(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】安定化変調2チャネル広帯域光源
(51)【国際特許分類】
G01J 3/10 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G01J3/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575841
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-08
(86)【国際出願番号】 EP2022065311
(87)【国際公開番号】W WO2022258562
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】517267802
【氏名又は名称】トリナミクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,フェリクス
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,フェリクス ベルノ
(72)【発明者】
【氏名】ケステル,ダフィト
(72)【発明者】
【氏名】ツァラベク,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】アク,エミット
(72)【発明者】
【氏名】エグェン,セラル モハン
【テーマコード(参考)】
2G020
【Fターム(参考)】
2G020AA03
2G020AA04
2G020CA12
2G020CC22
2G020CC23
2G020CC26
2G020CD03
2G020CD16
2G020CD24
2G020CD34
2G020CD35
(57)【要約】
分光光源(112)が提案される。分光光源(112)は:
- 少なくとも1つの発光要素(128)と;
- 電力を前記発光要素(128)に印加するように構成された少なくとも1つの電子回路(136)と;
- 少なくとも1つのハウジング(150)であって、前記ハウジング(150)が前記発光要素(128)を少なくとも部分的に取り囲む、ハウジング(150)と;
- 前記ハウジング(150)を貫通する少なくとも2つの出力チャネル(156)であって、前記出力チャネル(156)のそれぞれは、分光光源(112)から少なくとも1つの光ビーム(116)を分離するように構成されている、少なくとも2つの出力チャネル(156)と、
を備える。
前記分光光源(112)は、前記出力チャネル(156)のそれぞれを独立して制御するように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 少なくとも1つの発光要素(128)と;
- 電力を前記発光要素(128)に印加するように構成された少なくとも1つの電子回路(136)と;
- 少なくとも1つのハウジング(150)であって、前記ハウジング(150)が前記発光要素(128)を少なくとも部分的に取り囲む、ハウジング(150)と;
- 前記ハウジング(150)を貫通する少なくとも2つの出力チャネル(156)であって、前記出力チャネル(156)のそれぞれは、分光光源(112)から少なくとも1つの光ビーム(116)を分離するように構成されている、少なくとも2つの出力チャネル(156)と;
を備え、
前記分光光源(112)は、前記出力チャネル(156)のそれぞれを独立して制御するように構成され、前記ハウジング(150)は、前記発光要素(128)を少なくとも部分的に取り囲む内側ハウジング(160)を備え、前記ハウジング(150)は、外側ハウジング(162)をさらに備え、前記外側ハウジング(162)は前記内側ハウジング(160)を少なくとも部分的に取り囲み、前記内側ハウジング(160)及び前記外側ハウジング(162)はそれぞれ、前記出力チャネル(156)の一部として少なくとも2つの開口部(158)を備え、前記ハウジング(150)は、少なくとも1つのベース要素(166)を備え、前記内側ハウジング(160)及び前記外側ハウジング(162)は、前記ベース要素(166)上に直接的又は間接的に載置され、前記電子回路(136)は、前記外側ハウジング(162)内で前記内側ハウジング(160)の下に収容され、前記発光要素(128)は、前記電子回路(136)に取り付けられ、前記発光要素(128)は、前記電子回路(136)から前記内側ハウジング(160)内に突出している、分光光源(112)。
【請求項2】
前記発光要素(128)が、少なくとも1つの白熱ランプ(130)を備える、請求項1に記載の分光光源(112)。
【請求項3】
前記分光光源(112)は、前記出力チャネル(156)のうちの少なくとも1つをオン及びオフにするように構成される、請求項1又は2に記載の分光光源(112)。
【請求項4】
前記分光光源(112)は、前記出力チャネル(156)のうちの少なくとも1つにおいて前記光ビーム(116)を変調するように構成される、請求項1~3のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項5】
前記分光光源(112)は、前記出力チャネル(156)のそれぞれの前記光ビームを独立して変調するように構成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項6】
少なくとも1つの光学要素(170)が、前記外側ハウジング(162)の内部に配置され、前記光学要素(170)は、前記内側ハウジング(160)の前記開口部(158)のそれぞれに収容されたレンズ(172)を備える、請求項4又は5に記載の分光光源(112)。
【請求項7】
前記分光光源(112)は、少なくとも1つのアクチュエータ(176)をさらに備え、前記アクチュエータ(176)は、少なくとも1つの変調要素(164)を備え、前記変調要素(164)は、シャッタ及びチョッパーホイール(178)のうちの少なくとも1つを備える、請求項1~6のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項8】
前記出力チャネル(156)の少なくとも1つが、光ファイバコネクタ(184)を備える、請求項1~7のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項9】
前記電子回路(136)は、少なくとも1つのインターフェース(142)を備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項10】
前記電子回路(136)は、前記発光要素(128)に印加される電力の少なくとも1つ、又は、前記出力チャネル(156)の少なくとも1つ、を制御するように構成された少なくとも1つのコントローラ(146)を備える、請求項1~9のいずれか1項に記載の分光光源(112)。
【請求項11】
前記コントローラ(146)は、前記発光要素(128)のソフトスタート及び/又はソフトストップを行うように構成される、請求項10に記載の分光光源(112)。
【請求項12】
- 請求項1~11のいずれか1項に記載の少なくとも1つの分光光源(112)と;
- 前記分光光源(112)から分離された少なくとも1つの光ビームを(116)検出するように構成され、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するようにさらに構成された少なくとも1つの検出器(114)と;
- 前記検出器信号を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し電子機器(118)と;
- 前記検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置(120)と、
を備える分光測定システム(110)。
【請求項13】
請求項12に記載の分光測定システム(110)を操作する方法であって、前記方法は、
a) 電子回路(136)を使用することによって、分光光源(112)の発光要素(128)に電力を印加するステップと;
b) 前記発光要素(128)を使用することによって、発光させるステップと;
c) 出力チャネル(156)の各々を独立に制御しつつ、少なくとも2つの出力チャネル(156)のうちの少なくとも1つを使用することによって、前記分光光源(112)から少なくとも1つの光ビーム(116)を分離するステップと;
d) 前記光ビーム(116)で少なくとも1つの測定対象物(126)を照射するステップと;
e) 前記分光測定システム(110)の検出器(114)を使用することによって前記光ビーム(116)を検出し、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するステップと;
f) 前記分光測定システム(110)の読み出し電子機器(118)を使用することによって前記検出器信号を読み出すステップと;
g) 前記分光測定システム(110)の評価装置(120)を使用することによって、前記検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項14】
ステップc)において、少なくとも2つの光ビーム(116)は分光光源(112)から分離され、各光ビーム(116)は、前記分光光源(112)の異なる出力チャネル(156)を介して分離され、ステップd)において、前記測定対象物(126)は、少なくとも2つの光ビーム(116)のうちの少なくとも1つによって照射され、ステップc)において、前記出力チャネル(156)を独立に制御することは、それぞれの前記出力チャネル(156)において少なくとも1つの光ビーム(116)を、少なくとも1つの残りの出力チャネル(156)において少なくとも1つの残りの光ビーム(116)とは異なるように変調することを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、分光光源、分光測定システム、及び分光測定システムの操作方法に関する。一例として、本発明の装置及び方法は、分光学の分野で採用されることができる。これには、具体的には、可視光スペクトル又は赤外スペクトル、より具体的には近赤外スペクトル又は中赤外スペクトルで動作する分光計が含まれ得る。さらに、フーリエ変換赤外(FTIR)装置又はガス分光法を含んでよい。さらに、本発明の装置及び方法は、白色光干渉計などの干渉計用途にも採用されることができる。このように、本発明の装置及び方法は、特に実験室での測定に使用されることができる。それにもかかわらず、アットライン測定及びインライン測定を含む産業環境でも使用されることができる。本発明の装置及び方法は、例えば空気品質の測定など、消費者環境でも使用されることができる。しかし、その他の用途も可能である。
【背景技術】
【0002】
分光測定のための多数の分光光源が従来技術から知られている。このような分光測定には、多くの場合、2つ以上の別々の光ビーム、例えば1つの測定光ビームと1つの参照光ビームを必要とする。したがって、分光光源においてこれら2つ以上の光ビームを生成するために、追加の光学要素、特にビームスプリッタが通常適用される。かなり時間がかかる方法としては、少なくとも2回の連続測定を行い、そのうちの1回が参照として機能する。多くの分光測定ではさらに、2つ以上の光ビームが異なる光学特性、例えば異なる変調度を有することが要求される。これは特に、異なる変調周波数を持つ周期的変調に関連する可能性があり、例えばチョッパーホイール又はチューニングフォークを使用することによって実現され得る。これらすべてが構造の複雑さを増大させ、分光測定システムの誤差の影響を受けやすくする。具体的には、光学要素の欠陥、ほこり、傷などによって、不可避的に光の散乱を生じる。このような迷光は、分光測定の精度にやはり影響を及ぼす。連続測定のもう1つの欠点は、光路、光源、又は電球の短時間変動によって生じる。これらの変動は、通常、参照とサンプルの測定値の間にシステム的な差をもたらす可能性がある。これにより、ノイズが加算される。
【0003】
EP0729017A1は、測定と分光計における迷光の影響を補正する方法と、分光計の直線性及び精度を向上させるための方法の使用を開示している。広帯域光源からの光は、光フィルタによって特定の波長帯域で遮断され、特定の波長帯域外の光はフィルタによって透過される。特定の帯域内の分光測定では、迷光、暗電流、電子オフセットの影響を含む集約オフセットを測定する。吸光分析法では、特定の帯域内の最初の分光測定は、化学サンプルが存在しない状態で測定され、2回目の測定は化学サンプルが存在する状態で行われる。第1分光測定は参照スペクトルの補正に使用され、第2分光測定はサンプルスペクトルの補正に使用され、それぞれ特定の帯域内にある。さらに、フィルタの挿入損失と、特定波長帯域内の波長を有する迷光について補正が行われる。しかしながら、EP0729017A1に開示された方法は、追加のプロセスステップを必要とし、プロセスステップは連続して実行される。したがって、EP0729017A1に開示された方法では、実際の分光測定を開始するまでにさらに時間を要する。
【0004】
さらに、一般的な分光光源は、長いヒートアップ時間を必要とする。これは、分光光源はスイッチを入れてから長い時間にわたって不安定な状態で発光することを意味する。しかし、この状態は、信頼性の高い精密な分光測定には適さない。そのため、分光測定を行う前に、毎回、分光光源が安定して動作するまで、ヒートアップ時間が経過するのを待たなければならない。このため、分光光源は多くの場合、スイッチがオフにされず、実際に必要な時間よりも長くオンになっている。これもまた、分光光源の寿命を縮める結果となる。
【0005】
特開平05-144576号公報は、スイッチがオンになったときに白熱ランプの明るさを徐々に増加させる装置を開示している。交流電源ACと白熱ランプLの直列回路が接続される端子が設けられている。ソフトスタート回路が端子内部に設けられている。スイッチSW1がオンになるとトランジスタQ4がオフになり、コンデンサC6の電荷が放電し始め、点(c)の電位が低下し始める。そのため、トランジスタQ3のコレクタ電流は減少し、点(d)のインピーダンスは増加する。Ve>Vf+VQ1BEの場合、トランジスタQ1がオンになり、トライアックQ5がオンになって白熱ランプLが点灯する。上記の動作は、コンデンサC6の電荷が完全に放電されるまで、半サイクルごとに繰り返される。ただし、(d)点のインピーダンスは徐々に増加するため、トライアックQ5がオンする位相はそれに応じて速くなる。コンデンサC6の電荷が完全に放電されると、(d)点のインピーダンスは一定となり、トライアックQ5のトリガ位相は一定となる。
【0006】
JP3300173B2は、直流回路を介した過電流の検出により、入力電源電圧の変動をキャンセルすることによって過電流を検出することができる過負荷検出装置及び白熱ランプ制御装置を開示している。商用電源電圧の瞬時値は瞬時値検出回路によって検出され、負荷電流は変流器によって電圧に変換され、その後過電流検出器に導かれる。瞬時値が所定電圧に達したとき、過電流検出器は、変流器の出力電圧がしきい値以上であるか否かによって過電流を検出し、その結果を位相制御回路に出力する。位相制御回路では、過電流が検出されると白熱ランプが半波長で点灯するように、トライアックにゲート制御信号を出力する。
【0007】
WO2005/050148A2は、分光測定を提供するためのシステム及び方法を開示している。一実施形態では、分光測定装置は、所定の波長範囲におけるM(M≧N)個の波長チャネルによって特徴付けられるN(N≧2)個の線形に独立した照射源を提供するように構成された少なくとも1つの放射源と;放射源及び物体と光通信するように構成された少なくとも1つのセンサを含むセンサユニットと;M個の波長チャネルにおけるN個の照射源のスペクトル特性を含む照射光特性マトリックスを保存するメモリと;照射光特性マトリックスに少なくとも部分的に基づいて、M個の波長チャネルにおける物体のスペクトル応答を提供するように構成されたプロセッサ、を備える。記載された文書の実施形態は、携帯型色測定装置などの新しいクラスの小型分光測定装置を構築するために使用されることができる。
【0008】
US3277773Aは、放射線測定装置、より具体的にはサンプルから反射される放射エネルギーを測定する装置を開示している。
【0009】
WO2017/040431A1は、サンプリングインターフェースにおいてサンプル中の物質の濃度及び種類を測定するためのシステム及び方法を開示している。システムは、光源、1つ以上の光学系、1つ以上の変調器、参照、検出器、及びコントローラを含む。該明細書に開示されたシステム及び方法は、異なる測定光路間で1つ以上のコンポーネントを共有することにより、光源、1つ以上の光学系、及び検出器に由来するドリフトを考慮することができる。さらに、システムは、光源とサンプル又は参照との間に1つ以上の変調器を配置することにより、異なるタイプのドリフトを区別し、迷光による誤った測定を排除することができる。さらに、システムは、検出器ピクセルとマイクロ光学系をサンプル内の位置と深さにマッピングすることにより、サンプル内の様々な位置と深さに沿って物質を検出することができる。
【0010】
WO2011/072870A1は、特に光学分光計用のリングライトを開示している。従来のリングランプでは、照射光を測定用の参照として使用することが可能であるが、多大な費用がかかり、さらには精度に限界があった。この説明されているアプリケーションは、より少ない労力で参照放射線を取得できるようにすることを目的としている。この目的のために、リングランプの少なくとも1つの入口束には、複数の参照光導波路の入口端が追加配置され、その出口端はリングから離れて組み合わされ少なくとも1つの参照束を形成する。
【0011】
US2009/316149A1は、一実施形態において、モジュール式45/0ヘッドを備えた分光光度計を開示している。サンプルの反射率を測定する装置の一実施形態は、光を放出するための複数の発光ダイオードと、複数の発光ダイオードの上方に配置された反射ハウジング(反射ハウジングは、その周囲に形成された複数の開口部を有するドームである)と、光の第1部分を捕捉するためのサンプルチャネル(光の第1部分はサンプルと相互作用する)と、光の第2部分をキャプチャするための参照チャネル(光の第2部分はサンプルとは無関係である)と、を含む。
【0012】
既知の分光光源によって達成された利点にもかかわらず、様々な技術的課題が依然として残っている。このように、2つ以上の光ビームを提供するためには、一般的に追加の光学要素が必要である。このため、分光測定システムの構造が複雑になり、誤差の影響を受けやすくなる。代替的に、少なくとも2回の連続測定を行う方法ができる。しかし、このアプローチでは、より多くの時間が必要となり、分光測定システム内で短時間の変動が発生しやすくする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、分光測定に適し、同様の種類の公知の装置及び方法の上述の課題に、少なくとも部分的に対処する、分光光源、分光測定システム、及び分光測定システムの操作方法を提供することが望ましい。具体的には、分光測定のために2つ以上の別個の潜在的に異なる光ビームを生成するのに適している装置及び方法を提供する一方で、具体的には、測定時間又は分光光源の構造の複雑さのいずれかの大幅な増加の問題を回避する(この問題は、分光測定の誤差及びノイズの追加に対する感受性の増加にも関係するする)ことが望ましい。光ビームは、さらに、高い短期安定性及び/又は長期安定性を示すことが特に望ましく、分光光源は、光ビームの安定性に影響を与えることなく切り替え可能であることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この問題は、独立特許請求項の特徴を備えた分光光源、分光測定システム及び分光測定システムの操作方法によって解決される。個別に又は任意に組み合わせて実現されることができる有利な実施形態は、明細書全体だけでなく従属請求項にも記載されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、「有する」、「備える」、又は「含む」という表現ならびにそれらの任意の文法上の変形は、非排他的な形で使用される。したがって、これらの用語は、これらの用語によって導入される特徴の他に、この関係において説明されているエンティティにおいてさらなる特徴が存在していないという状況、及び、1つ以上のさらなる特徴が存在しているという状況の両方を指し得る。例として、「AはBを有する」、「AはBを備える」、及び「AはBを含む」という表現は、B以外に他の要素がA中に存在しないという状況(すなわち、Aは単独でかつ排他的にBからなるという状況)、及び、B以外に、要素C、要素C及びD、又は、別の要素さえもなど、1つ以上のさらなる要素が、エンティティAにおいて存在するという状況の両方を指し得る。
【0016】
さらに、用語「少なくとも1つ」、「1つ以上(1つ以上)」、又は特徴又は要素が1回又は複数回存在し得ることを示す同様の表現は、通常それぞれの特徴又は要素を導入するときに1回だけ使用されることに留意されたい。ほとんどの場合、それぞれの特徴又は要素を参照するときに、表現「少なくとも1つ」又は「1つ以上(1つ以上)」は、それぞれの特徴又は要素が1回又は複数回存在してもよいという事実にかかわらず、繰り返されないことになる。
【0017】
さらに、以下において使用されているように、「好ましくは」、「より好ましくは」、「特に」、「さらに詳細には」、「具体的には」、「より具体的には」という用語、又は、同様の用語は、代替的な可能性を制限することなく、任意の特徴と共に使用される。したがって、これらの用語によって導入される特徴は任意選択の特徴であり、決して特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。当業者が認識するように、本発明は代替的な特徴を使用することによって実行されてもよい。同様に、「本発明の実施形態において」又は同様の表現によって導入される特徴は、本発明の代替的な実施形態に関していかなる制限を課すものではなく、本発明の範囲に関していかなる制限を課すものではなく、又、そのようにして導入される特徴と本発明の他の任意の特徴又は非任意の特徴を組み合わせることの可能性に関していかなる制限を課すものではない。
【0018】
本発明の第1の態様では、分光光源が提案される。本明細書で使用される「分光法」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、物質と電磁放射線との相互作用を放射線の波長又は周波数の関数として研究又は分析するプロセスを指し得る。したがって、「分光的」という形容詞は、分光法に使用可能であるという目的を指し得る。したがって、「分光的」という用語は、具体的には、「分光的用途に使用するための」という用語及び/又は「分光的用途に使用可能」という用語の同義語であり得る。具体的には、分光法は、可視光から電磁スペクトルのすべての帯域に一般化された色の研究を指し得る。分光法は、具体的には、波長、周波数、波数、又はエネルギーなどの光の少なくとも1つの光学的特性に従って光を分割することを含むプロセスであり得る。したがって、一例として、分光測定は光学測定を指し得、測定変数、例えば測定された物体による光の吸収が、光の分割された光学特性、例えば光の波長に依存して測定される。
【0019】
本明細書で使用される「光」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、10nm~1mmの波長範囲の電磁放射を指し得る。具体的には、分光光源は、可視スペクトル範囲及び/又は赤外スペクトル範囲、具体的には近赤外スペクトル範囲における少なくとも1つの波長の光又は少なくとも1つのスペクトル範囲の光を放出するように構成され得る。そこでは、380nm~760nmのスペクトル範囲を可視スペクトル範囲と呼ぶことができ、この可視スペクトル範囲より短い波長を有する光の波長範囲を紫外スペクトル範囲と呼ぶことができ、可視スペクトル範囲より長い波長を有する光の波長範囲を赤外スペクトル範囲と呼ぶことができる。そこでは、760nm~1.4μmのスペクトル範囲を近赤外(NIR)スペクトル範囲と呼ぶことできる。1.4μmから3μmのスペクトル範囲は、長波長近赤外スペクトル範囲又は短波長中赤外スペクトル範囲と呼ばれることもある。
【0020】
したがって、本明細書で使用される「分光光源」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分光測定のために、予め定義され及び/又は制御された光学特性を有する光などの光を放出するように構成された任意の装置を指し得る。分光光源は、具体的には、安定した光学特性を有する光を放出するように構成されてよい。一例として、分光光源は、少なくとも1つの波長範囲にわたって光を生成することができ、具体的には、より長い期間にわたって、光強度は、波長範囲内の各波長について少なくとも1つの予め定義された値に維持される。
【0021】
分光光源は、少なくとも1つの発光要素を備える。本明細書で使用される「発光要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を放出するように構成された素子を指し得る。具体的には、発光要素は、等方的に、すなわちすべての空間方向において均一に光を放出するように構成され得る。一例として、発光要素は、熱加熱により光を放出するように構成されてよく、及び/又は少なくとも1つの熱放射体であってよく、もしくはそれを含んでいてよい。このような熱加熱は、具体的には、例えば電気抵抗器を加熱するために、発光要素に電力を印加することによって誘導されてよい。したがって、発光要素は、少なくとも1つの電気接続及び/又は少なくとも1つのフィラメントを備えることができる。追加的に又は代替的に、発光要素は、発光ダイオード及びレーザーダイオードのうちの少なくとも1つを備えることができる。さらなる種類の発光要素も可能である。
【0022】
分光光源は、少なくとも1つの電子回路を備える。電子回路は、発光要素に電力、具体的には電圧を印加するように構成されている。本明細書で使用される「電子回路」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電力源、抵抗器、インダクタ、コンデンサ、ダイオード、演算増幅器又はトランジスタからなる群から独立して選択される電子部品などの少なくとも2つの電子部品のアセンブリを指し得、これらは、ワイヤ及び/又はトレースなどの1つ以上の導電性要素を介して少なくとも部分的に相互接続される。電子回路は、制御された方法で、少なくとも1つの電気出力、例えば電圧を生成するように構成されることができる。一例として、電子回路は、発光要素に印加される電圧を経時的に系統的に変化させるように構成されてよい。したがって、一例として、電子回路は、少なくとも1つの制御可能な電力源、電流源又は電圧源を備えることができる。
【0023】
分光光源は、少なくとも1つのハウジングを備える。ハウジングは、発光要素を少なくとも部分的に取り囲む。本明細書で使用される「ハウジング」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、内部の要素を少なくとも部分的に遮蔽するように構成された機械的カバーを指し得る。ハウジングは、具体的には、機械的性質の外部影響から、例えば、さらなる物体との衝突から、及び/又は振動から、その内部の要素を少なくとも部分的に遮蔽するように構成され得る。ハウジングは、少なくとも1つの壁、具体的には、少なくとも1つの堅固で変形不可能な壁を備えることができる。ハウジングは、少なくとも1つの振動減衰を備えていてよい。ハウジングは、さらに具体的には、電磁放射、具体的には熱放射を少なくとも部分的に遮蔽するように構成されていてよい。ハウジングは、発光要素によって放出される光を少なくとも部分的に遮蔽してよく、光が、分光光源から出ることをハウジングによって少なくとも部分的に防止することができる。一例として、発光要素を少なくとも部分的に取り囲むハウジングは、少なくとも1つの壁を備えてよく、壁は、発光要素にさらなる物体が接触し、発光要素を潜在的に損傷させることを防止するように構成されてよく、壁は、さらに、発光要素によって放出された光が分光光源から少なくとも1つの空間方向に出ることを防止するように構成されてよい。壁は、光が通過できる少なくとも開口部を備えていてよい。
【0024】
分光光源は、ハウジングを貫通する少なくとも2つの出力チャネルを備える。出力チャネルのそれぞれ1つは、分光光源から少なくとも1つの光ビームを分離するように構成されている。本明細書で使用される「出力チャネル」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を伝達するように構成され、伝達中に光を任意に修正する任意の要素又は装置を指し得る。一例として、分光光源内において、発光要素によって放出された光は、ハウジングによって遮蔽され、したがって、出力チャネルの少なくとも1つを通じてのみ分光光源から出ることができる。出力チャネルは、少なくとも1つの開口部、具体的には、分光光源のハウジングに設けられた少なくとも1つの開口部を備えることができる。出力チャネルは、分光光源の発光要素によって放出された光に対して少なくとも部分的に透明である少なくとも1つの材料を含むことができる。出力チャネルは、具体的には、分光光源の発光要素によって放出された光を修正するように構成された少なくとも1つの素子、より具体的には、少なくとも1つの光学要素を備えることができ、これについては、以下により詳細に説明する。
【0025】
本明細書で使用される「分離する」(“decoupling”)という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの第1エンティティを少なくとも1つの第2エンティティから解放する動作を指し、第1エンティティと第2エンティティは、解放後に互いに独立してよい。一例として、少なくとも1つの光ビームは、出力チャネルの少なくとも1つを通じて分光光源によって放出され、したがって、出力チャネルの少なくとも1つを通じて分光光源から出る可能性がある。分離された光ビームと分光光源は、次いで、分光光源が光ビームを操作できなくなることを意味し、互いに独立することができる。本明細書で使用される「光ビーム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光の量、具体的には、光の指向性投影など、少なくとも1つの方向に異方的に放出される光を指し得る。光ビームは、具体的には、異方性に少なくとも1つの空間距離にわたって1つの特定の方向に進むことができる。光ビームは散乱、具体的には反射してもよく、これにより光ビームの方向又は光ビームの光強度の少なくとも一部が変化する。光ビームは、それぞれが異なる方向に進む2つ以上の補助光ビームに分割されてよい。光ビームは、指定又は決定可能な幅を有することができ、この幅は、例えば光ビームの光軸に沿った縦方向位置の関数として増加及び/又は減少することができる。
【0026】
分光光源は、出力チャネルのそれぞれ1つを独立して制御するように構成されている。本明細書で使用される「独立して制御する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、第1エンティティを規制する一方で、並行して、又は時間的にシフトされた態様で、第2エンティティを選択的に等しく又は異なるように規制する動作を指し得る。一例として、第1要素が分光光源の第1出力チャネルに持ち込まれる一方、第2出力チャネルには素子が持ち込まれない、及び/又は第2要素が持ち込まれ得、第1要素と第2要素は異なっていてよい。第1要素と第2要素は、両方とも同じ種類の素子であってよいが、異なる特定の特性、例えば、異なる焦点を有するレンズ又は異なる変調周波数を有する変調要素を有していてもよい。第1要素と第2要素は、異なる種類の素子に属してよい。例えば、第1要素は絞りであり、第2要素は光フィルタであってよい。さらなる例を以下に概説する。したがって、第1出力チャネルを介して分離される第1光ビームは、第2出力チャネルを介して分離される第2光ビームとは異なるように操作され得る。
【0027】
発光要素は、少なくとも1つの白熱ランプ、具体的には、少なくとも1つのハロゲン充填白熱電球を備えてよい。本明細書で使用される「白熱ランプ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を放出するように構成された少なくとも1つの加熱フィラメントを含む発光要素を指し得る。白熱ランプは、内部に配置された少なくとも1つのフィラメントを有する少なくとも1つの電球を備えてよい。フィラメントは、少なくとも1本のワイヤ、具体的には、少なくとも1本のコイル状ワイヤを備えてよい。フィラメントは、タングステンを含んでよい。電球は、不活性ガスで充填されたガラス電球であってよい。不活性ガスは、具体的には、アルゴン及び/又は窒素を含むことができる。さらに、ガラス電球は、ハロゲンで充填されていてよい。ハロゲンは、具体的には、ヨウ素及び/又は臭素を含むことができる。発光要素に電力を印加すると、フィラメントに電流が流れ、フィラメントの温度が上昇し、フィラメントが熱放射を発する。白熱ランプは、具体的には、赤外スペクトル領域の光を放射するように構成されていてよい。
【0028】
ハウジングは、少なくとも部分的に電子回路を取り囲むことができる。したがって、ハウジングは、少なくとも部分的に電子回路を外部からの影響、例えば埃、汚れ又は水から保護することができる。具体的には、電子回路の敏感なコンポーネントはハウジングの内側に配置され、電子回路の頑丈なコンポーネントはハウジングの外側に配置されてよい。ハウジングはさらに、分光光源、具体的には発光要素の温度を安定化させるように構成され得る。したがって、ハウジングは、具体的には上記に示したような放熱器を備え得る発光要素からの熱を放散するように構成され得る。
【0029】
分光光源は、出力チャネルの少なくとも1つをオン及びオフするように構成されることができる。したがって、出力チャネルの少なくとも1つでは、少なくとも出力チャネルがオフになっている限り、分光光源から光ビームが分離されることはない。遮光要素の例としては、出力チャネルをオフにするため、例えばシャッタを出力チャネル、例えば出力チャネルの端部に配置することができる。出力チャネルを再びオンにするために、遮光要素を出力チャネルから取り外すことができる。
【0030】
分光光源は、出力チャネルの少なくとも1つにおいて光ビームを変調するように構成されてよい。分光光源は、具体的には、光ビームの振幅、光ビームの周波数、及び光ビームのデューティサイクルのうちの少なくとも1つを変調するように構成され得る。本明細書で使用される「変調する」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光の少なくとも1つの特性、具体的には光の強度又は位相の一方又は両方を変化させるプロセス、具体的には周期的に変化させるプロセスを指し得る。当業者であれば分かるように、強度とは光の振幅のことである。変調は、最大値からゼロまでの完全変調であってよく、又は最大値からゼロより大きい中間値までの部分変調であってもよい。
【0031】
分光光源は、特に、出力チャネルのそれぞれ1つの光ビームを独立に変調するように構成されてよい。したがって、第1出力チャネルは、第1出力チャネルを介して分離される第1光ビームを、第2出力チャネルを介して分離される第2光ビームを変調する第2出力チャネルとは異なるように変調することができる。一例として、第1光ビームは、第2光ビームとは異なる周波数で変調されてよい。光ビームが異なるように変調され得るという事実は、具体的には、複数の光路上の測定対象物の同期測定を可能にし得る。変調の違いにより、光ビームが1つの同じ検出器によって検出されたとしても、光ビームを区別することが可能であり得る。分光光源は、0Hzから1000Hz、好ましくは0.5Hzから1000Hz、より好ましくは1Hzから500Hz、さらに好ましくは8Hzから128Hzの周波数で、出力チャネルの少なくとも1つの光ビームの振幅を変調するように構成されてよい。
【0032】
ハウジングは、発光要素を少なくとも部分的に取り囲む内側ハウジングを備えてよい。ハウジングは、内側ハウジングを少なくとも部分的に取り囲む外側ハウジングをさらに含んでよい。内側ハウジング及び外側ハウジングはそれぞれ、出力チャネルの一部として少なくとも2つの開口部を備えることができる。出力チャネルの少なくとも1つは、それぞれの光ビームを変調するための少なくとも1つの変調要素を備えることができる。変調要素は、内側ハウジングと外側ハウジングとの間の中間空間、具体的には、内側ハウジングと外側ハウジングとのそれぞれの開口部の間に配置され得る。したがって、変調要素は、外側ハウジングによって外部からの影響、例えば汚れから遮蔽され得る。同時に、変調要素は、発光要素によって発生し得る熱から内側ハウジングによって遮蔽され得る。このことは、変調要素の長寿命化だけでなく、信頼性の高い安全な動作にも寄与する。
【0033】
本明細書で使用される「変調要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を変調するように構成された任意の要素を指し得る。具体的には、変調要素は、出力チャネルのうちの1つの光ビームの強度の少なくとも一部を周期的に遮断及び/又は弱めることによって、少なくとも1つの光ビームの振幅を最大値から最小値、具体的にはゼロに変調するように構成され得る。変調要素は、例えば、回転チョッパーホイールを使用することによって、例えば、光を機械的に変調するため、及び/又は、例えば、ポッケルスセル及び/又はカーセルを使用することによって、例えば、電気光学効果及び/又は音響光学効果を使用することによって光を電子的に変調するために構成されることができる。変調要素に関するさらなる例は、以下でより詳細に説明する。変調要素は、内側ハウジングに取り付けられてよい。電子回路は、少なくとも部分的に外側ハウジングに囲まれていてよい。ハウジングは、少なくとも1つのベース要素を含んでいてよい。内側ハウジング及び外側ハウジングは、ベース要素上に直接的又は間接的に載置されてよい。電子回路は、内側ハウジングの裏で外側ハウジング内に収容されてよい。発光要素は、電子回路に取り付けられてよい。発光要素は、電子回路から内側ハウジング内に突出していてよい。
【0034】
少なくとも1つの光学要素が、外側ハウジングの内部、具体的には内側ハウジングの開口部の少なくとも1つ内に配置されてよい。光学要素は、内側ハウジングの開口部のそれぞれに収容されるレンズを備えることができる。本明細書で使用される「光学要素」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、入射光の少なくとも1つの光学特性、例えば光の強度又は光の少なくとも一部の方向を変化させるように構成された任意の要素を指し得る。光は光学要素で散乱してよい。光は、光学要素によって少なくとも部分的に反射及び/又は吸収される。
【0035】
分光光源は、少なくとも1つのアクチュエータをさらに備えることができる。本明細書で使用される「アクチュエータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの要素に少なくとも1つの力及び/又は少なくとも1つの作用を及ぼすように構成され、及び/又は要素の少なくとも1つの特性を変化させるように構成される任意の装置を指し得る。アクチュエータは、具体的には、要素に少なくとも1つの機械的作用を及ぼすように構成された少なくとも1つの機械的アクチュエータであってよく、又はそれを備えてよい。少なくとも1つの機械的アクチュエータは、具体的には、少なくとも1つの電気モータなどの少なくとも1つのモータを備えてよい。少なくとも1つのアクチュエータは、具体的には、ロータなどの少なくとも1つの回転アクチュエータであってよく、又はそれを備えてよい。機械的アクチュエータに加えて、電気アクチュエータ、電気機械アクチュエータ、光学アクチュエータ、及び光学機械的アクチュエータのうちの1つ以上など、他のタイプのアクチュエータも可能である。具体的には、アクチュエータは、少なくとも1つの要素を、分光光源の光チャネルの少なくとも1つの中へ、及び/又は、分光光源の光チャネルの少なくとも1つの外へ、及び/又は、分光光源の光チャネルの少なくとも1つの中に移動させるように構成され得る。一例として、アクチュエータは、少なくとも1つの光学要素、例えば光フィルタを出力チャネルの少なくとも1つの中に移動させるように構成されてよい。さらに、アクチュエータは、分光光源の出力チャネルの少なくとも1つにおいて少なくとも1つの光ビームを変調するように構成されてよい。
【0036】
アクチュエータは、少なくとも1つの変調要素、具体的にはシャッタ及びチョッパーホイールの少なくとも1つを備えることができる。本明細書で使用される「シャッタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、所定の期間、光を遮断するように構成された任意の装置を指し得る。シャッタは、少なくとも2つの異なる空間的位置の間で移動可能な少なくとも1つの不透明要素を備えてよく、少なくとも2つの空間的位置のそれぞれにおいて、異なる量の光が遮断され得る。具体的には、第1の位置では光が遮断されず、第2の位置ではすべての光が遮断され得る。一例として、不透明要素は、枢動可能な不透明要素であってもよく、この不透明要素は、第1の位置と第2の位置との間で枢動するように構成されていてよい。シャッタは、バネ及びキャッチ機構の少なくとも一方をさらに備えることができる。上記で示したように、シャッタは、出力チャネルの内外にシャッタを出入りさせることによって、出力チャネルの少なくとも1つをオン及びオフするためにも使用することもできる。さらに、シャッタを所定の方法で、具体的には周期的に出力チャネルに出入りさせることによって、出力チャネルを介して分離される少なくとも1つの光ビームを変調することができる。
【0037】
本明細書で使用される「チョッパーホイール」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を変調するように構成された回転可能なセクタ開口部を指し得る。チョッパーホイールは、具体的には、光強度を最大値からゼロまで周期的に遮断するように構成されてよい。セクタ開口部は、すべての入射光強度を遮断する少なくとも1つの不透明なセクタを備えることができる。具体的には、チョッパーホイールは、チョッパーホイールの回転中に、少なくとも1つの不透明セクタを分光光源の出力チャネルの少なくとも1つに周期的に移動させるように配置されてよい。したがって、出力チャネルを通して分離される少なくとも1つの光ビームの振幅は、対応する周波数で変調され得る。
【0038】
アクチュエータは、少なくとも1つのステッピングモータを備えることができる。本明細書で使用される「ステッピングモータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電気モータのロータの全回転を、等しいステップサイズを有する個別にアプローチ可能な多数のステップに分割するように構成された電気モータを指し得る。具体的には、分光光源のシャッタ及び/又はチョッパーホイールは、ステッピングモータによって駆動され得る。さらなる要素、具体的には光学要素は、ステッピングモータを使用することにより、出力チャネルの少なくとも1つに移動させることができる。上記に示したように、出力チャネルの少なくとも1つは、少なくとも1つの光学要素、具体的には移動可能な光学要素をさらに備えることができる。したがって、光学要素は、出力チャネル内へ、及び/又は、出力チャネル外へ、及び/又は、出力チャネル内に移動されるように構成されてよい。光学要素は、レンズ、具体的には集光レンズ、絞り、光フィルタ、回折格子、分散要素、回折素子、空間光変調器などの能動要素、及びミラーのうちの少なくとも1つを備えることができる。
【0039】
出力チャネルの少なくとも1つは、光ファイバコネクタを備えることができる。本明細書で使用される「光ファイバ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、内部全反射によって光を導くように構成された光導波路、具体的には、2つの空間点間、具体的にはより長い距離にわたって光を伝達するように構成されたフレキシブル導波路を指し得る。光ファイバは、任意で、例えば、より低い屈折率を有する少なくとも1つのクラッド材料によって囲まれたコア材料を含んでよい。したがって、光は、例えばコア材料とクラッド材料との間の1つ以上の境界において、例えば光と境界との間の角度が臨界角よりも大きい限り、全内部反射に起因してコア材料内で導かれ得る。本明細書で使用される「光ファイバコネクタ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を光ファイバに結合するため、又は光を光ファイバから分離するため、具体的には、光を光ファイバのコアに結合し、光が光ファイバによって伝達されるように構成された任意の装置を指し得る。一例として、光ファイバコネクタは、光ファイバの端部を保持するためのホルダを備えることができる。さらに、光ファイバコネクタは、例えば、光ファイバに結合される光を光ファイバの自由端に集束させるための少なくとも1つのレンズなどの少なくとも1つの光学要素を備えることができる。光ファイバコネクタは、具体的には、プラグイン光ファイバコネクタであってよい。一例として、光ファイバコネクタは、分光光源の出力チャネルの端部に配置され、光ビームを分光光源から光ファイバに分離することができる。光ファイバコネクタは、ハウジングの外側面、具体的には、外側ハウジングの外側面、より具体的には、外側ハウジングの少なくとも1つの開口部の位置における外側ハウジングの外側面に取り付けられてよい。具体的には、光ファイバコネクタは、外側ハウジングの開口部に差し込まれてよい。任意に、アダプタが最初に外側ハウジングの開口部に取り付けられ、光ファイバコネクタがアダプタに差し込まれてよい。
【0040】
電子回路は、少なくとも1つのプリント回路基板を備えることができる。本明細書で使用される「プリント回路基板」という用語は、しばしば「PCB」と略記されるが、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、「基板」とも呼ばれる、電気的に非導電性の平面基板を指し得、この基板上には、少なくとも1枚の導電性材料、特に銅層が塗布され、具体的には積層され、さらに、1つ以上の電子、電気、及び/又は光学要素を含む。このタイプの回路キャリアを指す他の用語は、プリント回路アセンブリ、略して「PCA」、プリント基板アセンブリ、略して「PCBアセンブリ」又は「PCBA」、回路カードアセンブリ、略して「CCA」、又は単に「カード」である。PCBでは、電気絶縁基板はガラスエポキシを含むことができ、フェノール樹脂を含浸させたコットンペーパー、典型的には褐色又は茶色も基板材料として使用することができる。シートの数に応じて、プリント回路基板は、片面PCB、2層又は両面PCB、又は多層PCBとすることができ、異なるシートは、いわゆる「ビア」を使用することによって互いに接続することができる。両面PCBは、両面に金属を有することができ、多層PCBは、電気絶縁材料のさらなる層の間に追加の金属層を挟むことによって設計されることができる。さらに、2つの両面PCBを使用するによって、4層PCBを生成することができる。多層PCBでは、層は、金属、基板、金属、基板、金属などの順序で、交互に一緒に積層することができ、各金属層は、個別にエッチングすることができ、任意の内部ビアは、複数の層が一緒に積層される前にメッキスルーすることができる。さらに、ビアは、好ましくは、電気絶縁基板を通る電気トンネルとして設計され得る銅メッキ穴であってよく、又はそれを備えてよい。この目的のために、スルーホールコンポーネントを使用することもでき、このコンポーネントは、通常、基板を貫通するワイヤリードによって取り付けられ、反対側のトラック又はトレースにはんだ付けされる。
【0041】
プリント回路基板は、発光要素にわたる電圧;発光要素を通る電流;発光要素に供給される電力;発光要素の抵抗;発光要素の温度のうちの少なくとも1つをリアルタイムで監視するように構成された少なくとも1つのセンサを備えることができ、発光要素はセンサに熱的に結合され得る。本明細書で使用される「センサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの状態を検出するため、又は少なくとも1つの測定変数を測定するために構成された任意の装置を指し得る。一例として、センサは、サーミスタ、具体的には負温度係数(NTC)サーミスタであってよく、少なくとも1つの熱伝導性材料、例えば銅を介して発光要素に熱的に結合されてよい。さらに、センサは、例えば、電圧計、電流計、電力計、抵抗計のうちの少なくとも1つを備えることができる。センサは特に、例えば、電源電圧及び予め定義された小さな直列抵抗における電圧降下を測定することによって、発光要素を間接的に監視するように構成されてよい。さらなる物理量、例えば電力、電流及び抵抗の少なくとも1つが、測定値から導き出され得る。
【0042】
電子回路は、無線及び/又は有線の電子又は電気インターフェース、具体的にはハウジングの外部からアクセス可能なUSBポートなどの少なくとも1つのインターフェースを備えることができる。本明細書で使用される「インターフェース」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、情報を転送するように構成された境界を形成する任意の装置を指し得る。特に、インターフェースは、計算装置、例えばコンピュータから、例えば別の装置上に情報を送信又は出力するように、情報を転送するように構成されてよい。追加的に又は代替的に、インターフェースは、情報を受信するなど、情報を計算装置、例えばコンピュータに転送するように構成されてよい。通信インターフェースは、特に、情報を転送又は交換するための手段を提供することができる。特に、インターフェースは、例えばBluetooth、NFC、誘導結合などのデータ転送接続を提供することができる。一例として、インターフェースは、ネットワーク又はインターネットポート、USBポート、及びディスクドライブのうちの1つ以上を含む少なくとも1つのポートであるか、又はそれらを備えてもよい。インターフェースは、少なくとも1つのウェブインターフェースであってよい。具体的には、インターフェースを介して、電子回路と少なくとも1つの外部装置、例えばコンピュータ、タブレット又はスマートフォンとの間のデータ転送が可能であり得る。一例として、センサデータがインターフェースを介して電子回路から外部装置に転送されることができる。さらなる例として、電子回路を制御するためのコマンド、例えば電力、特に電圧などの電子回路の少なくとも1つの電気出力を生成するためのコマンドは、インターフェースを介して外部装置から転送されることができる。
【0043】
電子回路は、少なくとも1つのコントローラ、具体的には、少なくとも1つのマイクロコントローラを備えることができる。コントローラは、発光要素に印加される電力の少なくとも1つを制御するように構成されていてよい。コントローラは、出力チャネルの少なくとも1つを制御するように構成されてよい。コントローラは、センサ及び/又はインターフェースを制御するように構成されてよい。本明細書で使用される「コントローラ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分光光源又は分光光源の一部の1つ以上の動作を制御するように構成された任意の電子装置を指し得る。コントローラはプログラム可能であってよい。したがって、コントローラは、具体的には、少なくとも1つのプロセッサを備えることができる。本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、コンピュータ又はシステムの基本動作を実行するように構成された任意の論理回路、及び/又は一般に、計算もしくは論理動作を実行するように構成された装置を指し得る。特に、プロセッサは、コンピュータ又はシステムを駆動する基本命令を処理するように構成されることができる。一例として、プロセッサは、少なくとも1つの算術論理ユニット(ALU)、数学コプロセッサ又は数値コプロセッサなどの少なくとも1つの浮動小数点ユニット(FPU)、複数のレジスタ、具体的にはALUにオペランドを供給して動作結果を記憶するように構成されたレジスタ、ならびにL1及びL2キャッシュメモリなどのメモリを備えることができる。特に、プロセッサはマルチコアプロセッサであってよい。具体的には、プロセッサは、中央処理装置(CPU)であってよく、又はそれを備えてよい。追加的に又は代替的に、プロセッサは、マイクロプロセッサであってよく、又はそれを備えてよく、したがって、具体的には、プロセッサの要素は、1つの単一の集積回路(IC)チップに含まれてもよい。追加的に又は代替的に、プロセッサは、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)及び/又は1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などであってよく、又はそれらを備えてよい。
【0044】
上で示したように、コントローラは、発光要素に印加される電力、具体的には発光要素に印加される電圧の少なくとも1つを制御するように構成され得る。その結果、コントローラは、発光要素の発光を、具体的には、分光光源のユーザーの仕様に応じて制御するように構成され得る。コントローラは、発光要素に印加される電力と発光要素の発光とをマッチングさせるためのルックアップテーブルを使用するように構成されてよい。一例として、発光要素は白熱ランプであってよい。コントローラは、白熱ランプに印加される電力、したがって白熱ランプの温度を制御することができる。その結果、コントローラは、白熱ランプによって放出される熱放射の強度及びスペクトル分布を制御することができる。白熱ランプに印加される電力と白熱ランプの温度との間の関係は、校正測定から知ることができ、ルックアップテーブルに記録することができる。さらに、白熱ランプの温度と、白熱ランプによって放射される熱放射の強度又はスペクトル分布との関係は、校正測定から知ることができ、ルックアップテーブルに記録することができる。
【0045】
コントローラは、発光要素のソフトスタート及び/又はソフトストップを実行するように構成されることができる。本明細書で使用される「ソフトスタート」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、装置のスイッチオン時の電力制御のための手段を指し得る。この手段は、装置の過負荷を防止するために構成されてよい。この手段は、具体的には、装置の潜在的に大きな突入電流を制限するものであってよい。一例として、分光光源の発光要素のスイッチをオンにする際に、電圧ランプはゼロから動作のための目標電圧に向かう時間にわたって発光要素に印加してよい。電圧ランプは、1秒から60秒まで、好ましくは2秒から30秒まで、より好ましくは3秒から10秒までの変化する時間間隔にわたって印加されることができる。同様に、本明細書で使用される「ソフトストップ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、装置のスイッチオフ時の電力制御のための手段を指し得る。具体的には、ソフトスタートの電圧ランプと比較して、逆電圧ランプが適用されてよい。ソフトスタート及び/又はソフトストップは、具体的には、分光光源の発光要素の動作ストレスを減少させることができる。したがって、ソフトスタート及び/又はソフトストップは、発光要素の寿命を増加させることができる。さらに、ソフトスタート及び/又はソフトストップを使用する場合、発光要素が安定して動作するまで待たなければならない、発光要素のヒートアップ時間を回避することができる。
【0046】
コントローラは、少なくとも1つの降圧レギュレータを備えることができる。降圧レギュレータは、少なくとも1つのフィードバック接続を備えることができる。本明細書で使用される「降圧レギュレータ」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの入力電圧を、入力電圧より小さいか等しい少なくとも1つの出力電圧に修正するように構成されたDC-DCコンバータを指し得る。上記及び以下において、DCは直流を指す。降圧レギュレータは、トランジスタ、ダイオード、インダクタ、及びコンデンサのうちの少なくとも1つを備えることができる。一例として、降圧レギュレータは入力電圧を受け取り、入力電圧を可変目標電圧まで低下させ、目標電圧を出力電圧として供給することができる。
【0047】
コントローラは、少なくとも1つの抵抗ネットワークを備えることができる。本明細書で使用される「ネットワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも部分的に相互接続されたコンポーネントの群を指し得る。本明細書で使用される場合、「抵抗ネットワーク」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの抵抗器を備えるネットワークを指し得る。抵抗器は接地されていてよい。抵抗ネットワークは、具体的には、複数の抵抗器と、抵抗器を少なくとも部分的に相互接続するためのワイヤ及び/又はトレースとを備えることができる。抵抗ネットワーク又は抵抗ネットワークの少なくとも一部は、少なくとも1つの分圧器を形成してよい。コントローラは、少なくとも1つのデジタル・アナログ・コンバータ(DAC)を備えることができる。デジタル・アナログ・コンバータは接地されていてよい。デジタル・アナログ・コンバータは、降圧レギュレータによる入力電圧の修正を制御するように構成されてよい。具体的には、デジタル・アナログ・コンバータは抵抗ネットワークに接続されてよく、抵抗ネットワークはさらに、降圧レギュレータのフィードバック接続に少なくとも接続されてよい。したがって、デジタル・アナログ・コンバータのデジタル制御された出力電圧は、降圧レギュレータのフィードバック接続に加算され得る。
【0048】
コントローラは、少なくとも1つのシャントを備えることができる。シャントは、電圧計及び電流計のうちの少なくとも1つを備えることができる。本明細書で使用される「シャント」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、電流に対して低抵抗のバイパスを形成するように構成された任意の装置を指し得る。具体的には、シャントは、電流感知及び/又は電圧感知のために構成され得る。一例として、シャントは、シャント電圧計と並列に配置されるシャント抵抗器を備えることができる。
【0049】
分光光源は、少なくとも1つの冷却装置、具体的にはファン及びヒートシンクのうちの少なくとも1つを備えることができる。本明細書で使用される「冷却装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、少なくとも1つの物体から熱エネルギーを抽出するように構成された任意の装置を指し得る。冷却装置は、物体から熱を放散するように構成され得る。したがって、冷却装置は、物体の温度を安定に保つように構成されていてよい。冷却装置は、物体の温度を能動的に低下させるように構成されてよい。発光要素、電子回路及び冷却装置は、空間的に分離されていてよい。これにより、特に、発光要素及び/又は電子回路を環境影響、例えば、防爆のために特に重要となり得る汚れ又は埃から遮蔽することが容易になり得る。これにより、水への完全な浸漬に至るまで、分光光源の高い保護レベルが得られ得る。
【0050】
本発明のさらなる態様において、分光測定システムが提案される。本明細書で使用される「システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、全体を形成する相互作用又は相互依存するコンポーネント又は部品の任意の集合を指し得る。具体的には、コンポーネントは、少なくとも1つの共通機能を果たすために互いに相互作用してよい。少なくとも2つのコンポーネントは、独立して取り扱われてもよく、又は結合又は接続可能であってよい。本明細書で使用される「分光測定システム」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、分光測定のために構成されたシステムを指し得る。
【0051】
分光測定システムは、上記又は以下でさらに詳細に説明される実施形態のいずれか1つによる少なくとも1つの分光光源を備える。分光測定システムは、少なくとも1つの検出器をさらに備える。検出器は、分光光源から分離された少なくとも1つの光ビームを検出するように構成される。検出器はさらに、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するように構成される。本明細書で使用される「検出器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、光を定性的に及び/又は定量的に検出することができる任意の装置を指し得る。したがって、具体的には、検出器は、光の照射に応じて少なくとも1つの測定可能な特性を変化させることができる少なくとも1つの感応要素を備えることができる。検出器は、具体的には、フォトダイオード、フォトトランジスタ、フォトレジスタ、半導体センサ、光電子増倍管、光電管、熱検出器、焦電検出器、サーモパイル、ボロメータ、ゴーレイセル、光化学センサのうちの1つ以上を備えることができる。検出器は、単一の均一な感応要素又は感応面を有する単一の検出器であってよく、又はピクセル化センサ、例えばCCD又はCMOS装置などの複数の感応要素を有する検出器であってもよい。検出器は、特に、光ショートパスフィルタ、光ロングパスフィルタ、又は光バンドパスフィルタの少なくとも1つから選択される、少なくとも1つの光パスフィルタを備えることができる。光パスフィルタは、限定された波長範囲内の波長を有する光を透過させるように構成され得る。
【0052】
分光測定システムは、検出器信号を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し電子機器を備える。本明細書で使用される「読み出し電子機器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、検出器によって生成された検出器信号の受信、監視、解釈、及び前処理のうちの少なくとも1つのために構成された任意の装置を指し得る。読み出し電子機器は、具体的には、検出器信号に対応するデジタル信号を生成するように構成され得、デジタル信号は、さらなる計算処理に適している可能性がある。読み出し電子機器は、光電流を蓄積するように構成された少なくとも1つの読み出し集積回路を備え得る。読み出し電子回路は、具体的には、少なくとも1つのデジタル読み出し集積回路、より具体的には、少なくとも1つのデジタルピクセル読み出し集積回路を備えることができる。
【0053】
読み出し電子機器は、検出器信号を増幅するように構成された少なくとも1つのロックイン増幅器を備えることができる。本明細書で使用される「ロックイン増幅器」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、潜在的に非常にノイズの多い環境から少なくとも1つの既知の特性を有する測定信号を抽出して増幅するように構成された任意の装置を指し得る。具体的には、ロックイン増幅器は、変調された測定信号、より具体的には既知の周波数で変調された測定信号を抽出し増幅するように構成されてよい。一例として、測定信号は、既知の周波数を有する周期信号で変調され得る。この場合、周期信号はロックイン増幅器内で測定信号と混合され得、混合信号は少なくとも1つのローパスフィルタを使用することによってフィルタリングされ得る。周期変調を考慮した他のロックイン増幅器技術が一般に知られており、ここで使用されることができる。このようなロックイン増幅器技術は、1つの同じ検出器によって検出された異なる信号、特に異なる変調信号を区別することを可能にする。さらに、検出器のノイズを大幅に低減し、信号対ノイズ比を向上させることができるため、例えば、FTIR又は白色光分光法などの干渉計測を向上させることができる。
【0054】
分光測定システムは、検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置を備える。本明細書で使用される「評価装置」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、データを分析及び/又は解釈するために構成される任意の装置を指し得る。評価装置は、1つ以上の集積回路、特に特定用途向け集積回路(ASIC)の少なくとも1つ、及び/又はデータ処理装置、特にデジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、又はコンピュータの少なくとも1つであってよく、又はこれらを備えてよい。代替的又は追加的に、評価装置は、特に、少なくとも1つの電子通信ユニット、具体的にはスマートフォン又はタブレットによって含まれてよい。追加のコンポーネント、特に1つ以上の前処理装置及び/又はデータ収集装置、特に検出器信号の受信及び/又は前処理のための1つ以上の装置、特に1つ以上のAD変換器及び/又は1つ以上のフィルタが可能である。さらに、評価装置は、特に少なくとも1つの電子テーブル、特に少なくとも1つのルックアップテーブルを保存するための、1つ以上のデータ記憶装置を含んでよい。さらに、評価装置は、1つ以上のインターフェース、特に1つ以上の無線インターフェース及び/又は1つ以上の有線インターフェースを備えることができる。
【0055】
評価装置は、少なくとも1つのコンピュータプログラム、特に、情報項目を生成するステップを実行又はサポートする少なくとも1つのコンピュータプログラムを実施及び/又は実行するように構成され得る。一例として、分光計信号を少なくとも1つの入力変数として使用することにより、情報項目に対する変換を実行する1つ以上のアルゴリズムを実装することができる。この目的のために、評価装置は、特に、少なくとも1つの検出器信号を評価することによって情報項目を生成するように構成され得る少なくとも1つのデータ処理装置、特に電子データ処理装置を備えることができる。このように、評価装置は、検出器信号を入力変数として使用し、入力変数を処理することによって情報項目を生成するように構成されることができる。この処理は、並行して、続けて、あるいは組み合わせて行うことができる。評価装置は、項目情報を生成するために、特に計算によって、及び/又は少なくとも1つの保存された及び/又は既知の関係を使用することによって、任意のプロセスを使用することができる。
【0056】
本明細書で使用される「情報項目」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、要素又は物体の物理的特性など、少なくとも1つのエンティティの定性的及び/又は定量的な記述を提供するデータ、知識、又は証拠の少なくとも1つを指し得る。情報項目は、例えば、物質の化学組成を指し得る。一例として、分光測定システムは、少なくとも1つの物質の分析に使用され得る。このような場合、少なくとも1つの検出器は、例えば、少なくとも1つの波長で材料を通る少なくとも1つの光ビームの透過を検出することができる。少なくとも1つの対応する検出器信号から、評価装置において材料の吸収スペクトルを導き出すことができ、これは特定の化学組成に特徴的であり得る。
【0057】
本発明のさらなる態様では、上記又は以下にさらに詳細に説明される実施形態のいずれか1つによる分光測定システムを操作する方法が提案される。この方法は、以下の方法ステップ:
a) 電子回路を使用することによって、分光光源の発光要素に電力、特に少なくとも1つの電圧を印加するステップと;
b) 発光要素を使用することによって、発光させるステップと;
c) 出力チャネルの各々を独立に制御しつつ、少なくとも2つの出力チャネルのうちの少なくとも1つの出力チャネルを使用することによって、分光光源から少なくとも1つの光ビームを分離するステップと;
d) 光ビームで少なくとも1つの測定対象物を照射するステップと;
e) 分光測定システムの検出器を使用することによって光ビームを検出し、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するステップと;
f) 分光測定システムの読み出し電子機器を使用することによって検出器信号を読み出すステップと;
g) 分光測定システムの評価装置を使用することによって、検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するステップと、
を含む。
【0058】
方法ステップa)~g)は、所定の順序で実行されることができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回又は繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に又は適時に重複して実施してもよい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。ステップf)では、検出器信号は、ロックイン増幅器を使用することによってさらに増幅され得る。
【0059】
ステップc)において、制御することは、出力チャネルの少なくとも1つをオン及びオフすることを含んでよい。制御することは、出力チャネルの少なくとも1つにおいて光ビームを変調すること、具体的には、光ビームの振幅、光ビームの周波数、及び光ビームのデューティサイクルの少なくとも1つを変調することを含むことができる。制御することは、0Hz~1000Hz、好ましくは0.5Hz~1000Hz、より好ましくは1Hz~500Hz、より好ましくは8Hz~128Hzの周波数で、出力チャネルの少なくとも1つにおいて光ビームの振幅を変調することを含むことができる。
【0060】
ステップc)では、少なくとも2つの光ビームが分光光源から分離されることができる。各光ビームは、分光光源の異なる出力チャネルを介して分離されてよい。ステップd)において、測定対象物は、少なくとも2つの光ビームのうちの少なくとも1つによって照射され得る。少なくとも2つの光ビームのうちの少なくとも1つの光ビームは、ステップg)において情報項目を決定する際の参照として使用され得る。分光測定システムは、2つの光ビームを結合するように構成された少なくとも1つの要素を備え得る。本明細書で使用される「参照」という用語は、広義の用語であり、当業者にとって通常で慣用的な意味を与えられるべきであり、特別な意味又はカスタマイズされた意味に限定されるべきではない。この用語は、具体的には、限定されることなく、特に測定された信号に関して、比較目的に適切な任意のエンティティを指し得る。測定信号と参照信号との比較は、具体的には、測定信号のさらなる処理及び/又は評価を容易にすることができる。具体的には、測定信号と参照との差は、測定信号のさらなる処理及び/又は評価に使用され得る。一例として、測定対象物は第1光ビームによって照射され、第2光ビームは直接検出器に送られ得る。しかし、少なくとも2つの光ビームを測定対象物に送ることも可能である。これにより、測定対象物の同期分光測定を行うことができる。
【0061】
ステップc)において、出力チャネルを独立に制御することは、それぞれの出力チャネルにおいて、少なくとも1つの光ビームを、少なくとも1つの残りの出力チャネルにおける少なくとも1つの残りの光ビームとは異なるように変調することを含み得る。具体的には、2つの異なる変調された光ビームは、1つの同じ検出器によって検出されたときに、区別可能であり得る。一例として、第1光ビームは、第1出力チャネルを介して分離されてよい。第1出力チャネルにおいて、第1光ビームの振幅は、例えば第1チョッパーホイールを使用することにより、第1周波数で変調され得る。同時に、第2光ビームは、第2出力チャネルを介して分離されてよい。第2出力チャネルにおいて、第2光ビームの振幅は、例えば第2チョッパーホイールを使用することにより、第2周波数で変調され得る。第1チョッパーホイールと第2チョッパーホイールは、特に異なる回転周波数で動作させることができ、第1チョッパーホイールと第2チョッパーホイールは同一の設計であってよい。したがって、変調度の違いにより両者を区別しながら、第1光ビームと第2光ビームを1つの同じ検出器で検出することが可能であり得る。
【0062】
本方法は、コンピュータで実装され得る。本発明のコンピュータ実装の態様を参照すると、本明細書に開示された実施形態の1つ以上による方法の方法ステップの1つ以上、あるいは方法ステップのすべてさえも、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法ステップのいずれもが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、手作業を必要とする方法ステップを除く、任意の方法ステップを含むことができる。
【0063】
本発明による装置及び方法は、既知の装置及び方法に対して多数の利点を提供し得る。特に、分光光源は、分光測定のために複数の個別に適合された高出力光ビームを同時に提供するように構成されることができる。光ビームはフリービームであってよく、又はファイバ結合されてよい。光ビームはそれぞれ単一波長であってよく、又はより広いスペクトル範囲、具体的には赤外スペクトル範囲に広がってよい。それでも、分光光源は、原理的には、例えば既製の白熱電球などの発光要素を1つだけ必要とし、ビームスプリッタ又はさらなる光学要素を必要としない。これにより、分光光源の構造の複雑さを低く抑え、構造上のスペースを節約する。2つ以上の出力チャネルを有すると、分光光源は、さらに自動的に内蔵参照チャネルを備えることができる。その上、測定時間を節約するために、異なる出力チャネルを使用することにより、複数の測定を同時に行うことができる。光ビームは分光光源の出力チャネルで個別に適合させることができるため、特に個別に変調させることもできる。異なる光ビームを異なる変調周波数で変調すると、それらを区別しながら、分光測定システムの1つの同じ検出器で光ビームを検出することができる。これには、一般的なロックイン増幅器技術を使用することができる。変調は、検出器のノイズを減少させることによってさらに役立ち、良好な信号対ノイズ比を容易にする。
【0064】
さらに、アクティブ安定化のオプションにより、分光光源は、短期的にも長期的にも非常に安定した光ビームを提供するように構成されることができる。その中で、分光光源のスイッチをオンとオフにしても、一般的に安定性に影響を与えない。発光要素へのストレスは、ソフトスタートとソフトストップによって大幅に軽減されることができる。このソリューションにより、分光光源は、一般に、発光要素が安定して動作するためのヒートアップ時間を必要としない場合がある。ユーザーは、信頼性の高い測定を行う前に、ヒートアップ時間が経過するのを待つ必要がなくなるため、分光光源を長時間オンにさせたままにするのではなく、必要なくなった場合は、測定のたびにスイッチをオフする可能性が高くなる。同時に、複数のセンサが発光要素をライブで監視し、潜在的な故障の修正を直接トリガすることができる。これらすべてにより、発光要素の寿命が大幅に延びる可能性がある。
【0065】
さらに、発光要素、電子回路及び冷却装置は、分光光源内で空間的に分離されていてよい。これにより、特に、外部環境との接触を防ぐことで、光学系と電子装置を清潔に保つことができる。このことは、特に防爆に関して、汚れた環境又は埃の多い環境において重要になり得る。このように、分光光源は、完全にカプセル化され、危険場所での使用に適している可能性がある。さらに、分光光源は、高い保護レベル、例えば、水中への完全な浸漬まで提供することができる。具体的には、内側ハウジングと外側ハウジングとを備え得るハウジングは、この特性を促進することができる。感応要素は、保護のためにハウジング内に配置することができる。さらに優れた保護のために、内側ハウジングと外側ハウジングの間に配置することができる。したがって、内側ハウジングを通して、電磁放射から、特に発光要素から放出される熱から保護されることができ、同時に外側ハウジングを通して、外部の影響から保護されることができる。
【0066】
本明細書で提案される分光光源のさらなる利点は、ノイズの加算につながる短期変動に関する連続測定の上述の欠点に言及する。現在提案されているような2チャネル又はマルチ出力チャネルのセットアップは、好ましくは、参照とサンプルの並列測定を可能にすることによって、この効果を補償することができる。ノイズは通常、両方の出力チャネルと経路で同一であるため、加算されない。
【0067】
要約すると、さらなる可能な実施形態を排除することなく、以下の実施形態が想定され得る:
実施形態1:
- 少なくとも1つの発光要素と;
- 電力、特に電圧を前記発光要素に印加するように構成された少なくとも1つの電子回路と;
- 少なくとも1つのハウジングであって、前記ハウジングが前記発光要素を少なくとも部分的に取り囲む、ハウジングと;
- 前記ハウジングを貫通する少なくとも2つの出力チャネルであって、前記出力チャネルのそれぞれは、分光光源から少なくとも1つの光ビームを分離するように構成されている、少なくとも2つの出力チャネルと;
を備え、
前記分光光源は、前記出力チャネルのそれぞれを独立して制御するように構成されている、分光光源。
【0068】
実施形態2:前記発光要素が、少なくとも1つの白熱ランプ、具体的には、少なくとも1つのハロゲン充填白熱電球を備える、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0069】
実施形態3:前記ハウジングは、電子回路を少なくとも部分的に取り囲んでいる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0070】
実施形態4:前記分光光源は、前記出力チャネルの少なくとも1つをオン及びオフするように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0071】
実施形態5:前記分光光源は、前記出力チャネルの少なくとも1つにおいて前記光ビームを変調するように、具体的には、前記光ビームの振幅、前記光ビームの周波数、及び前記光ビームのデューティサイクルの少なくとも1つを変調するように、具体的には、前記出力チャネルのそれぞれにおいて前記光ビームを独立して変調するように構成される、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0072】
実施形態6:前記分光光源は、0Hzから1000Hz、好ましくは0.5Hzから1000Hz、より好ましくは1Hzから500Hz、さらに好ましくは8Hzから128Hzの周波数で、前記出力チャネルの少なくとも1つの前記光ビームの振幅を変調するように構成されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0073】
実施形態7:前記ハウジングは、前記発光要素を少なくとも部分的に取り囲む内側ハウジングを備え、前記ハウジングは、外側ハウジングをさらに備え、前記外側ハウジングは前記内側ハウジングを少なくとも部分的に取り囲み、前記内側ハウジング及び前記外側ハウジングはそれぞれ、前記出力チャネルの一部として少なくとも2つの開口部を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0074】
実施形態8:前記出力チャネルの少なくとも1つは、前記それぞれの光ビームを変調するための少なくとも1つの変調要素を備え、前記変調要素は、前記内側ハウジングと前記外側ハウジングとの間の中間空間、具体的には前記、内側ハウジングと前記外側ハウジングとのそれぞれの開口部の間に配置される、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0075】
実施形態9:前記変調要素は、前記内側ハウジングに取り付けられている、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0076】
実施形態10:前記電子回路は、前記外側ハウジングによって少なくとも部分的に取り囲まれている、先行する3つの実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0077】
実施形態11:前記ハウジングは、少なくとも1つのベース要素を備え、前記内側ハウジング及び前記外側ハウジングは、前記ベース要素上に直接的又は間接的に載置される、先行する4つの実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0078】
実施形態12:前記電子回路は、前記外側ハウジング内で前記内側ハウジングの下に収容され、前記発光要素は、前記電子回路に取り付けられ、前記発光要素は、前記電子回路から前記内側ハウジング内に突出している、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0079】
実施形態13:少なくとも1つの光学要素が、前記外側ハウジングの内部、具体的には前記内側ハウジングの前記開口部の少なくとも1つ内に配置されている、先行する6つの実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0080】
実施形態14:前記光学要素は、前記内側ハウジングの前記開口部のそれぞれに収容されるレンズを備える、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0081】
実施形態15:前記分光光源が、少なくとも1つのアクチュエータをさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0082】
実施形態16:前記アクチュエータは、少なくとも1つの変調要素、具体的には、シャッタ及びチョッパーホイールのうちの少なくとも1つを備える、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0083】
実施形態17:前記アクチュエータは、少なくとも1つのステッピングモータを備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0084】
実施形態18:前記出力チャネルの少なくとも1つが、少なくとも1つの光学要素、具体的には移動可能な光学要素をさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0085】
実施形態19:前記光学要素は、レンズ、具体的には集光レンズ、絞り、光フィルタ、回折格子、分散要素、回折素子、空間光変調器などの能動要素、及びミラーのうちの少なくとも1つを備える、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0086】
実施形態20:前記出力チャネルの少なくとも1つが光ファイバコネクタを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0087】
実施形態21:前記光ファイバコネクタは、前記ハウジングの外側面、具体的には前記外側ハウジングの外側面、より具体的には前記外側ハウジングの少なくとも1つの開口部の位置において前記外側ハウジングの外側面に取り付けられている、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0088】
実施形態22:前記電子回路は、少なくとも1つのプリント回路基板を備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0089】
実施形態23:前記プリント回路基板は、前記発光要素にわたる電圧;前記発光要素を通る電流;前記発光要素に供給される電力;前記発光要素の抵抗;前記発光要素の温度のうちの少なくとも1つをリアルタイムで監視するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、前記発光要素は前記センサに熱的に結合される、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0090】
実施形態24:前記電子回路が、少なくとも1つのインターフェース、具体的には前記ハウジングの外部からアクセス可能なUSBポートを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0091】
実施形態25:前記電子回路は、前記発光要素に印加される電力の少なくとも1つ、前記出力チャネルの少なくとも1つ、及び任意で前記センサ及び前記インターフェースを制御するように構成された少なくとも1つのコントローラ、具体的には少なくとも1つのマイクロコントローラを備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0092】
実施形態26:前記コントローラは、前記発光要素のソフトスタート及び/又はソフトストップを行うように構成される、先行する実施形態に記載の分光光源。
【0093】
実施形態27:前記コントローラが、フィードバック接続を備える降圧レギュレータ、抵抗ネットワーク、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)、及び電圧計及び電流計のうちの少なくとも1つを備えるシャントのうちの少なくとも1つを備える、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0094】
実施形態28:前記分光光源は、少なくとも1つの冷却装置、具体的にはファン及びヒートシンクの少なくとも1つをさらに備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0095】
実施形態29:前記発光要素、前記電子回路、及び任意で前記冷却装置が空間的に分離されている、先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光光源。
【0096】
実施形態30:
- 先行する実施形態のいずれか1つに記載の少なくとも1つの分光光源と;
- 前記分光光源から分離された少なくとも1つの光ビームを検出するように構成され、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するようにさらに構成された少なくとも1つの検出器と;
- 前記検出器信号を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し電子機器と;
- 前記検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置と、
を備える分光測定システム。
【0097】
実施形態31:前記読み出し電子機器は、前記検出器信号を増幅するように構成された少なくとも1つのロックイン増幅器を備える、先行する実施形態に記載の分光測定システム。
【0098】
実施形態32:分光測定システムを参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の分光測定システムを操作する方法であって、前記方法は、
a) 電子回路を使用することによって、分光光源の発光要素に電力、特に少なくとも1つの電圧を印加するステップと;
b) 前記発光要素を使用することによって、発光させるステップと;
c) 出力チャネルの各1つを独立に制御しつつ、少なくとも2つの出力チャネルのうちの少なくとも1つの出力チャネルを使用することによって、前記分光光源から少なくとも1つの光ビームを分離するステップと;
d) 前記光ビームで少なくとも1つの測定対象物を照射するステップと;
e) 前記分光測定システムの検出器を使用することによって前記光ビームを検出し、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するステップと;
f) 前記分光測定システムの読み出し電子機器を使用することによって前記検出器信号を読み出すステップと;
g) 前記分光測定システムの評価装置を使用することによって、前記検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するステップと、
を含む、方法。
【0099】
実施形態33:ステップc)において、制御することは、前記出力チャネルの少なくとも1つをオン及びオフにすることを含む、先行する実施形態に記載の方法。
【0100】
実施形態34:ステップc)において、制御することは、前記出力チャネルの少なくとも1つにおいて前記光ビームを変調すること、具体的には、前記光ビームの振幅、前記光ビームの周波数、及び前記光ビームのデューティサイクルの少なくとも1つを変調することを含む、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
実施形態35:ステップc)において、制御することは、0Hz~1000Hz、好ましくは0.5Hz~1000Hz、より好ましくは1Hz~500Hz、より好ましくは8Hz~128Hzの周波数で、前記出力チャネルの少なくとも1つにおいて前記光ビームの振幅を変調することを含む、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
実施形態36:ステップc)では、少なくとも2つの光ビームが前記分光光源から分離され、各光ビームは、前記分光光源の異なる出力チャネルを介して分離され、ステップd)において、測定対象物は、少なくとも2つの光ビームのうちの少なくとも1つによって照射される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
実施形態37:前記少なくとも2つの光ビームのうちの少なくとも1つの光ビームは、ステップg)において前記情報項目を決定する際の参照として使用される、先行する実施形態に記載の方法。
【0104】
実施形態38:ステップc)において、前記出力チャネルを独立に制御することは、それぞれの前記出力チャネルにおいて、少なくとも1つの光ビームを、少なくとも1つの残りの出力チャネルにおける少なくとも1つの残りの光ビームとは異なるように変調することを含む、先行する2つの実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【0105】
実施形態39:前記方法はコンピュータ実装される、方法を参照する先行する実施形態のいずれか1つに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0106】
さらなる任意の特徴及び実施形態は、後続の実施形態の説明において、好ましくは従属請求項と併せて、より詳細に開示される。そこでは、それぞれの任意の特徴は、当業者であれば理解するように、任意の可能な組み合わせだけでなく、単独した態様で実現されることができる。本発明の範囲は、好ましい実施形態によって制限されない。実施形態は、図に概略的に示されている。そこでは、これらの図中の同一の参照番号は、同一又は機能的に同等の要素を指す。
【
図1】分光測定システムの例示的な実施形態を概略的に示す図である。
【
図2】分光光源の例示的な実施形態を分解図で示す図である。
【
図3】分光光源の発光要素に印加される電力を制御するコントローラの一実施形態を示す概略回路図である。
【
図4】
図4A~4Eは、分光光源の一実施形態に関する安定性測定の実験結果を示す図である。
【
図5】分光測定システムを動作させる方法の一実施形態のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0107】
実施形態の詳細な説明
図1は、分光測定システム110の一実施形態を概略的に示す。分光測定システム110は、少なくとも1つの分光光源112を備えており、これについては
図2を参照してさらに詳細に後述する。分光測定システム110は、少なくとも1つの検出器114をさらに備える。検出器114は、分光光源112から分離された少なくとも1つの光ビーム116を検出するように構成されている。検出器114はさらに、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するように構成される。分光測定システム110は、検出器信号を読み出すように構成された少なくとも1つの読み出し電子機器118をさらに備える。分光測定システム110は、検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するように構成された少なくとも1つの評価装置120をさらに備える。
【0108】
図1に示すように、分光光源112は、2つの光ビーム116、例えば測定光ビーム122と参照光ビーム124を生成するように構成され得る。測定光ビーム122は、サンプルなどの測定対象物126を照射するために使用されることができる。測定光ビーム122は、測定対象物126で散乱し得る。具体的には、測定光ビーム122の強度の少なくとも一部が測定対象物126によって吸収され得る。この吸収は、測定対象物126の少なくとも1つの物理的特性、例えば測定対象物126の化学組成に特徴的であり得る。測定光ビーム122の強度の少なくとも一部は、測定対象物126を透過して検出器114に到達することができる。参照光ビーム124は、測定対象物126と相互作用することなく、検出器114に向けて照射されてよい。分光測定システム110は、測定光ビーム122と参照光ビーム124とを区別するように構成され得る。具体的には、測定光ビーム122と参照光ビーム124は、分光光源112によって独立に変調され、これらを区別可能にすることができる。一例として、測定光ビーム122と参照光ビーム124は、分光光源112によって異なる周波数で変調されてよい。
【0109】
検出器114は、少なくとも、例えば無線接続及び/又は有線接続で、読み出し電子機器118に接続されてよい。読み出し電子機器118は、検出器信号に対応するデジタル信号を生成するように構成されてよく、デジタル信号は、さらなる計算処理に適している可能性がある。読み出し電子機器118は、少なくとも1つのロックイン増幅器127を備えてよい。ロックイン増幅器127は、所定の変調に従って少なくとも1つの検出器信号を抽出し、増幅することができる。ロックイン増幅器127はさらに、例えば無線接続及び/又は有線接続で、少なくとも分光光源112に接続されてよい。分光光源112は、光ビーム116の変調に関する情報をロックイン増幅器127に転送するように構成され得る。具体的には、分光光源112は、例えば、少なくとも1つの参照信号を使用することによって、光ビーム116の変調周波数をロックイン増幅器127に転送するように構成されてよい。参照信号の位相は、例えば位相シフを使用することによって、測定された検出器信号の位相に同期させることができる。ロックイン増幅器127は、例えば無線接続及び/又は有線接続で評価装置120に接続されてよい。ロックイン増幅器127は、少なくとも1つの増幅された検出器信号、例えば測定光ビーム122に対応する増幅された検出器信号及び/又は参照光ビーム124に対応する増幅された検出器信号を評価装置120に転送するように構成され得る。評価装置120は、増幅された検出器信号を処理及び/又は比較するため、例えばそれらの差及び/又は商を計算するために構成されてよい。このことから、評価装置120は、例えば測定対象物126の化学組成に関する少なくとも1つの情報項目を決定することができる。
【0110】
図2は、分光光源112の一実施形態を分解図で示す。分光光源112は、少なくとも1つの発光要素128を備える。発光要素128は、特に熱加熱により、すべての空間方向において等方的に発光するように構成されてよい。発光要素128は、少なくとも1つの白熱ランプ130、具体的には少なくとも1つのハロゲン充填白熱電球132を備え得る。熱加熱は、具体的には、ハロゲン充填白熱電球132の少なくとも1つのフィラメントに電力を印加することによって誘導され得る。したがって、発光要素128は、少なくとも1つの電気接続、具体的には少なくとも1つのソケット134を備え得る。ソケット134はさらに、発光要素128を少なくとも部分的に機械的に保持し得る。
【0111】
分光光源112は、少なくとも1つの電子回路136を備える。電子回路136は、発光要素128に電力、具体的には電圧を印加するように構成されている。電子回路136は、少なくとも1つのプリント回路基板138を備え得る。プリント回路基板138は、少なくとも1つのセンサ140を備え得る。センサ140は、発光要素128の両端間の電圧、発光要素128を通る電流、発光要素128に供給される電力、発光要素128の抵抗、発光要素128の温度のうちの少なくとも1つをリアルタイムで監視するように構成されてもよく、発光要素128はセンサに熱的に結合され得る。一例として、センサ140はサーミスタ、具体的には負温度係数(NTC)サーミスタであってよく、少なくとも1つの熱伝導性材料、例えば銅を介して発光要素128に熱的に結合され得る。さらに、センサ140は、例えば、電圧計、電流計、電力計及び抵抗計のうちの少なくとも1つを備えてよい。電子回路136は、少なくとも1つのインターフェース142、具体的にはUSBポート144をさらに備えてよい。電子回路136は、少なくとも1つのコントローラ146、具体的には少なくとも1つのマイクロコントローラ148をさらに備えてよい。具体的には、プリント回路基板138は、少なくとも部分的にコントローラ146を備えてよい。コントローラ146は、インターフェース142を制御するように構成されてよい。コントローラ146は、発光要素128に印加される電力を制御するように構成されてよく、これについては
図3を参照して以下にさらに詳細に説明する。
【0112】
分光光源112は、少なくとも1つのハウジング150を備える。ハウジング150は、発光要素128を少なくとも部分的に取り囲む。ハウジング150は、電子回路136全体又はその少なくとも一部を少なくとも部分的に取り囲むことができる。電子回路136の感応コンポ―ネントは、ハウジング150の内部、例えばプリント回路基板138の内部に配置されることができる。1つ以上のコンポ―ネントは、任意に、ハウジングの外側、例えば少なくとも1つの電源152に配置され得る。ハウジング150は、ハウジング150の内側の電子回路136のコンポ―ネントとハウジング150の外側の電子回路136のコンポ―ネントとを接続するための、少なくとも1つのケーブルフィードスルー154を備え得る。電子回路136のUSBポート144は、ハウジング150の外側から、例えばケーブルフィードスルー154を通してアクセス可能であってよい。
【0113】
分光光源112は、ハウジング150を通る少なくとも2つの出力チャネル156を備える。出力チャネル156のそれぞれは、分光光源112から少なくとも1つの光ビーム116を分離するように構成される。出力チャネル156のそれぞれは、分光光源112のハウジング150内の少なくとも1つの開口部158を備えることができる。ハウジング150は、光が出力チャネル156の開口部158を通してのみ分光光源112から出ることができるように発光要素128によって放出された光を遮蔽するように構成されてよい。
【0114】
分光光源112は、出力チャネル156のそれぞれを独立して制御するように構成されている。コントローラ146は、出力チャネル156の少なくとも1つを制御するように構成されてよい。分光光源112は、出力チャネル156の少なくとも1つをオン及びオフするように構成されてよい。分光光源112は、出力チャネル156の少なくとも1つにおいて光ビーム116を変調するために、具体的には、光ビーム116の振幅、光ビーム116の周波数、及び光ビーム116のデューティサイクルの少なくとも1つを変調するために、具体的には、出力チャネル156のそれぞれにおいて光ビーム116を独立して変調するために構成されてよい。分光光源112は、具体的には、0Hz~1000Hz、好ましくは0.5Hz~1000Hz、より好ましくは1Hz~500Hz、さらに好ましくは8Hz~128Hzの周波数で、出力チャネル156の少なくとも1つにおける光ビーム116の振幅を変調するように構成され得る。
【0115】
ハウジング150は、発光要素128を少なくとも部分的に取り囲む内側ハウジング160を備えることができる。ハウジング150は、内側ハウジング160を少なくとも部分的に取り囲む外側ハウジング162をさらに備えてよい。内側ハウジング158及び外側ハウジング162はそれぞれ、出力チャネル156の一部として少なくとも2つの開口部158を備えることができる。出力チャネル156の少なくとも1つは、それぞれの光ビーム116を変調するための少なくとも1つの変調要素164を備えることができる。変調要素164は、内側ハウジング160と外側ハウジング162との間の中間空間、具体的には、内側ハウジング160と外側ハウジング162とのそれぞれの開口部158の間に配置され得る。変調要素164は、内側ハウジング160に取り付けられてよい。
【0116】
電子回路136は、外側ハウジング162によって少なくとも部分的に囲まれていてもよい。具体的には、少なくともプリント回路基板138が外側ハウジング162によって取り囲まれてよい。ハウジング150は、少なくとも1つのベース要素166を備えることができる。内側ハウジング160及び外側ハウジング162は、ベース要素166上に直接的又は間接的に載置されてよい。具体的には、外側ハウジング162は、ベース要素166上に直接的に載置されてよい。電子回路136は、内側ハウジング160の裏で外側ハウジング162内に収容されてよい。発光要素128は電子回路136に取り付けられてよい。発光要素128は、電子回路136から内側ハウジング160内に突出してよい。内側ハウジング160は、電子回路136上、具体的にはプリント回路基板138上に載置されてよい。プリント回路基板138は、ベース要素166上に載置されてよい。ベース要素166は、具体的には振動を低減する複数の脚168を備えることができる。
【0117】
少なくとも1つの光学要素170は、外側ハウジング162の内部、具体的には、内側ハウジング160の開口部158の少なくとも1つ内に配置されてよい。具体的には、光学要素170は、内側ハウジング160の開口部158のそれぞれに収容されたレンズ172を備えることができる。レンズ172は、具体的には集光レンズ174であってよい。光学要素170は、アパーチャ、光フィルタ、分散要素、回折要素、空間光変調器などの能動要素、及びミラー(図示せず)のうちの少なくとも1つをさらに備えることができる。光学要素170は、出力チャネル156の少なくとも1つによって備えられてよい。光学要素170は、特に可動であってよい。より具体的には、光学要素170は、出力チャネル156のうちの少なくとも1つの中へ、及び出力チャネル156のうちの少なくとも1つの外へ、それぞれ移動可能であってよい。したがって、光学要素170は、出力チャネル156のそれぞれを独立して制御するために使用され得る。
【0118】
分光光源112は、少なくとも1つのアクチュエータ176を備えることができる。アクチュエータ176は、変調要素164を備えることができる。変調要素164は、具体的には、少なくとも1つのチョッパーホイール178であってよく、又はこれを備えてよい。アクチュエータ176は、少なくとも1つのステッピングモータ180を備えることができる。ステッピングモータ180は、チョッパーホイール178を所定の周波数で回転させるように構成されてよい。これは、出力チャネル156を介して分光光源112から分離される光ビーム116を変調するために使用されることができる。チョッパーホイール178は、すべての入射光強度を遮断するように構成された少なくとも1つの不透明セクタ182を備えることができる。チョッパーホイール178は、チョッパーホイール178の回転中に、少なくとも1つの不透明セクタ182を分光光源112の出力チャネル156の少なくとも1つの中へ周期的に移動させるように配置されてよい。したがって、それぞれの出力チャネル156を介して分離される少なくとも1つの光ビーム116の振幅は、対応する周波数で変調され得る。アクチュエータ176は、さらに、図示されない少なくとも1つのシャッタであってよく、又はそれを備えてよい。
【0119】
出力チャネル156の少なくとも1つは、光ファイバコネクタ184を備えることができる。光ファイバコネクタ184は、ハウジング150の外側面、具体的には外側ハウジング162の外側面、より具体的には外側ハウジング162の開口部158の少なくとも1つの位置の外側ハウジング162の外側面に取り付けられてよい。具体的には、アダプタ186が外側ハウジング162の開口部158に取り付けられてよい。アダプタ186は、ねじ山を備えていてよい。光ファイバコネクタ184は、アダプタ186のねじ山にねじ込まれるように構成され得る。
【0120】
分光光源112は、少なくとも1つの冷却装置188を備えることができる。冷却装置188は、少なくとも1つのファン190であってよく、又はそれを備えてよい。ハウジング150は、少なくとも1つのトップカバー192を備えることができる。ファン190は、トップカバー192に取り付けられてよい。冷却装置はさらに、図示されない少なくとも1つのヒートシンクであってよく、又はそれを備えてよい。発光要素128、電子回路136及び冷却装置188は、空間的に分離されてよい。これにより、特に発光要素128及び/又は電子回路136を環境の影響、例えば汚れ又は埃から遮蔽することを容易にし、これは防爆のために特に重要であり得る。
【0121】
図3は、分光光源112の発光要素128に印加される電力を制御するためのコントローラ146の概略回路図の一実施形態を示す。コントローラ146は、発光要素128のソフトスタート及び/又はソフトストップを行うように構成されることができる。具体的には、発光要素128のオン及びオフをそれぞれ切り替える際に、電圧ランプは、経時的に発光要素128に印加されてよい。電圧ランプは、1秒から60秒まで、好ましくは2秒から30秒まで、より好ましくは3秒から10秒まで変化する時間間隔にわたって印加されてよい。コントローラ146は、少なくとも1つの降圧レギュレータ194を備えることができる。降圧レギュレータは、電源152から電力、具体的には入力電圧を受け取るための少なくとも1つの入力接続部196を備えることができる。降圧レギュレータ194は、出力電圧を出力するための少なくとも1つの出力接続部198を備えることができる。降圧レギュレータ194は、少なくとも1つのフィードバック接続200を備えることができる。コントローラ146は、少なくとも1つの抵抗ネットワーク202を備えることができる。抵抗ネットワーク202は、少なくとも1つの抵抗器204を備えることができる。具体的には、抵抗ネットワーク202は、3つの抵抗器204と、3つの抵抗器204を少なくとも部分的に相互接続するためのワイヤ206及び/又はトレース208を備えることができる。抵抗器200の少なくとも1つは接地されていてよい。接地電位又は単に接地は、
図3では参照符号210で示されている。抵抗ネットワーク202は、分圧器を形成することができる。コントローラは、少なくとも1つのデジタル・アナログ・コンバータ212を備えることができる。デジタル・アナログ・コンバータ212は接地されていてよい。デジタル・アナログ・コンバータ212は、フィードバック接続200を使用することによって、降圧レギュレータ194による入力電圧の修正を制御するように構成されてよい。コントローラ146は、少なくとも1つのシャント214を備えることができる。シャント214は、電流感知及び/又は電圧感知のために構成されてよい。具体的には、シャント214は、シャント電圧計218と並列に配置される、シャント抵抗器216を備えることができる。
【0122】
電源152は、入力接続部196を介して降圧レギュレータ194に入力電圧、具体的にはDC入力電圧を供給することができる。降圧レギュレータ194は、入力電圧を、出力接続部198を介してシャント214及び抵抗ネットワーク202に与えられる出力電圧まで降圧させることができる。出力電圧は、デジタル・アナログ・コンバータ212を使用することによってデジタル制御されることができる。デジタル・アナログ・コンバータ212は、所定のデジタル信号を、例えば測定コンピュータから、アナログ電圧に変換することができる。デジタル・アナログ・コンバータ212は、抵抗ネットワーク202に接続されてよく、抵抗ネットワーク202はさらに、降圧レギュレータ194のフィードバック接続200に接続されてよい。したがって、デジタル・アナログ・コンバータ212のデジタル制御されたアナログ電圧は、降圧レギュレータ194のフィードバック接続200に加算されてよい。出力電圧に対応する出力電流は、出力電圧及び出力電流が発光要素128に印加され得る前に、シャント抵抗器216にわたる電圧降下を測定し、オームの法則を使用することによって、さらに測定され得る。具体的には、シャント電圧計218上の電流損失は、例えば、低抵抗シャント抵抗器216を使用することに起因して、無視し得る。出力電圧と出力電流は、発光要素126に印加される電力を計算するために、最終的に乗算されることができる。
【0123】
図4A~4Eは、分光光源112の一実施形態における安定性測定の実験結果を示す。
図4Aは、約100秒の時間tにわたる分光光源112の短期安定性測定を示す。発光要素128の光パワー出力P
optは、S122Cゲルマニウムパワーメータヘッドを備えたThorlabs社製PM400パワーメータを使用することによって測定することができる。測定の結果、平均光パワー出力は4.573mW、標準偏差は2.3μWであった。したがって、光パワー出力は短期的に非常に安定していると考えることができる。
図4B~4Eはすべて、8000秒を超える長期安定性測定を示している。
図4Bが示すように、最初の約4000秒の間、光パワー出力は実際にはわずかに増加している。最初の増加の後、光パワー出力は非常に安定した約4.580mWのままである。同時に、
図4Cが示すように、電子回路136によって発光要素128に印加される電力P
elは約12Wで一定のままである。上に示したように、電力はセンサの測定値から導き出すことができる。具体的には、発光要素128に印加される電圧は、コントローラ146を使用することによって、より具体的にはデジタル・アナログ・コンバータ212を使用することによって制御されることができる。この点に関して、
図3に示された概略回路図及び説明の対応する部分を参照することができる。この文脈でさらに示されるように、発光要素128に印加される電流は、シャント214を使用することによって測定され得る。
図4D及び
図4Eは、さらなるセンサデータを示す。
図4Dは、発光要素128の抵抗Rが、8000秒を超える長期測定において常に約14.46Ωのままであることを示している。
図4Eは、温度Tが、最初の約6000秒の間に最大約37℃まで上昇し、その後、非常に安定した方法でこの温度にとどまることを示している。このような測定値は、分光光源112の温度較正表を生成するための基礎を形成することができる。
【0124】
図5は、分光測定システム110の動作方法の一実施形態のフローチャートを示す。分光測定システム110の動作方法は、以下の測定ステップ:
a) (参照符号220で示す)電子回路136を使用することによって、分光光源112の発光要素128に電力、特に少なくとも1つの電圧を印加するステップと;
b) (参照符号222で示す)発光要素128を使用することによって、発光させるステップと;
c) (参照符号224で示す)出力チャネル156の各1つを独立に制御しつつ、少なくとも2つの出力チャネル156のうちの少なくとも1つの出力チャネルを使用することによって、分光光源112から少なくとも1つの光ビーム116を分離するステップと;
d) (参照符号226で示す)光ビーム116で少なくとも1つの測定対象物126を照射するステップと;
e) (参照符号228で示す)分光測定システム110の検出器114を使用することによって光ビーム116を検出し、少なくとも1つの対応する検出器信号を生成するステップと;
f) (参照符号230で示す)分光測定システム110の読み出し電子機器118を使用することによって検出器信号を読み出すステップと;
g) (参照符号232で示す)分光測定システム110の評価装置120を使用することによって、検出器信号に基づいて少なくとも1つの情報項目を決定するステップと、
を含む。
【0125】
方法ステップa)~g)は、所定の順序で実行されることができる。しかしながら、異なる順序も可能であることに留意されたい。さらに、1つ以上の方法ステップを1回又は繰り返し実行してもよい。さらに、2つ以上の方法ステップを同時に又は適時に重複して実施してもよい。本方法は、列挙されていないさらなる方法ステップを含んでいてもよい。ステップf)では、検出器信号は、ロックイン増幅器127を使用することによってさらに増幅され得る。
【0126】
ステップc)において、制御することは、出力チャネル156の少なくとも1つをオン及びオフすることを含んでよい。制御することは、出力チャネル156の少なくとも1つにおいて光ビーム116を変調すること、具体的には、光ビーム116の振幅、光ビーム116の周波数、及び光ビーム116のデューティサイクルの少なくとも1つを変調することを含むことができる。制御することは、0Hz~1000Hz、好ましくは0.5Hz~1000Hz、より好ましくは1Hz~500Hz、さらに好ましくは8Hz~128Hzの周波数で、出力チャネル156の少なくとも1つにおいて光ビーム116の振幅を変調することを含むことができる。
【0127】
ステップc)では、少なくとも2つの光ビーム116が分光光源112から分離されることができる。各光ビーム116は、分光光源112の異なる出力チャネル156を介して分離されてよい。ステップd)において、測定対象物126は、少なくとも2つの光ビーム116のうちの少なくとも1つによって照射され得る。少なくとも2つの光ビーム116のうちの少なくとも1つの光ビーム116は、ステップg)において情報項目を決定する際の参照として使用され得る。ステップc)において、出力チャネル156を独立に制御することは、それぞれの出力チャネル156において、少なくとも1つの光ビーム116を、少なくとも1つの残りの出力チャネル156における少なくとも1つの残りの光ビーム116とは異なるように変調することを含み得る。
【0128】
本方法は、コンピュータで実装され得る。本発明のコンピュータ実装の態様を参照すると、本明細書に開示された実施形態の1つ以上による方法の方法ステップの1つ以上、あるいは方法ステップのすべてさえも、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。したがって、一般に、データの提供及び/又は操作を含む方法ステップのいずれもが、コンピュータ又はコンピュータネットワークを使用することによって実行されることができる。一般に、これらの方法ステップは、典型的には、手作業を必要とする方法ステップを除く、任意の方法ステップを含むことができる。
【符号の説明】
【0129】
110 分光測定システム
112 分光光源
114 検出器
116 光ビーム
118 読み出し電子機器
120 評価装置
122 測定光ビーム
124 参照光ビーム
126 測定対象物
127 ロックイン増幅器
128 発光要素
130 白熱ランプ
132 ハロゲン白熱電球
134 ソケット
136 電子回路
138 プリント基板
140 センサ
142 インターフェース
144 USBポート
146 コントローラ
148 マイクロコントローラ
150 ハウジング
152 電源
154 ケーブルフィードスルー
156 出力チャネル
158 開口部
160 内側ハウジング
162 外側ハウジング
164 変調要素
166 ベース要素
168 脚
170 光学要素
172 レンズ
174 集光レンズ
176 アクチュエータ
178 チョッパーホイール
180 ステッピングモータ
182 不透明セクタ
184 光コネクタ
186 アダプタ
188 冷却装置
190 ファン
192 トップカバー
194 降圧レギュレータ
196 入力接続部
198 出力接続部
200 フィードバック接続
202 抵抗ネットワーク
204 抵抗器
206 ワイヤ
208 トレース
210 接地
212 デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)
214 シャント
216 シャント抵抗器
218 シャント電圧計
220 方法ステップa)
222 方法ステップb)
224 方法ステップc)
226 方法ステップd)
228 方法ステップe)
230 方法ステップf)
232 方法ステップg)
【国際調査報告】