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特表2024-522952高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法
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  • 特表-高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-24
(54)【発明の名称】高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 20/06 20060101AFI20240617BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20240617BHJP
   B01J 2/06 20060101ALI20240617BHJP
   C01G 23/04 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B01J20/06 A
B01J20/30
B01J2/06
C01G23/04 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567073
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 CN2022129167
(87)【国際公開番号】W WO2023083065
(87)【国際公開日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202111345745.8
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520207413
【氏名又は名称】チォンドウ チェムフィズ ケミカル インダストリー カンパニー リミティド
【氏名又は名称原語表記】Chengdu Chemphys Chemical Industry Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】Tower 3-1101,Yintai Center 1199 North Tianfu Ave Hi-Tech District Chengdu, Sichuan 610041 China
(71)【出願人】
【識別番号】520207424
【氏名又は名称】サイノーリシーウム マテリアルズ リミティド
【氏名又は名称原語表記】Sinolithium Materials Limited.
【住所又は居所原語表記】Unit 212 Mirror Tower 61 Mody Road Tsim Sha Tsui East KL Hongkong, Hong kong 999077 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ジンフォン
(72)【発明者】
【氏名】モン チィァン
(72)【発明者】
【氏名】バン ウェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ツァィ ロンフー
(72)【発明者】
【氏名】ダイ イーファ
【テーマコード(参考)】
4G047
4G066
【Fターム(参考)】
4G047CA02
4G047CD03
4G066AA11D
4G066AA13A
4G066AA23A
4G066AA23B
4G066AA34D
4G066AA43A
4G066AA47D
4G066AA53D
4G066AB05D
4G066AB06D
4G066AB07D
4G066AB09D
4G066AB12D
4G066AB15D
4G066AB21D
4G066AB26D
4G066AC01D
4G066AC12D
4G066AC15D
4G066AC21D
4G066AC22D
4G066AC27D
4G066AC31D
4G066BA09
4G066BA36
4G066CA45
4G066DA07
4G066FA03
4G066FA11
4G066FA21
4G066FA22
4G066FA26
4G066FA27
4G066FA33
4G066FA34
4G066FA35
4G066FA37
4G066FA38
4G066FA40
(57)【要約】
本発明は、高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法に関する。この方法には以下のステップが含まれる。ステップ1:チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を調製する。ステップ2:高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤を調製する。1)前駆体粉末の前処理であり、2)複合接着剤の調製であり、3)ドーピング、混合、均質化であり、4)成形及び造粒であり、5)溶出および置換である。本発明に従って製造された粒状吸着剤は、比較的高い空隙率を有し、塩湖塩水または模擬塩水からリチウムを抽出するために使用される場合に良好な懸濁特性を示し、吸脱着速度が高く、リチウム抽出活性が高い。リチウムイオン選択性と溶出率は95%以上に達する。該粒状吸着剤は構造が安定しており、溶液の損失が少なく、サイクル耐用年数が長い。該粒状吸着剤の成形・造粒プロセスは単純で制御が容易であり、工業化が容易である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法であって
ステップ1:以下のステップaおよびステップbによりチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を調製し、
ステップa:リチウム源、二酸化チタン、および分散剤を機械的ボールミル粉砕によってよく混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御し、高温造孔剤を加えてよく混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏350~650度で2~3時間焼成し、冷却し、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得、
或いはステップb)チタン源、水酸化リチウムおよび適量の水を混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御し、0.5~1.5重量%の過酸化水素を加え、摂氏60~90度の超音波条件下で3~6時間撹拌反応させ、濾過、洗浄を順次行い、高温の造孔剤を加えよく混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏300~500度で2~3時間焼成し、冷却してチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得、
ステップ2:高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を準備し、
ステップA)前処理工程として、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を粉砕し、150~800メッシュでふるい分けして前処理粉末を得、
ステップB)複合接着剤の調製工程として、ポリマー材料を有機溶媒で溶解し、適量の添加剤を加え、摂氏20~80度の水浴条件下で完全に溶解するまで撹拌して複合接着剤を得、
ステップC)ドーピングおよび混合工程として、ステップA)の粉末をステップB)で調製した複合接着剤と混合し、高速で撹拌し、均一に分散させて均一なスラリーを得、
ステップD)成形工程として、ステップC)のスラリーを造粒-水浴凝固または造粒-真空乾燥により成形し、0.3~2mmの粒子を収集し、ふるい分けして、粒状のチタン系リチウム吸着剤前駆体を得、
ステップE)溶出・置換工程として、ステップD)の粒状チタン系リチウム吸着剤前駆体から溶離液を用いてリチウムイオンを浸出させた後、水洗して高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を得ること、
を特徴とする、高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法。
【請求項2】
ステップaにおける分散剤が、溶液濃度が1~2重量%のグルコース、クエン酸またはPEG200~PEG6000水溶液のいずれかであり、前記リチウム源が水酸化リチウムまたは炭酸リチウムであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
ステップbにおけるチタン源が、一次粒子径が10~50nmのメタチタン酸または二酸化チタンであり、比表面積が60~400m/gであり、前記水の添加量は固体質量の20~50重量%であり、前記超音波の使用周波数範囲は20~80KHZである、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
ステップ1における噴霧乾燥温度が摂氏160~220度であり、高温造孔剤がポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホンのいずれかであり、得られるチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末がLiTi12またはLiTiOであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
ステップBにおける有機溶媒が、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
ステップBにおける高分子材料が、ポリアリールスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド、塩素化ポリ塩化ビニル及びポリビニルブチラールのいずれか1種又はそれらの混合物であり、有機溶媒に溶解したポリマー材料の質量濃度が5~20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
ステップBにおける添加剤が、ポリビニルアルコール、グリセリン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、クエン酸、グルコース、キトサン、シュウ酸、酢酸、PVP、PEG6000、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれか1種又はそれらの混合物であり、添加剤の量が高吸着容量チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の質量の0~3重量%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項8】
ステップCにおいて、粉末と複合接着剤とを混合した後、固形分含有量が30~60重量%に制御され、高速撹拌の回転速度は1000~2500r/minであり、分散スラリーは80~400メッシュでふるい分けされることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項9】
ステップDにおける造粒-水浴凝固による成形に用いる凝固浴が水および無機塩水のいずれかであり、無機塩水の質量濃度が0.5~5重量%であることを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項10】
ステップEにおける溶離液が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、Naのいずれかであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項11】
前記造粒-水浴凝固による成形時の造粒が、スラリー静電噴霧造粒、スラリーブラシ点噴霧造粒、ディスク遠心造粒を含み、スラリー中の固形分含有量が35~45重量%に制御され、静電噴霧造粒に使用されるスラリーは、0.7~1.1mmのノズル開口、3~6KVの静電圧力、およびノズルからレセプター流体までの距離0.3~1mの250~400メッシュによってふるい分けされ、ブラシ点噴霧造粒に使用されるスラリーは、ノズル口径が0.9~1.2mm、ノズルからレセプター流体までの距離が0.5~1.2mの150~300メッシュでふるいにかけられ、ディスク遠心造粒に使用されるスラリーは、ディスク直径40~80mm、ディスク速度800~1200r/min、ディスクからレセプター流体までの距離0.5~1.5mの80~150メッシュでふるいにかけられることを特徴とする、請求項1または7に記載の製造方法。
【請求項12】
造粒-真空乾燥による成形は、スラリー中の固形分濃度を45~60重量%にまず制御する必要があり、真空度範囲は0.03~0.09Mpa、乾燥温度は摂氏40~80度、ふるい分け粒径は0.5~2mmであることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的新材料の製造技術分野に関し、特に、高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
21世紀以降のコンピューター、デジタルカメラ、携帯電話、携帯電動工具などの電子製品の普及と新エネルギー自動車の継続的な開発により、リチウムイオン電池は世界で最もリチウムを消費する存在となった。
【0003】
天然リチウム資源は主に花崗岩タイプの鉱床、塩湖の塩水、海水、地熱水に埋蔵されている。統計データによると、これらの資源は主にリチウムを含む塩水に含まれており、リチウム資源全体の約61%を占める。リチウム鉱石は全体の約34%を占め、残り5%のリチウム資源は油田や地熱水に含まれる。
【0004】
吸着によるリチウム抽出は、塩湖からリチウムを抽出するために近年開発された新しいプロセスである。このプロセスは、特定のリチウムイオンふるい吸収材を使用して、生の塩水からリチウムイオンを選択的に吸着するものである。このプロセスにより、高効率で素早く塩水からリチウムを抽出することができる。全体的な回収率は約85%であり、資源の価値と利用率が大幅に向上する。この方向性が、塩湖からのリチウム抽出において最も競争力を有している。現在、国内外の研究者が、安定した構造、低い溶液損失、高い吸着容量、速い吸着速度を備えたリチウムイオンふるい吸着剤の合成に取り組んでいる。
【0005】
粉末状態のリチウムイオンふるいは、その微細な粒子サイズ、大きな比表面積、および十分な固体液体接触により、大きな吸着容量と高い吸着効率という利点を有する。しかし、工業用途としては分離や洗浄が難しいなどの工学的問題がある。粉末の濾過・分離が困難、溶液の損失が大きいなどの問題を解決するには、粉末のリチウムイオンふるいを成形・造粒する必要がある。造粒後には、濾過性と洗浄効率が大幅に向上し、吸着剤の溶液損失も大幅に減少する。しかし、成形により比表面積が減少するため、吸着容量は大幅に低下し、元のリチウムイオンふるい粉末のわずか20~30%になってしまう。吸着剤成形体の粒径と比表面積を向上させるために、近年、国内外の研究者が吸着剤成形法の開発を積極的に進めており、低コスト、高効率、大規模なプロセスと装置が開発されてきている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、従来技術の欠点を克服した、高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法を提供することである。この吸着剤は親水性粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤である。製造された粒状吸着剤は、塩湖塩水、リチウム沈殿母液、高不純物リチウム含有溶液、リチウム電池回収溶液およびその他のリチウム含有溶液中のリチウムイオンを、効率的かつ選択的に識別して吸着することができる。粒状吸着剤は空隙率が高く比重が小さいため、小さな液体衝撃力で液体媒体中に懸濁、分散させることができる。粒状吸着剤は、速い吸脱着速度と高いリチウム吸着容量で、塩水または溶離液と完全かつ効果的に接触できる。粒状吸着剤は高い強度と靭性、優れた液体衝撃耐性、低い溶液損失、長いサイクル耐用年数を備えている。成形方法として、水浴中で凝固させるスラリー造粒法または真空雰囲気中で乾燥させるスラリー造粒法を採用する。溶剤はリサイクル可能である。成形プロセスは単純で環境制御が可能であり、粒状吸収性材料を大規模に製造できるため、産業上の利用価値が高い。
【0007】
上記の目的を達成するための、本発明の具体的な技術的解決策は次のとおりである。
以下の工程を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法。
ステップ1:以下のステップaおよびステップbによりチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を調製する。
ステップa:リチウム源、二酸化チタン、および分散剤を機械的ボールミル粉砕によってよく混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御する。高温造孔剤を加えてよく混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏350~650度で2~3時間焼成し、冷却し、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得る。
またはステップb)チタン源、水酸化リチウムおよび適量の水を混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御する。0.5~1.5重量%の過酸化水素を加え、摂氏60~90度の超音波条件下で3~6時間撹拌反応させ、濾過、洗浄を順次行い、高温の造孔剤を加えよく混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏300~500度で2~3時間焼成し、冷却してチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得る。
ステップ2:高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を準備する。
ステップA)前処理工程として、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を粉砕し、150~800メッシュ、より好ましくは200~400メッシュでふるい分けして前処理粉末を得る。
ステップB)複合接着剤の調製工程として、ポリマー材料を有機溶媒で溶解し、適量の添加剤を加え、摂氏20~80度の水浴条件下で完全に溶解するまで撹拌して複合接着剤を得る。
ステップC)ドーピング、混合、均質化工程として、ステップA)の粉末をステップB)で調製した複合接着剤と混合し、高速で撹拌し、分散させて均一なスラリーを得る。
ステップD)成形工程として、造粒-水浴凝固または造粒-真空乾燥により成形し、ふるい分けして、粒状のチタン系リチウム吸着剤前駆体を得る。
ステップE)溶出・置換工程として、ステップD)の粒状チタン系リチウム吸着剤前駆体から溶離液を用いてリチウムイオンを浸出させた後、水洗して高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を得る。
【0008】
本願の好ましい実施形態として、ステップ1(a)における分散剤は、より好ましくは1~2重量%の濃度のPEG200~PEG6000水溶液のうちの1つであり、リチウム源はより好ましくは炭酸リチウムである。
【0009】
本願の好ましい実施形態として、ステップ1(a)のチタン源は、より好ましくは、一次粒子径が10~50nm、好ましくは10nmであって、比表面積が60~400m/g、好ましくは300m/gの二酸化チタンである。水の添加量は固形質量の20~50重量%であり、超音波周波数は20~60KHZがより好ましい。
【0010】
本願の好ましい実施形態として、ステップ1における噴霧乾燥温度が摂氏160~220度であり、高温造孔剤がポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリールスルホンのいずれかであり、得られるチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末がLiTi12またはLiTiOである。
本出願の好ましい実施形態として、ステップB)における有機溶媒が、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジクロロメタンのいずれかであり、より好ましくはジメチルアセトアミドまたはジメチルスルホキシドである。
【0011】
本発明の好ましい実施形態として、ステップB)における高分子材料が、ポリアリールスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド、塩素化ポリ塩化ビニル及びポリビニルブチラールのいずれか1種又はそれらの混合物であり、質量濃度が1~30%であり、有機溶媒に溶解したポリマー材料の重量が5~20%である。
【0012】
ステップB)における添加剤は、ポリビニルアルコール、グリセリン、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、クエン酸、グルコース、キトサン、シュウ酸、酢酸、PVP、PEG6000、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれか1種又はそれらの混合物であり、添加剤の量が高吸着容量チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の質量の0~3重量%である。
【0013】
本願の好ましい実施形態として、ステップC)において、粉末と複合接着剤とを混合した後、固形分含有量が30~60重量%に制御され、高速撹拌の回転速度は1100~1800r/minであり、分散スラリーは80~400メッシュでふるい分けされる。
【0014】
本願の好ましい実施形態として、ステップD)における水浴凝固による成形に用いる凝固浴が水および無機塩水のいずれかであり、無機塩水の質量濃度が0.5~5重量%である。造粒-水浴凝固による成形における造粒には、スラリー静電スプレー造粒、スラリーブラシ点噴霧造粒、ディスク遠心造粒などがあり、スラリー中の固形分濃度が35~45%となるように制御される。
【0015】
本出願の好ましい実施形態として、静電噴霧造粒に使用されるスラリーは、0.7~1.1mmのノズル開口、3~6KVの静電圧力、およびノズルからレセプター流体までの距離0.3~1mの250~400メッシュによってふるい分けされ、ブラシ点噴霧造粒に使用されるスラリーは、ノズル口径が0.9~1.2mm、ノズルからレセプター流体までの距離が0.5~1.2mの150~300メッシュでふるいにかけられ、ディスク遠心造粒に使用されるスラリーは、ディスク直径40~80mm、ディスク速度800~1200r/min、ディスクからレセプター流体までの距離0.5~1.5mの80~150メッシュでふるいにかけられる。
【0016】
本願の好ましい実施形態として、造粒-水浴凝固による成形中に、スラリーを静電ブラシ-スティップルスプレー装置を介して水槽内に噴霧して棒状、球状又は不定形の粒子に凝固させるか、又はスラリーを高速ディスク装置に滴下すると、スラリーは遠心力の作用で分散され、水槽内に噴霧されて球形、楕円形、または不定形の粒子に凝固させ、凝固浴に0.5~2時間浸漬することによって、球状、棒状、または不規則な粒状の吸着剤前駆体を製造できる。
【0017】
本願の好ましい実施形態として、造粒-真空乾燥による成形では、まずスラリー中の固形分を45~60重量%に制御する必要がある。スラリーの液滴を摂氏40~80度の真空雰囲気中でスプレーまたはディスク遠心投入により乾燥、成形する。真空度の範囲は0.05~0.08MPaがより好ましい。粒子径0.3~2mmでの粒子は、粒状の吸着剤前駆体としてふるいにかけられる。
本願の好ましい実施形態として、ステップE)における溶離液が、硫酸、硝酸、塩酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、Naのいずれかである。
【0018】
本願の好ましい実施形態として、本発明の技術的解決策により、優れた性能を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤を製造することができる。粒状吸着剤の平均粒径は0.3~2mmに制御することが好ましく、かさ密度は0.35~0.45g/cmである。
【0019】
本発明の主な解決策とそのさらなる代替案を自由に組み合わせて複数の解決策を形成することができ、そのすべてを本発明で採用し、特許請求することができる。そして、各代替案は、本発明に従って他の互換性のある代替案と任意に組み合わせることができる。当業者であれば、本発明の解決策を理解した上で、先行技術および一般常識に基づいて複数の組み合わせが明らかであり、それらはすべて本発明によって保護される技術的解決策であり、ここで網羅するものではない。
【0020】
従来技術と比較して、本発明は以下の有益な効果を奏する。
(1)製造された粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤は、良好な親水性、高い空隙率、速い吸脱着速度、および高いリチウム吸着容量を有する。塩湖塩水、リチウム沈殿母液、高純度リチウム含有溶液、リチウム電池回収溶液、その他のリチウム含有溶液中のリチウムを高い選択率で識別・吸着できる。前記吸着剤は、優れた耐浸食性、低い溶液損失、および長いサイクル寿命を備える。
(2)吸着剤の製造工程は簡単であり、成形方法はスラリー造粒-水浴凝固、またはスラリー造粒-真空乾燥を採用している。溶媒はリサイクル可能であり、成形プロセスは簡単で環境制御が可能であり、ディスク遠心造粒技術は新規であり、粒状吸収材料を大量に製造でき、産業上の利用価値が高い。
(3)製造された粒状吸着剤は、空隙率が高く、比重が小さく、懸濁分散性能が良好である。吸着によるリチウム抽出の応用により、異なる粒径範囲の吸着剤を低衝撃下で塩水または溶出液に懸濁および分散させることができ、これにより吸着剤表面のイオン交換率が増加し、実際の使用時の吸着剤のエネルギー消費量が削減される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】製造された球状チタン系リチウムイオンふるい粒子吸着剤を示す。
図2】製造された棒状チタン系リチウムイオンふるい粒子吸着剤を示す。
図3】製造されたチタン系リチウムイオンふるい粉末のSEM顕微鏡写真である。
図4】単一のチタン系リチウム吸収材料の断面のSEM顕微鏡写真である。
図5】ディスク遠心造粒装置を示す。
【発明の実施の形態】
【0022】
以下の工程を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法。
ステップ1:チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を調製する。
ステップa:リチウム源、二酸化チタン、および分散剤を機械的ボールミル粉砕によってよく混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御する。高温造孔剤を加えて混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏350~650度で2~3時間焼成し、冷却し、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得る。
またはステップb)チタン源、水酸化リチウムおよび適量の水を混合し、Li/Tiのモル比を2:(1-1.2)に制御する。0.5~1.5重量%の過酸化水素を加え、摂氏60~90度の超音波条件下で3~6時間撹拌反応させ、濾過、洗浄を順次行い、高温の造孔剤を加えよく混合し、噴霧乾燥して造粒粉末を得、造粒粉末をマイクロ波高温焼結炉に移し、摂氏300~500度で2~3時間焼成し、冷却してチタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を得る。
ステップ2:高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を準備する。
ステップA)前処理工程として、チタン系リチウムイオンふるい前駆体粉末を粉砕し、150~800メッシュ、より好ましくは200~400メッシュでふるい分けして粉末を得る。
ステップB)複合接着剤の調製工程として、ポリマー材料を有機溶媒で溶解し、適量の添加剤を加え、摂氏20~80度の水浴条件下で完全に溶解するまで撹拌して複合接着剤を得る。
ステップC)ドーピング、混合、均質化工程として、ステップA)の粉末をステップB)で調製した複合接着剤と混合、分散させて均一なスラリーを得る。
ステップD)成形工程として、造粒-水浴凝固または造粒-真空乾燥により成形し、ふるい分けして、粒状のチタン系リチウム吸着剤前駆体を得る。
ステップE)溶出・置換工程として、ステップD)のチタン系リチウム吸着剤前駆体から溶離液を用いてリチウムイオンを浸出させた後、水洗して高吸着容量のチタン系リチウムイオンふるい吸着剤を得る。
【0023】
好ましくは、ステップ1(a)における分散剤は、1~2重量%の濃度のグルコース、クエン酸、PEG200~PEG6000水溶液のうちの1つであり、リチウム源はより好ましくは炭酸リチウムである。
【0024】
好ましくは、ステップ1(b)のチタン源は、より好ましくは、一次粒子サイズが10~50nm、好ましくは10nmであって、比表面積が60~400m/g、好ましくは300m/gの二酸化チタンである。水の添加量は固形質量の20~50%であり、超音波周波数は20~60KHZがより好ましい。
【0025】
好ましくは、ステップ1の噴霧乾燥温度は摂氏160~200度であり、造孔剤はポリエーテルスルホン、ポリスルホン、およびポリアリールスルホンのうちの1つであり、ステップ1(a)におけるマイクロ波焼結温度は、より好ましくは摂氏450~550度であり、ステップ1(b)におけるマイクロ波焼結温度は、より好ましくは摂氏350~450度であり、上記で得られたメタチタン酸粉末は、LiTi12またはLiTiOである。
【0026】
好ましくは、ステップB)における有機溶媒は、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチルおよびジクロロメタンのいずれか1つである。
【0027】
好ましくは、ステップB)における高分子材料は、ポリアリールスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、ポリフェニレンスルホン、ポリイミド、塩素化ポリ塩化ビニル及びフッ化ポリビニリデンのいずれか1種又はそれらの混合物であり、質量濃度が1~30%であり、有機溶媒に溶解したポリマー材料の重量が5~20%である。
【0028】
好ましくは、ステップB)における添加剤は、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリアリールスルホン、クエン酸、グルコース、キトサン、シュウ酸、酢酸、PVP、PEG200~PEG6000、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウムのいずれか1種又はそれらの混合物であり、添加剤の量が高吸着容量チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の質量の0~3重量%である。
【0029】
好ましくは、ステップC)において、粉末と複合接着剤とを混合した後、固形分含有量がさらに好ましくは35~45重量%に制御され、高速撹拌の回転速度は1100~1800r/minであり、分散スラリーは80~400メッシュでふるい分けされる。
【0030】
好ましくは、ステップD)における造粒-水浴凝固による成形に用いる凝固浴が水および無機塩水のいずれかであり、無機塩水の質量濃度が0.5~5%である。
【0031】
好ましくは、造粒-水浴凝固により造粒される造粒物は、スラリー静電噴霧造粒、スラリーブラシ点噴霧造粒、ディスク遠心造粒を含み、スラリー中の固形分含有量は35~45%に制御され、スラリーを静電ブラシ-スティップルスプレー装置を介して水槽内に噴霧して棒状、球状又は不定形の粒子に凝固させるか、又はスラリーを高速ディスク装置に滴下すると、スラリーは遠心力の作用で分散され、水槽内に噴霧されて球形、楕円形、または不定形の粒子に凝固させ、凝固浴に0.5~2時間浸漬することによって、球状、棒状、または不規則な粒状の吸着剤前駆体を製造できる。
【0032】
好ましくは、静電噴霧造粒に使用されるスラリーは、0.7~1.1mmのノズル開口、3~6KVの静電圧力、およびノズルからレセプター流体までの距離0.3~1mの250~400メッシュによってふるい分けされ、ブラシ点噴霧造粒に使用されるスラリーは、ノズル口径が0.9~1.2mm、ノズルからレセプター流体までの距離が0.5~1.2mの150~300メッシュでふるいにかけられ、ディスク遠心造粒に使用されるスラリーは、ディスク直径40~80mm、ディスク速度800~1200r/min、ディスクからレセプター流体までの距離0.5~1.5mの80~150メッシュでふるいにかけられる。
【0033】
好ましくは、造粒-真空乾燥凝固による成形は、スラリー中の固形分濃度を45~60%にまず制御する必要があり、真空度範囲は0.03~0.09Mpa、乾燥温度は摂氏40~80度、ふるい分け粒径は0.3~2mmである。
【0034】
好ましくは、ステップE)において粒状リチウムイオン前駆体を浸出させるために使用される溶離液は、硫酸、塩酸またはNaのいずれか1つまたはこれらの組み合わせである。
【0035】
以上の方法により、高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤が製造される。上述した本発明の方法により、優れた性能を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤が製造される。粒状吸着剤の粒径は0.3~2mmに制御されることが好ましく、かさ密度は0.35~0.45g/cmである。
【0036】
以下、本発明の実施について、具体例を通じて説明するが、当業者であれば本明細書に開示された内容から本発明の他の利点および効果を容易に理解することができる。本発明は、他の異なる特定の実装形態によって実施または適用することもでき、本発明の精神から逸脱することなく、説明内のさまざまな詳細を異なる観点および応用に基づいて修正または変更することもできる。以下の実施形態および実施形態の特徴は、矛盾しない状況で互いに組み合わせることができることに留意されたい。
【0037】
本発明の目的、技術的解決策および利点を明確に理解するために、本発明の実施形態の技術的解決策は、これらの実施形態の図と組み合わせて以下に明確かつ完全に説明されることに留意されたい。明らかに、本明細書で説明される実施形態は、本発明の実施形態のすべてではなく、一部にすぎない。一般に、本明細書で説明し図に示した本発明の実施形態の構成要素は、様々な構成で配置および設計することができる。
【0038】
以下の実施例におけるデータ分析では、K、Ca、Na、Mg、BはICP分光法、Clは分光測色法、Li、Tiは原子吸光法、硫酸根は硫酸バリウム比濁法により測定される。(GB13580.6-92)。本願明細書において記載される%は、特に断りのない限り、質量百分率、すなわち重量%を示す。
【0039】
実施形態1
以下の工程を有する高吸着容量粒状チタン系リチウムイオンふるい吸着剤の製造方法。
(1)メタチタン酸リチウム粉末の調製
二酸化チタン19.7kg、電池用炭酸リチウム17.4kg、1.5重量%のPEG6000水溶液0.1kgを高速で分散・均一混合し、機械的にボールミル粉砕して粒子径D50=550~850nmに制御し、次に、ポリエーテルスルホン粉末を混合して噴霧予備造粒し、噴霧予備造粒温度を摂氏200度に設定し、最後に、電子レンジ内にて摂氏600度で焼成して、リチウムイオンふるい前駆体LiTiOを得る。
(2)PES-HTiO棒状吸着剤
S1:前処理:メタチタン酸リチウム前駆体を粉砕し、250メッシュでふるい分けしてメタチタン酸リチウムリチウムイオン前駆体を得る。
S2:15%PESゾルの調製:2.7kgの粒状PES(ポリエーテルスルホン)を15Lのジメチルアセトアミドに加え、完全に溶解するまで摂氏50度の水浴中で2時間継続的に撹拌して、15%PESを取得する(%は溶媒中のポリマー材料の割合)。
S3:ドーピング、混合および均質化:ステップS1で前処理した9kgのLiTiO粉末とステップS2で得られたすべての15%PESゾルを取り、機械撹拌によって1800r/分の速度でそれらを均一に混合し、15分間の超音波によって混合スラリーを得る。
S4:成形:混合スラリーを250メッシュでふるい分けし、静電溶液スプレー装置で押出造粒し、水槽内で受けて凝固し、電圧を6kv、受け距離を0.5mに調整して球状リチウムイオンふるい前駆体材料を取得し、成形前駆体として収率95%以上(測定された粒度分布は0.3~0.5mmが20%、0.5~0.7mmが20%、0.7~0.9mmが30%、0.9~1.1mmが20%、1.1~1.5mmが5%、1.5~2mmが5%)で0.3~2mmの粒子をふるい分けする。平均かさ密度は0.43g/cmであり、この割合の吸収材を、模擬塩水1にバブリング流量0.15Bv/minで懸濁分散させることができ、溶出液中にバブリング流量0.35Bv/min懸濁分散させることができる。
S5:置換:ステップS4で得られた粒状前駆体から0.4MHClでリチウムイオンを浸出させ、洗浄してPES-HTO吸着剤を得、本実施形態で作製したPES-HTO吸着剤を用いて、模擬塩水1と模擬塩水2の吸着カラムそれぞれに対して動的吸着試験を行う。具体的な評価結果は以下の通りである。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
メタチタン酸リチウム(LiTiO)粉末を0.4mol/L塩酸で20時間動的溶出して調製し、リチウムイオンふるいHTO粉末を取得する。Li吸脱着性能の評価結果は以下の通りである。
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
実施形態2
(1)メタチタン酸リチウム粉末の調製
40kgの二酸化チタンと10kgの水を取り、均一なスラリーに混合および粉砕し、10.5kgの固体水酸化リチウムを加え、均一に混合および撹拌し、40HZの超音波周波数で摂氏60度に加熱し、常圧下で6時間撹拌反応を行い、反応プロセス中に過酸化水素を一滴ずつ添加し(合計約100mLの30%過酸化水素)、反応後、チタン系リチウムイオンふるい粉末を濾過およびスクラビングし、濾液をリサイクルのためにスラリー混合に戻し、スラリーを叩解し、ポリマー造孔剤ポリエーテルスルホン0.1kgを添加し、均一に混合し、噴霧予備造粒し、空気雰囲気中摂氏450度で3時間焼成し、室温まで冷却して、メタチタン酸リチウムイオンふるいLiTiOを得る。
(2)PES-HTiO棒状吸着剤
PES-HTiO棒状吸着剤の製造工程は実施形態1と同様であるが、造粒にディスク遠心装置を用いる点で異なる。スラリーを80メッシュでふるい分けし、ディスクの直径は60mmであり、ディスクの回転速度は950r/minに制御され、レセプター液からの距離は0.5mであり、レセプター凝固浴は1.5重量%重硫酸ナトリウム水溶液であることで、0.3~2mmの球状吸着剤(PES-HTiO)が調製されてふるい分けされ、収率は95%以上である(測定粒度分布は0.3~0.5mmが20%、0.5~0.7mmが20%、0.7~0.9が30%、0.9~1.1mmが20%、1.1~1.5mmが5%、1.5~2mmが5%)。平均かさ密度は0.44g/cmであり、この割合の吸収材を、模擬塩水1にバブリング流量0.2Bv/minで懸濁分散させることができ、溶出液中にバブリング流量0.4Bv/min懸濁分散させることができる。
【0046】
本実施形態で製造した粒状吸着剤を柱状動的吸着試験に供し、それぞれシミュレーション1および2によりリチウム抽出を評価した。
【0047】
本実施形態で調製したメタチタン酸リチウム(LiTiO)粉末を、0.4mol/L塩酸で20時間動的に溶出して、リチウムイオンふるいHTO粉末を得、リチウム抽出物をそれぞれシミュレーション1および2によって評価した。
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
実施形態3
吸着剤の製造方法は、基本的に実施形態2と同様であるが、ステップS2のみが異なる。粒状PES(ポリエーテルスルホン)2.7kgをジメチルアセトアミド15Lに添加し、添加剤PEG6000(成形吸着剤の2.5%を占める)を添加し、完全に溶解するまで摂氏50度の水浴中で2時間継続的に撹拌し、15%のPESゾル(%は溶媒中のポリマー材料の割合)を得る。
【0051】
PES-PEG-HTiO棒状吸着剤
本実施形態で製造した粒状リチウムイオンふるいPES-PEG-HTOを柱状動的吸着試験に使用した。本実施形態で用いた塩水は実施形態1と同様であり、試験結果は以下の通りである。
【0052】
【表7】
【0053】
比較例1
吸着剤の製造方法は基本的に実施形態3と同様であるが、異なる点は、成形基材としてPESの代わりに高分子材料PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用いてPVDF-HTiO3複合吸着剤を作製することである。
【0054】
比較例2:
吸着剤の製造方法は基本的に実施形態3と同様であるが、異なる点は、成形基材としてPESの代わりに高分子材料PVDF(ポリフッ化ビニリデン)を用いてPVDF-HTiO3複合吸着剤を作製することである。比較例1および比較例2で得られた吸着剤について、実施形態1と同様の試験条件で柱状動的吸着試験を行った。テスト結果は以下の通りである。
【0055】
【表8】
【0056】
上記の表から、比較例1および比較例2で得られたPVDF-HTiOおよびPTFE-HTiO複合吸着剤の溶出性能が劣っていることが分かる。
【0057】
実施形態4
吸着剤の製造方法は、基本的に実施形態2と同様であるが、ステップS2のみが異なる。粒状PES(ポリエーテルスルホン)2.7kgをジクロロメタン15Lに添加し、添加剤PEG6000(成形吸着剤の2.5%を占める)を添加し、完全に溶解するまで常温で2時間継続的に撹拌し、15%のPESゾル(%は溶媒中のポリマー材料の割合)を得る。混合したスラリーを300メッシュでふるい分けし、真空度0.06MPa、摂氏25度に制御された真空スプレー装置を用いて造粒する。ジクロロメタンは真空凝縮システムを通じて回収される。ふるい分けにより、平均かさ密度が0.43g/cmの0.3~2mmの棒状吸着剤(PES-HTiO)を得ることができる。吸収材の具体的な試験結果は以下の通りである。
【0058】
本実施形態で製造した粒状リチウムイオンふるいPES-PEG-HTOを柱状動的吸着試験に使用した。本実施形態で用いた塩水は実施形態1と同様であり、試験結果は以下の通りである。
【0059】
【表9】
【0060】
実験1:さまざまな条件下で作成した吸着剤の性能をテストした。
製造方法は実施形態3と同様であり、溶媒、高分子材料、添加剤、成形方法、得られる吸着体の形状を下表に従って置き換えた点のみが異なる。それぞれ実施形態5~29が得られる。具体的な違いは以下の通りである。
【0061】
【表10】
【0062】
実施形態5~29で得られた吸着剤について、柱状動的吸着試験を行った。吸着試験における塩水は、実施形態1の模擬塩水2と同様の指標を有する。実験結果は以下の通りである。
【0063】
【表11】
【0064】
実験2:寿命試験
実施形態23の条件に従って作成したC-PVC-PASF-HTO粒状複合吸着剤を寿命試験実験に供し、模擬塩水を工業用連続一方向動的吸脱着サイクル1000回シミュレーションした。本実施形態で使用する塩水は、実施形態1の模擬塩水1と同じである。具体的なテスト結果は以下の通りである。
【0065】
【表12】
【0066】
上の表から、1000サイクルより後では吸着剤のリチウム吸着容量が低下するが、依然として6mg/gを超えていることが分かる。
【0067】
比較例3
実施例2で製造したリチウムイオンふるい前駆体粉末を粉砕し、250メッシュで篩い、70gのLiTiO、20gの変性アクリル水系樹脂(50%)、10gの水を秤量し、十分に撹拌して均一に混合し、成形材料中の粉末の有効割合を89%に制御し、造粒機で直径1.5mmの小さな柱状粒子に押し出し、摂氏80度で24時間乾燥して吸着剤前駆体を得た後、1MHCLに24時間浸漬して粒子吸着剤を得た。
【0068】
比較例4
実施形態2で製造したリチウムイオンふるい前駆体粉末を粉砕し、250メッシュでふるい分けし、LiTiO70g、Fe10g、珪藻土20gを秤量して混合し、前のステップの混合粉末に20gのエポキシ樹脂接着剤を加え、押出造粒機を通して直径1.5mmの小さな柱状粒子を形成し、オーブンに送って摂氏80度で2時間乾燥させ、乾燥した粒子を1MHClに4時間浸漬し、摂氏60度に維持し、スクラビングして、円柱状のリチウムイオンふるい粒子を得た。
【0069】
比較例3および比較例4で調製した吸着剤の性能を、実施形態24で調製した吸着剤と比較した。実施例1の模擬塩水1を用いて試験(1.5時間吸着、0.1Mの硫酸で1.5時間溶出)を行い、粒状吸着剤の空隙率を測定した。同一条件での吸着剤の質量減少を超音波振動により測定し、吸着剤の強度を評価した。結果は次の表に示すとおりである。
【0070】
【表13】
【0071】
空隙率測定:吸着剤約100mLをメスシリンダー200mLに入れ、吸着剤が水吸着で飽和するまで水を加え、超音波処理後、表面から溢れた水をろ紙で吸収し、水吸着量V0を記録する。250mLの目盛りまで水を加え続け、水の補給量Vを記録し、空隙率Φ=V0/(250-V1)×100%となる。
【0072】
吸着剤前駆体の強度評価:
一定重量になるまで乾燥させた成形膜状リチウムイオンふるい前駆体5gを秤量し、蒸留水を入れた試験管に入れて密封し、この試験管を40KHZの超音波発振器に入れて30分間発振させた後、取り出し、吸引ろ過し、一定重量になるまで乾燥させた後、リチウムイオンふるい前駆体の質量miを秤量し(i=1、2、3、化学天秤で秤量)、これを3回繰り返して平均値を取得し、その平均質量損失率Φmを計算した。
【0073】
【数1】
【0074】
実験3:リチウム沈殿母液吸着実験:実施形態25で製造した50gの粒状リチウムイオン篩を秤量し、2Lの1700mg/Lリチウム沈殿母液に浸漬し、2時間後に最初の水サンプルを採取してリチウム含有量を試験し、その後、1時間ごとにサンプルを採取し、隣接する2つのサンプル間のリチウム含有量に差がなくなるまでリチウム含有量をテストし、吸着が飽和に達した時点で、リチウムイオンふるいの飽和吸着容量を計算した。具体的な試験結果は以下の表のとおりである。
【0075】
【表14】
【0076】
実験4-良好な懸濁性能を備えた吸着剤の製造例
製造プロセスは実施形態23と同じであるが、製造された吸着剤が有効粉末60%、添加ポリマー混合物2.5%、複合ポリマー37.5%を含む点において異なる。調製した粒状吸着剤の粒径範囲は0.3~2mmであり、粒度分布は0.3~0.5mmが15%、0.5~0.7mmが15%、0.7~0.9が30%、0.9~1.1mmが20%、1.1~1.5mmが10%、1.5~2mmが10%であった。平均かさ密度は0.35g/cmであった。粒状吸着剤は模擬塩水中で下から上まで1.2の密度で懸濁分散でき、ガス流量0.1Bv/minの溶出液中にも懸濁分散できる。0.1Bv/minのバブリング動的吸着の評価結果は以下の通りである。
【0077】
【表15】
【0078】
上表から、本発明により製造された粒状イオンふるい吸着剤は良好な吸着性能を有し、配合中のポリマーの割合と粒度分布を調整することによって異なる懸濁特性を有する吸収材料を得ることができ、異なる塩水とリチウム含有溶液を使用できることから、高い産業利用価値があることが分かる。
注記:チタン損失の割合%、溶出率、回収率は業界標準の計算式に従って計算(質量比)される。
【0079】
上述した本発明の基本例とそのさらなる選択例は、自由に組み合わせて複数の実施形態を形成することができ、本発明はこれらを採用し、特許請求することができる。本発明の解決策において、各選択例は、他の基本例や選択例と任意に組み合わせることができる。多くの組み合わせが存在することは当業者にとって自明である。
【0080】
上記はすべて本発明の好ましい実施形態にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の精神および原理から逸脱することなく、すべての変更、同等の置換および改良は、本発明の保護範囲に含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】