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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】繊維工場のための運搬車両
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
B65H67/06 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571457
(86)(22)【出願日】2022-06-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2022065030
(87)【国際公開番号】W WO2022258480
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】102021114824.3
(32)【優先日】2021-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520171778
【氏名又は名称】ザウラー テクノロジーズ ゲー・エム・ベー・ハー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Saurer Technologies GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Weeserweg 60, 47804 Krefeld, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャウエンブルク、マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイナート、シュテフェン
(72)【発明者】
【氏名】ロイパース、ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA03
3F112GB02
3F112KA03
3F112KA04
3F112TA03
3F112VB02
(57)【要約】
本発明は、繊維工場のための無人運転式の運搬車両(1)に関し、この運搬車両(1)は、繊維工場内で定義された目標へと自律的に走行する走行ユニット(20)と、走行ユニット(20)の上に配置され、運搬車両(1)に含まれる荷積み・荷卸し装置(60)によって荷積み・荷卸し可能である繊維材料のための運搬されるユニットを支持するために構成された支持ユニット(30)とを含む。搬送されるユニットは、糸巻きされたスリーブ体又は糸巻きされていないスリーブ体(2)をそれぞれ保管するための複数の保管個所(42)を有する、上側の支持面(32)の上に固定されたボビン保管部(40)によって、及び/又はスリーブ体(2)を自律的に処理するために支持ユニットに固定されて配置されるスリーブ処理ユニットによって構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維工場のための運搬車両(1)であって、
繊維工場内で定義された目標へと自律的に走行するように構成された走行ユニット(20)と、
前記走行ユニット(20)の上で特に非破壊式に取外し可能に配置される支持ユニット(30)であって、繊維材料の荷積み・荷卸しが可能である運搬されるユニットを支持するための、前記走行ユニット(20)と反対を向くほうの上側の支持面(32)を含む前記支持ユニット(30)と、
前記運搬されるユニットに繊維材料を荷積み・荷卸しするための搬送ユニット(64)を有する、荷積み・荷卸しアーム(62)付きの荷積み・荷卸し装置(60)と
を含む運搬車両において、
前記搬送されるユニットは、少なくとも1つの糸巻きされたスリーブ体又は糸巻きされていないスリーブ体(2)をそれぞれ保管するための複数の保管個所(42)を有する、前記上側の支持面(32)の上で特に非破壊式に取外し可能に固定されたボビン保管部(40)によって、及び/又は前記支持面(32)の上に配置された少なくとも1つの前記保管個所(42)に保管可能である前記スリーブ体(2)を少なくとも自律的に処理するための、前記支持ユニット(30)に特に非破壊式に取外し可能に固定されて配置されたスリーブ処理ユニットによって構成されており、前記荷積み・荷卸し装置(60)は前記支持ユニット(30)に、特に前記上側の支持面(32)の上に、又は前記運搬されるユニットに固定され、前記保管個所(42)へ前記荷積み・荷卸し装置(60)によって前記スリーブ体(2)を荷積み・荷卸し可能であることを特徴とする運搬車両(1)。
【請求項2】
前記搬送ユニット(64)を有する前記荷積み・荷卸しアーム(62)は特に前記上側の支持面(32)に対して垂直に延びるリニアガイド(70)に沿って直線状に移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の運搬車両(1)。
【請求項3】
前記運搬されるユニットは少なくとも前記ボビン保管部(40)によって構成され、複数の前記保管個所(42)のうち少なくとも1つの保管個所(42)は少なくとも2つの前記スリーブ体(2)をスリーブ体長さに沿って一列に保管するように構成されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の運搬車両(1)。
【請求項4】
前記運搬されるユニットは、少なくとも、それぞれ少なくとも1つの保管個所(42)を含む少なくとも2つの保管セグメントユニット(44、46)を有するボビン保管部(40)によって構成され、少なくとも2つの前記保管セグメントユニット(44,46)と前記荷積み・荷卸し装置(60)は互いに相対的に回転するように構成されることを特徴とする、請求項1から3のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項5】
少なくとも2つの前記保管セグメントユニット(44、46)は、前記上側の支持面(32)から垂直に突き出すフレーム構造(48)によって構成されており、このフレーム構造は、前記上側の支持面(32)に対して垂直に延びる少なくとも2つの垂直面に、水平方向及び/又は水平方向に延びるように配置された複数の保管個所(42)をそれぞれ有し、前記フレーム構造(48)は、前記上側の支持面(32)の上で前記荷積み・荷卸し装置(60)に対して相対的に回転運動可能なように配置されてセットアップされることを特徴とする、請求項4に記載の運搬車両(1)。
【請求項6】
前記ボビン保管部(40)は貯蔵パーテルノステルとして構成され、少なくとも2つの前記保管セグメントユニット(44、46)はそれぞれ前記上側の支持面(32)に対して間隔をおいて周回するように可動な前記貯蔵パーテルノステルの棚底面(58)を形成することを特徴とする、請求項4に記載の運搬車両(1)。
【請求項7】
前記運搬されるユニットは、特に前記保管個所(42)に収容される糸巻きされたスリーブ体(2)の糸端部をキャッチするための糸キャッチユニットを有するスリーブ処理ユニットによって構成されることを特徴とする、請求項1から6のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項8】
前記スリーブ処理ユニットは、糸巻きされたスリーブ体(2)から巻き出された、前記糸キャッチユニットによりキャッチされた糸の糸端部を分断するための糸分離ユニットを有することを特徴とする、請求項7に記載の運搬車両(1)。
【請求項9】
前記糸キャッチユニットは、前記保管個所(42)に対して、及び糸巻きされたスリーブ体(2)と前記糸キャッチユニットとの間に張り渡された糸を相対運動の過程で分断するための糸分離ユニットに対して相対的に可動に構成されることを特徴とする、請求項7又は8に記載の運搬車両(1)。
【請求項10】
前記運搬車両(1)は、少なくとも1つの前記支持ユニット(30)、前記運搬されるユニット、及び/又は前記荷積み・荷卸し装置に自律的に、又はインターフェースを介して、作動エネルギー及び/又は作動媒体を供給するように構成されることを特徴とする、請求項1から9のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項11】
前記運搬車両(1)は計量ユニット(94)を有し、前記計量ユニットによって少なくとも前記ボビン保管部(40)の重量を、又は荷積み又は荷卸しされる少なくとも1つのスリーブ体(2)の重量を、評価及び/又は表示のために検出可能であることを特徴とする、請求項1から10のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項12】
前記走行ユニット(20)は、前記運搬車両(1)の走行軌道周辺にある汚れに対して前記走行ユニット(20)の前記運搬車両(1)の少なくとも1つの走行方向で走行コンポーネント(22)を防護するために、少なくとも1つの防護ユニット(80)を有することを特徴とする、請求項1から11のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項13】
前記運搬車両(1)を停車時に担持するために少なくとも1つの繰込み可能かつ繰出し可能な担持支持体を有することを特徴とする、請求項1から12のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)。
【請求項14】
繊維工場で繊維材料を、特に糸巻きされたスリーブ体及び/又は糸巻きされていないスリーブ体(2)を、処理するためのシステム(100)であって、前記システム(100)は制御システム(110)を含み、前記制御システムによって運搬車両(1)が繊維工場内の定義された場所へ走行するように制御されるシステムにおいて、請求項1から13のうちいずれか1項に記載の運搬車両(1)を有することを特徴とするシステム(100)。
【請求項15】
前記システム(100)は繊維工場で繊維材料を分配するためのシステムを構成し、前記システム(100)は、
-繊維材料取出ステーション(120)と、
-繊維材料引取ステーション(130)と、
-前記繊維材料取出ステーション(120)から前記繊維材料引取ステーション(130)へと繊維材料を運ぶための運搬車両(1)とを含み、
少なくとも前記制御システム(110)と前記運搬車両(1)は、前記繊維材料取出ステーション(120)での繊維材料取出に関して、及び前記繊維材料引取ステーションへ(130)の繊維材料引渡に関して、分配情報を交換するために互いに接続されることを特徴とする、請求項14に記載のシステム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維工場のための運搬車両、及びそのような運搬車両を含む、繊維工場で繊維材料を処理するためのシステムに関する。
【0002】
運搬車両は、通常、繊維工場内で自律的に、すなわち無人運転式に、定義された目標へと走行するように構成された走行ユニットを含んでいてよい。更に運搬車両は、走行ユニットと定置に連結された支持ユニットを有し、支持ユニットは、繊維材料の荷積み・荷卸しが可能である運搬されるユニットを支持するために構成される。そのために運搬車両は、運搬されるユニットに繊維材料を荷積み・荷卸しするための搬送ユニットを含む、荷積み・荷卸しアーム付きの荷積み・荷卸し装置を備えている。
【0003】
このような運搬車両は、たとえば中国特許出願公開第110641576号明細書から公知である。この運搬車両は、糸巻きされたスリーブ体及び糸巻きされていないスリーブ体を無人運転式に運搬するように構成されており、糸巻きされた複数のスリーブ体をそれぞれ有する多層に積み重ねられたボビンプレートを含む、糸巻きされたスリーブ体を収容するための支持面又はパレットが設けられる。更に、この運搬車両は支持面の下方に、糸巻きされていないスリーブ体を保管するための運搬区画を有している。しかし、糸巻きされたスリーブ体の荷積み・荷卸しは、糸巻きされた次のスリーブ体の、ボビンプレートで覆われている層を露出させる時間のかかる中間ステップを必要とする。更にこの運搬車両は、水平面にある大量のスリーブ体を広い面積で運搬するために設計されている。更に搬送ユニットは、仕分けされずに運搬区画に積み置かれた糸巻きされていないスリーブ体を取り出すとき、スリーブ体を確実に捕捉する時間のかかる試行を必要とする場合がある。したがってこの公知の運搬車両は、繊維工場内でのスリーブ体などの繊維材料の処理に関して、十分に最適化の余地があることが判明している。
【0004】
本発明により、特に、運搬車両による繊維材料の処理をいっそう良好に実行可能である、繊維工場のための運搬車両を提供することが意図される。そのために本発明により、特に、大量のスリーブ体を運搬することができる、及び/又はスリーブ体の定義された処理を行うことができる運搬車両を提供することが意図される。最後に本発明により、特に代替的な運搬車両を提供することが意図される。
【0005】
本発明に基づく運搬車両は、いずれの場合にも、繊維工場内で定義された、ないしは設定された目標へと自律的に走行するように構成された通常の走行ユニットを有する。そのような走行ユニットの構成は、従来技術から十分に知られている。
【0006】
更に本発明による運搬車両は、走行ユニットによって繊維工場を移動できるようにするためにその上に配置された支持ユニットを含む。支持ユニットは、繊維材料の荷積み・荷卸しが可能である運搬されるユニットを支持するための、走行ユニットと反対を向くほうの上側の支持面を含む。支持ユニットは、走行ユニットの上で取外し可能に配置されるのが好ましい。取外し可能とは、本発明の意味においては、走行ユニットからの支持ユニットの非破壊式の反復可能な連結解除のことであり、並びに走行ユニットと支持ユニットとの連結のことであると理解される。特に、走行ユニットと支持ユニットはモジュール形式で互いに結合可能なように構成され、それにより、走行ユニット又は支持ユニットを交換可能である。その代替として、走行ユニットは支持ユニットと共に、分離不能である構造的なユニットを形成していてよい。そのような構造的なユニットは、上記とは逆に、走行ユニットと支持ユニットとによって区切られる共通の内部空間を提供可能であり、この内部空間が、特に走行ユニットの、及び更に好ましくは支持ユニットの電子式及び電気式コンポーネントを配置及び構成するための十分に広い空間を提供するという利点がある。
【0007】
更に、運搬されるユニットに繊維材料を荷積み・荷卸しするための搬送ユニットを有する、荷積み・荷卸しアーム付きの荷積み・荷卸し装置が設けられる。荷積み・荷卸し装置は、好ましくは取外し可能かつそれに伴って交換可能に、又は固定的に、すなわち支持ユニットと取外し不能に、更に好ましくは上側の支持面の上に、及び/又は運搬されるユニットに固定されていてよい。好ましくは、荷積み・荷卸し装置は、搬送ユニットとして構成される把持ユニットを含む、ロボットアームを有する通常のロボット把持装置であってよく、ロボットアームは互いに枢着結合された少なくとも2つのアームを有し、把持ユニットはアーム区域のうちの1つの自由端に配置される。把持ユニットは、好ましくは、互いに作用結合された少なくとも2つの把持トング、クランプ手段を有する把持ロッド、ロボットハンド、繊維材料を吸引式に把持するために負圧で負荷可能な把持ユニット等であってよい。
【0008】
更に好ましくは、荷積み・荷卸し装置は、特に搬送ユニットとして構成される、更に好ましくは把持ユニットとして構成されるロボットアームとロボットハンドとを有する、コボットとしても知られる協働ロボットである。そのようなコボットは、他の場合であれば通常行われる防護策なしに、柵や防護装置のない、繊維工場の操作者と共通の環境へ容易に組み込むことができ、完全には自動化可能でない複雑な課題で操作者をアシストすることができるという利点がある。そのために、このようなコボットは他のロボット装置と異なり、定義された障害物とコボットが接触するとただちにコボットをスイッチオフにるセンサ機構を装備している。それにより、操作者の怪我を確実に防止することができる。
【0009】
好ましくは、ロボットアームは、モジュール形式でジョイント式に組み立てられていてよい。たとえばロボットアームは、必要に即して到達範囲を適合化できるようにするために、少なくとも1つの別のアーム区域分だけ必要に即して延伸又は短縮することができる。モジュール形式でのジョイント式の組立は、たとえばボールジョイント式の連結を通じて行うことができ、この連結は、更に好ましくは情報及び/又はエネルギー供給を導通するためのすり接点を有することができる。好ましくは、少なくとも1つのアーム区域が、繰込み可能かつ繰出し可能な部分区域を含んでいてもよく、それにより、簡易化された到達範囲適合化が可能となる。更に好ましくは、搬送ユニットは、荷積み・荷卸しアームに交換可能に結合されていてよい。
【0010】
好ましい実施形態では、運搬車両、特に荷積み・荷卸し装置は、少なくとも1つの画像処理システムを含み、これによって運搬車両の定義された周辺領域及び/又は荷積み・荷卸し装置の定義された作業領域を光学式に監視可能であり、更に好ましくは保存可能に監視可能かつ撮影可能である。特に好ましくは、画像処理システムは、作業領域を、すなわち荷積み・荷卸し装置の取扱領域を、特に把持ユニットの取扱領域を監視可能ないし撮影可能であるように、運搬車両又は荷積み・荷卸し装置に配置される。画像処理システムは、把持ユニットの近傍又は表面でその外部に配置されるのが好ましい。更に好ましくは、画像撮影ユニットは、把持ユニットを支持するアーム区域に、又は当該アーム区域と把持ユニットとを互いに結合するジョイントに配置されていてよい。画像処理システムの配置について重要なのは、把持ユニットの作業領域の監視可能性であり、画像処理システムは、画像処理システムの画像撮影中心軸が把持ユニットの保持軸と一致しないように配置されるのが好ましい。把持ユニットの保持軸とは、把持ユニットのそれぞれの把持部材の間に延び、その上で把持部材が動いて物体ないし対象物を把持する軸であると理解される。把持ユニットが物体のない把持状態にあるとき、把持部材はその数や保持軸への配置又はその近傍への配置に依存して、互いに接触する。
【0011】
更に好ましくは、画像処理システムは、荷積み・荷卸し装置の動作制御装置と通信接続されており、この動作制御装置は、画像処理システムの情報をベースとして荷積み・荷卸し装置を自律的に制御するように設計される。好ましくは、動作制御装置と通信接続された知識リポジトリが設けられていてよく、それにより動作制御装置が画像処理システムの情報を、知識リポジトリに保存されている情報と比較し、この比較をベースとして、荷積み・荷卸し装置を定義されたとおりに制御するようになっている。このことは特に、荷積み・荷卸し装置によって定義されたとおりに取り扱われるべき、ボビンやスリーブなどの繊維材料が仕分けされていない場合に有利である。
【0012】
更に好ましくは、画像処理システムは単独で、又は動作制御装置との組み合わせで、荷積み・荷卸し装置の作業領域内で定義されたとおりに位置決めされるマーキングと相互作用するように設計される。これにより、荷積み・荷卸し装置を、正確に実行可能に取り扱うために、マーキングで定義されたマーキング領域の内部で作動させることができる。そのようにして誤った運動をほぼ回避することができ、それによって生産性が向上する。
【0013】
好ましい実施形態では、運搬車両、特に荷積み・荷卸し装置は、荷積み・荷卸し装置のためのリニアガイドを有し、これに沿って荷積み・荷卸し装置が直線的に移動可能である。これにより、荷積み・荷卸し装置の到達範囲を、同じく必要に即して適合化することができる。このようなリニアガイドは、運搬される長尺状のユニットとの組み合わせが有利である。リニアガイドは、支持面に対して好ましくは斜めに、又は平行に延びていてよい。特にリニアガイドは支持面に対して垂直に延び、それにより、運搬車両の水平方向の寸法をその幅と奥行きに関してできる限り小さく抑えられるようにして、たとえば隣接する2つの繊維機械の間の細い通路でも運搬車両が移動できるようにするために、主として垂直方向に延びる運搬されるユニットを、支持面の上に配置可能である。更に好ましくは、リニアガイドは、直線ガイド、曲線ガイド、又はガイドと曲線ガイドの組み合わせであってよい。そのようなリニアガイドは、短く構成可能な荷積み・荷卸し装置の使用を、及び一般に運搬車両の重量削減をいっそう促進する。
【0014】
本発明による運搬車両は、糸巻きされたスリーブ体又は糸巻きされていないスリーブ体をそれぞれ保管するための複数の保管個所を有する、上側の支持面の上で特に非破壊式に取外し可能に固定されたボビン保管部によって、運搬されるユニットが構成されることを特徴とする。保管個所は、好ましくは、少なくとも1つのスリーブ体に挿入可能である収容区画によって、及び/又は少なくとも1つのスリーブ体を特にクランプ可能、差込可能、又は可能である収容心棒によって構成されていてよい。好ましくは、収容区画及び/又は収容心棒は、保管個所と交差する水平面を通って角度をなして延び、収容区画の収容開口部の少なくとも1つの開口区域が、ないしは収容心棒の収容先端部が、この水平面の、支持ユニットと反対を向くほうの上側よりも上方に配置される。それにより、収容開口部ないし収容先端部を通じてスリーブ体を確実に、かつ運搬車両の走行中に保管個所から落下する危険なしに保管することができる。更に、たとえばスリーブ体を保持ないしクランプするためのクランプ手段等の保持手段を省略することができる。なぜなら、スリーブ体を、その重力だけを通じて収容区画の中で、ないしは収容心棒の上で保持することができるからである。心棒とは、ここでの関連においては、スリーブ体を差込可能又は装着可能である、スリーブ体に係合可能なあらゆる部材ないし手段であると理解される。たとえば心棒は、スリーブ体の収容開口部に係合させることができるピン、ウェブ、又はこれらに類似する突出する部材によって構成されていてよい。
【0015】
更に好ましくは、ボビン保管部と荷積み・荷卸し装置は、ボビン保管部の保管個所に保管されているどのスリーブ体へも搬送ユニットが直接的にアクセスできるように配置、構成される。それに伴い、他のスリーブ体を外す必要なしに、どのスリーブ体でも搬送ユニットによって到達可能であることを確実に保証することができる。それにより、選択されたスリーブ体に関する、たとえば異なるセクションのスリーブ体、処理が異なるスリーブ体、又は施工形態が異なるスリーブ体に関する、運搬車両の荷積み・荷卸し装置での自由度を高めることができる。
【0016】
好ましい実施形態では、複数の保管個所のうちの少なくとも1つの保管個所は、少なくとも2つのスリーブ体をスリーブ体長さに沿って一列に保管するように構成される。改善された方式では、取付けスペースを削減しながら、保管することができるスリーブ体の個数を増やすことができる。
【0017】
好ましい実施形態では、ボビン保管部は、それぞれ少なくとも1つの保管個所を有する少なくとも2つの保管セグメントユニットを有するように構成され、少なくとも2つの保管セグメントユニットと荷積み・荷卸し装置は、互いに相対的に回転するように構成される。たとえば保管セグメントユニット及び/又は荷積み・荷卸し装置は、回転可能に設けられていてよい。回転可能な保管セグメントユニットの好ましい実施形態では、保管セグメントユニットの共通の中心回転軸を中心とするその場での回転運動性が取付けスペースを削減するように設けられていてよく、それに対して荷積み・荷卸し装置の回転運動性では、少なくとも両方の保管セグメントユニットの全部の保管個所を操作できるようにするために、保管セグメントユニットを中心として少なくとも部分的又は完全に回転可能に延びる案内部が設けられていてよい。更に好ましくは、ボビン保管部が回転可能であってよく、保管セグメントユニットは更に好ましくは定置に、又はその代替として可動にボビン保管部に配置されて取り付けられていてよい。ボビン保管部、保管セグメントユニット、及び/又は荷積み・荷卸し装置の回転運動性は、好ましくは能動的又は受動的に具体化されていてよい。能動的な回転運動性では、回転を直接的に起こすモータが設けられる。受動的な回転運動性では、回転の開始は、ボビン保管部、保管セグメントユニット、ないし荷積み・荷卸し装置に対して外部から印加される回転衝撃を通じて行われる。たとえばボビン保管部又は保管セグメントユニットは、これらを事前決定された位置で取外し可能に係止する係止デバイスを装備していてよく、回転衝撃によって係止を解除可能である。このとき回転衝撃は、好ましくは、荷積み・荷卸し装置が事前決定された面、線、又は点に対して回転衝撃を印加することによって、荷積み・荷卸し装置によって開始することができる。相対的な回転運動性は、垂直方向に簡単に切り替えることができるので、水平方向に取付けスペースが削減されているスリーブ体の保管に有利である。
【0018】
好ましくは、少なくとも2つの保管セグメントユニットは、上側の支持面から垂直に突き出すフレーム構造によって構成されており、このフレーム構造は、上側の支持面に対して垂直に延びる少なくとも2つの垂直面に、水平方向及び/又は方向に延びるように配置された複数の保管個所をそれぞれ有し、フレーム構造は、上側の支持面の上で荷積み・荷卸し装置に対して相対的に回転運動可能なように配置されてセットアップされる。たとえばフレーム構造は、互いに反対を向く両方の側に複数の保管個所を有する、近似的に長方形のフレームによって構成されていてよい。その代替としてフレーム構造は、好ましくは特に内側に位置する保管個所を有する直方体のフレームによって構成されてよく、これらの保管個所に、直方体のフレーム構造の付属の側面から、定義された方式で荷積みと荷卸しをすることができる。たとえばフレーム構造は、内側に位置する保管個所を有する好ましい実施形態では保管個所を包囲することができ、これらの保管個所が、定義されたとおりに互いに反対を向く、及び/又は互いに接する直方体のフレーム構造の側面に割り当てられて、これらの該当する各側面を通して、それぞれ荷積み・荷卸し装置によって操作ないしは荷積み・荷卸しをすることができる。
【0019】
好ましくは、フレーム構造は皿状の回転装置の上に組み付けられていてよく、皿状の回転装置は上側の支持面の上に配置されるか、又は支持ユニットに組み込まれて、皿状の回転装置の特に皿中心を通って垂直に延びる中央の回転軸を中心としてフレーム構造を回転させるように構成される。更に好ましくは、回転装置は、水平方向及び/又は垂直方向へ直線状に移動可能なように、上側の支持面の上に配置されていてよい。
【0020】
その代替又は追加として、好ましい実施形態では、支持ユニットは運搬車両の水平方向及び/又は垂直方向へ直線状に可動なように走行ユニットの上に配置されていてよい。運搬車両の寸法によって運動性は当然制限されるが、それでもこの運動性は、たとえば全部の保管個所の、ないしはボビン保管部のスリーブ体の荷積み・荷卸しなどの確実な処理を促進し、ボビン保管部だけでなく荷積み・荷卸し装置の設計に関しても、高いフレキシビリティと可変性を保証する。
【0021】
好ましい実施形態では、ボビン保管部は貯蔵パーテルノステルとして構成され、少なくとも2つの保管セグメントユニットはそれぞれ支持面に対して間隔をおいて周回するように可動な貯蔵パーテルノステルの棚底面を形成する。棚底面とは、本発明の意味においては、糸巻きされていない、又は糸巻きされたスリーブ体を収容するための少なくとも1つの保管個所を支持するのに適したあらゆる支持体であると理解される。たとえば棚底面は一種の横支柱として、又は板状に構成されていてよい。貯蔵パーテルノステルは、コンパクトな円運動貯蔵システムを形成するという特徴がある。
【0022】
ボビン保管部は、十分な量のスリーブ体を保管できるようにするために、多数の棚底面を有するのが更に好ましい。保管セグメントユニットないし棚底面の数、並びに棚底面ごとに設けられるべき保管個所の数はボビン保管部の寸法決めに依存して決まり、ボビン保管部の実施形態に応じて必要に即して意図することができる。十分な保管量のもとで水平方向の寸法をできる限り小さく抑えられるようにするために、棚底面ごとに最大で4つ、更に好ましくは、ただ2つの保管個所が構成されるのが有利であると判明している。貯蔵パーテルノステルとしての実施形態は、比較的小さい設置面を有する既存の空間高さの効率的な利用を可能にするという利点がある。
【0023】
貯蔵パーテルノステルは、好ましくは、少なくとも1つの定義された側から荷積み・荷卸しのためにアクセス可能であるように構成されており、それに対して、選択される他方の側は、更に好ましくは壁部によって覆われていてよい。それにより、運搬されるスリーブ体を該当する保管個所に荷積みした後に、外部要因や落下に対して改善された方式で防護することができる。
【0024】
好ましい実施形態では、ボビン保管部、特に貯蔵パーテルノステルは、ハウジング壁部で包囲された保管個所をハウジング内部に有するハウジングとして構成され、ハウジングは少なくとも1つの特に閉止可能な開口部をハウジング壁部のうちの1つに有し、この開口部を介して、荷積み・荷卸し装置がボビン保管部への荷積み・荷卸しを行うことができる。定義された過圧又は吸込流をハウジングの中で生成するための、ハウジング内部へと通じる連通部が設けられるのが更に好ましく、この連通部は過圧ないし吸込流を生成するための供給源に、特に送風機に連結されており、又は連結可能である。それにより、定義された過圧をハウジングの中に印加して、飛散繊維やこれに類する空気中に浮遊する汚れ粒子が、ハウジング内部によって形成されるボビン保管部の保管空間に入るのを防止することができる。吸込流が印加される場合、保管空間に侵入した繊維屑やこれに類する汚れ粒子を、保管空間から外に運び出すことができる。吸込流のケースにおいて、開口部を介して保管空間へその他の繊維屑や汚れ粒子が侵入するのを防止するために、開口部は、好ましくは、ハウジング内部に吸い込まれた周囲空気から繊維屑や汚れ粒子を洗浄する、空気透過性のフィルタによって閉止することができる。フィルタは洗浄ノズルと作用結合され得るのが更に好ましく、この洗浄ノズルは特にボビン保管部に配置され、溜まった繊維屑や汚れ粒子の除去のためにフィルタ表面に圧縮空気を吹き付けて、フィルタの詰まりを回避するために構成される。フィルタへの吹き付けは、好ましくは必要に即して事前決定された時点で、又はインターバルごとに実行ないし開始することができる。
【0025】
保管個所は、好ましい実施形態では、任意に選択されて配置されていてよい。たとえば互いに隣接する任意の数の保管個所が、ボビン保管部の水平方向及び/又は方向で直線状に相並んで、又は互いにオフセットされて配置されていてよい。直線状の配置は、ボビン保管部ないし個々の保管個所の、いっそう簡易かつそれに伴って確実な荷積み・荷卸しを促進する。オフセットされた配置が好ましいのは、ボビン保管部のいっそうコンパクトな構成が望ましい場合である。たとえばオフセットされた配置は、互いに隣接する4つの保管個所が平面図で見て平行四辺形又はひし形を形成するように、ないしはそのような形状の相応の頂点に配置されるように構成されていてよい。好ましくは、保管個所は、1つの配置列の1つの保管個所が、これと隣接する平行な配置列の直接的に隣接する2つの保管個所に対して、これら両方の保管個所の間の投影線上で中央に配置されるように、ボビン保管部に配置されていてよい。これら3つの保管個所の平面図では、このような配置が二等辺三角形を生じさせる。換言するとこれら3つの保管個所は、二等辺三角形の各頂点に配置される。
【0026】
また、好ましくは、保管個所の1つの配置列は、これに対して隣接する平行な保管個所の配置列に対して、両方の配置列の平面図の平面に対して延びる直交線に沿ってオフセットされて配置されていてよい。更に好ましくは、平面図で見て奥のほうに位置する少なくとも1つの配置列、又は両方の配置列が、直交線に沿って往復運動可能に構成されていてよい。それにより、特に荷積み又は荷卸しがなされる保管個所の配置列を、操作者にとって目に見える、又はセンサ機構にとって容易に検出可能な、前景へと移すことができ、それによりいっそう確実な荷積み・荷卸しを補助し、それと同時に、これを操作者に容易に可視化ないし検出可能にする。そのようなセンサ機構は、たとえばボビン保管部、荷積み・荷卸し装置、又は運搬車両外部のデバイス、たとえば繊維機械やスリーブ体のためのマガジンないし貯蔵部などに配置されていてよい。センサ機構は、後でまた詳しく説明するように、制御ユニット及び/又は評価装置とリンクされていてよい。
【0027】
本発明の更に別の態様では、運搬されるユニットは、ボビン保管部としての構成の代替又は追加として、スリーブ体、特に糸巻きされていないスリーブ体、糸巻きされたスリーブ体、及び/又は糸巻きされたスリーブ体に巻き取られた糸を自律的に処理するために、支持ユニットに、好ましくは上側の支持面の上に、更に好ましくは非破壊式に取外し可能に固定されて配置されたスリーブ取扱ユニットによって構成されていてよい。本発明の意味において自律的にとは、運搬車両の装置、デバイス、又はユニットによって、操作者の介入なしに行われる活動であると理解される。スリーブ取扱ユニットとは、
(i)糸巻きされたスリーブ体を処理して、この糸巻きされたスリーブに割当可能な少なくとも1つの特徴、たとえば、
-糸特性、特に、ただし完結的に列挙するのではない糸構造、糸強度、毛羽、延伸、撚り、水分など、
-糸寸法、特に糸断面積ないし糸直径、
-巻き取られている糸長さ、
-糸巻きされたスリーブ体の断面、又は、
-糸巻きされたスリーブ体の直径、
が、定義されたとおりに影響を受けるようになっており、又は、
(ii)糸巻きされていない、若しくは糸巻きされたスリーブ体をその他の形で処理して、たとえばラベル、読取可能な特に電子式に保存可能なコード、被覆などの装着ないし挿入によって、定義されたとおりに影響を受けるようになっているユニットであると理解される。
【0028】
それに伴い、定義されたスリーブ体処理ないし糸処理を繊維機械から運搬車両へと移すことができ、それによって繊維機械の生産性を改善可能である。たとえば普通であれば利用されない運搬時間を、スリーブ体ないし糸の定義された処理のために有効に活用することができる。
【0029】
スリーブ処理ユニットは、特に保管個所に収容されている糸巻きされたスリーブ体のボビン表面の糸端部をキャッチするための糸キャッチユニットを含むのが好ましい。糸キャッチユニットは、通常の方式で、たとえば紡績機やボビン巻取機などで知られているように設計されていてよい。更に好ましくは、保管個所は、長軸を中心とするスリーブ体の一方向又は双方向の回転のために構成されていてよい。たとえば保管個所は、一方の方向へのみ、又は反転可能に長軸を中心としてスリーブ体を回転させるための個別駆動部を有することができる。それにより、糸端部の糸キャッチプロセスを改善された方式で支援することができる。糸端部とは、スリーブ体に巻き取られている糸の、糸の先頭部又は糸の最後部であり得る。糸の先頭部は、本来の巻取プロセスの前にスリーブ体に装着される糸端部である。糸の最後部は、巻取プロセスの完了後にスリーブ体の上に載せられた他方の糸端部である。運搬車両の上の糸キャッチユニットは、スリーブ体に巻き取られた糸の処理実行のためのコンポーネントを、繊維機械から運搬車両へと移すことを可能にする。
【0030】
更に好ましくは、スリーブ処理ユニットは、糸キャッチユニットにより、特に繊維機械及び/又は運搬車両の糸キャッチユニットにより、キャッチされている糸の、糸巻きされたスリーブ体から巻き出された糸区域を分断するための糸分離ユニットを有する。糸分離ユニットは、糸を分断するための通常の切断装置又はレーザ装置であってよい。それに伴い、後続プロセスのためにきれいになった糸端部を提供することができる。
【0031】
別の好ましい実施形態では、糸キャッチユニットは保管個所に対して、及び特に定置に構成された糸分離ユニットに対して、糸巻きされたスリーブ体と糸キャッチユニットとの間に張り渡されている糸を相対運動の過程で分断するために、相対的に可動に構成される。このことは、たとえば糸キャッチユニットでキャッチされている糸の糸区域が相対運動の過程で分断のために切断刃のほうへ動いて、切断刃を通るように案内できるように定置に配置される単なる切断刃による、糸分離ユニットの設計的に簡素な構成を可能にする。その代替又は追加として、キャッチされている糸を定義された場所で分断するために、糸分離ユニットが可動に設けられていてもよい。
【0032】
更に好ましくは、スリーブ処理ユニットは、糸キャッチユニットでキャッチされている糸をクランプ可能であるクランプ装置を有していてよい。クランプ装置は糸キャッチユニットの連通部の近傍に、特にこれと共に可動なように、配置されるのが更に好ましい。それにより、確実な糸分離プロセスを実行することができる。
【0033】
糸キャッチユニット及び糸分離ユニット、並びに更に好ましくはクランプ装置を有するスリーブ処理ユニットは、糸探し・切り詰めユニットを構成するのが好ましく、これによって繊維機械とは関わりなく、巻き取られた糸の後続の加工プロセスにとって有利であり得る、スリーブ体に巻き取られた糸の定義された切り詰めが可能となる。糸探し・切り詰めユニットは、糸端部の確実な発見とキャッチを可能にする、上で説明したような保管個所でのスリーブ体の回転運動性との組み合わせで特別に効率的であることが判明している。
【0034】
別の好ましい実施形態では、運搬車両は計量ユニットを有し、これによって少なくともボビン保管部の重量を、又は荷積み又は荷卸しされるべき少なくとも1つのスリーブ体の重量を、評価及び/又は表示のために検出可能である。計量ユニットは、更に好ましくは走行ユニット又は支持ユニットに組み込まれているか、又は支持ユニットとボビン保管部との間で支持面の上に配置されていてよい。その代替又は追加として、荷積み・荷卸し装置は別の計量ユニットないし前述の計量ユニットを含むことができ、搬送ユニットによって搬送されるスリーブ体の重量をこの計量ユニットにより計量可能である。このようにして、特に糸巻きされたスリーブ体の重量の検出を容易かつ確実に検出することができ、特に作業個所、セクション、及び/又は繊維機械の生産性の観点から表示及び/又は評価することができる。
【0035】
好ましい実施形態では、運搬車両は、特に走行ユニット、運搬されるユニット、荷積み・荷卸し装置、及び上に説明したその他のユニット、並びに駆動部などの制御可能なユニットのうちの少なくとも1つを制御するための1つ又は複数の動作制御装置を含む。その代替又は追加として、動作制御装置のうちの少なくとも1つは、制御すべきユニットがワイヤレス式にリンク可能なように構成された外部の動作制御装置であってよい。このような外部の動作制御装置は、特に、複数の同一の制御可能なユニット及び/又は運搬車両を制御するための中央での制御という観点から有利なことが判明している。また、それにより、更に好ましくは制御可能なユニットの動作プロセスに、操作者によって手動式に、又は上位の制御部によって介入することもできる。
【0036】
好ましい実施形態では、運搬車両は、走行ユニットを制御するための少なくとも1つの動作制御装置と、荷積み・荷卸し装置を制御するための動作制御装置とを含み、これら両方の動作制御装置が互いに通信接続されるのが更に好ましい。走行ユニットのための、及び荷積み・荷卸し装置のための、動作制御装置を運搬車両に配置することは必要に即して行うことができ、完全に自律的な運搬車両の機能性を促進する。たとえば走行ユニットのための動作制御装置を通じて、運搬車両を繊維工場内の定義された位置へ自動的に走行させることができ、この定義された位置は運搬車両の外部から設定可能である。定義された位置に達した後、好ましくは走行ユニットの動作制御装置からの定義された位置への到達の情報を通じて、又はその代替若しくは追加として、定義された位置への到達を確認するために運搬車両又は目的地に配置されるセンサ機構により検出されるデータを通じて、荷積み・荷卸し装置がただちにその取扱を始めることができる。
【0037】
更に運搬車両は、好ましくは、情報を記録して伝送するように設計された、運搬車両に付属した少なくとも1つのユニットを評価するための1つ又は複数の評価装置を含み、また、特に走行ユニット、運搬されるユニット、荷積み・荷卸し装置、及び上で説明したその他のユニット、並びに駆動部を含んでいる。その代替又は追加として評価装置のうちの少なくとも1つは、制御すべきユニットないし駆動部がワイヤレス式にリンク可能なように構成された外部の評価装置であってよい。このような外部の評価装置は、特に、複数の同一の制御可能なユニット及び/又は運搬車両を評価するための中央での評価という観点から有利であることが判明している。更に好ましくは、少なくとも1つの評価装置は、動作制御装置によって構成されていてよい。
【0038】
更に、好ましい実施形態に基づく運搬車両は、運搬車両の少なくとも1つのユニット又は駆動部の動作情報及び/又は評価情報を表示するための表示ユニットを含むことができ、この表示ユニットは、動作制御装置ないし評価装置と同等に外部に配置される形で、又は運搬車両に含まれる形で設けられていてよい。特に、たとえばスマートフォン、タブレット、ノートブック、スマートウォッチ等のハンドヘルドによって構成されていてよい、特に追加の外部表示ユニットが有利であることが判明している。そのようにして操作者は自分の居場所に関わりなく、運搬車両の少なくとも1つのユニット又は駆動部の該当する動作情報及び/又は評価情報にアクセスすることができ、ないしそのような情報を照会することができる。
【0039】
好ましくは、運搬車両は、作動エネルギー又は作動媒体を必要とする少なくとも1つのユニット及び駆動部、特に運搬されるユニット、回転駆動部、及び/又は荷積み・荷卸し装置に、走行ユニットに追加して少なくとも自律的に、又はインターフェースを介して、作動エネルギー及び/又は作動媒体を供給するように構成される。自律的な供給は、たとえば運搬車両に配置される作動エネルギー源を通じて、たとえば充電可能なバッテリを通じて、又は運搬車両に配置される作動媒体供給源を通じて、たとえば送風機を通じて可能にすることができる。このとき自律的な作動エネルギー源は、走行ユニットだけでなく、作動エネルギーを必要とするユニットへもエネルギー供給をするために、走行ユニットにエネルギーを供給するエネルギー源に追加されるバッテリであってよい。インターフェースを介する供給のケースでは、作動エネルギーないし作動媒体が相応のユニットないし駆動部へ、運搬車両に対して外部に配置された供給源からインターフェースを介して供給される。たとえばインターフェースは、繊維機械にある対応する対応接続個所に接続するための接続個所として構成されていてよい。たとえば繊維機械に存在する作動エネルギーを、又は繊維機械に存在する作動媒体を、たとえば圧縮空気又は吸引空気を、運搬車両のユニットのために利用することができ、それによって運搬車両の重量を最適化可能である。
【0040】
運搬車両は、更に好ましくは、運搬車両の走行軌道周辺にある汚れに対して走行ユニットの走行コンポーネントを運搬車両の少なくとも1つの走行方向で防護するための少なくとも1つの防護ユニットを有していてよい。そのようにして、考えられる走行劣化の危険を低減することができ、走行コンポーネントの耐用期間を伸ばすことができる。
【0041】
好ましくは、運搬車両は、停車時に運搬車両を担持するために繰込み可能かつ繰出し可能な担持支持体を含んでいてよい。このような担持支持体は運搬車両の停車面を拡張し、それによって十分な停車安全性を保証することができる。運搬車両は、特に運搬車両の互いに反対を向くほうの車両側に配置されて運搬車両の確実な担持のために作用する、少なくとも2つの担持支持体を有するのが好ましい。
【0042】
本発明の更に別の態様では、上で説明した好ましい実施形態に基づく1つ又は複数の運搬車両と、繊維工場内で定義された場所へ走行させるために運搬車両が制御される制御システムとを含む、繊維工場で繊維材料を、特に糸巻きされたスリーブ体及び/又は糸巻きされていないスリーブ体を処理するためのシステムが提供される。それにより、繊維工場内で繊維材料を必要に即して繊維機械で、又はこれから離れて処理することができる。
【0043】
制御システムは、好ましくは、走行ユニットを制御するための動作制御装置と通信接続され、動作制御装置に目標位置情報を伝送し、これをベースとして、走行ユニットの動作制御装置によって運搬車両が目標位置へと自動的に走行するように設計されていてよい。
【0044】
このシステムは、繊維工場で繊維材料を分配するためのシステムとして構成されるのが更に好ましい。このシステムは、繊維材料取出ステーションと、繊維材料引取ステーションと、繊維材料取出ステーションから繊維材料引取ステーションへと繊維材料を運ぶために上で説明した好ましい実施形態に基づく運搬車両とを含む。このとき少なくとも制御システムと運搬車両、及び更に好ましくは繊維材料取出ステーション及び/又は繊維材料引取ステーションは、繊維材料取出ステーションでの繊維材料取出に関して、及び繊維材料引取ステーションへの繊維材料引渡に関して、分配情報を交換するために特にワイヤレス式に接続される。
【0045】
分配情報は、たとえば繊維材料取出ステーション又は繊維材料引取ステーションに関わる目標位置情報であってよい。このような目標位置情報をベースとして、設定された位置へと運搬車両が自動的に走行する。設定された位置で、たとえば上で説明した1つの画像処理システムによって、又は上で説明した別の画像処理システムによって、設定された位置でどのような取扱が行われるべきか、特に繊維材料が取り出されるべきか引き渡されるべきかが判定される。繊維材料の取出し、ないし引渡は、好ましくは相応のセンサ機構を用いて、運搬車両ないし荷積み・荷卸し装置により自動的に行うことができる。その代替として、分配情報を用いて設定を行うことができる。たとえば分配情報は、取り出されるべき、又は引き渡されるべき、繊維材料の個数及び保管場所に関する少なくとも1つの情報を含んでいてよい。
【0046】
繊維材料取出ステーション及び繊維材料引取ステーションは、相応に繊維材料が、特に糸巻きされていないスリーブ体又は糸巻きされたスリーブ体が、運搬車両によって取り出される、ないし繊維材料を運搬車両によって再び引き渡すことができるステーションである。たとえば繊維機械への装填が予定されている場合、運搬車両がスリーブ体を、すなわち糸巻きされていないスリーブ体及び/又は糸巻きされたスリーブ体を繊維工場の繊維機械から離れて設置されているスリーブマガジンから引き取って繊維機械に運び、これに繊維材料を供給する。スリーブマガジンは、この好ましい実施形態では繊維材料取出ステーションを形成し、それに対して繊維機械が繊維材料引取ステーションを形成する。ただし、スリーブ体を繊維機械から運搬車両によって引き取って、繊維工場の定義された場所へと運搬することもできる。そのような場所は、たとえば別の繊維機械、スリーブ体中間貯蔵所、糸巻きされたスリーブ体を処理するための処理装置、たとえばヒートセットクリール、又は糸巻きが完了したスリーブ体が繊維工場からの搬出のために貯蔵される搬出貯蔵庫などであってよい。このケースでは、繊維機械が繊維材料取出ステーションに対応し、それに対して、運搬車両によって繊維材料が運び込まれる機械、装置、又は貯蔵庫が繊維材料引取ステーションとして構成される。
【0047】
好ましくは、運搬車両は、糸巻きされていないスリーブ体及び/又は糸巻きされたスリーブ体を撚糸機及び/又はケーブル撚り機のために処理し、運搬し、及び/又はボビン保管部、繊維材料取出ステーション、又は繊維機械引取ステーションの荷積み、ないし荷卸しをするように構成される。ここで糸巻きされたスリーブ体は、特に、撚糸ボビン又はケーブル撚りボビンを構成する。糸巻きされていないスリーブ体は、好ましくは撚糸ボビン又はケーブル撚りボビンを構成するのに適しているスリーブ体である。撚糸ボビンやケーブル撚りボビンは、紡績機やボビン巻取機で作製される巻取ボビンに比べて高い重量と大きい寸法とを有しており、そのため、繊維工場でのこのような運搬車両の使用は、撚糸ボビンやケーブル撚りボビンについて、生産性とプロセス進行速度の向上のために特別に有利であることが判明している。
【0048】
スリーブ体は、好ましくは、中空体状の構成を通じて保管個所での、又は搬送ユニットによる相応の収容を保証するために、少なくとも端面のところで部分的に形成される中空体である。更に好ましくは、スリーブ体は両方の端面のところで中空体状に構成される。特に好ましくは、スリーブ体は中空円筒によって構成される。スリーブ体は、好ましくは、プラスチック材料又はセルロース含有材料から、又はこれらの材料の組み合わせから構成されていてよい。これ以外の材料も、そのような材料が好都合であると判明している限りにおいて、同じくスリーブ体の構成のために使用することができる。
次に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】第1の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な斜視側面図である。
図2】第2の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な斜視側面図である。
図3】第3の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な斜視側面図である。
図4】第4の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な斜視側面図である。
図5】第5の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な斜視側面図である。
図6】第6の実施例に基づく運搬車両を示す模式的な正面図である。
図7】1つの実施例に基づく、繊維機械を処理するためのシステムを示す模式的な平面図である。
【0050】
図1から5によって、運搬車両1のさまざまな実施形態が純粋に模式的な図として示されており、同一の符号は同じ作用のコンポーネント、ユニット、デバイス、ないし装置に使われている。
【0051】
図1から5は、運搬されるユニットとして構成されたボビン保管部40をそれぞれ有する運搬車両1を、それぞれ異なる実施形態で、それぞれ模式的な斜視側面図として示している。運搬車両1は、繊維工場内で定義された目標へと自律的に走行するように構成された走行ユニット20を含んでいる。そのために走行ユニット20は、本実施例では、相応のロールと、センサ機構と、駆動部と、運搬車両1を定義されたとおりに走行させることを可能にする制御ユニットとを通常の方式で装備している。
【0052】
走行ユニット20の上に、1つの実施例では支持ユニット30が配置される。したがって支持ユニット30は、複雑さなしに別の支持ユニット30と交換することができる。支持ユニット30を別の走行ユニット20と組み合わせることもできる。
【0053】
別の実施例では、走行ユニット20と支持ユニット30は、共通の内部空間を有する取外し不能ないし分離不能な構造ユニットを形成し、この内部空間に運搬車両1の電子式及び電気式のコンポーネント並びにシャーシが格納される。
【0054】
支持ユニット30は、走行ユニット20と反対を向くほうの側に、運搬されるユニットを支持するための上側の支持面32を有している。上側の支持面32は複数の取付個所34を含んでいて、これらを通じて1つ又は複数の運搬されるユニットを配置可能かつ固定可能である。図1から5に示す実施例では、運搬されるユニットは、複雑さなく、スムーズに取付けないし組付けをできるようにするために、上側の支持面32の上で取外し可能に固定されるボビン保管部40である。ボビン保管部40は、別の実施例では固定的に、すなわち取外し不能に、上側の支持面32の上で固定される。
【0055】
上側の支持面32の上には、リニアガイド70に沿って上側の支持面32に対して垂直に移動可能である、取外し可能な荷積み・荷卸し装置60が更に配置されている。リニアガイド70も同じく取外し可能なように、上側の支持面32の上に組み付けられている。リニアガイド70と荷積み・荷卸し装置60は、本実施例では、差込接続を通じて作動エネルギー供給源と接続されている。荷積み・荷卸し装置60は、荷積み・荷卸しアーム62の外側のアーム区域の自由端にジョイント式かつ回転可能に支承された搬送ユニット64を有する、マルチジョイント式の荷積み・荷卸しアーム62を有している。それにより、搬送ユニット64を有する荷積み・荷卸しアーム62は、荷積み・荷卸しアーム62の到達範囲に沿ってどの空間点へも、特にボビン保管部40のどの保管個所42へも到達できるようにするために、空間内で自由に可動である。荷積み・荷卸し装置60は、別の実施例では、繊維工場の操作者と相互交流して操作者の怪我を回避できるようにするために、ロボットの自動化されたスイッチオフのためのセンサ機構を有する協働ロボット、いわゆるコボットとして構成される。コボットは、別の実施例では、自動的なスイッチオフの後に、操作者又は制御装置によって再び作動化させることができるようにするために構成されるのが好ましい。作動化のために、更に好ましくは、事前決定可能な条件を承認することができ、又は特に自動式に確認することができる。
【0056】
図1に示す第1の実施例に基づくボビン保管部40は、上側の支持面32から主として垂直に延びる直方体のフレーム構造48を含んでいる。フレーム構造48は裏側に、2つの垂直方向の後側のフレーム部材52の間で水平方向に延びる複数の横支柱50を含んでいて、これらの横支柱がそれぞれ複数の保管個所42を、相並んで配置されるように支持する。図示している第1の実施例は純粋に例示として、糸巻きされていないスリーブ体及び糸巻きされたスリーブ体2を収容するためにそれぞれ構成された、相並んで配置された3つの保管個所42をそれぞれ有する7つの横支柱50である。フレーム構造48は、必要に即して、これ以外の数の横支柱50及び保管個所42を有するように構成されることが十分にあり得る。
【0057】
保管個所42は、スリーブ体2を水平面に対して若干傾けて収容して、これを不慮の抜け落ちに対して防護するように構成されている。そのために、この第1の実施例では心棒として構成される保管個所42は、それぞれの横支柱50から斜め上に向かって、それぞれの横支柱50と交差する水平平面へと延びている。それによりスリーブ体2を、その重力だけを通じて確実に心棒の上で保持することができる。
【0058】
心棒は、別の実施例では、スリーブ体2をクランプ式に固定するように構成される。そのためにそれぞれの心棒は、ばね弾性的に支承されるクランプ装置を外側の円周面に有する。
【0059】
フレーム構造48は、垂直方向の前側のフレーム部材54と、これに付属する向かい合う後側のフレーム部材52との間の直接的な間隔が、保管個所42により収容されるスリーブ体2の長さよりも短くなるように構成されている。それにより前側のフレーム部材54は、収容された糸巻きされたスリーブ体2のための側方の担持部を形成することができる。更に、それぞれの保管個所42ないしスリーブ体2を、前側のフレーム部材54によって妨げられる危険なしに、荷積み・荷卸し装置60によって処理することができ、ないし荷積み・荷卸しをすることができる。リニアガイド70を有する荷積み・荷卸し装置60は、ここではフレーム構造48の短辺で支持ユニット30に配置されている。それに伴い、搬送ユニット64が前側から容易かつ確実にボビン保管部40の荷積み・荷卸しをすることができる。
【0060】
図2に示す第2の実施例に基づくボビン保管部40のフレーム構造48は、それぞれの後側と前側のフレーム部材52、54の間の間隔に関して、上述した第1の実施例と相違しており、この間隔は、この第2の実施例では1つのスリーブ体長さよりも広く、2つのスリーブ体長さよりも狭い。別の実施例では、この間隔は2つのスリーブ体長さに等しいか、又はこれよりも広い。このことは、運搬走行中におけるスリーブ体端面の保護を促進する。
【0061】
更に保管個所42は、2つの中空円筒状のスリーブ体2をスリーブ体2の長軸に沿って一列に収容して保管することができるように構成されている。更にフレーム構造48の短辺には、収容されているスリーブ体2を保護するための垂直方向の側壁56がそれぞれ配置されている。更に、隣接する保管個所42は、ボビン保管部40の垂直方向で互いにオフセットされて配置されている。特に、1つの保管個所42から、垂直方向で隣接する、その下又はその上に位置する保管個所42までの水平方向間隔は、1つの水平面でその下又はその上に位置する、直接的に隣接して配置された2つの保管個所42の間の間隔の半分である。オフセットされた配置は、ボビン保管部40の垂直方向でのスリーブ体2のいっそうコンパクトな配置を可能にする。
【0062】
更に、保管個所42は水平にアライメントされており、それにより、保管個所42に収容されているスリーブ体2はその長軸をもって水平に保管される。保管個所42は、この第2の実施例では、スリーブ体2を水平の姿勢で保持ないしクランプする保持手段ないしクランプ手段を装備している。
【0063】
図3は、第3の実施例に基づく運搬車両1を示している。この第3の実施例は、運搬されるユニットとして構成されるボビン保管部40の構成に関して、第1及び第2の実施例と相違する。ボビン保管部40は、この第3の実施例では貯蔵パーテルノステルとして設計されている。そのために、少なくとも3つの側で側壁56を付与されたフレーム構造48が支持ユニット30の上に配置され、これらの側壁がフレーム構造48の内部で保管空間を定義し、この保管空間の中に保管個所42が、相応の棚底面58の上で主として垂直方向に周回するように配置されている。ボビン保管部40は、1つの側から、及びこれに接する上側から、貯蔵パーテルノステルの荷積みと荷卸しのための荷積み・荷卸し装置60によってアクセス可能である。棚底面58は、この第3の実施例では水平方向の横支柱として構成されていて、その上面からそれぞれ2つの垂直心棒が、スリーブ体2のそれぞれの特にクランプ式の収容部へと突き出している。図示しない別の実施例では、棚底面58は板状の面を含むことができ、その上にスリーブ体2を設置可能かつ保管可能である。設置されるスリーブ体2を安定化するために、棚底面58は、スリーブ体2の断面に対応する切欠きを含むことができ、この切欠きにスリーブ体2の端面が係合することができ、又は同じくスリーブ体2の中空スペースに突入する心棒を有することができる。その代替又は追加として、少なくとも1つの竪穴が棚底面58に設けられていてよく、この竪穴の中へスリーブ体2を上から挿入可能かつ取出可能である。
【0064】
図4を用いて、運搬車両1の第4の実施例が示されている。この第4の実施例は、搬送されるユニットとして構成されたボビン保管部40によって、第1から第3の実施例と相違する。この第4の実施例に基づくボビン保管部40のフレーム構造48は、それぞれ複数の保管個所42を有する第1及び第2の保管セグメントユニット44、46を含んでいる。すなわち、この第4の実施例では、それぞれ4つの相並んで配置された保管個所42を含む、相上下して配置された5つの列に、全部で20の保管個所が設置されている。第1及び第2の保管セグメントユニット44、46ごとの保管個所42の数は、必要に即して選択することができる。フレーム構造48は、第1及び第2の保管セグメントユニット44、46を形成するために、水平に延びる複数の横支柱50を有する長方形フレームを含んでいて、これらの横支柱は、長方形フレームの互いに反対を向く側に、保管個所42をそれぞれ形成するための複数の心棒を有している。これらの心棒は、第1の実施例で説明したとおり、スリーブ体2の確実な収容と取出のために、付属の横支柱50から斜め上に向かってアライメントされている。第1の保管セグメントユニット44は、フレーム構造48の長方形フレームの一方の側によって形成され、第2の保管セグメントユニット46は、これに対して反対を向く長方形フレームの側によって形成される。図示しない別の実施例では、第3及び特に第4の保管セグメントユニットが設けられていてよく、それは、フレーム構造がたとえば4つの側を有する直方体のフレームを形成し、これらのフレームに心棒を有する相応の横支柱50が設けられることによる。このように、スリーブ体2の保管のために構成される各々の側が、相応の保管セグメントユニットを形成する。
【0065】
この第4の実施例に基づくボビン保管部40は、回転可能に設けられている。そのために、ボビン保管部40と支持ユニット30の間に回転装置90が設けられている。回転装置90は回転皿92を含んでいて、その上でボビン保管部40が回転皿92の垂直方向の中心軸を中心として回転可能である。それにより、ボビン保管部40の荷積み・荷卸しのために、荷積み・荷卸し装置60の各々の保管セグメントユニット44、46を簡易な方式でアクセス可能にすることができる。
【0066】
図5は、第4の実施例に基づく運搬車両1とは異なり、ボビン保管部40の重量を検出するための計量ユニット94が追加された、第5の実施例に基づく運搬車両1を示している。回転装置は、この第5の実施例では、計量ユニット94を中央で貫く、ボビン保管部40のための支持プレート96の下方で作用する、図には見えていないシャフトによって具体化される。シャフトは昇降装置と連結されており、この昇降装置は支持ユニット30に収容されると共に、シャフトを介してボビン保管部40を垂直方向に昇降させて、ボビン保管部40を相応に計量ユニット94から持ち上げ、回転させて、その上に載せるために設計されている。計量ユニット94により、ボビン保管部40の重量を、及びそれに伴って荷積み又は荷卸しされる1つの、複数の、又は全部のスリーブ体2の重量の推定を導き出すことができる。検出及び/又は判定された重量は、表示装置を通じて表示することができる。表示装置は、運搬車両1、繊維機械、又はその外部に設けられていてよく、計量ユニット94は直接的に、又は評価装置を介して表示装置とリンクされていてよい。
【0067】
運搬されるユニットのない第6の実施例に基づく運搬車両1が、運搬されるユニットなしで図6に示されている。上で説明した実施例とは異なり、この運搬車両1は、運搬車両1の走行軌道周辺にある汚れに対して、この第6の実施例ではロールとして製作される走行ユニット20の運搬車両1の少なくとも1つの走行方向で走行コンポーネント22を防護するために、デフレクターとしての防護ユニット80を有している。防護ユニット80は、最大で走行コンポーネント22の走行軌道載置面と走行ユニット20の下面との間の間隔に相当する長さをもって、走行軌道に近い走行ユニット20の下面から突き出している。好ましくは、防護コンポーネント80の端部区域は、走行軌道の方向に延びることによってブラシ効果を実現する複数の剛毛などの柔軟なコンポーネントによって構成されていてよい。端部区域が柔軟なコンポーネントを有さない場合、防護ユニット80の突出する長さは、上に挙げた間隔よりも短く選択される。防護ユニット80は、走行コンポーネント22の近傍で下面に取外し可能に取り付けられて、故障や損傷が発生した場合にこれを簡易かつスムーズに交換できるようになっている。
【0068】
図示しない別の実施例に基づく運搬車両1は、運搬車両1を停車時に担持するために少なくとも1つの繰込み可能かつ繰出し可能な担持支持体を有することができる。担持支持体は、たとえば支持ユニット30又は走行ユニット20の一方の側に配置されていてよい。停車時に運搬車両1を担持するために、担持支持体は、特に、最初に側方へ、引き続いて走行軌道の方向へ繰出し可能なように、かつこれと逆の順番で繰込み可能なように構成されていてよい。
【0069】
図示しない別の実施例では、運搬車両1は運搬されるべきユニットとしてスリーブ処理ユニットを有していて、これにより、上側の支持面32の上に配置された保管個所42で保管されているスリーブ体2を自律的に処理可能である。スリーブ処理ユニットは、保管個所42で保管される糸巻きされたスリーブ体2から糸端部をキャッチするための糸キャッチユニットと、糸キャッチユニットでキャッチされている糸の、糸巻きされたスリーブ体2から巻き出された糸区域を分断するための切断カッターの形態の糸分離ユニットと、糸巻きされたスリーブ体2を保管個所42で回転させる駆動部とを有する糸探し・切り詰めユニットとして構成される。たとえば保管個所42は、スリーブ体2の中へクランプ式に係合する心棒を含んでいてよく、心棒が回転駆動部を介して回転可能である。それに伴い、糸巻きされたスリーブ体2から定義された長さをもって、糸を非常に容易に巻き出すことができる。
【0070】
糸キャッチユニットは送風機とリンクされており、又はリンク可能であり、これを通じて、糸の吸込ないしキャッチをするために吸引流が糸キャッチユニットの内部で生成される。更に、糸キャッチユニットは保管個所42に対して、及び糸巻きされたスリーブ体2と糸キャッチユニットとの間に張り渡された糸を相対運動の過程で分断するための糸分離ユニットに対して可動なように構成される。それにより、キャッチされている糸を、糸キャッチユニットと糸巻きされたスリーブ体2との間に延びる糸区域をもって、切断カッターを通るように案内することができ、その際に糸の分断が行われる。そのために糸探し・切り詰めユニットは、相対運動の過程で糸キャッチユニットから糸が引き離されるのを防止するために、糸キャッチユニットと共に動くクランプユニットを更に有する。それにより、糸分離プロセスをいっそう確実に実行することができる。
【0071】
図示しない別の実施例では、運搬車両1は充電可能なバッテリを有していて、これにより、運搬車両1で運搬される、作動エネルギーを必要とするすべてのユニットへ作動エネルギーを自律的に供給することができる。その代替として、図示しない別の実施例に基づく運搬車両1はインターフェースを有していて、これを通じて運搬車両1で運搬されるユニットへ、ただし走行ユニットを例外として、作動エネルギーや、糸キャッチユニットのための吸込空気流などの作動媒体を供給可能である。たとえばこの供給は、繊維機械にある、又は繊維工場内のその他のデバイスにある該当する対応接続部へのインターフェースの接続を通じて行うことができる。
【0072】
この関連で図7を参照しながら、1つの実施例に基づく繊維材料を処理するためのシステム100について説明する。このシステム100は、制御システム110と、糸探し・切り詰めユニットを有する運搬車両1とを含んでおり、制御システム110は、繊維機械の要請をベースとしてこれに近づくように運搬車両1を走行させ、又は走行を指図し、繊維機械に引き取られた糸巻きされたスリーブ体2で糸探し・切り詰めプロセスを実行するように設計されている。そのために運搬車両1は、運搬車両1を定義されたとおりに走行させ、かつ制御システム110により制御可能な、ないし相応の走行情報を供給可能な独自の制御ユニットを有していてよい。繊維機械に到着した後、運搬車両1は、糸探し・切り詰めユニットとして構成された運搬されるユニットによって、糸巻きされたスリーブ体2での糸探し・切り詰めプロセスを繊維機械の相応の作業個所で、このケースでは撚糸機及び/又はケーブル撚り機で実行する。その代替として運搬車両1は、糸探し・切り詰めプロセスを運搬車両1自体で実行するために、糸巻きされたスリーブ体2を繊維機械の作業個所から取り出して保管個所42に保管する。最後に挙げた例は、キャッチされた糸を、糸巻きされたスリーブ体2から定義されたとおりに引き出せるようにするために、作業個所ないし繊維機械との通信が必要ないという利点がある。
【0073】
繊維機械は、このケースでは繊維材料取出ステーション120である。定義されたとおりに糸が切り詰められている糸巻きされたスリーブ体2は、運搬車両1から繊維材料引取ステーション130へと運搬されて、そこに引き渡される。繊維材料引取ステーション130は、たとえばヒートセットクリールであってよい。
【0074】
繊維材料取出ステーション120は、別の実施例では、スリーブ体マガジンによって構成されていてよい。運搬車両1は、この別の実施例では、上で説明したようなボビン保管部40を含む。運搬車両1は、繊維材料取出ステーション120へと走行し、多数のスリーブ体2をスリーブマガジンないし繊維材料取出ステーション120から取り出して、ないしはこれを荷卸ししてボビン保管部40に保管するか、これを荷積みするように制御される。引き続いて運搬車両1は、繊維材料引取ステーション130を構成する繊維機械、撚糸機、又はケーブル撚り機へと走行し、保管しているスリーブ体2を当該繊維機械の作業個所に装填する。同様に、運搬車両1は制御システム110によって制御されて、糸巻きが完了しているスリーブ体2を、繊維材料取出ステーション120としての他の繊維機械から取り出し、定義された繊維材料引取ステーション130へ、たとえば糸巻きされたスリーブ体2を繊維工場内での二次加工のときまで一時貯蔵するための中間貯蔵所へ、又は糸巻きされたスリーブ体2を繊維工場から搬出されるときまで貯蔵するための搬出貯蔵所へ、又は糸巻きされたスリーブ体2を直接的に更に加工するためのヒートセットクリールへ運搬して、これらのステーションに引き渡す。このとき運搬車両1と制御システム110は、情報を交換するために、互いにワイヤレス式に接続される。
【符号の説明】
【0075】
1 運搬車両
2 スリーブ体
20 走行ユニット
22 走行コンポーネント
30 支持ユニット
32 上側の支持面
34 取付個所
40 ボビン保管部
42 保管個所
44 第1の保管セグメントユニット
46 第2の保管セグメントユニット
48 フレーム構造
50 横支柱
52 後側のフレーム部材
54 前側のフレーム部材
56 側壁
58 棚底面
60 荷積み・荷卸し装置
62 荷積み・荷卸しアーム
64 搬送ユニット
70 リニアガイド
80 防護ユニット
90 回転装置
92 回転皿
94 計量ユニット
96 支持プレート
100 繊維材料を処理するためのシステム
110 制御システム
120 繊維材料取出ステーション
130 繊維材料引取ステーション
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】