(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】インピーダンスシミュレーションを使用する較正のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G01R 27/02 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
G01R27/02 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579519
(86)(22)【出願日】2022-08-16
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 US2022040460
(87)【国際公開番号】W WO2023023053
(87)【国際公開日】2023-02-23
(32)【優先日】2021-08-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
【住所又は居所原語表記】6920 Seaway Boulevard, Everett, Washington 98203 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】チェン,リャンチュー
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ソンナン
(72)【発明者】
【氏名】ウー,リャンクン
(72)【発明者】
【氏名】トドラケフ,ミレン
(72)【発明者】
【氏名】ガスト,ジェフ
【テーマコード(参考)】
2G028
【Fターム(参考)】
2G028AA01
2G028BB10
2G028CG08
2G028DH05
2G028GL02
(57)【要約】
インピーダンス測定デバイス(100a、100b、100c)を較正するための方法及び装置が提供される。インピーダンス測定デバイスは、第1のAC信号を位相同期電流発生器(124)に出力する(502)。位相同期電流生成器は、第1のAC信号の位相に同期されている位相を有し、かつ既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅を有する第2のAC信号を生成する(504)。位相同期電流発生器は、第2のAC信号をインピーダンス測定デバイスに出力する。インピーダンス測定デバイスは、提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行う(506)。インピーダンス測定デバイスは、測定されたインピーダンス値と提示されたインピーダンスの既知のインピーダンス値とに基づいて較正される(508)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンス測定デバイスであって、
第1のAC信号を位相同期電流発生器に出力するように構成された出力端子と、
位相同期電流発生器によって生成されたものであり、前記第1のAC信号の位相に同期されている位相と、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅とを有する第2のAC信号を受信するように構成された入力端子と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、
前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行い、かつ
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて較正されるように構成されている、インピーダンス測定デバイス。
【請求項2】
前記位相同期電流発生器は、動作中、前記第2のAC信号の前記振幅を変化させ、
前記提示されたインピーダンスは、前記第2のAC信号の前記振幅の変化に応答して変化し、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項3】
前記入力端子は、前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、かつ前記位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を受信するように構成されている、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すように構成されており、前記調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて決定される、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項5】
前記調整係数は、前記提示されたインピーダンスの関数として線形に変化し、
前記コントローラは、複数の調整係数で較正されるように構成されており、前記複数の調整係数は、それぞれの複数の対の測定されたインピーダンス値と対応する提示されたインピーダンスとに基づいて決定され、
前記コントローラは、外挿された調整係数で較正されるように構成されており、前記外挿された調整係数は、前記複数の調整係数のうちの第1の調整係数と第2の調整係数との間に外挿することによって決定される、請求項4に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項6】
前記出力端子に結合されており、電流信号を受信するように構成されたサンプリング抵抗であって、前記サンプリング抵抗は、前記電流信号の通過に応答して前記第1のAC信号を生成するように構成されている、サンプリング抵抗と、
前記入力端子に結合されており、前記第2のAC信号を受信するように構成された基準抵抗であって、前記基準抵抗は、前記第2のAC信号の通過に応答して電圧信号を生成するように構成されている、基準抵抗と、を備え、
前記インピーダンス測定デバイスは、前記電流信号に対する前記電圧信号の比に基づいて、前記測定されたインピーダンス値を決定するように構成されており、前記測定されたインピーダンス値は、前記インピーダンス測定デバイスによる処理中に行われる位相偏移を補償するように位相偏移される、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項7】
前記第2のAC信号は、前記基準抵抗の両端の前記電圧信号を10ナノボルト(nV)~1ミリボルト(mV)にするように動作する、請求項6に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項8】
調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値との間の比として決定される、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項9】
インピーダンス測定デバイスを較正するための方法であって、
第1のAC信号を位相同期電流生成器に出力することと、
位相同期電流発生器によって生成されたものであり、前記第1のAC信号の位相に同期されている位相と、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅とを有する第2のAC信号を受信することと、
前記インピーダンス測定デバイスによって、前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行うことと、
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて、前記インピーダンス測定デバイスを較正することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第2のAC信号の前記振幅を変化させることと、
前記第2のAC信号の前記振幅を変化させることに応答して、前記提示されたインピーダンスを変化させることと、を更に含み、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、かつ前記位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を受信することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて調整係数を決定することと、
前記調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を生み出すことと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記調整係数は、前記提示されたインピーダンスの関数として線形に変化し、前記方法は、
複数の調整係数を、それぞれの複数の対の測定されたインピーダンス値と対応する提示されたインピーダンスとに基づいて決定することと、
外挿された調整係数を、前記複数の調整係数のうちの第1の調整係数と第2の調整係数との間に外挿することによって決定することと、
前記複数の調整係数及び前記外挿された調整係数で前記インピーダンス測定デバイスを較正することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の交流信号を前記インピーダンス測定デバイス内に含まれる基準抵抗に通すことと、
前記基準抵抗の両端の電圧信号を検出することと、
電流信号をサンプリング抵抗に通すことと、
前記サンプリング抵抗の両端の前記第1のAC信号を検出することと、
前記測定されたインピーダンス値を前記電圧信号と前記電流信号との比として決定することと、
前記インピーダンス測定デバイスによる処理中に行われる位相偏移を補償するように、前記測定されたインピーダンス値を位相偏移することと、を更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記基準抵抗の両端の前記電圧信号が10ナノボルト(nV)~1ミリボルト(mV)であることを検出することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値との間の比として調整係数を決定することを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
インピーダンス測定デバイスであって、
第1のAC信号を出力するように構成された出力端子と、
既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅を有する第2のAC信号を受信するように構成された入力端子と、
コントローラと、を含み、前記コントローラは、
前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行い、かつ
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて較正されるように構成されている、インピーダンス測定デバイスと、
位相同期電流発生器と、を備え、前記位相同期電流発生器は、
前記インピーダンス測定デバイスの前記出力端子に結合されており、前記第1のAC信号を受信するように構成された入力端子と、
前記第1のAC信号の位相に同期されている位相を有する前記第2のAC信号を生成させるように構成されたコントローラと、
前記インピーダンス測定デバイスの前記入力端子に結合されており、前記第2のAC信号を出力するように構成された入力端子と、を含む、システム。
【請求項18】
前記位相同期電流発生器の前記コントローラは、前記第2のAC信号の前記振幅を変化させるように構成されており、
前記提示されたインピーダンスは、前記第2のAC信号の前記振幅の変化に応答して変化し、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記位相同期電流発生器の前記コントローラは、
前記位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を生成するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記インピーダンス測定デバイスの前記コントローラは、調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すためのものであり、前記調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて決定される、請求項17に記
載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、インピーダンス測定デバイスを較正することに関し、具体的には、提示されたインピーダンスをシミュレートすることによってインピーダンス測定デバイスを較正することに関する。
【背景技術】
【0002】
製造後、測定デバイスは、仕様内の性能を検証するために較正プロセスを受ける。インピーダンス測定デバイスを較正するための既存の技法は、較正のための固定的な変圧器構成に依拠する。しかしながら、固定的な変圧器構成の使用は、提示されたインピーダンスの広い範囲にわたる測定の性能を試験する際の柔軟性を可能にしない。インピーダンス間を細かく刻み、トランス方式によって高分解能のシミュレートされたインピーダンスを得ることは非常に困難である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、インピーダンス測定デバイスを較正するためにインピーダンスをシミュレート及び提示することを可能にするシステムにおいて、位相同期電流発生器(位相同期多機能較正器とも称される)を使用することが示される。インピーダンス測定デバイスは、外部サンプリング抵抗が使用される場合にはAC電流信号であり、内部サンプリング抵抗が使用される場合にはAC電圧信号である第1のAC信号を出力する。位相同期電流発生器は、第1のAC信号に応答して第2のAC信号を発生する。第2のAC信号は、第1のAC信号に対して位相同期され、同じ周波数を有する。第2のAC信号の振幅は、インピーダンス測定デバイスによる測定のために提示されたインピーダンスを設定する。
【0004】
位相同期電流発生器と基準抵抗モデルであり得るインピーダンスデバイスとによって生成される第2のAC信号は、理想的な又は非常に近い様式でインピーダンス測定デバイスに提示されたインピーダンスをモデル化する。第2のAC信号は、第1のAC信号に位相同期される。
【0005】
位相同期電流発生器は、第2のAC信号の振幅が微細に調整されることを可能にすることによって、提示されたインピーダンスの非常に正確な設定可能性及び粒度を提供する。位相同期電流発生器は、第2のAC信号の振幅を、1ナノアンペア(nA)などの微細な増分又は刻みで調整することを可能にする。これは、次に、提示されたインピーダンスの微細な調整につながる。
【0006】
提示されたインピーダンスの非常に正確な設定可能性及び粒度は、広範囲のインピーダンス値をモデル化するための柔軟性を提供する。インピーダンス測定デバイスは、第2のAC信号の振幅を設定することによって、異なる提示されたインピーダンス値に対して較正され得る。
【0007】
インピーダンス測定デバイスは、複数の調整係数を使用して較正され得る。調整係数は、測定されたインピーダンスを読み出しインピーダンスにスケーリング又は調整するために使用されてもよい。調整係数は、それぞれの提示されたインピーダンスに対して(例えば、インピーダンス測定デバイスの測定範囲の両端において)決定され得る。それぞれの提示されたインピーダンスについて決定された調整係数間を外挿することによって、更なる調整係数は決定され得る。
【0008】
複数の調整係数を使用することにより、インピーダンス測定デバイスによって測定されたインピーダンスに対して行われる調整の変動を考慮する。更に、複数の調整係数を使用することにより、調整を、特定の測定されたインピーダンス又はインピーダンス範囲に合わせる。
【0009】
位相同期電流発生器によって提供される第2のAC信号は、基準抵抗に通されてもよく、基準抵抗は、インピーダンス測定デバイスの外部の抵抗ボックスの一部である代わりに、インピーダンス測定デバイス内に含まれてもよい。
【0010】
基準抵抗が含まれることは、外部抵抗を接続する追加のワイヤを不要にすることをもたらすという事実により、較正中に使用されるケーブル長を減少させることをもたらす。その結果、ワイヤ及びケーブルによって引き起こされるノイズ、干渉及び動作周波数アーチファクトが軽減される。
【0011】
インピーダンス測定デバイスのサンプリング抵抗は、インピーダンス測定デバイスのデジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、DAC)の出力が、サンプリング抵抗の両端の指定される範囲の電圧降下をもたらすように、選択又は設定され得る。指定される範囲は、位相同期電流発生器の位相同期機能の範囲内であり得る。
【0012】
そのため、サンプリング抵抗を選択することは、インピーダンス測定デバイスと位相同期電流発生器との間の適切な動作性を保証することをもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】インピーダンス測定デバイスの従来の較正の回路図を示す。
【
図2】インピーダンス測定デバイスを較正するためのシステムを示す。
【
図3】較正動作と試験動作とを切り替えるための複数のスイッチングデバイスを含むインピーダンス測定デバイスを示す。
【
図4】インピーダンス測定デバイスを較正するためのシステムを示す。
【
図5】インピーダンス測定デバイスを較正するための方法の流れ図を示す。
【
図6】インピーダンス測定デバイスを較正するためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
インピーダンス測定デバイスを、高精度に、かつ微細な粒度の設定可能性を有する複数レベルのインピーダンスで較正するための技法が提供される。インピーダンス測定デバイスと位相同期電流発生器(又は多機能較正器の位相同期電流発生機能)とを含むシステムが提供される。更に、システムは、インピーダンス測定デバイスの内部又はインピーダンス測定デバイスの外部にある、サンプリング抵抗及び基準抵抗を含み得る。システムは、インピーダンス測定デバイスを較正する目的で測定するために、インピーダンスをシミュレートし、インピーダンス測定デバイスにインピーダンスを提示することを可能にする。
【0015】
インピーダンス測定デバイスは、励振AC信号を位相同期電流発生器に出力する。位相同期電流発生器は、励振AC信号の位相に同期し、位相同期信号をインピーダンス測定デバイスに戻す。位相同期信号の振幅は、提示されたインピーダンスを決定する。インピーダンス測定デバイスは、提示されたインピーダンスを測定する。
【0016】
提示されたインピーダンス及び測定されたインピーダンスを知ることにより、将来の測定されたインピーダンスを較正された読み出しインピーダンスにスケーリングするための係数が決定され得る。インピーダンス測定デバイスの測定範囲にわたって係数を決定するために、複数のインピーダンスをインピーダンス測定デバイスに提示することができる。
【0017】
位相同期電流発生器は、微細な粒度の設定可能性を提供することができる。例えば、位相同期電流発生器は、1ナノアンペア(nA)程度の低い粒度の位相同期信号の振幅を提供することができる。振幅はインピーダンスに変換されるため、インピーダンスの粒度は、4.5マイクロオーム/オーム(μΩ/Ω)程度に低くすることができる。
【0018】
図1は、被試験デバイス101の従来の較正の回路図を示す。較正中、被試験デバイス101は、較正回路102に結合されている。被試験デバイス101は、インピーダンス(又は抵抗)を測定するように構成された任意のデバイスであってよい。被試験デバイス101は、被試験デバイス101が交流(alternating current、AC)である励振電流を出力することに基づいてインピーダンスを測定するという点で、AC測定デバイスであり得る。被試験デバイス101は、バッテリなどの任意のデバイスのインピーダンスを測定し得る。
【0019】
被試験デバイス101は、第1の端子104、第2の端子106、第3の端子108及び第4の端子110を有する。較正中、第1の端子104及び第2の端子106は出力端子として動作し、第3の端子108及び第4の端子110は被試験デバイス101への入力端子として動作する。較正回路102は、ソース抵抗112と、バッファ114と、一次巻線118及び二次巻線120を有する変圧器116とを含む。変圧器116は、一次巻線118と二次巻線120との間にKの変圧比を有する。ソース抵抗112は、較正回路102の一部であってもよく、又は較正回路102とは別個であり、かつ較正回路210の外部にある抵抗ボックスの一部であってもよいことに留意されたい。
【0020】
ソース抵抗112は、第1の端子及び第2の端子を有する。バッファ114は、ソース抵抗112の第1の端子に結合された第1の入力を有する。バッファ114は、バッファ114の出力部に結合された第2の端子を有する。一次巻線118は、バッファ114の出力部に結合された第1の端部と、ソース抵抗112の第2の端子に結合された第2の端部とを有する。二次巻線120は、第1の端部50及び第2の端部52を有する。
【0021】
較正中、被試験デバイス101の第1の端子104及び第2の端子106は、ソース抵抗112の第1の端子及び第2の端子にそれぞれ結合されている。更に、被試験デバイス101の第3の端子108及び第4の端子110は、二次巻線120の第1の端部及び第2の端部にそれぞれ結合されている。
【0022】
被試験デバイス101は、励振信号として、第1のAC信号(μI(t))を較正回路102に出力する。第1のAC信号(μI(t))は、Rがソース抵抗112の抵抗であるとき、ソース抵抗112の両端に電圧(μI(t)R)を発生させる。バッファ114は、電圧をバッファリングし、バッファリングされた電圧を1次巻線118に出力する。変圧器116の動作は、二次巻線120の両端に電圧(μI(t)R/K)をもたらす。被試験デバイス101は、電圧(μI(t)R/K)を検出し、検出された電圧(例えば、第1のAC信号(μI(t))に対する検出された電圧の比)に基づいてインピーダンス測定値を決定する。較正回路102によってシミュレートされるインピーダンスは、以下のように表され得る。
【0023】
【0024】
従来の較正は、ケーブル長によって引き起こされるランダム信号干渉の存在によって影
響を受ける不適切な不確実性、及びトランス方式を介した追跡可能性を含む、種々の欠点を抱えている。更に、ソース抵抗112は不安定である場合があり、これは被試験デバイス101の較正に悪影響を及ぼす。加えて、固定的な変圧比は、被試験デバイス101を較正するための1つのシミュレートされたインピーダンスデータ点のみを可能にする。他のシミュレートされたインピーダンスデータ点を得るために、変圧器116は、異なる比を有する他の変圧器で置換され得る。しかしながら、異なる変圧器の使用は面倒であり、追加の較正誤差を引き起こす場合がある。
【0025】
図2は、インピーダンス測定デバイス100aを較正するためのシステム122を示す。システム122は、インピーダンス測定デバイス100a及び位相同期電流発生器124を含む。インピーダンス測定デバイス100aは、デジタルアナログ変換器(digital-to-analog converter、ADC)126と、アナログデジタル変換器(analog-to-digital
converter、DAC)128と、第1のチャネル130及び第2のチャネル132と、サンプリング抵抗134と、基準抵抗137とを含む。本明細書に記載するように、インピーダンス測定デバイス100aは、第1の端子104及び第2の端子106と、第3の端子108及び第4の端子110とを更に含む。位相同期電流発生器124は、第1の入力部136及び第2の入力部138と、第1の出力部140及び第2の出力部142とを含む。
【0026】
位相同期電流発生器124は、位相同期動作が可能な任意のタイプのデバイスであり得る。位相同期電流発生器124は、第1の入力部136及び第2の入力部138を通して第1の信号を受信し、第1の信号の位相に位相同期された第2の信号を第1の出力部140及び第2の出力部142を通して出力するように構成されている。これにより、位相同期電流発生器124は、第1信号の位相に対応する(又は第1信号の位相と同じである)位相を有する第2信号を出力する。位相同期電流発生器124は、ユーザによって設定又は調整され得る振幅を有する第2の信号を出力する。位相同期電流発生器124は、任意の位相同期装置であってもよく、電圧信号又は電流信号を同期してもよい。
【0027】
位相同期電流発生器124は、例えば、Fluke Corporation製のFluke(登録商標)5730A High Performance Multifunction Calibratorなどの多機能較正器であってもよい。位相同期電流発生器124は、一般に、出力信号振幅調整能力を有する位相同期デバイスであり得る。
【0028】
較正中、インピーダンス測定デバイス100aは、位相同期電流発生器124に結合されている。インピーダンス測定デバイス100aの第1の端子104及び第2の端子106は、位相同期電流発生器124の第1の入力部136及び第2の入力部138に結合されている。加えて、インピーダンス測定デバイス100aの第3の端子108及び第4の端子110は、位相同期電流発生器124の第1の出力部140及び第2の出力部142に結合されている。
【0029】
デジタルアナログ変換器126は、第1のチャネル130の入力部129に結合された第1の出力部127を有する。第1のチャネル130は、インピーダンス測定デバイス100aの第1の端子104に結合された第1の出力部131を有する。第1のチャネル130はまた、サンプリング抵抗134の第1の端子に結合され、それによって、サンプリング抵抗134の第2の端子は,接地ノード144に結合されている。本明細書では接地を参照するが、接地ノード144は、任意の基準電圧ノードであってもよく、ゼロ電圧以外の任意の基準電圧を供給してもよいことに留意されたい。
【0030】
基準抵抗137は、インピーダンス測定デバイス100aの第3の端子108及び第4の端子110にそれぞれ結合された第1の端子及び第2の端子を有する。第2のチャネル
132は、基準抵抗137の第1の端子に結合された第1の入力部133を有する。第2のチャネル132は、インピーダンス測定デバイス100aの第2の端子106に結合された第2の入力部135を有し、インピーダンス測定デバイス100aの第2の端子106は、接地ノード144に結合されている。第2のチャネル132は、出力部139を有する。アナログデジタル変換器128は、デジタルアナログ変換器126の出力に結合された第1の入力部141と、第1のチャネル130の第2の出力部145に結合された第2の入力部143と、第2のチャネル132の出力部に結合された第3の入力部147と、接地ノード144に結合された第4の入力部149とを有する。
【0031】
サンプリング抵抗134、基準抵抗137、又はその両方は、インピーダンス測定デバイス100aの外部にあり得る。例えば、抵抗134、137は、インピーダンス測定デバイス100aに結合された抵抗ボックスによって提供されてもよく、位相同期電流発生器124は、抵抗ボックスに結合されてもよい。しかしながら、インピーダンス測定デバイス100a内に抵抗134、137を含めることは、抵抗ボックスをインピーダンス測定デバイス100a及び位相同期電流発生器124に結合するために使用させるケーブル又はワイヤ長を減少させることをもたらすという点で有利であり得る。ケーブル長を減少させることは、ケーブルによって引き起こされる干渉、ノイズ、又はエラーを減少させることをもたらす。
【0032】
較正中、デジタルアナログ変換器126は、信号(μI(t))を生成し、第1のチャネル130に出力する。第1のチャネル130は、とりわけ、複数の増幅器を含み得る。第1のチャネル130は、デジタルアナログ変換器126の出力部をサンプリング抵抗134に結合している。加えて、第1のチャネル130は、サンプリング抵抗134を位相同期電流発生器124の第1の入力部136に結合している。第1のチャネル130は、信号を少なくともバッファリング又は増幅することによって信号を処理する。信号(μI(t))は、AC電流信号であり得、そのため、サンプリング抵抗134の両端の電圧降下を引き起こし得る。信号(μI(t))は、例えば、1キロヘルツ(kHz)等の任意の周波数を有してもよい。
【0033】
第1のチャネル130は、抵抗値Rを有するサンプリング抵抗134の両端の電圧降下に基づいて、第1のAC信号(μIR(t))を作り出し、第1のAC信号(μIR(t))を出力する。サンプリング抵抗134の抵抗値R並びに信号(μI(t))の大きさ及び周波数は、結果として生じる第1のAC信号(μIR(t))が位相同期電流発生器124の位相同期関数の範囲内にあり、それによって位相同期関数の範囲内で適切な動作性を確実にするように選択され得る。
【0034】
位相同期電流発生器124は、第1の入力部136を通して第1のAC信号(μIR(t))を受信し、第2の入力部138を通して基準電圧(接地)を受信する。位相固定電流生成器124は、第1のAC信号(μIR(t))の位相を決定する。位相同期電流生成器124は、第1のAC信号(μIR(t))の位相と同じ位相を有する第2のAC信号(μIx(t))を生成する。第2のAC信号(μIx(t))は、電流信号であり得る。第1のAC信号(μIR(t))は、位相同期電流発生器124のユーザ(試験担当者など)によって設定及び/又は調整され得る。具体的には、位相同期電流発生器124は、1ナノアンペア(nA)程度の低い振幅の分解能を有し得る。例えば、振幅に応じて、位相同期電流発生器124の最小刻み幅サイズは、1、10、又は100nAであってもよい。Fluke(登録商標)5730A High Performance Multifunction Calibratorは、低い二乗平均平方根(root mean square、RMS)不確実性を有する設定可能な振幅を提供する。例えば、1kHzで20mAの信号の不確実性は、95%の信頼度で0.03%未満である。生成された信号の高い精度は、シミュレートされた又は提示されたインピーダンスの高い精度をもたらす。
【0035】
ユーザ又は較正デバイスは、第2のAC信号(μIx(t))の振幅を指定し得、位相同期電流生成器124は、指定された振幅を有し、第1のAC信号(μIR(t))の位相に同期されている位相を有する第2のAC信号(μIx(t))を生成し得る。
【0036】
位相同期電流発生器124は、第2のAC信号(μIx(t))をインピーダンス測定デバイス100aに出力する。第2のAC信号(μIx(t))は、Rrefの抵抗値を有する基準抵抗137の両端の電圧降下をもたらす。第2のチャネル132は、電圧降下を表す第1の電圧信号(μVx(t))を受信する。基準抵抗137は、結果として生じる第1の電圧信号(μVx(t))がアナログデジタル変換器128の範囲内にあり、それによってアナログデジタル変換器128の範囲内の適切な動作性を確実にするように選択され得る。
【0037】
第1の電圧信号(μVx(t))は、ミリボルト又はマイクロボルトの信号であってもよく、例えば、1マイクロボルト(μV)~1ミリボルト(mV)又は1mV~1ボルト(V)の電圧レベルを有してもよい。特に、第1の電圧信号(μVx(t))は、10ナノボルト(nV)~1mVの電圧を有してもよい。更に、提示されたインピーダンスは、1ミリオーム(mΩ)未満又は0.5mΩ未満であってもよい。そのため、インピーダンス測定デバイス100aの応答は、ノイズ及び干渉がより高い電圧信号よりもはっきりとした小さい信号レベルで試験され得る。第2のチャネル132はまた、接地電圧を受け取る。第2チャネル132は、第1電圧信号(μVx(t))に対して差動処理を行う複数の増幅器を含む。第2チャネル132は、第2電圧信号(μVk(t))をアナログデジタル変換器128に出力する。アナログデジタル変換器128はまた、デジタルアナログ変換器126によって出力された信号(μI(t))を受信する。そのため、アナログデジタル変換器128は、信号(μI(t))をデジタル化し得、インピーダンス測定デバイス100aは、第1のAC信号(μIR(t))に対して第1のチャネル130によって引き起こされる影響、アーチファクト、又はノイズの影響を受け得る。追跡可能性分析は、計量コンプライアンスのために、デジタルアナログコンバータ126からアナログデジタルコンバータ128に戻るシグナリング経路上で行われ得ることに留意されたい。追跡可能性分析は、信号が経路を進むときの測定不確実性を示し、ドキュメント化し得る。追跡可能性分析は、サンプリング抵抗134及び基準抵抗137など、シグナリング経路に沿ったデバイスの変動性(例えば、誤差のマージン)をもたらす測定の不確実性を評価するために使用され得る。
【0038】
システム122は、シミュレートされたインピーダンスをインピーダンス測定デバイス100aに提示する。位相同期電流発生器124の構成の動作は、サンプリング抵抗134及び基準抵抗137とともに、構成が電流信号として信号(μI(t))を受信し、かつ構成によって提供されるエミュレートされた設定可能インピーダンスを表す第1の電圧信号(μVx(t))を提供するという点で、設定可能なインピーダンスをエミュレートする。第2のAC信号(μIx(t))、したがって、第1の電圧信号(μVx(t))を第1のAC信号(μIR(t))に位相同期することは、励振信号に対する物理的インピーダンス(又は「理想的な」物理的インピーダンス)の応答性をエミュレートする。
【0039】
位相同期電流発生器124の振幅設定可能性は、微細な分解能でインピーダンスをシミュレートすることを可能にする。例えば、Fluke(登録商標)5730A High
Performance Multifunction Calibratorは、最小で4.5マイクロオーム/オーム(μΩ/Ω)という分解能をもたらすことができる。Fluke(登録商標)5730A High Performance Multifunction Calibratorは、10~220マイクロアンペア(μA)の振幅に対して1nAの分解能を有する。そのため、10μAの振幅レベルでは、分解能は1
nA/10μA(又は100μA/A)である。μA/Aは、百万分の一(parts per million、ppm)に対応することに留意されたい。220μAの範囲の上端では、分解能は、(範囲の上端が範囲の下端の22倍であるという事実に起因して)22倍向上し、100/22μA/A(又は4.5μA/A)になる。第2のAC信号(μIx(t))を提供する電流源の分解能は、第1の電圧信号(μVx(t))を通じて得られるインピーダンスソース分解能(単位はμΩ/Ω)に直接変換される。
【0040】
位相同期電流発生器124の振幅分解能は、インピーダンス測定デバイス100a(又は本明細書に記載されるようなそれのコントローラ)を、微細な粒度のインピーダンスレベルに対して、かつ広範囲のインピーダンスにわたって較正することを可能にする。位相同期電流生成器124は、シミュレートされたインピーダンスのマイクロオームレベルに対してインピーダンス測定デバイス100aを較正するために、位相同期電流生成器124によって提供される最も微細な粒度で、例えば、ナノアンペアレベルで振幅を刻むように動作され得る。
【0041】
インピーダンス測定デバイス100aは、インピーダンス(Z0x)を、第2の電圧信号(μVk(t))と第1のAC信号(μIR(t))との比、すなわち、次式として検出する。
【0042】
【0043】
位相同期電流発生器124によって提示されたインピーダンス(Zx)は、デジタルアナログ変換器126によって出力された信号(μI(t))に対する第1の電圧信号(μVx(t))の比として表され得る。すなわち、提示されたインピーダンスは、次式のとおりである。
【0044】
【0045】
インピーダンス測定デバイス100aの精度を評価するために、検出されたインピーダンスは、提示されたインピーダンスにまでたどる。第1の電圧信号(μVx(t))は、基準抵抗137(「Rref」と示される)と第2のAC信号(μIx(t))との積である。第2のAC信号(μIx(t))は、AIxのRMS値と、位相同期電流生成器124によって生成される位相偏移(Δθs)とを有する。そのため、提示されたインピーダンスは、次式のように表すことができる。
【0046】
【数4】
ここでA
Iは、デジタルアナログ変換器126によって出力される信号(μ
I(t))のRMSである。
【0047】
提示されたインピーダンス(Zx)は、実数部(Rx)及び虚数部(Xx)を有し、これらは、それぞれ、次式のように表される。
【0048】
【0049】
本明細書に記載する、第1の電圧信号(μVx(t))を受信することに応答して、第2チャネル132は、第2電圧信号(μVk(t))をアナログデジタル変換器128に出力する。第2チャネル132は、第1電圧信号(μVx(t))に対して、第2電圧信号(μVk(t))に利得(kV)と位相偏移(ΔθV)を適用する。そのため、第2の電圧信号(μVk(t))は、次式のように表され得る。
【0050】
【0051】
アナログデジタル変換器128はまた、デジタルアナログ変換器126によって出力される信号μI(t)を直接受信する。更に、アナログデジタル変換器128は、位相偏移(ΔθI)を受けた第1のチャネル130からの第1のAC信号(μIR(t))を受信する。第1のAC信号(μIR(t))は、信号(μI(t))のRMS(AIとサンプリング抵抗134(R)に関して、次式のように表され得る。
【0052】
【0053】
これにより、式(2)の検出されたインピーダンス(Z0xは、次式のように表され得る。
【0054】
【0055】
式(8)から、検出されたインピーダンス(Z0x)の実数部、虚数部、及び位相は、それぞれ、次式のように表され得る。
【0056】
【0057】
検出されたインピーダンス(Z0x)は、インピーダンス測定デバイス100aにおいてサンプリングされ、相関処理される。インピーダンス測定デバイス100aは、検出されたインピーダンス(Z0x)に基づいてインピーダンスを測定する。測定されたインピーダンスは、次式のように表され得る。
【0058】
【数10】
ここで、R
0x_、X
0x_、|Z
0x_|、及びθ
0x_は、それぞれ、測定されたインピーダンス(Z
0x_)の実数部、虚数部、係数及び位相である。
【0059】
インピーダンス測定デバイス100aは、式(10)の位相シフ(θ0x)を説明するために、測定されたインピーダンスの位相(Z0x_)を、位相(Δθ0)だけ偏移させる。位相を偏移することは、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)をもたらす。位相(Δθ0)は、第2のチャネル132によって行われる処理(例えば、フィルタリング及び増幅)による位相変化を補償することに留意されたい。第1のチャネル130によって行われる処理は、位相同期電流発生器124によって補償される。位相同期電流生成器124は、第2のAC信号(μIx(t))を第1のAC信号(μIR(t))に位相同期した独立した信号として出力する。第2のAC信号(μIx(t))は、第1のAC信号(μIR(t))と同じ位相である。しかしながら、位相の変化を除いて、第2のAC信号(μIx(t))は、第1のチャネル130によって行われる調整又は処理によって影響を受けない。
【0060】
位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)は、次式のように表すことができる。
【0061】
【数11】
ここで、R
θ0x及びX
θ0xは、それぞれ、位相偏移された測定されたインピーダンス(Z
θ0x)の実数部及び虚数部である。
【0062】
インピーダンス測定デバイス100aは、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)を、提示されたインピーダンスを表す読み出しインピーダンス(Zx)に調整するために、調整係数(k0x)を用い得る。調整係数(k0x)は、乗算係数であり得、それによって、インピーダンス測定デバイス100aは、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)に調整係数(k0x)を乗算して、提示されたインピーダンス(Zx)を表す読み出しインピーダンスを取得し得る。そのため、読み出しインピーダンスは、次式のように表され得る。
【0063】
【0064】
調整係数(k0x)は、インピーダンス範囲にわたって(例えば、提示されたインピーダンス(Zx)の範囲にわたって)線形に変化し得る。そのため、位相同期電流生成器124は、少なくとも2つのインピーダンスをインピーダンス測定デバイス100aに提示し得る。インピーダンス測定デバイス100aは、少なくとも2つの測定されたインピーダンスに対するそれぞれの調整係数を決定し得る。インピーダンス測定デバイス100aは、測定されたインピーダンスと調整係数との間の線形(又は他のタイプの)関係を決定するために、調整係数の間を外挿し得る。実施形態では、提示されたインピーダンスは、インピーダンス測定デバイス100aのインピーダンス測定範囲の両端に対応し得る。インピーダンス測定デバイス100aが評価される測定範囲全体の調整係数は、測定範囲の両端の調整係数の間に外挿され得る。
【0065】
複数のインピーダンスの調整係数の決定は、インピーダンス測定デバイス100aが評価されるインピーダンスの範囲にわたる変動を試験することを考慮することに留意されたい。測定されたインピーダンスに対する調整は、インピーダンス範囲にわたって変化し得る。そのため、インピーダンス範囲にわたって複数の調整係数を決定することは、インピーダンス測定デバイス100aによって行われるべき調整における変動を考慮するのに役立つ。
【0066】
インピーダンス測定は、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)の実数部に基づいて行われ得ることに留意されたい。そのため、測定値の虚数部分は、無視され得る。更に、式(12)を使用して調整係数(k0x)を決定することは、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)及び提示されたインピーダンス(Zx)の実数部に基づいて行われ得る。実数インピーダンスの虚数対応物は無視され得る。
【0067】
提示されたインピーダンス(Zx)は、不確実性の複数のソースに帰せられる。不確実性のソースは、(1)デジタルアナログ変換器126によって出力される信号(μI(t))のRMSにおける不確実性(「φIx」で示される)、(2)第2のAC信号(μIx(t))のRMSにおける不確実性(「φai」で示される)、(3)基準抵抗137における不確実性(「φref」で示される)、及び(4)位相ロック電流生成器124によって生成される位相偏移Δθsにおける不確実性(「φθrx」で示される)を含む。提示されたインピーダンス(Zx)の実数部(Rx)の複合不確実性(標準不確実性とも称される)は、次式のように表すことができる。
【0068】
【0069】
フルスケール測定範囲が3mΩであり、振幅が300mAで周波数が1kHzである第2のAC信号(μIx(t))の場合、複合不確実性は、次式のように表すことができる。
【0070】
【0071】
95%の信頼水準を有する拡張された不確実性は、複合不確実性に係数2を乗算することによって得られる。そのため、拡張された不確実性は、次式のように表すことができる。
【0072】
【0073】
インピーダンス測定デバイス100aは、複数のスイッチングデバイスを含む。複数のスイッチングデバイスは、インピーダンス測定デバイス100aを較正動作から試験動作に移行させるように動作され得る。
【0074】
図3は、較正動作と試験動作とを切り替えるための複数のスイッチングデバイスを含むインピーダンス測定デバイス100bを示す。インピーダンス測定デバイス100bは、第1スイッチングデバイス146、第2スイッチングデバイス148、第3スイッチングデバイス150、第4スイッチングデバイス152及び第5スイッチングデバイス154を含む。試験中、インピーダンス測定デバイス100bの第1の端子104及び第3の端子108は、バッテリであり得る被試験デバイスの第1の端子(例えば、アノード)に結合され得る。第2の端子106及び第4の端子110は、被試験デバイスの第2の端子(例えば、カソード)に結合され得る。端子104、106、108、110は、選択的に双方向であり、端子104、106、108、110の機能は、較正と比較されるように試験中に切り替えられる。試験中、第1の端子104及び第2の端子106は、インピーダンス測定デバイス100bの入力端子として動作し、第3の端子108及び第4の端子110は、インピーダンス測定デバイス100bの出力端子として動作する。
【0075】
第1のスイッチングデバイス146は、第3の端子108を第1のチャネル130又は基準抵抗137に結合するように動作する2つのスイッチ146a、146bを含む。第2のスイッチングデバイス148は、第4の端子110を第1のチャネル130又は基準抵抗137に結合するように動作する2つのスイッチ148a、148bを含む。第1のスイッチングデバイス146及び第2のスイッチングデバイス148は更に、第1のチャネル130をサンプリング抵抗134に結合するか、又はサンプリング抵抗134から結合解除する。第3のスイッチングデバイス150は、第1のチャネル130をサンプリング抵抗134に結合するか、又は第1のチャネル130をサンプリング抵抗134から結合解除する。
【0076】
第4のスイッチングデバイス152は、2つのスイッチ152a、152bを含み、第
1の端子104を第1のチャネル130又は第2のチャネル132に結合し、基準抵抗137を第2のチャネル132に結合するか、又は基準抵抗137を第2のチャネル132から結合解除する。第5のスイッチングデバイス154は、2つのスイッチ154a、154bを含み、第2の端子106を第2のチャネル132又は基準抵抗137に結合する。
【0077】
スイッチングデバイス146~154は、インピーダンス測定デバイス100bが試験のために使用されるときに配置されるものとして
図3に示されている。スイッチングデバイス146~154の各々の状態を
図3に示される位置から切り替えることにより、インピーダンス測定デバイス100bが較正用に構成され、
図2の配置がもたらされることに留意されたい。
【0078】
実施形態では、スイッチングデバイス146~154が省略され得ることに留意されたい。例えば、サンプリング抵抗134及び基準抵抗137は、インピーダンス測定デバイスの一部である代わりに、抵抗ボックス内にあってもよい。そのため、インピーダンス測定デバイスを抵抗ボックスに物理的結合すること、及び抵抗ボックスを位相同期電流発生器124に物理的に結合することは、インピーダンス測定デバイスを較正動作状態にする際にスイッチングデバイス146~154を使用する代わりになる。インピーダンス測定デバイスを抵抗ボックスから物理的に切り離すことは、インピーダンス測定デバイスを試験動作状態にする際にスイッチング装置146~154を使用する代わりとなる。
【0079】
図4は、インピーダンス測定デバイス100cを較正するためのシステム160を示す。インピーダンス測定デバイス100cは、本明細書に記載されるインピーダンス測定デバイス100a、100bと類似に又は同一に構成され得ることに留意されたい。システム160は、インピーダンス測定デバイス100cと、位相同期電流発生器124と、較正デバイス162とを含む。較正デバイス162は、インピーダンス測定デバイス100cを較正し得、それによって、例えば、較正デバイス162は、調整係数を決定し、調整係数を用いてインピーダンス測定デバイス100cを構成し得る。本明細書に記載されるインピーダンス測定デバイス100aと類似のインピーダンス測定デバイス100cの要素は、同じ参照番号を有する。インピーダンス測定デバイス100cは、コントローラ164と、通信デバイス166と、出力デバイス168とを備える。同様に、較正デバイス162は、コントローラ170と、通信デバイス172と、出力デバイス174とを含む。また、位相同期電流発生器124は、コントローラ176と通信デバイス178とを含む。
【0080】
コントローラ164は、本明細書に記載される技法を行うように構成された任意のタイプのデバイスであり得る。コントローラ164は、とりわけ、プロセッサ、マイクロコントローラ、又はマイクロプロセッサであってもよく、他の計算ユニットの中でも、算術論理演算ユニット(arithmetic and logic unit、ALU)を含み得る。コントローラ164は、組み込みシステムオンチップ(system-on-chip、SoC)であってもよい。コントローラ164は、とりわけ、中央処理ユニット(central processing unit、CPU)又はグラフィックス処理ユニット(graphics processing unit、GPU)を含んでもよい。コントローラ164は、本明細書に記載するように、信号(μI(t))を生成し、第1のチャネル130に出力するように、デジタルアナログ変換器126を制御し得る。更に、コントローラ164は、第2の電圧信号(μVk(t))を表すデジタル信号をアナログデジタル変換器128から受信し得る。更に、コントローラ164は、検出されたインピーダンス(Z0x)を決定し、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)を作り出すために、検出されたインピーダンス(Z0x)を位相偏移し、読み出しインピーダンスを生成するために、調整係数(k0x)を位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)に適用し得る。コントローラ164は、調整係数(k0x)で較正され
、構成され得、それによって、インピーダンス測定デバイスを較正することは、本明細書に記載するように、インピーダンス測定デバイスのコントローラ164を較正することを含む。
【0081】
コントローラ164は、メモリ(図示せず)に記憶された実行可能命令を実行し得る。実行可能命令がサーバ164によって実行されるとき、実行可能命令は、サーバ164に、本明細書に記載される機能又は技法を行わせる。コントローラ164は、任意の決定されたインピーダンスを、別のデバイスへの送信のために通信デバイス166に、又はユーザへの出力のために出力デバイス168に送信し得る。
【0082】
通信デバイス166は、別のデバイスと通信するように動作可能である任意のタイプのデバイスであり得る。通信デバイス166は、とりわけ、送信機、受信機、送受信機、又はモデムであってもよい。通信デバイス166は、任意のタイプの通信プロトコルを使用して通信するように構成され得る。プロトコルは、とりわけ、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)などのセルラー通信プロトコル、又は電気電子技術者協会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)802プロトコルなどの無線通信プロトコルであり得る。プロトコルは、Bluetooth(登録商標)などの近距離通信プロトコルであってもよい。通信デバイス166は、決定されたインピーダンスを較正デバイス162に伝送し得る。
【0083】
出力デバイス168は、ユーザにデータを出力するように構成された任意のタイプのデバイスであってもよい。例えば、出力デバイス168は、とりわけ、ディスプレイ又はスピーカであってもよい。出力デバイス168は、ユーザに、インピーダンス測定デバイス100cによって行われるインピーダンス測定の結果を出力し得る。
【0084】
較正デバイス162のコントローラ170、通信デバイス172、及び出力デバイス174は、それぞれ、インピーダンス測定デバイス100cのコントローラ164、通信デバイス166、及び出力デバイス168と類似のデバイスであり得る。コントローラ170は、インピーダンス測定デバイス100c(又はそれのコントローラ164)を較正するために、インピーダンス測定デバイス100c及び位相同期電流発生器124を制御し得る。コントローラ170は、位相同期電流発生器124に対して、第1のAC信号(μIR(t))の位相に同期し、提示されたインピーダンスを指定するために第2のAC信号(μIx(t))の振幅を設定するように命令し得る。
【0085】
コントローラ170は、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)を受信し、提示されたインピーダンス(Zx)に対する調整係数(k0x)を決定し得る。コントローラ170はまた、複数の提示されたインピーダンスに対する複数の調整係数を決定し得る。コントローラ170は、インピーダンス測定デバイス100cによって決定された位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)と調整係数(k0x)との間の関係を決定するために、調整係数を外挿し得る。例えば、その関係は、関数関係(例えば、とりわけ、線形又は二次)であってもよい。調整係数は、位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)の関数として変化する変数であってもよい。曲線は、調整係数と位相偏移された測定されたインピーダンス(Zθ0x)との間の関係を表し得る。
【0086】
加えて、その関係は、ルックアップテーブルとして表され得る。コントローラ170は、通信デバイス172を用いて、調整係数をインピーダンス測定デバイス100cに送信し得る。インピーダンス測定デバイス100cは、動作中に、位相偏移された測定されたインピーダンスをそれぞれの読み出しインピーダンスに調整する際に調整係数を使用し得る。
【0087】
位相同期電流発生器124のコントローラ176及び通信デバイス178は、それぞれ、インピーダンス測定デバイス100cのコントローラ164及び通信デバイス166と類似のデバイスであり得る。通信デバイス178は、較正デバイス162の通信デバイス172から、第1のAC信号の位相に同期するためのコマンド(μIR(t))を受信し得る。更に、通信デバイス178は、第2のAC信号(μIx(t))の振幅の指示を受信し得る。通信デバイス178は、コマンド及び振幅を表すデータをコントローラ176に出力し得る。
【0088】
コントローラ176は、位相同期電流生成器124に本明細書に記載される技法を行わせるために、位相同期電流生成器124を制御し得る。コントローラ176は、第2のAC信号(μIx(t))の位相を、第1のAC信号(μIR(t))の位相に同期させるために、位相同期電流生成器124を制御し得る。コントローラ176は、較正デバイス162によって命令された振幅を有する第2のAC信号(μIx(t))を出力し得る。
【0089】
代替的な実施形態では、較正デバイス162は省略されてもよく、インピーダンス測定デバイス100cが較正デバイス162の機能を行ってもよいことに留意されたい。例えば、インピーダンス測定デバイス100cの通信デバイス166は、位相同期電流発生器124の通信デバイス178に結合されてもよい。位相同期電流生成器124の調整係数決定及び命令は、インピーダンス測定デバイス100cのコントローラ164によって行われ得る。
【0090】
図5は、インピーダンス測定デバイスを較正するための方法500のフロー図を示す。方法500では、502において、
図2を参照して記載されるインピーダンス測定デバイス100aなどのインピーダンス測定デバイスは、第1のAC信号を位相同期電流発生器に出力する。504において、位相同期電流生成器は、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅を有し、かつ第1のAC信号の位相に同期されている位相を有する第2のAC信号を生成する。位相同期電流発生器は、第2のAC信号をインピーダンス測定デバイスに出力する。506において、インピーダンス測定デバイスは、提示されたインピーダンスに関連付けられた測定されたインピーダンス値を作り出すように、第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行う。本明細書に記載するように、インピーダンス測定デバイスは、インピーダンス測定値を、第2のAC信号から生成される電圧と第1のAC信号を生成するために使用される電流との比として決定し得る。更に、インピーダンス測定デバイスは、インピーダンス測定デバイスによって行われる処理に起因する位相変化を補償するために、インピーダンス測定値を位相偏移し得る。
【0091】
方法500は、508において、測定されたインピーダンス値と提示されたインピーダンスの既知のインピーダンス値とに基づいて、インピーダンス測定デバイスを較正することを含む。本明細書に記載するように、インピーダンス測定デバイスを較正することは、調整係数を用いてインピーダンス測定デバイスを構成することを含み得る。調整係数は、測定されたインピーダンスとシミュレートされたインピーダンスの既知のインピーダンス値とに基づいて決定され得る。動作中、インピーダンス測定デバイスは、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すために、調整係数に基づいて、測定されたインピーダンスを調整する。
【0092】
本明細書に記載するように、サンプリング抵抗134及び基準抵抗137は、インピーダンス測定デバイスの一部である代わりに、抵抗ボックス内にあってもよい。
【0093】
図6は、インピーダンス測定デバイス100dを較正するためのシステム180を示す。システム180は、インピーダンス測定デバイス100dと、抵抗モデル182と、位相同期電流発生器124とを含む。抵抗モデル182は、抵抗ボックスであってもよいが
、サンプリング抵抗184と基準抵抗188とを含む。これにより、サンプリング抵抗134及び基準抵抗137は、インピーダンス測定デバイス100dに組み込まれない。抵抗134、137がインピーダンス測定デバイス100dに組み込まれないモードでは、デバイスは、本明細書の
図3を参照して示される通常試験モードで構成される。
図3を参照して本明細書に記載するように、基準抵抗137は、スイッチングデバイス152、154の動作によってバイパスされる。本明細書において
図3を参照して説明されるインピーダンス測定デバイス100bと類似のインピーダンス測定デバイス100dの要素は、同じ参照番号を有する。
【0094】
抵抗モデル182は、第1のサンプリング抵抗端子190、第2のサンプリング抵抗端子192、第3のサンプリング抵抗端子194及び第4のサンプリング抵抗端子196と、第1の基準抵抗端子198、第2の基準抵抗端子202、第3の基準抵抗端子204及び第4の基準抵抗端子206とを有する。第1のサンプリング抵抗端子190及び第2のサンプリング抵抗端子192は、サンプリング抵抗184の第1の端子に結合されている。第3のサンプリング抵抗端子194及び第4のサンプリング抵抗端子196は、サンプリング抵抗184の第2の端子に結合されている。第1の基準抵抗端子198及び第2の基準抵抗端子202は、基準抵抗188の第1の端子に結合されている。第3の基準抵抗端子204及び第4の基準抵抗端子206は、基準抵抗188の第2の端子に結合されている。
【0095】
インピーダンス測定デバイス100dの第1の端子104及び第2の端子106は、それぞれ、第1のサンプリング抵抗端子190及び第3のサンプリング抵抗端子194に結合されている。位相同期電流発生器124の第1の入力部136及び第2の入力部138は、それぞれ、第2のサンプリング抵抗端子192及び第4のサンプリング抵抗端子196に結合されている。
【0096】
インピーダンス測定デバイス100dの第3の端子108及び第4の端子110は、それぞれ、第1の基準抵抗端子198及び第3の基準抵抗端子204に結合されている。位相同期電流発生器124の第1の出力部140及び第2の出力部142は、それぞれ、第2の基準抵抗端子202及び第4の基準抵抗端子206に結合されている。
【0097】
本明細書に記載するように、インピーダンス測定デバイス100dは、信号(μI(t))を生成する。インピーダンス測定デバイス100dは、信号(μI(t))をサンプリング抵抗184に出力する。信号(μI(t))は、サンプリング抵抗184の両端に第1のAC信号(μIR(t))をもたらす。位相同期電流生成器124は、第1のAC信号(μIR(t))を受信する。本明細書に記載するように、位相同期電流生成器124は、第2のAC信号(μIx(t))を生成する。位相同期電流生成器124は、第2のAC信号(μIx(t))を抵抗モデル182に出力する。第2のAC信号(μIx(t))は、基準抵抗188の両端の第1の電圧信号(μVx(t))の電圧降下をもたらす。インピーダンス測定デバイス100dは、抵抗モデル182によって生成される第1の電圧信号(μVx(t))を受信する。システム180は、インピーダンス測定デバイスからサンプリング抵抗及び基準抵抗を結合解除し、インピーダンス測定デバイスに結合可能な抵抗モデル内に配置される抵抗を提供する。
【0098】
前述の開示を考慮して、インピーダンス測定デバイスを較正するための方法、インピーダンス測定デバイス、及びインピーダンス測定デバイスを較正するためのシステムの様々な実施例は、以下の特徴、すなわち、第1のAC信号を出力することと、第1のAC信号の位相に同期されている位相を有する第2のAC信号を受信することと、提示されたインピーダンスに関連付けられた測定されたインピーダンス値を作り出すように、第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行うことと、測定されたインピーダンス値及び提示
されたインピーダンスの既知のインピーダンス値に基づいてインピーダンス測定デバイスを較正することと、のうちのいずれか1つ又は組み合わせを含み得る。
【0099】
本方法、本デバイス、及び本システムは、第1のAC信号を位相同期電流発生器に出力すること、及び第2のAC信号を位相同期電流発生器から受信することなど、別の特徴を含んでもよい。
【0100】
本方法、本デバイス、及び本システムは、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅を有する第2のAC信号など、別の特徴を含んでもよい。
【0101】
本方法、本デバイス、及び本システムは、インピーダンス測定デバイスによって行われるインピーダンス測定など、別の特徴を含んでもよい。
【0102】
本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器によって提供される提示インピーダンスを変化させるために第2のAC信号の振幅を変化させることなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器によって提供される、第2のAC信号の振幅の変化の粒度に対応する提示されたインピーダンスの変化の粒度など、別の特徴を含んでもよい。
【0103】
本方法、本デバイス、及び本システムは、第2のAC信号の振幅を第1の振幅から第2の振幅に変化させるなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定によって第2の振幅が第1の振幅と異なるなど、別の特徴を含んでもよい。
【0104】
本方法、本デバイス、及び本システムは、測定されたインピーダンス値と提示されたインピーダンスの既知のインピーダンス値とに基づいて調整係数を決定することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、調整係数に基づいてそれぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すために、測定されたインピーダンス値を調整することなど、別の特徴を含んでもよい。
【0105】
本方法、本デバイス、及び本システムは、提示されたインピーダンスの関数として調整係数が線形に変化することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、それぞれの複数対の測定されたインピーダンス値と対応する提示されたインピーダンスとに基づいて、かつ複数の調整係数の間に外挿することによって、複数の調整係数を決定することなど、別の特徴を含み得る。
【0106】
本方法、本デバイス、及び本システムは、第2のAC信号をインピーダンス測定デバイスに含まれる基準抵抗に通すなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、基準抵抗の両端の電圧信号を検出することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、電流信号をサンプリング抵抗に通すことなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、サンプリング抵抗の両端の第1のAC信号を検出することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、測定されたインピーダンス値を電圧信号と電流信号との比として決定することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、インピーダンス測定デバイスによって行われる処理を考慮するために、測定されたインピーダンス値を位相偏移させることなど、別の特徴を含んでもよい。
【0107】
本方法、本デバイス、及び本システムは、測定されたインピーダンス値と提示されたインピーダンスの既知のインピーダンス値との間の比として調整係数を決定することなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、第2のAC信号が、
基準抵抗の両端の電圧信号を10nV~1mVにさせるように動作可能であるなど、別の特徴を含んでもよい。
【0108】
本方法、本デバイス、及び本システムは、インピーダンス測定デバイスの出力端子が、第1のAC信号を位相同期電流発生器に出力するように構成されていること、インピーダンス測定デバイスの入力端子が第2のAC信号を受信するように構成されていること、及びインピーダンス測定デバイスのコントローラがインピーダンス測定を行うように構成されていることなど、別の特徴を含んでもよい。
【0109】
本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器によって第2のAC信号の振幅を変化させることなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器によって、第2のAC信号の振幅を第1の振幅から第2の振幅に変化させることなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、インピーダンス測定デバイスのコントローラが、調整係数を用いて構成され、かつ測定されたインピーダンス値を調整するように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。
【0110】
本方法、本デバイス及び本システムは、サンプリング抵抗がインピーダンス測定デバイスに組み込まれているなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、サンプリング抵抗が、出力端子に結合されており、電流信号を受信するように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、サンプリング抵抗が、電流信号の通過に応答して第1のAC信号を生成するように構成されているな、別の特徴を含んでもよい。
【0111】
本方法、本デバイス、及び本システムは、基準抵抗がインピーダンス測定デバイスに組み込まれているなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、基準抵抗が入力端子に結合されており、第2のAC信号を受信するように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、基準抵抗が、第2のAC信号の通過に応答して電圧信号を生成するように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。
【0112】
本方法、本デバイス、及び本システムは、インピーダンス測定デバイスが、測定されたインピーダンス値を決定するように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。
【0113】
本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器が、インピーダンス測定デバイスの出力端子に結合されており、第1のAC信号を受信するように構成された入力端子を含むこと、コントローラが、第1のAC信号の位相に同期されている位相を有する第2のAC信号を生成されるように構成されていること、入力端子が、インピーダンス測定デバイスの入力端子に結合されており、第2のAC信号を出力するように構成されていることなど、別の特徴を含んでもよい。
【0114】
本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器のコントローラが、提示されたインピーダンスを変化させるために、第2のAC信号の振幅を変化させるように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。本方法、本デバイス、及び本システムは、位相同期電流発生器のコントローラが、第2のAC信号の振幅を第1の振幅から第2の振幅に変化させるように構成されているなど、別の特徴を含んでもよい。
【0115】
上に記載した様々な実施形態を組み合わせ、更なる実施形態を提供することができる。上記の「発明を実施する形態」を考慮して、これらの変更及び他の変更を実施形態に行うことができる。概して、以下の「特許請求の範囲」において、使用される用語は、「特許
請求の範囲」を明細書及び「特許請求の範囲」に開示される具体的な実施形態に限定するものと解釈すべきではなく、このような「特許請求の範囲」によって権利が与えられる均等物の全範囲に沿った全ての可能な実施形態を含むと解釈すべきである。したがって、「特許請求の範囲」は、本明細書の開示によって制限されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インピーダンス測定デバイスであって、
第1のAC信号を位相同期電流発生器に出力するように構成された出力端子と、
前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、前記第1のAC信号の位相に同期されている位相と、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅とを有する第2のAC信号を受信するように構成された入力端子と、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、
前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行い、かつ
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて較正されるように構成されている、インピーダンス測定デバイス。
【請求項2】
前記位相同期電流発生器は、動作中、前記第2のAC信号の前記振幅を変化させ、
前記提示されたインピーダンスは、前記第2のAC信号の前記振幅の変化に応答して変化し、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項1に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項3】
前記入力端子は、前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、かつ前記位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を受信するように構成されている、請求項1
または請求項2に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すように構成されており、前記調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて決定される、請求項1
または請求項2に記載のインピーダン
ス測定デバイス。
【請求項5】
前記調整係数は、前記提示されたインピーダンスの関数として線形に変化し、
前記コントローラは、複数の調整係数で較正されるように構成されており、前記複数の調整係数は、それぞれの複数の対の測定されたインピーダンス値と対応する提示されたインピーダンスとに基づいて決定され、
前記コントローラは、外挿された調整係数で較正されるように構成されており、前記外挿された調整係数は、前記複数の調整係数のうちの第1の調整係数と第2の調整係数との間に外挿することによって決定される、請求項4に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項6】
前記出力端子に結合されており、電流信号を受信するように構成されたサンプリング抵抗であって、前記サンプリング抵抗は、前記電流信号の通過に応答して前記第1のAC信号を生成するように構成されている、サンプリング抵抗と、
前記入力端子に結合されており、前記第2のAC信号を受信するように構成された基準抵抗であって、前記基準抵抗は、前記第2のAC信号の通過に応答して電圧信号を生成するように構成されている、基準抵抗と、を備え、
前記インピーダンス測定デバイスは、前記電流信号に対する前記電圧信号の比に基づいて、前記測定されたインピーダンス値を決定するように構成されており、前記測定されたインピーダンス値は、前記インピーダンス測定デバイスによる処理中に行われる位相偏移を補償するように位相偏移される、請求項1
または請求項2記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項7】
前記第2のAC信号は、前記基準抵抗の両端の前記電圧信号を10ナノボルト(nV)~1ミリボルト(mV)にするように動作する、請求項6に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項8】
調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値との間の比として決定される、請求項1
または請求項2に記載のインピーダンス測定デバイス。
【請求項9】
インピーダンス測定デバイスを較正するための方法であって、
第1のAC信号を位相同期電流生成器に出力することと、
前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、前記第1のAC信号の位相に同期されている位相と、既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅とを有する第2のAC信号を受信することと、
前記インピーダンス測定デバイスによって、前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行うことと、
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて、前記インピーダンス測定デバイスを較正することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記第2のAC信号の前記振幅を変化させることと、
前記第2のAC信号の前記振幅を変化させることに応答して、前記提示されたインピーダンスを変化させることと、を更に含み、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記位相同期電流発生器によって生成されたものであり、かつ前記位相同期電流発生器
によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を受信することを更に含む、請求項9
または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて調整係数を決定することと、
前記調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を生み出すことと、を更に含む、請求項9
または請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記調整係数は、前記提示されたインピーダンスの関数として線形に変化し、前記方法は、
複数の調整係数を、それぞれの複数の対の測定されたインピーダンス値と対応する提示されたインピーダンスとに基づいて決定することと、
外挿された調整係数を、前記複数の調整係数のうちの第1の調整係数と第2の調整係数との間に外挿することによって決定することと、
前記複数の調整係数及び前記外挿された調整係数で前記インピーダンス測定デバイスを較正することと、を更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の交流信号を前記インピーダンス測定デバイス内に含まれる基準抵抗に通すことと、
前記基準抵抗の両端の電圧信号を検出することと、
電流信号をサンプリング抵抗に通すことと、
前記サンプリング抵抗の両端の前記第1のAC信号を検出することと、
前記測定されたインピーダンス値を前記電圧信号と前記電流信号との比として決定することと、
前記インピーダンス測定デバイスによる処理中に行われる位相偏移を補償するように、前記測定されたインピーダンス値を位相偏移することと、を更に含む、請求項9
または請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記基準抵抗の両端の前記電圧信号が10ナノボルト(nV)~1ミリボルト(mV)であることを検出することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値との間の比として調整係数を決定することを更に含む、請求項9
または請求項10に記載の方法。
【請求項17】
システムであって、
インピーダンス測定デバイスであって、
第1のAC信号を出力するように構成された出力端子と、
既知のインピーダンス値を有する提示されたインピーダンスを表す振幅を有する第2のAC信号を受信するように構成された入力端子と、
コントローラと、を含み、前記コントローラは、
前記提示されたインピーダンスに関連付けられた、測定されたインピーダンス値を作り出すように、前記第2のAC信号に基づいてインピーダンス測定を行い、かつ
前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて較正されるように構成されている、インピーダンス測定デバイスと、
位相同期電流発生器と、を備え、前記位相同期電流発生器は、
前記インピーダンス測定デバイスの前記出力端子に結合されており、前記第1のAC信
号を受信するように構成された入力端子と、
前記第1のAC信号の位相に同期されている位相を有する前記第2のAC信号を生成させるように構成されたコントローラと、
前記インピーダンス測定デバイスの前記入力端子に結合されており、前記第2のAC信号を出力するように構成された
出力端子と、を含む、システム。
【請求項18】
前記位相同期電流発生器の前記コントローラは、前記第2のAC信号の前記振幅を変化させるように構成されており、
前記提示されたインピーダンスは、前記第2のAC信号の前記振幅の変化に応答して変化し、
前記提示されたインピーダンスの前記変化の第1の粒度は、前記位相同期電流発生器によって提供される、前記第2のAC信号の前記振幅の前記変化の第2の粒度に対応する、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記位相同期電流発生器の前記コントローラは、
前記位相同期電流発生器によって提供される最も微細な刻み幅設定だけ前記第2のAC信号の前記振幅とは異なる振幅を有する第3のAC信号を生成するように構成されている、請求項17
または請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記インピーダンス測定デバイスの前記コントローラは、調整係数に基づいて、測定されたインピーダンス値を調整して、それぞれの読み出しインピーダンス測定値を作り出すためのものであり、前記調整係数は、前記測定されたインピーダンス値と前記提示されたインピーダンスの前記既知のインピーダンス値とに基づいて決定される、請求項17
または請求項18に記載のシステム。
【国際調査報告】