IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ メルセン フランス ピィ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエの特許一覧

特表2024-523028熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法
<>
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図1
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図2
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図3
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図4
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図5
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図6
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図7
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図8
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図9
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図10
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図11
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図12
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図13
  • 特表-熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】熱交換ブロックおよびその製造方法、並びにそのブロックを備えた熱交換器およびその実装方法
(51)【国際特許分類】
   F28F 7/00 20060101AFI20240618BHJP
   F28D 21/00 20060101ALI20240618BHJP
   F28F 7/02 20060101ALI20240618BHJP
   F28F 21/02 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
F28F7/00
F28D21/00 A
F28F7/02
F28F21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577292
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2022055277
(87)【国際公開番号】W WO2022263972
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】21179189.2
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22171766.3
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316177
【氏名又は名称】メルセン フランス ピィ ソシエテ パ アクシオンス シンプリフィエ
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【弁理士】
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【弁理士】
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【弁理士】
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【弁理士】
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ,ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ボリー,マチュー
(72)【発明者】
【氏名】ブリュン,ギヨーム
(57)【要約】
熱交換ブロック(1)は、本体(10)と、プロセス流体の流れを意図する縦流路(20)と、サービス流体の流れを意図する横流路(60)と、を備える。本発明によれば、少なくとも1の底面部(2)、特に上流側の底面部は、中央部表面(S3)を規定する中央ボウル部(3)と、外周部基準面(S4)を規定する周座部(4)と、移行部(5)と、最も近い横流路(60a)と中央表面(S3)との間の距離(h3)よりも実質的に大きい、最も近い横流路(60a)と外周部表面(S4)との間の距離(h4)と、を区画する。本発明のブロックに発生する熱応力は、先行技術におけるものよりもはるかに低く、これによりブロックおよび熱交換器の両方の寿命は、先行技術におけるものよりも格段に長い。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換ブロック(1;501;1001,2001,3001)であって、
本体(10)であって、特にグラファイト製であり、特に、断面が円形状である円柱形状を有する本体と、
前記ブロックの縦方向(L1)に沿って当該本体に形成された第1のいわゆる縦流路(20)であって、各縦流路が、前記本体の2つの対向する底面部(2,6;502,506;1002,1006,2002,2006,3002,3006)の間に連続的に延びているとともに前記底面部で開口していて、前記縦流路が第1のいわゆるプロセス流体の流れを意図する、第1のいわゆる縦流路と、
横方向に沿って当該本体に形成された第2のいわゆる横流路(60;560)であって、各横流路が、前記本体の2つの対向する横面部(7,8)の間に連続的に延びているとともに前記横面部で開口していて、前記横流路が第2のいわゆるサービス流体の流れを意図する、第2のいわゆる横流路と、を備え、
少なくとも1の底面部(2;502;1002,1006,2002,2006,3002,3006)が、
いわゆる中央部基準面(S3;S503)を規定し、前記ブロックの構成材料の温度を均質化することを意図する中央のいわゆる均質化ボウル部(3;503;1003,1103,2003,2103,3003,3103)と、
いわゆる外周部基準面(S4;S504)を規定し、前記縦方向に沿って前記中央ボウル部に対して上流側に突出していて、シール手段を受けるように適合した周座部(4;504)と、
前記周座部と前記中央ボウル部との間に延びている移行部(5;505)と、
最も近い横流路(60a;560a)のいわゆる対向壁(61;561)と外周部表面(S4;S504)との間のいわゆる外周部距離(h4;h504)であって、最も近い横流路(60a)の前記壁(61;561)と中央部表面(S3;S503)との間のいわゆる中央部距離(h3;h503)よりも実質的に大きく、前記距離(h3;h503)および(h4;h504)が前記ブロックの前記縦方向に沿うとみなされる、いわゆる外周部距離と、
を区画するように、当該底面部に凹部(22;522)が設けられたことを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換ブロックにおいて、
前記外周部距離と前記中央部距離との比(h4/h3)は、1.2よりも大きく、好ましくは2よりも大きいことを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換ブロックにおいて、
d60aが前記最も近い横流路(60a)の直径であるとき、前記外周部距離(h4)は、d60aよりも大きく、特に2×d60aよりも大きいことを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載の熱交換ブロックにおいて、
t26が前記縦流路(20)と前記横流路(60)との間の最小の材料厚さであるとき、前記中央部距離(h3)は、t26よりも大きく、好ましくは2×t26よりも大きいことを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか1つに記載の熱交換ブロックにおいて、
前記移行部の基準面(S5)と前記ボウル部の基準面(S3)との間のいわゆる移行角度(a5)は、30°~90°の間であることを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の熱交換ブロックにおいて、
前記底面部のうち上流側の底面部(2;502)にのみ前記ボウル部(3;503)が設けられる一方、対向する下流側の底面部(6;506)は実質的に平らであるか、当該下流側の底面部には流体分配チャンバが設けられ、
当該チャンバの深さ(D903)は、前記ボウル部の深さ(D3/D503)よりも十分に小さいことを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項7】
請求項1から5までのいずれか1つに記載の熱交換ブロックにおいて、
上流側の底面部および下流側の底面部の両方に、それぞれ前記ボウル部(1003,1103,2003,2103,3003,3103)が設けられることを特徴とする熱交換ブロック。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1つに記載の熱交換器ブロックの製造方法において、
予備成形物、特に標準的な熱交換器ブロックを提供するステップであって、前記予備成形物は、予備成形物本体と、前記予備成形物の2つの対向する両方とも実質的に平らである底面部で開口していて、前記予備成形物の縦方向に沿って当該予備成形物本体に形成された第1のいわゆる縦流路と、前記予備成形物の2つの対向する横面部で開口していて、横方向に沿って当該予備成形物本体に形成された第2のいわゆる横流路と、を備える、ステップと、
前記ボウル部(3)および前記移行部(5)を形成するために、特に機械加工または類似の工程によって前記予備成形物の材料を除去するステップと、を備える方法。
【請求項9】
熱交換器(I;II;III)であって、
下部カバー(310;1310)、上部カバー(320;1320)および外周ケーシング(330;1330)を有する筐体と、
前記下部カバーと前記上部カバーとの間に配置された少なくとも1の熱交換ブロック(1、101、201;501;1001,2001,3001)と、を備え、
各前記ブロックは、
本体と、
前記ブロックの縦方向に沿って当該本体に形成された第1のいわゆる縦流路であって、前記本体の2つの対向する底面部で開口していて、前記縦流路が第1のいわゆるプロセス流体の流れを意図する、第1のいわゆる縦流路と、
横方向に沿って当該本体に形成された第2のいわゆる横流路であって、前記本体の2つの対向する横面部で開口していて、前記横流路が第2のいわゆるサービス流体の流れを意図する、第2のいわゆる横流路と、を備え、
当該熱交換器は、
前記第1の流路内への前記第1の流体の第1の流入手段(322;1332)と、
前記第2の流路内への前記第2の流体の第2の流入手段(336;1336)と、
前記第1の流路からの前記第1の流体の第1の流出手段(312;1312)と、
前記第2の流路からの前記第2の流体の第2の流出手段(337;837;1337)と、をさらに備え、
少なくとも1の熱交換ブロック(1;501;1001,2001,3001)が請求項1から7までのいずれか1つに記載の熱交換器ブロックであることを特徴とする熱交換器。
【請求項10】
請求項9に記載の熱交換器において、
請求項6に記載の熱交換ブロック(1;501)を1つ備え、
前記1つのブロックは、前記第1の流入手段(322)の最も近くに位置するいわゆる上流側のブロックであり
前記1つのブロック(1;501)には、前記第1の流入手段の方に向けられた前記いわゆる上流側の底面部(2;502)に位置する1つのボウル部(3;503)が設けられる、熱交換器。
【請求項11】
請求項10に記載の熱交換器において、
前記ブロックの縦方向に沿うとみなされる、前記最も近い横流路(560a)の前記対向壁(561)と前記第2の流体の前記第2の流出手段(837)の上壁(838)との間の距離(d561)は、20mmよりも小さく、特に10mmよりも小さく、
前記最も近い横流路(560a)の前記壁(561)は、有利には前記上壁(838)よりも前記第1の流入手段に最も近いことを特徴とする熱交換器。
【請求項12】
請求項9に記載の熱交換器において、
いくつかの、好ましくはすべての熱交換ブロックが請求項7に記載の熱交換ブロック(1001,2001,3001)である、熱交換器。
【請求項13】
請求項10または11に記載の熱交換器を実装する方法であって、
前記第1のおよび第2の流体は、それらについての熱交換を可能とするために前記第1のおよび第2の流路で循環され、
前記第1の流体は、気体である場合に、顕著な凝縮を伴わずに単相の状態で前記熱交換器を通って流れ、
前記第1の流体が、特に80℃よりも高い温度で前記第1の流入手段に流入する一方、前記第2の流体が、特に-20℃~+35℃の間の温度で前記第2の流入手段に流入する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の、請求項11に記載の熱交換器を実装する方法において、
前記第1の流体は、200℃よりも高い温度で前記第1の流入手段に流入する、方法。
【請求項15】
請求項12に記載の熱交換器を実装する方法であって、
前記第1のおよび第2の流体は、それらについての熱交換を可能とするために前記第1のおよび第2の流路で循環され、
前記第1の流体は、前記熱交換器を通って凝縮にさらされ、前記第1の流体の流入温度が、特に+80℃~+300℃の間である一方、前記第1の流体の流出温度が、特に-15℃~+60℃の間であり、
前記第2の流体の流入温度が、特に-20℃~+35℃の間である一方、前記第2の流体の流出温度が、特に-15℃~+45℃の間である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック型熱交換器の技術分野に関連し、特に、熱的および機械的な問題の両方に関して改良された形状を備える熱交換ブロックに関連する。本発明は、また、このような熱交換ブロックを備える熱交換器にも関連する。
【背景技術】
【0002】
種々の熱交換器が知られていて、とりわけ、プレート型、チューブ型、またはフィン型の熱交換器が挙げられる。本発明は、特に、ブロック型熱交換器に関連する。後者は、一般的には、まず、ともに熱交換器の主軸に沿って設けられた、いわゆるプロセス流体のための流入口および流出口を備える。さらに、当該熱交換器のケーシングには、ともにいわゆるサービス流体のための横方向の流入口および流出口が設けられる。プロセス流体は、例えば、酸であり、サービス流体は、水のような熱伝導流体である。
【0003】
ケーシングは、少なくとも1の熱交換ブロック、一般的には、上下に積み重ねられた複数の熱交換ブロックを収容する。各ブロックは、熱伝導材料で作られている。本発明は、より具体的には、金属に対して腐食性のプロセス流体に関連する。この点に関して、前記材料は、一般的にはグラファイトであり、任意に例えばポリマー型の添加剤と結合している。当該ブロックは、平行六面体状または円柱状であってもよく、本発明は、より具体的には円柱形状のブロックを意図していることに留意されたい。
【0004】
プロセス流体およびサービス流体のそれぞれの循環を目的とする2系列の流路が、前記ブロックにくり抜かれている。第1の流路は、縦長であり、本体の底面部の間に連続的に延びていて、前記底面部で開口している。さらに、第2の流路は、横長であり、本体の対向する横面部の間に連続的に延びていて、前記横面部で開口している。
【0005】
上記の公知のタイプのブロック型熱交換器は、例えば、欧州特許出願公開第0196548号および国際公開第2006/081965号で説明されている。
【0006】
しかしながら、上記開示されたような先行技術のブロック型熱交換器は、特に機械的な問題に関して、満足できるものではない。実際に、熱交換器の寿命を短縮する、いくつかの材料破壊が観察されている。これらの破壊は、特に、高温のプロセス流体の流れに関して上流側にある、ブロックの底面部の外周部で発生する。
【0007】
米国特許出願公開第3391016号は、グラファイトの環状体によって形成される熱交換要素を製造する工程を説明している。米国特許出願公開第2821369号は、中央に中空の内部を有するカラムを形成するように軸方向に整列して配置された、複数の中空の円筒形のグラファイトブロックを備える熱交換器を開示している。これらの2つの文献は、本発明が目的とするタイプとは実質的に異なるタイプの熱交換ブロックを扱っている。実際に、ブロックの環状形状によって、横流路は、ブロックの横面部の間に連続的に延びていない。
【0008】
最後に、イギリス特許出願公開第1078868号は、いくつかのグラファイトブロックが設けられているが外部ケーシングが設けられていない熱交換器を開示している。前記ブロックのそれぞれは、クランプによって相互に固定された2つの別個の部品によって形成される。このさらなる文献は、このブロックが縦および横流路を含まないことから、本発明によるタイプの熱交換ブロックに関しない。実際に、このイギリスの文献では、プロセス流体およびサービス流体は、ともにブロックの底面部で開口した2系列の流路に流れる。そうとはいえ、本発明の目的の1つは、上記の先行技術に伴う欠点を改善することを可能とする熱交換ブロックを提供することにある。
【0009】
本発明のさらなる目的は、それが設けられた熱交換器に対して満足な熱的および機械的性能の両方を確実にするブロックを提供することにある。
【0010】
本発明のさらなる目的は、特にこの熱交換器に属するブロックにくり抜かれた流路に関して、比較的シンプルな構造を有し、機械的な破断の危険性を特に伴わずに製造することが可能な熱交換器を提供することにある。
【発明の概要】
【0011】
本発明の対象の1つは、熱交換ブロック(1;501;1001,2001,3001)であり、
-本体(10)であって、特にグラファイト製であり、特に、断面が円形状である円柱形状を有する本体と、
-前記ブロックの縦方向(L1)に沿って当該本体に形成された第1のいわゆる縦流路(20)であって、各縦流路が、前記本体の2つの対向する底面部(2,6;502,506;1002,1006,2002,2006,3002,3006)の間に連続的に延びているとともに前記底面部で開口していて、前記縦流路が第1のいわゆるプロセス流体の流れを意図する、第1のいわゆる縦流路と、
-横方向に沿って当該本体に形成された第2のいわゆる横流路(60;560)であって、各横流路が、前記本体の2つの対向する横面部(7,8)の間に連続的に延びているとともに前記横面部で開口していて、前記横流路が第2のいわゆるサービス流体の流れを意図する、第2のいわゆる横流路と、を備え、
少なくとも1の底面部(2;502;1002,1006,2002,2006,3002,3006)が、
-いわゆる中央部基準面(S3;S503)を規定し、前記ブロックの構成材料の温度を均質化することを意図する中央のいわゆる均質化ボウル部(3;503;1003,1103,2003,2103,3003,3103)と、
-いわゆる外周部基準面(S4;S504)を規定し、前記縦方向に沿って前記中央ボウル部に対して上流側に突出していて、シール手段を受けるように適合した周座部(4;504)と、
-前記周座部と前記中央ボウル部との間に延びている移行部(5;505)と、
-最も近い横流路(60a;560a)のいわゆる対向壁(61;561)と外周部表面(S4;S504)との間のいわゆる外周部距離(h4;h504)であって、最も近い横流路(60a)の前記壁(61;561)と中央部表面(S3;S503)との間のいわゆる中央部距離(h3;h503)よりも実質的に大きく、前記距離(h3;h503)および(h4;h504)が前記ブロックの前記縦方向に沿うとみなされる、いわゆる外周部距離と、
を区画するように、当該底面部に凹部(22;522)が設けられたことを特徴とする熱交換ブロックである。
【0012】
本発明による熱交換ブロックの有利な特徴によれば:
-前記外周部距離と前記中央部距離との比(h4/h3)は、1.2よりも大きく、好ましくは2よりも大きい。
-d60aが前記最も近い横流路(60a)の直径であるとき、前記外周部距離(h4)は、d60aよりも大きく、特に2×d60aよりも大きい。
-t26が前記縦流路(20)と前記横流路(60)との間の最小の材料厚さであるとき、前記中央部距離(h3)は、t26よりも大きく、好ましくは2×t26よりも大きい。
-前記移行部の基準面(S5)と前記ボウル部の基準面(S3)との間のいわゆる移行角度(a5)は、30°~90°の間である。
-前記底面部のうち上流側の底面部(2;502)にのみ前記ボウル部(3;503)が設けられる一方、対向する下流側の底面部(6;506)は実質的に平らであるか、当該下流側の底面部には流体分配チャンバが設けられ、当該チャンバの深さ(D903)は、前記ボウル部の深さ(D3/D503)よりも十分に小さい。
-上流側の底面部および下流側の底面部の両方に、それぞれ前記ボウル部(1003,1103,2003,2103,3003,3103)が設けられる。
【0013】
本発明のさらなる対象の1つは、上記に規定される熱交換器ブロックの製造方法であり、
-予備成形物、特に標準的な熱交換器ブロックを提供するステップであって、前記予備成形物は、予備成形物本体と、前記予備成形物の2つの対向する両方とも実質的に平らである底面部で開口していて、前記予備成形物の縦方向に沿って当該予備成形物本体に形成された第1のいわゆる縦流路と、前記予備成形物の2つの対向する横面部で開口していて、横方向に沿って当該予備成形物本体に形成された第2のいわゆる横流路と、を備える、ステップと、
-前記ボウル部(3)および前記移行部(5)を形成するために、特に機械加工または類似の工程によって前記予備成形物の材料を除去するステップと、を備える方法である。
【0014】
本発明のさらなる対象の1つは、熱交換器(I;II;III)であり、
-下部カバー(310;1310)、上部カバー(320;1320)および外周ケーシング(330;1330)を有する筐体と、
-前記下部カバーと前記上部カバーとの間に配置された少なくとも1の熱交換ブロック(1、101、201;501;1001,2001,3001)と、を備え、
各前記ブロックは、
-本体と、
-前記ブロックの縦方向に沿って当該本体に形成された第1のいわゆる縦流路であって、前記本体の2つの対向する底面部で開口していて、前記縦流路が第1のいわゆるプロセス流体の流れを意図する、第1のいわゆる縦流路と、
-横方向に沿って当該本体に形成された第2のいわゆる横流路であって、前記本体の2つの対向する横面部で開口していて、前記横流路が第2のいわゆるサービス流体の流れを意図する、第2のいわゆる横流路と、を備え、
当該熱交換器は、
-前記第1の流路内への前記第1の流体の第1の流入手段(322;1332)と、
-前記第2の流路内への前記第2の流体の第2の流入手段(336;1336)と、
-前記第1の流路からの前記第1の流体の第1の流出手段(312;1312)と、
-前記第2の流路からの前記第2の流体の第2の流出手段(337;837;1337)と、をさらに備え、
-少なくとも1の熱交換ブロック(1;501;1001,2001,3001)が上記に規定される熱交換ブロックであることを特徴とする熱交換器である。
【0015】
本発明による熱交換器の有利な特徴によれば:
-前記熱交換器は、上記に規定される熱交換ブロック(1;501)を1つ備え、前記1つのブロックは、前記第1の流入手段(322)の最も近くに位置するいわゆる上流側のブロックであり、前記1つのブロック(1;501)には、前記第1の流入手段の方に向けられた前記いわゆる上流側の底面部(2;502)に位置する1つのボウル部(3;503)が設けられる。
-前記ブロックの縦方向に沿うとみなされる、前記最も近い横流路(560a)の前記対向壁(561)と前記第2の流体の前記第2の流出手段(837)の上壁(838)との間の距離(d561)は、20mmよりも小さく、特に10mmよりも小さく、前記最も近い横流路(560a)の前記壁(561)は、有利には前記上壁(838)よりも前記第1の流入手段に最も近い。
-いくつかの、好ましくはすべての熱交換ブロックが上記に規定される熱交換ブロック(1001,2001,3001)である。
【0016】
本発明のさらなる対象の1つは、上記に規定される熱交換器を実装する方法であり、前記第1のおよび第2の流体は、それらについての熱交換を可能とするために前記第1のおよび第2の流路で循環され、前記第1の流体は、気体である場合に、顕著な凝縮を伴わずに単相の状態で前記熱交換器を通って流れ、前記第1の流体が、特に80℃よりも高い温度で前記第1の流入手段に流入する一方、前記第2の流体が、特に-20℃~+35℃の間の温度で前記第2の流入手段に流入する、方法である。
【0017】
本発明の特徴によれば、前記第1の流体は、200℃よりも高い温度で前記第1の流入手段に流入してもよい。
【0018】
本発明のさらなる対象の1つは、上記に規定される熱交換器を実装する方法であり、前記第1のおよび第2の流体は、それらについての熱交換を可能とするために前記第1のおよび第2の流路で循環され、前記第1の流体は、前記熱交換器を通って凝縮にさらされ、前記第1の流体の流入温度が、特に+80℃~+300℃の間である一方、前記第1の流体の流出温度が、特に-15℃~+60℃の間であり、前記第2の流体の流入温度が、特に-20℃~+35℃の間である一方、前記第2の流体の流出温度が、特に-15℃~+45℃の間である、方法である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
以下、本発明について、非限定的な例として提供される添付図面を参照しながら説明する。
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるブロックが設けられた熱交換器を示す縦断面図である。
図2図2は、本発明によるブロックを示す部分断面斜視図である。
図3図3は、図1と類似の縦断面図であり、図2のブロックの上流側の端部および図1の熱交換器をより詳細に示す図である。
図4図4は、図3と類似の縦断面図であり、先行技術によるブロックの上流側の端部およびこのようなブロックが設けられた熱交換器を示す図である。
図5図5は、図3のブロックの上流側の端部を拡大して示す縦断面図である。
図6図6は、本発明のブロックの代表的な比の値による、当該ブロックの熱応力および機械応力の両方の変化を示すグラフである。
図7図7は、図1と類似の縦断面図であり、本発明の第2の実施形態によるブロックが設けられた熱交換器の一部を拡大して示す図である。
図8図8は、図3と類似の縦断面図であり、図7のVIII部分を拡大してより詳細に示す図である。
図9図9は、図1の熱交換器の概略正面図であり、特に当該熱交換器のブロック部分の横流路および当該流路における流体の流れを示す図である。
図10図10は、図7の熱交換器の概略正面図であり、特に当該熱交換器のブロック部分の横流路および当該流路における流体の流れを示す図である。
図11図11は、本発明の他の変形例によるブロックの概略正面図である。
図12図12は、図1と類似の縦断面図であり、本発明の第3の実施形態によるブロックが設けられた熱交換器を示す図である。
図13図13は、2つの異なるケースにおける、先行技術の熱交換器の主寸法に沿うグラファイト温度の変化を概略的に示すグラフである。
図14図14は、先行技術の熱交換器および図12の熱交換器のそれぞれについてのグラファイト温度の変化を概略的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、以下の参照符号を用いる。
I 本発明の第1の実施形態による熱交換器
1 本発明による上流側のブロック
10 ブロック1の本体
12 10上のバッフル部
L1 ブロックの縦方向
2 ブロック1の上流側の底面部
C 2の中央部
P 2の外周部
20 縦流路
22 底面部2における凹部
3 底面部2の中央ボウル部
h3 S3と61との間の距離
4 底面部2の座部
h4 S4と61との間の距離
41 肩部
5 ボウル部3と座部4との間の移行部
S3,S4,S5 3,4,5の基準面
a5 S3とS5との間の角度
6 ブロック1の下流側の底面部
7,8 横流路の上流側、下流側の面
60 横流路
t26 20と60との間の材料厚さ
d60 60の直径
60a 上流側の横流路
d60a 流路60aの直径
61 60aの壁
60b~60e 流路60aの直下の流路
DZ デッドゾーン
101,201 先行技術による、熱交換器Iのブロック
102,202 ブロック101,201の上流側の面
106,206 ブロック101,201の下流側の面
310 熱交換器Iの下部カバー
312 310における開口部
320 熱交換器Iの上部カバー
322 320における開口部
324 320内の空間
326 カラー部
328 スプリング
330 熱交換器Iのケーシング
335 外周チャンバ
336,337 流入および流出管
IV 先行技術による熱交換器
401 上流側のブロック
402 401の底面部
h402 402と460aとの間の距離
C’ 402の中央部
P’ 402の外周部
460 横流路
h460 2つの流路460の間の距離
460a 上流側の横流路
420 カバー
R 420の載置ゾーン
II 本発明の第2の実施形態による熱交換器
501以降:1以降と同様、ただし500を足したもの
838 クライアント管837の壁
d561 壁561と838とのの間の距離
903/D903 分配チャンバおよびその深さ(図11
III 本発明の第3の実施形態による熱交換器
1001以降:1以降と同様、ただし1000を足したもの
1103 ブロック1001の第2のボウル部
2001 本発明による第2のブロック
2003,2103 ブロック2001の各端側のボウル部
3001 本発明による第3のブロック
3003,3103 ブロック3001の各端側のボウル部
【0021】
図1は、本発明の第1の実施形態による熱交換器であり、全体としてIで参照されるものを示すものである。この熱交換器は、まず複数の熱交換ブロック1,101,201を備える。以下さらに詳細に説明されるように、ブロック1は、本発明によるものであり、ブロック101,201は、先行技術に準ずるものである。この例では、上下に積み重ねられた3つのブロックが表されていて、異なる数のブロックが想定されてもよいと理解される。好ましくは、ブロックの数が何であっても、本発明によるブロックが1つだけ提供される。
【0022】
これらの異なるブロック1,101,201は、あらゆる適切な材料、例えばグラファイトのような、特に腐食環境に適合した材料で作られている。各ブロックは、本体を有し、ブロック1に関するものについては符号10で参照される。前記本体は、断面が円形状である典型的な円柱形状を有する。特に図2および図5に示すような、バッフル部12として公知であるものが、この本体10の外周部に提供される。
【0023】
L1は、熱交換器の主軸と平行である、各ブロックの主軸または縦軸を指す。それ自体公知の態様で、各ブロックには、相互に熱交換に置かれることを意図する2つの流体の流れを可能とするための異なる流路がくり抜かれている。
【0024】
軸L1と平行であり縦流路と呼ばれる第1の系列の流路20が、各ブロックの対向する底面部2,6で開口している。縦流路に沿う、流体の流れ方向に関して、各底面部2は、上流側と呼ばれ、各対向する底面部6は、下流側と呼ばれる。
【0025】
さらに、第2の系列の横流路60は、特に軸L1に対して垂直に斜めに延びていて、各ブロックの対向する横面部7,8で開口している。運転時には第1のおよび第2の系列の流路でそれぞれ循環する2つの流体が熱交換に置かれる。これらの流路20,60は、互いに離れていて、つまり互いに開口していない。
【0026】
ブロック1~201とは別に、熱交換器Iは、下部カバー310、上部カバー320および外周ケーシング330も備える。上部カバー320には、3つすべてのブロックの縦流路への第1のいわゆるプロセス流体の流入口とする開口部322がくり抜かれている。この流入口は、上流側に配置され図示されていないこの流体の供給源に接続されている。前記開口部は、カバーの下面に設けられた空間324に通じている。
【0027】
さらに、下部カバー310には、縦流路外への第1の流体の流出口とする開口部312がくり抜かれている。この流出口は、配管のような適切な下流側の設備に接続されている。そのようなものとして公知である後者は、図示されていない。
【0028】
ケーシング330は、ブロック1~201におけるプロセス流体と熱交換に置かれることを意図する第2のいわゆるサービス流体の循環を目的とする外周ボウル部335を、ブロックの対向する壁とともに規定する。この目的のために、ケーシングには、第2の流体のそれぞれの流入口336と、さらなる配管のような他の適切な下流側の設備に接続される流出口337との配管が設けられている。そのようなものとしてまた公知である後者は、図示されていない。
【0029】
上記の空間324は、使用時に上流側のブロック1に載置される外周カラー部326を区画する。2つの流体の間のあらゆる接触を回避するために、ブロック1の導電壁とカラー部326との間の密閉を確実にすることが重要である。この目的のために、前記ブロックと前記カラー部との間の界面部には、公知であり詳細に図示しないシール手段が設けられている。さらに、上部カバー320には、ブロックおよび前記シール手段に、制御された圧縮力を及ぼすように適合した押圧手段が設けられる。示された例では、これらの押圧手段は、そのようなものとして公知であるスプリング328によって形成される。
【0030】
本実施例では、上流側のブロック1の下流側の底面部6、および他のブロック101,201の両底面部102,106,202,206は、先行技術に従って製造される。他の実施形態、特に図12~14の1つでは、以下に詳述するように、両方の底面部にそれぞれのチャンバが設けられてもよい。
【0031】
図1に戻って、前記典型的な面の一般的な構造は、それ自体公知であり、ここで詳細に説明されない。これらの底面部6,102,106,202,206が実質的に平らであることを説明すれば十分である。「平ら」とは、前記底面部がブロックの主縦軸に対して全体的に同じ高さに形成されたことを意味する。この点に関して、各底面部は、完全に平ら、または、例えば、O(オー)リングタイプのシール部材の座部を形成するのに適している、深さが浅い少なくとも1の溝がくり抜かれていてもよい。
【0032】
上流側のブロック1の上流側の底面部2は、一方で、本発明に従って製造される。実際に、それは平らではないが、中央凹部22が設けられ、その深さはかなりのものであり、故に以下を区画する:
-カバーに設けられた空間324に通じている中央ボウル部3;
-前記ボウル部を放射状に取り囲む周座部4;および
-前記周座部と前記中央ボウル部との間に延びている移行部5
【0033】
本実施形態では、前記中央ボウル部3は、平らであり、いわゆる中央部基準面S3を規定する。代替として、このボウル部は、平らでなくてもよく、例えば、波形状を有してもよい。この場合、前記基準面は、前記ボウル部の平均高さによって規定される。
【0034】
前記座部4は、縦方向L1に沿って前記中央ボウル部3に対して上流側に突出している。これは、本実施形態では平らである、いわゆる外周部基準面S4を規定する。いくつかの変形例では、この座部は平らではないが、例えば、いくつかのシールを受けるように適合した溝が設けられる。表面S4は、そして、上記の表面S3と同様に、座部の平均高さによって規定される。使用時に、上部カバー320のカラー部326は、座部4に載置され、この座部に、スプリング328による圧縮する作用を及ぼす。
【0035】
本実施例では、座部4の径方向内側端部に肩部41が設けられたことに留意されたい。この肩部は、その機能が一般的には環状シールを維持するものであり、機械的な作用を及ぼさない。
【0036】
移行部5は、本実施例では図5の断面で見ると直線的である。代替案として、この部分は、例えば段差を規定した他の形状を有してもよい。部分5は、表面S3,S4と同様に規定される移行面Sと関連する。
【0037】
以下、ブロック1の上流側の底面部2のいくつかの重要な代表的な寸法を規定する:
-ブロックの縦方向に沿う、最も近い横流路60aの壁61と外周部表面S4との間のいわゆる外周部距離h4。前記壁61は、図におけるその位置に関して「上側」と呼ばれるが、プロセス流体の流入口の方に向けられているため、「対向する側」とも呼ばれる。
-ブロックの縦方向に沿う、最も近い横流路の前記壁61と中央部表面S3との間のいわゆる中央部距離h3。
【0038】
以下詳述する本発明の重要な特徴によれば、前記距離h4は、前記距離h3よりもはるかに大きい。この点に関して、本出願人が先行技術の欠点および前記本質的な特徴の重要性に関する説明を特定したことを、強調されたい。
【0039】
次に、先行技術による熱交換器IVを示す図4を参照する。この図4では、熱交換器Iのものと類似の機械的要素に、400を足した同じ参照符号が付されている。
【0040】
まず、上部カバー420が上流側のグラファイトブロック401に載置される、いわゆる載置ゾーンRについて言及する。このゾーンでは、最小限のクランプ力が加えられ、クランプ力は、カバー420が支持されるグラファイトカラムの領域に、顕著な圧縮応力を引き起こす。載置ゾーンRに対する圧縮荷重は、最大許容引張応力に近い引張応力をもたらす。この問題は、カバーを支持する面の下を通る上流側の横流路460aの存在によって悪化する。
【0041】
機械的性能を確実にするために、先行技術による熱交換器には、平らな底面部402を形成する、かなりの材料厚さが設けられる。換言すると、前記図4に示すように、前記底面部2と上流側の横流路460aとを隔てる距離h402は、2つの隣り合う系列の横流路の間の距離h460よりもはるかに大きい。これにより、水平流路の第1層の領域でグラファイト材料によって支持される応力を低減することが可能となる。
【0042】
この設計は、機械的事項に関する限り理論的に有利であるが、望ましくない熱応力の問題を生じさせる。図4に示される後者は、高温でプロセス流体が熱交換器に流入する場合に特に深刻である。
【0043】
底面部402の中央部C’では、グラファイト表面は、まず、流入する高温のプロセス流体と接触する。さらに、これは、大きいh402の値によって、第1の冷却流路から、はるかに離れている。この底面部の外周部P’でも、グラファイト表面は、流入する高温のプロセス流体と接触する。しかし、中央部C’とは異なり、この外周部P’は、プロセス流体よりも十分に低い温度を有するサービス流体からも極めて近い。
【0044】
その結果、中央部の温度TC’は、外周部の温度TP’よりもはるかに大きい。結果として、中央部近傍のグラファイトの体積は、外周部近傍のグラファイトの体積よりも大きく膨張し、熱交換器全体に熱応力の発生を引き起こす。この応力は、特に外周部領域P’でなんらかの材料破壊を引き起こす可能性が高い。
【0045】
後者は、実際に、クランプ力による機械応力とグラファイトブロックを通る温度勾配による熱応力との組み合わせにさらされる。この破壊現象は、熱交換器が、均一かつ低い温度を有するに十分な長時間アイドリング状態であった後に、高温のプロセス流体を受け取り始める過渡モードで特に発生する可能性が高い。要約すると、本出願人は、上流側の端部にかなりの材料厚さを有する先行技術の熱交換ブロックが設けられたとしても、機械的脆弱性を逆にもたらすことを特定した。
【0046】
上記の通り、本発明の重要な特徴の1つは、比h4/h3を顕著に増加させることである。この点に関して、図6は、比h4/h3に対する機械応力および熱応力の両方の変化を示す。図6のグラフで、x-軸は前記比に対応する。さらに、一点鎖線は、ブロックの機械応力を代表するパラメータMの変化を示し、破線は、ブロックの熱応力を代表するパラメータTの変化を示し、実線は、全体的な応力G、すなわちM,Tの応力値の合計を示す。M,Tの両方の値が低いほど、挙動が良好である。
【0047】
図6によって示されるように、熱応力は、比h4/h3が増加するにつれて減少する。さらに、機械応力は、前記比h4/h3が増加するにつれて増加する。しかし驚くべきことに、熱応力の減少は、機械応力の増加よりもはるかに顕著である。結果として、全体的な応力Gの値は、比h4/h3の増加によって減少する傾向にある。
【0048】
理論的には、この比h4/h3の増加は、h4の値の増加させること、および/またはh3の値の減少させることにより達成され得る。実際にはh4を先行技術のブロックのそれと類似の値に維持することが望ましい。この点に関して、h4は、有利には、上部カバーを通ってクランプ力によって加えられる応力が材料の機械的特性と適合するように設定される。ブロックの底面部2の特定の形状によって、クランプ力は、主に環状座部4によって担われ、補助的に移行部5によって担われる。
【0049】
一方で、h3は、先行技術よりも十分に小さい値に到達するために顕著に低減される。換言すると、底面部の中央部分は、ブロックの外周部よりも格段に薄くされる。さらに、驚くべきことに、このh3の減少は、全体的な機械的挙動に対して不利にならない。これにより、図4に示すような平らな底面部を有する先行技術のブロックに対して、熱応力をはるかに低下させることが可能となる。したがって、h3は、有利には、クランプ力による機械応力を考慮することなく非常に低い値に設定され得る。この低い値は、互いに近いボウル部3の上面と直下の水平流路60aの層との間の効率的な熱交換に有利である。
【0050】
先行技術と比較したとき、高温のプロセス流体と接触するカラム上面と低温のサービス流体と接触する第1層の流路との間の改良された熱交換がみられる。その結果、図3に示す底面部2の中央部分Cは、使用時に、図4に示す先行技術の中央部分C’よりも低い温度を有する。本発明による温度勾配T-Tは、したがって、先行技術の勾配TP’-TC’に対して顕著に低減される。
【0051】
その結果、この温度勾配によって発生する熱応力は、先行技術におけるものよりもはるかに低く、これにより本発明によるブロック1および熱交換器の両方の寿命が、先行技術におけるものよりも格段に長くなる。このブロックの破損の低減は、製造される含浸処理されたグラファイトの全体的な体積の減少をもたらす。さらに、取り扱われるこのような含浸処理されたグラファイトの廃棄物も少なくなる。これらの利点は、本明細書の末尾に記載された比較例に示される。
【0052】
要約すると、本発明は、ターゲットゾーンにおけるグラファイト材料を除去する側に立つ。これにより、高い機械的性能を維持しながら、この局所的な薄肉化によって熱的性能を改良することが可能となる。したがって、驚くべきことに、材料を除去することは、全体的な機械的挙動に対して不利にならない。
【0053】
図6のグラフに戻って、当業者は、全体的な応力Gの顕著な減少を得るために比h4/h3の適切な値を選択し、したがって、ブロックおよび熱交換器全体の全体的な挙動を実質的に改良する立場であろう。
【0054】
この改良は、ブロック全体にわたる温度均質化の技術的効果によるものであり、その度合いは、上記の比h4/h3の値とともに増加する。この技術的効果が顕著となる比を閾値比と呼ぶ。本発明の一般的な範囲によれば、この閾値比h4/h3は、有利には1.2よりも大きく、好ましくは2よりも大きい。
【0055】
さらに、当業者は、ブロックおよびの熱交換器の全体的な機械的強度を維持するためにこの比を選択するであろう。この点に関して、前記比h4/h3は、有利には50よりも小さく、好ましくは15よりも小さい。
【0056】
特に図5を参照して、有利な態様では:
-d60aが流路60aの直径であるとき、h4は、d60aよりも大きく、好ましくは2×d60aよりも大きい。この点に関して、h4は、例えば、8mm(ミリメートル)よりも大きい。
-h4は、10×d60aよりも小さく、好ましくは5×d60aよりも小さい。この点に関して、h4は、例えば、100mmよりも小さく、特に50mmよりも小さい。
-t26が流路20,60の間の材料厚さであるとき、h3は、t26よりも大きく、好ましくは2×t26よりも大きい。この図5では、1つの流路20の壁は、破線で概略的に示されている。この点に関して、h3は、例えば、1mmよりも大きい。
-h3は、0.8×h4よりも小さく、好ましくは0.4×h4よりも小さい。この点に関して、h3は、例えば、20mmよりも小さい。
【0057】
図5に戻って、部分5の基準面S5と表面S3との間の角度a5について言及する。一般的には、前記角度a5は、30°~90°の間である。示された例では、前記部分は、直線的である。しかし、前記部分5は、異なる形状、特に段状に形成されてもよい。この場合、基準面は、前記部分5の底点および頂点を通る線である。
【0058】
ブロック1は、対向する底面部が実質的に平らである、先行技術による標準的なブロックから始めて製造されてもよい。この点に関して、凹部22は、これらの底面部の1つに提供される。この段階は、一般的には機械加工の工程によって実行されてもよい。前記凹部が提供されると、これは、中央ボウル部3および移行部5の両方の形成をもたらす。一般的には、座部4のレベルで、前記標準的なブロックの外周部で材料は除去されない。このような製造方法は、典型的な熱交換ブロックを改修することを可能とすることから、有利である。
【0059】
上記の熱交換器Iの使用を考慮すると、プロセス流体およびサービス流体は、流入口322,336を介して、公知の方法で流入する。熱交換器Iは、さらに具体的には、プロセス流体の実質的に単相流に対応するいわゆる冷却運転に適合している。この点に関して、前記プロセス流体は、液体であってもよく、気体である場合にはあらゆる顕著な凝縮を受けない。
【0060】
典型的な方法では、プロセス流体の流入温度は、80℃よりも高い。以下詳述するように、本発明は、本実施形態のボウル部3よりも深いボウル部の可能性も包含する。これを念頭に置いて、ブロック1および熱交換器Iは、特に、200℃よりも低い流入温度を有するプロセス流体を処理するために提供される。この温度の範囲では、この第1の実施形態の特定の形状が、熱的な問題に関する先行技術の設計に関して有利である。さらに、その比較的浅いボウル部によって、ブロックの製造が簡便である。
【0061】
一方で、サービス流体の流入温度は、一般的には、-20℃~+35℃の間である。これらの2つの流体が熱交換器に流入すると、通常の方法で熱交換に置かれる。冷却されたプロセス流体は、-15℃~+60℃の間の典型的な温度で流出口開口部312を介して流出する一方、温められたサービス流体は、-15℃~+45℃の間の典型的な温度で流出管337を介して流出する。
【0062】
図7図8および図10は、本発明の第2の実施形態による熱交換器IIおよびブロック501を示す。これらの図では、第1の実施形態のものと類似の機械的要素に、500を足した同じ参照符号が付されている。図7は、本発明による上流側のブロック501と、先行技術に準ずる隣り合うブロック601と、を表す。
【0063】
この第2の実施形態の熱交換ブロック501は、深めのボウル部503が設けられた点で、上記説明したブロック1と主に異なる。より詳細な態様では、全体的なサイズが同じであるブロックについて、上流側の横流路560aは、横流路60aのはるか下に位置している。換言すると、ブロック501には、これらのブロックの上流側の部分で、ブロック1に対して少ない横流路が設けられる。図9と比較してブロック501を示す概略図10は、ブロック501がブロック1の上側の流路60a,60bをもはや含まないことを示す。
【0064】
図8に戻って、排出サービス流体と接触する、管837の壁838について言及する。この壁838は、プロセス流体の流入口の方に向けられていることから、慣例により上壁と呼ばれる。この第2の実施形態によれば、流路560aの上壁561と上記説明した上壁838との間の距離d561は、有利には20mmよりも小さく、特に10mmよりも小さい。
【0065】
本発明は、上壁561が管の上壁838の下に位置する可能性を包含する。しかし、この直近の可能性は、さらなる熱的効果をもたらさない一方で製造をより複雑化させ、熱伝達面積を低減することから、あまり好ましくない。
【0066】
この第2の実施形態の他のいくつかの特性パラメータの値は、上記説明した第1の実施形態のものに対して類似である。実際に、h504は、h4と類似であり、h503は、h3と類似であり、比h504/503は、比h4/h3と類似であり、角度a505が、角度a5と類似である。
【0067】
いわゆる深めのボウル部503が設けられた、この第2の実施形態は、さらに具体的には、プロセス流体の流入温度が高い、一般的には200℃よりも高い、熱交換器の冷却運転に適合している。本出願人は、これらのプロセス流体の流入温度の値について、第1の実施形態のボウル部3のようなボウル部では、完全に満足な温度均質化が確実にならないことを発見した。
【0068】
本出願人は、サービス流体の流れは、ブロック1の最も上流側の部分で特定の特性を有することを特に発見した。概略図9では、上流側の流路60aのラインとは別に、流路の他の隣り合うラインが60b~60dで示されている。このケースでは、本出願人は、第1の実施形態によるブロック1の上側の流路60a~60dのこれらの4つのラインに沿って、はるかに少ないサービス流体が流れることを認め、このラインの数は異なってもよいことに留意されたい。
【0069】
したがって、これらの上側の流路60a~60dのラインは、図9でDZで参照されるいわゆるデッドゾーンを形成する。このゾーンでは、上記説明したように、少ないサービス流体が流れ、さらに、非常に低速で流れる。この現象の発見によって、本出願人は、ブロック1の最も上流側の部分におけるグラファイトの破損の危険性が特に高いとの結論に達した。実際に、このゾーンでは、主なグラファイト破損の危険性を構成する、かなりの気化が発生する可能性が高い。
【0070】
その結果、より深いボウル部503を掘ることは、上記説明したデッドゾーン現象を低減させつつも、温度均質化の技術的効果の向上を可能とする。この点に関して、この第2の実施形態による深めのボウル部が設けられたブロック501に関連する特定の利点は、本明細書の末尾に記載された比較例によって示される。
【0071】
また、ブロック501の製造工程がブロック1のそれよりも簡便ではないとしても、ブロック501は、機械的強度に関しては依然として満足できるものであることに留意されたい。
【0072】
図11は、ブロック1またはブロック501に足され得る本発明の他の変形例を示す。この変形例によれば、ブロック1/501の上流側の底面部2/502には、上記説明したボウル部3/503が設けられる。一方で、ブロックの下流側の底面部6/506には、米国特許出願公開第3391016号、米国特許出願公開第2821369号およびイギリス特許出願公開第1078868号で説明された先行技術に一般的によるチャンバ903が設けられる。このチャンバは、ブロック1/501と隣り合う図示しないブロックとの間の流体分配の機能のみを確実にし、ボウル部のD3/D503よりも十分に小さい深さD903を有する。一般的には、D3/D503とD903との比は、1.3よりも大きい。
【0073】
冷却運転に提供される、本発明の2つの上記の実施形態は、本発明によるブロック1/501が1つ設けられた熱交換器I/IIを参照している。プロセス流体の流れに対して上流側に提供される前記ブロックには、プロセス流体の流入口の方に向けられたボウル部3/503が1つが設けられる。実際に、このような冷却の際に、グラファイト温度は、ブロックの上面S3またはS503からプロセス流体の流出口に向かって実質的に直線的に減少する傾向にある。その結果、温度均質化の必要性は、特に、上流側のブロックの上流側の部分で要求され、このことが、この単一のボウル部の提供について説明する。
【0074】
変形例として、熱交換器には、上流側にいわゆるニュートラルブロックが設けられてもよい。そのようなものとして公知であるこのニュートラルブロックは、熱交換機能を確実にしないが、流体分配のような補助的機能を確実にする。この点に関して、本発明による単一のブロックは、上流側に、前記ニュートラルブロックの隣に位置している。
【0075】
図12は、本発明の第3の実施形態による熱交換器IIIを示す。この図では、第1の実施形態のものと類似の機械的要素に、1000を足した同じ参照符号が付されている。
【0076】
この第3の実施形態の熱交換器IIIは、本質的には本発明によるブロック1001,2001,3001が設けられた点で、上記説明した熱交換器I,IIと主に異なる。さらに、これらのブロックのそれぞれには、それぞれの底面部にそれぞれ位置する2つの温度均質化ボウル部が設けられる。
【0077】
より詳細な態様では、上流側のブロック1001には、上流側の底面部1002に上流側のボウル部1003が設けられ、下流側の底面部1006に下流側のボウル部1103が設けられる。さらに、中間ブロック2001には、上流側の底面部2002に上流側のボウル部2003が設けられ、下流側の底面部2006に下流側のボウル部2103が設けられる。最後に、下流側のブロック3001には、上流側の底面部3002に上流側のボウル部3003が設けられ、下流側の底面部3006に下流側のボウル部3103が設けられる。
【0078】
典型的な態様では、上記説明したボウル部1003,1103,2003,2103,3003,3103は、有利には第1の実施形態のボウル部3の深さに対応する、同じ深さを有する。特に、第2の実施形態のボウル部503のような深めのボウル部を提供することはあまり好ましくない。図12は、上下に重ねられた3つの熱交換ブロックを示すが、この数は異なってもよいことに留意されたい。
【0079】
この実施形態の熱交換器IIIは、プロセス流体の二相流に対応する凝縮運転に特に適合している。この点に関して、前記プロセス流体は、完全または部分的に凝縮にさらされた気体である。例として、プロセス流体の流入温度は、+80℃~+300℃の間である一方、その流出温度は、-15℃~+60℃の間である。さらに、サービス流体の流入温度は、-20℃~+35℃の間である一方、その流出温度は、-15℃~+45℃の間である。
【0080】
図13に関して、凝縮の際に、熱交換器I全体のグラファイト温度の変化は、冷却運転の際の変化とはるかに異なる。図13は、熱交換器の主寸法Zexchに沿うこのグラファイト温度GTを示す2つの曲線C,C’をまとめている。流入口に近い第1のゾーンZ1,Z’1では、冷却運転の際と同様に温度がゆっくりと低下するが、凝縮が発生すると顕著に上昇し、これは、ゾーンZ2,Z’2に対応する。最後に、この温度は、流出口に近いゾーンZ3,Z’3で漸進的な低下に戻る。
【0081】
さらに、ゾーンZ2,Z’2の位置は、流体の種類だけではなく運転条件などのいくつかのパラメータに応じて、熱交換器に応じて異なってもよい。この点に関して、図13の実線曲線は、プロセス流体の流入口に近いゾーンZ2を示す。一方で、この同じ図13で、破線曲線は、プロセス流体の流出口の近傍であるゾーンZ’2を示す。
【0082】
その結果、当該凝縮のケースにおける温度均質化の必要性は、冷却運転のように上流側の部分にのみではなく熱交換器全体に要求される。本出願人によるこの認識は、すべてのブロックのみではなく、これらのブロックの各底面部におけるボウル部の提供が有利であることを説明する。
【0083】
図14は、凝縮の際に本発明によってもたらされる技術的効果のモデリングを示す。実線曲線は、ボウル部が設けられていない先行技術の熱交換器の場合の、熱交換器の主寸法Zexchに沿うグラファイト温度GTの変化を示す。一方で、破線曲線は、複数のボウル部が設けられた熱交換器IIIの場合の、熱交換器の同じスポットにおける同じ温度変化を示す。
【0084】
気体凝縮は、先行技術ではグラファイトを破損または少なくとも弱くする可能性が高い、顕著な温度上昇DTを引き起こすことに留意されたい。一方で、本発明によって、ゾーンdtで温度はほとんど上昇せず、熱交換器の機械的完全性にとって好ましい。さらに、上記の2つの曲線は、熱交換器の最も上流側の部分および下流側の部分で混在している。
【0085】
図12の実施形態では、すべてのブロックに、対向するボウル部が設けられる。理論的には、本発明は、少なくとも1のブロックに1つのボウル部が設けられる、またはボウル部が全く設けられない変形例を包含してもよい。この変形例は、凝縮の位置が正確に特定できる特定のケースに適しているであろう。しかし、このような変形例は、熱交換器の各領域における温度均質化を確実にしないことから、はるかに好ましくない。
【0086】
最後に、本発明の3つの主な実施形態では、熱交換器は、プロセス流体の上部流入口および前記プロセス流体の下部流出口を有して垂直に延びている。代わりに、前記プロセス流体は、下部から上部に流れてもよい。さらに他の変形例として、熱交換器は、水平にまたは斜めの形態で延びていてもよい。
【0087】
要約すると、本発明は、熱交換器の少なくとも一部分にわたってグラファイト温度を均質化することを可能とする、ボウル部の機能の特定に基づいている。さらに、異なる適用に応じて、上記詳述した、いくつかの実施形態が考慮されてもよい。冷却の際には、1つのボウル部が好ましく、プロセス流体の流入温度が高い場合特に深めのボウル部が好ましい。凝縮の際には、各ブロックの各底面部に複数のボウル部が好ましい。
【0088】
本発明によるブロックの底面部に提供されるボウル部は、上述の米国特許出願公開第3391016号、米国特許出願公開第2821369号およびイギリス特許出願公開第1078868号で開示されたブロックに提供されるチャンバとは異なることに留意されたい。実際に、これらの先行技術の配置では、前記チャンバは、2つの隣り合うブロックの間の流体分配の機能のみを確実にする。一方で、これらのチャンバは、深さが非常に浅いことによって、温度均質化の顕著な機能を果たすのに適合していない。いずれにしても、これらの文献は、この均質化機能に関しない。
【0089】
比較例
以下の例は、本発明の2つの主な実施形態による特徴によってもたらされる利点および技術的効果を示す。
【0090】
第1に、先行技術による熱交換ブロック401が提供された。図4に関して、このブロックの特徴および寸法は、以下の通りである:
-全体的な高さ:482mm
-全体的な直径:602mm
-プロセス流路の数:295
-各プロセス流路の直径:16mm
-サービス流路の数:464
-各サービス流路の直径:10mm
-距離h460:5mm
-距離h402:26mm
【0091】
熱交換器を形成するために、先行技術による10つのブロックが図1のものと類似の筐体に上下に重ねられて収容された。
【0092】
第2に、本発明の第1の実施形態によるブロック1が提供された。このブロック1は、先行技術によるブロック401と異なり、本質的には以下の通りである。
-距離h4(図5を参照)は、24.4mmである。
-距離h3(図5をまた参照)は、5mmである。
【0093】
このブロック1が、ブロック401と類似の、先行技術による他のブロックとともに筐体に収容された。
【0094】
第3に、本発明の第2の実施形態によるブロック501が提供された。このブロック501は、本発明の第1の実施形態によるブロック1とは異なり、本質的には以下の通りである。
-距離h504(図8を参照)は、54.4mmである。
-距離h503(図8を参照)は、5mmである。
-より少ない横方向サービス流路560が設けられる。実際に、このブロック501には、ブロック1の2つの上部横流路60a~60bが設けられていない。
【0095】
このブロック501が、ブロック401と類似の、先行技術による他のブロックとともに筐体に収容された。
【0096】
上流側のブロックとして上記のブロック401,1,501がそれぞれ設けられた3つの熱交換器IV,I,IIが同じ実装方法にさらされた。各熱交換器について、ガス状塩素酸HClが3142.8kg/hの流量で、1335℃の温度で、かつ3.20bargの圧力でプロセス流路に供給された。同時に、一般的には水であるサービス流体が、87000kg/hの流量で、63.6℃の温度で、かつ4.25bargの圧力で、サービス流路460に供給された。
【0097】
これらの実装中、各熱交換器について、いくつかのパラメータが測定され、以下の表にまとめられた:
-T1maxは、流体流路に流入する水の最高温度である。図8で参照される、T1maxの位置は、壁561に近い、流路560aの上端に対応する。
-T2maxは、熱交換器のグラファイトスキンの最高温度である。図8で参照される、T2maxの位置は、グラファイト壁561に対応する。
-T3maxは、熱交換器のグラファイトスキンの最高温度である。図8で参照される、T3maxの位置は、グラファイト表面S503に対応する。
【0098】
【0099】
異なるシミュレーション値によって示されるように、本発明は、先行技術に対して、実装における異なる特性の温度を実質的に低下させることを可能とする。特に、本発明の第2の実施形態による熱交換器IIおよびブロック501は、第1の実施形態による熱交換器Iおよびブロック1に対して、これらの温度のさらなる低下をもたらす。
【0100】
この比較例は、熱的な問題に関して、本発明の利点を明確に示す。さらに、上記説明したように、この熱的な技術的効果は、本発明による熱交換器の顕著な機械的弱体化をもたらさない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】