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特表2024-522965ステレオリソグラフィシステムの較正の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】ステレオリソグラフィシステムの較正の方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/129 20170101AFI20240618BHJP
   B29C 64/264 20170101ALI20240618BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240618BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240618BHJP
【FI】
B29C64/129
B29C64/264
B29C64/393
B33Y10/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565639
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022026196
(87)【国際公開番号】W WO2022232058
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/179,876
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.FIREWIRE
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】507410009
【氏名又は名称】ローレンス リヴァーモア ナショナル セキュリティ,エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】519185030
【氏名又は名称】3ディー システムズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】モラン,ブライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,ブライアン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバー,マシュー ケネス
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,ジョーダン
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AA43
4F213AP12
4F213AQ01
4F213AR16
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL12
4F213WL23
4F213WL43
4F213WL45
4F213WL76
4F213WL82
4F213WL85
(57)【要約】
プロダクトを生産するためのシステムがここに提供される。当該システムは概して、大面積マイクロステレオリソグラフィシステムと、光学撮像システムと、大面積マイクロステレオリソグラフィシステム及び光学撮像システムと通信するコントローラとを有する。大面積マイクロステレオリソグラフィシステムは、ビルド面にて硬化性樹脂の逐次層を光重合することによってプロダクトを生成することが可能である。コントローラは、キャプチャされた画像に基づいて基準ターゲットの焦点レベルを分析し、該分析に基づいて、ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームの焦点特性を調整することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、
前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを配置し、
前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記基準ターゲットの画像をキャプチャし、
前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記基準ターゲットの焦点レベルを分析し、
前記分析に基づいて、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームの焦点特性を調整する、
ことを有する方法。
【請求項2】
前記基準ターゲットの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記基準ターゲットは反射性である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光学撮像システムは、前記ビルド面とアライメントされる可動ステージ面上に配置されたカメラを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、
前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面上にテストパターンを投影し、
前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記テストパターンの画像をキャプチャし、
前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記テストパターンの焦点レベルを分析し、
前記分析に基づいて、前記投影画像ビームの焦点特性を調整する、
ことを有する方法。
【請求項7】
前記テストパターンの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記投影画像ビームは、前記ビルド面に位置する感光性樹脂の重合を前記投影画像ビームが生じさせないように選択された波長、放射照度、及び露光時間を有する、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記テストパターンはスポットである、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記光学撮像システムは、前記ビルド面とアライメントされる可動ステージ面上に配置されたカメラを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、
前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面に近接して可動ステージを配置し、
前記可動ステージ上に基準ターゲットを、該基準ターゲットの可視表面が前記ビルド面とアライメントされて前記ビルド面内にあるように配置し、前記基準ターゲットはマーキングを有し、
前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、照明されたピクセルを前記ビルド面上に投影し、
前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記照明されたピクセル及び前記マーキングの画像をキャプチャし、
前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記照明されたピクセルと前記マーキングとの相対位置を分析し、
前記分析に基づいて、前記投影画像ビームのアライメント特性を調整する、
ことを有する方法。
【請求項13】
前記基準ターゲットはフォトマスクである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、
前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを配置し、
前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、既知の強度のピクセルを前記ステレオリソグラフィシステムの前記ビルド面上に投影し、
前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記ピクセルの画像をキャプチャし、
前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記画像内の前記ピクセルの輝度を分析し、
前記分析に基づいて、前記投影画像ビームのグレースケールバイアス特性を調整する、
ことを有する方法。
【請求項15】
前記基準ターゲットは反射性である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基準ターゲットは発光性又は蛍光性である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、
前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを生成し、
前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記基準ターゲットの画像をキャプチャし、
前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記基準ターゲットの焦点レベルを分析し、
前記分析に基づいて、前記ステレオリソグラフィシステムの前記投影画像ビームの焦点特性を調整する、
ことを有する方法。
【請求項18】
前記基準ターゲットの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記光学撮像システムは、前記ビルド面とアライメントされる可動ステージ面上に配置されたカメラを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2021年4月26日に出願された米国仮出願第63/179,876号の利益を主張する非仮出願であり、その開示をその全体にてここに援用する。
【0002】
この発明は、米国エネルギー省によって授与された契約番号第DE-AC52-07NA27344の下で米国政府の支援を受けてなされたものである。米国政府は、本発明に一定の権利を持つ。
【0003】
ここに記載される主題は、プロダクトを製造するための光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィシステムと、関連する装置及び方法とに関する。このマイクロステレオリソグラフィシステムは、他を排しないが、特にパーツの3Dプリンティングに関して有用性を持つ。
【背景技術】
【0004】
マイクロステレオリソグラフィのコンセプトは、プラスチックコンポーネント及び他の複雑な3D物体の迅速な試作及び小規模生産において使用されている。流体媒体内に、物体が、該媒体の表面又はその近くに位置するビルド面又はプリント面に放射ビームを集束させての該媒体の選択的硬化によって生成される。3Dモデル(例えば、CADソフトウェア、3D走査を使用して、又は他の手段によって生成される)が2Dスライスに細分化され、各スライスが複数の領域に細分化され得る。次いで、投影装置が、各領域の像を、相当するビルド面の領域に露光することができる。これは、数百ミリメートル以上の大きさのエリアにわたって、ほんの数十ミクロンのサイズのボクセルでの極めて高解像度の露光を可能にする。そして、露光された層が昇降機システムを用いて媒体中に下げられることで、もはや空(エンプティ)のビルド面内で新たな層を露光することができる。斯くして、完成した3D物体が製造されるまで、大きなフォームを迅速に、信頼性高く、且つ再現可能に構築することができる。このような原理は、例えば、Moranの米国特許出願公開第2016/0303797号に記載されており、それを、あたかもここに完全に記載されているかのように援用する。
【0005】
しかしながら、そのようなマイクロステレオリソグラフィシステムは、ビルド面にわたるビーム焦点及び強度の望ましくない変動及びその他を含め、システムの解像度及び/又はビームレジストレーションを劣化させて、より低い品質のパーツをもたらし得る数多くの欠点を持つ。従って、上述の及びその他の懸念事項に対処する改良されたマイクロステレオリソグラフィシステムに対する長年のニーズが存在する。
【0006】
本明細書のこの背景技術セクションに含まれる情報は、ここで引用されるいずれの参考文献及びその説明若しくは考察を含めて、単に技術的な参照目的で含められており、本開示の範囲がそれによって拘束される主題と見なされるべきでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0303797号明細書
【発明の概要】
【0008】
光学システムと、空間光変調器(spatial light modulator;SLM)と、ビーム送達システムと、硬化性樹脂の槽と、該槽内の昇降機システムと、光学撮像システムとを含んだ、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(optically calibrated,large-area microstereolithography;OCLAuSL)システムが開示される。物体の3Dモデル(例えば、CADモデル又は3D画像)がスライス及びスライス領域に細分化される。ビルド面全体の所望のボクセルが露光されるまで、各スライス領域が、硬化性樹脂槽の表面付近のビルド面又はプリント面の対応する領域上に投影され、斯くして露光された領域を固体ポリマーへと架橋させる。次いで、新たな層を露光することができるように、昇降機が下降し、新しい樹脂をビルド面に持って来る。完成した3D物体が作成されるまで、新たな層が製造される。ビルド面又はプリント面が複数の領域に細分化されるので、各露光の解像度を非常に高くし得る(例えば、数十ミクロン以下のボクセルサイズ)一方で、ビルド面を可能性として非常に大きくし得る(例えば、数百ミリメートル以上)。光学撮像システムを用いて、ビルド面を撮像してマイクロステレオリソグラフィシステムの光学系を較正し、斯くして、ビルド面全体にわたって一貫したレジストレーション、露光、及び画像解像度が確保される。このプロセスは、トップダウンプリントに限定されない。後続の層ごとにビルドプラットフォームを上昇させて、窓を通して槽内へ上向きに投影を行うこともできる。
【0009】
ここに開示される光学較正式マイクロステレオリソグラフィシステムは、他を排しないが、特に、有用な物体の3Dプリンティングに関して有用性を持つ。
【0010】
この概要は、詳細な説明で更に後述される複数の概念の一部を簡略化した形態で紹介するために提示されるものである。この概要は、特許請求される事項の主要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではないし、特許請求される事項の範囲を限定することを意図したものでもない。請求項にて定められる光学較正式マイクロステレオリソグラフィシステムの特徴、詳細、有用性、及び利点のより広範な提示が、以下に記載される本開示の様々な実施形態の説明にて提供され、添付の図面に示される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の例示的な実施形態が、以下を含む添付の図面を参照して説明される。
図1】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)システムの一例の少なくとも一部の概略図である。
図2】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例の少なくとも一部の概略図である。
図3】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSL方法の一例のフロー図を示している。
図4】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例のビルド面の少なくとも一部の概略図である。
図5】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例のビルド面の少なくとも一部の概略図である。
図6】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例の少なくとも一部の概略側断面図である。
図7a】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例のビルド面の少なくとも一部の斜視図である。
図7b】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例の硬化性樹脂の槽の少なくとも一部の斜視図である。
図8】本開示の実施形態に従った、プロセッサ回路の概略図である。
図9】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)方法の一例のフロー図を示している。
図10】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)焦点較正方法の一例のフロー図を示している。
図11】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)焦点較正方法の一例のフロー図を示している。
図12】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)アライメントマッピング較正方法の一例のフロー図を示している。
図13】本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)輝度較正方法の一例のフロー図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の少なくとも1つの実施形態によれば、微視的な造形を有する複雑で巨視的な3次元コンポーネントの迅速な製造に使用されることができる光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィシステムが提供される。当該システムは、マイクロステレオリソグラフィを通じて大きくて詳細な物体を作り出すために、液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン又はデジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)などの空間光変調器(SLM)を、走査式の光学投影システムと連係して使用する。3Dコンピュータモデルが複数のスライスに細分化され、各スライスが複数の領域に細分化され、各領域がSLMに通信されて像を形成する。そして、SLM像が、放射線露光の結果として架橋又は他の方法で硬化する感光性の液体(例えば、樹脂)上に投影される。この投影は、SLM像それ自体よりも遥かに大きいビルド面又はプリント面の異なるビルド領域にSLM像を向けることができる走査光学システムを用いて遂行される。SLM上の新たなモデル領域の結像は、各像がビルド面の適切な部分に向けられるように光学システムと連係され、結像されるモデル領域及びビルド面投影位置は離散的(例えば、フラッシュアンドムーブ結像)又は連続的のいずれかで変化する。ビーム方向付け光学系を用いて、SLMパターンが更新されるときに投影がビルド面上の新たな位置に移動され、感光性の流体中に、単一のSLM像よりも遥かに大きな、大きい連続像を作り出す。これは、非常に大きな、とはいえ小さい造形サイズを持った、パーツ又はプロダクトを製造することを可能にする。斯くして、1つのマイクロステレオリソグラフィシステムがかなりの面積をカバーする。しかしながら、よりいっそう大きいアイテムを製造するために、複数のマイクロステレオリソグラフィシステムを共に組み合わせて、それらのビルド面がよりいっそう大きい面積をカバーするようにすることもできる。2つ以上のマイクロステレオリソグラフィシステムのSLM像及び走査光学系を連係させることにより、1つのプロセッサ又はコントローラで、組み合わされたビルド面にわたって必要なパターンを生成することができ、これは、更なるマイクロステレオリソグラフィシステムを含めることによって任意のサイズに増大されることができる。
【0013】
当該OCLAuSLシステムはまた、光学撮像システムを含む。光学撮像システムは用いてビルド面を撮像することができる。より具体的には、光学撮像システムは、例えば、基準コンポーネント若しくはテストパターン、又は既知の光学特性を有するミラー若しくは他の基準ターゲットなどの、ビルド面内のアイテムを撮像することができる。そして、CPU、プロセッサ、又はコントローラが、ビルド面の1つ以上の画像を分析して、例えば輝度若しくは焦点などの光学システムのパラメータ、又は例えばSLM画像のグレースケール特性などのSLMのパラメータ、又は焦点、画像位置決めなどのビーム送達システムのパラメータに対する調整を行うことができる。斯くして、新たなプロダクトの製造前に、又はプロダクトの製造中にリアルタイム若しくは略リアルタイムに、のいずれかで、光学撮像システムを用いてマイクロステレオリソグラフィシステムを較正することができる。
【0014】
他のステレオリソグラフィシステムと同様に、重合の体積速度(単位時間当たりに液体から固体に変わる体積)は、少なくとも部分的に、樹脂の臨界エネルギー及び重合用の光の総パワーによって決定され得る。例えば、ここに記載されるシステムの一部の実施形態は、1時間当たり数リットル程度の速度で樹脂を重合させることが可能であり得るが、より速い速度及びより遅い速度も企図される。
【0015】
当該OCLAuSLシステム、装置、及び方法は、プロダクトの面積又は体積にわたって一貫した高解像度の造形(例えば、人間の細胞のスケールに匹敵した、数十ミクロン以下のボクセルサイズ)で、大きいアイテム(例えば、数十、数百、若しくは数千ミリメートルのサイズ、あるいは、より大きいとより小さいとの両方の他のサイズ)を迅速に製造することができる。一部のケースにおいて、製造されたアイテムは、完成したプロダクトとしてそのまま使用されることができる。他のケースにおいて、製造されたアイテムは、その後に、ポリマー、金属、又はセラミック物体のための鋳造、ブロー成形、射出成形、熱成形、及び他の製造プロセス用の金型又はマスターとして使用されることができる。
【0016】
製造される物体又はプロダクトは最終的にボクセル(例えば、3次元ピクセル)で構築されるので、その構造は、十分に微細なスケールで見たときに“ピクセル化された”ように見え得る。しかしながら、本開示の1つの利点は、そのようなピクセル化が、微細過ぎて人間の眼によって知覚されないスケールで行われ得ることである。
【0017】
大きい体積又は断面積を有する一貫して微細な造形のアイテムを作製できるこの能力は、当該OCLAuSLシステム、装置、及び方法を他の技術から区別し、試作品の迅速な製造だけでなく、個々の顧客向けの完成したカスタマイズされた少量生産プロダクトの迅速な製造を容易にする。光硬化性媒体はまた、金属、セラミック、又は他の材料(例えば、木材)の粒子を含んでいてもよく、複合部品の製造を可能にし、及び/又は、ポリマーの除去と(例えば)金属若しくはセラミック成分の焼結を可能にし、ひいては純粋な金属又はセラミック部品の生産を可能にする。
【0018】
本開示の原理の理解を促進させる目的で、ここでは図面に示した実施形態を参照し、また、特定の言語を用いてそれを説明する。とはいえ理解されることには、本開示の範囲に対する如何なる限定も意図していない。本開示が関係する当業者が通常に思い付くような、説明されるデバイス、システム、及び方法に対する如何なる改変及び更なる変更、並びに本開示の原理の任意の更なる適用は、本開示内で完全に企図されており本開示に含まれる。特に、1つの実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップが、本開示の他の実施形態に関して説明される特徴、コンポーネント、及び/又はステップと組み合わされ得ることは完全に企図されている。しかしながら、簡潔にするために、それらの組み合わせの数多くの繰り返しを別々に説明することはしない。
【0019】
これらの説明は、単に例示目的で提供されるものであり、光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィシステムの範囲を限定するように考えられるべきでない。特許請求される主題の主旨から逸脱することなく、ある特定の特徴が追加されたり、除去されたり、変更されたりし得る。
【0020】
図1は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)システム100の一例の少なくとも一部の概略図である。OCLAuSLシステム100は、ビルド面190上に画像ビーム185を投影するOCLAuSLビームユニット110を含む。
【0021】
OCLAuSLビームユニット110は、光ビーム113を生成する光学システム112を含んでおり、そして、光ビーム113が、画像を生成する空間光変調(SLM)システム114を通して又はその上に投射される。SLMシステムは、例えば、ビーム113が通り抜ける液晶ディスプレイ(LCD)スクリーン、又はビーム113が反射するデジタルマイクロミラーディスプレイ(DMD)、又は開口を有する1つ以上の回転ディスク(回転ディスク共焦点マイクロスコピーにおいてのような)、又は光ビーム113から変調画像光115を生成する目的を果たす他のタイプの空間光変調器114とし得る。SLMシステムは、例えば、640×480ピクセル、1024×768ピクセル、1920×1080ピクセルの解像度、又はより大きいとより小さいとの両方の他の解像度を持つとし得る。一部の実施形態において、光学システム112及びSLMシステム114は、1つのシステムへと組み合わされてもよい。例えば、マイクロLEDアレイなどの光源のアレイを直接画像化して変調画像光115を生成してもよい。どのように生成されるかにかかわらず、変調画像光115は、次いで、画像ビーム185をビルド面190上に投影するビーム送達システム116を通される。
【0022】
OCLAuSLシステム100はまた、光学システム112、SLMシステム114、及びビーム送達システム116を制御したり、これらに命令を送ったりすることが可能なできるコントローラ、中央演算処理ユニット(CPU)、又はプロセッサ170を含む。一部の実施形態において、光学システム112、SLMシステム114、又はビーム送達システム116のうち1つ以上が、それ自身のコントローラ170を含んでいてもよく、それらの実施形態のうちの一部において、それらのコントローラ170は互いに及び/又は別個のコントローラ170と通信する。
【0023】
コントローラ170は、所望のプロダクトの3Dモデル120を含んでおり、あるいは、それを受け取る。そして、コントローラは、3Dモデル120を複数の2Dスライス130に分割し、あるいは、別のソースから複数の2Dスライス130を受け取る。例えば、3Dモデルは、2、10、100、1000、10000、100000、100万、又はそれより多くのスライスに分割され得る。各スライスは、構築される物体又はプロダクトを通る平面状の断面を画成し、個別に(例えば、一連のBMP、JPEG、又は他の画像ファイルとして)格納されることができる。次いで、個々のスライス140に対して、コントローラは、2Dスライス140を複数の領域150に細分化し、あるいは、別のソースから複数の領域150を受け取る。一例において、一部のスライスは1つの領域のみを有し得るが、領域が重なり合わない場合、数百の領域が存在することができ、領域が重なり合う場合、各スライス内に可能性として数百万の領域が存在し得る。他の構成も可能であり、本開示の範囲内にある。
【0024】
これらの領域も、任意の所望のフォーマットで個々の画像ファイルとして格納され得る。そして、コントローラは、複数の領域150から現在の領域160を選択し、現在の領域160についての情報をSLMシステム114に送り、SLMシステム114が、ビーム113から変調画像光115を生成し、それを、所望の物体又はプロダクトの3Dモデル120の現在の2Dスライス140の現在選択された領域160の画像とし得る。次いで、変調画像光115はビーム送達システム116を通され、ビーム送達システム116は、例えば、変調画像光115を、3Dモデル120の対応する部分の画像及び故に所望のプロダクトの対応する部分の画像を含んだ投影画像ビーム185へと拡大してフォーカシングする又は縮小してフォーカシングすることができる。投影画像ビーム185は、SLM114によって生成された画像がビルド面190上にフォーカシングされるようにビルド面190と交わる。投影画像ビーム185は、モノクロ(例えば、白黒)画像若しくはグレースケール画像、又はこれらの組み合わせを含み得る。グレースケールピクセルの輝度又は白色レベルは、ビルド面内のボクセルの硬化の量、又はボクセルを完全に硬化させるのに必要とされる露光時間に影響を及ぼし得る。カラー画像も使用され得るが、一部のケースにおいて、色は感光性樹脂の硬化に影響を与えないとし得る。1つの色が樹脂を全く硬化させず、例えば、構築中の物体に影響を及ぼさないガイドマーカーをビルド面上に投影するために使用され得るケースを含め、他のケースでは、画像の所与のピクセルの色(例えば、波長)が、ビルド面内のボクセルの硬化の量、又はボクセルを完全に硬化させるのに必要な露光時間に影響を及ぼし得る。投影画像ビーム185のこの変調は、一部の場合に“ダイナミックマスキング”と呼ばれることがある。
【0025】
ビルド面190は、現在選択されている2Dスライス140の複数の領域150のうちの1つの領域160に各々が対応する複数のビルド領域195に細分化される。現在照明されているビルド領域197が投影画像ビーム185によって露光されることで、後述するように、ビルド面のその部分内の光硬化性樹脂が投影画像ビーム185の明るい部分によって露光されて固化されることができる一方で、投影画像ビーム185の暗い部分内は液体のままである。画像領域160及びビルド領域197の選択及び露光は、離散的(例えば、フラッシュアンドムーブ露光)であってもよいし、連続的であってもよい。一部の例において、例えば10-20kHzなどの空間光変調器の変調レートで、又は60Hzのビデオフレームレートで露光してもよいが、代わりに、あるいは加えて、より高いとより低いとの両方の他のレートが用いられてもよい。
【0026】
現在の2Dスライスの複数の領域150のうちの異なる領域160を順次選択しながら、コントローラ170は、SLM114を用いて対応する画像を生成し、それらをビルド面190の複数のビルド領域195のうちの異なる選択ビルド領域197上に露光するように、ビーム送達システム116に指示する。斯くして、所望のプロダクトの完全な2Dスライスをビルド面190内に作り出すことができる。完成した3Dプロダクトは、後述するように、昇降機システムを用いてプロダクトを光硬化性樹脂槽内に下降させ、複数の2Dスライス130の各2Dスライス140を順次に露光することによって製造されることができる。
【0027】
OCLAuSLシステム100のOCLAuSLビームユニット110はまた、コントローラ170の制御下にある光学撮像システム118を含む。光学撮像システムは、ビルド面190の少なくとも一部を撮像することが可能である。一部の実施形態において、光学撮像システム118は、離散的走査か連続走査かにかかわらず、1つの画像又は逐次の画像のいずれかでビルド面190全体を撮像することが可能である。特に、光学撮像システム118を用いて、例えば、構築されている試験プロダクト、又は基準コンポーネント若しくはテストパターン、又は既知の光学特性を有するミラー若しくは他の基準ターゲットなどの、ビルド面内のアイテムを撮像することができる。そして、コントローラ170が、ビルド面、試験プロダクト、又は基準オブジェクトの1つ以上の画像を分析して、光学システム112のパラメータ(例えば、輝度、焦点、コリメーション、アライメントなど)、又はSLM114のパラメータ(例えば、画像のコントラスト、輝度、グレースケール特性など)、又はビーム送達システム116のパラメータ(例えば、焦点、アライメント、画像位置決めなど)に対する調整を行うことができる。斯くして、新たなプロダクトの製造前に、又はプロダクトの製造中にリアルタイム若しくは略リアルタイムに、のいずれかで、光学撮像システム118を用いてOCLAuSLシステム100を較正することができる。
【0028】
説明を続ける前に、留意されたいことには、上述の例は例示目的で提供されており、限定することは意図されていない。ここで説明された動作を実行するために他のデバイス及び/又はデバイス構成が利用されてもよい。
【0029】
図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステム100の一例の少なくとも一部の概略図である。OCLAuSLシステム100は、光学システム112、空間光変調(SLM)システム114、ビーム送達システム116、及び光学撮像システム118を含む。
【0030】
ビーム送達システム116は、選択されたビルド領域197上に画像ビーム185を投影する。一例において、投影画像ビーム185は、光学システム112によって生成された光の波長を全て含む。他の例において、投影画像ビームは、光学システム112によって生成される光のうち選択された波長(例えば、ビルド面内の感光性樹脂を硬化させるのに最も適した化学線波長)のみを含む。
【0031】
光学撮像システムは、選択されたビルド領域を撮像することが可能である。一部の実施形態において、光学撮像システムは、投影画像ビームからの反射光を用いて、選択されたビルド領域197を撮像する。他の実施形態において、光学撮像システムは、選択されたビルド領域197を、光学システムによって生成された光のうちの異なる部分(例えば、感光性樹脂の硬化にあまり適していない又はビルド面内の選択されたフィーチャを撮像するのに最も適した非化学線波長)で照らす。
【0032】
光学システム112は、例えば、ビーム発生器210及び調整光学系220を含み得る。ビーム発生器210は、例えば、発光ダイオード(LED)、スーパールミネセントダイオード(SLD)、レーザ、ハロゲン電球若しくは他の白熱光源、キセノンランプ若しくは他の電気アーク源、ライムライト若しくは他のカンドルミネセント(candoluminescent)源、又は、これらの組み合わせを含め当該技術分野で知られる他の光生成コンポーネントであるか、それを含むかし得る。一部の実施形態において、光は、ケーラー(Kohler)照明を含むように条件付けられ得る。ビーム発生器210は、単一波長、又は狭い範囲の波長、又は広い範囲の波長、又は複数の範囲の波長の光を生成し得る。放射される波長は、赤外波長、可視波長、及び紫外波長を含み得る。光学システム112はまた、調整光学系220を含み得る。調整光学系220は、例えば、コリメータ(例えば、ビームを絞るため)、ビームホモジナイザ、ビームエキスパンダ(ビームのサイズをSLM114のサイズに一致させるため)、1つ以上のフィルタ(例えば光化学反応を開始することが可能な化学線波長などの特定の波長の光を透過させる一方で、例えば非化学線波長などの他の波長を反射又は吸収するため)、1つ以上のミラー、1つ以上のレンズ、1つ以上のビームスプリッタ、1つ以上の瞳、1つ以上のシャッタ、1つ以上のビームエキスパンダ若しくはビームレデューサ、及び/又は、生成された光をSLMシステム114に向けるため及び/又は光学撮像システムのために選択されたビルド領域197を照明するために必要とされる当技術分野で知られる他の光学系を含み得る。調整光学系220はまた、ビームの状態(例えば、輝度、アライメントなど)をモニタリングすることが可能な1つ以上のセンサを含んでいてもよい。
【0033】
ビーム送達システム116は、例えば、ビームステアリングシステム230及びビームデリバリ光学系240を含み得る。ビームステアリングシステム230は、例えば回転ポリゴンミラーなどのステアリング可能なミラーであるか、それを含むかし得る。一例において、ビームステアリングシステムは、コントローラ170(図1参照)の制御下で樹脂槽内の適切な場所にSLM画像を送達するように構成された、10ミクロン又はそれより良い精度のマイクロ作動ミラーである。一部の実施形態において、ビームステアリングシステムは、2次元で離散的又は連続的にステアリング可能であって1つ以上のステッパモータ又はサーボモータによって動作可能であり得る1つ以上のガルバノメーターミラーを有する。一部の実施形態において、ビームステアリングシステムは、2次元でステアリング可能な1つのミラーとし得る。
【0034】
ビーム送達システム116はまた、ビームデリバリ光学系240を含み得る。ビームデリバリ光学系240は、例えば、1つ以上のミラー、1つ以上のビームエキスパンダ若しくはビームレデューサ(例えば、投影画像ビーム185のサイズを選択されたビルド領域197のサイズに一致させるため)、1つ以上の集束レンズ(例えば、投影画像ビーム185の焦点面が選択されたビルド領域197と同一平面上にあることを確保するため)、1つ以上のアパーチャ、1つ以上の走査レンズ(例えば、フラットフィールド走査レンズ)、及び/又は、ビームステアリングシステム230からの投影画像ビーム185を選択されたビルド領域197に送達するために必要とされる当技術分野で知られる他の光学系を含み得る。ビルド面は、後述するように、光硬化性材料の槽の最上層に生じ、所望のパターンを材料内に露光又は硬化し、あるいは、透明媒体(例えば、窓)を通して下から露光し、所望のパターンを下から硬化させてもよい。
【0035】
光学撮像システム118は、例えば、電荷結合素子(CCD)アレイ又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)カメラなどの撮像素子250と、撮像光学系260とを含み得る。撮像光学系260は、ビルド面190又は現在のビルド領域197の正確な像を撮像素子250に届けて、正確な像が撮像素子250によってキャプチャされ、(例えば、図1のコントローラ170によって)分析されることができるようにする機能を果たすレンズ、ミラー、ビームスプリッタ、シャッタ、瞳、及び、当業者に理解される他の光学コンポーネントを含み得る。
【0036】
一部の実施形態において、光学撮像システム118及びビーム送達システム116は、共通のレンズ又は開口180を含み得る。他の実施形態において、光学撮像システム118及びビーム送達システム116は各々、それ自身の別個のレンズ又は開口180を含む。
【0037】
OCLAuSLシステム100はまた、ビームを方向付けてアライメントするために必要な又は当業者が思い付くような他の光学コンポーネントを他の位置(例えば、SLM114とビームステアリングシステム230との間など)に含んでもよい。例えば、調整光学系220、ビームデリバリ光学系240、及び/又は撮像光学系260は、(i)SLMシステム114からの変調照明光を受け入れ、変調照明光をビルド面190の選択されたビルド領域197に向けること、及び(ii)ビルド面からの撮像光を受け入れ、撮像光を光学撮像システム118に向けること、が可能なビームスプリッタであるか、それを含むかすることができる。そのような構成及びその他は本開示の範囲内にある。
【0038】
図3は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)方法300の一例のフロー図を示している。昇降機の動作、ビームのオン/オフ、及び撮像表示が、コンピュータ、コントローラ、又はプロセッサによって制御及び同期される。
【0039】
ステップ310にて、方法300は、所望の物体又はプロダクトの3Dモデルを作成することを含む。これは、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)を使用して、所望の物体又はプロダクトの例の3Dスキャンによって、又は当技術分野で知られる他の手段によって行われ得る。
【0040】
ステップ320にて、方法300は、3Dモデルを複数のスライスに分割することを含む。スライスの数が、例えば、所望の物体又はプロダクトがOCLAuSLシステムによって生成されるZ分解能又はZボクセルサイズを決定し得る。例えば、所望の物体又はプロダクトが100ミリメートル高さである場合、それを1,000個のスライスに細分化すると、Z軸に沿って100ミクロンの最小フィーチャサイズをもたらすことになる。
【0041】
ステップ330にて、方法300は、現在選択されているスライスを複数のスライス領域に細分化することを含む。スライスは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1000、10000、又はそれより多くのスライス領域に再分割され得る。これらのスライス領域は、同じ又は同様のサイズのものであってもよいし、異なるサイズのものであってもよい。スライス領域は、境を接していてもよいし、重なり合っていてもよいし、隣り合うスライス領域間に間隙を含んでいてもよい。
【0042】
ステップ340にて、方法300は、選択されたスライス領域を空間光変調器(SLM)に送ることで、SLMが、光学システムによって生成される光ビーム内に選択されたスライス領域の画像を生成するようにすることを含む。一部の例において、SLM画像の各ピクセルの輝度は、オン又はオフの2つの取り得る値のみを持ち得る。他の例において、SLM画像の各ピクセルの輝度は、例えば、8、16、128、256、512、1024、又はそれより多くの取り得る値のグレースケールにあることができ、より大きい値はより明るいピクセルを表し、より小さい値はより暗いピクセルを表し、あるいは、その逆である。
【0043】
ステップ350にて、方法300は、SLM画像を調整可能なビーム送達システムに送ることを含む。
【0044】
ステップ360にて、方法300は、SLM画像をビルド面の選択されたビルド領域上に向けるように調整可能なビーム送達システムに命令することを含み、選択されたビルド領域のビルド面内での位置は、選択された2Dスライス内での選択されたスライス領域の位置に対応する。投影された画像は、光硬化性の樹脂又は液体を含むビルド面に焦点が合っており、それ故に、化学光が材料内に特定の形状又はパターンを形成する。これは、この位置にある感光性液体樹脂にSLM画像を露光し、SLM画像が明るいところの樹脂部分(例えば、ボクセル又はボクセルグループ)を固化させるとともに、SLM画像が暗いところの液体樹脂部分を変化しないままにすることになる。より明るいピクセルは、樹脂のいっそう多大な露光をもたらし、ひいては、より多くの架橋をビルド面内のその特定のボクセルにもたらすことになる。より多くの架橋は、固化した樹脂のいっそう高密度及び/又はいっそう堅いボクセルと関連付けられ、より少ない架橋は、固化した樹脂のいっそう低密度及び/又はいっそう柔らかいボクセルと関連付けられ得る。架橋が完了すると、又は少なくとも露光領域内のパターンがその完全性を保持するのに少なくとも十分となると、ステップ370へと実行が進む。
【0045】
ステップ370にて、方法300は、選択されたスライス内で次のスライス領域を選択することを含む。そして、ステップ340に実行が戻る。しかしながら、現在のスライスの全てのスライス領域がビルド面上に結像された場合、次のスライス領域は存在せず、ステップ380へと実行が進む。
【0046】
ステップ380にて、方法300は、樹脂槽内で昇降機プラットフォームを下降させることを含む。昇降機プラットフォーム及び樹脂槽は、例えば図6に示されている。昇降機プラットフォームを下降させることはまた、現在のスライスを樹脂槽のより深いレベルに下降させ、新しい樹脂がビルド面に流入することを可能にする。一部のケースにおいて、昇降機プラットフォームは、現在のスライスの厚さに等しいZ距離だけ下降される。“ダンキング”と呼ばれることもある他の例において、昇降機プラットフォームは、より大きい量だけ下降されてから、現在のスライスの厚さに等しいZ距離まで上昇される。ダンキングは、架橋副生成物によって汚染されていない清浄な樹脂がビルド面に流入することを可能にする。
【0047】
ステップ390にて、方法300は、3Dモデル内の次のスライスを選択することを含む。そして、ステップ330に実行が戻る。しかしながら、3Dモデル内の全てのスライスがそれまでに選択されている場合、次のスライスは存在せず、ステップ395へと実行が進む。
【0048】
ステップ395にて、所望の物体又はプロダクトの製造が完了する。換言すれば、完成した3D物体が製作されるまで、上で規定されたレイヤ・バイ・レイヤプロセスが続けられる。
【0049】
理解されることには、他の実施形態において、方法300のステップは、図3に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法300のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0050】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例のビルド面190の少なくとも一部の概略図である。図4に示す例において、ビルド面190は、8つのビルド領域195a-195gに細分化されている。OCLAuSLシステムによって製造されているプロダクト420のプロダクトスライス410が8つ全てのビルド領域にかかっている。プロダクトスライス410は、例えば、露光され、架橋され、固化された樹脂の複数の領域又はボクセルを有することができ、複数の積層されたプロダクトスライス410が完成したプロダクトを構成する。
【0051】
図4に示す例において、ビルド面190はまた、コントローラ170(図1参照)によるOCLAuSLシステムの較正を容易にするために光学撮像システム118(図1参照)によって撮像されることができる4つの基準コンポーネント、ターゲット、試験基板、又はテストパターン430を含んでいる。一部の実施形態において、基準コンポーネント、ターゲット、又はテストパターン430は、例えば、樹脂を露光又は架橋することができる化学線波長の光を用いてそれらをビルド面上に投影することによって、プロダクトスライス410と共にビルド面内に構築されることができる。他の実施形態において、基準コンポーネント、ターゲット、又はテストパターン430は、ビルド面内に置かれてもよいし、樹脂を露光又は架橋することができない波長の光を用いてビルド面上に投影されてもよい。基準ターゲット又はテストパターンは、例えば、放射状の対称性を持っていてもよいし(例えば、ドット)、変化する空間周波数の造形を持っていてもよいし(例えば、異なる幅のラインペア)、複数の異なる向きの変化する空間周波数の造形を持っていてもよいし(例えば、スポークターゲット)、認識可能なテキスト、記号、又は、これらの組み合わせを含め、当技術分野で知られる他の造形を含んでいてもよい。基準コンポーネント、ターゲット、又はテストパターン430の数、サイズ、形状、位置、向き、及び他の特性は、本開示の主旨から逸脱することなく、ここで図示又は説明されたものとは異なることができる。
【0052】
一例において、領域195が、図4に示す領域195が、195a、195b、195c、195d、195e、195f、195g、そして最後に195hと、アルファベット順に露光される場合、ビーム移動が最小化される。実装に応じて、例えばa-d-e-h-g-f-c-b又は何らかの他の可能な順序などの、他の順序の方が効率的であると判明し得る。レイヤを完成させるために必要なビーム移動及び/又は必要な総露光時間を最小化する円又は螺旋を含め、他の連続した又は離散的な露光パターンも望ましい場合がある。より一般的には、露光パターンは、続く露光間で投影の焦点を合わせ直す(リフォーカシングする)光学素子を動かすのに必要な時間を最小化するように選択され得る。螺旋パターンはその一例であり、何故なら、リフォーカシング素子があまり移動する必要がないからである。あるいは、露光パターンは、所与のタイルの露光と、それに隣接する又は重なる近傍の露光との間の平均又は最大時間を最小化するように選択されてもよい。ラスタ走査はそれを上手くやる。一部のケースにおいて、これは、隣接する又は重なるタイル間の継ぎ目の出現を減らすことができる。これらの組み合わせを含め、他の構成及び最適化が代替又は追加で使用されてもよい。
【0053】
完成される物体又はプロダクト420の解像度及びボクセルサイズは、SLM114(図1及び図2参照)の解像度及びビルド面190内の各ビルド領域195のサイズに依存する。同様に、完成される物体又はプロダクト420の最大サイズは、ビルド領域の数及び配置、並びにそれらのサイズに依存する。例えば、図4に示す8つのビルド領域195の各々が1024ミリメートル×768ミリメートルのサイズであり、且つSLM114の解像度が1024×768ピクセルである場合、ビルド面におけるボクセルサイズは1×1mmとなり、ビルド面の総面積は2048mm×3072mmとなり、新たなビルド領域を追加することによって増大されることができる。同様に、SLMの解像度を低下させることなくビルド面の寸法を1/100に縮小することは、0.01mmすなわち10ミクロンの最小フィーチャサイズで、20.48mm×30.72mmの最大プロダクトサイズをもたらすことになる。ビルド面のサイズはビルド領域のサイズから切り離され、それ故に、原理的には、任意のサイズのビルド領域で任意のサイズのビルド面をカバーすることができる。従って、画像ビームの倍率、並びにビルド面190内のビルド領域195のサイズ及び数を制御することにより、ユーザは、光学回折限界、振動公差、ビームアライメントに対する制限、及び当業者によって理解される他の実際上の制約によって制限されるのみで、任意の所望のサイズ及び解像度を有するプロダクトを構築することができる。
【0054】
図5は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステムの一例のビルド面190の少なくとも一部の概略図である。ビルド領域195a、195b、195c、及び195dが見えている。図5に示す例において、これらのビルド領域は重なり合っており、その結果、ビルド領域195a及びビルド領域195bの両方の部分を含む重なり領域510aと、ビルド領域195b及びビルド領域195cの部分を含む重なり領域510bと、ビルド領域195c及びビルド領域195dの部分を含む重なり領域510cと、ビルド領域195d及びビルド領域195aの部分を含む重なり領域510dと、ビルド領域195a、195b、195c、及び195dの部分を含む重なり領域510eとが存在している。ビルド領域が境を接するとき、又は2つのビルド領域間に間隙が存在するとき、(不注意であろうと意図的であろうと)完成したプロダクト内に継ぎ目が生成され得る。逆に、ビルド領域が重なり合うとき、ビルド領域間の適切なレジストレーションを仮定すると、継ぎ目は最小化又は排除されることができ、従って、プロダクトの全体的な品質が、継ぎ目が存在する場合よりも高くなり得る(あるいは、高いと受け止められ得る)。
【0055】
図6は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステム100の一例の少なくとも一部の概略側断面図である。OCLAuSLビームユニット110と、投影画像ビーム185と、昇降機システム620と、槽エンクロージャ630内に位置する光硬化性樹脂の槽640が見えている。樹脂槽640内に、昇降機システム620に接続されたビルドプラットフォーム650と、ビルドプラットフォームの上に配置された基板660と、所望の物体又はプロダクト420の完了レイヤ670とがある。他の構成も可能であり、本開示の範囲内にある。
【0056】
OCLAuSLシステム100は、複数のOCLAuSLビームユニット110を一緒に集団化して超大面積投影マイクロステレオリソグラフィシステムを作り出すことによって改良されることができる。そのような集団化は、システムによって製造され得る物体のサイズの基本的に無制限の増加を可能にする。2つ以上のビームユニット110によってビルド面内に露光される画像が共に連係して、そのいっそう大きい全体面積を利用する。2つのビームユニット110の場合、カバーされる面積は、2倍から重なり面積を引いたものとなる。同様に、3つのビームユニット110が組み合わされる場合、それらは、3倍から重なり面積を引いたものをカバーすることができる、等々である。斯くして、ますます大きいプロダクトを製造することができる。
【0057】
図6に示す非限定的な実施形態では、4つのOCLAuSLビームユニット110が、それらの投影画像ビーム185がビルド面190内で僅かに重なり合うように共に集団化されている。一部の実施形態において、これらのOCLAuSLビームユニット110は、それらの動作が連係してビルド面190内に所望のプロダクト420の2Dスライス410を形成するように、単一のコントローラ170(図1参照)によって制御され得る。他の実施形態では、各OCLAuSLビームユニット110がそれ自身のコントローラ170によって制御されてもよく、同等レベルの協調を達成するようにそれらのコントローラ170がそれらの動作を連係させる。他の構成も可能であり、本開示の範囲内にある。
【0058】
図6にて見てとれるように、ビルド面190は、光硬化性樹脂の槽640の頂部に位置する。光硬化性樹脂の槽は、数十センチメートル又は数百センチメートルの長さ、幅、又は深さであることができ、あるいは、より大きいとより小さいとの両方の他のサイズであってもよい。
【0059】
非限定的な例において、主たる樹脂成分は、例えばポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA、分子量575超、具体的には575~6000)及び/又はゼラチンメタクリレート(GelMA)などのモノマー又はポリマーと、例えばリチウムフェニル-2,4,6-トリメチルベンゾイルホスフィネート(LAP)、Irgacure 2959、及び/又はルテニウムなどの光開始剤と、例えばタートラジンなどの吸収剤と、例えばPBS及び/又は水などの希釈剤とを含み得る。典型的な製剤は、10~50重量%のPEGDA(分子量700~6000の単一PEGDAのいずれかの混合物)又は10~25重量%のGelMAと、2~68ミリモル(mM)のLAPと、2~20mMのタートラジンとを含むことができ、残りの重量%は水を有する。良好に機能することが示されている一例の製剤は、40重量%のPEGDA 6000、34mMのLAP、9mMのタートラジン、15重量%のGelMA、17mMのLAP、及び2.255mMのタートラジンである。用語“樹脂”は、プラスチック、モノマーベースの光硬化性材料、及び/又はより軟質の親水性ポリマーベースの材料、又はこれらの組み合わせの液体、ゲル、溶液、懸濁液、及びコロイドを含むように広く解釈されるべきである。
【0060】
開示される装置及び方法はまた、セラミック及び/又は金属のパーツを生産するための光学較正式の大面積マイクロステレオリソグラフィシステムを提供する。一例において、ビーム送達システムは、粒子として懸濁されるのか、特殊分子として化学的に結合されるのか、それともそれ以外であるのかにかかわらず、金属又はセラミックを含む硬化性樹脂にレイヤ画像を投影及び走査する。そして、当該システムは、物体全体に分散された金属又はセラミックを含有するベースポリマーを用いて、所望の物体又はプロダクトを製造する。一部のケースにおいて、これは、例えば導電性ポリマー又は通常よりも高い引張強度若しくは圧縮強度を有するポリマーなどの、混合特性を有する材料をもたらすことができる。他のケースにおいて、ベースポリマーがその後に熱分解によって除去されて、コロイド状の金属又はセラミック粒子から構成された生成物が残る。一部のケースにおいて、これらのコロイド粒子を焼結して固体材料を形成することができる。
【0061】
一例において、ビルド面の厚さは、3Dモデル120(図1参照)のスライス140の厚さに等しい(当業者によって期待される妥当な機械的公差内で)。プロダクト製造の開始時に、ビルド面190は、基板660と光硬化性樹脂の槽640の頂面との間に位置することができ、所望のプロダクトスライス140と等しい厚さの液体の光硬化性樹脂の層を有することができる。
【0062】
新たなレイヤ670が完了する(例えば、完全に硬化される、又はレイヤ内に新たに作成された構造がその完全性を維持するのに十分なだけ少なくとも部分的に硬化される)たびに、昇降機システム620が、次のスライス140の厚さに等しい距離だけ、ビルドプラットフォーム650及び基板660を樹脂槽内で下方に移動させる。一部の実施形態では、全てのスライス140が等しい厚さのものであるが、他の実施形態では、スライス140は変化する厚さのものであってもよい。一部の実施形態において、昇降機システム620は、ビルドプラットフォーム650、基板660、及び完了レイヤ670を、それらをz方向に所望のスライス厚さよりも大きい距離(例えば、スライス厚の10倍、100倍、1,000倍、若しくは10,000倍、又はより大きいとより小さいとの両方の他の値)だけ下降させることによって“ダンキング”してから、所望のスライス厚さの高さまで上昇させる。一部のケースにおいて、プロダクトレイヤ670の光硬化は、次のレイヤの光硬化を妨げ得る化学副生成物又は不純物(以下に限られないが、酸化剤、ラジカル、部分的に架橋された樹脂の微細粒子、及び副反応を含む)を生成する。このダンキングプロセスは、そのような副生成物又は不純物を樹脂槽内に分散させる助けとなって、ビルド面190が未反応樹脂の清浄な層によって占められることを確保し得る。上ではトップダウンシステムを説明している。理解されるべきことには、本開示は、適切な向きにされた昇降機システムを有するボトムアップ実施形態及び横向き実施形態も含む。
【0063】
一部の実施形態において、昇降機は、バット(たる)の縁の上に掛けられたアームによって、又はバットの底を通り抜けたポスト若しくはシャフトのセットによって、ビルドプラットフォームに結合され得る。一部の実施形態において、それらのシャフトは、それらの周りで樹脂が漏れることを防止するためにOリング又は他のシールの中を通り得る。一部の実施形態において、昇降機システムは、例えば図1のコントローラ170などのプロセッサの制御下でサーボモータ又はステッパモータを用いてZ軸上で移動可能なステージを含む。
【0064】
図7aは、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステム100の一例のビルド面190の少なくとも一部の斜視図である。所望の物体又はプロダクト420のスライス410がビルド面190内に見えている。プロダクトスライス410の構造は、3Dモデル120(図1参照)の特定のモデルスライス140の構造によく似たものとなる。プロダクトスライス410は、連続した固体片であってもよいし、離散的な固化ボクセル又はビルド面内で必ずしもつながっていない他の構造からなってもよい。斯くして、微視的な構造的造形を有する巨視的な形状を含め、三次元格子、ネットワーク、発泡体、及び他の複雑な3D形状が、レイヤごとに、新たなパターンが露光されるにつれて形成され得る。
【0065】
図7bは、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、OCLAuSLシステム100の一例の硬化性樹脂の槽640の少なくとも一部の斜視図である。所望の物体又はプロダクト420の完了レイヤ670が、完了レイヤ670の上に位置する現在製造中のレイヤ又はスライス410と共に見えている。図7bにはまた、所望の物体又はプロダクト420の計画されたレイヤ770も見えている。これらの計画レイヤは、例えば図1に示したような3Dモデル120の複数のスライス130の内容を表しているとし得る。所望の物体又はプロダクト420の3Dモデル120は、互いに似ているか似ていないかにかかわらず、巨視的造形と微視的造形との混ぜ合わせを含むことができる。
【0066】
図8は、本開示の実施形態に従った、プロセッサ回路850の概略図である。プロセッサ回路850は、本方法を実装する必要に応じて、例えば、OCLAuSLビームユニット110(図1参照)のコントローラ170の中に、又は他のデバイス若しくはワークステーション(例えば、サードパーティワークステーション、ネットワークルータなど)の中に、又はクラウドプロセッサ若しくは他のリモート処理ユニットの中に実装され得る。図示のように、プロセッサ回路850は、プロセッサ860、メモリ864、及び通信モジュール868を含み得る。これらの要素は、例えば1つ以上のバスを介して、互いに直接的又は間接的に通信し得る。
【0067】
プロセッサ860は、中央演算処理ユニット(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ASIC、コントローラ、又は、機械式コンピュータ及び量子コンピュータを含め、汎用コンピューティングデバイス、縮小命令セットコンピューティング(RISC)デバイス、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、若しくは他の関連する論理デバイスの任意の組み合わせを含み得る。プロセッサ860はまた、ここで説明される動作を実行するように構成された別のハードウェアデバイス、ファームウェアデバイス、又はそれらの任意の組み合わせを有し得る。プロセッサ860はまた、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連係する1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のこのような構成といった、複数のコンピューティングデバイスの組み合わせとして実装されてもよい。
【0068】
メモリ864は、キャッシュメモリ(例えば、プロセッサ860のキャッシュメモリ)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気抵抗RAM(MRAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み出し専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、ソリッドステートメモリデバイス、ハードディスクドライブ、他の形態の揮発性及び不揮発性メモリ、又は異なるタイプのメモリの組み合わせを含み得る。一実施形態において、メモリ864は、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体を含む。メモリ864は命令866を格納し得る。命令866は、プロセッサ860によって実行されるときに、プロセッサ860にここで説明される動作を実行させる命令を含み得る。命令866はコードと呼ばれることもある。用語“命令”及び“コード”は、任意のタイプの(1つ以上の)コンピュータ読み取り可能ステートメントを含むように広く解釈されるべきである。例えば、用語“命令”及び“コード”は、1つ以上のプログラム、ルーチン、サブルーチン、ファンクション、プロシージャなどを指し得る。“命令”及び“コード”は、1つのコンピュータ読み取り可能ステートメント又は多数のコンピュータ読み取り可能ステートメントを含み得る。
【0069】
通信モジュール868は、プロセッサ回路850と他のプロセッサ又はデバイスとの間でのデータの直接的又は間接的な通信を容易にするための任意の電子回路及び/又は論理回路を含むことができる。それに関して、通信モジュール868は入力/出力(I/O)デバイスであることができる。一部の例において、通信モジュール868は、プロセッサ回路850及び/又はコントローラ170(図1参照)の様々な要素間での直接的又は間接的な通信を容易にする。通信モジュール868は、数ある方法又はプロトコルを通じてプロセッサ回路850内で通信し得る。シリアル通信プロトコルは、以下に限られないが、US SPI、IC、RS-232、RS-485、CAN、イーサネット(登録商標)、ARINC 429、MODBUS、MIL-STD-1553、又は任意の他の好適な方法若しくはプロトコルを含み得る。パラレルプロトコルは、以下に限られないが、ISA、ATA、SCSI、PCI、IEEE-488、IEEE-1284、及び他の好適なプロトコルを含む。適切な場合、シリアル通信とパラレル通信とが、UART、USART、又は他の適切なサブシステムによってブリッジされてもよい。
【0070】
外部通信(以下に限られないが、ソフトウェア更新、ファームウェア更新、プロセッサと中央サーバとの間の事前設定された共有、又は超音波デバイスからの読み取りを含む)が、例えばUSB、マイクロUSB、Lightning、若しくはFireWireインタフェースなどのケーブルインタフェース、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、ZigBee、Li-Fi、又は例えば2G/GSM、3G/UMTS、4G/LTE/WiMax、若しくは5Gなどのセルラーデータ接続など、任意の好適な無線又は有線通信技術を用いて達成され得る。例えば、データの送信のため、及びソフトウェアパッチの受信のために、Bluetooth Low Energy(BLE)無線を用いてクラウドサービスとの接続を確立することができる。コントローラは、リモートサーバ、又は例えばラップトップ、タブレット、若しくはハンドヘルドデバイスなどのローカルデバイスと通信するように構成されてもよいし、状態変数及び他の情報を示すことが可能なディスプレイを含んでもよい。情報はまた、例えばUSBフラッシュドライブ又はメモリスティックなどの物理媒体上で伝送されてもよい。
【0071】
図9は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)方法900の一例のフロー図を示している。昇降機の動作、ビームのオン/オフ、及び撮像表示が、コンピュータ、コントローラ、又はプロセッサによって制御及び同期される。
【0072】
ステップ910にて、方法900は、所望の物体又はプロダクトの3Dモデルを作成することを含む。これは、例えば、コンピュータ支援設計(CAD)を使用して、又は所望の物体若しくはプロダクトの例の3Dスキャンによって行われ得る。
【0073】
ステップ920にて、方法900は、3Dモデルを複数のスライスに分割することを含む。スライスの数が、例えば、所望の物体又はプロダクトがOCLAuSLシステムによって生成されるZ分解能又はZボクセルサイズを決定し得る。例えば、所望の物体又はプロダクトが100ミリメートル高さである場合、それを1,000個のスライスに細分化すると、Z軸に沿って100ミクロンの最小フィーチャサイズをもたらすことになる。
【0074】
ステップ924にて、方法900はオプションで、光学システム、SLMシステム、及び/又はビーム送達システムに対する焦点較正手順を実行することを含む。焦点較正手順は、投影画像ビーム185がビルド面上に適切にフォーカシングされることを確保し、また、投影画像ビームがビルド面の全ての位置において等しく良好にフォーカシングされることを確保し得る。
【0075】
ステップ926にて、方法900はオプションで、SLMシステム及び/又はビーム送達システムに対するアライメントマッピング較正926を実行することを含む。アライメントマッピング手順は、投影画像ビームがビルド面内の特定のXY位置に導かれるときに、ビームのアライメントが、命令された位置に正確に移動するようなものにすることを確保する。
【0076】
ステップ930にて、方法900は、現在選択されているスライスを複数のスライス領域に細分化することを含む。スライスは、例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれより多くのスライス領域に再分割され得る。これらのスライス領域は、同じ又は同様のサイズのものであってもよいし、異なるサイズのものであってもよい。スライス領域は、境を接していてもよいし、重なり合っていてもよいし、隣り合うスライス領域間に間隙を含んでいてもよい。
【0077】
ステップ940にて、方法900は、選択されたスライス領域を空間光変調器(SLM)に送ることで、SLMが、光学システムによって生成される光ビーム内に選択されたスライス領域の画像を生成するようにすることを含む。一部の例において、SLM画像の各ピクセルの輝度は、オン又はオフの2つの取り得る値のみを持ち得る。他の例において、SLM画像の各ピクセルの輝度は、例えば、8、16、32、64、128、256、512、1024、又はそれより多くの取り得る値のグレースケールにあることができ、より大きい値はより明るいピクセルを表し、より小さい値はより暗いピクセルを表す。
【0078】
ステップ950にて、方法900は、SLM画像を調整可能なビーム送達システムに送ることを含む。
【0079】
ステップ960にて、方法900は、SLM画像をビルド面の選択されたビルド領域上に向けるように調整可能なビーム送達システムに命令することを含み、選択されたビルド領域のビルド面内での位置は、選択された2Dスライス内での選択されたスライス領域の位置に対応する。投影された画像は、光硬化性の樹脂又は液体を含むビルド面に焦点が合っており、それ故に、化学光が材料内に特定の形状又はパターンを形成する。これは、この位置にある感光性液体樹脂にSLM画像を露光し、SLM画像が明るいところの樹脂部分を固化させるとともに、SLM画像が暗いところの液体樹脂部分を変化しないままにすることになる。より明るいピクセルは、樹脂のいっそう多大な露光をもたらし、ひいては、より多くの架橋をビルド面内のその特定のボクセルにもたらすことになる。より多くの架橋は、固化した樹脂のいっそう高密度及び/又はいっそう堅いボクセルと関連付けられ、より少ない架橋は、固化した樹脂のいっそう低密度及び/又はいっそう柔らかいボクセルと関連付けられ得る。架橋が完了すると、又は少なくとも露光領域内のパターンがその完全性を保持するのに少なくとも十分となると、ステップ970へと実行が進む。
【0080】
ステップ970にて、方法900は、選択されたスライス内で次のスライス領域を選択することを含む。そして、ステップ940に実行が戻る。しかしながら、現在のスライスの全てのスライス領域がビルド面上に結像された場合、次のスライス領域は存在せず、ステップ980へと実行が進む。
【0081】
ステップ980にて、方法900は、樹脂槽内で昇降機プラットフォームを下降させることを含む。昇降機プラットフォーム及び樹脂槽は、例えば図6に示されている。昇降機プラットフォームを下降させることはまた、現在のスライスを樹脂槽のより深いレベルに下降させ、新しい樹脂がビルド面に流入することを可能にする。一部のケースにおいて、昇降機プラットフォームは、現在のスライスの厚さに等しいZ距離だけ下降される。“ダンキング”と呼ばれることもある他の例において、昇降機プラットフォームは、より大きい量だけ下降されてから、現在のスライスの厚さに等しいZ距離まで上昇される。ダンキングは、架橋副生成物によって汚染されていない清浄な樹脂がビルド面に流入することを可能にする。
【0082】
ステップ990にて、方法900は、3Dモデル内の次のスライスを選択することを含む。そして、ステップ930に実行が戻る。しかしながら、3Dモデル内の全てのスライスがそれまでに選択されている場合、次のスライスは存在せず、ステップ995へと実行が進む。
【0083】
ステップ995にて、所望の物体又はプロダクトの製造が完了する。換言すれば、完成した3D物体が製作されるまで、上で規定されたレイヤ・バイ・レイヤプロセスが続けられる。
【0084】
理解されることには、他の実施形態において、方法900のステップは、図9に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法900のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0085】
図10は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)焦点較正方法1000の一例のフロー図を示している。
【0086】
ステップ1005にて、方法1000は、プリント面内に基準ターゲットを配置することを含む。基準ターゲットは、例えば、発光性、蛍光性、又は反射性のフィーチャ、又は所望の位置にOCLAuSLシステムによって生成される試験ターゲットとし得る。
【0087】
ステップ1010にて、方法1000は、光学撮像システムを基準ターゲットに向けることを含む。
【0088】
ステップ1020にて、方法1000は、光学撮像システムを用いて基準ターゲットの画像をキャプチャすることを含む。
【0089】
ステップ1030にて、方法1000は、基準ターゲットの焦点を分析することを含む。投影画像ビームがビルド面に適切に焦点が合っている場合、基準ターゲットのボクセルは、OCLAuSLシステムの現在構成の解像度及び期待される最小フィーチャサイズに基づく特定の期待されるサイズの、明確に画成されたエッジを有した、ほぼ矩形の形状となり得る。逆に、投影画像ビームがビルド面に焦点が合っていない場合には、基準ターゲットのボクセルは、期待される最小フィーチャサイズよりも大きいサイズの、乏しく画成されたエッジを有した、より円形又は円筒形の形状となり得る。
【0090】
ステップ1040にて、方法1000は、投影画像ビームが基準ターゲットの位置に適切にフォーカシングされることを確保するように、光学システム、SLMシステム、及び/又はビーム送達システムのビーム焦点送達パラメータを調整することを含む。
【0091】
ステップ1050にて、これが最後の基準ターゲットであるかを確かめるためにシステムがチェックする。そうでない場合、ステップ1060へと実行が進む。そうである場合には、ステップ1070へと実行が進む。
【0092】
ステップ1060にて、当該方法は、次の基準ターゲットを選択することを含む。そして、ステップ1010に実行が戻る。
【0093】
ステップ1070にて、焦点較正方法1000は完了する。
【0094】
理解されることには、他の実施形態において、方法1000のステップは、図10に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法1000のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0095】
図11は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)焦点較正方法1100の一例のフロー図を示している。
【0096】
ステップ1110にて、当該方法は、OCLAuSLシステムの光学システム、SLMシステム、及びビーム送達システムを用いて、テストパターンをビルド面上に投影することを含む。テストパターンは、例えば、既知のサイズ及び形状のフィーチャを含むことができる。
【0097】
ステップ1120にて、方法1100は、光学撮像システムを用いて、投影されたテストパターンの少なくとも一部を含むビルド面の画像をキャプチャすることを含む。
【0098】
ステップ1130にて、方法1100は、OCLAuSLシステムによって投影されるテストパターンの焦点を鮮明にするためにビーム送達焦点パラメータを調整することを含む。実装に応じて、このフォーカシング手順は、手動又は自動のいずれで行われてもよい。投影画像ビームがビルド面に適切に焦点が合っている場合、テストパターンのボクセルは、OCLAuSLシステムの現在構成の解像度及び期待される最小フィーチャサイズに基づく特定の期待されるサイズの、明確に画成されたエッジを有した、ほぼ矩形の形状となり得る。逆に、投影画像ビームがビルド面に焦点が合っていない場合には、テストパターンのボクセルは、期待される最小フィーチャサイズよりも大きいサイズの、乏しく画成されたエッジを有した、より円形又は円筒形の形状となり得る。一部のケースにおいて、最良の焦点であっても鋭いエッジを生み出さない。この場合、例えば画像の最大コントラスト又は最大標準偏差などの、“最良フォーカス”の別のメトリックを使用することができる。調整され得る投影画像ビームの焦点パラメータは、例えば、被写界深度(開口を狭くしたり広くしたりすることによって調整される)、開口数(これは、最大鮮鋭度を決定する助けとなり、やはり開口サイズを変えることによって調整される)、Zに沿った焦点面位置(1つ以上の光学素子を移動させることによって調整される)、又は焦点面傾斜(メンブレン又は樹脂表面に対して光軸を傾けることによって調整され、あるいは、DMD又は他の空間光変調器を傾けることによって調整される)を含む。
【0099】
ステップ1140にて、方法1100は、以前の画像に対する比較のために、投影されたテストパターンの少なくとも一部を含むビルド面の第2の画像を光学撮像システムでキャプチャすることを含む。一部の実施形態において、これらの画像は、離散的な間隔というより、連続的に撮影される。
【0100】
ステップ1150にて、方法1100は、光学撮像システムによって観察される、OCLAuSLシステムによって投影されたテストパターンの焦点が、ビルド面上に最適に(又は少なくとも許容可能に)フォーカシングされているかを、判定することを含む。そうでない場合、ステップ1130に実行が戻る。そうである場合には、ステップ1160へと実行が進む。
【0101】
ステップ1160にて、方法1100は完了し、OCLAuSLビームの投影画像ビームがビルド面上に適切にフォーカシングされているとみなされる。
【0102】
理解されることには、他の実施形態において、方法1100のステップは、図11に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法1100のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0103】
当該方法の正確な詳細は、実装に使用されるハードウェアと共に変わり得る。一部の実施形態は、照明が重合を生じさせないように、低い総放射照度を用いる投影照明を使用してフォーカシングすることを含む。他の実施形態は、やはりSLMを通して投影される別の色の照明を使用してフォーカシングすることを含む。例えば、この別の色は、ミラーが“オフ”位置にあるときに、主たる重合照明とは異なる角度からミラーを照らすことによって投影され得る。他の実施形態において、この別の色は、例えば、2つの異なる色のビームを結合するためにビームスプリッタ又はダイクロイックミラーを用いて、同一の軸に沿って異なる色で照明することによって投影されてもよい。更なる他の実施形態は、OCLAuSL光学系を通して投影されるスポット又は他の形状若しくはパターンのコントラストをフォーカシングすることを含み、該スポット又は他の形状若しくはパターンは、樹脂を重合させないようなスペクトルを持つ。レンズから表面までの正確な距離が既知である場合、直接的な測定なしに焦点が最適化され得る。樹脂又はメンブレン表面の正確な位置は、1つ以上の接触又は非接触センサを使用して測定され得る。また、距離は、投影光学系を通して又はその他の方法のいずれかで広帯域照明で照らし、収集された波長の相対強度を分析することによって決定されてもよい。当業者が思い付く更なる他の変形が可能であり、本開示の範囲内にある。
【0104】
図12は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)アライメントマッピング較正方法1200の一例のフロー図を示している。
【0105】
ステップ1210にて、方法1200は、OCLAuSLシステムのビルド面内又はその近くに、ビルド面とアライメントして、XYステージを配置することを含む。XYステージは、ステージの任意の部分のX及びY位置が正確に知られ且つ平面内で正確に変化され得るように、所与の平面内で2つの方向への正確な移動を提供し得る。
【0106】
ステップ1220にて、方法1200は、基準ターゲットの頂部の可視表面がビルド面内にあってビルド面とアライメントされるように、XYステージ上に基準ターゲットを配置することを含む。基準ターゲットは、例えば、既知のフィーチャサイズ及び位置を有するフォトマスクとし得る。
【0107】
ステップ1230にて、方法1200は、XYステージを特定の試験位置に移動させることを含む。
【0108】
ステップ1240にて、方法1200は、ビーム送達システムがXYステージの位置とアライメントされるように、ビーム送達システムを向け直すことを含む。例えば、OCLAuSLシステムは、単一の照明されたピクセルを基準ターゲットの中心に位置するマーカーに向けることができ、又は4つの照明されたピクセルを基準ターゲットのコーナー若しくはそれら付近に位置するマーカーに向けることができ、又はマスクの像をマスク自体に投影することができ、その結果、XYステージ上に位置する物理的マスクに対して、投影マスクの何らかの位置決めミス又は他のミスアライメントを明確に見ることができる。
【0109】
ステップ1250にて、当該方法は、光学撮像システムを用いてビルド面の画像をキャプチャすることを含む。この画像は、例えば、ビルド面内のXYステージ上に位置する基準ターゲット(例えば、フォトマスク)と、OCLAuSLシステムによって投影された照明されたピクセルとを含み得る。
【0110】
ステップ1260にて、方法1200は、キャプチャされた画像を用いて、XYステージ上に位置する基準マーカー上のマーキングの既知の位置に対する、OCLAuSLシステムからの照明されたピクセルのアライメントをチェックすることを含む。照明されたピクセルの位置が基準ターゲット上の基準マークの位置と(許容可能な設計公差内で)一致する場合、画像ビームは適切にアライメントされているとみなされ、ステップ1280へと実行が進む。そうでない場合には、ステップ1270へと実行が進む。
【0111】
ステップ1270にて、OCLAuSLシステムは、OCLAuSLシステムからの投影ピクセルと基準ターゲット上の基準マークとの間の観察されたミスアライメントを補償するように、ビーム送達システムのXYマッピングを調整する。
【0112】
他の実施形態において、光学撮像システムはXYステージ自体に含められる。XYステージは、一部のケースにおいて、ビルド面より上又は下に配置されてもよく、OCLAuSLシステムによってビルド面上に投影されたマスクを撮像して、上述したのと同じ結果を達成することができる。従って、当該方法は、カメラを上に搭載したXYステージを用いたガルバノメーターミラーマッピングを採用して、ガルバノメーターミラーに送られる位置コマンドを投影及び画像の位置にマッピングし、そして、例えば同軸光学系と既知の寸法のフィーチャを備えたフォトマスクとを使用して、XYステージ自体をマッピングする。この構成では、ガルバノメーターミラーが1つの位置に保たれる。マスクがステージ上に配置されてカメラの下で平行移動される。同じ効果を達成するのに他の配置も可能であり、本出願の範囲内にある。例えば、実装に応じて、XYステージは、XZステージ、YZステージ、XYZステージ、又は他の可動ステージで置き換えられ得る。
【0113】
理解されることには、他の実施形態において、方法1200のステップは、図12に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法1200のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0114】
図13は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従った、光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィ(OCLAuSL)輝度較正方法1300の一例のフロー図を示している。
【0115】
ステップ1310にて、方法1300は、均一反射率の基準ターゲットをビルド面上に配置することを含む。該基準ターゲットは、例えば、ビルド面全体を覆ってもよいし、ビルド面の特定のビルド領域を覆ってもよいし、ビルド領域よりも小さくてもよい。
【0116】
ステップ1320にて、方法1300は、均一輝度のビームで基準ターゲットを照らすることを含む。均一輝度のビームは、例えば、全てのピクセルがグレースケールレンジの中間に設定された画像をSLMから送ることによって生成され得る。
【0117】
ステップ1330にて、方法1300は、基準ターゲットの少なくとも一部が画像に含まれるように、光学撮像システムを用いてビルド面の画像をキャプチャすることを含む。
【0118】
ステップ1340にて、方法1300は、例えば、均一反射率のターゲットを均一輝度のビームが照らすことに関して期待されるレベルから逸脱した輝度を持つピクセルといった、明るいピクセル又は暗いピクセルについて、キャプチャされた画像を検査することを含む。そのような明るい又は薄暗いスポットが見つかった場合、ステップ1350へと実行が進む。そうでない場合には、ステップ1360へと実行が進む。
【0119】
ステップ1350にて、方法1300は、例えば、グレースケールレンジの中間にデフォルト設定することに代えて、中間よりも高い又は低い設定された増分数にデフォルト設定するように、影響されたピクセルのグレースケールバイアスを調整することを含む。従って、そのピクセルから命令される特定の輝度を該バイアスによってオフセットすることで、(例えば)コントローラが均一輝度のビームを命令する場合に、実際にはバイアスされたピクセルが画像内の他のピクセルと同じ輝度を送達し、斯くしてビームにわたる各ピクセルの輝度がほぼ等しくなるようにする。そして、ステップ1320に実行が戻る。
【0120】
ステップ1360にて、方法1300は完了し、OCLAuSLシステムの輝度は適切に計算されたと仮定される。
【0121】
一部の実施形態において、投影される及び/又は反射されるピクセル各々の期待される輝度が既知である限り、ターゲットの反射率及び/又は投影画像ビームの輝度は均一でなくてもよい。理解されることには、他の実施形態において、方法1300のステップは、図13に示されたものとは異なる順序で実行されてもよく、ステップの前、間、及び後に追加のステップが設けられてもよく、及び/又は、説明されたステップのうちの一部が置き換えられたり除去されたりしてもよい。方法1300のステップのうちの1つ以上は、例えばコントローラ170(図1参照)及び/又はプロセッサ回路850(図8参照)のコンポーネントなどの、ここで説明される1つ以上のデバイス及び/又はシステムによって実行されることができる。
【0122】
ここでの教示に精通した後に当業者によって容易に理解されるように、当該光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィシステムは有利なことに、検出可能な継ぎ目が殆ど又は全くなく、微細すぎて人間の眼によって知覚されないスケールで行われるピクセル化で、微視的造形(例えば、数十ミクロン以下のサイズ)を有する大きい物体(例えば、数百ミリメートル以上のサイズ)の迅速で、信頼性があり、再現可能な製造を可能にする。従って、当該光学較正式大面積マイクロステレオリソグラフィシステムは、ビルド面全体にわたってボクセルの一貫したサイズ及び硬化レベル(大小にかかわらず)を確保するために、投影画像を較正する手段及びそれを生成する光学系を提供することによって、当技術分野におけるニーズを満たすことが分かる。
【0123】
上述の例及び実施形態に対して数多くの変形が可能である。例えば、ビルド面及び/又は樹脂槽は、ここで示したものより大きくてもよういし、小さくてもよい。解像度は、古典的な回折限界によってのみ制限され、ここで説明したものより高くてもよい(又はボクセルサイズは小さくてもよい)。逆に、ここで説明した技術は、工業規模のコンポーネントの生産のために、極めて大きい構築体積及び/又はボクセルサイズを有するシステムに等しく適用され得る。樹脂槽の組成、及び樹脂を架橋させることが可能な対応する化学線波長は、ここで開示されたものとは異なってもよい。硬化樹脂は、赤外光、可視光、若しくは紫外光に対して透明であってもよいし、半透明若しくは不透明又はこれらの組み合わせであってもよい。樹脂は、人間の眼によって知覚可能でない色を含めて、任意の所望の色又は複数の色の組み合わせを完成したパーツに付与するために、染料分子又は染料粒子(蛍光分子又は粒子を含む)であったり、それを含んでいたりしてもよい。ここで説明した技術は、以下に限られないが、医療、芸術、科学、製造、農業、自動車、航空宇宙、及び消費者エレクトロニクスを含め、ほぼ任意の産業向けの試作品又は完成品(例えば、ツール、筐体、モデル、又はコンポーネント)を生産するために使用され得る。非限定的な例は、歯冠及びインプラント、生物学的骨格、移植可能な組織及び器官、スーパーキャパシタ、並びに食品を含む。
【0124】
ここで説明した技術の実施形態を構成する論理動作は、動作、ステップ、オブジェクト、要素、コンポーネント、又はモジュールとして様々に参照される。また、理解されるべきことには、これらは、別のことが明示的に主張されない限り、又は主張される文言によって特定の順序が生来的に必要とされない限り、任意の順序で生じたり実行されたりし得る。
【0125】
例えば、上側、下側、内側、外側、上向き、下向き、左、右、横、前、後ろ、頂部、底部、上、下、垂直、水平、時計回り、反時計回り、近位、及び遠位といった、全ての方向の言及は、単に、特許請求される主題の読者の理解を助けるための識別目的のために使用されており、光学較正式マイクロステレオリソグラフィシステムの特に位置、向き、又は使用に関して限定を生じるものではない。例えば、取り付けられる、結合される、接続される、及び連結されるといった、接続への言及は、広く解釈されるべきであり、別段の断りがない限り、要素の集合間の中間部材及び要素間の相対的な動きを含み得る。従って、接続への言及は必ずしも、2つの要素が直接接続されて互いに固定された関係にあることを意味しない。用語“又は”は、“排他的な又は”ではなく“及び/又は”を意味するように解釈されるものとする。用語“有する”は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞の“a”又は“an”は複数を除外しない。請求項中に別段の記載がない限り、記載された値は、単に例示として解釈されるものであり、限定するものと解釈されるべきでない。
【0126】
上の明細書、例、及びデータは、請求項に規定される光学較正式マイクロステレオリソグラフィシステムの例示的な実施形態の構造及び使用の完全なる説明を提供するものである。特許請求される主題の様々な実施形態を、ある一定程度の詳細さで又は1つ以上の個々の実施形態を参照して上述してきたが、当業者は、特許請求される主題の主旨又は範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に対する数多くの改変を為し得る。
【0127】
更なる他の実施形態が企図される。意図されることには、上の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事項は、限定するものではなく、特定の実施形態の単なる例示として解釈されるものである。以下の請求項に規定される主題の基本要素から逸脱することなく、細部又は構造における変形が為され得る。
【0128】
本開示の様々な実施形態の列挙
実施形態1: ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを配置し、前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記基準ターゲットの画像をキャプチャし、前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記基準ターゲットの焦点レベルを分析し、前記分析に基づいて、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームの焦点特性を調整する、ことを有する方法。
【0129】
実施形態2: 前記基準ターゲットの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、実施形態1の方法。
【0130】
実施形態3: 前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、実施形態1の方法。
【0131】
実施形態4: 前記基準ターゲットは反射性である、実施形態1の方法。
【0132】
実施形態5: ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面上にテストパターンを投影し、前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記テストパターンの画像をキャプチャし、前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記テストパターンの焦点レベルを分析し、前記分析に基づいて、前記投影画像ビームの焦点特性を調整する、ことを有する方法。
【0133】
実施形態6: 前記テストパターンの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、実施形態5の方法。
【0134】
実施形態7: 前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、実施形態5又は6の方法。
【0135】
実施形態8: 前記投影画像ビームは、前記ビルド面に位置する感光性樹脂の重合を前記投影画像ビームが生じさせないように選択された波長、放射照度、及び露光時間を有する、実施形態5乃至7のいずれかの方法。
【0136】
実施形態9: 前記テストパターンはスポットである、実施形態5乃至8のいずれかの方法。
【0137】
実施形態10: ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面に近接して可動ステージを配置し、前記可動ステージ上に基準ターゲットを、該基準ターゲットの可視表面が前記ビルド面とアライメントされて前記ビルド面内にあるように配置し、前記基準ターゲットはマーキングを有し、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、照明されたピクセルを前記ビルド面上に投影し、前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記照明されたピクセル及び前記マーキングの画像をキャプチャし、前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記照明されたピクセルと前記マーキングとの相対位置を分析し、前記分析に基づいて、前記投影画像ビームのアライメント特性を調整する、ことを有する方法。
【0138】
実施形態11: 前記基準ターゲットはフォトマスクである、実施形態10の方法。
【0139】
実施形態12: ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを配置し、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、既知の強度のピクセルを前記ステレオリソグラフィシステムの前記ビルド面上に投影し、前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記ピクセルの画像をキャプチャし、前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記画像内の前記ピクセルの輝度を分析し、前記分析に基づいて、前記投影画像ビームのグレースケールバイアス特性を調整する、ことを有する方法。
【0140】
実施形態13: 前記基準ターゲットは反射性である、実施形態12の方法。
【0141】
実施形態14: 前記基準ターゲットは発光性又は蛍光性である、実施形態12又は13の方法。
【0142】
実施形態15: ステレオリソグラフィシステムを較正する方法であって、前記ステレオリソグラフィシステムの投影画像ビームが、前記ステレオリソグラフィシステムのビルド面内に基準ターゲットを生成し、前記ステレオリソグラフィシステムの光学撮像システムが、前記基準ターゲットの画像をキャプチャし、前記ステレオリソグラフィシステムのプロセッサが、前記キャプチャされた画像に基づいて前記基準ターゲットの焦点レベルを分析し、前記分析に基づいて、前記ステレオリソグラフィシステムの前記投影画像ビームの焦点特性を調整する、ことを有する方法。
【0143】
実施形態16: 前記基準ターゲットの前記焦点レベルを分析することは、前記キャプチャされた画像中のピクセルの相対強度から導出された、サイズ、形状、エッジ画成、コントラスト、標準偏差、空間周波数スペクトル、又は他のメトリックを分析することを有する、実施形態15の方法。
【0144】
実施形態17: 前記投影画像ビームの前記焦点特性を調整することは、被写界深度、開口数、鮮明度、焦点面位置、又は焦点面傾斜のうちの少なくとも1つを調整することを有する、実施形態15又は16の方法。
【0145】
実施形態18: 前記光学撮像システムは、前記ビルド面とアライメントされる可動ステージ面上に配置されたカメラを含む、実施形態1乃至17のいずれかの方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】