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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】産業マシン用の予知保全
(51)【国際特許分類】
   G06N 20/00 20190101AFI20240618BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240618BHJP
   G06F 18/241 20230101ALI20240618BHJP
【FI】
G06N20/00
G05B19/418 Z
G06F18/241
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023572536
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-12-28
(86)【国際出願番号】 EP2022065902
(87)【国際公開番号】W WO2022258835
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】LU500272
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】LU
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TENSORFLOW
2.PYTHON
3.BLUETOOTH
4.JULIA
(71)【出願人】
【識別番号】500173376
【氏名又は名称】ポール ヴルス エス.エイ.
【氏名又は名称原語表記】PAUL WURTH S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100110319
【弁理士】
【氏名又は名称】根本 恵司
(74)【代理人】
【識別番号】100099472
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100150773
【弁理士】
【氏名又は名称】加治 信貴
(72)【発明者】
【氏名】ショックアールト、セドリック
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン、ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】デングラー、クリスチャン
【テーマコード(参考)】
3C100
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100AA62
3C100BB13
3C100BB33
(57)【要約】
コンピュータで実施する故障予知器は、出力モジュール(363)に従属する第1及び第2の従属モジュール(313,323)を備えたモジュール構造(373)を有する。第1及び第2の従属モジュールは産業マシンからのデータを処理して第1及び第2の中間ステータス指標を決定する。第3の従属モジュール(333)は動作モード指標を決定し、かつ出力モジュール(363)はステータス指標と動作モード指標を処理して産業マシンの故障を予知する。モジュール構造は、従属モジュール(312,322,332)をトレーニングし、続いてトレーニング済みの従属モジュールを動作し、かつ続いて出力モジュールをトレーニングすること、を含むカスケードトレーニングによりトレーニングされる。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業マシン(113)の故障を予知するために、処理モジュール(313,323,333,363)の構造(373)を用いるコンピュータで実施する方法(203)であって、
産業マシン(113)からのマシンデータ({{X...}}N)を、中間データ(1{Y...},2{Y...},3{Y...})を出力処理モジュール(363)に提供するように配置された第1、第2及び第3の従属処理モジュール(313,323,333)によって受領し(213)、その際、構造(373)のカスケードトレーニング(702/802)によるトレーニングは、
マシンデータを処理して(223A)第1の中間ステータス指標(1{Y...})を決定する第1の従属処理モジュール(313)によって;
マシンデータを処理して(223B)第2の中間ステータス指標(2{Y...})を決定する第2の従属処理モジュール(323)によって;
マシンデータを処理して(223C)産業マシン(113)の動作モード指標(3{Y...})を決定する動作モード分類モジュールである第3の従属処理モジュール(333)によって;前以て完了しており、かつ
出力処理モジュール(363)によって、第1及び第2の中間ステータス指標(1{Y...},2{Y...})及び動作モード指標(3{Y...})を処理し(243)、その際、出力処理モジュール(363)は予知データ({Z...})を提供することによって産業マシンの故障を予知する、ことを含むコンピュータで実施する方法。
【請求項2】
履歴マシンデータ({{X...}}N)で第3の従属処理モジュール(333)をトレーニングし(712,812);
トレーニング済みの第3の従属処理モジュール(333)を実行して(742)、履歴マシンデータ({{X...}}N)を処理することにより履歴モード指標(3{Y...})を取得し;
第1と第2の従属処理モジュール(312,322)を、履歴マシンデータ({{X...}}N)と履歴モード指標(3{Y...})でトレーニングし(722,822);
トレーニング済みの第1と第2の従属処理モジュール(312,322)を実行して(762,862)、履歴マシンデータ({{X...}}N)を処理することにより第1と第2の中間ステータス指標(1{Y...},2{Y...})を取得し;かつ、
履歴モード指標、履歴マシンデータ及び履歴故障データ({Q...})により出力処理モジュール(362)をトレーニングする(732,832)、
コンピュータが、以上の順序のトレーニングでトレーニングが完了している構造(373)を用いる、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
動作モード指標(3{Y...})の決定は、専門家によって注釈が付された履歴マシンデータに基づいてトレーニング済みの動作モード分類器(333)によって実行される、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項4】
専門家によって注釈が付された履歴マシンデータはセンサデータである、請求項3に記載された方法。
【請求項5】
動作モード分類器(333)は履歴マシンデータに基づいてトレーニング済みであり、そのため動作モード分類器(333)は、トレーニング中に、マシンの動作時間(tm)を時系列セグメントのクラスタ(segm_1/3,segm_2/4)にグループ分け済みである、請求項1又は2に記載された方法。
【請求項6】
時系列セグメントのクラスタ(segm_1/3,segm_2/4)は、自動によるか又は専門家との対話で割り振られるか選択されて、動作モード指標(MODE_1,MODE_2)に割り振られる、請求項5に記載された方法。
【請求項7】
動作モード指標は、時間の経過に伴うモードの変更数によって提供される、請求項1から6のいずれかに記載された方法。
【請求項8】
ステータス指標(1{Y...},2{Y...})は、現在のステータスを示す現在指標、及び将来のステータスを示す予知指標から選択される、請求項1から7のいずれかに記載された方法。
【請求項9】
出力処理モジュール(363)は、故障までの時間、故障のタイプ、残存耐用年数、故障間隔、以上から選択された産業マシンの故障を予知する、請求項1から8のいずれかに記載された方法。
【請求項10】
動作モード指標(3{Y...})は、更に第1及び第2の従属処理モジュール(313,323)の両方によって処理されるバイアスとして働く、請求項1から9のいずれかに記載された方法。
【請求項11】
マシンデータの受領はセンサデータを備えたサブセットを受領することで実行され、かつ第1及び第2の中間ステータス指標の決定は、センサデータを備えたサブセットを処理する第1及び第2の従属処理モジュールによって実行される、請求項1から10のいずれかに記載された方法。
【請求項12】
マシンデータの受領(213)は、-故障予知に対するマシンデータの寄与に応じて-仮想センサにより仮想マシンデータを提供するか又は到来するマシンデータをフィルタリングする、データハーモナイザ(382β,382γ)を介してデータを受領することを含む、請求項1から11のいずれかに記載された方法。
【請求項13】
データハーモナイザ(382β,382γ)を介したマシンデータの受領(213)は、転移学習によって事前にトレーニング済みの処理モジュールを含むハーモナイザからのマシンデータの受領を含む、請求項12に記載された方法。
【請求項14】
マシンデータの受領(213)は、シミュレーションから得られるデータによって少なくとも部分的に補強されたマシンデータの受領を含む、請求項1から13のいずれかに記載された方法。
【請求項15】
マシンを制御するマシンコントローラに予知データ({Z...})を転送する、請求項1から14のいずれかに記載された産業マシン(113)の故障を予知する方法の使用。
【請求項16】
マシンコントローラは、産業マシンに遅くとも発生する故障までの時間を予知するモードを想定させる、請求項15に記載された、産業マシン(113)の故障を予知する方法の使用。
【請求項17】
マシンコントローラは産業マシンにマシンの保全までの時間が遅くとも発生するモードを想定させる、請求項15に記載された、産業マシン(113)の故障を予知する方法の使用。
【請求項18】
請求項1から14のいずれかに記載された方法を実行するように適応されたコンピュータにマシンデータ({{X...}}N)を提供するよう適応され、かつコンピュータから予知データ({Z...})を受領するように適応された産業マシン(113)であって、予め定義された最適目標に従って産業マシンの動作モードを切り替えるマシンコントローラと関連付けられている産業マシン(113)。
【請求項19】
予め定義された最適目標は、できる限り保全を回避する、故障が遅くとも発生することが予知されるモードで動作する、以上から選択される、請求項18に記載された産業マシン(113)。
【請求項20】
化学反応装置、冶金炉、容器、ポンプ、モータ及びエンジンから選択される、請求項18又は19に記載された産業マシン(113)。
【請求項21】
出力処理モジュール(362)に結合された第1、第2及び第3の従属処理モジュール(312、322、332)を有するモジュール構造(372)をトレーニングして、モジュール構造(372)が、産業マシンに対する故障予知を備えた故障指標({Z...})を提供できるようにするための、コンピュータで実施する方法(702/802)であって、
従属処理モジュール(312、322、332)をトレーニングし、その後、トレーニング済みの従属処理モジュールを動作し、続いて出力処理モジュールをトレーニングするカスケードトレーニングの適用を含み、
カスケードトレーニングは、
第3の従属処理モジュール(333)を履歴マシンデータ({{X...}}N)でトレーニングし;
トレーニング済みの第3の従属処理モジュール(333)を実行して(742)、履歴マシンデータ({{X...}}N)を処理することにより履歴モード指標(3{Y...})を取得し;
第1及び第2の従属処理モジュール(312、322)を、履歴マシンデータ({{X...}}N))と履歴モード指標(3{Y...})でトレーニングし(722、822);
トレーニング済みの第1及び第2の従属処理モジュール(312,322)を実行して(762,862)、履歴マシンデータ{{X...}N}を処理することにより第1及び第2の中間ステータス指標(1{Y...},2{Y...})を取得し;かつ
出力処理モジュール(362)を、履歴モード指標により、履歴マシンデータにより、及び履歴故障データ({Q...})によりトレーニングする(732、832)、ことを含むコンピュータで実施する方法。
【請求項22】
コンピュータシステムのメモリ中にロードされ、かつコンピュータシステムの少なくとも1つのプロセッサによって実施されるとき、コンピュータシステムに請求項1から14又は請求項21のいずれかに記載されたコンピュータで実施する方法のステップを実行させる、コンピュータプログラム製品。
【請求項23】
コンピュータシステムによって実行されるとき、請求項1から14、又は請求項21のいずれかに記載された、コンピュータで実施する方法のステップを実行する複数の処理モジュールを含むコンピュータシステム。
【請求項24】
請求項1から14のいずれかに記載された方法を実施することによりマシンデータ({{X...}}N)を処理するように適応され、かつ更に予知データ({Z...})を提供するように適応されたコンピュータを含み、
コンピュータは予知データに応じてかつ予め定義された最適目標に従って、産業マシンの動作モードを、できる限り保全を回避する、故障が遅くとも発生することが予知されるモードで動作する、から選択して切り替える、産業マシン(113)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して産業マシン(industrial machines)に関するものであり、より詳細には、本開示は、産業マシンの故障を予知するためのコンピュータシステム、方法及びコンピュータ-プログラム製品に関する。
【背景技術】
【0002】
中断することなく連続的に動作する産業マシンは、永久機関と同じくらい稀である。
【0003】
簡潔に言えば、中断には少なくとも2つの主要な理由がある。マシンのオペレータは、通常、一定間隔で、保全のためにマシンを操業停止(shut down)する。或いは、マシンは故障で停止し得る。
【0004】
過去数十年の間に、コンピュータモデルは故障予知において大きな進歩を遂げた。故障が予想される場合、オペレータは、いわゆる予知保全モデルにより保全のためにマシンを操業停止し得る。このようなアプローチ(取り組み;approach)によりマシンが動作している全体時間が長くなり、マシンが動作していない時間が短くなり得る。
【0005】
コンピュータモデルは、マシンからセンサデータ(及びその他のデータ)を受領し、故障までの時間、故障の種類などの故障の詳細を予知する。コンピュータモデルは、因果関係を知る必要があるが、多くの場合そうであるように、そのような関係は分からない、そのため、コンピュータはトレーニングデータ(通常はセンサの履歴データと故障の履歴データの組み合わせ)でトレーニングされる。トレーニングはその関係を近似する。
【0006】
予知の精度は重要である。例えば、コンピュータは1週間以内に故障が発生すると予知でき、かつオペレータは即時保全のためにマシンを操業停止しがちである。誤った予知は致命的である。予知が間違っている場合、即時保全は実際には必要なかったし、マシンは中断することなく正常に動作できていた筈である。
【0007】
精度を高める上で、熟練者は、(センサや故障データなど)不足しそうなデータ不足の可能性、(過去の故障を特定する)専門家の注釈が不足する可能性、異なる専門家からの注釈の違いの可能性、データの誤った関連性評価の可能性など、多くの課題と制約に直面する。その他の課題については以下で説明するが、概して予知の精度を高める必要がある。
【0008】
Stichらは、複雑な産業システムであるウェーハファブ(wafer fab)のサブコンポーネントを分類する複数のコンピュータモデルの使用について説明している(STICH PETER ET AL:“Yield prediction in semiconductor manufacturing using an AI-based cascading classification system”, 2020 IEEE INTERNATIONAL CONFERENCE ON ELECTRO INFORMATION TECHNOLOGY (EIT), IEEE, 31 July 2020 (2020-07-31), pages 609-614))。
【0009】
US 2013/0132001 A1は、産業機器に関しかつモデルを用いた故障検出と故障予知について解説している。この文献では、詳細な例について論じかつモデルのトレーニングについても言及している。
【0010】
まとめ
簡潔に言えば、予知は、マシンデータを受領し、予知データを提供する単一の機能モジュールから出て来るのではなく、出力モジュールと従属モジュールを備えたモジュール構造から出て来るのである。その意味で、モジュール構造は、出力モジュールが従属モジュール(又は基本モデル)からの中間指標(indicators)を処理することによって故障を予知するメタモデル(meta-model)を実施(implementing)している。
【0011】
複数のモジュールを階層配置したものはトレーニングにも効果をもたらす:従属モジュールは上位のモジュールに先立ってトレーニングされる。
【0012】
より詳細に言えば、モジュール構造(arrangement)には、出力モジュールに従属する第1及び第2の中間モジュールがある。少なくとも第1及び第2の従属モジュールは、それぞれ第1及び第2の中間ステータス指標を決定するためにマシンデータを処理する。このようなステータス指標は、産業マシンの動作構成(operating configurations)に関連付けることができる。
【0013】
これと並行して、更に従属モジュール-動作モード分類器-もセンサデータを受領しかつ産業マシンの動作モード(動作モード指標)を決定する。出力モジュールは、中間ステータス指標と動作モード指標を処理し、産業マシンの故障を予知する。故障は異なる動作モードに関連しているため、前述の単一の機能モジュールと比較して予知精度を高めることができる。
【0014】
図は、またコンピュータプログラム又はコンピュータプログラム製品を示す。コンピュータプログラム製品は、コンピュータのメモリにロードされ、コンピュータの少なくとも1つのプロセッサで実行されると、コンピュータにコンピュータで実施する方法(computer-implemented method)のステップを実行させる。つまり、プログラムはモジュールの命令を提供する。同様に、複数の処理モジュールを含むコンピュータシステムは、それらがコンピュータシステムによって実行される際に、コンピュータで実施する方法のステップを実行する。
【0015】
本発明は、請求項1に記載された産業マシンの故障を予知する、コンピュータで実施する方法に関する。産業マシンの故障を予知するためのコンピュータで実施する方法は、この場合、コンピュータが処理モジュールの構造を使用する方法である(簡略化のため、付加情報(attribute)「処理」は本文から省略することがある)。コンピュータは、第1、第2及び第3の従属処理モジュールによって産業マシンからマシンデータを受領する。これらのモジュールは、出力処理モジュールに中間データを提供するように配置されている。この構造は、カスケードトレーニングによって事前にトレーニング済みである。コンピュータは第1の従属モジュールによって、マシンデータを処理して第1の中間ステータス指標を決定する。コンピュータは、第2の従属モジュールによって、マシンデータを処理して第2の中間ステータス指標を決定する。コンピュータは、第3の従属モジュール-動作モード分類モジュール(classifier module)である-によって、マシンデータを処理して産業マシンの動作モード指標を決定する。コンピュータは、出力モジュールによって、第1及び第2の中間ステータス指標及び動作モード指標を処理する。これにより、出力モジュールは、予知データを提供することで産業マシンの故障を予知する。
【0016】
任意選択で、コンピュータは、次のトレーニング順序に従ってトレーニング済みの構造を使用する:履歴マシンデータで第3の従属モジュールをトレーニングする;履歴マシンデータを処理してトレーニング済みの第3の従属モジュールを実行して、履歴モード指標を取得する;第1と第2の従属モジュールを、履歴マシンデータと履歴モード指標でトレーニングする;履歴マシンデータを処理して、トレーニング済みの第1と第2の従属モジュールを実行して第1と第2の中間ステータス指標を取得し;かつ、履歴モード指標、履歴マシンデータ、履歴故障データによって出力モジュールをトレーニングする。
【0017】
任意選択で、動作モード指標を決定する際に、コンピュータは、専門家によって注釈が付された履歴マシンデータに基づいてトレーニング済みの動作モード分類器(operation mode classifier)を使用する。
【0018】
任意選択で、専門家によって注釈が付された履歴マシンデータはセンサデータである。
【0019】
任意選択で、動作モード分類器は、履歴マシンデータに基づいてトレーニング済みである。トレーニング中、動作モード分類器は、マシンの動作時間(operation time)を時系列セグメントのクラスタにグループ分け済みである。
【0020】
任意選択で、時系列セグメントのクラスタは、自動によるか又は専門家との対話で割り振られるか選択されて、動作モード指標に割り振られる。
【0021】
任意選択で、動作モード指標は、時間の経過に伴うモードの変更数によって提供される。
【0022】
任意選択で、ステータス指標は、現在のステータスを示す現在指標、及び将来のステータスを示す予知指標から選択する。
【0023】
任意選択で、出力モジュールは、故障までの時間、故障のタイプ、残存耐用年数、故障間隔から選択された産業マシンの故障を予知する。
【0024】
任意選択で、動作モード指標は、更に第1及び第2の従属処理モジュールの両方によって処理されるバイアスとして働く。
【0025】
任意選択で、コンピュータは、センサデータを備えたサブセット(sub-set)を受領することによってマシンデータを受領し、かつコンピュータは、センサデータを備えたサブセットを処理する第1及び第2の従属モジュールによって、第1及び第2の中間ステータス指標を決定する(determines)。
【0026】
任意選択で、コンピュータはマシンデータを受領する。この行動は、-故障予知に対するマシンデータの寄与に応じて-仮想センサによりマシンデータを提供するか又は到来するマシンデータをフィルタリングするデータハーモナイザ(data harmonizers)を介して、データを受領することを含む。
【0027】
任意選択で、コンピュータはデータハーモナイザを介してマシンデータを受領する。この行動は、転移学習によって事前にトレーニング済みのモジュールを備えたハーモナイザからのマシンデータの受領を含む。
【0028】
任意選択で、コンピュータは、シミュレーションから得られるデータによって少なくとも部分的に補強されたマシンデータを受領する。
【0029】
より広い観点から見ると、産業マシンの故障を予知する現在の方法は、予知データをマシンコントローラに転送する場合の使用に適用できる。コントローラは、産業マシンに遅くとも発生する故障までの時間を予知するモードを想定させ得る、かつコントローラは産業マシンにマシンの保全までの時間が遅くとも発生するモードを想定させ得る/可能にする。
【0030】
更に、産業マシンは、マシンデータをコンピュータに提供するように適応させることができる(即ち、方法を実行するように適応させる)。産業マシンは、更にコンピュータから予知データを受領するように適応させることができる。このようなシナリオでは、産業マシンは、産業マシンの動作モードを予め定義された最適目標に従って切り替える、マシンコントローラと関連付けられている。
【0031】
任意選択で、予め定義された最適目標を以下から選択する:
保全をできるだけ回避し、故障が遅くとも発生すると予知されるモードで動作する。
【0032】
産業マシンは、化学反応装置、冶金炉、容器、ポンプ、モータ、エンジンから選択できる。
【0033】
更に、出力モジュールに結合された第1、第2及び第3の従属モジュールを有するモジュール構造であって、産業マシンに対する故障予知を備えた故障指標を提供可能にするために、そのモジュール構造をトレーニングするためのコンピュータで実施する方法が存在する。この方法には、従属モジュールをトレーニングし、続いてトレーニング済みの従属モジュールを動作し、続いて出力モジュールをトレーニングするカスケードトレーニングの適用が含まれる。
【0034】
任意選択で、カスケードトレーニングには、履歴マシンデータで第3の従属モジュール(sub-ordinated module)をトレーニングする:トレーニング済みの第3の従属モジュールを実行して、履歴マシンデータを処理することで履歴モード指標を取得する;履歴マシンデータと履歴モード指標で第1と第2の従属モジュールをトレーニングする;履歴マシンデータを処理することでトレーニング済みの第1と第2の従属モジュールを実行して、第1と第2の中間ステータス指標を取得する、かつ、履歴モード指標、履歴マシンデータ、履歴故障データによって出力モジュールをトレーニングする、ことが含まれる。
【0035】
更なる観点から見て、コンピュータで実施する故障予知器は、出力モジュールに従属する第1及び第2の従属モジュールを備えたモジュール構造を有する。第1及び第2の従属モジュールは、産業マシンからのデータを処理して、第1及び第2の中間ステータス指標を決定する。第3の従属モジュールは、動作モード指標を決定し、出力モジュールは、ステータス指標と動作モード指標を処理して、産業マシンの故障を予知する。モジュール構造は、従属モジュールをトレーニングし、次にトレーニング済みの従属モジュールを動作し、かつその後に出力モジュールをトレーニングすることを含む、カスケードトレーニングによってトレーニング済みである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する:
図1A】産業マシン及びモジュール構造を示す。
図1B】産業マシン及びモジュール構造を示す。
図2】出力モジュールの階層下位の従属モジュールを備えたモジュール構造を示す。
図3】故障予知における故障間隔と組み合わせた産業マシンの動作に対する時間図を示す。
図4】モード-特定故障間隔(mode-specific failure intervals)と組み合わせた産業マシンの動作に対する時間図を示す。
図5】産業マシンのブロック図を示す。
図6】履歴データを備えた多変量時系列を示す。
図7】カスケードトレーニングのための簡略化された時間図を示す。
図8】変更した(in a variation)カスケードトレーニングのための簡略化された時間図を示す。
図9】産業マシンの故障を予知するためのコンピュータで実施する方法のフローチャートを示す。
図10】例として、モード変更率(mode change rates)を任意選択で決定するための、2つのモードについてのモード指標を備えた時系列を示す。
図11】モード遷移を伴う状態遷移図を示す。
図12】複数の産業マシン並びにマシンデータを備えた履歴時系列及び故障データを備えた履歴時系列を示す。
図13】マシンデータ(及び可能性のある故障データQ)を調和させるアプローチにおける異なる産業マシンを示す。
図14】センサによって提供されるデータ及びデータプロセッサによって提供されるデータを備えた時系列におけるマシンデータを示す。
図15】汎用コンピュータを示す。
【詳細な説明】
【0037】
概要と表記規則
この説明は、図1A図1B及び図2に産業マシン及びモジュール構造を示し、図3図4の簡略化された時間図によって動作モードに関連する精度を論じ、かつ図5に産業マシンの詳細を示すことで、トップダウンアプローチ式の方法を用いる。図6は、動作モードによって分離されたマシンデータを備えた時系列について論じる。次に、図7図8に関連するトレーニングについて論じ、図9のフローチャートによる予知について論じる。更なる形態(aspects)は、図10図15においても同様に言及される。
【0038】
説明では、「モジュールの実行」や「コンピュータの実行」の様な語句を使用してコンピュータの活動(activities)を説明し、「動作(operates)」を含む語句を使ってマシンの活動を説明する。
【0039】
産業マシン・モジュール構造
図1A及び図1Bは、空間(図1A)及び時間(図1B)におけるアプローチについて概観するものである。
【0040】
図1Aは、産業マシン113及びモジュール構造373を備えたコンピュータを示す。マシン113は(現在の)マシンデータ153{{X1...XM}}N(又は略して{{X...}}N)をモジュール構造373の入力に提供する。モジュール構造373は、その出力で(現在の)予知データ{Z...}を提供する。
【0041】
「コンピュータ」(単数形、参照なし)という表記は、計算機能又はコンピュータで実施するモジュールの機能を表す。これらの機能は、異なる物理コンピュータに分散できる。
【0042】
ここで用いるように、「モジュール」は、トレーニングによって得られる1つ以上の内部変量を使用する機能ユニット(又は計算ユニット)である。
【0043】
当業者は、そのような様々なモジュールを知っており、かつそれらを「マシン学習ツール」又は「MLツール」と呼ぶことがある。「M」は計算を行うコンピュータを表すという単純な理由から、説明では「ML」等は使用しない。本明細書で用いる場合、(産業)マシンは、マシンデータXに関連してはいるが、マシン自体は計算を実行しない。
【0044】
別の観点から、図は、コンピュータシステムによって実行される際、コンピュータで実施する方法のステップを実行する複数の処理モジュールを含むコンピュータシステムのモジュールを示す。産業マシンはコンピュータモジュールとは見なされない。
【0045】
モジュールは、回帰(regression)、分類(classification)、グループ分け(clustering)の様なタスクを解決するアルゴリズムを実行する。
【0046】
それらの内部構造を考慮すると、それらは:
・ニューラルネットワーク(重みである変量を備え、層状に構造されたノードを備えた図1A中の記号(symbol))、
・単一のツリー、又は複数のツリー(ランダムフォレストなど)、又はその他のモジュールを持つ決定木構造
であり得る。
【0047】
当業者は、Tensorflow、Kerasの様なライブラリ、Python、R、又はJuliaなどのプログラミング言語、の様なようなフレームワークを使用して内部構造を実施できる。
【0048】
この図は、予知データの見込み受領者をオペレータ193で記号化している。オペレータ(又は産業マシンの担当者)は、マシンを適時に保全する、故障が予想されるまでマシンを動作させる、故障の発生を遅らせる動作モードにする等動作内容を変更する、などの適切な対策(measures)を講じることができる。
【0049】
しかしながら、予知データ{Z...}は、他のコンピュータにも転送できるため、それを契機に(半)自動的に対策を講じ得る。
【0050】
予知データ{Z...}は、例えば、次のようないくつかの形態を有する。
・t_fail_a (故障が最短で発生すると予知される将来の時点)、
・t_fail_b (最も遅く故障が発生すると予知される将来の時点)、
・failure_type (例えば、故障すると思われるマシン要素を同定することにより、故障のタイプを指摘する)、又は
・少なくとも将来の特定の時間間隔の間、マシンが故障することなく動作しているという予知。
【0051】
図1Bは、マトリックス(行列)を示し、行にマシン、コンピュータ及びユーザを、列に時間の経過を(左から右へ)示す。図1Bは、図1Aを90度傾けたものとみなすことができる。
【0052】
非常に単純化すると、マシンはマシンデータを提供し、コンピュータは方法702、802及び203を実行し、かつユーザは予知データ{Z...}を受領する。
【0053】
段階
したがって、便宜上、図と説明は、少なくとも以下の段階を区分する:
・マシンが動作中に時系列でデータを収集することで、大凡t1から始まる準備段階**1;
・t2で実施されるトレーニング段階**2、マシンが**2で動作しているか否かにかかわらず、モジュール構造のトレーニングを行う、図7図8の方法702又は802を参照、及び
・マシンの動作及び故障の予知に使用されるデータの収集を示す動作段階**3、t3は方法203における予知を実行する時間である(従属モジュール及び出力モジュール、図2参照)。
【0054】
時系列
データ(マシンデータなど)は、時系列、つまり、後続の時点の時間順に索引が付された一連のデータ値の形式で利用できる。図1Aは、短い表記法(「角が丸い」矩形153)と矩形の下の行列によって時系列を導入し、図1Bは、時間面から矩形表記を繰り返す。
【0055】
表記{X1...XM}は、データ要素Xm(又は略して「要素」)を備えた単一の(つまり、単変量)時系列を表わす。要素Xmは、時点1から時点Mまで使用可能である:X1、X2、...、Xm、...XM(即ち、「測定時系列」)。インデックス(指標)mは、時点のインデックスである。時点mの後には、通常等間隔区間Δtの時点(m+1)が続く。表記{X...}は短縮形である。
【0056】
1例として、M時点におけるマシン駆動の回転速度:{1400...1500}がある。当業者は、データ値を、例えば、正規化された値[0,1]、又は{0.2...1}に前処理することができる。データ形式はスカラーやベクトルに限定されず、{X1...XM}は、時点1から時点Mで取得された一連のM個の画像又は音声サンプルを表すこともできる。
【0057】
表記{{X1...XM}}N(又は短縮した{{X...}}N)は、時点1から時点Mまでのデータ要素ベクトル{X_m}Nを備えた多変量時系列を表す。ベクトルは、1からMまでの任意の時点で、N個のデータ要素が使用可能であることを意味するカーディナリティN(変量、つまり、そのデータが使用可能なパラメータの数)を有する。行列(matrix)は、行インデックス(x_1からx_N)として変量インデックスnを示す。
【0058】
例えば、回転に対する単一の時系列は、温度に対する単一の時系列、材料の化学組成に関するデータに対する更なる単一の時系列、等を伴い得る。
【0059】
当業者は、説明が簡略化されていることを理解する。現実的な変量数Nは1000の2倍に達し、それを超し得る。時系列は理想的なものではない。時として、要素が欠落するが、当業者はそのような状況に対応できる。
【0060】
時間間隔Δt及び時点数Mの選択は、マシンによって実行されるプロセス又は活動に依る。時系列の全体持続期間Δt*M(即ち、ウィンドウサイズ)は、最も長い時間を要するマシンパラメータシフトに対応する。
【0061】
時点tmは、モジュール構造(又はそのコンポーネント)による処理のための時間を特定するため、一部のデータは前処理される場合がある。例えば、温度センサは分毎にデータを提供し得るが、Δt=15分(例えば)に対して、一部のデータを破棄したり、Δtで平均化したり、それ以外に前処理し得る。
【0062】
時系列表記{...}は、以下のものに適用可能である。
・説明した、マシンデータ{X...}、
・モジュールにおける、特に従属モジュールにおけるコンピュータ処理中に発生する中間データ{Y...}、
・モジュール構造の出力のところの故障予知データ{Z...}、
・実際に発生する又は発生したとき故障を表す故障データ{Q...}({Q...}は予知ではない)。
【0063】
X、Y、Z、Qデータは、多変量時系列としても利用できる。
【0064】
しかしながら、単変量及び多変量時系列はデータ形式の一例にすぎず、当業者は他の形式でデータを処理できる。
【0065】
マシンデータX
ラベルが示唆するように、マシンデータXは産業マシンに関連付けられている。データXが処理されるのは、予知された故障がマシンの動作に関連付けられているからである。マシンデータのすべての変量(variates)が予知に寄与するわけではないため、データソース(データ源)とマシンの関係に応じた大まかな区分がある。
【0066】
マシンデータは次のように区分できる。
・マシンに関連するセンサから取得したデータ(「センサデータ」)と
・他のソースから取得したデータ(「更なるデータ(further data)」又は「特徴データ」)。
【0067】
更なるデータは、マシンが処理する対象(objects)(対象のタイプ、対象の材料、負荷条件などの特性を含む)や、マシンに属するツール(特に時間の経過とともに変化する場合)を表すことができる。更なるデータは、動作中の環境データ(温度など)であり得る。更なる例としては、保全データがある。
【0068】
センサデータは、オペレータ/ユーザが特定のセンサデータを特定の意味に関連付けていないという意味で、可能性としてマシンオペレータから又は他のユーザから隠蔽し得る。結果として、熟練したユーザがそのようなデータにラベル付けすることができないことがあり得る。更なるデータは可能性としてよりオープンである。例えば、特定のコンポーネント(component)の振動を表すセンサ読取値は専門家にとっては意味を持ち得ない、しかし専門家は環境温度がマシンに与える影響については非常によく理解し得る。
【0069】
カレンダーの時間
述べたように、インデックスmは時点インデックスであり、時系列での表記は便利であり、かつ当業者は時間表記を実際のカレンダー時点に簡単に変換できる。時系列は、順番に利用可能であり(順番に従ったΩ時系列を備えた図1B)、かつカレンダー間隔は、Δt*Mよりはるかに長くすることができる。
【0070】
トレーニング及び現在のデータと履歴データとの区分
モジュールは、データによるトレーニング702/802を通じて内部変量(重み又は他のマシン学習関連変量など)を取得するので、説明では「履歴データ」と「現在のデータ」を区別する。履歴データは、(図7図8における方法702及び802を備える図1B)モジュールをトレーニングするのに使用可能なデータである。したがって、履歴データはトレーニングの前に使用可能でなければならない。換言すれば、方法702/802の左側に示されたデータは、履歴データ(履歴マシンデータ、履歴故障データ)である。
【0071】
図1Bは、単一のボックス702/802でトレーニングを示し、そのボックスの幅によってt2とt2’の間の実行時間を表している。トレーニングは新しく到着したデータで繰り返し行うことができる(つまり、t2’’のところのボックスで示されているように、ボックスを右側に「増大」(multilying)する)。時間の経過とともに、履歴データの量は増加するため、モジュールを再トレーニングして(方法702、802を繰り返すことによって)より正確な予知成果を達成することができる。
【0072】
図1Bは、インデックス(1)、(2)...(Ω)を備え連続した時系列を示している。単一の全体持続期間Δt*Mの履歴データ(即ち、トレーニング中の構造のN*M入力に対するN*Mデータ値、プラスQに対するMデータ値)を一度に処理することは便利である、しかし当業者はそれ以外にそのデータをモジュールに適用できる。(時系列の)Ω数は、時間の経過とともに増加している。
【0073】
対照的に、現在のデータは、トレーニング済みのモジュールが、将来起こり得る故障を予知するために処理可能なデータである(図9の方法203)。図1Bは、予知方法203の実行中に処理されることとなる{X...}を備えた時系列153によって、このことを示している。理論的には、履歴データと実際に重複する現在のデータを処理することができる(t2’’で終わる第2のボックスを参照)。
【0074】
原データ(Original data)
図示されているように、モジュール構造は、原データ、即ち、モジュールによってまだ処理されていないデータを受領する(データ形式を調和させるための前処理を除く)。方法702/802でトレーニングされている間、モジュール構造は、原履歴データを受領し、変量(又は「重み」)を取得する。一度トレーニングが完了すると、予知方法203において、モジュール構造は現在の原データを受領し、かつ予知データ{Z...}を提供する。トレーニング702/802中及び予知203中、構造モジュールは中間データを提供し、処理するので、原データについては既にここで述べている。概して、履歴データは履歴データのままであり、現在のデータは現在のデータのままである。
【0075】
予知と過去と未来の区分
予知方法203を実行するコンピュータの実行時間(run-time)は、(時系列におけるM区間と比較して)無視/短くできる。したがって、この説明では、故障予知{Z...}についてオペレータに通知できる最も早い時点としてt3を採用している。したがって、図1Bは、時系列としての予知も示している。以下で詳しく説明するように、故障予知データ{Z...}の1つの要素は、故障時点(t_fail)の同定である。
【0076】
t3により(但し、それ以前ではない)、オペレータは予知を確認/知ることができる。
【0077】
将来の時点は、コンピュータの実行時間に対して相対的に与えることもできる(図3のt3参照)。「故障までの時間」は、t3から最も早い故障時点までの間隔又は持続期間を示す。
【0078】
出力の予知精度は、タイミング精度、タイプ精度等と見なすことができる。これらの形態は互いに関連している。説明を簡略にするために、説明ではタイミング精度の向上に重点を置く。
【0079】
トレーニング用のデータ収集
図1Aはまた、履歴動作中の産業マシンに対する参照番号111、段階**1の履歴マシンデータ(及び履歴故障データ)に対する参照番号151を示す。また、トレーニング中の構造に対する参照番号372も示している。
【0080】
モジュール構造
図2は、出力モジュール363(相対的に上位のランク)に従属する(階層における)従属モジュール313、323、333を有するモジュール構造373を示す。従属モジュール333は、動作モード分類器の特別な機能を有する。
【0081】
説明では、説明を簡単にするために「分類器」というラベルを使用しているが、ラベルは「グループ分け(クラスタリング)」という意味も含まれている。従属モジュール333は、分類器(マシンの動作時間を、MODE_1やMODE_2などのクラスに割り振る)として動作することもできる、しかし、モジュール333は、クラスタツール(異なる動作時間中に観察されるデータに従って、マシンの動作時間を分離する)としても動作することができる。
【0082】
特定のクラスタを特定のモードに割り振ることは任意選択である。
【0083】
例えば、モジュール333は、データを処理することができ、動作時間(即ち、時点m)を第1及び第2のクラスタにグループ分けすることができる。その後、コンピュータは、これらのクラスタを第1及び第2の動作モード(クラスとして働く)に自動的に割り振ることができる。換言すれば、「クラスタ」と「モード」は異なる意味がある。このモジュールはマシンの動作を監視して、動作時間を(重複しない)クラスタに区分する。(第1のクラスタから第1のモードへの、第2のクラスタから第2のモードなどへの)割り振りが存在し、かつモードは分類目標(classification target)として設定され得る。その後、モジュールは、(グループ分けではなく分類)目標に応じて動作時間を区分するためトレーニングし得る。異なるデータによる更なる繰り返し中に、モジュール333は、次いで、マシンが第1又は第2のモードで動作するかどうかを決定(determine)することができる。
【0084】
任意選択で、クラスへのクラスタの割り振りに専門家が関与できる(例えば、専門家は単にクラスタにモード名を付ける、又は専門家は故障との関連性を認識する等)。割り振りはより複雑化(2つのクラスタが同じモードに属し得る)することができる。しかし、概して、専門家を関与させる必要はない。ユーザを関与させない方が有利であり得る。動作モードの違いは、専門家には「見えない」かもしれず(又は、検出は少しも困難ではない、例えば図5を参照)。換言すれば、クラスタ及び/又はモードが専門家から隠されている可能性がある。しかし、違いは、予知(及びマシンの動作、図4参照)に影響を与える可能性があり、コンピュータは、そのような違いの存在を認識できる。この場合も、この違いはユーザには隠せても、コンピュータには隠せない。
【0085】
グループ分けは必須ではなく、専門家はセンサデータに注釈を付けるなどして、履歴マシンデータに動作モードの注釈を付けることも可能である。
【0086】
異なるモジュール
モジュールが異なれば、実行するタスク(回帰や分類/グループ分けなど)も異なる。構造(arrangement)において従属モジュール(特定のタスクに特化している)を使用すると、単一のモジュール(即ち、従属モジュールの無いモジュール)と比較して予知精度を向上し得る。予知精度は、図3図4に関連して時間精度に対する一例として説明する。
【0087】
モジュール構造373は、入力として特定のデータを必要とし得るいくつかのコンポーネント(components)を有するので、以下の説明は、それらの中から以下の任意選択のアプローチを更に説明する:
・仮想センサからのデータを用いてデータの不足を補償すること(アプローチに対して図13参照)、
・任意選択でグループ分けによりスタートすることで、モードを自動的に分類すること(そのような自動的に取得されたデータの使用については図7-8を参照)によって、動作モードを区分する専門知識の不足を補償すること、
・モジュール構造に特定のトレーニング順序(モード分類器から開始する、図7-8を参照)でカスケードトレーニングさせること、
・少なくとも部分的に産業マシンの挙動を少なくとも部分的にシミュレートすることによって(図14参照)、又はそうでなくマシンの挙動を予知することによって、データの不足を補償すること、
・人間が注釈を付けたラベルによるトレーニングデータを補強すること(これ以上説明しない)、
・異なる物理マシンからのデータを処理しなければならない場合に(履歴データについて説明した図13参照)、データ変量(data variants)の可用性を調和させるなどにより、データを転送することによってデータ不足(又はデータの余剰)を補償すること、又は
・出力モジュールをトレーニングするために、入力の信頼度を示すバイアスを(二項分類の代わりに)使用して、異なるモジュールに精度を競わせるようにすること、(例えば、以下で説明するような分離モード(disjunct mode)指標又は確率付き指標)。
【0088】
全体的な観点から、モジュール構造373は、産業マシン113からマシンデータ153を受領し(図1A参照)、産業マシンの故障を予知する(データ{Z...})。
【0089】
そのトポロジーを見ると、モジュール構造373は、出力モジュールに従属する2つ以上のモジュールを含む。従属モジュールは、以下の点で(ピア(peers)間で)異なる場合がある。
・マシンデータ源(origin)は、モジュール固有であり得る。例えば、従属モジュール313及び323は、異なるマシンのコンポーネント(構成要素)からのマシンデータを処理することができ、例えば、モジュール313はサブセット(subset)∈{{X...}}Nである{{X...}}N1を受領することができ、モジュール323はサブセット{{X...}}N2等を受領することができる(図2参照)。
・従属モジュールが処理中に適用する重みセット(又はその他のマシン学習変量)は、異なっていることがあり得る。
・({Y...}のような)中間データは、モジュール固有にすることもできる。図は、第1の中間ステータス指標としてモジュール313の出力における1{Y...}、第2の中間ステータス指標としてモジュール323の出力における2{Y...}、及び動作モード指標として動作モード分類器333の出力における3{Y...}を示す。
【0090】
トポロジーは、データの可用性に影響を与える。出力モジュールは、中間データが利用可能になったときに処理することができる(図の左から右へのパイプライン構造)。
【0091】
トポロジーはトレーニングにも影響する。図7図8に関連して以下で説明するように、出力モジュールをトレーニングし得る前に、従属モジュールがトレーニングされる。同じ原則は更に別のランクの階層にも、従属-従属(sub-sub-ordinated)モジュール、従属モジュール、及び上位(supra-ordinating)モジュールの順序でのトレーニングの場合にも、適用される。
【0092】
トポロジーは、異なるタスクを実行する個々のモジュールに適応する。例えば、モジュール333は、グループ分け(又はMODEへの分類)を提供し、それによって、出力モジュールにバイアス(bias)を提供する。
【0093】
混合された形態
図1に関連して、この説明は、回帰、分類、グループ分けなどのタスクを実行するためのモジュールを既に紹介した。タスクを区分することは便利であるが必須ではない。予知故障データ{Z...}は、回帰の形態(将来の連続した時刻から取得される故障までの時刻)と分類の形態(その故障のタイプなど)を有する。同様に、モジュール333は、(例えば、分類の結果として、MODE_1、又はMODE_2のいずれかに)分離し得る又は確率分類器(probability classifiers;詳細は後述)であり得るモード指標を提供することができる。
【0094】
段階
特に他の指摘がない限り、産業マシンとモジュール構造は、動作段階**3中で示されている。トレーニング**2は、図7図8に関連して説明する。便宜上、図2は、トレーニング中に適用可能な基準(references)も示している:モジュール構造372は、従属モジュール312、322及び322、並びに出力モジュール362によりトレーニングされている、全てトレーニングされている(詳細は図7図8を参照)。
【0095】
図2はまた、図9図10に関連して説明される任意選択の指標由来のモジュール374を示す。
【0096】
故障時間予知のタイミング精度
図3は、モジュールによる故障予知における故障間隔と組み合わせた産業マシン113(図1A及び図1Bの)の動作に対する時間図を示す。モジュールは、従来のモジュール(従属なし)であり得る又はモジュール構造373であり得る。
【0097】
水平線は、簡略化された動作シナリオにおける産業マシンの動作を示す。
・シナリオ1:マシンは、t_fail_1<t_fail_aで故障するまで動作する。モジュールは満足な表示を提供しなかった。
・シナリオ2:マシンは、予知された故障間隔[t_fail_a,t_fail_b]内で故障するまで動作する。モジュールは満足な表示を提供しなかった、しかしオペレータはマシンの保全を行わないことを決めた。
・シナリオ3:故障予知間隔[t_fail_a,t_fail_b]の後、t_fail_3でマシンが故障するまで動作する。
・シナリオ4:マシンは保全破綻(break)「停止」まで動作する。保全は、予知t_fail_aの少し前に開始される。マシンは動作を再開し、かつ最終的にはt_fail_4で故障する。これはほぼ理想的な状況である。
【0098】
予知をより正確なものにしたいという願望がある。図は、その元の故障間隔よりも短い修正された予知故障間隔[t_fail_a’,t_fail_b’]によってこのことを示している。オペレータは、t_fail_a’直前まで保全を遅らせることができる。このような改善はモジュール構造(カスケードモジュール、図2参照)に対して実現可能である。
【0099】
モジュール構造は、実行時間(run-time)t3で動作し(図2参照)、かつ計算持続時間(コンピュータが{Z...}を計算するのに要する時間)は無視し得る。間隔[t_fail_a,t_fail_b]は、予知故障間隔である。
【0100】
図は簡略化されており、当業者は、それらの中で他の指標を導き出すことができる。
・残存耐用年数(RUL)。故障は異なるもので有り得、かつ全てのタイプの故障でマシンが使用できなくなるわけではない。例えば、軸受に「オイルなし」と表示されると、オペレータはその軸受の保全を行う機会が得られ、マシンは動作し続けることができる。オペレータは、単純なオイル不足を超えた故障(モーターの故障など)を示す更なるデータを収集することで、RULを取得する。
・故障までの時間(TTF)は、(t3から)t_fail_a(短いTTF)又はt_fail_b(長いTTF)までの間隔である。
・重大さの指標としての故障リスクは、(任意選択で、時間も考慮に入れることで)t_typeから導き出すことができる。
【0101】
これから説明するように、実質的に利用可能な全てのマシンデータ{{X...}}Nからデータを受領する単一のモジュールは、オペレータが適切な決定を下すのに不適な予知データ{Z...}を提供することがある。
【0102】
図4は、(図1Aの)産業マシンの動作の時間図を、モード固有モジュールによる予知におけるモード固有故障間隔と組み合わせて示している。
【0103】
モジュール構造は、モードによって予知故障間隔を区分でき、図は(t_fail_1、t_fail_2)をMODE_1とMODE_2別々に示している。
【0104】
マシンのオペレータは、オン(マシンが動作中)、スタンバイ(STAND-BY;マシンが低エネルギーで動作しているが、製品などは提供していない)、満荷重(FULL-LOADED)などの検出しやすい状態を反映した動作モードを理解できる。しかし、モードは予知される故障に関連付けられており、かつオペレータはマシンがモードを切り替えることを知る必要はない。マシンでモード切り替えを実施(implement)する必要もない。モードは、マシンの動作を表す属性である。
【0105】
簡略化した例では、MODE_1のマシンはMODE_2のマシンよりも早く故障する。この情報は、オペレータにとって重要であり得る。以下に示すように、オペレータは、t3(モジュール構造の動作時刻)に、両モードについて個別に、及び任意選択で両モードの組み合わせ(「MODE_1又は_2」)に対する予知故障間隔に関する通知を受ける。
【0106】
t3までは、オペレータはマシンをMODE_1又はMODE_2で動作するように制御することできた、或いはマシンは特定のモードを取るように明示的に制御されることなく、いずれかのモードを想定することもできた。
【0107】
可能性としては、オペレータはt4(MODE_1のt_fail_1直前)までMODE_2を続けることができた。保全を遅らせるか又は、オペレータがほぼt4からマシンをMODE_2だけで動作するのを可能にできる。
【0108】
図は非常に単純化されており、t3後のマシン動作中(t3からt4までの現在のデータで表される)、コンピュータは予知を更新する。マシンをMODE_1(t3後)で動作し続けると、おそらく(MODE_1に対する)t_failを左に向かって動かす可能性がある。したがって、オペレータは、既に(t4ではなく)t3の直後にのみMODE_2への切り替えを決定する。
【0109】
なお、オペレータは事前にモードを知る必要はなく、別の動作を行うようにマシンを切り替えることができ、かつモード指標(indicator)がオペレータにそのモードを知らせることになる。
【0110】
動作モードを区分するモジュール構造は、(全体的な)故障間隔(failure interval)をより正確に同定できる。この説明は、図5に関連して予知精度を高めることを詳細に説明するが、少し脇道にそれて、マシンを制御するために故障予知データ{Z...}とモード同定データとを組み合わせてマシンを制御する応用シナリオ(application scenario)を説明する。
【0111】
(半)自動モード適用
図4及びその説明は、制御ルールを確立するための1例と理解し得る。マシンコントローラは、マシンの動作を制御するために、実際の制御コマンドに対する故障予知データ{Z...}(T3で利用可能)を処理できる。このルールは、より高レベルな最適目標によって強化し得る。例えば、最適目標が「できるだけ保全を回避する」である場合、コントローラはどのモードでもt4までマシンを動作させ、t4からMODE_1での動作は許容しない。
【0112】
(例えば、予め定義されたあるウィンドウで、t4をt_failより以前に定義するのに)専門家の関与は最小限に抑えられる。
【0113】
制御コマンドをマシンに送信するコントローラはモードを変更し得る。しかし、(トレーニング済みの)モジュール構造(又は少なくともそのモード分類器)は、実質的にいつでも、必要に応じてコマンドを反転し得るように、モード(又は少なくともクラスタ)を確立することができる。又は、コントローラは、モードに対するあり得る影響に対してコマンドをチェックする。
【0114】
換言すれば、構造(図1B参照の方法203)によって行われる予知は、マシンコントローラに{Z...}を送って、マシンに遅くとも発生する故障までの時間を予知するモード、遅くとも発生する保全までの時間を予知するモードを想定させるか、又は他の基準に従うかして使用し得る。
【0115】
別の視点から見ると、産業マシンは、予め定義された最適目標に従って動作モードを切り替えるマシンコントローラに関連付け得る。上述の基準は、保全を(出来るだけ)回避する、(他のモードと比較して)遅くとも故障が発生すると予知されるモードでマシンを動作する、などを目標として定式化することもできる。
【0116】
マシンの例
図5は、産業マシン110のブロック図を示している。マシンは、実際のマシンの実際のコンポーネントを表す記号化したコンポーネントを持つという意味で架空のものである。非架空マシンの例としては、化学反応装置、冶金炉、容器、ポンプ、モータ、エンジンなどがある。
【0117】
マシン110は、駆動装置(drive)120を有する。振動センサ130は、駆動装置に取り付けられ、かつ時系列{X...}の形態で信号を提供する。この簡略化された例では、マシンデータはセンサデータのみを含んでいる必要がある。マシンは交換可能なツール(又はアクチュエータ)140-1/140-2を使用する。この図は、マシンがツール1又はツール2(「矢印ツール」又は「三角形ツール」)で交互に動作することを示すことで、ツールを記号化している。マシンは、(ここで、例では、ツールを介して)対象物150と相互作用する。相互作用の間、対象物はその形状(マシンは例えば金属加工旋盤である)、その位置(搬送マシン)、色(塗装ロボット)などを変更する必要がある。
【0118】
図5の簡略化された図では、ツールの選択によって、マシン構成(第1及び第2の構成など)が決定される。より現実的なシナリオでは、マシンは複数の構成に繋がった遥かに多くのコンポーネントを持つことができる。構成が複雑になると、上述の因果関係の複雑さが増し、故障予知の複雑さが増す。単純化するために、この説明は、あり得る故障の唯一の想定される原因を振動に絞っている。動作中の機械的振動(信号{X...}で表される)の発生は正常である。大幅に単純化すると、産業マシンは音を発する。ツール/対象物の組み合わせや構成によって、マシンから発せられる音は異なる(異なる周波数図を参照)。
【0119】
図は、(例えば、当該技術分野において周知のセンサ信号の高速フーリエ変換によって取得される)非常に単純化された周波数図をも示している。もちろん、周波数分布は多くの理由(例えば、対象物の形状が変化するなど)で時間とともに変化するが、この図は優勢な周波数(prevailing frequencies)のおおよその姿(view)を示している。
【0120】
一般に、振動が常に故障に繋がるわけではない。しかしながら、注目すべき例外がある。固有周波数(又は共振周波数、ここではfR)は、振動の振幅が比較的大きくなるため故障リスクが高まる。繰り返しになるが、説明は単純化されている:現実的なシナリオでは異なる共振周波数があることが分かっている。
【0121】
図に示すように、ツール1(「矢印」)を使用すると、マシンは共振周波数の近くで振動し、ツール2(「三角形」)を使用すると、他の周波数で振動する。この簡略化されたものの形からみて、マシンが最終的にfRで振動するリスクを排除できないが、ツール1ではリスクがより高くなる。(ツールのヤング弾性率などの一部の特性における)わずかな変動が発生し、振動がfRになる場合がある。
【0122】
ドメインの専門家は、振動を調査し、異なるツールと異なる周波数(振動数)の使用間の相関関係を見つけることができる。しかしながら、上述の現実的なシナリオでは、産業マシンはより複雑(多くの異なるツール、多くの異なる対象物)であり、専門知識は概して利用できない。
【0123】
これから説明するように、コンピュータは、専門家が区分できないモード間でも、動作モードを区分する(又は少なくとも動作時間をグループ分けする)ことができる。説明は第1の動作モードと第2の動作モードに簡略化されており、ツールの意味はコンピュータにとって重要ではない。
【0124】
簡略化された例では、2つの動作モードが周波数の異なる部分で区分されている。簡単に言えば、第1のモードでは周波数は低帯域(fR以下)で優勢であり、第2のモードでは高帯域(fR以上)で周波数が優勢である。
【0125】
共振周波数は、確率は異なるものの両モードで到達し得る。
【0126】
図2に戻ると、動作モード分類器333は、動作モード指標3{Y...}を提供する。説明では「指標」という用語を単数形で使用しているが、時間の経過とともに変化する可能性があることに注意されたい。したがって、時系列として示す。経時的に変化する3{Y...}の例を図10図11に示す。
【0127】
原則として、複数の選択肢がある。
・動作モード分類器333は、動作モード(例えば、モード1XORモード2)に対応する変量を出力する専用の分類器として動作し得る。又は、複数の動作モードの場合、動作モード分類器333は、値のセット(MODE_1、MODE_2、MODE_3など)から予め定義された値である。別の方法では、モードの数は予め定義されていないが、クラスタの数として決定されている。
・動作モード分類器333は、動作モードの確率(例えば、モード1が80%、モード2が20%)で変量を出力する確率分類器として動作し得る。
・動作モード分類器333は、両方の組み合わせとすることができる:それは、予め定義された値と確率範囲との組み合わせであり得る。例えば、3{Y...}は2つの変量、2変量時系列3{{Y...}2を持つベクトルとして実施できる:第1の変量はモードを、かつ第2の変量は確率を示す。例えば、特定の時点tmで、モードは80%の確率でMODE_1である。
【0128】
任意選択で、履歴マシンデータを分割すること
動作モード分類器332/333(図2参照)が、少なくとも予備的なトレーニングによって、既にトレーニングが完了していると仮定すると、それは、履歴マシンデータ{{X...}}N(多変量時系列、又は{{X...}}N3)を2つのサブ系列の履歴マシンデータに処理する。その詳細は図6及び図8に関連して説明する。
【0129】
図6は、図1Bの履歴多変量時系列{{X...}}Nを示す。動作モード分類器は、動作モード指標3{Y...}のモード(ここではMODE_1とMODE_2)を区分し得る。
【0130】
その結果、X-データは2つ(又はそれ以上)の多変量時系列に分配し得る。この例ではMODE_1は、m=1,2,3,...に対して、かつMODE_2はm=4,5,8,9に対して検出されたものである。
【0131】
変更(Variations)が適用される。例えば、モードの区分は比較的低い確率でしか達成できない(上記の考察を参照)が、特定のデータを両方のモードに割り振ることができる。
【0132】
モード固有の時系列に対し、除外されたタイムスロットを無視することで、連続するタイムスロットで時間が進んでいるように見せることができる。当業者は、新しいタイムカウンタ等を導入できる。
【0133】
その意味では、履歴データ{{X...}}Nはモード注釈付き履歴データ{{X...@1}}N及び{{X...@2}}Nに変わる。しかしながら、専門家による監督は必要ない。
【0134】
本明細書には図示していないが、分割(split)は故障データにも適用できる。モード1又はモード2での動作中に発生する履歴故障があり得る。
【0135】
履歴マシンデータ(又は故障データ)の分割は、図8のステップ852で用いることができる。
【0136】
履歴データ(マシンデータ又は故障データ)の分割は、グループ分けと考えることができる。グループ分けは、区分可能な時系列セグメント(例:3{Y...})を生む。特定のクラスタを特定のモードに自動的に割り振ると便利である。この例では、2つのモードに割り振られた2つのクラスタを使用している。
【0137】
図は、単に例として、segm_1(MODE_1)、segm_2(MODE_2)、segm_3(これもMODE_1)、segm_4(これもMODE_2)などを示している。時系列セグメントは、異なる持続期間(例えば、3*Δtでsegm_1、2*Δtでsegm_2など)を持つことができる。セグメントは、(segm_1,segm_3,...)を備えた第1のクラスタと(segm_2,segm_4,...)を備えた第2のクラスタに分離される。
【0138】
(産業マシンの)動作時間を異なるクラスタに分けるという点から見て、グループ分けは、動作モードが時間の関数(3{...}は時系列である)であるので便利である。
【0139】
再考される原データ(Original data revisited)
以上(図1B)で述べたように、モジュールをトレーニングし、その後、データを処理するために使用することができる。モジュール構造(2層の階層を備える図2参照)のトレーニング中に、従属モジュールは、全てが履歴データである、原データ(マシンデータ{X...}、故障データ{Q...}など)を中間データ{Y...}に変換する。出力モジュールは、これも履歴データである、中間データ及び原データを処理する。
【0140】
一度モジュール構造のトレーニングが完了すると、原データ({{X...}}Nなど)を受領し、かつ現在のデータである予知{Z...}を提供する。しかしながら、少なくとも出力モジュールは、原データと中間データを受領することができ、いずれも現在のデータである。
【0141】
・上位のモジュール(出力モジュールなど)が、中間データと組み合わせて原データ(つまり、まだ処理されていないデータ)を受領し、
・中間データが特定の機能を持ち、かつ
・そのような中間データの可用性が(トレーニング中及び予知中に)カスケードされる、
のは有利であり得る。
【0142】
少なくとも1つのシナリオ例が示されている。専門家による原データの注釈付けは難しいので、-モード指標などの-中間データは事実上の注釈として機能することができる。シーケンスはそのまま残る:出力モジュールは、遅くとも利用可能なときに事実上の注釈を使用する。
【0143】
このアプローチは、2-層階層(図2参照)について説明するものであるが、更なる層を導入することもできる。
【0144】
カスケードトレーニング
図7は、カスケードトレーニング702の簡略化された時間図を示す。太い水平線は、トレーニング中のデータの可用性を示す。縦の矢印は、トレーニング中のデータの使用を示す。複数の垂直線が1本の同じ水平線に由来する場合があり得るが、これは使用が同じデータを必要としているという意味ではない。時には、繰り返しデータを使用することが、異なる変量({{X...}}Nは場合により全てのN変量からではなく、異なる変量サブセットからであることを参照)からの使用を意味し得る。一度データが使用されると、そのデータは引き続き利用可能になり:水平線は実線から点線に変わる。データの再利用は、一部のトレーニング手順を繰り返す場合に便利である。
【0145】
時刻は左から右へ進み、時点t2は段階**2の開始を示し、時点t3は動作段階**3の時点を示す(図3参照、t3は予知を行うコンピュータの実行時間を示す)。
【0146】
ボックスは、方法ステップ712、722、732を記号化したものであるが、ボックスの幅は時間に合わせて調整されない。ボックスは右側に、トレーニング済みの(従属された)モジュールが出力を提供するために実行中であることを記号化した、太字の垂直線742及び762を有し得る。
【0147】
この説明は、時として、図1A(マシンに対する参照111、履歴マシンデータ151を提供する)から図2(トポロジー、**2の参照が適用される)及び図5(2つのモードを有するマシンの例)に戻る。
【0148】
この説明では、「予備的」という用語を使用して、方法のステップの任意選択の繰り返しを示す。換言すれば、個々のトレーニングステップを繰り返すことができる。便宜上、説明はデータの意味(semantics)(例えば、振動数又はfRでの故障)に言及しているが、コンピュータはそのような意味を考慮に入れる必要はない。
【0149】
履歴データは最初(つまり、t2より前)から利用できる。履歴データは、例えば、時系列の形式を持つことができる。この図では、履歴データを履歴故障データ{Q...}と(産業マシン111から、又は別のマシンから受領した)履歴マシンデータ{{X...}}Nに区分する。
【0150】
故障データは単変量時系列{Q...}として与えられるが、異なるタイプの故障(即ち、故障変量)は多変量時系列({{Q...}}など)で表すことができる。
【0151】
ステップ712/742
ステップ712において、コンピュータは、履歴マシンデータ(及び任意選択で、図示されていない故障データ)を使用して、モード分類器(即ち、図2の従属モジュール333)を(予備的に)トレーニングする。一度トレーニングされると、動作モード分類器333は、履歴マシンデータを使用して、履歴モード指標3{Y...}を計算することができる。このステップでは、監視(つまり、専門家の注釈を処理する)は必要ない。
【0152】
ステップ742において、コンピュータは、履歴モード指標3{Y...}を計算する。履歴マシンデータ{{X...}}Nは履歴モード指標3{Y...}に同期して利用可能であるので、時点tmは変更されず、両データは(自動生成された注釈という意味で、ここではモード指標付き)データ対を形成する。
【0153】
例えば、3{Y...}は、第1の24時間間隔中の代替動作モード1と第2の24時間間隔中のモード2を示す時系列であり得る。
【0154】
理由の同定(ツール1又は2の使用、又はその他の意味など)が不要であることが有利であり得る。コンピュータは利用可能なデータを使用するが、監督やその他の形式の専門家の関与を伴うトレーニングは必要ない。
【0155】
ステップ722/762
ステップ722において、コンピュータは、従属モジュール313、323をトレーニングするために、履歴マシンデータ{{X...}}N及び(任意選択で)履歴モード指標3{Y...}を用いる。一度トレーニングされると、従属モジュール313、323は、中間ステータス指標1{Y...}及び2{Y...}を提供することができる。例えば、中間ステータス指標1{Y...}と2{Y...}は、時間の経過に伴う増加や減少などの、周波数変化(frequency changes)を示す値である。
【0156】
この図では、このステップを1つのボックスで示しているが、このステップは両方の従属モジュールに対して別々に(直列又は並列に)実行される。
【0157】
ステップ762において、コンピュータは、再度履歴マシンデータ{{X...}}Nを用いて、中間ステータス指標1{Y...}及び2{Y...}、勿論履歴指標を計算する。例えば、両中間ステータス指標は、周波数の増加履歴を示す(意味内容は関係ないが)。
【0158】
ステップ732
履歴故障データQ(実際の故障データ)は、それよりも早くから利用可能である、しかし可能性として中間ステータス指標と比較するために使用することができる。このような故障データは自動的に取得することができる。簡単な実施では、故障はセンサ信号{Q...}で表され、これも(実際に発生した)故障の時刻を示す時系列として表される。
【0159】
ステップ732において、コンピュータは出力モジュール362をトレーニングするために、履歴故障データ{Q...}、中間ステータス指標1{Y...}及び2{Y...}、及びモード指標3{Y...}を使用する。
【0160】
トレーニングにより、出力モジュール362は出力モジュール363(図2)に変わり、かつ従属モジュールも同様に参照**3を備えたモジュールに変わる。例示の意味内容(セマンティクス)にとどまるために、モジュール構造373はt_fail_a及びt_fail_bによって、モード変化から10と14時間の間に発生する周波数増加(周波数がちょうどfRに近づく)に対するMODE_1における故障を検出し得る。MODE_2に対しては、同様に周波数が上昇し(しかしfRから離れる)、かつt_failは異なり得る。
【0161】
換言すれば、動作モードを区分することによって、モジュール構造373は、より高いタイミング精度で予知を提供することができる。
【0162】
分割した履歴データによるカスケードトレーニング
図8は、図7に対して説明されたトレーニングを変更したものにおけるカスケードトレーニング802のための簡略化された時間図を示す。
【0163】
ステップは、図7に対して説明したステップに対応するが、コンピュータは、(図6参照の履歴マシンデータを分割するための)追加のステップ852を実行し、(図7の)ステップ722は、従属モジュール312/313に対するステップ822@1として、及び従属モジュール322/323に対するステップ822@2として実行される。
【0164】
(ステップ812において)一度モード分類器モジュールのトレーニングが完了すると、コンピュータは、ステップ842において、履歴モード指標3{Y...}を計算する。図6で説明したように、3{Y...}は、次に履歴マシンデータをモード注釈付き履歴データ{{X...@1}}N及び{{X...@2}}Nに分割するために用いられる。(ステップ842及び852は組み合わせて実施することができる)
【0165】
従属ネットワークは、その後、中間ステータス指標1{Y...}及び2{Y...}を提供するために、別々にトレーニングされる(ステップ822@1、822@2)。
【0166】
故障履歴データ{Q...}を分割しないと便利である。(MODE_1における環境による故障は、マシンがMODE_2で動作しているときにも発生し得る、またその逆も同様である。)
【0167】
方法の概要
図9は、産業マシンの故障を予知するためのコンピュータで実施する方法203のフローチャートを示す。方法203を実行する際に、コンピュータは、図2のモジュール構造373などの処理モジュールの構造、又は更なる階層を有する構造を使用する。便宜上、図は、X、Y及びZデータを有する図2のシンボリックコピー(symbolic copy)と共にフローチャートを例示する。
【0168】
受領ステップ213において、コンピュータは、中間データ1{Y...}、2{Y...}、3{Y...}を出力処理モジュール363に提供するように配置された第1、第2及び第3の従属処理モジュール313、323、333によって、産業マシン113からマシンデータ({{X...}}N)を受領する。構造373は、カスケードトレーニングによって事前にトレーニングが完了している、図7図8の702/802参照。
【0169】
コンピュータは、第1の従属モジュール313を使用してマシンデータを処理223Aして、第1の中間ステータス指標1{Y...}を決定し;第2の従属モジュール323を使用してマシンデータを処理223Bして、第2の中間ステータス指標2{Y...}を決定し;かつ、第3の従属モジュール333-動作モード分類器モジュールである-を使用して、マシンデータを処理223Cして、産業マシン113の(全てのツリー指標に対する)動作モード指標3{Y...}を決定する。
【0170】
処理ステップ243において、コンピュータは、出力モジュール363によって第1及び第2の中間ステータス指標1{Y...}、2{Y...}及び動作モード指標3{Y...}を処理する。これにより、出力モジュール363は、予知データ{Z...}を提供することによって産業マシン113の故障を予知する。
【0171】
動作例
今や、現在のマシンデータ153(図1-2参照)を受領しているモジュール構造373は、-実際の時点t3(図3参照)に対する-モード(モジュール333)及びステータス指標(モジュール313、323)を同定する。
【0172】
マシンデータの選択
前述したように、マシンデータ{{X...}}は、センサデータと更なるデータであり得る。
【0173】
専門家が(故障予知のために)関連するマシンデータのサブセットを選択できないと仮定する。したがって、(モジュールのトレーニング中)選択はモジュールによって行われる。マシンデータはより重い重みで処理するものもあれば、センサデータはより軽い重みで処理するものもある。
【0174】
センサ以外のデータに対しては、専門家は選択を行うためのより深い洞察を有している可能性がある(その場合、専門家は一部のデータを関連性がないとのラベル付けが可能である)。
【0175】
実施(implementations)においては、サブセット{{X...}}N1及び{{X...}}N2は、変量に応じて時系列をグループ化することによって更に分割され得る、表記要素(element-of-notation)∈図2中を参照。
【0176】
モジュール-派生指標(モード指標など)の使用
現代の産業環境では、産業マシンが頻繁に動作モードを変更すると思われる。その理由の1つは、生産量が少なくなる傾向にある。モード変更率(時間当たりモード変更回数)は、全てのマシンではなく、一部のマシンの故障に関連し得る。
【0177】
派生的(derivative)なモード指標としてのモード変更
図10は、2つのモード(MODE_1「黒」及びMODE_2「白」)に対する時系列を、モード指標3{Y...}で示す。時間窓(等間隔、ウィンドウ毎に予め定義された数の時間間隔Δtを備える)は、モード変更の数(MODE_1からMODE_2へ、又はその逆)に関連付けられている。このアプローチはモード関数の経時的な派生(derivation)と見なすことができる。
【0178】
コンピュータは、動作モード分類器(図2参照)の出力を処理することによって、モード変更率を決定することができ、その変更率は、出力モジュール363への更なる入力値とすることができる。モード変更率は、現在のデータと履歴データに対して計算できる。この任意選択の動作を記号で表すために、図2は、分類器333と出力モジュール363との間のモード指標派生モジュール374を示す。
【0179】
図10は、2つのモードのみを示すことによって単純化されているが、モード変更は、他のシナリオについても同様に定量化することができる。
【0180】
代替例においては、時間間隔の数を予め定義する必要はない。異なるウィンドウ持続時間及び/又は異なるモード変更の発生に応じてクラスタを同定するためのグループ分けも可能である。
【0181】
図11は、(5つのモード又は状態を備えた)状態遷移図と、モード遷移を備えた状態遷移図を示す。1つの図は、(図10の)1つの時間窓に適用可能であり、モード遷移(例えば、AからB、BからC、CからD、及びその逆など)の発生を示すことができる。この図は、線の太さによって遷移の発生数を、DからAが顕著な遷移であるとして、記号化している。もちろん、他の時間窓では数値が変わる可能性がある。ここでも、特定の遷移毎の遷移発生数を出力モジュール362/363に入力し得る。
【0182】
計算は、例えば、指標派生モジュール374(図2参照)によって行うことができる。
【0183】
代替的な方法においては、ここでもグループ分けが可能で、例えば、遷移をグループ分けし、かつ、例えば、サブモード遷移の高又は低によってモードを区分することができる。
【0184】
履歴データを提供する複数のマシン
図12は、複数の産業マシン111α、111β及び111γ、並びにマシンデータ{{X...}}Nを備えた履歴時系列及び故障データ{Q...}を備えた履歴時系列を示す。簡略化のために、図では使用可能な全ての指標を使用してはいない。
【0185】
上述のように、データが十分に入手できない場合がある。したがって、図は履歴マシンデータX及び履歴故障データQを提供する複数の産業マシンを示す。図は、理想的な条件下では、データを備えた時系列が、マシン当たりの時系列の数にマシンの数を掛けた数値で利用できるということを記号化している(α、β、γ3台のマシンは単に簡略化のためである)。
【0186】
方法702/802をトレーニングするために、コンピュータ(トレーニング中の構造372)は、時系列{{X...]}}NとN+1入力変量における時系列{Q...}を一度に処理する。コンピュータはその後次の時系列に移る。
【0187】
場合によっては、コンピュータは、図1Bについて述べた「1回入力(one-time input)」における{Q...}と同様に、{{X...}}Nのような、連続した時系列(1)、(2)から(Ω)を処理する。熟練者は、α、β、γの繰り返し、或いはコンピュータにα{{X...}}N,β{{X...}}N,γ{{X...}}N,α{Q...},β{Q...},γ{Q...}を一度に処理させることすらも調整可能である。他の任意選択の処理も利用できる。
【0188】
仮想センサと転移学習で強化することによる欠損変量の補償
図12に説明されるシナリオのような、複数のマシンによるシナリオでは、実質的に等しいソースからのマシンデータ(及び故障データ)で理想的に動作する。
【0189】
例えば、単変量時系列α{X...}nは単変量時系列β{X...}nに類似するであろう、何故なら、変量nに対するセンサは、マシンαとマシンβの両方で同じタイプのセンサであるからである。しかしながら、全てマシンに同じセンサが搭載されているわけではない。ここでは、このような制約に対処するためのアプローチについて説明する。
【0190】
図13は、マシンデータ(及び可能性として故障データQ)を調和させるアプローチにおける異なる産業マシンを例示する。調和化は、履歴データ(段階**1)と現在のデータ(段階**3)に対して適用できる。
【0191】
図は、(図12から)産業マシン111α、111β及び111γを繰り返している、しかしマシンデータの可用性が異なっていることを示している。マシンαは通常のN変量、マシンβは1つ変量を欠き(N-1変量)、マシンγは1つ多い変量(N+1変量)を有する必要がある。
【0192】
図は、データハーモナイザ382β及び382γを示す。データハーモナイザ382βは、仮想センサ(ここではXn)によって欠損データを提供し、かつデータハーモナイザ382γは、到来するデータをフィルタリングする(即ち、余剰データを取り出す)。
【0193】
図は単純化されており、データの欠如と過剰は、予知に対する特定の変量の寄与如何に依る。一部のマシンデータ(即ち、そのデータの一部の変量)は、故障の予知にまったく関係がない。
【0194】
いずれのハーモナイザも、転移学習によって事前に(**1である段階で)トレーニング済みのモジュールを採用している。例えば、マシンα及びγは、ハーモナイザ382βに如何にしてセンサXnを仮想化させるかについて学習させるマスターであり得る。或いは、マシンαとβは、特定のデータセットを無視できることを学習するためのマスターである。
【0195】
図に示すように、ハーモナイザは故障データ{Q...}を変更しない。
【0196】
転移学習によってトレーニング済みのドメイン適応マシン学習モデルは、(特定のタイプの複数の産業マシンから、しかし複数のドメインから、多変量時系列として取得された)履歴マシンデータを処理する。履歴マシンデータには、複数のドメインのそれぞれのマシンの状態が反映されている。通常、マシン毎に数百又は数千のセンサが、温度、圧力、化学物質含有量などの動作パラメータを測定する(比較的高い変量数Nを参照)。そのような特定の時点で測定されたパラメータは、その時点でのマシンのそれぞれの状態を定義している。各マシンの複数の特性(動作モード、サイズ、材料組成の様な入力材料など)の存在により、多変量時系列データに専用変換を施すことなしに、2台のマシン(ソースマシンとターゲットマシン)を直接比較することはできない。
【0197】
転移学習にはさまざまなアプローチが使用できる。例えば、ドメイン適応マシン学習モデルは、最初のドメイン不変データセットとして、履歴マシンデータからドメイン不変の特徴を抽出するようにトレーニング済みの畳み込み(convolutional)及び/又は再帰(recurrent)層を備えた深層学習ニューラルネットワークによって実施し得る。転移学習は、履歴マシンデータからドメイン不変の特徴を抽出するために実施し得る。深層学習の特徴は、特定のマシンの動作によって生成された多変量時系列データから抽出された、特定のマシンの特徴の抽象的表現にある。転移学習を適用することにより、特定の型に依存しない(つまり、さまざまなドメインから独立した)複数の実世界のマシンからドメイン不変の特徴を抽出することができる。
【0198】
代替的なアプローチでは、ドメイン適応マシン学習モデルは、対応する生データを複数のマシンから基準マシン中に複数のマッピングを行うことを学習するようトレーニングされて来た。基準マシンは、一種の平均的なマシンを表す仮想マシンでも、実際のマシンでもよい。各マッピングは、それぞれの特定のマシンから基準マシンへの変換を表わす。このアプローチでは、複数のマッピングは、第1のドメイン不変データセットに対応する。例えば、そのようなドメイン適応マシン学習モデルは、CycleGANアーキテクチャに基づく生成型深層学習アーキテクチャによって実施され得る、このアーキテクチャは、人工的な(又は「偽の」)画像を生成する別の利用分野で人気がある。CycleGANはGANアーキテクチャを拡張したもので、2つのジェネレータ(生成)モデルと2つのディスクリミネーターモデルの同時トレーニングが含まれる。一方のジェネレータは、入力として第1のドメインからデータを取り出し、かつ第2のドメイン用データを出力し、かつ他方のジェネレータは入力として第2のドメインからデータを取り出しかつ第1のドメイン用データを生成する。次に、ディスクリミネーターモデルを使用して、生成されたデータがどの程度妥当であるかを判断し、かつそれに応じてジェネレータモデルを更新する。CycleGANは、サイクル整合性と呼ばれるアーキテクチャへの追加の拡張機能を使用する。その背景にある考え方は、第1のジェネレータによって出力されたデータを第2のジェネレータへの入力として使用でき、第2のジェネレータの出力は原データと一致する必要があるということである。逆もまた真なりである:第2のジェネレータからの出力を第1のジェネレータへの入力として供給し、その結果が第2のジェネレータへの入力と一致する必要がある。
【0199】
サイクルの一貫性は、英語からフランス語に翻訳されたフレーズがフランス語から英語に翻訳され、原フレーズと同じである必要があるというマシン翻訳の概念である。逆のプロセスも真である必要がある。CycleGANは、第2のジェネレータの生成された出力と原画像、又はその逆の差を測定するために追加損失(loss)を追加することで、サイクルの一貫性を促進する。これはジェネレータモデルの正則化として機能し、新しいドメインでの画像生成プロセスを画像変換(image translation)に案内する。原CycleGANアーキテクチャを画像処理から多変量時系列データの処理に適応させ、最初のドメイン不変データセットを取得するために、C. Schockaert H. Hoyez、(2020)、“MTS-CycleGAN: An Adversarial-based Deep Mapping Learning Network for Multivariate Time Series Domain Adaptation Applied to the Ironmaking Industry”, in arXiv: 2007.07518で詳細に説明されているように、畳み込み層と組み合わせた再帰層(例としてLSTM)を使用して、多変量時系列データの時間依存性を学習することで、次の変更を実施できる。
【0200】
転移学習の概要は、Fuzhen Zhuang, Zhiyuan Qi, Keyu Duan, Dongbo Xi, Yongchun Zhu, Hengshu Zhu, Hui Xiong, Qing He: “A Comprehensive Survey on Transfer Learning” arXiv:1911.02685から入手できる。
【0201】
シミュレーションによる補償
図14は、センサ135(通常の状況のように、図5のセンサ130を参照)によって提供される第1の時系列、及びデータプロセッサ165によって提供される第2の時系列を備えたN=2に対する2変量時系列{{X...}N中のマシンデータを示す。
【0202】
例えば、ツール(図5の140)は、時間の経過とともに切れ味(sharpness)を失う。それを測定できるセンサがない可能性があり、かつ仮想センサの設定も難しい場合がある(切れ味の測定が難しいため、マスターが見つからない可能性がある)。
【0203】
データプロセッサ165は、専門家が作成した式を使用するコンピュータによって実施することができる。例えば、専門家は、既存のデータに関連付けて、時間の経過に伴う切れ味の低下(したがって、ツールを交換(又は鋭利化)する必要がある時点)を計算できる。例として、そのようなデータは、ツールがマシンに挿入された時間、動作数、又は対象物の数などを含み得る。
【0204】
代替的には、データプロセッサ165は、シミュレーションを実行するコンピュータとして実施することができる。その意味で、コンピュータは、マシン全体の故障を予知するためではなく、ツールの故障(「もはや鋭利ではない」は、故障状態である)を予知するために、以上で述べた動作をすることができる。シミュレーターのセットアップは、場合により専門家との最小限のやり取りだけで済む可能性がある。
【0205】
上記の故障検出の原理は、マシン部品にも適用できる。ツールは最終的に故障する。2つの結果がある。
・第1に、ツールの故障は特定の故障タイプである(そのように予知し得る)
・第2に、ツールの故障はシミュレートできかつ入力として使用できる。
【0206】
モード固有のトレーニング
図7は、図8と組み合わせて、従属モジュールを異なるモードに対して別々にトレーニングすることができることを示している。
【0207】
図2のように)2つの従属モジュールを有すると仮定すると、モード分類器は、第1のモジュールはMODE_1データでトレーニングされ、第2のモジュールはMODE_2データでトレーニングされるように、モードに従って履歴データを区分することができる。
【0208】
現在のデータに対しては、両モジュールが中間ステータス指標(1{Y...}及び2{Y...}など)を提供し、かつそれらはモード指標を受領しない、図2参照。したがって、第1のモジュールは、マシンがMODE_2で動作するたびに「ごみ(garbage)」を作成する(かつ第2のモジュールではその逆も同様である)。しかし、動作モード分類器333は、モード指標(現在のデータ)3{Y...}を提供するので、出力ネットワークは、(トレーニングされていれば)いくつかの中間データを無視することになる。
【0209】
より一般的には、モード分類器モジュールがグループ分けを実行するにつれて、クラスタの数は2より多くなり得る。モード・クラスタの数に応じて、従属モジュール(モード分類器ではない)を動的に追加又は除去することができる。
【0210】
モード固有のバイアス
図2のトポロジーによれば、動作モード指標3{Y...}は出力モジュール363に行く。実施においては、指標は、従属モジュール313及び323に対するバイアスとしても機能し得る。
【0211】
汎用コンピュータ
図15は、ここで説明する技術と共に使用され得る汎用コンピュータ装置の例を示す。図は、汎用コンピュータデバイス900及び汎用モバイルコンピュータデバイス950の一例を示す図であり、これらは、ここで説明する技術と共に使用され得る。コンピューティングデバイス900は、ラップトップ、デスクトップ、ワークステーション、携帯情報端末、サーバ、ブレードサーバ、メインフレーム、及び他の適切なコンピュータなど、様々な形態のデジタルコンピュータを表すことを意図している。コンピューティングデバイス950は、携帯情報端末、携帯電話、スマートフォン、駆動支援システム、又は車両及び他の同様のコンピューティングデバイスのボードコンピュータなど、さまざまな形態のモバイルデバイスを表すことを意図している。例えば、コンピューティングデバイス950は、コンピューティングデバイス900と対話するために、ユーザ(例えば、産業マシンのオペレータ)によってフロントエンドとして使用され得る。ここに示されるコンポーネント、それらの接続及び関係、並びにそれらの機能は、例示的であるに過ぎず、本書において記載及び/又は請求される発明の実施を制限することを意図したものではない。
【0212】
コンピューティングデバイス900は、プロセッサ902、メモリ904、記憶装置906、メモリ904及び高速拡張ポート910に接続する高速インターフェース908、及び低速バス914及び記憶装置906に接続する低速インターフェース912を含む。コンポーネント(構成要素)902、904、906、908、910、及び912の各々は、種々のバスを使用して相互接続され、かつ共通のマザーボード上に、又は必要に応じて他の方法で装着し得る。プロセッサ902は、高速インターフェース908に結合されたディスプレイ916などの外部入出力装置上にGUI用のグラフィカル情報を表示するために、メモリ904又は記憶装置906に蓄積された命令を含む、コンピューティングデバイス900内で実行するための命令を処理することができる。他の実施(implementations)では、複数のプロセッサ及び/又は複数のバスが、必要に応じて、複数のメモリ及び複数のタイプのメモリと共に使用し得る。また、複数のコンピューティングデバイス900は、(例えば、サーババンク、ブレードサーバのグループ、又はマルチプロセッサシステムとして)必要な動作の一部を提供する各デバイスと接続し得る。
【0213】
メモリ904は、コンピューティングデバイス900内の情報を蓄積する。1実施において、メモリ904は、単数又は複数の揮発性メモリユニットである。別の実施では、メモリ904は、単数又は複数の不揮発性メモリユニットである。メモリ904は、磁気ディスク又は光ディスクなどの別の形態のコンピュータ読取可能な媒体でもあり得る。
【0214】
記憶装置906は、コンピューティングデバイス900に大容量記憶装置を提供することができる。1実施では、記憶装置906は、フロッピーディスク装置、ハードディスク装置、光ディスク装置、もしくはテープ装置、フラッシュメモリもしくは他の類似の固体記憶装置、又はストレージエリアネットワーク又は他の構成内の装置を含む装置のアレイなどのコンピュータ読取可能な媒体であり得るか、又はそれを含み得る。コンピュータプログラム製品は、情報担体に具体化することができる。また、コンピュータプログラム製品は、実行時に、上述したような1つ以上の方法を実行する命令を含み得る。情報担体は、メモリ904、記憶装置906、又はプロセッサ902上のメモリなどの、コンピュータ又はマシン読取可能な媒体である。
【0215】
高速コントローラ908は、コンピューティングデバイス900の帯域幅消費型(bandwidth-intensive)動作を管理し、一方、低速コントローラ912は、より低帯域幅消費型動作を管理する。このような機能の割り振りは、例示的なものに過ぎない。1実施では、高速コントローラ908は、メモリ904、ディスプレイ916(例えば、グラフィックプロセッサ又はアクセラレータを介して)、及び高速拡張ポート910に結合され、高速拡張ポート910は、様々な拡張カード(図示せず)を受け入れ得る。その実施では、低速コントローラ912は、記憶装置906及び低速拡張ポート914に結合される。種々の通信ポート(例えば、USB、Bluetooth、イーサネット、無線イーサネット)を含み得る低速拡張ポートは、例えば、ネットワークアダプタを介して、キーボード、ポインティングデバイス、スキャナ、又はスイッチもしくはルータなどのネットワークデバイスなどの1つ以上の入/出力装置に結合し得る。
【0216】
コンピューティングデバイス900は、図に示すように、多数の異なる形態で実施し得る。例えば、標準サーバ920として、又はそのようなサーバのグループ内で複数回実施されてもよい。また、ラックサーバシステム924の一部として実施されてもよい。加えて、それはラップトップコンピュータ922などのパーソナルコンピュータで実施し得る。代替的には、コンピューティングデバイス900からのコンポーネントは、デバイス950などのモバイルデバイス(図示せず)内の他のコンポーネントと組み合わせ得る。このような各々のデバイスは、1つ以上のコンピューティングデバイス900、950を含み得、かつシステム全体は、互いに通信する複数のコンピューティングデバイス900、950で構成し得る。
【0217】
コンピューティングデバイス950は、他のコンポーネントのうち、プロセッサ952、メモリ964、ディスプレイ954などの入/出力装置、通信インターフェース966、及び送受信機968、を含む。また、デバイス950は、追加の蓄積(storage)を提供するために、マイクロドライブ又は他のデバイスなどの記憶装置をも備え得る。各々のコンポーネント950、952、964、954、966、及び968は、種々のバスを使用して相互接続され、かつコンポーネントのいくつかは、共通のマザーボード上に、又は必要に応じて他の方法で装着され得る。
【0218】
プロセッサ952は、メモリ964に蓄積された命令を含む、コンピューティングデバイス950内で命令を実行することができる。プロセッサは、別々かつ複数のアナログ及びデジタルプロセッサを含むチップのチップセットとして実施し得る。プロセッサは、例えば、ユーザインターフェースの制御、デバイス950によるアプリケーションの実行、及びデバイス950による無線通信など、デバイス950の他のコンポーネントの調整のために提供し得る。
【0219】
プロセッサ952は、ディスプレイ954に結合された制御インターフェース958及びディスプレイインターフェース956を介してユーザと通信し得る。ディスプレイ954は、例えば、TFT LCD(薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ)やOLED(有機発光ダイオード)ディスプレイ、又は他の適切なディスプレイ技術であり得る。ディスプレイインターフェース956は、グラフィック情報及び他の情報をユーザに提示するためにディスプレイ954を駆動するための適切な回路を含み得る。制御インターフェース958は、ユーザからコマンドを受領し、プロセッサ952へ提供するためにそれらを変換し得る。加えて、外部インターフェース962は、デバイス950の他のデバイスとの近距離領域通信を可能にするように、プロセッサ952と通信する状態で提供し得る。外部インターフェース962は、例えば、いくつかの実施では有線通信のために、又は他の実施では無線通信のために提供し得、かつ複数のインターフェースも使用し得る。
【0220】
メモリ964は、コンピューティングデバイス950内に情報を蓄積する。メモリ964は、1以上のコンピュータ読取可能な媒体(medium)又は媒体(media)、単数又は複数の揮発性メモリユニット、又は単数又は複数の不揮発性メモリユニットとして実施できる。拡張メモリ984も設けられ、例えば、SIMM(Single In Line Memory Module)カードインターフェースを含み得る、拡張インターフェース982を通じてデバイス950に接続し得る。このような拡張メモリ984は、デバイス950に追加の記憶領域を提供し得、又はデバイス950のためのアプリケーション又は他の情報を蓄積もし得る。具体的には、拡張メモリ984は、上述したプロセスを実行又は補足するための命令を含み得る、また安全情報も含み得る。したがって、例えば、拡張メモリ984は、デバイス950のためのセキュリティモジュールとして作用し得、かつデバイス950の安全な使用を可能にする命令でプログラムし得る。加えて、安全アプリケーション(secure applications)は、ハッキング不可能な方法でSIMMカードに同定(本人確認)情報を構造するなどの追加情報と共に、SIMMカードを介して提供し得る。
【0221】
メモリは、例えば、以下で論じるように、フラッシュメモリ及び/又はNVRAMメモリを含み得る。1実施では、コンピュータプログラム製品は、情報担体において実体的に具現化されている。コンピュータプログラム製品には、実行時に、上記のような1つ以上の方法を実行する命令が含まれている。情報担体は、例えば、送受信機968又は外部インターフェース962を介して受領し得る、メモリ964、拡張メモリ984、又はプロセッサ952上のメモリなどのコンピュータ又はマシン読取可能な媒体である。
【0222】
デバイス950は、必要に応じてデジタル信号処理回路を含み得る通信インターフェース966を介して無線で通信し得る。通信インターフェース966は、GSM音声通話、SMS、EMS、又はMMSメッセージング、CDMA、TDMA、PDC、WCDMA(登録商標)、CDMA2000、又はGPRSなどの様々なモード又はプロトコルの下での通信を提供し得る。このような通信は、例えば、無線周波数送受信機968を介して行い得る。加えて、Bluetooth,WiFi、又は他のそのような送受信機(図示せず)を使用するなどの近距離通信を行い得る。加えて、GPS(全地球測位システム)受信モジュール980は、デバイス950に追加のナビゲーション及び位置関連の無線データを提供し得る、これは、デバイス950上で実行するアプリケーションによって必要に応じて使用し得る。
【0223】
デバイス950は、ユーザから音声情報を受領してそれを使用可能なデジタル情報に変換もし得る、オーディオコーデック960を使用して可聴で通信することもできる。オーディオコーデック960は、同様に、例えば、デバイス950のハンドセットにおいて、スピーカを通してなど、ユーザのために可聴音を生成し得る。このような音は、音声電話からの音を含み得、録音された音(例えば、音声メッセージ、音楽ファイルなど)も含み得、また、デバイス950上で動作するアプリケーションによって生成された音をも含み得る。
【0224】
コンピューティングデバイス950は、図に示すように、多数の異なる形態で実施し得る。例えば、携帯電話980として実施し得る。スマートフォン982、携帯情報端末、又は他の同様のモバイルデバイスの一部としても実施し得る。
【0225】
ここで説明するシステム及び技術の種々の実施は、デジタル電子回路、集積回路、特別に設計されたASICs(特定用途向け集積回路)、コンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、及び/又はそれらの組み合わせにおいて実現し得る。これらの様々な実施は、記憶システム、少なくとも1つの入力装置、及び少なくとも1つの出力装置からデータ及び命令を受領し、かつそれらに対してデータ及び命令を送信するために結合された、特別な又は汎用であり得る、少なくとも1つのプログラマブルプロセッサを含むプログラマブルシステム上で実行可能及び/又は解釈可能な1つ以上のコンピュータプログラムにおける実施を含み得る。
【0226】
これらのコンピュータプログラム(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、又はコードとしても知られている)には、プログラマブルプロセッサ用のマシン命令が含まれており、かつ高レベルの手続き型及び/又はオブジェクト指向プログラミング言語、及び/又はアセンブリ/機械語で実施できる。本明細書で使用される用語「マシン読取可能な媒体」及び「コンピュータ読取可能な媒体」は、マシン命令及び/又はデータをプログラマブルプロセッサに提供するために使用される任意のコンピュータプログラム製品、装置及び/又はデバイス(例えば、磁気ディスク、光ディスク、メモリ、プログラマブルロジックデバイス(PLDs))を指し、マシン命令をマシン読取可能な信号として受領するマシン読取可能な媒体を含む。「マシン読取可能な信号」という用語は、プログラマブルプロセッサにマシン命令及び/又はデータを提供するために使用される任意の信号を指す。
【0227】
ユーザとの対話を提供するために、ここで説明するシステム及び技術は、ユーザに情報を表示するための表示装置(例えば、CRT(ブラウン管)又はLCD(液晶ディスプレイ)モニタ)、及びユーザがコンピュータに入力を提供することができるキーボード及びポインティングデバイス(例えば、マウス又はトラックボール)を有するコンピュータ上で実施することができる。他の種類のデバイスを使用してユーザとの対話を提供することもできる;例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバック)であり得る;かつ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、触覚入力など、任意の形式で受領できる。
【0228】
ここで説明されたシステム及び技術は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバとしての)を含むコンピューティングデバイス、又はミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)を含むコンピューティングデバイス、又はフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザがここで説明するシステム及び技術の実施と対話できるグラフィカルユーザインターフェース又はウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)を含む、コンピューティングデバイス、又はそのようなバックエンド、ミドルウェア、又はフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせで実施し得る。システムのコンポーネントは、任意の形態又は媒体のデジタルデータ通信(例えば、通信ネットワーク)によって相互接続することができる。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネットなどが含まれる。
【0229】
コンピューティングデバイスは、クライアントとサーバとを含むことができる。クライアントとサーバは概して互いに離れており、通常は通信ネットワークを介して対話する。クライアントとサーバの関係は、それぞれのコンピュータ上で実行されかつ互いにクライアントとサーバの関係を有する、コンピュータプログラムによって生じる。
【0230】
多くの実施形態の説明を行った。それにもかかわらず、発明の本質及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を加え得ることが理解されよう。
【0231】
加えて、図に示されている論理フローは、望ましい結果を得るために、示されている特定の順序又は順番を必要としない。加えて、他のステップが設けられてもよく、又は説明したフローからステップが除去されてもよく、説明されたシステムに対して、他のコンポーネントが追加されてもよいし又は除去されてもよい。従って、他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。

図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】