(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-24
(54)【発明の名称】工学的電子欠陥を伴う抵抗変化型メモリ装置およびそれを作るための方法
(51)【国際特許分類】
H10B 63/00 20230101AFI20240617BHJP
【FI】
H10B63/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023569956
(86)(22)【出願日】2022-05-12
(85)【翻訳文提出日】2024-01-10
(86)【国際出願番号】 US2022029029
(87)【国際公開番号】W WO2022241139
(87)【国際公開日】2022-11-17
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2021/040389
(32)【優先日】2021-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522359877
【氏名又は名称】テトラメム、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ミンシャン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ,ニング
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA11
5F083JA56
5F083JA60
5F083LA12
5F083LA16
(57)【要約】
本開示は、抵抗変化型メモリ(RRAM)装置に関する。抵抗変化型メモリ(RRAM)装置を作製するための方法が、RRAM装置の第1の電極の上に、第1の材料の第1の不連続膜を包含する第1の界面層を作製することと、第1の界面層の上に、少なくとも1つの遷移金属酸化物を包含する切り替え酸化物層を作製することと、切り替え酸化物層の上に第2の界面層を作製することと、第2の界面層の上に欠陥工学層を作製することと、を含むことができる。第1の材料は、少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定である。欠陥工学層は、いくつかの実施態様において、Tiの層を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抵抗変化型メモリ(RRAM)装置を作製するための方法であって、
前記RRAM装置の第1の電極の上に、第1の材料の第1の不連続膜を包含する第1の界面層を作製することと、
前記第1の界面層の上に、少なくとも1つの遷移金属酸化物を包含する切り替え酸化物層を作製することであって、前記第1の材料は、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定であり、
前記切り替え酸化物層の上に第2の界面層を作製することであって、前記第2の界面層は、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定した第2の材料の第2の不連続膜を包含し、
前記第2の界面層の上に、前記切り替え酸化物層内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層を作製することと、
を包含する方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの遷移金属酸化物は、HfO
xまたはTaO
yのうち少なくとも1つを包含し、x≦2.0かつy≦2.5であるとする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の材料は、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、またはLa
2O
3のうち少なくとも1つを包含する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記RRAM装置の前記第1の電極の上に、前記第1の材料の前記第1の不連続膜を包含する前記第1の界面層を作製することは、前記第1の不連続膜を形成すべく、前記第1の電極の上に前記第1の材料を堆積することを包含する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の界面層の厚さが、0.2nmと1nmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の材料は、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、またはLa
2O
3のうち少なくとも1つを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第2の界面層の上に前記欠陥工学層を作製することは、
第1の金属材料の第1の層を作製することと、
前記第1の金属材料の前記第1の層の上に、第2の金属材料の第2の層を作製することと、
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の材料は、前記第1の金属材料の酸化物および前記少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の金属材料は、Ti、Hf、またはZrのうち少なくとも1つを包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の金属材料は、タンタルを包含する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の金属材料の前記第1の層を作製することは、前記第2の界面層の上にTiの層を堆積することを包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の金属材料の前記第2の層は、タンタルを含有する1つ以上の合金を包含する、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記欠陥工学層は、タンタルを含有する1つ以上の合金を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記タンタルを含有する1つ以上の合金は、ハフニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、またはジルコニウムのうち少なくとも1つをさらに包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記タンタルを含有する1つ以上の合金は、タンタルを包含する二元合金、タンタルを包含する三元合金、タンタルを包含する四元合金、タンタルを包含する五元合金、タンタルを包含する六元合金、またはタンタルを包含する高次合金のうち少なくとも1つを包含する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の金属材料を包含する前記第1の層の厚さが、0.2nmと5nmの間である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記欠陥工学層は、前記切り替え酸化物層の少なくとも一部と接触する、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、『Resistive Random-Access Memory Devices with Multi-Component Electrodes and Discontinuous Interface Layers(レジスティブ・ランダム・アクセス・メモリ・デバイセズ・ウィズ・マルチ-コンポーネント・エレクトローズ・アンド・ディスコンティニュアス・インターフェース・レイヤーズ)』と題されて2021年11月15日に出願された米国特許出願第17/454,914号の恩典を主張して2022年4月8日に『Resistive Random-Access Memory Devices with Engineered Electronic Defects and Methods for Making the Sameレジスティブ・ランダム・アクセス・メモリ・デバイセズ・ウィズ・エンジニアード・エレクトロニック・ディフェクツ・アンド・メソッズ・フォア・メイキング・ザ・セイム)』と題されて出願された米国特許出願第17/658,641号、『Resistive Random-Access Memory Devices with Multi-Component Electrodes(レジスティブ・ランダム・アクセス・メモリ・デバイセズ・ウィズ・マルチ-コンポーネント・エレクトローズ)』と題されて2021年5月12日に出願された米国特許出願第17/319,057号、『Resistive Random-Access Memory Devices with Multi-Component Electrodes(レジスティブ・ランダム・アクセス・メモリ・デバイセズ・ウィズ・マルチ-コンポーネント・エレクトローズ)』と題されて2021年5月12日に出願された米国特許出願第17/319,068号、『Resistive Random-Access Memory Devices with Multi-Component Electrodes(レジスティブ・ランダム・アクセス・メモリ・デバイセズ・ウィズ・マルチ-コンポーネント・エレクトローズ)』と題されて2021年7月3日に出願されたPCT出願第PCT/US21/40389号、および『Low Current RRAM-Based Crossbar Array Circuits Implemented with Interface Engineering Technologies(ロー・カレント・RRAMベースド・クロスバー・アレイ・サーキッツ・インプリメンテッド・ウィズ・インターフェース・エンジニアリング・テクノロジーズ)』と題されて2020年7月6日に出願された米国特許出願第16/921,926号の利益を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本開示の実装は、概して抵抗変化型メモリ(RRAM)装置に関し、より具体的には、工学的電子欠陥を伴うRRAM装置およびそれを作製するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
抵抗変化型メモリ(RRAM)装置は、可調不揮発性抵抗器を伴う2端子受動装置である。RRAM装置の抵抗器は、RRAM装置に対して適切なプログラミング信号を印加することによって高抵抗状態(HRS)と低抵抗状態(LRS)の間において電気的に切り替えることができる。RRAM装置を使用してクロスバー・アレイを形成することができ、それを使用してインメモリ・コンピューティング応用、不揮発性ソリッド・ステート・メモリ、画像処理応用、ニューラル・ネットワーク等を実装することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下は、本開示のいくつかの態様の基本的な理解を提供するために本開示を簡単に述べた概要である。この概要は、本開示の広範囲にわたる全体像ではない。それには、開示の鍵となるかまたは重要な要素のいずれも識別することは意図されてなく、また本開示の特定の実装のあらゆる範囲、または請求項のあらゆる範囲を線引きすることも意図されてない。そのただひとつの目的は、後に提示する、より詳細な説明に対する序章として簡単化した形式で本開示のいくつかの概念を提供することである。
【0005】
本開示の1つ以上の態様は、抵抗変化型メモリ(RRAM)装置を作製するための方法を提供する。前記方法は、前記RRAM装置の第1の電極の上に、第1の材料の第1の不連続膜を包含する第1の界面層を作製することと、前記第1の界面層の上に、少なくとも1つの遷移金属酸化物を包含する切り替え酸化物層を作製することと、前記切り替え酸化物層の上に、第2の材料の第2の不連続膜を包含する第2の界面層を作製することと、前記第2の界面層の上に、前記切り替え酸化物層内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層を作製することと、を含む。前記第1の材料および前記第2の材料は、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定である。
【0006】
いくつかの実施態様において、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物が、HfOxまたはTaOyのうち少なくとも1つのうち少なくとも1つを含み、x≦2.0かつy≦2.5である。
【0007】
いくつかの実施態様において、前記第1の材料が、Al2O3、MgO、Y2O3、またはLa2O3のうち少なくとも1つのうち少なくとも1つを含む。
【0008】
いくつかの実施態様において、前記RRAM装置の前記第1の電極の上に、前記第1の材料の前記第1の不連続膜を含む前記第1の界面層を作製することは、前記第1の電極の上に前記第1の材料を堆積して前記第1の不連続膜を形成することを含む。
【0009】
いくつかの実施態様において、前記第1の界面層の厚さが0.2nmと1nmの間である。
【0010】
いくつかの実施態様において、前記第2の材料は、Al2O3、MgO、Y2O3、またはLa2O3のうち少なくとも1つのうち少なくとも1つを含む。
【0011】
いくつかの実施態様において、前記第2の界面層の上に前記欠陥工学層を作製することは、第1の金属材料の第1の層を作製することと、前記第1の金属材料の前記第1の層の上に、第2の金属材料の第2の層を作製することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施態様において、前記第1の材料は、前記少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定である。前記第1の材料は、前記第1の金属材料の酸化物より化学的に安定である。
【0013】
いくつかの実施態様において、前記第1の金属材料は、Ti、Hf、またはZrのうち少なくとも1つのうち少なくとも1つを含む。
【0014】
いくつかの実施態様において、前記第2の金属材料は、タンタルを含む。
【0015】
いくつかの実施態様において、前記第1の金属材料の前記第1の層を作製することは、前記第2の界面層の上にTiの層を堆積することを含む。
【0016】
いくつかの実施態様において、前記第2の金属材料の前記第2の層は、タンタルを含有する1つ以上の合金を含む。
【0017】
いくつかの実施態様において、前記欠陥工学層は、タンタルを含有する1つ以上の合金を含む。
【0018】
いくつかの実施態様において、前記タンタルを含有する1つ以上の合金は、ハフニウム、モリブデン、タングステン、ニオブ、またはジルコニウムのうち少なくとも1つのうち少なくとも1つをさらに含む。
【0019】
いくつかの実施態様において、前記タンタルを含有する1つ以上の合金は、タンタルを含む二元合金、タンタルを含む三元合金、タンタルを含む四元合金、タンタルを含む五元合金、タンタルを含む六元合金、またはタンタルを含む高次合金のうち少なくとも1つのうち少なくとも1つを含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、前記第1の金属材料を含む前記第1の層の厚さが、0.2nmと5nmの間である。
【0021】
いくつかの実施態様において、前記欠陥工学層は、前記切り替え酸化物層の少なくとも一部と接触する。
【0022】
本開示は、以下に与えられている詳細な説明から、また本開示の多様な実施態様の添付図面からより完全に理解されることになるであろう。しかしながら、図面は、むしろ説明および理解のためのものであり、特定の実施態様に対して本開示を限定するものであると解釈されるべきでない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示のいくつかの実装に従ったクロスバー回路の例を説明する概略図である。
【
図2】本開示のいくつかの実装に従った一例のクロスポイント装置を説明する概略図である。
【
図3A】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図3B】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図3C】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4A】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4B】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4C】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4D】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4E】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図4F】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図5A】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図5B】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図5C】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図5D】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図6A】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図6B】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図6C】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図6D】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明する。
【
図7】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の上部電極の断面図を説明する概略図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施態様に従った金属酸化物の化学的安定性を図示したグラフである。
【
図9】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルチタン(Ta-Ti)の二元状態図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための方法を説明するフローチャートである。
【
図11】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための方法を説明するフローチャートである。
【
図12】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための方法を説明するフローチャートである。
【
図13】本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の切り替え酸化物層内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層を作製するための方法を説明するフローチャートである。
【
図14A】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルハフニウム(Ta-Hf)の二元状態図である。
【
図14B】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルタングステン(Ta-W)の二元状態図である。
【
図14C】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルモリブデン(Ta-Mo)の二元状態図である。
【
図14D】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルニオブ(Ta-Nb)の二元状態図である。
【
図14E】本開示のいくつかの実施態様に従ったタンタルジルコニウム(Ta-Zr)の二元状態図である。
【
図15A】本開示のいくつかの実施態様に従った一例のRRAM装置の電流-電圧特性を図示したグラフである。
【
図15B】本開示のいくつかの実施態様に従った一例のRRAM装置の電流-電圧特性を図示したグラフである。
【
図15C】本開示のいくつかの実施態様に従った一例のRRAM装置の電流-電圧特性を図示したグラフである。
【
図15D】本開示のいくつかの実施態様に従った一例のRRAM装置の電流-電圧特性を図示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の態様は、抵抗変化型メモリ(RRAM)装置およびRRAM装置を作製するための方法を提供する。RRAM装置は、可調抵抗器を伴う2端子受動装置である。RRAM装置は、第1の電極、第2の電極、および第1の電極と第2の電極の間に位置決めされる切り替え酸化物層を含むことができる。第1の電極は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)等の非反応性金属を含むことができる。第2の電極は、タンタル(Ta)等の反応性金属を含むことができる。非反応性金属を含む電極を、ここでは『非反応性電極』と言うこともある。反応性金属を含む電極を、ここでは『反応性電極』と言うこともある。切り替え酸化物層は、酸化ハフニウム(HfOx)またはタンタル酸化物(TaOx)等の遷移金属酸化物を含むことができる。RRAM装置は、適切な電気的刺激(たとえば、RRAM装置に印加される電圧または電流信号)を受ける前は初期状態または未使用状態にあるとすることができ、初期高抵抗を有することができる。RRAM装置は、形成プロセスを介して未使用状態から低抵抗状態へ、または設定プロセスを介して高抵抗状態(HRS)から低抵抗状態(LRS)へと調整することができる。形成プロセスは、未使用状態から開始する装置のプログラミングと言うことができる。設定プロセスは、高抵抗状態(HRS)から開始する装置のプログラミングと言うことができる。反応性金属電極が切り替え酸化物の上に堆積された後、反応性金属は、切り替え酸化物層から酸素を吸収して切り替え酸化物層内に酸素空格子点を作り出すことが可能であり、酸素イオンは、空格子点メカニズムを通じて切り替え酸化物内へ移動することが可能である。形成プロセスの間において、適切なプログラミング信号(たとえば、電圧または電流信号)をRRAM装置へ印加することができ、それが切り替え酸化物から反応性電極へ移動するべく酸素イオンをドリフトさせることができる。その結果として、切り替え酸化物層を通る(たとえば、反応性電極から非反応性電極への)導電チャンネルまたはフィラメントを形成することができる。その後、RRAM装置にリセット信号(たとえば、電圧信号、電流信号)を印加することによって、RRAM装置を高抵抗状態にリセットすることができる。RRAM装置へのリセット信号の印加は、酸素を移動させて切り替え酸化物層へ戻すことができ、したがって、導電性フィラメントを途中で遮ることができる。RRAM装置は、RRAM装置への適切なプログラミング信号(たとえば、電圧信号、電流信号等)の印加によって高抵抗状態と低抵抗状態の間において電気的に切り替えることができる。クロスバー・アレイ回路の場合において、トランジスタ等のセレクタを介して指定のRRAM装置へプログラミング信号を提供することができる。
【0025】
切り替え酸化物を通って(たとえば、反応性電極から非反応性電極まで)導電チャンネルまたはフィラメントが形成されているときには、RRAM装置は、フィラメント・モードにおいて動作すると見做される。RRAM装置の切り替え酸化物層内に中断されたフィラメントが形成されているときには、RRAM装置が非フィラメント・モードにおいて動作すると見做される。中断されたフィラメントとRRAM装置の下部電極の間にはギャップが存在し得る。
【0026】
コンダクタンス量子のコンセプトによれば、材料の電気伝導度が、離散的または量子化された段階において変化することが観察される。量子のコンダクタンスの単位は、Go=2e2/h=7.748E-5ジーメンス(または、12.9kΩ)であり、eは電子電荷を、hはプランク定数をそれぞれ表す。最小の量子コンダクタンスは、2つの金属原子が点接触を形成するときに生じ、それを、金属フィラメントの最小コンダクタンス(または、最大抵抗)であると見做すことが可能である。言い換えると、フィラメント・モードにおける最小コンダクタンスまたは最大抵抗は、Go(7.74E-5ジーメンス、または12.9kΩ)に制限される。しかしながら、特定の応用(たとえば、IMC応用)の実装は、Goより高い抵抗といった高抵抗を伴うRRAM装置を必要とすることがある。それには、RRAM装置を非フィラメント・モードにおいて動作させ、その種の高抵抗を達成することが必要となり得る。したがって、高抵抗を伴う装置内の電子伝導の性質は、金属的ではなく半導体的である。しかしながら、殆どのRRAM装置は、フィラメント・モードにおいて動作しているときに特定の所望の特徴(たとえば、アナログ抵抗、多レベル抵抗、線形性等)を呈するだけである。フィラメント・モードにおいて、RRAM装置内の電気伝導が、フィラメントを通る伝導によって支配されるとすることができるが、その一方、切り替え酸化物内を通る伝導は、無視できるほどのものとなる。これは、金属の伝導帯とバランス帯がオーバーラップして、電子が原子の間を容易に移動できるようになることによる。しかしながら、半導体において、伝導帯とバランス帯の間にエネルギ・ギャップ(または、バンド・ギャップ)が存在する。電子が半導体のバランス帯から伝導帯へ移動して原子の間の移動が可能となるためには、このバンド・ギャップを乗り越えることが必要であるとし得る。RRAM装置の切り替え酸化物層内の電子欠陥は、バランス帯と伝導帯の間にエネルギを有することができ、伝導帯への励起または1つのトラップ・サイトから別のトラップ・サイトへのホップが容易にできる電子をトラップすることができる。したがって、高抵抗を伴う非フィラメント・モードにおいてRRAM装置を使用する装置の動作を実装するためには、切り替え酸化物内の電子欠陥が重要になる場合があり、フィラメントが中断され得る切り替え酸化物内における電気伝導が電子欠陥によって支配されるとし得る。したがって、RRAM装置の切り替え酸化物内の電子欠陥工学および制御を行い、アナログ抵抗、多レベル抵抗、I-V(電流-電圧)線形性等のIMC応用に決定的な特定の電子挙動を達成することが望ましくなる可能性がある。
【0027】
さらにまた、RRAM装置を適切なサイズ(たとえば、100nm、10nmの臨界寸法、またはより小さい寸法)まで小型化して特定のインメモリ・コンピューティング(IMC)応用(たとえば、高密度RRAM装置および/または低電力消費が求められるIMC応用)を実装することが望ましいかもしれない。しかしながら、従来のRRAM装置は、臨界寸法を小型化するときに従来のRRAM装置内に形成されるフィラメントを相応じて小型化することができない。たとえば、小型化されたRRAM装置内に形成されるフィラメントのサイズは、比例して小型化することができない。したがって、その種の従来の小型化したRRAM装置の形成、設定、および/または再設定には、比較的高い電流または電圧が依然として求められることがあり得る。このことはまた、セレクタ(たとえば、トランジスタ)および/または小型化されたRRAM装置へ電流または電圧を提供する集積回路の効果的な小型化を妨げることにもなり得る。さらにまた、小型化したRRAM装置は、比較的小さい面積の上部電極を有し得る。そのような上部電極は、より大きなRRAM装置のそれと同じ程度の酸素の吸収が可能でないことがある。このことは、装置の故障および/またはRRAM装置の動作の失敗を生じさせるおそれがある。たとえば、装置の故障は、酸素分子の存在による反応性電極と切り替え酸化物の間における層間剥離によって生じる可能性がある。別の例として、外部電圧下で酸素イオンが切り替え酸化物から上部電極へドリフトし、それがその外部電圧が取り除かれた後に切り替え酸化物へ戻ることが考えられ、その結果、動作が揮発性となり、不揮発性メモリについてはそれが動作故障となる。
【0028】
したがって、本開示は、RRAM装置の性能を増強し、低電力IMC応用を実装することができるRRAM装置内の欠陥を操作するためのメカニズムを提供する。いくつかの実施態様において、RRAM装置は、下部電極、下部電極の上に作製される第1の界面層、第1の界面層の上に作製される切り替え酸化物層、および上部電極を含むことができる。下部電極は、Ptまたは任意の他の適切な非活性金属を含むことができる。切り替え酸化物層は、HfOx、TaOx、TiOx、NbOx、ZrOx等の遷移金属酸化物を含むことができる。第1の界面層は、遷移金属酸化物より化学的に安定した第1の材料の不連続膜を含むことができる。第1の材料は、たとえばAl2O3、MgO、Y2O3、La2O3等を含むことができる。
【0029】
いくつかの実装において、RRAM装置は、切り替え酸化物層の上に作製される第2の界面層をさらに含むことができる。その種の実装において、その第2の界面層の上に上部電極を作製することができる。第2の界面層は、遷移金属酸化物より化学的に安定した第2の材料の不連続膜を含むことができ、かつ、さらに低電流および低電力動作のために切り替え酸化物を通る電路を制限することができる。
【0030】
欠陥工学層は、切り替え酸化物層および/または第2の界面層の上に作製することができる。欠陥工学層は、切り替え酸化物層内に欠陥を発生させるための適切な金属材料の第1の層を含むことができる。いくつかの実施態様において、欠陥工学層は、チタン(Ti)の層を含むことができる。当該金属材料の第1の層は、約0.2nmと5nmの間の厚さを有する薄い層とすることができる。欠陥工学層は、装置の動作の間に酸素のトラップおよびリリースを行うことができる。RRAM装置内への欠陥工学層の組み込みは、切り替え金属酸化物内に高密度の電子欠陥(たとえば、酸素欠乏欠陥)を生成することができる。電子欠陥は、室温において、またはそれより下かそれより上において、電界の下に切り替え酸化物層内の電荷の輸送を補助することが可能である。いくつかの実施態様において、その電荷を、-2の電荷を運ぶ酸素イオンO-2、または+2の電荷を運ぶ酸素欠乏Vo+2等のイオン電荷とすることができる。いくつかの実施態様において、その電荷を、バランス帯と伝導帯の間のエネルギを伴って欠乏サイト内にトラップされているe-1等の電子電荷とすることができ、eは電子を表し、-1は、電子によって運ばれる電荷を表す。トラップされた電子は、電界の下において、伝導帯(より低い励起エネルギを伴う)へ励起されること、または伝導帯への励起を伴うことなく1つのトラップから別のトラップへホップすること(トンネリングとも呼ばれる)ができる。RRAM装置内への薄い欠陥工学層の組み込みは、したがって、RRAM装置の未使用抵抗を変化させることができ、その結果として、より突発的でない形成プロセスがもたらされ、形成電圧が引き下げられ、リセット電流が引き下げられ、かつその後に続く動作プロセスにおける電圧および/または電流要件が引き下げられる。
【0031】
さらに欠陥工学層は、Taまたは任意の他の適切な金属材料の第2の層を含むことができる。
【0032】
いくつかの実施態様において、欠陥工学層は、1つの実装において1つ以上のTaの合金を含むことができる。Taの合金は、Taを含有する二元合金、Taを含有する三元合金、Taを含有する四元合金、Taを含有する五元合金、Taを含有する六元合金、および/またはTaを含有する高次合金(たとえば、6より多くの金属元素を含有する合金)とすること、および/またはそれを含むことができる。これらの合金のそれぞれは、Taおよび1つ以上の他のTa以外の、タングステン(W)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)等の必要とされる熱力学的および/または運動学的基本属性を有する金属元素を含むことができる。たとえば、純Ta金属に代えてTaの合金を使用して上部電極を作製することは、形成プロセスの間における切り替え酸化物層内へのTaの移動を低減することができ、かつ切り替え酸化物層内に形成されるフィラメントのサイズを(たとえば、フィラメントの横方向寸法または直径を減ずることによって)したがって減ずることができる。このことは、RRAM装置のフィラメント抵抗を増加することができ、かつ低抵抗状態および高抵抗状態の両方におけるRRAM装置の抵抗を、したがって増加することができ、それがRRAM装置の形成、設定、再設定、および/または調整といったRRAM装置の動作のために要求される電圧および/または電流を、したがって引き下げることができる。欠陥工学層を組み込んだRRAM装置は、動的学習、エッジ処理、推論エンジン加速装置、およびその他のIMC応用の実装に適した動的なメモリスタの動き具合を多次元において呈することができる。
【0033】
したがって、本開示は、高いフィラメント抵抗および引き下げられた動作電圧および電流を達成するRRAM装置内における欠陥工学技術を提供する。本明細書に述べられているRRAM装置は、高抵抗範囲(たとえば、10kΩから10MΩまで)におけるIMC応用のために望ましい線形性、アナログ的、保持力、および耐久性等の動き具合を呈する。この技術は、RRAM装置の効率的な小型化、およびRRAM装置を利用した低消費電力IMC応用を可能にすることができる。
【0034】
図1は、本開示のいくつかの実施態様に従ったクロスバー回路100の例を説明する概略図である。図のように、クロスバー回路100は、n行m列クロスバー・アレイのための1つ以上の行ワイヤ111a、111b、・・・、111i、・・・、111n、および列ワイヤ113a、113b、・・・、113j、・・・、113m等の複数の相互接続導電性ワイヤを含むことができる。クロスバー回路100は、クロスポイント装置120a、120b、・・・、120z等をさらに含むことができる。クロスポイント装置のそれぞれは、行ワイヤおよび列ワイヤと接続することができる。たとえば、クロスポイント装置120ijは、行ワイヤ111iおよび列ワイヤ113jと接続することができる。いくつかの実施態様において、クロスバー回路100は、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC、図示せず)、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC、図示せず)、スイッチ(図示せず)、および/またはクロスバー・ベースの装置の実装のために適した任意の他の回路構成要素をさらに含むことができる。列ワイヤ113a-mの数と行ワイヤ111a-nの数は、同一で良く、またはそうでなくても良い。
【0035】
行ワイヤ111は、第1の行ワイヤ111a、第2の行ワイヤ111b、・・・、111i、およびn番目の行ワイヤ111nを含むことができる。行ワイヤ111a、・・・、111nのそれぞれは、任意の適切な導電性材料とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、各行ワイヤ111a-nを金属ワイヤとすることができる。
【0036】
列ワイヤ113は、第1の列ワイヤ113a、第2の列ワイヤ113b、・・・、およびm番目の列ワイヤ113mを含むことができる。列ワイヤ113a-mのそれぞれは、任意の適切な導電性材料とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、各列ワイヤ113a-mを金属ワイヤとすることができる。
【0037】
各クロスポイント装置120は、メモリスタ、PCM装置、フローティング・ゲート、スピントロニクス装置、RRAM、SRAMといった可調抵抗を伴う任意の適切な装置とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、クロスポイント装置120のうちの1つ以上が、
図3A-5Bに関連して記載のとおりRRAM装置を含むことができる。
【0038】
クロスバー回路100は、並列重み付け電圧逓倍および電流加算を行うことができる。たとえば、入力電圧信号をクロスバー回路100の1つ以上の行(たとえば、1つ以上の選択された行)へ印加することができる。入力信号は、クロスバー回路100のそれらの行のクロスポイント装置を通って流れることができる。クロスポイント装置のコンダクタンスは、特定の値(『重み付けする』と言うこともある)に調整することができる。オームの法則によって入力電圧にクロスポイントのコンダクタンスを乗ずると、クロスポイント装置からの電流が生成する。キルヒホッフの法則によって、各列上の装置を通過する電流の合計が出力信号としての電流を生成し、それを列から読み出すことができる(たとえば、ADCの出力)。オームの法則およびキルヒホッフの電流法則によれば、クロスバー・アレイの入力-出力の関係は、I=VGとして表すことが可能であり、Iは、電流として表される出力信号行列であり;Vは、電圧として表される入力信号行列であり;Gは、クロスポイント装置のコンダクタンス行列を表す。したがって、入力信号はクロスポイント装置のそれぞれにおいて、オームの法則に従ってそれのコンダクタンスによって重み付けされる。重み付けされた電流は、各列ワイヤを介して出力され、キルヒホッフの電流法則に従って累積され得る。このことは、クロスバー・アレイ内において行われる並列逓倍および加算を介したインメモリ・コンピューティング(IMC)を可能にすることができる。
【0039】
図2は、本開示のいくつかの実施態様に従った一例のクロスポイント装置200を説明する概略図である。図のように、クロスポイント装置200は、ビットライン(BL)211、選択ライン(SEL)213、およびワードライン(WL)215を接続することができる。ビットライン211およびワードライン215は、それぞれ、
図1に関連して記載のとおり列ワイヤおよび行ワイヤとすることができる。
【0040】
クロスポイント装置200は、RRAM装置201およびトランジスタ203を含むことができる。トランジスタは、3端子装置であり、それぞれゲート(G)、ソース(S)、およびドレイン(D)としてマークすることができる。トランジスタ203は、RRAM装置201と直列に接続することができる。
図2に示されているとおり、RRAM装置201の第1の電極をトランジスタ203のドレインに接続することができる。RRAM装置201の第2の電極は、ビットライン211に接続することができる。トランジスタ203のソースは、ワードライン215に接続することができる。トランジスタ203のゲートは、選択ライン213に接続することができる。RRAM装置201は、以下において
図3A-7に関連して記載のとおり1つ以上のRRAM装置を含むことができる。クロスポイント装置200は、1トランジスタ-1抵抗(1T1R)構成と呼ばれることもある。トランジスタ203は、プログラミングの間、RRAM装置201に対するセレクタとしてはもとより、電流コンプライアンスを設定できる電流コントローラとしても働くことができる。トランジスタ203のゲート電圧は、プログラミングの間にクロスポイント装置200に対する電流コンプライアンスを設定することが可能であり、かつクロスポイント装置200のコンダクタンスおよびアナログ的動き具合を、したがって制御することが可能である。たとえば、クロスポイント装置200を高抵抗状態から低抵抗状態に設定するとき、ビットライン(BL)211を介して設定信号(たとえば、電圧信号、電流信号)を提供することができる。選択ライン(SEL)213を介して選択電圧またはゲート電圧とも呼ばれる別の電圧をトランジスタのゲートに印加し、ゲートを開き、かつ電流コンプライアンスを設定することが可能であり、一方、ワードライン(WL)215は接地に設定することができる。クロスポイント装置200を低抵抗状態から高抵抗状態へリセットするときには、選択ライン213を介してトランジスタ203のゲートにゲート電圧を印加し、トランジスタのゲートを開くことができる。一方、ワードライン215を介してRRAM装置201へリセット信号を送ることができ、その間、ビットライン211は接地に設定することができる。
【0041】
図3A、3B、および3Cは、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の断面図を説明している。RRAM装置300a、300b、および300cは、それぞれ、初期状態、低抵抗状態、および高抵抗状態にあるRRAM装置と対応させることができる。
【0042】
図3Aに示されているとおり、RRAM装置300aは、基板310、第1の電極320、切り替え酸化物層330、および第2の電極340を含むことができる。さらにRRAM装置300aは、インメモリ・コンピューティング応用を実装するための構成要素を1つ以上の他の含むことができる。
【0043】
基板310は、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、窒化シリコン(Si3N4)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)といったRRAM装置のための基板として働くことができる任意の適切な材料の層を1つ以上含むことができる。いくつかの実施態様において、基板310が、ダイオード、トランジスタ、相互接続、集積回路等を含むことができる。いくつかの実施態様において、基板が、個別に制御可能とし得る1つ以上の電気回路(たとえば、電気回路のアレイ)を含む駆動回路を含むことができる。いくつかの実施態様において、駆動回路は、1つ以上の相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ドライバを含むことができる。
【0044】
第1の電極320は、電子導電性であり、かつ切り替え酸化物に対して非反応性である任意の適切な材料であるとすること、および/またはそれを含むことができる。たとえば、第1の電極320は、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、窒化チタン(TiN)、窒化タンタル(TaN)等を含むことができる。
【0045】
切り替え酸化物層330は、二元酸化物、三元酸化物、および高次酸化物の形でTaOx、HfOx、TiOx、NbOx、ZrOx等の遷移金属酸化物を1つ以上含むことができる。いくつかの実施態様において、第1の電極320内の非反応性材料の化学的安定性が、切り替え酸化物層330内の遷移金属酸化物のそれより高いとすることができる。
【0046】
第2の電極340は、任意の適切な、電子導電性であり、かつ切り替え酸化物に対して反応性の金属材料を含むことができる。たとえば、第2の電極340内の金属材料は、Ta、Hf、Ti、TiN、TaN等を含むことができる。第2の電極340は、切り替え酸化物に対して反応性とすることができ、かつ適切な酸素可溶性を有して切り替え酸化物層330からいくらかの酸素を吸着し、切り替え酸化物層330内に酸素空格子点を作り出すことができる。言い換えると、第2の電極340内の反応性金属材料は、適切な酸素可溶性、および/または酸素移動度を有することができる。いくつかの実施態様において、第2の電極340は、切り替え酸化物層330内に酸素空格子点を作り出すことが可能(たとえば、酸素をスキャベンジ(除去)することによって)であるだけでなく、セルのプログラミングの間における切り替え酸化物層330に対する酸素リザーバまたはソースとしても機能することができる。
【0047】
RRAM装置300aは、それが作製された後に初期抵抗(ここでは『未使用抵抗』と言うこともある)を有しているとし得る。RRAM装置300aの初期抵抗は、変化させることができ、またRRAM装置300aは、形成プロセスを介して低抵抗状態へ切り替えることができる。たとえば、RRAM装置300aへ適切な電圧または電流を印加することができる。RRAM装置300aへの電圧の印加は、第2の電極内の金属材料による切り替え酸化物層330からの酸素の吸収を誘導し、切り替え酸化物層330内に酸素空格子点を作り出すことができる。その結果として、酸素空格子点が豊富な導電チャンネル(たとえば、フィラメント)を切り替え酸化物層330内に形成することができる。たとえば、
図3Bで説明するように、導電チャンネル335aを切り替え酸化物層330内に形成することができる。図のように、導電チャンネル335aを、第2の電極340から第1の電極320まで、切り替え酸化物層330を横切って形成することができる。RRAM装置300bは、フィラメント・モードにおいて動作していると見做すことができ、電気伝導は金属フィラメントを介した伝導によって支配され、その一方、切り替え酸化物内の電子欠陥による電気伝導は、無視し得る。RRAM装置300bは、高抵抗状態にリセットすることができる。たとえば、リセットプロセスの間にリセット信号(たとえば、電圧信号または電流信号)をRRAM装置300bへ印加することができる。いくつかの実施態様において、セット信号およびリセット信号が逆極性を、すなわち、それぞれ、正の信号および負の信号を有することができる。リセット信号の印加は、切り替え酸化物層330へ酸素が戻るドリフトを生じさせて、1つ以上の酸素空格子点と再結合させることができる。たとえば、
図3Cに示されるとおり、リセットプロセスの間に切り替え酸化物層330内に途中で遮られた導電チャンネル335bを形成することができる。そこに示されているとおり、導電チャンネルは、途中で遮られた導電チャンネル335bと第1の電極320の間の酸化物のギャップを用いて遮ることができる。導電チャンネル335bの横方向寸法は、導電チャンネル335aのそれより小さくすることができる。いくつかの実施態様において、導電チャンネル335bは、第1の電極320および第2の電極340を連続的に接続しない。酸化物ギャップ335cが、中断されたフィラメント335bと第1の電極320の間に位置する。RRAM装置300cは、非フィラメント・モードにおいて動作していると見做すことができ、中断されたフィラメント335bより遙かに高い抵抗を有することができる切り替え酸化物ギャップ335c内の電子欠陥によって電気伝導が支配されるとすることができる。RRAM装置300a-cは、RRAM装置へ適切なプログラミング信号(たとえば、電圧信号、電流信号等)を印加することによって、高抵抗状態と低抵抗状態の間を電気的に切り替えることができる。
【0048】
上記のように、RRAM装置を非フィラメント・モードにおいて動作させて、望ましい高抵抗(たとえば、Goより高い抵抗)を達成することが必要となり得る。たとえば、
図3Cに示されているとおり、中断されたフィラメント335bおよび中断されたフィラメント335bと第1の電極の間に位置する酸化物ギャップ335cを含む電路が形成される。したがって、Goより高い抵抗を伴う高抵抗RRAMを必要とする応用のためには、切り替え酸化物内における欠陥工学および電子欠陥制御が重要である。
【0049】
図4A-4Fは、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の構造の例400a、400b、400c、400d、400e、および400fの断面図を説明する概略図である。
【0050】
図4Aで説明するように、第1の電極420を基板410の上に作製することができる。第1の電極420および基板410は、
図3A、3B、および3Cに関連して記載のとおり第1の電極320および基板310に、それぞれ対応させることができる。
【0051】
図4Bで説明するように、界面層422を第1の電極420の上に作製することができる。界面層422(ここでは、『第1の界面層』と言うこともある)は、不連続膜422aとすること、および/またはそれを含むことができる。たとえば、不連続膜422aは、1つ以上の細孔424を含むことができる。細孔424(ここでは、『第1の細孔』と言うこともある)は、任意の適切なサイズおよび/または寸法を有することができ、かつ界面層422上にランダムに分散配置することができる。
図4Bには特定数の細孔が説明されているが、これは単なる例証に過ぎない。不連続膜422aは、任意の適切な数の細孔を含むことができる。いくつかの実施態様において、界面層422および/または不連続膜422aの厚さを、約0.2nmと約0.5nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、不連続膜422aを、0.5nm以下の厚さを有するAl
2O
3膜とすることができる。いくつかの実施態様において、不連続膜422aを、1nm未満の厚さを有するAl
2O
3膜であるとすること、および/またはそれを含むことができる。
【0052】
図4Cで説明するように、切り替え酸化物層430を界面層422の上に作製することができる。切り替え酸化物層430は、TaO
x、HfO
x、TiO
x、NbO
x、ZrO
x等の遷移金属酸化物を、1つ以上、二元酸化物、三元酸化物、および高次酸化物の形で含むことができ、xは、完全(または、最終的な)酸化物と比較したときに酸素欠乏であることを示すために使用することができ、xの値は、HfO
xについてのx≦2.0(これにおいて完全酸化物は、HfO
2)、またTaO
xについてのx≦2.5(これにおいて完全酸化物は、Ta
2O
5)というように、完全酸化物の化学量論における酸素対金属原子比から変化させることができる。一例として、切り替え酸化物層430は、Ta
2O
5を含むことができる。その他の例としては、切り替え酸化物層430がHfO
2を含むことができる。
【0053】
いくつかの実施態様において、切り替え酸化物層430を作製する間に、1つ以上の細孔424を通して第1の電極420上に遷移金属酸化物の1つ以上の部分を配置することができる。したがって、切り替え酸化物層430は、第1の電極420の1つ以上の部分と接触することができる。
【0054】
いくつかの実施態様において、界面層422が、切り替え酸化物層430内の遷移金属酸化物より化学的に安定した第1の材料を含有することができる。その結果として、当該第1の材料は、切り替え酸化物層430の遷移金属酸化物と反応することができない。一例として、切り替え酸化物層の切り替え酸化物は、HfOxまたはTaOy(これにおいて、x≦2.0、y≦2.5)のうち少なくとも1つというように1つ以上の遷移金属酸化物であるとすること、および/またはそれを含むことができ、第1の材料は、Al2O3、MgO、Y2O3、La2O3等を含むことができる。
【0055】
図8を参照するが、切り替え酸化物層430内の遷移金属酸化物より化学的に安定した材料は、エリンガム・ダイアグラムを使用して識別することができる。図で説明するように、エリンガム・ダイアグラムは、酸化反応についてのギブズ自由エネルギ変化を温度の関数としてプロットする。材料の化学的安定性は、材料のギブズ形成エネルギ値に基づいて決定することができる。
図8の垂直軸上に示されているギブズ自由エネルギは、酸化物形成エネルギを表すことができる。界面層422の材料の曲線が、切り替え酸化物層430の遷移金属酸化物に対応する曲線より下になることがあり得る。一例として、いくつかの実施態様において、Al
2O
3を第1の材料として使用することができ、切り替え酸化物層430内の遷移金属酸化物はHfO
2またはTa
2O
5を含有する。設定プロセスおよび再設定プロセスの間に、Al
2O
3を含有する第1の材料はHfO
2またはTa
2O
5を含有する遷移金属酸化物と反応することはない。
【0056】
図4Dに示されているとおり、第2の電極440を切り替え酸化物層430の上に作製することができる。第2の電極440は、切り替え酸化物層430内に欠陥を発生させるための欠陥工学層として機能することができる。いくつかの実施態様において、第2の電極440は、
図7に関連して記載するとおり、1つ以上の上部電極700を含むことができる。いくつかの実施態様において、切り替え酸化物層430の上に作製された第2の電極440は、1つ以上の合金を含むことができる。それらの合金のそれぞれは、2つ以上の金属元素を含有することができる。それらの合金のそれぞれは、二元合金(たとえば、2つの金属元素を含有する合金)、三元合金(たとえば、3つの金属元素を含有する合金)、四元合金(たとえば、4つの金属元素を含有する合金)、五元合金(たとえば、5つの金属元素を含有する合金)、六元合金(たとえば、6つの金属元素を含有する合金)、および/または高次合金(たとえば、6つを超える金属元素を含有する合金)を含むことができる。いくつかの実施態様において、第2の電極440が、第1の金属元素および1つ以上の第2の金属元素を含有する1つ以上の合金を含むことができる。第2の金属元素のそれぞれは、切り替え酸化物層内の遷移金属酸化物に対する反応性が第1の金属元素より低いこともあり、またはそれより高いこともある。いくつかの実施態様において、第1の金属元素をTaとすることができる。第2の金属元素は、W、Hf、Mo、Nb、Zr等のうちの1つ以上を含むことができる。いくつかの実施態様において、第2の電極340内の合金内の第2の金属元素に対する第1の金属元素の比を約50原子パーセントとすることができる。いくつかの実施態様において、当該合金内の第2の金属元素に対する第1の金属元素の適切な比を、全体の組成範囲から最適化することができる。形成プロセスの間において、第2の金属元素が、切り替え酸化物層内に第1の金属元素より少ない酸素空格子点を作り出すことができる。したがって、その合金を含有する第2の電極を包含するRRAM装置内に形成されるフィラメントの横方向サイズを、第1の金属のみから作られた第2の電極を包含するRRAM装置内に形成されるフィラメントのそれより小さくすることができる。RRAM装置内の第2の電極440内におけるTaを含有する合金の実装は、結果として、より突発的でない形成プロセスをもたらし、形成電圧を引き下げ、リセット電流を引き下げ、かつその後に続く動作プロセスにおける電圧および/または電流要件を引き下げることができる。さらにまた、第2の電極440内におけるTaを含有する合金の組み込みは、高抵抗を伴うRRAMを必要とする動作を行うために適した電子欠陥を切り替え酸化物内に発生させることもできる。第2の電極440内におけるTaの組み込みもまた、欠陥を切り替え酸化物内に発生させることが可能である。これらの欠陥は、一般に、切り替え酸化物層内における酸素イオンの移動を増強することができる構造欠陥である酸素欠乏として考えられる。フィラメント・モードにおける電気伝導が、切り替え酸化物層内の電子欠陥によってではなく、金属フィラメントによって支配されることから、電子欠陥としての酸素欠乏は、フィラメント・モードにおけるRRAM装置の動作に影響を与えない。しかしながら、非フィラメント・モードにおいて、これらの酸素欠乏が、構造欠陥としてではなく電子欠陥として働き(電子をトラップおよびデトラップし)(酸素イオンを移動させること)ができる。Taを組み込んだ合金は、切り替え酸化物層430内に、非フィラメント・モードにおける高抵抗を伴う電気伝導のための電子欠陥を提供することができる。電子欠陥を伴うRRAM装置は、低電流、アナログ抵抗、多レベル抵抗、I-V(電流-電圧)線形性等のIMC応用に決定的な特定の電子挙動を呈することができる。
【0057】
一例として、第2の電極440は、Taを含有する1つ以上の合金(『Ta合金』と言うこともある)を含むことができる。Ta合金のそれぞれは、Taおよび1つ以上の他の金属元素(たとえば、Hf、W、Mo、Nb、Zr等)を含むことができる。一例として、第2の電極440は、Taを含有する1つ以上の二元合金を含むことができる。Taを含有する二元合金の例には、Ta-Hf合金、Ta-W合金、Ta-Mo合金、Ta-Nb合金、Ta-Zr合金等が含まれる。別の例として、第2の電極440は、Taを含有する1つ以上の三元合金を含むことができる。Taを含有する三元合金の例には、Ta-Hf-Mo合金、Ta-Hf-Nb合金、Ta-Hf-W合金、Ta-Hf-Zr合金、Ta-Mo-Nb合金、Ta-Mo-W合金、Ta-Mo-Zr合金、Ta-Nb-W合金、Ta-Nb-Zr合金、Ta-W-Zr合金等が含まれる。さらに別の例として、第2の電極440は、Taを含有する1つ以上の四元合金を含むことができる。Taを含有する四元合金の例には、Ta-Hf-Mo-Nb合金、Ta-Hf-Mo-W合金、Ta-Hf-Mo-Zr合金、Ta-Hf-Nb-W合金、Ta-Hf-Nb-Zr合金、Ta-Mo-Nb-W合金、Ta-Mo-Nb-Zr合金、Ta-Nb-W-Zr合金等が含まれる。さらなる例として、第2の電極440は、Taを含有する1つ以上の五元合金を含むことができる。Taを含有する五元合金の例には、Ta-Hf-Mo-Nb-W合金、Ta-Mo-Nb-W-Zr合金、Ta-Hf-Nb-W-Zr合金、Ta-Hf-Mo-W-Zr合金、Ta-Hf-Mo-Nb-Zr合金等が含まれる。さらに別の例として、第2の電極440は、Ta-Hf-Mo-Nb-W-Zr合金等の、Taを含有する六元合金を含むことができる。さらなる例として、第2の電極440は、Taを含有する高次合金を含むことができる。いくつかの実施態様において、高次合金が、さらにバナジウム(V)を含有することができる。
【0058】
いくつかの実施態様において、第2の電極440が複数の合金を含むことができる。それらの合金のそれぞれは、Taおよび1つ以上の他の金属元素(たとえば、Hf、W、Mo、Nb、Zr等)を含有するTa合金とすることができる。当該Ta合金は、二元合金、三元合金、四元合金、五元合金、六元合金、高次合金等とすること、および/またはそれを含むことができる。一例として、第2の電極440は、Taを含有する第1の合金、Taを含有する第2の合金、Taを含有する第3の合金、Taを含有する第4の合金、Taを含有する第5の合金、およびTaを含有する第6の合金のうちの2つ以上を含むことができる。いくつかの実施態様において、Taを含有する第1の合金、Taを含有する第2の合金、Taを含有する第3の合金、Taを含有する第4の合金、Taを含有する第5の合金、およびTaを含有する第6の合金を、それぞれ、二元合金、三元合金、四元合金、五元合金、六元合金、および高次合金等とすることができる。
【0059】
いくつかの実施態様第2の電極440内の複数の合金は、それと同数の金属元素の組み合わせに対応することができる。たとえば、Taを含有する第1の合金およびTaを含有する第2の合金が、それぞれ、Taを含有する第1の二元合金(たとえば、Ta-W合金)およびTaを含有する第2の二元合金(たとえば、Ta-Mo合金)を含むことができる。別の例として、Taを含有する第1の合金およびTaを含有する第2の合金が、それぞれ、Taを含有する第1の三元合金(たとえば、Ta-Hf-Mo合金)およびTaを含有する第2の三元合金(たとえば、Ta-Hf-Nb合金)を含むことができる。さらなる例として、第2の電極440は、複数の合金系を含むことができる。当該合金系のそれぞれは、多様な組成を伴う特定の金属元素の混合物を含有する合金を含有することができる。たとえば、二元系は、多様な組成を伴う2つの金属元素(たとえば、TaおよびHf)の二元合金を1つ以上含むことができる。当該二元合金のそれぞれは、特定の組成を伴う2つの金属元素の組み合わせとすることができる。別の例として、三元系は、多様な組成を伴う3つの金属元素(たとえば、Ta、Hf、およびW)の三元合金を1つ以上含むことができる。当該三元合金のそれぞれは、特定の組成を伴う3つの金属元素の組み合わせとすることができる。いくつかの実施態様において、第2の電極440が、1つ以上の合金系を含有するTa合金系を含むことができる。いくつかの実施態様において、当該Ta合金系が、2つ以上の合金系を含むことができる。たとえば、当該Ta合金系は、Ta、Hf、W、Mo、Nb、およびZrのうちの1つ以上の合金を含有する六元系を含有することができる。さらに当該Ta合金系は、Ta合金を含有する1つ以上の二元系、三元系、四元系、および/または五元系を含むことができる。二元系は、Ta-Hf合金系、Ta-W合金系、Ta-Mo合金系、Ta-Nb合金系、および/またはTa-Zr合金系のうちの1つ以上を含むことができる。三元系は、Ta-Hf-Mo合金系、Ta-Hf-Nb合金系、Ta-Hf-W合金系、Ta-Hf-Zr合金系、Ta-Mo-Nb合金系、Ta-Mo-W合金系、Ta-Mo-Zr合金系、Ta-Nb-W合金系、Ta-Nb-Zr合金系、および/またはTa-W-Zr合金系のうちの1つ以上を含むことができる。四元系は、Ta-Hf-Mo-Nb合金系、Ta-Hf-Mo-W合金系、Ta-Hf-Mo-Zr合金系、Ta-Hf-Nb-W合金系、Ta-Hf-Nb-Zr合金系、Ta-Mo-Nb-W合金系、Ta-Mo-Nb-Zr合金系、Ta-Nb-W-Zr合金系のうちの1つ以上を含むことができる。五元系は、Ta-Hf-Mo-Nb-W合金系、Ta-Mo-Nb-W-Zr合金系、Ta-Hf-Nb-W-Zr合金系、Ta-Hf-Mo-W-Zr合金系、および/またはTa-Hf-Mo-Nb-Zr合金系のうちの1つ以上を含むことができる。第2の電極440内に含有される合金系のそれぞれは、一意的な熱力学的および運動学的特性を有することができ、かつ電極の構成要素として考えることができる。したがって、第2の電極440は、コンピューティングおよび学習のための多様な時定数を伴う豊富なダイナミクスを導くことができる複数の状態変数を提供するための複数の電極構成要素を含むことができる。たとえば、各電極構成要素は、切り替え酸化物に対する異なる反応性または酸素との親和力を有することができる。各電極要素は、異なる拡散性(たとえば、自己拡散、相互拡散、拡散時定数等)を有することができる。複数の構成要素を伴う第2の電極440は、IMC応用のための複数の動的動き具合を提供することができる。したがって、多構成要素の第2の電極を組み込んだRRAM装置は、動的なメモリスタの動き具合を多次元において呈することができる。さらにまた、多構成要素の第2の電極の実装は、高抵抗を伴うRRAMを必要とする動作を行うために適した電子欠陥を切り替え酸化物内に発生させることもできる。電子欠陥を伴うRRAM装置は、低電流、アナログ抵抗、多レベル抵抗、I-V(電流-電圧)線形性等のIMC応用に決定的な特定の電子挙動を呈することができる。
【0060】
図4Eおよび4Fは、RRAM装置400dの低抵抗状態および高抵抗状態にそれぞれを対応させることができる半導体装置400eおよび400fを説明している。不連続膜422aの組み込みは、切り替え酸化物層430と第1の電極420の間における接触を低減することができる。
図4Eで説明するように、導電チャンネル435a(たとえば、フィラメント)を第2の電極440から界面層422および切り替え酸化物層430を通して第1の電極420まで形成することができる。
図4Fで説明するように、リセットプロセスの間に切り替え酸化物層430内に途中で遮られた導電チャンネル435bを形成することができる。
図3Bおよび3Cと比較すると、導電チャンネル435aおよび途中で遮られた導電チャンネル435bの横方向サイズは、それぞれ、335aおよび335bのそれより小さくすることができる。したがって、不連続膜422aを伴ったRRAM装置内に形成されるフィラメントの横方向サイズを、第1の電極と切り替え酸化物層の間に形成される多孔性かつ/または不連続な膜を伴わないRRAM装置内に形成されるフィラメントのそれより小さくすることができる。たとえば、未使用状態において作製される非多孔性の、または連続する膜(たとえば、非多孔性の、または連続する界面層)を伴うRRAM装置を形成することは、非多孔性の、または連続する膜を絶縁破壊してRRAM装置を通る電路を設定することが必要となり得る。非多孔性の、または連続する膜の絶縁破壊は、突発的なものとなる可能性があり、またRRAM装置内における導電性フィラメントの過形成または過成長をもたらすこともあり、それがその後に続くRRAM装置の低電流動作を低下させるか、または妨げる可能性がある。RRAM装置内への不連続膜422aの組み込みは、結果として、より突発的でない形成プロセスをもたらし、形成電圧を引き下げ、リセット電流を引き下げ、かつその後に続く動作プロセスにおける電圧および/または電流要件を引き下げることができる。
【0061】
いくつかの実施態様において、RRAM装置は、第1の電極と第2の電極の間に作製される複数の界面層を含むことができる。それらの界面層のそれぞれは、
図4Bに関連して記載のとおり不連続膜を含むことができる。たとえば、
図5Aで説明するように、半導体装置500aを、半導体構造400cの上に界面層532(『第2の界面層』と言うこともある)を
図4Cに関連して記載のとおり作製することによって作製することができる。いくつかの実施態様において、第2の界面層532は、第2の材料の不連続膜532aを含むことができる。第2の材料は、切り替え酸化物層430内の少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定であるとすることができる。一例として、第2の材料は、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、La
2O
3等を含むことができる。第2の材料は、第1の材料と同じとすること、または同じでないとすることができる。
【0062】
不連続膜532aは、1つ以上の細孔534(『1つ以上の第2の細孔』と言うこともある)を含むことができる。細孔534は、任意の適切なサイズおよび/または寸法を有することができる。複数の細孔534が有しているサイズおよび/または寸法は、同一とすること、または同一でないとすることができる。いくつかの実施態様において、第2の界面層532および/または第2の不連続膜532aは、第2の不連続膜532a上にランダムに分散配置された複数の細孔534を含むことができる。不連続膜532aは、任意の適切な数の細孔を含むことができる。
【0063】
いくつかの実施態様において、第2の界面層532および/または第2の不連続膜の厚さ(『第2の厚さ』と言うこともある)を約0.2nmと約0.5nmの間とすることができる。別の例として、第2の界面層532が、0.5nm以下の厚さを有する不連続Al2O3膜を含むことができる。いくつかの実施態様において、第2の界面層532は、1nm未満の厚さを有する不連続Al2O3膜を含むことができる。第2の界面層532の第2の厚さは、第1の界面層422の第1の厚さと同じとすること、または同じでないとすることができる。
【0064】
図5Bで説明するように、第2の電極540を第2の界面層532の上に作製して半導体装置500bを作製することができる。したがって、第2の界面層532を切り替え酸化物層430と第2の電極540の間に位置決めすることができる。第2の電極540は、切り替え酸化物層430内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層として機能することができる。第2の電極540は、
図4D-4Fに関連して記載のとおり、第2の電極440とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、切り替え酸化物層430を作製する間に、1つ以上の細孔534を通して切り替え酸化物層430の上に第2の電極540の1つ以上の部分を配置することができる。したがって、第2の電極540は、それらの1つ以上の細孔534を通して切り替え酸化物層430の1つ以上の部分と接触することができる。
【0065】
図5Cおよび5Dは、RRAM装置500bの低抵抗状態および高抵抗状態にそれぞれを対応させることができる半導体装置500cおよび500dを説明している。第1の界面層422および第2の界面層532両方の組み込みは、さらに、切り替え酸化物層430と第1の電極420の間における接触面積、および切り替え酸化物層430と第2の電極540の間における接触面積を低減することができる。
図5Cで説明するように、導電チャンネル535a(たとえば、フィラメント)を第1の電極420から界面層422、切り替え酸化物層430、および第2の不連続膜532aを通して第2の電極540まで形成することができる。
図5Dで説明するように、リセットプロセスの間に切り替え酸化物層430内に途中で遮られた導電チャンネル535bを形成することができる。
図3Bおよび3Cと比較すると、導電チャンネル535aおよび途中で遮られた導電チャンネル535bの横方向サイズは、それぞれ、335aおよび335bのそれよりさらに小さくすることができる。したがって、界面層422および第2の界面層532の両方を伴ったRRAM装置内に形成されるフィラメントの横方向サイズがさらに低減され、その結果として、より突発的でない形成プロセス、形成電圧の引き下げ、リセット電流の引き下げ、およびその後に続く動作プロセスにおける電圧および/または電流要件の引き下げをもたらすことができる。
【0066】
いくつかの実施態様において、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の切り替え酸化物層の上に界面層を作製することができる。たとえば、
図6Aで説明するように、切り替え酸化物層630を、
図4Aに描かれているとおりに半導体装置400aの上に作製することができる。界面層632を切り替え酸化物層630の上に作製して半導体装置600aを作製することができる。切り替え酸化物層630は、
図4C-4Fに関連して記載のとおり切り替え酸化物層430とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、界面層632は第3の材料の不連続膜を含むことができる。第3の材料は、切り替え酸化物層630内の少なくとも1つの遷移金属酸化物より化学的に安定であるとすることができる。一例として、第3の材料は、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、La
2O
3等を含むことができる。
【0067】
不連続膜632aは、1つ以上の細孔634(ここでは『1つ以上の第3の細孔』と言うこともある)を含むことができる。細孔634は、任意の適切なサイズおよび/または寸法を有することができ、かつ界面層632上にランダムに分散配置することができる。いくつかの実施態様において、界面層632の厚さ(『第3の厚さ』と言うこともある)を約0.2nmと約0.5nmの間とすることができる。別の例として、界面層632は、0.5nm以下の厚さを有することができる。さらなる例として、界面層632は、1nm未満の厚さを有することができる。
【0068】
図6Bで説明するように、第2の電極640を界面層632の上に作製して半導体装置600bを作製することができる。第2の電極640は、切り替え酸化物層630内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層として機能することができる。したがって、界面層632を切り替え酸化物層630と第2の電極640の間に位置決めすることができる。第2の電極640は、
図4D-4Fに関連して記載のとおり、第2の電極440とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、第2の電極640を作製する間に、1つ以上の細孔634を通して切り替え酸化物層630の上に第2の電極640の1つ以上の部分を配置することができる。したがって、第2の電極640は、切り替え酸化物層630の1つ以上の部分と接触することができる。
【0069】
図6Cおよび6Dは、RRAM装置600bの低抵抗状態および高抵抗状態にそれぞれを対応させることができる半導体装置600cおよび600dを説明している。不連続膜632の組み込みは、切り替え酸化物層630と第2の電極640の間における接触面積を低減することができる。
図6Cで説明するように、導電チャンネル635a(たとえば、フィラメント)を第2の電極640から切り替え酸化物層630および不連続膜632を通して第1の電極420まで形成することができる。
図6Dで説明するように、リセットプロセスの間に切り替え酸化物層630内に途中で遮られた導電チャンネル635bを形成することができる。
図3Bおよび3Cと比較すると、導電チャンネル635aおよび途中で遮られた導電チャンネル635bの横方向サイズは、それぞれ、335aおよび335bのそれより小さくすることができる。したがって、不連続膜632を伴ったRRAM装置内に形成されるフィラメントの横方向サイズを、不連続膜632を伴わないRRAM装置内に形成されるフィラメントのそれより小さくすることができる。RRAM装置内への不連続膜632の組み込みは、結果として、より突発的でない形成プロセスをもたらし、形成電圧を引き下げ、リセット電流を引き下げ、かつその後に続く動作プロセスにおける電圧および/または電流要件を引き下げることができる。RRAM装置内への不連続膜632の組み込みは、それが装置の抵抗を増加し、かつ高抵抗動作に関係する電子欠陥の数を制御できることから、電子欠陥工学を補助することができる。より詳細には、電子欠陥は、それだけで装置の抵抗を低減すること、または装置を漏洩性にすることができる。多孔性の、または不連続な界面層の組み込みは、切り替え酸化物を通る電路を制限することによって装置の抵抗を増加することができる。したがって、多孔性/不連続な界面膜422または532と第2の電極540の組み合わせは、高抵抗RRAMを必要とする応用のために適切な電子欠陥を発生させ、かつ制御することができる。
【0070】
図7は、本開示のいくつかの実施態様に従った一例の上部電極700の断面図を説明した概略図である。
【0071】
上部電極700は、本明細書に述べられているとおりの欠陥工学層として機能することができる。図のように、上部電極700は、第1の層710および第2の層720を含むことができる。第1の層710は、切り替え酸化物層の遷移金属酸化物から酸素をスキャベンジすることができる第1の金属材料を含むことができる。第2の層720は、切り替え酸化物層の遷移金属酸化物から酸素をスキャベンジすることができる第2の金属材料を含むことができる。第1の金属材料は、酸素可溶性を有することができ、かつ切り替え酸化物層の遷移金属酸化物と反応してそこから酸素をスキャベンジすることができる。第1の金属材料の酸化物は、第1の不連続膜の第1の材料および第2の不連続膜の第2の材料より低い化学的安定性を有することができる。その結果として、第1の金属材料が第1の不連続膜および第2の不連続膜を化学的に還元することはできない。上記のとおり、2以上の元素の相対的な化学的安定性の決定にはエリンガム・ダイアグラムを使用することができる。
【0072】
第1の金属材料および第2の金属材料は、異なる酸素親和力および/または異なる熱力学的および運動学的基本属性を有することができる異なる化学元素を含むことができる。第1の金属材料と第2の金属材料は、非混和性とすることができる。いくつかの実施態様において、第1の金属材料がTiを含むことができる。第2の金属材料は、Taを含むことができる。いくつかの実施態様において、第1の層710をTi金属(たとえば、Ti膜)の層とすること、および/またはそれを含むことができる。第2の層720は、Ta金属(たとえば、Ta膜)の層とすること、および/またはそれを含むことができる。
図9のTa-Ti二元状態図に示されているとおり、TaとTiの相は非混和性であり、かつRRAM装置の動作温度(たとえば、室温の前後、室温より低い、または室温より高い温度)の前後に入る300K(27°C)において最小限の相互溶解性を有する。したがって、RRAM装置内へのTiの追加が、本明細書に記載のとおり切り替え酸化物内のTaフィラメントの動作メカニズムおよびRRAM装置の切り替えメカニズムに影響を及ぼすことはないとし得る。
図7に記載のとおりRRAM装置は、したがって、アナログ的動き具合、線形性、保持力、および信頼性等において卓越した性能を伴うRRAM装置を必要とするIMC応用のために使用することができる。TaとTiの相の間における非混和性および最小限の相互溶解性は、第2の層720と第1の層710の間における熱力学的平衡状態を可能にすることもできる。その結果として、薄いTi膜が、Ta膜との反応を伴うことなく、またはTa膜によって溶解されることなく、設計されたとおりに機能することが可能である。
【0073】
さらにまた、Tiは、Taより高い酸素親和力を有することから、切り替え酸化物から酸素を容易にスキャベンジすることができる。したがって、RRAM装置内への第1の層710の組み込みは、RRAM形成プロセスにおいて必要とされる形成電圧、およびその後に続く動作における電流および電圧要件を引き下げることによって、RRAM装置の性能をさらに向上させることができる。たとえば、上記のように
図4D-4Fにおける第2の電極440、
図5B-5Dにおける第2の電極540、および/または
図6B-6Dにおける第2の電極640は、第2の電極700とすること、および/またはそれを含むことができる。形成プロセスの間において、第1の金属材料および第2の金属材料の両方が、切り替え酸化物層330、430、および/または630内に酸素空格子点を生成することができる。
図3Bおよび3Cと比較すると、導電チャンネルおよび途中で遮られた導電チャンネルの横方向サイズは、それぞれ、335aおよび335bのそれより小さくすることができる。TiがTaより高い酸素親和力を有することから、上部電極700を含むRRAM装置の未使用抵抗が、上部電極700を含まないRRAM装置のそれより低くなることができ、その結果として、より低い形成電圧、より低いリセット電圧、低いリセット電流等がもたらされる。
【0074】
またTiは、セット・プロセスの間、酸素を容易に(酸素が切り替え酸化物から第2の電極へ移動しているとき)貯蔵することもできる。このことは、リセットプロセスの間における第2の電極による酸素の貯蔵を可能にすることができ、したがって、装置の故障(切り替え酸化物と第2の電極の間における酸素分子の存在によって生じる可能性がある)、および/または動作の失敗(セット電圧が取り除かれた後に酸素が移動して切り替え酸化物へ戻ること、または揮発性のスイッチによって生じる可能性がある)を防止することができる。さらにまた、RRAM装置内へのTi膜の組み込みは、そのRRAM装置の切り替え酸化物内に電子欠陥を発生させることができる。電子欠陥は、酸素欠乏内にトラップされた電子とすることができる。トラップされた電子は、電界の下に1つのトラップ・サイトから別のトラップ・サイトへホップすることができるか、またはより低い励起エネルギを伴う伝導帯へ励起され、RRAM装置が高抵抗状態にあるときに電子流を発生することができる。
【0075】
第1の層710は、第1の層710の第1の金属材料(たとえば、Ti)が、切り替え酸化物層330内における第2の金属材料を包含するフィラメント(たとえば、Taフィラメント)の形成に影響を及ぼすことなく、上記のように機能することができるような適切な厚さまで成長させることができる。いくつかの実施態様において、第1の層710の厚さを約0.2nmと約5nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、第1の層710の厚さを約0.5nmと約2nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、第1の層710の厚さを約1nmとすることができる。いくつかの実施態様において、第1の層710の厚さを1nm未満とすることができる。第2の層720は、第1の層710より厚くすることができる。いくつかの実施態様において、第2の層720の厚さを5nmと300nmの間とすることができる。たとえば、第2の層720の厚さを約10nmと約100nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、第2の層720の厚さを約10nmと約200nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、第2の層720の厚さを約50nmとすることができる。第1の電極の厚さは、概略で5nmと100nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、第1の電極の厚さを約30nmとすることができる。いくつかの実施態様において、RRAM装置400d、500b、および/または600bの寸法(たとえば、臨界寸法)を1μmと1桁のナノメートルの間とすることができる。いくつかの実施態様において、RRAM装置400d、500b、および/または600bの臨界寸法を約0.28μmとすること、またはそれ未満とすること、および/または1μmと1ナノメートルの間とすることができる。いくつかの実施態様において、RRAM装置400d、500b、および/または600bの臨界寸法を1μmと2nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、RRAM装置400d、500b、および/または600bの臨界寸法を1μmと5nmの間とすることができる。いくつかの実施態様において、RRAM装置400d、500b、および/または600bの臨界寸法を1桁のナノスケール(たとえば、約1nmと約9nmの間)とすることができる。
【0076】
1つの実装において、第2の層720を直接第1の層710の上に作製することができる。たとえば、
図7に示されているとおり、第2の層720の表面が、第1の層710の表面の1つ以上の部分と直接接触することができる。別の実装において、第1の層710と第2の層720の間に適切な材料の1つ以上の他の層を堆積させることができる。
【0077】
本明細書に述べられている切り替え酸化物層(たとえば、切り替え酸化物層430、530、および/または630)内の遷移金属酸化物は、絶縁体として機能しているとき、それのバランス帯と伝導帯の間にバンド・ギャップを有することができる。バランス帯から電子が伝導に関係することが可能な伝導帯への電子の励起に、そのバンド・ギャップによって表されるエネルギより高いエネルギが必要とされる。トラップされた電子が伝導帯へ励起されるため(熱放出)、または1つのトラップ・サイトから他のトラップ・サイトへのホッピング(トンネリング)のために、バンド・ギャップ内における電子トラップとして適切な電子欠陥を適切な密度で有することが重要である。本明細書に述べられているとおりの欠陥工学層(たとえば、Taを含有する合金440、第1の層710等)の組み込みは、切り替え酸化物層430、530、および/または630内の遷移金属酸化物内に適切な密度で電子欠陥を生成することができる。電子欠陥は、たとえば、遷移金属酸化物(たとえば、TaOxまたはHfOxの亜化学量論的酸化物)内の酸素欠乏欠陥を含むことができる。電子欠陥は、室温およびそれより上の温度において、遷移金属酸化物を通る電荷の輸送を補助することができる。いくつかの実施態様において、その電荷を、-2の電荷を運ぶ酸素イオンO-2、または+2の電荷を運ぶ酸素欠乏Vo+2等のイオン電荷とすることができる。いくつかの実施態様において、その電荷を、-1の電荷を運ぶ電子e-1等の電子電荷とすることができる。この場合において、欠陥工学装置を組み込んだRRAM装置が非フィラメント状態において動作しているとき、トラップされた電子が、電界の下に伝導帯へ励起されるか、または1つのトラップ・サイトから別のトラップ・サイトへホップして電子流を発生することができる。
【0078】
RRAM装置内における第1の層710の組み込みは、このようにRRAM装置の未使用抵抗を引き下げ、形成電圧を引き下げ、かつリセット電流を引き下げ、結果として、より突発的でない形成プロセス、より低いコンダクタンスを伴うフィラメント、その後に続く動作プロセスにおける、より低い電圧およびより低い電流をもたらし、かつ高抵抗状態におけるIMC動作のための適切な電子欠陥を切り替え酸化物内に生成することができる。
【0079】
図4D-4F、5B-5D、および6B-6Dには、RRAM装置400d-f、500b-d、および600b-dの特定の構成要素が示されているが、これは単なる例証に過ぎない。RRAM装置400d-f、500b-d、および600b-dは、IMC応用を実装するための適切な材料の1つ以上の他の層を含むことができる。たとえば、切り替え酸化物層と第2の電極および第1の電極のうちの1つ以上の間に1つ以上の界面層(図示せず)を作製し、界面の安定性および装置の性能を向上させることができる。
【0080】
図10は、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための一例の方法1000を説明するフローチャートである。
【0081】
ブロック1010において、基板の上に第1の電極を作製することができる。第1の電極の作製は、物理蒸着(PVD)技術、化学蒸着(CVD)技術、スパッタリング堆積技術、原子層堆積(ALD)技術、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用してPt、Pd、Ir等の1つ以上の非活性金属の層を1つ以上堆積させることを伴うことができる。いくつかの実施態様において、第1の電極の作製は、1つ以上のPtの層の堆積を伴うことができる。第1の電極は、
図3A-6Dに関連して上記に記載のとおり第1の電極320、420とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0082】
ブロック1020において、第1の電極の上に界面層を作製することができる。第1の界面層を作製することは、第1の電極の上に第1の材料を堆積させて第1の材料の第1の不連続膜を形成することを伴うことができる。第1の不連続膜は、1つ以上の第1の細孔を含有することができる。第1の材料は、下記のように切り替え酸化物層内の遷移金属酸化物より化学的に安定であるとすることができる。いくつかの実施態様において、第1の材料が、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、La
2O
3等を含むことができる。第1の界面層は、いくつかの実施態様において
図4B-5Dに関連して上記に記載のとおり第1の界面層422とすること、および/またはそれを含むことができる。いくつかの実施態様において、第1の界面層を作製することが、適切な厚さを有する第1の材料の層を堆積させて第1の不連続膜を形成することを伴うことができる。たとえば、第1の界面層を作製することは、第1の材料を約0.2nmと約1nmの間の厚さまで堆積させることを伴うことができる。第1の不連続膜は、PVD、CVD、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して堆積させることができる。
【0083】
ブロック1030において、界面層の上に切り替え酸化物層を作製することができる。切り替え酸化物層は、1つ以上の遷移金属酸化物を含むことができる。当該遷移金属酸化物は、たとえば、TaO
x、HfO
x、TiO
x、NbO
x、ZrO
x等を含むことができる。いくつかの実施態様において、切り替え酸化物層を作製する間に、第1の細孔のうちの1つ以上を通して第1の電極上に遷移金属酸化物の1つ以上の部分を配置することができる。切り替え酸化物層は、PVD、CVD、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して堆積させることができる。切り替え酸化物層は、
図4C-5Dに関連して上記に記載のとおり切り替え酸化物層430とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0084】
ブロック1040において、切り替え酸化物層の上に、切り替え酸化物層内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層を作製することができる。欠陥工学層は、作製されることになるRRAM装置の第2の電極(たとえば、上部電極)として機能することができる。欠陥工学層は、1つ以上の合金を含むことができる。当該合金のそれぞれは、第1の金属元素および1つ以上の第2の金属元素を含有することができる。第2の金属元素のそれぞれ、および第1の金属元素は、切り替え酸化物層内の遷移金属酸化物に対して異なる反応性を有することができる。いくつかの実施態様において、第1の金属元素をTaとすることができる。第2の金属元素は、W、Hf、Mo、Nb、Zr等のうちの1つ以上とすることができる。
図14A-14Eに示されてるように、Taおよび第2の金属元素W、Hf、Mo、Nb、またはZrに関係する二元状態図に基づくと、Ta-W(
図14B)、Ta-Mo(
図14C)、およびTa-Nb(
図14D)は、連続固溶体を形成し、Ta-Hf(
図14A)およびTa-Zr(
図14E)は、RRAM装置の動作温度において非混和性である。これらすべての二元体において、二元金属間化合物を形成することができない。これらの二元系の中に金属間化合物が存在しないことは、容易に作製および制御ができる合金電極を必要とするIMC応用にとって好都合である。たとえば、第2の電極の作製が、第1の金属と第2の金属の同時スパッタリングによる合金の作製を伴うことができる。別の例として、第2の電極の作製は、第1の金属元素(たとえば、純Ta金属)と第2の金属元素(たとえば、純Hf金属)の間に求められる組成のための合金ターゲット(たとえば、Ta-W合金、Ta-Hf合金、Ta-Mo合金、Ta-Nb合金、Ta-Zr合金等)からのスパッタリングを伴うことができる。
【0085】
いくつかの実施態様において、欠陥工学層の作製は、Ta、Hf、Nb、Mo、W、および/またはZrを含む複数の電極構成要素の作製を伴うことができる。それらの電極構成要素のそれぞれは、Taの二元合金、三元合金、四元合金、五元合金、六元合金、および/または高次合金等とすること、および/またはそれを含むことができる。たとえば、欠陥工学層の作製は、
図4Dに関連して記載のとおり、1つ以上の合金および/または合金系を伴う第2の電極340の作製を伴うことができる。より詳細には、たとえば第2の電極の作製は、Taを含有する第1の合金、Taを含有する第2の合金、Taを含有する第3の合金、Taを含有する第4の合金、Taを含有する第5の合金、およびTaを含有する第6の合金のうちの2つ以上を作製することを伴うことができる。Taを含有する第1の合金、Taを含有する第2の合金、Taを含有する第3の合金、Taを含有する第4の合金、Taを含有する第5の合金、およびTaを含有する第6の合金は、それぞれ、二元合金、三元合金、四元合金、五元合金、六元合金、および高次合金等とすることができる。
【0086】
いくつかの実施態様において、欠陥工学層の作製が、
図7に関連して記載のとおり層710および720等の複数の金属材料の複数の層の作製を伴うことができる。いくつかの実施態様において、
図13に関連して記載のとおり1つ以上の動作を行うことによって欠陥工学層を作製することができる。
【0087】
欠陥工学層は、PVD、CVD、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して作製することができる。欠陥工学層は、
図4D-4Fに関連して上記に記載のとおり第2の電極440とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0088】
図11は、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための一例の方法1100を説明するフローチャートである。
【0089】
ブロック1110において、基板の上に第1の電極を作製することができる。第1の電極は、
図10のブロック1010に関連して記載のとおり1つ以上の動作を行うことによって基板の上に作製することができる。第1の電極は、
図3A-6Dに関連して上記に記載のとおり第1の電極320および/または420とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0090】
ブロック1120において、第1の電極の上に第1の界面層を作製することができる。第1の界面層の作製は、第1の材料の第1の不連続膜の作製を伴うことができる。第1の界面層は、
図10のブロック1020に関連して記載のとおり1つ以上の動作を行うことによって第1の電極の上に作製することができる。第1の界面層は、
図4B-5Dに関連して上記に記載のとおり第1の界面層422とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0091】
ブロック1130において、第1の界面層の上に切り替え酸化物層を作製することができる。切り替え酸化物層は、
図10のブロック1030に関連して記載する1つ以上の動作を行うことによって第1の界面層の上に作製することができる。切り替え酸化物層は、
図4C-5Dに関連して上記に記載のとおり切り替え酸化物層430とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0092】
ブロック1140において、切り替え酸化物層の上に第2の界面層を作製することができる。第2の界面層の作製は、切り替え酸化物層の遷移金属酸化物より化学的に安定した第2の材料の第2の不連続膜の作製を伴うことができる。いくつかの実施態様において、第2の材料が、Al
2O
3、MgO、Y
2O
3、La
2O
3等を含むことができる。いくつかの実施態様において、第2の界面層の作製が、第2の材料を適切な厚さ(たとえば、0.2nmと1nmの間の厚さ)まで堆積させて第2の不連続膜を形成することを伴うことができる。当該不連続膜は、PVD、CVD、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して堆積させることができる。第2の界面層は、
図5A-5Dに関連して記載のとおり第2の界面層532とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0093】
ブロック1150において、第2の界面層の上に、切り替え酸化物層内に電子欠陥を発生させるための欠陥工学層を作製することができる。欠陥工学層は、作製されることになるRRAM装置の第2の電極(たとえば、上部電極)として機能することができる。欠陥工学層は、
図10のブロック1040に関連して記載のとおり1つ以上の動作を行うことによって作製することができる。いくつかの実施態様において、欠陥工学層を作製する間に、1つ以上の第2の細孔を通して切り替え酸化物層の上に欠陥工学層の1つ以上の部分を堆積させることができる。欠陥工学層は、
図5B-5Dに関連して上記に記載のとおり第2の電極540とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0094】
図12は、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置を作製するための一例の方法1200を説明するフローチャートである。
【0095】
ブロック1210において、基板の上に第1の電極を作製することができる。第1の電極は、
図10のブロック1010に関連して記載のとおり1つ以上の動作を行うことによって基板の上に作製することができる。第1の電極は、
図3A-6Dに関連して上記に記載のとおり第1の電極320とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0096】
ブロック1220において、第1の電極の上に切り替え酸化物層を作製することができる。切り替え酸化物層は、1つ以上の遷移金属酸化物を含むことができる。当該遷移金属酸化物は、たとえば、TaO
x、HfO
x、TiO
x、NbO
x、ZrO
x等を含むことができる。切り替え酸化物層は、PVD、CVD、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して堆積させることができる。切り替え酸化物層は、
図6A-6Dに関連して上記に記載のとおり切り替え酸化物層630とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0097】
ブロック1230において、切り替え酸化物層の上に界面層を作製することができる。界面層は、切り替え酸化物層内の遷移金属酸化物より化学的に安定した材料の不連続膜を含むことができる。界面層は、
図11のブロック1140に関連して記載される1つ以上の動作を行うことによって切り替え酸化物層の上に作製することができる。界面層は、
図6A-6Dに関連して上に記載のとおり界面層632とすること、および/またはそれを含むことができる。手前で示したとおり、不連続な、または多孔性の界面層は、高抵抗状態の動作に関係し得る電子欠陥の数を制御することによって切り替え酸化物内の電子欠陥工学に寄与することができる。
【0098】
ブロック1240において、界面層の上に欠陥工学層を作製することができる。欠陥工学層は、RRAM装置の第2の電極(たとえば、上部電極)として機能することができる。欠陥工学層は、
図10のブロック1040に関連して記載される1つ以上の動作を行うことによって界面層の上に作製することができる。欠陥工学層は、
図6B-6Dに関連して上記に記載のとおり第2の電極640とすること、および/またはそれを含むことができる。
【0099】
図13は、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の欠陥工学層を作製するための一例の方法1300を説明するフローチャートである。欠陥工学層は、RRAM装置の上部電極として機能することができる。
【0100】
ブロック1310において、第1の金属材料の第1の層を作製することができる。第1の金属材料は、Ti、Hf、およびZr等の第1の金属元素を含むことができる。第1の金属材料の第1の層は、PVD、CVD、スパッタリング、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用して第1の金属(たとえば、Ti金属)を堆積させることによって作製することができる。欠陥工学層の作製は、約0.2nmと約5nmの間の厚さ、約0.5nmと約2nmの間の厚さといった適切な厚さを有する第1の金属の層の堆積を伴うことができる。
【0101】
ブロック1320において、第1の金属材料の第1の層の上に第2の金属材料を含む第2の層を作製することができる。第2の金属材料は、切り替え酸化物内の電子欠陥における電子欠陥工学および発生にも寄与することができる。第2の金属材料は、第1の金属元素とは異なる第2の金属元素を含むことができる。たとえば、第2の金属元素をTaとすることができる。いくつかの実施態様において、第2の金属材料を含む第2の層の作製は、PVD、CVD、スパッタリング、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用する第2の金属(たとえば、Ta金属)の堆積を伴うことができる。第2の金属の第2の層の作製は、第2の金属の層が第1の金属の第1の層より厚いというように適切な厚さを有する第2の金属の層を堆積させることを伴うことができる。いくつかの実施態様において、10nmと100nmの間の厚さを有する第2の金属の層を堆積させることができる。いくつかの実施態様において、第2の金属の第2の層を第1の金属の層の上に直接堆積させることができる。その種の実施態様において、第1の金属の第1の層の表面が、第2の金属の第2の層の表面の1つ以上の部分と直接接触することができる。
【0102】
いくつかの実施態様において、第2の金属材料を含む第2の層の作製が、1つ以上の合金を含む層の作製を伴うことができる。上記のように、当該合金のそれぞれは、第1の金属元素および1つ以上の第2の金属元素を含有することができる。第2の金属元素のそれぞれは、切り替え酸化物層内の遷移金属酸化物に対して第1の金属元素とは異なる反応性を有することができる。いくつかの実施態様において、第1の金属元素をTaとすることができる。第2の金属元素は、W、Hf、Mo、Nb、Zr等のうちの1つ以上とすることができる。Ta合金の第2の層の作製は、PVD、CVD、スパッタリング、ALD、および/または任意の他の適切な堆積技術を利用するTa合金の堆積を伴うことができる。Ta合金の第2の層の作製は、Ta合金の層が第1の金属の第1の層より厚いというように適切な厚さを有するTa合金の層を堆積させることを伴うことができる。いくつかの実施態様において、約5nmと約100nmの間の厚さを有するTa合金の1つ以上の層を堆積させることができる。
【0103】
説明の簡単化のために、この開示の方法は、一連の作用として図示され、かつ記述されている。しかしながら、この開示に従った作用は、多様な順序で、および/または同時に、かつ本明細書に提示ないしは記載がない他の作用とともに生じることが可能である。さらにまた、例証されている作用の必ずしもすべてが開示されている発明の要旨に従った方法の実装に必要とされないこともある。それに加えて、この分野の当業者は理解し、認識することになるであろうが、この方法は、代替的に状態図またはイベントを介して相互に関係のある一連の状態として表すことが可能である。
【0104】
図15A、15B、15C、および15Dは、本開示のいくつかの実施態様に従ったRRAM装置の例の多レベル抵抗および線形性のデータを説明している。
図15Aは、1kΩ-10kΩの範囲におけるRRAM装置の電流-電圧特性1500Aを説明している。ここに示されているとおり、コンダクタンス量子Go(12.9kΩ)によれば、装置の抵抗RがGoを超えることはなく、装置は、フィラメント・モード(たとえば、
図3Bに示されているとおり)において動作する。RRAM装置の伝導は、金属的な動き具合を呈することができる。
【0105】
図15Bは、本開示の1つの実装に従った高抵抗(たとえば、10kΩ-100kΩ)を伴う一例のRRAM装置の電流-電圧特性1500Bを説明している。RRAM装置は、フィラメント・モード(たとえば、Goを超えない10kΩの抵抗を伴う)から非フィラメント・モード(たとえば、Goを超える100kΩの抵抗を伴う)への遷移、または
図3Bに示されているRRAM装置から
図3Cに示されているRRAM装置への遷移において動作する。
【0106】
図15Cは、本開示の別の実装に従った高抵抗(たとえば、100kΩ-1MΩ)を伴う一例のRRAM装置の電流-電圧特性1500Cを説明している。RRAM装置は、完全に非フィラメント・モードにおいて動作する。RRAM装置の伝導は、半導体的な動き具合を呈することができる。しかしながら、不連続な界面層532、第2の電極540としてのTa合金および/または第2の電極710/720としての2層金属を含む電子欠陥工学を通る多レベルの高抵抗および線形性が実証されている。
【0107】
図15Dは、本開示のある実装に従った非常に高い抵抗(たとえば、1MΩ-10MΩ)を伴う一例のRRAM装置の電流-電圧特性1500Dを説明している。非フィラメント・モードの高抵抗範囲内においてこの種の高抵抗を実装することは、RRAM装置のためのバランスのとれた電子欠陥工学を必要とすることがある。ここに示されているとおり、工学的電子欠陥を伴うRRAM装置は、この高抵抗範囲内において優れた線形性とアナログ的動き具合を呈する。
【0108】
本明細書で使用されるときの用語『概略』、『約』、および『実質的に』は、平均の2標準偏差内、いくつかの実施態様における目標寸法の±20%内、いくつかの実施態様における目標寸法の±10%内、いくつかの実施態様における目標寸法の±5%内、いくつかの実施態様における目標寸法の±2%内、いくつかの実施態様における目標寸法の±1%内、さらには、いくつかの実施態様における目標寸法の±0.1%内といったこの分野における一般公差の範囲内であることを意味することができる。用語『概略』および『約』は、目標寸法を含むことができる。特に述べられているか、または文脈から自明である場合を除き、本明細書に記載されているすべての数値は用語『約』によって修飾される。
【0109】
本明細書に使用されるとき、範囲は、当該範囲内のすべての値を含む。たとえば、1から10までの範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、および10、およびそれらの端数から得られる任意の数、数の組み合わせ、部分範囲を含むことができる。
【0110】
以上の説明には、いくつかの詳細が示されている。しかしながら明らかになろうが、本開示は、これらの具体的な詳細を伴うことなく実施することができる。いくつかの場合において、周知の構造および装置が、開示を不明瞭にすることを回避するために、むしろ詳細にではなくブロック図の形式で示されている。
【0111】
本明細書で使用されるときの用語『第1』、『第2』、『第3』、『第4』等々は、異なる要素を区別するラベルとしての意味であり、それらの数字による指定に従った順序的な意味を有する必然性はない。
【0112】
用語『例』または『例示的な』は、本明細書で使用されるとき、例、場合、または例証としての働きを提供することを意味する。本明細書において『例』または『例示的な』として記述されているあらゆる態様または設計が、他の態様または設計より好ましいとして、または有利であるとして解釈される必然性はない。むしろ用語『例』または『例示的な』の使用は、具体的な態様において概念を提示することが意図されている。この出願において使用されるときの用語『または』は、排他的な『または』ではなく、むしろ包括的な『または』を意味することが意図されている。言い換えると、特段の指定がない限り、または文脈から明らかな場合を除き、『Xは、AまたはBを含む』は、任意の自然な包括的な並び替えを意味することが意図されている。すなわち、XがAを含むか;XがBを含むか;またはXがAおよびBの両方を含む;のであれば、これらの場合のいずれの下においても『XがAまたはBを含む』が満たされる。それに加えて、この出願および付随する請求項において使用されるときの『ある』および数量指定のないことは、特段の指定があるか、または単数形式であることの指定が文脈から明らかである場合を除き、概して『1つ以上』を意味するものと解釈されるべきである。この明細書全体を通じて『ある実装』または『1つの実装』と言及するときは、当該実装に関連して記述されている特定の特徴、構造、または特性が少なくとも1つの実装に含まれることを意味する。したがって、この明細書全体を通じて随所に現れる『実装』または『1つの実装』という語句が、すべてが同一の実装を参照している必然性はない。
【0113】
本明細書で使用されるとき、要素または層が別の要素または層の『上に』あるとして参照されている場合には、当該要素または層が当該別の要素または層の直接上にあるとすることもでき、あるいは介在する要素または層が存在しているとすることもできる。それとは対照的に、要素または層が別の要素または層の『直接上に』あるとして参照されている場合には、介在する要素または層が存在しない。
【0114】
以上の説明を読んだ後であれば、本開示の多くの変形および修正がこの分野の当業者に明らかになるであろうことは疑いようがないが、例証のために示され、記述されているあらゆる特定の実施態様が限定として見做されることが、いかなる形においても意図されていないことは理解されるものとする。したがって、多様な実施態様の詳細に対する参照は、請求の範囲の限定を意図してなく、それら自体は、開示として見做されるそれらの特徴のみを列挙しているに過ぎない。
【符号の説明】
【0115】
100 クロスバー回路
111a-n 行ワイヤ
111a、111b、・・・、111i、・・・、111n 行ワイヤ
113a-m 列ワイヤ
113a、113b、・・・、113j、・・・、113m 列ワイヤ
120a、120b、・・・、120z クロスポイント装置
120ij クロスポイント装置
200 クロスポイント装置
201 RRAM装置
203 トランジスタ
211 ビットライン
213 選択ライン
215 ワードライン
300a RRAM装置
300b RRAM装置
300c RRAM装置
310 基板
320 第1の電極
330 切り替え酸化物層
335a 導電チャンネル
335b 中断されたフィラメント
335c 酸化物ギャップ
340 第2の電極
400a 半導体装置
400c 半導体構造
400d RRAM装置
400e 半導体装置
410 基板
420 第1の電極
422 界面層、第1の界面層
422a 不連続膜
424 細孔
430 切り替え酸化物層
435a 導電チャンネル
440 第2の電極
500a 半導体装置
500b 半導体装置、RRAM装置
500c 半導体装置
532 界面層、第2の界面層
532a 不連続膜、第2の不連続膜
534 細孔
535a 導電チャンネル
540 第2の電極
600a 半導体装置
600b 半導体装置、RRAM装置
600c 半導体装置
630 切り替え酸化物層
632 界面層、不連続膜
632a 不連続膜
634 細孔
635a 導電チャンネル
640 第2の電極
700 上部電極、第2の電極
710 第1の層
720 第2の層
1000 RRAM装置を作製するための一例の方法
1100 RRAM装置を作製するための一例の方法
1200 RRAM装置を作製するための一例の方法
1300 欠陥工学層を作製するための一例の方法
1500A 電流-電圧特性
1500B 電流-電圧特性
1500C 電流-電圧特性
1500D 電流-電圧特性
【国際調査報告】