(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】マンノース生産用固定化細胞の製造方法及びその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 1/21 20060101AFI20240614BHJP
C12N 1/20 20060101ALI20240614BHJP
C12P 19/02 20060101ALI20240614BHJP
C12N 9/90 20060101ALI20240614BHJP
C12N 9/12 20060101ALI20240614BHJP
C12N 9/10 20060101ALI20240614BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
C12N1/21 ZNA
C12N1/20 C
C12P19/02
C12N9/90
C12N9/12
C12N9/10
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580465
(86)(22)【出願日】2022-01-04
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 CN2022070091
(87)【国際公開番号】W WO2023279687
(87)【国際公開日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】202110757694.3
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523375032
【氏名又は名称】天津怡和生物科技有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】馬 延和
(72)【発明者】
【氏名】シー ティン
(72)【発明者】
【氏名】韓 平平
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AF02
4B064CA02
4B064CA19
4B064CC24
4B064CD01
4B064CD04
4B064CE20
4B064DA16
4B065AA01Y
4B065AA19X
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4B065AC20
4B065BA01
4B065BD05
4B065BD14
4B065BD18
4B065BD22
4B065BD25
4B065BD50
4B065CA20
4B065CA27
4B065CA29
4B065CA60
(57)【要約】
発酵によってα-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌又は枯草菌発酵液をそれぞれ得て、上記発酵液を混合し、発酵混合液を得るステップを含む、マンノース生産用固定化細胞の製造方法、及びマンノースの生産方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マンノース生産用固定化細胞の製造方法であって、
発酵によってα-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌又は枯草菌発酵液をそれぞれ得て、上記発酵液を混合し、発酵混合液を得るステップと、
前記発酵混合液に無機質土壌を加えて、均一に撹拌するステップと、
さらに、前記発酵混合液に凝集剤を加えて菌体を凝集し、次に、架橋剤を加えて架橋させるステップと、
真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機でストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断するステップと、
ペレットを流動乾燥して、マンノース生産用固定化細胞を得るステップと、を含む、ことを特徴とするマンノース生産用固定化細胞の製造方法。
【請求項2】
マンノース生産用固定化細胞の製造方法であって、
発酵によってα-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌又は枯草菌発酵液をそれぞれ得て、上記発酵液を混合し、発酵混合液を得るステップと、
前記発酵混合液に1~10%w/v無機質土壌を加えて、均一に撹拌するステップと、
さらに、前記発酵混合液に0.1~2%w/v凝集剤を加えて菌体を凝集し、次に、0.05~3%v/v架橋剤を加えて1~4h架橋させステップと、
真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機でストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断するステップと、
吹き込み口での温度を60~90℃に制御してペレットを流動乾燥して、マンノース生産用固定化細胞を得るステップと、を含む、ことを特徴とするマンノース生産用固定化細胞の製造方法。
【請求項3】
前記α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼは、それぞれ、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及び耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記耐熱性とは、40℃以上でも酵素活性を有することを意味する、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及び耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼをそれぞれ発現させた湿潤菌体を、(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10)の比で混合し、混合後の菌懸濁液のOD600を10~150の間にする、ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記無機質土壌は、モンモリロナイト、珪藻土、カオリン、又はベントナイトから選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記凝集剤は、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、及びポリアクリルアミドから選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項8】
前記凝集剤は、ポリエチレンイミン又はPDADMACであり、前記ポリエチレンイミンの分子量が600~70000である、ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋剤は、グルタルアルデヒド、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、N,N-メチレンビスアクリルアミド、又はエピクロロヒドリンから選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
得られた固定化細胞をスクリーニングし、均一な形態の固定化細胞を得るステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項11】
固定化細胞によるマンノースの生産方法であって、
請求項1~10のいずれか1項に記載の方法によって得られた固定化細胞を用いて、デンプン又はデンプン誘導体をマンノースに転化する、ことを特徴とする固定化細胞によるマンノースの生産方法。
【請求項12】
さらに、反応終了後、固定化細胞を濾過して回収するステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
生物転化反応系には、デンプン又はデンプン誘導体50~300g/L、pH値が5.0~8.0の緩衝液、10~50mM無機リン酸塩、3~7mM二価マグネシウムイオン、及び固定化細胞が含まれている、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記緩衝液は、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液、Tris緩衝液、又は酢酸塩緩衝液であり、前記無機リン酸塩は、リン酸ナトリウム、又はリン酸カリウムである、ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生物工学の技術分野に関し、特に、マンノースの生産・製造分野に関する。
【背景技術】
【0002】
マンノースは六炭素糖の一種で、グルコースの異性体である。マンノースは、免疫調節、細菌とウイルスの感染防御、体内の糖タンパク質の合成促進、抗がんなどの作用がある。そのため、マンノースは、生物学や医学の分野で広く利用されている。マンノースは、一部の医薬化学工業原料や重要な糖類薬物の前駆体を合成する原材料としてだけでなく、飲食品の甘味料にも使用できる。近年、マンノースは、機能性食品、飼料添加物や医薬分野で需要が著しく増加しており、巨大な経済開発価値を有している。
【0003】
マンノースを工業的に生産する方法は、主に抽出法と異性化法である。抽出法は、主に、ヤシの殻やアイボリーパームの実などを原料とし、酸性加水分解によりマンノースを含む混合糖液を得る方法であるが、この方法は、原料成分が複雑であるため、分離精製工程のコストが高く、プロセスにおける希酸の大量使用や有機溶媒による環境汚染などの問題が発生しやすい(Fan, S.-P., et al., High yield production of sugars from deproteinated palm kernel cake under microwave irradiation via dilute sulfuric acid hydrolysis. Bioresource Technology, 2014. 153(0): 69-78. Saari, P. and M. Hurme, Process Synthesis Principles in the Chromatographic Separation of Sugars from Biomass Hydrolysates. Chemical Engineering & Technology, 2011. 34(2): 282-288.)。異性化法は、主に、グルコースやフルクトースを原料として化学異性化又は酵素異性化により調製する方法であるが、この方法は、熱力学的な制限のため、転化率が低く、分離プロセスが複雑である(Kockritz, A., et al., Rearrangement of glucose to mannose catalyzed by polymer-supported Mo catalysts in the liquid phase. Applied Catalysis A: General, 2008. 334(1-2): 112-118. Park, C.S., et al., Mannose production from fructose by free and immobilized D-lyxose isomerases from Providencia stuartii. Biotechnol Lett, 2010. 32(9) 1305-1309.)。
【0004】
中国科学院天津工業生物技術研究所が出願した特許CN109750011Aには、マンノースの新規な生合成製造方法が開示されており、この方法は、多酵素反応器を構築し、ホルムアルデヒド、グリセリン、デンプン、マルトデキストリン、スクロース、グルコースなどの安価な炭素源を転化してマンノースを合成することで、既存のマンノースの生産プロセスを根本的に変えた。この多酵素によるマンノース合成経路は、エネルギー消費量が高く、産物が複雑で、精製が困難で、副反応が多く、化学汚染が深刻であるという抽出法によるマンノース合成における制限を打破しただけではなく、転化率が低く、分離プロセスが複雑であるという異性化法の欠点を克服した。しかし、この方法で使用する多酵素は、発酵により得られた酵素含有細胞から抽出する必要があり、この過程は、主に、菌体の収集、重懸濁、均質化、上清の収集、酵素の分離精製などの一連の煩雑なステップを含むため、酵素の生産が複雑であり、大規模な生産を実現しにくい。また、遊離酵素と反応液が均一な混合液を形成するので、触媒反応終了後の酵素の回収・リサイクルが困難であり、その結果、酵素の回収利用率が低く、酵素コストが高くなる。これらの問題により、マンノース生合成法の生産コストをさらに削減することができず、工業的な生産を実現することができない。
【0005】
中国科学院天津工業生物技術研究所が授権した特許CN112342179Bには、枯草菌の全細胞によるデンプン触媒を用いたタガトースの生産する方法を報告している。この方法は、透過性化処理された枯草菌を固定化し、固定化された全細胞を得た後、タガトースの生産に適用することである。この方法は、全細胞のリサイクルを実現し、生産コストを削減させたが、研究分析により、この方法は、固定化細胞を製造する時にまだいくつかの欠点が存在していることが明らかとなっている。まず、この方法は、固定化を行う前に、菌体の収集、菌体の懸濁及び菌体の透過性化処理などの多くの煩雑なステップを経る必要がある。次に、この方法は、透過性細胞を基にして造粒固定化を行うが、細胞透過処理は細胞内で発現した異種タンパク質の漏出を容易に引き起こしやすく、さらに固定化の過程で異種タンパク質の損失及び酵素固定化効率の低下を招く。さらに、この方法は、単純な押出造粒によって固定化酵素粒子を得るだけであり、得られる固定化酵素粒子は均一ではない。
【0006】
そのため、酵素の生産工程を簡略化することができるとともに、固定化の過程で透過性細胞による酵素の漏出や損失を回避又は低減し、酵素の固定化効率を向上させ、酵素のリサイクルを実現し、マンノースの生産コストを削減させ、マンノースを工業的に生産することを可能にする、均一な固定化細胞を簡便に得ることができる方法を開発することが急務となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の多酵素触媒によるマンノースの製造方法に存在する問題、例えば、酵素を生産するステップが煩雑で、分離精製が複雑で、酵素の回収利用率が低く、リサイクルが困難であるためマンノースの生産コストが高くなるなどの問題に対して、本開示は、マンノース生産における酵素の生産ステップを簡素化させ、マンノースの製造における産物と酵素の分離精製を簡単にし、マンノースの新規な多酵素合成経路における多酵素のリサイクルを可能にし、マンノースの生産コストを削減させ、マンノースの工業的な生産を実現する固定化細胞によるマンノースの生産方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本開示は以下の技術的解決手段を採用する。
【0009】
マンノース生産用固定化細胞の製造方法であって、
発酵によってα-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌又は枯草菌発酵液をそれぞれ得て、上記発酵液を混合し、発酵混合液を得るステップと、
前記発酵混合液に無機質土壌を加えて、均一に撹拌するステップと、
さらに、前記発酵混合液に凝集剤を加えて菌体を凝集し、次に、架橋剤を加えて架橋させるステップと、
真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機でストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断するステップと、
ペレットを流動乾燥して、マンノース生産用固定化細胞を得るステップと、を含むことを特徴とする。
【0010】
1つの特定実施形態では、本開示は以下の技術的解決手段を採用する。
【0011】
マンノース生産用固定化細胞の製造方法であって、
発酵によってα-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌又は枯草菌発酵液をそれぞれ得て、上記発酵液を混合し、発酵混合液を得るステップと、
前記発酵混合液に1~10%w/v無機質土壌を加えて、均一に撹拌するステップと、
さらに、前記発酵混合液に0.1~2%w/v凝集剤を加えて菌体を凝集し、次に、0.05~3%v/v架橋剤を加えて1~4h架橋させるステップと、
真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機でストランド状に押し出し、その後、スフェロナイザでストランド状の固定化細胞を長さが均一なペレットに切断するステップと、
吹き込み口での温度を60~90℃に制御してペレットを流動乾燥して、マンノース生産用固定化細胞を得るステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
前記発酵液の製造は本分野で公知の方法によって行われる。発酵には、外来タンパク質用の任意の培地が使用されてもよく、LB培地、SR培地、TB培地などが含まれるが、これらに限定されない。
【0013】
好ましくは、α-グルカンホスホリラーゼ、ホスホグルコムターゼ、グルコースリン酸イソメラーゼ、マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及びマンノース6-リン酸ホスファターゼは、それぞれ、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及び耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼである。
【0014】
前記耐熱性α-グルカンホスホリラーゼは、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上で、デンプンをリン酸化してグルコース-1-リン酸(G1P)にする機能を有する酵素を指す。さらに好ましくは、前記耐熱性α-グルカンホスホリラーゼは、好熱性微生物、例えばジオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ジオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、シュートサーモトガ・サーマルム(Pseudothermotoga thermarum)、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)、アーケオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、テルモアナエロバクター・インディエンシス(Thermoanaerobacter indiensis)、ディクティオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)、カルディセルロシロプトル・クロノツキーエンシス(Caldicellulosiruptor kronotskyensis)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、カルディリネア・エアロフィラ(Caldilinea aerophila)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、メタンサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)などに由来するか、又は前記耐熱性α-グルカンホスホリラーゼのアミノ酸配列は前記好熱性微生物に由来の耐熱性α-グルカンホスホリラーゼとは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%との同一性を有する。より好ましくは、前記耐熱性α-グルカンホスホリラーゼは、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)に由来する。
【0015】
具体的には、耐熱性ホスホグルコムターゼとは、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上で、グルコース-1-リン酸(G1P)をグルコース-6-リン酸(G6P)に変換する機能を有する酵素を指す。さらに好ましくは、前記耐熱性ホスホグルコムターゼは、好熱性微生物、例えばジオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ジオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、シュートサーモトガ・サーマルム(Pseudothermotoga thermarum)、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)、アーケオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、テルモアナエロバクター・インディエンシス(Thermoanaerobacter indiensis)、ディクティオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)、カルディセルロシロプトル・クロノツキーエンシス(Caldicellulosiruptor kronotskyensis)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、カルディリネア・エアロフィラ(Caldilinea aerophila)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、メタンサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)などに由来するか、又は前記耐熱性ホスホグルコムターゼのアミノ酸配列は、前記好熱性微生物に由来の耐熱性ホスホグルコムターゼとは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する。より好ましくは、前記耐熱性ホスホグルコムターゼは、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)に由来する。
【0016】
具体的には、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼとは、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上で、グルコース-6-リン酸(G6P)をフルクトース-6-リン酸(F6P)に変位する機能を有する酵素を指す。さらに好ましくは、前記耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼは、好熱性微生物、例えばジオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ジオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、シュートサーモトガ・サーマルム(Pseudothermotoga thermarum)、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)、アーケオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、テルモアナエロバクター・インディエンシス(Thermoanaerobacter indiensis)、ディクティオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)、カルディセルロシロプトル・クロノツキーエンシス(Caldicellulosiruptor kronotskyensis)、 クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、カルディリネア・エアロフィラ(Caldilinea aerophila)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、メタンサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)などに由来するか、又は前記耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼのアミノ酸配列は、前記好熱性微生物に由来の耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼとは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する。より好ましくは、前記耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼは、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)に由来する。
【0017】
具体的には、マンノース6-リン酸イソメラーゼは、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上で、フルクトース-6-リン酸(F6P)をマンノース-6-リン酸(M6P)に変換する機能を有する酵素を指す。さらに好ましくは、前記耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼは、好熱性微生物、例えばジオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ジオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、シュートサーモトガ・サーマルム(Pseudothermotoga thermarum)、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)、アーケオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、テルモアナエロバクター・インディエンシス(Thermoanaerobacter indiensis)、ディクティオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)、カルディセルロシロプトル・クロノツキーエンシス(Caldicellulosiruptor kronotskyensis)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、カルディリネア・エアロフィラ(Caldilinea aerophila)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、メタンサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)などに由来するか、又は前記耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼのアミノ酸配列は、前記好熱性微生物に由来の耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼとは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する。より好ましくは、前記耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼは、ジオバチルス・サーモデニトリフィカンス(Geobacillus thermodenitrificans)に由来する。
【0018】
具体的には、前記マンノース6-リン酸ホスファターゼとは、40℃以上、45℃以上、50℃以上、55℃以上、60℃以上、65℃以上、70℃以上、75℃以上、又は80℃以上で、マンノース-6-リン酸(M6P)を脱リン酸化してマンノースに変換する機能を有する酵素を指す。さらに好ましくは、前記マンノース6-リン酸ホスファターゼは、好熱性微生物、例えばジオバチルス・カウストフィルス(Geobacillus kaustophilus)、ジオバチルス・ステアロサーモフィラス(Geobacillus stearothermophilus)、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)、シュートサーモトガ・サーマルム(Pseudothermotoga thermarum)、サーモコッカス・コダレンシス(Thermococcus kodakarensis)、アーケオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、テルモアナエロバクター・インディエンシス(Thermoanaerobacter indiensis)、ディクティオグロムス・サーモフィラム(Dictyoglomus thermophilum)、カルディセルロシロプトル・クロノツキーエンシス(Caldicellulosiruptor kronotskyensis)、クロストリジウム・サーモセラム(Clostridium thermocellum)、カルディリネア・エアロフィラ(Caldilinea aerophila)、ピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)、テルマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、メタンサーモバクター・マルブルゲンシス(Methanothermobacter marburgensis)、アルカエオグロブス・プロファンデュス(Archaeoglobus profundus)などに由来するか、又は前記耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼのアミノ酸配列は、前記好熱性微生物に由来の耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼとは少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の同一性を有する。より好ましくは、前記耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼは、サーモトガ・マリティマ(Thermotoga maritima)に由来する。
【0019】
さらに好ましくは、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、及び耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼをそれぞれ発現させた湿潤菌体を、(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10):(0.1~10)の比率で混合し、混合した菌懸濁液のOD600を10~150の間にする。
【0020】
さらに、前記無機質土壌は、モンモリロナイト、珪藻土、カオリン、及びベントナイトなどを含むが、これらに限定されず、好ましくは、前記無機質土壌は珪藻土である。
【0021】
さらに、前記凝集剤は、ポリエチレンイミン、キトサン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド(PDADMAC)、ポリアクリルアミドなどを含むが、これらに限定されず、好ましくは、前記凝集剤は、ポリエチレンイミン、及びPDADMACであり、好ましくは、前記ポリエチレンイミンの分子量が600~70000である。
【0022】
さらに、前記架橋剤は、グルタルアルデヒド、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、N,N-メチレンビスアクリルアミド、エピクロロヒドリンなどを含むが、これらに限定されず、好ましくは、前記架橋剤はグルタルアルデヒドである。
【0023】
前記方法は、得られた固定化細胞をスクリーニングし、均一な形態の固定化細胞を得るステップをさらに含む。
【0024】
したがって、本開示は、また、上記固定化細胞を用いてデンプン又はデンプン誘導体をマンノースに転化することを特徴とする固定化細胞によるマンノースの生産方法を提供する。
【0025】
さらに、反応終了後、固定化細胞を濾過して回収するステップをさらに含む。
【0026】
具体的な実施形態では、生物転化反応系には、デンプン又はデンプン誘導体50~300g/L、pH値が5.0~8.0の緩衝液、10~50mM無機リン酸塩、3~7mM二価マグネシウムイオン、及び固定化細胞が含まれている。
【0027】
さらに、前記緩衝液は、HEPES緩衝液、リン酸塩緩衝液、Tris緩衝液、酢酸塩緩衝液などであってもよい。前記無機リン酸塩は、リン酸ナトリウム又はリン酸カリウムであってもよい。
【発明の効果】
【0028】
従来技術と比較して、本開示は以下の有益な効果を有する。前記固定化細胞によるマンノースの生産方法は、多酵素触媒反応と比較して、酵素の生産・製造工程を簡略化させるだけでなく、多酵素と産物との分離困難性を克服し、産物のマンノースの分離精製を容易にする。前記固定化細胞と反応液とを単純な濾過で分離することができ、全細胞触媒反応と比較して、産物からの酵素の分離がより簡単になり、酵素の繰り返し使用が可能となり、細胞利用率の向上、マンノースの生産コストの削減に有利である。また、細胞を繰り返し使用することで、複数回の発酵による環境汚染を回避し、操作ステップを簡略化させる。本開示は、発現酵素の発酵液を製造して混合した後、発酵混合液をそのまま造粒に使用することで、発酵液の菌体採取、菌体懸濁、細胞透過性化処理のステップを省略することが重要である(発酵液の菌体回収ステップを省略し、固定化工程を容易にし、工程の操作性を向上させ、細胞透過性化処理ステップを省略する)。一方、発酵混合液を用いて直接固定化を行った場合、細胞の細胞膜や細胞壁の破損がほとんどなく、固定化処理後に発現した酵素が漏出しにくいため、高い酵素固定化効率が得られた。本開示は、固定化により固定化細胞を得るために、まず、ロータリー押出造粒機を用いて太さを制御したストランドを製造し、次いで、スフェロナイザで製造されたストランドを長さが均一な粒子に切断し、さらに流動乾燥により粒子を高温乾燥処理し(細胞透過性化処理の目的を達成するため)、篩分けして、均一な粒子径の固定化酵素粒子を得ることにより、マンノースの生産により効果的に利用することができる。本開示で採用された造粒プロセスは、後の透過性化処理及び粒子の均一性に有利であるだけでなく、前の菌体収集ステップ(本開示の細胞固定化の具体的なプロセスを
図1に示す)をより簡単にすることができる。実験の結果、本開示で得られた効果は、非常に顕著であり、本開示の固定化枯草菌による連続触媒反応の場合、初期産物の収率は最大63%に達し、25ロット連続触媒後も、産物の収率は43%に維持することができることが明らかになった。本開示の固定化大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大65%に達し、25ロット連続触媒後も、産物の収率は44%に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本開示の細胞の固定化の具体的な流れの模式図である。
【
図2】実施例1における各酵素のSDS PAGE図である。ここで、Mはタンパク質marker、Sは細胞破砕液上清、Tは総タンパク質を表す。
【
図3】実施例9における各酵素のSDS PAGE図である。ここで、Mはタンパク質marker、Sは細胞破砕液上清、Tは総タンパク質を表す。
【
図4】実施例3における固定化枯草菌によるマンノースの生産の効果である。
【
図5】実施例11における固定化大腸菌によるマンノースの生産の効果である。
【
図6】比較例1における枯草菌によるマンノースの生産の効果である。
【
図7】比較例2における大腸菌によるマンノースの生産の効果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本開示で採用される技術的解決手段及びその効果をさらに説明するために、以下、具体的な実施例を用いて、本開示の技術的解決手段をさらに説明する。しかしながら、前記実施例は例示的なものにすぎず、本開示の範囲を何ら制限するものではないことが理解されるべきである。当業者は、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、本開示の技術的解決手段の詳細及び形態を修正又は置換することができるが、これらの修正又は置換はすべて本開示の保護範囲に含まれることを理解する。
【0031】
実施例1:酵素を発現させた枯草菌発酵液の製造
(1)pMA5-Pylb-aGPの構築
本実施例では、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼのコード遺伝子agp配列(NCBI-ProteinID: BAD85595)は、蘇州金唯智生物科技有限公司により合成され、普通のプラスミドにスプライシングされた。耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子agp遺伝子は、1対のプライマー(1-IF及び1-IR)を用いてPCRにより得られた。pMA5‐Pylb線形骨格は、1対のプライマー(1-VF及び1-VR)を用いてPCRにより得られた。その後、POE-PCRを用いて耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子断片とpMA5-Pylbベクター骨格を集合した。塩化カルシウム法を使用して、ライゲーション産物をコンピテントSCK6に形質転換し、形質転換体を選択してコロニーPCR、二重酵素消化による同定及び配列決定検証を行い、発現ベクターを得て、pMA5-Pylb-aGPと命名した。
1-IF:AGAAACAACAAAGGGGGAGATTTGTatggtgaacgtttccaatgccgttg(SEQ ID NO:1)
1-IR:gcttgagctcgactctagaggatcctcagtcaagtcccttccacttgacca(SEQ ID NO:2)
1-VF:tggtcaagtggaagggacttgactgaggatcctctagagtcgagctcaagc(SEQ ID NO:3)
1-VR:caacggcattggaaacgttcaccatACAAATCTCCCCCTTTGTTGTTTCT(SEQ ID NO:4)
【0032】
(2)pMA5-Pylb-PGMの構築
本実施例では、耐熱性ホスホグルコムターゼコード遺伝子pgm配列(NCBI-ProteinID: BAD85297)は、蘇州金唯智生物科技有限公司により合成され、普通のプラスミドにスプライシングされた。耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子遺伝子pgm遺伝子は、1対のプライマー(2-IF及び2-IR)を用いてPCRにより得られた。pMA5‐Pylb線形骨格は、1対のプライマー(2-VF及び2-VR)を用いてPCRにより得られた。その後、POE-PCRを用いて耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子断片とpMA5-Pylbベクター骨格を集合した。塩化カルシウム法を使用して、ライゲーション産物をコンピテントSCK6に形質転換し、形質転換体を選択してコロニーPCR、二重酵素消化による同定及び配列決定検証を行い、発現ベクターを得て、pMA5-Pylb-PGMと命名した。
2-IF:AGAAACAACAAAGGGGGAGATTTGTatgggcaaactgtttggtaccttcg(SEQ ID NO:5)
2-IR:gcttgagctcgactctagaggatccTTAacctttcagtgcttcttccagc(SEQ ID NO:6)
2-VF:gctggaagaagcactgaaaggtTAAggatcctctagagtcgagctcaagct(SEQ ID NO:7)
2-VR:cgaaggtaccaaacagtttgcccatACAAATCTCCCCCTTTGTTGTTTCT(SEQ ID NO:8)
【0033】
(3)pMA5-Pylb-PGIの構築
本実施例では、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子コード遺伝子pgi配列( NCBI-ProteinID: AAS82052)は、蘇州金唯智生物科技有限公司により合成され、普通のプラスミドにスプライシングされた。耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子遺伝子pgi遺伝子は、1対のプライマー(3-IF及び4-IR)を用いてPCRにより得られた。pMA5‐Pylb線形骨格は、1対のプライマー(3-VF及び3-VR)を用いてPCRにより得られた。その後、POE-PCRを用いて耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子断片とpMA5-Pylbベクター骨格を集合した。塩化カルシウム法を使用して、ライゲーション産物をコンピテントSCK6に形質転換し、形質転換体を選択してコロニーPCR、二重酵素消化による同定及び配列決定検証を行い、発現ベクターを得て、pMA5-Pylb-PGIと命名した。
3-IF:AGAAACAACAAAGGGGGAGATTTGTATGCTGCGTCTGGATACTCGCTTTC(SEQ ID NO:9)
3-IR:agcttgagctcgactctagaggatccTTAACCAGCCAGGCGTTTACGAGTC(SEQ ID NO:10)
3-VF:GACTCGTAAACGCCTGGCTGGTTAAggatcctctagagtcgagctcaagct(SEQ ID NO:11)
3-VR:GAAAGCGAGTATCCAGACGCAGCATACAAATCTCCCCCTTTGTTGTTTCT(SEQ ID NO:12)
【0034】
(4)pMA5-Pylb-MPIの構築
本実施例では、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子コード遺伝子mpi配列(NCBI-ProteinID: AAS81322)は、蘇州金唯智生物科技有限公司により合成され、普通のプラスミドにスプライシングされた。耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子遺伝子mpi遺伝子は、1対のプライマー(4-IF及び4-IR)を用いてPCRにより得られた。pMA5‐Pylb線形骨格は、1対のプライマー(4-VF及び4-VR)を用いてPCRにより得られた。その後、POE-PCRを用いて耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子断片とpMA5-Pylbベクター骨格を集合した。塩化カルシウム法を使用して、ライゲーション産物をコンピテントSCK6に形質転換し、形質転換体を選択してコロニーPCR、二重酵素消化による同定及び配列決定検証を行い、発現ベクターを得て、pMA5-Pylb-MPIと命名した。
4-IF:GTAGAAACAACAAAGGGGGAGATTTGTatgaggcggttggagcccaaacccgtggc(SEQ ID NO:13)
4-VF: ccacgggtttgggctccaaccgcctcatACAAATCTCCCCCTTTGTTGTTTCTAC(SEQ ID NO:14)
4-VR: tgccgccctggccaaggagggggcgtgaggatcctctagagtcgagctcaagc(SEQ ID NO:15)
4-IR: gcttgagctcgactctagaggatcctcacgccccctccttggccagggcggca(SEQ ID NO:16)
【0035】
(5)pMA5-Pylb-M6PPの構築
本実施例では、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子コード遺伝子m6pp配列( NCBI-ProteinID: NP_228460)は、蘇州金唯智生物科技有限公司により合成され、普通のプラスミドにスプライシングされた。耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子m6pp遺伝子は、1対のプライマー(5-IF及び5-IR)を用いてPCRにより得られた。pMA5‐Pylb線形骨格は、1対のプライマー(5-VF及び5-VR)を用いてPCRにより得られた。その後、POE-PCRを用いて耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子断片とpMA5-Pylbベクター骨格を集合した。塩化カルシウム法を使用して、ライゲーション産物をコンピテントSCK6に形質転換し、形質転換体を選択してコロニーPCR、二重酵素消化による同定及び配列決定検証を行い、発現ベクターを得て、pMA5-Pylb-M6PPと命名した。
5-IF: GTAGAAACAACAAAGGGGGAGATTTGTATGTACCGCGTTTTTGTTTTTGATC(SEQ ID NO:17)
5-VF: GATCAAAAACAAAAACGCGGTACATACAAATCTCCCCCTTTGTTGTTTCTAC(SEQ ID NO:18)
5-VR: AGCACCGATTGTCTGGATGAAtgaggatcctctagagtcgagctcaagc(SEQ ID NO:19)
5-IR: gcttgagctcgactctagaggatcctcaTTCATCCAGACAATCGGTGCT(SEQ ID NO:20)
【0036】
(6)発酵液の取得
耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子、耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子を発現させた枯草菌組換え工学菌(本実施例の出発菌はSCK6を用い、CN112342179Bを参照する)をそれぞれ選択して、LB培地にそれぞれ接種し、37℃で一晩振とう培養した。培養物を1%の接種量でLB培地に移し、37℃で一晩振とう培養して、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液をそれぞれ取得した。耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼの枯草菌での発現を
図2に示す。
【0037】
実施例2:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に2%w/vモンモリロナイトを加えて、均一に撹拌した。次に、1%w/v分子量600のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径3.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0038】
1L反応系に、最終濃度が100g/Lのデンプン、50mMリン酸ナトリウム緩衝(pH 7.0)及び固定化枯草菌をそれぞれ加えて、OD600=20にし、70℃の水浴にてシェーカー反応を行った。反応中、高速液体クロマトグラフィーでマンノースの含有量を分析した。反応終了後、単純な濾過により固定化枯草菌を収集し、緩衝液で洗浄した後、次のバッチの反応に用いた。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大60%に達し、20バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%に達した。
【0039】
実施例3:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に5%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径0.4mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを60℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0040】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。
図4に示す実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大65%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は45%に達した。
【0041】
実施例4:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に2%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/vポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドPDADMAC水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で3h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを90℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0042】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大63%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は43%に達した。
【0043】
実施例5:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:2:2となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に4%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、1%w/vポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドPDADMAC水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、1%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で3h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0044】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大63%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%に達した。
【0045】
実施例6:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に6%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.8%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径0.4mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0046】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大64%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は41%に達した。
【0047】
実施例7:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に3%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/vポリアクリルアミド水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、2.0%v/v N,N-メチレンビスアクリルアミド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを90℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0048】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大65%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は42%に達した。
【0049】
実施例8:固定化枯草菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例1で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた枯草菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた枯草菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に1%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.1%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.3%v/v エピクロロヒドリン水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0050】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大63%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%に達した。
【0051】
実施例9:酵素を発現させた大腸菌発酵液の製造
耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子、耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子プラスミドの構築方法は、特許CN 109750011 Aに記載の通りである。耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子、耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子をpET-21aベクターであって酵素消化部位NdeIとXhoIとの間に合成し、組換えプラスミドを、それぞれpET-21a-aGP、pET-21a-PGM、pET-21a-PGI、pET-21a-MPI、pET-21a-M6PPと命名した。
【0052】
組換えプラスミドpET-21a-aGP、pET-21a-PGM、pET-21a-PGI、pET-21a-MPI、pET-21a-M6PPをそれぞれ大腸菌BL21(DE3)に形質転換し、組換え工学菌を得た。それぞれ単一クローンをLB培地に採取し、37℃で一晩振とう培養した。培養物を1%の接種量でLB培地に移し、18℃でIPTGを用いて誘導し、一晩振とう培養して、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液をそれぞれ得た。耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ、耐熱性ホスホグルコムターゼ、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼの枯草菌における発現を
図3に示す。
【0053】
実施例10:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に1%w/vモンモリロナイトを加えて、均一に撹拌した。次に、0.2%w/v分子量600のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.2%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径0.8mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを60℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0054】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大60%に達し、20バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%以上に達する。
【0055】
実施例11:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に1%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、1%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0056】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。
図5に示す実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大65%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は44%に達した。
【0057】
実施例12:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に2%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/vポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドPDADMAC水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で3h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径3.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを90℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0058】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大60%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%に達した。
【0059】
実施例13:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:2:2となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に3%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.4%w/vポリジメチルジアリルアンモニウムクロリドPDADMAC水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、1%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で3h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザで長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0060】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大60%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は41%に達した。
【0061】
実施例14:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に3%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、1.0%v/vトリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0062】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大61%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は40%に達した。
【0063】
実施例15:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に5%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.8%w/vポリアクリルアミド水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.8%v/v N,N-メチレンビスアクリルアミド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを90℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0064】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大63%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は41%に達した。
【0065】
実施例16:固定化大腸菌によるマンノースの生産
OD600の比率が1:1:1:1:1となるように、実施例9で製造された耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた大腸菌発酵液、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた大腸菌発酵液を混合し、OD 600=100にし、菌懸濁液に1%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.4%w/v分子量600のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.4%v/v エピクロロヒドリン水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのストランド状に押し出し造粒し、その後、スフェロナイザでストランドを長さが均一なペレットに切断し、得られた固定化細胞ペレットを70℃で流動乾燥し、固定化細胞を得た。
【0066】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大61%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は39%に達した。
【0067】
比較例1:枯草菌によるマンノースの生産
実施例1で製造された発酵液を5500rpmで10min遠心分離し、上清を捨てて、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた全細胞、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた全細胞、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた全細胞をそれぞれ得た。上記細胞のそれぞれに50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)を加えて、菌体をOD600=200まで再懸濁させた。重懸濁させた菌体を75℃で90min熱処理した。pH 7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて1:1:1:1:1の比率で上記全細胞を混合し、OD600=200にした。
【0068】
1L反応系に、最終濃度が100g/Lのデンプン、50mMリン酸ナトリウム緩衝(pH 7.0)及び上記混合枯草菌をそれぞれ加えて、OD600=20にし、70℃の水浴にてシェーカー反応を行った。反応中、高速液体クロマトグラフィーでマンノースの含有量を分析した。反応終了後、遠心分離により沈殿菌体を得て、緩衝液で洗浄した後、次のバッチの反応に用いた。
図6に示す実験の結果、固定化枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大65%に達し、2バッチ連続触媒後は、産物の収率は僅か15%しかなかった。
【0069】
比較例2:大腸菌によるマンノースの生産
実施例9で製造された発酵液を5500rpmで10min遠心分離し、上清を捨てて、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた全細胞、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた全細胞、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた全細胞をそれぞれ得た。上記細胞のそれぞれに50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)を加えて、菌体をOD600=200まで再懸濁させた。重懸濁させた菌体を75℃で90min熱処理した。pH 7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて1:1:1:1:1の比率で上記全細胞を混合し、OD600=200にした。
【0070】
1L反応系に、最終濃度が100g/Lのデンプン、50mMリン酸ナトリウム緩衝(pH 7.0)及び上記混合大腸菌をそれぞれ加えて、OD600=20にし、70℃の水浴にてシェーカー反応を行った。反応中、高速液体クロマトグラフィーでマンノースの含有量を分析した。反応終了後、遠心分離により沈殿菌体を得て、緩衝液で洗浄した後、次のバッチの反応に用いた。
図7に示す実験の結果、大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大63%に達し、2バッチ連続触媒後は、産物の収率はわずか12%しかなかった。
【0071】
比較例3:固定化透過性枯草菌によるマンノースの生産
耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子、発現耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子、発現耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子、発現耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、発現耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子を発現させた枯草菌組換え工学菌をそれぞれ選択して、LB培地にそれぞれ接種し、37℃で一晩振とう培養した。培養物を1%の接種量でLB培地に移し、37℃で一晩振とう培養して、5500rpmで10min遠心分離し、上清を捨てて、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた全細胞、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた全細胞、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた全細胞をそれぞれ得た。上記細胞のそれぞれに50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)を加えて、菌体をOD600=200まで再懸濁させた。重懸濁させた菌体を75℃で90min熱処理した。
【0072】
pH 7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて1:1:1:1:1の比率で上記透過性全細胞を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に5%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、0.5%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径0.4mmのペレットに押し出し造粒し、得られた固定化細胞ペレットを30℃で乾燥し、固定化細胞を得た。
【0073】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定化透過性枯草菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大55%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は27%であった。
比較例4:固定化透過性大腸菌によるマンノースの生産
【0074】
耐熱性α-グルカンホスホリラーゼ遺伝子、発現耐熱性ホスホグルコムターゼ遺伝子、発現耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼ遺伝子、発現耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼ遺伝子、発現耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼ遺伝子を発現させた大腸菌組換え工学菌をそれぞれ選択して、LB培地にそれぞれ接種し、37℃で一晩振とう培養した。培養物を1%の接種量でLB培地に移し、18℃でIPTGを用いて誘導し、一晩振とう培養して、5500rpmで10min遠心分離し、上清を捨てて、耐熱性α-グルカンホスホリラーゼを発現させた全細胞、耐熱性ホスホグルコムターゼを発現させた全細胞、耐熱性グルコースリン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸イソメラーゼを発現させた全細胞、耐熱性マンノース6-リン酸ホスファターゼを発現させた全細胞をそれぞれ取得した。上記細胞のそれぞれに50mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.5)を加えて、菌体をOD600=200まで再懸濁させた。重懸濁させた菌体を75℃で90min熱処理した。
【0075】
pH 7.0リン酸ナトリウム緩衝液を用いて1:1:1:1:1の比率で上記透過性全細胞を混合し、OD600=100にし、菌懸濁液に1%w/v珪藻土を加えて、均一に撹拌した。次に、0.5%w/v分子量70000のポリエチレンイミン水溶液を加えて室温で凝集させた。その後、1%v/vグルタルアルデヒド水溶液を加えて室温で2h架橋させた。真空濾過して濾過ケーキを得、濾過ケーキをロータリー造粒機で粒子径1.0mmのペレットに押し出し造粒し、得られた固定化細胞ペレットを30℃で乾燥し、固定化細胞を得た。
【0076】
実施例2の方法によりマンノースを生産した。実験の結果、固定化透過性大腸菌による連続触媒反応の場合、産物の初期収率は最大56%に達し、25バッチ連続触媒後も、産物の収率は26%であった。
【配列表】
【国際調査報告】