(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】展開支援ラッパーを備えた前面エアバッグシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 21/201 20110101AFI20240618BHJP
【FI】
B60R21/201
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574596
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022031751
(87)【国際公開番号】W WO2022260901
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598122843
【氏名又は名称】オートリブ エー・エス・ピー・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】ヤネイ,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘイデンス,ドン
(72)【発明者】
【氏名】オルソン,マーク
(72)【発明者】
【氏名】フィッシャー,アンドリュー
【テーマコード(参考)】
3D054
【Fターム(参考)】
3D054AA03
3D054AA07
3D054AA14
3D054BB16
(57)【要約】
【解決手段】 膨張可能なエアバッグシステム(100)が開示され、膨張可能なエアバッグシステムは、膨張するエアバッグクッション(128)が膨張可能なエアバッグシステムのハウジング(112)から飛び出すのを容易にするラッパー(130)とともに構成されている。膨張可能なエアバッグシステムは、車両(10)の乗員(50)の前方に装着され得、膨張可能なエアバッグシステムは、1つ以上のパネルドア(122、124)の後ろに配設され、パネルドアは各々、パネルドアを脱離させずにパネルドアを開口するのを容易にするために、ヒンジ(118、120)を備える。ラッパーは、各パネルドアの各ヒンジを覆うようにランプ部(186、188)を形成し、それによって、膨張するエアバッグクッションがヒンジに係合することが防止されるように分離されるように構成されているが、そうでない場合、そのような係合は、膨張するエアバッグクッションの膨張速度又は軌道に悪影響を及ぼし得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能なエアバッグアセンブリであって、
車両の構造体に固定されるハウジングと、
前記ハウジング内に配設され、かつ一対のパネルドアを通して展開するように構成された膨張可能なエアバッグクッションと、
展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッションに膨張ガスを提供するように構成されたインフレータと、
第1の端部と、第2の端部と、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配設され、かつ2つ以上の層を備える補強部分と、を備えるラッパーであって、未展開構成において前記膨張可能なエアバッグクッションの周りを少なくとも部分的に包む、ラッパーと、を備え、
前記ラッパーが、前記展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッションを放出するように構成されており、前記膨張可能なエアバッグクッションが展開している間に、前記補強部分が、前記パネルドアのうちの1つのヒンジを覆って、前記膨張可能なエアバッグクッションが前記ヒンジと係合するのを制限するように構成されている、膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項2】
前記ラッパーの前記補強部分が、前記膨張可能なエアバッグクッションの展開中に、前記ヒンジの上にランプ部を作成して、前記膨張可能なエアバッグクッションが前記ラッパーに沿って摺動して、前記エアバッグクッションが前記ヒンジに直接係合するのを防止することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項3】
前記ランプ部は、展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッションが前記ヒンジに引っ掛かることを制限又は防止するように構成されている、請求項2に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項4】
前記ラッパーが、前記ラッパーにわたって第1の横縁部から第2の横縁部まで横方向に延在し、展開時に引き裂かれて、前記ラッパーを2つの部分に分離するように構成されている引き裂きシームを更に備える、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項5】
前記ラッパーの第1の部分が、前記パネルドアの第1のヒンジを覆い、前記ラッパーの第2の部分が、前記パネルドアの第2のヒンジを覆う、請求項4に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項6】
前記ラッパーが、前記インフレータの周りに係合して前記ラッパーを前記インフレータに固定する前記第1の端部から所定の距離に、インフレータアパーチャを備える、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項7】
前記ラッパーが、前記第2の端部から所定の距離に、第1の横縁部から第2の横縁部まで連続的に横方向に延在する、複数のスリットを更に備え、
前記スリットが、前記ハウジングの縁部に配設された複数の装着タブに結合するように構成されている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項8】
前記ラッパーの前記第2の端部の近くに配設された第2の端部分が、それ自体の上に折り返されて2つの層を作成し、
前記2つの層が、前記第1の横縁部から前記第2の横縁部まで横方向に延在する第2の端部分ステッチによって一緒に結合され、
前記複数のスリットが前記ステッチと前記第2の端部との間に配設された状態で、前記第2の端部分ステッチが、前記第2の端部から所定の距離に配設されている、請求項7に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項9】
前記補強部分は、前記ラッパーがそれ自体の上に2回折り返されて3つの層を作成した状態のz折り目を含む、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項10】
前記補強部分の前記3つの層が、第1の横縁部から第2の横縁部まで横方向に延在する補強部分ステッチによって一緒に結合され、
前記補強部分ステッチが、前記第1の端部から所定の距離に配設されている、請求項9に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項11】
前記補強部分が、前記補強部分の前記3つの層を一緒に結合するために、前記補強部分の第1の横縁部の近くに配設された第1の長手方向ステッチと、前記補強部分の第2の横縁部の近くに配設された第2の長手方向ステッチと、を備える、請求項9に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項12】
前記膨張可能なエアバッグアセンブリが、前記車両のインストルメントパネルを通して展開するように構成された、パッセンジャ側の膨張可能なエアバッグアセンブリである、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ。
【請求項13】
膨張可能なエアバッグのためのラッパーであって、
前記ラッパーの第1の端部に配設された第1の端部分と、
前記ラッパーの第2の端部に配設された第2の端部分と、
前記第1の部分と前記第2の部分との間に配設された補強部分であって、前記ラッパーがそれ自体の上に2回折り返されて前記補強部分に3つの層を作成した状態のz折り目を備える、補強部分と、を備え、
前記補強部分の前記3つの層が、第1の横縁部から第2の横縁部まで横方向に延在し、かつ展開を通して前記展開に耐えて前記z折り目を維持するように構成された固定ステッチである、補強部分ステッチによって一緒に結合される、ラッパー。
【請求項14】
前記補強部分が、前記補強部分の前記3つの層を一緒に結合するために、前記第1の横縁部の近くに配設された第1の長手方向ステッチと、前記第2の横縁部の近くに配設された第2の長手方向ステッチと、を備え、
前記第1の長手方向ステッチ及び前記第2の長手方向ステッチが、前記補強部分の長さだけ延在する、請求項13に記載のラッパー。
【請求項15】
前記第1の長手方向ステッチ及び前記第2の長手方向ステッチが、展開時に破断するように構成されているタックステッチである、請求項14に記載のラッパー。
【請求項16】
前記ラッパーが、前記補強部分にわたって前記第1の横縁部から前記第2の横縁部まで横方向に延在し、かつ前記膨張可能なエアバッグの展開時に引き裂かれて、前記ラッパーを2つの部分に分離するように構成されている、引き裂きシームを更に備える、請求項13に記載のラッパー。
【請求項17】
前記第1の部分に配設され、かつ前記インフレータの周りに係合して前記ラッパーを前記インフレータに固定するように構成されている、インフレータアパーチャを更に備える、請求項13に記載のラッパー。
【請求項18】
エアバッグハウジングの縁部に配設された複数のフックに取り付けるように構成されている、前記第2の端部から所定の距離に、前記第1の横縁部から前記第2の横縁部まで連続的に横方向に延在する、前記第2の端部分に配設された複数のスリットを更に備える、請求項13に記載のラッパー。
【請求項19】
前記第2の端部分が、それ自体の上に折り返されて2つの層を作成し、
前記2つの層が、前記第1の横縁部から前記第2の横縁部まで横方向に延在し、かつ展開に耐えるように構成されている第2の端部分ステッチによって一緒に結合されており、
前記複数のスリットが前記第2の端部分ステッチと前記第2の端部との間に配設された状態で、前記第2の端部分ステッチが、前記第2の端部から所定の距離に配設されている、請求項18に記載のラッパー。
【請求項20】
前記複数のスリットが、前記第2の端部分の前記2つの層の両方に画定されている、請求項19に記載のラッパー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、自動車保護システムの分野に関する。より具体的には、本開示は、衝突事象に応じて展開するように構成されている前面エアバッグシステムに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
膨張可能なエアバッグは、車両内に装着され、衝突事象中に展開し得る。展開されたエアバッグは、乗員に対する衝撃を和らげ、他の車両構造との有害な衝突を防止することができる。いくつかのエアバッグは、1つ以上の欠点を有するか、又は1つ以上の点で最適には機能し得ない。本明細書に開示される特定の実施形態は、これらの問題のうちの1つ以上に対処することができる。
【0003】
本実施形態は、添付の図面と併せて、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになる。添付の図面は、典型的な実施形態のみを描示し、したがって、本開示の範囲を限定すると考えられるべきでないことを考慮して、実施形態は、添付の図面を参照して、具体的かつ詳細に記載及び説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリがインストルメントパネル内に設置されている車両の内部の一部分の側面図である。
【
図2】
図2は、膨張可能なエアバッグアセンブリが設置されている、車両の内部の一部分及び
図1のインストルメントパネルの詳細側面図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の一実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリのためのラッパーの平面図である。
【
図3B】
図3Bは、組み立て中のラッパーの折り畳みを例解する、
図3Aの膨張可能なエアバッグアセンブリのラッパーの側面図である。
【
図3C】
図3Cは、折り畳まれた状態にあるラッパーを示す、
図3A~
図3Bの膨張可能なエアバッグアセンブリのラッパーの側面図である。
【
図3D】
図3Dは、折り畳まれたラッパーを例解する、
図3A~
図3Cの膨張可能なエアバッグアセンブリのラッパーの平面図である。
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による、部分的に組み立てられた状態にある膨張可能なエアバッグアセンブリの上面図である。
【
図5】
図5は、
図4に示される組み立ての後の組み立て段階にある
図4の膨張可能なエアバッグアセンブリの上面図である。
【
図6】
図6は、本開示の一実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリの膨張可能なエアバッグクッションが展開され、少なくとも部分的に膨張した状態の、車両の内部の一部分の側断面図である。
【
図7】
図7は、膨張可能なエアバッグクッションが展開して、少なくとも部分的に膨張した状態の、
図6の膨張可能なエアバッグアセンブリの一部分の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書に概して記載及び例解されている実施形態の構成要素は、多種多様な異なる構成において配置及び設計され得ることが容易に理解されよう。よって、図面で描かれるように、様々な実施形態の以下のより詳細な説明は、特許請求されている本開示の範囲を限定することは意図されておらず、単に様々な実施形態を示す。実施形態の様々な態様が図面に示されているが、図面は、具体的に示されない限り、必ずしも縮尺どおりに示されていない。
【0006】
膨張可能なエアバッグシステムは、衝突事象中に乗員の負傷を低減又は最小限にとどめるために広く使用されている。エアバッグモジュールは、車両内の様々な場所に設置されており、これらの場所としては、ハンドル内、ダッシュボード及び/又はインストルメントパネル内、サイドドア又はサイドシート内、車両のルーフレールに隣接して、頭上位置、又は膝若しくは脚位置が挙げられるが、これらに限定されない。以下の開示では、「エアバッグ」は、概して、例えば典型的にはダッシュボード内に収納されるパッセンジャエアバッグなどの、膨張可能なフロントエアバッグを指すが、考察される原理は、他のタイプのエアバッグ(例えば、ハンドル、ニーエアバッグ、及びサイドエアバッグ内に収納されるドライバエアバッグ)に適用され得る。
【0007】
フロントエアバッグは、多くの場合、車両のハンドル、ダッシュボード、又はインストルメントパネルに設置される。本明細書で使用する場合、「ダッシュボード」及び「インストルメントパネル」という用語は、自動車の乗員が面する車両の突出した領域を指し、これは多くの場合、パッセンジャが面するその部分にグローブボックスを含み、そのより中央の領域に機器(例えば、ラジオ及び/又は空調制御部)を含み得るが、そのような機器が存在する必要はない。
【0008】
設置時には、開示されたエアバッグは、典型的には、パッケージ化された状態で(例えば、巻かれた状態で、折り畳まれた状態で、及び/又は、別様に圧縮された状態で)、すなわち、コンパクトな構成で、ハウジングの内部に配設され、カバーの後ろにパッケージ化された状態で保持され得る。衝突事象中に、インフレータがトリガされ、これにより、エアバッグが膨張ガスで急速に充填される。エアバッグは、コンパクトな構成のパッケージ化された状態から、展開された構成の膨張状態へ急速に移行することができる。例えば、膨張するエアバッグは、エアバッグカバーを開放することにより(例えば、破裂シームを引き裂くことにより、又は、ドア状構造体を開放することにより)、ハウジングから飛び出すことができる。インフレータは、任意の好適なデバイス又はシステムによってトリガされ得、トリガすることは、1つ以上の車両センサへの応答であり得、及び/又は1つ以上の車両センサによって影響され得る。膨張可能なエアバッグアセンブリを車両に設置するためのいくつかの既存の方法では、衝突事象時に、膨張可能なエアバッグアセンブリがその後ろに配設されるクロージャのヒンジが、膨張可能なエアバッグクッションの展開を損ない得る。膨張可能なエアバッグアセンブリに隣接して又はその近くに配設された他の特徴部(工場設置のもの、又は他のもの)も同様に、衝突事象に応じて膨張可能なエアバッグクッションの展開を損ない得る。
【0009】
本明細書に開示されるエアバッグアセンブリの特定の実施形態は、前席のパッセンジャに対する衝撃を和らげることに特に好適であり、ダッシュボードに装着され得る。エアバッグアセンブリは、車両内の構造体(例えば、ダッシュボード、又はドアコラム、など)に対する乗員の衝突(身体-構造体衝突)の影響を低減することによって、衝突事象中の車両の乗員への負傷を軽減することができる。より具体的には、本開示の実施形態は、膨張可能なエアバッグアセンブリと関連付けられた、又はその近くに配設されたエアバッグカバーのドア状構造体のヒンジ、又は他の特徴部により、膨張可能なエアバッグクッションの展開の障害を低減又は解消することができる。
【0010】
図1は、本開示の一実施形態による、膨張可能なエアバッグアセンブリ100が設置された車両10の内部の一部分の側面図である。車両のフロント方向12は、参照のために示されている。車両10は、インストルメントパネル(ダッシュボード)20と、フロントガラス30と、乗員位置40と、を備える。乗員位置40は、乗員シート42を備える。乗員50は、乗員シート42に着座した乗員位置40において示されている。インストルメントパネル20は、上面22と、後面24と、を備える。本実施形態では、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、インストルメントパネル20の上面22の下方かつインストルメントパネル20の後面24の後ろに設置されている。一実施形態では、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、車両10のインストルメントパネル20の上面22を通して展開するように構成されたパッセンジャ側の前面エアバッグアセンブリである。簡単にするために、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、パッセンジャ側の前面エアバッグアセンブリとして記載されるが、膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、車両10の全体にわたっていくつかの異なる場所で使用され得る。
【0011】
図2は、車両10及びインストルメントパネル20の内部の一部分のより詳細な側面図である。車両のフロント方向12、ダッシュボード上面22、及びフロントガラス30が、参照のために示されている。膨張可能なエアバッグアセンブリ100は、ハウジング112と、インフレータ126と、膨張可能なエアバッグクッション128と、を備える。ラッパー130は、膨張可能なエアバッグクッション128の周りに少なくとも部分的に配設されている。換言すれば、ラッパー130は、未展開構成で膨張可能なエアバッグクッション128の周りを少なくとも部分的に包むように構成され得る。ラッパー130は、展開中に、膨張可能なエアバッグクッション128を放出するように更に構成されている。ラッパー130は、
図3A~
図3D以下を参照しながら下で更に説明する。
【0012】
ハウジング112は、車両10の構造体に固定され得る。例えば、ハウジング112は、車両フレームに固定され得る。
図2に例解される実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション128は、エアバッグクッション128が格納状態又はコンパクトな状態にある未展開構成にある。エアバッグクッション128は、折り畳まれて、巻かれて、又は別様にコンパクトな状態に構成されて、ハウジング112内に配設され得る。膨張可能なエアバッグクッション128は、インフレータ126から膨張ガスを受容するように構成されている。インフレータ126は、衝突事象が生じた場合に起動され、それによって、インフレータ126が膨張ガスを膨張可能なエアバッグクッション128に送達し、膨張可能なエアバッグクッション128をハウジング112から展開させながら急速に拡張させ得る。膨張可能なエアバッグクッション128は、ハウジング112内に配設され、車両10のインストルメントパネル20内の一対のパネルドア(カバー122、124)を通して展開されて、車両が関与する衝突事象中に、乗員に緩衝拘束を提供し得る。いくつかの実施形態では、一対のパネルドアは、インストルメントパネルドアである。
【0013】
ハウジング112は、下部ハウジング114と、上部ハウジング116と、を備える。上部ハウジング116は、第1のヒンジ118と、第2のヒンジ120と、を更に備える。第1のヒンジ118は、第1のカバー122に結合されており、第2のヒンジ120は、第2のカバー124に結合されている。例解される実施形態では、第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、受動的であり、これは、当該ヒンジを動作させるための電力が供給されていないことを意味する。第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、衝突事象が膨張可能なエアバッグアセンブリ100の起動をもたらすまで、それぞれ、第1のカバー122及び第2のカバー124を閉鎖位置に保つ。膨張可能なエアバッグアセンブリ100が起動すると、第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、第1のカバー122及び第2のカバー124が膨張可能なエアバッグアセンブリ100から離れるように開いて、インストルメントパネル20の上面22に開口部を作成し得、当該開口部を通って膨張可能なエアバッグクッション128が展開し得ることを可能にし得る。更に、第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、第1のカバー122及び第2のカバー124を保持するように構成され得る。換言すれば、第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、衝突事象が(インフレータ126の起動によって)膨張可能なエアバッグクッション128の展開をもたらすまで、第1のカバー122及び第2のカバー124を閉じた状態に保持し、次いで、展開中に第1のカバー122及び第2のカバー124が投射物にならないように第1のカバー122及び第2のカバー124をインストルメントパネル20の上面22に結合させたままにしながら、第1のカバー122及び第2のカバー124が上方へかつ外向きに回転することを可能にし得る。
【0014】
図3Aは、本開示の一実施形態による、ラッパー130の平面図である。ラッパー130は、内面133、外面134、第1の縁部135、第2の縁部136、第1の横縁部137、及び第2の横縁部138を有するファブリックパネル132を備え得る。ファブリックパネル132は、インフレータ126(
図3Aには図示せず、
図2を参照されたい)を受容するように構成されたインフレータ開口部131を画定し得る。インフレータ開口部131は、インフレータの周りに係合してラッパー130をインフレータ126に固定する、ラッパー130の第1の端部(第1の縁部135)からの所定の距離にあり得る。換言すれば、インフレータ126の一部分は、膨張可能なエアバッグアセンブリ100が完全に組み立てられたときにインフレータ126の一部分がラッパー130内に配設され得るように、ファブリックパネル132を貫通し得る。下部ハウジング114へのインフレータ126の装着は(
図3Aには図示せず、
図2を参照されたい)、ラッパー130を下部ハウジング114に結合し得る。ファブリックパネル132は、1つ以上の装着アパーチャ139とともに更に構成され得る。装着アパーチャ139は、ラッパー130を下部ハウジング114に固定するための装着デバイス(例えば、装着スタッドなど)を受容又は収容するように構成され得る。ラッパー130は、破裂シーム142を更に備える。破裂シーム142は、引き裂きシーム、一連のスリット又は穿孔(スリット)144、などであり得る。換言すれば、一実施形態では、ラッパー130の破裂シーム142は、第1の横縁部137から第2の横縁部138までラッパー130にわたって横方向に延在し、かつ展開時に引き裂かれ、それによって、ラッパー130を2つの部分に分離するように構成されている引き裂きシームを備える。一実施形態では、破裂シーム142は、スリット144と略整列された線に沿ってラッパー130を2つの部分に分離するように構成された、一連のスリット144を備える。破裂シーム142は、膨張可能なエアバッグクッション128が拡張して展開し始めるまで、ラッパー130を一体物品に維持し、それによって、スリット144が引き裂かれるように構成されており、よって、ラッパー130の2つの部分への分離を可能にして、膨張可能なエアバッグクッション128がラッパー130内から外へ出ることを可能にする。
【0015】
ファブリックパネル132は、1つ以上のタブ152を更に備え得る。例解される実施形態では、一方のタブ152は、第1の横縁部137に配設され得、他方のタブ152は、第2の横縁部138に配設され得る。タブ152は、組み立て中のファブリックパネル132及び/又はラッパー130の取り扱いを容易にし得る。
【0016】
ファブリックパネル132はまた、1つ以上のクロージャカットアウト156を備え得る。ファブリックパネル132は、一連のクロージャアパーチャ160を有し得る。ラッパー130は、第2の端部(第2の縁部136)から所定の距離に、第1の横縁部137から第2の横縁部138まで連続的に横方向に延在する、複数のスリット(クロージャアパーチャ160)を備える。スリット160は、ハウジング112の縁部に配設された複数のフック又はタブに取り付けるように構成されている。本実施形態では、クロージャアパーチャ160は、第1の列161及び第2の列162に配置されている。クロージャアパーチャ160は、ファブリックパネル132へのスリットカットの形態を採り得る。
【0017】
図3Bは、組み立て中にファブリックパネル132を折り畳んでいる間の、
図3Aの膨張可能なエアバッグアセンブリ100のラッパー130の側面図である。内面133及び外面134、並びに第1の縁部135及び第2の縁部136は、参照のために識別される。第1の折り目164、第2の折り目166、及び第3の折り目168は、ファブリックパネル132に適用される。第1の折り目164及び第2の折り目166は、破裂シーム142を、(
図5に示されるように)ラッパー130の外向き面に、より具体的には、ファブリックパネル132の複数の層の外向き層に配設するように、ファブリックパネル132を構成し得る。
【0018】
第3の折り目168は、クロージャアパーチャ160の第1の列161及び第2の列162が整列され、かつファブリックパネル132がクロージャアパーチャ160領域内で折り返されるように、ファブリックパネル132を構成し得る。ファブリックパネル132は、第3の折り目168でかつ第2の縁部136の近くでそれ自体の後ろに折り畳まれて、2つの層を作成する。2つの層は、第1の横縁部137から第2の横縁部138まで横方向に延在する第2の横方向シーム174(例えば、ファブリックパネル132の第2の縁部136の近くの第2の端部分ステッチ)によって一緒に結合される。第2の横方向シーム174は、第2の端部分ステッチ174と整列するようにタブ152に対応し得る。第2の横方向シーム174は、膨張可能なエアバッグクッション128の展開に耐えるように構成された固定ステッチである。第2の横方向シーム174は、複数のクロージャアパーチャ160がステッチと第2の端部との間に配設された状態で、複数のスリット(クロージャアパーチャ160)を有するファブリックパネル132の第2の縁部136から所定の距離に配設されている。ファブリックパネル132をクロージャアパーチャ160領域内で折り返すことは、膨張可能なエアバッグクッション128の展開中にクロージャアパーチャ160をハウジング112に対して固定位置に保持するための補強を提供し得る。
【0019】
図3Cは、
図3Bに示される面と同じ面から見た、折り畳まれた状態のファブリックパネル132を示す、
図3A~
図3Bの膨張可能なエアバッグアセンブリ100のラッパー130の側面図である。内面133、外面134、第1の縁部135及び第2の縁部136は、参照のために識別される。破裂シーム142、並びにクロージャアパーチャ160の第1の列161及び第2の列162もまた、参照のために示されている。第1の折り目164、第2の折り目166、及び第3の168折り目が識別される。第1の横縁部137から第2の横縁部138まで延在する第1の横方向シーム172(例えば、補強部分ステッチ)は、第2の折り目166と破裂シーム142との間に配設されるように第2の折り目166の近くに適用され、それによって、第1の横方向シーム172は、ファブリックパネル132の3つの層を一緒に結合する。
【0020】
第2の横方向シーム174は、第1の横縁部137から第2の横縁部138まで延在して、タブ152の近くに適用される。第2の横方向シーム174は、ファブリックパネル132の2つの層を一緒に結合する。第1の横方向シーム172及び第2の横方向シーム174、並びに第1の折り目164及び第2の折り目166は、組み合わせて、ラッパー130の補強部分を画定する。ラッパー130の補強部分は、ラッパー130のファブリックパネル132がそれ自体の上に2回折り返されて3つの層を作成した状態のz折り目を含む。補強部分の3つの層は、ファブリックパネル132の第1の横縁部137からファブリックパネル132の第2の横縁部138まで横方向に延在する第1の横方向シーム172(補強部分ステッチ)によって一緒に結合される。第1の横方向シーム172は、展開に耐えるように構成された固定ステッチである。第1の横方向シーム172は、ファブリックパネルの第1の縁部135から所定の距離に配設される。第1の折り目164、第2の折り目166、及び第3の折り目168の配置により、ファブリックパネル132の複数の層のうちの1つの層だけが第1のシーム172及び第2のシーム174に共通であり、破裂シーム142はその共通の層の中にある。
【0021】
図3Dは、
図3A~
図3Cの膨張可能なエアバッグアセンブリ100のラッパー130の平面図であり、折り畳まれたファブリックパネル132を例解する。内面133、外面134、ファブリックパネル132の第1の縁部135、及びタブ152は、参照のために示されている。インフレータアパーチャ131、装着アパーチャ139、クロージャアパーチャ160、並びに第1の折り目164、第2の折り目166、及び第3の折り目168が識別される。第1の横方向シーム172及び第2の横方向シーム174が示されている。破裂シーム142は、ラッパー130の第1の部分146及びラッパー130の第2の部分148を画定する。第1の部分146は、第1の縁部135から破裂シーム142まで延在する。第2の部分148は、第2の縁部136から破裂シーム142まで延在する。破裂シーム142が引き裂かれると、ラッパー130が第1の部分146及び第2の部分148に分離される。
【0022】
ラッパー130はまた、上で考察された第1の端部分、第2の端部分、及び補強部分を備え得る。上で考察されたように、補強部分は、3つの層を備えるラッパー130のセクションである。第1の部分は、ラッパー130の補強部分と第1の縁部135との間の部分である。第2の端部分は、ラッパー130の補強部分と第2の縁部136との間の部分である。よって、ラッパー130の補強部分は、ラッパー130の第1の部分と第2の部分との間に配設される。
【0023】
ラッパー130の補強部分は、第1の長手方向シーム176と、第2の長手方向シーム178と、を備え得る。長手方向シーム176、178は、ファブリックパネル132の第1の横縁部137及び第2の横縁部138の近くに適用され得る。第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は、ラッパー130の補強部分の3つの層を一緒に結合する。第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は各々、タックステッチを備える。タックステッチは、膨張可能なエアバッグクッション128の展開時に破断するように構成されているステッチである。第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は、ファブリックパネル132の全ての層を通して縫製され得る。第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は、破裂シーム142にわたって適用され得るか、又は破裂シーム142に隣接し得る。いくつかの実施形態では、第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178の長さは、補強部分の長さに延在し得る。第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は、それらが展開中に破断するように、膨張可能なエアバッグアセンブリ100の組み立て中に3つの層を一緒にしたままにするように構成され得る。
【0024】
例解される実施形態では、ラッパー130の補強部分は、折り目164、166によって、ファブリックパネル132の3つの層を備える。いくつかの実施形態では、補強部分は、3つよりも多い又は少ない層、例えば2つの層又は4つ以上の層を備え得る。第1の部分146の補強部分は、カバー122、124のうちの1つのヒンジ118、120のうちの1つを覆って、膨張可能なエアバッグクッション128が展開している間に、膨張可能なエアバッグクッション128がヒンジ118、120と係合するのを制限するように構成され得る。
【0025】
破裂シーム142は、膨張可能なエアバッグクッション128の膨張中に分離するように構成される。破裂シーム142の分離時に、第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178は各々、2つのシームセグメントに分かれ得、各シームセグメントは、ラッパー130の特定の第1の部分146又は第2の部分148に一致する。第1の横方向シーム172、並びに第1の長手方向シーム176及び第2の長手方向シーム178の関連するセグメントは、ファブリックパネル132の複数の層を互いに対して、かつ第1の横方向シーム172に対して保持することによって、ラッパー130の第2の部分148を安定化又は強化し得る。第2の横方向シーム174は、同様に、ファブリックパネル132の複数の層を互いに対して、かつクロージャアパーチャ160に対して保持することによって、ラッパー130の第1の部分146を安定化又は強化し得る。
【0026】
図4は、部分的に組み立てられた状態の膨張可能なエアバッグアセンブリ100の上面図である。車両の前方方向12は、参照として示されている。例解される組み立ての段階では、ラッパー130がインフレータ126に結合され(
図4には図示せず、
図2を参照されたい)、インフレータ及びラッパー130が下部ハウジング114に結合されている。膨張可能なエアバッグクッション128は、折り畳まれ得、巻かれ得、又は別様にコンパクトな状態に形成され得、下部ハウジング114内に、かつインフレータ126及びラッパー130の最上部に、又はそれに隣接して配設され得る。ファブリックパネル132の内面133、外面134、及び第2の縁部136は、参照のために示されている。ラッパー130の第1の横方向シーム172及び第2の横方向シーム174、並びに第1の部分146及び第2の部分148が識別される。破裂シーム142もまた識別される。下部ハウジング114は、複数の装着タブ184を備える。装着タブ184は、クロージャアパーチャ160を下部ハウジング114に結合する役割を果たし得る。
【0027】
図5は、
図4に示される組み立て段階の後の組み立て段階における膨張可能なエアバッグアセンブリ100の上面図である。車両前方方向12は、参照のために示されている。クロージャアパーチャ160は、下部ハウジング114の装着タブ184に結合される。ラッパー130の第1の部分146及び第2の部分148と同じように、破裂シーム142が示されている。ラッパー130の第1の部分146は、第1のランプ部186を備えるか、又は別様に第1のランプ部186を形成するように構成されている。ラッパー130の第2の部分148は、第2のランプ部188を備えるか、又は別様に第2のランプ部188を形成するように構成されている。換言すれば、ラッパー130の第1の部分146及び第2の部分148は、膨張可能なエアバッグクッション128の展開中に、ヒンジ118、120のうちの1つの上にランプ部186、188を作成して、膨張可能なエアバッグクッション128がラッパー130に沿って摺動して、膨張可能なエアバッグクッション128がヒンジ118、120に直接係合するのを防止することを可能にするように構成されている。第1のランプ部186及び第2のランプ部188は、
図7に関連してより完全に記載されている。
【0028】
図6は、膨張可能なエアバッグクッション128が展開して、少なくとも部分的に膨張した状態の膨張可能なエアバッグアセンブリ100を有する、
図1の車両10の一部分の側面図である。乗員位置40、乗員シート42、及び乗員50でと同じように、インストルメントパネル20及びフロントガラス30が示されている。膨張可能なエアバッグクッション128は、衝突事象の結果として展開されるように構成され得る。膨張可能なエアバッグクッション128は、乗員50の前方へ配設されるように構成され得る。一実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション128は、フロントガラス30の一部分を用いて、膨張可能なエアバッグクッション128を乗員50の前方の好ましい位置に配設するのを支援し得る。一実施形態では、膨張可能なエアバッグクッション128は、ダッシュボード20の一部分を用いて、膨張可能なエアバッグクッション128を乗員50の前方の好ましい位置に配設するのを支援するように構成され得る。
【0029】
図7は、膨張可能なエアバッグクッション128が展開して、少なくとも部分的に膨張した状態の膨張可能なエアバッグアセンブリ100の詳細側面図である。車両の前方方向12と同じように、インストルメントパネル20及び車両10のフロントガラス30が示されている。インフレータ126もまた示されている。膨張可能なエアバッグクッション128は、展開して、少なくとも部分的に膨張した状態で示されている。組み立て中に、上部ハウジング116及び下部ハウジング114は、一緒に結合されて、膨張可能なエアバッグアセンブリ100のハウジング112を形成している。
【0030】
展開前に、膨張可能なエアバッグクッション128は、
図1及び
図2に示されるように、折り畳まれた、巻かれた、又は別様に圧縮されたコンパクトな状態である。第1のカバー122及び第2のカバー124は、
図1及び
図2に示されるように、閉鎖位置において、膨張可能なエアバッグクッション128の上にある。膨張可能なエアバッグクッション128の展開は、衝突事象の結果として開始され得る。膨張可能なエアバッグクッション128の展開の開始は、インフレータ126が起動して、膨張可能なエアバッグクッション128に膨張ガスを急速に送達して、膨張可能なエアバッグクッション128を急速に拡張させることを含む。膨張可能なエアバッグクッション128の展開は、膨張可能なエアバッグクッション128の車両10に対して上方へ移動させる。膨張可能なエアバッグクッション128が拡張して上方に移動するにつれて、破裂シーム142が破裂して、膨張可能なエアバッグクッション128が第1のカバー122及び第2のカバー124に衝突したときに、第1のカバー122及び第2のカバー124が膨張可能なエアバッグクッション128から離れるように開く。第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120は、関節運動して、第1のカバー122及び第2のカバー124の運動を容易にし得る。本開示のラッパー130がない場合、第1のヒンジ118、第2のヒンジ120、又はヒンジ118、120の両方は、膨張可能なエアバッグクッション128の展開及び展開を妨げ得、それによって、膨張可能なエアバッグクッション128は、意図した保護を乗員に提供することができない場合がある。このような不具合は、膨張可能なエアバッグクッション128がヒンジ118、120の一方又は両方による不適当に位置決めされていること、膨張可能なエアバッグクッション128が不適切に膨張していること、展開中に膨張可能なエアバッグクッション128がヒンジ118、120と係合すること、などから生じ得る。本開示のラッパー130によって、このような欠点が、回避又は克服され得る。
【0031】
クロージャアパーチャ160が下部ハウジング114の装着タブ184に結合された状態で、ラッパー130の第3の折り目168がハウジング112の外部エリアに配設され得る。クロージャアパーチャ160は、ラッパー130の第1の部分146を装着タブ184に固定し、それによって、第1のランプ部186が第1のヒンジ118にわたって配設される。ラッパー130の第2の縁部136は、第1のヒンジ118の近くに示されている。ラッパー130の第1の部分146、及びラッパー130の第2の縁部136に隣接するラッパー130の一部分は、第1のランプ部186を画定する。第1のランプ部186が複数のシームによって一緒に結合された複数のファブリック層を備えることによって、第1のランプ部186は、膨張可能なエアバッグクッション128が第1のヒンジ118によって妨げられない、変形されない、又は別様に影響を受けないように、膨張可能なエアバッグクッション128を実質的に支持するように構成され得る。複数のファブリック層は、第1のランプ部186を第1のヒンジ118の上に作成するのを容易にする硬さ又は剛性をラッパー130に提供する。別様に述べると、複数のファブリック層は、ラッパー130が第1のヒンジ118に引っ掛かる及び/又はひだを形成するのを回避し、それによって、第1のランプ部186を形成することを可能にし得る硬さ又は剛性をラッパー130に提供する。第1のランプ部186は、膨張可能なエアバッグクッション128が、ラッパー130に沿って摺動して、膨張可能なエアバッグクッション128が第1のヒンジ118に直接係合するのを防止することを可能にする。
【0032】
ラッパー130の第1の縁部135は、下部ハウジング114の下部分に隣接して配設され、ラッパー130は、インフレータ126と下部ハウジング114との間を通っている。下部ハウジング114の下部分に隣接して配設されたラッパー130の一部分は、インフレータ126及び例えば装着スタッド、ボルトなどの装着デバイスのうちの1つ以上によって下部ハウジング114に結合及び固定され得る。ラッパー130の第1の折り目164及び第2の折り目166が示されている。組み合わせて、第1の折り目164及び第2の折り目166は、第2のランプ部188を画定する。第2のランプ部188は、
図3A~
図3Dに関連して説明されるように、ラッパー130の第2の部分148と実質的に連続し得、複数のファブリック層を備える。複数のファブリック層は、第2のランプ部188を第2のヒンジ120の上に作成するのを容易にする硬さ又は剛性をラッパー130の補強部分に提供する。別様に述べると、ラッパー130の補強部分の複数のファブリック層は、ラッパー130が第2のヒンジ120に引っ掛かる及び/又はひだを形成するのを制限し、それによって、第2のヒンジ120の上に第2のランプ部188を形成することができる硬さ又は剛性をラッパー130に提供し得る。第2のランプ部188は、膨張可能なエアバッグクッション128が、ラッパー130に沿って摺動して、膨張可能なエアバッグクッション128が第2のヒンジ120に直接係合するのを防止することを可能にする。第2のランプ部188は、膨張可能なエアバッグクッション128の展開中に、第2のヒンジ120にわたって配設され得るか、又はそれを覆い得、膨張可能なエアバッグクッション128が第2のヒンジによって妨げられない、変形されない、又は別様に影響を受けないように、膨張可能なエアバッグクッション128を実質的に支持し得る。
【0033】
別様に述べると、第1のランプ部186及び第2のランプ部188は、第1のヒンジ118及び第2のヒンジ120を閉塞して、ヒンジ118、120が膨張可能なエアバッグクッション128の展開を妨げるのを防止し、それによって、膨張可能なエアバッグクッション128が、衝突事象中に乗員のための保護を提供することを意図するように展開し、拡張し、膨張し得る、ランプ部として機能し得る。更に換言すれば、第1のランプ部186及び第2のランプ部188は、膨張可能なエアバッグクッション128が、第1のヒンジ118、第2のヒンジ120、又は両方による干渉を伴わずに、ハウジング112を飛び出すための比較的滑らかな飛び出し軌道を提供し得る。第1のランプ部186及び第2のランプ部188は、膨張可能なエアバッグクッション128がカバー122、124を通した展開中にヒンジ118、120に引っ掛かるのを制限又は防止するように構成され得る。第1の部分146によって画定されたラッパー130の第1の部分は、第1のカバー122の第1のヒンジ118を覆い、第2の部分148によって画定されたラッパー130の第2の部分は、第2のカバー124の第2のヒンジ120を覆う。
【0034】
本実施形態は、膨張可能なエアバッグクッションが一対のパネルドア(カバー)を通して展開することを含むが、本開示は、異なる数のパネルドア(カバー)を通して、例えば、単一のドアを通す、複合ドアを通す、3ドア構成を通す、などによって、膨張可能なエアバッグクッションを展開することが予想される。
【0035】
本明細書全体を通して、「結合された」という句は、機械的な、電気的な、磁気的な、電磁的な、流体的な、及び熱的な相互作用を含めて、2つ以上のエンティティ間の、任意の形態での相互作用を指す。2つの構成要素は、2つの構成要素が互いに直接接触していなくても、互いに結合され得る。
【0036】
「取り付けられた」及び「直接取り付けられた」という句は、任意の好適な種類のファスナ(例えば、装着金物若しくは接着剤)のみによって互いに直接接触し、かつ/又は互いに分離される、2つ以上のエンティティ間の相互作用を指す。
【0037】
「a」及び「an」という用語は、1つとして記載し得るが、1つに限定されるものではない。例えば、本開示は、「チャンバ」を有するエアバッグを列挙し得るが、本開示はまた、エアバッグが2つ以上のチャンバを有し得ることも想定している。
【0038】
「長手方向の」及び「長手方向に」という用語は、車両の前部と車両の後部との間に延在する又は広がる方向又は配向を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「前方」及び「後方」という用語は、関連する車両の前面及び背面を参照して使用される。例えば、後方方向に展開するエアバッグクッションは、車両の背面に向かって展開する。更に、「水平」などの他の参照用語は、異なる座標系が意図されていることが文脈から明らかでない限り、エアバッグアセンブリが設置されている車両に関係して使用される。よって、「水平」などの用語は、車両自体が水平に配向されている(例えば、平地上に直立して位置する)又は真の水平に対して角度付けられている(例えば、丘上に位置する)かどうかにかかわらず、車両に関係して使用される。
【0040】
別途記載しない限り、全ての範囲は、端点と、端点間の全ての数値と、の両方を含む。
【0041】
「乗員位置」という句は、乗員が車両内にいるときに概して位置する位置を指す。「乗員」という用語は、車両内の人又は衝突試験ダミーを指す。
【0042】
「乗員シート」という句は、乗員が乗員位置に着座する手段を提供する、乗員位置の特徴部を指す。
【0043】
本明細書全体における「一実施形態(an embodiment)」又は「実施形態(the embodiment)」への言及は、その実施形態に関連して記載されている特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、本明細書全体において列挙される引用された句、又はその変形は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及してはいない。
【0044】
実施形態の上記の説明において、本開示を合理化するために、様々な特徴が、これらの特徴の単一の実施形態、図面、又は説明においてひとまとめにされる場合があることが理解されるべきである。しかしながら、開示のこの方法は、任意の請求項がその請求項に明示的に列挙された特徴よりも多くの特徴を必要とするという意図を反映すると解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、本発明の態様は、いずれの単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴の組み合わせにある。よって、この発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、この発明を実施するための形態に明示的に組み込まれており、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成立する。本開示は、従属請求項とともに独立請求項の全ての並べ替えを含む。
【0045】
特徴又は要素に関する「第1の」という用語の特許請求の範囲における列挙は、第2の又は追加のこのような特徴又は要素の存在を必ずしも示唆しない。変更が、本発明の根本的な原理から逸脱することなく、上記の実施形態の詳細になされ得ることが、当業者には明らかである。排他的な所有権又は特権が特許請求される本発明の実施形態は、以下のように定義される。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)であって、
車両(10)の構造体に固定されるハウジング(112)と、
前記ハウジング(112)内に配設され、かつ一対のパネルドア(122、124)を通して展開するように構成された膨張可能なエアバッグクッション(128)と、
展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)に膨張ガスを提供するように構成されたインフレータ(126)と、
第1の端部(135)と、第2の端部(136)と、前記第1の端部(135)と前記第2の端部(136)との間に配設され、2つ以上の層を備える補強部分と、を備えるラッパー(130)であって、未展開構成において前記膨張可能なエアバッグクッション(128)の周りを少なくとも部分的に包む、ラッパー(130)と、を備え、
前記ラッパー(130)が、前記展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)を放出するように構成されており、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が展開している間に、前記補強部分が、前記パネルドア(122、124)のうちの1つのヒンジ(118、120)を覆って、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が前記ヒンジ(118、120)と係合するのを制限するように構成されていることを特徴とする、膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記ラッパー(130)の前記補強部分が、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)の展開中に、前記ヒンジ(118、120)の上にランプ部(186、188)を作成して、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が前記ラッパー(130)に沿って摺動して、前記エアバッグクッション(128)が前記ヒンジ(118、120)に直接係合するのを防止することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記ランプ部(186、188)は、展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッションが前記ヒンジ(118、120)に引っ掛かることを制限又は防止するように構成されている、請求項2に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記ラッパー(130)が、前記ラッパー(130)にわたって第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで横方向に延在し、展開時に引き裂かれて、前記ラッパーを2つの部分(146、148)に分離するように構成されている引き裂きシーム(142)を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ラッパー(130)の第1の部分(148)が、前記パネルドア(122、124)の第1のヒンジ(120)を覆い、前記ラッパー(130)の第2の部分(146)が、前記パネルドア(122、124)の第2のヒンジ(118)を覆う、請求項4に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記ラッパー(130)が、前記インフレータ(126)の周りに係合して前記ラッパー(130)を前記インフレータ(126)に固定する前記第1の端部(135)から所定の距離に、インフレータアパーチャ(131)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記ラッパー(130)が、前記第2の端部(136)から所定の距離に、第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで連続的に横方向に延在する、複数のスリット(144)を更に備え、
前記スリット(144)が、前記ハウジング(112)の縁部に配設された複数の装着タブ(184)に結合するように構成されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記ラッパー(130)の前記第2の端部(136)の近くに配設された第2の端部分が、それ自体の上に折り返されて2つの層を作成し、
前記2つの層が、前記第1の横縁部(137)から前記第2の横縁部(138)まで横方向に延在する第2の端部分ステッチ(174)によって一緒に結合され、
前記複数のスリット(144)が前記ステッチ(174)と前記第2の端部(136)との間に配設された状態で、前記第2の端部分ステッチ(174)が、前記第2の端部(136)から所定の距離に配設されている、請求項7に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記補強部分は、前記ラッパー(130)がそれ自体の上に2回折り返されて3つの層を作成した状態のz折り目を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記補強部分の前記3つの層が、第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで横方向に延在する補強部分ステッチ(172)によって一緒に結合され、
前記補強部分ステッチ(172)が、前記第1の端部(135)から所定の距離に配設されている、請求項9に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記補強部分が、前記補強部分の前記3つの層を一緒に結合するために、前記補強部分の第1の横縁部(137)の近くに配設された第1の長手方向ステッチ(176)と、前記補強部分の第2の横縁部(138)の近くに配設された第2の長手方向ステッチ(178)と、を備える、請求項9又は10に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)が、前記車両(10)のインストルメントパネル(20)を通して展開するように構成された、パッセンジャ側の膨張可能なエアバッグアセンブリである、請求項1~11のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)であって、
車両(10)の構造体に固定されるハウジング(112)と、
前記ハウジング(112)内に配設され、かつ一対のパネルドア(122、124)を通して展開するように構成された膨張可能なエアバッグクッション(128)と、
展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)に膨張ガスを提供するように構成されたインフレータ(126)と、
第1の端部(135)と、第2の端部(136)と、前記第1の端部(135)と前記第2の端部(136)との間に配設され、2つ以上の層を備える補強部分と、を備えるラッパー(130)であって、未展開構成において前記膨張可能なエアバッグクッション(128)の周りを少なくとも部分的に包む、ラッパー(130)と、を備え、
前記ラッパー(130)が、前記展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)を放出するように構成されており、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が展開している間に、前記補強部分が、前記パネルドア(122、124)のうちの1つのヒンジ(118、120)を覆って、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が前記ヒンジ(118、120)と係合するのを制限するように構成されていることを特徴とする、膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項2】
前記ラッパー(130)の前記補強部分が、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)の展開中に、前記ヒンジ(118、120)の上にランプ部(186、188)を作成して、前記膨張可能なエアバッグクッション(128)が前記ラッパー(130)に沿って摺動して、前記エアバッグクッション(128)が前記ヒンジ(118、120)に直接係合するのを防止することを可能にするように構成されている、請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項3】
前記ランプ部(186、188)は、展開中に、前記膨張可能なエアバッグクッションが前記ヒンジ(118、120)に引っ掛かることを制限又は防止するように構成されている、請求項2に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項4】
前記ラッパー(130)が、前記ラッパー(130)にわたって第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで横方向に延在し、展開時に引き裂かれて、前記ラッパーを2つの部分(146、148)に分離するように構成されている引き裂きシーム(142)を更に備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項5】
前記ラッパー(130)の第1の部分(148)が、前記パネルドア(122、124)の第1のヒンジ(120)を覆い、前記ラッパー(130)の第2の部分(146)が、前記パネルドア(122、124)の第2のヒンジ(118)を覆う、請求項4に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項6】
前記ラッパー(130)が、前記インフレータ(126)の周りに係合して前記ラッパー(130)を前記インフレータ(126)に固定する前記第1の端部(135)から所定の距離に、インフレータアパーチャ(131)を備える、
請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項7】
前記ラッパー(130)が、前記第2の端部(136)から所定の距離に、第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで連続的に横方向に延在する、複数のスリット(144)を更に備え、
前記スリット(144)が、前記ハウジング(112)の縁部に配設された複数の装着タブ(184)に結合するように構成されている、
請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項8】
前記ラッパー(130)の前記第2の端部(136)の近くに配設された第2の端部分が、それ自体の上に折り返されて2つの層を作成し、
前記2つの層が、前記第1の横縁部(137)から前記第2の横縁部(138)まで横方向に延在する第2の端部分ステッチ(174)によって一緒に結合され、
前記複数のスリット(144)が前記ステッチ(174)と前記第2の端部(136)との間に配設された状態で、前記第2の端部分ステッチ(174)が、前記第2の端部(136)から所定の距離に配設されている、請求項7に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項9】
前記補強部分は、前記ラッパー(130)がそれ自体の上に2回折り返されて3つの層を作成した状態のz折り目を含む、
請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項10】
前記補強部分の前記3つの層が、第1の横縁部(137)から第2の横縁部(138)まで横方向に延在する補強部分ステッチ(172)によって一緒に結合され、
前記補強部分ステッチ(172)が、前記第1の端部(135)から所定の距離に配設されている、請求項9に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項11】
前記補強部分が、前記補強部分の前記3つの層を一緒に結合するために、前記補強部分の第1の横縁部(137)の近くに配設された第1の長手方向ステッチ(176)と、
前記補強部分の第2の横縁部(138)の近くに配設された第2の長手方向ステッチ(178)と、を備える、請求項9又は10に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【請求項12】
前記膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)が、前記車両(10)のインストルメントパネル(20)を通して展開するように構成された、パッセンジャ側の膨張可能なエアバッグアセンブリである、
請求項1に記載の膨張可能なエアバッグアセンブリ(100)。
【国際調査報告】