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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】廃合成樹脂油化装置
(51)【国際特許分類】
   C10G 1/10 20060101AFI20240614BHJP
   C08J 11/12 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C10G1/10
C08J11/12 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520511
(86)(22)【出願日】2021-06-14
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 KR2021007423
(87)【国際公開番号】W WO2022265125
(87)【国際公開日】2022-12-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523469168
【氏名又は名称】ジョン、ヨン フン
【氏名又は名称原語表記】JEONG, Yeong Hun
【住所又は居所原語表記】501,142,Pyeongchangmunhwa-ro Jongno-gu Seoul 03010,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン、ヨン フン
【テーマコード(参考)】
4F401
4H129
【Fターム(参考)】
4F401AA27
4F401BA02
4F401CA04
4F401CA70
4F401CB01
4F401CB10
4F401CB14
4F401DA08
4F401DA12
4F401FA01X
4F401FA01Y
4F401FA01Z
4F401FA02X
4F401FA11X
4F401FA20Z
4H129AA01
4H129BA04
4H129BB03
4H129BC12
4H129BC30
4H129NA43
(57)【要約】
廃合成樹脂油化装置を開示する。廃合成樹脂が収容され、前記廃合成樹脂を加熱すると同時に、紫外線を照射することで重質油である油蒸気を生成する分解炉と、前記分解炉と連通するように設けられ、前記分解炉から流入された重質油である油蒸気を冷却して液状の重質油に切り替える熱交換器と、前記熱交換器と連通するように設けられ、前記熱交換器において切り換えられた重質油の供給を受けて格納する格納タンクと、を含む。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃合成樹脂が収容され、前記廃合成樹脂を加熱すると同時に、紫外線を照射することで重質油である油蒸気を生成する分解炉と、
前記分解炉と連通するように設けられ、前記分解炉から流入された重質油である油蒸気を冷却して液状の重質油に切り替える熱交換器と、
前記熱交換器と連通するように設けられ、前記熱交換器において切り換えられた重質油の供給を受けて格納する格納タンクと、
を含む
ことを特徴とする廃合成樹脂油化装置。
【請求項2】
前記分解炉は、
廃合成樹脂が収容される本体と、
前記本体の内部に設けられ、前記廃合成樹脂を加熱する加熱部と、
前記本体の内部に設けられ、前記加熱部により加熱され、前記廃合成樹脂に照射される紫外線を放出する紫外線発生部と、
前記本体の上部に設けられ、前記生成された重質油である油蒸気を前記熱交換器に排出する油蒸気排出口と、
を含む
請求項1に記載の廃合成樹脂油化装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記本体の内部の温度が180~270℃となるように加熱し、
前記紫外線発生部は、前記加熱部により加熱され、廃合成樹脂に含有された炭化水素鎖を分解する120~250nm波長の紫外線を放出する
請求項2に記載の廃合成樹脂油化装置。
【請求項4】
前記紫外線発生部は、複数のセラミック複合体が収容された少なくとも1つ以上のセラミック複合体収容部を含み、
前記セラミック複合体は、Al、ZrO及びMgOの中から選択される何れか1つまたは2つ以上のセラミック粉末と、LiF、MgF及びCaFの中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である弗化物粉末と、テルビウム(Terbium、Tb)、セリウム(cerium、Ce)、ユーロピウム(europium、Eu)、及びジスプロシウム(dysprosium、Dy)の中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である熱蛍光希土類系の蛍光体物質を混合して成形した後、焼結して製造され、前記セラミック複合体は180~270℃の温度で120~250nm波長の紫外線を放出するものである
請求項3に記載の廃合成樹脂油化装置。
【請求項5】
前記廃合成樹脂油化装置は、
前記分解炉と連結され、前記分解炉の内部の温度を測定する温度センサーと、
前記分解炉と連結され、前記分解炉の内部の気圧を測定する圧力センサーと、
前記温度センサー及び前記圧力センサーで測定した温度値及び気圧値の供給を受けて前記加熱部の温度を調節する制御部と、
を更に含む
請求項2に記載の廃合成樹脂油化装置。
【請求項6】
前記廃合成樹脂油化装置は、
前記熱交換器に連結され、前記熱交換器から前記格納タンクに供給される重質油の流量を測定し、測定した流量値を前記制御部に供給する流量計を更に含み、
前記制御部は、前記流量値が設定値未満の場合、加熱部の作動を中断する
請求項5に記載の廃合成樹脂油化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃合成樹脂油化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等を原料とする廃プラスチックは、再活用度が低下されているため、大部分が焼却、埋め立てにより処理されている。
【0003】
廃プラスチックの焼却や埋め立ては深刻な環境汚染を誘発しており、自然状態に分解されるまで多くの時間が所要するため、親環境的、且つ経済的な廃プラスチックの処理技術の開発が要求されてきた。
【0004】
廃ビニールや廃プラスチック等の廃合成樹脂の原料は原油であり、ガソリン、ディーゼル油、液化ガスも原油から蒸溜、抽出される。廃合成樹脂の原料は、分子量の大きい炭化水素高分子であり、精油会社が生産しているガソリン、ディーゼル油は、分子量が比較的に小さい炭化水素高分子であるため、廃合成樹脂を液体化した後、クラッキングして石油に切り替えることが可能である。
【0005】
クラッキング方法として、通常は、酸素のない条件下で高分子物質を加熱する熱分解油化工程が一部使用されているところ、公害物質が発生してしまうと共に、製造済みのオイルにワックス、タール、コーキング、灰分、アルミニウム迫粉の他にも、重金属等が含まれることによる低品質により、現在、使用が禁止されている。
【0006】
従来の高温熱分解油化工程は、細かく砕けている廃合成樹脂を高温の溶融炉へ供給し、ゲル状で溶融されるようにした後、ゲル状の溶融液を熱分解反応炉で450℃以上の高温で加熱して気体と液体とに分離させた後、油類成分を有する気体状のガスからワックス成分の重油を分離し、重油が分離されたガスをまた凝縮し、高粘度を有する混合重質油を得るように構成される。ここで得られる混合重質油は、熱分解工程で生産しようとする主生成物であって、低沸点から高沸点を有する多様な重質油成分が多く混合され、高い粘性を有する濃い焦げ茶色の混合油であり、多量の重金属、有害物質等を含有している。
【0007】
例えば、後述する特許文献1には、「廃オイルを用いた直接加熱式の廃合成樹脂の油化装置」が開示されている。
【0008】
後述する特許文献1による廃オイルを用いた直接加熱式の廃合成樹脂の油化装置は、廃合成樹脂と廃オイルを含む原料が供給され、高温及び高圧下で熱分解が発生して、ガスが生成される反応炉と、前記反応炉から吐出される原料を加熱し、加熱された原料をまた前記反応炉に循環させるように前記反応炉と配管に連結されている第1加熱部を含む第1加熱部材と、前記反応炉から生成されるガスを冷却凝縮させて再生油を抽出する冷却部と、を含む。
【0009】
前記反応炉は、高温及び高圧下で熱分解が発生した後、減圧されながらガスが生成され、前記第1加熱部材において前記配管の一端部は、前記反応炉の側部を貫通して前記反応炉の内部と連結され、他端部は、前記第1加熱部と連結され、前記反応炉の内部の前記原料を前記第1加熱部に吐出させる吐出管と、一端部は、前記第1加熱部と連結され、他端部は、前記反応炉の内部と連結され、前記第1加熱部で加熱された前記原料を前記反応炉に循環させる循環管と、を含む。
【0010】
前記循環管の他端部には、前記原料を前記反応炉に循環させるように第1排出口と第2排出口とがそれぞれ形成され、前記第1排出口は、前記反応炉において前記原料の熱分解が進行される際に使用され、前記第2排出口は、前記反応炉において前記原料の熱分解が進行された後、減圧下で前記原料を循環してガス化する過程で使用され、前記第1排出口は端部が外側方向に隔たることなく形成され、前記第2排出口は端部が外側方向に隔たり、循環される原料が横側に広がりながら前記反応炉の内壁にぶつかるようになっている。
【0011】
後述する特許文献2には、「廃合成樹脂油化装置」が開示されている。
【0012】
後述する特許文献2による廃合成樹脂油化装置は、廃合成樹脂が投入されることができ、前記廃合成樹脂を撹拌しながら熱分解できる加熱炉と、前記加熱炉と連結され、前記加熱炉で廃合成樹脂が熱分解される際に発生する油類ガスを冷却及び液化させて混合油を生成する熱交換器と、前記熱交換器と連結されるように構成され、前記混合油を沸点差を用いて軽質油と重質油とに分離する分離ユニットと、を含む。
【0013】
前記分離ユニットは、前記熱交換器と連結されながら設定された角度として、上向きに傾いた傾斜流路部と、前記傾斜流路部の前方の始端側に設けられ、前記混合油を加熱する補助ヒーティング部と、前記傾斜流路部で前記補助ヒーティング部の後方に設けられ、前記補助ヒーティング部により気化された混合油ガスを冷却する補助冷却部と、前記補助冷却部の後方で前記傾斜流路部に連結され、前記補助冷却部により液化された重質油を分離する第1分岐流路と、前記傾斜流路部の末端に連結され、前記補助冷却部により液化された軽質油を分離する第2分岐流路と、を含む。
【0014】
しかし、前述した従来の熱分解油化工程は、反応炉に供給された廃合成樹脂を毎回の工程毎に間接加熱を用いて450℃以上加熱すべきであるため、加熱時間が相対的に長くなり、多量の廃合成樹脂を迅速に処理できないという問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2012-0019346号
【特許文献2】韓国公開実用新案第20-2012-0007128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
よって、本発明が解決しようとする技術的課題は、本発明は、廃合成樹脂を比較的に低温でクラッキング分解する方式により、混合重質油(C24~C60)を迅速に生産する廃合成樹脂油化装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一側面は、廃合成樹脂が収容され、前記廃合成樹脂を加熱すると同時に、紫外線を照射することで重質油である油蒸気を生成する分解炉と、前記分解炉と連通するように設けられ、前記分解炉から流入された重質油である油蒸気を冷却して液状の重質油に切り替える熱交換器と、前記熱交換器と連通するように設けられ、前記熱交換器において切り換えられた重質油の供給を受けて格納する格納タンクと、を含む、廃合成樹脂油化装置を提供する。
【0018】
前記分解炉は、廃合成樹脂が収容される本体と、前記本体の内部に設けられ、前記廃合成樹脂を加熱する加熱部と、前記本体の内部に設けられ、前記加熱部により加熱されて前記廃合成樹脂に照射される紫外線を放出する紫外線発生部と、前記本体の上部に設けられ、前記生成された重質油である油蒸気を前記熱交換器に排出する油蒸気排出口と、を含むことができる。
【0019】
前記加熱部は、前記本体の内部の温度が180~270℃となるように加熱し、前記紫外線発生部は、前記加熱部により加熱され、廃合成樹脂に含有された炭化水素鎖を分解する120~250nm波長の紫外線を放出するものであり得る。
【0020】
前記紫外線発生部は、複数のセラミック複合体が収容された何れか1つ以上のセラミック複合体収容部を含み、前記セラミック複合体は、Al、ZrO及びMgOの中から選択される何れか1つまたは2つ以上のセラミック粉末と、LiF、MgF及びCaFの中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である弗化物粉末と、テルビウム(Terbium、Tb)、セリウム(cerium、Ce)、ユーロピウム(europium、Eu)、及びジスプロシウム(dysprosium、Dy)の中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である熱蛍光希土類系の蛍光体物質を混合して成形した後、焼結することで製造され、前記セラミック複合体は180~270℃の温度で120~250nm波長の紫外線を放出するものであり得る。
【0021】
前記廃合成樹脂油化装置は、前記分解炉と連結され、前記分解炉の内部の温度を測定する温度センサーと、前記分解炉と連結され、前記分解炉の内部の気圧を測定する圧力センサーと、前記温度センサー及び前記圧力センサーで測定した温度値及び気圧値の供給を受けて前記加熱部の温度を調節する制御部と、を更に含むことができる。
【0022】
前記廃合成樹脂油化装置は、前記熱交換器に連結され、前記熱交換器から前記格納タンクに供給される重質油の流量を測定し、測定した流量値を前記制御部に供給する流量計を更に含み、前記制御部は、前記流量値が設定値未満の場合、加熱部の作動を中断することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、廃合成樹脂を熱蛍光特性を有するセラミック複合体を加熱して放出される光波動エネルギーと熱エネルギーとを同時に用いた直接クラッキング分解反応を通じて、重質油である油蒸気微粒子(oil mist)に気化した後に凝縮させて、混合重質油(C24~C60)を得ることができる。熱エネルギーと光波動エネルギーとを同時に使用するため、比較的に低温の条件で迅速に良質の重質油を得ることができ、消耗されるエネルギーが少なくて、経済的であると共に、低温の工法により汚染物(ダイオキシン等)が発生しない親環境的な方法で高品質の重質油を製造できるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施例に係る廃合成樹脂油化装置を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施例に係る分解炉を示す図である。
図3】本発明の一実施例に係るセラミック複合体から放出される光の波長及び強度を測定した結果を示すグラフである。
図4】本発明の一実施例に係るセラミック複合体の廃合成樹脂の分解性能の確認のための熱重量の分析結果を示すグラフである。
図5】本発明の一実施例に係るセラミック複合体の廃合成樹脂の分解性能の確認のための熱重量の分析結果を示すグラフである。
図6】本発明の一実施例に係って生産された重質油のGC-MS(gas chromatograph-mass spectrometer)分析スペクトラムを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面と実施例を参考しながら、本発明についてより詳しく説明する。以下で記述されている用語と説明は、本発明を明確に説明するために例示したものに過ぎず、本発明の権利範囲がこれらに限定されない。
【0026】
本発明の説明において使われている第1、第2等の用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみとして使われる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないと共に、第1構成要素は第2構成要素と呼ばれることができ、同様に第2構成要素も第1構成要素と呼ばれることができる。及び/またはという用語は、複数の関連記載されている項目の組合または複数の関連記載されている項目の何れかの項目を含む。
【0027】
本願で使われている用語は、単に特定の実施例を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本願において、「含む」または「有する」等の用語は、明細書上で記載されている特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しない。
【0028】
異なるように定義されない限り、技術的であるか、科学的な用語を含み、ここで使われている全ての用語は、本発明が属する技術分野において、通常の知識を持った者により一般的に理解されるものと同じ意味を有している。一般的に使われている辞典に定義されているような用語は、関連技術の文脈上で有する意味と一致する意味を有するものと解釈すべきであり、本願で明白に定義されない限り、理想的であるか、過度に形式的な意味として解釈されない。
【0029】
図1は、本発明の一実施例に係る廃合成樹脂油化装置を概略的に示す図である。
【0030】
図1を参照すれば、本発明の一実施例に係る廃合成樹脂油化装置は、廃合成樹脂が収容され、前記廃合成樹脂を加熱すると同時に、紫外線を照射することで重質油である油蒸気を生成する分解炉10と、前記分解炉10と連通するように設けられ、前記分解炉10から流入された重質油である油蒸気を冷却して液状の重質油に切り替える熱交換器20と、前記熱交換器20と連通するように設けられ、前記熱交換器20で切り換えられた重質油の供給を受けて格納する格納タンク40と、を含む。
【0031】
本発明の一実施例に係る廃合成樹脂油化装置は、廃合成樹脂を分解することで重質油である油蒸気を生成した後、生成された重質油である油蒸気を液化して重質油を得ることで、廃合成樹脂から重質油を抽出し出すためのものである。
【0032】
450℃以上の高温工程が必須であった従来の熱分解油化工程とは異なって、本発明の廃合成樹脂油化装置は、熱エネルギーを用いると同時に、照射する紫外線の波動エネルギーを通じて比較的に低温でも迅速な廃合成樹脂の分解が可能であるため、多量の重質油を短時間内に生産することができる。
【0033】
ここで、廃合成樹脂という廃プラスチック、廃ビニール等を含むことができ、熱により低分子物質にクラッキングできる熱可塑性樹脂を意味する。
【0034】
熱可塑性樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリロニトリルスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ナイロン、ポリアミド、テフロン(登録商標)、合成ゴム、ポリ塩化ビニール等を例として挙げることができる。
【0035】
ここで、重質油とは、ワックス成分が含まれた油類として定義可能であり、バンカーC油を例として挙げることができる。
【0036】
本発明の一実施例に係る前記廃合成樹脂油化装置は、分解炉10及び熱交換器20を含んで構成され、これらを構成別に説明すれば、次のようである。
【0037】
本発明の一実施例に係る前記分解炉10は、廃合成樹脂の供給を受け、加熱して重質油である油蒸気を生成するためのものである。
【0038】
前記分解炉10は、廃合成樹脂が収容される本体11と、前記本体11の内部に設けられ、前記廃合成樹脂を加熱する加熱部13と、前記本体11の内部に設けられ、前記加熱部13により加熱され、前記廃合成樹脂に照射される紫外線を放出する紫外線発生部14と、前記本体11の上部に設けられ、前記生成された重質油である油蒸気を前記熱交換器20に排出する油蒸気排出口16と、を含むことができる。
【0039】
前記本体11は、内部に廃合成樹脂が投入可能な構造で、円筒状または直方体状に構成されることができる。
【0040】
廃合成樹脂は、台車17に積載され、前記分解炉10の一面に設けられた投入口12を通じて前記本体11に移動されることができ、前記本体11の内部の底面には廃合成樹脂を積載した台車17の移動のためのレール18が設けられることができる。
【0041】
前記加熱部13は、前記本体11の内部の温度が180~270℃となるように加熱し、前記紫外線発生部14は、前記加熱部13により加熱され、廃合成樹脂に含有された炭化水素鎖を分解する120~250nm波長の紫外線を放出するものであり得る。
【0042】
前記本体11の内部には、前記本体11の内部温度を180~270℃に上昇させることができる加熱部13が設けられ、前記加熱部13は、板状またはシリンダー状であり得る。
【0043】
例えば、前記加熱部13は、板状であり、前記本体11の両側内壁及び底面に一定の間隔を開いて設けられることができ、前記加熱部13は、シリンダー状であり、前記本体11の内壁に隣接して下面と垂直または水平に1つまたは一定の間隔を開いて多数設けられることができる。前記加熱部13の形態は、これらに限定されることなく、前記分解炉10の形態、用量、目標温度等を考慮して適切に設計、変更することができる。
【0044】
前記紫外線発生部14は、複数のセラミック複合体15bが収容された少なくとも1つ以上のセラミック複合体収容部15aを含む。
【0045】
前記セラミック複合体15bは、Al、ZrO及びMgOの中から選択される何れか1つまたは2つ以上のセラミック粉末と、LiF、MgF及びCaFの中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である弗化物粉末と、テルビウム(Terbium、Tb)、セリウム(cerium、Ce)、ユーロピウム(europium、Eu)、及びジスプロシウム(dysprosium、Dy)の中から選択される何れか1つまたは2つ以上の混合物である熱蛍光希土類系の蛍光体物質を混合して成形した後、焼結して製造され、前記セラミック複合体15bは180~270℃の温度で120~250nm波長の紫外線を放出するものであり得る。
【0046】
より詳細には、前記分解炉10の内部には、紫外線を放出して前記廃合成樹脂に含有された炭化水素鎖を分解する紫外線発生部14が設けられる。前記紫外線発生部14は、前記タイルまたはブロック状で前記本体11の内部の壁面に設けられることができる。
【0047】
前記紫外線発生部14は、複数のセラミック複合体15bが収容されたセラミック複合体収容部15aが少なくとも1つ以上含まれる。前記セラミック複合体収容部15aは、収容されたセラミック複合体15bから放出される紫外線を遮断しないと共に、前記加熱部13で加えられる熱に耐えることができる素材で構成され、例えば、金属メッシュを用いることができる。
【0048】
前記セラミック複合体15bは、熱蛍光(Thermo-fluorescence)の特性により、180~270℃の温度でUV-Cに該当する120~250nm波長の紫外線を放出する。放出されたUV-Cの波長は、前記120~250nmの範囲で不連続的に存在し、強力な波動エネルギーを有するパルス波(pulse wave)に該当する。前記放出される紫外線(パルス波)の波動エネルギーを波長により換算すると、989~480kJ/molに該当する。
【0049】
前記廃合成樹脂に一般的に含まれるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の高分子に含有された炭素間の単一結合(C-C)エネルギーは347kJ/molであるため、前記セラミック複合体15bから放出される紫外線は、炭素間の単一結合の直接分解(direct cracking)を引き起こすことができるほどの充分なエネルギーを有する。
【0050】
よって、450℃以上の高温工程が必須であった従来の熱分解油化工程とは異なって、本発明の廃合成樹脂油化装置は、前記セラミック複合体15bから放出される波動エネルギーを、熱エネルギーが加えられて、180~270℃の比較的に低温でも廃合成樹脂の分解が可能であるため、加熱時間を短縮可能であり、450℃以上の高温を維持することにおいて所要されるエネルギーを減らすような効果が得られる。さらに、熱エネルギーのみを使って廃合成樹脂を分解する場合とは異なって、紫外線の照射による波動エネルギーを同時に用いるため、廃合成樹脂の分解がさらに速く引き起こされ、多量の重質油を迅速に生産可能であるという利点を有する。
【0051】
なお、既存の高温熱分解工程において、コーク、タール、灰分が生成され、熱分解反応炉の内壁に沈着され、次の作業を行うためには反応炉の内壁の残渣を毎度取り除くべきであり、これにより反応炉を連続的に稼動できないという問題がある。しかし、本発明の廃合成樹脂油化装置は、比較的に低温で工程が進行されるので、コーク、タール、灰分等が生成されないため、このような問題を解決することができる。
【0052】
さらに、高温熱分解工程では、ダイオキシン、粉塵等の有害物質の放出問題が不可欠に伴われるところ、本発明では、低温工程により有害物質が放出されないため、親環境的であり、有害物質の排出を防止及び回収するための費用を節約できるため、経済的である。
【0053】
前記加熱部13から供給される熱エネルギー及び前記セラミック複合体15bにより放出される紫外線の波動エネルギーにより、廃合成樹脂に含有された炭化水素鎖は分解され、分子量が減少した炭化水素鎖は大部分が炭素数24~60の重質油である油蒸気に気化される。
【0054】
前記セラミック複合体15bの製造方法についてより詳細に説明すると、前記セラミック複合体15bは、前記セラミック粉末、前記弗化物粉末、及び熱蛍光希土類系の蛍光体物質を混合、成形して成形体を製造するステップと、前記成形体を1300~1450℃の温度で焼結するステップと、を含んで製造され得る。
【0055】
前記セラミック複合体15bは、板状または直径8~15mmの球状を有することができるが、これに限定されず、設置の便宜性のために、セラミック複合体15bの形態を適宜選択することができる。
【0056】
前記油蒸気排出口16は、熱エネルギー及び波動エネルギーにより気化された重質油である油蒸気を排出する。前記油蒸気排出口16は、気化された重質油である油蒸気が上昇することを考慮すると、前記本体11の上部に設けられるのが望ましいこともあるが、これに制限されない。
【0057】
前記分解炉10は、内部の密閉のために、油圧シリンダーを含むことができる。前記油圧シリンダーにより密閉された分解炉10は、外部から空気が流入されず、無酸素の雰囲気が形成されるため、前記セラミック複合体15bから放出される紫外線による廃合成樹脂炭素間の結合のクラッキング反応の他、如何なる付加反応も発生しない。よって、廃合成樹脂に対する前処理過程が不要であり、汚染物質が発生されず、分解の残在物は炭のような形状の炭素の固まりに変換される。前記セラミック複合体15bにより分解されない無機物または金属等の不純物は、分解の残在物と分離して別途に収去可能であり、分解の残在物も炭素含有率の高い高熱量の固形の燃料として再使用することができる。
【0058】
前記本体11の下部には、異物または廃合成樹脂に含まれた水気を排出するための異物排出口が形成され得る。
【0059】
また、前記廃合成樹脂油化装置は、前記分解炉10と連結され、前記分解炉10の内部の温度を測定する温度センサー51と、前記分解炉10と連結され、前記分解炉10の内部の気圧を測定する圧力センサー52と、前記温度センサー51及び前記圧力センサー52で測定した温度値及び気圧値の供給を受け、前記加熱部13の温度を調節する制御部50と、を更に含むことができる。
【0060】
前記温度センサー51及び圧力センサー52は、前記分解炉10の内部の温度及び圧力の測定が容易であるように、分解炉10の内部と連結されるように設けられる。
【0061】
前記制御部50は、前記温度センサー51及び圧力センサー52から測定された温度及び圧力値を認識して、温度及び圧力が過度に高い場合、加熱部13の温度を高め、測定された温度及び圧力が過度に低い場合、加熱部13の温度を低めるように制御することができる。
【0062】
本発明の一実施例に係る前記熱交換器20は、前記分解炉10と連通され、前記分解炉10から流入された前記重質油である油蒸気を冷却及び液化することで重質油を生成するためのものである。
【0063】
前記熱交換器20は、前記分解炉10の油蒸気排出口16と連結されることができる。前記熱交換器20は、冷却水が格納された冷却水槽を含むことができ、前記熱交換器20に流入された重質油である油蒸気は、冷却水槽により熱を奪われ、冷却及び液化されて、重質油に切り換えられることができる。
【0064】
このような熱交換器20は、当業界において広く知られている公知技術の熱交換器20からなるため、熱交換器20自体の構成に関するより詳しい説明は省略する。
【0065】
前記廃合成樹脂油化装置は、前記熱交換器20に連結され、前記熱交換器20で前記格納タンク40に供給される重質油の流量を測定し、測定した流量値を前記制御部50に供給する流量計53を更に含み、前記制御部50は、前記流量値が設定値未満の場合、加熱部13の作動を中断することができる。
【0066】
前記流量計53により測定された重質油の流量が一定値未満である場合、廃合成樹脂内から抽出できる重質油である油蒸気が消尽したことを意味し、この際、前記制御部50は、加熱部13の作動を中断することで廃合成樹脂油化工程を終了することができる。前記設定値は、前記分解炉10に投入した廃合成樹脂の量に応じて異なるように設定可能であり、例えば、廃合成樹脂を6000kg投入する場合、設定値は100l/hrに設定することができる。
【0067】
前記制御部50は、前述した前記温度センサー51及び前記圧力センサー52から温度及び圧力値の供給を受ける制御部50と同一であることが望ましく、自動または受動で作動可能である。
【0068】
前記廃合成樹脂油化装置は、前記熱交換器20と連通するように設けられ、前記熱交換器20から供給を受けた重質油に含有された水気を取り除き、水気が除去された重質油を前記格納タンク40に供給する油水分離器30を更に含むことができる。
【0069】
前記油水分離器30は、前記熱交換器20により液化された重質油に含有された水気を、密度差を用いた重力方式や遠心分離を用いて分離する。
【0070】
このような油水分離器30は、当業界において広く知られている公知技術の油水分離器30からなるため、熱交換器20自体の構成に関するより詳しい説明は省略する。
【0071】
前記生成された重質油は、前記熱交換器または前記油水分離器30と連結された格納タンク40へ移送されて格納されることができる。
【0072】
前述した構成により、本発明の廃合成樹脂油化装置は、180~270℃の低温でもセラミック複合体15bから放出される紫外線の波動エネルギーを活用して、廃プラスチックに含有された炭素-炭素結合を分解可能であり、炭素数の減少した炭化水素は、油蒸気化が円滑に行われ得る。発生した油蒸気は、冷却及び液化過程を介して、C24~C60の炭素数を有する良質の重質油を得ることができる。
【0073】
以下、上述したように構成された本発明の廃合成樹脂油化装置の作動及び望ましい実施例について詳細に説明する。
【0074】
廃合成樹脂は、自動に移送される台車17に積載され、分解炉10の内部に投入される。廃合成樹脂は、2台の台車17に各3個ずつ、計6個のビニールパックに入れ込まれ、分解炉10の内部に投入され、装入した後、油圧シリンダーを使って投入口12を蜜閉し、熱交換器20の冷却水の流量速度が一定の状態に到逹すれば、加熱部13の作動を始める。
【0075】
前記加熱部13は、シリンダー状を有し、前記本体11の内部の両側部に、下面と垂直方向へ各6個ずつ12個、及び前記本体11の内部の下面に、下面と水平方向に24個が設けられる。
【0076】
前記本体11の内部温度は、初期60℃に設定されており、廃合成樹脂が投入された以後、前記加熱部13が作動して、前記本体11の内部の温度を270℃まで上昇させる。
【0077】
前記本体11の内部の上面及び両側面に設けられた加熱部13と隣接するように配置された紫外線発生部14は、熱エネルギーを吸収し、前記紫外線発生部14に含まれた前記セラミック複合体収容部15aに収容されたセラミック複合体15bは、120~250nm波長を有する紫外線を放出する。前記放出された紫外線の波動エネルギーにより、廃合成樹脂に含有された炭素間の結合が分解され、炭素数24~60の重質油である油蒸気で蒸発して、前記分解炉10の上部の一側に設けられた油蒸気排出口16に排出される。
【0078】
前記排出された重質油である油蒸気は、熱交換器20を経由して冷却及び凝縮され、液状の重質油に切り換えられる。重質油はそれ以後、油水分離器30に供給され、油水分離器30で重質油に含有されている少量の水気を分離して取り除く。前記油水分離器30を介した重質油は、格納タンクに供給されて格納される。
【0079】
前記熱交換器20に連結された流量計53は、生成される重質油の流量を測定して制御部50に供給する。前記制御部50は、流量が一定値未満に減少する場合、前記加熱部13の作動を中断して、工程を終了させる。
【0080】
実験例1.セラミック複合体の紫外線放出測定実験
【0081】
前記セラミック複合体の紫外線放出特性を分析するために、前記セラミック複合体の180~270℃温度で放出される光の波長と強度を測定した。
【0082】
セラミック複合体は、次のような方法で製造した。純度99.99%以上のアルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)及びマグネシア(MgO)をメッシュ#2400以上に粉碎したセラミック粉末100重量部を基準として、LiF、MgF及びCaFを混合した弗化物粉末7重量部、テルビウム酸化物(TbO)粉末、ジスプロシウム酸化物(Dy)粉末、セリウム酸化物(CeO)粉末を混合した熱蛍光希土類系物質3重量部を混合した。混合物を直径10mmの球状で成形した後、1400℃で焼結してセラミック複合体を製造した。
【0083】
図3は、前記セラミック複合体を180~270℃温度で加熱する際に、放出される光の波長及び強度を測定した結果を示すグラフである。上記の図3に示すように、120~250nm範囲の波長を有する紫外線が放出され、前記波長範囲で不連続的な波長分布(121、124、130、220、225、249nm)を示していることが確認できた。
【0084】
一方、以下の表1において、一般的な廃合成樹脂に含まれるポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の混合プラスチック類に存在する化学結合の種類に応じた結合エネルギーを示しており、以下の表2は、前記セラミック複合体から放出された光の波長による波動エネルギー換算値を示している。換算は、後述する数1を通じて行われた。
【0085】
【数1】
【0086】
ここで、Eは、エネルギー、hは、プランク定数(6.626×10-34J/s)、cは、光速(3×10m/s)、λは、波長である。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
上記の表1及び表2に示すように、120~250nmの波長を有する光の波動エネルギーは、廃合成樹脂に最も多く存在する炭素間単一結合の結合エネルギー(347kJ/mol)に比べて大きい。よって、前記セラミック複合体から放出される光は、廃合成樹脂の炭素間単一結合を分解できる十分なエネルギーを有していることが確認できた。
【0090】
実験例2.熱重量の分析
【0091】
前記セラミック複合体の廃合成樹脂の分解性能を確認するために、熱重量分析(thermogravimetric analysis、TGA)を実施した。
【0092】
高密度ポリエチレン(HDPE)試料単独で熱重量分析器に投入した後、温度を2℃/分の昇温速度で昇温して重さを測定した。また、高密度ポリエチレン試料をセラミック複合体と共に熱重量分析器に投入したことを除き、同じ条件で重さを測定した。前記分析結果は図4に示した。図4aは、高密度ポリエチレン試料単独の熱重量の分析結果であり、図4bは、高密度ポリエチレン試料及びセラミック複合体の熱重量の分析結果である。
【0093】
上記の図4a及び図4bに示すように、高密度ポリエチレン試料を単独で投入した場合、220℃の温度から質量の減少が観察されたのに対し、セラミック複合体を共に投入した場合、110℃の温度から質量の減少が始まることが確認できた。
【0094】
また、250℃の恒温維持条件で300分間、高密度ポリエチレン試料単独に対する熱重量分析を実施し、同じ分析を高密度ポリエチレン試料とセラミック複合体を共に実施して比較した。上記の分析結果は図5に示した。
【0095】
上記の図5に示すように、高密度ポリエチレン試料の単独投入する場合、85分後に質量の減少が始まり、分析が終了した後、初期の試料投入重量に比べて12%の重量減少が起こることが確認できた。
【0096】
一方、セラミック複合体を共に投入した場合、わずか7分後に分解が始まり、分析が終了した後、初期の投入試料重量に比べて68%の重量減少が起こることが確認できた。
【0097】
よって、前記熱重量の分析結果から、セラミック複合体はより低い温度で、速い速度で、多量の合成樹脂の分解ができることが確認できた。
【0098】
実験例3.結果物の物性及び成分の分析
【0099】
前述した廃合成樹脂油化装置の好適な実施例により、廃合成樹脂から重質油を生産し、生産した重質油及び残在物の物性及び成分を分析した。以下の表3において、生産した重質油の物性を分析した結果を示し、図6には、生産した重質油のGC-MS(gas chromatograph-mass spectrometer)分析スペクトラムを示した。また、残在物の物性及び成分を分析した結果を以下の表4に示した。
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】
上記の表3に示すように、常温で高粘度の液状の重質油が生産され、生産された重質油は、自然発火テスト、水反応性テスト、酸化性テストから問題が見当たらず、安全な生産が可能であることが確認できた。また、図6のGC-MS測定結果に示すように、生産された重質油はC23~C54の炭素数の分布を示し、C34~C44パラフィン係ワックス成分を最も多く含んでいることが確認できた。
【0103】
一方、上記の表4に示すように、重質油の生産以後に残った残在物は炭と類似した黒色の固体だったのであり、水分、灰分、塩素、黄分と、水銀、カドミウム、鉛、砒素等の金属成分を少量含んでいることが確認できた。特に、5000kcal/kg以上の低位発熱量を有し、残在物自体的に固体燃料として使われ得ることが確認できた。
【0104】
よって、上記の結果から、本発明の望ましい実施例に係る廃合成樹脂油化装置から良質の重質油を生産することができ、残在物は固形の燃料として使われ得ることが確認できた。
【0105】
前述した実施例は、本発明を説明するための例示であって、本発明は、これに限定されない。本発明が属する技術分野において、通常の知識を持った者であれば、これから多様に変形して本発明を実施するのが可能であるはずなので、本発明の技術的な保護範囲は、添付する特許請求の範囲により定められるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、廃合成樹脂を比較的に低温でクラッキング分解する方式により、混合重質油(C24~C60)を迅速に生産することができる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】