(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】遠位関節可動セクションを有する医療デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/04 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A61B18/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575386
(86)(22)【出願日】2022-06-09
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022072835
(87)【国際公開番号】W WO2022261653
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】カールソン スティーブン ティー
(72)【発明者】
【氏名】イエブネ ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】イエブネ スコット
(72)【発明者】
【氏名】ボルトハウス ブレイク
(72)【発明者】
【氏名】ラウニヤール ニラジ プラサド
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160KK70
4C160MM32
4C160MM53
4C160NN02
(57)【要約】
医療デバイスは、少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部の間に延びる内腔を有するシャフトであって、近位端部がハンドルに接続されている、シャフトと、を備え、シャフトが、遠位先端を含む遠位関節可動セクションを含み、遠位関節可動セクションは、一平面に沿った関節運動をするように構成されており、医療デバイスが更に、送達内腔を有する針であって、シャフトの内腔内に移動可能に配置されている針と、送達内腔と流体連通している蒸気発生器と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部の間に延びる内腔を有し、前記近位端部が前記ハンドルに接続されているシャフトと、
を備え、前記シャフトが、遠位先端を含む遠位関節可動セクションを含み、前記遠位関節可動セクションは、一平面に沿った関節運動をするように構成されており、
前記医療デバイスが更に、
送達内腔を有し、前記シャフトの前記内腔内に移動可能に配置されている針と、
前記送達内腔と流体連通している蒸気発生器と、
を備える、医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記遠位関節可動セクションを前記一平面に沿った少なくとも第1の方向に関節運動させるように構成された第1のアクチュエータを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータが更に、前記遠位関節可動セクションを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に関節運動させるように構成されている、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクチュエータにより移動するように構成されたカムと、
前記カムに結合された第1の細長い部材であって、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の回転方向に回転されたときに、前記第1の細長い部材が引張されることで、前記遠位関節可動セクションを前記一平面に沿った第1の方向に関節運動させるようにする、第1の細長い部材と、
を更に備える、請求項1~3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記カムに結合された第2の細長い部材であって、前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転されたときに、前記第2の細長い部材が引張されることで、前記遠位関節可動セクションを前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記一平面に沿った関節運動をするようにする、第2の細長い部材と、
を更に備える、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記遠位関節可動セクションの長さにわたって延在する複数のスロットと、
少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材を更に備え、前記少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材の同時引張により、前記複数のスロット間の空間が減少し、前記シャフトが硬直化する、請求項1~5の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
第2のアクチュエータを更に備え、前記第2のアクチュエータの作動により、前記針の遠位先端が前記シャフト内に収容される送達構成、及び前記針の前記遠位先端が前記シャフトから半径方向外側に延びる処置構成から前記針を駆動する、請求項1~6の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記シャフトが、シャフト本体と、前記シャフト本体を取り囲むライナーと、を含む、請求項1~7の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記ライナーが、複数のスロットを含む、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記遠位関節可動セクションが、前記一平面に沿った第1の方向に関節運動を行い、前記第1の方向とは反対の第2の方向で前記一平面に沿った関節運動をするのを防止するように構成されている、請求項1~9の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記遠位関節可動セクションが、前記シャフトの少なくとも2つの側面で複数の交互するスロットを含む、請求項1~10の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記シャフトが、
少なくとも1つの吸引又は潅注内腔と、
ワイヤ束を受け入れるための少なくとも1つのチャネルと、
を含む、請求項1~11の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記シャフトは、更に少なくとも1つの追加の内腔を含み、前記少なくとも1つの追加の内腔が、前記遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する少なくとも1つの長手方向に延びる部材を受けるように構成されている、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記シャフトが更に、少なくとも2つの追加の内腔を含み、前記少なくとも2つの追加の内腔の各々が、前記遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する長手方向に延びる部材を受けるように構成されている、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記シャフトの内腔が、複数の半径方向内方に延びる突起部を定める、請求項1、12、13又は14に記載の医療デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本特許出願は、2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/209,087号に対する米国特許法119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、当該仮特許出願の全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示の様々な態様は、一般に、医療システム、デバイス、及び関連する方法に関する。より具体的には、本開示は、医療処置において組織に蒸気を送達するための医療システム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺の状態などの特定の医学的状態は、蒸気アブレーションを含むアブレーションによって治療することができる。このようなアブレーションは、体腔内又は患者の体内に挿入されるシャフトを有するデバイスを用いて実施することができる。蒸気(例えば、水蒸気)は、前立腺組織等の組織をアブレーションするため、又は他の方法で組織を処置するために、デバイスから放出することができる。現行のデバイスは、剛体のシース内に収容された可撓性の蒸気送達管を含むことができるが、これは、患者の不快感、標的位置へのデバイスの送達における課題、及び患者の解剖学的構造の不注意による穿孔の可能性をもたらす可能性がある。
【0004】
本開示のシステム、デバイス、及び方法は、上記の欠点の一部を是正し、及び/又は従来技術の他の態様に対処することができる。
【発明の概要】
【0005】
本開示の態様は、とりわけ、蒸気送達の医療システム、デバイス、及び方法に関する。本明細書に開示された実施例の各々は、他の開示された実施例の何れかに関連して記載された特徴の1又は2以上を含むことができる。
【0006】
本開示の特定の態様によれば、医療デバイスであって、少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部の間に延びる内腔を有するシャフトであって、近位端部がハンドルに接続されている、シャフトと、を備え、シャフトが、遠位先端を含む遠位関節可動セクションを含み、遠位関節可動セクションは、一平面に沿った関節運動をするように構成されており、医療デバイスが更に、送達内腔を有する針であって、シャフトの内腔内に移動可能に配置されている針と、送達内腔と流体連通している蒸気発生器と、を備える、医療デバイス。
【0007】
医療デバイスの少なくとも1つのアクチュエータは、遠位関節可能セクションを一平面に沿った少なくとも第1の方向に関節運動させるように構成された第1のアクチュエータを含むことができる。第1のアクチュエータは更に、第1の方向とは反対の第2の方向に遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成することができる。医療デバイスは、少なくとも1つのアクチュエータにより移動するように構成されたカムと、カムに結合された第1の部材であって、少なくとも1つのアクチュエータが第1の回転方向に回転されたときに、第1の部材が引張されることで、遠位関節可動セクションを一平面に沿った第1の方向に関節運動させるようにする、第1の部材と、を含むことができる。医療デバイスは更に、カムに結合された第2の部材であって、少なくとも1つのアクチュエータが第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転されたときに、第2の部材が引張されることで、遠位関節可能セクションを第1の方向とは反対の第2の方向に平面に沿って関節運動させるようにする、第2の部材を含むことができる。医療デバイスは更に、遠位関節可動セクションの長さにわたって延在する複数のスロットと、少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材であって、少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材の同時引張により、複数のスロット間の空間が減少し、シャフトが硬直化する、制御部材と、を含むことができる。医療デバイスは更に、第2のアクチュエータであって、第2のアクチュエータの作動により、針の遠位先端がシャフト内に収容される送達構成と、針の遠位先端がシャフトから半径方向外側に延びる処置構成とから針を駆動する、第2のアクチュエータを含むことができる。医療デバイスのシャフトは、シャフト本体と、シャフト本体を取り囲むライナーと、を含むことができる。更に、ライナーは、複数のスロットを含むことができる。
【0008】
更に、医療デバイスの遠位関節可動セクションは、一平面に沿った第1の方向に関節運動し、第1の方向とは反対の第2の方向で一平面に沿った関節運動するのを防止するように構成することができる。遠位関節可動セクションはまた、シャフトの少なくとも2つの側面に複数の交互するスロットを含むことができる。
【0009】
医療デバイスのシャフトは、少なくとも1つの吸引又は潅注内腔と、ワイヤ束を受け入れるための少なくとも1つのチャネルと、を含むことができる。シャフトは更に、少なくとも1つの追加の内腔を含むことができ、少なくとも1つの追加の内腔は、遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する少なくとも1つの長手方向に延びる部材を受けるように構成されている。シャフトはまた、少なくとも2つの追加の内腔を含むことができ、少なくとも2つの追加の内腔の各々は、遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する長手方向に延びる部材を受けるように構成されている。更に、シャフトの内腔は、複数の半径方向内方に延びる突起部を定めることができる。
【0010】
本開示の別の態様によれば、医療デバイスは、第1のアクチュエータ及び第2のアクチュエータを有するハンドルと、近位端部、遠位端部、及び近位端部と遠位端部の間に延びる針内腔を有するシャフトであって、上記シャフトが、第1のアクチュエータの作動時に一平面に沿った関節運動をするように構成された遠位関節可動セクションを含む、シャフトと、送達内腔を有する針であって、上記針は、針内腔内に移動可能に配置され、針の遠位先端が針内腔内に収容される送達構成と、針の遠位先端がシャフトから半径方向外側に延びる処置構成との間で移動可能である、針と、送達内腔と流体連通している蒸気発生器と、を備えることができる。ハンドルは更に、第1のアクチュエータにより移動するように構成されたカムと、カムに結合された第1の部材であって、第1のアクチュエータが第1の回転方向に回転されたときに、第1の部材が引張されることで、遠位関節可動セクションを一平面に沿った第1の方向に関節運動させるようにする、第1の部材と、を含むことができる。医療デバイスは、カムに結合された第2の部材であって、第1のアクチュエータが第1の回転方向とは反対の第2の回転方向に回転されたときに、第2の部材が引張されることで、遠位関節可動セクションを第1の方向とは反対の第2の方向で一平面に沿った関節運動をさせるようにする、第2の部材と、を含むことができる。
【0011】
本開示の別の態様は、蒸気アブレーション療法を提供する方法を含むことができる。本方法は、シャフトが第1の相対的に可撓性のある構成にある間に、医療デバイスのシャフトを被験者の体内の位置まで前進させるステップと、医療デバイスのシャフトを第2の相対的に硬直化された構成に移行させるように医療デバイスの第1のアクチュエータを作動させるステップと、医療デバイスの第2のアクチュエータを作動させて、シャフトの針内腔内に配置された針を、針の遠位先端が針内腔内に収容される送達構成と、針の遠位先端がシャフトから半径方向外側に延びる処置構成とから駆動し、針の送達内腔を介して被験者の身体の組織に蒸気処置を送達するステップと、を含むことができる。本方法は更に、シャフトを一平面に沿った第1の方向に関節運動させると共に、シャフトが一平面に沿った第1の方向とは反対の第2の方向に関節運動するのを防止するステップを含むことができる。
【0012】
開示された実施形態の追加の目的及び利点は、1つには、以下の説明において記載され、また、1つには本明細書から明らかとなるか、或いは、開示された実施形態の実施によって理解することができる。開示された実施形態の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲において特に指摘される要素及び組み合わせによって実現され達成されることになる。
【0013】
前述の概要及び以下の詳細な説明は共に、例示的で説明のものに過ぎず、特許請求の範囲に記載された本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0014】
本明細書に組み込まれ且つその一部を構成する添付図面は、1つ又はそれ以上の実施形態を例証しており、本明細書と共にこれらの実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の態様による医療デバイスの側面図である。
【
図2】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのハンドルの側断面図である。
【
図3A】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な断面図である。
【
図3B】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な断面図である。
【
図3C】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な断面図である。
【
図4A】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な遠位端部の側面図である。
【
図4B】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な遠位端部の側面図である。
【
図4C】本開示の態様による、
図1の医療デバイスのシャフトの例示的な遠位端部の側面図である。
【
図5A】本開示の態様による、
図4A-
図4Cの医療デバイスのシャフトの遠位端部の例示的な断面図である。
【
図5B】本開示の態様による、
図4A-
図4Cの医療デバイスのシャフトの遠位端部の例示的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「comprises」、「comprising」、又はこれらの他の何れかの派生語は、非排他的な包含を対称とすることを意図しており、要素のリストを含むプロセス、方法、物品、又は装置が、これらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていない又はこのようなプロセス、方法、物品、又は装置に内在する他の要素を含むことができるようになる。用語「例示的」は、「理想的」ではなく、「実施例」の意味で使用される。本明細書で使用される場合、「近位」という用語は、オペレータに近い方向を意味し、「遠位」という用語は、オペレータから遠い方向を意味する。
【0017】
本開示の実施例は、大腸(結腸)、小腸、盲腸、食道、消化管の任意の他の部分、及び/又は任意の他の適切な患者の解剖学的構造(本明細書では、総称して「標的治療部位」と称される)の部分の様々な医療処置及び/又は治療を行うためのデバイス及び方法に関することができる。本明細書に記載される様々な実施例は、単回使用又は使い捨ての医療デバイスを含む。本明細書に記載される医療デバイスの何れかの構造は、生体適合性ポリマー、ゴム、プラスチック等を含む生体適合性材料で作製することができる。
【0018】
本開示の態様は、とりわけ、蒸気アブレーションデバイスなどの医療デバイスの可撓性シャフトを介した蒸気の送達に関する。実施形態において、本開示の医療システム、デバイス、及び方法は、患者の前立腺を治療するため、例えば、他の膀胱、尿路、又は腎臓の問題と共に、不快な排尿器症状、膀胱からの尿の流れの閉塞をもたらす可能性がある、良性前立腺肥大症(「BPH」)又は前立腺肥大症を治療するために使用することができる。
【0019】
医療デバイスは、自然開口部を介して、例えば尿道などの体腔のキャビティを介して患者の体内に導入することができる。医療デバイスの送達及び配置はまた、自然開口部、体路、又は身体切開部を介して到達可能な他の体腔又は器官に行うことができる。所定位置にあると、医療デバイス内に含まれる又は医療デバイスと連通する蒸気発生器を作動させ、水蒸気を発生させることができる。水蒸気は、組織を治療するために、処置部位に(例えば、針を介して)搬送することができる。例えば、蒸気は、組織をアブレーションすることができる。一例では、アブレーションされた組織は、前立腺組織とすることができ、アブレーションは、前立腺肥大症(BPH)を治療することができる。本明細書において蒸気アブレーションが言及されているが、このような言及は限定として解釈されるべきではない。本明細書において開示される実施例はまた、他のタイプのアブレーション機構(例えば、冷凍アブレーション、RFアブレーション、又は他のタイプのアブレーション)と、又はアブレーションに関連しない他のデバイスと共に使用することができる。
【0020】
次に、上述され且つ添付図面に例示された本開示の実施例について、詳細に説明する。可能な限り、同一又は類似の要素を参照するために図面全体を通して同じ参照番号が使用される。
【0021】
図1は、例示的なアブレーションデバイス110の側面図を示す。アブレーションデバイス110は、ハンドル組立体116及びシャフト114を含むことができる。シャフト114は、患者の体腔内に、又は他の方法で患者の体内に挿入可能とすることができる(例えば、経腹膜経路を介するなど、患者の組織を通して)。シャフト114の近位端部は、ハンドル組立体116に接続することができる。シャフト114は、遠位先端112を有することができる。本明細書において更に詳細に説明されるように、シャフト114は、1又は2以上のライナー(例えば、編組チューブ、又はカバー)を有する能動的又は受動的に偏向可能な(例えば、可撓性の)シャフト(例えば、コイルシャフト)を含むことができる。ハンドル組立体116は、ユーザによって把持されるように構成することができる。
【0022】
針111は、遠位先端112から拡張可能及び/又は収縮可能とすることができる。例えば、針111は、シャフト114の内腔内に移動可能に配置することができる。針111は、針111の近位端部から針111の遠位先端に延びる中央内腔又はチャネル(すなわち、中央内腔又はチャネルが、針111の近位端部と針111の遠位端部との間に延びる)と、針111の遠位先端近傍の複数のアパーチャとを有する部材とすることができる。複数のアパーチャは、中央内腔又はチャネルの内容物(例えば、蒸気、水蒸気)を、針111が配置され、受容され、又は他の方法で挿入される周囲組織に伝達するように構成することができる。例えば、針111の中央内腔又はチャネル(すなわち、針111の送達内腔)は、そこで(例えば、蒸気発生器を介して)蒸気を受け取り、アパーチャを介して組織に蒸気を送達するように構成することができる。針111は、第1の送達/挿入構成を有するように構成することができ、この場合、針111は、シャフト114内に収容、受容、又は他の方法で配置される(例えば、針111のどの部分も、遠位先端112の長手方向軸に対して、遠位先端112の半径方向外側に延在しないようになる)。針111は、第2の処置構成(
図1)を有することができ、この場合、針111は、遠位先端112から外に(例えば、遠位先端112の長手方向軸に対して、遠位先端112を過ぎて遠位方向に、及び/又は半径方向外側に)延びている。針111は、送達構成と処置構成との間で移行することができるように、シャフト114の内腔内に移動可能に配置することができる。処置構成では、針111は、シャフト114の長手方向軸に対して半径方向外側に湾曲することができる。第1の挿入構成と第2の処置構成との間、及びその逆の針111の移動は、本開示の範囲から逸脱することなく、何らかの機械的、空気圧的、又は磁気的作動組立体によって引き起こすことができる。
【0023】
ハンドル組立体116は、ハンドル組立体116の近位端部から近位方向に延びるケーブル配線117を含むことができる。ケーブル配線117は、ハンドル組立体116又はアブレーションデバイス110の他の部分(例えば、シャフト114)に電力、流体、信号等を伝送することができる。一例において、ケーブル配線117は、流体源からアブレーションデバイス110に水などの流体を伝送することができる。幾つかの実施形態において、蒸気発生器は、アブレーションデバイス110内(例えば、ハンドル組立体116又はシャフト114内)に配置することができる。蒸気発生器に通される流体は、アブレーションデバイス110内に収容することができ、又はケーブル117を介してアブレーションデバイス110に伝送することができる。他の実施形態では、蒸気発生器は、アブレーションデバイス110の外部に配置することができ、蒸気は、ケーブル117を介して蒸気発生器からアブレーションデバイス110に伝送することができる。
【0024】
ハンドル組立体116は、ハンドル本体118を介してユーザによって把持されるように構成することができる。ハンドル組立体116は、デバイスの様々な機能を制御するための1又は2以上のアクチュエータ122、124、125を含むことができる。例えば、アクチュエータ122は、ハンドル組立体116及びシャフト114を通る蒸気の送達を制御することができ(例えば、針111の遠位先端がシャフト114内に収容される送達構成から、及び針111の遠位先端がシャフト114から外側(例えば、半径方向外側)に延びる処置構成から針111を駆動することができる)、アクチュエータ124は、ハンドル組立体116及びシャフト114を通る流体の送達を制御することができ、アクチュエータ125は、カメラ又は光学系、或いはこれらの何れかの組み合わせを制御することができる。ハンドル組立体116はまた、本明細書において更に記載されるように、シャフト114(遠位関節可動セクション126を含む)の遠位先端112の関節運動又は撓みを制御するように構成されたアクチュエータ120を含むことができる。アクチュエータ120は、ノブ、トリガ、ボタン、又は当該分野で公知の他のアクチュエータとすることができる。アクチュエータ120は、ハンドル組立体116の側面、例えば、アブレーションデバイス110が使用されているときにハンドル本体118の左側又は右側に配置することができる。
【0025】
シャフト114は、ハンドル組立体116の遠位端部に結合することができる。アブレーションデバイス110のシャフト114は、身体内の部位にアクセスするのに十分な長さを有する管体とすることができる。更に、シャフト114は、蛇行した解剖学的構造を横断するのに十分な可撓性を有することができる。シャフト114は、患者の内腔内に、又は他の方法で患者の体内に挿入可能とすることができる(例えば、経腹膜経路を介するなど、患者の組織を通して)。遠位先端112は、シャフト114の遠位端部に又は遠位端部に隣接している。遠位先端112は、本明細書において更に詳細に説明されるように、シャフト114の遠位関節運動可能又は他の方法で偏向可能なセクション126(例えば、関節ジョイント)を含む。遠位関節可動セクション126は、能動的又は受動的偏向に構成されたシャフト114のコイル状又は他の可撓性部分を含むことができる。上述したように、針111は、標的組織部位(例えば、前立腺)に処置(例えば、蒸気)を送達するために遠位先端112から伸長可能及び/又は収縮可能とすることができる。上述のように、及び以下で更に詳細に説明されるように、1又は2以上のハンドルアクチュエータ(例えば、アクチュエータ120)及び関連の機構は、遠位関節可動セクション126の関節運動、すなわち偏向を制御することができる。
【0026】
図2は、ハンドル組立体116の側断面図であり、アブレーションデバイス110のハンドル本体118の内部に配置された選択された構成要素を示す。ハンドル本体118内に配置することができる追加の構成要素は、明確にするために省略されていることは理解される。概略的に示され及び上述されたように、ハンドル本体118は、蒸気発生器127を含むことができる。蒸気発生器127は、蒸気を組織に送達するように、針111(例えば、針111の送達内腔)と流体連通することができる。他の配置では、蒸気発生器127は、本開示の範囲から逸脱することなく、シャフト114内又はシャフト114に沿って、或いはアブレーションデバイス110の外部に配置することができる。
図2に示すように、カム121は、限定ではないが、接着剤、超音波溶接等を含む当該技術分野で公知の様々な手段によってアクチュエータ120に固定的に結合されるか、或いは、アクチュエータ120の移動(例えば、回転)がカム121の同様の移動(例えば、回転)をもたらすように一体構造として形成される。例えば、カム121は、カム121がそれを中心に回転することができるピボット123に取り付けることができる。カム121は、1又は2以上の長手方向に延びる部材128、129をその中に(又はそれに沿って)配置できる1又は2以上の溝又はチャネルを有することができる。長手方向に延びる部材128、129の各々の近位端部は、限定ではないが、接着剤、超音波溶接などを含む、当該技術分野で公知の様々な手段によってカム121に結合することができる。長手方向に延びる部材128、129は、シャフト114を通ってその遠位端部(図示せず)に向かって延びる。長手方向に延びる部材128、129の遠位端部は、長手方向に延びる部材128、129の1又は複数を引張又は弛緩することが、遠位関節可動セクション126の関節運動、すなわち撓みをもたらすことができるように、シャフト114の部分(例えば、遠位関節可動セクション126)に任意の適切な手段を介して結合することができる。例えば、アクチュエータ120が第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転されると、長手方向に延びる部材128に引張力が付与されることで、遠位関節可動セクション126は、平面に沿って第1の方向(例えば、上方向)に関節運動する。更に、アクチュエータ120が第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転されると、長手方向に延びる部材129に引張力が付与されることで、遠位関節可動セクション126は、平面に沿って第2の方向(例えば、下方向)に関節運動する。幾つかの配置において、単一の(例えば、1つの)長手方向に延びる部材のみを利用することができることが理解される。例えば、アブレーションデバイス110は、長手方向に延びる部材128を含むことができるが、長手方向に延びる部材129は省略することができる。このような配置において、遠位関節可動セクション126は、(
図1に描かれているような)中立的な(例えば、直線的な)構成に向かって付勢されることができる(例えば、自然に又は他の方法で付勢される)。更に、このような配置において、アクチュエータ120が第1の回転方向(例えば、時計回り)に回転されると、長手方向に延びる部材128に引張力が付与されることで、遠位関節可動セクション126が平面に沿って第1の方向(例えば、上方向)に関節運動する。更に、アクチュエータ120が第2の回転方向(例えば、反時計回り)に回転されると、長手方向に延びる部材128が弛緩することで、遠位関節可動セクション126が中立の(例えば、真っ直ぐな、屈折していない)構成に戻ることができる。このような場合、シャフト114の回転は、針111及びシャフト114を別の方向又は向きに配向するのに必要とすることができる。更に、本明細書では、上/下の関節運動が記載されているが、アブレーションデバイス110はまた、シャフト114(例えば、遠位関節可動セクション126)の遠位端部に対する長手方向に延びる部材(単数又は複数)128、129の取り付け位置に応じて、同様の様式で左又は右に関節運動することができることは理解される。
【0027】
図3A~
図3Cは、シャフト114の様々な実施形態の断面図を示す。
図3Aに示すように、例えば、シャフト114は、シャフト本体138と、シャフト本体138の外面を取り囲むシース、管体又はライナー115とを含むことができる。シャフト本体138は、シャフト114の近位端部からシャフト114の遠位端部まで延びることができる。シャフト本体138は、シャフト114の全長にわたって延びる、完全に囲まれた複数の内腔132、134、136を含むことができる。内腔132、134、136は、互いに実質的に平行であり、内腔132、134、136の長手方向軸は、互いに且つシャフト本体138の中心長手方向軸に対して実質的に平行であり、この中心長手方向軸は、シースの最遠位端部からシャフト本体138の最近位端部まで延びている。内腔132、134、136は、シャフト本体138の遠位面で開放することができる。内腔136は、内腔壁から半径方向内側に延びる1又は複数の突起部137を含むことができる。例えば、内腔136の壁は、突起部137を定めることができる。これらの突起部は、針111(
図1)と内腔136の内腔壁との間にエアギャップを形成する。1又は複数の突起部137によって形成されるエアギャップは、熱蒸気針と周囲のシャフト構成要素との間の熱交換を低減するのに役立つことができる。これにより、蒸気が蓄積エネルギーを確実に維持し、シャフトの外部が過度に熱くなるのを防ぐことができる。内腔132、134は、医療処置中に生理食塩水又は潅注媒体を組織に提供するために相互交換可能に及び/又は同時に使用することができる。これに加えて又は代替として、内腔132、132、136の1又は2以上が吸引/負圧を提供することができる。シャフト本体138は、3つの内腔132、134、136を含むことに限定されず、それ以上又それ以下の内腔を含むことができる。シャフト本体138は、シャフト本体138の近位端部においてハンドル組立体116(
図1に示される)に接続されることで、ハンドル組立体116から内腔132、134、136へのアクセスを可能にする。内腔132、134、136の内壁は、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のような生体適合性材料でライニングされて、内腔132、134、136を通って挿入される任意の助剤又はデバイスの摩擦を低減する。更に、完全に囲まれた内腔132、134の断面形状は、形状が異なることができる。例えば、内腔132、134の断面形状は、図示のような円形、三角形、方形、六角形等、又はこれらの任意の組み合わせとすることができる。更に、内腔132、134、136の何れか1又は2以上は、他の内腔132、134、136の何れとも異なる断面形状又はサイズを有することができる。
【0028】
シャフト本体138は更に、1又は2以上のチャネル140、142を含むことができる。例えば、チャネル140は、ワイヤ束(図示せず)を受けるようなサイズにすることができる。ワイヤ束は、遠位先端に配置されたカメラ又は発光ダイオード(LED)(図示せず)の使用を容易にするのに必要な電気ワイヤから構成することができる。チャネル142は同様に、例えば、ワイヤ束(図示せず)を受けるサイズにすることができる。チャネル140、142は、チャネル140、142の長手方向に沿って挿入されるワイヤ束の摩擦を低減するために、ePTFEなどの生体適合性材料でライニングすることができる。
【0029】
更に、シャフト本体138は、シャフト本体138内に完全に封入された更なる内腔130を含むことができる。シャフト本体138の近位端部から遠位端部まで延びる内腔130の長手方向軸は、内腔132、134、136の各々に及びシャフト本体138の中心長手方向軸に実質的に平行である。内腔130は、シャフト本体138の遠位面で開くことができる。少なくとも1つの長手方向に延びる部材128、129(
図2に例示されるような)は、内腔130の長手方向軸に沿って、シャフト本体138の遠位端部からシャフト本体138の近位端部まで延びることができる。或いは、少なくとも1つの長手方向に延びる部材128、129は、シャフト本体138の遠位端部からシャフト本体の近位端部まで延びることができる。前述のように、長手方向に延びる部材128、129の1又は2以上は、シャフト114の遠位端部の関節運動を可能にするために、遠位先端112の部分(例えば、遠位関節可動セクション126)に結合することができる。
【0030】
シャフト本体138の全体は、関節運動中のキンクを防止するのに十分なコラム(柱)強度の材料から構成することができる。内腔の数は、とりわけ、シャフト本体138の断面積及び材料に依存する。例えば、シャフト本体138の材料及び壁は、内腔132、134、136、及び/又はチャネル140、142が圧壊しないように十分な構造的支持を提供するように選択することができる。
【0031】
図3Bは、シャフト本体238の断面の代替の実施形態を示す。先の実施形態と同様に、シャフト本体238は、シャフト本体238の全長にわたって延びる完全に囲まれた複数の内腔232、234から構成される。しかしながら、内腔236は、
図3Aの内腔136に例示された複数の突起部137を省略することができる。内腔232、234、236は、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のような生体適合性材料でライニングされて、内腔を通って挿入される助剤又はデバイスの摩擦を低減することができる。更に、完全に囲まれた内腔232、234、236の断面形状は、形状及び/又はサイズが異なっていてもよい。例えば、内腔232、234、236の断面形状は、図示のような円形、三角形、方形、六角形等、又はこれらの任意の組み合わせであってもよい。
図3Bのチャネル240、242はまた、
図3Aで説明したのと同じ又は類似の構造を含むことができる。
図3Bの配置において、シャフト本体238は、シースの断面図において互いに対向する側部に位置する(例えば、シャフト本体238の直径方向に対向する部分に沿って位置する)内腔230及び内腔231を含む。例えば、内腔231はシャフト本体138の中央長手方向軸に対して12時の位置にあり、内腔230は6時の位置にある。少なくとも2つの長手方向に延びる部材128、129(
図2に例示されるように)は、それぞれ内腔230、231の長手方向軸に沿って、シャフト本体238の遠位端部からシャフト本体238の近位端部まで延びることができる。少なくとも2つの長手方向に延びる部材128、129は、
図1に示される関節可動セクション126の関節運動又は撓みを可能にすることができる。或いは、少なくとも2つの長手方向に延びる部材128、129は、
図1に示す関節可動セクション126の硬直化又はぴんと張ることを可能にすることができる。例えば、両方の長手方向に延びる部材128、129を同時に引張することにより、シャフト本体238の硬直化をもたらすことができる。
【0032】
図3Cは、シャフト本体338の断面の代替の実施形態を示す。
図3Cに示されるように、シャフト本体338は、
図3Aに示される配置と同様に、複数の内腔332、334、336から構成することができる。チャネル340、342は、それぞれ、シャフト本体338の左側及び右側に沿って配置することができる。更に、シャフト本体338は、医療処置中に組織を潅注及び冷却するための追加の内腔344、346を含むことができる。内腔344、346は、内腔336の左側及び右側に配置することができる。更に、内腔344、346は、拡張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)のような生体適合性材料でライニングされて、内腔を通って挿入される助剤又はデバイスの摩擦を低減することができる。
【0033】
シャフト本体138と同様に、シャフト本体238、338の全体は、関節運動中のキンクを防止するのに十分な柱強度を有する材料から構成することができる。内腔の数は、とりわけ、シャフト本体138、238、338及びその複数の内腔の断面積及び材料に依存することができる。例えば、シャフト本体の材料及び壁は、様々な内腔(例えば、132、134、136、232、234、236、332、334、336、344、346)及び/又はチャネル(例えば、140、142、240、242、340、342)が圧壊しないように十分な構造的支持を提供するように選択することができる。
【0034】
図4A~
図4Cは、他の平面内における剛直性を維持しながら、単一の(例えば、1つだけの)平面内における間接動作を行うように構成されたシャフトの遠位部分の様々な実施形態を示す。剛直性は、針111の展開中に、オペレータが針111を治療部位(例えば、前立腺の壁)に対して作用させるのに必要な力を加えることができるように、針111の平面内(
図1)で維持される。
図4Aに示すように、シャフト414(
図1のシャフト114と同様)は、本明細書で更に説明される遠位関節可動セクション426及び遠位先端412を含む。
図4Aにおいて、シャフト414の遠位端部は、関節可動セクション426の最近位端部を含むか、又はさもなければ結合される。関節可動セクション426は、その両側に複数のスロット448を含むことができる。スロット448は、関節可動セクション426の中央長手方向軸に対して垂直に又はさもなければ横方向(例えば、角度付きで)に延びることができる。更に、図示のように、スロット448は、交互に配置することができる。すなわち、スロット448は、第1のスロットが関節可動セクション426の第1の側部に位置することができ、第2のスロットが関節可動セクション426の反対側に位置する2つの隣接するスロット448の間に軸方向に位置することができるように配置されてもよい。スロット448は、関節可動セクション426の全長又は一部分のみにわたって延びることができる。図示されていないが、幾つかの配置では、スロット448は、シャフト414の全長又は大部分の長さにわたって延在することができる。幾つかの配置では、スロット448は、関節可動セクション426の全壁厚を通って延びることができるが、他の配置では、スロット448は、例えば、関節可動セクション426の壁厚の約4分の1から約2分の1など、関節可動セクション426の壁厚全体未満を通って延びることができる。複数のスロット448は、一平面に沿う少なくとも2方向にシャフト414の遠位先端412の関節運動を可能にすることができる。例えば、シャフト414の遠位先端412が上方に関節運動すると、底側のスロット448の間にはより多くの空間が生成されるが、上側のスロット448の間の空間は減少する。更に、デバイスが下方に関節運動すると、底側のスロット448の間の空間が減少し、上側のスロット448の間の空間は増大する。スロット448の交互構成は、
図1に例示されるように、針111が曲がるのを防止するために、少なくとも第2の平面内での剛直性を維持しながら、遠位関節可動セクション426が少なくとも1つの平面内での関節運動を可能にすることができる。上述したように、両方の長手方向に延びる部材128、129の同時引張は、スロット448の間の空間を減少させることによってシャフト本体238の硬直化をもたらすことができる。
【0035】
図4B~
図4Cによって例示される更なる配置に示されるように、スロット548及び648はそれぞれ、様々な程度の関節運動を可能にするために、様々なサイズ、長さ、及び幅とすることができる。更に、関節可動セクション426、526、626は、それぞれのシャフト414、514、614の残りの部分と同じ材料又は異なる材料で作ることができる。例えば、
図4Aのスロット448は、関節可動セクション426の中央に向けて約3分の1の距離内側に延びているが、
図4Bに示すように、複数のスロット548は、関節可動セクション526の中央に向けて約4分の1の距離内側に延びることができる。すなわち、
図4Aに例示されるスロット448と比較して、
図4Bのスロット548は、更にシャフト514の遠位端部の関節運動を制限する。
図4Cは、代替の実施形態を示し、複数の交互配置されたスロット648の各々の幅が、関節運動中の関節可動セクション626のより小さな曲げ半径を可能にするように増大されている。
【0036】
図4A~
図4Cに示された関節可動セクション426、526、626の各々は、
図2に関連して説明したように、1又は2以上の長手方向に延びる部材128、129を介して制御可能とすることができる。1又は2以上の長手方向に延びる部材128、129は、それぞれの遠位関節可動セクション426、526、626から、
図3A~
図3Cに描かれた実施形態の完全に囲まれた内腔130、230、231、330、331のうちの少なくとも1つを通って延びることで、それぞれの遠位先端412、512、612の能動的な偏向を生じることができる。更に、シャフト414、514、614の各々は、任意の1又は2以上の材料で作ることができる。例えば、シャフト414、514、614の任意の1つの部分は、第1の材料から構成することができ、異なる部分(例えば、遠位関節可動セクション426、526、626)は、第1の材料とは異なる第2の材料から構成することができる。或いは、シャフト414、514、614の各々の全体が単一の材料から構成されてもよい。更に、シャフト414、514、614の任意の1又は2以上は、それぞれのシャフト414、514、614の少なくとも一部又は全体に沿って含まれる1又は2以上のライナー(例えば、編組ライナー、管体、又はシース構造)を含むことができる。様々な材料、スロットの量、スロットの深さ、スロットの幅、スロットの配置、シャフトの壁厚、及び任意のライナーは、所望の曲げ半径又は剛性(例えば、尿道解剖学的構造をもたらす適切な曲げ半径又は剛性)を達成するように選択することができることが理解される。
【0037】
図5A及び
図5Bは、それぞれ、遠位関節可動セクション726、826の代替の実施形態の例示的な断面図を示す。
図5Aに示された実施形態は、関節運動管体752内に閉じ込められた内側シャフト本体738を含むことができる。関節運動管体752は、シャフト114の受動的に可撓性の遠位端部を可能にするための複数のスロット748を含む。言い換えると、長手方向に延びる部材は、関節可動セクションの関節運動又は撓みを制御しないようにすることができる。その代わりに、この実施形態は、遠位端部の一部が医療処置中に患者の解剖学的構造と共に曲がり及び撓むことができるように構成することができる。
【0038】
図5Aのシャフト本体738(
図3A~
図3Cに例示されたシャフト本体138、238、338と同様)は、一体構造として押し出し成形することができるが、
図5Bに示された実施形態は、外側管体852内に保持された複数の別個に形成された内腔854、856、858から構成される。幾つかの配置では、別個に形成された内腔854、856、858の何れも外側管体852に結合することができる。これは、溶接、接着剤など、当該技術分野において一般的に知られている任意の手段によって達成することができる。
図5Aに示された実施形態と同様に、外側管体852は、受動的に可撓性の遠位端部を可能にするための複数のスロット848を含む。長手方向に延びる部材は、遠位関節可動セクション826の関節運動を制御しない。その代わりに、この実施形態は、遠位端部の一部が医療処置中に患者の解剖学的構造と共に曲がり及び撓むことができるように構成される。
【0039】
本開示の態様は、アブレーションデバイス110を使用する方法を含む。これを行うために、ユーザは、最初に、デバイス110の遠位端部を自然開口部を介して尿道に導入することができる。送達及び配置はまた、尿道、他の何れかの自然開口又は体路、身体切開部、又は内視鏡又はシース等の送達デバイスを介して到達可能な他の体腔又は器官に行うことができる。ユーザは、シャフトを尿道(又は他の身体内腔)内の位置の所望の治療部位まで前進させることができる。所望の部位にアクセスすると、ユーザは、アクチュエータ120を作動させて、医療デバイスの遠位端部の関節運動を少なくとも一方向に制御することができる。或いは、ユーザは、アクチュエータ120を作動させて、医療処置中にシャフト114の少なくとも一部を補強及び/又は硬直化させることができる。これは、シャフト114の中心軸に沿って少なくとも2つの長手方向に延びる部材128、129(
図2に示す)を引っ張ることによって達成することができる。所望の部位にアクセスされると、ユーザは、針を延ばして、すなわち作動させて、水蒸気を処置部位に搬送して組織を治療処置することができる。本開示のシステム及び方法は、デバイスを治療部位に送達するのに必要なシャフトの可撓性を可能にしながら、治療部位に送達するためにシャフトを通って移動する水蒸気の経路が開放されたまま遮られないように確保することができる。すなわち、本開示のシステム及び方法は、挿入及び位置決めの際の可撓性、並びに治療中のシャフトを通る蒸気の効果的な送達を可能にするのに十分な強度(例えば、並置力)を可能にする。
【0040】
本開示の原理は、特定の用途のための例示的な実施例を参照して本明細書に記載されているが、本開示はこれに限定されないことは理解されるべきである。当業者であって本明細書で提供される教示にアクセスできる者であれば、追加の修正、適用、及び均等物の置換は全て、本明細書で記載される実施例の範囲内にあることを認識するであろう。従って、本発明は、上述の記載によって限定されるものとはみなされない。
【符号の説明】
【0041】
110 アブレーションデバイス
111 針
112 遠位先端
114 シャフト
116 ハンドル組立体
117 ケーブル配線
118 ハンドル本体
122、124、125 アクチュエータ
120 アクチュエータ
【手続補正書】
【提出日】2023-12-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスであって、
少なくとも1つのアクチュエータを有するハンドルと、
近位端部、遠位端部、及び前記近位端部と前記遠位端部の間に延びる内腔を有し、前記近位端部が前記ハンドルに接続されているシャフトと、
を備え、前記シャフトが、遠位先端を含む遠位関節可動セクションを含み、前記遠位関節可動セクションは、一平面に沿った関節運動をするように構成されており、
前記医療デバイスが更に、
送達内腔を有し、前記シャフトの前記内腔内に移動可能に配置されている針と、
前記送達内腔と流体連通している蒸気発生器と、
を備える、医療デバイス。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記遠位関節可動セクションを前記一平面に沿った少なくとも第1の方向に関節運動させるように構成された第1のアクチュエータを含む、請求項1に記載の医療デバイス。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータが更に、前記遠位関節可動セクションを、前記第1の方向とは反対の第2の方向に関節運動させるように構成されている、請求項2に記載の医療デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアクチュエータにより移動するように構成されたカムと、
前記カムに結合された第1の細長い部材であって、前記少なくとも1つのアクチュエータが第1の回転方向に回転されたときに、前記第1の細長い部材が引張されることで、前記遠位関節可動セクションを前記一平面に沿った第1の方向に関節運動させるようにする、第1の細長い部材と、
を更に備える、請求項1~3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項5】
前記カムに結合された第2の細長い部材であって、前記少なくとも1つのアクチュエータが、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向に回転されたときに、前記第2の細長い部材が引張されることで、前記遠位関節可動セクションを前記第1の方向とは反対の第2の方向に前記一平面に沿った関節運動をするようにする、第2の細長い部材と、
を更に備える、請求項4に記載の医療デバイス。
【請求項6】
前記遠位関節可動セクションの長さにわたって延在する複数のスロットと、
少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材を更に備え、前記少なくとも2つの長手方向に延びる制御部材の同時引張により、前記複数のスロット間の空間が減少し、前記シャフトが硬直化する、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項7】
第2のアクチュエータを更に備え、前記第2のアクチュエータの作動により、前記針の遠位先端が前記シャフト内に収容される送達構成、及び前記針の前記遠位先端が前記シャフトから半径方向外側に延びる処置構成から前記針を駆動する、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項8】
前記シャフトが、シャフト本体と、前記シャフト本体を取り囲むライナーと、を含む、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項9】
前記ライナーが、複数のスロットを含む、請求項8に記載の医療デバイス。
【請求項10】
前記遠位関節可動セクションが、前記一平面に沿った第1の方向に関節運動を行い、前記第1の方向とは反対の第2の方向で前記一平面に沿った関節運動をするのを防止するように構成されている、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項11】
前記遠位関節可動セクションが、前記シャフトの少なくとも2つの側面で複数の交互するスロットを含む、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項12】
前記シャフトが、
少なくとも1つの吸引又は潅注内腔と、
ワイヤ束を受け入れるための少なくとも1つのチャネルと、
を含む、請求項1~
3の何れか1項に記載の医療デバイス。
【請求項13】
前記シャフトは、更に少なくとも1つの追加の内腔を含み、前記少なくとも1つの追加の内腔が、前記遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する少なくとも1つの長手方向に延びる部材を受けるように構成されている、請求項12に記載の医療デバイス。
【請求項14】
前記シャフトが更に、少なくとも2つの追加の内腔を含み、前記少なくとも2つの追加の内腔の各々が、前記遠位関節可動セクションを関節運動させるように構成された遠位端部を有する長手方向に延びる部材を受けるように構成されている、請求項13に記載の医療デバイス。
【請求項15】
前記シャフトの内腔が、複数の半径方向内方に延びる突起部を定める、請求項
1に記載の医療デバイス。
【国際調査報告】