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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】環状ペプチド抗生物質
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/54 20060101AFI20240618BHJP
   A61K 38/12 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C07K7/54
A61K38/12
A61K45/00
A61P31/04
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574127
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 US2022031732
(87)【国際公開番号】W WO2022256380
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】63/196,374
(32)【優先日】2021-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カニンガム, クリスチャン ナサニエル
(72)【発明者】
【氏名】パヤンデ, ジャン メヘル-ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ラザフォード, スティーヴン トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ストレク, ケリー マリー コルビン
(72)【発明者】
【氏名】リード, パトリック シー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤナギダ, ハヤト
(72)【発明者】
【氏名】ニシカワ, ジュンイチ
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA25
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C084ZC752
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA30
4H045BA32
4H045DA83
4H045EA29
4H045FA34
4H045GA25
(57)【要約】
グラム陰性菌に対して活性な抗菌化合物ペプチドが本明細書で提供される。様々な実施形態では、化合物は、BAM A膜タンパク質の阻害によって作用する。本明細書に記載される化合物を使用する医薬組成物および処置のための方法も提供される。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
(式中、
は、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、またはハロゲンもしくはヒドロキシで置換されていてもよいベンジルであり;
1aは、水素であり;
は、水素、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、二環式アリール、二環式ヘテロアリール、C1-6アルキル、またはヒドロキシル-C1-6アルキルであり、前記二環式アリールおよび前記二環式ヘテロアリールは、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロで1回もしくは2回置換されていてもよく;
3aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、水素;C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたはアミノ-C1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたは置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、置換されていてもよいベンジルであり;
8aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、置換されていてもよいベンジル、または置換されていてもよい1H-イミダゾール-5-イルメチルであり;
10は、C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、置換されていてもよい1H-イミダゾール-5-イルメチル、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキル、または置換されていてもよいC1-2アルキル-カルボキサミドであり;
11は、置換されていてもよいベンジル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
12は、両者とも置換されていてもよいN-(3-アミノ-3-オキソ-プロピル)カルボキサミドまたはN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドであり;
、R、R、R、R、R15a、R15b、R15c、R15d、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16c、およびR16dは、それぞれ独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
15eは、水素、C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、または置換されていてもよいC1-2アルキル-カルボキサミドであり;
は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロであり;
nおよびpは、独立して0~2であり;
qは、0または1であり;
rは、1または2である)
の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
12がN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドであり、RおよびRが1H-イミダゾール-5-イルメチルであり、RがC1-6アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、または置換されていてもよいベンジルであり;
が、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、(4-フェニルフェニル)メチル、または置換されていてもよい1H-インドリル-3-メチルであり;
が、水素または3-グアニドプロピルであり;
が、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたは4-アミノブチルであり;
が3-グアニドプロピルであり;
10が、3-グアニジノ-プロピル、メチル、エチル、アミノメチル、アミノエチル、4-アミノブチル、3-メチルイミダゾール-4-イル)メチル、または3-アミノ-3-オキソ-プロピルであり;
11が、1H-イミダゾール-5-イルメチル、または3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
、R、R、R1a、R3a、R8a、R15b、R15c、R15d、R15f、R15g、R15i、R15k、R16a、R16b、R16cおよびR16dが水素であり;
15a、R15e、R15hおよびR15jが、独立して、水素またはメチルであり;
およびRが、独立して、水素またはメチルであり;
15hがメチルである、請求項1または2に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項4】
が、ハロゲンまたはヒドロキシで置換されていてもよいベンジルであり;
が、水素、エチル、イソプロピル、または(1S)-1-メチルプロピルであり;
が、1-ナフチルメチルまたは1H-インドール-3-メチルであり;
が1H-イミダゾール-5-イルメチルであり;
が水素であり;
が、ヒドロキシメチル、または(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
が3-グアニジノプロピルであり;
が、ベンジルまたは4-ヒドロキシベンジルであり;
が1H-イミダゾール-5-イルメチルであり;
10が、3-グアニドプロピル、メチルまたはエチルであり;
11が、1H-イミダゾール-5-イルメチル、3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
12が、-C(=O)NHCHC(=O)NHである、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項5】
がベンジルであり;
が、エチルまたはイソプロピルであり;
が1-ナフチルメチルであり;
が1H-イミダゾール-5-イルメチルであり;
が水素であり;
がヒドロキシルメチルであり;
が3-グアニドプロピルであり;
が、4-ヒドロキシルベンジルまたは4-クロロベンジルであり;
が1-メチル-1H-イミダゾール-5-メチレンであり;
10が3-グアニドプロピルであり;
11が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
12がN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドであり;
およびRが、各出現において独立して、水素またはメチルである、請求項1~4のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項6】
式Ia
の化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項7】
表1から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
式(II)
(式中、
は、置換されていてもよいベンジルであり;
1aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、水素または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、C1-6アルキルまたはヒドロキシル-C1-6アルキルであり;
3aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、アミノ-C1-6アルキル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、ヒドロキシル-C1-6アルキル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、メチルまたは3-プロピルグアニジンであり;
8aは、水素またはメチルであり;
は、置換されていてもよいベンジルであり;
10は、アミノ-C1-6アルキル、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
11は、置換されていてもよいベンジルであり;
12は、インドリル-3-メチル、または置換されていてもよいベンジルであり;
13は、置換されていてもよいベンジルであり;
14は、両者とも置換されていてもよいN-(3-アミノ-3-オキソ-プロピル)カルボキサミド、またはN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドであり;
、R、R、R、R、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R15l、R15m、R15n、R16a、R16b、R16cおよびR16dは、各出現において独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、またはハロであり;
nおよびpは、それぞれ独立して、0~2であり;
qは、0または1である)
の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
が、置換されていてもよいベンジルであり;
1aが、水素またはC1-6アルキルであり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、C1-6アルキルまたはヒドロキシル-C1-6アルキルであり;
3aが、水素またはC1-6アルキルであり;
がC1-6アルキルであり;
が3-グアニジノ-プロピルであり;
が、3-グアニジノ-プロピル、またはアミノ-C1-6アルキルであり;
が、3-グアニジノ-プロピル、またはヒドロキシル-C1-6アルキルであり;
が、置換されていてもよいベンジルであり;
8aがメチルであり;
が、置換されていてもよいベンジルであり;
10が、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキル、(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチル、またはアミノ-C1-6アルキルであり;
11が、4-ヒドロキシベンジルまたは4-クロロベンジルであり;
12が、1H-インドール-3-メチルまたは4-クロロベンジルであり;
13が、置換されていてもよいベンジルであり;
14が、-C(=O)NHCHC(=O)NHであり;
15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R15l、R15m、R15n、R16a、R16b、R16cおよびR16dが水素である、請求項8に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
がベンジルであり;
1aが水素であり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、メチルまたは(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
3aが、水素またはメチルであり;
が(1S)-1-メチルプロピルであり;
が3-グアニドプロピルであり;
が4-アミノ-ブチルであり;
が、3-グアニドプロピル、または-(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
およびR8aがメチルであり;
がベンジルであり;
10が、グアニジノ-プロピル、(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチル、またはアミノ-C1-6アルキルであり;
11が4-ヒドロキシベンジルであり;
12が1H-インドール-3-メチルであり;
13が4-ヒドロキシベンジルであり;
14が、-C(=O)NHCHC(=O)NHであり;
15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R15l、R15m、R15n、R16a、R16b、R16cおよびR16dが水素である、請求項8または9に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
がベンジルであり;
1aが水素であり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、メチルまたは(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
が(1S)-1-メチルプロピルであり;
が3-グアニジノ-プロピルであり;
が4-アミノブチルであり;
がrac-(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
およびR8aがメチルであり;
がベンジルであり;
10が、3-グアニジノプロピル、(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチル、アミノメチル、2-アミノ-エチル、3-アミノプロピルまたは4-アミノブチルであり;
11が4-ヒドロキシベンジルであり;
12が1H-インドール-3-メチルであり;
13が4-ヒドロキシベンジルであり;
14が-C(=O)NHCHC(=O)NHである、請求項8~10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
がベンジルであり;
1aが水素であり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、メチルまたは(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
が(1S)-1-メチルプロピルであり;
が3-グアニジノ-プロピルであり;
が4-アミノブチルであり;
がrac-(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
およびR8aがメチルであり;
がベンジルであり;
10が3-グアニジノプロピルであり;
11が4-ヒドロキシベンジルであり;
12が1H-インドール-3-メチルであり;
13が4-ヒドロキシベンジルであり;
14が-C(=O)NHCHC(=O)NHである、請求項8~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
がベンジルであり;
1aが水素であり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、メチルまたは(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
が(1S)-1-メチルプロピルであり;
が3-グアニジノプロピルであり;
が4-アミノブチルであり;
がrac-(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
およびR8aがメチルであり;
がベンジルであり;
10が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
11が4-ヒドロキシベンジルであり;
12が1H-インドール-3-メチルであり;
13が4-ヒドロキシベンジルであり;
14が-C(=O)NHCHC(=O)NHである、請求項8~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項14】
がベンジルであり;
1aが水素であり;
が(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;
が、メチルまたは(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
が(1S)-1-メチルプロピルであり;
が3-グアニジノ-プロピルであり;
が4-アミノブチルであり;
がrac-(1R)-1-ヒドロキシエチルであり;
およびR8aがメチルであり;
がベンジルであり;
10が、3-アミノプロピルまたは4アミノブチルであり;
11が4-ヒドロキシベンジルであり;
12が1H-インドール-3-メチルであり;
13が4-ヒドロキシベンジルであり;
14が-C(=O)NHCHC(=O)NHである、請求項8~11のいずれか一項に記載の化合物、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容され得る塩。
【請求項15】
式IIa
の化合物である、請求項8~14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
表2から選択される、請求項7~15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体と、薬学的に許容され得る添加物とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
患者における細菌感染症の処置のための医薬の調製のための、請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体の使用。
【請求項19】
哺乳動物における細菌感染症を処置する方法であって、有効量の請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、前記哺乳動物に有益な効果を提供するのに十分な頻度および期間で、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項20】
哺乳動物におけるグラム陰性菌媒介感染症を処置する方法であって、有効量の請求項1~16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体を、前記哺乳動物に有益な効果を提供するのに十分な頻度および期間で、前記哺乳動物に投与することを含む、方法。
【請求項21】
前記細菌感染症が、大腸菌が関与する感染症である、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
第2の治療薬を投与することを更に含む、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の治療薬が、アミノグリコシド系抗生物質、フルオロキノロン系抗生物質、β-ラクタム系抗生物質、マクロライド系抗生物質、糖ペプチド系抗生物質、リファンピシン、クロラムフェニコール、フルオラムフェニコール、コリスチン、ムピロシン、バシトラシン、ダプトマイシンまたはリネゾリドである、請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2021年6月3日に出願された米国仮特許出願第63/196,374号の利益および優先権を主張し、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ほとんどのグラム陰性菌は、グラム陽性菌よりも本質的に抗菌剤に対して耐性であり、現在、抗感染療法において問題を提起している。最初に、この「内因性抵抗」は、外膜(OM)透過障壁に起因していた。しかしながら、ほとんどの薬物分子は、むしろ不透過性である緑膿菌のOMを1分未満で平衡化し得るので、OM透過性のみでは十分に説明し得ない。(H.Nikado,Antimicrob.Agent Chemother.1989 33(11):1831)。グラム陰性菌の内因性薬剤耐性は、OMバリアと広域特異性多剤排出ポンプの発現との間の協同から生じることが示されている(H.I.ZgurskayaおよびH.Nikado,Proc.Nat.Acad.Sci.1999 96(13):7190)。グラム陰性菌はまた、特定のクラスの抗菌剤に対する耐性を媒介する薬物特異的流出ポンプを有する(X.-Z.LiおよびH.Nikaido,Drugs2004 64:159-204)。
【発明の概要】
【0003】
開示の概要
微生物感染症の処置に有用な新規環状ペプチドを本明細書に記載する。様々な実施形態では、本開示は、細菌感染症を処置するための大環状ペプチドを提供する。様々な実施形態では、本開示は、グラム陰性菌感染症の処置のための化合物のクラスおよびサブクラスを提供する。大環状化合物は、OPM BAM複合体によって媒介されるOMへの新生タンパク質の折り畳みおよび挿入を阻害することによって作用する。
【0004】
本発明のいくつかの実施形態では、式(I)
が、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、または置換されていてもよいベンジルであり;
1aが、水素またはC1-6アルキルであり;
は、水素、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、二環式アリール、二環式ヘテロアリール、C1-6アルキル、またはヒドロキシル-C1-6アルキルであり、二環式アリールおよび二環式ヘテロアリールは、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロで1回もしくは2回置換されていてもよく;
3aが、水素またはC1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキルまたは置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたはアミノ-C1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたは置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、置換されていてもよいベンジルであり;
8aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、置換されていてもよいベンジル、または置換されていてもよい1H-イミダゾール-5-イルメチルであり;
10は、C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、置換されていてもよい1H-イミダゾール-5-イルメチル、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキル、または置換されていてもよいC1-2アルキル-カルボキサミドであり;
11は、置換されていてもよい1-C1-6アルキル-1H-イミダゾール-5-イル)メチルベンジルであるか、またはRは水素、もしくはC1-6アルキルであり;
12は、置換されていてもよいN-(3-アミノ-3-オキソ-(CH2-3)カルボキサミドであり;
15a、R15b、R15c、R15d、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16cおよびR16dは、各出現においてそれぞれ独立して、水素またはC1-6アルキルである)
の環状ドデカペプチド、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が提供される。
【0005】
本発明の他の実施形態では、式(II)
(式中、
は、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、または置換されていてもよいベンジルであり;
1aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、水素、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、二環式アリール、二環式ヘテロアリール、C1-6アルキルまたはヒドロキシル-C1-6アルキルであり、二環式アリールおよび二環式ヘテロアリールは、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロで1回もしくは2回置換されていてもよく;
3aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、または置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキル、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチル、または置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
は、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたはアミノ-C1-6アルキルであり;
は、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたは置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;
が、置換されていてもよいベンジルであり;
8aは、水素またはC1-6アルキルであり;
は、置換されていてもよいベンジルまたは置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルであり;
10は、C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチル、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキル、または置換されていてもよいC1-2アルキル-カルボキサミドであり;
11は、置換されていてもよいベンジルであり;
12は、1H-インドリル-3-メチルまたは置換されていてもよいベンジルであり;
13は、置換されていてもよいベンジルであり;
14は、置換されていてもよいN-(3-アミノ-3-オキソ-(CH2-3)カルボキサミドであり;
、R、R、R、R、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15h、R15i、R15j、R15k、R15l、R15m、R15n、R16a、R16b、R16cおよびR16dは、各出現において独立して、水素またはC1-6アルキルであり;
は、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシル、またはハロであり;
nは0~2であり、
qは、0または1であり;
rは、1または2である)
の環状テトラドデカペプチド、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1aおよび図1b-自動ペプチド合成装置において実施例1および実施例2の調製に使用したプログラム。
図2図2aおよび図2b-自動ペプチド合成装置において実施例3および実施例4の調製に使用したプログラム。
図3図3aおよび図3b-自動ペプチド合成装置において実施例5および実施例6の調製に使用したプログラム。
【発明の詳細な説明】
【0007】
開示の詳細な説明
抗生物質耐性は、現代医学において深刻で成長している現象であり、21世紀には主要な公衆衛生上の懸念として浮上し、治療に対する重大な障害となっている。多くのグラム陰性(GN)細菌は、グラム陽性細菌よりも抗菌剤に対して本質的に耐性である。この増強された耐性は、部分的には細胞壁に起因する。グラム陽性菌は、細胞質脂質膜を取り囲むペプチドグリカンの厚い層で作られた細胞壁を有する。これに対し、グラム陰性菌の細胞壁は、ペプチドグリカンの薄層のみを含有するが、グラム陽性菌には存在しない外膜(OM)も有している。グラム陰性菌の外膜は、細胞に剛性を付与し、抗生物質を含む細胞傷害性分子に対する透過性バリアとして機能する。さらに、OMは、特徴的なβバレル構造を有し、細胞からの有害分子の流出を含む必須の機能を果たす内在性外膜タンパク質(OMP)、ポリンを含む。したがって、外膜中のBamAの存在は、抗生物質排出ポンプの形成を阻害する小分子阻害剤の潜在的な標的となる。(K.M.LehmanおよびM.Grabowicz,Antibiotics2019 8:163)
【0008】
ライブラリー環状ペプチドを、mRNAディスプレイを使用して調製した。(Roberts,R.W.およびSzostak,Proc.Nat.Acad.Sci.USA1997 94:12297,Sohrabi,C.ら,Nature Rev.Chem.2020 4:90;Josephson,Kら,Drug Discov.Today,2014 19(4):388).チオエーテル-大環状ペプチドライブラリーを、遺伝的に再プログラムされたインビトロ翻訳系(Kashiwagi,KおよびReid,P.,国際公開第2011/049157号)において開始剤としてN-クロロアセチルD-フェニルアラニン(ClAc-F)を使用することによって構築した。得られた大環状ペプチドのライブラリーをスクリーニングし、Bam A1を標的とするペプチドおよびBam A2を標的とするペプチドを同定した。
【0009】
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「a(1つの)」、「and(および)」、および「the(その)」は、文脈が別途明確に指示しない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「an agent(1つの因子)」への言及は、複数のそのような因子を含み、「the cell(その細胞)」への言及は、当業者に公知の1つ以上の細胞(または複数の細胞)およびその均等物等への言及を含む。分子量等の物理的特性、または化学式等の化学的特性のために範囲が本明細書で使用される場合、その中の範囲および特定の実施形態の全ての組み合わせおよび部分的組み合わせが含まれることが意図される。数または数値範囲に言及する場合の「約」という用語は、言及される数または数値範囲が実験的変動性内(または統計的実験誤差内)にある近似であることを意味し、したがって、数または数値範囲は、いくつかの例において、記載された数または数値範囲の1%~15%の間で変化する。「含む(comprising)」という用語(および「含む(comprise)」または「含む(comprises)」または「有する(having)」または「含む(including)」等の関連する用語)は、他の特定の実施形態、例えば、本明細書に記載される任意の物質の組成、組成物、方法または過程等の実施形態では、記載された特徴「からなる(consist of)」または「から本質的になる(consist essentially of)」ことを排除することを意図しない。
【0010】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、反対に指定されない限り、以下の用語は以下に示される意味を有する。
【0011】
「アルキル」は、1~約10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を有する、置換されていてもよい直鎖、または置換されていてもよい分枝鎖飽和炭化水素モノラジカルを指す。例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、2-メチル-1-プロピル、2-メチル-2-プロピル、2-メチル-1-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-3-ブチル、2,2-ジメチル-1-プロピル、2-メチル-1-ペンチル、3-メチル-1-ペンチル、4-メチル-1-ペンチル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、2,2-ジメチル-1-ブチル、3,3-ジメチル-1-ブチル、2-エチル-1-ブチル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-アミルおよびヘキシル、ならびにより長いアルキル基、例えば、ヘプチル、オクチル等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に現れるときは常に、「C-Cアルキル」等の数値範囲は、そのアルキル基が1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子または6個の炭素原子からなることを意味するが、本定義は、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の出現も包含する。いくつかの実施形態では、アルキルは、C-C10アルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、C-Cアルキル、またはCアルキルである。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、アルキル基は、以下に記載されるように、例えば、オキソ、ハロゲン、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキルは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OH、-OMe、-NH、または-NOで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキルは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OHまたは-OMeで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキルはハロゲンで置換されていてもよい。
【0012】
「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖の二価炭化水素鎖を指す。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、アルキレン基は、以下に記載されるように、例えば、オキソ、ハロゲン、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OH、-OMe、-NH、または-NOで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OHまたは-OMeで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルキレンは、ハロゲンで置換されていてもよい。
【0013】
「アルコキシ」は、Rが本明細書で定義されるアルキルラジカルである式-ORの基を指す。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、アルコキシ基は、以下に記載されるように、例えば、オキソ、ハロゲン、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルコキシは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OH、-OMe、-NH、または-NOで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルコキシは、オキソ、ハロゲン、-CN、-CF、-OHまたは-OMeで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アルコキシはハロゲンで置換されていてもよい。
【0014】
「アリール」は、水素と、6個~30個の炭素原子と、少なくとも一つの芳香環とを含む炭化水素環系から誘導される基を指す。アリール基は、単環式、二環式、三環式または四環式環系であり得、縮合された環系(シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル環と縮合している場合には、アリールは芳香環原子を介して結合されている)または架橋された環系を含み得る。いくつかの実施形態では、アリールは、6員~10員のアリールである。いくつかの実施形態では、アリールは、6員のアリールであるアリールラジカルとしては、アントリレン、ナフチレン、フェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、フルオランテン、フルオレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、プレイアデン、ピレンおよびトリフェニレンの炭化水素環系から誘導されるアリールラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、アリールはフェニルである。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、アリールは、以下に記載されるように、例えば、ハロゲン、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アリールは、ハロゲン、メチル、エチル、-CN、-CF、-OH、-OMe、-NH、または-NOで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アリールは、ハロゲン、メチル、エチル、-CN、-CF、-OHまたは-OMeで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アリールは、ハロゲンまたはメチルで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、アリールはハロゲンで置換されていてもよい。
【0015】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、ブロモ、クロロ、フルオロまたはヨードを指す。いくつかの実施形態では、ハロゲンは、フルオロまたはクロロである。いくつかの実施形態では、ハロゲンは、フルオロである。
【0016】
「ハロアルキル」は、上で定義したような1つ以上のハロラジカルによって置換された上で定義したようなアルキルラジカル、例えば、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、3-ブロモ-2-フルオロプロピル、1,2-ジブロモエチルなどを指す。
「アミノアルキル」は、1つ以上の-NH、例えば、-CHNH、-CHCHNH、-CHCHCHNH、-CH(NH)CH、-CHCH(NH)CH、-CH(NH)CHCHなどによって置換されている、上記で定義されるアルキルラジカルを指す。
【0017】
「ヒドロキシアルキル」は、1つ以上の-OH、例えば、-CHOH、-CHCHOH、-CHCHCHOH、-CH(OH)CH、-CHCH(OH)CH、-CH(OH)CHCHなどによって置換されている、上記で定義されるアルキルラジカルを指す。
【0018】
「ヘテロアリール」は、水素原子、1~13個の炭素原子、窒素、酸素、リンおよび硫黄からなる群から選択される1~6個のヘテロ原子、ならびに少なくとも1つの芳香環を含む5~14員の環系ラジカルを指す。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、三環式または四環式の環系であり得、縮合された環系(シクロアルキル環またはヘテロシクロアルキル環と縮合している場合には、ヘテロアリールは、芳香環原子を介して結合されている)または架橋された環系を含み得、ヘテロアリール基中の窒素、炭素または硫黄原子は任意に酸化され得、窒素原子は、任意に四級化され得る。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5員~10員ヘテロアリールである。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、5員~6員のヘテロアリールである。例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾインドリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル、1,4-ベンゾジオキサニル、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾピラニル、ベンゾピラノニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラノニル、ベンゾチエニル(ベンゾチオフェニル)、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、フラニル、フラノニル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル、インドリル、インダゾリル、イソインドリル、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル、イソオキサゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル、オキサゾリル、オキシラニル、1-オキシドピリジニル、1-オキシドピリミジニル、1-オキシドピラジニル、1-オキシドピリダジニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、キノリニル、キヌクリニジル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニルおよびチオフェニル(すなわち、チエニル)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書において具体的に他の意味を示さない限り、ヘテロアリールは、以下に記載されるように、例えば、ハロゲン、アミノ、ニトリル、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール等で置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ハロゲン、メチル、エチル、-CN、-CF、-OH、-OMe、-NH、または-NOで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ハロゲン、メチル、エチル、-CN、-CF、-OH、または-OMeで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ハロゲンまたはメチルで置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、ハロゲンで置換されていてもよい。
【0019】
以下の命名法を本明細書で使用する。
【0020】
置換されていてもよいベンジルは、C1-6アルキル、ヒドロキシル、C1-3アルコキシ、ハロ、C1-6ハロアルキルまたはC1-6ハロアルキルオキシで置換されていてもよいベンジルを指す。
【0021】
1H-イミダゾール-5-イルメチルは、Rが水素である(ii)を指し、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルは、Rが水素またはC1-6アルキルである(ii)を指す。(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルおよび1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチルの両者は、Rがメチルである(iib)を指す。
【0022】
グアニジノ-C2-4アルキルは、部分-(CH2-4-NH(C=NH)NHを指し;置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルは、部分-(CH-NR(C=NR)N(R(iii)を指し、Rは、各出現において独立して、水素、またはC1-6アルキルであり、pは0~2であり、好ましくはRは水素またはメチルであり、pは1である。
【0023】
置換されていてもよいC1-2アルキル-カルボキサミド(iv)は、3-アミノ-3-オキソ-プロピル(-(CHC(=O)N(R)を指し、2-アミノ-2-オキソ-エチルは、CHC(=O)N(R)をそれぞれ指し、Rは、それぞれ独立して、各存在において、水素またはC1-6アルキルであり、好ましくはRは水素またはメチルであり、qは0または1である。
【0024】
N-(3-アミノ-3-オキソ-(CH2-3)カルボキサミドは、rが1または2であり、Rが水素である(v)を指す。N-(3-アミノ-3-オキソ-プロピル)カルボキサミドは、C(=O)NR(CHC(=O)N(Rを指し、N-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドは、C(=O)NRCHC(=O)N(Rを指し、Rは水素である。これらの部分が場合により置換されている場合、Rは独立してC1-6アルキルまたは水素である。
【0025】
1H-インドリル-3-メチルは、Rが水素である(vi)を指し、置換されていてもよい1H-インドリル-3-メチルは、Rが水素またはC1-6アルキルである(vi)を指す。
【0026】
芳香族アミノ酸という用語は、式HNCH(CH)COHの化合物を指し、Rは、ベンジル、フェニル、2-フェネチル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニルまたはピリダジニルであり、芳香環は、C1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキル、C1-6-アルキルスルホニルおよびシアノから独立して選択される1~3個の基で置換されていてもよい。N-メチル-芳香族アミノ酸は、式MeHNCH(CH)COHの化合物である。
【0027】
脂肪族アミノ酸という用語は、式HNCH(CH)COH(式中、Rは水素またはC1-6直鎖もしくは分岐アルキル、C1-4アルコキシ-C1-2アルキルまたはメチオニンである)の化合物を指す。
【0028】
塩基性アミノ酸という用語は、式HNCH(CH)COHの化合物を指し、RはC1-6-アミノアルキル、グアニジノ-C2-4アルキル、または置換されていてもよいC2-4アルキル-(グアニジン)であり、Rは、独立して水素またはC1-3アルキル、ピロリジン-3-イルである。
【0029】
ヘテロアリールアミノ酸という用語は、アルキル基が1~3個の炭素であるヒスチジン、トリプトファン、N-アルキル-ヒスチジンまたはN-アルキルトリプトファンを指す。
【0030】
極性アミノ酸という用語は、セリン、トレオニン、システイン、アスパラギン、またはグルタミンを指す。
【0031】
本明細書で使用される略語には、以下のものが含まれる。4-ClPh(4-クロロフェニル);F4C(4-クロロ-L-フェニルアラニン);4-HO-Ph(4-ヒドロキシフェニル);Boc(t-ブトキシカルボニル;Pbf(2,2,4,6,7ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル);Trt(トリチル);Abu((S)-2-アミノ酪酸);H3Me(3-メチル-L-ヒスチジン);MeY(N-メチル-L-チロシン);MeF(N-メチル-L-フェニルアラニン);TFA(トリフルオロ酢酸);MeCN(アセトニトリル);TEA(トリエチルアミン);DCM(ジクロロメタン);DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)。
【0032】
本明細書で使用される「処置する」、「予防する」、「改善する」および「阻害する」という用語、ならびにこれらに由来する単語は、必ずしも100%または完全な処置、予防、改善または阻害を意味しない。むしろ、当業者が潜在的な利益または治療効果を有すると認識する様々な程度の処置、予防、改善および阻害が存在する。この点において、開示された方法は、哺乳動物における障害の任意のレベルの処置、予防、改善または阻害の任意の量を提供し得る。例えば、その症候または症状を含む障害は、例えば、約100%、約90%、約80%、約70%、約60%、約50%、約40%、約30%、約20%、または約10%減少し得る。さらに、本明細書に開示される方法によって提供される処置、予防、改善または阻害は、障害、例えば癌または炎症性疾患の1つまたは複数の症状または症候の処置、予防、改善または阻害を含み得る。また、本明細書において、「処置」、「予防」、「改善」または「阻害」は、障害、またはその症候もしくは症状の開始を遅延させることを包含する。
【0033】
本明細書で使用される「有効量」または「治療有効量」という用語は、処置されている疾患または症状、例えば癌または炎症性疾患の症候の1つ以上をある程度軽減する、投与されている本明細書に開示される化合物の十分な量を指す。いくつかの実施形態では、その結果は、疾患の徴候、症候もしくは原因の減少および/もしくは軽減、または生物系の任意のその他の所望される変化である。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症候の臨床的に有意な減少をもたらすのに必要とされる、本明細書に開示される化合物を含む組成物の量である。いくつかの実施形態では、任意の個々の場合における適切な「有効な」量は、用量漸増研究等の技術を使用して決定される。
【0034】
本明細書中上記で定義される用語は、本発明の概要に記載される最も広い定義またはそれが言及するより大きな実施形態を指す。
【0035】
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、インビボで代謝されて活性薬物を生成し得る1つ以上の部分を有する化合物を意味する。例えば、エステラーゼまたは他の機構によってインビボで活性薬物に代謝されるプロドラッグがある。プロドラッグおよびその使用の例は、当技術分野において周知である(例えば、Bergeら(1977)“Pharmaceutical Salts”,J.Pharm.Sci.66:1-19を参照されたい)。プロドラッグは、化合物の最終単離および精製の間に、または、精製した化合物をその遊離酸形態またはヒドロキシルで、好適なエステル化剤と個別に反応させることにより、in situで調製し得る。ヒドロキシル基は、カルボン酸との処理を介して、エステルへと変換させ得る。プロドラッグ部分の例としては、置換されたおよび置換されていない、分岐または非分岐の低級アルキルエステル部分(例えば、プロピオン酸エステル)、低級アルケニルエステル、ジ低級アルキルアミノ低級アルキルエステル(例えば、ジメチルアミノエチルエステル)、アシルアミノ低級アルキルエステル(例えば、アセチルオキシメチルエステル)、アシルオキシ低級アルキルエステル(例えば、ピバロイルオキシメチルエステル)、アリールエステル(フェニルエステル)、アリール低級アルキルエステル(例えば、ベンジルエステル)、(例えば、メチル、ハロまたはメトキシ置換基で)置換されたアリールおよびアリール低級アルキルエステル、アミド、低級アルキルアミド、ジ低級アルキルアミドおよびヒドロキシアミドが挙げられる。
【0036】
本明細書で使用される「実質的に」という用語は、完全にまたはほぼ完全にを意味し、例えば、成分を「実質的に含まない」組成物は、成分を含まないか、または組成物の任意の関連する機能特性が微量の存在によって影響を受けないほどの微量を含むいずれかであるか、または化合物が「実質的に純粋」であるとは、無視できるわずかな不純物しか存在しないことである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は、それらの薬学的に許容され得る塩として存在する。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、そのような薬学的に許容され得る塩を投与することによって疾患を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、医薬組成物としてそのような薬学的に許容され得る塩を投与することによって疾患を処置する方法を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の化合物は、酸性または塩基性基を有し、それ故(、多数の無機または有機塩基、ならびに無機および有機酸のいずれとも反応して、薬学的に許いくつかの実施形態では、これらの塩は、本明細書に開示される化合物の最終的な単離および精製中にインサイチュで、またはその遊離形態の精製された化合物を適切な酸もしくは塩基と別個に反応させ、このようにして形成された塩を単離することによって調製される。
【0039】
薬学的に許容され得る塩の例としては、本明細書に記載の化合物を鉱物、有機酸、または無機塩基と反応させることによって調製される塩が挙げられ、そのような塩には、酢酸塩、アクリル酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、酪酸塩、ブチン-1,4-ジオエート、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、カプロン酸、カプリル酸塩、クロロ安息香酸塩、塩化物、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、デカン酸、ジグルコン酸、リン酸二水素、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸塩、グリコール酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヘキシン-1,6-ジオエート、ヒドロキシ安息香酸、γ-ヒドロキシ酪酸、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イソ酪酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、マンデル酸塩メタリン酸、メタンスルホン酸塩、メトキシ安息香酸塩、安息香酸メチル、リン酸一水素、1-ナフタレンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、パルモエート、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバレート、プロピオン酸塩、ピロ硫酸塩、ピロリン酸塩、プロピオレート、フタル酸エステル、フェニル酢酸、フェニル酪酸塩、プロパンスルホン酸塩、サリチル酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、コハク酸塩、スベリン酸、セバシン酸塩、スルホン酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸ウンデコネート、およびキシレンスルホン酸塩が挙げられる。
【0040】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される化合物は溶媒和物として存在する。本開示は、そのような溶媒和物を投与することによって疾患を処置する方法を提供する。本開示は更に、医薬組成物としてそのような溶媒和物を投与することによって疾患を処置する方法を提供する。
【0041】
溶媒和物は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有し、いくつかの実施形態では、水、エタノール等の薬学的に許容され得る溶媒との結晶化の過程中に形成される。溶媒が水である場合には水和物が形成され、または溶媒がアルコールである場合にはアルコラートが形成される。本明細書に記載の化合物の溶媒和物は、本明細書に記載の過程中に都合よく調製または形成し得る。単なる例として、本明細書に記載される化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールを含むがこれらに限定されない有機溶媒を使用して、水性/有機溶媒混合物から再結晶することによって都合よく調製し得る。さらに、本明細書で提供される化合物は、非溶媒和形態および溶媒和物形態で存在し得る。一般に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物および方法において、非溶媒和物形態と同等であると考えられる。
【0042】
いくつかの状況では、化合物は互変異性体として存在する。本明細書に記載される化合物は、本明細書に記載される式内の全ての可能な互変異性体を含む。互変異性体は、単結合と隣接する二重結合との交換を伴う水素原子の移動によって相互変換可能な化合物である。互変異性化が可能な結合配置では、互変異性体の化学平衡が存在する。本明細書に開示される化合物の全ての互変異性形態が企図される。互変異性体の正確な比は、温度、溶媒およびpHを含むいくつかの因子に依存する。
【0043】
別の態様では、化合物は、前述の化合物のいずれかの水和物または代謝産物である。
【0044】
別の態様では、前述の化合物のいずれかを薬学的に許容され得る添加物とともに含む、医薬組成物である。
【0045】
化合物
本発明の一実施形態では、上記の開示の概要に開示されている式(I)の環状ドデカペプチド、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体が提供される。
【0046】
式(I)の化合物の一実施形態では、R12はN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドであり、R1a、R3aおよびR8aは水素であり、RおよびRは1H-イミダゾール-5-イルメチルであり、RはC1-6アルキルである。式(I)の化合物の一実施形態では、Rは、エチル、イソプロピルまたはsec-ブチルである。
【0047】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、非置換ベンジル、ヒドロキシベンジルまたはクロロベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-ヒドロキシベンジルまたは4-クロロベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、RはC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ブチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6ヒドロキシアルキルまたはヒドロキシメチルである。
【0048】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシメチルである。
【0049】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、二環式アリール、二環式ヘテロアリール、C1-6アルキル、またはヒドロキシル-C1-6アルキルであり、二環式アリールおよび二環式ヘテロアリールは、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロで1回または2回置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、Rは、1~3個のハロゲンのいずれかで置換された1-ナフチルメチル;または非置換1-ナフチルメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、1~3個のハロゲンのいずれかで置換された2-ナフトメチル(naphthmethyl);または非置換2-ナフトメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよい3-インドリルメチルであり、Rは、水素またはC1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、3-インドリルメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、N-置換-3-インドリルメチルであり、Rはメチルである。いくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。いくつかの実施形態では、Rは、4-フェニルフェニル)メチルである。
【0050】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルまたは置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルで置換されていてもよい4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物の一部の実施形態では、RはC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0051】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは水素である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシ-C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシメチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは置換されていてもよい3-グアニド-C2-4アルキルであり、Rは独立して水素、またはC1-6アルキルであり、pは2-4である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。
【0052】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシル-C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは1-ヒドロキシ-エチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、アミノ-C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-アミノブチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり、Rは、独立して、水素、またはC1-6アルキルであるか、または置換されていてもよい3-グアニド-プロピルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。
【0053】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよい3-グアニド-C2-4アルキルであり、Rは、独立して、水素またはC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、RはC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、メチルまたはエチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはエチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシルC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは1-ヒドロキシエチルである。
【0054】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは4-ヒドロキシベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはハロ置換ベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、1個または2個のハロゲンで置換されたベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、1個または2個の塩素で置換されたベンジルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは4-クロロベンジルである。
【0055】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよい(イミダゾール-4-イル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルで置換されていてもよい4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0056】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、置換されていてもよい3-グアニド-C1-6アルキルであり、Rは、独立して、水素またはC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。式(I)の化合物の一部の実施形態では、R10は-CH(CHC(=O)NHであり、qは0または1である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、3-オキソ-3-アミノプロピル。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、アミノ-C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、アミノメチル、2-アミノエチルまたは4-アミノブチルである。いくつかの実施形態では、R10は3-(メチルイミダゾール-4-イル)メチル(iib(式中、Rはメチルである))である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R10はC1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R10はエチルである。
【0057】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、C1-6アルキルで置換されていてもよい4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R110は3-(メチルイミダゾール-4-イル)メチル(iib(式中、Rはメチルである))である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は4-(イミダゾリル)メチルである。
【0058】
式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、R、R、R、R、R、R1a、R3a、R8a、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16cおよびR16dは、水素、またはC1-6アルキルであり;いくつかの実施形態では、R、R、R、R、R、R1a、R3a、R8a、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16cおよびR16dは、水素またはメチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロであり;いくつかの実施形態では、Rはクロロである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは水素、C1-6アルキルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは水素である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、nおよびpは独立して0~2である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、nおよびpは1または0である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、nは1である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、nは0である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、qは独立して0または1である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、qは1である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、rは独立して1または2である。式(I)の化合物のいくつかの実施形態では、rは1である。
【0059】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物が存在し、その化合物は、表1から選択される。
【表1】
【0060】
本発明の別の実施形態では、式(Ia)の環状ドデカペプチド、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体が存在する。
【0061】
いくつかの実施形態では、式(Ia)の化合物が存在し、式中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11およびR12は上記の通りである。
【0062】
本発明の一実施形態では、式(Ib)の化合物が存在し、
式中、
AAは、芳香族アミノ酸またはN-メチル-芳香族アミノ酸であり、芳香族アミノ酸はフェニルアラニンであり、いずれかのフェニル環が、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキル、C1-6-アルキルスルホニルまたはシアノで置換されていてもよく;
AAは式HNCHRCOHの脂肪族アミノ酸であり、RはC1-6アルキルまたはC1-3アルコキシ-C1-3アルキルであり;
AAは式HNCHRCOHの芳香族アミノ酸であり、Rは、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチルまたは4-フェニルベンジルであり、Rは、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキル、C1-6-アルキルスルホニルまたはシアノで置換されていてもよく、またはヘテロアリ-ルアミノ酸であり、Rは、3-インド-ルメチルであり、場合によりC1-3N-アルキル-3-インドールメチルであり;
AAはヒスチジンであり;
AAは脂肪族アミノ酸であり、前記脂肪族アミノ酸が、Rが、水素、メチルまたはヒドロキシメチルである、式HNCHRCOHの化合物であり、好ましくはAAはグリシンであり;
AAはアルギニン、式HNCHRCOHのアミノ酸であり、RはC1-6ヒドロキシアルキルであり、好ましくはAAはセリンであり;
AAは式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸であり、Rはグアニジノ-C1-4-アルキルであり、好ましくはAAはアルギニンであり;
AAは芳香族アミノ酸またはN-メチル-芳香族アミノ酸であり、芳香族アミノ酸は、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキルで置換されていてもよいフェニルアラニンであり;好ましくはAAはフェニルアラニンであり;
AAはヘテロアリールアミノ酸であり、前記ヘテロアリールアミノ酸が、Rが1H-イミダゾール-5-イルメチル、3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルである、式HNCHRCOHの化合物であり、好ましくはAA10はヒスチジンであり;
AA10は塩基性アミノ酸であり、前記塩基性アミノ酸が、RがC1-6アミノアルキル、グアニジノ-C1-4-アルキル、(CH1-3CONH、またはC1-6アルキルである式HNCHRCOHの化合物であり;
AA11aはヘテロアリールアミノ酸であり、前記ヘテロアリールアミノ酸が、Rが1H-イミダゾール-5-イルメチル、3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルであり、好ましくはRが3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルである、式HNCHRCOHの化合物である。
【0063】
別の実施形態では、式(Ib)の化合物が得られ、
AAはフェニルアラニンであり;AAは、Rが、エチル、イソプロピルまたはsec-ブチルである式HNCHRCOHの脂肪族アミノ酸であり;AAは、2-アミノ-3-(ナフタレン-1-イル)プロパン酸またはトリプトファンであり;AAはヒスチジンであり;AAはグリシンであり;AAは、Rがヒドロキシルメチルまたは-CH(OH)Meである式HNCHRCOHの脂肪族アミノ酸であり;AAはアルギニンであり;AAは、ヒドロキシルまたはハロで置換されていてもよいフェニルアラニンであり;AAはヒスチジンであり;AA10は、アルギニン、アミノメチル、アミノエチルまたはアミノブチルであり;AA11は、Rが(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルである式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸である。
【0064】
本発明の別の実施形態では、式(II)の環状テトラデカペプチド、または開示の要約において上記に開示されるその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物、もしくは立体異性体。
【0065】
式(II)の化合物の一実施形態では、R1aはメチルまたは水素である。式(II)の化合物の一実施形態では、R1aは水素である。式(II)の化合物の別の実施形態では、R1aはメチルである。
【0066】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、非置換ベンジルである。
【0067】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルで置換されていてもよい4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、(iib Rがメチルである3-(メチルイミダゾール-4-イル)メチル)。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-(イミダゾリル)メチルである。
【0068】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、RはC1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、(1S)-メチルプロピルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルヒドロキシアルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは(1R)-1-ヒドロキシエチルである。
【0069】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルであり;いくつかの実施形態では、Rは、(1S)-メチルプロピルであり;いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。
【0070】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、C1-6アルキルで置換されていてもよい4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-(メチルイミダゾール-4-イル)メチル(iib(Rはメチルである))である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよい3-グアニジノ-C2-4アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニジノプロピルである。
【0071】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよい3-グアニド-C2-4アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、アミノ-C1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-アミノブチルである。
【0072】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、ヒドロキシ-C1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、(1R)-1-ヒドロキシエチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニド-C2-4アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは3-グアニドプロピルである。
【0073】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-クロロベンジルである。
【0074】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは4-ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物の一部の実施形態では、Rは、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、いくつかの実施形態、Rは、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、4-クロロベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、非置換ベンジルである。
【0075】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、置換されていてもよい3-グアニド-C1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は3-グアニドプロピルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、アミノ-C1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、4-アミノブチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、C1-6アルキルで置換されていてもよい4(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は、N-置換メチルを有する4-(イミダゾリル)メチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は3-(メチルイミダゾール-4-イル)メチル(iib(式中、Rはメチルである))である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R10は4-(イミダゾリル)メチルである。
【0076】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11はヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は4-ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11はハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、R11は、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、4-クロロベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R11は、非置換ベンジルである。
【0077】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は4-ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、ハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、4-クロロベンジルである。式(II)の化合物の一部の実施形態では、R12はN-置換-3-インドリルメチルであり、Rは水素またはC1-6アルキルである。いくつかの実施形態では、R12はN-置換-3-インドリルメチルであり、Rは水素である。いくつかの実施態様では、Rはメチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12はインドリル-3-メチル(vi[式中、Rは水素である])である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は4-ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、ハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、4-クロロベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R12は、非置換ベンジルである。
【0078】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は、置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13はヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は4-ヒドロキシベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13はハロ置換ベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は、1つまたは2つのハロゲンで置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は、1つまたは2つの塩素で置換されたベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は、4-クロロベンジルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R13は、非置換ベンジルである。
【0079】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R14はN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミドである。
【0080】
式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、R、R、R、R、R、R1a、R3a、R8a、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16c、およびR16dは、水素またはC1-6アルキルであり;いくつかの実施形態では、R、R、R、R、R、R1a、R3a、R8a、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16c、およびR16dは、水素またはメチルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、水素、C1-6アルキル、ヒドロキシルまたはハロである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはクロロである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは、水素またはC1-6アルキルである。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rは水素である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、Rはメチルである。式(II)の化合物の一部の実施形態では、nおよびpは独立して0~2である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、nおよびpは1または0である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、nは1である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、nは0である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、qは独立して0または1である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、qは1である。式式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、rは独立して1または2である。式(II)の化合物のいくつかの実施形態では、rは1である。
【0081】
本発明の別の実施形態では、Rが、C1-6アルキル、ヒドロキシル-C1-6アルキルまたはベンジルであり;R1aが、水素またはC1-6アルキルであり;RがC1-6アルキルであり;Rが、1-ナフチルメチル、2-ナフチルメチル、(4-フェニルフェニル)メチルまたはインドリル-3-メチルであり;R3aが水素であり;Rが(iic)であり;Rが、水素または3-グアニドプロピルであり;Rが、ヒドロキシメチル、(1R)-1-ヒドロキシエチルまたは4-アミノブチルであり;Rが、C1-6アルキル、置換されていてもよいグアニジノ-C2-4アルキルであり;Rが(i)であり;R8aが水素であり;Rが(iic)であり;R10が、C1-6アルキル、アミノ-C1-6アルキル、置換されていてもよいグアニジノ-C2-43アルキルまたは(iv)であり;R11が、(iib)または(iic)であり;R12が(v)であり;R1a、R3a、R8a、R15a、R15b、R15c、R15d、R15e、R15f、R15g、R15i、R15j、R15k、R16a、R16b、R16cおよびR16dが水素であり;R15hがメチルである、式(I)の化合物が提供される。
【0082】
サブ実施形態では、Rは1H-インドール-3-イルメチルであり;RおよびRは、(1H-イミダゾール-4-イル)メチルであり;Rは水素であり;Rはヒドロキシメチルであり、RおよびR10は3-グアニジニル-プロピルであり;R11は(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;R12は、N-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-カルボキサミドであり、さらに限定されない残りの置換基は、本明細書中上記で記載される通りである。
【0083】
サブ実施形態では、Rは1-ナフチルメチルであり;RおよびRは、(1H-イミダゾール-4-イル)メチルであり;Rは水素であり;Rはヒドロキシメチルであり、RおよびR10は3-グアニジニル-プロピルであり;R11は(3-メチルイミダゾール-4-イル)メチルであり;R12はN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-カルボキサミドであり、さらに限定されない残りの置換基は、本明細書中上記で記載される通りである。
【0084】
いくつかの実施形態では、式(II)の化合物が存在し、その化合物は、表2から選択される。
【表2】
【0085】
本発明のいくつかの実施形態では、式(IIa)の環状テトラデカペプチド、またはその薬学的に許容され得る塩、溶媒和物もしくは立体異性体。
【0086】
式(IIa)の化合物の一実施形態では、R14はN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)カルボキサミド(v,r=1,R=H)であり;Rは、(1S)-1-メチルプロピルであり、Rは、1-メチル-1H-イミダゾール-5-イル)メチルであり、Rは、ハロまたはヒドロキシルで置換されていてもよいベンジルである。式(II)の化合物の一実施形態では、Rは非置換ベンジルである。
【0087】
本発明の一実施形態では、式(IIb)の化合物が存在し、
式中、
AAは芳香族アミノ酸であり、芳香族アミノ酸は、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキル、C1-6-アルキルスルホニルまたはシアノによって置換されていてもよいフェニルアラニンであり;
AAはヘテロアリールアミノ酸であり、前記ヘテロアリールアミノ酸が、Rが1H-イミダゾール-5-イルメチル、3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルであり、好ましくはRが、3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルである、式HNCHRCOHの化合物であるヘテロアリールアミノ酸であるか、またはAAはグリシンであり;
AAは、RがC1-6アルキルもしくはC1-5-ヒドロキシアルキルである、式HNCHRCOHの脂肪族アミノ酸であるか、またはRおよびRが、独立してC1-6アルキルであり、好ましくはα-アミノイソ酪酸(Aib)である、式HNCRCOHの脂肪族アミノ酸であり;
AAは、RがC1-6アルキルである、式HNCHRCOHの脂肪族アミノ酸であり、好ましくは、AAはイソロイシンであり;
AAは、RがH-イミダゾール-5-イルメチルまたはグアニジノ-C1-4-アルキルである、式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸、好ましくはアルギニンであり;
AAは、RがC1-6-アミノアルキルまたはグアニジノ-C1-4-アルキル、好ましくはアミノブチルである、式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸であり;
AAは、RがC1-6-ヒドロキシアルキルまたはグアニジノ-C1-4-アルキル、好ましくはアミノブチルである、式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸であり;
AAは、RがC1-6アルキルであり、Rが水素またはC1-6アルキルである、式HNCRCOHの脂肪族アミノ酸であり;好ましくはα-アミノイソ酪酸(Aib)であり;
AAは芳香族アミノ酸であり、該芳香族アミノ酸が、いずれかのフェニル環が、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6チオアルキルで置換されていてもよいフェニルアラニンであり;好ましくはフェニルアラニンであり;
AA10は、Rが、C1-6-アミノアルキル、グアニジノ-C1-4-アルキル、3-メチルイミダゾール-4-イル-メチルである式HNCHRCOHの塩基性アミノ酸であり;
AA11は、芳香族アミノ酸であり、該芳香族アミノ酸が、いずれかのフェニル環が、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6チオアルキルで置換されていてもよいフェニルアラニンであり;好ましくはフェニルアラニンであり;
AA12は、式HNCHRCOHのヘテロアリールアミノ酸であり、Rが3-インドールメチルまたは芳香族アミノ酸であり、Rが、1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6-ハロアルキル、ヒドロキシル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキルで置換されていてもよいフェニル環であり;好ましくはトリプトファンであり;
AA13は、フェニル環が1~3個のC1-6アルキル、ハロゲン、C1-6ハロアルキル、C1-6-アルコキシ、C1-6-ハロアルコキシ、C1-6-チオアルキル、C1-6-アルキルスルホニルまたはシアノによって置換されていてもよいフェニルアラニンである。
【0088】
別の実施形態では、式(IIb)の化合物が存在し、式中、AAはフェニルアラニンであり;AAはNα-メチルヒスチジンであり;AAは、セリンまたはアラニンであり;AAはイソロイシンであり;AAはアルギニンまたはヒスチジンであり;AAは、リジンまたはアルギニンであり;AAは、アルギニンまたはセリンであり;AAはα-アミノイソ酪酸であり;AAはフェニルアラニンであり;AA10は、アルギニン、Nα-メチルヒスチジンまたはHNCHRCOHであり、Raは、アミノメチル、アミノエチルまたはアミノブチルであり;AA11は4-ヒドロキシ-フェニルアラニンであり;AA12はトリプトファンであり;AA13は、ヒドロキシルまたはハロで置換されていてもよいフェニルアラニンである。
【0089】
用量および投与
本発明は、本発明の化合物および少なくとも1つの治療的に不活性な担体、希釈剤または添加物を含有する医薬組成物または医薬、ならびに本発明の化合物を使用してそのような組成物および医薬を調製する方法を提供する。一例では、所望の程度の純度を有する式Iの化合物は、生理学的に許容され得る担体、すなわち、周囲温度および適切なpHにおいて剤形に用いられる投与量および濃度でレシピエントに対して非毒性であるキャリアと混合することによって製剤化され得る。製剤のpHは、主に化合物の特定の使用および濃度に依存するが、典型的には、約3~約8の範囲である。一例では、式Iの化合物は、pH5の酢酸緩衝液で製剤化される。別の実施態様では、式Iの化合物は、無菌である。化合物は、例えば、固体または非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、または水溶液として貯蔵され得る。
【0090】
組成物は、良好な医療行為と一致した様式で配合、投薬、および投与される。本文脈で考慮すべき要因としては、治療される特定の疾患、疾患の重症度、治療される特定の患者、個々の患者の臨床状態、疾患の原因、作用物質の送達部位、投与方法、投与スケジュール、および医師に公知の他の要因が挙げられる。投与される化合物の「有効量」は、そのような考慮事項によって決定され、抗菌活性を提供するために必要な最小量である。典型的には、このような量は、通常の細胞、または患者全体に毒性である量を下回り得る。
【0091】
適用のための医薬組成物(または製剤)は、薬物を投与するために使用される方法に応じて、多様な様式で包装されてもよい。一般的に、分配用物品は、薬学的製剤をその中に適した形態で配置した容器を含む。好適な容器は、当業者に周知であり、ボトル(プラスチックおよびガラス)、小袋、アンプル、プラスチックバッグ、金属シリンダーなどの材料が挙げられる。容器はまた、パッケージの内容物への不用意なアクセスを防止するための不正開封防止アセンブリを含んでもよい。それに加えて、容器は、容器の内容物を説明するラベルをその上に配置している。ラベルはまた、適切な注意書き含んでいてもよい。
【0092】
徐放性調製物を調製してもよい。徐放性製剤の適切な例としては、式Iの化合物を含有する固体疎水性ポリマーの半透過性マトリックスが挙げられ、このマトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルなどの成形物品の形態である。持続放出性マトリックスの例には、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2-ヒドロキシエチル-メタクリレート)、またはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド、L-グルタミン酸とγ-L-グルタミン酸エチルとのコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、LUPRON DEPOT(商標)などの分解性の乳酸-グリコール酸コポリマー(乳酸-グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドから構成される注射用ミクロスフェア)、ならびにポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸が挙げられる。
【0093】
ヒト患者を処置するための用量は、約0.1mg~約1000mgの式IまたはIIの化合物の範囲であり得る。典型的な用量は、約1mg~約300mgの化合物であり得る。用量は、特定の化合物の吸収、分布、代謝、および排泄を含む、薬物動態学および薬力学的性質に応じて1日1回(QD)、1日2回(BID)、またはより頻繁に投与し得る。加えて、毒性因子は、用量および投与レジメンに影響を及ぼし得る。
【0094】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側および舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内、硬膜外および鼻腔内、ならびに局所処置のために所望される場合、病巣内投与を含む任意の適切な手段によって投与され得る。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与が挙げられる。
【0095】
本発明の化合物は、例えば、錠剤、散剤、カプセル剤、溶液、分散液、懸濁液、シロップ剤、スプレー、坐剤、ゲル、乳濁液、パッチ等の任意の簡便な投与形態で投与してもよい。このような組成物は、医薬品における従来の構成成分、例えば、希釈剤、担体、pH調整剤、甘味料、充填剤、および更なる活性剤を含有してもよい。
【0096】
典型的な製剤は、本発明の化合物および担体または添加物を混合することによって調製される。好適な担体および添加物は当業者に周知であり、例えば、Ansel,H.C.,ら,Ansel’sPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins,2004;Gennaro,Alfonso R.,らRemington:The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott,Williams&Wilkins,2000;ならびにRowe,R.C.,Handbook of Pharmaceutical Excipients,Chicago,Pharmaceutical Press,2005に詳細に記載されている。製剤はまた、薬物(すなわち、本発明の化合物またはその医薬組成物)の美しい見た目を提供するため、または医薬品(すなわち、医薬)の製造を補助するために、1つまたは複数の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、潤滑剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤および他の既知の添加剤も含み得る。
【0097】
別の態様では、哺乳動物に有益な効果を与えるのに十分な頻度および期間で、抗菌有効量の上記化合物のいずれかを該哺乳動物に投与することを含む、そのような処置を必要とする哺乳動物を処置する方法である。一実施形態では、細菌感染症の原因細菌種は、グラム陰性細菌が関与する感染症である。そのような実施形態では、グラム陰性細菌は、例えば、大腸菌、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、シュードモナス・エルギノーザ(Pseudomonas aeruginosa)、アシネトバクター・バウマニ(Acinetobacter baumanii)、ナイセリア・ゴノレエ(Neisseria gonorrhoeae)、ナイセリア・メニンギティディス(Neisseria meningitidis)、クラミジア・トラコメイティス(Chlamydia trachomatis)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、エンテロバクター・クロアカ(Enterobacter cloacae)、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、ヘリコプター・ピロリ(Helicobacter pylori)、サルモネラ・エンテリティデス(Salmonella enteritidis)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、ヘモフィルス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、ビブリオ・コレレ(Vibrio cholerae)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)、ラルストニア・ソラナケアルム(Ralstonia solanacearum)、またはキシレラ・ファスティディオーサ(Xylella fastidiosa)であり得る。
【0098】
別の態様では、細菌感染症は、グラム陰性菌が関与する感染症であり、細菌は大腸菌である。
【0099】
注射用調製物、例えば、無菌の注射用水性または油性懸濁液は、公知の技術によって、適切な分散剤または湿潤剤と懸濁剤とを用いて任意に製剤化される。無菌の注射用調製物は、任意に、無毒性の非経口的に許容され得る希釈剤または、溶媒中の、無菌の注射用溶液、懸濁液またはエマルション、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液である。任意に使用される許容され得るビヒクルおよび溶媒は、水、リンゲル液、米国薬局方、および等張性塩化ナトリウム溶液である。加えて、滅菌不揮発性油は、溶媒または懸濁媒として慣習的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたは合成ジグリセリドを含む任意の無刺激不揮発性油を用い得る。加えて、オレイン酸といった脂肪酸が、注射物の調製に使用される。
【0100】
注射用製剤は、例えば、細菌保持フィルタを通した濾過によって、または滅菌水もしくは他の滅菌注射媒中に使用前に溶解もしくは分散し得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌し得る。
【0101】
本明細書に記載されている処置の方法によれば、細菌感染症は、所望の結果を達成するために必要な量および時間で治療有効量の本明細書に記載の化合物を患者に投与することによって、ヒトまたはより下等な哺乳動物等の患者において処置または予防される。本明細書に記載されている化合物の「治療有効量」とは、任意の医学的処置に適用可能な合理的な利益/リスク比で、細菌感染症を処置するのに十分な化合物の量を意味する。しかしながら、本明細書に記載されている化合物および組成物の1日の総使用量は、健全な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されよう。任意の特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベルは、処置されている障害および障害の重症度;用いられる具体的な化合物の活性;用いられる具体的な組成物;患者の年齢、体重、総体的な健康、性別および食事;用いられる具体的な化合物の投与時間、投与経路および排泄速度;処置の期間;用いられる具体的な化合物と組み合わせてまたは同時に使用される薬剤、ならびに医学の分野で公知の同様の因子を含む種々の要因に依存し得る。
【0102】
ヒトまたは他の哺乳動物に単回でまたは分割投与で投与される本明細書に記載される化合物(すなわち、本明細書に開示される化合物)の総1日用量は、例えば0.01~50mg/kg体重またはより通常は0.1~25mg/kg体重の量であり得る。単回投与組成物は、1日用量を構成するためにそのような量またはその倍数を含有し得る。一般に、本明細書中に記載される処置レジメンは、そのような処置を必要とする患者に、1日当たり約10mg~約2000mgの本明細書中に記載される化合物を単回投与または複数回投与で投与することを含む。
【実施例
【0103】
実験手順
以下の実施例で使用される全ての出発物質、構成要素、試薬、酸、塩基、固相樹脂、および溶媒は、一般に、さらなる精製を行わずに市販の製品を使用した。精製が必要な場合は、標準的な技術を使用した。別段特定されない限り、市販の保護アミノ酸を、さらなる精製を行わずに使用した。
【0104】
環状ペプチドの構造は、質量スペクトル解析においてESI-MS(+)により確認した。ESI-MS(+)により、分子量が約1000を超える正イオンモードの環状ペプチドで行われたエレクトロスプレーイオン化質量スペクトル分析法において、二価イオンまたは三価イオンとして頻繁に検出されたことが示される。
【0105】
Sieber Amide樹脂またはFmoc-NH-SAL-PEG樹脂およびFmoc保護アミノ酸を使用する標準的な固相合成法によって実施されるペプチド合成。カップリング工程は、典型的には、自動化されたLiberty Blue自動ペプチド合成装置(CEM Inc.)とのカップリング試薬として5.2当量のFmoc-アミノ酸、5当量のHATUおよび10当量のDIEAを用いるか、またはペプチド伸長のためのSyro I自動化並行ペプチド合成装置(Biotage)とのカップリング試薬として3.2当量のFmoc-アミノ酸、3当量のHATUおよび6当量のDIEAを用いて実施した。DMF中20%ピペリジンまたは0.1M HOBtを含むDMF中5%ピペラジンのいずれかで脱保護を実施した。
【0106】
環状ペプチドを、Waters AutoPurification SystemまたはShimadzu prep-HPLCシステムを使用する逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって精製した。得られたペプチドは、ESI-ポジティブスキャンモードで得られた質量スペクトルから同定されたものであり、対象物の分子式から算出される多価イオンを含む質量スペクトルは、使用した質量分析装置の誤差範囲内で一致していた。
【0107】
分析LCMS条件:カラム:Kinetex EVO C18 100Å 2.6μm、内径2.1mm×150mmのカラムを、水中0.025% TFA(移動相A)およびMeCN中0.025% TFA(移動相B)で、20分間にわたって5~45%勾配のBおよび0.25mL/分の流速で溶出した。溶離液をUV 225nm検出器でモニタリングした。
【0108】
代表的実施例
実施例1:化合物16
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-H3Me-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-His(Boc)-OH;Fmoc-MeTyr(tBu)-OH;Fmoc-Ser(Trt)-OH;Fmoc-Nal1-OH;Fmoc-Abu-OH;Fmoc-Phe-OHが含まれていた。
【0109】
自動合成器プログラムを図1aに示す。
【0110】
5.2当量のFmoc-アミノ酸、5当量のHATUおよび10当量のDIEAをカップリング試薬として用いて、a上のFmoc脱保護にはDMF中の20%ピペリジン、ペプチド合成装置にはLiberty Blueを用いてSieber Amide樹脂で合成を行った。二重カップリングは、N末端アミノ酸から6、7、および10の位置で使用した。
【0111】
N末端アミノ酸を脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄し、次いで、DMF中5当量の2-クロロ酢酸、5当量のHATU、および10当量のDIEAを添加し、得られた混合物を30分間撹拌した。樹脂をDMFおよびDCMで連続的に洗浄し、次いで高真空下で乾燥させた。全体的な脱保護は、TFA/水/TIS/DODTの混合物(92.5:2.5:2.5:2.5、v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で1.5時間撹拌することによって実施した。得られた溶液を使い捨てフィルターカラムを通してフィルタにかけ、ジイソプロピルエーテル-ヘキサン(1:1、v/v)で希釈した。沈殿した固体を遠心分離し、上清溶液をデカントした。残りの固体をEtOで3回洗浄し、高真空下で乾燥させた。
【0112】
未精製のペプチドをDMSOに溶解して5mMの最終濃度とし、10当量のTEAを添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。
【0113】
未精製の物質を、XSelect C18 5μm 19mm×150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製した。生成物を、水中0.1% TFA(移動相A)およびMeCN中0.1% TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~17%のB、8分間にわたって17~22%のB、次いで1分間にわたって22~60%のBのプログラム勾配で溶出した。流速は17mL/分であり、カラム温度は40°Cであった。保持時間は9.06分であった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥によって乾燥させた。MS(ESI+m/z853.93[M+2H]2+
【0114】
実施例2 化合物50
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-His(Trt)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OHが含まれていた。
【0115】
自動合成器プログラムを図1bに示す。
【0116】
合成は、カップリング試薬としての3.2当量のFmoc-アミノ酸、3当量のHATUおよび6当量のDIEA;自動ペプチド合成装置用のSyro IでのFmoc脱保護のために、0.1M HOBtを含むDMF中5%ピペラジンを利用し、Sieber Amide樹脂で実施した。全ての位置で二重カップリングを使用した。
【0117】
N末端Fmoc-Phe-OHを脱保護した後、樹脂をDMFで洗浄し、次いで、DMF中3.2当量の2-クロロ酢酸、3当量のHCTUおよび6当量のDIEAを添加し、得られた混合物を20分間撹拌した。樹脂をDMFおよびDCMで連続的に洗浄し、次いで高真空下で乾燥させた。TFA-水-TIS-DODT混合物(92.5:2.5:2.5:2.5、v/v/v/v)を添加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。溶液を使い捨てフィルターカラムを通してフィルタにかけ、EtO-ヘキサン(1:1、v/v)で希釈した。沈殿した固体を遠心分離し、上清溶液をデカントし、得られた固体をEtOで3回洗浄し、高真空下で乾燥させた。
【0118】
未精製のペプチドをDMSO-50% IPA水溶液(10:1、v/v)に溶解して最終濃度を5mMとし、5当量のTEAを添加した。混合物を室温で18時間撹拌した。
【0119】
未精製の物質を、XBridge C18 5μm 50mm×150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製した。生成物を、水中0.1% TFA(移動相A)およびMeCN中0.1% TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~26%のB、8分間にわたって26~31%のB、次いで1分間にわたって31~60%のBのプログラム勾配を用いて溶出した。流量は120mL/分であった。保持時間は13.83分であり、カラム温度は40°Cであった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥によって乾燥させた。MS(ESI+)m/z1007.54[M+2H]2+
【0120】
実施例3-化合物1
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-His(Trt)-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-MePhe-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Val-OH;Fmoc-Phe-OHが含まれていた。
【0121】
自動合成器プログラムを図2aに示す。
【0122】
未精製の物質をKinetex EVO C18 21.2mm×150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製し、水中0.1% TFA(移動相A)およびMeCN中0.1% TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~15%のB、8分間にわたって15~20%のB、次いで1分間にわたって20~60%のBのプログラム勾配で溶出した。流量は21mL/分であった。保持時間は13.83分であり、カラム温度は40°Cであった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥した。MS(ESI+)m/z840.31[M+2H]2++
【0123】
実施例4-化合物55
Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OH;Fmoc-H3Me-OHが含まれていた。
【0124】
自動合成器プログラムを図2baに示す。
【0125】
未精製の物質を、XBridge C18 5μm 30mmx150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製し、水中0.1% TFA(移動相A)およびMeCN中0.1% TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~21%のB、8分間にわたって21~26%のB、次いで1分間にわたって26~60%のBのプログラム勾配で溶出した。流量は45mL/分であった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥によって乾燥させた。MS(ESI+)m/z1022.57[M+2H]2+
【0126】
実施例5-化合物61
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;Fmoc-Trp(Boc)-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-Ser(tBu)-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OH;Fmoc-H3Me-OHが含まれていた。
【0127】
自動合成器プログラムを図3aに示す。
【0128】
未精製の物質を、XBridge C18 5μm 19mm×150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製し、水中0.1% TFA(移動相A)およびMeCN中0.1%TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~21%のB、8分間にわたって21~26%のB、次いで1分間にわたって26~60%のBのプログラム勾配で溶出した。流量は45mL/分であった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥した。MS(ESI+)m/z988.07[M+2H]2+
【0129】
実実施例6-化合物58
合成に使用したFmocアミノ酸には、Fmoc-Gly-OH;Fmoc-Cys(Trt)-OH;Fmoc-Tyr(tBu)-OH;Fmoc-F4C-OH;Fmoc-Lys(Boc)-OH;Fmoc-Phe-OH;Fmoc-Aib-OH;Fmoc-Arg(Pbf)-OH;Fmoc-Ile-OH;Fmoc-Thr(tBu)-OH;Fmoc-H3Me-OHが含まれていた。
【0130】
自動合成器プログラムを図3bに示す。
【0131】
未精製の物質を、XBridge C18 5μm 30mm×150mmカラムを用いた逆相HPLCによって精製し、水中0.1%TFA(移動相A)およびMeCN中0.1%TFA(移動相B)で、3分間にわたって5~24%のB、8分間にわたって24~29%のB、次いで1分間にわたって29~60%のBのプログラム勾配で溶出した。流量は45mL/分であった。所望の生成物を含有する画分を合わせ、凍結乾燥した。MS(ESI+)m/z1034.23[M+2H]2+
【0132】
生物学的アッセイ
最小発育阻止濃度(MIC)の測定
LBブロス中のペプチドを丸底96ウェルアッセイプレート(Corning Life Sciences No3788)中で0.1mlの最終容量まで二倍段階希釈することによって、MICを決定した。ペプチドを最初に100% DMSOで10mMに再懸濁し、続いてLB培地で適切な濃度に希釈した。各ウェルに5×10CFU/mlのスクリーニング染色液を接種し、撹拌せずに37℃で18時間インキュベートした。プレートを目で採点し、目に見える成長を妨げる最も低い化合物濃度をMICと判定した。
【表3】
【0133】
本開示の好ましい実施形態を本明細書に示し、説明してきたが、このような実施形態は例として提供されているに過ぎないことは当業者には明らかであろう。ここで、当業者は、多数の変化形、変更および置換を本発明から逸脱することなく想定するであろう。本明細書に記載されている実施形態に対する様々な代替形態が、本発明を実施する際に使用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、特許請求の範囲内の方法および構造、ならびにそれらの等価物を包含することが意図される。
【0134】
本明細書で言及される特許、公開出願、および科学文献は、当業者の知識を確立し、それぞれが具体的かつ個別であるかのように、同程度までそれら全体が参照により、本明細書に組み込まれている。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
【国際調査報告】