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特表2024-522940収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造
(51)【国際特許分類】
   B05B 13/02 20060101AFI20240614BHJP
【FI】
B05B13/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519963
(86)(22)【出願日】2022-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 CN2022123792
(87)【国際公開番号】W WO2023138107
(87)【国際公開日】2023-07-27
(31)【優先権主張番号】202210071881.0
(32)【優先日】2022-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470371
【氏名又は名称】浙江大学中原研究院
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】呉 迪
(72)【発明者】
【氏名】黄 偉男
(72)【発明者】
【氏名】鄭 丹丹
(72)【発明者】
【氏名】江 風
(72)【発明者】
【氏名】孫 崇徳
(72)【発明者】
【氏名】陳 昆松
【テーマコード(参考)】
4F035
【Fターム(参考)】
4F035AA02
4F035CA02
4F035CA05
4F035CB03
4F035CB05
4F035CB16
4F035CB27
4F035CB29
4F035CC01
4F035CC04
(57)【要約】
【課題】 収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 果実輸送用トレイを等間隔に設けたレールを備えた収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造であって、前記トレイは、環状のトレイ本体を備え、トレイ本体の中央部は果実を落下させるための中央穴が設けられ、前記中央穴の底部には互いに平行で同時に上下に揺動可能な2本の支持ロールが設けられ、前記トレイ本体の内側の底面に揺動可能な反転板が設けられ、支持ロールの中心軸の内端は反転板に挿通されるとともに、ローラーが固定され、支持ロールと反転板との間に軸受が設けられ、支持ロールの外端とトレイ本体外側の底面との間に軸受が設けられ、前記レールには殺菌噴霧部位が設けられ、殺菌噴霧部位には、トレイ輸送経路の上に3~4組の殺菌ノズルが順に配置され、殺菌噴霧部位の下方には液受け皿が設けられ、殺菌噴霧部位のローラーの上には、ローラーと密着して、ローラーを転動駆動する転動ベルトが設けられ、前記転動ベルトはレールと平行に配置される。該構造によれば、回転可能な支持ロールによって、果実をトレイ上で転動させ、果実の全方位に正確に殺菌剤を噴霧し、殺菌剤の過量使用を避け、エネルギーを節約し、二酸化炭素排出量を削減する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果実輸送用トレイを等間隔に設けたレールを備えた収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造であって、前記トレイは、環状のトレイ本体を備え、前記トレイ本体の中央部には果実を落下させるための中央穴が設けられ、前記中央穴の底部には互いに平行で同時に上下に揺動可能な2本の支持ロールが設けられ、前記トレイ本体の内側の底面には揺動可能な反転板が設けられ、前記支持ロールの中心軸の内端は前記反転板に挿通されるとともに、ローラーが固定され、前記支持ロールと前記反転板との間に軸受が設けられ、前記支持ロールの外端と前記トレイ本体外側の底面との間に前記軸受が設けられ、前記レールに殺菌噴霧部位が設けられ、前記殺菌噴霧部位は、トレイ輸送経路の上に3~4組の殺菌ノズルが順に配置され、前記殺菌噴霧部位の下方に液受け皿が設けられ、前記殺菌噴霧部位の前記ローラーの上には、前記ローラーと密着して、前記ローラーを転動駆動する転動ベルトが設けられ、前記転動ベルトは前記レールと平行に配置されることを特徴とする、収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項2】
前記転動ベルトは、回転ベルトであり、前記転動ベルトの両端には回転方向が逆となる第1駆動輪と第2駆動輪がそれぞれ設けられ、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪は、それぞれ独立したモータにより駆動され、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪の間には、従動輪が等間隔に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項3】
1組の前記殺菌ノズルには、トレイの直上に設けられた1つの前記殺菌ノズル、あるいは、トレイの直上両側に斜設された2つの前記殺菌ノズルが含まれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項4】
前記支持ロールの表面は、シリコン又はラテックスで作られることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項5】
前記トレイ本体の内側にはスライダが設けられ、前記レール上にはスライドが設けられ、前記スライダは前記スライドに取り外し可能に嵌め込まれ、前記スライダと前記トレイ本体とによって口字形の中空部が画成され、前記反転板は口字形の中空部に設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項6】
前記トレイ本体の内側の上端に、内側に突出して前記支持ロールの揺動範囲を制限する制限ブロックが設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項7】
前記反転板の揺動軸回りに作用する、前記支持ロールの中心軸の内端の重力トルクは、前記支持ロールの外端の重力トルクより大きく、前記支持ロールの外端の自重と前記果実の重力トルクの和より小さいことを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項8】
前記レールは、トラック状の周回レールであって、前記レールには輸送方向に沿って積み込み部位、前記殺菌噴霧部位、風乾部位、払い出し部位が順に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項9】
前記レールは、前記払い出し部位を除く、その他の前記レールの外側に前記支持ロールの外端の前記軸受を転動させる補助レールが設けられ、前記レールの前記払い出し部位の両端において、前記補助レールに円弧状のガイド部位が設けられることを特徴とする、請求項8に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【請求項10】
前記支持ロールの外端の前記軸受端面と前記トレイ本体の外側壁との間に押圧により解除できるスナップフィット機構が設けられることを特徴とする、請求項1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実の収穫後処理設備の技術分野に属し、収穫後の果実滅菌設備に関し、特に、収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造に関する
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上に伴い、高品質の新鮮な果物は人々の日常の栄養補給においてますます重要な部分となっている。近年、農業科学技術の継続的な発展により、収穫後の果実の殺菌、鮮度保持、選別に対する要求が高まっている。通常、収穫後の果実の滅菌は、果実を殺菌剤に浸漬させたり、果実に殺菌剤を噴霧したりして実施される(例えば、低濃度の過酢酸製剤を殺菌剤として使用する)。浸漬方法による果実殺菌の場合、殺菌剤の過量使用が明らかである。浸漬による滅菌方法においては、果実を確実に乾燥・貯蔵するために、浸漬後に、長時間乾燥させる必要がある。浸漬による滅菌方法は、薬剤の使用量が多いだけでなく、その後の排出と洗浄も環境に悪影響を及ぼす。浸漬による滅菌方法は、殺菌処理の効率が低く、大規模な果実処理には向かない。噴霧による果実の殺菌の場合、確実に殺菌効果を得るために、果実の全面に噴霧する必要があるが、現在の噴霧殺菌は断続式手動操作が主流であり、従来の設備では連続的な噴霧殺菌ができない。また、果実の位置を正確に測位できない場合は、噴霧による殺菌では定量的な使用が保証できない。噴霧による殺菌においても、同様に薬剤の過量使用の問題があるので、一連の環境問題を引き起こし、省エネや環境保全に資しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来の果実の収穫後の殺菌処理において、薬剤の過量使用が、環境保全に資することなく、一連の環境問題を引き起こす問題と、省エネに利益を与えない問題を解決するために、果実をトレイ上で転がす方式を採用するとともに、正確な位置に殺菌剤を噴霧することにより、殺菌剤を定量的に噴霧することを可能にして、薬剤の過量使用の問題を解決し、更に、薬剤の使用量を制御して削減することによって、その後の果実乾燥工程を簡素化し、殺菌処理効率を向上させる、収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために本発明が採用する技術的手段は、果実輸送用トレイを等間隔に設けたレールを備えた収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造であって、前記トレイは、環状のトレイ本体を備え、トレイ本体の中央部には果実を落下させるための中央穴が設けられ、前記中央穴の底部には互いに平行で同時に上下に揺動可能な2本の支持ロールが設けられ、前記トレイ本体の内側の底面には揺動可能な反転板が設けられることを特徴とする。支持ロールの中心軸の内端は反転板に挿通されるとともに、ローラーが固定され、支持ロールと反転板との間に軸受が設けられ、支持ロールの外端とトレイ本体外側の底面との間に軸受が設けられる。前記レールには殺菌噴霧部位が設けられ、殺菌噴霧部位には、トレイ輸送経路の上に3~4組の殺菌ノズルが順に配置され、殺菌噴霧部位の下方には液受け皿が設けられ、殺菌噴霧部位のローラーの上には、ローラーと密着して、ローラーを転動駆動する転動ベルトが設けられ、前記転動ベルトはレールと平行に配置される。
【0005】
本装置を使用する時、各トレイには1個の果実が載置される。果実に衝撃を与えて傷を与えないように、支持ロールは柔軟なシリコン、ラテックスなどの素材で作られる。ローラーを転動させることによって、直接に支持ロールを擦らないで、支持ロールを転動させるので、支持ロールは外部と接触しない。そのため、清潔で衛生的である。トレイが殺菌噴霧部位に到達するとトレイの輸送を継続しながら、ローラーが転動ベルトに密着して転動し、支持ロールを回転させて、トレイの中の支持ロール上に置かれた果実を転がす。また、3~4組の殺菌ノズルが、輸送方向に沿って順に配列される。ローラーの位置はトレイの位置に対して整列しているので、ローラーの位置によって、トレイの位置を測位して、ローラーの位置を監視することで、対応する殺菌ノズルを駆動して殺菌剤を定量的に噴霧することができる。果実を転がしながら、複数組の殺菌ノズルを介して、果実の全方位に正確かつ定量的に噴霧できるので、薬剤の使用量が削減される。殺菌ノズルの起動信号は、ローラーによりトリガーされるスイッチ、又はローラーの位置を監視する位置センサーから発生させることができる。トレイは中空構造のため、上から噴霧された少量の余分な殺菌剤を支持ロールの隙間から液受け皿に落とすことができる。薬剤の使用量を正確に制御することで、殺菌剤の使用量を少なくさせ、その後の果実の風乾過程を短時間に完了させることもできるので、生産効率が向上し、エネルギー消費量が削減される。最後の果実の払い出しは、反転板により支持ロールを反転させて果実をトレイの中央穴から落とすことで行われる。トレイ構造によれば、本装置において、殺菌噴霧部位の前端にマシンビジョン部位を設けることもできる。マシンビジョン部位には、ローラーの上に転動ベルトが設けられ、支持ロールを回転させて果実を転動させる。トレイの上方に高精細カメラを設けて、転動する果実の全方位を撮影して、果実の大きさ、傷みなどから選別することができ、払い出し部位において異なる選別要件に応じて異なる位置で支持ロールを揺動させて払い出す。
【0006】
好ましくは、前記転動ベルトは、回転ベルトであり、転動ベルトの両端には、回転方向が逆となる第1駆動輪と第2駆動輪がそれぞれ設けられ、第1駆動輪及び第2駆動輪は、それぞれ独立したモータによって駆動される。第1駆動輪と第2駆動輪の間には、従動輪が等間隔に配置される。転動ベルトはそれ自体が回転可能であって、第1駆動輪と第2駆動輪を介して、正転あるいは逆転させることができる。果実の大きさに大きな差がある場合、転動ベルトとローラーを同方向に回転させて果実の転動速度を遅くするか、あるいは、転動ベルトとローラーを逆方向に回転させて果実の転動速度を速めることで、各殺菌ノズルの位置に果実が到達するときに果実が適切な角度に転がるようにする。さらに、殺菌噴霧部位の前端にマシンビジョン部位を増設した場合は、トレイ上の果実の大きさに応じて、転動ベルトの回転を通じて各トレイ果実の転動速度をリアルタイムで調整することができる。
【0007】
好ましくは、1組の殺菌ノズルには、トレイの直上に設けられた1つの殺菌ノズル、あるいは、トレイの直上の両側に斜設された2つの殺菌ノズルが含まれる。
【0008】
好ましくは、前記支持ロールの表面は、シリコン又はラテックスで作られる。転動ベルトとローラーとの接触面は、空回りしないようにゴム面とされる。支持ロールの表面は、衝突を避けるために柔軟な素材で作られる。
【0009】
好ましくは、前記トレイ本体の内側にはスライダが設けられ、前記レール上にはスライドが設けられる。前記スライダはスライドに取り外し可能に嵌め込まれる。前記スライダとトレイ本体とによって口字形の中空部が画成され、前記反転板は口字形の中空部に設けられる。
【0010】
好ましくは、トレイ本体の内側の上端に、内側に突出して支持ロールの揺動範囲を制限する制限ブロックが設けられる。制限ブロックは、支持ロールの内端の中心軸に当接して支持ロールの揺動を制限し、支持ロールの表面との衝突を避ける。
【0011】
好ましくは、反転板の揺動軸回りに作用する支持ロールの中心軸の内端の重力トルクは、支持ロールの外端の重力トルクより大きく、支持ロール外端の自重と果実の重力トルクの和より小さくされる。トレイ上に果実が載っていない時、支持ロールは、重力トルクを利用してトレイの底面までスイングできる。支持ロール上に果実が載っている時は、スナップフィット機構又は補助レールで支持ロールを支持する。払い出し部位においては、スナップフィット機構を解除するか、或いは補助レールを設けないで、果実の自重を利用して払い出しを実現する。
【0012】
好ましくは、前記レールはトラック状の周回レールであって、レールには輸送方向に沿って積み込み部位、殺菌噴霧部位、風乾部位、払い出し部位が順に配置される。積み込み部位と殺菌噴霧部位との間に、マシンビジョン部位を設けることもできる。風乾部位では、大気圧プラズマで風乾できる。
【0013】
好ましくは、払い出し部位にある前記レールを除くその他の前記レールの外側に、支持ロールの外端の軸受を転動させる補助レールが設けられ、前記レールの前記払い出し部位の両端において、前記補助レールに円弧状のガイド部位が設けられる。
【0014】
好ましくは、前記支持ロールの外端の軸受端面とトレイ本体の外側壁との間に押圧により解除できるスナップフィット機構が設けられる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、回転可能な支持ロールによって、トレイ上にある果実が転動される。そして、トレイ位置を識別した後で、順次、果実の全方位に正確に殺菌剤を噴霧するので、殺菌剤の定量的かつ均一な噴霧が可能になり、殺菌剤の過量使用を避け、エネルギーを節約し、二酸化炭素排出量を削減し、生産効率を向上させることができる。
【0016】
以下、図面を参照しつつ本発明をさらに説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係るトレイの概略構成図である。
図2】本発明に係るトレイの概略構成を示す断面図である。
図3図2に記載の本発明に係るトレイ構造において、支持ロールが下方へスイングした払い出し状態を示す概略図である。
図4】本発明に係るレール配置の概略図である。
図5】本発明に係るレール上にあるトレイによる果実輸送の様子を示す概略図である。
図6】本発明に係るレール上の殺菌噴霧部位の概略構成図である。
図7】本発明に係る殺菌噴霧部位の概略構成を示す断面図である。
図8】本発明に係る補助レールの支持構造の概略図である。
図9】本発明の第2の形態に係るレール配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、具体的な実施例を通じて、図面を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0019】
(実施例1)
図4に示すように、収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造は、トラック状の周回レール12を備える。レール上には、果実輸送用トレイ1が等間隔に設けられる。レールには、輸送方向に沿って積み込み部位A、殺菌噴霧部位B、風乾部位C、払い出し部位Dが順に設置されている。風乾部位においては、大気圧プラズマを利用して果実を風乾し、二次滅菌を行う。
【0020】
図1図2図3に示すように、前記トレイ1は、環状のトレイ本体2を備える。トレイ本体2の中央部には果実20を落下させるための中央穴3が設けられている。前記中央穴3の底部には互いに平行で同時に上下に揺動可能な2本の支持ロール6が設けられ、前記トレイ本体2の内側の底面には揺動可能な反転板9が設けられている。支持ロール6の中心軸の内端は反転板9に挿通されるとともに、ローラー7が固定される。支持ロール6と反転板9との間には軸受8が設けられる。支持ロール6の外端とトレイ本体2外側の底面との間にも軸受8が設けられる。図5に示すように、トレイ本体2の内側にはスライダ4が設けられ、前記レール12上にはスライド11が設けられる。前記スライダ4はスライド11に取り外し可能に嵌め込まれる。前記スライダ4とトレイ本体2で口字形の中空部が画成され、前記反転板9は口字形の中空部に設けられる。トレイ本体2の内側の上端には、内側に突出して支持ロール6の揺動範囲を制限する制限ブロック5が設けられている。反転板9の揺動軸回りに作用する、支持ロール6の中心軸の内端の重力トルクは、支持ロール6の外端の重力トルクより大きく、支持ロール6の外端の自重と果実20の重力トルクの和より小さい。無負荷時には反転板の右側にかかる重力トルクが大きくなり、支持ロールは水平に戻る。図3に示すように、支持ロール上に果実20が載っている時は、反転板の左側にかかる重力トルクが大きくなり、スナップフィット機構10が解除されるか、或いは補助レールの支持から外れると、支持ロールが下方へスイングして、果実が払い出される。
【0021】
図6図7に示すように、殺菌噴霧部位Bにおいては、トレイ1の輸送経路の上に3~4組の殺菌ノズル14が順に配置されている。また、殺菌噴霧部位Bの下方には液受け皿15が設けられている。殺菌噴霧部位Bのローラー7の上には、ローラー7と密着して、ローラー7を転動駆動する転動ベルト13が設けられている。前記転動ベルト13はレール12と平行に配置される。転動ベルト13は、ローラー7を上から駆動し、支持ロール6にかかる揺動力を避ける。前記転動ベルト13は、回転ベルトであり、転動ベルト13の両端には回転方向が逆となる第1駆動輪16と第2駆動輪17がそれぞれ設けられる。第1駆動輪16及び第2駆動輪17は、それぞれ独立したモータによって駆動される。第1駆動輪16と第2駆動輪17の間には、従動輪18が等間隔に設けられている。転動ベルト13は、それ自体が回転可能であり、第1駆動輪16と第2駆動輪17によって、正転あるいは逆転される。果実20の大きさに大きな差がある場合に、転動ベルト13とローラー7を同方向に回転させて果実20の転動速度を遅くするか、転動ベルト13とローラー7を逆方向に回転させて果実20の転動速度を速めることで、各殺菌ノズル14の位置に到達するときに果実20が適切な角度に転がるようにする。ローラー7の位置はトレイ1の位置に対して整列しているので、ローラー7の位置によって、トレイ1の位置を測位し、ローラー7の位置を監視することによって、対応する殺菌ノズル14を駆動して殺菌剤を定量的に噴霧することができる。果実20を転動させながら、複数組の殺菌ノズル14を介して果実20の全方位に正確かつ定量的に噴霧できるので、薬剤の使用量が削減される。殺菌ノズル14の起動信号は、ローラー7によりトリガーされるスイッチ、又はローラー7の位置を監視する位置センサーから発生させることができる。
【0022】
図2図3に示すように、支持ロール6の外端の軸受8端面とトレイ本体2の外側壁との間に、押圧することによって解除できるスナップフィット機構10が設けられる。図8に示すように、スナップフィット機構10を用いなかった場合、払い出し部位にあるレール12を除く、その他のレールの外側に支持ロール6の外端の軸受8が転動するための補助レール19が設けらる。補助レール19の支持構造を図8に示す。レール払い出し部位Dにおける両端において、前記補助レール19には、円弧状のガイド部位が設けられる。
【0023】
(実施例2)
収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造であって、図9に示す通りである。本実施例において、ロード部位Aと殺菌噴霧部位Bとの間にマシンビジョン部位Eを増設し、殺菌噴霧部位Bと同様の転動ベルト構造を用いることで、果実20をトレイ上で転動させることができる。マシンビジョン部位Eの上方に高精細カメラを設け、果実20の全方位画像を収集し、大きさ、傷みを検査して、払い出し部位Dにおいて検出情報に基づいて選別する。本実施例のその他の構成は、実施例1と同じである。マシンビジョンに基づく選果機は、一般的な従来技術であり、本実施例は、本出願に係る殺菌噴霧構造が従来のマシンビジョンに基づく選果機とうまく組み合わせて、ワンストップ方式の選果、殺菌処理を形成できることを示すことを目的としている。
【0024】
(付記)
(付記1)
果実輸送用トレイを等間隔に設けたレールを備えた収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造であって、前記トレイは、環状のトレイ本体を備え、前記トレイ本体の中央部には果実を落下させるための中央穴が設けられ、前記中央穴の底部には互いに平行で同時に上下に揺動可能な2本の支持ロールが設けられ、前記トレイ本体の内側の底面には揺動可能な反転板が設けられ、前記支持ロールの中心軸の内端は前記反転板に挿通されるとともに、ローラーが固定され、前記支持ロールと前記反転板との間に軸受が設けられ、前記支持ロールの外端と前記トレイ本体外側の底面との間に前記軸受が設けられ、前記レールに殺菌噴霧部位が設けられ、前記殺菌噴霧部位は、トレイ輸送経路の上に3~4組の殺菌ノズルが順に配置され、前記殺菌噴霧部位の下方に液受け皿が設けられ、前記殺菌噴霧部位の前記ローラーの上には、前記ローラーと密着して、前記ローラーを転動駆動する転動ベルトが設けられ、前記転動ベルトは前記レールと平行に配置されることを特徴とする、収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0025】
(付記2)
前記転動ベルトは、回転ベルトであり、前記転動ベルトの両端には回転方向が逆となる第1駆動輪と第2駆動輪がそれぞれ設けられ、前記第1駆動輪及び前記第2駆動輪は、それぞれ独立したモータにより駆動され、前記第1駆動輪と前記第2駆動輪の間には、従動輪が等間隔に配置されることを特徴とする、付記1に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0026】
(付記3)
1組の前記殺菌ノズルには、トレイの直上に設けられた1つの前記殺菌ノズル、あるいは、トレイの直上両側に斜設された2つの前記殺菌ノズルが含まれることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0027】
(付記4)
前記支持ロールの表面は、シリコン又はラテックスで作られることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0028】
(付記5)
前記トレイ本体の内側にはスライダが設けられ、前記レール上にはスライドが設けられ、前記スライダは前記スライドに取り外し可能に嵌め込まれ、前記スライダと前記トレイ本体とによって口字形の中空部が画成され、前記反転板は口字形の中空部に設けられることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0029】
(付記6)
前記トレイ本体の内側の上端に、内側に突出して前記支持ロールの揺動範囲を制限する制限ブロックが設けられることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0030】
(付記7)
前記反転板の揺動軸回りに作用する、前記支持ロールの中心軸の内端の重力トルクは、前記支持ロールの外端の重力トルクより大きく、前記支持ロールの外端の自重と前記果実の重力トルクの和より小さいことを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0031】
(付記8)
前記レールは、トラック状の周回レールであって、前記レールには輸送方向に沿って積み込み部位、前記殺菌噴霧部位、風乾部位、払い出し部位が順に配置されることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0032】
(付記9)
前記レールは、前記払い出し部位を除く、その他の前記レールの外側に前記支持ロールの外端の前記軸受を転動させる補助レールが設けられ、前記レールの前記払い出し部位の両端において、前記補助レールに円弧状のガイド部位が設けられることを特徴とする、付記8に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【0033】
(付記10)
前記支持ロールの外端の前記軸受端面と前記トレイ本体の外側壁との間に押圧により解除できるスナップフィット機構が設けられることを特徴とする、付記1又は2に記載の収穫後の果実の殺菌用連続定量噴霧構造。
【符号の説明】
【0034】
10 スナップフィット機構
1 トレイ
20 果実
2 トレイ本体
11 スライド
12 レール
13 転動ベルト
14 殺菌ノズル
15 液受けパン
16 第1駆動輪
17 第2駆動輪
18 従動輪
19 補助レール
3 中央穴
4 スライダ
5 制限ブロック
6 支持ロール
7 ローラー
8 軸受
9 反転板
A 積み込み部位
B 殺菌噴霧部位
C 風乾部位
D 払い出し部位
E マシンビジョン部位
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】