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特表2024-523016液晶組成物およびそれを用いた双安定液晶調光素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】液晶組成物およびそれを用いた双安定液晶調光素子
(51)【国際特許分類】
   C09K 19/12 20060101AFI20240618BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20240618BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20240618BHJP
   G02F 1/137 20060101ALI20240618BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C09K19/12
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/32
C09K19/34
C09K19/38
C09K19/54 B
G02F1/137 500
G02F1/13 500
G02F1/13 505
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577105
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 CN2022096552
(87)【国際公開番号】W WO2023273777
(87)【国際公開日】2023-01-05
(31)【優先権主張番号】202110731111.X
(32)【優先日】2021-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523465470
【氏名又は名称】江蘇集萃智能液晶科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100195327
【弁理士】
【氏名又は名称】森 博
(74)【代理人】
【識別番号】100229389
【弁理士】
【氏名又は名称】香田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】沈文晴
(72)【発明者】
【氏名】張宏偉
(72)【発明者】
【氏名】李莉
(72)【発明者】
【氏名】唐建華
(72)【発明者】
【氏名】沈喜妹
【テーマコード(参考)】
2H088
4H127
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088EA35
2H088GA17
2H088HA01
2H088HA02
2H088KA08
2H088KA20
4H127BA01
4H127BD24
4H127BE04
4H127BE05
4H127CD04
4H127CG04
4H127CG05
4H127CH04
4H127CQ04
4H127CU01
4H127CU05
4H127EA03
(57)【要約】
【課題】本発明は、液晶組成物に関し、且つ、上記液晶組成物で調製された双安定液晶調光素子を提供し、双安定液晶調光素子の動作温度範囲を広げ、双安定液晶調光素子の実用における価値を高める。
【解決手段】該液晶組成物は、構造式が異なる4種の化合物およびキラル化合物を含み、構造式が異なる4種の化合物はそれぞれ、一般式Iから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IVから選ばれる少なくとも1種の化合物であり、液晶組成物内の各成分の含有量を最適化することにより、N-TB相転移点を低下するとともに透明点を向上させる。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式Iから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IVから選ばれる少なくとも1種の化合物、および少なくとも1種のキラル化合物を含み、
上記一般式IはR1-MG1-X-MG2-R2であり、
上記一般式IIは以下のとおりであり、
【化1】

上記一般式IIIは以下のとおりであり、
【化2】

上記一般式IVは以下のとおりであり、
【化3】

ただし、R1およびR2は、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-CN、-NCS、またはいずれかの炭素数1~25のアルカン基を表し、
MG1およびMG2は、それぞれ独立してメソゲン基を表し、
Xは、炭素数1、3または5~40の直鎖もしくは分岐アルキレン基であり、
H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9は、それぞれ独立して第1環状構造を表し、前記第1環状構造は、
【化4】

のうちの少なくとも1つで構成され、
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-CFO-、-OCF-、-CHO-、-OCH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、単結合、または-(CH-を表し、ただし、aは2~10の偶数であり、
、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して-CN、-F、-Cl、-NCS、-OCF、-CF、または1~25個のC原子を有するアルカン基を表す、
ことを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
前記炭素数1~25のアルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲンまたは-CNによって置換されてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
前記直鎖もしくは分岐アルキレン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、または-CH(CN)-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まず、または-OCO-、-SCO-、-OCOO-、-COS-、-COO-および-CH=CH-からなる群から選ばれる2つの基が互いに隣接することを含まない、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項4】
前記第1環状構造内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1~10のアルカン基またはエステル基によって置換されてもよい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項5】
前記1~25個のC原子を有するアルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、-CN、または-CHによって置換されてもよい、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項6】
前記メソゲン基は、少なくとも1種の一般式Vの化合物から選ばれ、
上記一般式Vは以下のとおりであり、
【化5】

ただし、H10、H11、H12、H13は、それぞれ独立して第2環状構造を表し、前記第2環状構造は、
【化6】

のうちの少なくとも1つで構成され、
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OCH-、-CHO-、-CFO-、-(CH-、-(CH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、または単結合を表し、
pは0または1であり、qは0または1であり、rは0または1である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項7】
前記第2環状構造内の1~4個のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、CN、またはいずれかの炭素数1~7のアルカン基によって置換されてもよい、
ことを特徴とする請求項6に記載の液晶組成物。
【請求項8】
前記一般式I中のXは、少なくとも1種の一般式VIの化合物から選ばれ、
上記一般式VIは以下のとおりであり、
【化7】

ただし、YおよびYは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-O-、-CH=CH-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-、または単結合を表し、sは3~13の奇数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項9】
前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~50%を占める、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項10】
前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める、
ことを特徴とする請求項9に記載の液晶組成物。
【請求項11】
前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の25%~35%を占める、
ことを特徴とする請求項9に記載の液晶組成物。
【請求項12】
前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~34.5%を占める、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項13】
前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の15%~34.5%を占める。
ことを特徴とする請求項12に記載の液晶組成物。
【請求項14】
前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~50%を占める、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項15】
前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める、
ことを特徴とする請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項16】
前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の0~20%を占める、
ことを特徴とする請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項17】
前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の1%~20%を占める、
ことを特徴とする請求項14に記載の液晶組成物。
【請求項18】
前記キラル化合物は、R01、R02、R03、R04、R05、R06、L01、L02、L03、L04、L05のうちの少なくとも1種である、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項19】
前記キラル化合物は、前記液晶組成物の全質量の5%~20%を占める、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項20】
前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性モノマーも含む、
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物。
【請求項21】
前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性開始剤も含む、
ことを特徴とする請求項20に記載の液晶組成物。
【請求項22】
双安定液晶調光素子であって、
前記双安定液晶調光素子は第1透明導電性基板および第2透明導電性基板を備え、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板とは、互いに平行で対向配置して液晶セルを形成し、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板との間の前記液晶セル内に充填された液晶層は請求項1~8のいずれか1項に記載の液晶組成物を含み、前記双安定液晶調光素子は、入射光を透過させる透過状態と入射光を散乱させる曇り状態という2つの安定状態を含み、前記透過状態と前記曇り状態との間の切り替えは、外部電界の印加により実現できる、
ことを特徴とする双安定液晶調光素子。
【請求項23】
前記透過状態のヘイズは10%以下である。
ことを特徴とする請求項22に記載の双安定液晶調光素子。
【請求項24】
前記曇り状態のヘイズは85%以上である、
ことを特徴とする請求項22に記載の双安定液晶調光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2021年6月30日で、出願番号がCN202110731111.Xで、発明名称が「液晶組成物およびそれを用いた双安定液晶調光素子」である発明の特許出願に対して、優先権の利益を主張するものであり、その全ての内容を引用により本願に援用する。
【0002】
本発明は、液晶表示技術分野に関し、特に、液晶組成物およびそれを用いた双安定液晶調光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
建築理念の向上に伴い、伝統的なガラスは機能が比較的単一であり、現代の建築のリソース利用、省エネおよびエコロジー、知能制御、健康増進等の点で提出された、従来になかった新しい要求を満たすことができなくなった。スマート液晶調光ガラスは、電界の作用により、ガラスの光線の透過率および視界の鮮明度を変え、紫外線、赤外線の進入、鮮明と曇り状態との切り替えを効果的に制御し、省エネ、エコロジーおよびプライバシー保護の作用を果たし、業界で広く研究されている。
【0004】
現在、液晶調光ガラスの種類には、主にPDLCスマート調光ガラス、染料液晶調光ガラスおよび双安定液晶調光ガラスがある。PDLCスマート調光ガラスは、無通電状態で曇り状態を示し、通電状態で透明状態を示すことにより、電気調光の作用を実現する。しかし、PDLCスマート調光ガラスが停電状態で曇り状態を示すため、プライバシー状態が多いシーンにより好適に適用し、それでなければ、かなり電力を消費する。一方、PDLCスマート調光ガラスの透明状態は、ヘイズが依然として大きく、視野角の問題が存在する。染料液晶調光ガラスは、光の明暗調節を実現することができるが、染料液晶調光ガラスに適用される染料液晶はコストが高く、かつ光安定性が悪い一方、染料液晶は単安定状態であり、別の状態を維持するために持続的に通電する必要があり、電力コストが高い。双安定液晶調光ガラスは、入射光をほぼ透過させる透過状態と入射光をほぼ散乱させる曇り状態という2つのゼロ電界の安定状態を含み、適当な駆動方式を選択して双安定液晶調光ガラスを駆動することにより、透過状態と曇り状態との間で切り替えることができ、調光の目的を実現する。省エネでエコロジーであるとともに、感電等の安全上の懸念を減少することもできるため、カーテンウォール、仕切り、スマート車窓等の分野で広く適用される。
【0005】
しかし、双安定液晶調光ガラスは、いくつかの克服されていない欠点、例えば、動作温度範囲が狭いという問題等を依然として有するため、その適用シーンが制限されている。双安定液晶調光ガラスの性能に影響する要素には、主に、P状態のヘイズ、N-TB相の螺旋構造、N-TB相転移温度、透明点等があり、従って、高性能で、温度範囲が広い双安定液晶組成物を取得するために、適当なモノマー、ダイマーおよびキラル剤材料を選択し、各成分間の相溶性を十分に考え、適当な割合を選択する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の主な目的は、現在の双安定液晶調光素子の動作温度範囲が狭く、その屋外のシーンでの適用を制限するという問題を解決し、液晶組成物およびそれを用いた双安定液晶調光素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、本願は、
一般式Iから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IVから選ばれる少なくとも1種の化合物、および少なくとも1種のキラル化合物を含み、
上記一般式IはR1-MG1-X-MG2-R2であり、
上記一般式IIは以下のとおりであり、
【化1】

上記一般式IIIは以下のとおりであり、
【化2】

上記一般式IVは以下のとおりであり、
【化3】

ただし、R1およびR2は、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-CN、-NCS、またはいずれかの炭素数1~25のアルカン基を表し、
MG1およびMG2は、それぞれ独立してメソゲン基を表し、
Xは、炭素数1、3または5~40の直鎖もしくは分岐アルキレン基であり、
H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9は、それぞれ独立して第1環状構造を表し、前記第1環状構造は、
【化4】

のうちの少なくとも1つで構成され、
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-CFO-、-OCF-、-CHO-、-OCH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、単結合、または-(CH-を表し、ただし、aは2~10の偶数であり、
、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して-CN、-F、-Cl、-NCS、-OCF、-CF、または1~25個のC原子を有するアルカン基を表す、
液晶組成物を提供する。
【0008】
更に、前記炭素数1~25のアルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲンまたは-CNによって置換されてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まない。
【0009】
更に、前記直鎖もしくは分岐アルキレン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、または-CH(CN)-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まず、または-OCO-、-SCO-、-OCOO-、-COS-、-COO-および-CH=CH-からなる群から選ばれる2つの基が互いに隣接することを含まない。
【0010】
更に、前記第1環状構造内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1~10のアルカン基またはエステル基によって置換されてもよい。
【0011】
更に、前記1~25個のC原子を有するアルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、-CN、または-CHによって置換されてもよい。
【0012】
更に、前記メソゲン基は、少なくとも1種の一般式Vの化合物から選ばれ、
上記一般式Vは以下のとおりであり、
【化5】

ただし、H10、H11、H12、H13は、それぞれ独立して第2環状構造を表し、前記第2環状構造は、
【化6】

のうちの少なくとも1つで構成され、
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OCH-、-CHO-、-CFO-、-(CH-、-(CH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、または単結合を表し、
pは0または1であり、qは0または1であり、rは0または1である。
【0013】
更に、前記第2環状構造内の1~4個のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、CN、またはいずれかの炭素数1~7のアルカン基によって置換されてもよい。
【0014】
更に、前記一般式I中のXは、少なくとも1種の一般式VIの化合物から選ばれ、
上記一般式VIは以下のとおりであり、
【化7】

ただし、YおよびYは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-O-、-CH=CH-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-、または単結合を表し、sは3~13の奇数である。
【0015】
更に、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~50%を占める。
【0016】
更に、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める。
【0017】
更に、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の25%~35%を占める。
【0018】
更に、前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~34.5%を占める。
【0019】
更に、前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の15%~34.5%を占める。
【0020】
更に、前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~50%を占める。
【0021】
更に、前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める。
【0022】
更に、前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の0~20%を占める。
【0023】
更に、前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の1%~20%を占める。
【0024】
更に、前記キラル化合物は、R01、R02、R03、R04、R05、R06、L01、L02、L03、L04、L05のうちの少なくとも1種である。
【0025】
更に、前記キラル化合物は、前記液晶組成物の全質量の5%~20%を占める。
【0026】
更に、前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性モノマーも含む。
【0027】
更に、前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性開始剤も含む。
【0028】
上記目的を実現するために、本願は、更に双安定液晶調光素子を提供し、前記双安定液晶調光素子は第1透明導電性基板および第2透明導電性基板を備え、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板とは、互いに平行で対向配置して液晶セルを形成し、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板との間の前記液晶セル内に充填された液晶層は上記液晶組成物を含み、前記双安定液晶調光素子は、入射光をほぼ透過させる透過状態と入射光をほぼ散乱させる曇り状態という2つの安定状態を含み、前記透過状態と前記曇り状態との間の切り替えは、外部電界の印加により実現できる。
【0029】
更に、前記透過状態のヘイズは10%以下である。
【0030】
更に、前記曇り状態のヘイズは85%以上である。
【発明の効果】
【0031】
本願の有益な効果は以下のとおりである。本願は、液晶組成物を提供し、混晶内の各成分の含有量、即ち、液晶組成物内の各成分の含有量を最適化することにより、N-TB相転移点を低下するとともに透明点を向上させ、且つ、上記液晶組成物で調製された双安定液晶調光素子を提供し、双安定液晶調光素子の動作温度範囲を広げ、双安定液晶調光素子の実用における価値を高める。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本願の目的、技術案および利点をより明らかにするために、以下、本願の具体的な実施例を参照しながら本願の技術案を明瞭かつ完全に説明する。明らかに、記述される実施例は、全ての実施例ではなく、本願の一部の実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本願における実施例によれば、当業者が創造的な労働を行わない前提で取得する他の実施例は、全て本願の保護範囲内に属する。
【0033】
ビメソゲン化合物(分子内に2つのメソゲン基を含む液晶化合物を意味する)は、双安定液晶調光ガラスの重要な成分として、持っている特別な構造により、第2ネマチック相(ツイスト-ベンドネマチック相、即ち、N-TB相)を誘導することができ、キラルネマチック相液晶を加えた後、相対的高いスプレイ弾性定数K11、相対的低いベンド弾性定数K33、および相対的低いツイスト弾性係数K22を取得することができる。K33≒K22である場合、液晶分子は、直接にP状態からH状態に戻り、完璧なプレーナ状態に達することができ、極めて小さなヘイズを有する。従って、P状態のヘイズはビメソゲン化合物の含有量と直接関係し、ダイマーの含有量が低い場合、P状態は、通常高いヘイズを有する。また、K11/K22が2よりも大きい場合、N-TB相の螺旋構造は相対的安定するため、K値を調節することにより、透過状態と曇り状態の双安定状態を実現することができる。しかし、温度がN-TB相の温度に近いもしくはそれよりも低い場合、液晶は相転移し、液晶分子は、H状態からP状態に戻りにくく、透明になることができない。特許CN109825309AおよびCN112130362Aから分かるように、正の誘電率ネマチック相液晶にキラル剤を加えてコレステリック液晶を取得し、更にビメソゲン化合物を加えることで、P状態のヘイズが10%よりも小さく、曇り状態のヘイズが85%よりも大きいことを実現することができる。しかしながら、上記2つの特許の成分およびステップに従って操作試験を行った場合、更に、透明点がいずれも低く(<90℃)、N-TB点が高い(>-15℃)ことを発見し、この場合、温度が-10℃に低下すると、H状態はP状態に戻りにくく、常に曇り状態に保持し、また、透明点が低いと、高温動作中の曇り状態のヘイズも低くなって保持できなくなる。
【0034】
MichaelR.TuchbandおよびMin Shuaiらの文献(Double-helical Tiled chain structure the twist-bend liquid crystal phase in CB7CB)で開示された研究結論によると、ダイマーの減少に伴い、透明点およびN-TB点の温度が単調に低下することが発見された。従って、ダイマーの含有量を減少することでN-TB相転移温度を低下することができるが、P状態のヘイズの上昇および透明点の低下も引き起こし、三環および四環液晶モノマーの含有量を増加することで透明点の温度を効果的に高めるが、ある程度でN-TB点の温度を高め、N-TB相の螺旋構造を変え、P状態のヘイズおよびFC状態のヘイズ安定性にも影響を及ぼす。
【0035】
上記液晶組成物内の各成分が双安定液晶調光素子性能に影響を及ぼすため、本願は、従来の双安定液晶調光素子の動作温度範囲が狭いという問題を解決し、即ち、動作温度が-10℃よりも低い場合、双安定液晶調光素子内の液晶分子はH状態で停電した後にP状態に戻りにくく、即ち、停電後に透明状態に戻ることができず、動作温度が高くて透明点との差が20℃よりも小さい場合、曇り状態のヘイズの保持が劣り、ヘイズが低く、温度を上昇し続けると、曇り状態を保持しにくい。本願は、一般式Iから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IVから選ばれる少なくとも1種の化合物、および少なくとも1種のキラル化合物を含む液晶組成物を提供する。
【0036】
上記一般式IはR1-MG1-X-MG2-R2であり、ただし、R1およびR2は、それぞれ独立して-H、-F、-Cl、-CN、-NCS、またはいずれかの炭素数1~25のアルカン基を表し、好ましい実施形態として、前記炭素数1~25のアルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲンまたは-CNによって置換されてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まず、MG1およびMG2は、それぞれ独立してメソゲン基を表し、Xは、炭素数1、3または5~40の直鎖もしくは分岐アルキレン基であり、好ましい実施形態として、前記直鎖もしくは分岐アルキレン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、-C≡C-、または-CH(CN)-によって置き換えられてもよく、前記置き換え方式は、2つの-O-が互いに隣接することを含まず、または-OCO-、-SCO-、-OCOO-、-COS-、-COO-および-CH=CH-でからなる群から選ばれる2つの基が互いに隣接することを含まない。
【0037】
上記一般式IIは以下のとおりである。
【化8】

上記一般式IIIは以下のとおりである。
【化9】

上記一般式IVは以下のとおりである。
【化10】

ただし、H1、H2、H3、H4、H5、H6、H7、H8、H9は、それぞれ独立して第1環状構造を表し、前記第1環状構造は、
【化11】

のうちの少なくとも1つで構成される。
好ましい実施形態として、前記第1環状構造内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、炭素数1~10のアルカン基またはエステル基によって置換されてもよい。
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-CFO-、-OCF-、-CHO-、-OCH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、単結合、または-(CH-を表し、ただし、aは2~10の偶数である。
、R、R、R、R、Rは、それぞれ独立して-CN、-F、-Cl、-NCS、-OCF、-CF、または1~25個のC原子を有するアルカン基を表し、好ましい実施形態として、前記1~25個のC原子を有するアルカン基内の1つまたは複数の隣接しない-CH-は、それぞれ独立して-O-、-S-、-NH-、-N(CH)-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCOO-、-SCO-、-COS-、-CH=CH-、-CH=CF-、-CF=CF-、または-C≡C-によって置き換えられてもよく、前記アルカン基内の1つまたは複数のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、-CN、または-CHによって置換されてもよい。
【0038】
本願において、好ましい実施形態として、前記メソゲン基は、少なくとも1種の一般式Vの化合物から選ばれ、
上記一般式Vは以下のとおりである。
【化12】

ただし、H10、H11、H12、H13は、それぞれ独立して第2環状構造を表し、前記第2環状構造は、
【化13】

のうちの少なくとも1つで構成され、
好ましい実施形態として、前記第2環状構造内の1~4個のH原子は、それぞれ独立してハロゲン、CN、またはいずれかの炭素数1~7のアルカン基によって置換されてもよく、前記炭素数1~7のアルカン基内の少なくとも1つの-CH-は、-CHO-、-CO-、-COO-、または-OCO-によって置き換えられてもよく、前記炭素数1~7のアルカン基内の少なくとも1つのH原子は、FまたはClによって置換されてもよく、
、AおよびAは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-OCOO-、-OCH-、-CHO-、-CFO-、-(CH-、-(CH-、-C≡C-、-CH=CH-、-CFCF-、-CF=CF-、-CH=CH-COO-、-OCO-CH=CH-、または単結合を表し、
pは0または1であり、qは0または1であり、rは0または1である。
【0039】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式I中のXは、少なくとも1種の一般式VIの化合物から選ばれ、
上記一般式VIは以下のとおりである。
【化14】

ただし、YおよびYは、それぞれ独立して-COO-、-OCO-、-O-、-CH=CH-、-CFO-、-OCF-、-CFCF-、または単結合を表し、sは3~13の奇数である。
【0040】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~50%を占める。より好ましい実施形態として、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める。更に好ましい実施形態として、前記一般式Iの化合物は、前記液晶組成物の全質量の25%~35%を占める。
【0041】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の10%~34.5%を占める。より好ましい実施形態として、前記一般式IIの化合物は、前記液晶組成物の全質量の15%~34.5%を占める。好ましい実施形態として、前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~50%を占める。より好ましい実施形態として、前記一般式IIIの化合物と前記一般式IVの化合物との質量の和は、前記液晶組成物の全質量の20%~40%を占める。好ましい実施形態として、前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の0~20%を占める。より好ましい実施形態として、前記一般式IVの化合物は、前記液晶組成物の全質量の1%~20%を占める。
【0042】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式Iの化合物は、以下の化合物から選ばれるいずれか一種であってもよい。
【化15】

【化16】
【0043】
より好ましい実施形態として、前記一般式Iの化合物は、更に一般式I-1~一般式I-10で構成される化合物から選ばれる。
【0044】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式IIの化合物は、以下の化合物から選ばれるいずれか一種であってもよい。
【化17】
【0045】
より好ましい実施形態として、前記一般式IIの化合物は、更に一般式II-1~一般式II-9で構成される化合物から選ばれる。
【0046】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式IIIの化合物は、以下の化合物から選ばれるいずれか一種であってもよい。
【化18】
【0047】
より好ましい実施形態として、前記一般式IIIの化合物は、更に一般式III-1~一般式III-10で構成される化合物から選ばれる。
【0048】
本願において、好ましい実施形態として、前記一般式IVの化合物は、以下の化合物から選ばれるいずれか一種であってもよい。
【化19】
【0049】
より好ましい実施形態として、前記一般式IVの化合物は、更に一般式IV-1~一般式IV-4で構成される化合物から選ばれる。
【0050】
本願において、好ましい実施形態として、前記キラル化合物は、R01、R02、R03、R04、R05、R06、L01、L02、L03、L04、L05のうちの少なくとも1種である。好ましくは、前記キラル化合物は、前記液晶組成物の全質量の5%~20%を占める。
【0051】
本願において、好ましい実施形態として、前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性モノマーも含み、より好ましい実施形態として、前記重合性モノマーは、光重合性モノマー、熱重合性モノマー等であってもよいが、これらに限定されず、前記光重合性モノマーは、アクリレート系モノマー、ビニルエーテル系モノマー等であってもよく、例えば、PM001、市販の紫外線硬化型接着材NOA65等であってもよいが、これらに限定されず、前記熱重合性モノマーは、エポキシ樹脂であってもよいが、これらに限定されない。より好ましい実施形態として、前記液晶組成物は、少なくとも1種の重合性開始剤も含む。前記重合性開始剤は、下記光開始剤のいずれか一種であってもよい。
光開始剤184;
【化20】

光開始剤907;
【化21】

TPO;
【化22】

などである。
【0052】
高性能で温度範囲が広い双安定液晶組成物を調製するという目的を実現するために、本願は、更に双安定液晶調光素子を提供し、前記双安定液晶調光素子は、第1透明導電性基板および第2透明導電性基板を備え、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板とは、互いに平行で対向配置して液晶セルを形成し、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板との間の前記液晶セル内に充填された液晶層は上記前記の液晶組成物を含み、前記双安定液晶調光素子は、入射光をほぼ透過させる透過状態と入射光をほぼ散乱させる曇り状態という2つの安定状態を含み、前記透過状態と前記曇り状態との間の切り替えは、外部電界の印加により実現できる。好ましくは、前記透過状態のヘイズは10%以下であり、より好ましくは前記透過状態のヘイズは5%以下であり、更に好ましくは、前記透過状態のヘイズは3%以下である。好ましくは、前記曇り状態のヘイズは85%以上であり、より好ましくは、前記曇り状態のヘイズは90%以下である。
【0053】
本願において、液晶化合物内の基構造をコード識別し、表1に示すとおりである。
【0054】
【表1】
【0055】
ただし、nまたはmが3である場合、アルキル-Cと表す。また、表1における基構造は、本願の液晶化合物内の一部の基構造だけである。
【0056】
本願において、更に液晶化合物に加えるキラル剤および他の添加化合物の構造分子式とコードを提供し、且つ、構造分子式は、本願におけるキラル剤および他の添加化合物の一部の分子式だけであり、構造分子式および対応するコード識別は、表2に示すとおりである。
【0057】
【表2】
【0058】
本願に係る技術案が優れた技術的効果を有することを検証するために、本願は更に、4群の液晶化合物を比較例として、7群の液晶化合物を実施例として提供し、且つ、これらの液晶化合物を対応する双安定液晶調光素子に作製し、その性能テストを行った。
【0059】
1)混晶の透明点およびN-TB点のテスト方法
サンプルをMK2000温度制御ステージに置き、常温で急速に60℃に昇温した後、3min安定させ、加熱速度5℃/minに変えて加熱し続け、液晶が完全に透明になると、透明点として記し、温度を急速に-30℃に降温し、5min安定させてから、加熱速度5℃/minに変えて加熱して昇温し、相転移(液晶の色が著しく変化し、黒褐色からアンバー色に変化した)が発生した温度をN-TB点として記し、-30℃に降温しても相転移が発生しない場合、N-TB点が-30℃よりも小さいことを意味する。
【0060】
2)調光素子の構造
前記双安定液晶調光素子は、第1透明導電性基板および第2透明導電性基板を備え、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板とは、互いに平行で対向配置して液晶セルを形成し、前記第1透明導電性基板と前記第2透明導電性基板との間の前記液晶セル内に充填された液晶層は上記液晶組成物を含み、前記双安定調光素子のセルの厚さは、ヘイズのニーズに応じて選択することができる。ここで、液晶組成物を前記液晶セル内にポッティングした後、365nmのUV低圧水銀ランプを用いて10mw/cmの強度で調光素子を60秒照射し、液晶組成物内の重合性モノマーNOA65を重合させる。
【0061】
3)ヘイズのテスト方法
本願における上記実施例中の液晶組成物を、それぞれ20μmのVA液晶セル内に真空ポッティングし、封口を完了した後、テストの準備をする。まず、WGT-S型ヘーズメータをオンにし、光源を30min安定させてからテストを開始する。適当な高電圧を印加することにより、液晶分子をH状態に駆動させ、50s停電した後、テストボタンをクリックしてテストを行い、透過状態のヘイズを読み取って記録し、適当な低電圧を印加することにより、液晶分子をP状態からFC状態に駆動し、試験ボタンをクリックして試験を行い、曇り状態のヘイズを読み取って記録する。
【0062】
【表A1】

【0063】
【表A2】
【0064】
【表A3】
【0065】
【表A4】
【0066】
【表B1】
【0067】
【表B2】
【0068】
【表B3】
【0069】
【表B4】
【0070】
【表B5】
【0071】
【表B6】
【0072】
【表B7】
【0073】
以上をまとめ、本願は、液晶組成物を提供し、該液晶組成物は、構造式が異なる4種の化合物およびキラル化合物を含み、ただし、構造式が異なる4種の化合物はそれぞれ、一般式Iから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IIIから選ばれる少なくとも1種の化合物、一般式IVから選ばれる少なくとも1種の化合物であり、液晶組成物内の各成分の含有量を最適化することにより、N-TB相転移点を低下するとともに透明点を向上させ、且つ、上記液晶組成物で調製された双安定液晶調光素子を提供し、双安定液晶調光素子の動作温度範囲を広げ、双安定液晶調光素子の実用における価値を高める。本願の双安定液晶調光素子は、屋外のカーテンウォール、室内の仕切り、スマートメガネ、車窓、スマートハウス等に適用できる。
【0074】
本明細書は、実施形態に従って記述したが、各実施形態は1つの独立の技術案のみを含むものではなく、明細書のこのような記述方式は、明確にするためのものに過ぎず、当業者は、明細書を全体として見なすべきであり、各実施形態における技術案は、適当に組み合わせて当業者の理解できる他の実施形態を形成することもできる。
【0075】
上述した一連の詳細な説明は、本発明の実行可能な実施形態についての具体的な説明に過ぎず、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の技術的精神から逸脱することなく行われる等価な実施形態または変更は、いずれも本発明の保護範囲内に含まれるべきである。
【国際調査報告】