核酸ベクターに見られるAAV産生のいかなる成分も含まない。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含まない。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、AAVキャプシドタンパク質コード配列を含まない。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、Repコード配列またはその機能的断片のコード配列を含まない。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含まず、第2の核酸ベクターは、AAVキャプシドタンパク質コード配列を含まず、及び/または第2の核酸ベクターは、Repコード配列も、その機能的断片のコード配列も含まない。
【0137】
特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、サイトメガロウイルス、及びバキュロウイルスからなる群から選択されるヘルパーウイルスに由来し得る少なくとも1つのヘルパーウイルス遺伝子を含む。ヘルパーウイルス遺伝子は、ヘルパーウイルス遺伝子の発現を制御する転写調節エレメントと作動可能に連結され得る。特定の実施形態では、転写調節エレメントは、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む。使用に適切なプロモーターは、当業者には公知であり、これには限定するものではないが、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターが挙げられる。
【0138】
特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、少なくとも1つのヘルパーウイルス遺伝子を含む。少なくとも1つのヘルパーウイルス遺伝子は、アデノウイルス(AdV)由来であってもよい。効率的なAAV産生に必要であることが公知のAdVヘルパー因子の最小限のセットは、AdV分子El、E2、E4及びVA RNAからなる(例えば、Meier et al.(2020)Virus 12(6):662を参照のこと)。特に、効率的なAAV産生に必要なAdVヘルパー因子の最小セットは、AdV分子E1A、E1B、E2A、E4及びVA RNAを含む。特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、宿主細胞(例えば、宿主AAV産生細胞)における効率的なAAV産生(例えば、AAV複製及びパッケージング)を可能にする十分なセットのヘルパーウイルス遺伝子を含む。
【0139】
典型的なAdVゲノムは、初期と後期に分けられる、約40の密に調節されたタンパク質を発現する。早期相タンパク質としては、E1A、E1B、E2A、及びE4が挙げられる。簡潔にいえば、E1A及びE2Aタンパク質は、AAV Repタンパク質の発現を制御するAAVプロモーターp5及びp19を活性化するように機能する。E1Aが媒介するp5活性は、AAV複製に必要であることが判明している。E2Aは、AAV複製の様々な態様を促進することが示されている一本鎖DNA結合タンパク質である。E1B遺伝子は、E1B19K及びE1B55Kがんタンパク質をコードする。E1B19Kは、E1A誘導アポトーシスを阻害し、E1B55Kは腫瘍抑制タンパク質p53を阻害する。E1B55Kは、E4orf6と一緒に機能して、AAV第2鎖合成及びウイルスDNA複製を促進する。E1B55Kは、AAV mRNAのエクスポートを容易にし、細胞mRNAのエクスポートを阻害すると同時に、AAV遺伝子発現を促進することも示されている。E1B19Kは、E1A、E1B55K、E2A、及びE4orf6などの他のAdVヘルパー因子と共発現する場合にAAV力価を増強するのに機能することが見出された。
【0140】
VA RNAは、細胞性自然免疫タンパク質二本鎖RNA活性化キナーゼ(PKR)の阻害において機能することが見出され、このキナーゼの阻害が、効率的なウイルスタンパク質合成を保証する。VA RNAは、AAV構造タンパク質の合成及びアセンブリを容易にすることも示されている。AdVゲノム内のVA核酸は、VA RNAを生じさせる非翻訳核酸配列であることが当業者に容易に理解される。
【0141】
最も一般的に使用されるヘルパー機能の1つは、ヒトAdV5型に由来する。アデノウイルスヘルパーウイルス遺伝子は、他の公知のアデノウイルス、例えばAdV2型由来であってもよい。AdV5ゲノムは、約36キロベースであり、例示的なAdV5ゲノム配列は、NCBI参照配列AC_000008.1を介して見出すことができる。NCBIの参照配列によれば、E1Aは、ヌクレオチド560~1545によってコードされ;E1B19Kは、ヌクレオチド1714~2244によってコードされ;E1B55Kは、ヌクレオチド2019~3509によってコードされ;E2Aは、ヌクレオチド22443~24032によってコードされ;E4orf6/7は、ヌクレオチド32914~34077によってコードされる。
【0142】
特定の実施形態では、本開示は、AdV5 E2Aをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。特定の実施形態では、AdV5 E2Aをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、AdV5 E2Aをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、AdV5 E2Aをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号60に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、AdV5 E2Aをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号60に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型(例えば、AdV2)において、AdV5について記載されているE2Aをコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0143】
特定の実施形態では、本開示は、AdV5 E4をコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。特定の実施形態では、AdV5 E4をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、AdV5 E4をコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、AdV5 E4をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号61に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、AdV5 E4をコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号61に記載される配列を含むか、またはそれからなる。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型(例えば、AdV2)において、AdV5について記載されているE4をコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0144】
特定の実施形態では、本開示は、AdV5 VA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。特定の実施形態では、AdV5 VA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、AdV5 VA RNAをコードするヌクレオチド配列と作動可能に連結される転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、AdV5 VA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号62に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、AdV5 VA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号62に記載される配列を含むか、またはそれからなる。VA RNAの核酸配列は、VA RNAを生じさせる(例えば、「コードする」)非翻訳核酸配列であることが当業者に容易に理解される。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型(例えば、AdV2)において、AdV5について記載されているVA RNAをコードする配列に相当するヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。
【0145】
特定の実施形態では、本開示は、AdV5 E2A、E4及びVA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。特定の実施形態では、AdV5 E2A、E4及びVA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、AdV5 E2A、E4及びVA RNAをコードするヌクレオチド配列の各々に作動可能に連結され得る1つ以上の転写調節エレメントを含む。特定の実施形態では、AdV5 E2A、E4及びVA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号63に記載の配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%または99%の配列同一性を有する配列を含む。特定の実施形態では、AdV5 E2A、E4及びVA RNAをコードするヌクレオチド配列を含む核酸は、配列番号63に記載される配列を含むか、またはそれからなる。
【0146】
特定の実施形態では、本開示は、効率的なAAV産生に必要とされるAdVヘルパー因子の最小セットをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を提供する。特定の実施形態では、AdVヘルパー因子の最小セットをコードするヌクレオチドを含む核酸は、AdV分子E1A、E1B、E2A、E4及びVA RNAをコードする。
【0147】
HEK293T細胞のような特定の宿主細胞は、全てではないが幾つかの必要なヘルパー因子を内因的に提供し、残りのヘルパー因子を、プラスミドトランスフェクションによって外因的に提供し得る。例えば、HEK293T細胞は、アデノウイルスE1A及びE1B遺伝子を内因的に発現し、残りのアデノウイルスヘルパー遺伝子、すなわち、AdV5 E4、E2A、及びウイルス関連(VA)RNAをコードするものを提供する。このようなAdV5ヘルパー遺伝子は、トランスフェクションを通じて単一のベクターによって提供されてもよい。特定の実施形態では、本開示は、E2A、E4及びVA RNAからなる群から選択されるAdV5ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを提供する。特定の実施形態では、本開示は、異なるアデノウイルス血清型(例えば、AdV2)に由来するAdV5について記載されたE2A、E4及びVA RNAをコードするヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを提供する。
【0148】
ヘルパーウイルス遺伝子はまた、ヘルペスウイルス、パピローマウイルス、及びヒトボカウイルスに由来する場合もある。ヘルパーウイルス因子が由来し得るヘルペスウイルスの例としては、HSV-1及びHSV-2が挙げられる。AAV産生の支援に関与することが公知のHSV-1由来のヘルパーウイルス因子としては、限定するものではないが、UL5、UL8、UL52、ICP8、ICP0、ICP4、ICP22、UL30及びUL42が挙げられる。これらのHSV-1ヘルパーウイルス因子の様々な機能、及びそれらがAAV産生を支援する方法は、当業者に公知である。例えば、一本鎖DNA結合タンパク質ICP8に加えて、HSV-1ヘリカーゼ-プライマーゼ複合体UL5/UL8/UL52も、AAV感染モデルにおけるAAV子孫産生の回復に十分であることが知られており;ICP0、ICP4及びICP22は、Repタンパク質の発現を促進することに関与しており;及びHSV-1 DNAポリメラーゼUL30/UL42は、AAV DNAの複製に関与している。したがって、特定の実施形態では、第2の核酸ベクターは、UL5、UL8、UL52、ICP8、ICP0、ICP4、ICP22、UL30及びUL42からなる群から選択される少なくとも1つのヘルパーウイルス遺伝子を含む。ヘルパーウイルス因子が由来し得るパピローマウイルスの例は、HPV-16である。特定の実施形態では、HPV-16に由来するヘルパーウイルス因子は、AdVヘルパー因子の存在下でAAV産生を増強し得る。AAV複製の支援に関与することが公知のそのようなHPV-16ヘルパー因子としては、E1、E2及びE6が挙げられるが、これらに限定されない。ヘルパーウイルス因子が由来し得るヒトボカウイルスの例は、ヒトボカウイルス1(HBoVl)である。AAV産生の支援に関与することが公知のHBoV1由来のヘルパーウイルス因子としては、NP1、NS2、NS4及びウイルス長非コードRNA BocaSRが含まれるが、これらに限定されない。
【0149】
IV.ベクター及び細胞
本開示は、AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列と、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と、AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列とを含む第1の核酸ベクター;ならびにヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを提供する。
【0150】
第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターは、独立して、任意の形態の核酸ベクターであってもよい。適切なベクターとしては、プラスミド、最小ベクター(例えば、ミニサークル、Nanoplasmids(商標)、ドギーボーン(doggybone)、MIDGEベクター、など)、ウイルス、コスミド、人工染色体、線状DNA及びmRNAが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び/または第2の核酸ベクターは、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである。必要なベクターエレメントを適合可能な任意のDNAプラスミドまたはDNA最小ベクターを、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターに使用してもよい。適切なDNA最小ベクターとしては、限定するものではないが、線形共有結合で閉じたDNA(例えば、ミニストリングDNA)、線形共有結合で閉じたダンベル形のDNA(例えば、ドギーボーンDNA、ダンベルDNA)、ミニサークル、Nanoplasmids(商標)、最小限の免疫学的に定義された遺伝子発現(minimalistic immunologically defined gene expression)(MIDGE)ベクター、及び当業者に公知のものが挙げられる。DNA最小ベクター及びそれらの産生方法は、例えば、米国特許出願第20100233814号、同第20120282283号、同第20130216562号、同第20150218565号、同第20150218586号、同第20160008488号、同第20160215296号、同第20160355827号、同第20190185924号、同第20200277624号、及び同第20210010021号に記載されており、これらは全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0151】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるベクター中の核酸は、例えば、コドン/RNAの最適化、異種シグナル配列との置換、及び/またはmRNA不安定エレメントの除去によって最適化される。コドン変化を導入することにより、及び/またはmRNA中の阻害領域を除去することにより、組換え発現のために最適化されたポリヌクレオチドを産生するための方法は、例えば、米国特許第5,965,726号、同第6,174,666号、同第6,291,664号、同第6,414,132号、及び同第6,794,498号(これらは全て、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される最適化方法を適合することにより実施し得る。例えば、RNA内の潜在的なスプライス部位及び不安定性エレメント(例えば、A/TまたはA/Uリッチエレメント)は、核酸配列によってコードされたアミノ酸を変更することなく変異され、組換え発現のためのRNAの安定性を高め得る。これらの改変では、例えば、同一アミノ酸の代替のコドンを使用して、遺伝子コードの縮重を利用する。特定の実施形態では、保存的突然変異、例えば、類似の化学構造及び特性を有する類似のアミノ酸をコードするか、及び/または元のアミノ酸として機能するように1つ以上のコドンを変更することが望ましい場合がある。このような方法は、最適化されていないポリヌクレオチドによってコードされたキャプシドの発現と比較して、コードされたキャプシドタンパク質の発現を増大し得る。
【0152】
本明細書に開示されるベクターは、ベクターの増殖のため、及び/またはベクターによってコードされるタンパク質の発現のために、(当該技術分野で公知の任意の技術を使用して)細胞に導入され得る。したがって、別の態様では、本開示は、本明細書に開示されたベクターを含む組換え細胞を提供する。さらに、別の態様では、本開示は、rAAVの製造方法を提供し、この方法は、ポリヌクレオチドが発現され、かつrAAVが産生される条件下で組換え細胞を培養することを含む。
【0153】
様々な宿主細胞及び発現系を利用し得る。このような発現系は、目的のコード配列を産生し、その後に精製し得るビヒクルを表すが、本明細書に記載された適切なヌクレオチドコード配列で形質転換またはトランスフェクトした場合にrAAVを産生し得る細胞も表す。これらとしては、限定するものではないが、微生物、例えば、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を含む、例えば、組換えバクテリオファージDNA、プラスミドDNA、またはコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌(例えば、E.coli及びB.subtilis);例えば、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を含む組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例えば、Saccharomyces Pichia);例えば、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を含む組換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)に感染した昆虫細胞系;例えば、組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)に感染するか、または例えば、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を含む組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系(例えば、Chlamydomonas reinhardtiiなどの緑藻類);あるいは、例えば、哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えばメタロチオネインプロモーター)または哺乳動物ウイルス由来のプロモーター(例えば、アデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター)を含む、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を含む組換え発現構築物を保有する哺乳動物細胞系(例えば、COS(例えば、COS1またはCOS)、CHO、BHK、MDCK、HEK293、NS0、PER.C6、VERO、CRL7O3O、HsS78Bst、HeLa、及びNIH 3T3、HEK293T、HEK293F、HepG2、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20及びBMT10細胞)が挙げられる。特定の実施形態では、本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を発現する細胞は、ヒト細胞、例えば、ヒト細胞株である。特定の実施形態では、哺乳動物発現ベクターは、pOptiVEC(商標)またはpcDNA3.3である。特定の実施形態では、細菌細胞、例えばEscherichia coli、または真核生物細胞(例えば、哺乳動物細胞)が、本明細書に記載されるヌクレオチドコード配列の発現に使用される。例えば、CHOまたはHEK293細胞などの哺乳動物細胞は、ヒトサイトメガロウイルス由来の主要な中間初期遺伝子プロモーターエレメントなどのベクターエレメントと組み合わせて、本明細書に記載のポリヌクレオチドの効果的な発現系である。
【0154】
細菌系では、発現されるタンパク質に対して意図される用途に応じて、有利には複数の発現ベクターを選択し得る。例えば、大量のタンパク質を産生する場合には、容易に精製される高レベルの融合タンパク質産物の発現を指示するベクターが望ましい場合がある。そのようなベクターとしては、限定するものではないが、タンパク質コード配列を、融合タンパク質が産生されるようにlac Zコード領域を有するフレーム内のベクターに個々にライゲーションされ得るE.coli発現ベクターpUR278(Ruether U & Mueller-Hill B(1983)EMBO J 2:1791-1794);pINベクター(Inouye S & Inouye M(1985)Nuc Acids Res 13:3101-3109;Van Heeke G & Schuster SM(1989)J Biol Chem 24:5503-5509);などが挙げられ、これらの全てが、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。例えば、pGEXベクターは、グルタチオン5ートランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させるためにも使用され得る。一般的に、このような融合タンパク質は可溶性であり、可溶化細胞から、マトリックスグルタチオンアガロースビーズへ吸着及び結合し、続いて遊離グルタチオンの存在下で溶出することによって容易に精製され得る。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から遊離させることができるように、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼの切断部位を含むように設計される。
【0155】
昆虫系では、例えば、Autographa cahfornica核多角体病ウイルス(AcNPV)を、外来遺伝子を発現するベクターとして使用し得る。このウイルスはSpodoptera frugiperda細胞で増殖する。このタンパク質コード配列を、ウイルスの非必須領域(例えばポリヘドリン遺伝子)に個々にクローニングし、AcNPVプロモーター(例えばポリヘドリンプロモーター)の制御下に置いてもよい。
【0156】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系が利用され得る。アデノウイルスを発現ベクターとして使用する場合、目的のタンパク質コード配列を、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば、後期プロモーター及び3部分(tripartite)リーダー配列にライゲーションしてもよい。次いで、このキメラ遺伝子を、インビトロまたはインビボでの組換えによってアデノウイルスゲノム内に挿入してもよい。ウイルスゲノム(例えば、領域ElまたはE3)の非必須領域への挿入は、生存可能であり、かつ感染した宿主において本明細書に記載のヌクレオチドコード配列を発現し得る組換えウイルスを生じる(例えば、全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Logan J & Shenk T(1984)PNAS 81(12):3655-9を参照のこと)。特異的な開始シグナルは、挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳にも必要となり得る。これらのシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。さらに、挿入物全体の翻訳を保証するために、開始コドンは、所望のコード配列の読み取りフレームとインフェーズでなければならない。これらの外因性の翻訳制御シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の様々な起源のものであり得る。発現の効率は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写ターミネーターなどを含めることによって高めることができる(例えば、その内容全体を参照により本明細書に組み込む、Bitter Get al.(1987)Methods Enzymol.153:516-544を参照のこと)。
【0157】
さらに、挿入された配列の発現を調節するか、または所望の特定の様式で遺伝子産物を修飾及び処理する宿主細胞株を選択してもよい。タンパク質産物のそのような修飾(例えば、グリコシル化)及びプロセシング(例えば、切断)は、タンパク質の機能にとって重要であり得る。異なる宿主細胞は、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び修飾のための特徴的かつ特異的な機構を有する。発現された外来タンパク質の正しい修飾及びプロセシングを確実にするために適切な細胞株または宿主系を選択し得る。この目的のために、一次転写物の適切なプロセシング、遺伝子産物のグリコシル化、及びリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主細胞を使用してもよい。このような哺乳動物宿主細胞としては、限定するものではないが、CHO、VERO、BHK、Hela、MDCK、HEK293、HEK293T、HEK293F、HEK293EBNA、NIH3T3、W138、BT483、Hs578T、HTB2、BT2O及びT47D、NS0(内因的にいかなる免疫グロブリン鎖も産生しないマウス骨髄腫細胞株)、CAP、CAP-T、CRL7O3O、COS(例えば、COS1またはCOS)、PER.C6、VERO、AGE1.CR、A549、HsS78Bst、HepG2、C139、EB66、SP210、R1.1、B-W、L-M、BSC1、BSC40、YB/20、BMT10及びHsS78Bst細胞が挙げられる。
【0158】
特定の実施形態では、ウイルス複製起点を含む発現ベクターを使用するのではなく、適切な転写調節エレメント(例えば、プロモーター、エンハンサー、配列、転写ターミネーター、ポリアデニル化部位など)によって制御されるポリヌクレオチド(例えば、DNAまたはRNA)、及び選択マーカーで宿主細胞を形質転換してもよい。ポリヌクレオチドの導入に続いて、操作された細胞を、富化培地中で1~2日間増殖させてもよく、次いで選択培地に切り替える。組換えプラスミド中の選択マーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がそのプラスミドをそれらの染色体に安定的に組み込み、増殖して病巣を形成することを可能にし、これは次にクローニングされて細胞株に拡大され得る。この方法は、本明細書に記載されるタンパク質またはその断片を発現する細胞株を操作するのに有利に使用し得る。
【0159】
限定するものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler M et al.(1977)Cell 11(1):223-32)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska EH & Szybalski W(1962)PNAS 48(12):2026-2034)、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy I et al.(1980)Cell 22(3):817-23)遺伝子(その全ては、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)を含む多数の選択系を、それぞれtk細胞、hgprt細胞またはaprt細胞において使用してもよい。また、代謝拮抗薬の耐性を、以下の遺伝子の選択の基礎として用いてもよい:メトトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler M et al.(1980)PNAS 77(6):3567-70;O’Hare K et al.(1981)PNAS 78:1527-31);ミコフェノール酸に耐性を付与するgpt(Mulligan RC & Berg P(1981)PNAS 78(4):2072-6);アミノグルコシドG-418に耐性を付与するneo(Wu GY & Wu CH(1991)Biotherapy 3:87-95;Tolstoshev P(1993)Ann Rev Pharmacol Toxicol 32:573-596;Mulligan RC(1993)Science 260:926-932;及びMorgan RA & Anderson WF(1993)Ann Rev Biochem 62:191-217;Nabel GJ & Felgner PL(1993)Trends Biotechnol 11(5):211-5);及びハイグロマイシンに耐性を付与するhygro(Santerre RF et al.(1984)Gene 30(1-3):147-56)(全てが、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。組換えDNA技術の当該分野で一般的に公知の方法は、所望の組換えクローンを選択するために慣用的に適用されており、このような方法は、例えば、Ausubel FM et al.(eds.),Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY(1993);Kriegler M,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY(1990);及びChapters 12 and 13,Dracopoli NC et al.(eds.),Current Protocols in Human Genetics,John Wiley & Sons,NY(1994);Colbere-Garapin F et al.(1981)J Mol Biol 150:1-14(その全てが、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる)に記載される。
【0160】
V.アデノ随伴ウイルスパッケージングシステム及び方法
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されている組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の組換え調製用のパッケージングシステムを提供する。特に、本開示は、本明細書に記載のデュアルベクタートランスフェクションシステム下でのAAV産生に有用なパッケージングシステムを提供する(例えば、AAV産生は、宿主細胞に送達される第1及び第2の核酸ベクターを含むパッケージングシステムの使用によって媒介される)。このようなパッケージングシステムは、一般的に、(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含むか、またはそれらからなる。第1の核酸ベクターと第2の核酸ベクターとは一緒になって、rAAVの産生に必要な全ての成分を提供し得る。特定の実施形態では、rAAVの製造に必要な成分は、rAAVが産生される宿主細胞によって提供される。このような実施形態では、第1の核酸ベクターと第2の核酸ベクターは、宿主細胞と一緒になって、rAAVの産生に必要な全ての成分を提供し得る。本明細書に記載のパッケージングシステムは、rAAVゲノムをキャプシドに封入してrAAVを形成するための細胞内で動作する。
【0161】
特定の実施形態では、本開示は、(1)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、rAAVパッケージングシステムを提供する。特定の実施形態では、本開示は、(1)5’から3’方向に、AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む第1の核酸ベクター;ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、rAAVパッケージングシステムを提供する。
【0162】
特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む。本開示のパッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、AAV Repタンパク質コード配列またはその機能的バリアントのコード配列と、AAVキャプシドタンパク質コード配列とをさらに含む。したがって、本開示は、AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と、AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列とを含むパッケージングシステムの第1の核酸ベクターを提供する。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、5’から3’方向に:AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列、及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含まない。
【0163】
任意のAAV Repタンパク質を、本明細書に開示されたパッケージングシステムに使用し得る。パッケージングシステムの特定の実施形態では、Repヌクレオチド配列は、AAV2 Repタンパク質をコードする。適切なAAV2 Repタンパク質には、限定はしないが、Rep78/68またはRep68/52が挙げられ得る。パッケージングシステムの特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号64のAAV2 Repアミノ酸配列に対する最小配列同一性パーセントを有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含み、最小配列同一性パーセントは、AAV2 Repタンパク質のアミノ酸配列の長さにわたって少なくとも70%(例えば、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%)である。パッケージングシステムの特定の実施形態では、AAV2 Repタンパク質は、配列番号64に記載のアミノ酸配列を有する。
【0164】
特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、ヘルパーウイルス遺伝子を含む。本開示のパッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含み得る。本開示の特定の態様は、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターが、本明細書に記載された第1の核酸ベクターに見られるAAV産生のいかなる構成要素も含まないことを示す。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含まない。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、AAVキャプシドタンパク質コード配列を含まない。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、Repコード配列も、その機能的バリアントのコード配列も含まない。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、導入遺伝子を含むrAAVゲノムを含まず、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、AAVキャプシドタンパク質コード配列を含まず、及び/またはパッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、Repコード配列も、その機能的バリアントのコード配列も含まない。
【0165】
パッケージングシステムの特定の実施形態では、ヘルパーウイルスは、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例としては、単純ヘルペスウイルス(HSV)、ポックスウイルス(ワクシニアウイルスなど)、サイトメガロウイルス(CMV)、及びバキュロウイルスからなる群から選択される。ヘルパーウイルスがアデノウイルスであるパッケージングシステムの特定の実施形態では、アデノウイルスゲノムは、El、E2、E4及びVAからなる群から選択される1つ以上のアデノウイルスRNA遺伝子を含む。パッケージングシステムの特定の実施形態では、アデノウイルスゲノムは、E2、E4及びVAからなる群から選択される1つ以上のアデノウイルスRNA遺伝子を含む。ヘルパーウイルスがHSVである、パッケージングシステムの特定の実施形態では、HSVゲノムが、UL5/8/52、ICP0、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択される1つ以上のHSV遺伝子を含む。
【0166】
パッケージングシステムの特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1及び第2の核酸ベクターは、2つのプラスミド内に含まれる。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、第1のプラスミド内に含まれる。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、第2のプラスミド内に含まれる。
【0167】
パッケージングシステムの特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1及び第2の核酸ベクターは、2つの組換えヘルパーウイルス内に含まれる。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1の核酸ベクターは、第1の組換えヘルパーウイルス内に含まれる。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第2の核酸ベクターは、第2の組換えヘルパーウイルス内に含まれる。特定の実施形態では、パッケージングシステムの第1及び第2の核酸ベクターは、単一組換えヘルパーウイルス内に含まれる。
【0168】
さらなる態様では、本開示は、rAAVの組換え調製のための方法であって、rAAVゲノムをキャプシド内に封入してrAAVを形成するために作動可能な条件下で、本明細書に記載されるパッケージングシステムで細胞をトランスフェクションまたは形質導入することを含む方法を提供する。rAAVの組換え調製のための例示的な方法としては、一過性トランスフェクション(例えば、1つ以上のトランスフェクションプラスミドを含む)、ウイルス感染(例えば、アデノウイルス、ポックスウイルス(ワクシニアウイルスなど)、ヘルペスウイルス(HSV、サイトメガロウイルス、またはバキュロウイルスなど)などの1つ以上の組換えヘルパーウイルスを含む)、及び安定プロデューサー細胞株トランスフェクションまたは感染(例えば、哺乳動物または昆虫細胞などなどの安定プロデューサー細胞による)が挙げられる。
【0169】
したがって、本開示は、rAAVの調製のためのパッケージングシステムであって、(1)AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と;rAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む第1の核酸ベクター、ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、パッケージングシステムを提供する。特定の実施形態では、本開示は、rAAVの調製のためのパッケージングシステムであって:(1)5’から3’方向に、AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と;rAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む第1の核酸ベクター、ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、パッケージングシステムを提供する。
【0170】
したがって、本開示は、rAAVの組換え調製のための方法であって、(1)AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と;rAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む第1の核酸ベクター、ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、パッケージングシステムを用いて細胞をトランスフェクトすること、または形質導入することを含む、方法を提供する。特定の実施形態では、本開示は、rAAVの組換え調製のための方法であって、(1)5’から3’方向に、AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と;rAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む第1の核酸ベクター、ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含む、パッケージングシステムを用いて細胞をトランスフェクトすること、または形質導入することを含む、方法を提供する。
【0171】
特定の実施形態では、細胞にトランスフェクトされるか、または形質導入される核酸の総量は、(1)AAV Repタンパク質またはその機能的バリアントをコードする第1のヌクレオチド配列と;rAAVゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含む第1の核酸ベクター、ならびに(2)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターを含んでおり、これは0.1μgのDNA/1E6細胞~4μgのDNA/1E6細胞である。例えば、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、または4μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、1μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.6μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.7μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.75μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.8μgのDNA/1E6細胞である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター及び第2の核酸ベクターを含む、細胞にトランスフェクトまたは形質導入される核酸の総量は、0.9μgのDNA/1E6細胞である。
【0172】
特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.1~1:20である。例えば、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.7、1:0.8、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2、1:2.1、1:2.2、1:2.3、1:2.4、1:2.5、1:2.6、1:2.7、1:2.8、1:2.9、1:3、1:3.1、1:3.2、1:3.2、1:3.3、1:3.4、1:3.5、1:3.6、1:3.7、1:3.8、1:3.9、1:4、1.4.5、1:5、1:5.5、1:6、1:6.5、1:7、1:7.5、1:8、1:8.5、1:9、1:9.5、1:10、1:10.5、1:11、1:11.5、1:12、1:12.5、1:13、1:13.5、1:14、1:14.5、1:15、1:15.5、1:16、1:16.5、1:17、1:17.5、1:18、1:18.5、1:19、1:19.5、または1:20である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.2、1:0.4、1:0.6、1:0.8、1:1、1:2、1:3、または1:4からなる群から選択される。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:2である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.2~1:1である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:0.6である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は1:0.8である。特定の実施形態では、第1の核酸ベクター対第2の核酸ベクターの比、または第2の核酸ベクター対第1の核酸ベクターの比は、1:1である。
【0173】
特定の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVの組換え調製の方法は、(i)AAV Repタンパク質及びAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター;(ii)rAAVゲノムを含む第2のベクター;及び(iii)1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用して、rAAVを産生することを含む方法と比較して、rAAV力価の増大を生じる。特定の実施形態では、本明細書に開示されるrAAVの組換え調製の方法は、(i)AAV Repタンパク質及びAAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター;(ii)rAAVゲノムを含む第2のベクター;及び(iii)1つ以上のヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用して、rAAVを産生することを含む方法と比較して、rAAV力価の増大を生じる。
【0174】
特定の実施形態では、哺乳動物細胞は、細胞培養物中で提供される。特定の実施形態では、細胞培養物は、少なくとも2リットル、少なくとも50リットル、または少なくとも2000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約5000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約4000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約3000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約2500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約2000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約1500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約1000リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約500リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約250リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約100リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約50リットルの容積を有する。特定の実施形態では、細胞培養物は、約2リットル~約25リットルの容積を有する。特定の実施形態では、本明細書に記載の方法は、少なくとも2リットル、少なくとも50リットル、または少なくとも2000リットルの容積を有するバイオリアクター中で実施される。特定の実施形態では、本明細書に記載される方法は、2000リットルの容積を有するバイオリアクター中で実施される。
【実施例
【0175】
下記の実施例は、例示として示されており、限定するために示されているものではない。
【0176】
実施例1:材料及び方法
以下の一般的な材料及び方法を、以下の実施例で使用した。
【0177】
小規模産生:HEK293細胞を少なくとも1継代で増殖させ、トランスフェクション前に適切な量の細胞培養培地を含有する振盪フラスコに接種した。振盪フラスコを、シェイカー中で、37℃で、8%のCO、及び135rpmでインキュベートした。細胞が1.8E6~2.4E6細胞/mL(実施例1~8の場合)または3.6E6~5E6細胞/mL(実施例9の場合)の密度に達すると、細胞をトランスフェクトした。トランスフェクションミックスを、計算した容積のベクター(複数可)、OptiPro媒体、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で混合することによって調製した。トランスフェクションミックスを次に振盪フラスコに加え、37℃、8%のCO、及び135rpmで、72時間にわたってシェイカーでインキュベートした後に採取した。72時間のインキュベーション後に、1Mトリス(pH9.5)、10%トリトンX-100、1M MgCl、エンドヌクレアーゼ(例えば、BENZONASE(登録商標)、DENARASE(登録商標))及び5MのNaClを含有する溶解バッファーを用いて細胞を溶解させ、振盪フラスコを37℃、8%CO、及び135rpmで60分間インキュベートした。粗溶解物試料を遠心分離により収集した。
【0178】
2Lバイオリアクターの製造:HEK293細胞を少なくとも1継代で増殖させ、トランスフェクション前に適切な量の細胞培養培地を含有する2Lのバイオリアクター(Millipore Mobius)に接種した。pHを7.1±0.1のプレトランスフェクションに変更し、細胞を1.8E6~2.4E6細胞/mL(実施例4~8の場合)または3.6E6~5E6細胞/mL(実施例9~11の場合)の密度でトランスフェクトした。トランスフェクションミックスを、計算した容積のベクター(複数可)、OptiPro SFM媒体、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で混合することにより調製し、トランスフェクションミックスを細胞に添加する前に10分間平衡化させた。細胞を、トランスフェクションの69~75時間後に収穫した。採取した細胞を、1Mトリス(pH9.5)、10%トリトンX-100、1M MgCl、エンドヌクレアーゼ(例えば、BENZONASE(登録商標)、DENARASE(登録商標))及び5MのNaClを含む溶解バッファーを用いて溶解した。適切な容積の溶解バッファーをバイオリアクターに添加し、細胞を37℃、283rpmで120分間インキュベートした。粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、細胞破片を除去した。
【0179】
導入遺伝子を含むベクター(すなわち、導入遺伝子ベクター)の導入遺伝子ペイロードに特異的なプライマー/プローブセットを使用する標準的な方法によって、細胞1つあたりのベクターゲノム数(vg/細胞)におけるベクターゲノム生産性を液滴化デジタルPCR(ddPCR)により決定した。導入遺伝子を含むベクター(すなわち、導入遺伝子ベクター)の導入遺伝子ペイロードに特異的なプライマー/プローブセットを使用する標準的な方法によって、1リットルあたりのベクターゲノム数(vg/L)におけるベクターゲノム生産性を液滴化デジタルPCR(ddPCR)により決定した。細胞1つあたりのキャプシドの数は、Cap配列を含むベクターによりコードされたキャプシドのエピトープに対して指向した固定化抗体を用いた標準的な方法により、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して決定された。インタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(すなわち、完全なキャプシドのパーセンテージ)を、ddPCRで測定したベクターゲノム生産性を、ELISAで測定した細胞1つあたりのキャプシドの数で割ることにより計算するか(実施例2~4)、または分析的超遠心分離沈降速度(AUC)分析により決定した(実施例5)。
【0180】
実施例2:デュアルトランスフェクションシステムとトリプルトランスフェクションシステムとの間の比較
最初の小規模の製造での概念証明の試験を行い、デュアルベクタートランスフェクションシステムの有用性を、トリプルトランスフェクションシステムと比較して、得ることができたそのベクターゲノム(VG)生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージに関して評価した。トランスフェクション条件を、表1に記載の通りに設定した。
【表1】
【0181】
表1に記載されるように、デュアルベクタートランスフェクションシステムは、第1のV4ベクター及び第2のV3ベクターを含んでいた。トリプルベクタートランスフェクションシステムは、ベクターV1、V2及びV3を含む。表1において、ベクター比は質量を基準とした。種々のベクターに含まれるエレメントを表2に記載する。
【0182】
各トランスフェクション条件についてのトランスフェクション混合物を、適切なサイズの円錐形チューブにおいて、計算された容積のベクター(複数可)、OptiPro培地、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で添加することにより調製した。トランスフェクション混合物を、1μgのDNA/1E6細胞の濃度で細胞に添加した。振盪フラスコを、採取前に72時間インキュベートした。採取時に細胞を溶解させ、粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、その後の液滴デジタルPCR(ddPCR)及びELISAによるキャプシド分析のために細胞破片を除去した。
【表2-1】

【表2-2】
【0183】
図1A~1Cは、デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムを用いた産生から得られた、VG生産性(図1A)、キャプシド生産性(図1B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図1C)を示す。図1A及び図1Cに示されるように、デュアルベクタートランスフェクションシステムを用いた産生から得られたVG生産性及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージが、トリプルベクタートランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが分かった。これらのデータでは、デュアルベクタートランスフェクションシステムを使用すると、対照のトリプルベクタートランスフェクションシステムと比較してrAAV力価が増加することが実証される。図1A図1Cに示された様々な条件は、表1に記載されている。
【0184】
デュアルトランスフェクションシステムから取得されたVG生産性の増大及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大を、異なる導入遺伝子ベクターを使用して再現できるか否かを判断するために、付加的なトランスフェクション条件を用いて確認の実験を行った。トランスフェクション条件を表3に記載の通りに設定し、様々なベクターに含まれるエレメントを表2に記載する。表2では、ベクター比は質量に基づいた。
【表3】
【0185】
各トランスフェクション条件についてのトランスフェクション混合物を、適切なサイズの円錐形チューブ中で、計算された容積のベクター(複数可)、OptiPro培地、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で添加することにより調製した。トランスフェクション混合物を、1μgのDNA/1E6細胞の濃度で細胞に添加した。振盪フラスコを、採取前に72時間インキュベートした。採取時に細胞を溶解させ、粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、その後の液滴デジタルPCR(ddPCR)及びELISAによるキャプシド分析のために細胞破片を除去した。
【0186】
図2A図2Cは、デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムを用いた産生から得られた、VG生産性(図2A)、キャプシド生産性(図2B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図2C)を示す。図2A及び図2Cに示されるように、デュアルベクタートランスフェクションシステムを用いた産生から得られたVG生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、トリプルベクタートランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが分かった。デュアルベクタートランスフェクションシステムの生産性の向上は、ヒトゲノム特異的相同性アームを含む編集ゲノム(条件1及び2)またはマウスゲノム特異的相同性アームを含む編集ゲノム(条件3及び4)のいずれかを含む、少なくとも2つの異なる導入遺伝子ベクターにわたって一致していることが見出された。図2A図2Cに示された様々な条件は、表3に記載されている。
【0187】
まとめると、この実施例に提示されたデータは、トリプルトランスフェクションシステムと比較したデュアルベクタートランスフェクションシステムの有効性を示している。特に、デュアルベクタートランスフェクションシステムにより、粗溶解物力価及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージが増大した。
【0188】
実施例3:デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン間での比較
デュアルベクタートランスフェクションシステムにおけるベクターエレメントの編成が生産性に影響を与えるか否かを調べるために、2つのデュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを試験した。ベクターゲノム(VG)の生産性、及び各デザインに基づく産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを評価した。デュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン-1(「デザイン-1」)及びデザイン-2(「デザイン-2」)は、Rep/Cap配列がベクターゲノム及びヘルパー配列に対してどのベクターに存在するかに関して異なる。図3A図3Bは、デザイン-1(図3A)及びデザイン-2(図3B)の概略図を示す。図示されているように、デザイン-1は、Rep/Cap配列及び導入遺伝子(「GOI」)を含む第1のベクターと、ヘルパー配列を含む第2のベクターとを含み(図3A);デザイン-2は、導入遺伝子(「GOI」)を含む第1のベクターと、ヘルパー配列とRep/Cap配列の両方を含む第2のベクターを含む(図3B)。トランスフェクション条件は、表4に記載の通りに設定した。
【表4】
【0189】
表4に示すように、デザイン-1は、第1のV4ベクター及び第2のV3ベクターを含む。デザイン-2は、第1のV1ベクター及び第2のV7ベクターを含む。トリプルトランスフェクションから得られたVG生産性とインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを対照として評価した。種々のベクターに含まれるエレメントを表2に記載する。表4では、ベクター比は、デュアルベクタートランスフェクションシステムデザインを比較する際にベクターの異なるサイズを考慮するためにプラスミドサイズ(すなわちモル比)に基づいた。
【0190】
各トランスフェクション条件についてのトランスフェクション混合物を、適切なサイズの円錐形チューブ中で、計算された容積のベクター(複数可)、OptiPro培地、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で添加することにより調製した。トランスフェクション混合物を、1μgのDNA/1E6細胞の濃度で細胞に添加した。振盪フラスコを、採取前に72時間インキュベートした。採取時に細胞を溶解させ、粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、その後の液滴デジタルPCR(ddPCR)及びELISAによるキャプシド分析のために細胞破片を除去した。
【0191】
図4A図4Cは、デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムを用いた産生から得られた、VG生産性(図4A)、キャプシド生産性(図4B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図4C)を示す。図4A及び図4Cに示すように、デザイン-1を用いた産生から得られた、VG生産性と、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、トリプルトランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが見出された。さらに、図4A及び図4Cに示されているように、デザイン-1を用いた産生から得られたVG生産性及びインタクトなベクターゲノムの計算されたパーセンテージが、デザイン-2を用いた産生から得られたものよりも高いことが判明した。これらの結果に基づいて、さらなる研究のためにデザイン-1を選択した。図4A図4Cに示された様々な条件を、表4に記載している。
【0192】
第3のデュアルベクタートランスフェクションシステムデザイン(「デザイン-3」)を試験した。3つの各々のデザインに基づく産生から得られた、ベクターゲノム(VG)の生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを並べて評価した。上述のように、デザイン-1は、Rep/Cap配列及び導入遺伝子(「GOI」)を含む第1のベクター、ならびにヘルパー配列を含む第2のベクターを含み(図3A);デザイン-2は、導入遺伝子(「GOP」)を含む第1のベクターと、ヘルパー配列及びRep/Cap配列の両方を含む第2のベクターとを含み(図3B);またデザイン3は、導入遺伝子(「GOI」)及びヘルパー配列を含む第1のベクターと、Rep/Cap配列を含む第2のベクターとを含む(図3C)。トランスフェクション条件は、表5に記載の通りに設定した。
【表5】
【0193】
表5に示すように、デザイン-1は、第1のV20ベクター及び第2のV3ベクターを含む。デザイン-2は、第1のV19ベクター及び第2のV7ベクターを含む。デザイン-3は、第1のV21ベクター及び第2のV2ベクターを含む。トリプルトランスフェクションから得られたVG生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを対照として評価した。種々のベクターに含まれるエレメントを表2に記載している。表5では、ベクター比は、1:1(1:1:1)のモル比から変換した質量ベースの比であった。
【0194】
各トランスフェクション条件についてのトランスフェクション混合物を、適切なサイズの円錐形チューブにおいて、計算された容積のベクター(複数可)、OptiPro培地、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で添加することにより調製した。トランスフェクション混合物を、1μgのDNA/1E6細胞の濃度で細胞に添加した。振盪フラスコを、採取前に72時間インキュベートした。採取時に細胞を溶解させ、粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、その後の液滴デジタルPCR(ddPCR)及びELISAによるキャプシド分析のために細胞破片を除去した。
【0195】
図5A図5Cは、デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムを用いた産生から得られた、VG生産性(図5A)、キャプシド生産性(図5B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図5C)を示す。図5A及び図5Cに示すように、デザイン-1を用いた産生から得られた、VG生産性と、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、トリプルトランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが見出された。さらに、図5A及び図5Cに示されているように、デザイン-1を用いた産生から得られたVG生産性及びインタクトなベクターゲノムの算出されたパーセンテージは、デザイン-2及びデザイン-3を用いた産生から得られたものよりも高いことが判明した。これらのデータによって、デザイン-1デュアルベクタートランスフェクションシステムを使用すると、デザイン-2デュアルベクタートランスフェクションシステム、デザイン-3デュアルベクタートランスフェクションシステム及び対照のトリプルベクタートランスフェクションシステムと比較してrAAV力価が増大することが実証される。図5A図5Cに示された様々な条件を、表5に記載している。
【0196】
実施例4:デュアルトランスフェクションシステムとトリプルトランスフェクションシステムとの間の比較
実施例3で観察されたトリプルトランスフェクションに対するデザイン-1の生産性の増大を確認するために、トランスフェクション条件を設定して、増大した効率がより大きな規模(2L規模)で維持されるか否か、またデザイン-1の増加した効率が、異なる導入遺伝子を有するrAAVゲノムのパッケージングにわたって異なるキャプシドに及ぶか否かを調べた。トランスフェクション条件を、表6に記載の通りに設定した。表6では、ベクター比は質量に基づいた。
【表6-1】

【表6-2】
【0197】
表6に記載されるように、トランスフェクション条件1、2、3、4、5及び6を設定し、デザイン-1の効力の増大が、異なる導入遺伝子を有するrAAVゲノムのパッケージング全体に及ぶか否かを検討した。条件6及び7では、異なる導入遺伝子を有するrAAVゲノムのパッケージング全体にわたるデザイン-1の有効性を検討することに加えて、その有効性がrAAVゲノムのパッケージング全体にわたり異なるキャプシドに及ぶか否かも評価される。条件1から5はそれぞれ、AAVHSCS15キャプシドを利用し、条件6は、AAVHSCS17キャプシドを利用し、条件7は、AAV2キャプシドを利用した。トリプルトランスフェクションから得られたVG生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージを対照として評価した。種々のベクターに含まれるエレメントを表2に記載する。
【0198】
各トランスフェクション条件についてのトランスフェクション混合物を、適切なサイズの移入アセンブリ中で、計算された容積のベクター(複数可)、OptiPro培地、及びポリエチレンイミン(PEI)を全て周囲温度で添加することにより調製した。トランスフェクション混合物を、1μgのDNA/1E6細胞の濃度で細胞に添加した。採取前に細胞を72時間インキュベートした。
【0199】
採取時に細胞を溶解させ、粗溶解物試料を遠心分離の後に収集して、その後の液滴デジタルPCR(ddPCR)及びELISAによるキャプシド分析のために細胞破片を除去した。
【0200】
図6A図6Cは、デザイン-1及び対照のトリプルトランスフェクションシステムを用いた産生から得られた、VG生産性(図6A)、キャプシド生産性(図6B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図6C)を示す。図6A及び図6Cに示すように、デザイン-1を用いた産生から得られた、VG生産性及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、試験した全ての条件で、トリプルトランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが見出された。これらの結果に基づき、異なる導入遺伝子を有するrAAVの異なるキャプシドへのパッケージングにわたって、トリプルトランスフェクションを超える、デザイン-1を用いた産生の有効性の増大が観察された。デュアルベクタートランスフェクションシステムの生産性の向上は、5つの異なるrAAVゲノム全体で一致しており、そのうちの2つは編集ゲノム(条件1及び2)を含んでいることが見出された。これらのデータによって、対照のトリプルベクタートランスフェクションシステムを超える、デザイン-1のデュアルベクタートランスフェクションシステムを使用して得られるrAAV力価の増大が、異なる導入遺伝子を有するrAAVのパッケージにわたって異なるキャプシドに及ぶことが実証されている。図6A図6Cに示された様々な条件を、表6に記載している。
【0201】
図7A~7Cは、デザイン-1及び対照のトリプルトランスフェクションシステムを使用してAAV2キャプシドを利用する産生から得られた、VG生産性(図7A)、キャプシド生産性(図7B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図7C)を示す(条件7)。図7A及び図7Cに示すように、デザイン-1を用い、AAV2キャプシドを利用する産生から得られた、VG生産性、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、トリプルトランスフェクションシステムから得られるものよりも高いことが見出された。図7A~7Cのデータは、小規模の産生研究から生成された。
【0202】
個別の実験において、デザイン-1はまた、AAVHSC13キャプシドを含むrAAVを製造し得ることが見出された(その全体が本明細書に組み込まれている米国特許第9,803,218号を参照のこと)。
【0203】
これらのデータによって、(トリプルプラスミドシステム対照と比較して)デザイン-1のデュアルプラスミドシステムが示すAAV産生における改善が一般的に適用可能である可能性が高いことが示唆される。
【0204】
実施例5:デュアルトランスフェクションシステムとトリプルトランスフェクションシステムとの間の比較
実施例3及び4では、デザイン-1を用いた製造から得られた粗溶解物において測定されたVG生産性及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大が、対照のトリプルトランスフェクションシステムを用いた製造と比較して実証された。
【0205】
VG生産性の増大及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大が精製後も維持されたことを確認するために、表7に記載したものに応じて設定したトランスフェクションから得られた粗溶解物を明らかにし、続いてアフィニティー及びアニオン交換クロマトグラフィーによって精製した。表7では、50Lの規模で行った条件3を除いて、条件1、2、及び4を、それぞれ、表6の条件2、3、及び5に従って(すなわち、2Lの規模で)行った。異なるベクター比を用いて産生された溶解物を別々に精製した。条件1~3はそれぞれAAVHSCS15キャプシドを利用するが、条件4はAAVHSCS17キャプシドを利用した。デザイン-1のデュアルプラスミドシステムから得られたインタクトなベクターゲノムを、示された対照のトリプルプラスミドシステムから得られたインタクトなベクターゲノムの量に対する増加パーセンテージとして表した(表7及び図8)。表7において、ベクター比は質量を基準とした。種々のベクターに含まれるエレメントを表2に記載する。
【表7】
【0206】
図8に示されたデータは、沈降係数に基づいてマクロ分子を定量化するために使用された方法である、分析的超遠心分離沈降速度(AUC)分析に基づいている。AUCを使用して、各デザイン-1のデュアルプラスミドシステムによって産生されたインタクトなベクターゲノム及びベクターゲノムを欠くキャプシドの、対応するトリプルプラスミドシステム対照に対する割合を決定した。図8において、条件1及び2については、AUCを、デザイン-1のベクター比(すなわち、表7に示される1:2、1:3、及び1:4の比)のそれぞれから得られた精製ベクターで実施して、インタクトなベクターゲノムの数を決定し、次いで平均し、対応するトリプルプラスミドシステム対照に対する増加パーセントとして提示した。図8に示すように、試験した4つのデザイン-1デュアルプラスミドシステムのそれぞれに対して、インタクトなベクターゲノムの数の増大が得られた(対応するトリプルプラスミドシステム対照から得られたインタクトなベクターゲノムの数に対して)。これらのデータによって、(トリプルプラスミドシステム対照に対して)デザイン-1のデュアルプラスミドシステムが示すAAV産生における改善が一般的に適用可能かつ拡張可能である可能性が高いことが示唆される。
【0207】
実施例6:デュアルトランスフェクションシステムにおけるキャプシドのバックグラウンド発現
デザイン-1が他のデュアルプラスミドトランスフェクションシステムデザインよりも優れている理由を明らかにするために、バックグラウンドのキャプシド発現のレベルをデザイン-1において決定し、デザイン-2におけるバックグラウンドキャプシド発現のレベルと比較した。トランスフェクション条件を、表8に記載の通りに設定した。表8では、ベクター比は質量に基づいた。
【表8】
【0208】
表8に示されているように、デザイン-1及びデザイン-2を、個々のデュアルデザインごとに、Rep/Cap含有ベクターのみと共に試験した。同量のRep/Cap含有ベクターを、単独で(例えば、条件2及び4)またはデュアルデザインにおけるベクターとして(例えば、条件1及び3)使用した。
【0209】
デザイン-2(ベクターV7のみのトランスフェクション;条件2)からのバックグラウンドキャプシドの生成のレベルは、デザイン-2のデュアルトランスフェクション(ベクターV1及びV7の両方のトランスフェクション;条件1)から生成したバックグラウンドキャプシドのレベルと同じであることが見出された(図9)。図9に示すように、デザイン-1からのバックグラウンドキャプシドの生成は、デザイン-1のデュアルトランスフェクションによって生成されたバックグラウンドキャプシドのレベルの1%未満であった(条件4を条件3と比較)
【0210】
実施例7:デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムからのAAVの大規模産生及び品質評価
デザイン-1の改善された生産性がより大規模な製造で維持されるか否かを検討するために、表6の条件4を、デザイン-1について1:2のベクター比で、50Lのバイオリアクター規模で繰り返した。振盪フラスコ及び2Lバイオリアクター規模の傾向と一致して、50Lバイオリアクターの結果は、トリプルトランスフェクションシステムから得られた粗溶解物(「3TFX」;トリプルトランスフェクション対照の条件については表6を参照)と比較して、VG生産性がほぼ2倍向上し、キャプシド生成が同等であり、デザイン-1から得られた粗溶解物(「2TFX」)において算出されたインタクトなベクターゲノムが2倍になったことを実証した(図10A図10C)。これらのデータによって、デザイン-1のデュアルベクタートランスフェクションシステムを使用して得られるrAAV力価が、対照のトリプルベクタートランスフェクションシステムに比べて増加したことは、より大規模な産生において維持されることが実証されている。
【0211】
デザイン-1及びトリプルトランスフェクションシステムから得られたAAVベクターの生成物の品質を特徴付けるために様々な分析方法を使用した(図10D~10J)。示される通り、純度%(図10D)、凝集率(図10E)、及び残留宿主細胞タンパク質のレベル(図10F;BLoQは定量限界を下回ることを意味する)は全て、トランスフェクション法に関係なく一定のままであった。デザイン-1から得られた精製AAVベクターにパッケージングされた残存宿主細胞DNA(図10G)、Rep/Cap(図10H)、Ela(図10I)、及びヘルパー配列(図10J)の量に、トリプルトランスフェクションシステムから得られるものと比較して偏差は見出されなかった。
【0212】
実施例8:デュアルトランスフェクションシステム及びトリプルトランスフェクションシステムから得られたAAVベクターの生物活性
デザイン-1から得られたAAVベクターとトリプルトランスフェクションシステムから得られたAAVベクターとの間の製品比較性を確保するために、表6の条件5から、デザイン1の1:4のベクター比で得られたAAVベクター及び関連するトリプルトランスフェクション対照から得られたAAVベクターを精製して、in vivoの生物活性について評価した。rAAVゲノムは、マウス特異的相同性アームに隣接する肝臓特異的プロモーターの制御下でフェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)を発現する編集ゲノムを含む。デザイン-1及びトリプルトランスフェクションシステムから得られたAAVベクターを、古典的なフェニルケトン尿症の幾つかの特徴を示すモデルであるPahenu2マウスに注入した。2つの用量を、ビヒクルのみの対照群と同様に評価した。毎週血清試料を採取し、フェニルアラニン(Phe)の濃度について分析した。図11A及び11Bに示されている通り、1E12VG/kg(図11A)及び1E14VG/kg(図11B)の両方の用量において、投与後の血清Phe濃度の低下により示される、デザイン-1及びトリプルトランスフェクションシステムから得られたAAVベクターの生物活性は、6週間にわたり区別できなかった。さらに、6週間の時点で、肝臓及びPAHのmRNA発現におけるベクターゲノムの定量は、VG形質導入及び導入遺伝子発現の用量依存的な増加を示したが、各用量でデザイン-1とトリプルトランスフェクション群との間に有意差は見られなかった(図11C及び11D)。オンターゲット組み込みの定量化は、1E14VG/kg用量で完了し、デザイン-1またはトリプルトランスフェクションシステムのいずれかから産生されるAAVベクターに対して同等の組み込み効率が実証された(図11E)。
【0213】
実施例9:ベクター比の最適化
生産性を向上させる最適なベクター比があるか否かを検討するために、様々なデザイン-1ベクター比を試験した。トランスフェクションを、小規模産生のために、実施例1に記載されるように設定した。
【0214】
図12A図12Cは、示されたV3:V12ベクター比を試験した条件1での生成から得られたVG生産性(図12A)、キャプシド生産性(図12B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図12C)を、トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)で示す。V3及びV12に含まれるエレメントを表2に示す。図12A図12Cに示される通り、改善されたVG及びキャプシド生産性が、1E6の細胞あたり0.6~1μgのトランスフェクトされた総DNAを用いて、1:0.3~1:1のV3:V12ベクター比で達成された。
【0215】
図13A図13Cは、示されたV3:V8比を試験した条件2での生成から得られたVG生産性(図13A)、キャプシド生産性(図13B)、及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図13C)を、トランスフェクトされた総DNAの様々なレベル(x軸)で示す。V3及びV8に含まれるエレメントを表2に示す。図13A~13Cに示されている通り、改善されたVG及びキャプシド生産性が、1E6の細胞あたり0.6~1μgのトランスフェクトされた総DNAを用いて、1:0.6~1:1のV3:V8ベクター比で達成された。これらのデータは、これらのベクター比及びトランスフェクトされた総DNAのレベルを使用して、rAAV力価の増大が達成されることを実証している。
【0216】
実施例10:デュアルプラスミドトランスフェクションを用いた複数のキャプシド血清型の評価
デザイン-1の改善された生産性が他のAAVキャプシド血清型にわたって維持されるか否かを検討するために、デザイン-1またはトリプルトランスフェクションシステムのいずれかから製造されたAAVベクターを、AAVキャプシド血清型AAV1、AAV2、AAV5、AAV6、AAV8、AAV9、AAVrh10及びAAVrh74を利用して試験した。トランスフェクションを、2Lバイオリアクター製造のために実施例1に記載したように設定した。トランスフェクション条件は、表9に記載の通りに設定した。
【表9】
【0217】
図14A~14Cは、表9に示す条件下での産生から得られたVG生産性(図14A)、キャプシド生産性(図14B)及びインタクトなベクターゲノムのパーセンテージ(図14C)を示す。図14Aに示す通り、デザイン-1を用いた製造から得られるVG生産性の改善は、対応するトリプルトランスフェクションシステム対照と比較して、試験した全てのAAVキャプシド血清型全体で維持される。図14Bに示す通り、デザイン-1を用いた産生から得られるキャプシド生産性は、対応するトリプルトランスフェクションシステム対照と比べて、改善または維持される。図14Cに示すように、デザイン-1を用いた産生から得られたインタクトなベクターゲノムのパーセンテージは、対応するトリプルトランスフェクションシステム対照と比較して、改善または維持される。これらのデータによって、デザイン-1のデュアルベクタートランスフェクションシステムを使用して得られるrAAV力価の増大が、対照のトリプルベクタートランスフェクションシステムと比較して、様々なAAVキャプシド血清型にまたがっていることが実証される。
【0218】
実施例11:2000Lまでのデュアルプラスミドの拡張可能性
実施例7では、デザイン-1の改善された生産性が50Lのバイオリアクター規模で維持されることが示された。50Lのバイオリアクターからの結果によって、デザイン-1から得られた粗溶解物において、トリプルトランスフェクションシステム対照から得られた粗溶解物と比較して、VG生産性がほぼ2倍増大することが実証された。
【0219】
デザイン-1の改善されたVG生産性が拡張可能であるか否か検討するために、50Lバイオリアクター規模での生産性を、2000Lバイオリアクター規模での生産性と比較した。細胞を50L及び2000Lのバイオリアクターに接種したことを除いて、トランスフェクションを、2Lのバイオリアクター製造のために実施例1に記載のように設定した。細胞を3.6E6~5E6細胞/mLの密度でトランスフェクトした。50Lバイオリアクター及び2000Lバイオリアクターのトランスフェクション条件を、表10に記載の条件に従って設定した。
【表10】
【0220】
図15では、50L及び2000Lのバイオリアクター規模が同等のVG生産性を達成することが示される。これらのデータによって、デザイン-1のデュアルプラスミドトランスフェクションシステムの拡張可能性が実証される。
【0221】
本発明のさらなる実施形態は、以下の条項に記載されている。
【0222】
1.AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列と;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列と;AAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含み、ヘルパーウイルス遺伝子を含まない、第1の核酸ベクター。
【0223】
2.5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含み、ヘルパーウイルス遺伝子を含まない、条項1に記載の核酸ベクター。
【0224】
3.5’から3’方向に:AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む、条項1に記載の核酸ベクター。
【0225】
4.前記核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、条項1~3のいずれか1項に記載の核酸ベクター。
【0226】
5.(i)AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列、を含む第1の核酸ベクターと、(ii)ヘルパーウイルス遺伝子を含む第2の核酸ベクターと、を含む、組換えAAV(rAAV)パッケージングシステム。
【0227】
6.前記第1の核酸ベクターが、5’から3’方向に、AAV Repタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列;導入遺伝子を含む組換えAAV(rAAV)ゲノムを含む第2のヌクレオチド配列;及びAAVキャプシドタンパク質をコードする第3のヌクレオチド配列を含む、条項5に記載のパッケージングシステム。
【0228】
7.前記第1の核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、条項5または6に記載のパッケージングシステム。
【0229】
8.前記第2の核酸ベクターが、DNAプラスミドまたはDNA最小ベクターである、条項5~7のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0230】
9.前記導入遺伝子が、ポリペプチドをコードする、条項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0231】
10.前記導入遺伝子が、miRNA、shRNA、siRNA、アンチセンスRNA、gRNA、アンタゴミル(antagomir)、miRNAスポンジ、RNAアプタザイム、RNAアプタマー、lncRNA、リボザイム、またはmRNAをコードする、条項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0232】
11.前記導入遺伝子が、フェニルアラニンヒドロキシラーゼ(PAH)、グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)、イズロン酸-2-スルファターゼ(I2S)、アリールスルファターゼA(ARSA)、及びフラタキシン(FXN)からなる群から選択されるタンパク質をコードする、条項1~8のいずれか1項に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0233】
12.前記rAAVゲノムが、前記導入遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0234】
13.前記転写調節エレメントが、プロモーターエレメント及び/またはイントロンエレメントを含む、条項12記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0235】
14.前記rAAVゲノムが、ポリアデニル化配列をさらに含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0236】
15.前記ポリアデニル化配列が、前記導入遺伝子に対して3’である、条項14に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0237】
16.前記rAAVゲノムが、配列番号71、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0238】
17.前記rAAVゲノムが、前記導入遺伝子の5’の5’逆位末端反復(5’ITR)ヌクレオチド配列及び前記導入遺伝子の3’の3’逆位末端反復(3’ITR)ヌクレオチド配列をさらに含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0239】
18.前記5’ITRヌクレオチド配列が、配列番号39、41または42に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一であり、及び/または前記3’ITRヌクレオチド配列が、配列番号40、43または44に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である、条項17に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0240】
19.前記rAAVゲノムが、配列番号75、78、80、82または84に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0241】
20.前記AAV Repタンパク質が、野生型Repタンパク質またはそのバリアントである、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0242】
21.前記AAV Repタンパク質が、AAV2 Repタンパク質またはそのバリアントである、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0243】
22.前記第1のヌクレオチド配列が、前記AAV Repタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0244】
23.前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、条項22記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0245】
24.前記プロモーターが、P5プロモーター、P19プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、条項23に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0246】
25.前記AAVキャプシドタンパク質が、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVRh32.33、AAVrh74、AAV-DJ、AAV-LK03、NP59、VOY101、VOY201、VOY701、VOY801、VOY1101、AAVPHP.N、AAVPHP.A、AAVPHP.B、PHP.B2、PHP.B3、G2A3、G2B4、G2B5、及びPHP.S.からなる群から選択される、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0247】
26.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0248】
27.配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである、条項26に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0249】
28.(a)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(b)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(c)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(d)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または(e)配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである、条項27に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0250】
29.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736のアミノ酸配列を含む、条項27に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0251】
30.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0252】
31.配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGである、条項30に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0253】
32.(a)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(b)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(c)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(d)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または(e)配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである、条項31に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0254】
33.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸138~736のアミノ酸配列を含む、条項31に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0255】
34.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列と少なくとも85%同一であるアミノ酸配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0256】
35.配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり;配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸68に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がVであり;配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり;配列番号16のアミノ酸151に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸160に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がDであり;配列番号16のアミノ酸206に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであり;配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり;配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり;配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり;配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり;配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸590に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGまたはYであり;配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCであるか;または配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸が、Gである、条項34に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0257】
36.(a)配列番号16のアミノ酸2に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がTであり、かつ配列番号16のアミノ酸312に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がQであり;(b)配列番号16のアミノ酸65に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、かつ配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がYであり;(c)配列番号16のアミノ酸77に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸690に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がKであり;(d)配列番号16のアミノ酸119に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がLであり、かつ配列番号16のアミノ酸468に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がSであり;(e)配列番号16のアミノ酸626に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり、かつ配列番号16のアミノ酸718に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がGであり;(f)配列番号16のアミノ酸296に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がHであり、配列番号16のアミノ酸464に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がNであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸681に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がMであり;(g)配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸687に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり;(h)配列番号16のアミノ酸346に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がAであり、かつ配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであるか;または(i)配列番号16のアミノ酸501に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がIであり、配列番号16のアミノ酸505に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がRであり、かつ配列番号16のアミノ酸706に相当するキャプシドタンパク質中のアミノ酸がCである、条項35に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0258】
37.前記AAVキャプシドタンパク質が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸1~736のアミノ酸配列を含む、条項35に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0259】
38.前記第3のヌクレオチド配列が、前記AAVキャプシドタンパク質コード配列に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0260】
39.前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、条項38に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0261】
40.前記プロモーターが、P40プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター、及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、条項39に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0262】
41.前記第1の核酸ベクターが、配列番号73または77に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0263】
42.前記第2のヌクレオチド配列が、配列番号71、75、78、80、82、84、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列に対して少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一である配列を含む、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0264】
43.前記第1のヌクレオチド配列が、配列番号50、51、52、53、54、55、56、57、58、または59に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一の配列を含み;前記第2のヌクレオチド配列が、配列番号71、75、78、80、82、84、85、86、87、または88に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である配列を含み;前記第3のヌクレオチド配列が、配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16または17のアミノ酸203~736、138~736及び/または1~736のアミノ酸配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一のアミノ酸配列をコードする、先行条項のいずれかに記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0265】
44.前記第1の核酸ベクターが、5’から3’方向に:前記第1のヌクレオチド配列、前記第2のヌクレオチド配列;及び前記第3のヌクレオチド配列を含む、条項43に記載の核酸ベクターまたはパッケージングシステム。
【0266】
45.前記ヘルパーウイルス遺伝子が、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、ポックスウイルス、サイトメガロウイルス、及びバキュロウイルスからなる群から選択されるヘルパーウイルスに由来する、条項5~44のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0267】
46.前記ヘルパーウイルス遺伝子が、El、E2、E4及びVAからなる群から選択されるアデノウイルスに由来するRNA遺伝子である、条項5~45のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0268】
47.前記第2の核酸ベクターが、前記ヘルパーウイルス遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、条項5~46のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0269】
48.前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、条項47に記載のパッケージングシステム。
【0270】
49.前記プロモーターが、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、条項48に記載のパッケージングシステム。
【0271】
50.前記第2の核酸ベクターが、配列番号60、61、または62に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、条項5~49のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0272】
51.前記第2の核酸ベクターが、配列番号63に記載のヌクレオチド配列と少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%同一であるヌクレオチド配列を含む、条項5~50のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0273】
52.前記ヘルパーウイルス遺伝子が、UL5/8/52、ICP0、ICP4、ICP22及びUL30/UL42からなる群から選択されるヘルペスウイルス由来の遺伝子である、条項5~45のいずれか1項に記載のパッケージングシステム。
【0274】
53.前記第2の核酸ベクターが、前記ヘルパーウイルス遺伝子に作動可能に連結された転写調節エレメントをさらに含む、条項52に記載のパッケージングシステム。
【0275】
54.前記転写調節エレメントが、構成的プロモーター、誘導性プロモーターまたは天然プロモーターからなる群から選択されるプロモーターを含む、条項53に記載のパッケージングシステム。
【0276】
55.前記プロモーターが、RSV LTRプロモーター、CMV前初期プロモーター、SV40プロモーター、ジヒドロ葉酸還元酵素プロモーター、細胞質β-アクチンプロモーター、ホスホグリセレートキナーゼ(PGK)プロモーター、メタロチオニン(MT)プロモーター、マウス乳腫瘍ウイルス(MMTV)プロモーター、T7プロモーター、エクジソン昆虫プロモーター、テトラサイクリン抑制プロモーター、テトラサイクリン誘導性プロモーター、RU486誘導性プロモーター及びラパマイシン誘導性プロモーターからなる群から選択される、条項54に記載のパッケージングシステム。
【0277】
56.条項1~4、もしくは条項9~44のいずれか1項に記載の核酸ベクター、または条項5~55のいずれか1項に記載のパッケージングシステムを含む、宿主細胞。
【0278】
57.前記宿主細胞が、哺乳動物細胞である、条項56に記載の宿主細胞。
【0279】
58.前記哺乳動物細胞が、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される、条項57に記載の宿主細胞。
【0280】
59.前記哺乳動物細胞が、HEK293細胞である、条項57または58に記載の宿主細胞。
【0281】
60.rAAVを産生する条件下で、条項5~55のいずれか1項に記載のパッケージングシステムを哺乳動物細胞に導入することを含む、rAAVの組換え調製のための方法。
【0282】
61.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比は、1:0.2、1:0.4、1:0.6、1:0.8、1:1、1:2、1:3、または1:4からなる群から選択される、条項60に記載の方法。
【0283】
62.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:2である、条項60または61に記載の方法。
【0284】
63.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.2~1:1である、条項60または61に記載の方法。
【0285】
64.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.6である、条項63に記載の方法。
【0286】
65.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:0.8である、条項63に記載の方法。
【0287】
66.前記第1の核酸ベクター対前記第2の核酸ベクターの比、または前記第2の核酸ベクター対前記第1の核酸ベクターの比が、1:1である、条項63に記載の方法。
【0288】
67.前記方法が、前記パッケージングシステムの0.1~4μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、条項60~66のいずれか1項に記載の方法。
【0289】
68.前記方法が、前記パッケージングシステムの0.5~1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、条項60~67のいずれか1項に記載の方法。
【0290】
69.前記方法が、前記パッケージングシステムの0.6、0.7、0.8、0.9または1μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、条項60~68のいずれか1項に記載の方法。
【0291】
70.前記方法が、前記パッケージングシステムの0.75μgのDNA/1E6細胞を導入することを含む、条項60~68のいずれか1項に記載の方法。
【0292】
71.(i)前記AAV Repタンパク質及び前記AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター、(ii)前記rAAVゲノムを含む第2のベクター、ならびに(iii)1つ以上の前記ヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比較して、rAAV力価の増大を生じる、条項60~70のいずれか1項に記載の方法。
【0293】
72.(i)前記AAV Repタンパク質及び前記AAVキャプシドタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む第1のベクター;(ii)前記rAAVゲノムを含む第2のベクター;及び(iii)1つ以上の前記ヘルパーウイルス遺伝子を含む第3のベクター、を含む哺乳動物細胞を使用してrAAVを産生することを含む方法と比較して、インタクトなベクターゲノムのパーセンテージの増大を生じる、条項60~70のいずれか1項に記載の方法。
【0294】
73.前記哺乳動物細胞が、COS細胞、CHO細胞、BHK細胞、MDCK細胞、HEK293細胞、HEK293T細胞、HEK293F細胞、NS0細胞、PER.C6細胞、VERO細胞、CRL7O3O細胞、HsS78Bst細胞、HeLa細胞、NIH3T3細胞、HepG2細胞、SP210細胞、R1.1細胞、B-W細胞、L-M細胞、BSC1細胞、BSC40細胞、YB/20細胞、及びBMT10細胞からなる群から選択される、条項60~72のいずれか1項に記載の方法。
【0295】
74.前記哺乳動物細胞が、HEK293細胞である、条項60~73のいずれか1項に記載の方法。
【0296】
75.前記哺乳動物細胞を、細胞培養物中でインキュベートする、条項60~74のいずれか1項に記載の方法。
【0297】
76.前記宿主細胞が、細胞培養物で提供される、条項56~59のいずれか1項に定義された宿主細胞の集団。
【0298】
77.前記細胞培養物が、少なくとも2リットル、少なくとも50リットルまたは少なくとも2000リットルの容積を有する、条項75に記載の方法または条項76記載の宿主細胞の集団。
***
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際に、記載されるものに加えて、本発明の様々な改変が、上記の説明及び添付の図面から当業者に明らかとなるだろう。かかる改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
本明細書に引用される、全ての参考文献(例えば、出版物、または特許、または特許出願)は、各個別参考文献(例えば、出版物、または特許もしくは特許出願)が、その全体が参照により、全ての目的のために組み込まれるように具体的かつ個別に示された場合と同程度まで、それらの全体が参照により、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内にある。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図10I
図10J
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C
図15
【配列表】
2024522876000001.app
【国際調査報告】