(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】波長拡大に関して向上した特性を有するコンポーネント
(51)【国際特許分類】
H01S 5/02355 20210101AFI20240618BHJP
H01S 5/22 20060101ALI20240618BHJP
G02B 27/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
H01S5/02355
H01S5/22 610
G02B27/02 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571412
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 EP2022065698
(87)【国際公開番号】W WO2022258757
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021115230.5
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021123010.1
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】エイエムエス-オスラム インターナショナル ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】ams-OSRAM International GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D-93055 Regensburg, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュレグル セバスチャン
(72)【発明者】
【氏名】サマーズ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゾルグ ヨルグ エリッヒ
【テーマコード(参考)】
2H199
5F173
【Fターム(参考)】
2H199CA29
2H199CA86
5F173AD04
5F173MA10
5F173MC30
5F173MD64
5F173MD65
5F173ME44
(57)【要約】
支持体(9)と、支持体(9)上に相並んで配置された正確に2つの半導体チップ(10C)とを有するコンポーネント(10)の仕様が定められ、正確に2つの半導体チップ(10C)は、それぞれ正確に2つのエミッタ領域(R)を有する二重エミッタとして、またはそれぞれ正確に3つのエミッタ領域(R)を有する三重エミッタとして具現化され、よって単一エミッタとは異なる。コンポーネント(10)のエミッタ領域(R)は、正確に2つの半導体チップ(10C)に関連付けられ、正確に2つの半導体チップ(10C)は、エミッタ領域(R)を画定するリッジをそれぞれ有するレーザダイオードである。正確に2つの半導体チップ(10C)は、支持体(9)を介して電気接触される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(9)と、前記支持体(9)上に相並んで配置された正確に2つの半導体チップ(10C)とを有するコンポーネント(10)であって、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、それぞれ正確に2つのエミッタ領域(R)を有する二重エミッタとして、またはそれぞれ正確に3つのエミッタ領域(R)を有する三重エミッタとして形成され、よって単一エミッタとは異なり、
前記コンポーネント(10)の前記エミッタ領域(R)は、前記正確に2つの半導体チップ(10C)に割り当てられ、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記エミッタ領域(R)を画定するそれぞれのリッジを有するレーザダイオードであり、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記支持体(9)を介して電気接触される、
前記コンポーネント(10)。
【請求項2】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、正確に2つのエミッタ領域(R)を有する二重エミッタとして形成される、
請求項1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項3】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、正確に3つのエミッタ領域(R)を有する三重エミッタとして形成される、
請求項1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項4】
前記エミッタ領域(R)はそれぞれ、コヒーレント放射線を生成するように構成される、請求項1から3のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項5】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、同じ構造を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項6】
同一の半導体チップ(10C)の前記エミッタ領域(R)は、互いに平行であり、横方向距離(A)だけ空間的に離隔され、前記横方向距離(A)は20μm~60μmである、請求項1から5のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項7】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、横方向中間領域(D)だけ空間的に互いに離隔され、前記横方向中間領域(D)は幅5μm~50μmである、請求項1から6のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項8】
すべてのエミッタ領域(R)に等間隔の横方向分離距離(DA)を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項9】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、前記各半導体チップ(10C)に関連付けられた前記エミッタ領域(R)間に同じ横方向距離(A)を有し、
異なる半導体チップ(10C)の隣接する2つのエミッタ領域(R)は、中間距離(ZA)だけ空間的に互いに離隔され、
異なる半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の横方向中間距離(ZA)は、同一の半導体チップ(10C)の隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向距離(A)とは異なる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項10】
異なる半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向中間距離(ZA)は、同一の半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向距離(A)より長い、
請求項9に記載のコンポーネント(10)。
【請求項11】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、接続パッド(AP)を有し、前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記接続パッド(AP)を介して前記支持体(9)のコンタクト構造に導電接続される、請求項1から10のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項12】
前記半導体チップ(10C)の前記接続パッド(AP)の数は、関連付けられた半導体チップ(10C)の前記エミッタ領域(R)の数と等しい、
請求項11に記載のコンポーネント(10)。
【請求項13】
前記半導体チップ(10C)は、スルーコンタクト(V)を有し、前記スルーコンタクト(V)はそれぞれ、前記リッジのうちの1つと電気接触するように形成され、
前記スルーコンタクト(V)は、前記関連付けられたリッジの横範囲全体に沿って延在し、
前記スルーコンタクト(V)の数は、前記接続パッド(AP)の数及び/または前記リッジの数と同一である、
請求項11から12のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項14】
10nm±5nmの波長拡大が達成されるように、前記エミッタ領域(R)は相並んで配置される、請求項1から13のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項15】
前記コンポーネント(10)は複数の共振器を備え、前記エミッタ領域(R)は相並んで配置され、よって、前記コンポーネント(10)の動作中に、個々のエミッタ領域(R)のスペクトルは、個々の共振器間で2μm~5μmの波長オフセットで重なり、これにより、10nm±5nmのスペクトル幅が達成される、
請求項1から14のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)を備える、AR眼鏡、VR眼鏡、またはデータ眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
コンポーネントの仕様が定められる。
【背景技術】
【0002】
回折導波管では、レーザビームの帯域幅が重要な役割を果たす。単一レーザの帯域幅は小さいため、光学的可視アーチファクトが導波管内に形成される。AR(拡張現実)眼鏡またはVR(仮想現実)眼鏡またはデータ眼鏡のユーザには、これらが見えて煩わしくある。
【0003】
四重エミッタの個々のエミッタ領域を、約数ナノメートル、例えば2.5nmだけシフトさせることにより、帯域幅の広がりを調整することができる。しかしながら、この方法は、製造が非常に複雑であり、高い歩留まり損失につながる。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的の1つは、波長拡大に関して向上した特性、具体的には、例えばAR眼鏡またはVR眼鏡またはデータ眼鏡の画質を高める向上した特性を有するコンポーネントを提供することである。
【0005】
この目的は、独立請求項に記載のコンポーネントにより解決される。コンポーネントのさらなる構造及びさらなる発展形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
適合したチップ構造により、例えば四重エミッタなどのマルチエミッタは、例えば2つの二重エミッタなどの小さいエミッタに分割され得る。マルチエミッタと比べて、エミッタ領域間の距離が維持され得る。2つのレーザダイオードに分割することにより、製造プロセスは大幅に簡略化され、よって、導波管内の光学アーチファクトを削減するために、帯域幅を特に10nm、例えば10nm±5nm、10nm±3nm、10nm±3nm、または10nm±1nmなどに拡張する、より簡単な方法が提供される。
【0007】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態では、コンポーネントは、複数のエミッタ領域を有する。具体的には、エミッタ領域は、少なくとも2つまたは正確に2つの半導体チップに割り当てられる。
【0008】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態では、コンポーネントは、少なくとも2つの半導体チップを有する。2つの半導体チップは、具体的には2つのエミッタまたは2つのレーザダイオードである。具体的には、エミッタまたはレーザダイオードは、単一エミッタとは異なる。半導体チップは、二重エミッタまたは三重エミッタであり得る。例えば、半導体チップは2つまたは3つのリッジを有し得る。コンポーネントの半導体チップは、支持体上に並んで配置され得る。半導体チップが2つのリッジを有する場合、デュアルエミッタまたは二重エミッタと称される。
【0009】
コンポーネントの少なくとも1つのさらなる実施形態では、コンポーネントは、支持体と、支持体上に相並んで配置された正確に2つの半導体チップと、を有する。正確に2つの半導体チップは、それぞれ正確に2つのエミッタ領域を有する二重エミッタとして、またはそれぞれ正確に3つのエミッタ領域を有する三重エミッタとして形成され、よって単一エミッタとは異なる。コンポーネントのエミッタ領域、例えばすべてのエミッタ領域は、正確に2つの半導体チップに割り当てられる。正確に2つの半導体チップはレーザダイオードであり、それぞれがリッジを有し、リッジはエミッタ領域を画定する。正確に2つの半導体チップは、支持体を介して電気接触される。
【0010】
具体的には、エミッタ領域は、いわゆるリッジ領域またはリッジにより画定される。このようなリッジ領域を有するコンポーネントまたは半導体チップは、リッジレーザまたはストライプレーザとも称される。このようなコンポーネントまたは半導体チップは、それぞれの半導体チップの第2の半分の導波路領域に形成された1つ以上のストライプ導波路を有し得る。このようなストリップ導波路は、半導体チップの活性領域で生成されたレーザ放射線の導波方向に沿って、一次元導波を行うように形成され得る。半導体チップが2つ以上のエミッタ領域を有する場合、半導体チップは、このようなストリップ導波路を2つ以上有し得る。
【0011】
例えば、エミッタ領域またはストリップ導波路は、半導体チップの横方向に沿って延在する。具体的には、ストリップ導波路は、垂直方向に沿って突出するリッジの形態を有する。半導体チップが複数のエミッタ領域を有する場合、半導体チップは、複数のストリップ導波路を有し得、これらは、上面視では並んで配置され、具体的には並んで配置された凸状リッジの形態を有し得る。
【0012】
横方向とは、具体的には、半導体チップまたは支持体の主延在面に対して平行な方向を意味することが、理解されよう。垂直方向とは、具体的には、半導体チップまたは支持体の主延在面に直交するように配向された方向を意味することが、理解されよう。垂直方向と横方向は、互いに直交する。
【0013】
リッジ型レーザまたはストライプ型レーザの場合、レーザビームは、リッジ型レーザまたはストライプ型レーザの側面にて出射される。生成されたレーザビームは、ストリップ導波路に平行な横方向に基本的に沿って伝搬する。
【0014】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態によれば、コンポーネントの半導体チップは、接続パッドを有する。接続パッドを介して、半導体チップまたはエミッタは、例えば支持体のコンタクト構造により、外部と接触し得る。
【0015】
具体的には、接続パッドは、半導体チップの後側に配置される。例えば、接続パッドは、支持体と半導体チップの半導体本体と間に配置される。半導体チップは、スルーコンタクトを有し得、スルーコンタクトは、垂直方向に沿って延在し、例えば半導体本体の少なくとも1つの半導体領域を貫通し、それぞれ接続パッドのうちの1つに導電接続される。
【0016】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップは、支持体を介して電気接続される。例えば、支持体は、半導体チップの接続パッドと電気接触するコンタクト構造を有する。コンタクト構造は、半導体チップのすべての接続パッドと電気接触し得る。
【0017】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態によれば、半導体チップまたはエミッタの接続パッドの数は、関連付けられた半導体チップまたはエミッタのリッジまたはエミッタ領域の数に等しい。
【0018】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態によれば、コンポーネントは、少なくとも2つ、具体的には正確に2つの二重エミッタまたは三重エミッタを有する。
【0019】
コンポーネントの少なくとも1つの実施形態によれば、10nm±5nm、10nm±3nm、または10nm±1nmの波長拡大が達成されるように、エミッタは互いに隣接して配置される。
【0020】
AR眼鏡、VR眼鏡、またはデータ眼鏡の少なくとも1つの実施形態では、眼鏡は、本明細書で説明されるコンポーネントを含む。
【0021】
コンポーネントのさらなる実施形態及びさらなる発展形態は、
図1~
図5に関連して以下に説明される例示的な実施形態から、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】四重エミッタを有する従来のコンポーネントを示す。
【
図2】二重エミッタを有するコンポーネントの様々な例を示す。
【
図3】二重エミッタを有するコンポーネントの様々な例を示す。
【
図4】二重エミッタを有するコンポーネントの様々な例を示す。
【
図5】二重エミッタを有するコンポーネントの様々な例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
同一要素、均等要素、または均等に作用する要素は、図中では同じ参照番号で示される。図は、概略図であるため、必ずしも縮尺どおりではない。比較的小さい要素、特に層厚は、より明確にする目的で、むしろ誇張して大きく示される場合がある。
【0024】
図1は、四重エミッタCを備えるコンポーネント10を示す。四重エミッタCは、4つのリッジRを有する。異なるリッジRは、異なる波長の電磁放射線を生成するように構成され得る。異なるリッジRは、実質的に同じピーク波長の電磁放射線を生成するように構成されることも可能である。例えば、リッジは、レーザ放射線を生成するように構成される。このようなコンポーネントまたは四重エミッタは、4つすべてのエミッタ領域Rが仕様に則し、かつ合計で例えば約10nmの所定の所望波長拡大を有する必要があるため、歩留まり損失が高くあり得る。よって、四重エミッタで4つの異なる波長を達成するには、多大な労力が求められる。
【0025】
図1によれば、コンポーネント10または四重エミッタCは、具体的にはチップ後側に、4つの接続パッドAPを有し、これらはそれぞれ、例えばリッジRのうちの1つにnコンタクトまたはpコンタクトの電気接触を行うように構成される。横方向に沿って、リッジRは、横方向に互いに、例えばそれぞれ約50μmの横方向距離Aだけ離隔される。コンポーネント10または四重エミッタCは、例えば300μmの横幅Bを有する。
【0026】
図2によれば、コンポーネント10は、2つの二重エミッタLC及びRC、すなわち分離された2つの半導体チップ10Cを有する。半導体チップ10Cは、横方向に沿って、中間領域Dまたは横方向距離Dだけ、空間的に互いに離隔される。
【0027】
具体的には、
図1に示される四重エミッタCは、2つの二重エミッタLC及びRCに分割され得る。横幅Bは半分になるが、リッジR間の横方向距離Aは維持され得る。この場合、4つのエミッタ領域Rの代わりに2つだけ、すなわち4つのリッジRの代わりに2つのリッジRが、仕様に則する必要がある。これにより、最大で1つのエミッタ領域が波長シフトされるため、歩留まりが大幅に高くなる。よって、個々の二重エミッタLC及びRCの製造に要する労力は、格段に少なくて済む。個々の二重エミッタLC及びRCのそれぞれは、単一の半導体チップ10Cとして形成され得る。半導体チップ10C間の横方向距離Dは可変的に選択できるので、簡単な方法で所望の帯域幅拡大を実現することができる。
【0028】
よって
図2は、
図1と比較すると、ただ1つの四重エミッタCの代わりに、2つの二重エミッタLC及びRC、具体的には分離された2つの半導体チップ10Cを示す。例えば四重エミッタCのように帯域幅を広げるための人工的トレンチを作成しないため、分離された二重エミッタLC及びRCの製造は簡略化される。
図1に示される四重エミッタCと比較すると、分離された半導体チップ10Cはそれぞれ、
図1に示される四重エミッタCの横幅の半分である横幅NBを有する。
【0029】
図2に概略的に示されるように、二重エミッタLC及びRCのそれぞれは、いくつかのスルーコンタクトVを有し得る。具体的には、スルーコンタクトVは、リッジRのうちの1つと電気接触するように形成される。例えば、スルーコンタクトVは、関連付けられたリッジRの横範囲全体に沿って延在する。スルーコンタクトVの数は、例えば接続パッドAPの数及び/またはリッジRの数と同一である。言い換えると、各リッジRには、一意的に割り当てられたスルーコンタクトV及び/または接続パッドAPが存在する。
【0030】
半導体チップ10Cは、第1の半導体層と、第2の半導体層と、第1の半導体層と第2の半導体層との間に配置された活性領域とを有し、活性領域は、半導体チップ10Cの動作中に、電磁放射線、具体的にはコヒーレント電磁放射線を生成するように構成される。半導体チップ10Cの上面視では、スルーコンタクトVは、活性ゾーンの部分領域と重なり得る。この重なりにより、具体的にはスルーコンタクトVと重なる活性領域の部分領域においてのみ、電磁放射線は主に生成される。
【0031】
半導体チップ10Cが、2つの関連付けられたスルーコンタクトV及び2つの関連付けられた接続パッドAPを介して電気接触される2つのリッジRを有する場合に、半導体チップ10Cは、活性ゾーンの2つの異なる部分領域で電磁放射線を生成することができる。生成される電磁放射線は、例えばレーザ放射線である。具体的には、生成されるレーザ放射線は、実質的に同じピーク波長を有する。レーザ放射線Sは、半導体チップ10Cの側面にて出射され得る。これは、例えば
図5に概略的に示される。
【0032】
図2に示されるコンポーネント10は、2つの半導体チップ10Cを有し、半導体チップ10Cはそれぞれ2つのエミッタ領域Rを有し、2つのエミッタ領域Rの横方向距離はAである。例えば横方向距離Aは、半導体チップ10Cの側面またはコンポーネント10の側面における2つのエミッタ領域の2つの発光点間の距離により示される。例えば、横方向距離Aは、20μm~60μm、例えば25μm±5μm、30μm±5μm、35μm±5μm、または50μm±5μmである。コンポーネント10が2つ以上の半導体チップ10Cを有する場合、半導体チップ10Cは、隣接するエミッタ領域R間で同じ横方向距離Aを有し得る。
【0033】
具体的には、コンポーネント10は、正確に2つの半導体チップ10Cを有し、これらはそれぞれ、正確に2つのエミッタ領域Rを有する二重エミッタLCまたはRCとして形成される。半導体チップ10Cがそれぞれ二重エミッタとして形成される
図2から逸脱して、半導体チップ10Cはそれぞれ、正確に3つのエミッタ領域Rを有する三重エミッタとして形成されてもよい。コンポーネント10の同一の半導体チップ10Cまたはすべての放射線放出半導体チップ10Cのエミッタ領域Rは、同じピーク波長または異なるピーク波長のコヒーレント放射線を生成するように構成され得る。
【0034】
コンポーネント10は、互いに異なるまたは同じ構造を有する2つ、3つ、またはそれ以上の半導体チップ10Cを有することが可能である。半導体チップ10Cが同様に形成される場合、これらは同じ半導体構造を有し得る。同様に形成される半導体チップ10Cの半導体本体は、同じ材料で形成される可能性がある。例えば、
図2に示される半導体チップ10Cの半導体本体は、
図1に示される半導体チップ10Cの共通の半導体本体から、例えば個片化プロセスにより形成され得る。また、半導体チップ10Cはそれぞれ、同数のエミッタ領域Rを有し得る。半導体チップ10Cが互いに異なるように形成される場合、半導体チップ10Cは、異なる数のエミッタ領域R及び/または異なる半導体構造を有し得る、または異なる半導体材料から形成され得る。
【0035】
図1または
図2に概略的に示されるように、同一の半導体チップ10Cのエミッタ領域Rは、互いに平行に延在する。同一の半導体チップ10Cのエミッタ領域Rは、横方向距離Aだけ互いに離隔され、横方向距離Aは、20μm~60μmであり得る。例えば、横方向距離Aは、30μmまたは50μmである。
【0036】
2つの半導体チップ10Cは、横方向中間領域Dまたは横方向距離Dだけ空間的に互いに離隔される。横方向中間領域Dは、幅5μm~50μmであり得る。隣接する2つの半導体チップ10C間の横方向距離Dは、隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向距離Aより長くてもよく、または短くてもよい。具体的には、隣接する2つの半導体チップ10C間の中間領域Dは、隣接する半導体チップ10Cの外側の隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向距離を調整するように構成される。
【0037】
コンポーネント10は、すべてのエミッタ領域Rに等間隔の横方向分離距離DAを有することが可能である。これは、例えば
図3に概略的に示される。この場合、同一の半導体チップ10Cまたは異なる半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域Rは、同じ横方向分離距離DAを有し、具体的には、最大5nm、3nm、または1nmなど、数ナノメートルの最大製造公差を有する。言い換えると、コンポーネントの隣接するいずれの2つのエミッタ領域Rも、同じ分離距離DAを有し得る。例えば、等間隔の分離距離DAは、30μm±5μm、35μm±5μm、40μm±5μm、45μm±5μm、または50μm±5μmである。
【0038】
図3及び
図4に示されるコンポーネントの実施形態は、
図2に示されるコンポーネントの実施形態と実質的に同じである。
【0039】
図3によれば、横方向間隔Aまたは等間隔の横方向分離距離DAは、50μmであり得る。隣接する2つの半導体チップ10C間の中間領域Dは、幅5μmであり得る。コンポーネント10が2つの半導体チップ10Cを有し、合計4つのエミッタ領域Rを有する場合、4つのエミッタ領域Rは、例えば150μmの全横幅GAにわたり分散され得る。よって、全幅GAは、コンポーネント10のエミッタ領域R、具体的にはすべてのエミッタ領域Rが配置される領域の幅を示す。半導体チップ10Cのそれぞれは、例えば150μmの横幅NBを有し得る。幅及び/または間隔に関して本開示で指定されるすべての幾何学的寸法は、例えば5μm以下、3μm以下、2μm以下、または1μm以下など数ミクロンの製造公差の対象であり得る。
【0040】
図3によれば、例えば
図1に示される半導体チップCまたはレーザダイオードのn個のリッジRは、分離された2つの半導体チップ/レーザダイオード10C上に、それぞれn/2個のリッジRのグループに分割される。具体的には、分離された両方の半導体チップ/レーザダイオードのn個のリッジRはすべて、特に支持体/基板9に取り付けられた後(
図5も参照)、等間隔の分離距離DAで配置されることが示される。リッジRの数nは、4から逸脱して、6であってもよい。
【0041】
図4によれば、半導体チップ10Cはそれぞれ、各半導体チップ10Cに関連付けられたエミッタ領域R間に同じ横方向距離Aを有する。異なる半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域Rは、横方向中間距離ZAにより空間的に互いに離隔され、異なる半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向中間距離ZAは、同一の半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向距離Aとは異なる。例えば、異なる半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向中間距離ZAは、同一の半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向距離Aより長い、または短い。
【0042】
図4を参照すると、コンポーネント10は、同一の半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間に、横方向距離Aを有し、これは30μmであり得る。隣接する半導体チップ10Cの隣接する2つのエミッタ領域R間の横方向中間距離ZAは、70μmであり得る。中間領域Dは、幅45μmであり得る。4つのエミッタ領域Rが分散される全幅GAはさらに、例えば150μmであり得る。半導体チップ10Cのそれぞれは、約150μmの横方向のNBを有し得る。
【0043】
図4によれば、例えば
図1に示される半導体チップCまたはレーザダイオードのn個のリッジRは、分離された2つの半導体チップ/レーザダイオード10C上に、それぞれn/2個のリッジRのグループに分割される。外側のそれぞれのリッジRの横方向距離は、維持される(例えばGA=150μm)。
図3とは対照的に、内側のそれぞれのリッジRは、2つの半導体チップ/レーザダイオード10C間の空間をより大きくするために、外側のリッジの近くに移動される(例えば距離A=30μm)。
【0044】
具体的には、
図3及び
図4は、10nmの帯域幅を有する2つの二重エミッタLC及びRCを備えたコンポーネント10の有形実現を示す。しかし、本明細書で説明されるコンポーネント10の詳細は、
図3及び
図4に示されるものに必ずしも限定されない。
【0045】
図2~
図4から逸脱して、二重エミッタLC及びRCは、支持体9、具体的には共通の支持体9上に配置され得る(例えば
図5を参照)。さらに
図2~
図4から逸脱して、コンポーネント10は、例えば2個の三重エミッタ、またはさらには2個の四重エミッタを有してもよい。エミッタ、すなわち半導体チップ10Cは、エミッタ領域R間、すなわちリッジR間またはエミッタ間または半導体チップ10C間の所定距離AまたはDを、例えば±5μmまたは±2μmの最大製造公差で維持できるように、支持体9上に固定され、具体的にははんだ付けされ得る。リッジR間の距離Aは、約50μm以下であり得る。個別の分離された二重エミッタまたは三重エミッタの組み合わせにより、例えば10nm±5nm、10nm±3nm、または10nm±1nmの波長拡大が達成され得る。
【0046】
スペクトル放出幅の増大を達成するためには、小さい波長オフセットにより個々のリッジのスペクトルを重ね合わせることが挙げられる。多くの場合、約10nm(FWHM)のスペクトル幅(波長拡大)が望ましい。この値を達成するために、エミッタ間またはエミッタ領域間またはリッジ間の波長オフセットは、個々の共振器間で約2μm~5μmにされ得る。
【0047】
コンポーネント10は複数の共振器を含み得、コンポーネント10の動作中に波長オフセットで個々のリッジRのスペクトルが重なるように、リッジは互いに隣接して配置される。具体的には、波長オフセットは、個々の共振器間で2μm~5μmである。その結果、10nm±5nmのスペクトル幅が達成され得る。
【0048】
図5は、共通の支持体9上に少なくとも2つの半導体チップ10Cを有するコンポーネント10を示す。半導体チップ10Cは、支持体9を介して、具体的には支持体9のコンタクト構造を介して、外部と電気接続され得る。支持体9のコンタクト構造は、半導体チップ10Cの後側における接続パッドAPの配置に適合され得、またはその逆も同様であり得る。
【0049】
半導体チップ10Cの接続パッドAPの数は、対応する半導体チップ10Cのエミッタ領域Rの数と同一であり得る。具体的には、エミッタ領域Rは、リッジとして形成される。半導体チップ10Cは、スルーコンタクトVを有し得、これらはそれぞれ、リッジRのうちの1つと電気接触するように形成される。スルーコンタクトVは、関連付けられたリッジRの横範囲全体に沿って延在し得る。具体的には、スルーコンタクトVの位置は、各半導体チップ10Cの活性領域の選択された部分領域を画定し、この部分領域に電荷キャリアが選択的に注入され、これにより、活性領域の選択された部分領域は、コンポーネント10の動作中に電磁放射線を生成するように構成される。例えば、スルーコンタクトVの数は、接続パッドAPの数及び/またはリッジRの数と同一である。
【0050】
コンポーネント10の動作時に、エミッタ領域Rは、コンポーネント10の側面、すなわち半導体チップ10Cの側面にて、コンポーネント10から横方向に出射され得る電磁放射線を生成するように構成される。例えば、エミッタ領域Rは、10nm±5nmの波長拡大が達成されるように、互いに隣接して配置される。
【0051】
具体的には、二重エミッタを使用することにより、レーザダイオードLCまたはRCあたりなど、半導体チップ10Cあたりのエミッタ領域/リッジRの自然な波長シフト、特に所望の帯域幅拡張を達成することができる。具体的には、チップエッジからエミッタ領域/リッジRの短い所定距離により、自然な波長シフトは生じる。よって、エッチングされたトレンチにより精緻な波長シフトを行う四重エミッタと比較して、本開示は、所望の帯域幅拡大を達成するためのより簡単な方法を提供する。
【0052】
本特許出願は、ドイツ特許出願第10 2021 115 230.5号の優先権及びドイツ特許出願第10 2021 123 010.1号の優先権を主張し、これらの開示内容は、参照により本明細書に含まれるものとする。
【0053】
例示的な実施形態を参照して行われた本発明の説明により、本発明は例示的な実施形態に限定されるものではない。本発明は、むしろ、任意の新たな特徴及び特徴の任意の組み合わせを含み、具体的には特許請求の範囲における特徴の任意の組み合わせを含み、この特徴またはこの組み合わせ自体が、特許請求の範囲または例示的な実施形態に明示的に示されていなくても、この特徴またはこの組み合わせを含む。
【符号の説明】
【0054】
10 コンポーネント
C 半導体チップ、マルチエミッタ
10C、LC 半導体チップ
10C、RC 半導体チップ
9 支持体
A 同一の半導体チップの隣接する2つのエミッタ領域間の距離
AP 接続パッド
B 半導体チップ/マルチエミッタの幅
D 隣接する2つの半導体チップ間の距離/中間領域
GA エミッタ領域の面積の幅
NB 半導体チップ/二重エミッタの幅
R エミッタ領域、リッジ
S 放射線
V スルーコンタクト
ZA 隣接する半導体チップの隣接する2つのエミッタ領域間の距離
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体(9)と、前記支持体(9)上に相並んで配置された正確に2つの半導体チップ(10C)とを有するコンポーネント(10)であって、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、それぞれ正確に2つのエミッタ領域(R)を有する二重エミッタとして、またはそれぞれ正確に3つのエミッタ領域(R)を有する三重エミッタとして形成され、よって単一エミッタとは異なり、
前記コンポーネント(10)の前記エミッタ領域(R)は、前記正確に2つの半導体チップ(10C)に割り当てられ、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記エミッタ領域(R)を画定するそれぞれのリッジを有するレーザダイオードであり、
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記支持体(9)を介して電気接触される、
前記コンポーネント(10)。
【請求項2】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、正確に2つのエミッタ領域(R)を有する二重エミッタとして形成される、
請求項1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項3】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、正確に3つのエミッタ領域(R)を有する三重エミッタとして形成される、
請求項1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項4】
前記エミッタ領域(R)はそれぞれ、コヒーレント放射線を生成するように構成される、請求項
1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項5】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、同じ構造を有する、請求項
1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項6】
同一の半導体チップ(10C)の前記エミッタ領域(R)は、互いに平行であり、横方向距離(A)だけ空間的に離隔され、前記横方向距離(A)は20μm~60μmである、請求項
1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項7】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、横方向中間領域(D)だけ空間的に互いに離隔され、前記横方向中間領域(D)は幅5μm~50μmである、請求項
1に記載のコンポーネント(10)。
【請求項8】
すべてのエミッタ領域(R)に等間隔の横方向分離距離(DA)を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項9】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、前記各半導体チップ(10C)に関連付けられた前記エミッタ領域(R)間に同じ横方向距離(A)を有し、
異なる半導体チップ(10C)の隣接する2つのエミッタ領域(R)は、中間距離(ZA)だけ空間的に互いに離隔され、
異なる半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の横方向中間距離(ZA)は、同一の半導体チップ(10C)の隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向距離(A)とは異なる、
請求項1から7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項10】
異なる半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向中間距離(ZA)は、同一の半導体チップ(10C)の前記隣接する2つのエミッタ領域(R)間の前記横方向距離(A)より長い、
請求項9に記載のコンポーネント(10)。
【請求項11】
前記正確に2つの半導体チップ(10C)はそれぞれ、接続パッド(AP)を有し、前記正確に2つの半導体チップ(10C)は、前記接続パッド(AP)を介して前記支持体(9)のコンタクト構造に導電接続される、請求項1から
7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項12】
前記半導体チップ(10C)の前記接続パッド(AP)の数は、関連付けられた半導体チップ(10C)の前記エミッタ領域(R)の数と等しい、
請求項11に記載のコンポーネント(10)。
【請求項13】
前記半導体チップ(10C)は、スルーコンタクト(V)を有し、前記スルーコンタクト(V)はそれぞれ、前記リッジのうちの1つと電気接触するように形成され、
前記スルーコンタクト(V)は、前記関連付けられたリッジの横範囲全体に沿って延在し、
前記スルーコンタクト(V)の数は、前記接続パッド(AP)の数及び/または前記リッジの数と同一である、
請求項
11に記載のコンポーネント(10)。
【請求項14】
10nm±5nmの波長拡大が達成されるように、前記エミッタ領域(R)は相並んで配置される、請求項1から
7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項15】
前記コンポーネント(10)は複数の共振器を備え、前記エミッタ領域(R)は相並んで配置され、よって、前記コンポーネント(10)の動作中に、個々のエミッタ領域(R)のスペクトルは、個々の共振器間で2μm~5μmの波長オフセットで重なり、これにより、10nm±5nmのスペクトル幅が達成される、
請求項1から
7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)。
【請求項16】
請求項1から
7のいずれか1項に記載のコンポーネント(10)を備える、AR眼鏡、VR眼鏡、またはデータ眼鏡。
【国際調査報告】