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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】レンズ要素
(51)【国際特許分類】
   G02C 7/02 20060101AFI20240614BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
G02C7/02
G02B3/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580566
(86)(22)【出願日】2022-06-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022067979
(87)【国際公開番号】W WO2023275189
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】21182929.6
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518007555
【氏名又は名称】エシロール・アンテルナシオナル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム・ギローデ
(57)【要約】
着用者に適合されて、着用者の眼の前方に着用されることを意図したレンズ要素であって、- 着用者の眼に対する所定の屈折力Pxに基づく屈折力を有し、少なくとも中心ゾーンを含む屈折領域と、- 着用者の眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する複数の光学要素と、備え、光学要素が、少なくとも所定の屈折力Px及び着用者の視野にわたる機能的非対称性に基づいて編成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者に適合されて、前記着用者の眼の前方に着用されることを意図したレンズ要素であって、
- 前記着用者の前記眼に対する所定の屈折力Pxに基づく屈折力を有し、少なくとも中心ゾーンを含む屈折領域と、
- 前記着用者の前記眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する複数の光学要素と、
を備え、
前記光学要素が、少なくとも前記所定の屈折力Px及び前記着用者の視野にわたる機能的非対称性に基づいて編成されている、レンズ要素。
【請求項2】
前記光学要素の密度及び/又は屈折力が、少なくとも前記所定の屈折力Px及び前記着用者の前記眼の前記視野にわたる前記機能的非対称性に基づく、請求項1に記載のレンズ要素。
【請求項3】
前記レンズ要素が、5つの相補的なゾーンである、中心ゾーン及び45°での4つの象限に分割されており、前記光学要素の密度が、上象限及び右象限よりも下象限及び左象限において低い、請求項1又は2に記載のレンズ要素。
【請求項4】
前記レンズ要素が、5つの相補的なゾーンである、中心ゾーン及び45°での4つの象限に分割されており、前記レンズ要素の前記屈折力が、前記上象限及び右象限よりも前記下象限及び左象限において高い、請求項1~3のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項5】
前記光学要素が、前記中心ゾーンに中心を有する複数の同心リングに編成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項6】
前記光学要素が、前記中心ゾーンに中心を有する複数の放射状セグメントに編成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項7】
前記光学要素が、隣接している、請求項1~6のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項8】
前記光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超が、非球面マイクロレンズである、請求項1~7のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項9】
前記光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超が、回折マイクロレンズである、請求項1~8のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項10】
前記回折マイクロレンズが、πフレネルマイクロレンズである、請求項9に記載のレンズ要素。
【請求項11】
前記光学要素が、0.2mm以上、例えば0.4mm以上、例えば0.6mm以上、且つ2.0mm以下、例えば1.0mm未満の直径を有する円に内接可能な輪郭形状を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項12】
前記屈折領域が、前記複数の光学要素として形成された領域以外の領域として形成されている、請求項1~11のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項13】
前記光学要素の少なくとも一部、例えば全部が、前記レンズ要素の前面上に配置されている、請求項1~12のいずれか一項に記載のレンズ要素。
【請求項14】
着用者に適合されて、前記着用者の眼の前方に着用されることを意図したレンズ要素を判定するための方法であって、光学レンズが、
- 前記着用者の前記眼に対する所定の屈折力Pxに基づく屈折力を有し、少なくとも中心ゾーンを含む屈折領域と、
- 前記着用者の前記眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する複数の光学要素と、
を備え、
前記方法が、
- 着用者のデータを取得するステップであって、前記着用者のデータが、少なくとも前記所定の屈折力Pxに関連する処方データを含む、ステップと、
- 非対称性データを取得するステップであって、前記非対称性データが、視野にわたる前記着用者の機能的非対称性に関連する、ステップと、
- 前記着用者のデータ及び非対称性データに基づいて、前記光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化するステップと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化するステップが、前記光学要素の密度及び/又は屈折力を判定するステップを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化するステップが、前記レンズ要素の下象限及び右象限における前記光学要素の密度及び/又は屈折力を判定するステップを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
少なくとも全視野にわたる前記着用者の視覚感度に関連する感度データを取得するステップを更に含み、前記光学要素の前記少なくとも1つのパラメータが、前記感度データを考慮して最適化される、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着用者の眼の前方に着用されることを意図し、少なくとも所定の屈折力を有するレンズ要素、及び例えば、本開示によるレンズ要素を判定するためのコンピュータ手段によって実施される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼の近視は、眼が遠方の物体を網膜の前方で集束させる事実により特徴付けられる。近視は通常、凹レンズを用いて矯正され、遠視は通常、凸レンズを用いて矯正される。
【0003】
近視はまた、近視眼とも呼ばれ、世界的に公衆衛生上の重大な問題となっている。したがって、近視の進行を減速させることを目的とした解決策を開発するために、多くの努力が払われてきた。
【0004】
近視進行に対する最近の管理戦略の大部分は、光学的焦点ぼけを用いて周辺視野への作用を伴うものであった。このアプローチは、ひよこ及び霊長類における研究により、無傷の窩を伴うことなく、周辺部の光学的焦点ぼけによって窩の屈折異常を操作し得ることが示されて以来、大きな関心を集めている。そのような周辺部の光学的焦点ぼけを誘発することによって近視の進行を減速させるために、いくつかの方法及び製品が使用されている。これらの解決策の中で、オルソケラトロジーコンタクトレンズ、二焦点及び累進ソフトコンタクトレンズ、円形累進眼用レンズ、並びにマイクロレンズのアレイを備えたレンズは、ランダム化比較試験を通して、多かれ少なかれ効果的であることが示されている。
【0005】
特に本出願人により、マイクロレンズのアレイを備えた近視抑制レンズが提案されている。このマイクロレンズのアレイの目的は、網膜の前方に光学的にぼやけた画像を提供し、良好な視力を可能にしながら、眼の成長に対する停止信号をトリガすることである。
【0006】
多くの研究により、知覚スキルは、視野全体で均一ではないことが示されている。例えば、平均して、刺激が上部の半視野よりも下部の半視野にあるときの方が、被験者のパフォーマンスは良くなる。同様に、左右の視野は、異なる視覚処理特異性を呈する。通常、空間情報は、左視野においてより正確に処理され、非空間情報は、右視野においてより正確に処理される。
【0007】
これらの非対称性は全て先天的な神経/生理学的起源を有するが、また、視覚経験の影響も受けやすく、これが個人のばらつきにつながる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、視野の個々の機能的非対称性に適合されたマイクロレンズパターンを含むレンズを提供する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のため、本開示は、着用者に適合されて、着用者の眼の前方に着用されることを意図したレンズ要素を提案するものであり、レンズ要素は、
- 前記着用者の眼に対する所定の屈折力Pxに基づく屈折力を有し、少なくとも中心ゾーンを含む屈折領域と、
- 着用者の眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する複数の光学要素と、
を備え、
光学要素は、少なくとも所定の屈折力Px及び着用者の視野にわたる機能的非対称性に基づいて編成される。
【0010】
有利には、着用者の網膜上に画像を集束させないことにより、近視又は遠視などの眼の異常屈折の進行を減速させる抑制信号を作成することを可能にする。更に、着用者の嗜好及び非対称性を考慮することにより、着用者の視覚能力を改善することを可能にする。言い換えれば、本発明により、着用者の眼の異常屈折の進行を減速させることと、着用者に対して最良の視力を維持することの両立を可能にする。
【0011】
単独で又は組み合わせとして想到可能な更なる実施形態によれば、
- レンズ要素が、5つの相補的なゾーンである、中心ゾーン及び45°での4つの象限に分割されており、
- 4つの象限が、TABO規約における315°~45°の右象限Q1、TABO規約における45°~135°の上象限Q2、TABO規約における135°~225°の左象限Q3、及びTABO規約における225°~315°の下象限Q4を含み、及び/又は
- 中心ゾーンが、4mmよりも大きく20mmよりも小さい特性寸法を有し、及び/又は
- 中心ゾーンが、レンズ要素の基準点に中心を有し、及び/又は
- 基準点が、レンズ要素の幾何学的中心、光学的中心、近方視点、又は遠方視点のうちの1つであり、及び/又は
- 屈折領域が、着用者の眼の異常屈折を矯正するための処方に基づく第1の屈折力と、第1の屈折力とは異なる少なくとも第2の屈折力とを有し、及び/又は
- 第1の屈折力と第2の屈折力の間の差が、0.5D以上であり、及び/又は
- 屈折領域が、複数の光学要素によって形成された領域以外の領域として形成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、着用者の網膜上に集束させないように構成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、着用者の網膜の前方に集束させるように構成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、着用者の網膜の後方に集束させるように構成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、着用者の眼の網膜の前方に火面を作成するように構成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、標準着用状態下で球面光学機能を有し、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、標準着用状態下で非球面光学機能を有し、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、円柱度数を有し、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、多焦点屈折マイクロレンズであり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、非球面マイクロレンズであり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、回転対称性の有無にかかわらず、非球面を含み、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、トーリック屈折マイクロレンズであり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、トーリック面を含み、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、複屈折材料で作成されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、回折要素であり、及び/又は
- 回折要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、メタ表面構造を含み、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、多焦点二値構成要素であり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、ピクセル化レンズであり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは全部が、πフレネルレンズであり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも2つ、例えば50%超、好ましくは全部が、独立しており、及び/又は
- 左象限Q3及び下象限Q4の光学要素の密度が、右象限Q1及び上象限Q2の光学要素の密度よりも低く、及び/又は
- 左象限Q3及び下象限Q4の光学要素の屈折力が、右象限Q1及び上象限Q2の光学要素の屈折力よりも高く、及び/又は
- 左象限Q3及び下象限Q4の光学要素の平均屈折力が、右象限Q1及び上象限Q2の光学要素の屈折力よりも高く、及び/又は
- 光学要素が、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数が前記断面の一点から前記断面の周辺部に向かって増加するように構成されており、及び/又は
- 光学要素が、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均円柱度数が前記断面の一点から前記断面の周辺部に向かって増加するように構成されており、及び/又は
- 光学要素が、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が前記断面の中心から前記断面の周辺部に向かって増加するように構成されており、及び/又は
- 屈折領域が、光学的中心を含み、光学要素が、レンズ要素の光学的中心を通過する任意の断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が光学的中心からレンズ要素の周辺部に向かって増加するように構成されており、及び/又は
- 光学要素が、標準着用状態下で少なくとも1つの断面が水平方向断面であるように構成されており、及び/又は
- 屈折領域が、遠方視基準点、近方視基準点、及び遠方視基準点と近方視基準点を結ぶ経線を含み、光学要素が、標準着用状態下でレンズ要素の任意の水平方向断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が前記水平方向断面の経線との交線からレンズ要素の周辺部に向かって増加するように構成されており、及び/又は
- 断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数増加関数が、経線に沿って前記断面の位置に応じて異なり、及び/又は
- 断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数増加関数が、非対称的であり、及び/又は
- 光学要素が、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が、前記断面の第1の点から前記断面の周辺部に向かって増加し、前記断面の第2の点から前記断面の周辺部に向かって減少するように構成されており、第2の点が第1の点よりも前記断面の周辺部に近く、及び/又は
- 少なくとも1つの断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数変動関数が、ガウス関数であり、及び/又は
- 少なくとも1つの断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数変動関数が、二次関数であり、及び/又は
- 光学要素の少なくとも一部、例えば全部が、0.2mm以上、例えば0.4mm以上、例えば0.6mm以上、例えば0.8mm以上であり、且つ2.0mm以下、例えば1.0mm以下の直径を有する円に内接可能な輪郭形状を有し、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、隣接しておらず、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、隣接しており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも1つ、例えば全部が、例えば屈折領域の一部の周囲に環状形状を有し、及び/又は
- 光学要素の少なくとも一部、例えば全部が、レンズ要素の前面上に配置されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも一部、例えば全部が、レンズ要素の背面上に配置されており、及び/又は
- 光学要素の少なくとも一部、例えば全部が、レンズ要素の前面と背面の間に配置されており、及び/又は
- レンズ要素が、屈折領域を有する眼用レンズと、レンズ要素が着用されるときに眼用レンズに取り外し可能に取り付けられるように適合された複数の少なくとも3つの光学要素を有するクリップオンとを含み、及び/又は
- 半径+5mm以上のレンズ要素の光学的中心の距離に位置する幾何学的中心を含む、2~4mmに含まれる前記半径を有する円形ゾーンごとに、前記円形ゾーンの内側に位置する光学要素の部分の面積の合計と前記円形ゾーンの面積との間の比率が、20%~70%に含まれ、及び/又は
- 光学要素が、ネットワーク、例えば構造化されたメッシュ上に配置されており、及び/又は
- 光学要素が、四角形メッシュ、若しくは六角形メッシュ、若しくは三角形メッシュ、若しくは八角形メッシュ上に配置されており、及び/又は
- メッシュ構造が、ランダムなメッシュ、例えばボロノイメッシュであり、及び/又は
- 光学要素が、複数の同心リングに沿って配置されており、及び/又は
- 光学要素が、少なくとも2つの光学要素の群に編成され、光学要素の各群が、同じ中心を有する少なくとも2つの同心リングに編成され、光学要素の各群の同心リングが、前記群の少なくとも1つの光学要素に接する最小の円に対応する内径と、前記群の少なくとも1つの光学要素に接する最大の円に対応する外径とによって定義され、及び/又は
- 光学要素の同心リングの少なくとも一部、例えば全部が、前記光学要素が配置されたレンズ要素の表面の光学的中心に中心を有し、及び/又は
- 光学要素の同心リングが、9.0mm~60mmの直径を有し、及び/又は
- 光学要素の2つの連続する同心リング間の距離が、2.0mm以上、例えば3.0mm、好ましくは5.0mmであり、2つの連続する同心リング間の距離が、第1の同心リングの内径と第2の同心リングの外径との間の差によって定義され、第2の同心リングがレンズ要素の周辺部により近く、及び/又は
- レンズ要素が、2つの同心リング間に放射状に配置された光学要素を更に含み、及び/又は
- 光学要素が、複数の放射状セグメントに編成され、及び/又は
- 複数の放射状セグメントが、レンズ要素の中心ゾーンに中心を有する。
【0012】
本開示は更に、例えばコンピュータ手段によって実施され、着用者に適合されて、着用者の眼の前方に着用されることを意図したレンズ要素を判定及び/又は最適化及び/又は提供するための方法に関し、レンズ要素は、
- 着用者の前記眼に対する所定の屈折力Pxに基づく屈折力を有し、少なくとも中心ゾーンを含む屈折領域と、
- 着用者の眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する複数の光学要素と、
を備え、
方法は、
- 着用者のデータを取得することであって、着用者のデータが、少なくとも所定の屈折力Pxに関連する処方データを含む、ことと、
- 非対称性データを取得することであって、非対称性データが、視野にわたる着用者の機能的非対称性に関連する、ことと、
- 着用者のデータ及び非対称性データに基づいて、光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化することと、
を含む。
【0013】
有利には、本開示による方法により、異なる光学特性を有する領域を含むレンズ要素を提供することを可能にする。特に、本プロセスは、着用者に対して最良の視覚能力及び/又は快適性を維持しながら、着用者の異常屈折を減速させる最適な機能を同時に提供する、着用者に対して最適に適合されたレンズ要素を提供することを可能にする。
【0014】
単独で又は組み合わせて検討され得る本開示の更なる実施形態によれば、
- 光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化することは、レンズ要素の下象限及び左象限における光学要素の密度及び/又は屈折力を判定することを含み、及び/又は
- 方法が、少なくとも全視野にわたる着用者の視覚感度に関連する感度データを取得することと、前記感度データを考慮して光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化することとを含み、及び/又は
- 視覚感度が、視力及び/又はコントラスト感度及び/又は動作感度及び/又は視覚快適性に関連し、
- 方法が、着用者のデータ及び光学要素の最適化されたパラメータに基づいてレンズ要素を製造することを含み、及び/又は
- 方法が、レンズ要素の表面の一部、例えば屈折領域の一部及び光学要素の一部に少なくとも部分的にコーティング層を適用することを含む。
【0015】
ここで本発明の複数の実施形態について、ほんの一例として以下の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示の一実施形態によるレンズ要素の前面図である。
図2】本開示の一実施形態によるレンズ要素のプロファイル図である。
図3】本開示の一実施形態によるレンズ要素の前面図である。
図4】本開示の一実施形態によるレンズ要素の前面図である。
図5】本開示の一実施形態によるレンズ要素を提供するための方法のチャート-フロー実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面内の要素は、簡潔化及び明示化のために示され、必ずしも正確な縮尺で描かれていない。例えば、本発明の実施形態を分かり易くするため図のいくつかの要素のサイズを他の要素に比べて誇張している場合がある。
【0018】
以下の記述において、「上」、「下」、「水平」、「垂直」、「上方」、「下方」、「前」、「後」等の用語又は相対位置を示す他の用語を用いる場合がある。これらの用語は、光学レンズの着用状態において理解されるべきである。
【0019】
本開示は、個人に適合されて、前記個人の眼の前方で着用されることを意図したレンズ要素に関する。
【0020】
本発明の文脈では、「レンズ要素」という用語は、カットされていない光学レンズ、又は特定の眼鏡フレームに合うように玉形加工済みの眼鏡光学レンズ、又は眼用レンズ、又は眼内レンズ、又はコンタクトレンズ、又は眼用レンズ上に配置されるように適合された光学デバイスを指し得る。光学デバイスは、眼用レンズの前面又は背面上に配置されてもよい。光学デバイスは、光学パッチ又は光学フィルムであり得る。光学デバイスは、例えば眼用レンズを含む眼鏡フレーム上にクリップ留めされるように構成されたクリップなど、眼用レンズ上に取り外し可能に配置されるように適合されてもよい。
【0021】
図1及び図2に表されるように、本開示によるレンズ要素10は、屈折領域12と複数の光学要素14とを備える。
【0022】
図2に表されるように、レンズ要素は、少なくとも第1の表面と、第2の表面に対向する第2の表面とを備える。例えば、第1の表面は、物体側に向かって凸状の表面として形成された物体側の面F1を含み得、第2の表面は、物体側の面の曲率とは異なる曲率を有する凹状の表面として形成された眼球側の面F2を含み得る。レンズ要素10は、例えばポリカーボネートである有機材料で作成されてもよく、又はガラスなどの鉱物材料で作成されてもよい。
【0023】
図1に表されるように、レンズ要素は、5つの相補的なゾーンである、中心ゾーン16及び4つの象限Q1、Q2、Q3、Q4に分割され得る。4つの象限は、315°~45°の右象限Q1、45°~135°の上象限Q2、135°~225°の左象限Q3、及び225°~315°の下象限Q4を含む。異なる象限の配置は、TABO規約で定義されている。
【0024】
レンズ要素10の表面の少なくとも一部、好ましくは、全部は、少なくとも1層のコーティング要素によって覆われてもよい。コーティング要素の少なくとも1層は、抗スクラッチ、抗反射、抗汚れ、抗ダスト、UV30フィルタ、ブルーライトフィルタ、抗摩耗特徴からなる群から選択される特徴を含み得る。
【0025】
図1及び図2に示されるように、レンズ要素10は、屈折領域12を含む。
【0026】
屈折領域12は、レンズ要素が適合されている個人の眼の処方に基づく屈折力Pxを有する。処方は、例えば、着用者の眼の異常屈折を矯正するために適合される。
【0027】
用語「処方」は、眼科医又は検眼士により、例えば眼の前方に配置されたレンズにより眼の視力欠陥を矯正すべく判定された屈折力、非点収差、プリズム偏差の光学特徴の組を意味するものと理解されたい。例えば、近視眼に対する処方は、屈折力及び遠方視軸との非点収差の値を含む。
【0028】
処方には、着用者の眼に欠陥がなく、着用者に屈折力を提供しないことの表示を含んでもよい。そのような場合、屈折領域は、屈折力を提供しないように構成される。
【0029】
屈折領域は、好ましくは、複数の光学要素で形成された複数の領域以外の領域として形成される。言い換えれば、屈折領域は、複数の光学要素で形成された複数の領域を補完する領域である。
【0030】
図1及び図2に示されるように、屈折領域12は、レンズ要素10の少なくとも中心ゾーン16を含み得る。
【0031】
中心ゾーン16は、4mmよりも大きく22mmよりも小さい、例えば20mmよりも小さい特性寸法を有し得る。
【0032】
中心ゾーン16は、レンズ要素10の基準点に中心を有し得る。中心ゾーンの中心であり得る基準点は、レンズ要素の幾何学的中心並びに/又は光学的基準点及び/若しくは近方視基準点及び/若しくは遠方視基準点のいずれか1つである。
【0033】
好ましくは、中心ゾーン16は、標準的な着用状態でまっすぐ前を見つめる着用者の瞳孔に面するフレーミング基準点に中心を有するか、又は少なくともそれを含む。
【0034】
着用状態とは、例えば着用時前傾角、角膜からレンズまでの距離、瞳孔-角膜距離、眼の回転中心(CRE)から瞳孔までの距離、CREからレンズまでの距離、及び巻き角により定義される着用者の眼に対するレンズ要素の位置として理解されたい。
【0035】
角膜からレンズまでの距離は、角膜とレンズの背面との間の第1眼位(通常は水平にとられる)における眼球の視軸に沿った距離であり、例えば12mmに等しい。
【0036】
瞳孔-角膜距離は、瞳孔と角膜間の眼球の視軸に沿った距離であり、通常は2mmに等しい。
【0037】
CREから瞳孔までの距離は、眼球の視軸に沿った回転中心(CRE)と角膜間の距離であり、例えば11.5mmに等しい。
【0038】
CREからレンズまでの距離は、眼のCREとレンズの背面との間の第1眼位(通常は水平方向にとられる)における眼の視軸に沿った距離であり、例えば25.5mmに等しい。
【0039】
着用時前傾角は、レンズの背面と第1眼位(通常は水平方向にとられる)における眼の視軸との交線における、レンズの背面に対する法線と第1眼位における眼の視軸の間の垂直面内の角度であり、例えば-8°、好ましくは0°に等しい。
【0040】
巻き角は、レンズの背面と第1眼位(通常は水平方向にとられる)における眼の視軸との交線における、レンズの背面に対する法線と第1眼位における眼の視軸との間の水平面内の角度であり、例えば0°に等しい。
【0041】
標準的な着用状態の一例は、着用時前傾角度が-8°、角膜からレンズまでの距離が12mm、瞳孔-角膜距離が2mm、CREから瞳孔までの距離が11.5mm、CREからレンズまでの距離が25.5mm、及び巻き角0°によって定義され得る。
【0042】
標準的な着用状態の別の例は、着用時前傾角度が0°、角膜からレンズまでの距離が12mm、瞳孔-角膜距離が2mm、CREから瞳孔までの距離が11.5mm、CREからレンズまでの距離が25.5mm、及び巻き角が0°によって、より若い着用者に対して適合され得る。
【0043】
好ましくは、中心ゾーン16は、レンズの光学的中心を含み、網膜側上の±8°の周辺角度に対応する4mmよりも大きい特性寸法を有し、且つ網膜側上の±44°の周辺角度に対応する22mmよりも小さく、例えば網膜側上の±40°の周辺角度に対応する20mmよりも小さい特性寸法を有する。特性寸法は、直径であってもよく、又は楕円形状の中心ゾーンの長短軸であってもよい。
【0044】
屈折領域12は、所定の屈折力Pxとは異なる少なくとも第2の屈折力Ppを更に含んでもよい。本発明の意味において、前記屈折力間の差が0.5D以上である場合、2つの屈折力は異なるとみなされる。
【0045】
屈折力Pxが着用者の眼の近視を補償するために処方される場合、第2の屈折力Ppは、屈折力Pxよりも大きくてもよい。
【0046】
屈折力Pxが着用者の眼の遠視を補償するために処方される場合、第2の屈折力Ppは、屈折力Pxよりも小さくてもよい。
【0047】
屈折領域12は、屈折力の連続的な変動を含んでもよい。例えば、屈折領域は、累進加入度設計を有する場合がある。屈折領域の光学設計には、屈折力が負であるフィッティングクロスと、レンズ要素が着用者に着用されているときに屈折領域の側頭側に延びる第1のゾーンとを備え得る。第1のゾーンでは、屈折力は側頭側に向かって移動するにつれて増加し、レンズの鼻側にわたって、眼用レンズの屈折力はフィッティングクロスと実質的に同じである。このような光学設計は、国際公開第2016/107919号パンフレットにより詳細に開示されている。
【0048】
或いは、屈折領域12の屈折力は、少なくとも1つの不連続面を含んでもよい。
【0049】
図1及び図2に示されるように、レンズ要素10は、複数の光学要素14を備える。
【0050】
複数の少なくとも3つの光学要素は、着用者の眼の網膜上に画像を集束させない光学機能を有する。言い換えれば、例えば標準着用状態下で、着用者がレンズ要素を着用するとき、複数の光学要素を通過する光線は、着用者の眼の網膜上に集束しないことになる。例えば、光学要素は、着用者の眼の網膜の前方及び/又は後方に集束させることができる。
【0051】
有利には、着用者の網膜上に画像を集束させないことにより、レンズ要素を着用する人の眼の近視又は遠視などの異常屈折の進行を抑制、軽減、又は少なくとも減速させる抑制信号を作成することを可能にする。
【0052】
少なくとも1つ、好ましくは50%超、より好ましくは全部の光学要素14は、例えば標準着用状態下で、着用者の網膜上以外の場所に集束させるように構成されてもよい。言い換えれば、複数の光学要素は、着用者の眼の網膜の前方及び/又は後方に集束させるように構成されてもよい。
【0053】
光学要素14の少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、人の眼の網膜の前方に火面を作成するように構成された形状を有する。言い換えれば、そのような光学要素は、人がレンズ要素を標準視認状態で着用したときに、もしあれば、光束が集中される全ての断面平面が人の眼の網膜の前方に位置するように構成されている。
【0054】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、標準着用状態下で球面光学機能を有し得る。
【0055】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、標準着用状態下で非球面光学機能を有し得る。「非球面光学機能」とは、単一の集束点を有しないものとして理解されるべきである。例えば、非球面光学機能を有する光学要素を通過する光線は、集束されない光の量を提供することになる。
【0056】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、円柱度数を含み得る。
【0057】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、多焦点屈折マイクロレンズであり得る。本発明の意味において、「多焦点屈折マイクロレンズ」には、二焦点(2つの焦点屈折力を有する)、三焦点(3つの焦点屈折力を有する)、連続変化する焦点屈折力を有する累進付加レンズ、例えば非球面レンズを含む。
【0058】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、非球面マイクロレンズであり得る。本発明の意味において、非球面マイクロレンズは、例えば幾何学的又は光学的中心からマイクロレンズの周辺部まで、それらの表面にわたって連続的な度数展開を有する。
【0059】
非球面マイクロレンズは0.1D~3Dに含まれる非球面性を有し得る。非球面マイクロレンズの非球面度は、マイクロレンズの中心で測定された屈折力とマイクロレンズの周辺部で測定された屈折力との比率に対応する。マイクロレンズの中心は、マイクロレンズの幾何学的中心に中心を有し、0.1mm~0.5mmに含まれる、好ましくは2.0mmに等しい直径を有する球面領域によって定義され得る。マイクロレンズの周辺部は、マイクロレンズの幾何学的中心に中心を有し、0.5mm~0.7mmに含まれる内径と、0.70mm~0.80mmに含まれる外径を有する環状領域によって定義され得る。本発明の一実施形態によれば、非球面マイクロレンズは、それらの幾何学的中心部の屈折力が、絶対値で2.0D~7.0Dに含まれ、それらの周辺部の屈折力が、絶対値で1.5D~6.0Dに含まれる。
【0060】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、回転対称性の有無にかかわらず、非球面を含み得る。
【0061】
光学要素の少なくとも1つ、例えば50%超、好ましくは、全部は、トーリック面を含み得る。トーリック面は、その曲率中心を通過しない回転軸の周りで円又は弧を回転させることにより形成可能な(最終的に無限遠に配置される)回転面である。トーリック面レンズは、互いに直交する2つの異なる半径方向プロファイルを有するため、2つの異なる焦点屈折力を生成する。トーリックレンズのトーリック及び球面表面要素は、単一点焦点とは逆に非点収差光ビームを生成する。
【0062】
光学要素の少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、複屈折材料で作成される。言い換えれば、光学要素は、偏光及び光の伝播方向に依存する屈折率を有する材料で作成される。複屈折は、材料が示す屈折率間の最大差として定量化し得る。
【0063】
光学要素の少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、回折レンズで作成される。回折レンズの少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、国際公開第2017/176921号パンフレットに開示されているようなメタ表面構造を含み得る。回折レンズは、位相関数ψ(r)が公称波長においてπ位相跳躍を有するフレネルレンズであり得る。位相跳躍が2πの倍数である単焦点フレネルレンズと対照的に、明確にするために、これらの構造を「πフレネルレンズ」と呼び得る。その位相関数が図5に示されているπフレネルレンズは、ジオプタ度数0δ及び正の度数P、例えば3δに関連付けられた主に2つの回折次数で光を回折する。
【0064】
光学要素の少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、多焦点二値構成要素である。二値構造は、主に2つのジオプタ度数を同時に表示し、例えば-P/2及びP/2と表記される。
【0065】
光学要素の少なくとも1つ、好ましくは50%超、例えば全部は、ピクセル化レンズである。多焦点ピクセル化レンズの例は、Eyal Ben-Eliezer et al,APPLIED OPTICS,Vol.44,No.14,10 May 2005に開示されている。
【0066】
光学要素の少なくとも2つ、好ましくは50%超、例えば全部は、独立している。本発明での意味において、独立画像を生成する場合、2つの光学要素は独立しているとみなされる。具体的には、平行なビームにより「中心視で」照射された場合、各々の「独立した隣接光学要素」は自身に関連付けられたスポットを画像空間内の平面に形成する。言い換えれば、「光学要素」の1つが隠された場合、たとえこの光学要素が別の光学要素に隣接していてもスポットは消失する。
【0067】
光学要素14は、少なくとも屈折領域12の所定の屈折力Px、及び着用者の視野にわたる機能的非対称性に基づいて編成される。
【0068】
知覚スキルは、視野全体にわたって均一ではない。人の視野における視覚刺激の位置に応じて、視覚情報は、視野の領域に基づいて異なるように処理され、平均して、被験者は、刺激が上部の視覚半視野よりも下部の視覚半視野にあるときに、より良好なパフォーマンスを発揮する。同様に、空間情報は、右視野よりも左視野においてより正確に処理される。これらの機能的非対称性は全て、先天的な神経/生理学的起源を有するが、また、視覚経験の影響も受けやすい。このように、機能的非対称性は、各人に非常に固有のものである。
【0069】
「機能的非対称性」という用語は、いくつかの視覚刺激及び/又はいくつかの特定の網膜位置における刺激に対する優先的な生理学的反応に起因する知覚の変動性又は非対称性を指す。
【0070】
例えば、機能的非対称性は、刺激に対する知覚の関係が刺激の配向によって変化する配向処理における着用者の非対称性を指す場合がある。同様に、機能的非対称性は、動作処理における着用者の非対称性及び/又は空間周波数処理における着用者の非対称性を指す場合がある。
【0071】
有利には、着用者の嗜好及び非対称性を考慮することにより、着用者の視覚能力及び視覚的快適性を向上させることを可能にする。
【0072】
図3及び図4に示されるように、左象限Q3及び/又は下象限Q4の光学要素の密度は、右象限Q1及び/又は上象限Q2の光学要素の密度よりも低くてもよい。
【0073】
下の視野は、上の視野よりも、時間的及びコントラスト感度、視力、空間分解能、配向、色相、及び動作処理において優位性を示すことが知られている。右の視野は、左の視野よりも、高い空間周波数及び局所刺激に対して優位性を示すことが知られている。
【0074】
レンズ要素上の光学要素の密度は、レンズを着用している人の視力に直接影響を及ぼす。特に、レンズ要素上の光学要素の高い密度は、レンズ要素上の光学要素の低い密度よりも低い視力に関連付けられる。
【0075】
有利には、レンズ要素の左象限及び/又は下象限において光学要素の密度がより低いことにより、より良好な視力、コントラスト感度、空間分解能、色相及び動作処理、高周波数処理、並びに局所刺激処理を提供する。言い換えれば、前記レンズ要素を着用する人の視覚能力及び快適性が改善される。
【0076】
図3及び図4に示されるように、左象限Q3及び/又は下象限Q4における光学要素14の屈折力は、右象限Q1及び/又は上象限Q2の光学要素の屈折力よりも高くてもよい。同様に、左象限Q3及び/又は下象限Q4における光学要素の平均屈折力は、右象限Q1及び/又は上象限Q2における光学要素の平均屈折力よりも高くてもよい。
【0077】
有利には、レンズ要素の上象限及び/又は右象限よりもレンズ要素の下象限及び/又は左象限においてより高い屈折力を有する光学要素を有することにより、着用者の全体的な視覚能力を改善しながら、着用者の眼の異常屈折の進行を減速させる近視抑制システム信号を生成することを可能にする。
【0078】
図3に示されるように、レンズ要素の上象限及び右象限よりも下象限及び/又は左象限において、光学要素14の密度はより低く、平均屈折力又は光学要素の平均屈折力は高くてもよい。
【0079】
有利には、光学要素の密度が低い象限において光学要素の屈折力を増加させることにより、強い近視抑制信号を提供することを可能にし、それによって、着用者に対して最良の視覚能力及び視覚的快適性を維持しながら、着用者の眼の異常屈折の進行を減速させることを可能にする。
【0080】
光学要素14は、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数が、前記断面の一点から前記断面の周辺部に向かって変化する、例えば増加又は減少するように構成され得る。
【0081】
公知のように、最小曲率CURVminは次式により非球面表面上の任意の点で定義される。
【数1】
式中、Rmaxはメートル単位で表される局所最大曲率半径であり、CURVminはジオプタ単位で表される。
【0082】
同様に、最大曲率CURVmaxは次式により非球面表面上の任意の点で定義され得る。
【数2】
式中、Rminはメートル単位で表される局所最小曲率半径であり、CURVmaxはジオプタ単位で表される。
【0083】
表面が局所的に球面である場合、局所最小曲率半径Rminと局所最大曲率半径Rmaxは等しく、したがって最小及び最大曲率CURVminとCURVmaxも同一であることに留意され得る。表面が非球面の場合、局所最小曲率半径Rminと局所最大曲率半径Rmaxは異なる。
【0084】
最小及び最大曲率CURVmin、CURVmaxのこれらの式から、SPHmin及びSPHmaxとラベル付けされた最小及び最大球面は考慮される面の種類から推論できる。
【0085】
考慮される面が物体側の面(前面とも呼ばれる)である場合、式は以下の通りである。
【数3】
式中、nはレンズの組成材料の屈折率である。
【0086】
考慮される面が眼球側の面(背面とも呼ばれる)である場合、式は以下の通りである。
【数4】
式中、nはレンズの組成材料の屈折率である。
【0087】
公知のように、非球面表面上の任意の点における平均球面度数SPHmeanも次式により定義され得る。
【数5】
【0088】
したがって、平均球面度数の式は、考慮される表面に依存し、表面が物体側の面であれば、
【数6】
であり、
表面が眼球側の面であれば、
【数7】
である。
【0089】
円柱CYLもまた、次式:
CYL=|SPHmax-SPHmin
によって定義される。
【0090】
光学要素14は、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均円柱度数が、前記断面の一点から前記断面の周辺部に向かって変化する、例えば増加又は減少するように構成され得る。
【0091】
レンズ要素の断面に沿って光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数を変化させることにより、眼の異常屈折の進行をより良好に抑制することにつながる、近視抑制信号の強度の拡大による焦点ぼけの変化を可能にする。
【0092】
光学要素14は、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が前記断面の中心から前記断面の周辺部に向かって増加するように構成され得る。
【0093】
光学要素は、標準着用状態下で少なくとも1つの断面が水平方向断面であるように構成され得る。
【0094】
屈折領域12は、光学的中心を含んでもよく、光学要素14は、レンズ要素の光学的中心を通過する任意の断面に沿って、光学要素の平均球度数及び/又は平均円柱度数が変化する、例えばレンズ要素の光学的中心から周辺部に向かって増加するように構成され得る。
【0095】
屈折領域12は、遠方視基準点、近方視基準点、及び遠方視基準点と近方視基準点とを結ぶ経線を含み得、光学要素14は、標準着用状態下でレンズ要素の任意の水平方向断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が変化するように、例えば、前記水平方向断面と経線との交線からレンズ要素の周辺部に向かって増加するように構成され得る。
【0096】
断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数増加又は減少関数は、経線に沿って前記断面の位置に応じて異なり得る。
【0097】
断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数増加若しくは減少関数は、非対称であってもよい。
【0098】
光学要素14は、レンズ要素の少なくとも1つの断面に沿って、光学要素の平均球面度数及び/又は平均円柱度数が、前記断面の第1の点から前記断面の周辺部に向かって増加し、前記断面の第2の点から前記断面の周辺部に向かって減少するように構成されてもよく、第2の点は第1の点よりも前記断面の周辺部に近い。
【0099】
有利には、着用者の眼の異常屈折の進行の減速を改善することを可能にする。
【0100】
少なくとも1つの断面に沿った平均球面度数及び/又は平均円柱度数変動関数は、ガウス関数又は二次関数であってもよい。
【0101】
光学要素14の少なくとも一部、例えば50%超、好ましくは全部は、0.2mm以上、例えば0.4mm以上、例えば0.6mm以上、例えば0.8mm以上であり、且つ2.0mm以下、例えば1.0mm以下の直径を有する円に内接可能な輪郭形状を有するマイクロレンズであってもよい。
【0102】
或いは、図3に示されるように、光学要素は、半環状形状を有してもよい。
【0103】
有利には、半環状形状は、光学要素によって覆われるレンズ要素の面積を増加させ、それによってより高いレベルの近視抑制信号を生成し、したがって着用者の眼の異常屈折の進行抑制を改善する。
【0104】
図4に表されるように、光学要素14の少なくとも1つ、例えば全部は、非連続であってもよい。
【0105】
図1及び図3に表されるように、光学要素の少なくとも1つ、好ましくは、全部は、連続している。
【0106】
本開示での意味において、レンズ基面の表面上に配置された2つの光学要素が隣接するのは、2つの光学要素をリンクする前記表面により支持された経路が存在する場合、及び光学要素が配置された基面に前記経路に沿って到達しない場合である。
【0107】
少なくとも2つの光学要素が配置された表面が球面である場合、基面は、前記球面に対応する。言い換えれば、球面上に配置された2つの光学要素が隣接するのは、前記球面により支持されていて当該光学要素を接続している経路が存在する場合、且つ前記経路に沿って球面に到達できない場合である。
【0108】
少なくとも2つの光学要素が配置された表面が非球面である場合、基面は前記非球面表面に最も良く適合する局所球面に対応する。言い換えれば、非球面表面上に配置された2つの光学要素が隣接するのは、前記非球面表面により支持されていて当該光学要素を接続している経路が存在する場合、且つ前記経路に沿って非球面表面に最も良く適合する球面に到達できない場合である。
【0109】
有利には、隣接する光学要素を有することは、レンズ要素の美観を向上させるのに役立ち、且つ製造がより容易である。
【0110】
光学要素14の少なくとも1つ、例えば全部は、例えば屈折領域の一部の周囲に環状形状又は半環状形状を有する。有利には、それにより、屈折領域及び光学要素の良好な分配を提供することにより、着用者の眼の屈折異常の進行を減少又は少なくとも遅延させる光学要素の効果的関数を維持しながら、前記屈折異常をより良好に矯正できるようにする。
【0111】
光学要素14の少なくとも一部、例えば全部は、レンズ要素の前面上に配置されてもよい。レンズ要素の前面は、物体に向かって面するレンズ要素の物体側F1に対応する。
【0112】
光学要素14の少なくとも一部、例えば全部は、レンズ要素の背面上に配置されてもよい。レンズ要素の背面は、眼に向かって面するレンズ要素の眼球側F2に対応する。
【0113】
光学要素14の少なくとも一部、例えば全部は、例えばレンズ要素が2枚のレンズ基面の間に封入されている場合、レンズ要素の前面と背面との間に配置されてもよい。有利には、光学要素に対するより良好な保護を提供する。
【0114】
或いは、レンズ要素は、屈折領域12を有する眼用レンズと、複数の光学要素14を有し、且つレンズ要素が着用されるときに眼用レンズに取り外し可能に取り付けられるように適合されたクリップオンとを備え得る。有利には、眼球の異常屈折を減速させる機能がいつ存在すべきかを管理することを可能にする。
【0115】
半径+5mm以上のレンズ要素の光学的中心の距離に位置する幾何学的中心を含む、2~4mmに含まれる前記半径を有する円形ゾーンごとに、前記円形ゾーンの内側に位置する光学要素14の面積の合計と前記円形ゾーンの面積との間の比率は、20%~70%に含まれる。
【0116】
光学要素は、レンズ要素上にランダムに分配されてもよい。或いは、光学要素は、ネットワーク、例えば構造化されたメッシュ上のレンズ要素上に配置される。構造化されたメッシュは、四角形メッシュ、又は六角形メッシュ、又は三角形メッシュ、又は八角形メッシュであってもよい。或いは、メッシュ構造は、ランダムなメッシュ、例えばボロノイメッシュであってもよい。
【0117】
図1及び図4に示されるように、光学要素14は、複数の同心リングに沿って編成されてもよい。光学要素の同心リングは、環状リングであってもよい。
【0118】
有利には、そのような構成は、着用者の眼の異常屈折の減速と、着用者の視覚能力又は快適性との間に優れたバランスを提供する。
【0119】
特に、光学要素は、光学要素の少なくとも2つの群に編成することができ、光学要素の各群は、同じ中心を有する少なくとも2つの同心リングに編成される。各群の光学要素の同心リングは、内径及び外径によって定義される。
【0120】
光学要素の各群の同心リングの内径は、光学要素の前記群の少なくとも1つの光学要素に接する最小の円に対応する。光学要素の同心リングの外径は、前記群の少なくとも1つの光学要素に接する最大の円に対応する。
【0121】
例えば、レンズ要素は、光学要素のn個のリングを含んでもよく、finner 1は、レンズ要素の光学的中心に最も近い同心リングの内径を指し、fouter 1は、レンズ要素の光学的中心に最も近い同心リングの外径を指す。
【0122】
光学要素の2つの連続する同心リングiとi+1間の距離Dは次式:
=|finner i+1-fouter i
で表すことができ、ここで、fouter iは、光学要素の第1のリングiの外径を指し、finner i+1は、第1のリングに連続していてレンズ要素の周辺部により近い光学要素の第2のリングi+1の内径を指す。
【0123】
光学要素は、レンズ要素の表面の光学的中心に中心を有する同心リングに編成され得る。言い換えれば、レンズ要素の光学的中心及び光学要素の同心リングの中心は、一致し得る。例えば、レンズ要素の幾何学的中心、レンズ要素の光学的中心、及び光学要素の同心リングの中心は一致する。本開示での意味において、一致するという用語は、実際に互いに近接する、例えば1.0mm未満の距離があることと理解されたい。
【0124】
2つの連続する同心リング間の距離Dは、iに応じて変化し得る。例えば、2つの連続する同心リング間の距離Dは、1.0mm~5.0mmの間で変化し得る。
【0125】
光学要素の2つの連続する同心リング間の距離Dは、1.00mmよりも大きくてもよく、好ましくは2.0mm、より好ましくは4.0mm、更により好ましくは5.0mmである。有利には、光学要素の2つの連続する同心リング間の距離Dを1.00mmよりも大きくすることにより、光学要素のこれらのリング間の屈折領域をより大きく管理することを可能にし、その結果、より良好な視力を提供する。
【0126】
本開示の一実施形態によれば、2つの連続する同心リングiとi+1間の距離Dは、iがレンズ要素の周辺部に向かって増加すると増加し得る。
【0127】
光学要素の同心リングは、9mm~60mmに含まれる直径を有し得る。
【0128】
レンズ要素は、少なくとも2つの同心リング、好ましくは5つ超、より好ましくは10個超の同心リングに配置された光学要素を含み得る。例えば、光学要素は、レンズの光学的中心に中心を有する11個の同心リングに配置され得る。
【0129】
レンズ要素の同心リング上の全ての光学要素の直径diは、同一であってもよい。例えば、レンズ要素上の全ての光学要素は、同一の直径を有する。
【0130】
図4に示されるように、光学要素14は、複数の放射状セグメントに沿って編成され得る。放射状セグメントは、レンズ要素の基準点、例えばレンズ要素の光学的又は幾何学的中心に中心を有し得る。
【0131】
本発明者らは、斜め方向にわたって送達される近視抑制信号のレベルが、枢軸方向にわたって提示される近視抑制信号のレベルよりも顕著に高く、それによって、視覚知覚の点で副作用のない、グローバルに良好な近視抑制治療がもたらされることを観察した。言い換えれば、そのような構成により、着用者の最適な視覚能力又は快適性を維持しながら、着用者の眼の異常屈折の減速を改善する。
【0132】
光学要素は、レンズの少なくとも1つの断面に沿って、光学要素のサイズ又は直径が、前記断面の一点から前記断面の周辺部に向かって変化する、例えば増加又は減少するように構成されてもよい。
【0133】
光学要素は、光学要素のサイズ又は直径が、レンズ要素の前記断面の第1の点から前記断面の周辺部に向かって増加し、前記断面の第2の点から前記断面の周辺部に向かって減少するように構成されてもよく、第2の点は第1の点よりも前記断面の周辺部に近い。
【0134】
レンズ要素は、2つの同心リングの間に放射状に配置された光学要素を更に含んでもよい。
【0135】
本開示は更に、レンズ要素10を判定及び/又は最適化及び/又は提供するために、例えばコンピュータ手段によって実施される方法に関する。
【0136】
図5に示されるように、本方法は、着用者のデータが取得されるステップS2を含む。着用者のデータは、少なくとも処方データを含む。処方データは、少なくとも、着用者の眼の異常屈折を矯正するように適合された所定の屈折力Pxに関する。
【0137】
着用者のデータは、着用者に適合されたレンズ要素10の着用状態に関連する着用状態データを更に含み得る。例えば、着用状態データは、標準的な着用状態に対応し得る。或いは、着用状態データは、着用者に対して測定され、及び/又は例えば、着用者から取得された形態学的又は姿勢的情報に基づいてカスタマイズされ得る。
【0138】
本方法は、非対称性データを取得するステップS4を更に含む。非対称性データは、少なくとも視野にわたる着用者の機能的非対称性に関する。
【0139】
「機能的非対称性」という用語は、いくつかの視覚刺激及び/又はいくつかの特定の網膜位置での刺激に対する優先的な生理学的反応に起因する知覚の変動性又は非対称性を指す。例えば、機能的非対称性は、刺激に対する知覚の関係が刺激の配向によって変化する配向処理における着用者の非対称性を指す場合がある。同様に、機能的非対称性は、動作処理における着用者の非対称性及び/又は空間周波数処理における着用者の非対称性を指す場合がある。
【0140】
機能的非対称性データは、垂直及び水平経線に沿って、すなわち4象限に対応する視野の一部において表示された視覚刺激に対する着用者の反応を測定することによって取得され得る。例えば、視力の場合、様々な空間周波数の100%コントラスト正弦波グレーティングが、視野の異なる象限内に表示される。
【0141】
本方法は、その間に、着用者のデータ及び非対称性データに基づいて光学要素の少なくとも1つのパラメータが判定及び/又は最適化されるステップS8を更に含む。
【0142】
光学要素のパラメータは、レンズ要素10の各象限Q1~Q4における光学要素14の屈折力及び/若しくは光学要素14の平均屈折力、並びに/又はレンズ要素10の各象限Q1~Q4における光学要素14の密度を指し得る。
【0143】
光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化することは、左象限Q3及び下象限Q4における光学要素の密度及び/又は屈折力及び/又は平均屈折力を判定することを指し得る。
【0144】
有利には、着用者のデータ及び非対称性データに基づいて光学要素の少なくとも1つのパラメータを最適化することにより、着用者の眼の異常屈折を減速及び矯正するための最適なレンズ要素を提供することを可能にする。言い換えれば、視覚能力及び快適性と、眼の異常屈折を減速させる機能との間の最適化されたバランスを有するレンズ要素を提供することを可能にする。
【0145】
図5に示されるように、本方法は、感度データが取得されるステップS6を更に含み得る。感度データは、少なくとも、視野全体にわたる着用者の視覚感度に関する。
【0146】
視覚感度データは、着用者の視力、より具体的には着用者の視力の低下に関連し得る。着用者の視力は前記着用者の視覚処理系の空間分解能の測定値である。視力は一般に明瞭な視覚を指す。
【0147】
視覚感度データは、コントラスト感度、より具体的にはコントラスト感度の損失に関するものであり得る。コントラスト感覚は、隣接領域の明るさの違いを識別する個人の能力に関連する。一般に、コントラスト感覚は下段ほどコントラストが低下する横一列の文字からなるペリーロブソン図を用いて測定される。加えて、コントラスト感度は、ガボールパッチ及び正弦波グレーティングを使用して測定され得る。
【0148】
視覚感度データは、動作感度、より具体的には動作感度の損失に関するものであり得る。動作感度は、人が動いている刺激を識別する能力に関連する。
【0149】
視覚感度データは、着用者の快適さのレベルに関連し得る。着用者の快適さのレベルは、眼用レンズを通して見ている間の快適さの知覚品質を表す。
【0150】
本方法は、着用者のデータ及び光学要素の最適化されたパラメータに基づいてレンズ要素を製造するステップS10を更に含み得る。レンズ要素を製造するステップはまた、光学要素の屈折及び部分の少なくとも一部の上方に少なくとも1層のコーティング要素を適用することを含み得る。
【0151】
本開示は、プロセッサにとってアクセス可能であり、且つプロセッサによって実行される場合に、プロセッサに本開示による方法のステップを実行させる1つ以上の記憶された命令のシーケンスを含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0152】
本開示は更に、本開示によるコンピュータプログラム製品の1つ以上の命令シーケンスを担持するコンピュータ可読媒体に関する。
【0153】
更に、本開示は、本開示の方法をコンピュータに実行させるプログラムに関する。
【0154】
本開示はまた、その上に記録されるプログラムを有するコンピュータ可読記憶媒体に関し、ここで、プログラムはコンピュータに本開示の方法を実行させる。
【0155】
本開示は更に、1つ以上の命令のシーケンスを記憶し、本開示による方法のステップの少なくとも1つを実行するように適合されたプロセッサを備えるデバイスに関する。
【0156】
本開示は更に、コンピュータによって読み取り可能であり、本開示の方法を実行するためにコンピュータにより実行可能な命令のプログラムを有形に具体化する、非一時的プログラム記憶装置に関する。
【0157】
以下の検討により明らかなように、特に明記のない限り、本明細書を通じて、「コンピューティング」、「計算」、又は「生成」などの用語を用いる検討は、コンピューティングシステムのレジスタ及び/又はメモリ内部の電子的などの物理的数量として表されるデータを、コンピューティングシステムのメモリ、レジスタ、又は他のそのような情報記憶装置、転送、或いは表示デバイス内部の物理的数量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ又はコンピューティングシステム、又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又は処理を指すことは正しく理解される。
【0158】
本発明の実施形態は、本明細書中の操作を行うための装置を含んでいてもよい。この装置は、所望の目的のために特別に構築されてもよく、又は、コンピュータ内に記憶されるコンピュータプログラムによって選択的に起動されるか又は再構成される汎用コンピュータ又はデジタル信号プロセッサ(「DSP」)を含んでもよい。かかるコンピュータプログラムは、フロッピーディスク、光ディスク、CD-ROM、光磁気ディスク、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、電気的プログラム可能読出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能及びプログラム可能読出し専用メモリ(EEPROM)、磁気又は光カードを含む任意の種類のディスク、又は電子的命令を格納するために適しており且つコンピュータシステムバスに結合することが可能なその他の種類の媒体などであるが、これらに限定されないコンピュータ可読記憶媒体内に格納されてもよい。
【0159】
本明細書中に提示する処理及び表示は、本質的に、いずれか特定のコンピュータ又は他の装置に関係しない。様々な汎用システムが本明細書中の教示に従うプログラムと共に使用される場合があり、又は、所望の方法を行うためにより特化した装置を構築することが便利であることが判明する場合がある。様々なこれらのシステムに対する所望の構造は以下の説明から出現することになる。加えて、本発明の実施形態は任意の特定のプログラミング言語を参照して説明しない。様々なプログラミング言語が本明細書中で説明するような本発明の教示を実施するために用いられてもよいことは、正しく理解されるであろう。
【0160】
上述の例示的実施形態を参照することで当業者には多くの更なる変更及び変形が明らかになるが、これらは例示目的で提供されるにすぎず、添付の請求項によってのみ判定される本開示の範囲を限定することを意図していない。
【0161】
請求項において、単語「含む」は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は複数を除外しない。互いに異なる従属請求項で異なる特徴が引用されていたとしても、これらの特徴の組み合わせが有利に使用できないことを意味しない。請求項におけるいかなる参照符号も本開示の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0162】
10 レンズ要素
12 屈折領域
14 光学要素
16 中心ゾーン
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】