IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シー‐ラン リンの特許一覧 ▶ サム‐リンの特許一覧

特表2024-523006新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR)
<>
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図1
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図2
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図3
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図4
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図5
  • 特表-新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR) 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】新規なレプリカーゼサイクリング反応(RCR)
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20240618BHJP
   C12N 15/11 20060101ALI20240618BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240618BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 39/215 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240618BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240618BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240618BHJP
   C12N 15/50 20060101ALN20240618BHJP
   C12N 15/51 20060101ALN20240618BHJP
【FI】
C12N15/10 Z
C12N15/11 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12N15/88 Z
A61K39/00 H
A61K39/215
A61K39/29
A61K31/7105
A61K48/00
A61P35/00
A61P31/12
A61P37/04
C12N15/50
C12N15/51
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575381
(86)(22)【出願日】2022-01-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022013350
(87)【国際公開番号】W WO2022260718
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,969
(32)【優先日】2021-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/210,988
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/212,657
(32)【優先日】2021-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/222,398
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/489,357
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/270,034
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/280,226
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522115192
【氏名又は名称】シー‐ラン リン
(71)【出願人】
【識別番号】522115206
【氏名又は名称】サム‐リン
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】シー‐ラン リン
(72)【発明者】
【氏名】サム‐リン
(72)【発明者】
【氏名】チュン‐ハン リン
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA20
4B063QQ52
4B063QQ53
4B063QR35
4B063QR36
4B063QS25
4B063QS40
4C084AA13
4C084NA14
4C084ZB091
4C084ZB092
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB331
4C084ZB332
4C085AA03
4C085BA71
4C085BA87
4C085CC08
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB09
4C086ZB26
4C086ZB33
(57)【要約】
本発明は、概して、ウイルスRNAレプリカーゼおよび/またはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)酵素ならびにそれらに関連するmRNAを用いる新規なRNA/mRNAの製造および増幅方法に関する。本発明は、5’末端もしくは3’末端、またはその両方に少なくとも一つのRdRp結合部位を有するあらゆる種類のRNA/mRNA配列の製造および増幅に用いることができる。このようにして得られたRNA/mRNAは、mRNAワクチンおよび/またはRNAベースの医薬を製造するだけでなく、in-vitroおよびin-cellにおける翻訳条件で、mRNA関連タンパク質、ペプチド、および/または抗体を生成するのにも有用である。主に、本発明は、新規なRNAレプリカーゼを介したRNA/mRNA増幅法、すなわちレプリカーゼサイクリング反応(RCR)である。RCRに関与するRNAレプリカーゼとしては、ウイルスおよび/またはバクテリオファージのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)、特にコロナウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)のRdRp酵素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)5’末端または3’末端のRdRp結合部位の少なくともいずれか一方、若しくはその両方を含む少なくとも一つのRNA配列を提供し、
(b)コロナウイルスまたはC型肝炎ウイルスのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)から単離または改変された少なくとも一つのRNAレプリカーゼを提供し、
(c)RNAレプリカーゼを介在した前記RNA配列の製造および増幅が生じるように、(a)のRNA配列と(b)のRNAレプリカーゼをバッファー条件下で混合する、ことを含み、
前記バッファー条件は、RNA合成に必要なリボヌクレオシド三リン酸分子(rNTPs)を含み、pHが6.0~8.0の範囲であり、温度が20℃~45℃の範囲である、
RNAレプリカーゼを介した新規なRNA増幅方法。
【請求項2】
前記RNA配列は、一本以上の鎖構造または1種類のRNA種を含むことができる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記5’末端のRdRp結合部位は、配列番号1又は配列番号2の一方の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記5’末端のRdRp結合部位は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、または配列番号6、若しくはそれらの組み合わせを含む配列から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記3’末端のRdRp結合部位は、配列番号7又は配列番号8の一方の配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記3’末端のRdRp結合部位は、配列番号9、配列番号10、配列番号11、または配列番号12、若しくはそれらの組み合わせを含む配列から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記出発RNA配列は、RNAポリメラーゼとRdRp/ヘリカーゼの混合活性を用いる新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写(PCR-IVT)法を使用して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記RdRpのmRNAは、RNAポリメラーゼとRdRp/ヘリカーゼの混合活性を用いる新規なポリメラーゼ連鎖反応インビトロ転写(PCR-IVT)法を使用して生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バッファー条件は、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、または3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、若しくはそれらの組み合わせを任意に添加した1x転写バッファーである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リボヌクレオシド三リン酸分子(rNTPs)は、ATP、GTP、CTP、およびUTPを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リボヌクレオシド三リン酸分子(rNTPs)は、シュードウリジンまたは他の修飾ヌクレオチド類似体をさらに含むことができる、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記RNA配列のウリジン/ウラシル(U)成分は、シュードウリジンまたは他の修飾ヌクレオチド類似体で置換することができる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記RNA配列は、インビトロ(in vitro)、エクスビボ(ex vivo)および/またはインビボ(in vivo)での細胞内トランスフェクションを促進するための少なくとも一つの送達剤とともにさらに製剤化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記送達剤は、グリシルグリセリン、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子(LNP)、コンジュゲート分子、輸液用化学物質、遺伝子銃材料、エレクトロポレーション剤、トランスポゾン、およびそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記RNA配列がmRNAである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記mRNAがmRNAワクチン及び医薬を生産及び開発するために有用である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記mRNAがタンパク質/ペプチドおよび抗体を生産するために有用である、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記RNA配列がマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記pre-miRNAが抗がん剤を生産及び開発するために有用である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記pre-miRNAがiPS細胞の生成に有用である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記RNA配列が医薬または治療の成分として使用される、請求項1に記載の方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照:
本発明は、「抗ウイルスおよび抗癌ワクチンにおける使用のための新規なmRNA組成物および製造(Novel mRNA Composition and Production for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines)」を発明の名称とする、2021年6月12日に出願された米国仮特許出願第63/209,969号の優先権を主張する。また、本発明は、いずれも、「抗ウイルスおよび抗癌ワクチンにおける使用のための新規なmRNA組成物および製造方法(Novel mRNA Composition and Production Method for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines)」を発明の名称とする、2021年6月15日に出願された米国仮特許出願第63/210,988号、2021年6月19日に出願された米国仮特許出願第63/212,657号、および2021年7月15日に出願された米国仮特許出願第63/222,398号の優先権を主張する。さらに、本発明は、ともに「iPS細胞作製における使用のための新規なRNA組成物および製造方法(Novel RNA Composition and Production Method for Use in iPS Cell Generation)」を発明の名称とする、2021年10月20日に出願された米国仮特許出願第63/270,034号、および2021年11月17日に出願された米国仮特許出願第63/280,226号の優先権を主張する。さらに、本発明は、「抗ウイルスおよび抗癌ワクチンにおける使用のための新規なmRNA組成物および製造方法(Novel mRNA Composition and Production Method for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines)」を発明の名称とする、2021年9月29日に出願された米国特許出願第17/489,357号の優先権を主張する。本出願は、「抗ウイルスおよび抗癌ワクチンにおける使用のための新規なmRNA組成物および製造方法(Novel mRNA Composition and Production Method for Use in Anti-Viral and Anti-Cancer Vaccines)」を発明の名称とする、2021年9月29日に出願された米国特許出願第17/489,357号の一部継続出願である。各出願の内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野:
本発明は、概して、ウイルスRNAレプリカーゼおよび/またはRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)酵素とそれらに関連するmRNAを用いる新規なRNA/mRNAの製造および増幅方法に関する。本発明は、5’末端、3’末端、またはその両方に少なくとも一つのRdRp結合部位を有するあらゆる種類のRNA/mRNA配列の製造および増幅に用いることができる。このようにして得られたRNA/mRNAは、mRNAワクチンおよび/またはRNAベースの医薬を製造するだけでなく、in-vitroおよびin-cellにおける翻訳条件(translation condition)下でmRNA関連タンパク質、ペプチドおよび/または抗体を生成するためにも有用である。主に、本発明は、RNAレプリカーゼを介した新規なRNA/mRNA増幅法、すなわちレプリカーゼサイクリング反応(Replicase Cycling Reaction(RCR))である。RCRに関与するRNAレプリカーゼとしては、ウイルスおよび/またはバクテリオファージのRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)、特にコロナウイルスおよびC型肝炎ウイルス(HCV)のRdRp酵素が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【背景技術】
【0003】
背景技術:
従来のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、耐熱性DNAポリメラーゼを用いてDNAテンプレートから二本鎖DNA配列を増幅する方法であり、RNA材料は関与しない。PCRとは異なり、RNAレプリカーゼを介したサイクリング反応(RCR)は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)を用いて、RNAテンプレートから一本鎖RNA配列を増幅する方法であり、DNA材料は関与しない。明らかに、PCRとRCRは大きく異なっており、比較できるものではない。したがって、これまでのPCR研究はRCRには関係しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
Lin等は2002年にRCRを初めて報告した(Linに対するW02002/092774)。Linは、特別なデザインの5’キャップキャプチャー分子連結プライマー(5’-cap-capture-molecule-linked primer)を用いることで、一本鎖RNAテンプレートから、ウイルスおよび/またはバクテリオファージのレプリアーゼを介したRNA増幅を引き起こせることを発見した。このRCR機構は、いくつかのウイルスやバクテリオファージの複製/増幅機構を模倣したものである。しかしながら、多くのRNA種は5’キャップ分子(5’-cap molecules)を持たないため、特別な5’キャップキャプチャー分子連結プライマーが必要であることがその使用を制限する。また、連結された5’キャップキャプチャー分子(linked 5’-cap-capture molecules)は、得られるRNA産物を不純にする。mRNAワクチンの製造において、RNA産物から5’キャップキャプチャー分子を除去するのは面倒であり、RNAの分解を引き起こす可能性もあるため、問題がある。従って、5’キャップキャプチャー分子連結プライマーを使用しない新規なRCR法が強く望まれている。
【0005】
今年2021年には、アルファウイルスのRdRpとその結合/認識部位である19ヌクレオチド3’-保存配列要素(19-nucleotide (nt) 3’-conserved sequence element (3’-CSE))を用いた別のRCR法がBloom等によって提案された(Gene Therapy 28:117-129,2021)。ブルームの方法では、5’-キャップキャプチャープライマーを使用しないが、使用する3’-CSEが長すぎて構造的すぎるため、所望のRNAテンプレートに効率よく組み込むことができない。日常業務では、RdRp増幅が可能なRNAテンプレートを作製するために、従来の方法である、ポリメラーゼ連鎖反応-in vitro転写(polymerase chain reaction-in vitro transcription(PCR-IVT))が一般的に用いられている(図1、Linに対する米国特許第7,662,791号、第8,080,652号、第8,372,969号、および第8,609,831号;Methods Mol Biol.221:93-101、2003、Lin等による)。しかしながら、19-ntの3’-CSEは、PCRプライマーに配置するには長すぎて構造的すぎる。また、3’-CSEは高度に構造化されたRNA配列であるため、RNAの転写を妨げ(McDowell等、Science 266:822-825、1994)、従来のIVT法では効率的に生産できない。また、最も問題なのは、3’-CSEがアルファウイルスRdRpによって特異的に認識されることであるが、これは市販されているものではないため、関連技術の開発がさらに妨げられてしまう。異なるウイルスのレプリカーゼ/RdRp種の性質が異なっていることを考慮すると、従来のRCR法の問題点を克服するためには、より簡潔で少ない構造的な結合/認識部位を有する別の種類のレプリカーゼ/RdRp酵素を探索して使用することが望ましい。
【0006】
これまでのRCR法の欠点に鑑み、本明細書では、レプリカーゼおよび/またはRdRpのより簡潔で少ない構造的な結合/認識部位を用いるだけでなく、高効率のRNA増幅および産生のために5’-キャップキャプチャープライマーを用いない、新規なRCR法を開発することが強く望まれている。
【発明を実施するための形態】
【0007】
発明の概要:
本発明の原理は、少なくともコロナウイルスおよび/またはC型肝炎ウイルス(HCV)のレプリカーゼ/RdRp結合(認識)部位を所望のRNAテンプレートの5’末端または3’末端、あるいはその両方に組み込み、所望のRNA配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれか、あるいはその両方のサイクリング増幅(cycling amplification)をもたらすことに依拠する。RCRでは、定義されたレプリカーゼ/RdRp結合部位は、レプリカーゼ/RdRp活性のプロモーターおよび/またはエンハンサーとして機能する。図2に示すように、所望のRNAテンプレートの5’末端および/または3’末端に少なくとも一つのレプリカーゼ/RdRp結合部位を組み込んだ後、レプリカーゼ/RdRpサイクリング反応(RCR)の各サイクルで、所望のRNA配列を約15倍から1000倍以上に増幅することができる。RCRでは、センス鎖RNA配列は、センス鎖RNAのアンチセンス鎖を増幅するためのテンプレートとなり、アンチセンス鎖RNA配列は、センス鎖RNAを増幅するためのテンプレートとなる。RCRの各サイクルは、所望のRNA配列の長さおよび構造的複雑さに応じて、規定された時間内に約15倍から1000倍以上のRNA増幅率を提供することができるので、所望のRNA鎖は、センス鎖RNAまたはアンチセンス鎖RNA、あるいはその両方のRCRの停止点に応じて、比較的高い純度比(最大で14/15から>999/1000の純度)で得ることができる。注目すべきは、RCRにおける所望のRNA配列とテンプレートは一種類以上であることができ、得られるRNA産物は一本鎖でも二本鎖でもよいことである。
【0008】
RCR対応のRNAテンプレートを調製するために、まず逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いて、所望のRNA配列の相補的DNA(cDNA)の5’末端または3’末端、あるいはその両方に、少なくともコロナウイルスおよび/またはHCVのレプリカーゼ/RdRp結合部位を組み込む。我々の特別な設計では、少なくとも一つのレプリカーゼ/RdRp結合部位がPCRプライマー(RCR対応PCRプライマーと呼ばれる)のそれぞれに合成的に組み込まれ、それゆえ、RT-PCR後に、5’末端または3’末端、あるいはその両方に組み込まれた設計されたレプリカーゼ/RdRp結合部位を有するRCR対応RNAテンプレートのcDNAが形成される。なお、得られたcDNAをプラスミドやウイルスベクターにクローニングし、IVT反応および/またはストレージ保存に利用することもできる。そして、IVT反応を行い、cDNAから目的のRCR対応RNAテンプレートを作製する。その後、得られたRCR対応RNAテンプレートをRCRで使用し、所望のRNA配列を繰り返し増幅及び生産することができる。なお、実際の実施では、IVTとRCRは全く同じバッファー条件下で同時に実施することもできるので、本明細書では、レプリカーゼ/RdRp結合部位を組み込んだcDNA(RCR対応cDNAテンプレートと呼ばれる)は、組み合わせたIVT-RCR反応において所望のRNA配列を増幅するための出発物質とすることも好ましい。
【0009】
本発明者等は、17株以上のコロナウイルスおよびHCVのRNAゲノムをコンピュータースクリーニングした結果、5’末端および3’末端のRdRp結合部位をそれぞれ含む、いくつかの保存されたRdRp結合部位を同定した。具体的には、5’末端RdRp結合部位は、5’-AU(G/C)(U/-)G(A/U)-3’(すなわち、5’-AUSUGW-3’;配列番号1)又は5’-U(C/-)(U/A)C(U/C)(U/A)A-3’(すなわち、5’-UCWCYWA-3’;配列番号2)の少なくともいずれか一方、又はその両方の配列を含む。好ましくは、5’末端RdRp結合部位は、5’-AUCUGU-3’(配列番号3)、5’-UCUCUAA-3’(配列番号4)、5’-UCUCCUA-3’(配列番号5)、および/または5’-UUCAA-3’(配列番号6)、若しくはそれらの組み合わせを含む配列から選択される。一方、3’末端のRdRp結合部位は、5’-(U/A)C(A/-)(C/G)AU-3’(すなわち、5’-WCASAU-3’;配列番号7)、または5’-U(A/U)(A/G)G(A/U)(G/-)A-3’(すなわち、5’-UWRGWR-3’;配列番号8)の少なくともいずれか一方、又はその両方の配列を含む。好ましくは、3’末端RdRp結合部位は、5’-ACAGAU-3’(配列番号9)、5’-UUAGAGA-3’(配列番号10)、5’-UAGGAGA-3’(配列番号11)、および/または5’-UUGAA-3’(配列番号12)、若しくはそれらの組み合わせを含む配列から選択される。また、RCR対応PCRプライマーの設計を促進するために、これらのRdRp結合部位のウリジン/ウラシル(U)成分(contents)をプライマー中のチミジン(dT)および/またはデオキシウリジン(dU)で置換することができる。また、RNAの安定性を高めるために、これらのRdRp結合部位のウリジン/ウラシル(U)成分(contents)を、IVTおよび/またはRCRの間に、シュードウリジンまたは他の修飾ヌクレオチド類似体でさらに置換することができる。これらRdRp結合部位の新規な知見と設計により、現在利用可能なコロナウイルスRdRp酵素は、in vitro、ex vivo、in vivoにおいて、所望のRNA配列のセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれか、あるいは両方を効率的に転写および増幅するために使用することができる。
【0010】
さらに、これら新たに同定された5’末端と3’末端のRdRp結合部位は、異なるRNA増幅率をもたらす。例えば、配列番号1および配列番号7の増幅率は、所望のRNA配列の長さおよび構造的複雑さに応じて、RCRサイクルあたり約25~1400倍であると推定され、一方、配列番号2および配列番号8の増幅率は、RCRサイクルあたり約10~900倍であると推定される。このように増幅の優先傾向が異なるため、RdRp結合部位の組み合わせを変えて、一方のRNA鎖を他方のRNA鎖よりも選択的に増幅したり、ある種のRNA鎖を他種のRNA鎖より選択的に増幅したりすることができる。この手段により、所望のRNA配列の比較的純粋な一本鎖および/または二本鎖RNA産物をRCRにより生成および回収し、さらに他の方法で精製することができる。
【0011】
好ましい一実施形態では、所望のRNA配列(すなわち、mRNAおよび/またはマイクロRNA、あるいは他種のRNA種)は、その5’および3’末端領域の両方に少なくとも一つのRdRp結合部位を含む。所望のRNAの両末端は、レプリカーゼ/RdRp活性を有するRNA増幅のための少なくとも一つのRdRp結合部位を有するので、センス鎖RNA配列は、その相補的アンチセンスRNA(cRNAまたはaRNA)を増幅するために使用することができ、一方、アンチセンス鎖RNA配列は、センスRNAの増幅にも使用することができ、これによりセンス鎖RNAとアンチセンス鎖RNAの両方の増幅サイクルが形成されて、所望のRNAの増幅率が最大となる。このようにして得られた所望のRNAは、RCRの停止点に応じて、一本鎖または二本鎖のいずれかの構造になり得る。また、得られたセンス鎖RNAおよびアンチセンス鎖RNAは、さらに二本鎖RNAを形成し、所望のRNA配列のsiRNA、shRNA、miRNA、および/またはpiRNAの生成を促進することができる。
【0012】
あるいは、別の好ましい実施形態では、所望のRNA配列は、その5’末端または3’末端領域のいずれか一方に少なくとも一つのRdRp結合部位を含む。このようにして、所望のRNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかを選択的に増幅することができ、所望のRNA鎖のより特異的な増幅が可能となる。特に、このアプローチは、特定の機能性タンパク質やウイルス抗原または抗体のmRNAまたはアンチセンスRNA(aRNA)のいずれかを生成及び増幅するのに有用であり、mRNAワクチンおよび/またはRNA/抗体ベースの医薬の開発を促進する。このようにして得られたmRNAワクチンおよびRNA/抗体ベースの医薬は、特に限定されるものではないが、アルツハイマー病、パーキンソン病、運動ニューロン疾患、脳卒中、糖尿病、心筋梗塞、血友病、貧血、白血病、および様々な癌、ならびに様々なウイルス感染症および細菌感染症を含む様々な人間の疾患の治療に役立つ可能性がある。
【0013】
考えられることは、我々の新しいRCR法は、少なくとも一つのRdRp結合部位を持つあらゆる種類のRNA種、特に、抗ウイルスおよび/または抗疾患ワクチンや医薬などの開発に有用なウイルス抗原mRNAおよび/または既知の機能性RNA/mRNAを産生したり増幅したりするために使用することができる。例えば、RCR対応RNAテンプレートと単離されたコロナウイルスRdRp mRNAをヒト体細胞にコトランスフェクション(共導入)することにより、我々の2つの米国優先権特許出願(Linに対する米国仮特許出願第63/270,034号および第63/280,226号)は、iPS細胞作製の新規な方法を実証した。これに対して、当業者であれば、iPS細胞作製のために、特許請求されたmiR-302マイクロRNA前駆体(pre-miRNA)の代わりに、3-/4-山中因子mRNA(three-/four-Yamanaka-factor mRNAs)(すなわち、Oct4/3、Sox2、Nanogおよび/またはLin-28)を使用することを予想することができる。あるいは、別の優先権特許出願(Linに対する米国特許出願第17/489,357号)に示されているように、私たちは、新規なmRNAワクチンやウイルス感染症および癌を治療するための医薬をそれぞれ作製するための、RdRpを介した自己増幅可能なRNA(saRNA)の新しい設計を開発した。さらに、RCRで増幅されたmRNAは、コードされたタンパク質、ペプチドおよび/または抗体を産生するためのin-vitroの翻訳システムでさらに使用することができる。これらの先行発明で証明された成果を考慮すると、本発明の潜在的応用の多くの発展が大いに期待される。
【0014】
高度に構造化されたRNAテンプレートとRdRp mRNAを効率的に生成するために、我々の優先権特許出願(Linに対する米国特許出願第17/489,357号)では、高度に構造化されたRNA生成の低効率問題を克服するための新規なPCR-IVT法を開発した。従来、ヘアピン様RNA構造の存在はRNAの転写を大きく阻害することがよく知られているため、in vitroで高度に構造化されたRNAを効果的に生成することが当業者にとって予期できることだとするのは妥当ではない。事実、ヘアピンのようなステムループ構造は、原核生物のRNAポリメラーゼにとって本質的な転写終結のシグナルである(McDowell等、Science 266:822-825、1994)。この問題を解決するために、我々の優先的方法は、RNAポリメラーゼとヘリカーゼ活性を混合した新しいIVTシステムを採用する。IVTにおける(おそらくRCRにおいても同様であろうが)追加のヘリカーゼ活性は、DNA/RNAテンプレートと得られるRNA産物の両方の二次構造を著しく減少させ、高度に構造化されたRNAをはるかに効率的に生産する。したがって、IVT(およびRCRも同様)における混合したRNAポリメラーゼ/レプリカーゼとヘリカーゼ活性の効率を高めるとともに維持するために、改良されたバッファーシステムも使用される。興味深いことに、いくつかの先行研究では、ヘリカーゼが原核生物の転写終結に関与している可能性が報告されていたが、我々の研究では、IVT中のRNA増幅におけるヘリカーゼの機能は全く異なることが示された。
【0015】
in vitro、ex vivo又はin vivoでの細胞内デリバリー/トランスフェクションを促進するために、RCR対応cDNA/RNAテンプレートおよびRdRp mRNAは、特に限定されるものではないが、グリシルグリセリン由来化学物質、リポソーム、ナノ粒子、リポソームナノ粒子(LNP)、コンジュゲート分子、輸液/輸血用化学物質、遺伝子銃材料、エレクトロポレーション剤、トランスポゾン/レトロトランスポゾン、およびそれらの組み合わせから選択される少なくとも一つのデリバリー/トランスフェクション剤と混合、複合化、カプセル化、および/または製剤化することができる。
【0016】
RCR対応cDNA/RNAテンプレートをRNA/mRNAの生産および増幅に使用する利点には、(1)高いRNA収率、(2)高いRNA純度、(3)すべての反応材料を、RCRおよび/または組み合わせたIVT-RCR反応を行うための生化学的酵素キットにすることができるという容易な調製、(4)他のRT-PCRおよびIVT反応と互換性のある簡単な反応手順、(5)PCR装置または温度制御インキュベーターを使用して容易に達成できる簡単な装置要件、および(6)様々な潜在的応用、が含まれる。その結果、本発明のRCR対応cDNA/RNAテンプレートは、様々な所望のRNA/mRNA配列の産生および増幅に非常に有用であり、特に限定されるものではないが、mRNAワクチンおよびRNA/マイクロRNA関連の医薬の開発、ならびにタンパク質/ペプチド/抗体の生成を含むあらゆる種類の医薬および治療用途に使用できる。
【0017】
A.定義
本発明の理解を容易にするため、以下に多くの用語を定義する。
【0018】
核酸:一本鎖または二本鎖のデオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)のポリマー。
【0019】
ヌクレオチド:糖成分(ペントース)、リン酸、含窒素複素環式塩基からなるDNAまたはRNAの単量体単位。塩基はグリコシド炭素(ペントースの1’炭素)を介して糖成分に結合しており、塩基と糖の組み合わせがヌクレオシドである。ペントースの3'または5'位に少なくとも1つのリン酸基が結合したヌクレオシドがヌクレオチドである。DNAとRNAは、それぞれデオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドと呼ばれる異なるタイプのヌクレオチド単位から構成されている。
【0020】
デオキシリボヌクレオシド三リン酸塩(dNTPs):DNA合成のためのビルディングブロック分子であり、dATP、dGTP、dCTP、dTTPを含み、さらに修飾されたデオキシリボヌクレオチド類似体を含むこともある。
【0021】
リボヌクレオシド三リン酸(rNTPs):RNA合成のためのビルディングブロック分子であり、ATP、GTP、CTP、UTPを含み、シュードウリジンおよび他の修飾リボヌクレオチド類似体を含むこともある。
【0022】
ヌクレオチド類似体:アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)、ウラシル(U)とは構造的に異なるが、核酸分子中の通常のヌクレオチドを置換するのに十分な類似性を持つプリンまたはピリミジンヌクレオチド。
【0023】
オリゴヌクレオチド:DNAおよび/またはRNAの2つ以上、好ましくは3つ以上、通常は10個以上のモノマー単位からなる分子。13個のヌクレオチドモノマーより長いオリゴヌクレオチドは、ポリヌクレオチドとも呼ばれる。正確なサイズは多くの要因に依存し、それはオリゴヌクレオチドの最終的な機能または用途に依存して変わる。オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、RNA転写、逆転写、またはそれらの組み合わせなど、どのような方法で生成されてもよい。
【0024】
核酸組成物:核酸組成物とは、一本鎖または二本鎖の分子構造で、DNAまたはRNA配列、あるいはDNA/RNA混合配列などのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。
【0025】
遺伝子:そのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド配列がRNAおよび/またはポリペプチド(タンパク質)をコードする核酸組成物。遺伝子は、RNAでもDNAでもよい。遺伝子は、スモールヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、rRNA、tRNA、snoRNA、snRNA、およびそれらのRNA前駆体ならびに誘導体などの非コードRNAをコードすることができる。あるいは、遺伝子は、メッセンジャーRNA(mRNA)およびそのRNA前駆体ならびに誘導体など、タンパク質/ペプチド合成に必須なタンパク質コードRNAをコードしていてもよい。場合によっては、遺伝子は、少なくとも一つのマイクロRNAまたはshRNA配列も含むタンパク質コードRNAをコードすることもある。
【0026】
一次RNA転写産物(pre-mRNA):遺伝子から直接転写されたRNA配列であり、RNAプロセシングや修飾を伴わないものである。
【0027】
メッセンジャーRNA前駆体(pre-mRNA):タンパク質をコードする遺伝子の一次RNA転写産物であり、真核生物のII型RNAポリメラーゼ(Pol-II)組織(type-II RNA polymerase machineries)によって、転写と呼ばれる細胞内機構を介して産生される。pre-mRNA配列は、5’非翻訳領域(UTR)、3’UTR、エクソンおよびイントロンを含む。
【0028】
イントロン:インフレームイントロン(in-frame intron)、5’-UTR、3’-UTRなど、非タンパク質読み取りフレーム(non-protein-reading frames)をコードする遺伝子転写配列の一部または部分。
【0029】
エクソン:細胞遺伝子、成長因子、インスリン、抗体およびそれらの類似体/ホモログ、ならびに誘導体のためのcDNAなどの、タンパク質読み取りフレーム(protein-reading frames (cDNA))をコードする遺伝子転写配列の一部または全部。
【0030】
メッセンジャーRNA(mRNA):pre-mRNAエクソンの集合体であり、細胞内RNAスプライシング組織(例えばスプライソソーム)によってイントロンが除去された後に形成され、ペプチド/タンパク質合成のためのタンパク質コードRNAとして機能する。mRNAによってコードされるペプチド/タンパク質には、酵素、成長因子、インスリン、抗体およびそれらの類似体/ホモログ、ならびに誘導体が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
相補的DNA(cDNA):mRNA配列に相補的な配列を含み、イントロン配列を含まない一本鎖または二本鎖のDNA。
【0032】
センス:相同mRNA(homologous mRNA)と同じ配列順序及び組成の核酸分子。センス型は「+」、「s」または「sense」の記号で表示される。
【0033】
アンチセンス:それぞれのmRNA分子に相補的な核酸分子。アンチセンス型は、「-」の記号で表示されるか、または、「aDNA」や「aRNA」のように、DNAやRNAの前に「a」や「antisense」を付けて表示される。
【0034】
塩基対(bp):二本鎖DNA分子中のアデニン(A)とチミン(T)の相互関係、またはシトシン(C)とグアニン(G)の相互関係のこと。RNAでは、チミンの代わりにウラシル(U)が使われている。一般に、相互関係は水素結合によって達成される。例えば、センスヌクレオチド配列「5’-A-T-C-G-U-3’」は、アンチセンス配列「5’-A-C-G-A-T-3’」と完全に塩基対を形成することができる。
【0035】
5’末端:あるヌクレオチドの5’-水酸基が次のヌクレオチドの3’-水酸基とホスホジエステル結合で接合している連続するヌクレオチドにおける5’位のヌクレオチドが欠けた末端である。末端には、1つ以上のリン酸塩などの他の基が存在してもよい。
【0036】
3’末端:あるヌクレオチドの5’-水酸基が次のヌクレオチドの3’-水酸基にホスホジエステル結合で結合している連続するヌクレオチドの3’位のヌクレオチドが欠けた末端である。末端には他の基、多くの場合水酸基が存在してもよい。
【0037】
テンプレート:核酸ポリメラーゼによってコピーされる核酸分子である。テンプレートは、ポリメラーゼに応じて、一本鎖、二本鎖、または部分二本鎖、RNA若しくはDNAのいずれでもよい。合成されたコピーは、テンプレートに相補的であるか、二本鎖または部分的に二本鎖のテンプレートの少なくとも一本の鎖に相補的である。RNAもDNAも5’から3’の方向で合成される。核酸二重鎖の2本鎖は、常に2本鎖の5’末端が二重鎖の反対側の端になるように(必然的に3’端もそうなるように)整列している。
【0038】
核酸テンプレート:二本鎖DNA分子、二本鎖RNA分子、DNA-RNAあるいはRNA-DNAハイブリッドなどのハイブリッド分子、又は一本鎖DNAあるいは一本鎖RNA分子である。
【0039】
保存:事前に選択された配列の正確な相補物に非ランダムにハイブリダイズする場合、事前に選択された(参照された)配列に対してヌクレオチド配列が保存されていると言える。
【0040】
相同性(Homologous or Homology):ポリヌクレオチドと遺伝子又はmRNA配列との類似性を示す用語である。核酸配列は、例えば、特定の遺伝子やmRNA配列と部分的または完全に相同であることがある。相同性は、ヌクレオチドの総数に対する類似ヌクレオチドの数によって決定される割合で表すことができる。
【0041】
相補性又は相補的(Complementary or Complementarity or Complementation):前述の「塩基対(bp)」の規則で関連付けられた2つのポリヌクレオチド(すなわち、mRNAとcDNAの配列)間でマッチした塩基対(matched base pairing)を指す用語である。例えば、「5’-A-G-T-3’」という配列は、「5’-A-C-T-3’」だけでなく「5’-A-C-U-3’」にも相補的である。相補性は、2本のDNA鎖間、DNA鎖とRNA鎖間、2本のRNA鎖間であり得る。相補性は「部分的」であっても「完全(complete)」であっても「全体的(total)」であってもよい。部分的な相補性又は相補的(Partial complementarity or complementation)は、核酸塩基の一部のみが塩基対形成規則に従ってマッチする場合に生じる。完全又は全体的な相補性(Complete or total complementarity or complementation)は、塩基が核酸鎖間で完全にまたは完璧にマッチする場合に生じる。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリダイゼーションの効率と強さに大きな影響を与える。これは、増幅反応や、核酸同士の結合に依存する検出方法において特に重要である。相補性の割合は、核酸の1本の鎖の全塩基数に対するミスマッチ塩基(mismatch bases)数の割合を指す。したがって、50%の相補性は、半分の塩基がミスマッチで、半分がマッチしていることを意味する。塩基数が2本の鎖で異なっていても、核酸の2本鎖が相補的になることがある。この場合、長い方の鎖の塩基が短い方の鎖の塩基と対になっている部分の間で相補性が生じる。
【0042】
相補的塩基:DNAまたはRNAが二本鎖構造をとる際に、通常対になるヌクレオチドである。
【0043】
相補的ヌクレオチド配列:他の一本鎖上のヌクレオチドと十分に相補的で、二本鎖間で特異的にハイブリダイズし、結果として水素結合が生じる、DNAまたはRNAの一本鎖分子におけるヌクレオチド配列。
【0044】
ハイブリダイズおよびハイブリダイゼーション:塩基対を介して複合体を形成するのに十分な相補性を持つヌクレオチド配列間の二重鎖の形成を指す。プライマー(またはスプライステンプレート)が標的(テンプレート)と「ハイブリダイズ」する場合、そのような複合体(またはハイブリッド)は、DNA合成を開始するためにDNAポリメラーゼに要求されるプライミング機能を果たすのに十分安定である。2つの相補的なポリヌクレオチドの間には、特異的な、すなわち非ランダムな相互作用が存在し、競合的に阻害されることがある。
【0045】
転写後遺伝子サイレンシング(Posttranscriptional Gene Silencing):mRNAの分解や翻訳抑制のレベルで標的遺伝子をノックアウトまたはノックダウンする効果であり、通常、外来/ウイルスのDNAまたはRNA導入遺伝子、若しくは低分子抑制RNA(small inhibitory RNAs)のいずれかが引き金となる。
【0046】
RNA干渉(RNAi):真核生物における転写後の遺伝子サイレンシングで、マイクロRNA(miRNA)、スモールヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉RNA(small interfering RNA(siRNA))などの低分子阻害性RNA分子(small inhibitory RNA molecules)が引き金となり得る。これらの低分子RNA分子は通常、遺伝子サイレンサーとして機能し、低分子RNAに完全または部分的に相補な部分を含む細胞内遺伝子の発現を阻害する。
【0047】
マイクロRNA(miRNA):miRNAと部分的に相補性を持つ標的遺伝子の転写産物に結合することができる一本鎖RNA。miRNAは通常17-27オリゴヌクレオチド程度の長さで、miRNAとその標的mRNAの相補性に応じて、細胞内の標的mRNAを直接分解(degrade)したり、標的mRNAのタンパク質翻訳を抑制したりすることが可能である。天然のmiRNAは、ほぼ全ての真核生物に存在し、ウイルス感染に対する防御や、動植物の発達過程における遺伝子発現の制御を可能にしている。
【0048】
マイクロRNA前駆体(Precursor MicroRNA(Pre-miRNA)):ヘアピン状の一本鎖RNAであり、細胞内のRNaseIIIエンドリボヌクレアーゼと相互作用し、マイクロRNA配列と相補的な遺伝子又は標的遺伝子をサイレンシングできる1つまたは複数のマイクロRNA(miRNA)を生成するためのステムアーム領域とステムループ領域を持つ。Pre-miRNAのステムアームは、完全(100%)または部分的(ミスマッチ)なハイブリッド二重鎖を形成することでき、ステムループはステムアーム二重鎖の一端を連結して円またはヘアピンループ構造を形成する。ただし、本発明では、マイクロRNAの前駆体はpri-miRNAも含むことができる。
【0049】
低分子干渉RNA(small interfering RNA(siRNA)):約18~27個の完全な塩基対リボヌクレオチド二重鎖(perfectly base-paired ribonucleotide duplexes)のサイズであり、ほぼ完全に相補的な標的遺伝子転写物を分解することができる短い二本鎖RNAである。
【0050】
スモール又はショートヘアピンRNA(small or short hairpin RNA(shRNA)):一本鎖RNAで、部分的または完全にマッチしたステムアームヌクレオチド配列のペアが、ミスマッチのループまたはバブルオリゴヌクレオチド(loop or bubble oligonucleotide)で分割され、ヘアピン状の構造を形成したものである。多くの天然miRNAは、スモールヘアピン様RNA前駆体、すなわちマイクロRNA前駆体(pre-miRNA)に由来する。
【0051】
ベクター:異なる遺伝子環境(genetic environments)中を移動及び滞留可能な組換えDNA(rDNA)などの組換え核酸組成物である。一般に、そこに別の核酸が作動可能に連結されている。ベクターは、細胞内で自律的に複製することが可能であり、その場合、ベクターおよび付随するセグメントが複製される。好ましいベクターの1つのタイプは、エピソーム、すなわち、染色体外複製(extrachromosomal replication)が可能な核酸分子である。好ましいベクターは、核酸の自律的な複製および発現が可能なベクターである。1つ以上のポリペプチドおよび/またはノンコーディングRNAをコードする遺伝子の発現を指示することができるベクターは、本明細書において「発現ベクター(expression vectors)」または「発現可能ベクター(expression-competent vectors)」と呼ばれる。特に重要なベクターは、逆転写酵素を用いて産生されたmRNAからcDNAをクローニングすることを可能にする。ベクターは、ウイルスまたはII型RNAポリメラーゼ(Pol-IIまたはpol-2)プロモーター、あるいはその両方、コザックコンセンサス翻訳開始点(Kozak consensus translation initiation site)、ポリアデニル化シグナル、複数の制限/クローニングサイト、pUC複製起点(pUC origin of replication)、複製可能原核細胞(replication-competent prokaryoticcells)において少なくとも抗生物質耐性遺伝子を発現するためのSV40アーリープロモーター(SV40 early promoter)、哺乳動物細胞における複製のためのオプショナルSV40起点(optional SV40 origin)、及び/又はテトラサイクリン応答性要素(tetracycline responsiveelement)からなる構成要素を含むことができる。ベクターの構造は、プラスミド、ウイルスベクター、トランスポゾン、レトロトランスポゾン、DNA導入遺伝子(DNA transgene)、ジャンピング遺伝子(jumping gene)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される一本鎖または二本鎖DNAの線形または環状の形態であり得る。
【0052】
プロモーター:ポリメラーゼ分子が認識し、おそらく結合し、RNAの転写を開始する核酸。本発明の目的によると、プロモーターは、既知のポリメラーゼ結合部位、エンハンサー等であり得、所望のポリメラーゼによるRNA転写産物の合成を開始させることができる任意の配列であり得る。
【0053】
RNAプロセシング:RNAの成熟、修飾、分解を担う細胞機構であり、RNAスプライシング、イントロン切除、エクソソーム消化、ナンセンス依存分解(nonsense-mediated decay (NMD))、RNA編集、RNAプロセシング、5’末端キャッピング、3’末端ポリ(A)テーリング、およびそれらの組合せが含まれる。
【0054】
遺伝子導入:ポリソームトランスフェクション(polysomal transfection)、リポソームトランスフェクション、化学(ナノ粒子)トランスフェクション、エレクトロポレーション、ウイルス感染、DNA組み換え、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子挿入(jumping gene insertion)、マイクロインジェクション、遺伝子銃ペネトレーション(gene-gun penetration)、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される遺伝子工学的方法である。
【0055】
遺伝子工学:DNAの制限およびライゲーション(DNA restriction and ligation)、相同組換え、導入遺伝子組み込み(transgene incorporation)、トランスポゾン挿入、ジャンピング遺伝子組み込み(jumping gene integration)、レトロウイルス感染、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるDNA組換え方法である。
【0056】
トランスフェクト細胞:体細胞、組織細胞、幹細胞、生殖細胞、腫瘍細胞、がん細胞、ウイルス感染細胞、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細胞内に、少なくとも一つの核酸配列またはタンパク質/ペプチド分子を人為的に挿入した後の単一または複数の真核細胞。
【0057】
抗体:あらかじめ選択されたリガンドと結合できる受容体をコードする、あらかじめ選択された保存ドメイン構造(conserved domain structure)を有するペプチドまたはタンパク質分子である。
【0058】
医薬および/または治療用途:幹細胞作製、医薬/ワクチン開発、非トランスジェニック遺伝子治療、癌治療、疾患治療、創傷治癒、組織/臓器修復および再生、タンパク質/ペプチド/抗体、医薬成分、医薬、ワクチンおよび/または食品の高収率生産、ならびにこれらの組み合わせに有用な生物医学的利用および/または装置。
【0059】
B.組成物及び用途
(a)5’末端または3’末端のRdRp結合部位の少なくともいずれか一方、若しくはその両方を含む少なくとも一つのRNA配列を提供し、
(b)コロナウイルスまたはC型肝炎ウイルス(HCV)のRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)から単離または改変された少なくとも一つのRNAレプリカーゼを提供し、
(c)RNAレプリカーゼを介在した前記RNA配列の製造および増幅を生じさせるように、(a)のRNA配列と(b)のRNAレプリカーゼをバッファー条件下で混合する、
ことを含み、
前記バッファー条件は、RNA合成に必要なリボヌクレオシド三リン酸分子(rNTPs)を含み、pHが6.0~8.0の範囲であり、温度が20℃~45℃の範囲である、
RNAレプリカーゼを介した新規なRNA増幅方法。
【0060】
コロナウイルスおよび/またはHCV RdRp酵素の場合、5’末端RdRp結合部位は、5’-AUSUGW-3’(配列番号1)または5’-UCWCYWA-3’(配列番号2)の少なくともいずれか一方の配列、もしくは両方の配列を含む。好ましくは、5’末端RdRp結合部位は、5’-AUCUGU-3’(配列番号3)、5’-UCUCUAA-3’(配列番号4)、5’-UCUCCUA-3’(配列番号5)、および/または5’-UUCAA-3’(配列番号6)、またはそれらの組み合わせを含むRNA配列から選択される。一方、3’末端RdRp結合部位は、5’-WCASAU-3’(配列番号7)または5’-UWRGWR-3’(配列番号8)の少なくともいずれか一方の配列、もしくはその両方の配列を含む。好ましくは、3’末端RdRp結合部位は、5’-ACAGAU-3’(配列番号9)、5’-UUAGAGA-3’(配列番号10)、5’-UAGGAGA-3’(配列番号11)、および/または5’-UUGAA-3’(配列番号12)、またはそれらの組み合わせを含むRNA配列から選択される。これらのRdRp結合部位をPCRプライマーに組み込むために、これらのRdRp結合部位のウリジン/ウラシル(U)成分(contents)を、プライマー中のチミジン(dT)および/またはデオキシウリジン(dU)で置換することができる。また、RNAの安定性を向上させるために、これらのRdRp結合部位のウリジン/ウラシル(U)成分(contents)および得られるRNA産物を、シュードウリジンまたは他の修飾ヌクレオチド類似体で置換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
図面を参照するが、説明を目的とするものであり、限定されるものではない。そこには以下の記載がある。
【0062】
図1】従来のPCR-IVT法の段階的な手順を示している。RNA製造のためには、このPCR-IVT法の一部または全部の手順を、所望のRNA産物の単一または複数サイクルの増幅のために採用することができる。
【0063】
図2】本発明のRCR法の段階的な手順を示している。RCR対応cDNA/RNAテンプレートを調製するために、従来のRT-PCR法を用いて、少なくとも一つのコロナウイルスおよび/またはHCVレプリカーゼ/RdRp結合部位を所望のRNA配列のcDNAの5’末端または3’末端、あるいはその両方に組み込む。次に、この新規なRCR法の一部または全部の手順を用いて、単一または複数サイクルの増幅後に、RCR対応cDNA/RNAテンプレートから所望のRNA配列を産生して増幅する。あるいは、IVTとRCR法は同じバッファー条件下で同時に行うことができるので、RCR対応cDNA/RNAテンプレートは、組み合わせたIVT-RCR反応において所望のRNA配列を増幅するための出発物質としても使用することができる。
【0064】
図3】RCR対応cDNA/RNAテンプレートの設計された構造を示している。RCR対応cDNAテンプレートは二本鎖DNA構造(IVTおよび組み合わせたIVT-RCR反応に有用)であり、一方で、RCR対応RNAテンプレートは一本鎖RNA構造(RCRに有用)であることに注意されたい。RCR対応RNAテンプレートの安定性をさらに高めるために、テンプレートのウリジン/ウラシル(U)成分をシュードウリジンまたは他の修飾ヌクレオチド類似体で置き換えることができる。
【0065】
図4】RCR対応miR-302前駆体マイクロRNA(pre-miR-302)およびウイルスRdRp mRNAテンプレート(最も右に示す)でコトランスフェクションした後のトランスフェクトされたヒト細胞におけるmiR-302マイクロRNA(すなわち、上から下:b、c、d、a)及びRdRp mRNAの発現が、pre-miR-302テンプレート(真ん中)のみでトランスフェクションした細胞の結果と比較して著しく増加したノーザンブロット分析結果を示し、細胞におけるRCRの証拠を示している。
【0066】
図5】RCR対応cDNAおよびRNAテンプレート、ならびに得られた目的の増幅RNA産物(すなわち、ウイルス抗原タンパク質/ペプチドのmRNA配列)のノーザンブロット分析結果を示し、in vitroでのRCRの証拠を示している。
【0067】
図6】RCR増幅Sタンパク質mRNA(図5から)および単離RdRp mRNA(図4から)でコトランスフェクションした後、in vivoのマウス筋肉細胞で産生されたコロナウイルス(例えば、COVID-19)S2タンパク質の免疫組織化学染色を示し、本発明が抗ウイルスmRNAワクチンの開発および製造に有用であることを示している。
【0068】
実施例:
1.ヒト細胞の単離と培養
出発組織細胞は、Aasenのプロトコル(Nat. Protocols 5,371-382,2010)を用いて酵素的に解離した皮膚細胞か、単にヘパリン処理した末梢血細胞のバフィーコート画分から得ることができる。単離した組織サンプルは新鮮に保ち、4mg/mLのコラゲナーゼIと0.25%のTrypLEを15~45分間、細胞密度に応じて混合することで直ちに使用する必要があり、トリプシン阻害剤を含むHBSSで2回リンスした後、0.3mLのフィーダーフリーSFM培地(IrvineScientific,CA)を入れた滅菌済みマイクロチューブに移した。その後、マイクロチューブインキュベーターにより37℃で1分間振盪して細胞をさらに解離させ、0.3mLの細胞懸濁液全体を、製剤化したpre-miR-302+RdRp mRNA混合物、LIF、およびbFGF/FGF2、またはその他の任意に定義した因子(other optional defined factors)を添加したフィーダーフリーSFM培地1mLを含む35mmマトリゲルコート培養皿に移した。pre-miR-302+RdRp mRNA混合物、LIF、bFGF/FGF2、および他の任意に定義された因子の濃度は、細胞培養培地中でそれぞれにおいて、0.1~500マイクログラム(μg)/mLの範囲である。細胞培養培地と全ての添加物は2~3日ごとにリフレッシュする必要があり、細胞をトリプシン/EDTAに1分間さらし、トリプシン阻害剤を含むHBSSで2回すすぐことにより、約50~60%コンフルエントで継代する。ASCの増殖のために、製剤化されたpre-miR-302+RdRp mRNA混合物、LIF、bFGF/FGF2、および/または他の任意に定義された因子を添加した新鮮なフィーダーフリーMSC Expansion SFM培養培地に、細胞を1:5~1:500希釈で再播種した。ケラチノサイトを培養する場合、細胞を皮膚組織から単離し、ヒトケラチノサイト増殖サプリメント(HKGS、Invitrogen、Carlsbad、CA)を添加したEpiLife無血清細胞培養培地中で、適切な抗生物質の存在下、37℃、5%COの条件で培養する。培養細胞は、トリプシン/EDTA溶液に1分間さらし、フェノールレッドを含まないDMEM培地(Invitrogen)で1回すすぐことにより、50~60%のコンフルエントで継代し、剥離した細胞は、HKGSサプリメントを添加した新鮮なEpiLife培地で1:10の希釈率で再播種する。ヒトがん細胞および正常細胞株A549、MCF7、PC3、HepG2、Colo-829およびBEAS-2Bは、American Type Culture Collection(ATCC、Rockville、MD)または共同研究者から入手し、製造業者または提供者の提案に従って維持した。リプログラミング後、得られたiPS細胞(iPSC)は、LinのフィーダーフリーまたはTakahashiのフィーダーベースのiPSC培養プロトコルに従って培養および維持した(Lin等、RNA 14:2115-2124,2008;Lin等,Nucleic Acids Res.39:1054-1065,2011;Takahashi KおよびYamanaka S,Cell 126:663-676,2006)。
【0069】
2.In-Vitro RNAトランスフェクション
細胞内導入/トランスフェクションのために、0.5~200μgのRCR増幅RNA/mRNA(すなわち、pre-miR-302またはコロナウイルスSタンパク質mRNA)とRdRp mRNAの混合物(比率は約20:1から1:20の範囲)を0.5mlの新鮮な細胞培養培地に溶解し、1~50μlのIn-VivoJetPEIまたは他の同様のトランスフェクション試薬と混合する。10~30分間インキュベートした後、培養細胞の50~60%コンフルエントを含む細胞培地に混合物を加える。培地は、細胞の種類にもよるが、12~48時間ごとにリフラッシュする。このトランスフェクション手順は、トランスフェクション効率を上げるために繰り返し行うことができる。
【0070】
3.RCR対応cDNA/RNAテンプレートの調製
所望のRNA/mRNAの逆転写(RT)は、単離したRNA/mRNAの約0.01ng~10マイクログラム(μg)を、メーカーの提案に従い、20~50μLのRT反応液(SuperScript III cDNA RT kit,ThermoFisher Scientific,MA,USA)に加えて行う。RNA/mRNAの量にもよるが、RT反応混合物にはさらに約0.01~20nモルのRTプライマー、適量のデオキシリボヌクレオシド三リン酸分子(dNTPs)、及び逆転写酵素を1xRTバッファーに含む。次に、このRT反応を、所望のRNA/mRNA配列の長さと構造の複雑さに応じて、37~65℃で1~3時間インキュベートし、次のステップのPCRのための相補的DNA(cDNA)テンプレートを作成する。ウイルスRdRp mRNAの単離のために、我々はRT-リバースプライマー5’-GACAACAGGT GCGCTCAGGT CCT-3’(配列番号13)を設計し、コロナウイルスRdRp cDNAを生成するために使用した。
【0071】
次に、メーカーの提案に従って、20~50μLのPCR調製用混合物(High-Fidelity PCR master kit,ThermoFisher Scientific,MA,USA)に、約0.01pg~10μgのRT-由来cDNAを加えることで、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を行う。その後、PCR混合物は、まずインキュベートされて、所望のcDNA配列の構造と長さに応じて、94℃で1分間の変性、30~55℃で30秒~1分間のアニーリング、そして72℃で1~3分間の伸長を行うサイクルを5~20サイクル行う。その後、得られたPCR産物の構造と長さに応じて、94℃で1分間の変性、50~58℃で30秒間のアニーリング、72℃で1~3分間の伸長という一連のサイクリング手順を繰り返しながら、さらに10~20サイクルのPCRを行う。最後に、得られたPCR産物をIVTおよびRCRのためのcDNAテンプレートとして使用する。IVT-RCRテンプレートの調製のために、私たちは、同定されたRdRp結合部位をPCR由来のRdRp cDNAテンプレートに組み込むための、配列番号13および5’-GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAG GTATGGTACT TGGTAGTT-3’(配列番号14)を含む特定のRCR対応PCRプライマー対を設計し使用する。その後、得られたIVT-RCRのmRNA産物に5’キャップ分子がさらに組み込まれることがある。一方、私たちはまた、同定されたRdRp結合部位をヒトpre-miR-302ファミリアルクラスター(pre-miR-302)のPCR由来のcDNAテンプレートに組み込むための、5’-GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAT CTGTGGGAAC TAGTTCAGGA AGGTAA-3’(配列番号15)および5’-GTTCTCCTAA GCCTGTAGCC AAGAACTGCA CA-3’(配列番号16)を含む別のRCR対応PCRプライマー対を設計して使用する。プライマー設計では、T7、T3、および/またはSP6プロモーターなど、RNAプロモーターとRdRp結合部位のさまざまな配列および組み合わせを使用することができ、少なくとも1つのRdRp結合部位が5’末端および/または3’末端プライマーに組み込まれる。
【0072】
RCR対応RNA/mRNAテンプレートを生成する場合、少なくとも一つのプロモーターと少なくとも一つのRdRp結合部位が、得られたPCR由来cDNA産物(RCR対応cDNAテンプレートとして機能)に組み込まれるため、次にIVT-RCR反応を実施することができ、cDNAテンプレートから所望のRNA/mRNA配列が増幅される。IVT-RCR反応混合物には、0.01ng~10μgのPCR由来cDNA産物、0.1~50Uの単離されたコロナウイルスRdRp/ヘリカーゼ(Abcam、MA、USA/Creative Enzymes、NY)、適切な量のリボヌクレオシド三リン酸分子(rNTP)およびRNAポリメラーゼ(すなわち、T7、T3、またはSP6)が1x転写バッファーに含まれる。転写バッファーは市販されており、メーカーの提案に従ってさらに調整することができる。好ましくは、1x転写バッファーは、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および/または3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、および/またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。次に、使用するRdRpおよびRNAポリメラーゼ酵素の安定性と活性に応じて、IVT-RCR反応を30~40℃で1~6時間インキュベートする。
【0073】
4.新規なRCRプロトコル
出発RCR混合物には、1x転写バッファー中に約0.01ng~10μgのRCR対応RNA/mRNAテンプレート、約0.1~50Uの単離したコロナウイルスRdRp/ヘリカーゼ、および適量のrNTPが含まれる。RdRp/ヘリカーゼは、追加のRNA巻き戻し活性を有するRdRp酵素、またはRdRpとヘリカーゼの混合物のいずれかである。転写バッファーは市販されており、メーカーの提案に従ってさらに調整することができる。また、1x転写バッファーは、0.001~10mMのベタイン(トリメチルグリシン、TMG)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、および/または3-(N-モルフォリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、および/またはそれらの組み合わせをさらに含むことができ、これは、ヘアピンやステムループ構造などの高度に構造化されたRNA/DNA配列の変性を促進する。その後、使用するRdRp酵素の安定性と活性に応じて、RCR反応を20~45℃で1~6時間インキュベートする。
【0074】
5.RNA精製とノーザンブロット分析
メーカーのプロトコルに従って、mirVana(登録商標)RNA単離キット(Ambion、Austin,TX)または同様の精製フィルターカラムを使用して、所望のRNA(10μg)を単離し、5%~10%TBE-尿素ポリアクリルアミドまたは1%~3.5%の低融点アガロースゲル電気泳動によってさらに精製する。ノーザンブロット分析では、ゲルで分画したRNAをナイロン膜上にエレクトロブロットする。RNAとそのIVTテンプレート(PCR由来のcDNA産物)の検出は、所望のRNAの標的配列に相補的な標識された[LNA]-DNAプローブを使用して行われる。プローブは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によってさらに精製され、色素標識ヌクレオチド類似体または[32P]-dATP(>3000Ci/mM、Amersham International,Arlington Heights,IL)の存在下で20分間、ターミナルトランスフェラーゼ(20ユニット)によりテール標識(tail-labeled)される。
【0075】
6.タンパク質抽出とウェスタンブロット分析
細胞(10)は、メーカーの推奨に従い、プロテアーゼ阻害剤、ロイペプチン、TLCK、TAME、およびPMSFを添加したCelLytic-M溶解/抽出試薬(Sigma)で溶解する。溶解物は12,000rpm、4℃で20分間遠心分離され、上清を回収する。タンパク質濃度は、E-maxマイクロプレートリーダー(Molecular Devices,CA)の改良されたSOFTmaxタンパク質アッセイパッケージを使用して測定される。各細胞溶解物30μgを還元(+50mM DTT)および非還元(DTTなし)条件下でSDS-PAGEサンプルバッファに添加し、3分間煮沸してから6~8%ポリアクリルアミドゲルにロードする。タンパク質は、SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)によって分離され、ニトロセルロース膜上にエレクトロブロットされて、Odysseyブロッキング試薬(Li-Cor Biosciences、Lincoln、NB)により室温で2時間インキュベートされる。次に、一次抗体を試薬に適用し、混合物を4℃でインキュベートする。一晩インキュベートした後、メンブレンをTBS-Tで3回リンスし、Alexa Fluor 680反応性色素に対するヤギ抗マウスIgG結合二次抗体(1:2,000;Invitrogen-Molecular Probes)に室温で1時間曝露する。さらに3回のTBS-Tリンスの後、Li-Cor Odyssey Infrared ImagerおよびOdyssey Software v.10(Li-Cor)を使用してイムノブロットの蛍光スキャンと画像分析を実施する。
【0076】
7.免疫染色アッセイ
細胞/組織サンプルは、100%メタノール中で、4℃で30分間固定され、その後4%パラホルムアルデヒド(1xPBS中、pH7.4)で、20℃で10分間固定される。その後、サンプルを0.1%~0.25%TritonX-100を含む1xPBS中で10分間インキュベートし、その後、1xPBSで5分間3回洗浄する。免疫染色では、一次抗体をそれぞれInvitrogen(CA、USA)およびSigma-Aldrich(MO、USA)から購入した。色素標識ヤギ抗ウサギ抗体またはウマ抗マウス抗体を二次抗体として使用する(Invitrogen、CA、USA)。結果は、Metamorphイメージングプログラム(Nikon)を備えた蛍光80i顕微鏡定量システム(fluorescent 80i microscopic quantitation system)の下で100倍または200倍の倍率で検査および分析される。
【0077】
8.In Vivoトランスフェクションアッセイ
RCRで増幅されたRNA/mRNAとRdRp mRNAの混合物(比率は約20:1~1:20の範囲)は、メーカー推奨のプロトコルに従って、In-VivoJetPEIトランスフェクション試薬または他の類似のLNPベースの送達/トランスフェクション剤などの適切な量の送達剤とよく混合し、その後、目的の用途に応じて、動物の静脈または筋肉に注射する。送達/トランスフェクション剤は、RNA内容物を分解から保護するだけでなく、in vitro、ex vivoおよび/またはin vivoにおける目的とする特定の標的細胞へのRNA/mRNAとRdRp mRNAの混合物の送達/トランスフェクションを促進するよう、増幅されたRNA/mRNAおよびRdRp mRNA混合物を混合、結合、カプセル化、または製剤化するために使用される。
【0078】
9.統計分析
すべてのデータは平均および標準偏差(SD)として示した。各試験群の平均値はMicrosoft ExcelのAVERAGEにより算出した。SDはSTDEVによって実施した。データの統計分析はOne-Way ANOVAにより実施した。TukeyおよびDunnettのt事後検定(Tukey and Dunnett’s t post hoc test)を使用して、各グループのデータ差異の有意性を特定した。p<0.05が有意であるとみなした(SPSS v12.0、Claritas Inc)。
【0079】
参照文献:
1.Shi-Lung Lin等に対するWO2002/092774。
2.Shi-Lung Lin等に対する米国特許第7,662,791号。
3.Shi-Lung Lin等に対する米国特許第8,080,652号。
4.Ying SY及びShi-Lung Linに対する米国特許第8,372,969号。
5.Shi-Lung Lin及びYing SYに対する米国特許第8,609,831号。
6.Shi-Lung Lin及びJi H;cDNA library construction using in-vitro transcriptional amplification.Methods Mol Biol.221:93-101,2003。
7.Bloom等;Self-amplifying RNA vaccines for infectious diseases.GeneTherapy 28:117-129,2021。
8.McDowell等;Determination of intrinsic transcription termination efficiency by RNA polymerase elongation rate.Science 266:822-825,1994。
9.Aasen等;Isolation and cultivation of human keratinocytes from skin or plucked hair for the generation of induced pluripotent stem cells.Nat.Protocols 5:371-382,2010。
10.Shi-Lung Lin等;Mir-302 reprograms humanskin cancer cells into a pluripotent ES-cell-like state.RNA 14:2115-2124,2008。
11.Shi-Lung Lin等;Regulation of somatic cell reprogramming through inducible mir-302 expression.Nucleic Acids Res.39:1054-1065,2011。
12.Takahashi K及びYamanaka S;Induction of pluripotent stem cells from mouse embryonic and adult fibroblast cultures by defined factors.Cell 126:663-676,2006。
【0080】
配列表
(1)全般情報:
(iii)配列の数:16

(2)配列番号1の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号1:
AUSUGW 6

(2)配列番号2の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号2:
UCWCYWA 7

(2)配列番号3の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号3:
AUCUGU 6

(2)配列番号4の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号4:
UCUCUAA 7

(2)配列番号5の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号5:
UCUCCUA 7

(2)配列番号6の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:5塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号6:
UUCAA 5

(2)配列番号7の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号7:
WCASAU 6

(2)配列番号8の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号8:
UWRGWR 6

(2)配列番号9の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:6塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号9:
ACAGAU 6

(2)配列番号10の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号10:
UUAGAGA 7

(2)配列番号11の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:7塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号11:
UAGGAGA 7

(2)配列番号12の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:5塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:RNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号12:
UUGAA 5

(2)配列番号13の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:23塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:YES

(xi)配列記述:配列番号13:
GACAACAGGT GCGCTCAGGT CCT 23

(2)配列番号14の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:48塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号14:
GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAG GTATGGTACT TGGTAGTT 48

(2)配列番号15の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:56塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:NO

(xi)配列記述:配列番号15:
GATATCTAAT ACGACTCACT ATAGGGAGAT CTGTGGGAAC TAGTTCAGGA AGGTAA 56

(2)配列番号16の情報:
(i)シーケンス特性:
(A)長さ:32塩基対
(B)タイプ:核酸
(C)ストランド(STRANDEDNESS):シングル
(D)トポロジー:直線

(ii)分子タイプ:DNA
(A)記述(DESCRIPTION):/desc=“synthetic”

(iii)仮説(HYPOTHETICAL):NO

(iv)アンチセンス:YES

(xi)配列記述:配列番号16:
GTTCTCCTAA GCCTGTAGCC AAGAACTGCA CA 32
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2024523006000001.app
【国際調査報告】