(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】メイクアップ化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/895 20060101AFI20240614BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240614BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240614BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240614BHJP
A61K 8/29 20060101ALI20240614BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240614BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K8/895
A61K8/891
A61Q1/02
A61K8/31
A61K8/29
A61K8/19
A61K8/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023580876
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-27
(86)【国際出願番号】 FR2022051315
(87)【国際公開番号】W WO2023275500
(87)【国際公開日】2023-01-05
(32)【優先日】2021-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500078211
【氏名又は名称】エル・ヴェ・エム・アッシュ ルシェルシュ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100206324
【氏名又は名称】齋藤 明子
(72)【発明者】
【氏名】アザズ,レイラ
(72)【発明者】
【氏名】シャントゥフィ,ナイマ
(72)【発明者】
【氏名】ノエ,ブリジット
(72)【発明者】
【氏名】ムラ,アニー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB172
4C083AB222
4C083AB231
4C083AB232
4C083AB241
4C083AB242
4C083AB432
4C083AC102
4C083AC112
4C083AC342
4C083AC542
4C083AC662
4C083AC812
4C083AC842
4C083AD072
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD162
4C083BB14
4C083CC11
4C083DD32
(57)【要約】
生理学的に許容される媒体中に、少なくとも以下の成分:
a)カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマー、
b)化合物a)とは異なるシリコーンアクリレートポリマー、
c)1種以上の揮発性オイル、
d)C8-22アルキルジメチコン、及び、
e)疎水化剤で表面処理された着色剤
を含み、
油中水滴型エマルションの形態であり、
ケラチン物質、特に皮膚に用いられる、メイクアップ化粧料組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に、少なくとも以下の成分:
a)カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマー、
b)化合物a)とは異なるシリコーンアクリレートポリマー、
c)1種以上の揮発性オイル、
d)C
8-22アルキルジメチコン、及び、
e)疎水化剤で表面処理された着色剤
を含み、
油中水滴型エマルションの形態であり、
ケラチン物質、特に皮膚に用いられる、メイクアップ化粧料組成物。
【請求項2】
前記カルボシロキサンデンドリマーに由来する単位を少なくとも1つ有するビニルポリマーが、カルボシロキサンデンドリマー構造を含む分子側鎖を有し、
以下の成分:
(A)ビニルモノマー0~99.9質量部;及び
(B)一般式(I)で表される、ラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー100~0.1質量部:
【化1】
[式中、
Yは、ラジカルにより極性化され得る有機基を表し、
R
1は、炭素原子数5~10のアリール基又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、及び
X
iは、i=1のとき、式(II)で表されるシリルアルキル基を表す:
【化2】
[式中、
R
1は、式(I)におけるR1と同意義であり、
R
2は、炭素原子数2~10のアルキレン基を表し、
R
3は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
X
i+1は、水素原子、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数5~10のアリール基、又は式(II)において、i=i+1として上記定義されるシリルアルキル基を表し、
iは、1~10の整数であって、前記シリルアルキル基の発生回数を表し、及び、
a
iは、0~3の整数である]
ここで、成分(A)に含まれる前記ラジカル重合可能な有機基は、以下:
メタクリル基又はアクリル基を有する有機基であって、以下の式:
【化3】
又は、
【化4】
[式中、
R
4は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
5は、炭素原子数1~10アルキレン基を表す。]
で表される基;及び、
以下の式:
【化5】
[式中、
R
6は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
7は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し
R
8は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、
bは0から4の整数であり、
cは0又は1の値を有し、cが0の場合、-(R
8)
c-は、単結合を表す。]
で表されるスチリル基を含む有機基;から選択される。]
の重合に由来する、請求項1に記載の組成物
【請求項3】
前記ビニルポリマーが、以下の式:
【化6】
又は
【化7】
の何れかに該当する、トリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
カルボシロキサンデンドリマーに由来する単位を少なくとも1つの有するビニルポリマーが、INCI名:アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
化合物a)とは異なる前記シリコーンアクリレートポリマーb)が、メタクリル基及びポリジメチルシロキサン基を含み、好ましくはアクリレート/ジメチコンコポリマーから選択される、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記C
8-22アルキルジメチコンが、セチルジメチコンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記着色剤が、シリコーン表面剤、N-アシルアミノ酸及びそれらの塩からなる群から選択される疎水化剤によって表面処理された顔料である、請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物であって、組成物の総重量に対して、以下の成分:
a)乾燥物として、好ましくは0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%の含有量のアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、
b)乾燥物として、好ましく0.5~7%、特に0.8~5%、好ましくは1~3質量%の含有量のアクリレート/ジメチコンコポリマー、
c)好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20質量%の合計含有量の揮発性オイル、
d)好ましくは0.05%~5質量%、特に0.05%~3質量%、特に0.1%~2%、好ましくは0.5%~1質量%の含有量のセチルジメチコン、及び、
e)好ましくは2~30%、特に4~25%、特に10~20質量%の含有量の疎水化剤、特にN-アシルアミノ酸又はその塩によって表面処理された顔料。
を含む、組成物。
【請求項9】
1種以上のグリコールをさらに含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
ケラチン物質、特に皮膚をメイクアップするための方法であって、請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物を、皮膚、特に顔面及び/又は首筋に適用することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、皮膚用のメイクアップ化粧料組成物、特に、保持性(非転写性)を損なうことなく、皮膚に改良された色特性(色忠実性及び安定性)を付与し得るフルイドファンデーションに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚用のメイクアップ組成物、具体的には、ファンデーションは、特に皮膚の視覚的及び/又は触覚的な凹凸を低減させて皮膚の美的外観を改善するために長年使用されてきた。今日、消費者は、より軽く、快適なガレニックス(キャリアベース)であって、自然なメイクアップ効果を有し、メイクアップの結果(カバー力があるものの自然)及び保持性(好ましくは24時間保持される)を損なわないものを求めている。先行技術から、皮膚への良好な付着性のため、シリコーンオイルと疎水性処理顔料を含む油中水滴型エマルションを使用し、付着物の保持を改善するためにフィルム形成性ポリマーを使用することが知られているが、保持性(非転移性)を損なうことなく、改善された色特性(色忠実性と安定性)を有する新規組成物を開発する必要性が残されている。
【0003】
本出願人は、2種の異なるシリコーンアクリレートポリマーと揮発性オイルと疎水化剤により処理された顔料を含む油中水滴型エマルションにおいて、C8-22アルキルジメチコン、特にセチルジメチコンを用いることにより、上記の要望に応えることができることを適切に実証した。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の目的は、ケラチン物質、特に皮膚に用いられるメイクアップ化粧料組成物であって、油中水滴型エマルションの形態であり、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも、以下の成分:
a)カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマー、
b)化合物a)とは異なるシリコーンアクリレートポリマー、
c)1種以上の揮発性オイル、
d)C8-22アルキルジメチコン、及び、
e)疎水化剤で表面処理された着色剤
を含む、メイクアップ化粧料組成物を提供することにある。
【0005】
上記カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマー」とは、該ビニルポリマーがカルボシロキサンデンドリマー構造を含む分子側鎖を有することを意味する。
【0006】
本開示はまた、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔及び/又は首の皮膚のメイクアップのための化粧方法であって、上記ケラチン物質上に、本開示によって定義される化粧料組成物の少なくとも1種を適用することを含む、化粧方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、特に、ケラチン物質、特に皮膚に用いられるメイクアップ化粧料組成物であって、油中水滴型エマルションの形態であり、生理学的に許容される媒体中に、少なくとも、以下の成分:
a)カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマー、
b)化合物a)とは異なるシリコーンアクリレートポリマー、
c)1種以上の揮発性オイル、
d)C8-22アルキルジメチコン、及び、
e)疎水化剤で表面処理された着色剤
を含む、メイクアップ化粧料組成物に関する。
【0008】
C8-22アルキルジメチコン、特にセチルジメチコンが存在することで、塗布時のカラープレースメントと経時的な色の安定性が向上し得る。
【0009】
本開示において、塗布時の「カラープレースメント」という用語は、つけた後に得られるメイクアップ結果(色)を意味する。最終的な結果は、一般的に5分から30分の間に得られる。ポンプ出口での色(バルクでの色)に可能な限り忠実な塗布後の色が求められる。塗布時の「色の忠実度」について言及する。
【0010】
本開示において、経時的な「色変化」という用語は、一日の時間経過(塗布後6~8時間)にわたる色の変化を意味する。より具体的には、一旦塗布されると(上記参照)、皮膜の安定性(質感)及び皮膚との相互作用(皮脂の分泌など)に応じ、一日の間に色が(多少の程度の差はあったとしても)変化する可能性がある。6~8時間経過後の色は、塗布後の色にできるだけ忠実なもの、言い換えれば、時間の経過による色変化が少ないものが求められる。「色忠実性」あるいは「色の経時安定性」ともいう。
【0011】
オイル相
本開示の組成物は、少なくとも1つのオイル相を含む。
【0012】
本開示において、「オイル相」という用語は、単一のオイル、又は、相互に混和可能な複数のオイルの混合物を意味するものとする。
【0013】
本開示において、「オイル」という用語は、水に溶解せず、25℃及び大気圧で液体である脂肪質を意味するものとする。
【0014】
本開示におけるオイル相は、シリコーン系炭化水素オイル、及び、それらの混合物を含み得、上記シリコーン系炭化水素オイルは、フッ素化されていてもよくフッ素化されていなくともよい。本開示の組成物は、好ましくは、少なくともシリコーンオイルを含み得、任意に炭化水素油をさらに含み得る。
【0015】
本開示において、「炭化水素オイル」とは、主に水素原子及び炭素原子を含むオイルを意味するものとする。
【0016】
本開示において、「シリコーンオイル」とは、少なくとも1つのケイ素原子、特にSi-O基を含むオイルを意味するものとする。
【0017】
本開示において、「フッ素化オイル」とは、少なくとも1つのフッ素原子を含むオイルを意味する。
【0018】
これらのオイルは、揮発性であっても不揮発性であってもよく、植物性、鉱物性又は合成オイルであってもよい。
【0019】
本開示において、「揮発性オイル」という用語は、以下の試験方法を実施した場合において、15分後にその質量の20%以上、30分後にその質量の40%以上、60分後にその質量の70%以上を失った油を意味する:
マイクロピペットと精密天秤を用い、5cm×5cmのPMMAプレート上に測定対象のオイル20mgを秤量する。この材料を指でプレート全体に広げる。該プレートを、25℃、湿度50%の恒温換気槽内に配置する。試験は、各材料について3回実施する。
乾燥中の質量損失は、15分後、30分後、60分後に測定する。質量損失は以下の計算式によって表される:
【0020】
【0021】
上記式において、mtxは測定時(15分後、30分後又は60分後)に残った質量に対応し、mt0は最初に塗布した質量に対応する。
【0022】
本開示において、「不揮発性オイル」という用語は、上記の「揮発性オイル」の定義に該当しない油を意味するものとする。
【0023】
油は、組成物の総重量に対して10~20質量%の範囲の含有量で本開示の組成物中に存在し得る。本明細書において、不揮発性オイル分又は揮発性オイル分に関連して示された油分には、例えば、ゲル化剤、フィルム形成ポリマー、及び顔料のような化合物を分散させるための溶媒と同様、原料中に存在する油分も含めてよい
【0024】
揮発性オイル
本開示の組成物は、該組成物の総重量に対して、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~35質量%、好ましくは15~30質量%の範囲の総含有量で、1種以上の揮発性オイルを含み得る。
【0025】
ある実施形態によれば、上記1種以上の揮発性オイルは、上記組成物の総重量に対して、総含有量として、5~60質量%、好ましくは少なくとも10質量%、より好ましくは少なくとも20質量%、さらに好ましくは少なくとも25質量%の総含有量で、組成物中に存在し得る。
【0026】
多量の揮発性相、特に揮発性オイルは、軽い組成物を提供し得、皮膚に容易に適用され得る;揮発性オイルは、適用中、皮膚に対する膜のプレースメントに関与し、蒸発することで、皮膚上に膜が付着することとなり、素肌感覚を残しつつ、肌に対し物質効果を及ぼすことがなく、また、肌へのマスキング効果を有することもない。
【0027】
揮発性炭化水素オイルとしては、特に、C8-16分岐アルカン、C8-16分岐エステル、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0028】
揮発性シリコーンオイルとしては、特に、直鎖状揮発性シリコーンオイルが挙げられる。
【0029】
本開示の組成物に使用される揮発性オイルは、好ましくは、揮発性シリコーン又は飽和分枝鎖炭化水素であり得る。
【0030】
揮発性オイルは、特に、粘度が0.5~6cStの範囲にあるジメチコン(ポリジメチルシロキサン)、アルキルトリシロキサン及びシクロメチコン等のシリコーンオイルから選択することができる。これらの例としては、ヘキサメチルジシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタメチル-3-(トリメチルシリルオキシ)トリシロキサン(別称メチルトリメチコン)、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、及びこれらの混合物が含まれる。
【0031】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、粘度が0.5~6cStの範囲にあるジメチコン、メチルトリメチコン及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の揮発性シリコーンオイルを含み得る。
【0032】
揮発性炭化水素オイルは、ネオペンタン酸イソヘキシル;イソドデカン、イソデカン、イソヘキサデカン、n-ドデカン(C12)、n-テトラデカン(C14)等の炭化水素;又はそれらの混合物であり得る。
【0033】
ある実施形態によれば、本開示の組成物は、少なくともイソドデカンを含み得る。
【0034】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、少なくとも2種のシリコーンオイル揮発分(5-cstジメチコン及びメチルトリメチコン)と、揮発性炭化水素オイル(イソドデカン)とを含み得る。
【0035】
ある実施形態によれば、本開示の組成物は、10%未満、特に5%未満の不揮発性オイルを含み得るか、或いは、不揮発性オイルを含まなくともよい。
【0036】
カルボシロキサンデンドリマー単位を有するビニルポリマー(デンドリマー単位を有するシリコーンアクリレートポリマー)
【0037】
本開示の組成物は、デンドリマー単位を有するシリコーンアクリレートポリマー、特にカルボシロキサンデンドリマー単位を有するビニルポリマーを含み得る。
【0038】
ビニルポリマーは、特に、骨格及び少なくとも1つの側鎖を有し、この側鎖は、ダウケミカル社の出願、国際出願2003/045337号及び欧州特許公開第0963 751号に記載されるようなカルボシロキサンデンドリマー構造を有するカルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を含み得る。
【0039】
本開示において、用語「カルボシロキサンデンドリマー構造」は、高分子量の分岐基を有する分子構造を表し、上記構造は、骨格との結合を起点として径方向に高い規則性を有する。このようなカルボシロキサンデンドリマー構造は、特開平09-171154号として出願され、特開平11-001530号で公開された日本特許出願において、高度に分岐したシロキサン-シリルアルキレン共重合体の形態として記載されている。
【0040】
カルボシロキサンデンドリマーに由来する少なくとも1つの単位を有するビニルポリマーは、カルボシロキサンデンドリマー構造を含む分子側鎖を有し、以下の成分:
(A)ビニルモノマー0~99.9質量部;及び
(B)一般式(I)で表され、ラジカル重合可能な有機基を有するカルボシロキサンデンドリマー100~0.1質量部:
【0041】
【化1】
[式中、
Yはラジカル重合可能な有機基を表し、
R
1は、炭素原子数5~10のアリール基又は炭素原子数1~10アルキル基を表し、
X
iは、i=1のとき、式(II)で表されるシリルアルキル基を表す:
【0042】
【化2】
[式中
R
1は式(I)におけるR
1と同意義であり、
R
2は、炭素原子数2~10アルキレン基を表し、
R
3は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し
X
i+1は、水素原子、炭素原子数1~10アルキル基、炭素原子数5~10のアリール基、又は式(II°において、i=i+1として上記定義されるシリルアルキル基を表し
iは、1~10の整数であって、上記シリルアルキル基の発生回数を表し、
a
iは0~3の整数である。]
ここで、成分(A)に含まれるラジカル重合可能な有機基は、以下:
メタクリル基またはアクリル基を有する有機基であって 、以下の式:
【0043】
【化3】
又は
【化4】
[式中、
R
4は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し
R
5は、炭素原子数1~10アルキレン基を表す。]
で表される基;及び、
以下の式:
【0044】
【化5】
[式中、
R
6は、水素原子又は炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
7は、炭素原子数1~10のアルキル基を表し、
R
8は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、
bは、0から4の整数であり
cは、0又は1の値を有し、cが0の値である場合、-(R
8)
c-は単結合を表す。]
で表されるスチリル基を含む有機基;から選択される]
の重合に由来し得る。
【0045】
ビニルポリマーにおける成分(A)であるビニルモノマーは、ラジカル重合可能なビニル基を含有するビニル系単量体である。
【0046】
このようなモノマーとしては特に限定されない。
かかるビニルタイプのモノマーの例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、又は類似の低級アルキルメタクリレート;グリシジルメタクリレート;ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert-ブチルアクリレート、tert-ブチルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレート、又は類似の高級メタクリレート;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル又は類似の低級脂肪酸ビニルエステル;カプロン酸ビニル、2-エチルヘキソ酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル又は類似の高級脂肪酸エステル;スチレン、ビニルトルエン、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、ビニルピロリドン、又は類似の芳香族ビニルモノマー;メタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、イソブトキシメトキシメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、又はアミド基を含む類似のビニルモノマー;ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアルコールメタクリレート、又はヒドロキシル基を含む類似のビニルモノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、又はカルボキシ基を含む類似のビニルモノマー;テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ヒドロキシブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、又はエーテル結合を有する類似のビニルモノマー; メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、分子末端の一方にメタクリル基を有するポリジメチルシロキサン、分子末端の一方にスチリル基を有するポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を有する類似のシリコーン化合物;塩化ビニル・ブタジエン;塩化ビニル;塩化ビニリデン;メタクリロニトリル;ジブチルフマレート;無水マレイン酸;無水コハク酸;グリシジルメタクリルエーテル;メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、又はフマル酸の有機アミン塩、アンモニウム塩、及びアルカリ金属塩;スチレンスルホン酸基等のスルホン酸基を有するラジカル重合可能な不飽和モノマー;塩化2-ヒドロキシ-3-メタクリロキシプロピルトリメチルアンモニウムのようなメタクリル酸から誘導される第4級アンモニウム塩;及びメタクリル酸ジエチルアミン等の第3級アミノ基を有するアルコールのメタクリル酸エステル等が挙げられる。
【0047】
多官能性ビニルモノマーも使用できる。
かかる化合物の例としては、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチルメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジメタクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリメタクリレート、両末端にジビニルベンゼンを有するスチリル基でキャップされたポリジメチルシロキサン、又は不飽和基を有する類似のシリコーン化合物等が挙げられる。
【0048】
化粧品の原料の混合物の調製を容易にする観点から、カルボシロキサンデンドリマーを含むビニルポリマーの数平均分子量は、3,000g/mol~2,000,000g/mol、好ましくは5,000g/mol~800,000g/molの範囲で選択できる。かかるカルボシロキサンデンドリマーを含むビニルポリマーは、液体、ガム、ペースト、固体、粉末、又は他の形態であり得る。
【0049】
好ましい形態は、シリコーンオイル又は有機オイル等の溶媒で希釈して形成される溶液、分散液、又は粉末である。
【0050】
分散液又は溶液に含まれるビニルポリマーは、0.1~95質量%、好ましくは5~70質量%の範囲の濃度を有し得る。しかし、取り扱いや混合物の調製を容易にする観点から、好ましくは10~60質量%の範囲であり得る。
【0051】
好ましい実施形態によれば、本開示に適したビニルポリマーは、欧州特許0963751号の実施例に記載されているポリマーの1つであり得る。
【0052】
好ましい実施形態によれば、カルボシロキサンデンドリマーでグラフトされたビニルポリマーは、以下の成分を重合することにより得られる:
(A)1種以上のアクリレートモノマー又はメタクリレートモノマー0.1~99質量部、
(B)トリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーのアクリレート又はメタクリレートモノマー100~0.1質量部。
【0053】
本開示のある実施形態によれば、カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマーは、以下の式:
【0054】
【0055】
【化7】
の何れかに該当する、トリ[トリ(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチルシロキシ]シリルプロピルカルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を含む。
【0056】
好ましい実施形態によれば、本開示で使用されるカルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つの有するビニルポリマーは、少なくとも1つのブチルアクリレートモノマーを含む。
【0057】
好ましい実施形態によれば、本開示におけるグラフト化されたビニルポリマーは、特にシリコーンオイル及び炭化水素オイル、ならびにそれらの混合物から選択されるオイル、又は1種以上の、好ましくは揮発性のオイルの混合物中で輸送することができる。
【0058】
別のある実施形態によれば、本開示に適したシリコーンオイルはジメチコンであり得る。
【0059】
別のある実施形態によれば、本開示に適した炭化水素オイルはイソドデカンであり得る。
【0060】
本開示の組成物において使用可能である、カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位の少なくとも1つがグラフト化されたビニルポリマーは、好ましくは、INCI名を有する、アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマーである:アクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、特に、Dow Chemical社からDOWSIL(商標) FA 4004 IDシリコーンアクリレートの名称でイソドデカン中で販売されているもの(60%のイソドデカン中に40%のポリマー)、又はDow Chemical社からDOWSIL(商標) FA 4003 IDシリコーンアクリレートの名称でジメチコン中で販売されているもの(60%の2-cstジメチコン中に40%のポリマー)である。
【0061】
本開示のある実施形態によれば、組成物は、組成物の重量に対し、有効成分(乾燥物)として、0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%の範囲の含有量を有する、カルボシロキサンデンドリマーから誘導される単位を少なくとも1つ有するビニルポリマーを含む。
【0062】
シリコーンアクリレートポリマー(デンドリマー単位を含まない)
【0063】
本開示の組成物は、デンドリマー単位を含まないという点で化合物a)とは異なる、第二のシリコーンアクリレートポリマーb)も含み得る。
【0064】
かかるシリコーンアクリレートポリマーは、メタクリル基及びポリジメチルシロキサン基を含むコポリマーであり得る。
【0065】
本開示によれば、用語「メタクリル基及びポリジメチルシロキサン基を含むコポリマー」とは、(a)1種以上の(メタ)アクリル酸又は(メタ)アクリル酸エステルモノマー、及び(b)1種以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)鎖を用いて得られるコポリマーを意味するものとする。
【0066】
ある実施形態によれば、モノマー(a)は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、その(アクリレート、メタクリレート)エステル、及びこれらのモノマーの混合物から選択される。好ましい実施形態によれば、エステルの形態のモノマーは、直鎖状又は分枝状、好ましくはC1-24、又は、C1-22のアルキルアクリレート及びメタクリレートから選択され、そのアルキルラジカルは、好ましくはメチル、エチル、ステアリル、ブチル及びエチル-2-ヘキシルラジカル、ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0067】
本開示のある実施形態によれば、シリコーンアクリレートコポリマーは、アクリル酸、メタクリル酸、メチル、エチル、ステアリル、ブチル、エチル-2-ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの基を含み得る。
【0068】
「ポリジメチルシロキサン」(PDMS)という用語は、直鎖状構造を有するオルガノシリコーンポリマー又はオリゴマーであって、任意の分子量を有し、官能基を有するシランの重合及び/又は重縮合によって得られ、ケイ素原子が酸素原子によって互いに連結された主単位(シロキサン結合Si-O-Si4)の繰り返しによって本質的に構成され得る。上記オルガノシリコーンポリマー又はオリゴマーは、上記ケイ素原子上に炭素原子を介して直接連結されたトリメチルラジカルを含み得る。
【0069】
本開示において用いられるコポリマーを得るために使用することができるPDMS鎖は、好ましくは鎖の少なくとも一方の末端に少なくとも1つの重合可能なラジカル基を含み得る。換言すれば、PDMSは、例えば、鎖の両末端に重合可能なラジカル基を有するか、又は、鎖の一方の末端に重合可能なラジカル基を有し、鎖の他方の末端にトリメチルシリル末端基を有することができる。重合性ラジカル基は、特に、アクリル基又はメタクリル基であり得る。本開示の組成物において使用されるコポリマーは、一般に、(A)少なくとも1つの重合性ラジカル基(例えば、鎖の片末端又は両末端)及び(B)少なくとも1つのカルボン酸モノマーを含むPDMSのラジカル重合によって得られる。かかる方法については、重合及びグラフト重合における通常の方法、例えば、例えば米国特許公開第5,061,481号及び米国特許公開第5,219,560号に記載されている。得られるコポリマーは一般に、約3,000~200,000、好ましくは約5,000~100,000の範囲の分子量を有する。本開示の組成物に使用されるコポリマーは、そのままの状態でもよく、イソプロピルアルコール等の炭素原子数2~8の低級アルコール、又は揮発性シリコーンオイル(例えばメチルトリメチコン)もしくは炭化水素オイル(例えばイソドデカン)等の油のような溶媒中に分散した形態で存在し得る。
【0070】
コポリマーの例としては、ポリジメチルシロキサンでグラフトされた、アクリル酸及びステアリルアクリレートとのコポリマー;ポリジメチルシロキサンでグラフトされた、ステアリルメタクリレートとのコポリマー;ポリジメチルシロキサンでグラフトされた、アクリル酸ステアリルメタクリレートのコポリマー;ポリジメチルシロキサンでグラフトされた、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、エチル-2-ヘキシルアクリレート及びステアリルメタクリレートのコポリマー、が挙げられ、例えば信越社からKP-561(登録商標)の名称で販売されているコポリマー(INCI名:アクリレート/ステアリルアクリレート/ジメチコンメタクリレートコポリマー)、又はKP-541(登録商標)(INCI名:アクリレート/ジメチコン及びイソプロピルアルコール)が挙げられる。
【0071】
特に好ましい実施形態によれば、ポリジメチルシロキサンと、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらのエステルから選択される1種以上のモノマーとのコポリマーが使用され、例えば、信越社からKP-550(登録商標)INCI名「ACRYLATES/DIMETHICONE COPOLYMER AND ISODODECANE」として販売されている製品;又は、KP-549(登録商標)及びKP-579(登録商標)INCI名「ACRYLATES/DIMETHICONE COPOLYMER AND METHYL TRIMETHICONE」。として販売されている製品が挙げられる。
【0072】
特に好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、少なくとも1種のアクリレート/ジメチコンコポリマーのメチルトリメチコン溶液、例えばShin-EtsuからのKP-549(登録商標)を含み得る。
【0073】
本開示の一実施形態によれば、組成物は、組成物の総重量に対して、有効成分(乾燥物)として、0.5~7質量%、特に0.8%~5%、1%~3質量%の範囲の含有量で、前記シリコーンアクリレートポリマー(デンドリマー単位を含まない)を含み得る。
【0074】
本開示のある実施形態によれば、デンドリマー単位を有するシリコーンアクリレートポリマーとデンドリマー単位を有しないポリマーアクリレートとの間の乾燥物の重量比は1以上である。乾燥物の重量比は好ましくは1~3、特に1.5~2である。
【0075】
C8-22アルキルジメチコン
本開示の組成物は、少なくとも1種のC8-22、特にC12-20、又は、さらにC16-18アルキルジメチコンをさらに含み得る。
【0076】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、セチルジメチコン(C16)を含み得る。
【0077】
ある実施形態によれば、EVONIKからの市販品ABIL(登録商標) Wax9840(INCI名:セチルジメチコン)を用い得る。
【0078】
本開示の組成物中のアルキルジメチコン、好ましくはセチルジメチコンの含有量は、一般に、上記組成物の全重量に対して0.05%~5質量%、特に0.05%~3質量%、特に0.1%~2%、好ましくは0.5%~1質量%となる。
【0079】
水性相
本開示による組成物の水性相は、一般に、前記組成物の総重量に対して1~50質量%、好ましくは1~40質量%、特に5~35質量%であり得る。
【0080】
水性相は、水及び任意に用いられ得る水溶性溶媒を含み得る。
【0081】
本開示において、「水溶性溶媒」とは、室温で液体であり、水と混和性を示し得る化合物(25℃、大気圧で50質量%より大きい水中混和性)を意味する。かかる水溶性溶媒には、特に以下:
エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物等のC1-5未満のモノアルコール、好ましくはエタノール;
エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びそれらの混合物等のC2-8グリコール類;
グリセロール、ポリグリセロール、ポリエチレングリコール等のC2-32ポリオール、及びこれらの混合物、及び
それらの混合物
が含まれ得る。
【0082】
すなわち、本開示による化粧料組成物は、低級C1-5モノアルコール、C2-8グリコール、C2-C32ポリオール、及びそれらの混合物のから選択される少なくとも1種の水溶性溶媒を、好ましくは上記組成物の総重量に対して8~25質量%、特に10~20質量%の範囲の総量で含み得る。
【0083】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、少なくともエタノールを、好ましくは組成物の総重量に対して5~20質量%の範囲の量で含み得、フレッシュな効果を付与し得る。
【0084】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、組成物の総重量に対して1~10質量%、特に2~5質量%の総含有量で、造膜剤として少なくともグリコール化合物を含み得る。ある実施形態によれば、該グリコール化合物はブチレングリコールであり得る。
【0085】
着色剤
本開示に適合する組成物は、水溶性又は不溶性、脂溶性又は不溶性、有機又は無機であって、光学的効果を有する着色剤、及びそれらの混合物から選択される1種又は複数の着色剤を含む。
【0086】
本開示において、「着色剤」という用語は、適切な化粧品媒体中に十分な量で配合された場合に、光学的な着色効果を付与し得る化合物を意味するものとする。
【0087】
ある実施形態によれば、着色剤又は材料は、特に、鉱物及び/又は有機顔料(鉱物及び/又は有機材料を基礎とする)、複合顔料、着色剤、真珠層又は真珠層顔料、及びそれらの混合物の中から選択され得る。
【0088】
着色剤は、好ましくは顔料である。
【0089】
「顔料」は、白色又は有色の、無機(鉱物)又は有機粒子であり、それらが分散している有機液相に不溶性であり、組成物を着色し、及び/又は組成物及び/又は組成物を用いて生成される付着物を着色及び/又は不透明化することを意図するものと理解される。
【0090】
鉱物顔料としては、一例として、任意に表面処理された二酸化チタン(ルチル又はアナターゼ);黒色、黄色、赤色及び茶色の酸化鉄;マンガンバイオレット;ウルトラマリンブルー、酸化クロム、水和酸化クロム及び第二鉄青を挙げることができる。
【0091】
有機顔料としては、例えば、顔料D&CレッドNo.19;D&CレッドNo.9;D&CレッドNo.22;D&CレッドNo.21;D&CレッドNo.28;D&CイエローNo.6;D&CオレンジNo.4;D&CオレンジNo.5;D&CレッドNo.27;D&CレッドNo.13;D&CレッドNo.7;D&CレッドNo.6;D&CイエローNo.5;D&CレッドNo.36;D&Cレッドno.33;D&CオレンジNo.10;D&CイエローNo.30;D&CレッドNo.3;D&Cブルー1;カーボンブラックとコチニールカルミンをベースとするラッカーが挙げられる。
【0092】
水溶性着色剤としては、Yellow 5、Yellow 6、Blue 1、Green 5、Green 3、Green 6、Orange 4、Red 4、Red 21、Red 22、Red 27、Red 28、Red 33、Red 40、コチニールカルミン(Cl15850、Cl75470)が挙げられる。
【0093】
脂溶性着色剤は、例えば、スーダンレッド、D&Cレッド17、D&Cグリーン6、ベータカロチン、大豆油、スーダンブラウン、D&Cイエロー11、D&Cバイオレット2、D&Cオレンジ5、キノリンイエロー、アナトー等である。
【0094】
真珠層又は真珠層顔料は、特に、酸化チタン、オキシ塩化ビスマスで覆われた雲母等の白色真珠層顔料;及び酸化鉄を有する雲母チタン、フェリックブルー又は酸化クロムを有する雲母チタン、上記のタイプの有機顔料を有する雲母チタン、及びオキシ塩化ビスマスをベースとする顔料等の着色真珠層顔料から選択され得る。真珠層の範囲には、製品記号がReflecks(登録商標)、Ronastar(登録商標)、Timiron(登録商標)及びSyncristal(登録商標)であるものが含まれる。
【0095】
本開示における着色剤、特に顔料は、油相中の分散を改善するために、少なくとも1種の疎水性又は親油性処理剤によって表面処理され得る。
【0096】
着色剤の処理は、一般に、当業者に公知の技術に従って、表面処理剤を用い、上記顔料の一部又は全部に吸着又はグラフト化する表面処理を意味する。
【0097】
疎水性処理剤は、特に、シリコーン表面剤;フッ素化表面剤;フルオロシリコーン表面剤;金属石鹸、N-アシルアミノ酸又はそれらの塩;レシチン及びそれらの誘導体;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;ジイソステアリルセバケート;天然植物性又は動物性ワックス、合成極性ワックス;脂肪エステル;リン脂質、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0098】
ある実施形態では、疎水性処理剤は、特に、シリコーン表面剤及びN-アシルアミノ酸又はその塩からなる群から選択される。
別のある実施形態によれば、顔料はシリコーン化合物で全体的又は部分的に表面処理される。シリコーン表面剤は、オルガノポリシロキサン、シラン誘導体、シリコーン-アクリレートコポリマー、シリコーン樹脂、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0099】
例として、シリコーン化合物を用いた顔料の商業的処理には、以下が含まれる:
・トリエトキシカプリリルシラン処理、例えばLCW社からが提供するAS表面処理;
・オクチルトリエチルシラン処理、例えばDaito社が提供するOTS表面処理;
・メチコン処理、例えばLCW社が提供するSI表面処理;
・ジメチコン処理、例えばLCW社が提供するCovasil 3.05表面処理又は三好化成が提供するSA表面処理;
・ジメチコン/トリメチルシロキシシリケート処理、例えばLCW社が提供するCovasil 4.05表面処理;及び
・アクリレート/ジメチコンコポリマー処理、例えば大東薬品が提供するASC表面処理
【0100】
好ましくは、シリコーン化合物による表面処理としては、トリエトキシカプリリルシラン(AS)処理又はオクチルトリエチルシラン(OTS)処理等のシラン誘導体を用いるものや、ジメチコン(SI)処理等のオルガノポリシロキサンを用いるものが挙げられる。
【0101】
特定の好ましい実施形態によれば、着色剤、特に顔料は、2-エチルヘキサノイル基、カプロイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基又はココイル基等の炭素原子数8~22のアシル基を含み得るN-アシルアミノ酸又はその塩によって表面処理され得る。アミノ酸は、例えば、リジン、グルタミン酸又はアラニンであり得る。これらの化合物の塩は、アルミニウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、ジルコニウム塩、亜鉛塩、ナトリウム塩、又はカリウム塩であり得る。
【0102】
特に好ましい実施形態によれば、N-アシルアミノ酸の誘導体は、特に、グルタミン酸の誘導体及び/又はその塩の1つであり得、より詳細には、ステアロイルグルタミン酸、例えばステアロイルグルタミン酸アルミニウムであり得、三好化成が提供する例えばINCI名:ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム(及び)水酸化アルミニウムを用いるNAI処理;又は、ミヨシ化成が提供するINCI名:ミリストイルグルタミン酸ナトリウム(及び)水酸化アルミニウムを用いる処理であり得る。
【0103】
ある実施形態によれば、用いられる顔料は、鉱物顔料、特に酸化鉄及び/又は酸化チタンの粒子であり、ステアロイルグルタミン酸二ナトリウム、ジメチコン、トリエトキシカプリリルシラン、オクチルトリエチルシラン及びそれらの混合物からなる群から選択される処理剤によって表面処理され得る。
【0104】
特に、1種以上の着色剤は、組成物の総重量に対して2%~30質量%、好ましくは4%~15質量%の範囲の含有量で組成物中に存在し得る。
【0105】
ある実施形態によれば、本開示の組成物は、組成物の総重量に対して2~30%、特に4~25%、さらに10~20質量%の範囲の含有量で、顔料、特に鉱物顔料を含む。
【0106】
充填剤
本開示の組成物は、少なくとも1つの充填剤をさらに含み得る。
【0107】
本開示において、「充填剤」は、組成物の媒体中に不溶性で分散している、無色又は白色の、鉱物又は有機の、天然物又は合成物である粒子を意味し得る。本開示における充填剤は、表面コーティングされていてもされていなくてもよく、特に、シリコーン、アミノ酸、フッ化物誘導体、又は組成物中におけるフィラーの分散性及び適合性を向上し得る他の物質によって表面処理されていてよい。
【0108】
充填剤は、特に、シリカ、天然物又は合成物であるマイカ、カオリン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び炭酸水素塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム又はステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ガラス及びセラミックビーズ;ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド(例えばナイロン)等の合成ポリマー粉末;ポリアクリル酸又はポリメタクリル酸粉末、シリコーン樹脂粉末;架橋されていてもされていなくともよい、トウモロコシ、小麦、米のデンプンのような天然由来の有機材料粉末、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0109】
本開示による組成物は、有利には、少なくとも1種の鉱物系充填剤、特にシリカを含み得る。
【0110】
本開示の組成物は、組成物の総重量に対して、0.1%~15質量%、好ましくは2%~10質量%の充填剤(複数可)を含み得る。
【0111】
ある実施形態によれば、本開示の組成物は、組成物の総重量に対して、以下を含み得る:
a)乾燥物として、好ましくは0.5~10質量%、好ましくは1~5質量%の含有量のアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、
b)乾燥物として、好ましく0.5~7%、特に0.8~5%、好ましくは1~3質量%の含有量のアクリレート/ジメチコンコポリマー、
c)好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20質量%の合計含有量の揮発性オイル、
d)好ましくは0.05%~5質量%、特に0.05%~3質量%、特に0.1%~2%、好ましくは0.5%~1質量%の含有量のセチルジメチコン、及び、
e)好ましくは2~30%、特に4~25%、特に10~20質量%の含有量の疎水化剤、特にN-アシルアミノ酸又はその塩によって表面処理された顔料。
【0112】
特に好ましい実施形態によれば、組成物の総重量に対して、以下を含み得る:
a)乾燥物として、1~5質量%の含有量のアクリレート/ポリトリメチルシロキシメタクリレートコポリマー、
b)乾燥物として、1~3質量%の含有量のアクリレート/ジメチコンコポリマー、
c)少なくとも10%、又は少なくとも20質量%の含有量の揮発性オイル、
d)0.5%から1質量%の含有量のセチルジメチコン、及び
e)10~20質量%の含有量の、疎水化剤、特にN-アシルアミノ酸又はその塩によって表面処理された顔料
【0113】
ガレニックス(キャリアベース)
本開示の組成物は、好ましくは、皮膚、特に顔及び/又は身体の皮膚、特に顔及び/又は首の皮膚に適用することを意図し、油中水滴型又はシリコーン中水滴型エマルションの形態で存在する。好ましくは、シリコーン中水滴型エマルションである。
【0114】
ある好ましい実施形態によれば、本開示の組成物は、ファンデーション、カラーコレクター、コンシーラー、チーク又はカラーベース、好ましくはファンデーションの形態であり得る。
【0115】
本開示の組成物は、化粧品に通常使用される任意の添加剤、例えば、酸化防止剤、界面活性剤、ゲル化剤、防腐剤、香料、化粧品有効成分、例えば、皮膚軟化剤、保湿剤、ビタミン、抗老化剤、美白剤、及びこれらの混合物を含み得る。
【0116】
化粧方法
本開示はまた、ケラチン物質、特に皮膚、好ましくは顔及び/又は首の皮膚のメイクアップのための化粧方法であって、上記ケラチン物質上に、本開示で上記定義される化粧品組成物の少なくとも1種を適用することを含む、化粧方法に関する。
【0117】
本開示を以下の非限定的な実施例において説明する。特記がない限り、%は、前記組成物の全重量に対する質量%(原料の)で表される。
【実施例】
【0118】
実施例:経時的な色忠実性及び安定性への影響に関するC8-22アルキルジメチコンの選択
【0119】
組成物の調製
シリコーン中水滴型エマルジョンを以下の組成で調製する:
【0120】
【0121】
上記組成物は以下の調製法により得られる:
成分A1を混合し、次に、予め粉砕した成分A2を加え、次に成分A3を加える;
成分B1、B2及びB3を混合する;
相Bを、均質なエマルションが得られるまで撹拌しながら、相Aに混合する。
【0122】
色忠実性と安定性に対する分散剤の効果の評価
以下の2つの分散剤について試験した:セチルジメチコン(ABIL(登録商標) Wax9840)及びラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコン(Dowsil ES5300)を、それぞれ組成物の全重量に対して0.5質量%で試験し、2つの処方の評価を対照処方(分散剤を添加せず、メチルトリメチコンへの0.5%に置き換え)と比較した。
組成1(発明例):0.5%のセチルジメチコン(ABIL(登録商標) Wax9840)を使用
組成2(参照例):セチルジメチコンなし
組成3(比較例):0.5%のラウリルPEG-10トリス(トリメチルシロキシ)シリルエチルジメチコンを使用
【0123】
上記の3組成について、色彩の専門家パネルにより、以下のプロトコルに従い、半顔上で、2対2で評価し、比較した。製品の塗布は、化粧品の専門家がブラシを使って半顔に行い、以下の観察を行った:
・スライド下のバルクの色の観察(ポンプの出口での色に対応する)
・顔の皮膚に塗布した後の色の観察(5~30分後)
・経時的な色の変化の観察(2時間及び6時間後)
【0124】
上記試験は、保湿クリームをベースとし、パウダーを含まない肌の絶対値で実施した。評価はVISIA-CRを使用し、可視化モード(閉眼)で顔の正面と左横顔から行った。写真は、塗布時(5分後、塗布直後)、15分後、2時間後、6時間後に撮影された。
【0125】
専門家パネルにより2つの基準を評価した:
・塗布時の「カラープレースメント」と、塗布後のメイクアップ結果(色)を比較した。明確な結果は、一般的に5分から30分の間に得られる(ここでは、塗布後5分後と15分後で評価)。塗布後の色は、ポンプの出口での色(バルクでの色)にできるだけ忠実なものが求められる。塗布時の「色の忠実度」に言及する。
1日の色の変化に対応する経時的な「色変化」(ここでは2時間後と6時間後で評価)を比較した。6時間後の色は、塗布後の色に可能な限り忠実であること、言い換えれば経時的な色変化が少ないことが求められる。「色忠実性」又は「色の経時安定性」ともいう。
【0126】
結果を以下の表に示す:
【0127】
【0128】
これらの結果は、本開示による組成1中のセチルジメチコン(C8-22アルキルジメチコン)により、分散剤を含まない組成2(参照性)(塗布後及び経時的に色がくすむ)又は別の分散剤を含む組成3(比較例)(塗布後及び経時的に色がより黄色い)と比較して、塗布後の色忠実性及び一日の経過に伴う色の安定性の点でより良好な性能を得られることを示している。
【0129】
すなわち、本開示による組成物におけるセチルジメチコンの使用は、疎水性処理剤によって表面処理された顔料をより良く分散することを可能とし、2種のシリコーンアクリレートポリマーを組合せることで、組成物非転移性を保持しながら、色忠実性が高く、経時的に安定なメイクアップ結果(色)をもたらし得る。
【国際調査報告】