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特表2024-522998エンブレム付きエアバッグカバーのティアシーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】エンブレム付きエアバッグカバーのティアシーム
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2165 20110101AFI20240618BHJP
   B60R 21/203 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B60R21/2165
B60R21/203
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574594
(86)(22)【出願日】2022-06-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022032411
(87)【国際公開番号】W WO2022261032
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】17/341,097
(32)【優先日】2021-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】イバラ,ジェイソン マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハットフィールド,マーク エス.
(72)【発明者】
【氏名】ソーダークイスト,クイン
(72)【発明者】
【氏名】ピヤシェク,ケン
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,ジェニファー マリー
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA02
3D054AA07
3D054AA13
3D054BB02
3D054FF04
3D054FF16
(57)【要約】
【解決手段】 特にエンブレムを収容するように構成された弱化した部分を有するように設計されたエアバッグカバー及び関連するエアバッグモジュール。いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、エンブレムと、ティアシーム又は別の弱化した部分であって、ティアシームの展開及び破断後に、エアバッグカバーが、第1及び第2のエアバッグカバー片を形成するように構成されているように、非対称な分割を生じさせるために、エンブレムを通って延在しており、かつ/又はエンブレムに隣接しており、エンブレムのより多くの数及び/又は重量が、第2のエアバッグカバー片よりも第1のエアバッグカバー片上にある、ティアシーム又は別の弱化した部分と、を備え得る。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグカバー[110]と、前記エアバッグカバー[110]に結合された複数のエンブレム片[120a、120b、120c]とを備える運転者用エアバッグモジュール[100]であって、前記運転者用エアバッグモジュール[100]は、
ティアシーム[130]を備え、前記ティアシーム[130]は、前記ティアシーム[130]の展開及び破断後に、前記エアバッグカバー[110]が、第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]を形成するように構成されているように、非対称な分割を生じさせるために、前記エアバッグカバー[110]を横切って、かつ前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]を通って延在しており、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のより大きい部分が、前記第2のエアバッグカバー片[110b]よりも前記第1のエアバッグカバー片[110a]上にあることを特徴とする、運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項2】
前記ティアシーム[130]は、前記エアバッグカバー[110]の上側領域から前記エアバッグカバー[110]の下側領域まで延在する垂直線[132]を備える、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項3】
前記ティアシーム[130]は、I字形状を形成するように、前記垂直線[132]の上側部分から反対方向に延在する上側水平線[136]と、前記垂直線[132]の下側部分から反対方向に延在する下側水平線[134]と、を更に備える、請求項2に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項4】
前記上側水平線[136]及び前記下側水平線[134]は、前記エアバッグカバー[110]の中心に向かって凹面を画定するように湾曲している、請求項3に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項5】
前記エアバッグカバー[110]は、前記ティアシーム[130]の展開及び破断後に、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のより大きい重量が、前記第2のエアバッグカバー片よりも前記第1のエアバッグカバー片上にあるように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の運転席用エアバッグモジュール[100]。
【請求項6】
前記エアバッグカバーは、前記ティアシームの展開及び破断後に、前記複数のエンブレム片のより多くの数が、前記第2のエアバッグカバー片[110b]よりも前記第1のエアバッグカバー片[110a]上にあるように構成されている、請求項1に記載の運転席用エアバッグモジュール。
【請求項7】
前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]が奇数個のエンブレム片を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項8】
前記エアバッグカバー[110]の第1の横方向側部上の、上側水平セクション[136]と下側水平セクション[134]との間に延在する第1のヒンジ[115a]を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項9】
前記第1の横方向側部とは反対側の前記エアバッグカバー[110]の第2の横方向側部上の、前記上側水平セクション[136]と前記下側水平セクション[134]との間に延在する第2のヒンジ[115b]を更に備え、展開後に、前記エアバッグカバー[110]は、前記第1及び第2のヒンジ[115a、115b]から延在する第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]を形成するように構成されている、請求項8に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項10】
前記上側水平セクション[136]及び前記下側水平セクション[134]は、湾曲した線を含む、請求項8又は9に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項11】
前記上側水平セクション[136]及び前記下側水平セクション[134]を画定する線は、前記エアバッグカバー[110]の中心に向かう凹面を画定する、請求項8~10のいずれか一項に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項12】
前記ティアシーム[130]は、前記エアバッグカバー[110]の上側領域から前記エアバッグカバー[110]の下側領域まで延在する垂直線[132]を備え、前記垂直線[132]は、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のうちの少なくとも1つのエンブレム片に関連付けられた窪みと少なくとも部分的に整列する線で形成されたティアシームを備える、請求項1~11のいずれか一項に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項13】
前記ティアシーム[130]は、第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]が不均一な重量を備えるように、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]を通って延在する、請求項1~12のいずれか一項に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0001】
本明細書で開示されるのは、関連するエアバッグモジュールと共に、ティアシーム又は他の弱化した部分を有するエンブレムを備えたエアバッグカバーの様々な実施形態である。いくつかの実施形態では、ティアシームは、エンブレムを収容するように特別に設計されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、弱化した部分の少なくとも一部分は、展開後にエンブレム片がカバーの一方の側に他方の側より多くあるように複数の片を有するエンブレムを通して、あるいはカバーが分割されて分割されたカバーの一方の側のエンブレムを完全に包囲するようにエンブレムの周囲に非対称に延在してもよい。
【0002】
いくつかの実施形態による運転者用エアバッグモジュールのより具体的な例では、モジュールは、複数のエンブレム片が結合されたエアバッグカバーを備えてもよい。ティアシーム又は別の弱化した部分は、ティアシームの展開及び破断後に、エアバッグカバーが、第1及び第2のエアバッグカバー片を形成するように構成されているように、非対称な分割を生じさせるために、エアバッグカバーを横切って、かつ複数のエンブレム片を通って延在し得、複数のエンブレム片のより大きい部分が、第2のエアバッグカバー片よりも第1のエアバッグカバー片上にある。
【0003】
いくつかの実施形態では、ティアシームは、エアバッグカバーの上側領域からエアバッグカバーの下側領域まで延在する垂直線を備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、ティアシームは、I字形状を形成するように、垂直線の上側部分から反対方向に延在する上側水平線と、垂直線の下側部分から反対方向に延在する下側水平線と、を更に備えもよい。いくつかのそのような実施形態では、上側水平線及び下側水平線は、エアバッグカバーの中心に向かって凹面を画定するように湾曲していてもよい。
【0004】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、ティアシームの展開及び破断後に、複数のエンブレム片のより大きな重量が、第2のエアバッグカバー片よりも第1のエアバッグカバー片にかかるように構成されてもよい。それに代わって、ティアシームは、エンブレム及び/又はエアバッグカバー片の表面積が変化し得るように、またエアバッグカバー片の重量が同一又は少なくとも実質的に同一になり得るように形成されてもよい。
【0005】
いくつかの実施形態では、エアバッグカバーは、ティアシームの展開及び破断後に、複数のエンブレム片のより多くの数が、第2のエアバッグカバー片よりも第1のエアバッグカバー片にあるように構成されてもよい。したがって、複数のエンブレム片は、特定の実施形態において、奇数個のエンブレム片を含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態によるエアバッグアセンブリの別の例では、アセンブリは、膨張可能なクッションをその中に収容し得るエアバッグカバーを備えてもよい。エンブレムがエアバッグカバーに結合されてもよく、このエンブレムは、単一のエンブレム片を含んでも、複数の個々のエンブレム片を含んでもよい。カバーは、エアバッグカバーの上側領域からエアバッグカバーの下側領域まで延在し、エンブレムの輪郭の少なくとも一部分に追従するようにエンブレムに直接隣接する垂直セクションを備え得る、ティアシーム等の弱化した部分を備えてもよい。弱化した部分は、上側領域に沿って垂直セクションの対向する側部の間に延在する上側水平セクションと、下側領域に沿って垂直セクションの対向する側部の間に延在する下側水平セクションと、を更に備えてもよい。第1のヒンジは、エアバッグカバーの第1の横方向側部上で上側水平セクションと下側水平セクションとの間に延在してもよい。同様に、第2のヒンジは、第1の横方向側部の反対側のエアバッグカバーの第2の横方向側部上で上側水平セクションと下側水平セクションとの間に延在してもよい。カバーは、弱化した部分の展開及び破断後に、エアバッグカバーが、第1及び第2のヒンジから延在する第1及び第2のエアバッグカバー片を形成するように構成されるように構成されてもよい。
【0007】
いくつかの実施形態では、弱化した部分は、複数のエンブレム片を通して非対称に、例えば、重量の観点、面積の観点、又はエンブレム片の個数の観点から非対称に延在する。いくつかの実施形態では、エンブレムは奇数個のエンブレム片を含んでもよい。いくつかのそのような実施形態では、弱化した部分は、奇数個のエンブレム片が第1及び第2のエアバッグカバー片上にあるように、エンブレムを通して延在し得る。いくつかの実施形態では、弱化した部分は、第1及び第2のエアバッグカバー片がエンブレムに起因する不均一な重量を備えるように、エンブレムを通して延在してもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、上側水平セクション及び下側水平セクションは、曲線又は他の点では非直線である線を備え得る。例えば、いくつかの実施形態では、上側水平セクション及び下側水平セクションを画定する線は、エアバッグカバーの中心に向かう凹面を画定してもよい。
【0009】
いくつかの実施形態では、垂直セクションは、エンブレムの少なくとも1つのエンブレム片に関連付けられた窪みと少なくとも部分的に整列された線に形成されたティアシームを備えてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態による運転者用エアバッグモジュールの別の例では、モジュールは、エアバッグカバーと、エアバッグカバーに結合された複数のエンブレム片と、を備えてもよい。複数のエンブレム片は、奇数個のエンブレム片を含んでもよい。ティアシームは、ティアシームの展開及び破断後に、エアバッグカバーが、少なくとも第1及び第2のエアバッグカバー片を形成するように構成されているように、非対称な分割を生じさせるために、エアバッグカバーを横切って、かつ複数のエンブレム片を通って延在し得る。いくつかの実施形態では、複数のエンブレム片のより多くの数が、第2のエアバッグカバー片よりも第1のエアバッグカバー片上にあってもよい。いくつかの実施形態では、ティアシームは、「I字形状」を画定してもよく、これは、エアバッグカバーの上側領域からエアバッグカバーの下側領域まで延在し、複数のエンブレム片のうちの少なくとも1つの輪郭の少なくとも一部分に追従するように、複数のエンブレム片のうちの少なくとも1つに直接隣接する垂直線と、上側領域に沿って垂直セクションの対向する側部の間に延在する上側水平線と、下側領域に沿って垂直セクションの対向する側部の間に延在する下側水平線と、を備え得る。第1のヒンジは、エアバッグカバーの第1の横方向側部上の上側水平線と下側水平線との間に延在してもよく、第2のヒンジは、第1の横方向側部の反対側のエアバッグカバーの第2の横方向側部上の上側水平線と下側水平線との間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、弱化した部分の展開及び破裂後に、エアバッグカバーは、第1及び第2のヒンジから延在する第1及び第2のエアバッグカバー片を形成するように構成されてもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、垂直線は、複数のエンブレム片のうちの少なくとも1つに関連付けられた窪みの一部分と整列されてもよい。
【0012】
いくつかの実施形態は、第3のヒンジを更に備えてもよく、かつ/又は第3のエアバッグカバー片を形成するように構成されてもよい。いくつかのそのような実施形態では、第3のエアバッグカバー片を形成するために、上側水平セクションから延在する線などの追加のティアシームセクションが形成されてもよい。
【0013】
いくつかの実施形態では、上側水平線及び下側水平線は、エアバッグカバーの中心に向かって凹面を画定するように湾曲していてもよい。
【0014】
一実施形態に関連して本明細書に開示される特徴、構造、工程、又は特性は、1つ以上の代替実施形態において任意の好適な方法で組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面を参照して、本開示の様々な実施形態を含む、本開示の非限定的かつ非網羅的な実施形態が記載される。
図1A図1Aは、いくつかの実施形態による運転者用エアバッグモジュールの上面図である。
図1B図1Bは、図1Aの運転者用エアバッグモジュールの下面図である。
図2A図2Aは、ティアシームの中央部分及び上側部分を示す運転者用エアバッグモジュールの第1の斜視図である。
図2B図2Bは、ティアシームの中央部分及び下側部分を示す運転者用エアバッグモジュールの第2の斜視図である。
図3図3は、エンブレムに沿った運転者用エアバッグモジュールの断面図である。
図4図4は、展開後の運転者用エアバッグモジュールを備えた車両のステアリングホイールを示す。
図5図5は、別の実施形態による運転者用エアバッグモジュールの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の様々な実施形態と一致する装置、システム、及び方法の詳細な説明を以下に提供する。いくつかの実施形態について説明するが、本開示は、開示される特定の実施形態のいずれかに限定されるものではなく、代わりに多数の代替形態、修正形態、及び均等物を包含することを理解されたい。加えて、本明細書に開示される実施形態の完全な理解を提供するために、以下の説明において多数の具体的な詳細が記載されているが、いくつかの実施形態は、これらの詳細の一部又は全てを伴わずに実施することができる。更に、明確にする目的で、本開示を不必要に不明瞭にすることを回避するために、関連技術分野において既知の特定の技術資料について詳細に説明していない。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「実質的に」は、示されるように機能する動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全若しくはほぼ完全な程度又は度合いを指す。例えば、「実質的に」円筒形又は「実質的に」垂直である物体は、物体/特徴が、同じ又はほぼ同じ機能をもたらすように、円筒形/垂直又はほぼ円筒形/垂直のいずれかであることを意味する。この用語によって提供される正確な許容される偏差の程度は、特定の文脈に依存し得る。「実質的に」の使用は、動作、特性、属性、状態、構造、項目、若しくは結果の完全な又はほぼ完全な欠如を指すために、負の含意で使用される場合に等しく適用可能である。例えば、底部を「実質的に含まない」構造は、底部を完全に欠いている、又はその効果が底部を完全に欠いていた場合と実質上同じであるように、底部をほぼ完全に欠いているかのいずれかである。
【0018】
同様に、本明細書で使用するとき、用語「約」は、所与の値が、範囲に関連付けられた機能を依然として達成しながら、端点の「わずか上」又は「わずか下」であり得ることを提供することによって、数値範囲の端点に柔軟性を提供するために使用される。
【0019】
本開示の実施形態は、図面を参照することによって最もよく理解することができ、同様の部分は、同様の数字によって指定される場合がある。開示される実施形態の構成要素は、本明細書の図面に概ね記載及び例示されるように、多種多様な異なる構成で配置及び設計され得ることが容易に理解されるであろう。したがって、本開示の装置及び方法の実施形態の以下の詳細な説明は、特許請求されるように、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本開示の可能な実施形態を表すものである。加えて、特に指定しない限り、方法の工程は、必ずしも、任意の特定の順序で実行される必要はなく、又は更には連続的に実行される必要はなく、また工程は1回のみ実行される必要もない。特定の好ましい実施形態及び実装形態に関する更なる詳細は、ここで添付図面を参照してより詳細に説明される。
【0020】
図1Aは、いくつかの実施形態による運転者用エアバッグモジュール100を示す。エアバッグモジュール100は、エアバッグクッション(図示せず)が収容されたエアバッグカバー110を備える。エアバッグカバー110は、複数のエンブレム片120a、120b、及び120cを含むエンブレム120を備える。カバー110は、その中に収容されたエアバッグクッションの展開時に、対向するヒンジ部分115a及び115bを枢動させることによって開放されるように構成される。ヒンジ部分115a及び115bは、少なくとも部分的に、弱化した部分によって画定され、弱化した部分は、好ましい実施形態では、ティアシーム130を備える。
【0021】
ティアシーム130は、所望の位置におけるエアバッグカバー110の開放を容易にしてエアバッグの所望の展開をもたらすものであり、エアバッグカバー110の上側領域からエアバッグカバー110の下側領域まで延在する垂直セクション132を含む。また、垂直セクション132は、エンブレム120の少なくとも一部分に追従して直接隣接して延在するように形成されている。好ましい実施形態において、ティアシーム130は、図1Aに示されるように、エンブレム120の輪郭122の少なくとも一部分に追従する。
【0022】
また、図1Aに示されるように、ティアシーム130の垂直セクション132は、エンブレム120の上下に直線的に延在するが、エンブレム120のエンブレム片120bの輪郭を一方の側で囲んで延在するように、その直線から離れて突出する。これは、いくつかの理由で有用であり得る。例えば、エンブレム片120bの輪郭に沿ってティアシームセクション132が延在する場合のように、カバー110に既に存在する溝又は窪みに沿ってティアシームを延在させることにより、ティアシームによって引き起こされるリードスルーを隠蔽することが可能となり得る。
【0023】
また、図1Aでは、ティアシームセクション132が、エンブレム120を集合的に画定する複数のエンブレム片120a/120b/120cを通って非対称的に延在することが分かる。より具体的には、ティアシーム部分132は、2つのエンブレム片、すなわち、エンブレム片120a及び120bが展開後にエアバッグカバー110の一方の片又は「フラップ」と関連付けられ、他方のエンブレム片120cがエアバッグカバー110の他方/反対側の片/フラップと関連付けられるように、エンブレム120を通って延在する。これはまた、特定の用途に対して利点を有し得る。
【0024】
例えば、展開中に2つの間の干渉を回避するために第2の側に隙間が設けられるように、カバーの一方の側が他方の側よりもわずかに先に開放されることが好ましい場合がある。しかしながら、いくつかの実施形態では、ティアシーム又は他の弱化した部分によって画定される2つ(又はそれ以上)のセクション間の重量を等しくするか、あるいは少なくとも実質的に等しくする一方で、依然としてティアシームの少なくとも一部分を、エンブレムを通して非対称に延在させることが好ましい場合がある。これは、例えば、エンブレム片が少ない側でエンブレムに重量を加えること、又はエアバッグカバーのこの側に別様に重量を加えることによって達成され得る。それに代わって、ティアシームは、例えば、エンブレムを非対称に分割するティアシームを、エンブレムのより小さい個数/部分を有するセクション/部分が表面積のより大きい部分を有する方式で、場合によっては側部/部分間の重量の食い違いを等しくするかあるいは少なくとも低減する方式で延在させることによって、カバーの各側部/部分上の重量を等しくするかあるいは少なくとも実質的に等しくするように形成されてもよい。
【0025】
図1Aにも示されるように、ティアシーム130は、垂直セクション132の下側端部から反対方向に延在する下側水平部分134と、垂直セクション132の上側端部から反対方向に延在する上側水平セクション136と、を更に備える。したがって、上側水平セクション136及び下側水平セクション134が、エアバッグカバー110の中心に向かって凹面を形成するように湾曲した線を含むという事実にもかかわらず、集合的に、ティアシーム130は「I」字形状を画定する。
【0026】
ティアシーム132の上側水平セクション136は、垂直ティアシーム130とカバー110の両側の水平セクション138の終端部との間の中央領域から延在する対向セクション138a及び136bを更に備える。セクション138a及び138bは、最初にカバー110の上部に向かって斜め上方向に延在し、次いでカバー110の上側縁部に隣接して互いに向かって直線を形成する。
【0027】
セクション138a及び138bは、FMVSS 208状態などのOOP状態にある乗員との望ましくないクッション相互作用を軽減することを容易にするように構成され得る。これらのセクションは、出現するクッション(乗員によって部分的にブロックされる場合)が、ステアリングホイールリムの後ろに進み、乗員に加えられる力の一部を制限するために、12時の位置に向かうリリーフ経路を発見することを可能にし得る。
【0028】
セクション138a及び138bはまた、いくつかの実施形態では、展開中にカバーが開放され、開口部の周囲に外向きに開口効果を分散させる丸い/円形の運転者用エアバッグ設計でより一般的である「オイル缶」効果を緩和するのに有用であり得る。セクション138a及び138bは、カバーが伸張する代わりに屈曲するための周囲からの逃げを提供するために使用されてもよい。
【0029】
セクション138a及び138bは、文字「J」の形状に形成されて示されているが、この形状は、12時の位置に相当な曲率を有するカバーに関連して最も有用であり得る。しかしながら、カバーがより平坦である他の実施形態が、図2Aに最もよく示されるJ字形のフック部分を必要とすることなく、直線状のティア経路を備え得ることが企図される。加えて、いくつかの実施形態では、ブリッジの幅が調整されてもよく、カバー内のドアの幅及び/若しくは深さが調整されてもよく、かつ/又はティアシームストップ及び/又はリブが提供されてもよい。
【0030】
図1Bは、カバー110の内側表面を示す。ティアシーム130の垂直セクション132は、エンブレム120を通って延在するように示されている。個々のエンブレム片はこの図では区別されていないが、ティアシーム130が非対称的な様式でエンブレム120内に延在していることが認められ得る。
【0031】
図2A及び図2Bは、それぞれティアシーム130の上側及び下側部分を示す傾斜した斜視図である。図2Aは更に、ティアシーム138の部分138a及び130bが、ステアリングホイールの中央部分の外部表面を画定するカバー110の比較的平坦な部分に沿ってではなく、カバー110の側壁まで延在することを示す。これは、以下の図4に関連して示され説明されるように、展開中にカバー110の上部部分が旋回して離れることを可能にし得る。
【0032】
図3の断面図は、エンブレム120の輪郭122の一部分とティアシーム130の一部分、すなわち、好ましい実施形態における輪郭130の垂直部分132との位置合わせをより良く示している。この図に示されるように、輪郭130は、エンブレム片120bの縁部によって作成され得る。図3は更に、ティアシーム130の形状を示す。図に示されるように、好ましい実施形態では、ティアシーム130は、「V」の形状のシームを備えてもよく、いくつかの実施形態では、例えば、約30度~約60度の角度を規定してもよい。いくつかの実施形態では、ティアシーム130は、約0.4~約0.8mmの厚さ(V字の底部から、カバーを開放するためにカバー材料が引き裂かれる必要がある最も近いクラスAの外側露出面までと定義される)を備えてもよい。
【0033】
図4は、ステアリングホイール105からの展開後のエアバッグモジュール100を示す。カバー110から展開された後のエアバッグクッション102が想像線で示されている。図示のように、カバー110の弱化した部分の展開及び破断により、第1及び第2のヒンジ115a及び115bからそれぞれ第1及び第2のエアバッグカバー片110a及び110bが形成される。これらは展開後に形成される主要部品であるが、上側ヒンジ115cから延在し、少なくとも部分的にティアシーム130のセクション138a及び138bによって形成される上側部品110cもある。
【0034】
エアバッグモジュール200の別の実施形態が図5に示されている。エアバッグモジュール200は、ここでもエンブレム220を備えるカバー210を備える。しかしながら、カバー110のエンブレム120とは異なり、カバー210は単一のエンブレム片のみを含む。カバー210は、その中に収容されたエアバッグクッションの展開時に、対向するヒンジ部分215a及び215bを枢動させることによって開放されるように構成される。ヒンジ部分215a及び215bは、少なくとも部分的に、弱化した部分によって画定され、弱化した部分は、好ましい実施形態では、ティアシームを備える。
【0035】
図5のティアシームは、エアバッグカバー210の上側領域からエアバッグカバー210の下側領域まで延在する垂直セクション232を含む。また、垂直セクション232は、エンブレム220の少なくとも一部分に追従して直接隣接して延在するように形成されている。図示の実施形態において、ティアシーム230は、図5に示されるように、エンブレム220の輪郭の少なくとも一部分に追従する。
【0036】
また、図5に示されるように、ティアシーム230の垂直セクション232は、エンブレム220の上下に直線的に延在するが、エンブレム220の輪郭を一方の側で囲んで延在するように、その直線から離れて突出する。したがって、ティアシームセクション232は、エンブレム220を画定する単一のエンブレム片に沿って非対称に延在する。
【0037】
カバー110のティアシームと同様に、カバー210のティアシームは、垂直セクション232の下側端部から反対方向に延在する下側水平セクション234と、垂直セクション232の上側端部から反対方向に延びる上側水平セクション236と、を更に備える。したがって、上側水平セクション236及び下側水平セクション234が、エアバッグカバー210の中心に向かって凹面を形成するように湾曲した線を含むという事実にもかかわらず、集合的に、ティアシーム230は「I」字形状を画定する。
【0038】
複数のエンブレム片を有する図示の実施形態は、隣接する片の間の境界に沿って延在するティアシームを有するエンブレム片で構成されているが、様々な代替的な実施形態が企図されることも理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、複数のエンブレム片は、展開時にエンブレムを突き破るように構成されているか否かにかかわらず、その下に延在するティアシームを用いて互いに積み重ねられて位置付けられてもよい。別の例として、いくつかの実施形態では、複数のエンブレム片が事前に組み立てられ、次いで、いくつかのそのような実施形態では、展開後にエンブレム片間の不均一な分割を可能にするように、ティアシームがエンブレムの下にある状態でカバーに挿入されてもよい。
【0039】
前述の明細書は、様々な実施形態及び実装形態を参照して説明されている。しかしながら、当業者であれば、本開示の範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解するであろう。例えば、様々な動作工程、並びに動作工程を実行するための構成要素は、特定の用途に応じて、又はシステムの動作に関連付けられた任意の数の費用関数を考慮して、様々な方法で実装されてもよい。したがって、工程のうちの任意の1つ以上は、削除、修正、又は他の工程と組み合わせることができる。更に、本開示は、限定的な意味ではなく例示的なものと見なされるべきであり、そのような全ての修正は、本開示の範囲内に含まれることが意図される。同様に、様々な実施形態に関して、利益、他の利点、及び問題に対する解決策が上述されてきた。しかしながら、利益、利点、問題に対する解決策、及び任意の利益、利点、若しくは解決策を生じさせる、又はより顕著にさせることができる任意の要素は、重要な、必要な、若しくは必須の特徴又は要素として解釈されるべきではない。
【0040】
当業者は、本発明の基本原理から逸脱することなく、上述の実施形態の詳細に多くの変更を行うことができることを理解するであろう。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアバッグカバー[110]と、前記エアバッグカバー[110]に結合された複数のエンブレム片[120a、120b、120c]とを備える運転者用エアバッグモジュール[100]であって、前記運転者用エアバッグモジュール[100]は、
ティアシーム[130]を備え、前記ティアシーム[130]は、前記ティアシーム[130]の展開及び破断後に、前記エアバッグカバー[110]が、第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]を形成するように構成されているように、非対称な分割を生じさせるために、前記エアバッグカバー[110]を横切って、かつ前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]を通って延在しており、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のより大きい部分が、前記第2のエアバッグカバー片[110b]よりも前記第1のエアバッグカバー片[110a]上にあることを特徴とする、運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項2】
前記ティアシーム[130]は、前記エアバッグカバー[110]の上側領域から前記エアバッグカバー[110]の下側領域まで延在する垂直線[132]を備える、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項3】
前記ティアシーム[130]は、I字形状を形成するように、前記垂直線[132]の上側部分から反対方向に延在する上側水平線[136]と、前記垂直線[132]の下側部分から反対方向に延在する下側水平線[134]と、を更に備える、請求項2に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項4】
前記上側水平線[136]及び前記下側水平線[134]は、前記エアバッグカバー[110]の中心に向かって凹面を画定するように湾曲している、請求項3に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項5】
前記エアバッグカバー[110]は、前記ティアシーム[130]の展開及び破断後に、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のより大きい重量が、前記第2のエアバッグカバー片よりも前記第1のエアバッグカバー片上にあるように構成されている、請求項1に記載の運転席用エアバッグモジュール[100]。
【請求項6】
前記エアバッグカバーは、前記ティアシームの展開及び破断後に、前記複数のエンブレム片のより多くの数が、前記第2のエアバッグカバー片[110b]よりも前記第1のエアバッグカバー片[110a]上にあるように構成されている、請求項1に記載の運転席用エアバッグモジュール。
【請求項7】
前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]が奇数個のエンブレム片を含む、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項8】
前記エアバッグカバー[110]の第1の横方向側部上の、上側水平セクション[136]と下側水平セクション[134]との間に延在する第1のヒンジ[115a]を更に備える、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項9】
前記第1の横方向側部とは反対側の前記エアバッグカバー[110]の第2の横方向側部上の、前記上側水平セクション[136]と前記下側水平セクション[134]との間に延在する第2のヒンジ[115b]を更に備え、展開後に、前記エアバッグカバー[110]は、前記第1及び第2のヒンジ[115a、115b]から延在する第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]を形成するように構成されている、請求項8に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項10】
前記上側水平セクション[136]及び前記下側水平セクション[134]は、湾曲した線を含む、請求項8に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項11】
前記上側水平セクション[136]及び前記下側水平セクション[134]を画定する線は、前記エアバッグカバー[110]の中心に向かう凹面を画定する、請求項8に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項12】
前記ティアシーム[130]は、前記エアバッグカバー[110]の上側領域から前記エアバッグカバー[110]の下側領域まで延在する垂直線[132]を備え、前記垂直線[132]は、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]のうちの少なくとも1つのエンブレム片に関連付けられた窪みと少なくとも部分的に整列する線で形成されたティアシームを備える、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【請求項13】
前記ティアシーム[130]は、第1及び第2のエアバッグカバー片[110a、110b]が不均一な重量を備えるように、前記複数のエンブレム片[120a、120b、120c]を通って延在する、請求項1に記載の運転者用エアバッグモジュール[100]。
【国際調査報告】