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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】医薬組成物及びその用途
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/197 20060101AFI20240614BHJP
   A61K 31/428 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 25/04 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
A61K31/197
A61K31/428
A61P25/04
A61P29/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024500118
(86)(22)【出願日】2022-06-27
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 CN2022101423
(87)【国際公開番号】W WO2023274117
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110742036.7
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523266350
【氏名又は名称】ニューロドーン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、フーロン
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チョンピン
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ファン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ウェイトン
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ロン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、シーパオ
【テーマコード(参考)】
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC84
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA08
4C086ZA21
4C206AA01
4C206AA02
4C206FA44
4C206MA02
4C206MA05
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA08
4C206ZA21
(57)【要約】
本発明は、神経因性疼痛治療薬の調製に広い使用の見通しがある、(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾールとの組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とを含む、神経因性疼痛治療薬を調製するための組成物。
【請求項2】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩は、遊離酸または塩基の形での質量比が50:1~1:20であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が20:1~1:10であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が20:1~1:4であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が10:1~1:4であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が6:1~1:4であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が3:1~1:2であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
神経因性疼痛治療薬の調製における、請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項9】
前記神経因性疼痛は末梢神経因性疼痛であることを特徴とする請求項8に記載の使用。
【請求項10】
前記末梢神経因性疼痛は帯状疱疹後神経痛であることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記末梢神経因性疼痛は糖尿病性末梢神経障害であることを特徴とする請求項9に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(相互参照)
本願は、2021年07月01日に中国国家知識産権局へ提出された、出願番号202110742036.7、発明の名称が「医薬組成物及びその用途」である中国特許出願に基づき優先権を主張し、その全内容は、援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、医薬製造の分野に属し、(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸とリルゾールとの組成物、及びその神経因性疼痛治療薬の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0003】
神経因性疼痛(neuropathic pain,NP)は体の感覚系の損傷または疾患による疼痛であり、末梢神経因性疼痛と中枢神経因性疼痛とに分けられ、臨床的には、末梢神経因性疼痛が比較的によく見られる。欧州からの研究資料によると、一般的な人間における神経因性疼痛痛罹患率は8.0%に達している。神経因性疼痛は、単一の疾患ではなく、異なる疾患及び損害による症候群であり、一連の症状及び身体の徴候として現れ、患者の生活の質に深刻な影響を与える。帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性末梢神経障害は、最も一般的な2種類の神経因性疼痛のタイプであり、長期疼痛は、患者の睡眠、仕事及び生活能力に影響するだけではく、抑うつ、不安などの感情障害の発病率を増加させる。研究すると、帯状疱疹後神経痛患者の生活の質のスコアは、正常な人間の1/2にすぎないことが明らかになる。神経因性疼痛の治療薬は、不足しており、目前臨床では主にカルシウムイオンチャンネル調節剤、抗うつ薬、及び局所麻酔薬などを用いて治療を行っている。しかし、その発病機序は比較的に複雑であるため、既存の治療手段は満足させていなく、多くの患者の痛みは十分に緩和されていない。
【0004】
(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸(プレガバリン、pregabalin)は、臨床的に成人末梢神経痛の治療に用いることができ、糖尿病性末梢神経痛、線維筋痛、及び帯状疱疹後神経痛の治療を含み、複数の国際ガイドラインに共同で神経病理性疼痛の治療の第一選択薬として推薦されている。プレガバリンの作用機序は、電位依存性カルシウムチャネルであるα2δサブユニットを調節し、グルタミン酸、ノルアドレナリン及びサブスタンスPの放出を減少させると考えられている。プレガバリンはめまいや傾眠などの副作用を引き起こし、その副作用によってある程度の臨床的使用を制限している。
【0005】
(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸(プレガバリン)の構造式は、以下の通りである。
【化1】

(化学式は、C8H17NO2、分子量は、159.23である。)
【0006】
リルゾール(Riluzole,化学名2-アミノ-6-トリフルオロメトキシベンゾチアゾール)は、サノフィ株式会社より開発した筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬であり、1996年にアメリカ食品医薬品局FDA及び欧州医薬品庁EMAの承認を得て発売され、ALS患者の生存期間の延長、症状の緩和、及び生活の質の改善に非常に重要な役割を果たしている。その作用機序は、グルタミン酸の放出の阻害、電圧依存性ナトリウムチャネルの不活化状態の安定化、神経伝達物質が興奮性アミノ酸受容体に結合した後の細胞内イベントの干渉に関連していると考えられている。リルゾールは、グルタミン酸及びそのトランスポーターの調節、抗うつ、抗不安、抗てんかん、鎮痛及び神経保護などを含む広範な薬理学的作用を持つ。
【0007】
リルゾールの構造式は、以下の通りである。
【化2】

(化学式は、C8H5F3N2OS、分子量は、234.20である。)
【0008】
なお、同じ薬効を有する2つの異なる薬物の併用による薬効であっても、非常に複雑で予期し難いであり、薬物の相乗作用、相加作用、さらには拮抗作用を生じる可能性があることを指摘する必要がある。したがって、当業者にとっては、必要な実験データが得られない限り、簡単にリルゾールが鎮痛作用を有するという理由で、ルゾールがプレガバリンの鎮痛効果を増強できると結論付けることは困難である。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸とリルゾールとを含む医薬組成物を提供し、この医薬組成物は使用時に予期せぬ相乗作用が生じ、抗神経因性疼痛の治療効果を増強させることができる。
本発明は、神経因性疼痛治療薬の調製における、(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とを含む医薬組成物の使用を提供する。
前記の組成物の(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が50:1~1:20である。
【0010】
好ましくは、前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が20:1~1:10である。
好ましくは、前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が20:1~1:4である。
好ましくは、前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が10:1~1:4である。
【0011】
好ましくは、前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が6:1~1:4である。
好ましくは、前記(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸又はその薬学的に許容される塩とリルゾール又はその薬学的に許容される塩とは、遊離酸または塩基の形での質量比が3:1~1:2である。
【0012】
本発明にかかる医薬組成物は、神経因性疼痛治療薬を調製するために使用されることができ、ここで、前記神経因性疼痛は、末梢神経因性疼痛であることが好ましい。
より好ましくは、前記末梢神経因性疼痛は、帯状疱疹後神経痛及び糖尿病性末梢神経障害である。
【0013】
本発明は、(S)-3-アミノメチル-5-メチルヘキサン酸とリルゾールとを含む医薬組成物を提供し、動物の薬力学的実験による結果は、該医薬組成物は相乗作用を発揮し、抗末梢神経因性疼痛の治療効果を増強させることができることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例と組み合わせて本発明の実施例にかかる技術的案を詳しく、完全に説明するが、もちろん、記載された実施例は本発明の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではない。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他のすべての実施例は、いずれも本発明の保護の範囲に属する。
【0015】
実施例1 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究1
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150~200g。
【0016】
【化3】
【0017】
1.3実験方法
1.3.1神経因性疼痛動物モデルの作製
試験では、L5脊髄神経(SNL)の単独結紮による神経因性疼痛モデルを用いた。7%ホルムアルデヒド水和物(用量420mg/kg、腹腔内投与)を用いて動物を麻酔し、ラットの四肢を腹臥位に固定し、解剖顕微鏡下で置き、背中の毛を除去し、アルコールで拭き消毒した。背中の脊椎の右側に約2~3cmの長い切り口を切り、L4、L5の2本の脊髄神経を露出し、隣接する脊髄神経を損傷しないように6~0番号の編み糸でL5脊髄神経を軽く結紮した。実験動物の背中の切り口に二層縫合を行い、ヨードチンキで消毒し、飼育ケージに軽く入れ、自由に移動させ、餌を食べて水を飲んだ。
【0018】
1.3.2機械的痛み閾値の測定方法
全ての実験動物は、機械的自動型刺針を用いて実験動物の機械的足反射閾値(mechanical withdrawal threshold、MWT)を測定した。実験動物を底が鉄条網である透明な有機ガラス箱に入れ、30min適応させた後、刺し針を用いて一定の速度で付勢して実験動物の後肢足底を刺激し、ラットが急速に足を縮めたり足を振ったりする反応が現れた時の反射閾値(MWT)、すなわち動物の機械的痛み閾値を記録した。
【0019】
1.3.3動物基礎痛み閾値の測定及び計算
各実験動物はモデル構築後に2日間の基礎機械的痛み閾値を測定し、2回の平均値を実験動物の基礎機械的痛み閾値とした。
【0020】
1.4 動物の群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(25mg/kg)、プレガバリン群(0.5mg/kg)、リルゾール群(10mg/kg)、リルゾール群(0.5mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物50:1群(プレガバリン25mg/kg+リルゾール0.5mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:20群(プレガバリン0.5mg/kg+リルゾール10mg/kg)という7群にランダムに分けた。プレガバリンとリルゾールを腹腔内注射で投与し、各群あたり11~12匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物には対応する薬物又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
【0021】
1.5組成物の相乗的分析
金正均の式であるq=E(a+b)/(Ea+Eb-Ea×Eb)に従って組成物中のプレガバリンとリルゾールの相乗作用の有無を評価した。式中、E(a+b)は、医薬品併用による改善率であり、Ea、Ebは、それぞれA薬(プレガバリン)、B薬(リルゾール)の単独投与による改善率である。E=(投与後痛み閾値-モデル値)/(基礎値-モデル値)。q値が0.85~1.15の範囲内にある場合、両方の医薬品の併用により単純な相加になり、q値>1.15である場合、相乗的であり、q値<0.85である場合、両方の医薬品の併用により拮抗作用があることを示した。
【0022】
1.6データ統計
実験データは、平均値±標準誤差(Mean±SEM)で表された。一元配置分散分析により各群間での差を分析し、群間の比較では最小有意差法(LSD法)により検査し、P<0.05では有意差と定義された。
【0023】
2結果
実験結果を表1に示した。溶媒対照群と比較しては、プレガバリン25mg/kg、リルゾール10mg/kg、組成物50:1、組成物1:20は、投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P=0.0463、P<0.0001、P=0.0458、P<0.0001)、以上の各群では、投与後3hにもいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P=0.0004、P<0.0001、P<0.0001)。相乗作用計算の結果は、組成物50:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.073、0.919であり、組成物1:20は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ0.909、0.998であることを示した。
【表1】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、***P<0.001、****P<0.0001、モデル対照群と比較した。
【0024】
実施例2 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究2
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150~200g。
1.2被験薬
プレガバリン及びリルゾールは、実施例1と同様にした。
1.3実験方法
神経因性疼痛動物モデルの作製、機械的痛み閾値の測定方法、及び動物基礎痛み閾値の測定・計算は、実施例1と同様にした。
【0025】
1.4動物群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(20mg/kg)、プレガバリン群(1mg/kg)、リルゾール群(10mg/kg)、リルゾール群(1mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物20:1群(プレガバリン20mg/kg+リルゾール1mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:10群(プレガバリン1mg/kg+リルゾール10mg/kg)という7群にランダムに分けた。プレガバリン及びリルゾールを腹腔内注射で投与し、各群あたり12匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物には対応する薬物又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
1.5組成物の相乗的分析
組成物の相乗的分析は、実施例1と同様にした。
1.6データ統計
データ統計は、実施例1と同様にした。
【0026】
2結果
実験結果を表2に示した。溶媒対照群と比較しては、プレガバリン20mg/kg、リルゾール10mg/kg、組成物20:1、組成物1:10は投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P=0.0278、P<0.0001、P=0.0483、P<0.0001)、以上の各群では投与後3hにも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001)。相乗作用計算の結果は:組成物20:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.216、1.181であり、組成物1:10は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.206、1.213であり、これにより、組成物20:1、組成物1:10は投与後0.5h、3hにいずれも相乗作用を持つことを示した。
【表2】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、****P<0.0001、モデル対照群と比較された。
【0027】
実施例3 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究3
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150-200g。
1.2被験薬
プレガバリン及びリルゾールは、実施例1と同様にした。
1.3実験方法
神経因性疼痛動物モデルの作製、機械的痛み閾値の測定方法、及び動物基礎痛み閾値的測定・計算は、実施例1と同様にした。
【0028】
1.4動物群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(30mg/kg)、プレガバリン群(18mg/kg)、プレガバリン群(3mg/kg)、リルゾール群(12mg/kg)、リルゾール群(3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物10:1群(プレガバリン30mg/kg+リルゾール3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:4群(プレガバリン3mg/kg+リルゾール12mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物6:1群(プレガバリン18mg/kg+リルゾール3mg/kg)という9群にランダムに分けた。プレガバリン及びリルゾールを腹腔内注射で投与し、各群あたり10~12匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物には対応する薬物又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
1.5組成物の相乗的分析
組成物の相乗的分析は、実施例1と同様にした。
1.6データ統計
データ統計は、実施例1と同様にした。
【0029】
2結果
実験結果を表3に示した。溶媒対照群と比較しては、プレガバリン30mg/kg、リルゾール12mg/kg、組成物10:1、組成物1:4、組成物6:1は投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P=0.0111、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P=0.003)、プレガバリン30mg/kg、プレガバリン18mg/kg、リルゾール12mg/kg、組成物10:1、組成物1:4、組成物6:1は投与後3hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001)。相乗作用計算の結果は、組成物10:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.273、1.182であり、組成物1:4は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.210、1.211であり、組成物6:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.222、1.269であり、それにより、組成物10:1、組成物1:4、組成物6:1は投与後0.5h、3hにいずれも相乗作用を持つことを示した。
【表3】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001、モデル対照群と比較された。
【0030】
実施例4 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究4
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150~200g。
1.2被験薬
プレガバリン及びリルゾールは、実施例1と同様にした。
1.3実験方法
神経因性疼痛動物モデルの作製、機械的痛み閾値の測定方法、及び動物基礎痛み閾値の測定・計算は、実施例1と同様にした。
1.4動物群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(18mg/kg)、プレガバリン群(9mg/kg)、プレガバリン群(3mg/kg)、リルゾール群(12mg/kg)、リルゾール群(6mg/kg)、リルゾール群(3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物6:1群(プレガバリン18mg/kg+リルゾール3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物3:1群(プレガバリン9mg/kg+リルゾール3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:4群(プレガバリン3mg/kg+リルゾール12mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:2群(プレガバリン3mg/kg+リルゾール6mg/kg)という11群にランダムに分けた。プレガバリン及びリルゾールを腹腔内注射で投与し、各群あたり10匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物には対応する薬物又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
【0031】
1.5組成物の相乗的分析
組成物の相乗的分析は、実施例1と同様にした。
1.6データ統計
データ統計は、実施例1と同様にした。
2結果
実験結果を表4に示した。溶媒対照群と比較しては、リルゾール12mg/kg、リルゾール6mg/kg、組成物6:1、組成物3:1、組成物1:4、組成物1:2は投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P<0.0001、P=0.0031、P=0.0033、P=0.0123、P<0.0001、P<0.0001)、プレガバリン18mg/kg、プレガバリン9mg/kg、リルゾール12mg/kg、リルゾール6mg/kg、組成物6:1、組成物3:1、組成物1:4、組成物1:2は投与後3hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P=0.0427、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001)。相乗作用計算の結果は:組成物6:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.250、1.248であり、組成物3:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.389、1.391であり、組成物1:4は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.235、1.294であり、組成物1:2は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.320、1.384であり、それにより、組成物6:1、組成物3:1、組成物1:4、組成物1:2は投与後0.5h、3hにいずれも相乗作用を持つことを示した。
【表4】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、**P<0.01、****P<0.0001、モデル対照群と比較された。
【0032】
実施例5 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究5
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150~200g。
1.2被験薬
プレガバリン及びリルゾールは、実施例1と同様にした。
1.3実験方法
神経因性疼痛動物モデルの作製、機械的痛み閾値の測定方法、及び動物基礎痛み閾値の測定・計算は、実施例1と同様にした。
1.4動物群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(9mg/kg)、プレガバリン群(6mg/kg)、プレガバリン群(3mg/kg)、リルゾール群(6mg/kg)、リルゾール群(3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物3:1群(プレガバリン9mg/kg+リルゾール3mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:2群(プレガバリン3mg/kg+リルゾール6mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:1群(プレガバリン6mg/kg+リルゾール6mg/kg)という9群に分けた。プレガバリン及びリルゾールを腹腔内注射で投与し、各群あたり10~11匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物には対応する薬物又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
【0033】
1.5組成物の相乗的分析
組成物の相乗的分析は、実施例1と同様にした。
1.6データ統計
データ統計は、実施例1と同様にした。
2結果
実験結果を表5に示した。溶媒対照群と比較しては、リルゾール6mg/kg、組成物3:1、組成物1:2、組成物1:1は投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P=0.0011、P=0.0006、P<0.0001、P<0.0001)、プレガバリン9mg/kg、プレガバリン6mg/kg、リルゾール6mg/kg、組成物3:1、組成物1:2、組成物1:1は投与後3hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P=0.0015、P=0.0315、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001)。相乗作用計算の結果は:組成物3:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.362、1.384であり、組成物1:2は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.330、1.361であり、組成物1:1は投与後0.5h及び3hにq値がそれぞれ1.453、1.501であり、それにより、組成物3:1、組成物1:2、組成物1:1は投与後0.5h、3hにいずれも相乗作用を持つことを示した。
【表5】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、モデル対照群と比較された。
【0034】
実施例6 プレガバリン、リルゾール組成物の神経因性疼痛に対する薬効作用への研究6
1材料及び方法
1.1実験動物
Sprague-Dawley(SD)ラット、雄、SPF級、体重150~200g。
1.2被験薬
プレガバリン及びリルゾールは、実施例1と同様にした。
1.3実験方法
神経因性疼痛動物モデルの作製、機械的痛み閾値の測定方法、及び動物基礎痛み閾値の測定・計算は、実施例1と同様にした。
【0035】
1.4動物群分け及び実験過程
実験モデル動物は、モデル対照群、プレガバリン群(30mg/kg)、プレガバリン群(20mg/kg)、プレガバリン群(6mg/kg)、リルゾール群(10mg/kg)、リルゾール群(7.5mg/kg)、リルゾール群(6mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物1:1群(プレガバリン6mg/kg+リルゾール6mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物2:1群(プレガバリン20mg/kg+リルゾール10mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物3:1群(プレガバリン30mg/kg+リルゾール10mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物4:1群(プレガバリン30mg/kg+リルゾール7.5mg/kg)、プレガバリン・リルゾール組成物5:1群(プレガバリン30mg/kg+リルゾール6mg/kg)という11群にランダムにわけた。プレガバリン及びリルゾールを胃内投与し、各群あたり8~10匹の動物であり、モデル対照群に対応するブランク溶媒を投与した。
適当な体重のSDラットを選択してL5-SNLモデルを作製し、モデルを構築してから少なくとも7日間後に術後機械的痛み閾値を測定した。術後右後肢痛み閾値が反対側の後肢痛み閾値よりも有意に低下した動物を選択して後の全ての薬効試験を行った。実験モデル動物に対応する医薬品又は溶媒を投与し、投与後0.5h、3h、6h、8hの時点で動物機械的痛み閾値を測定した。
1.5組成物の相乗的分析
金正均の式であるq=E(a+b)/(Ea+Eb-Ea×Eb)に従って組成物中のプレガバリンとリルゾールの投与後Emax時点(3h)での相乗作用の有無を評価した。式中、E(a+b)は、医薬品併用による改善率であり、Ea、Ebは、それぞれA薬(プレガバリン)、B薬(リルゾール)の単独投与による改善率である。E=(投与後痛み閾値-モデル値)/(基礎値-モデル値)。q値は0.85~1.15の範囲内である場合、両方の医薬品の併用により単純な相加になり、q値>1.15である場合相乗効果をもち、q値<0.85である場合、両方の医薬品の併用により拮抗作用があることを示した。
CompuSynソフトウェアにより組成物中のプレガバリンとリルゾールの投与後0~8hの全体的な薬効の相乗作用の有無を分析した。医薬品群の改善率の計算式は、(AUC0-8h-モデル値*8h)/(基礎値*8h-モデル値*8h)である。ソフトウェアにより各組成物群の併用指数(CI)を算出し、CI<1である場合、相乗作用をもち、CI=1である場合、相加作用を有し、CI>1である場合、両方の医薬品の併用により拮抗作用を有することを示した。
1.6データ統計
データ統計は、実施例1と同様にした。
【0036】
2結果
実験結果を表6に示した。溶媒対照群と比較しては、プレガバリン30mg/kg、リルゾール10mg/kg、リルゾール7.5mg/kg、リルゾール6mg/kg、プレガバリン・リルゾール組成物1:1、プレガバリン・リルゾール組成物2:1、プレガバリン・リルゾール組成物3:1、プレガバリン・リルゾール組成物4:1、プレガバリン・リルゾール組成物5:1は投与後0.5hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P=0.018、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001);プレガバリン30mg/kg、プレガバリン20mg/kg、プレガバリン6mg/kg、リルゾール10mg/kg、組成物1:1、組成物2:1、組成物3:1、組成物4:1、組成物5:1は投与後3hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P<0.0001、P<0.0001、P=0.0008、P=0.023、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001);プレガバリン30mg/kg、プレガバリン20mg/kg、プレガバリン6mg/kg、組成物1:1、組成物2:1、組成物3:1、組成物4:1、組成物5:1は投与後6hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができ(P<0.0001、P<0.0001、P=0.0007、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001);プレガバリン30mg/kg、プレガバリン20mg/kg、プレガバリン6mg/kg、組成物1:1、組成物2:1、組成物3:1、組成物4:1、組成物5:1は投与後8hにいずれも動物の機械的痛み閾値を有意に向上させることができた(P<0.0001、P<0.0001、P=0.0008、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001、P<0.0001)。金正均の式による相乗作用性を計算したところ、組成物1:1は、投与後3hにq値が1.296であり、組成物2:1は、投与後3hにq値が1.258であり、組成物3:1は、投与後3hにq値が1.266であり、組成物4:1は、投与後3hにq値が1.319であり、組成物5:1は、投与後3hにq値が1.264であり、それにより、組成物1:1、組成物2:1、組成物3:1、組成物4:1、組成物5:1は投与後3hにいずれも相乗作用を有し;CompuSynソフトウェアの分析により、組成物1:1は投与後のAUCのCI値が0.634であり、組成物2:1は投与後のAUCのCI値が0.364であり、組成物3:1は投与後のAUCのCI値が0.349であり、組成物4:1は投与後のAUCのCI値が0.328であり、組成物5:1は投与後のAUCのCI値が0.349であり、それにより、組成物1:1、組成物2:1、組成物3:1、組成物4:1、組成物5:1は投与後0~8hにいずれも相乗作用を有することを示した。
【表6】

データは平均値±標準誤差として表され、*P<0.05、**P<0.01、***P<0.001、****P<0.0001、モデル対照群と比較された。
【国際調査報告】