(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】PCM材料の膨張および制限を可能にする空隙を有する相変化メモリ・セル
(51)【国際特許分類】
H10B 63/10 20230101AFI20240618BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
H10B63/10
H10N70/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570402
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 CN2022094882
(87)【国際公開番号】W WO2022257764
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン、カングオ
(72)【発明者】
【氏名】シエ、ルイロン
(72)【発明者】
【氏名】ラーデンス、カール
(72)【発明者】
【氏名】リ、ジュンタオ
【テーマコード(参考)】
5F083
【Fターム(参考)】
5F083FZ10
5F083GA10
5F083GA30
5F083HA02
5F083HA06
5F083JA31
5F083JA37
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA42
5F083JA60
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA06
5F083PR03
5F083PR21
5F083PR22
(57)【要約】
基板と、基板上に位置する第1の電極とを備える相変化メモリ(PCM)セルを提供する。PCMセルは、第1の電極の隣に位置する相変化材料層であって、相変化材料層の第1の側面が第1の電極とじかに接触している、相変化材料層と、相変化材料層の隣に位置する第2の電極であって、第2の電極が相変化材料層の第2の側面とじかに接触しており、第1の側面と第2の側面が相変化材料層の異なる側面である、第2の電極と、相変化材料層の上方にじかに位置し、相変化材料が膨張または制限するための空間を提供する空隙と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相変化メモリ(PCM)セルであって、
基板上に位置する第1の電極と、
前記第1の電極の隣に位置する相変化材料層であり、前記相変化材料層の第1の側面が前記第1の電極とじかに接触している、前記相変化材料層と、
相変化材料層の隣に位置する第2の電極であり、前記第2の電極が、前記相変化材料層の第2の側面とじかに接触しており、前記第1の側面と前記第2の側面が前記相変化材料層の異なる側面である、前記第2の電極と、
前記相変化材料層の上方にじかに位置する空隙であり、前記相変化材料が膨張または制限するための空間を提供する、前記空隙と
を備えるPCMセル。
【請求項2】
前記相変化材料層が位置する空洞の頂壁を形成するために前記空隙の上方に位置するハード・マスク層
をさらに備える、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項3】
前記ハード・マスク層がさらに前記空洞の側壁を形成している、請求項2に記載のPCMセル。
【請求項4】
前記基板の上に形成された底部金属線であり、前記第1の電極が接続された、前記底部金属線と、
前記底部金属線の上に位置する誘電体層であり、前記誘電体層の上に前記相変化材料層が位置する、前記誘電体層と
をさらに備える、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項5】
前記誘電体層の上にじかに位置する抵抗性ライナであり、前記抵抗性ライナの上に前記相変化材料層の第1の部分がじかに位置する、前記抵抗性ライナ
をさらに備える、請求項4に記載のPCMセル。
【請求項6】
前記誘電体層の上に前記相変化材料層の第2の部分がじかに形成されており、前記相変化材料層の前記第2の部分が、前記第2の電極とじかに接触した前記相変化材料層の前記第2の側面を含む、請求項5に記載のPCMセル。
【請求項7】
前記空隙が、前記相変化材料層の前記第1の部分の上方に位置する、請求項6に記載のPCMセル。
【請求項8】
前記相変化材料層の前記第1の部分の厚さが前記抵抗性ライナの長さに沿って変化している、請求項5に記載のPCMセル。
【請求項9】
前記相変化材料層の前記第1の部分が、前記第1の電極とじかに接触した前記相変化材料層の前記第1の側面においてより厚くなっている、請求項8に記載のPCMセル。
【請求項10】
前記相変化材料層が位置する空洞の頂壁を形成するために前記空隙の上方に位置するハード・マスク層であり、前記ハード・マスク層がさらに前記空洞の側壁を形成している、前記ハード・マスク層
をさらに備え、
前記相変化材料層の前記第1の部分が、前記相変化材料層が形成された前記空洞の側壁を形成している前記ハード・マスク層とじかに接触したセクションにおいてより厚くなっている、
請求項9に記載のPCMセル。
【請求項11】
前記相変化材料層の前記第1の部分が前記空洞の中心領域に向かってより幅が狭くなっている、請求項10に記載のPCMセル。
【請求項12】
前記相変化材料層が、前記第1の電極と接触した第1のセクションを含み、前記相変化材料層が、前記第2の電極と接触した第2のセクションを含み、前記空隙が、前記相変化材料層の前記第1のセクションの上方に位置する、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項13】
ハード・マスク層であり、前記ハード・マスク層の第1の部分が、前記相変化材料層の前記第1のセクションが位置する空洞の頂壁を形成するために空隙の上方に位置し、前記ハード・マスク層の第2の部分が前記空洞の側壁を形成しており、前記ハード・マスク層の前記第2の部分が前記相変化材料の前記第2のセクションの上方に位置する、前記ハード・マスク層
をさらに備える、請求項12に記載のPCMセル。
【請求項14】
前記相変化材料の前記第2のセクションが前記ハード・マスク層の前記第2の部分の底面とじかに接触している、請求項13に記載のPCMセル。
【請求項15】
前記基板の上に形成された底部金属線であり、前記第1の電極が接続された、前記底部金属線と、
前記底部金属線の上に位置する誘電体層と、
前記誘電体層の上にじかに位置する抵抗性ライナであり、前記抵抗性ライナの上に前記相変化材料層の前記第1のセクションがじかに位置し、前記ハード・マスク層の前記第2の部分と前記抵抗性ライナとの間にボトルネックが形成されている、前記抵抗性ライナと
をさらに備える、請求項13に記載のPCMセル。
【請求項16】
前記相変化材料が、ゲルマニウム-テルル複合材料(GeTe)、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、Ge-Te合金およびこれらの組合せからなるグループから選択された、請求項1に記載のPCMセル。
【請求項17】
相変化メモリ(PCM)セルであって、
基板の上に位置する底部金属線と、
底部金属層の上方に位置する誘電体層と、
前記誘電体層の上方に位置する相変化材料層と、
前記相変化材料層の上に位置する障壁層と、
前記障壁層の上方にじかに位置する空隙であり、前記相変化材料が膨張または制限するための空間を提供する、前記空隙と、
前記空隙の頂壁を形成している第1の層と、
前記底部金属線から上に延びる第1の電極であり、前記第1の電極が、前記誘電体層の第1の側壁、前記相変化材料層の第1の側壁、前記障壁層の第1の側壁および前記第1の層の第1の側壁とじかに接触しており、前記第1の電極が前記空隙の第1の側壁を形成している、前記第1の電極と、
頂部金属線から下方に延びる第2の電極であり、前記第2の電極が、前記相変化材料層の第2の側壁、前記障壁層の第2の側壁および前記第1の層の第2の側壁とじかに接触しており、前記第2の電極が前記誘電体層の頂面とじかに接触しており、前記第2の電極が前記空隙の第2の側壁を形成している、前記第2の電極と
を備えるPCMセル。
【請求項18】
前記誘電体層の上にじかに位置する抵抗性ライナであり、前記抵抗性ライナの上に前記相変化材料層がじかに位置する、前記抵抗性ライナ
をさらに備える、請求項17に記載のPCMセル。
【請求項19】
基板上に第1の電極および第2の電極を形成すること、
前記第1の電極および前記第2の電極に物理的および電気的に接触した相変化材料を形成すること、
前記相変化材料の1つの側に空隙を形成すること
を含む方法。
【請求項20】
前記相変化材料が、ゲルマニウム-テルル複合材料(GeTe)、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、Ge-Te合金およびこれらの組合せからなるグループから選択された、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に相変化メモリ・セルの分野に関し、より詳細には、動作中の体積変化に対応するための片側空隙(one-sided airgap)を有する相変化メモリ・セルに関する。
【背景技術】
【0002】
相変化メモリ(PCM)は、人工知能(AI)ディープ・ラーニング用途で使用されるメモリの主要な候補として追求されている。PCMセルは堅い壁/境界によって閉じ込められており、そのため、PCM材料が膨張または制限するのに利用可能な空間がない。この堅い壁によって通常の動作サイクル中のPCMの体積変化が妨げられ得る/損なわれ得るため、このことは耐久性または信頼性の問題を引き起こす。
【発明の概要】
【0003】
追加の態様もしくは利点またはその両方は、その一部が以下の説明に記載されており、その一部が以下の説明から明らかとなり、または本発明の実施によって知ることができる。
【0004】
基板と、基板上に位置する第1の電極とを備える相変化メモリ(PCM)セルを提供する。PCMセルは、第1の電極の隣に位置する相変化材料層であって、相変化材料層の第1の側面が第1の電極とじかに接触している、相変化材料層と、相変化材料層の隣に位置する第2の電極であって、第2の電極が相変化材料層の第2の側面とじかに接触しており、第1の側面と第2の側面が相変化材料層の異なる側面である、第2の電極と、相変化材料層の上方にじかに位置し、相変化材料が膨張または制限するための空間を提供する空隙と、を備える。
【0005】
本発明のある例示的な実施形態の上記の態様、特徴および利点ならびにその他の態様、特徴および利点は、以下の説明を添付図面とともに検討することによってより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本発明の一実施形態による、相変化メモリ・デバイスの上面図である。
【
図2】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図3】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、カラムの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図4】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、犠牲層の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図5】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、カラムを埋めた後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図6】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第2のカラムの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図7】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第1の電極の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図8】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第3のカラムの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図9】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、犠牲層が除去された後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図10】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、相変化材料層の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図11】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第3のカラムからPCM層が除去された後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図12】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第2の電極の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図13】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、頂部金属線の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図14】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、空隙の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図15】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図16】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、アモルファス層の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図17】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、カラムの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図18】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、異なるPCMカラムの誘電体分離後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図19】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、電極用のカットアウトの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図20】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第1および第2の電極の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図21】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第2のスペーサの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図22】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第3のスペーサの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図23】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、除去チャネルの形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図24】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、第1の犠牲層の除去後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図25】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、除去チャネルが密封された後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図26】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、上部金属線の形成後のPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【
図27】(A)および(B)はそれぞれ、本発明の一実施形態による、PCM層の下方に位置する抵抗性ライナを含むPCMデバイスの断面AおよびBを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付図面に関する以下の説明は、特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義された本発明の例示的な実施形態の包括的理解を支援するために示したものである。この説明は、その理解を支援するさまざまな特定の詳細を含むが、それの特定の詳細は単なる例とみなすべきである。したがって、本発明の範囲を逸脱することなく本明細書に記載された実施形態のさまざまな変更および修正を実施することができることを当業者は理解するであろう。さらに、明暸かつ簡潔にするために、よく知られた機能および構造の説明は省かれていることがある。
【0008】
以下の説明および特許請求の範囲で使用される用語および語は、書誌的な意味に限定されるものではなく、単に、本発明の明確で一貫した理解を可能にするために使用される。したがって、当業者には、本発明の例示的な実施形態の以下の説明は例示のためだけに提供されるのであり、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義された発明を限定するために提供されるのではないことが明白なはずである。
【0009】
文脈からそうでないことが明らかでない限り、単数形「a」、「an」および「the」は複数の指示物を含むことが理解される。したがって、例えば、文脈からそうでないことが明らかでない限り、「構成要素表面」に関する言及は、このような表面のうちの1つまたは複数の表面に関する言及を含む。
【0010】
本明細書には、特許請求された構造体および方法の詳細な実施形態が開示されている。しかしながら、開示された実施形態は、さまざまな形態で実施することができる特許請求された構造体および方法の単なる例に過ぎないことを理解することができる。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で実施することができ、本明細書に記載された例示的な実施形態に本発明が限定されると解釈すべきではない。むしろ、これらの例示的な実施形態は、本開示が徹底的で完全なものとなり、本発明の範囲を当業者に十分に伝えるように提供される。この説明では、本発明の実施形態を不必要に不明確にすることを避けるために、よく知られた特徴および技術の詳細が省かれていることがある。
【0011】
本明細書において「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などに言及されているとき、それは、記載されたその実施形態は特定の特徴、構造もしくは特性を含むことがあるが、全ての実施形態がその特定の特徴、構造もしくは特性を含むことがあり、またはそうではないこともあることを示す。さらに、このような句が、同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、1つの実施形態に関して特定の特徴、構造または特性が記載されているとき、明示的に記載されているか否かを問わず、他の実施形態に関してそのような特徴、構造または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内にあると考えられる。
【0012】
以下の説明の目的上、用語「上」、「下」、「右」、「左」、「垂直」、「水平」、「頂部」、「底部」およびそれらの派生語は、図面に示された向きの開示された構造体および方法に関する。用語「~の上にある」、「~の上の」、「頂部の」、「~上に配置された」または「~の上に配置された」は、第1の構造体などの第1の要素が第2の構造体などの第2の要素上に存在することを意味し、第1の要素と第2の要素の間に界面構造体などの介在要素が存在してもよい。用語「じかに接触する」は、第1の構造体などの第1の要素と第2の構造体などの第2の要素が、これらの2つの要素の界面に介在導電層、絶縁層または半導体層なしで接続されていることを意味する。
【0013】
本発明の実施形態の提示を不明確にしないように、以下の詳細な説明では、当技術分野で知られている一部の処理ステップまたは動作が、提示および例示ために一緒に結合されていることがあり、一部の例では詳細に説明されていないことがある。他の例では、当技術分野で知られている一部の処理ステップまたは動作が全く説明されていないことがある。むしろ、以下の説明は、本発明のさまざまな実施形態の弁別的特徴または要素に重点が置かれていることを理解すべきである。
【0014】
本明細書では、本発明のさまざまな実施形態が関連図を参照して説明される。本発明の範囲を逸脱することなく代替実施形態を考案することができる。以下の説明および図面には要素間のさまざまな接続および位置関係(例えば上、下、隣など)が記載されていることに留意されたい。特段の記載がない限り、これらの接続関係もしくは位置関係またはその両方は直接的または間接的でありえ、この点で本発明が限定するものであることは意図されていない。したがって、実体の結合は直接結合または間接結合を指すことができ、実体間の位置関係は直接的位置関係または間接的位置関係であり得る。間接的位置関係の例として、本説明における、層「A」を層「B」の上に形成するとの言及は、層「A」および層「B」の関連特性および機能が中間層によって大幅に変化しない限りにおいて、層「A」と層「B」の間に1つまたは複数の中間層(例えば層「C」)がある状況を含む。
【0015】
特許請求の範囲および本明細書の解釈のために、以下の定義および略語が使用される。本明細書で使用されるとき、用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」、「含有する(contains)」もしくは「含有している(containing)」、またはこれらの用語の他の変異語は、非排他的包含(non-exclusive inclusion)をカバーすることが意図されている。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置は、必ずしもそれらの要素だけに限定されるわけではなく、明示的にはリストに入れられていない他の要素、あるいはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素を含み得る。
【0016】
さらに、本明細書では、用語「例示的な」が、「例、事例または実例として役立つ」ことを意味するものとして使用されている。本明細書に「例示的」として記載された実施形態または設計は必ずしも、他の実施形態または設計よりも好ましいまたは有利であるとは解釈されない。用語「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、1以上の任意の整数、すなわち1、2、3、4などを含むと理解し得る。用語「複数」は、2以上の任意の整数、すなわち2、3、4、5などを含むと理解し得る。用語「接続」は、間接「接続」と直接「接続」の両方を含み得る。
【0017】
本明細書で使用されるとき、使用される本発明の原料、成分または反応物の量を修飾する用語「約」は、数量の変動、例えば、濃縮物または溶液を調製するために使用される通常の測定および液体取り扱い手順中に起こり得る数量の変動に関する。さらに、変動は、測定手順における不注意によるエラー、組成物を調製するためまたは方法を実行するに使用される原料の製造、源または純度の違いなどによっても生じる。用語「約」または「実質的に」は、特定の数量の大きさに関連した、本出願の提出時に利用可能な機器に基づく誤差の程度を含むことが意図されている。例えば、「約」は、所与の値の±8%、5%または2%の範囲を含み得る。別の態様では、用語「約」が、報告された数値の5%以内を意味する。別の態様では、用語「約」が、報告された数値の10、9、8、7、6、5、4、3、2または1%以内を意味する。
【0018】
パッケージ化して集積回路(IC)にするマイクロチップを形成するために使用されるさまざまなプロセスは、4つの一般的なカテゴリ、すなわち膜堆積、除去/エッチング、半導体ドーピングおよびパターニング/リソグラフィに分類される。堆積は、ウェーハ上で材料を成長させる、ウェーハを材料でコーディングする、または他の手法でウェーハ上に材料を移す任意のプロセスである。利用可能な技術には、特に、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、電気化学堆積(ECD)、分子線エピタキシ(MBE)、および最近になって出現した原子層堆積(ALD)が含まれる。除去/エッチングは、ウェーハから材料を除去する任意のプロセスである。その例には、エッチング・プロセス(ウェットまたはドライ)、反応性イオン・エッチング(RIE)および化学機械平坦化(CMP)などが含まれる。半導体ドーピングは、ドーピング、例えばトランジスタのソースおよびドレインのドーピングによる電気的特性の改変であり、一般に拡散もしくはイオン注入またはその両方によって実行される。これらのドーピング・プロセスの後には、炉アニールまたは高速熱アニール(RTA)が実行される。アニールは、注入ドーパントを活性化する役目を果たす。導体(例えばアルミニウム、銅など)と絶縁体(例えばさまざまな形態の二酸化シリコン、窒化シリコンなど)の両方の膜が、電気構成要素を接続および分離するために使用される。半導体基板のさまざまな領域の選択的ドーピングは、電圧の印加によって基板の導電性を変化させることを可能にする。
【0019】
次に、本発明の実施形態を詳細に参照する。添付図面には実施形態の例が示されており、添付図面では、全体を通じて、同じ符号が同じ要素を指す。相変化メモリ(PCM)は、通常動作中にPCM材料に電流/電気パルスが適用されたとき/適用されていないときにその体積を変化させる材料からなる。RESET動作中にPCM材料が結晶状態からアモルファス状態に変化すると体積が約6~7%膨張する。SET動作中にPCM材料がアモルファス状態から結晶状態に変化すると体積が約6~7%収縮する。本発明は、PCM材料の体積変化に対応するための空隙を形成することを対象としている。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態による、相変化メモリ(PCM)デバイス100、200、300の上面図を示している。
図1は、PCMメモリ・セル、電極、Mx線(金属線)、Mx-1線(金属線)を含むメモリ・アレイの上面図を示している。断面Aおよび断面Bが識別されており、以下の図は、これらの断面における製造段階を反映したものである。
【0021】
図2(A)は、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図2(B)は、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。PCMデバイス100は、基板102、底部金属線104、第1の誘電体層106、任意選択の抵抗性ライナ108、第1の犠牲層110、ハード・マスク112および層間絶縁体(ILD)層114を含む。基板102は例えば、必ずしも限定はされないが、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンカーバイド(SiC)、Si:C(炭素ドープ・シリコン)、シリコンゲルマニウムカーバイド(SiGeC)、炭素ドープ・シリコンゲルマニウム(SiGe:C)、III-V族、II-V族化合物半導体または他の同様の半導体を含む材料とすることができる。さらに、これらの半導体材料の多数の層を基板102の半導体材料として使用することもできる。いくつかの実施形態では、基板102が半導体材料および誘電体材料の両方を含む。半導体基板102はさらに、有機物半導体、または例えばSi/SiGe、シリコン・オン・インシュレータもしくはSiGeオン・インシュレータなどの層状半導体を含むことができる。半導体基板102の一部または全部がアモルファス、多結晶または単結晶であってもよい。半導体基板102は、ドープされた半導体基板もしくは無ドープの半導体基板とすることができ、またはドープされた領域および無ドープの領域をその中に含む半導体基板とすることができる。いくつかの実施形態では、基板102が、トランジスタ、(浅いトレンチ分離などの)分離構造体、コンタクト、導線などの他のデバイス構造体(図示せず)、またはPCMデバイス100のベースとして機能し得る任意の適当な層を含む。第1の犠牲層110は例えばゲルマニウムからなることができる。抵抗性ライナ108は例えば、アモルファス炭素、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、コバルトタングステン(CoW)、ニッケルタングステン(NiW)、酸化イットリウム(YO)または他の適当な材料からなることができる。抵抗性ライナ108の抵抗は、低抵抗状態にあるPCM材料の抵抗よりもかなり大きく(例えば10ないし40倍または約20倍)、高抵抗状態にあるPCM材料の抵抗よりもかなり小さい(例えば1/5ないし1/50または約1/10)。第1の誘電体層106は例えばSiNまたは他の適当な誘電体材料からなることができる。
【0022】
図3(A)は、本発明の一実施形態による、カラム118の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図3(B)は、本発明の一実施形態による、カラム118の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。一実施形態では、ハード・マスク112およびILD層114の上に光学パターニング層(optical patterning layer)(OPL)116が形成される。OPL116は、カラム118を形成するためにパターニングされている。OPL116はマスキング層の役目を果たす。カラム118は、ハード・マスク112、第1の犠牲層110、抵抗性ライナ108および第1の誘電体層106の各々から材料の一部分を除去することによって形成された空間である。カラム118の底は第1の誘電体層106内に位置するが、カラム118は底部金属線104までは下方に延びていない。
【0023】
図4(A)は、本発明の一実施形態による、犠牲層の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図4(B)は、本発明の一実施形態による、犠牲層の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。OPL116とOPL116の上に形成された第2の犠牲層120の任意の過剰の材料とが除去されている。カラム118の底に第2の犠牲層120が形成されている。第2の犠牲層120は、第1の犠牲層110の一部分と重なる垂直高さを有する。第2の犠牲層120は例えばGe、SiGeまたは別の適当な犠牲材料からなることができる。第2の犠牲層120の垂直高さは、PCMデバイス100の下流処理中にボトルネックを形成することを可能にする。
【0024】
図5(A)は、本発明の一実施形態による、カラム118を埋めた後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図5(B)は、本発明の一実施形態による、カラム118を埋めた後のPCMデバイス100の断面Bを示している。PCMデバイス100の露出した表面に追加のハード・マスク112材料が形成されている。この追加のハード・マスク112材料は、カラム118内に位置する空間を埋めている。ハード・マスク112材料は、ハード・マスク112およびILD層114の均一な表面を露出させるために平坦化されている。ハード・マスク112は、ハード・マスク112の一部分が第2の犠牲層120の頂部と接触するように下方に延びている。下方に延びるハード・マスク112は、PCMデバイス100の下流処理中にハード・マスク112と抵抗性ライナ108の間にボトルネックを形成することを可能にする。
【0025】
図6(A)は、本発明の一実施形態による、第2のカラムの形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図6(B)は、本発明の一実施形態による、第2のカラムの形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。ハード・マスク112の上およびILD層114の上にOPL116が形成されている。OPL116は、第2のカラム122を形成するためにパターニングされており、第2のカラム122は、後述する第1の電極124を形成する位置を決定する。第2のカラム122は、このスタックの第1のカラム118が位置していた側とは異なる側に位置する。ハード・マスク112、第1の犠牲層110、抵抗性ライナ108および第1の誘電体層106の各々から一部分を除去することによって、第2のカラム122を含む空間が形成されている。第2のカラム122は下方に延びて底部金属線104の頂面を露出させている。
【0026】
図7(A)は、本発明の一実施形態による、第1の電極124の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図7(B)は、本発明の一実施形態による、第1の電極124の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。第2のカラム122内に第1の電極124が形成されており、第1の電極124の底部は底部金属線104とじかに接触している。第1の電極124は、第2のカラム122内に第1の電極124を形成するための露出させた表面に導電性金属を堆積させることによって形成される。第1の電極124は、第1の電極124の頂面が第1の犠牲層110の頂面よりも高くなるような態様で底部金属線104から上方に延びている。第1の電極124は例えばタングステン(W)、銅(Cu)、コバルト(Co)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)または他の適当な導電性金属からなることができる。第1の電極124は、単一の導電性材料または任意の導電性材料の適当な組合せを含むことができる。破線の枠126によって示されているように、カラム122の残りの部分を埋めるために追加のILD層114材料を堆積させる。平坦化された表面を形成するために、CMPプロセスによって、OPL116、第1の電極124を形成するための過剰の材料および過剰のILD層114が平坦化されている。この平坦化は、ILD層114の頂部およびハード・マスク112の頂部を横切る平らな表面を形成する。
【0027】
図8(A)は、本発明の一実施形態による、第3のカラムの形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図8(B)は、本発明の一実施形態による、第3のカラムの形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。ハード・マスク112およびILD層114の上に、OPL116または任意の他の適当なマスキング層が形成されている。OPL116は、第3のカラム128を形成するためにパターニングされており、第3のカラム128は、第1のカラム118の位置の隣に位置する。ハード・マスク112および第2の犠牲層120の隣のILD層114材料の一部分を除去することによって、第3のカラム128を含む空間が形成されている。ILD層114のこの部分を除去して第3のカラム128を形成すると、ハード・マスク112の側面および第2の犠牲層120の側面が露出する。第3のカラム128は、第2の犠牲層120の底面よりも下まで下方に延びている。
【0028】
図9(A)は、本発明の一実施形態による、犠牲層が除去された後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図9(B)は、本発明の一実施形態による、犠牲層が除去された後のPCMデバイス100の断面Bを示している。OPL116は、ILD層114の頂面およびハード・マスク112の頂部を露出させるために除去されている。第1の犠牲層110および第2の犠牲層120が除去されている。第1の犠牲層110および第2の犠牲層120の除去は、これらの層が位置していた位置に空洞129を形成する。空洞129は、任意選択の抵抗性ライナ108(または抵抗性ライナ108が存在しないときには第1の誘電体層106)の底壁によって画定されている。第1の電極124は、空洞129の第1の側壁として機能する。ハード・マスク112は空洞129の頂壁として機能し、ハード・マスク112は空洞129の第2の側壁として機能する。第1および第2の犠牲層110および120の除去によってボトルネック130が露出している。ボトルネック130は、下方に延びるハード・マスク112の一部分および抵抗性ライナ108の端部によって形成されている。いくつかの実施形態では、第1の犠牲層110および第2の犠牲層120が、例えばアンモニアおよび過酸化水素を含む水溶液によってまたは気相塩化水素(HCl)によって除去することができるSiGeまたはGeを含む。
【0029】
図10(A)は、本発明の一実施形態による、相変化材料層の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図10(B)は、本発明の一実施形態による、相変化材料層の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。原子層堆積(ALD)または同様の堆積技術によって相変化材料(PCM)層132が形成されている。PCM層132は本質的に、ゲルマニウム-アンチモン-テルル(GST)、ガリウム-アンチモン-テルル(GaST)または銀-イリジウム-アンチモン-テルル化物(AIST)材料などの相変化材料から構成されたものとすることができるが、適宜、他の材料を使用することもできる。限定はされないが、ゲルマニウム-テルル複合材料(GeTe)、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、Ge-Te合金およびこれらの組合せを含む他のPCM材料を使用することもできる。PCM材料は、無ドープのPCM材料、またはドープされた(例えば酸素(O)、窒素(N)、シリコン(Si)もしくはチタン(Ti)のうちの1種または数種の材料でドープされた)PCM材料とすることができる。異なる層の材料に関して本明細書で使用されている用語「本質的に構成された(composed essentially)」、「本質的になる(consist essentially)」は、他の材料が存在する場合に、それらの材料が、挙げられた材料の基本的特性を大きくは変化させないことを示す。例えば、本質的にGST材料からなるPCM材料は、GST材料の基本的特性を大きく変化させる他の材料を含まない。
【0030】
PCM層132は、ALDまたはCVDプロセスを使用することによって形成され、したがって空洞129内の壁に沿ってPCM層132を形成することを可能にする。PCM層132はさらに、第2の犠牲層120の除去によって形成された空洞内および第3のカラム128内にも形成されている。PCM層132は最初に、第1の犠牲層110の除去によって形成された空洞129の壁全体に沿って形成されるが、PCM層132はこの空洞を完全には埋めない。ボトルネック130は、PCM層132によって閉め切られ、したがってPCM層132が空洞を埋めるのを防ぐ。
図10(A)および10(B)は、PCM層132は空洞129の壁に沿って形成され、一方で空洞129の中心は空のままであることを示している。
【0031】
図11(A)は、本発明の一実施形態による、第3のカラム128からPCM層132が除去された後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図11(B)は、本発明の一実施形態による、第3のカラム128からPCM層132が除去された後のPCMデバイス100の断面Bを示している。ILD層114の上に位置するPCM層132、ハード・マスク112の上に位置するPCM層132および第3のカラム128内に位置するPCM層132の部分が除去されている。このPCM層の除去は例えば反応性イオン・エッチング(RIE)プロセスによって達成することができる。
【0032】
図12(A)は、本発明の一実施形態による、第2の電極134の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図12(B)は、本発明の一実施形態による、第2の電極134を形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。第3のカラム128内に第2の電極134が形成されており、第2の電極134は、ハード・マスク112の側壁およびPCM層132の側壁と接触している。第2の電極134を形成するために使用された任意の過剰の材料(例えばハード・マスク112の上の材料もしくはILD層114の上の材料またはその両方)が平坦化されており、したがって、第2の電極134の頂面は、ハード・マスク112の頂部およびILD層114の頂面と平面である。第2の電極134は例えばCu、Wまたは他の適当な導電性金属からなることができる。
【0033】
図13(A)は、本発明の一実施形態による、頂部金属線136の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図13(B)は、本発明の一実施形態による、頂部金属線136の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。ハード・マスク112、第2の電極134および以前に形成されたILD層114の上に追加のILD材料が形成されるような態様でILD層114を拡張するために、追加のILD材料を堆積させる。ILD層114は、第2の電極134の上に位置する空洞を形成するためにパターニングされている。第2の電極134の上に位置する空洞内に頂部金属線136が形成されている。したがって、第1の電極124は底部金属線104と接触しており、一方、第2の電極134は第2の金属線136と接触している。
【0034】
図14(A)は、本発明の一実施形態による、空隙138の形成後のPCMデバイス100の断面Aを示している。
図14(B)は、本発明の一実施形態による、空隙138の形成後のPCMデバイス100の断面Bを示している。底部電極124、PCM層132および頂部電極134に電気パルスが流される。それらの電気パルスは、空洞129の壁全体に沿って形成されたPCM層132を加熱し、それによってPCM層132は相を変化させ、空洞129の底に集まる。任意選択の抵抗性ライナ108上に位置するPCM層132は、空洞129の水平軸に沿って変化する厚さを有する。PCM層132は、空洞129の側壁のより近くに位置するより厚い領域132Wを有する。PCM層132は、空洞129の中心領域に幅の狭い領域132Nを有する。空洞129内のPCM層132の上方に空隙138が形成されている。空隙138は空間または材料のボイド(void)からなる。空隙138は、最初は空洞129の側面および頂部に位置するPCM層132の溶融によって形成される。PCM層132の空隙138の下方に位置するセクションは、PCM層132が空隙138の側面(空洞129の側壁)に向かってより厚くなり、空隙138の中心に向かってより薄くなるような可変の厚さを有する。空隙138は、PCMデバイス100の動作/プログラミング中にPCM層132の体積が膨張および制限することを可能にする。
【0035】
図15(A)は、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図15(B)は、本発明の一実施形態による、材料スタック形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。PCMデバイス200は、基板202、底部金属線204、第1の誘電体層206、相変化メモリ(PCM)層208、障壁層210、犠牲層212およびハード・マスク214を含む。基板202は例えば、必ずしも限定はされないが、シリコン(Si)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、シリコンカーバイド(SiC)、Si:C(炭素ドープ・シリコン)、シリコンゲルマニウムカーバイド(SiGeC)、炭素ドープ・シリコンゲルマニウム(SiGe:C)、III-V族、II-V族化合物半導体または他の同様の半導体を含む材料とすることができる。さらに、これらの半導体材料の多数の層を基板202の半導体材料として使用することもできる。いくつかの実施形態では、基板202が半導体材料および誘電体材料を含む。半導体基板202はさらに、有機物半導体、または例えばSi/SiGe、シリコン・オン・インシュレータもしくはSiGeオン・インシュレータなどの層状半導体を含むことができる。半導体基板202の一部または全部がアモルファス、多結晶または単結晶であってもよい。半導体基板202は、ドープされた半導体基板もしくは無ドープの半導体基板とすることができ、またはドープされた領域および無ドープの領域をその中に含む半導体基板とすることができる。いくつかの実施形態では、基板202が、トランジスタ、(浅いトレンチ分離などの)分離構造体、コンタクト、導線などの他のデバイス構造体(図示せず)、またはPCMデバイス200のベースとして機能し得る任意の適当な層を含む。第1の誘電体層206は例えばSiNまたは他の適当な誘電体材料からなることができる。
【0036】
PCM層208は本質的に、ゲルマニウム-アンチモン-テルル(GST)、ガリウム-アンチモン-テルル(GaST)または銀-イリジウム-アンチモン-テルル化物(AIST)材料などの相変化材料から構成されたものとすることができるが、適宜、他の材料を使用することもできる。限定はされないが、ゲルマニウム-テルル複合材料(GeTe)、Si-Sb-Te(シリコン-アンチモン-テルル)合金、Ga-Sb-Te(ガリウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-Bi-Te(ゲルマニウム-ビスマス-テルル)合金、In-Se(インジウム-テルル)合金、As-Sb-Te(ヒ素-アンチモン-テルル)合金、Ag-In-Sb-Te(銀-インジウム-アンチモン-テルル)合金、Ge-In-Sb-Te合金、Ge-Sb合金、Sb-Te合金、Si-Sb合金、Ge-Te合金およびこれらの組合せを含む他のPCM材料を使用することもできる。PCM材料112は、無ドープのPCM材料、またはドープされた(例えば酸素(O)、窒素(N)、シリコン(Si)もしくはチタン(Ti)のうちの1種または数種の材料でドープされた)PCM材料とすることができる。異なる層の材料に関して本明細書で使用されている用語「本質的に構成された」、「本質的になる」は、他の材料が存在する場合に、それらの材料が、挙げられた材料の基本的特性を大きくは変化させないことを示す。例えば、本質的にGST材料からなるPCM材料112は、GST材料の基本的特性を大きく変化させる他の材料を含まない。障壁層210は、PCM層208と第1の犠牲層212の混合を防ぐ拡散障壁として機能する。障壁層210は例えばSiO2または他の適当な障壁材料からなることができる。
【0037】
図16(A)は、本発明の一実施形態による、マスキング層216の形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図16(B)は、本発明の一実施形態による、マスキング層216の形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。ハード・マスク214の上にマスキング層216が形成されている。マスキング層216は、PCMデバイス200を構成するカラムを形成するために(例えばリソグラフィおよび続く反応性イオン・エッチング(RIE)によって)パターニングされている。マスキング層216は例えばアモルファス・シリコンからなることができる。
【0038】
図17(A)は、本発明の一実施形態による、カラムの形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図17(B)は、本発明の一実施形態による、カラムの形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。PCMカラム222は、これらの異なる層から材料を除去してカットアウト(cutout)218を形成することによって形成される。カットアウト218は、マスキング層216の頂部から底部金属線204の頂面まで下方に延びている。マスキング層216は、第1のスペーサ220の形成を可能にするために後退している。第1のスペーサ220は、カットアウト218のそれぞれの側のハード・マスク214の上に形成されており、第1のスペーサ220はマスキング層216と隣り合っている。第1のスペーサ220は、下流プロセスで電極が製造される位置に位置している。第1のスペーサ220は例えばSiNからなることができる。
【0039】
図18(A)は、本発明の一実施形態による、異なるPCMカラム222の誘電体分離後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図18(B)は、本発明の一実施形態による、異なるPCMカラム222の誘電体分離後のPCMデバイス200の断面Bを示している。カットアウト218に分離層224が充填されている。分離層224は、隣り合うPCMカラム222を互いに電気的に分離している。分離層224は、SiO
2または他の適当な誘電体などの誘電体材料からなることができる。
【0040】
図19(A)は、本発明の一実施形態による、電極用のカットアウトの形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図19(B)は、本発明の一実施形態による、電極用のカットアウトの形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。第1のスペーサ220が除去されており、分離層224の両側に電極トレンチ226、228が形成されている。第1の電極トレンチ226は、マスキング層216の頂部から誘電体層206の頂部まで下方に延びている。第1の電極トレンチ226は分離層224の第1の側面の隣に位置している。第2の電極トレンチ228は、マスキング層216の頂部から底部金属線204の頂部まで下方に延びている。第2の電極トレンチ228は分離層224の第2の側面の隣に位置しており、第1の側面は第2の側面の反対側にある。
【0041】
図20(A)は、本発明の一実施形態による、第1および第2の電極の形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図20(B)は、本発明の一実施形態による、第1および第2の電極の形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。第1の電極トレンチ226内に第1の電極230Aおよび230Bが形成されている。第2の電極トレンチ228内に第2の電極232Aおよび232Bが形成されている。第1の電極230Aは、分離層224によって第2の電極232Aから分離されている。第1の電極230Aと第2の電極232Aは異なるPCMカラム222に接続されている。例えば、第1の電極230Bおよび第2の電極232Aは第1のPCMカラム222Aに接続されており、一方、第2の電極232Bは第2のPCMカラム222Bに接続されている。第2のPCMカラム222Bには別の第1の電極(図示せず)が接続される。第2の電極232Aと第1の電極230Bは、第1のPCMカラム222Aの反対の側に位置している。第1の電極230Aおよび230Bならびに第2の電極232Aおよび232Bは例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、コバルト(Co)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、ルテニウム(Ru)または他の適当な導電性金属からなることができる。第1の電極230Aおよび230Bならびに第2の電極232Aおよび232Bは、単一の導電性材料または導電性材料の任意の適当な組合せを含むことができる。
【0042】
図21(A)は、本発明の一実施形態による、第2のスペーサ234の形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図21(B)は、本発明の一実施形態による、第2のスペーサ234の形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。第1の電極230Aおよび230Bの各々の上ならびに第2の電極232Aおよび232Bの各々の上に、第2のスペーサ234が形成されている。第2のスペーサ234はSiNなどの誘電体材料からなることができる。
【0043】
図22(A)は、本発明の一実施形態による、第3のスペーサの形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図22(B)は、本発明の一実施形態による、第3のスペーサの形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。マスキング層216が除去されており、ハード・マスク214および誘電体層206の上に第3のスペーサ236が形成されている。第3のスペーサ236はSiO
2などの誘電体材料からなることができる。第3のスペーサ236は、PCMカラム222の各々の中の除去チャネルが形成される位置を示すためにパターニングされている。
【0044】
図23(A)は、本発明の一実施形態による、除去チャネル238の形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図23(B)は、本発明の一実施形態による、除去チャネル238の形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。PCMカラム222の各々の中に除去チャネル238がエッチングされている。除去チャネル238は、第1の犠牲層212内まで下方に延びている。除去チャネル238の底部は第1の犠牲層212内に位置している。除去チャネル238は、第1の犠牲層212にエッチング溶液を適用することを可能にする。
【0045】
図24(A)は、本発明の一実施形態による、第1の犠牲層212の除去後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図24(B)は、本発明の一実施形態による、第1の犠牲層212の除去後のPCMデバイス200の断面Bを示している。除去チャネル238の各々にエッチング溶液が導入され、そこでエッチング溶液は第1の犠牲層212と相互作用する。このエッチング溶液および洗浄プロセスによって、PCMカラム222の各々から第1の犠牲層212が除去される。いくつかの実施形態では、第1の犠牲層212が、例えばアンモニアおよび過酸化水素を含む水溶液によってまたは気相塩化水素(HCl)によって除去することができるSiGeまたはGeを含む。PCMカラム222の各々の中の第1の犠牲層212の除去によって空洞240が形成されている。空洞240または空隙は、PCMデバイス200の動作/プログラミング中にPCM層208が膨張および制限することを可能にする。
【0046】
図25(A)は、本発明の一実施形態による、除去チャネルが密封された後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図25(B)は、本発明の一実施形態による、除去チャネルが密封された後のPCMデバイス200の断面Bを示している。除去チャネル238の各々を密封するために、以前に形成された第3のスペーサ236の上に追加の第3のスペーサ236の材料を堆積させる。新たな第3のスペーサ236Aは除去チャネル内まで下方に延びているが、空洞240内までは下方に延びていない。
【0047】
図26(A)は、本発明の一実施形態による、上部金属線244の形成後のPCMデバイス200の断面Aを示している。
図26(B)は、本発明の一実施形態による、上部金属線244の形成後のPCMデバイス200の断面Bを示している。第3のスペーサ236の上に第2の誘電体層242が形成されている。第2の誘電体層242は、第1の電極230Aおよび230Bの上に位置する第2のスペーサ234を露出させるためにパターニングされている。露出した第2のスペーサ234は、第1の電極230Aおよび230Bの頂部を露出させるために除去されている。第1の電極230Aおよび230Bの上に上部金属線244が形成されている。空洞240/空隙は、上部金属線244または底部金属線204を介して第1の電極230Bまたは第2の電極232Aに電流/電気パルスが適用されたときのPCM層208の体積変化に対応することができる。
【0048】
図27(A)は、本発明の一実施形態による、PCM層の下方に位置する抵抗性ライナ350を含むPCMデバイス300の断面Aを示している。
図27(B)は、本発明の一実施形態による、PCM層の下方に位置する抵抗性ライナ350を含むPCMデバイス300の断面Bを示している。PCMデバイス300は上述のPCMデバイス200と同じである。PCMデバイス300に空洞240を形成するステップは、PCMデバイス200に空洞240を形成するテップと同じである。
図27(A)および27(B)で使用されている層および参照符号は、上で使用されている同じ層および参照符号に対応する。違いは、初期PCMデバイス300を形成するときには、第1の誘電体層206の上に追加の抵抗性ライナ350が形成されること、および抵抗性ライナ350の上にPCM層208が形成されることである。抵抗性ライナ350は例えば、アモルファス炭素、窒化タンタル(TaN)、窒化タングステン(WN)、コバルトタングステン(CoW)、ニッケルタングステン(NiW)、酸化イットリウム(YO)または他の適当な材料からなることができる。抵抗性ライナ350の抵抗は、低抵抗状態にあるPCM材料の抵抗よりもかなり大きく(例えば10ないし40倍または約20倍)、高抵抗状態にあるPCM材料の抵抗よりもかなり小さい(例えば1/5ないし1/50または約1/10)。抵抗性ライナ350は、PCMデバイス300の動作中のPCM層208の抵抗ドリフトを移動させる。
【0049】
本発明を、本発明のある例示的な実施形態に関して示し、説明したが、添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物によって定義された本発明の範囲を逸脱することなく、それらの実施形態に形態および詳細のさまざまな変更を加えることができることを当業者は理解するであろう。
【0050】
本発明のさまざまな実施形態の説明は例示のために提示されたものであり、それらの説明が網羅的であること、または開示された実施形態に限定されることは意図されていない。当業者には、記載された実施形態の範囲を逸脱しない多くの変更および変形が明らかとなろう。本明細書で使用した用語は、1つまたは複数の実施形態の原理、実用的用途、もしくは市販されている技術にはない技術的改善点を最もよく説明するように、または本明細書に開示された実施形態を当業者が理解できるように選択した。
【国際調査報告】