(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】除草剤組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 47/06 20060101AFI20240614BHJP
A01N 57/20 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/54 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/58 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/653 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/84 20060101ALI20240614BHJP
A01N 41/06 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/80 20060101ALI20240614BHJP
A01N 43/90 20060101ALI20240614BHJP
A01P 13/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A01N47/06 Z
A01N57/20 L
A01N57/20 G
A01N43/54 F
A01N43/58 A
A01N43/653 Q
A01N43/84 101
A01N41/06 Z
A01N43/80 101
A01N43/90 103
A01P13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580461
(86)(22)【出願日】2022-07-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022068250
(87)【国際公開番号】W WO2023280703
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520222106
【氏名又は名称】シンジェンタ クロップ プロテクション アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(72)【発明者】
【氏名】ジョイス フィリップ マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ヴァズ ダ シルヴァ ジョアオ レナート
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AB01
4H011BA06
4H011BB07
4H011BB09
4H011BB10
4H011BB12
4H011BB17
4H011DF04
(57)【要約】
本発明は、除草有効量の式(I)
の化合物、又は、農薬上許容されるそのエステル若しくは塩;と
(B)
B1 グルホシネート;
B2 グリホサート;
B3 プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害除草剤;並びに
B4 パラコート(B4a)、ジクワット(B4b)、及び式(II)の除草性ピリダジン化合物(B4c)からなる群から選択される除草剤
からなる群から選択される、少なくとも1つの除草剤、農薬上許容されるそのエステル又は塩と、を含む、除草剤組成物に関する。本発明はさらに、本発明の除草剤組成物を含む雑草の防除方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除草有効量の式(I)
【化1】
(式中、Gは、水素、-C(O)CH
3、及び-C(O)OCH
3からなる群から選択される)の化合物;と
(B)
B1 グルホシネート;
B2 グリホサート;
B3 プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害除草剤;並びに
B4 パラコート(B4a)、ジクワット(B4b)、及び式(II)
【化2】
(式中、
Aは、
【化3】
からなる群から選択される6員のヘテロアリールであり、
式中、ギザギザ線は、式(I)の化合物の残部への結合点を定義し、
pは0、1、又は2であり、且つ
各R
8は、NH
2、メチル、及びメトキシからなる群から独立して選択され;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素又はメチルであり;
Qは(CR
1aR
2b)
mであり;
mは0、1、又は2であり;
各R
1a及びR
2bは独立して、水素、ヒドロキシ、-メチル、及びNH
2からなる群から独立して選択され;
Zは、-S(O)
2OR
10、-C(O)OR
10、-C(O)NHS(O)
2R
12、及び-C(O)NHCNであり;
R
10は水素、メチル、ベンジル、又はフェニルであり;
且つ、R
12はメチル、-NH
2、-N(CH
3)
2、又は-NHCH
3である)
の除草性ピリダジン化合物(B4c)からなる群から選択される除草剤、若しくはその双性イオン種
からなる群から選択される、少なくとも1つの除草剤、又は、農薬上許容されるそのエステル若しくは塩と
を含む、除草剤組成物。
【請求項2】
前記式(I)の化合物は、式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)
【化4】
からなる群から選択される、請求項1に記載の除草剤組成物。
【請求項3】
前記式(I)の化合物は式(Ic)である、請求項1又は請求項2に記載の除草剤組成物。
【請求項4】
成分(B)は、グルホシネート(B1)、グルホシネートのナトリウム塩(B1a)、グルホシネートのアンモニウム塩(B1b)、L-グルホシネート(B1c)、L-グルホシネートのナトリウム塩(B1d)、及び、L-グルホシネートのアンモニウム塩(B1e)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項5】
成分(B)は、グリホサート(B2)、グリホサートのジアンモニウム塩(B2a)、グリホサートのイソプロピルアンモニウム塩(B2b)、及び、グリホサートのカリウム塩(B2c)からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項6】
成分(B)は、ブタフェナシル(B3a)、カルフェントラゾンエチル(B3b)、エピリフェナシル(B3c)、フルミオキサジン(B3d)、ホメサフェン(B3e)、オキシフルオルフェン(B3f)、ピラフルフェンエチル(B3g)、サフルフェナシル(B3h)、スルフェントラゾン(B3i)、チアフェナシル(B3j)、トリフルジモキサジン(B3k)、3-(2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボン酸エチルエステル(B3l)、及び、エチル2-[[3-[[3-クロロ-5-フルオロ-6-[3-メチル-2,6-ジオキソ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-1-イル]-2-ピリジル]オキシ]アセテート(B3m)(前述した化合物全ての、農薬上許容される塩及び/又はエステルを含む)からなる群から選択されるプロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害除草剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項7】
成分(B)は、パラコート(B4a)、ジクワット(B4b)、並びに、B4c.1、B4c.2、B4c.3、B4c.4、B4c.5、B4c.6、B4c.7、B4c.8、B4c.9、B4c.10、B4c.11、B4c.12、B4c.13、B4c.14、B4c.15、B4c.16、B4c.17、B4c.18、B4c.19、B4c.20、B4c.21、B4c.22、B4c.23、B4c.24、B4c.25、B4c.28、B4c.29、B4c.30、B4c.31、B4c.32、B4c.33、B4c.34、及びB4c.35からなる群から選択される除草性ピリダジンからなる群から選択される除草剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項8】
前記組成物は、追加の除草成分(C)をさらに含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の除草剤組成物。
【請求項9】
成分(C)は、アセトクロール、メトラクロール、S-メトラクロール、及びピロキサスルホンから選択される除草剤である、請求項8に記載の除草剤組成物。
【請求項10】
ある場所において雑草を防除する方法であって、前記場所に、雑草防除量の、請求項1~9のいずれか一項に記載の除草剤組成物を施用することを含む、方法。
【請求項11】
作物植物及び雑草を含む場所において、選択的に雑草を防除する方法であって、前記方法は、前記場所に、雑草防除量の、請求項1~9のいずれか一項に記載の除草剤組成物を施用することを含む、方法。
【請求項12】
前記作物植物が、除草剤耐性の形質を備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記作物植物は、成分(B)に耐性を付与する除草剤耐性の形質を備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記作物植物は大豆又は綿である、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
前記雑草は、アロペクルス属の種(Alopecurus sp.)、アヴェナ属の種(Avena sp.)、メヒシバ属の種(Digitaria sp.)、ノビエ属の種(Echinochloa sp.)、オヒシバ属の種(Eleusine sp.)、ドクムギ属の種(Lolium sp.)、セタリア属の種(Setaria sp.)、及びサトウモロコシ属の種(Sorghum sp.)からなる群から選択される種を含む、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有用植物の作物において雑草を防除する、除草剤有効成分の組合せを含む新規の除草剤組成物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明は、有用植物の作物において雑草を防除する方法、及び、雑草を防除するための除草剤組成物の使用をさらに提供する。式(I)
【化1】
の化合物は、国際公開第2015/197468号で知られており、作物における、問題のある雑草の効果的な防除をもたらす。除草剤有効成分の組合せは多くの場合、農業において、有用植物の作物における、問題のある植物(雑草)の防除を増大させる、及び/又は拡大するために用いられる。場合によっては、組合せにより、価値のある、添加剤を上回る(相乗)効果をもたらす場合があり、これにより、例えば、低い施用割合で、効率的な雑草防除を可能にすることができる。本発明は、式(I)の化合物を含む新規組成物に基づく。
【0003】
したがって、本発明に従うと、(A)除草有効量の式(I)
【化2】
(式中、Gは、水素、-C(O)CH
3、及び-C(O)OCH
3からなる群から選択される)の化合物;と
(B)
B1 グルホシネート;
B2 グリホサート;
B3 プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ(PPO)阻害除草剤;並びに
B4 パラコート(B4a)、ジクワット(B4b)、及び式(II)
【化3】
(式中、
Aは、
【化4】
からなる群から選択される6員のヘテロアリールであり、
式中、ギザギザ線は、式(I)の化合物の残部への結合点を定義し、
pは0、1、又は2であり、且つ
各R
8は、NH
2、メチル、及びメトキシからなる群から独立して選択され;
R
1及びR
2はそれぞれ独立して水素又はメチルであり;
Qは(CR
1aR
2b)mであり;
mは0、1、又は2であり;
各R
1a及びR
2bは独立して、水素、ヒドロキシ、-メチル、及びNH2からなる群から独立して選択され;
Zは、-S(O)
2OR
10、-C(O)OR
10、-C(O)NHS(O)
2R
12、及び-C(O)NHCNであり;
R
10は水素、メチル、ベンジル、又はフェニルであり;
且つ、R
12はメチル、-NH
2、-N(CH
3)
2、又は-NHCH
3である)
の除草性ピリダジン化合物(B4c)からなる群から選択される除草剤若しくはその双性イオン種
からなる群から選択される、少なくとも1つの除草剤、又は、農薬上許容されるそのエステル若しくは塩と
を含む除草剤組成物が提供される。
【0004】
このような除草活性ピリダジン誘導体(B4c)は、国際公開第2019/034757号で知られている。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本発明の好ましい実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ia)、(Ib)、及び(Ic)
【化5】
からなる群から選択される。
【0006】
本発明の一実施形態では、式(I)の化合物は、その農薬上許容される塩を含む、式(Ia)の化合物である。本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ib)の化合物である。本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic)の化合物である。
【0007】
本発明の一実施態様では、成分Bはグルホシネート(B1)である。本実施形態では、B1は、塩、例えば、グルホシネートのナトリウム塩(B1a)、又はグルホシネートのアンモニウム塩(B1b)の形態であることができる。グルホシネートはまた、L-グルホシネート/グルホシネート-Pとして、エナンチオマー濃縮形態、又はエナンチオマー純粋形態(B1c)として提供することも可能であり、これはまた、塩、例えば、L-グルホシネート/グルホシネート-Pのナトリウム塩(B1d)、又は、L-グルホシネート/グルホシネート-Pのアンモニウム塩(B1e)の形態で提供することも可能である。
【0008】
本発明の別の実施形態では、成分Bは、グリホサート(B2)(そのジアンモニウム(B2a)、イソプロピルアンモニウム(B2b)、及びカリウム(B2c)塩を含む)である。
【0009】
本発明の別の実施形態では、成分Bは、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害除草剤(B3)である。より好ましい実施形態では、プロトポルフィリノーゲンオキシダーゼ阻害除草剤は、ブタフェナシル(B3a)、カルフェントラゾンエチル(B3b)、エピリフェナシル(B3c)、フルミオキサジン(B3d)、ホメサフェン(B3e)、オキシフルオルフェン(B3f)、ピラフルフェンエチル(B3g)、サフルフェナシル(B3h)、スルフェントラゾン(B3i)、チアフェナシル(B3j)、トリフルジモキサジン(B3k)、3-(2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボン酸エチルエステル(B3l)、及び、エチル2-[[3-[[3-クロロ-5-フルオロ-6-[3-メチル-2,6-ジオキソ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン-1-イル]-2-ピリジル]オキシ]アセテート(B3m)(前述した化合物全ての、農薬上許容される塩及び/又はエステルを含む)からなる群から選択される。
【0010】
本発明の別の実施形態では、成分(B)は、パラコート(B4a)(パラコートジクロリド(B4a1)を含む)、ジクワット(B4b)(ジクワットジブロミド(B4b1)を含む)、及び、式(II)の除草性ピリダジン化合物(B4c)又は、その農薬上許容される塩若しくは双性イオン種からなる群から選択されるB4除草剤である。
【0011】
より好ましい実施形態では、成分(B4c)は、式(II)の化合物であり、式中、Zは、-C(O)OH、-C(O)OCH3、-S(O)2OH、-C(O)CH2C6H5、-C(O)OC6H5、及び、-C(O)NHS(O)2N(CH3)2からなる群から選択される。さらに好ましい実施形態では、Aは、請求項1で定義されるA-I、A-II、及びA-IIIから選択される。特に好ましい除草性ピリダジンは、B4c.1、B4c.2、B4c.3、B4c.4、B4c.5、B4c.6、B4c.7、B4c.8、B4c.9、B4c.10、B4c.11、B4c.12、B4c.13、B4c.14、B4c.15、B4c.16、B4c.17、B4c.18、B4c.19、B4c.20、B4c.21、B4c.22、B4c.23、B4c.24、B4c.25、B4c.28、B4c.29、B4c.30、B4c.31、B4c.32、B4c.33、B4c.34、及びB4c.35からなる群から選択される。
【0012】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【0013】
本発明の別の実施形態では、式(I)の化合物は、式(Ic)の化合物であり、成分Bは、グルホシネート(B1)、グリホサート(B2)、カルフェントラゾンエチル(B3b)、エピリフェナシル(B3c)、フルミオキサジン(B3d)、ホメサフェン(B3e)、サフルフェナシル(B3h)、スルフェントラゾン(B3i)、チアフェナシル(B3j)、トリフルジモキサジン(B3k)、及び3-(2-クロロ-4-フルオロ-5-(3-メチル-2,6-ジオキソ-4-トリフルオロメチル-3,6-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)フェニル)-5-メチル-4,5-ジヒドロイソオキサゾール-5-カルボン酸エチルエステル(B3l)(前述した化合物の全ての、農薬上許容される塩、及び/又は、エステルを含む)からなる群から選択される。
【0014】
本発明のより好ましい実施形態では、除草剤組成物は、下表1に開示する成分(A)と(B)の混合物を含む。
【0015】
【0016】
一般的に、成分Bの化合物に対する、式(I)の化合物の混合比(重量による)は、0.01:1~100:1、より好ましくは0.025:1~20:1、さらにより好ましくは1:30~20:1である。したがって、本発明の好ましい組成物に対する、好ましい比率範囲を、下表2~4に示す。*成分(B)が代替形態(例えば、塩/エステル)で存在する場合、これらは置換可能であるものと理解されるべきである。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
上記表2、3、及び4に記載する、組成物番号M1.001~M1.062、M2.001~M2.062、及びM3.001~M3.062のいずれかに関する、A:Bの最も好ましい比率範囲は、1:30~16:1である可能性があり、各比率は、混合物パートナーに応じて最適化することができることを、当業者は理解するであろう。1:30、1:20、1:10、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1、20:1、30:1の適切な比率もまた、想到される。
【0021】
本発明の組成物は、1種以上の追加の除草性有効成分をさらに含み得るが故に、三元、四元、又はさらに五元以上の混合物を提供することがさらに理解されなければならない。したがって、本発明の組成物は、2種以上の(B)成分、例えば、2種、3種、又は4種の(B)成分を含有する場合がある。例えば、組成物は、(i)式Iの化合物(特に、Ic)、(ii)B1(又は、B1a、B1b、B1c、B1d、若しくはB1e)、並びに、(iii)B3(例えば、B3a、B3b、B3c、B3d、B3e、B3f、B3g、B3h、B3i、B3j、B3k、B3l、及びB3m)を含み得る。或いは、組成物は、(i)式(I)の化合物、(ii)B2(又は、B2a、B2b、B2c)、並びに、(iii)B3(例えば、B3a、B3b、B3c、B3d、B3e、B3f、B3g、B3h、B3i、B3j、B3k、B3l、及びB3m)を含んでよい。本発明の別の実施形態では、除草剤組成物は、1種以上の追加の除草成分(C)をさらに含む。成分(C)は、例えば、オーキシン除草剤(例えば、その許容される塩を含む、1,3-D又はジカンバ)、HPPD阻害除草剤、ACCase阻害除草剤(例えば、クレソジム)又はVLCFA除草剤、特に、アセトクロール、メトラクロール及びS-メトラクロール、並びにピロキサスルホンからなる群から選択されるもの、好ましくはS-メトラクロールであることができる。
【0022】
本発明の別の態様に従うと、ある場所における雑草の防除方法であって、上記場所に、雑草防除量の本発明の組成物を施用することを含む、上記方法が提供される。
【0023】
本発明の別の実施形態では、作物植物及び雑草を含む場所において、選択的に雑草を防除する方法であって、上記方法は、上記場所に、雑草防除量の本発明の組成物を施用することを含む、上記方法が提供される。好ましい実施形態では、作物植物は大豆である。本文脈において、雑草としては例えば、遺伝子組換えトウモロコシを含む自生トウモロコシ(コーン)を挙げることができる。
【0024】
本発明の組成物で施用するとき、成分(A)は通常、25~2000g ha、より具体的には、25、50、75、100、125、150、200、250、300、400、500、750、800、1000、1250、1500、1800、又は2000g/haの割合で施用される。成分(A)のこのような割合は、通常、5~2000g/haの成分Bと共に、及び、より具体的には、5、10、15、20、25、50、75、100、120、125、140、150、200、240、250、300、400、480、500、750、1000、1250、1500、1800、又は2000g/haの成分(B)と共に施用される。本明細書に記載する実施例は、本発明で用いることができる成分A及びBの割合範囲を示すが、これを限定するものではない。
【0025】
施用することができる本発明の組成物の量は、用いる化合物;処置対象、例えば、植物、土壌、若しくは種子等;処置の種類、例えば、噴霧、散布、若しくは種子粉衣等;又は、施用時間等の様々な因子に左右されるであろう。農業での実施において、本発明に従った組成物の施用割合は、所望する効果の種類に応じて変化し、通常、1ヘクタールあたり30~4000gの総組成物、及び、より一般的には、30~2000g/haの範囲である。施用は、一般的に、組成物を噴霧することによって行われ、典型的には、トラクタに取り付けられた噴霧器によって広い領域に対して行われるが、他の方法、例えば、散布(粉末用)、ドリップ又はドレンチも使用することができる。
【0026】
有効成分を組み合わせる場合、任意の所与の有効成分の組合せについて予測される活性(E)は、いわゆるColby式に従い、以下のように算出することができる(Colby,S.R.,Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combination,Weeds,15巻,第20-22頁;1967):
ppm=有効成分(a.i.)のmg/L
X=p ppmの有効成分を使用した第1の有効成分による作用%
Y=q ppmの有効成分を使用した第2の有効成分による作用%。
【0027】
Colbyによれば、p+q ppmの有効成分を使用した有効成分A+Bの予測される作用は、以下の式によって表される:
【数1】
【0028】
実際に観察された作用(O)が予測される作用(E)よりも大きい場合、組合せの作用は超相加的であり、すなわち相乗効果がある。数学的には、相乗作用は、(O-E)の差の正の値に対応する。純粋に相補的な活性の付加(予測される活性)の場合、前記差(O-E)は0である。前記差(O-E)の負の値は、予測される活性と比較した活性の損失を示す。
【0029】
したがって、本発明の組合せは、任意の相加的な除草活性を利用し、特定の実施形態は、相乗効果を示すことさえある。これは、有効成分の組合せの作用が個々の成分の作用の合計よりも大きいときはいつでも起こる。
【0030】
本発明の組合せはまた、有効な除草活性を媒介するために、各個々の成分によって得られる活性と比較して拡張された活性スペクトルを提供し得、及び/又は単独で使用される場合よりも組み合わせて使用される場合に、より低い割合の個々の成分の使用を可能にし得る。
【0031】
さらに、本発明の組成物は、化合物A単独の効果と比較した場合、増加した作物耐性を示し得ることも可能である。これは、有効成分の組合せの作用が有効成分の1つの単独の作用よりも有用な作物に害を与えない場合に起こる。
【0032】
本明細書を通して、「組成物」という表現は、連続的に、すなわち数時間又は数日等の適度に短い期間で次々に施用される場合、例えば単一の「レディミックス」形態、「タンクミックス」等の単一の有効成分の別々の製剤から構成される組合せスプレー混合物、及び単一の有効成分の組合せ使用の、成分(A)及び(B)の様々な混合物又は組合せを意味すると解釈されるべきである。成分(A)及び(B)を施用する順序は、本発明を実施するために必須ではない。
【0033】
本明細書で使用される「除草剤」という用語は、植物の成長を抑制又は改変する化合物を意味する。「除草有効量」という用語は、植物の成長に対して抑制効果又は改変効果を生じさせることができるそのような化合物又はそのような化合物の組合せの量を意味する。効果を抑制又は改変することとしては、自然発生からの全ての逸脱、例えば、死滅、遅延、葉焼け、白化、萎縮等が含まれる。
【0034】
本明細書で使用される「部位」という用語は、植物が成長している、又は栽培植物の種子が播種されている、又は種子が土壌に配置されるであろう圃場を意味する。これには、土壌、種子及び実生、並びに定着した植生が含まれる。
【0035】
「植物」という用語は、種子、実生、若木、根、塊茎、茎、柄、葉及び果実を含む植物の全ての物理的部分を指す。
【0036】
「植物繁殖材料」という用語は、植物の全ての生殖部分、例えば種子又は植物の栄養部分、例えば挿し穂及び塊茎を示す。これには、厳密な意味での種子、並びに根、果実、塊茎、球根、根茎及び植物の一部が含まれる。
【0037】
本明細書で使用される「毒性緩和剤」という用語は、除草剤と組み合わせて使用される場合、非標的生物に対する除草剤の望ましくない効果を減少させる化学物質を意味し、例えば、毒性緩和剤は、除草剤による傷害から作物を保護するが、除草剤が雑草を死滅させるのを防止しない。
【0038】
本発明による組成物を使用することができる有用植物の作物としては、多年生及び一年生作物、例えばベリー植物、例えばブラックベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー及びイチゴ;穀類、例えば大麦、トウモロコシ(コーン)、キビ、オート麦、米、ライ麦、ソルガム・ライコムギ及び小麦;繊維植物、例えば綿、亜麻、麻、ジュート及びサイザル麻;農作物、例えば砂糖及び飼料ビート、コーヒー、ホップ、マスタード、ナタネ(キャノーラ)、ケシ、サトウキビ、ヒマワリ、茶及びタバコ;果樹、例えば、リンゴ、アンズ、アボカド、バナナ、サクランボ、柑橘類、ネクタリン、モモ、ナシ及びプラム;草、例えばバミューダグラス、ブルーグラス、ベントグラス、ムカデグラス、フェスク、ライグラス、St.オーギュスチングラス及びシバ;ハーブ、例えばバジル、ボラージ、ニラ、コリアンダー、ラベンダー、ラバージ、ミント、オレガノ、パセリ、ローズマリー、セージ、タイム;マメ科植物、例えば豆、レンズマメ、エンドウマメ及びダイズ;ナッツ、例えばアーモンド、カシューナッツ、粉砕ナッツ、ヘーゼルナッツ、ピーナッツ、ペカン、ピスタチオ及びクルミ;パーム、例えば油ヤシ;観賞植物、例えば花、低木及び樹木;他の樹木、例えばカカオ、ココナッツ、オリーブ及びゴム;野菜、例えば、アスパラガス、ナス、ブロッコリー、キャベツ、ニンジン、キュウリ、ニンニク、レタス、マロー、メロン、オクラ、タマネギ、コショウ、ジャガイモ、カボチャ、ダイオウ、ホウレンソウ及びトマト;ブドウ、例えばブドウが挙げられる。しかし、本発明の組成物は特に、綿又は大豆作物、特に大豆作物における雑草の防除に有用である。
【0039】
作物は、天然に存在するもの、従来の育種方法によって得られるもの、又は遺伝子工学によって得られるものであると理解されるべきである。それらには、いわゆるアウトプット形質(例えば、改善された貯蔵安定性、より高い栄養価及び改善された風味)を含む作物が含まれる。
【0040】
作物は、従来の育種方法又は遺伝子工学によって除草剤又は除草剤のクラス(例えば、ALS阻害剤、GS阻害剤、EPSPS阻害剤、PPO阻害剤、ACCase阻害剤及びHPPD阻害剤)に対して耐性となった作物も含むと理解されるべきである。従来の育種方法によってイミダゾリノン、例えばイマザモックスに対して耐性となった作物の例は、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(キャノーラ)である。遺伝子組換え法により除草剤に耐性が付与された作物の例としては、例えば、RoundupReady(登録商標)及びLibertyLink(登録商標)の商品名で市販されている、グリホサート及びグルホシネート耐性種が挙げられる。遺伝子組換えによりPPO阻害除草剤に耐性が付与された作物の例は、例えば、国際公開第95/34659号に記載されているとおり、当該技術分野において既知である。遺伝子組換えによりHPPD阻害除草剤に耐性が付与された作物の例は、例えば、国際公開第2011/063411号、国際公開第2011/063413号、国際公開第2012/082542号、国際公開第2012/082548号、国際公開第2010/085705号、及び国際公開第2011/068567号に記載されているとおり、当該技術分野において既知である。グルホシネート及び/又はグリホサートを含む本発明の組成物は、それぞれ、グリホサート及びグルホシネート耐性作物、特に、組換え大豆作物において、有用可能性を有する。PPO阻害除草剤を含む本発明の組成物は、PPO耐性作物、特に、組換え大豆作物において、有用可能性を有する。本発明の組成物、特に、2,4-D(又は、農薬上許容されるそのエステル若しくは塩)を含むいずれかは、組換えにより、2,4-D除草剤、例えば、Enlist(商標)作物、特に、EnlistE3(商標)大豆に耐性を持つようになった作物において有用可能性を有する。本発明の組成物、特に、ジカンバ(又は、農薬上許容されるそのエステル若しくは塩)を含むいずれかは、組換えにより、ジカンバ除草剤、例えば、Roundup Ready 2 Xtend(商標)大豆に耐性を持つようになった作物において有用可能性を有する。
【0041】
本発明の組成物は通常、作物中の、多種多様の単子葉及び双子葉雑草種を防除するために用いることができる。本発明の組成物は特に、アロペクルス属の種(Alopecurus sp.)(例えば、アロペクルス・ミオスロイデス(Alopecurus myosuroides)(ALOMY))、アヴェナ属の種(Avena sp.)、メヒシバ属の種(Digitaria sp.)(例えば、オニメヒシバ(Digitaria sanguinalis)(DIGSA)、ススキメヒシバ(Digitaria insularis)(TRCIN))、ノビエ属の種(Echinochloa sp.)(例えば、イヌビエ(Echinochloa crus-galli)(ECHCG))、オヒシバ属の種(Eleusine sp.)(例えば、オヒシバ(Eleusine indica)(ELEIN))、ドクムギ属の種(Lolium sp.)、セタリア属の種(Setaria sp.)(例えば、アキノエノコログサ(Setaria faberi)(SETFA))、及び、サトウモロコシ属の種(Sorghum sp.)(例えば、セイバンモロコシ(Sorghum halepense)(SORHA))を良好に防除する。本発明の全ての態様において、任意の特定の実施形態では、例えば、防除される、及び/又は成長阻害される雑草は、1種以上の除草剤、例えば、メソトリオン等のHPPD阻害剤除草剤、アトラジン等のPSII阻害剤除草剤又はグリホサート等のEPSPS阻害剤に対して耐性又は抵抗性である単子葉又は双子葉雑草であり得る。
【0042】
同様に、(1種以上の追加の農薬類を含むものを含む)本発明の組成物は、1種以上の安全剤をさらに含むことができる。具体的には、以下の安全剤が特に好ましい:ベノキサコール、クロキントセット(クロキントセットメキシルを含む)、シプロスルファミド、ジクロルミド、フェンクロラゾール(フェンクロラゾールエチルを含む)、フェンクロリム、フルキソフェニム、フリラゾール、イソキサジフェン(イソキサジフェンエチルを含む)、メフェンピル(メフェンピルジエチルを含む)、メトカミフェン、及びオキサベトリニル。
【0043】
本発明の組成物は、作物の植え付け前又は植え付け後、雑草が現れる前(出芽前施用)又は雑草が現れた後(出芽後施用)に施用することができる。毒性緩和剤が本発明の混合物と組み合わされる場合、式(I)の化合物と毒性緩和剤との混合比は、100:1から1:10、特に20:1から1:1であることが好ましい。
【0044】
毒性緩和剤及び本発明の組成物を同時に施用することが可能である。例えば、毒性緩和剤及び本発明の組成物は、出芽前の部位に施用されても、又は出芽後の作物に施用されてもよい。また、毒性緩和剤及び本発明の組成物を連続的に施用することが可能である。例えば、毒性緩和剤は種子処理として種子を播種する前に施用されてもよく、本発明の組成物は出芽前の部位に施用されても、又は出芽後の作物に施用されてもよい。
【0045】
本発明の組成物は、例えば、国際公開第2015/197468号に記載されている製剤において、有利に用いることができる。
【実施例】
【0046】
生物学的有効性
B1 出芽後有効性
本発明の各種組成物の有効性を、以下の種を含む植物に対して試験した:アオゲイトウ(Amaranthus retroflexus)(AMARE)、シンクリノイガ(Cenchrus echinatus)(CCHEC)、イヌビエ(Echinochloa crus-gali)(ECHCG)、オヒシバ(Eleusine indica)(ELEIN)、アキノエノコログサ(Setaria faberi)(SETFA)、セイバンモロコシ(Sorghum halapense)(SORHA)、及びススキメヒシバ(Digitaria insularis)(TRCIN)。組成物は出芽後に施用され、試験は、示した、施用後特定日数(DAA)の時点で調査した。試験を調査し(100=植物が完全に損傷した;0=植物に損傷がなかった)、結果を、表B1~B13において以下に示す。
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【国際調査報告】