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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-21
(54)【発明の名称】結節性硬化症に対する遺伝子療法
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/47 20060101AFI20240614BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/864 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240614BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20240614BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 38/17 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240614BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240614BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
C07K14/47 ZNA
C12N15/63 Z
C12N15/864 100Z
C12N5/10
C12N1/21
C12N1/19
C12N1/15
C12N7/01
C12P19/34 A
C12N15/12
A61P35/00
A61K38/17
A61K35/76
A61K48/00
A61K31/7088
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024520657
(86)(22)【出願日】2022-06-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022033452
(87)【国際公開番号】W WO2022266113
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】63/210,456
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523469559
【氏名又は名称】ブリッジバイオ ジーン セラピー リサーチ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】スコット, デイビッド ウェイン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA03
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA95X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA01
4C084AA02
4C084AA07
4C084AA13
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA18
4C084CA53
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045EA20
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、結節性硬化症を治療するための遺伝子療法組成物及び方法を提供する。特に、本開示は、AAVカプシドタンパク質と、短縮されたチュベリン(cチュベリン)をコードするAAV発現カセットと、を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物、ならびにそれを使用する方法を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、前記cチュベリン。
【請求項2】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基947~988をさらに欠く、請求項1に記載のcチュベリン。
【請求項3】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基1205~1271をさらに欠く、請求項1または2に記載のcチュベリン。
【請求項4】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基1336~1497をさらに欠く、請求項1~3のいずれか1項に記載のcチュベリン。
【請求項5】
前記C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のcチュベリン。
【請求項6】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基933~1109をさらに欠く、請求項1に記載のcチュベリン。
【請求項7】
C末端ドメインが、配列番号8に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項6に記載のcチュベリン。
【請求項8】
N末端ドメインが、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のcチュベリン。
【請求項9】
(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記C末端領域が、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く、前記cチュベリン。
【請求項10】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、請求項9に記載のcチュベリン。
【請求項11】
前記C末端領域が、配列番号8に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9または10に記載のcチュベリン。
【請求項12】
前記C末端領域が、配列番号9に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9または10に記載のcチュベリン。
【請求項13】
前記N末端領域が、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のcチュベリン。
【請求項14】
前記N末端領域が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9~12のいずれか1項に記載のcチュベリン。
【請求項15】
前記cチュベリンが、配列番号14に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のcチュベリン。
【請求項16】
前記cチュベリンが、配列番号15に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のcチュベリン。
【請求項17】
前記cチュベリンが、配列番号16に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項9に記載のcチュベリン。
【請求項18】
(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く、前記cチュベリン。
【請求項19】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、請求項18に記載のcチュベリン。
【請求項20】
前記C末端領域が、配列番号10に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18または19に記載のcチュベリン。
【請求項21】
前記C末端領域が、配列番号11に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18または19に記載のcチュベリン。
【請求項22】
前記C末端領域が、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18または19に記載のcチュベリン。
【請求項23】
前記cチュベリンが、配列番号17に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のcチュベリン。
【請求項24】
前記cチュベリンが、配列番号18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のcチュベリン。
【請求項25】
前記cチュベリンが、配列番号19に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18に記載のcチュベリン。
【請求項26】
前記N末端領域が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項18~25のいずれか1項に記載のcチュベリン。
【請求項27】
前記cチュベリンが、前記N末端領域と前記C末端領域との間にスペーサ配列を含む、請求項1~26のいずれか1項に記載のcチュベリン。
【請求項28】
前記スペーサ配列が、配列番号2の配列を含む、請求項27に記載のcチュベリン。
【請求項29】
前記スペーサ配列が、配列番号3の配列を含む、請求項28に記載のcチュベリン。
【請求項30】
請求項1~29のいずれか1項に記載のcチュベリンをコードする、核酸分子。
【請求項31】
前記核酸分子が、ヒト標的細胞における発現のためにコドン最適化されている、請求項30に記載の核酸分子。
【請求項32】
前記ヒト標的細胞が、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞である、請求項31に記載の核酸分子。
【請求項33】
前記核酸分子が、調節制御配列に操作可能に連結されている、請求項30~32のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項34】
前記調節制御配列が、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモータ/エンハンサ、SV40プロモータ、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモータ、ホスホグリセロールキナーゼプロモータ、CMV即時/初期遺伝子エンハンサ/CBAプロモータ、シナプシンプロモータ、またはグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモータを含む、請求項33に記載の核酸分子。
【請求項35】
前記調節制御配列が、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時/初期遺伝子エンハンサ/ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモータ、及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)を含む、請求項33に記載の核酸分子。
【請求項36】
前記調節制御配列が、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含む、請求項33に記載の核酸分子。
【請求項37】
前記核酸分子が、配列番号21~26のいずれか1項に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、請求項30~36のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項38】
(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域とを含むcチュベリンをコードする、核酸分子であって、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠き、前記核酸分子が、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含む調節制御配列に操作可能に連結されている、前記核酸分子。
【請求項39】
前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~1515を欠く、請求項38に記載の核酸分子。
【請求項40】
前記C末端領域が、配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項38または39に記載の核酸分子。
【請求項41】
前記N末端領域が、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項38~40のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項42】
アデノ随伴ウイルス(AAV)発現カセットを含む核酸分子であって、前記AAV発現カセットが、5’から3’へと、
i)5’AAV逆位末端反復(ITR)と、
ii)請求項25~35のいずれか1項に記載の核酸分子と、
iii)3’AAV ITRと、を含む、前記核酸分子。
【請求項43】
前記5’ITR及び/または前記3’ITRが、AAV2に由来する、請求項42に記載の核酸分子。
【請求項44】
前記5’AAV ITR配列が、配列番号27に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項42または43に記載の核酸分子。
【請求項45】
前記3’AAV ITR配列が、配列番号28に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項46】
前記AAV発現カセットが、ポリアデニル化配列をさらに含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項47】
前記AAV発現カセットが、コザック配列をさらに含む、請求項42~46のいずれか1項に記載の核酸分子。
【請求項48】
請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、プラスミド。
【請求項49】
請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、または請求項48に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
【請求項50】
請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、請求項48に記載のプラスミド、または請求項49に記載の宿主細胞を含む、組成物。
【請求項51】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子または請求項48に記載のプラスミドと接触させることを含む、前記方法。
【請求項52】
請求項51に記載の方法によって産生される、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項53】
AAVカプシドタンパク質と、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子と、を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
【請求項54】
前記rAAVが、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV3カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAVrh10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、及び/またはAAV12カプシドタンパク質を含む、請求項52または53に記載のrAAV。
【請求項55】
標的細胞においてcチュベリンを発現させる方法であって、前記標的細胞を、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、請求項48に記載のプラスミド、請求項50に記載の組成物、または請求項52~54のいずれか1項に記載のrAAVと接触させ、それによって、前記標的細胞においてcチュベリンを発現させることを含む、前記方法。
【請求項56】
前記接触させるステップが、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで実施される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記接触させるステップが、治療を必要とする対象においてインビボで実施される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記接触させるステップが、治療有効量の前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVを前記対象に投与することを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
結節性硬化症複合体(TSC)を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~29のいずれか1項に記載のcチュベリン、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む1つ以上の細胞外小胞(EV)、請求項48に記載のプラスミド、請求項50に記載の組成物、または請求項52~54のいずれか1項に記載のrAAVを前記対象に投与し、それによって、前記対象におけるTSCを治療することを含む、前記方法。
【請求項60】
腎癌を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~29のいずれか1項に記載のcチュベリン、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、請求項30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む1つ以上の細胞外小胞(EV)、請求項48に記載のプラスミド、請求項50に記載の組成物、または請求項52~54のいずれか1項に記載のrAAVを前記対象に投与し、それによって、前記対象における腎癌を治療することを含む、前記方法。
【請求項61】
前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、血管内、腎動脈または静脈内、肺内、大槽内、脳内、髄腔内、静脈内、脳室内、側脳室内、腹腔内、または真皮に投与される、請求項57~60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記対象が、腎血管筋脂肪腫を有する、請求項57~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、前記腎血管筋脂肪腫を標的とする、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記対象が、リンパ脈管筋腫症(LAM)を呈する、請求項57~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、前記LAMを標的とする、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象が、脳機能不全を有する、請求項57~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、くも膜下腔に提供される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞に投与される、請求項57~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記対象が、ラパマイシンを投与される、請求項57~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記対象が、ヒトである、請求項57~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記対象が、18歳未満である、請求項57~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記対象が、乳児である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記対象が、結節性硬化症複合体を有すると診断されている、請求項57~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記対象が、TSC2遺伝子に変異を有する、請求項57~73のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記対象が、前記TSC2遺伝子のエクソン33、エクソン37、及び/またはエクソン38に変異を有する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象が、皮質結節、上衣下結節、及び上衣下巨細胞星細胞腫のうちの1つ以上を有する、請求項57~75のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年6月14日出願の米国仮出願第63/210,456号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
電子提出されたテキストファイルの説明
ここで電子提出されたテキストファイルの内容:配列表のコンピュータ可読形式コピー(ファイル名:BGTR_003_01WO_SeqList_ST25.txt、作成日:2022年6月14日、ファイルサイズ約170,338バイト)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
結節性硬化症複合体(TSC)は、結節性硬化症とも称され、脳、ならびに腎臓、心臓、肝臓、眼、肺、及び皮膚などの他の重要な臓器で成長する非がん性腫瘍を生じ得る、多系統の常染色体優性の遺伝性疾患である。脳におけるそのような腫瘍は、発達遅延、自閉症、てんかん、及び水頭症を引き起こし得る。結節性硬化症に関連付けられる生命を脅かす状態としては、内出血を引き起こし得る腎血管筋脂肪腫、及び呼吸を損ない得るリンパ脈管筋腫症(LAM)が挙げられる。
【0004】
結節性硬化症は、TSC1遺伝子及び/またはTSC2遺伝子における1つ以上の変異によって引き起こされる。TSC2における変異から生じる結節性硬化症は、より重度であり、より一般的である。TSC1及びTSC2は、それぞれ、タンパク質であるハマルチン及びチュベリンをコードする腫瘍成長抑制遺伝子である。チュベリン及びハマルチンは、主にmTORC1複合体を阻害することによって、ラパマイシンの哺乳類標的(mTOR)シグナル伝達を調節するための複数のシグナルを統合する、タンパク質複合体を形成する。加えて、チュベリンはまた、mTORC1活性化因子であるRhebを下方調節するGTPase活性化ドメイン(GAP)ドメインを含有する。
【0005】
結節性硬化症の現在の治療は、ラパマイシン及びその類似体の投与を伴う。しかしながら、これらの薬物は、連続的に投与されなければならず、脳の発達障害及び免疫抑制を含む、顕著な副作用を有する。ラパマイシン及びその類似体の投与はまた、mTORC1活性の過剰抑制に起因する有害事象を生じ得る。加えて、一部の患者は、ラパマイシンに応答しないか、または最初に応答し、次いで耐性を得る。
【0006】
したがって、結節性硬化症を治療するために使用することができる組成物及び方法、特に遺伝子療法に基づく組成物及び方法に対する満たされていない必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、結節性硬化症複合体の治療に使用するための組成物及び方法を提供する。いくつかの実施形態では、本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリンタンパク質(cチュベリン)であって、cチュベリンが、ヒトチュベリン(配列番号1)のある特定のアミノ酸残基を欠く、cチュベリンを提供する。いくつかの実施形態では、本開示のcチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠く。いくつかの実施形態では、本開示のcチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932を欠く。いくつかの実施形態では、本開示のcチュベリンは、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含み、C末端領域が、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く。いくつかの実施形態では、本開示のcチュベリンは、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含み、C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く。
【0008】
cチュベリンタンパク質に加えて、本開示は、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする核酸分子、ならびに所与の細胞において本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つの発現を引き起こすように構成された組成物を提供する。例えば、本開示は、5’から3’へと、5’AAV逆位末端反復(ITR)と、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つと、3’AAV ITRと、を含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)発現カセットを提供する。本開示はまた、AAVカプシドタンパク質と、本明細書に開示の核酸分子またはAAV発現カセットのうちのいずれか1つと、を含む、組換えAAV(rAAV)を提供する。さらに、本開示は、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つ、核酸分子のうちのいずれか1つ、プラスミドのうちのいずれか1つ、宿主細胞のうちのいずれか1つ、またはrAAVのうちのいずれか1つを含む薬学的組成物を含む、組成物を提供する。
【0009】
別の態様では、本開示は、標的細胞において、本明細書に開示のcチュベリンのうちのいずれか1つを発現させる方法であって、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示の細胞外小胞(EV)のうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを標的細胞と接触させ、それによって、標的細胞においてcチュベリンを発現させることを含む、方法を提供する。
【0010】
さらなる態様では、本開示は、結節性硬化症の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における結節性硬化症を治療することを含む、方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
TSC2における変異によって引き起こされる結節性硬化症、すなわちTSCを治療するためのAAVに基づく遺伝子療法を使用することは、5.4kbのcDNAのヒトチュベリンと比較して比較的小さい、AAVベクターの挿入容量(約4.7kb)によって、複雑であった。本開示は、AAVベクターに組み込まれるように十分に小さく、短縮されたチュベリン(cチュベリン)をコードする、短縮された形態のヒトチュベリン遺伝子(TSC2)を提供する。特に、本開示は、AAVカプシドタンパク質と、cチュベリンをコードするAAV発現カセットと、を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む組成物、ならびに結節性硬化症の治療を含む、それらを使用する方法を提供する。
【0012】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態について説明することのみを目的とし、制限することを意図しないことを理解されたい。
【0013】
別段に定義されていない限り、本明細書で用いられているすべての技術用語及び科学用語は、本願が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。本出願の実施または試験の際には、本明細書に記載のものと同様または同等の任意の方法及び材料を使用できるが、本明細書では代表的な方法及び材料を記載する。
【0014】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、特許請求の範囲を含む本出願で使用される場合、「1つ以上」を指す。したがって、例えば、「担体」への言及は、1つ以上の担体、2つ以上の担体などの混合物を含み、「方法」への言及は、当業者に既知の等価なステップ及び/または方法への言及を含む、などである。
【0015】
本明細書では、任意濃度範囲、パーセンテージ範囲、比の範囲、または整数範囲は、別段示されない限り、記述された範囲内の任意の整数の値、及び適切な場合には、その分数(整数の10分の1及び100分の1など)を含むものと理解されたい。「約」という用語は、数または数字の直前にある場合、その数または数字が、プラスまたはマイナス0%~10%の範囲であることを意味する。
【0016】
また、本明細書で使用される場合、「及び/または」は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上の任意の及びすべての可能な組み合わせ、ならびに数者択一と解釈される(「または」)場合の組み合わせの欠如を指し、かつ網羅する。代替的な手段(例えば、「または」)の使用は、代替的な手段の一方、両方、またはそれらの任意の組み合わせのいずれかを意味すると理解されるべきである。
【0017】
本明細書で使用される場合、「担体」は、任意の及びすべての溶媒、分散媒、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝剤、担体溶液、懸濁液、コロイドなどを含む。
【0018】
「薬学的に許容される」という用語は、別段記載されない限り、部分(例えば、塩、剤形、または賦形剤)を、健全な医学的判断に従って使用するのに適切であると特徴付けられるように使用される。一般に、薬学的に許容される部分は、その部分が有し得る任意の有害な影響を上回る、1つ以上の利益を有する。有害な影響としては、例えば、過剰な毒性、刺激、アレルギー応答、ならびに他の問題及び合併症を挙げることができる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「治療」または「治療すること」、「緩和すること(palliating)」及び「緩和すること(ameliorating)」は、本明細書では互換的に使用される。これらの用語は、限定されないが、療法的利益及び/または予防的利益を含む、有益なまたは望ましい結果を得るためのアプローチを指す。療法的利益は、治療下の1つ以上の疾患、状態、または症状に対する任意の療法的に関連する改善または効果を指す。一実施形態における「治療すること」という用語は、(1)状態、障害、または状態に罹患し得るか、または罹患する素因があるが、状態、障害、または状態の臨床的または亜臨床的症状を未だ経験していないか、または示していない、患者において発症する状態、障害、または状態の臨床的症状の出現を防止または遅延させること、(2)状態、障害、または状態を阻害すること(例えば、その少なくとも1つの臨床的もしくは亜臨床的症状の疾患の発症、または維持治療の場合にはその再発を、停止、低減、または遅延させること)、及び(3)(例えば、状態、障害、もしくは状態、またはその臨床的もしくは亜臨床的症状のうちの少なくとも1つの退縮を引き起こすこと、またはそれらの重症度を低減させることによって)状態を緩和すること、を含む。例えば、有益な臨床結果としては、限定されないが、腫瘍または過誤腫の侵襲性または成長の遅延または減速、及びそのような腫瘍または過誤腫に関連付けられる症状の緩和が挙げられる。例えば、腎血管筋脂肪腫の場合、腫瘍サイズは、磁気共鳴画像法(MRI)によって監視することができ、本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つの投与に起因する細胞サイズの収縮は、ラパマイシンを使用して結節性硬化症の治療を監視するために使用されるものなどの標準的な手順に従って分析することができる。治療はまた、治療を受けていない対象と比較して、対象の死亡率の減少または寿命の増加を含む。
【0020】
「有効量」または「治療有効量」という用語は、転帰を達成するのに、例えば、結節性硬化症またはその症状の治療などの有益なまたは望ましい結果をもたらすのに十分な、薬剤の量を指す。治療有効量は、治療される対象及び疾患状態、対象の体重及び年齢、疾患状態の重症度、投与の様式などのうちの1つ以上に応じて変動し得る。治療有効量は、結節性硬化症を治療する、及び/または結節性硬化症の1つ以上の症状を緩和する、それらの重症度を軽減する、排除する、及び/またはそれらの発症を遅延させるのに十分な量であり得る。いくつかの実施形態では、治療有効量は、対象において、チュベリン(例えば、本明細書に提供される短縮されたチュベリンなどの、1つ以上の変異を欠くチュベリン)を発現するのに十分な量であり得る。
【0021】
「対象」、「個体」、及び「患者」という用語は、哺乳類などの脊椎動物を指すために本明細書では互換的に使用される。哺乳類は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ヒツジ、ウマ、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル、チンパンジー)、またはヒトであり得る。インビボで得られる、またはインビトロで培養される、対象の組織、細胞、またはその誘導体も包含される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。ヒト対象は、成人、ティーンエイジャー(例えば、12歳~18歳)、子供(例えば、2歳~14歳)、乳児(例えば、月齢1ヶ月~24ヶ月)、または新生児(月齢最大1ヶ月)であり得る。いくつかの実施形態では、成人は、約65歳以上などの、約60歳以上の高齢者である。いくつかの実施形態では、対象は、妊娠中の女性、または妊娠する意思がある女性である。いくつかの実施形態では、対象は、18歳未満である。
【0022】
「アデノ随伴ウイルス(AAV)発現カセット」は、組換えAAVベクター内にパッケージングされる核酸であり、5’逆位末端反復(ITR)及び3’ITRに隣接する1つ以上の導入遺伝子をコードする配列を含む。
【0023】
本明細書で使用される場合、「ウイルスベクター」、「ウイルス性ベクター」及び「遺伝子送達ベクター」という用語は、核酸送達ビヒクルとして機能し、ビリオン内にパッケージングされた核酸分子(例えば、AAV発現カセット)を含む、ウイルス粒子を指す。例示的なウイルスベクターとしては、アデノ随伴ウイルスベクター(AAV)が挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される場合、「アデノ随伴ウイルス」(AAV)という用語は、限定されないが、(例えば、血清型1のAAV、AAV1とも称される)、AAV2型(例えば、AAV2)、AAV3型(例えば、3A及び3B、AAV3A及びAAV3B型を含むAAV3)、AAV4型(例えば、AAV4)、AAV5型(例えば、AAV5)、AAV6型(例えば、AAV6)、AAV7型(例えば、AAV7)、AAV8型(例えば、AAV8)、AAV9型(例えば、AAV9)、AAV10型(例えば、AAV10)、AAV11型(例えば、AAV11)、AAV12型(例えば、AAV12)、AAV13型(例えば、AAV13)、AAV rh32.33型(例えば、AAVrh32.33)、AAV rh8型(例えば、AAVrh8)、AAV rh10型(例えば、AAVrh10)、AAV rh74型(例えば、AAVrh74)、AAV hu.68型(例えば、AAVhu.68)、トリAAV(例えば、AAAV)、ウシAAV(例えば、BAAV)、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヘビAAV、フトアゴヒゲトカゲAAV、AAV2i8、AAV2g9、AAV-LK03、AAV7m8、AAV Anc80、AAV PHP.B、及び現在既知のまたは後日発見された任意の他のAAVが挙げられる。
【0025】
本明細書で使用される場合、「配列同一性」は、2つの最適に整列させたポリヌクレオチドまたはポリペプチド配列が、構成要素、例えば、ヌクレオチドまたはアミノ酸の整列枠全体にわたり、変動していない程度を指す。試験配列及び参照配列の整列させたセグメントの「小数での同一性」は、2つの整列させた配列によって共有される同一の構成要素の数を、参照配列セグメントの構成要素、すなわち、参照配列全体または参照配列のうちのより小さな定義された部分の総数によって除算したものである。「同一性パーセント」は、小数での同一性の100倍である。2つの配列間の同一性(相同性)の程度は、コンピュータプログラムと数学的アルゴリズムを使用して確認することができる。同一性割合は、初期設定のパラメーターを使用するwww.ebi.ac.uk/Tools/msa/clustaloで入手可能なアラインメントプログラムClustal Omegaを使用して算出することができる。Sievers et al.,“Fast,scalable generation of high-quality protein multiple sequence alignments using Clustal Omega.”(2011 October 11)Molecular systems biology 7:539を参照されたい。配列に対する同一性を計算する目的については、タグのような拡張は含まれない。
【0026】
本明細書で使用される場合、核酸配列(例えば、コード配列)及び調節配列は、核酸配列の発現または転写を、調節配列の影響または制御下に置くような方式で共有結合的に連結されている場合、「操作可能に連結されている」と言われる。核酸配列が、機能性タンパク質へと翻訳されることが望ましい場合、5’調節配列におけるプロモータの誘導が、コード配列の転写を生じる場合、及び2つのDNA配列間の連結の性質が、(1)フレームシフト変異の導入を生じないか、(2)コード配列の転写を指示するプロモータ領域の能力を妨げないか、または(3)タンパク質へと翻訳される対応するRNA転写物の能力を妨げない場合、2つのDNA配列は、操作可能に連結されていると言われる。
【0027】
本明細書で使用される場合、「コドン最適化」は、対応するコードされたアミノ酸に変化を生じることなく、個々の核酸を変化させるように核酸配列を修飾することを指す。この方式で修飾された配列は、本明細書では「コドン最適化された」と称される。コドン最適化を実施する方法は、それらの各々の全体が、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第7,561,972号、同第7,561,973号、及び同第7,888,112号に記載されている。いくつかの実施形態では、翻訳開始部位を取り囲む配列は、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Kozak et al.,Nucleic Acids Res.15(20):8125-81 48(1987)に記載のように、コンセンサスコザック配列へと変換され得る。
【0028】
短縮されたチュベリン(cチュベリン)
本明細書で使用される場合、短縮されたチュベリンまたはcチュベリンは、天然のチュベリンタンパク質配列と比較して、1つ以上のアミノ酸残基の欠失を有する、組換えチュベリンタンパク質を指す。いくつかの実施形態では、天然のチュベリンは、ヒトチュベリンである。いくつかの実施形態では、天然のチュベリンタンパク質配列は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、この配列は、1807個のアミノ酸残基を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるcチュベリンは、配列番号1の少なくとも1つのアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、本明細書に提供されるcチュベリンは、N末端領域とC末端領域との間の領域から、配列番号1の少なくとも1つのアミノ酸残基を欠く。
【0029】
いくつかの実施形態では、ヒトチュベリンのアミノ酸配列及び核酸配列は、それぞれ、NCBI受託番号NP_000539.2及びGenBank受託番号X75621.1に見出される。いくつかの実施形態では、ヒトチュベリンのアミノ酸配列としては、限定されないが、チュベリンアイソフォーム4(NCBI受託番号NP_001070651.1)、チュベリンアイソフォーム5(NCBI受託番号NP_001107854.1)、チュベリンアイソフォーム6(NCBI受託番号NP_001305756.1)、チュベリンアイソフォーム7(NCBI受託番号NP_001305758.1)、チュベリンアイソフォーム8(NCBI受託番号NP_001305760.1)、チュベリンアイソフォーム9(NCBI受託番号NP_001305761.1)、チュベリンアイソフォームX7(NCBI受託番号XP_024306181.1)、チュベリンアイソフォームX8(NCBI受託番号XP_005255586.2)、チュベリンアイソフォームX9(NCBI受託番号XP_016879105.1)、チュベリンアイソフォームX10(NCBI受託番号XP_005255588.2)、チュベリンアイソフォームX11(NCBI受託番号XP_016879106.1)、チュベリンアイソフォームX12(NCBI受託番号XP_016879107.1)、及び他が挙げられる。
【0030】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ハマルチンに結合することが可能なN末端領域を含む。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域を含む。いくつかの実施形態では、cチュベリンにおいて欠失している1つ以上のアミノ酸残基は、ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域との間にある。
【0031】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4または5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4または5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4または5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0032】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7~12のうちのいずれか1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7~12のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7~12のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0033】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0034】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0035】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0036】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0037】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0038】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0039】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0040】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0041】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0042】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号11のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0043】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0044】
いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、C末端領域は、配列番号12のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0045】
本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなるcチュベリンであって、cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く、cチュベリンを提供する。本開示はまた、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、cチュベリンであって、cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、cチュベリンを提供する。アミノ酸範囲が示される場合、範囲は、包括的である(例えば、アミノ酸残基「419~932(419-932)」または「419~932(419 to 932)」を欠くcチュベリンは、cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸419及び932、ならびにそれらの間に位置するすべてのアミノ酸残基を欠くことを意味する)。
【0046】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基947~988をさらに欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932及び947~988を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932及びアミノ酸残基947~988を欠く。
【0047】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基1205~1271をさらに欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932及び1205~1271を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932及び1205~1271を欠く。
【0048】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932、947~988、及び1205~1271を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932、947~988、及び1205~1271を欠く。
【0049】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基1336~1497をさらに欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932、947~988、1205~1271、及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932、947~988、1205~1271、及び1336~1497を欠く。
【0050】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932、1205~1271、及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932、1205~1271、及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~932、947~988、及び1336~1497を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基451~932、947~988、及び1336~1497を欠く。
【0051】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基933~1109をさらに欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932及び933~1109を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932及び933~1109を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号1のアミノ酸残基419~1109を欠く。
【0052】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1109を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1139を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリンのアミノ酸残基419~932を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1109を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1139を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1514を欠く。
【0053】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、エクソン25、30、及び/または33などの、ヒトチュベリン(配列番号1)の1つ以上のエクソンのアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリンのエクソン25のアミノ酸残基(配列番号1)を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリンのエクソン30のアミノ酸残基(配列番号1)を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリンのエクソン33のアミノ酸残基(配列番号1)を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン25及び30のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン25、30、及び33のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、及びエクソン25のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、ならびにエクソン25及び30のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、ならびにエクソン25、30、及び33のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、及びエクソン25のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、ならびにエクソン25及び30のアミノ酸残基を欠く。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、ならびにエクソン25、30、及び33のアミノ酸残基を欠く。
【0054】
本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンが、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く、cチュベリンを提供する。本開示はまた、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンが、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く、cチュベリンを提供する。本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそられからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンが、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く、cチュベリンをさらに提供する。
【0055】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0056】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0057】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0058】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0059】
別の態様では、本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、cチュベリンを提供する。本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、cチュベリンを提供する。本開示はまた、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含むか、またはそれらからなる、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、C末端領域が、配列番号10~12のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる、cチュベリンを提供する。
【0060】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0061】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0062】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号11に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号11のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0063】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号12に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号12のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠く。
【0064】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0065】
いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、C末端領域は、配列番号10~12のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基または451~932を欠き、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0066】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、N末端領域とC末端領域との間にポリペプチドスペーサを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドスペーサは、配列番号2(SGGG)の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドスペーサは、配列番号3(SGGGSGGG SGGGSGGG)の配列を含むか、またはそれからなる。
【0067】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号14~19のうちのいずれか1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号14~19のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、配列番号14~19のうちのいずれか1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0068】
cチュベリンをコードするAAV発現カセット
本明細書に記載のアミノ酸配列及び対応するcチュベリンに加えて、本開示は、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする核酸分子をさらに提供する。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒト標的細胞における発現のためにコドン最適化されている。いくつかの実施形態では、ヒト標的細胞は、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞である。
【0069】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、調節制御配列は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモータ/エンハンサ、SV40プロモータ、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモータ、ホスホグリセロールキナーゼプロモータ、CMV即時/初期遺伝子エンハンサ/CBAプロモータ、シナプシンプロモータ、CMV-IEプロモータ/エンハンサ、グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモータ、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、調節制御配列は、CMV即時/初期遺伝子エンハンサ/CBAプロモータ、及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)を含む。いくつかの実施形態では、調節制御配列は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含む。GUSBプロモータに関するさらなる詳細は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Shipley et al.,Analysis of the 5’ Flanking Region of the Human β-Glucuronidase Gene,Genomics 10,1009-1018(1991)に提供されている。
【0070】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号20~26のうちのいずれか1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の配列同一性を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号20~26のうちのいずれか1つの配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号20の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号21の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号22の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号23の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号24の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号25の配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号26の配列を含むか、またはそれからなる。
【0071】
本開示は、(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域とを含むかまたはそれらからなるcチュベリンをコードする、核酸分子であって、cチュベリンが、ヒトチュベリン(配列番号1)の少なくともアミノ酸残基451~932を欠き、核酸分子が、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている、核酸分子を提供する。
【0072】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1109を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1139を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1109を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1139を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~1514を欠くcチュベリンをコードし、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン25のアミノ酸残基を欠くcチュベリンをコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン30のアミノ酸残基を欠くcチュベリンをコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン33のアミノ酸残基を欠くcチュベリンをコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン25及び30のアミノ酸残基を欠くcチュベリンをコードする。いくつかの実施形態では、核酸分子は、ヒトチュベリン(配列番号1)のエクソン25、30、及び33のアミノ酸残基を欠くcチュベリンをコードする。
【0073】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、419~1139、451~1109、451~1139、419~1514、451~1514、419~1515、または451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号6に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514または451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号6に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514または451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0074】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、419~1139、451~1109、または451~1139を欠き、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、419~1139、451~1109、または451~1139を欠き、C末端領域は、配列番号7に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、419~1139、451~1109、または451~1139を欠き、C末端領域は、配列番号7のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0075】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、または451~1109を欠き、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、または451~1109を欠き、C末端領域は、配列番号8に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、451~932、419~1109、または451~1109を欠き、C末端領域は、配列番号8のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0076】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号9に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号9のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0077】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932または451~932を欠き、C末端領域は、配列番号10~12のうちの1つのアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0078】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、451~1109、451~1139、451~1514、451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、451~1109、451~1139、451~1514、451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号4に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~932、451~1109、451~1139、451~1514、または451-1515を欠き、C末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0079】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、419~1109、419~1139、419~1514、または419~1515を欠き、C末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、419~1109、419~1139、419~1514、または419~1515を欠き、C末端領域は、配列番号5に対して少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基419~932、419~1109、419~1139、419~1514、または419~1515を欠き、C末端領域は、配列番号5のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0080】
いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514または451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、N末端領域は、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。いくつかの実施形態では、cチュベリンは、ヒトチュベリン(配列番号1)のアミノ酸残基451~1514または451~1515を欠き、C末端領域は、配列番号6のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、N末端領域は、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、またはそれからなり、核酸分子は、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含むか、またはそれからなる調節制御配列に操作可能に連結されている。
【0081】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号20~26のうちのいずれか1つに対して少なくとも約75%(例えば、少なくとも約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、または100%などの約99%以上)の配列同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸分子は、配列番号20~26のうちのいずれか1つに対して少なくとも約90%の配列同一性を有する核酸配列を含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、核酸分子は、アデノ随伴ウイルス(AAV)発現カセットを含み、AAV発現カセットが、5’から3’へと、5’AAV逆位末端反復(ITR)と、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つと、3’AAV ITRと、を含む。いくつかの実施形態では、5’ITR及び/または3’ITRは、AAV2に由来する。
【0083】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、B.J.Carterの”Handbook of Parvoviruses”,ed.,P.Tijsser,CRC Press,pp.155-168(1990)にさらに記載のシス-作用性5’及び3’逆位末端反復配列を含む。AAV ITR配列は、本明細書に開示の現在同定されている哺乳類AAV型を含む、任意の既知のAAVから得ることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型が挙げられる)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、AAV rh32.33型、AAV rh8型、AAV rh10型、AAV rh74型、AAV hu.68型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヘビAAV、フトアゴヒゲトカゲAAV、AAV2i8、AAV2g9、AAV-LK03、AAV7m8、AAV Anc80、AAV PHP.Bからの5’ITR及び/または3’ITRを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、AAV2からの5’ITR、AAV2からの3’ITR、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、AAV2由来の5’ITR、AAV2由来の3’ITR、またはそれらの組み合わせを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、5’AAV ITR配列は、配列番号27の配列に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%などの約99.5%以上、その間に存在するすべての値及び部分範囲を含む)の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、5’AAV ITR配列は、配列番号27の配列を含むか、またはそれからなる。
【0086】
いくつかの実施形態では、3’AAV ITR配列は、配列番号28の配列に対して少なくとも80%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%などの約99.5%以上、その間に存在するすべての値及び部分範囲を含む)の同一性を有する核酸配列を含むか、またはそれからなる。いくつかの実施形態では、3’AAV ITR配列は、配列番号28の核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0087】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、導入遺伝子に操作可能に連結されている追加の発現制御要素を含む。発現制御要素としては、例えば、適切な転写開始配列、終結配列、及びエンハンサ配列;スプライシングシグナル及びポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル;細胞質mRNAを安定化する配列;翻訳効率を向上する配列;タンパク質安定性を向上する配列;ならびにコードされる産生物の分泌を向上する配列が挙げられる。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、イントロンを含む。いくつかの実施形態では、イントロンは、プロモータ/エンハンサ配列と導入遺伝子との間に位置する。いくつかの実施形態では、イントロンは、SV-40に由来し、SV-40Tイントロン配列と称される。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、2A自己切断ペプチドをコードする核酸を含む。例示的な2A自己切断ペプチドとしては、P2A、E2A、F2A、及びT2Aが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、例えば、それらの各々全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al及び3.18 3.26及び16.17 16.27頁に引用されている参考文献、ならびにAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,New York,1989に記載の要素を含む。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後要素(WPRE)を含む。(例えば、Wang and Verma,Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,96: 3906-3910(1999)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、B型肝炎ウイルス転写後調節要素(HBVPRE)またはRNA輸送要素(RTE)を含む。いくつかの実施形態では、WPREまたはHBVPRE配列は、その両方全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,136,597号または同第6,287,814号に開示のWPREまたはHBVPRE配列のうちのいずれかである。
【0090】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、転写及び翻訳の開始にそれぞれ関与する、TATAボックス、キャッピング配列、CAAT配列、エンハンサ要素などの、5’非転写配列及び5’非翻訳配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、エンハンサ配列または上流の活性化因子配列を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、5’リーダー配列またはシグナル配列を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、構成的プロモータを含む。構成的プロモータの例としては、限定されないが、レトロウイルスラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモータ(任意選択的に、RSVエンハンサを有する)、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ(任意選択的に、CMVエンハンサを有する)、SV40プロモータ、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモータ、β-アクチンプロモータ、ホスホグリセロールキナーゼ(PGK)プロモータ、及びEFlaプロモータが挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、誘導性プロモータを含む。誘導性プロモータの非限定的な例としては、亜鉛誘導性ヒツジメタロチオニン(MT)プロモータ、デキサメタゾン(Dex)-誘導性マウス乳癌ウイルス(MMTV)プロモータ、T7ポリメラーゼプロモータ系、エクジソン昆虫プロモータ、テトラサイクリン抑制系、テトラサイクリン誘導系、RU486誘導系、及びラパマイシン誘導系が挙げられる。他のタイプの誘導性プロモータとしては、特定の生理学的状態、例えば、温度、急性期、細胞の特定の分化状態、または特定の細胞周期段階によって調節されるものが挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、cチュベリンをコードする導入遺伝子に操作可能に連結された、天然プロモータもしくはその断片、または天然発現制御要素を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、組織特異的遺伝子発現能力を付与する調節配列を含む。いくつかの事例では、組織特異的調節配列は、組織特異的な様式で転写を誘導する組織特異的転写因子に結合する。組織特異的調節配列の例としては、限定されないが、以下の組織特異的プロモータ:ニューロン特異的エノラーゼ(NSE)プロモータ、ニューロフィラメント軽鎖遺伝子プロモータ、及びニューロン特異的vgf遺伝子プロモータなどのニューロンプロモータが挙げられる。
【0094】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、1つ以上のプロモータを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、ニワトリβ-アクチンプロモータを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、CB6プロモータを含む。いくつかの実施形態では、CB6プロモータは、配列番号34の配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%などの約99.5%以上、その間に存在するすべての値及び部分範囲を含む)の同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CB6プロモータは、配列番号34の核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0095】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、CMV-IEエンハンサを含む。いくつかの実施形態では、エンハンサは、CMV-IEエンハンサである。いくつかの実施形態では、CMV-IEエンハンサは、配列番号33の配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、約100%などの約99.5%以上、その間に存在するすべての値及び部分範囲を含む)の同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、CMV-IEエンハンサは、配列番号33の核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0096】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、コザック配列(例えば、RNAコザック配列へと転写されるDNA配列)などのコンセンサス配列を含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、コザック配列を含む。いくつかの実施形態では、コザック配列は、配列番号35の配列に対して少なくとも約80%(例えば、少なくとも約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または100%などの約99.5%以上、その間に存在するすべての値及び部分範囲を含む)の同一性を有する核酸配列を含む。いくつかの実施形態では、コザック配列は、配列番号35の核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0097】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示のAAV発現カセットは、1つ以上のマイクロRNA(miRNA)のための1つ以上の結合部位を含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、cチュベリン導入遺伝子の組織特異的発現を調節することが可能であるmiRNA結合部位を含む。いくつかの実施形態では、cチュベリン導入遺伝子の組織特異的発現を調節することが可能であるmiRNA結合部位は、miR-122結合部位、miR-133a、またはmiR-1結合部位である。例えば、肝臓におけるcチュベリン導入遺伝子の発現は、導入遺伝子から発現されるmRNAが、肝臓においてmiR-122に結合し、miR-122によって阻害されるように、miR-122のための結合部位を組み込むことによって阻害することができる。心臓におけるcチュベリン導入遺伝子の発現は、導入遺伝子から発現されるmRNAが、心臓においてmiR-133aまたはmiR-1に結合し、それらによって阻害されるように、miR-133aまたはmiR-1のための結合部位を組み込むことによって阻害することができる。いくつかの実施形態では、mRNAにおけるmiRNA標的部位は、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、またはコード領域にある。さらに、cチュベリン導入遺伝子は、複数のmiRNAが、同じかまたは複数の部位を認識することによってmRNAを調節するように設計され得る。複数のmiRNA結合部位の存在は、複数のRNA誘導性サイレンシング複合体(RISC)の協調作用を生じ得、発現の非常に効率的な阻害を提供し得る。標的部位配列は、合計で、5~100個、または10~60個のヌクレオチドなどの、少なくとも5、10個、またはそれ以上のヌクレオチドを含み得る。標的部位配列は、少なくとも5つのヌクレオチドの標的遺伝子結合部位の配列を含み得る。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、miR-1結合部位、miR-133a結合部位、miR-122結合部位、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、ポリアデニル化(ポリA)配列を含む。PolyAシグナルは、限定されないが、SV-40、ヒト、及びウシを含む、多くの好適な種に由来し得る。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、哺乳類β-グロブリンポリA配列などの、β-グロブリンポリA配列である。いくつかの実施形態では、ポリA配列は、ヒトポリA配列またはウシβ-グロブリンポリA配列である。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、ウサギβ-グロビンポリA配列を含む。いくつかの実施形態では、ウサギβ-グロビンポリA配列は、配列番号36の核酸配列を含むか、またはそれからなる。
【0099】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)5’AAV2に基づくITR、(ii)CMV-IEエンハンサ、(iii)CB6プロモータ、(iv)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(v)ポリアデニル化配列、及び(vi)3’AAV2に基づくITRを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)配列番号27の核酸配列を含む5’AAV2に基づくITR、(ii)配列番号33の核酸配列を含むCMV-IEエンハンサ、(iii)配列番号34の核酸配列を含むCB6プロモータ、(iv)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(v)ポリアデニル化配列、及び(vi)配列番号28の核酸配列を含む3’AAV2に基づくITRを含む。
【0100】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)5’AAV2に基づくITR、(ii)CB6プロモータ、(iii)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(iv)ポリアデニル化配列、及び(v)3’AAV2に基づくITRを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)配列番号27の核酸配列を含む5’AAV2に基づくITR、(ii)配列番号34の核酸配列を含むCB6プロモータ、(iii)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(iv)ポリアデニル化配列、及び(v)配列番号28の核酸配列を含む3’AAV2に基づくITRを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)5’AAV2に基づくITR、(ii)GUSBプロモータ、(iii)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(iv)ポリアデニル化配列、及び(v)3’AAV2に基づくITRを含む。いくつかの実施形態では、AAV発現カセットは、5’から3’へと、(i)配列番号27の核酸配列を含む5’AAV2に基づくITR、(ii)GUSBプロモータ、(iii)本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードする導入遺伝子、(iv)ポリアデニル化配列、及び(v)配列番号28の核酸配列を含む3’AAV2に基づくITRを含む。
【0102】
結節性硬化症を治療するための組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)
本開示はまた、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つを含むプラスミド、及び本明細書に開示の核酸分子またはプラスミドのうちのいずれか1つを含む宿主細胞を提供する。
【0103】
本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、rAAVを産生する方法は、宿主細胞を、本明細書に開示の核酸分子またはプラスミドのうちのいずれか1つと接触させることを含む。したがって、本開示は、本明細書に開示のrAAVを産生する方法によって産生される組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)をさらに提供する。
【0104】
本開示はまた、rAAVを提供する。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAVカプシドタンパク質と、本明細書に開示の核酸分子またはAAV発現カセットのうちのいずれか1つと、を含む。本開示はまた、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つ、核酸分子のうちのいずれか1つ、プラスミドのうちのいずれか1つ、宿主細胞のうちのいずれか1つ、またはrAAVのうちのいずれか1つを含む、組成物を提供する。
【0105】
いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV1型、AAV2型、AAV3型(3A型及び3B型が挙げられる)、AAV4型、AAV5型、AAV6型、AAV7型、AAV8型、AAV9型、AAV10型、AAV11型、AAV12型、AAV13型、AAV rh32.33型、AAV rh8型、AAV rh10型、AAV rh74型、AAV hu.68型、トリAAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、ヒツジAAV、ヘビAAV、フトアゴヒゲトカゲAAV、AAV2i8、AAV2g9、AAV-LK03、AAV7m8、AAV Anc80、AAV PHP.Bカプシドタンパク質を含む。
【0106】
いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV9カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、及び/またはAAVrh10カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV9カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV8カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAVrh10カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、擬似型のAAVであり、1つの血清型のAAVカプシドタンパク質及び異なる血清型に由来するAAV ITRを含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、キメラAAVカプシド、またはヒト化AAVカプシドを含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、自己相補的AAV(scAAV)である。いくつかの実施形態では、rAAVは、一本鎖AAVである。
【0107】
いくつかの実施形態では、rAAV粒子の調製は、AAVカプシドタンパク質またはその断片をコードする核酸配列と、機能的rep遺伝子と、AAV逆位末端反復(ITR)及び本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つをコードするAAV発現カセットで構成される組換えAAVベクターと、組換えAAVベクターをAAVカプシドタンパク質内にパッケージングすることを可能にする十分なヘルパー機能と、を含有する、宿主細胞を培養することを含む。いくつかの実施形態では、AAVカプシド内にrAAVベクターをパッケージングするために宿主細胞内で培養される構成要素は、トランスで宿主細胞に提供される。いくつかの実施形態では、必要な構成要素(例えば、組換えAAVベクター、rep配列、cap配列、及び/またはヘルパー機能)のうちの任意の1つ以上は、必要な構成要素のうちの1つ以上を含有するように操作されている安定な宿主細胞によって提供される。
【0108】
いくつかの実施形態では、安定な宿主細胞は、誘導性プロモータまたは構造的プロモータの制御下で必要な構成要素(複数可)を含有するであろう。いくつかの実施形態では、選択された安定な宿主細胞は、構成的プロモータの制御下にある選択された構成要素(複数可)、及び1つ以上の誘導性プロモータの制御下にある他の選択された構成要素(複数可)を含有する。例えば、(構成的プロモータの制御下にあるE1ヘルパー機能を含有する)293細胞に由来するが、誘導性プロモータの制御下にあるrepタンパク質及び/またはcapタンパク質を含有する、安定な宿主細胞が生成され得る。本明細書に開示のrAAVを産生するために必要な組換えAAVベクター、rep配列、cap配列、及びヘルパー機能は、任意の適切な遺伝要素(例えば、ベクター)を使用して、パッケージング宿主細胞に送達され得る。rAAV粒子を調製する方法に関するさらなる詳細は、その各々の内容全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、K.Fisher et al,J.Virol.,70:520-532(1993)、及び米国特許第5,478,745号に提供されている。
【0109】
いくつかの実施形態では、組換えAAVは、その内容全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる、米国特許第6,001,650号に記載の三重トランスフェクション法を使用して産生される。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、AAV粒子、AAVヘルパー機能ベクター、及びアクセサリー機能ベクター内にパッケージングされる(cチュベリンをコードするAAV発現カセットを含む)組換えAAVベクターで、宿主細胞をトランスフェクションすることによって産生される。AAVヘルパー機能ベクターは、生産的なAAV複製及びカプシド化のためにトランスで機能する、「AAVヘルパー機能」配列(すなわち、rep及びcap)をコードする。AAVヘルパー機能ベクターの非限定的な例としては、それらの各々の内容全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる、米国特許第6,001,650号及び同第6,156,303号にそれぞれ記載されている、pHLP19及びpRep6cap6ベクターが挙げられる。アクセサリー機能ベクターは、AAVが複製について依存する非AAV由来のウイルス機能及び/または細胞機能(すなわち、「アクセサリー機能」)のためのヌクレオチド配列をコードする。アクセサリー機能としては、限定されないが、AAV遺伝子転写の活性化、段階特異的AAV mRNAスプライシング、AAV DNA複製、cap発現産生物の合成、及びAAVカプシドアセンブリに関与する部分を含む、AAV複製に必要な機能が挙げられる。ウイルスに基づくアクセサリー機能は、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(単純ヘルペスウイルス1型以外)、及びワクシニアウイルスなどの既知のヘルパーウイルスのうちのいずれかに由来し得る。
【0110】
いくつかの実施形態では、組換えAAVは、バキュロウイルスベクターを使用して産生される。バキュロウイルスベクターは、昆虫細胞(例えば、Spodoptera frugiperda(Sf9)細胞)内で組換えAAVを産生するために使用される。cチュベリンをコードするAAVの産生に関するさらなる詳細は、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2020/0079824号に見出される。
【0111】
薬学的組成物
本開示は、(a)本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示の宿主細胞のうちのいずれか1つ、または本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つと、(b)薬学的に許容される担体と、を含む、薬学的組成物をさらに提供する。
【0112】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/またはビヒクル、例えば、溶媒、緩衝液、溶液、分散媒、コーティング、抗菌剤、抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/またはビヒクルは、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース、水、グリセロール、滅菌等張水性緩衝液、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容される担体、賦形剤、及び/またはビヒクルは、リン酸緩衝生理食塩水、滅菌生理食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、デキストラン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、ゴマ油、薬学的等級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウム、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、またはそれらの好適な混合物を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、乳化剤もしくは湿潤剤、またはpH緩衝剤をさらに含む。そのような種は、少量(例えば、組成物の5重量%未満、組成物の1重量%未満、組成物の2重量%未満、またはそれ以下などの、組成物の10重量%未満)で存在し得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、1つ以上の防腐剤または化学安定剤などの、1つ以上の他の薬学的成分をさらに含む。防腐剤及び化学安定剤の例としては、限定されないが、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、パラクロロフェノール、及びアルブミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、及びチメロサールなどの抗菌剤及び/または抗真菌剤;糖及びナトリウムクロリドなどの等張剤;及び/またはモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、pluronic(登録商標) F68(Poloxamer188、LUTROL(登録商標)F68)としても既知である)などの界面活性剤を含む。
【0114】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の組成物は、特に高いrAAV濃度(例えば、約1013GC/ml以上)が存在する場合、組成物中のAAV粒子の凝集を低減するように製剤化される。rAAVの凝集を低減するための方法としては、その内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Wright,et al.,Molecular Therapy(2005)12,171-178にさらに記載されている、界面活性剤の添加、pH調整、及び塩濃度調整が挙げられる。
【0115】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、水溶液または分散体などの、注射可能な溶液または分散体の形態である。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、滅菌注射溶液または分散体の即時調製のための滅菌粉末である。分散体は、水、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、油、またはそれらの任意の組み合わせ中で調製され得る。リポソーム、ナノカプセル、マイクロ粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞などの送達ビヒクルが、本明細書に開示の薬学的組成物の導入に使用され得る。
【0116】
本開示はまた、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の任意の核酸分子を含む、細胞外小胞(EV)を提供する。いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、本明細書に開示のcチュベリンタンパク質のうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の任意の核酸分子を含む、細胞外小胞(EV)を含む。限定されないが、エクソソーム、マイクロベシクル、マイクロ粒子、循環マイクロベシクル、剥離マイクロベシクル、ナノベシクル、ナノ粒子、アポトーシス体、及び膜小胞を含む、細胞外小胞は、例えば、20ナノメートル(nm)~10マイクロメートル(μm)の範囲の形質膜の断片であり、ほぼすべての細胞型から剥離される。いくつかの実施形態では、EVは、濾過、示差遠心分離、超遠心分離、勾配中の小胞の浮遊(スクロース、OptiPrep(商標))、及び膜タンパク質に対する抗体を利用する免疫親和性捕捉を使用して、単離及び精製される。さらなる詳細は、それらの各々の内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Simpson R J,Mathivanan S(2012)Extracellular Microvesicles: The Need for Internationally Recognised Nomenclature and Stringent Purification Criteria. J Proteomics、van der Pol et al.,Classification,functions,and clinical relevance of extracellular vesicles,Pharmacol Rev.2012 July;64(3):676-705、Raposo and Stoorvogel,Extracellular vesicles:exosomes,microvesicles,and friends,J Cell Biol.201 3 Feb. 18;200(4):373-83、及びWitwer et al.,Standardization of sample collection,isolation and analysis methods in extracellular vesicle research,J Extracell Vesicles.2013May27;2に提供されている。
【0117】
結節性硬化症を治療する方法
本開示はまた、標的細胞において、本明細書に開示のcチュベリンのうちのいずれか1つを発現させる方法であって、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを標的細胞と接触させ、それによって、標的細胞においてcチュベリンを発現させることを含む、方法を提供する。
【0118】
加えて、本開示は、mTORC1及び/またはRheb活性を阻害する方法であって、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを標的細胞と接触させ、それによって、標的細胞においてmTORC1及び/またはRheb活性を阻害することを含む、方法を提供する。
【0119】
いくつかの実施形態では、標的細胞は、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、肺細胞、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、治療を必要とする対象においてインビボで実施される。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、治療有効量の核酸分子、プラスミド、rAAV、または組成物を対象に投与することを含む。
【0120】
本開示はまた、結節性硬化症またはその症状の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における結節性硬化症を治療することを含む、方法を提供する。関連する態様では、本開示は、対象における結節性硬化症の1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における結節性硬化症の1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを含む、方法を提供する。
【0121】
本開示は、腎血管筋脂肪腫またはその症状の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における腎血管筋脂肪腫を治療することを含む、方法をさらに提供する。いくつかの実施形態では、腎血管筋脂肪腫の治療は、腎血管筋脂肪腫の退縮、収縮、排除、またはその成長の遅延を生じる。
【0122】
加えて、本開示は、リンパ脈管筋腫症(LAM)またはその症状の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象におけるLAMを治療することを含む、方法を提供する。関連する態様では、本開示は、対象におけるリンパ脈管筋腫症(LAM)の1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象におけるLAMの1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを含む、方法を提供する。
【0123】
本開示はまた、脳機能不全の治療を必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のEVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における脳機能不全を治療することを含む、方法を提供する。関連する態様では、本開示は、対象における脳機能不全の1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを必要とする対象においてそれを行う方法であって、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つを対象に投与し、それによって、対象における脳機能不全の1つ以上の症状を緩和し、重症度を軽減し、排除し、及び/またはその発症を遅延させることを含む、方法を提供する。
【0124】
いくつかの実施形態では、結節性硬化症は、チュベリンの活性の減少と関連付けられるか、相関するか、またはそれによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、対象は、結節性硬化症に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、結節性硬化症の少なくとも1つの症状を発症するリスクがある。
【0125】
いくつかの実施形態では、対象は、結節性硬化症を有すると診断されている。いくつかの実施形態では、対象は、発作の存在;発達遅延;皮膚上の白い斑点(白斑);心臓腫瘍横紋筋腫の同定;脳、心臓、肝臓、または腎臓における腫瘍の同定;多種多様な皮膚特徴についての皮膚の検査;爪線維腫では手の爪及び足の爪;歯の穴及び/または歯肉線維腫では歯及び歯茎;網膜病変では眼;顔面血管線維腫;及び/または白斑の存在などの臨床基準に基づいて、結節性硬化症を有すると診断される。いくつかの実施形態では、対象は、ヒト対象である。いくつかの実施形態では、対象は、12~18歳、8~12歳、6~12歳、2~18歳、0~2歳、またはその中の任意の範囲などの18歳未満である。いくつかの実施形態では、対象は、新生児または乳児である。いくつかの実施形態では、乳児は、出生時の心臓横紋筋腫の存在、または生後最初の6ヶ月以内の乳児けいれんなどの臨床基準に基づいて、結節性硬化症を有すると診断される。
【0126】
いくつかの実施形態では、結節性硬化症は、TSC2遺伝子における変異に関連付けられるか、相関するか、またはそれによって引き起こされる。いくつかの実施形態では、対象は、TSC2遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、体内の少なくとも1つの細胞において、TSC2の一方または両方の対立遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、変異は、遺伝性の生殖細胞系列変異である。いくつかの実施形態では、変異は、体細胞変異である。いくつかの実施形態では、TSC2の1つの対立遺伝子における変異は、遺伝性変異であり、TSC2の第2の対立遺伝子における変異は、体細胞変異である。いくつかの実施形態では、結節性硬化症の少なくとも1つの症状を発症するリスクのある対象は、TSC2の1つの対立遺伝子に遺伝性の生殖細胞系列変異を有する対象である。いくつかの実施形態では、結節性硬化症の少なくとも1つの症状を発症するリスクのある対象は、一方または両方の親が1つ以上の変異体チュベリン遺伝子対立遺伝子のキャリアである、対象である。
【0127】
いくつかの実施形態では、対象は、体内の少なくとも1つの細胞において、TSC2の両方の対立遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、脳、心臓、腎臓、皮膚、肺、及び/または他の臓器の少なくとも1つの細胞において、TSC2の両方の対立遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、TSC2における変異がホモ接合性であるか、または化合物ヘテロ接合性である。
【0128】
いくつかの実施形態では、対象は、TSC1遺伝子に変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、TSC1遺伝子における変異、及びTSC2遺伝子における変異を有する。
【0129】
いくつかの実施形態では、対象は、対象に由来する生物学的試料において、本明細書に記載のTSC2における変異のうちのいずれか1つ以上の存在を試験することによって、結節性硬化症を有するか、または結節性硬化症を発症するリスクがあると診断される。いくつかの実施形態では、TSC2遺伝子における変異は、例えば、アミノ酸挿入、欠失、スプライス部位変異、及び/またはアミノ酸置換などの、任意のアミノ酸修飾であり得る。TSC2遺伝子における変異に関する詳細は、それらの各々の内容全体がすべての目的のために本明細書に組み込まれる、Reyna-Fabian,M.E.,Sci Rep 10,6589(2020)、Gilbert JR,et al.,Neurogenetics.1998 Aug;1(4):267-72;Avgeris,S.,Sci Rep 7,16697(2017)、及びRosset C,et al.,Genet Mol Biol.2017;40(1):69-79にさらに記載されている。いくつかの実施形態では、対象は、TSC2遺伝子のエクソン33、エクソン37、及び/またはエクソン38に変異を有する。いくつかの実施形態では、対象は、TSC2遺伝子のエクソン33に変異を有する。
【0130】
いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療薬(例えば、治療有効量の本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つ)の投与は、本明細書に開示の結節性硬化症の症状のうちのいずれか1つの重症度を軽減する。いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療薬の投与は、本明細書に開示の結節性硬化症の症状のうちのいずれか1つの発症を遅延させる。いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療薬の投与は、本明細書に開示の結節性硬化症の症状のうちのいずれか1つの症状を排除する。いくつかの実施形態では、治療有効量の本明細書に提供される治療薬の投与は、本明細書に開示の結節性硬化症の症状のうちのいずれか1つの症状を緩和する。いくつかの実施形態では、結節性硬化症の症状は、脳、心臓、肝臓、腎臓、眼、もしくは皮膚における腫瘍もしくは過誤腫;上衣下成長もしくは結節;上衣下巨細胞星細胞腫;皮質結節;脳機能不全;発作;発達遅延;白斑;心臓腫瘍横紋筋腫;爪線維腫;歯の穴及び/または歯肉線維腫;網膜病変;顔面血管線維腫;腎血管筋脂肪腫;リンパ脈管筋腫症(LAM);内出血;自閉症;てんかん;水頭症;及び/または白斑の存在のうちのいずれか1つ以上の存在である。いくつかの実施形態では、結節性硬化症の症状は、それらの各々の内容全体がすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる、Randle SC.,Pediatr Ann.2017 Apr 1;46(4):e166-e171、Uysal SP,Turk J Med Sci.2020Nov 3;50(SI-2):1665-1676、及びHenske EP,et al.Nat Rev Dis Primers.2016 May 26;2:16035に記載のいずれか1つである。
【0131】
いくつかの実施形態では、投与は、対象における腫瘍または過誤腫のサイズの減少に関連付けられるか、相関するか、または減少を生じる。いくつかの実施形態では、投与は、本明細書に開示の組成物を投与されていない結節性硬化症を有する対照対象と比較して、対象における腫瘍または過誤腫のサイズの少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または100%などの約95%以上)の減少に関連付けられるか、相関するか、または減少を生じる。
【0132】
いくつかの実施形態では、投与は、対象における腫瘍または過誤腫の数の減少と関連付けられるか、相関するか、または減少を生じる。いくつかの実施形態では、投与は、本明細書に開示の組成物を投与されていない結節性硬化症を有する対照対象と比較して、対象における腫瘍または過誤腫の数の少なくとも約5%(例えば、少なくとも約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または100%などの約95%以上)の減少に関連付けられるか、相関するか、または減少を生じる。
【0133】
理論に拘束されることなく、結節性硬化症を有する対象へのラパマイシンの投与は、mTORC1の過剰阻害に起因する副作用に関連付けられているが、本明細書に開示の組成物及び方法を使用するcチュベリンの発現は、mTORC1の過剰阻害を引き起こさないことができると考えられる。これは、TSC2の変異に関連付けられる結節性硬化症を有する対象が、mTORC1の正常な阻害を確実にするであろう正常なレベルのハマルチンを有する場合があることが理由である。さらに、ラパマイシン及びその類似体は、mTORC1のみを阻害することができるが、開示の組成物を使用するcチュベリンの発現は、mTORC1の阻害に加えて、mTORC1非依存性Rheb依存性の病理学的効果を生じる。したがって、本明細書に開示の組成物及び方法は、結節性硬化症に対するラパマイシンに基づく療法よりも有効であり得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のrAAVを投与することを含み、治療有効量が、キログラム(kg)当たり約10ゲノムコピー~1020ゲノムコピー、例えば、約10ゲノムコピー/kg、約10ゲノムコピー/kg、約10ゲノムコピー/kg、約10ゲノムコピー/kg、約1010ゲノムコピー/kg、約1011ゲノムコピー/kg、約1012ゲノムコピー/kg、約1013ゲノムコピー/kg、約1014ゲノムコピー/kg、約1015ゲノムコピー/kg、約1016ゲノムコピー/kg、約1017ゲノムコピー/kg、約1018ゲノムコピー/kg、または約1019ゲノムコピー/kgの範囲にあり、それらの間に存在するすべての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のrAAVを投与することを含み、治療有効量が、キログラム当たり1010ゲノムコピー~1014ゲノムコピーの範囲にある。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のrAAVを投与することを含み、治療有効量が、キログラム当たり10ゲノムコピー~1015ゲノムコピーの範囲にある。
【0135】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、対象当たり約10~1020ゲノムコピー、例えば、対象当たり約10ゲノムコピー、対象当たり約10ゲノムコピー、対象当たり約10ゲノムコピー、対象当たり約10ゲノムコピー、対象当たり約1010ゲノムコピー、対象当たり約1011ゲノムコピー、対象当たり約1012ゲノムコピー、対象当たり約1013ゲノムコピー、対象当たり約1014ゲノムコピー、対象当たり約1015ゲノムコピー、対象当たり約1016ゲノムコピー、対象当たり約1017ゲノムコピー、対象当たり約1018ゲノムコピー、または対象当たり約1019ゲノムコピーの範囲にあり、それらの間に存在するすべての値及び部分範囲を含む。いくつかの実施形態では、治療有効量は、対象当たり約10~1016ゲノムコピーの範囲にある。
【0136】
いくつかの実施形態では、治療有効量は、約1マイクロリットル(μl)~約100mLの溶液、例えば、約10μl、約50μl、約100μl、約125μl、約150μl、約175μl、約200μl、約250μl、約300μl、約350μl、約400μl、約450μl、約500μl、約550μl、約600μl、約650μl、約700μl、約750μl、約800μl、約850μl、約900μl、約950μl、約1ミリリットル(mL)、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70mL、約80mL、約90mL、または約100mLの体積で投与され、それらの間に存在するすべての値及び部分範囲を含む。使用される体積は、rAAVの用量及び投与経路に依存し得る。例えば、髄腔内または脳内投与では、約1μl~約10μl、または約10μl~約100μlの範囲の体積が使用され得る。静脈内投与では、約10μl~約100μl、または約100μl~1mL、または約1mL~約10mL、またはそれ以上の範囲の体積が使用され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、様々な間隔の期間、例えば毎日、毎週、1ヶ月ごと、1年ごとなどにわたって、所望されるレベルの遺伝子発現を達成するために、2回以上の投与(例えば2、3、4回、またはそれ以上の投与)が用いられ得る。
【0138】
いくつかの実施形態では、投与は、中枢神経系への注射による。使用され得る他の投与モードとしては、真皮、経口、直腸、経粘膜、鼻腔内、吸入(例えばエアロゾルを経由して)、頬側(例えば舌下)、膣、髄腔内、眼内、経皮、子宮内(または卵内)、非経口(例えば静脈内、皮下、皮内、筋肉内(骨格筋、横隔膜筋、及び/または心筋への投与を包含する)、皮内、胸膜腔内、脳内、及び関節内)、局所(例えば気道表面及び経皮投与を包含する、皮膚及び粘膜表面の両方への)、リンパ管内、及び同種のもの、そして組織または器官の直接的注射(例えば肝臓、骨格筋、心筋、横隔膜筋、または脳への)が挙げられる。いくつかの実施形態では、投与は、側脳室内注射、または頭蓋内注射による。いくつかの実施形態では、cチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVは、血管内、腎動脈または静脈内、肺内、大槽内、脳内、髄腔内、静脈内、脳室内、側脳室内、腹腔内、または真皮に投与される。
【0139】
いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のcチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVを、例えば、腎動脈または静脈への血管内注射によって、腎血管筋脂肪腫を有する対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療有効量のcチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVは、腎血管筋脂肪腫を標的とする。いくつかの実施形態では、方法は、治療有効量のcチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVを、血管内注射によって、リンパ脈管筋腫症(LAM)を有する対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、治療有効量のcチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVは、LAMを標的とする。いくつかの実施形態では、対象は、脳機能不全を有する。いくつかの実施形態では、cチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVは、くも膜下腔に提供される。
【0140】
いくつかの実施形態では、cチュベリン、核酸分子、プラスミド、組成物、またはrAAVは、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞に提供される(例えば、投与される)。いくつかの実施形態では、核酸分子、プラスミド、宿主細胞、rAAV、または組成物は、対象の血流に投与される。血流への投与は、静脈、動脈、または任意の他の血管導管への注射による場合がある。いくつかの実施形態では、核酸分子、プラスミド、細胞、rAAV、または組成物は、血管内投与される。いくつかの実施形態では、核酸分子、プラスミド、宿主細胞、rAAV、または組成物は、静脈内投与される。
【0141】
いくつかの実施形態では、核酸分子、プラスミド、宿主細胞、rAAV、または組成物は、脳組織、髄膜、神経細胞、グリア細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、脳脊髄液(CSF)、間質空間などに送達される。いくつかの実施形態では、組換えAAVは、脳室領域への注射によって、ならびに線条体(例えば、線条体の尾状核または被殻)、及び神経筋接合部、または小脳小葉への注射によって、針、カテーテル、または関連するデバイスを用いて、定位注射などの神経外科的技法を使用して、脊髄または脳に直接送達され得る。
【0142】
いくつかの実施形態では、投与は、核酸分子、プラスミド、宿主細胞、rAAV、または組成物を同時または異なる時点で、2つ以上の経路によって投与することを含み得る。
【0143】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、別の二次療法を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、二次療法は、抗発作薬の投与を含む。抗発作薬の非限定的な例としては、カルバマゼピン、フェニトイン、バルプロ酸、オキシカルバゼピン、ラモトリジン、ガバペンチン、トピラマート、及びフェノバルビタール、及びゾニサミドが挙げられる。いくつかの実施形態では、二次療法は、ラパマイシンまたはその類似体の投与を含む。二次療法は、連続的にまたは同時に、対象に投与され得る。
【0144】
本開示はまた、1つ以上の薬剤(例えば、本明細書に開示の核酸分子のうちのいずれか1つ、本明細書に開示のプラスミドのうちのいずれか1つ、本明細書に開示のrAAVのうちのいずれか1つ、または本明細書に開示の組成物のうちのいずれか1つ)を含む、キットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは、薬学的、診断、または研究用途において使用されるための、薬学的、または診断、または研究キットである。キットは、本明細書に開示の薬剤及び使用説明書を収容する、1つ以上の容器を含み得る。ある特定の実施形態では、キット内の薬剤は、特定の用途及び薬剤の投与の方法に好適な、薬学的製剤及び投薬量である。いくつかの実施形態では、容器は、シリンジ、バイアル、チューブ、局所適用デバイス、IVニードルチューブ及びバッグ(needle tubing and bag)、または別の容器である。
【0145】
いくつかの実施形態では、キットは、(例えば、本明細書に記載のrAAVにおける)cチュベリンをコードする核酸分子、またはcチュベリンを含む第1の薬学的組成物と、ラパマイシン及びその類似体などの結節性硬化症の治療に使用される1つ以上の薬物を含む第2の薬学的組成物と、を収容する。いくつかの実施形態では、キットは、2つの組成物を順次もしくは同時に投与するか、または投与前に2つの薬学的組成物を混合するための説明書を含む。
********
【0146】
本明細書で使用される見出し部分は、単に構成的な目的のためであり、記載の主題を限定するものとして解釈されるべきではない。限定されないが、特許、特許出願、論説、書籍、及び論文を含む、本明細書で引用される文書または文書の一部はすべて、その全体がすべての目的のために参照により本明細書に明確に組み込まれる。組み込まれた文書または文書の一部のうちの1つ以上が、ある用語を定義し、それが本出願でのその用語の定義と矛盾する場合、本出願に記載される定義が優先される。しかしながら、本明細書で引用される任意の参考文献、論説、刊行物、特許、特許公開、及び特許出願の言及は、それらが有効な先行技術を構成するか、または世界の任意の国における一般的な一般知識の一部を形成するという認識、またはそれを示唆する任意の形態として、解釈されるべきではない。
【0147】
文脈が別段指示しない限り、本明細書に記載の様々な特徴は、任意の組み合わせで使用され得ることが特に意図される。
【実施例
【0148】
実施例1:新しい短縮されたチュベリン(cチュベリン)構築物の生成
異なる核酸構築物を好適な発現プラスミド内にクローニングすることによって、特定のアミノ酸残基の欠失を含む様々なcチュベリンタンパク質を生成する。構築物及びアミノ酸欠失を、以下の表1に列挙する。
【表1-1】
【表1-2】
【0149】
表1に列挙したcチュベリンの各々をコードする核酸配列を含むAAV発現カセットを含む、AAVベクターを生成する。AAV発現カセットは、表1に示されるように、CMV-IE上流応答要素(URE)を有するかもしくは有さないCB6プロモータ、またはバリアントの各々をコードする核酸配列に操作可能に連結されたGUSBプロモータを含む。AAVベクターを、三重トランスフェクション法を使用してAAV粒子内にパッケージングする。いくつかの事例では、AAVは、1型AAV(例えば、AAV1)または9型AAV(例えば、AAV9)である。いくつかの事例では、ベクターは、1つ以上のAAV2 ITR要素などの1つ以上のITR要素を含む。
【0150】
上述のものなどのAAVベクターは、任意の有用な方法によって調製することができる。いくつかの実施形態では、AAVベクターは、目的の生成物を生成するために、トランスフェクト(例えば、三重トランスフェクト)した細胞培養物(例えば、HEK293懸濁培養物)を使用して調製される。その後の処理としては、1つ以上の溶解、イオン交換クロマトグラフィー、濾過(限外濾過を含む)、親和性クロマトグラフィー、及び/または希釈ステップを挙げることができる。ベクターの配列は、様々な配列決定方法を使用して確認することができる。力価(例えば、gc/mL)は、PCR増幅法または他の方法を使用して決定することができる。
【0151】
実施例2:細胞培養物におけるcチュベリンの発現
細胞(例えば、COS-7細胞)を、実施例1に記載のcチュベリンに対応する核酸配列を含むベクタープラスミドでトランスフェクトする。24時間後、cチュベリンの発現は、抗チュベリン/TSC2抗体によるイムノブロッティング(例えば、ウエスタンブロッティング)によって検出する。
【0152】
cチュベリンの活性を試験するために、細胞(例えば、COS-7細胞)を、例えば、GFP、pAAV-CBA-cTSC2、TSC2-FLAG、pAAV-CBA-cTSC2+TSC1-FLAG、TSC1-FLAG+TSC2-FLAG、及びTSC1-FLAGベクターを含む様々なAAV構築物でトランスフェクトする。リン酸化S6(pS6)、S6、及びGAPDHの発現レベルは、イムノブロッティング(例えば、ウエスタンブロッティング)によって検出する。pS6キナーゼレベルは、通常、チュベリン活性の非存在下で上昇するが、本明細書に提供されるプラスミドでトランスフェクトした細胞は、低いpS6レベルを示し得、これは、pS6キナーゼ活性の減少を示すであろう。
【0153】
実施例3:インビボでのcチュベリンの発現
本開示のベクターの有効性を、(Onda et al.(Onda et al.,J.Clin.Invest.104(6):687-695,1999)によって記載のTcs2c/cfloxマウスなどの、チュベリンを欠くマウスを使用してさらに評価する。Creリコンビナーゼに応答して、Tsc2c/c対立遺伝子は、ヌル対立遺伝子へと変換され、lacZ対立遺伝子は、β-ガラクトシダーゼを発現する。そのようなマウスは、健康かつ正常な寿命を有することが観察されている。
【0154】
側脳室内(ICV)及び/または眼窩後(RO)注射を、実施例1に記載の選択されたベクターを使用して行る。ICV注射は、生後日数(PND)0、1、2、3、4、または5日などの、マウスのライフサイクルの早期に実施する。RO注射は、PND21などのPND7~35の間などの、マウスのライフサイクルの後期に実施する。注射された力価は、ミリリットル当たり1×1011ゲノムコピー(gc/mL)~1×1014gc/mLの範囲であり得る。生存期間を監視する。pS6について、ヘマトキシリン及びエオシン(H&E)染色及び/または免疫組織化学分析を使用して、チュベリン欠乏マウス及び治療したマウスの脳を研究する。
【0155】
1つの研究では、実施例1に記載のものなどのcチュベリンベクターの、生存期間に対する影響を評価する。Tcs2c/cマウスに、AAV1-CBA-CreなどのCre担持ベクターでPND0またはPND3にICV注射するか、実施例1に記載のcチュベリンベクターでP21にRO注射するか、または注射しない。PND3では、脳脊髄液(CSF)関門は、P0よりも幾分貫通性が低い場合があるので、脳におけるチュベリンの欠乏が少ないことが観察され得る。生存期間を監視する。cチュベリンベクターを注射したマウスの生存期間は、Creベクターを注射したマウスの生存期間よりも長いと予想された。cチュベリンベクターを注射したマウスの生存期間は、注射しなかったマウスの生存期間(例えば、175日超)に匹敵し得る。
【0156】
別の研究では、実施例1に記載のcチュベリンベクターの有効性を評価する。すべてのマウスに、AAV1-CBA-CreなどのCre担持ベクターを、PND0またはPND3にICV注射する。次いで、マウスの第1の群に、PND21に実施例1に記載のcチュベリンベクターをRO注射し、マウスの第2の群には、再び注射しない。cチュベリンベクターを注射したマウスの生存期間は、cチュベリンベクターを注射しなかったマウスの生存期間よりも長いと予想される。チュベリン欠乏マウス及びcチュベリン治療マウスの脳を、屠殺後(例えば、PND27に)、H&E染色またはIHCを使用して、pS6について研究する。チュベリンが欠乏しているマウスでは、上衣細胞増殖、海馬における錐体細胞の拡大、上衣下結節、及び複数の上衣下結節、ならびに増殖を観察することができる。cチュベリン治療マウスでは、脳組織は、正常な注射していない(例えば、対照)脳のものとより同様に思われ得る。
【0157】
別の研究では、実施例1に記載のものなどのcチュベリンベクターと抗けいれん剤との組み合わせの有効性を評価する。TSC2変異は、早期発症及び高頻度の発作と関連付けられる。したがって、cチュベリンベクターと抗けいれん剤との組み合わせは、TSC2での対象の治療に有効であり得る。すべてのマウスに、AAV1-CBA-CreなどのCre担持ベクターを、P0またはP3にICV注射する。次いで、マウスの第1の群に、PND3以降に実施例1に記載のcチュベリンベクターをRO注射し、マウスの第2の群には、再び注射しない。cチュベリンベクターを注射したマウスの群を、ビガバトリン(例えば、200mg/kg)などの抗けいれん剤で治療し、別のマウスの群は、抗けいれん剤で治療しない。cチュベリンベクターを注射し、抗けいれん剤で治療したマウスの生存期間は、cチュベリンベクターを注射せずかつ薬物で治療しなかったマウス、cチュベリンベクターを注射せずかつ薬物で治療したマウス、及びcチュベリンベクターを注射しかつ抗けいれん剤で治療しなかったマウスの生存期間よりも長いことが予想される。
【0158】
さらなる研究では、実施例1に記載のものなどのcチュベリンベクターの有効性を、NOD-SCID II2Rガンマ(NSG)マウスに皮下注射したリンパ脈管筋腫症(LAM)腫瘍に対してインビボで試験する。Flucを発現しているTSC2ヌルの不死化した血管筋脂肪腫細胞を血清培地中に懸濁させ、マトリゲルと混合し、NSGマウスの背中に皮下移植する。数週間(例えば、4週間)後、マウスに、Fluc基質D-ルシフェリン(LUCNA-1G)を腹腔内注射し、スペクトル及び麻酔システムでシグナルを検出する。生物発光を介して、例えば、1、4、6、9、及び14週目に、腫瘍体積を監視する。腫瘍に、例えば、4週目及び9週目に、cチュベリンベクターを注射するか、または注射しない。14週目までに、cチュベリンベクターを注射した腫瘍は、サイズの増加を停止すると予想されるが、注射しなかった腫瘍は、体積の拡大が継続され得る。
【0159】
追加の実験の詳細及び関連研究は、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年5月17日出願の国際特許公開第PCT/US2018/033247号に記載されている。
番号付けされた実施形態
実施形態1(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、前記cチュベリン。
実施形態2前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基947~988をさらに欠く、実施形態1に記載のcチュベリン。
実施形態3前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基1205~1271をさらに欠く、実施形態1または2に記載のcチュベリン。
実施形態4前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基1336~1497をさらに欠く、実施形態1~3のいずれか1項に記載のcチュベリン。
実施形態5前記C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1に記載のcチュベリン。
実施形態6前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基933~1109をさらに欠く、実施形態1に記載のcチュベリン。
実施形態7前記C末端ドメインが、配列番号8に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態6に記載のcチュベリン。
実施形態8前記N末端ドメインが、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態1~7のいずれか1項に記載のcチュベリン。
実施形態9(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記C末端領域が、配列番号7に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く、前記cチュベリン。
実施形態10前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、実施形態9に記載のcチュベリン。
実施形態11前記C末端領域が、配列番号8に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9または10に記載のcチュベリン。
実施形態12前記C末端領域が、配列番号9に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9または10に記載のcチュベリン。
実施形態13前記N末端領域が、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9に記載のcチュベリン。
実施形態14前記N末端領域が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9~12のいずれか1項に記載のcチュベリン。
実施形態15前記cチュベリンが、配列番号14に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9に記載のcチュベリン。
実施形態16前記cチュベリンが、配列番号15に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9に記載のcチュベリン。
実施形態17前記cチュベリンが、配列番号16に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態9に記載のcチュベリン。
実施形態18(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域と、を含む、短縮されたチュベリン(cチュベリン)であって、前記C末端領域が、配列番号10~12のうちの1つに対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠く、前記cチュベリン。
実施形態19前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基419~932を欠く、実施形態18に記載のcチュベリン。
実施形態20前記C末端領域が、配列番号10に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18または19に記載のcチュベリン。
実施形態21前記C末端領域が、配列番号11に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18または19に記載のcチュベリン。
実施形態22前記C末端領域が、配列番号12に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18または19に記載のcチュベリン。
実施形態23前記cチュベリンが、配列番号17に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18に記載のcチュベリン。
実施形態24前記cチュベリンが、配列番号18に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18に記載のcチュベリン。
実施形態25前記cチュベリンが、配列番号19に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18に記載のcチュベリン。
実施形態26前記N末端領域が、配列番号5に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態18~25のいずれか1項に記載のcチュベリン。
実施形態27前記cチュベリンが、前記N末端領域と前記C末端領域との間にスペーサ配列を含む、実施形態1~26のいずれか1項に記載のcチュベリン。
実施形態28前記スペーサ配列が、配列番号2の配列を含む、実施形態27に記載のcチュベリン。
実施形態29前記スペーサ配列が、配列番号3の配列を含む、実施形態28に記載のcチュベリン。
実施形態30実施形態1~29のいずれか1項に記載のcチュベリンをコードする、核酸分子。
実施形態31前記核酸分子が、ヒト標的細胞における発現のためにコドン最適化されている、実施形態30に記載の核酸分子。
実施形態32前記ヒト標的細胞が、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞である、実施形態31に記載の核酸分子。
実施形態33前記核酸分子が、調節制御配列に操作可能に連結されている、実施形態30~32のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態34前記調節制御配列が、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモータ、ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモータ、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモータ/エンハンサ、SV40プロモータ、ジヒドロ葉酸レダクターゼプロモータ、ホスホグリセロールキナーゼプロモータ、CMV即時/初期遺伝子エンハンサ/CBAプロモータ、シナプシンプロモータ、またはグリア線維性酸性タンパク質(GFAP)プロモータを含む、実施形態33に記載の核酸分子。
実施形態35前記調節制御配列が、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)即時/初期遺伝子エンハンサ/ニワトリβ-アクチン(CBA)プロモータ、及びウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節要素(WPRE)を含む、実施形態33に記載の核酸分子。
実施形態36前記調節制御配列が、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含む、実施形態33に記載の核酸分子。
実施形態37前記核酸分子が、配列番号21~26のいずれか1項に対して少なくとも90%の配列同一性を有する、実施形態30~36のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態38(i)ハマルチンに結合することが可能なN末端領域と、(ii)C末端GTPase活性化タンパク質(GAP)領域とを含むcチュベリンをコードする、核酸分子であって、前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~932を欠き、前記核酸分子が、ベータ-グルクロニダーゼ(GUSB)プロモータを含む調節制御配列に操作可能に連結されている、前記核酸分子。
実施形態39前記cチュベリンが、配列番号1のアミノ酸残基451~1515を欠く、実施形態38に記載の核酸分子。
実施形態40前記C末端領域が、配列番号6に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態38または39に記載の核酸分子。
実施形態41前記N末端領域が、配列番号4に対して少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、実施形態38~40のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態42アデノ随伴ウイルス(AAV)発現カセットを含む核酸分子であって、前記AAV発現カセットが、5’から3’へと、
i)5’AAV逆位末端反復(ITR)と、
ii)実施形態25~35のいずれか1項に記載の核酸分子と、
iii)3’AAV ITRと、を含む、前記核酸分子。
実施形態43前記5’ITR及び/または前記3’ITRが、AAV2に由来する、実施形態42に記載の核酸分子。
実施形態44前記5’AAV ITR配列が、配列番号27に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、実施形態42または43に記載の核酸分子。
実施形態45前記3’AAV ITR配列が、配列番号28に対して少なくとも90%の同一性を有する核酸配列を含む、実施形態42~44のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態46前記AAV発現カセットが、ポリアデニル化配列をさらに含む、実施形態42~45のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態47前記AAV発現カセットが、コザック配列をさらに含む、実施形態42~46のいずれか1項に記載の核酸分子。
実施形態48実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む、プラスミド。
実施形態49実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、または実施形態48に記載のプラスミドを含む、宿主細胞。
実施形態50実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、実施形態48に記載のプラスミド、または実施形態49に記載の宿主細胞を含む、組成物。
実施形態51組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を産生する方法であって、宿主細胞を、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子または実施形態48に記載のプラスミドと接触させることを含む、前記方法。
実施形態52実施形態51に記載の方法によって産生される、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
実施形態53AAVカプシドタンパク質と、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子と、を含む、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)。
実施形態54前記rAAVが、AAV1カプシドタンパク質、AAV2カプシドタンパク質、AAV3カプシドタンパク質、AAV4カプシドタンパク質、AAV5カプシドタンパク質、AAV6カプシドタンパク質、AAV7カプシドタンパク質、AAV8カプシドタンパク質、AAV9カプシドタンパク質、AAV10カプシドタンパク質、AAVrh10カプシドタンパク質、AAV11カプシドタンパク質、及び/またはAAV12カプシドタンパク質を含む、実施形態52または53に記載のrAAV。
実施形態55標的細胞においてcチュベリンを発現させる方法であって、前記標的細胞を、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、実施形態48に記載のプラスミド、実施形態50に記載の組成物、または実施形態52~54のいずれか1項に記載のrAAVと接触させ、それによって、前記標的細胞においてcチュベリンを発現させることを含む、前記方法。
実施形態56前記接触させるステップが、インビトロ、エクスビボ、またはインビボで実施される、実施形態55に記載の方法。
実施形態57前記接触させるステップが、治療を必要とする対象においてインビボで実施される、実施形態56に記載の方法。
実施形態58前記接触させるステップが、治療有効量の前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVを前記対象に投与することを含む、実施形態57に記載の方法。
実施形態59結節性硬化症複合体(TSC)を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~29のいずれか1項に記載のcチュベリン、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む1つ以上の細胞外小胞(EV)、実施形態48に記載のプラスミド、実施形態50に記載の組成物、または実施形態52~54のいずれか1項に記載のrAAVを前記対象に投与し、それによって、前記対象におけるTSCを治療することを含む、前記方法。
実施形態60腎癌を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の実施形態1~29のいずれか1項に記載のcチュベリン、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子、実施形態30~47のいずれか1項に記載の核酸分子を含む1つ以上の細胞外小胞(EV)、実施形態48に記載のプラスミド、実施形態50に記載の組成物、または実施形態52~54のいずれか1項に記載のrAAVを前記対象に投与し、それによって、前記対象における腎癌を治療することを含む、前記方法。
実施形態61前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、血管内、腎動脈または静脈内、肺内、大槽内、脳内、髄腔内、静脈内、脳室内、側脳室内、腹腔内、または真皮に投与される、実施形態57~60のいずれか1項に記載の方法。
実施形態62前記対象が、腎血管筋脂肪腫を有する、実施形態57~61のいずれか1項に記載の方法。
実施形態63前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、前記腎血管筋脂肪腫を標的とする、実施形態62に記載の方法。
実施形態64前記対象が、リンパ脈管筋腫症(LAM)を呈する、実施形態57~63のいずれか1項に記載の方法。
実施形態65前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、前記LAMを標的とする、実施形態64に記載の方法。
実施形態66前記対象が、脳機能不全を有する、実施形態57~65のいずれか1項に記載の方法。
実施形態67前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、くも膜下腔に提供される、実施形態66に記載の方法。
実施形態68前記cチュベリン、前記核酸分子、前記プラスミド、前記組成物、または前記rAAVが、脳細胞、心臓細胞、腎臓細胞、皮膚細胞、または肺細胞に投与される、実施形態57~67のいずれか1項に記載の方法。
実施形態69前記対象が、ラパマイシンを投与される、実施形態57~68のいずれか1項に記載の方法。
実施形態70前記対象が、ヒトである、実施形態57~69のいずれか1項に記載の方法。
実施形態71前記対象が、18歳未満である、実施形態57~70のいずれか1項に記載の方法。
実施形態72前記対象が、乳児である、実施形態71に記載の方法。
実施形態73前記対象が、結節性硬化症複合体を有すると診断されている、実施形態57~72のいずれか1項に記載の方法。
実施形態74前記対象が、TSC2遺伝子に変異を有する、実施形態57~73のいずれか1項に記載の方法。
実施形態75前記対象が、前記TSC2遺伝子のエクソン33、エクソン37、及び/またはエクソン38に変異を有する、実施形態74に記載の方法。
実施形態76前記対象が、皮質結節、上衣下結節、及び上衣下巨細胞星細胞腫のうちの1つ以上を有する、実施形態57~75のいずれか1項に記載の方法。
【配列表】
2024522943000001.app
【国際調査報告】