(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】火格子ロータリーキルンに基づく予備還元ペレット調製装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C22B 1/16 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
C22B1/16 101
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577306
(86)(22)【出願日】2022-06-16
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2022099079
(87)【国際公開番号】W WO2022262792
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110676962.9
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514216801
【氏名又は名称】バオシャン アイアン アンド スティール カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジェン
(72)【発明者】
【氏名】マオ, シャオミン
(72)【発明者】
【氏名】シォン, リン
(72)【発明者】
【氏名】リァン, リーシォン
(72)【発明者】
【氏名】ジァン, リンハイ
(72)【発明者】
【氏名】イー, ルージェ
(72)【発明者】
【氏名】ポン, シン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シォンフォン
【テーマコード(参考)】
4K001
【Fターム(参考)】
4K001AA10
4K001BA02
4K001CA16
4K001CA19
4K001CA20
4K001CA23
4K001GA01
4K001GA07
4K001KA06
(57)【要約】
本開示は、火格子ロータリーキルンに基づく予備還元ペレット調製装置及び方法を提供する。予備還元ペレット調製装置は、火格子ロータリーキルンペレット酸化システム及び水素系シャフト炉還元システムを備える。予備還元ペレット調製方法では、鉄含有グリーンペレットにおける焙焼プロセス及び還元プロセスとが有機的に組み合わされ、焙焼後のペレット冷却プロセスとペレット還元前の加熱プロセスが排除され、焙焼ペレットの物理的な熱は、加熱及び還元プロセスで必要とされる熱を満たすために使用され、従来の直接還元プロセスにおける酸化焙焼及び直接還元プロセスでのペレットの低い水素利用率及び高いエネルギー消費の技術的問題が解決され、特定の金属化率を有する還元ペレットが得られ、調製された予備還元ペレットが高炉負荷として使用され、それにより、高炉の燃料消費及び炭素排出を大幅に低減することができ、本方法は、新規の低炭素及びグリーン予備還元ペレット調製プロセスである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火格子ロータリーキルンペレット酸化システム及び水素系シャフト炉還元システムを備える、予備還元ペレット調製装置であって、
前記火格子ロータリーキルンペレット酸化システムは、火格子システムと、前記火格子システムに接続されるロータリーキルンシステムとを備え、前記火格子システムでは、予熱ペレットを得るために鉄含有グリーンペレットが順次に乾燥されて予熱され、前記ロータリーキルンシステムでは、焙焼ペレットを得るために前記予熱ペレットが1170~1300℃の温度で焙焼され、
前記水素系シャフト炉還元システムは、水素系シャフト炉と、供給システムと、還元ガスシステムと、冷却システムと、排出システムとを備え、前記供給システムが前記水素系シャフト炉の上部に配置され、前記ロータリーキルンシステムからの前記焙焼ペレットが前記供給システムに直接に搬送され、前記還元ガスシステムは、前記水素系シャフト炉からの煙道ガスを処理するとともに、前記水素系シャフト炉に還元ガスを供給し、予備還元ペレットを得るために前記供給システムからの前記焙焼ペレットが前記水素系シャフト炉内で還元され、前記冷却システムは、冷却された予備還元ペレットを得るために前記水素系シャフト炉内で前記予備還元ペレットを冷却し、前記排出システムは、前記水素系シャフト炉の底部に配置されて、前記冷却された予備還元ペレットを排出する、
予備還元ペレット調製装置。
【請求項2】
前記火格子システムには、前記鉄含有グリーンペレットの移動方向で順に、乾燥セクションI、乾燥セクションII、予熱セクションI及び予熱セクションIIが設けられ、
前記予熱セクションIIは、前記ロータリーキルンシステムと連通するとともに、第1の復熱ファンを介して前記乾燥セクションIIと接続され、
前記予熱セクションIは、前記還元ガスシステムの管状熱交換器と接続され、燃焼ファンを介して前記ロータリーキルンシステムと接続されるとともに、第2の復熱ファンを介して前記乾燥セクションIと接続され、
前記乾燥セクションI及び前記乾燥セクションIIはそれぞれ主排気ファンを介して袋集塵装置に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項3】
前記供給システムは、上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを備え、前記上部ホッパと前記中間ホッパとの間、及び前記中間ホッパと前記下部ホッパとの間にバルブが配置され、及び/又は
前記還元ガスシステムは、管状熱交換器と、残留熱ボイラーと、第1のスクラバと、循環ファンと、加圧ファンとを備え、前記管状熱交換器には、煙道ガス入口、煙道ガス出口、空気入口、及び空気出口が設けられ、前記煙道ガス入口は前記水素系シャフト炉の上端の煙道ガスポートと接続され、前記煙道ガス出口は前記残留熱ボイラーと接続され、前記空気入口はファンと接続され、前記空気出口は前記火格子システムの前記予熱セクションIと接続され、前記残留熱ボイラーの空気出口が、前記第1のスクラバの空気入口に接続され、前記循環ファンの一端が前記第1のスクラバの空気出口と接続され、他端が前記水素系シャフト炉の中間部の環状羽口と連通し、前記加圧ファンは、前記循環ファンからの還元ガスを加圧し、及び/又は
前記冷却システムは、酸素化燃焼ユニットと、廃熱回収ユニットと、第2のスクラバと、冷却ファンとを備え、前記酸素化燃焼ユニットは、前記水素系シャフト炉の下部の空気出口と接続され、前記廃熱回収ユニットの一端が前記酸素化燃焼ユニットと接続され、他端が前記第2のスクラバの空気入口と接続され、前記冷却ファンの一端が前記第2のスクラバの空気出口と接続され、他端が前記水素系シャフト炉の下部の空気入口と連通し、前記水素系シャフト炉の下部の前記空気出口は、前記水素系シャフト炉の下部の前記空気入口よりも上方に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項4】
前記上部ホッパに空気ダクトが設けられ、前記中間ホッパに均圧装置が設けられ、前記下部ホッパにはユニバーサルディストリビュータが設けられることを特徴とする請求項3に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の前記予備還元ペレット調製装置を使用することによって予備還元ペレットを調製するステップと、前記予備還元ペレット調製装置の火格子ロータリーキルンペレット酸化システム内において1170~1300℃の温度で前記ペレットを焙焼して、1170~1300℃の温度を有する焙焼ペレットを得るステップと、その後、還元のために前記予備還元ペレット調製装置の水素系シャフト炉還元システムに前記焙焼ペレットを直接に供給して予備還元ペレットを得るステップとを含む、予備還元ペレット調製方法。
【請求項6】
(1)ベントナイトと微粉砕石灰石/消石灰とを鉄鉱石原料に混合して混合材料を得た後、この混合材料に水を混合し、ペレット化して鉄含有グリーンペレットを得るステップと、
(2)前記鉄含有グリーンペレットを火格子システムに分配して鉄含有グリーンペレットの材料層を形成し、前記鉄含有グリーンペレットの材料層を連続的にブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、及び二次予熱に供して予熱ペレットを取得し、その後、前記予熱ペレットをロータリーキルンシステムに供給し、1170~1300℃で焙焼を行なって1170~1300℃の温度の焙焼ペレットを得るステップと、
(3)前記焙焼ペレットを水素系シャフト炉還元システムに供給して、前記焙焼ペレットを還元ガスと還元反応させ、その後、冷却ガスで冷却処理して予備還元ペレットを得るステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)において、前記鉄鉱石原料が、マグネタイト、ヘマタイト及びリモナイトのうちの1つ以上から選択され、及び/又は
前記鉄鉱石原料は、ブレーン比表面積が1500cm
2/g以上であり、及び/又は
ベントナイトの配合量が鉄鉱石原料の0.7~1.5重量%であり、及び/又は
前記混合材料は、0.3~0.5又は0.8~1.2の二元アルカリ度を有し、及び/又は
前記鉄含有グリーンペレットの粒径は8~20mmであり、及び/又は
ステップ(2)において、前記火格子システムでは、鉄含有グリーンペレットの前記材料層が250~400mmの高さを有し、及び/又は
前記ブラスト乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIにおいて、170~240℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で1.5~2.5分間行なわれ、及び/又は
前記排気乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIIにおいて、300~400℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
前記一次予熱は、火格子システムの予熱セクションIにおいて、600~800℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分行なわれ、及び/又は
前記二次予熱は、火格子システムの予熱セクションIIにおいて、900~1100℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
前記ロータリーキルンシステムで使用される燃料は、天然ガス、コークス炉ガス、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、又はバイオマス炭素を含み、及び/又は
前記ロータリーキルンシステムは、燃焼をサポートするために高温空気を使用し、前記高温空気は、前記火格子システムの空気と高温排ガスとから構成される混合ガスからのものであり、及び/又は
前記焙焼のプロセスでは、焙焼が8~12分間行なわれ、及び/又は
前記ステップ(3)において、前記水素系シャフト炉還元システムの水素系シャフト炉の圧力が200~250kPaであり、及び/又は
還元ガスが純粋な水素又はコークス炉ガスであり、及び/又は
還元反応中、還元ガスの消費量が800~1200m
3/tであり、還元反応が40~100分の時間行なわれ、及び/又は
前記冷却ガスが窒素及び天然ガスを含み、及び/又は
前記冷却処理中に、前記冷却ガスの流量が1200~1800m
3/tであり、及び/又は
前記予備還元ペレットが150℃未満の温度で排出され、及び
前記予備還元ペレットの金属化率が40%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(2)では、前記ブラスト乾燥のプロセスにおいて、温度190~210℃、空気速度0.9~1.2m/sで前記ブラスト乾燥が行なわれ、及び/又は
前記排気乾燥のプロセスでは、温度330~350℃、空気速度0.9~1.2m/sで排気乾燥が行なわれ、及び/又は
前記一次予熱のプロセスでは、空気速度が0.9~1.2m/sであり、及び/又は
前記二次予熱のプロセスでは、前記空気速度が0.9~1.2m/sであり、及び/又は
前記ステップ(3)では、前記予備還元ペレットの金属化率が40~62%であり、
前記還元ガスが純水素であり、前記還元反応中に、水素利用率が50%以上となる、
ことを特徴とする請求項7に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項9】
前記ステップ(3)において、前記還元ガスが純水素であり、前記還元反応中に、水素利用率が55%以上に達し、及び/又は
前記焙焼ペレットは、高温耐性タンクを介して前記水素系シャフト炉還元システムの前記供給システム内に搬送された後、前記供給システムを介して前記水素系シャフト炉還元システムの前記水素系シャフト炉内に分配されて、前記水素系シャフト炉の中間部で還元反応に関与し、
前記還元ガスは、前記還元ガスシステムを介して前記水素系シャフト炉に入り、前記還元反応に関与し、前記還元反応後の煙道ガスは、前記水素系シャフト炉の上端の煙道ガス出口から前記還元ガスシステムに入り、熱交換、廃熱回収、スクラビングに供された後、前記水素系シャフト炉の中間部に入り、前記還元反応に関与し、及び
前記冷却ガスは、前記冷却システムを介して前記水素系シャフト炉に入り、前記冷却処理に関与し、前記処理後の混合ガスは、前記水素系シャフト炉の下部の空気出口から前記冷却システムに入り、酸素化燃焼、廃熱回収、スクラビングに供された後、前記水素系シャフト炉の下部に入り、前記冷却処理に関与する、
ことを特徴とする請求項6に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項10】
前記ステップ(3)において、前記供給システム内で以下のように分配が行なわれ、
焙焼ペレットは、供給システムに導入されて、供給システムの上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを順に通過した後、ユニバーサルディストリビュータを介して水素系シャフト炉に分配され、
前記焙焼ペレットが前記上部ホッパに装入された後、前記上部ホッパ内の酸素含有量が1%以下となるように、蒸気又は窒素を導入して酸素を置換した後、前記上部ホッパの下方のバルブが開かれ、それにより、前記焙焼ペレットが前記中間ホッパに完全に入った後、前記上部ホッパの下方のバルブが閉じられ、前記水素系シャフト炉内のトップガスと同じ組成を有するガスを用いて均圧プロセスが完了され、前記均圧が完了した後、前記中間ホッパの下方のバルブが開かれ、前記焙焼ペレットが前記下部ホッパに完全に入った後、前記中間ホッパの下方のバルブが閉じられ、その後、前記焙焼ペレットを前記水素系シャフト炉内に分配するために前記下部ホッパの下方のバルブが開かれる、
ことを特徴とする請求項9に記載の予備還元ペレット調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、鉄鋼製錬の分野における鉄金属治金原料の前処理技術に関し、特に、予備還元ペレット調製装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
中国における鉄鋼生産は、高炉-転炉のロングフロープロセスを主体としており、プロセス特性の制約から石炭を主体とした大量の化石エネルギーを使用する必要があり、それにより、大量の温室効果ガスを排出しており、統計によると、中国の鉄鋼生産からの二酸化炭素排出量は社会排出量全体の15%を占めており、したがって、鉄鋼生産は温室効果ガス排出量の多い産業であり、
全プロセスの重要なプロセスステップとして、高炉製錬のエネルギー消費及び炭素排出並びに鉄製造前の原料の前処理は、全プロセスのエネルギー消費及び炭素排出の70~80%を占める。したがって、どのようにして鉄製造プロセスの炭素排出を低減するかが、鉄鋼産業のグリーン開発を解決するための鍵である。高炉の大型化及び操業技術の進歩に伴い、高炉の熱効率及びガス利用率は理論上の最適値に近づき、高炉製錬プロセスにおける排出削減及び消費削減のための余地はますます小さくなっており、製鉄の省エネルギー研究のホットスポットは、製鉄前の鉱石及び石炭の凝集プロセスにますます集中しており、鉄鉱石の焼結及び凝集プロセスで生成されるSO2、NOX及びダイオキシンなどの汚染物質の量は、全プロセスの60%、50%及び90%以上であり、CO2排出は15%を占める。汚染物質の生成量及びエネルギー消費が焼結プロセスのわずか20%及び50%であるペレット化プロセスは、近年大きく進歩している。
【0003】
Mysteelの計算によると、中国でのペレット生産は、主に火格子ロータリーキルンプロセスに基づき、2020年に2億2500万トンに達し、ペレットは原料として主に高炉及び直接還元炉に使用され、通常、酸化性雰囲気中で1200~1300℃まで焙焼され、常温まで冷却された後、高炉又は直接還元炉に添加され、還元しながら1500℃又は900℃まで加熱されて溶融鉄又は直接還元鉄になる。
ペレットの高温焙焼のエネルギー消費を低減し、エネルギー利用効率を高めるために、研究者らは様々な技術的解決策を提案してきた。
【0004】
Luo Haoらは、「ペレット火格子ロータリーキルンシャフト冷却キルンの技術的概念」(冶金設備、2020年、第5巻)において、この解決策が高い廃熱利用率及び小さいプラント面積の特性を有することを考慮して、従来のリングクーラ又はベルト式機械の代わりにシャフト冷却キルン換気冷却の概念を提案した。
【0005】
中国公開特許第111380366A号明細書は、焼結熱鉱石及びペレット冷却機用の廃熱リサイクルシステムを開示しており、冷却機を高温煙道ガスエリア、中温煙道ガスエリア及び低温煙道ガスエリアに分割し、それを残留熱ボイラーと一致させるアイデアを提案している。
【0006】
中国公開特許第112161260A号明細書は、焼結鉱石及びペレット冷却並びに廃熱回収方法並びにボイラーを開示しており、固体熱交換廃熱回収装置を使用することを提案しており、ボイラーは固体-固体熱交換器を含み、固体-固体熱交換器は、固体-固体熱交換器の始動保護装置と、一次蒸発器と、二次蒸発器とを含む。
【0007】
中国実用新案202465830U号明細書は、供給装置、タンク冷却ビン、耐熱集塵機、熱交換器、常温集塵機及び誘引ファンからなる、ペレット及び焼結鉱石の廃熱回収システムを開示している。
【0008】
加えて、転炉又は電気炉で使用するための直接還元鉄を調製するためにペレット直接還元プロセスを使用することもまた、鉄鋼プラントにおける炭素排出を削減するための技術的方向であり、中国公開特許第111534659号明細書は、並列蓄熱ガスベースのシャフト炉及び直接還元鉄の製造方法を開示している。2つのシャフト炉のトップガス、高温還元ガス、中間ガス及び冷却ガスは、互いに連通している。鉄含有グリーンペレット又は塊状鉱石を2つのシャフト炉に連続的に供給し、高温還元ガスを反転バルブ群の切り替え下でシャフト炉に周期的に供給し、ガスの流れの方向に沿って、2つのシャフト炉で並行流加熱及び向流蓄熱を同時に行ない、還元反応を行なって直接還元鉄及びトップガスを生成する。
【0009】
中国特許第104195278B号明細書は、シャフト炉-ロータリーキルンを介して鉄鉱石を直接還元することによって鉄粉を製造する方法を開示している。鉄濃縮物をペレット化した後、グリーンペレットをシャフト炉で焙焼し、石炭粒子を直接還元炉に添加して還元し、還元物を磁気分離して金属鉄粉を得る。
【0010】
中国公開特許第111910072A号明細書は、製鋼スラグを原料の一部として使用することによって予備還元フラックス入りペレットを調製し使用する方法を開示している。この方法は、鋼スラグをスクリーニングすることと、ペレット化のためのコアとして2~4mmの粒径を有する鋼スラグ粒子を取り出すことと、鋼スラグの残りを鋼スラグ粉末に粉砕することと、フライアッシュ、酸化鉄レッド、鉄濃縮粉末及び複合バインダとともに鋼スラグ粉末をペレット化することと、乾燥、予熱及び焙焼を実施して、完成した予備還元フラックス入りペレットを得ることとを含む。
【0011】
中国特許第103261446号明細書は、水素及びCOを含有する還元ガス源を使用することによって直接還元鉄を製造するための方法及び装置を開示している。DRI(Direct Reduced Iron)は、鉄原料としてペレットと塊状の鉱石を用い、高度に酸化されたCOと水素(CO2とH2O)を含む石炭ガス化によって調製された還元ガスを用いて製造される。この方法は、以前のガスベースの直接還元シャフト炉で天然ガスを使用することの限界を克服する。
【0012】
中国公開特許第105408500A号明細書は、天然ガスを使用することによって酸化鉄を金属鉄に還元する方法を開示しており、精製又は生の天然ガス、精製又は汚染されたコークス炉ガスなどは、最小限の処理又は精製で直接還元に適した還元ガス/合成ガスに変換される。炭化水素等は還元によりH2とCOに変換される。この方法は、常温のシャフト炉内に酸化鉄を添加し、ガスを変換・加熱して還元ガスとし、反応に必要な高温を提供するという典型的な特徴を有しており、利用率が低いという問題を解決するために、浄化・加熱・循環を循環的に多数回行なう。
【0013】
中国特許第103898265号明細書は、鉄鉱石を直接還元するためにコークス炉ガスを改質するためのシステムデバイス及び方法を開示している。コークス化プロセスで生成されたコークス炉ガスは、改質されて水素リッチな還元ガス(H2及びCO)に変換され、次いで、水素リッチな還元ガスがシャフト炉に導入されて鉄鉱石を直接還元する。この解決策は、鉄鉱石還元中の二酸化炭素排出を低減することができ、天然ガスによる鉄の直接還元とは異なり、中国のエネルギー資源特性によりよく適合することができる。
【0014】
中国公開特許第110484672A号明細書は、ガス系シャフト炉によって直接還元鉄を製造する方法を開示している。ガス系シャフト炉による直接還元鉄の製造方法によれば、高炉篩下コークスとCO2とのブドワッド反応によって熱を吸収するため、シャフト炉内の温度を効果的に低下させることができ、炉負荷の熱的圧密の発生が低減され、同時に還元から放出されたエネルギーが効果的に使用され、全体のエネルギー利用率が改善され、生成されたCOが炉内の還元電位を上昇させ、鉄鉱石の還元を促進し、これはガス系シャフト炉における鉄鉱石の直接還元技術の適用を促進するのに有益である。鉄鉱石は、ペレット若しくは塊状の鉱石、又はそれらの混合物である。
【0015】
上記の技術的方法は、石炭粒子を使用する場合に高い炭素排出の問題を有し、ガスベースの直接還元プロセスは、主に酸化鉄の大きな比熱容量に起因して固有の熱力学的限界を有する。また、天然ガスやコークス炉ガスの改質後は、還元剤として主に水素が使用され、還元過程で多くの熱を吸収し、還元温度を維持しにくくなるため、ガスを加熱して循環させることが多く必要となる。プロセス全体では、水素利用率は比較的低く、通常は約30%であるため、ガスベースの直接還元プロセスは世界中で促進することが困難であり、中東や南米などの天然ガスが安価な国でしか開発されていない。
【0016】
上記の状況を考慮して、従来のペレットの直接還元中の低い水素還元利用率、並びに酸化焙焼及び直接還元中のペレットの加熱(約1250℃)、冷却(約25℃)、及び再加熱(820~1050℃)などの繰り返し加熱によって引き起こされる高いエネルギー消費の技術的問題を解決することができる、新規な鉄含有グリーンペレット焼結及び還元技術を開発することが業界において緊急の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】中国公開特許第111380366A号明細書
【特許文献2】中国公開特許第112161260A号明細書
【特許文献3】中国実用新案202465830U号明細書
【特許文献4】中国公開特許第111534659号明細書
【特許文献5】中国特許第104195278B号明細書
【特許文献6】中国公開特許第111910072A号明細書
【特許文献7】中国特許第103261446号明細書
【特許文献8】中国公開特許第105408500A号明細書
【特許文献9】中国特許第103898265号明細書
【特許文献10】中国公開特許第110484672A号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】Luo Haoらの「ペレット火格子ロータリーキルンシャフト冷却キルンの技術的概念」(冶金設備、2020年、第5巻)
【発明の概要】
【0019】
従来技術における上記の欠点を考慮して、本開示の目的は、火格子ロータリーキルンに基づく予備還元ペレット調製装置及び方法を提供することである。火格子ロータリーキルンと水素系シャフト炉を利用することによってペレットにおける焙焼プロセスと還元プロセスとが有機的に組み合わされ、焙焼後のペレット冷却プロセスとペレット還元前の加熱プロセスとが排除され、焙焼ペレットの物理的な熱は、加熱及び還元プロセスに必要な熱を満たすために使用され、酸化焙焼及び従来の直接還元プロセスにおけるペレットの直接還元プロセスでの低水素利用率及び高エネルギー消費の技術的問題が解決され、特定の金属化率を有する還元ペレットが得られ、調製された予備還元ペレットが高炉負荷として使用され、それにより、高炉の燃料消費及び炭素排出を大幅に低減することができ、したがって、この方法は、新規の低炭素及びグリーン予備還元ペレット調製プロセスである。
【0020】
上記の目的を達成するために、本開示は以下の技術的解決策を採用する。
本開示の第1の態様では、火格子ロータリーキルンペレット酸化システム及び水素系シャフト炉還元システムを含む予備還元ペレット調製装置が提供され、
火格子ロータリーキルンペレット酸化システムは、火格子システムと、火格子システムに接続されるロータリーキルンシステムとを含み、火格子システムでは、予熱ペレットを得るために、鉄含有グリーンペレットが順次に乾燥されて予熱され、ロータリーキルンシステムでは、焙焼ペレットを得るために、予熱ペレットが1170~1300℃の温度で焙焼され、
水素系シャフト炉還元システムは、水素系シャフト炉と、供給システムと、還元ガスシステムと、冷却システムと、排出システムとを含み、供給システムは、水素系シャフト炉の上部に配置され、ロータリーキルンシステムからの焙焼ペレットは、供給システムに直接搬送され、還元ガスシステムは、水素系シャフト炉からの煙道ガスを処理して、水素系シャフト炉に還元ガスを供給し、予備還元ペレットを得るために供給システムからの焙焼ペレットが水素系シャフト炉内で還元され、冷却システムは、冷却された予備還元ペレットを得るために、水素系シャフト炉内で予備還元ペレットを冷却し、排出システムは、水素系シャフト炉の底部に配置され、冷却された予備還元ペレットを排出する。
【0021】
好ましくは、火格子システムには、鉄含有グリーンペレットの移動方向で順に、乾燥セクションI、乾燥セクションII、予熱セクションI、及び予熱セクションIIが設けられる。
予熱セクションIIは、ロータリーキルンシステムと連通しており、第1の復熱ファンを介して乾燥セクションIIと接続され、
予熱セクションIは、還元ガスシステムの管状熱交換器と接続され、燃焼ファンを介して上記ロータリーキルンシステムと接続されるとともに、第2の復熱ファンを介して乾燥セクションIと接続され、
乾燥セクションI及び乾燥セクションIIはそれぞれ、主排気ファンを介して袋集塵装置に接続される。
【0022】
好ましくは、供給システムは、上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを備え、上部ホッパと中間ホッパとの間、及び中間ホッパと下部ホッパとの間にバルブが配置され、及び/又は
還元ガスシステムは、管状熱交換器と、残留熱ボイラーと、第1のスクラバと、循環ファンと、加圧ファンとを含み、管状熱交換器には、煙道ガス入口、煙道ガス出口、空気入口、及び空気出口が設けられ、煙道ガス入口は水素系シャフト炉の上端の煙道ガスポートと接続され、煙道ガス出口は残留熱ボイラーと接続され、空気入口はファンと接続され、空気出口は火格子システムの予熱セクションIと接続され、残留熱ボイラーの空気出口が、第1のスクラバの空気入口に接続され、循環ファンの一端が第1のスクラバの空気出口と接続され、他端が水素系シャフト炉の中間部の環状羽口と連通し、加圧ファンは、循環ファンからの還元ガスを加圧し、及び/又は
冷却システムは、酸素化燃焼ユニットと、廃熱回収ユニットと、第2のスクラバと、冷却ファンとを備え、酸素化燃焼ユニットは、水素系シャフト炉の下部の空気出口と接続され、廃熱回収ユニットの一端が酸素化燃焼ユニットと接続され、他端が第2のスクラバの空気入口と接続され、冷却ファンの一端が第2のスクラバの空気出口と接続され、他端が水素系シャフト炉の下部の空気入口と連通し、水素系シャフト炉の下部の空気出口は、水素系シャフト炉の下部の空気入口よりも上方に配置される。
【0023】
好ましくは、上部ホッパには空気ダクトが設けられ、中間ホッパには均圧装置が設けられ、下部ホッパにはユニバーサルディストリビュータが設けられる。
【0024】
本開示の第2の態様では、予備還元ペレット調製方法が提供される。予備還元ペレット調製方法は、本開示の第1の態様に係る予備還元ペレット調製装置を使用して、予備還元ペレット調製装置の火格子ロータリーキルンペレット酸化システム内で1170~1300℃の温度を有する焙焼ペレットを取得し、その後、予備還元ペレットを得るために、焙焼ペレットが、還元のために予備還元ペレット調製装置の水素系シャフト炉還元システムに直接供給される。
【0025】
好ましくは、予備還元ペレット調製方法は、
(1)ベントナイトと微粉砕石灰石/消石灰とを鉄鉱石原料に混合して混合材料を得た後、この混合材料に水を混合し、ペレット化を行なって鉄含有グリーンペレットを得るステップと、
(2)鉄含有グリーンペレットを火格子システムに分配して鉄含有グリーンペレットの材料層を形成し、鉄含有グリーンペレットの材料層を連続的にブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、及び二次予熱に供して予熱ペレットを取得し、その後、予熱ペレットをロータリーキルンシステムに供給し、1170~1300℃で焙焼を行なって1170~1300℃の温度の焙焼ペレットを得るステップと、
(3)焙焼ペレットを水素系シャフト炉還元システムに供給して、焙焼ペレットを還元ガスと還元反応させ、その後、冷却ガスで冷却処理して予備還元ペレットを得るステップと、
を含む。
【0026】
好ましくは、ステップ(1)において、鉄鉱石原料が、マグネタイト、ヘマタイト及びリモナイトのうちの1つ以上から選択され、及び/又は
鉄鉱石原料は、ブレーン比表面積が1500cm2/g以上であり、及び/又は
ベントナイトの配合量が鉄鉱石原料の0.7~1.5重量%であり、及び/又は
混合材料は、0.3~0.5又は0.8~1.2の二元アルカリ度を有し、及び/又は
鉄含有グリーンペレットの粒径は8~20mmであり、及び/又は
ステップ(2)において、火格子システムでは、鉄含有グリーンペレットの材料層が250~400mmの高さを有し、及び/又は
ブラスト乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIにおいて、170~240℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で1.5~2.5分間行なわれ、及び/又は
排気乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIIにおいて、300~400℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
一次予熱は、火格子システムの予熱セクションIにおいて、600~800℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分行なわれ、及び/又は
二次予熱は、火格子システムの予熱セクションIIにおいて、900~1100℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
ロータリーキルンシステムの燃料は、天然ガス、コークス炉ガス、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、又はバイオマス炭素を含み、及び/又は
ロータリーキルンシステムは、燃焼をサポートするために高温空気を使用し、高温空気は、火格子システムの空気と高温排ガスとから構成される混合ガスからのものであり、及び/又は
焙焼プロセスでは、焙焼温度が1170-1300℃となるように制御され、焙焼時間が8~12分となるように制御され、及び/又は
ステップ(3)において、水素系シャフト炉還元システムの水素系シャフト炉の圧力が200~250kPaであり、及び/又は
還元ガスが純粋な水素又はコークス炉ガスであり、及び/又は
還元反応中、還元ガスの消費量が800~1200m3/tであり、還元反応時間が40~100分であり、及び/又は
冷却ガスが窒素及び天然ガスを含み、及び/又は
冷却処理中に、冷却ガスの流量が1200~1800m3/tであり、及び/又は
予備還元ペレットの排出温度が150℃未満であり、及び
予備還元ペレットの金属化率が40%以上である。
【0027】
好ましくは、ステップ(2)では、ブラスト乾燥プロセスにおいて、ブラスト乾燥温度は190~210℃であり、空気速度は0.9~1.2m/sであり、及び/又は
排気乾燥プロセスにおいて、排気乾燥温度は330~350℃であり、空気速度は0.9~1.2m/sであり、及び/又は
一次予熱プロセスにおいて、空気速度は0.9~1.2m/sであり、及び/又は
二次予熱プロセスにおいて、空気速度は0.9~1.2m/sであり、及び/又は
ステップ(3)において、予備還元ペレットの金属化率は40~62%であり、及び
還元ガスは純水素であり、還元反応中に、水素利用率が50%以上となる。
【0028】
好ましくは、ステップ(3)において、還元ガスは純水素であり、還元反応中に、水素利用率が55%以上となり、及び/又は
焙焼ペレットは、高温耐性タンクを介して水素系シャフト炉還元システムの供給システム内に搬送された後、供給システムを介して水素系シャフト炉還元システムの水素系シャフト炉内に分配され、水素系シャフト炉の中間部で還元反応に関与する。
還元ガスは、還元ガスシステムを介して水素系シャフト炉に入り、還元反応に関与し、反応後の煙道ガスは、水素系シャフト炉の上端の煙道ガス出口から還元ガスシステムに入り、熱交換、廃熱回収、スクラビングに供された後、水素系シャフト炉の中間部に入り、還元反応に関与し、及び
冷却ガスは、冷却システムを介して水素系シャフト炉に入り、冷却処理に関与し、処理済みの混合ガスは、水素系シャフト炉の下部の空気出口から前記冷却システムに入り、酸素化燃焼、廃熱回収、スクラビングに供された後、水素系シャフト炉の下部に入り、冷却処理に関与する。
【0029】
好ましくは、ステップ(3)において、供給システム内で以下のように分配が行なわれる。
焙焼ペレットは、供給システムに導入され、供給システムの上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを順に通過し、その後、ユニバーサルディストリビュータを介して水素系シャフト炉に分配される。
焙焼ペレットが上部ホッパに装入された後、上部ホッパ内の酸素含有量が1%以下となるように、酸素を置換するために蒸気又は窒素が導入され、上部ホッパの下方のバルブが開かれ、それにより、焙焼ペレットが中間ホッパに完全に流入し、上部ホッパの下方のバルブが閉じられ、水素系シャフト炉内のトップガスと同じ組成を有するガスを用いて均圧プロセスが完了され、均圧が完了した後、中間ホッパの下方のバルブが開かれ、焙焼ペレットが下部ホッパに完全に流入した後、中間ホッパの下方のバルブが閉じられ、その後、焙焼ペレットを水素系シャフト炉内に分配するために、下部ホッパの下方のバルブが開かれる。
【0030】
本開示の有益な効果は以下の通りである。
【0031】
1.本開示によって提供される予備還元ペレット調製装置及び方法によれば、火格子システム、ロータリーキルンシステム及び水素系シャフト炉還元システムを利用することによって、ペレットにおける焙焼ステップと還元ステップとが有機的に組み合わされ、焙焼後のペレット冷却プロセス及び還元処理前の加熱プロセスが排除され、焙焼ペレットの物理的な熱は、加熱及び還元プロセスで必要とされる熱を満たすために使用され、酸化焙焼及び従来の直接還元プロセスにおけるペレットの直接還元プロセスでの低水素利用率及び高エネルギー消費の技術的問題が解決され、特定の金属化率を有する還元ペレットが得られ、調製された予備還元ペレットが高炉負荷として使用され、それにより、高炉の燃料消費及び炭素排出を大幅に低減することができ、本方法は、新規の低炭素及びグリーン予備還元ペレット調製プロセスであり、
【0032】
2.本開示によって提供される予備還元ペレット調製装置及び方法によれば、冷却還元のために純水素又は水素富化ガスを使用することによって、プロセスがより簡単になり、エネルギー利用効率が改善され、
【0033】
3.本開示によって提供される予備還元ペレット調製装置及び方法によれば、焙焼ペレットの物理的熱は、水素還元及びガス加熱に必要な熱を満たすために使用され、その結果、水素還元の熱力学的条件がより合理化され、水素利用率が大幅に改善され、
【0034】
4.本開示によって提供される予備還元ペレット調製装置及び方法によれば、全プロセスは、好ましくは、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、及びバイオマス炭素などの非化石エネルギー源の燃焼、グリーン電気駆動装置、並びに純水素又は水素富化ガス還元を採用し、その結果、炭素を含まない又は低炭素プロセスによる予備還元ペレットの製造を実現することができ、また、従来の高炉又は転炉で予備還元ペレットを使用することにより、鉄鋼製錬プロセスにおける炭素排出を大幅に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示の他の特徴、目的、及び利点は、以下の図面を参照して非限定的な実施形態の詳細な説明を読むことによってより明らかになる。
【
図1】本開示に係る予備還元ペレット調製装置の概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示の上記の技術的解決策をより良く理解するために、本開示の技術的解決策を、添付図面及び実施形態とともに以下に更に説明する。
【0037】
図1を参照すると、本開示によって提供される予備還元ペレット調製装置は、火格子ロータリーキルンペレット酸化システム1及び水素系シャフト炉還元システム2を含む。
図1を参照すると、火格子キルンペレット酸化システム1は、火格子システム18と、火格子システム18に接続されたロータリーキルンシステム16とを含み、鉄含有グリーンペレットを順次に乾燥、予熱、及び高温焙焼するために使用され、及び
図1を参照すると、火格子システム18は、鉄含有グリーンペレットを順次に乾燥及び予熱して予熱ペレットを取得し、火格子システム18には、グリーンペレットの移動方向で順に乾燥セクションI、乾燥セクションII、予熱セクションI、及び予熱セクションIIが設けられ、予熱セクションIIはロータリーキルンシステム16と連通し、予熱セクションIIは、第1の復熱ファン14を介して乾燥セクションIIと接続され、予熱セクションIは、還元ガスシステム23の管状熱交換器235と接続され、予熱セクションIは、燃焼ファン17を介してロータリーキルンシステム16と接続されるとともに、第2の復熱ファン15を介して乾燥セクションIと接続され、乾燥セクションI及び乾燥セクションIIはそれぞれ、主排気ファン11を介して袋集塵装置12に接続される。ロータリーキルンシステム16は、火格子システム18における予熱ペレットの高温焙焼のために使用され、ロータリーキルンシステム16は、バーナーを使用して燃料を燃焼させ、高温焙焼プロセスで必要とされる熱を供給し、火格子ロータリーキルンペレット酸化システム1における焙焼後に得られた焙焼ペレットは、高温耐性タンクを介して水素系シャフト炉還元システム2の供給システムに搬送される。
【0038】
図1を参照すると、水素系シャフト炉還元システム2は、水素系シャフト炉22と、供給システム21と、還元ガスシステム23と、冷却システム24と、排出システムとを含むとともに、火格子ロータリーキルンペレット酸化システム2において焙焼されて得られた焙焼ペレットを還元するために用いられ、供給システム21は、水素系シャフト炉22の上部に配置されて、ロータリーキルンシステム16から焙焼ペレットを受け、還元ガスシステム23は、水素系シャフト炉22に還元ガスを供給し、更に、還元ガスシステム23は、水素系シャフト炉22内の還元反応によって生成された煙道ガスを処理して、水素系シャフト炉22内の供給システム21からの焙焼ペレットを還元し、予備還元ペレットを得ることもでき、冷却システム24は、冷却ガスを供給し、水素系シャフト炉22で得られた予備還元ペレットに冷却処理を施して冷却された予備還元ペレットを取得し、冷却後に発生した混合ガスを更に処理することができ、排出システムは、冷却された予備還元ペレットを排出するために水素系シャフト炉22の底部に配置される。
【0039】
図1を参照すると、供給システム21は、上部ホッパ211、中間ホッパ212、及び下部ホッパ213を含み、ホッパの各部分で閉じた環境を維持するために、上部ホッパ211と中間ホッパ212との間、及び中間ホッパ212と下部ホッパ213との間にバルブが配置され、特定の実施形態では、上部ホッパ211に焙焼ペレット(1200℃まで)が充填された後、上部ホッパ211内の酸素含有量が1%以下であるようにするために、上部ホッパ211には、空気中の酸素を置換するための蒸気(好ましくは高温高圧)又は窒素(好ましくは高温高圧)の導入を容易にするための空気ダクトが更に設けられる。中間ホッパ内の圧力均等化を確保するために、中間ホッパ212には均圧装置が設けられる。シャフト炉内のトップガスと同じ組成のガスを用いて均圧プロセスを完了することができる。焙焼ペレットの水素系シャフト炉22への分配を容易にするために、下部ホッパ213の下にユニバーサルディストリビュータが配置される。
【0040】
図1を参照すると、還元ガスシステム23は、還元反応に必要な還元ガスを水素系シャフト炉22に供給するために使用されるとともに、管状熱交換器235と、残留熱ボイラー231と、第1のスクラバ232と、循環ファン233と、加圧ファン234とを含み、管状熱交換器235には、煙道ガス入口、煙道ガス出口、空気入口、及び空気出口が設けられ、煙道ガス入口は、水素系シャフト炉22の上端の煙道ガスポートと接続され、煙道ガス出口は、残留熱ボイラー231と接続され、空気入口は熱交換ファン236と接続され、空気出口は火格子システム18の予熱セクションIと接続され、残留熱ボイラー231の他端は第1のスクラバ232の空気入口と接続され、循環ファン233の一端は第1のスクラバ232の空気出口と連通し、循環ファン233の他端は水素系シャフト炉22の中間部の環状の羽口と連通し、加圧ファン234は、循環ファン233からの還元ガスを加圧し、特定の用途において、還元ガスは、水素系シャフト炉22の環状羽口から入って、水素系シャフト炉22の中間部の供給システム21からの焙焼ペレットと接触し、焙焼ペレットとの還元反応を受けながら、焙焼ペレットによって加熱され(焙焼ペレットの熱を吸収して焙焼ペレットを冷却し)、反応後、還元ガスは、水素系シャフト炉22の上端の煙道ガス出口から流出し、管状熱交換器235内で熱交換され、残留熱ボイラー231内で廃熱回収され、第1のスクラバ232内でスクラビングされ、循環ファン233及び加圧ファン234の作用下で環状羽口を通過して還元反応に関与する。
【0041】
図1を参照すると、冷却システム24は、酸素化燃焼ユニット241と、廃熱回収ユニット242と、第2のスクラバ243と、冷却ファン244とを含み、酸素化燃焼ユニット241は、水素系シャフト炉22の下部の空気出口と接続され、廃熱回収ユニット242の一端は酸素化燃焼ユニット241と接続され、他端は第2のスクラバ243の空気入口と接続され、冷却ファン244の一端が第2のスクラバ243の空気出口と接続され、他端が水素系シャフト炉22の下部の空気入口と連通し、水素系シャフト炉の下部の空気出口は、水素系シャフト炉の下部の空気入口の上方に配置され、特定の用途において、冷却ガスは、水素系シャフト炉の下部の空気入口から水素系シャフト炉22に入り、水素系シャフト炉22の下部の還元反応後に予備還元ペレットを冷却し、冷却処理後の混合ガスは、酸素化燃焼ユニット241で酸素化燃焼され、廃熱回収ユニット242で廃熱回収され、第2のスクラバ243でスクラビングされ、その後、冷却ファン244の作用下で水素系シャフト炉22の下部の空気入口を通って冷却処理に関与する。
【0042】
排出システムは、冷却された予備還元ペレットを排出する。
【0043】
図1を参照すると、本開示によって提供される予備還元ペレット調製方法は、上記の予備還元ペレット調製装置を使用し、鉄含有グリーンペレットを火炉子キルンペレット酸化システム18に供給して高温で焙焼し、次いで水素系シャフト炉還元システム2に直接供給して還元する。本方法は、具体的には以下のステップを含む。
【0044】
(1)鉄鉱石原料にベントナイト及び微粉砕石灰石/消石灰を配合して混合材料を得た後、混合材料を水と混合し、ペレット化して鉄含有グリーンペレットを取得し、
ボールミリング又は高圧ロールミリング前処理後の、ブレーン比表面積が1500cm2/g以上であるマグネタイト、ヘマタイト及びリモナイトのうちの1種以上を混合して鉄鉱石原料を得た後、ベントナイトを配合し、微粉砕石灰石又は消石灰を添加して、二元アルカリ度(CaO/SiO2)が0.3~0.5又は0.8~1.2の混合材料を取得し、ベントナイトの配合量を鉄鉱石原料の0.7~1.5重量%とし、微粉砕石灰石又は消石灰を用いて、混合材料の二元アルカリ度を実使用状況に応じて調整し、次いで、適量の水を加え、ディスクペレタイザー又はドラムペレタイザーでペレット化し、粒径8~20mmの鉄含有グリーンペレットを取得する。
【0045】
(2)鉄含有グリーンペレットを火格子システム18に投入し、ブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、及び二次予熱を順次施して予熱ペレットを取得し、次いで予熱ペレットをロータリーキルンシステム16に供給して1170~1300℃の高温で焙焼して焙焼ペレットを取得し、
ステップ(1)で調製した鉄含有グリーンペレットを、従来の分配装置を介して火格子システム18に分配して、全高250~400mmの鉄含有グリーンペレットの材料層を取得し、次いで、鉄含有グリーンペレットの材料層を、火格子システム18の乾燥セクションI、乾燥セクションII、予熱セクションI、及び予熱セクションIIを介して、ブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、及び二次予熱に順次供して予熱ペレットを取得し、次いで、予熱ペレットをロータリーキルンシステム16内でバーナーを使用して可燃性物質を燃焼させて熱を与えて焙焼し、焙焼ペレットを取得し、
ブラスト乾燥は、乾燥セクションIにおいて、予熱セクションIからの高温排ガスを使用し、鉄含有グリーンペレットの層の底部から第2の復熱ファン15を介して鉄含有グリーンペレットに吹き込むことによって行なわれ、ブラスト乾燥は、170~240℃、好ましくは190~210℃に制御された温度で、0.8~1.4m/s、好ましくは0.9~1.2m/sの空気速度で、1.5~2.5分の時間にわたって行なわれ、
第1の復熱ファン14によって上記のブラスト乾燥を受けたペレットの層の表面より上方の位置に導入された予熱セクションIIからの高温排ガスを使用して、乾燥セクションIIで排気乾燥が行なわれ、排気乾燥温度は、グリーンペレットの爆発温度に応じて調整されるとともに、ペレットの爆発温度未満に制御され、排気乾燥は、300~400℃、好ましくは330~350℃の温度、及び0.8~1.4m/s、好ましくは0.9~1.2m/sの空気速度で、4~6分間行なわれ、
一次予熱は、予熱セクションIで行なわれ、還元ガスシステム23の管状熱交換器235で還元反応後の空気と煙道ガスとを間接的に熱交換させて高温空気を取得する。一次予熱は、600~800℃の温度、及び0.8~1.4m/s、好ましくは0.9~1.2m/sの空気速度で、4~6分間行なわれ、
二次予熱は、予熱セクションIIで行なわれ、高温空気としては、ロータリーキルンで焙焼されて生成された高温排ガスが用いられる。二次予熱は、900~1100℃に制御された温度、及び0.8~1.4m/s、好ましくは0.9~1.2m/sの空気速度で、4~6分間行なわれる。
【0046】
焙焼は、ロータリーキルンシステム16で行なわれ、バーナーでの燃料の燃焼によって提供される熱を使用し、燃料は、可燃性油又は可燃性ガス(天然ガス、コークス炉ガス、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、又はバイオマス炭素を含む)であってもよく、好ましくは、熱分解ガス、熱分解油又はバイオマス油などの非化石エネルギー源からのガスであり、燃焼温度を上昇させるために、燃焼を支援するために高温空気が使用され、高温空気は、空気と予熱セクションIからの高温排ガスとで構成される混合ガスからのものである。焙焼は、1170~1300℃に制御された温度で、8~12分間に制御された時間にわたって行なわれ、焙焼ペレットは、2200N/ペレット以上の冷間圧縮強度を有する。
【0047】
火格子システム18では、鉄含有グリーンペレットをブラスト乾燥及び排気乾燥した後、排ガスは主排気ファン11、袋集塵装置12及び除塵・脱硫・脱硝システムを通過し、超低排出基準を満たした後に煙突13から排出される。
【0048】
(3)焙焼ペレットは、水素系シャフト炉還元システムに入り、還元ガスとの還元反応を受け、冷却ガスで冷却されて、冷却された予備還元ペレットが得られ、焙焼ペレットは、高温耐性タンクを介して水素系シャフト炉還元システム2の供給システム21に入り、その後、供給システム21を介して水素系シャフト炉還元システム2の水素系シャフト炉22に入り、水素系シャフト炉22の中間部で還元反応が行なわれ、還元反応後に水素系シャフト炉22の下部で冷却処理が行なわれて、冷却された予備還元ペレットが得られ、還元反応後の煙道ガスは、水素系シャフト炉22の上端の煙道ガス出口から還元ガスシステム23に入り、熱交換、廃熱回収、スクラビングに供された後、還元ガスシステム23を介して水素系シャフト炉22の中間部に入り、還元反応に関与し、冷却処理後の混合ガスは、水素系シャフト炉22の下部の空気出口から冷却システム24に入り、酸素化燃焼、廃熱回収、スクラビングを受け、冷却システム24を介して水素系シャフト炉22の下部に入り、冷却処理に関与し、詳細には、ステップ(3)は、以下のサブステップを含み、
【0049】
(3.1)分配:ステップ(2)で調製した焙焼ペレットが、高温耐性タンクを介して水素系シャフト炉還元システム2の供給システム21に導入され、供給システム21の上部ホッパ211、中間ホッパ212、及び下部ホッパ213に順次入った後、水素系シャフト炉22内に分配され、また、プロセス中、焙焼ペレットが上部ホッパ211に装入された後、上部ホッパ211内の酸素含有量が1%以下となるように蒸気(好ましくは高温高圧)又は窒素(好ましくは高温高圧)を導入して置換が行なわれ、その後、焙焼ペレットが中間ホッパ212に完全に入った後、上部ホッパ211の下方のバルブが開かれ、その後、上部ホッパ211の下方のバルブが閉じられ、水素系シャフト炉22内のトップガスと同じ組成を有するガスを用いて均圧プロセスが完了され、均圧が完了した後、中間ホッパ212の下方のバルブが開かれ、焙焼ペレットが下部ホッパ213に完全に入った後、中間ホッパ212の下方のバルブが閉じられ、ユニバーサルディストリビュータを介して水素系シャフト炉22内に焙焼ペレットを分配するために下部ホッパ213の下方のバルブが開かれる。
【0050】
(3.2)還元反応:焙焼ペレットは、水素系シャフト炉22の中間部で還元反応を受け、還元ガスは純水素又はコークス炉ガス、好ましくは純水素であり、還元ガスは、水素系シャフト炉22の中間部の環状羽口から水素系シャフト炉22内に入り、約500℃の高温焙焼ペレットと接触し、還元ガスは、焙焼ペレットと還元反応を受けながら、焙焼ペレットにより加熱され(焙焼ペレットの熱を吸収し、したがって、焙焼ペレットを冷却し)、還元ガスは、上昇に伴って徐々にその濃度が低下するが、焙焼ペレットの温度が徐々に上昇しているため、還元反応が進行しており、水素系シャフト炉22の上端の煙道ガス出口から還元反応を受けた煙道ガスが排出された後、加熱により煙道ガスの温度が1000℃以上に昇温され、煙道ガスは、更に、管状熱交換器235で熱交換され(一次予熱はトップガスの物理的な熱で行なわれる)、残留熱ボイラー231で廃熱回収され、第1のスクラバ232でスクラビングされて、煙道ガスからH2O及びダストが除去される。或いは、少量のアンモニア水を第1のスクラバ232に噴射して、プロセス要件に従って煙道ガスからCO2及びSO2を除去することができ、その結果、煙道ガスは、単純なスクラビング処理後にH2及びCOを主成分とする高還元電位ガスになり、得られた還元ガスは、循環ファン233を介して再び還元反応に関与し、還元反応中、還元ガスの消費量は800~1200m3/tであり、還元反応時間は40~100分であり、水素系シャフト炉還元システム2の水素系シャフト炉22の圧力は200~250kPaに制御される。
【0051】
(3.3)冷却処理:還元反応後の焙焼ペレットが水素系シャフト炉22の下部で冷却ガスにより冷却処理に供され、冷却処理後の混合ガスは、水素系シャフト炉22の下部の空気出口から冷却システム24に入り、酸素化燃焼、廃熱回収、スクラビングを受けた後、冷却システム24を経て、水素系シャフト炉22の下部の空気入口から水素系シャフト炉22に入り、再び冷却処理に関与し、冷却処理では、窒素と少量の天然ガスを使用し、冷却しながら、還元材料に含まれる海綿鉄(DRI)がCH4分解を触媒することができ、少量のFe3Cが形成され、それによって、DRIが再酸化されるのを防ぐための炭化プロセスが完了し、上記プロセスにおいて、冷却ガスの流量は1200~1800m3/tであり、ペレットを冷却するプロセスにおいて、冷却ガスにより少量のH2が導出され、安全性を確保するために、混合ガスを酸素化燃焼した後に廃熱利用し、スクラバでH2Oを除去してN2と少量のCO2を含む混合ガスを得て、混合ガスをリサイクルし、水素系シャフト炉22からの最終排出物は、150℃未満の温度で排出される冷却された予備還元ペレットであり、生成物の金属化率は、後続のプロセスの要件に従って決定される。
【0052】
上記の予備還元ペレットの調製方法において、調製された予備還元ペレットの金属化率は40%以上であり、水素利用率は40%以上までである。好ましい実施形態では、予備還元ペレットの金属化率は40~62%であり、水素利用率は最大50%以上である。
【0053】
本開示の予備還元ペレット調製装置及び方法を、具体例を参照して以下に更に説明し、また、以下の実施形態における予備還元ペレット調製装置及び方法は、前述の装置及び方法を用いる。
【実施例】
【0054】
実施例1-5
実施例1-5における鉄鉱石原料は、表1に示す通りである。鉄鉱石原料にベントナイト及び微粉砕石灰石を配合して混合材料とした後、水と混合し、得られた混合材料をペレット化して鉄含有グリーンペレットとした後、この鉄含有グリーンペレットを火格子システムに移送し、ブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、二次予熱を順次施して予熱ペレットとした後、ロータリーキルンシステムに投入して焙焼して焙焼ペレットとする。焙焼パラメータが以下の表1に示される。
【表1】
【0055】
焙焼ペレットは、還元のために水素系シャフト炉還元システムに移送され、純粋な水素又はコークス炉ガスを使用して還元した後、ペレットは窒素及びメタンによって冷却され、炭化されて予備還元ペレットが得られる。還元パラメータが以下の表2に示される。
【表2】
【0056】
実施例1では、鉄含有グリーンペレットの二元アルカリ度が1.0であり、表1に示す処理パラメータを用いることにより、得られた焙焼ペレットの冷間圧縮強度が高い。焙焼ペレットを冷却し、純粋な水素を導入することによって還元し、水素利用率は50%であった。冷却後に得られた予備還元ペレットは、最大62%の金属化率を有する。
【0057】
実施例2では、鉄含有グリーンペレットの二元アルカリ度が0.3であり、表1に示す処理パラメータを用いることにより、マグネタイト比率が高いため予熱温度及び焙焼温度を好適に低下させた。焙焼ペレットを冷却し、純粋な水素を導入することによって還元し、水素利用率は61%であった。冷却後に得られた予備還元ペレットの金属化率は最大54%である。
【0058】
実施例3において、鉄含有グリーンペレットの二元アルカリ度は0.9である。表1に示す処理パラメータを使用することにより、焙焼ペレットを冷却し、純水素を導入することによって還元し、水素利用率は65%であった。冷却後に得られた予備還元ペレットの金属化率は最大60%である。
【0059】
実施例4において、鉄含有グリーンペレットの二元アルカリ度は0.4である。表1に示す処理パラメータを用いることにより、アルカリフラックス(微粉砕石灰石)の配合量が減少するため予熱温度及び焙焼温度が好適に低下し、水素利用率55%で純水素を導入して焙焼ペレットを冷却及び還元した。冷却後に得られた予備還元ペレットの金属化率は最大56%である。
【0060】
実施例5では、鉄含有グリーンペレットの二元アルカリ度が1.0であり、表1に示す処理パラメータを用いることにより、得られた焙焼ペレットの冷間圧縮強度が高い。焙焼ペレットを冷却し、コークス炉ガスを導入することによって還元した。水素利用率は、CO、CH4及びH2Oが高温で水ガス反応するため、純水素を用いた場合よりも相対的に低い。この例の水素利用率は42%に過ぎない。予備還元ペレットの金属化率は最大51%である。
【0061】
要約すると、本開示によって提供される火格子ロータリーキルンに基づく予備還元ペレット調製装置及び方法によれば、火格子システム、ロータリーキルンシステム、及び水素系シャフト炉還元システムを利用することによってペレットにおける焙焼プロセスと還元プロセスとが有機的に組み合わされ、焙焼後のペレットの冷却プロセス及び還元前のペレットの加熱プロセスが排除され、焙焼ペレットの物理的な熱は、加熱及び還元プロセスで必要とされる熱を満たすために使用され、酸化焙焼及び従来の直接還元プロセスにおけるペレットの直接還元プロセスにおける低水素利用率及び高エネルギー消費の技術的問題が解決され、特定の金属化率を有する還元ペレットが得られ、調製された予備還元ペレットは高炉負荷として使用され、それにより、高炉の燃料消費及び炭素排出を大幅に低減することができ、本方法は、新規の低炭素及びグリーン予備還元ペレット調製プロセスであり、冷却還元のために純水素又は水素富化ガスを使用することによって、プロセスがより簡単になり、エネルギー利用効率が改善され、焙焼ペレットの物理的な熱は、水素還元及びガス加熱に必要な熱を満たすために使用され、その結果、水素還元の熱力学的条件がより合理化され、水素利用率が大幅に改善され、全プロセスは、好ましくは、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、バイオマス炭素などの非化石エネルギー源の燃焼、グリーン電気駆動装置、及び純水素又は水素富化ガス還元を採用し、その結果、炭素フリー又は低炭素プロセスによる予備還元ペレットの製造を実現することができ、従来の高炉又は転炉で予備還元ペレットを使用することにより、鉄鋼製錬プロセスからの炭素排出を大幅に削減することができる。
【0062】
当業者は、上記の実施形態が本開示の単なる例示であり、本開示を限定するものとして解釈されるべきではなく、上記の実施形態の変形及び修正が、本開示の真の技術的思想の範囲内にある限り、本開示の添付の特許請求の範囲内に入ることを意図していることを認識すべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
火格子ロータリーキルンペレット酸化システム及び水素系シャフト炉還元システムを備える、予備還元ペレット調製装置であって、
前記火格子ロータリーキルンペレット酸化システムは、火格子システムと、前記火格子システムに接続されるロータリーキルンシステムとを備え、前記火格子システムでは、予熱ペレットを得るために鉄含有グリーンペレットが順次に乾燥されて予熱され、前記ロータリーキルンシステムでは、焙焼ペレットを得るために前記予熱ペレットが1170~1300℃の温度で焙焼され、
前記水素系シャフト炉還元システムは、水素系シャフト炉と、供給システムと、還元ガスシステムと、冷却システムと、排出システムとを備え、前記供給システムが前記水素系シャフト炉の上部に配置され、前記ロータリーキルンシステムからの前記焙焼ペレットが前記供給システムに直接に搬送され、前記還元ガスシステムは、前記水素系シャフト炉からの煙道ガスを処理するとともに、前記水素系シャフト炉に還元ガスを供給し、予備還元ペレットを得るために前記供給システムからの前記焙焼ペレットが前記水素系シャフト炉内で還元され、前記冷却システムは、冷却された予備還元ペレットを得るために前記水素系シャフト炉内で前記予備還元ペレットを冷却し、前記排出システムは、前記水素系シャフト炉の底部に配置されて、前記冷却された予備還元ペレットを排出
し、
前記還元ガスは、水素ガスであり、前記還元ガスは、前記水素系シャフト炉に入る前に加熱されない、
予備還元ペレット調製装置。
【請求項2】
前記火格子システムには、前記鉄含有グリーンペレットの移動方向で順に、乾燥セクションI、乾燥セクションII、予熱セクションI及び予熱セクションIIが設けられ、
前記予熱セクションIIは、前記ロータリーキルンシステムと連通するとともに、第1の復熱ファンを介して前記乾燥セクションIIと接続され、
前記予熱セクションIは、前記還元ガスシステムの管状熱交換器と接続され、燃焼ファンを介して前記ロータリーキルンシステムと接続されるとともに、第2の復熱ファンを介して前記乾燥セクションIと接続され、
前記乾燥セクションI及び前記乾燥セクションIIはそれぞれ主排気ファンを介して袋集塵装置に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項3】
前記供給システムは、上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを備え、前記上部ホッパと前記中間ホッパとの間、及び前記中間ホッパと前記下部ホッパとの間にバルブが配置され、及び/又は
前記還元ガスシステムは、管状熱交換器と、残留熱ボイラーと、第1のスクラバと、循環ファンと、加圧ファンとを備え、前記管状熱交換器には、煙道ガス入口、煙道ガス出口、空気入口、及び空気出口が設けられ、前記煙道ガス入口は前記水素系シャフト炉の上端の煙道ガスポートと接続され、前記煙道ガス出口は前記残留熱ボイラーと接続され、前記空気入口はファンと接続され、前記空気出口は前記火格子システムの前記予熱セクションIと接続され、前記残留熱ボイラーの空気出口が、前記第1のスクラバの空気入口に接続され、前記循環ファンの一端が前記第1のスクラバの空気出口と接続され、他端が前記水素系シャフト炉の中間部の環状羽口と連通し、前記加圧ファンは、前記循環ファンからの還元ガスを加圧し、及び/又は
前記冷却システムは、酸素化燃焼ユニットと、廃熱回収ユニットと、第2のスクラバと、冷却ファンとを備え、前記酸素化燃焼ユニットは、前記水素系シャフト炉の下部の空気出口と接続され、前記廃熱回収ユニットの一端が前記酸素化燃焼ユニットと接続され、他端が前記第2のスクラバの空気入口と接続され、前記冷却ファンの一端が前記第2のスクラバの空気出口と接続され、他端が前記水素系シャフト炉の下部の空気入口と連通し、前記水素系シャフト炉の下部の前記空気出口は、前記水素系シャフト炉の下部の前記空気入口よりも上方に配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項4】
前記上部ホッパに空気ダクトが設けられ、前記中間ホッパに均圧装置が設けられ、前記下部ホッパにはユニバーサルディストリビュータが設けられることを特徴とする請求項3に記載の予備還元ペレット調製装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の前記予備還元ペレット調製装置を使用することによって予備還元ペレットを調製するステップと、前記予備還元ペレット調製装置の火格子ロータリーキルンペレット酸化システム内において1170~1300℃の温度で前記ペレットを焙焼して、1170~1300℃の温度を有する焙焼ペレットを得るステップと、その後、還元のために前記予備還元ペレット調製装置の水素系シャフト炉還元システムに前記焙焼ペレットを直接に供給して予備還元ペレットを得るステップとを含む、予備還元ペレット調製方法。
【請求項6】
(1)ベントナイトと微粉砕石灰石/消石灰とを鉄鉱石原料に混合して混合材料を得た後、この混合材料に水を混合し、ペレット化して鉄含有グリーンペレットを得るステップと、
(2)前記鉄含有グリーンペレットを火格子システムに分配して鉄含有グリーンペレットの材料層を形成し、前記鉄含有グリーンペレットの材料層を連続的にブラスト乾燥、排気乾燥、一次予熱、及び二次予熱に供して予熱ペレットを取得し、その後、前記予熱ペレットをロータリーキルンシステムに供給し、1170~1300℃で焙焼を行なって1170~1300℃の温度の焙焼ペレットを得るステップと、
(3)前記焙焼ペレットを水素系シャフト炉還元システムに供給して、前記焙焼ペレットを還元ガスと還元反応させ、その後、冷却ガスで冷却処理して予備還元ペレットを得るステップと、
を含むことを特徴とする請求項5に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項7】
前記ステップ(1)において、前記鉄鉱石原料が、マグネタイト、ヘマタイト及びリモナイトのうちの1つ以上から選択され、及び/又は
前記鉄鉱石原料は、ブレーン比表面積が1500cm
2/g以上であり、及び/又は
ベントナイトの配合量が鉄鉱石原料の0.7~1.5重量%であり、及び/又は
前記混合材料は、0.3~0.5又は0.8~1.2の二元アルカリ度を有し、及び/又は
前記鉄含有グリーンペレットの粒径は8~20mmであり、及び/又は
ステップ(2)において、前記火格子システムでは、鉄含有グリーンペレットの前記材料層が250~400mmの高さを有し、及び/又は
前記ブラスト乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIにおいて、170~240℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で1.5~2.5分間行なわれ、及び/又は
前記排気乾燥は、火格子システムの乾燥セクションIIにおいて、300~400℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
前記一次予熱は、火格子システムの予熱セクションIにおいて、600~800℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分行なわれ、及び/又は
前記二次予熱は、火格子システムの予熱セクションIIにおいて、900~1100℃の温度及び0.8~1.4m/sの空気速度で4~6分間行なわれ、及び/又は
前記ロータリーキルンシステムで使用される燃料は、天然ガス、コークス炉ガス、熱分解ガス、熱分解油、バイオマス油、又はバイオマス炭素を含み、及び/又は
前記ロータリーキルンシステムは、燃焼をサポートするために高温空気を使用し、前記高温空気は、前記火格子システムの空気と高温排ガスとから構成される混合ガスからのものであり、及び/又は
前記焙焼のプロセスでは、焙焼が8~12分間行なわれ、及び/又は
前記ステップ(3)において、前記水素系シャフト炉還元システムの水素系シャフト炉の圧力が200~250kPaであり、及び/又は
還元ガスが純粋な水素又はコークス炉ガスであり、及び/又は
還元反応中、還元ガスの消費量が800~1200m
3/tであり、還元反応が40~100分の時間行なわれ、及び/又は
前記冷却ガスが窒素及び天然ガスを含み、及び/又は
前記冷却処理中に、前記冷却ガスの流量が1200~1800m
3/tであり、及び/又は
前記予備還元ペレットが150℃未満の温度で排出され、及び
前記予備還元ペレットの金属化率が40%以上である、
ことを特徴とする請求項6に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項8】
前記ステップ(2)では、前記ブラスト乾燥のプロセスにおいて、温度190~210℃、空気速度0.9~1.2m/sで前記ブラスト乾燥が行なわれ、及び/又は
前記排気乾燥のプロセスでは、温度330~350℃、空気速度0.9~1.2m/sで排気乾燥が行なわれ、及び/又は
前記一次予熱のプロセスでは、空気速度が0.9~1.2m/sであり、及び/又は
前記二次予熱のプロセスでは、前記空気速度が0.9~1.2m/sであり、及び/又は
前記ステップ(3)では、前記予備還元ペレットの金属化率が40~62%であり、
前記還元ガスが純水素であり、前記還元反応中に、水素利用率が50%以上となる、
ことを特徴とする請求項7に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項9】
前記ステップ(3)において、前記還元ガスが純水素であり、前記還元反応中に、水素利用率が55%以上に達し、及び/又は
前記焙焼ペレットは、高温耐性タンクを介して前記水素系シャフト炉還元システムの前記供給システム内に搬送された後、前記供給システムを介して前記水素系シャフト炉還元システムの前記水素系シャフト炉内に分配されて、前記水素系シャフト炉の中間部で還元反応に関与し、
前記還元ガスは、前記還元ガスシステムを介して前記水素系シャフト炉に入り、前記還元反応に関与し、前記還元反応後の煙道ガスは、前記水素系シャフト炉の上端の煙道ガス出口から前記還元ガスシステムに入り、熱交換、廃熱回収、スクラビングに供された後、前記水素系シャフト炉の中間部に入り、前記還元反応に関与し、及び
前記冷却ガスは、前記冷却システムを介して前記水素系シャフト炉に入り、前記冷却処理に関与し、前記処理後の混合ガスは、前記水素系シャフト炉の下部の空気出口から前記冷却システムに入り、酸素化燃焼、廃熱回収、スクラビングに供された後、前記水素系シャフト炉の下部に入り、前記冷却処理に関与する、
ことを特徴とする請求項6に記載の予備還元ペレット調製方法。
【請求項10】
前記ステップ(3)において、前記供給システム内で以下のように分配が行なわれ、
焙焼ペレットは、供給システムに導入されて、供給システムの上部ホッパ、中間ホッパ、及び下部ホッパを順に通過した後、ユニバーサルディストリビュータを介して水素系シャフト炉に分配され、
前記焙焼ペレットが前記上部ホッパに装入された後、前記上部ホッパ内の酸素含有量が1%以下となるように、蒸気又は窒素を導入して酸素を置換した後、前記上部ホッパの下方のバルブが開かれ、それにより、前記焙焼ペレットが前記中間ホッパに完全に入った後、前記上部ホッパの下方のバルブが閉じられ、前記水素系シャフト炉内のトップガスと同じ組成を有するガスを用いて均圧プロセスが完了され、前記均圧が完了した後、前記中間ホッパの下方のバルブが開かれ、前記焙焼ペレットが前記下部ホッパに完全に入った後、前記中間ホッパの下方のバルブが閉じられ、その後、前記焙焼ペレットを前記水素系シャフト炉内に分配するために前記下部ホッパの下方のバルブが開かれる、
ことを特徴とする請求項9に記載の予備還元ペレット調製方法。
【国際調査報告】