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特表2024-522956メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法およびこれによって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-24
(54)【発明の名称】メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法およびこれによって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒
(51)【国際特許分類】
   B01J 29/86 20060101AFI20240617BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20240617BHJP
   C01B 3/38 20060101ALI20240617BHJP
   C01B 39/12 20060101ALI20240617BHJP
   C01B 39/48 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
B01J29/86 M
B01J37/10
C01B3/38
C01B39/12
C01B39/48
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574592
(86)(22)【出願日】2021-07-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 KR2021009424
(87)【国際公開番号】W WO2022255536
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2021-0069791
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511123485
【氏名又は名称】ロッテ ケミカル コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン、チェ-ホ
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミン ボム
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ウ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ソンジュン
【テーマコード(参考)】
4G073
4G140
4G169
【Fターム(参考)】
4G073BA56
4G073BB44
4G073CZ50
4G073CZ55
4G073FB06
4G073FB12
4G073FC03
4G073FC25
4G073FC27
4G073FD02
4G073FD21
4G073UA01
4G140EA03
4G140EA05
4G140EB32
4G140EB34
4G140EC01
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BD03A
4G169BD03B
4G169CB81
4G169DA04
4G169FC07
4G169FC08
4G169ZA32A
4G169ZA33A
4G169ZD01
4G169ZD03
4G169ZD06
4G169ZF05A
4G169ZF05B
(57)【要約】
本発明は、メタンの乾式改質反応用ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法に関し、二次元の広い外部表面積と該表面積に結合したニッケルを含む構造的安定性および活性を有する触媒を水熱処理を通じて一段階反応で製造する、メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法に関する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)層状のボロシリケートMWW骨格型ゼオライト前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、
(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含む、メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階は、Si/Bのモル比が5.0~20.0のB-MWW(P)を合成することを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項3】
前記(b)段階でニッケル前駆体の濃度は、0.1~5.0Mであることを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項4】
前記(b)段階の水熱処理温度は、100~200℃であることを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【請求項6】
前記触媒のSi/Niのモル比は、1.5~30であることを特徴とする請求項5に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【請求項7】
前記触媒は、700℃でのメタンの乾式改質反応においてメタンおよび二酸化炭素に対する触媒不活性化率が5%未満であることを特徴とする請求項5に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタンの乾式改質反応用ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法に関し、二次元の広い外部表面積と該表面積に結合したニッケルを含む構造的安定性および活性を有する触媒を水熱処理を通じて一段階反応で製造する、メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メタンの乾式改質反応(dry reforming of methane,DRM)は、温室ガスであるCHとCOを合成ガス(HとCO混合ガス)に転換させる反応(反応式1)であり、前記メタンの乾式改質反応は、COを合成燃料、メタノール、ジメチルエーテルなどのような付加価値がある化学物質にリサイクルし、環境への排出を緩和する循環炭素経済を構築する核心技術の1つであるため、環境および産業分野の関心を集めている。
【0003】
<反応式1>
CH+CO→2CO+2H△H°298=247kJ/mol-1
【0004】
しかしながら、環境および産業に及ぼす高い影響と関係なく、反応の複雑性と吸熱特性(endothermic nature)のため、メタンの乾式改質反応の成功的な商用化が難しい。実際にメタンの乾式改質反応は、Boudouard反応(2CO⇔C+CO、△H°298=-190kJmol-1)およびメタンクラッキング(CH→C+2H、△H°298=75kJmol-1)のような反応で炭素沈殿物を生成させ、逆水性ガスシフト反応(reverse water-gas shift reaction、RWGS、CO+H⇔CO+HO、△H°298=41kJmol-1)のように合成ガスのH/COの割合を減少させる副反応を伴う。
【0005】
したがって、メタンの乾式改質反応を成功裏に商用化するためには、高度で能動的かつ安定した触媒に対する開発が必要である。
【0006】
このようなメタンの乾式改質反応には、主に多様な種類の遷移金属の触媒活用の可能性について多くの研究がなされており、そのうち、特に8族(VIII)の金属プラチナ(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)およびコバルト(Co)等を含む触媒の開発が行われている。しかしながら、これらのうち、Pt、Ru、RhおよびPdの場合、貴金属(Noble metal)であり、触媒の活性、選択性および安定性の観点から良好であるが、高価で、産業的に使用するに経済的効率が低い。
【0007】
したがって、貴金属(Noble metal)に比べて価格が安いタングステン(W)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)等の遷移金属のメタンの乾式改質反応触媒としての適用可能性について研究が進行されてきた。
【0008】
これらのうち、ニッケルの場合、他の遷移金属に比べて相対的に価格が安いながらも、メタンのCO改質化に比較的高い選択性と転換率を有していて、メタンの乾式改質反応触媒として広く使用されている。
【0009】
しかしながら、このようなNi触媒の場合、メタンの乾式改質反応時に、コークス沈着(Coke Deposition)と活性金属焼結による不活性化が進行され、長い触媒活性を比較的長時間維持することが困難である。
【0010】
したがって、前記活性のニッケル金属のこのような短所を補完するために、触媒担体に対する研究が活発に進行された。これは、触媒の場合、活性金属の種類およびサイズはもちろんであり、前記金属が担持される担体の種類、表面積およびこれらが相互作用によっても触媒活性および安定性が顕著に変わることができるので、主に担体としてアルミナが使用されている。
【0011】
韓国登録特許第10-1959379号公報(2019.03.18.公告日)は、メタンの複合改質反応用ニッケル系触媒に関し、活性成分であるニッケル(Ni)およびアンチモン(Sb)、モリブデン(Mo)がガンマアルミナ担体に担持されたことを開示している。しかしながら、前記ガンマアルミナでは、前記活性金属の分散が容易でなく、反応物と接触する外部表面積が十分に広くないので、触媒活性の向上に困難がある。
【0012】
また、韓国登録特許第10-1487387号公報(2015.01.28.公告日)は、金属カーバイド系メタンリフォーミング触媒の製造方法に関し、多孔性炭素物質担体およびニッケルおよびモリブデン前駆体活性成分を含んで比表面積を増加させて、触媒的活性を向上させることができることを開示している。しかしながら、前記先行文献の製造方法に従う場合、ニッケルの凝集やクラスター(cluster)が発生し、触媒活性の低下をもたらすおそれがある。
【0013】
したがって、活性金属としてニッケルを含み、メタンの乾式改質反応時に発生するコークス、焼結に伴うニッケル減少による触媒活性が減少する問題を解決するために、担体、担体とニッケルの結合、触媒骨格などを変化させて、構造的安定性、触媒活性および活性維持度を向上させることができる、新しい形態のメタンの乾式改質反応用触媒の製造方法および触媒開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前述のような問題を解決するために、水熱処理工程を通した一段階反応で触媒製造工程を単純化しながらも、前記工程を通じて二次元の広い外部表面積と該表面積に結合したニッケルを含んで、構造的安定性および触媒活性を向上させた、メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記方法によって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)層状のボロシリケートMWW骨格型ゼオライト前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含むメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を提供する。
【0017】
一実施形態において、前記(a)段階は、Si/Bのモル比が5.0~20.0のB-MWW(P)を合成することができる。
【0018】
一実施形態において、前記(b)段階で、ニッケル前駆体の濃度は、0.1~5.0Mであってもよい。
【0019】
一実施形態において、前記(b)段階の水熱処理温度は、100~200℃であってもよい。
【0020】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒を提供する。
【0021】
一実施形態において、前記触媒のSi/Niのモル比は、1.5~30であってもよい。
【0022】
一実施形態において、前記触媒は、700℃でのメタンの乾式改質反応においてメタンおよび二酸化炭素に対する触媒不活性化率が5%未満であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、B-MWW(P)およびニッケル前駆体を水熱処理し、一段階反応でボロンをニッケルに置換し、三次元のMWWを剥離して、二次元のニッケルシリケート分子篩触媒を製造することができ、工程効率を向上させることができる。
【0024】
また、本発明の場合、水熱処理過程でB-MWW(P)のボロンがニッケルに置換され、活性を有するニッケルがMWW骨格型ゼオライトの特定位置に結合することができ、三次元のMWWは、層が剥離し、前記ニッケル結合が外部に暴露された二次元骨格を形成することになり、活性ニッケルを有する広い外部表面積(external surface areas)の増加によって触媒活性が顕著に増加する。
【0025】
また、本発明は、メタンの乾式改質反応のためのニッケルシリケート分子篩およびその製造方法に関し、活性金属としてニッケルを使用して触媒のコストを低減し、3Dゼオライトを2D分子篩に変形させて表面積を増加させ、多量の活性金属を担体に結合させて触媒の安定性と活性度を向上させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態によるニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法およびメタンの乾式改質反応の要約図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による(a)ICP元素分析を通した窒素含有量、(b)N吸着等温線、(C)BET表面積を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による700℃でのDRM反応時に実施例1~4、比較例1および比較例2の(a)CH転換率、(b)CO転換率および(c)H/CO比と、750℃でのDRM反応時に実施例1~4、比較例1および比較例2の(d)CH転換率、(e)CO転換率および(f)H/CO比を示し、750℃でのDRM反応における実施例3の10日、12時間および未使用(fresh)に対する(g)CH転換率、CO転換率およびH/CO比と(h)ラマンスペクトルを示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による750℃でのDRM反応時に実施例4~7の水熱処理時間による(a)CH転換率、(b)CO転換率および(c)H/CO比と、750℃でのDRM反応における実施例3の10日、12時間および未使用(fresh)に対する(d)CH転換率、750℃でのDRM反応時に実施例4、8および9(Ni-DML-160-4-Z)のニッケル前駆体の濃度による(d)CH転換率、(e)CO転換率および(f)H/CO比を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
特段の定めがない限り、本明細書において使用されたすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野における熟練した専門家によって通常的に理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書において使用された命名法は、本技術分野においてよく知られており、通常的に使用されるものである。
【0028】
本願明細書の全般において任意の部分が或る構成要素を「含む」というとき、これは、特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、一態様において、(a)層状のボロシリケートMWW骨格型ゼオライト前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含むメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を提供する。
【0030】
図1は、本発明によるメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を示す図であり、これを参照して本発明を詳細に説明する。
【0031】
本発明において、(a)段階は、(a)層状のボロシリケートMWW骨格型ゼオライト前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階である。
【0032】
前記MWWは、ラメラ(lamellar)状に存在するゼオライトフレームワークトポロジーの1つであり、MWW骨格構造は、4.1Å×5.1Åの楕円リング断面を有する二次元正弦曲線状10円環(10-MR)チャネルの細孔系と10-MR窓に連結された大きい12-MR巨大ケージを含む細孔系からなる2つの独立した細孔系を含む三次元ゼオライトである。
【0033】
前記(a)段階では、このような構造的特異性を有する三次元MWW骨格型ゼオライトの骨格内にボロンを含んで層状のボロシリケートMWW骨格型ゼオライト前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階であり、前記ボロンは、MWW骨格内にSi-O-Bの形態で結合し、Si/Bのモル比は、5.0~20.0であってもよく、好ましくは、10~15であってもよい。前記Si/Bのモル比が5より小さい場合、B-MWW(P)にBが過量含まれていて、Si含有量が相対的に不足し、三次元のMWW骨格型ゼオライトを形成するのに困難があり、20より大きい場合には、B-MWW(P)でSiに対する相対的なBの含有量が減少し、水熱処理時にニッケル金属で置換され得るサイトが減少し、そのため、触媒活性の低下を誘発することができる。
【0034】
前記(a)段階は、一実施形態において、有機構造誘導体(SDA)を使用して合成することができ、前記合成過程中に焼成によって有機構造誘導体の除去および縮合によって三次元のMWWを形成することができるが、前記(a)段階は、これに限定されず、一般的に知られている方法によって合成することができ、ここでは、これに関する詳細な説明を省略する。
【0035】
本発明において、(b)段階は、前記B-MWW(P)にpH4.0以下の酸性ニッケル前駆体水溶液を添加し、水熱処理する段階である。具体的には、前記(b)段階は、前記合成したB-MWW(P)にニッケル前駆体水溶液を添加し、100~200℃で水熱処理して、一段階反応によって前記B-MWW(P)を剥離し、同時にボロンをニッケル金属で置換し、二次元の多層ニッケルシリケート分子篩を製造する段階である。
【0036】
この際、前記ニッケル前駆体水溶液は、水熱処理温度によって添加する量を調節することができ、前記ニッケル前駆体水溶液の濃度は、0.1~5.0Mの濃度を有する。前記ニッケル前駆体水溶液の濃度が0.1M未満の場合には、前処理水溶液のpHが増加し、ボロンの離脱とMWW骨格の剥離が減少し、ニッケル金属の置換が難しくなり、5.0Mを超える場合には、過度に低いpHに起因してMWW骨格の構造が崩れることがある。
【0037】
また、前記ニッケル前駆体水溶液は、酸成分、好ましくは、硝酸を含み、pH4.0以下である。これは、前記(b)段階の水熱処理中に酸性のニッケル前駆体溶液によってB-MWW(P)からホウ素(boron)を除去し、活性金属であるニッケルで置換することができ、この過程でMWWの層間結合が破壊され、剥離されることにより、前記三次元のB-MWWは、二次元のニッケルシリケート分子篩に変形することができるためである。
【0038】
また、前記水熱処理時温度は、100~200℃とする。これは、100℃未満の場合、三次元のB-MWW(P)が十分に剥離せず、脱ボロン化サイトへのニッケル置換程度が減少し、二次元のニッケルシリケート分子篩の形成に困難が発生することがあり、また、前記担体内に欠陥サイトが増加する一方で、骨格と結合するニッケル含有量が減少し、触媒活性サイトが減少することができる。なお、200℃を超過する場合には、高温によって剥離したMWWに結合したニッケルよりも、ニッケル前駆体の凝集によるニッケルクラスタの形成が増加し、均一な組成を得ることが難しくなる。したがって、前記水熱処理は、100~200℃で行われ、好ましくは、140~160℃で行われ得る。
【0039】
また、前記水熱処理時間は、工程速度および反応環境によって調節することができ、限定されず、一例として、1~4であってもよい。
【0040】
前記(b)段階後、ろ過、乾燥およびこれを焼成する段階をさらに含んでもよい。このような過程は、一般的に知られている方法によって実施することができ、ここでは、詳細に説明せず、前記焼成段階を通じて前記二次元ニッケルシリケート分子篩から骨格内に存在する閉塞された有機構造誘導体を除去することができる。
【0041】
このような本発明の製造方法によれば、ニッケルは、基本的にMWW骨格内ホウ素が位置するサイトで置換され、MWW骨格内Si-O-Ni結合を形成することになり、ニッケル結合位置の制御およびゼオライトとの相互作用を向上させることができ、特に前記三次元のMWWは、層が剥離し、前記ニッケル結合が外部に暴露された二次元骨格を形成することにより、活性ニッケルを有する広い外部表面積(external surface areas)の増加により触媒活性が増加する。
【0042】
したがって、前記方法によって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒は、二次元ニッケルシリケート分子篩骨格の特性およびニッケル含有量によって向上したメタンの乾式改質反応性、すなわちCHおよびCO転換率の向上を示す。
【0043】
具体的には、前記二次元ニッケルシリケート分子篩触媒のSi/Bのモル比は、11~130であり、Si/Niのモル比は、1.5~30である。二次元ニッケルシリケート分子篩触媒は、骨格内SiおよびNiの他にもBを含んでもよいが、前記ボロンがSi/B比において11未満で含まれる場合、活性Niが前記二次元ニッケルシリケート分子篩骨格のボロンを十分に置換しないため、触媒活性が不十分になる問題がある。
【0044】
一方、二次元ニッケルシリケート分子篩触媒骨格内ニッケルがSi/Niの割合において1.5未満で含まれる場合、分子篩触媒内Niが過量含まれ、分子篩内Si-O-Ni結合の他にも、分子篩内あるいは表面にNiが凝集した形態で存在し、かえって触媒活性を阻害することができ、30を超える場合には、前記分子篩内活性を有するNi含有量が不十分で、触媒活性が減少する。
【0045】
したがって、前記二次元ニッケルシリケート分子篩触媒は、骨格内SiおよびNiを有し、Si/Niのモル比は、1.5~30、好ましくは、4~25であり、Si/Bのモル比は、11以上とする。
【0046】
このような構成および骨格特性を有する前記二次元ニッケルシリケート分子篩触媒は、700℃でのメタンの乾式改質反応においてメタンおよび二酸化炭素に対する触媒不活性化率が5%未満であってもよい。
【実施例
【0047】
以下、本発明のより具体的な説明のために実施例に基づいて説明する。しかしながら、下記実施例は、ただ本発明の好ましい実施例であり、本発明が下記実施例に限定されるわけではない。
【0048】
<実施例>
1.材料
B-MWW前駆体の合成に使用されたヘキサメチレンイミン(hexamethyleneimine)(99%)と水酸化ナトリウム(99%)は、Sigma-Aldrich(米国)から購入したものであり、ホウ酸(boric acid)(99.5%)は、Junsei Chemical(日本国)から購入し、フュームドシリカ(fumed silica)は、Evonik(日本国)から購入した。ニッケル前駆体としてnickel(II)nitrate hexahydrate(Ni(NO・6HO)(98%)をサムチョン(韓国)から購入した。
【0049】
2.メタンの乾式改質反応のためのニッケルシリケート触媒の製造
(1)実施例1~9の製造
:Ni-DML(Delaminated MWW layers)-X-Y-Z触媒
a)B-MWW前駆体の製造[B-MWW(P)]
ヘキサメチレンイミンと水酸化ナトリウムを蒸留水(deionized water)に溶解させた後、ホウ酸を50℃で添加した。ホウ酸が完全に分解した後、フュームドシリカを徐々に添加し、溶液を均質化した。
【0050】
前記均質化した最終溶液をテフロン(登録商標)ライニングステンレス鋼オートクレーブに移し、100rpmで撹拌しつつ、175℃で7日間加熱した。
【0051】
その後、蒸留水でろ過し、白色固体を回収した後、これを室温(room temperature)で乾燥し、B-MWW前駆体[B-MWW(P)]を製造した。
【0052】
b)Ni-DML(Delaminated MWW layers)の製造
前記製造されたB-MWW(P)を0.25~1Mの硝酸ニッケル水和物(nickel(II)nitrate hexahydrate)水溶液に0.02g/mLの割合で添加し、混合した。前記混合溶液を水熱合成装置(Teflon-lined stainless autoclaves,PARR Instrument Company)に入れ、0~100rpmで撹拌しつつ、100~160℃で1~4日間加熱した。
【0053】
その後、脱イオン水で洗浄およびろ過し、常温(RT)で乾燥した後、550℃で8時間焼成した。
【0054】
これによって、Ni-DML-X-Y-Zを製造し、ここで、X、Y、Zは、それぞれ水熱合成時に温度、水熱処理時間、硝酸ニッケルのモル濃度を意味し、前記X、Y、Zによって実施例1~9で製造した。
【0055】
(2)比較例1の製造:Ni/γ-Al
担体がγ-Alであり、活性金属の前駆体を硝酸ニッケル水和物(nickel(II)nitrate hexahydrate)とし、初期湿式含浸法で5wt%のニッケルが含浸したNi/γ-Alを製造した。前記合成されたNi/γ-Alを100℃で一晩中乾燥させた後、550℃で3時間焼成した。
【0056】
(3)比較例2の製造:Ni/B-MWW
前記Ni/γ-Alと同じ方法を適用するものの、B-MWWを担体として使用してNi/B-MWWを製造する。
【0057】
(4)対照群:B-MWW
前記実施例で製造されたB-MWW前駆体を対照群とする。
【0058】
前記それぞれの方法で製造されたメタンの乾式改質反応用ニッケルシリケート触媒を下記表1に示した。
【0059】
【表1】
【0060】
3.触媒物性分析
(1)ICP分析
図2(a)は、前記製造された実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)の組成をICPで元素分析して窒素含有量を測定して示すグラフであり、下記表2は、前記元素分析をベースとして、MWW unit cellの72 T-atomsを仮定して、前記実施例1~4の骨格組成を計算して示したものであり、モル比を基準とする。ただし、□は、欠陥サイトを意味する。
【0061】
【表2】
【0062】
図2(a)および表2で、前記実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)のNi含有量は、前記触媒製造時の水熱合成温度の上昇と比例して増加した。
【0063】
これは、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)の製造時に、水熱合成によって層間剥離とニッケル置換メカニズムが単一段階で行われるとき、100℃および120℃の相対的に低い温度で一部のニッケル原子は、ホウ素原子が除去されたフレームワーク空間に代替されるが、一部は、欠陥サイト(defect site)として残る。一方、相対的に高い温度である140℃と160℃では、1つ以上のニッケル原子が置換されたニッケルフレームワーク原子当たりの追加フレームワークに存在していてもよい。
【0064】
これによって、実施例4(Ni-DML-160-4-1)触媒は、フレームワークにニッケルを最も多く含んで、Si/NiFrameworkの割合が10.4であった。
【0065】
(2)N吸着等温線分析
図2(b)は、前記製造された実施例1~4触媒(Ni-DML-X-4-1)製造時の水熱処理温度によるN吸着等温線形態を示す図であり、水熱処理温度が増加するにつれてType Iのミクロポーラス(microporous)構造からType IVのメソポーラス(mesoporous)構造に特性が変化した。これを通じて、三次元のB-MWW前駆体から二次元の層状構造に成功裏に変化したことが分かる。
【0066】
また、図2(b)に示されている実施例4(Ni-DML-160-4-1)に対する吸着-脱着等温線のヒステリシスは、典型的な平行板状細孔(parallel plate-like pore)の特徴を有し、層間剥離した物質の特徴を示す。
【0067】
(3)BET分析
図2(c)は、実施例1~4触媒(Ni-DML-X-4-1)のBET分析結果を示す図であり、これを通じて、B-MWW(P)の剥離が高い水熱温度で進行されるほど、Ni-DMLの外部表面積(external surface areas)が増加することが分かる。
【0068】
4.触媒のメタンの乾式改質反応(DRM)分析
触媒のメタンの乾式改質反応(DRM)実験は、固定層マイクロ反応器を有する連続フロー装置で大気圧下で行われ、生成物は、熱伝導度検出器(TCD)が装着されたガスクロマトグラフィー(GC)で分析した。実験に先立ち、触媒は、700℃で3時間の間流れる純粋なH(50mL min-1)下で活性化し、同じ温度で0.5時間の間N(60mL min-1)でファジーした(ただし、必要に応じて、H前処理を行うことなく反応が行われた)。
【0069】
前記過程によって活性化した触媒0.1gを含む反応器に40vol.% CHおよび40vol.% COの供給ガスストリーム(blanced with N)を時間当たりの空間速度(gas hourly space velocity,GHSV)30,000mL gcat -1-1(CH、COおよびNで構成された供給ガスストリームをそれぞれ20、20および10mLmin-1の速度で供給し、DRM触媒活性を測定した。不活性気体Nは、GC-TCD分析時に、内部標準物質として使用し、DRM反応後、気体体積の増加による濃度変化を補正した。
【0070】
また、CH転換率、CO転換率およびH/CO比は、下記式によって計算した。
【0071】
CH転換率(%)={(CH)in-(CH)out}/(CH)in×100
CO転換率(%)={(CO)in-(CO)out}/(CO)in×100
/CO比=[(H)out/2(CH)in]/[(CO)out/{(CH)in+(CO)in}]
不活性化率=(10min転換-12h転換)/10min転換×100
【0072】
(1)反応温度による触媒活性
図3は、DRM測定温度および使用時間による実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)と比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)の触媒活性を示す図であり、下記表3は、これらの結果を整理して示すものである。
【0073】
まず、図3(a)~(c)は、700℃でDRMを測定し、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)と比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)それぞれに対するCH転換率、CO転換率およびH/CO比をそれぞれ比較して示す図であり、図3(a)、(b)および表3を通じて、700℃で類似した量のニッケルを有する実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)は、比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)に比べて、さらに高く、安定したCHおよびCOの転換を示すことが分かる。これは、コークス沈着による触媒不活性化が、実施例に比べて、比較例1および2において顕著に速い速度で現れるためである。
【0074】
一般的に、DRM反応中に、コークス形成は、Boudouard反応(2CO⇔C+CO)の増加により低い反応温度で非常に迅速に形成される。
【0075】
また、12時間の間実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)に対するCO転換率の不活性化率は、0~1%であるのに対し、比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)の不活性化率は、それぞれ10%および45%であった。これは、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)の場合、外部表面積に位置する高度で分散したニッケルサイトによって高い活性と卓越した安定性を維持することができるためである。
【0076】
また、実施例1~4において、水熱処理温度が高いほどニッケル活性サイトが増加し、CH転換率およびCO転換率が高くなった。
【0077】
図3(c)で、実施例1((Ni-DML100-4-1)~実施例3(Ni-DML-140-4-1)のH/CO比が約0.89であり、実験温度での熱力学的平衡値に近く現れた。一方、実施例4(Ni-DML-160-4-1)のCH転換率とH/CO比は、いずれも、熱力学的平衡値より高く現れた。このような結果は、高温のDRM条件で触媒メタンクラッキング(cracking)によってHおよび分子炭素が生成されるためである。
【0078】
図3(d)~(f)は、750℃でDRMを測定して、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)と比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)それぞれに対するCH転換率、CO転換率およびH/CO比を示す図であり、実施例1~4の触媒活性度は、反応条件が700℃である場合よりも、8~18%高く現れた。
【0079】
また、図3(a)~(f)で、比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)のH/CO比が、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)より低いことは、DRM条件でRWGS(reverse water gas shift)の影響と説明することができる。すなわち、RWGS反応は、COと水が反応し、COと水素が生成される反応であり、H/CO比が低いことは、RWGS反応が活発に起こることを意味し、これは、CH転換率より相対的に高いCO転換率によってさらに裏付けられる。
【0080】
また、図3(g)および(h)は、750℃でDRM反応するとき、実施例3(Ni-DML-140-4-1)を10日(表3に*で表示)、12時間および未使用(fresh)である場合に対して示したCHとCOの転換率およびラマンスペクトルである。これを通じて、実施例3は、10日間顕著な安定性および活性を維持し、触媒不活性度が測定されず、かえってTOS(Time on stream)中にCHとCOの転換率が1%または2%増加(図3(g))した。このような結果は、高い温度でメタンクラッキングまたはRWGSのような吸熱副反応(endothermic side reaction)が発生するためであり、前記メタンクラッキングの影響は、高い温度でさらに顕著であり、その結果、H/CO比は、時間が経過するほど徐々に増加した。
【0081】
図3(h)のラマンスペクトルでは、実施例3触媒を12時間および10時間DRM反応に使用した場合、未使用触媒とは異なって、無秩序な黒鉛結晶および整列した黒鉛結晶に該当するシグナルが測定され、コークスが形成されたことが分かる。
【0082】
【表3】
【0083】
(2)水熱処理時間、ニッケル前駆体の濃度による触媒活性
図4および下記表4に水熱処理時間、ニッケル前駆体の濃度による触媒活性を示した。
【0084】
図4(a)~(c)は、750℃でのDRM反応時に、実施例4~7(Ni-DML-160-Y-1)の水熱処理時間によるCH転換率、CO転換率およびH/CO比をそれぞれ示す図であり、水熱処理時間による触媒活性度の差異は、大きくないことが分かった。
【0085】
一方、図4(d)~(f)は、750℃でのDRM反応時に、実施例4、8および9(Ni-DML-160-4-Z)のニッケル前駆体の濃度によるCH転換率、CO転換率およびH/CO比を示す図であり、ニッケル前駆体の濃度が低い場合(0.25~0.5M)、触媒活性が相対的に低く現れた。
【0086】
【表4】
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2023-12-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)層状のボロシリケートMWWゼオライト骨格型前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、
(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含む、メタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階は、Si/Bのモル比が5.0~20.0のB-MWW(P)を合成することを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項3】
前記(b)段階でニッケル前駆体の濃度は、0.1~5.0Mであることを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項4】
前記(b)段階の水熱処理温度は、100~200℃であることを特徴とする請求項1に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【請求項6】
前記触媒のSi/Niのモル比は、1.5~30であることを特徴とする請求項5に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【請求項7】
前記触媒は、700℃でのメタンの乾式改質反応においてメタンおよび二酸化炭素に対する触媒不活性化率が5%未満であることを特徴とする請求項5に記載のメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
上記目的を達成するために、本発明は、(a)層状のボロシリケートMWWゼオライト骨格型前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含むメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
図1図1は、本発明の一実施形態によるニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法およびメタンの乾式改質反応の要約図である。
図2図2は、本発明の一実施形態による(a)ICP元素分析を通したニッケル含有量、(b)N吸着等温線、(C)BET表面積を示す図である。
図3図3は、本発明の一実施形態による700℃でのDRM反応時に実施例1~4、比較例1および比較例2の(a)CH転換率、(b)CO転換率および(c)H/CO比と、750℃でのDRM反応時に実施例1~4、比較例1および比較例2の(d)CH転換率、(e)CO転換率および(f)H/CO比を示し、750℃でのDRM反応における実施例3の10日、12時間および未使用(fresh)に対する(g)CH転換率、CO転換率およびH/CO比と(h)ラマンスペクトルを示す図である。
図4図4は、本発明の一実施形態による750℃でのDRM反応時に実施例4~7の水熱処理時間による(a)CH転換率、(b)CO転換率および(c)H/CO比と、750℃でのDRM反応における実施例3の10日、12時間および未使用(fresh)に対する(d)CH転換率、750℃でのDRM反応時に実施例4、8および9(Ni-DML-160-4-Z)のニッケル前駆体の濃度による(d)CH転換率、(e)CO転換率および(f)H/CO比を示す図である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0029
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0029】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、一態様において、(a)層状のボロシリケートMWWゼオライト骨格型前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階と、(b)前記B-MWW(P)にニッケル前駆体を添加し、水熱処理する段階と、を含むメタンの乾式改質反応用二次元ニッケルシリケート分子篩触媒の製造方法を提供する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明において、(a)段階は、(a)層状のボロシリケートMWWゼオライト骨格型前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
前記(a)段階では、このような構造的特異性を有する三次元MWW骨格型ゼオライトの骨格内にボロンを含んで層状のボロシリケートMWWゼオライト骨格型前駆体[B-MWW(P)]を合成する段階であり、前記ボロンは、MWW骨格内にSi-O-Bの形態で結合し、Si/Bのモル比は、5.0~20.0であってもよく、好ましくは、10~15であってもよい。前記Si/Bのモル比が5より小さい場合、B-MWW(P)にBが過量含まれていて、Si含有量が相対的に不足し、三次元のMWW骨格型ゼオライトを形成するのに困難があり、20より大きい場合には、B-MWW(P)でSiに対する相対的なBの含有量が減少し、水熱処理時にニッケル金属で置換され得るサイトが減少し、そのため、触媒活性の低下を誘発することができる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
3.触媒物性分析
(1)ICP分析
図2(a)は、前記製造された実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)の組成をICPで元素分析してニッケル含有量を測定して示すグラフであり、下記表2は、前記元素分析をベースとして、MWW unit cellの72 T-atomsを仮定して、前記実施例1~4の骨格組成を計算して示したものであり、モル比を基準とする。ただし、□は、欠陥サイトを意味する。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0071
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0071】
CH転換率(%)={(CH)in-(CH)out}/(CH)in×100
CO転換率(%)={(CO)in-(CO)out}/(CO)in×100
/CO比=[(H)out/2(CH)in]/[(CO)out/{(CH)in+(CO)in}]
不活性化率=(10転換-12h転換)/10転換×100
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
また、図3(a)~(f)で、比較例1(Ni/γ-Al)および比較例2(Ni/B-MWW)のH/CO比が、実施例1~4(Ni-DML-X-4-1)より低いことは、DRM条件でRWGS(reverse water gas shift)の影響と説明することができる。すなわち、RWGS反応は、CO 水素が反応し、COが生成される反応であり、H/CO比が低いことは、RWGS反応が活発に起こることを意味し、これは、CH転換率より相対的に高いCO転換率によってさらに裏付けられる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0081】
図3(h)のラマンスペクトルでは、実施例3触媒を12時間および10DRM反応に使用した場合、未使用触媒とは異なって、無秩序な黒鉛結晶および整列した黒鉛結晶に該当するシグナルが測定され、コークスが形成されたことが分かる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0082
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0082】
【表3】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
【表4】
【国際調査報告】