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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】偏差測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/00 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
G01B5/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577724
(86)(22)【出願日】2022-05-20
(85)【翻訳文提出日】2024-01-24
(86)【国際出願番号】 CN2022094167
(87)【国際公開番号】W WO2022262528
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110666730.5
(32)【優先日】2021-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】ワン ホイ
(72)【発明者】
【氏名】リウ ウェンボー
(72)【発明者】
【氏名】ハン ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジャア ショオナ
(72)【発明者】
【氏名】タオ シァオフォン
【テーマコード(参考)】
2F062
【Fターム(参考)】
2F062AA11
2F062BB08
2F062BC28
2F062EE01
2F062EE04
2F062EE12
2F062FF03
(57)【要約】
基板(W)の中心(O)と標準中心(O’)との偏差を測定する偏差測定装置であって、基準アーム(101)と、移動アーム(103)と、第1線形モジュール(102)とを有し、移動アーム(103)には第1位置決め爪(104)が設けられ、第1位置決め爪(104)は基板(W)の端部の2点に当接し、基準アーム(101)には第2位置決め爪(105)が設けられ、第2位置決め爪(105)は基板(W)の端部の2点に当接し、移動アーム(103)は基準アーム(101)に対向するように配置される。第1位置決め爪(104)の中心(x1)と第2位置決め爪(105)の中心(x2)とを結ぶ線は直線Lであり、直線Lは標準中心(O’)を通り、移動アーム(103)は第1線形モジュール(102)に駆動されて直線Lに沿って移動可能であり、第1位置決め爪(104)と第2位置決め爪(105)とが基板の端部に同時に接触するまで第1位置決め爪(104)が基板(W)を押し、このときに基板の中心(O)が直線L上に位置する。基板の中心(O)と標準中心(O’)との偏差は基準アーム(101)と移動アーム(103)との座標に基づいて計算可能である。基板(W)は、切り欠きまたは平坦な端部を有する楕円形または円形の基板であってもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の中心と標準中心との偏差を測定する偏差測定装置であって、基準アームと、移動アームと、第1線形モジュールとを有し、前記移動アームには第1位置決め爪が設けられ、前記第1位置決め爪は前記基板の端部の2点に当接し、前記基準アームには第2位置決め爪が設けられ、前記第2位置決め爪は前記基板の端部の2点に当接し、前記移動アームは前記基準アームに対向するように配置され、前記第1位置決め爪の中心と前記第2位置決め爪の中心とを結ぶ線は直線Lであり、前記直線Lは前記標準中心を通り、前記第1線形モジュールは前記移動アームに接続され、前記移動アームは前記第1線形モジュールに駆動されて前記直線Lに沿って移動し、前記第1位置決め爪と前記第2位置決め爪とが前記基板の端部に同時に接触するまで前記第1位置決め爪が前記基板を押し、このときに前記基板の中心が前記直線L上に位置し、前記基板の中心と前記標準中心との偏差が前記基準アームと前記移動アームとの座標に基づいて計算され、前記基板が円形基板または楕円形基板である、偏差測定装置。
【請求項2】
前記基板が切欠きまたは平坦な端部を有する、請求項1に記載の偏差測定装置。
【請求項3】
前記移動アーム上に配置された圧力センサをさらに備え、前記圧力センサが前記第1位置決め爪に接続されて前記基板の端部と前記第1位置決め爪との間の圧力を測定する、請求項1に記載の偏差測定装置。
【請求項4】
前記第1位置決め爪がばねを介して前記圧力センサに接続される、請求項3に記載された偏差測定装置。
【請求項5】
前記第1位置決め爪の両側それぞれに1つの帯状突起が配置され、前記移動アーム上に2つの平行なレールが配置され、2つの前記帯状突起が2つの前記レールにそれぞれ接続されることで、前記第1位置決め爪が前記レールに沿ってスライドする、請求項4に記載の偏差測定装置。
【請求項6】
前記第1位置決め爪と前記第2位置決め爪にはそれぞれ2つの転動要素が設けられており、前記転動要素の転動面が前記基板の端部への当接に用いられる、請求項1に記載の偏差測定装置。
【請求項7】
前記転動要素はローラである、請求項6に記載の偏差測定装置。
【請求項8】
前記第2線形モジュールをさらに備え、前記第2線形モジュールは前記基準アームに接続され、前記基準アームは前記第2線形モジュールによって駆動されて前記直線Lに沿って移動し、前記基準アームと前記移動アームとが前記基板と同期して移動して、前記基板の中心を前記標準中心に合わせる、請求項1に記載の偏差測定装置。
【請求項9】
前記第1線形モジュール上の前記移動アームの変位量と前記第2線形モジュール上の前記基準アームの変位量の両方が直接読み取られる、請求項8に記載の偏差測定装置。
【請求項10】
前記第1線形モジュールは変位センサに固定され、前記変位センサは前記移動アームに対向して配置されて前記移動アームの移動距離を測定するように構成され、前記第2線形モジュールが前記変位センサに固定され、前記変位センサは前記基準アームに対向して配置されて前記基準アームの移動距離を測定するように構成される、請求項8に記載の偏差測定装置。
【請求項11】
基板の中心と標準中心との偏差を測定する偏差測定装置であって、基準アームと、移動アームと、第1線形モジュールとを有し、前記基準アームには位置決め爪が設けられ、前記位置決め爪は前記基板の端部の2点に当接し、前記移動アームにはコンタクトヘッドと圧力センサとが設けられ、前記コンタクトヘッドは前記基板の端部の1点に当接し、前記圧力センサは前記コンタクトヘッドに接続され、前記圧力センサは前記基板の端部と前記コンタクトヘッドとの間の圧力を測定し、前記移動アームは前記基準アームに対向するように配置され、前記位置決め爪の中心と前記コンタクトヘッドの中心とを結ぶ線は直線Lであり、直線Lは前記標準中心を通り、前記第1線形モジュールは前記移動アームに接続され、前記移動アームは前記第1線形モジュールに駆動されて直線Lに沿って移動し、測定の際は前記移動アームが初期座標から移動を開始して、前記位置決め爪と前記コンタクトヘッドとが前記基板の端部に同時に接触するまで前記基板を押し、このときに前記基板の中心が前記直線L上に位置し、前記移動アームが終了座標に位置し、続いて前記基板の直径d1を計算して前記基板の中心と前記標準中心との間の偏差nを取得し、その計算式は以下である、偏差測定装置。
ここで、d0は標準直径であり、前記位置決め爪の形状はV字であり、θは前記位置決め爪の開き角度の半分であり、m=Δ1-Δ0であり、Δ1は前記移動アームの前記初期座標と前記終了座標との間の移動距離であり、Δ0は前記移動アームの標準移動距離であり、標準移動距離は予め求められており、その求め方は、標準直径d0の基板を測定における基板として用い、得られた前記移動アームの初期座標と終了座標との間の移動距離を標準移動距離とするものである。
【請求項12】
前記コンタクトヘッドがばねを介して前記圧力センサに接続される、請求項11に記載の偏差測定装置。
【請求項13】
前記移動アームにはスライド溝が設けられ、前記コンタクトヘッドが前記スライド溝に沿ってスライドする、請求項11に記載の偏差測定装置。
【請求項14】
前記コンタクトヘッドには転動要素が設けられ、前記転動要素の転動面が前記基板の端部への当接に用いられる、請求項11に記載の偏差測定装置。
【請求項15】
前記転動要素はローラである、請求項14に記載の偏差測定装置。
【請求項16】
前記第2線形モジュールをさらに備え、前記第2線形モジュールは前記基準アームに接続され、前記基準アームは前記第2線形モジュールによって駆動されて前記直線Lに沿って移動し、前記基準アームと前記移動アームとが前記基板と同期して移動して、前記基板の中心を前記標準中心に合わせる、請求項11に記載の偏差測定装置。
【請求項17】
前記第1線形モジュール上の前記移動アームの変位量と前記第2線形モジュール上の前記基準アームの変位量の両方が直接読み取られる、請求項16に記載の偏差測定装置。
【請求項18】
前記第1線形モジュールは変位センサに固定され、前記変位センサは前記移動アームに対向して配置されて前記移動アームの移動距離を測定するように構成され、前記第2線形モジュールが前記変位センサに固定され、前記変位センサは前記基準アームに対向して配置されて前記基準アームの移動距離を測定するように構成される、請求項16に記載の偏差測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に半導体製造の分野に関し、より詳細には、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理工程のほとんどの工程では、基板の中心を通る軸を回転軸として基板を回転させるが、基板の中心と基板チャックの中心とを、つまり標準中心とを一致させる必要がある。基板製造工程では、プロセスレベルの制限により、基板の形状およびサイズと標準基板の形状およびサイズとの間に偏差が生じる場合がある。そのため、基板を設置した際に、基板の中心が標準中心からずれて不具合が生じる場合がある。例えば、基板端部洗浄装置では、基板を基板チャックでクランプし、回転駆動機構の駆動により回転軸を中心に基板を回転し、洗浄ノズルを基板の端部近傍に配置して基板の端部を洗浄する。基板の中心と標準中心との間に偏差があると、洗浄ノズルと基板の外周との距離がプリセット値とならず、良好な洗浄結果が得られないことになる。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定するための装置を提案することである。
【0004】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態は、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定する偏差測定装置であって、基準アームと、移動アームと、第1線形モジュールとを有する偏差測定装置を提供する。基準アーム上には位置決め爪が設けられており、位置決め爪は基板の端部の2点に当接するように構成されている。基準アーム上には第2位置決め爪が設けられており、第2位置決め爪は基板の端部の2点に当接するように構成されている。移動アームは基準アームと反対側に配置される。第1位置決め爪の中心と第2位置決め爪の中心を結ぶ線は直線Lであり、直線Lは標準中心を通る。第1線形モジュールは移動アームに接続され、移動アームは第1線形モジュールに駆動されて直線Lに沿って移動可能であり、第1位置決め爪と第2位置決め爪とが基板の端部に同時に接触するまで第1位置決め爪が基板を押す。基板の中心と標準中心との偏差が基準アームと移動アームとの座標に基づいて計算され、基板は円形基板または楕円形基板であってもよい。
【0005】
本発明の別の実施形態は、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定する偏差測定装置であって、基準アームと、移動アームと、第1線形モジュールとを有する偏差測定装置を提供する。基準アームには基板の端部の2点に当接する位置決め爪が設けられる。移動アーム上には、コンタクトヘッドと圧力センサとが配置される。コンタクトヘッドは基板の端部の1点に当接するように構成される。圧力センサはコンタクトヘッドに接続され、基板の端部とコンタクトヘッドとの間の圧力を測定する。移動アームは基準アームと反対側に配置される。位置決め爪の中心とコンタクトヘッドの中心を結ぶ線は直線Lであり、直線Lは標準中心を通る。第1線形モジュールは移動アームに接続され、移動アームは第1線形モジュールに駆動されて直線Lに沿って移動可能であり、測定の際は移動アームが初期座標から移動を開始して、位置決め爪とコンタクトヘッドとが基板の端部に同時に接触するまで基板を押す。このときに基板の中心が直線L上に位置し、移動アームが終了座標に位置し、続いて基板の直径d1を計算して基板の中心と標準中心との間の偏差nを取得する。その計算式は次のとおりである。
【0006】
ここで、d0は標準直径であり、位置決め爪の形状はV字であり、θは位置決め爪の開き角度の半分であり、m=Δ1-Δ0であり、Δ1は移動アームの初期座標と終了座標との間の移動距離であり、Δ0は移動アームの標準移動距離であり、標準移動距離は予め求められており、その求め方は以下である。標準直径d0の基板を測定における基板として用い、得られた移動アームの初期座標と終了座標との間の移動距離を標準移動距離とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る偏差測定装置の斜視図を示す。
図2図2は、第1実施形態の偏差測定装置を用いて定型サイズの基板W'と非定型サイズの基板Wをそれぞれ測定した比較図である。
図3図3は、第1実施形態の偏差測定装置を使用して切り欠き付き基板を測定したときの状態図を示す。
図4図4は、第1実施形態の偏差測定装置を使用して平坦な端部を有する基板を測定したときの状態図を示す。
図5a-5c】図5a~図5cは、第1実施形態の偏差測定装置を用いて楕円基板を測定したときの第一状態変化図を示す。
図6a-6b】図6a~図6bは、第1実施形態の偏差測定装置を用いて楕円基板を測定したときの第二状態変化図を示す。
図7図7は、図1の構造の一部を拡大して示す図である。
図8図8は、図3の構造の一部を拡大して示す図である。
図9図9は、第1実施形態の変位センサを組み込んだ偏差測定装置の斜視図を示す。
図10図10は、本発明の第2実施形態に係る偏差測定装置の斜視図を示す。
図11図11は、図10の構造の一部を拡大して示す図である。
図12図12は、第2実施形態の偏差測定装置の上面図を示す。
図13図13は、第2実施形態の基板直径d1と、基板中心と標準中心との偏差nとを測定する模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態における原理、技術的特徴、技術的効果、および技術的解決策は、添付の図面と併せて以下で明確かつ完全に説明される。
【0009】
<第1実施形態>
図1に示すように、本発明の実施形態は、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定する偏差測定装置を開示する。偏差測定装置は、基準アーム101と、第1線形モジュール102と、移動アーム103とを含む。移動アーム103には、基板Wの端部の2点に当接する第1位置決め爪104が設けられている。基準アーム101には、基板Wの端部の2点に当接する第2位置決め爪105が設けられている。基準アーム101は移動アーム103に対向して配置されており、第1位置決め爪104の中心と第2位置決め爪105の中心とを結ぶ線は直線Lであり、直線Lは標準中心を通過し、第1線形モジュール102は移動アーム103に接続されており、移動アーム103は第1線形モジュール102によって駆動されて直線Lに沿って移動することができる。第1位置決め爪104と第2位置決め爪105とが同時に基板Wの端部に接触するまで、第1位置決め爪104が基板Wを押す。このとき、基板Wの中心は直線L上に位置する。基板Wの中心点と標準中心点との偏差は、基準アーム101と移動アーム103の座標に基づいて計算できる。
【0010】
図2に示すように、xは第1位置決め爪104の中心点であり、xは第2位置決め爪105の中心点である。基板W'が定型サイズ(標準サイズ)の基板である場合、第1位置決め爪104と第2位置決め爪105が同時に基板W'の端部に接触したとき、基板W'の中心点Oはxとx2との中点であり、また基板W'の中心点Oは標準中心点O'でもある。また、基板Wが非定型サイズ(非標準サイズ)の円形基板の場合、第1位置決め爪104と第2位置決め爪105とが同時に基板Wの端部に接触すると、基板Wの中心点Oはxとxとの中点となる。基板Wの中心点Oは標準中心点O'からずれている。第1位置決め爪104は移動アーム103に対して相対的に静止しており、第2位置決め爪105は基準アーム101に対して相対的に静止しているので、移動アーム103の座標は、第1位置決め爪104の中心点xの座標とみなすことができ、基準アーム101の座標は、第2位置決め爪105の中心点xの座標とみなすことができる。基板Wの中心点Oと標準中心点O’との偏差は、移動アーム103の座標と基準アーム101の座標とに基づいて算出することができる。
【0011】
例えば、定型サイズの基板を測定する場合、xの座標が0、xの座標が310の場合、標準中心点O'の座標は155となる。非定型サイズの円形基板を測定するとき、xの座標が0、xの座標が309.8である場合、基板の中心点Oの座標は154.9となり、基板の中心点Oと標準中心点O'との間の偏差は0.1となる。
【0012】
基板Wは、切り欠きを有する円形の基板であってもよい。図3に示すように、第1位置決め爪104と第2位置決め爪105とが基板Wの端部に同時に接触した場合、切り欠きが第2位置決め爪105のすぐ近くにあると、第1位置決め爪104と接触する基板Wの端部には点I、Jの2点が存在するため、第2位置決め爪105の点Hだけが基板Wの端部と接触する。これにより、切り欠きの存在は基板Wの中心点の位置の計算に影響しない。基板Wは、図4に示すように、平坦な端部を有する円形の基板であってもよく、平坦な端部の存在は基板Wの中心点の位置の計算に影響を及ぼさない。
【0013】
基板Wは楕円形の基板であってもよい。図5aに示す位置のように、基板Wの端部の2点が第2位置決め爪105に接触しているが、基板Wの中心点Oが直線L上にない場合には、基板W上の第1位置決め爪104の推力Fが基板Wを反時計回りに回転させ、基板Wは図5bに示す位置を通過して最終的に図5cに示す位置に到達するが、このとき基板Wの端部の2点は第1位置決め爪104に当接し、基板Wの中心点Oと短軸が直線L上に位置し、基板Wの中心点Oがxとxとの中点となる。xは第1位置決め爪104の中心点であり、xは第2位置決め爪105の中心点である。図5aおよび図5bの円弧矢印は、第1位置決め爪104が基板Wを押すときの基板Wの回転方向を示す。
【0014】
基板Wが図6aに示す位置にあるとき、基板Wの第1位置決め爪104の推力Fにより基板Wは時計回りに回転し、最終的に基板Wは図6aに示す位置をとる。直線L上に基板の中心点Oと長軸が位置し、基板Wの中心点Oはxとxの中点であり、xは第1位置決め爪104の中心点であり、xは第2位置決め爪105の中心点である。図6aの円弧状の矢印は、第1位置決め爪104が基板Wを押すときの基板Wの回転方向を示している。
【0015】
図7に示すように、移動アーム103には圧力センサ106が設けられており、圧力センサ106は第1位置決め爪104に接続されて、基板Wの端部と第1位置決め爪104との間の圧力を測定する。各測定中、第1位置決め爪104と第2位置決め爪105が基板Wの端部に同時に接触した後、第1位置決め爪104と基板Wとの間の圧力は固定値(例えば5N)または設定範囲内(例えば4.8N~5.2N)に保たれる。これにより、第1位置決め爪104と基板Wとの接触不良による誤差が低減され、基板Wの中心位置の算出精度が向上する。
【0016】
この実施形態の装置を使用した基板の中心と標準中心との間の偏差の測定は、以下のステップを含む。
ステップS1において、不図示の支持機構によって基板Wを水平に持ち上げ、第2位置決め爪105に当接させる。上述の支持機構は、滑らかで水平なプラットフォームまたは空中浮遊プラットフォームであってもよい。
ステップS2では、基準アーム101の位置が固定され、移動アーム103が初期座標から移動を開始して、第1線形モジュール102に駆動されて直線Lに沿って移動し、第1位置決め爪104と第2位置決め爪105とが同時に基板Wのエッジに接触するまで、第1位置決め爪104が基板Wを押す。
ステップS3では、移動アーム103が直線Lに沿ってゆっくりと移動し、その間に圧力センサ106がリアルタイムで圧力を測定する。
ステップS4において、圧力が設定値または設定範囲に達すると、移動アーム103は移動を停止し、圧力を設定値または設定範囲内に維持する。
ステップS5では、基準アーム101と移動アーム103の座標に基づいて基板Wの中心点位置を計算して、基板Wの中心と標準中心との偏差を求める。
【0017】
ステップS2において、基準アーム101の初期座標と移動アーム103の初期座標は予め求めておくことができる。ステップS5において、基準アーム101の座標は基準アーム101の初期座標である。第1線形モジュール102上の移動アーム103の変位量を読み取ることができるため、移動アーム103の初期座標と第1線形モジュール102上の移動アーム103の変位量とに基づいて、移動アーム103の座標を計算することができる。
【0018】
変位センサ1012を使用して、第1線形モジュール102の移動量を取得することもできる。図9に示すように、変位センサ1012は、第1線形モジュール102上に固定され、移動アーム103に対向して配置されてもよい。移動アーム103が移動した後、変位センサ1012は移動アーム103の移動距離を測定することができ、この移動距離は第1線形モジュール102上での移動アーム103の変位量である。
【0019】
図7図9に示すように、第1位置決め爪104はばね107を介して圧力センサ106に接続されており、ばね107は第1位置決め爪104による基板Wの損傷を防止する緩衝の役割を果たすため、圧力センサ106の測定値がより正確になる。
【0020】
第1位置決め爪104の両側それぞれに1つの帯状突起1041が配置され、移動アーム103上に2つの平行なレール108が配置され、2つの帯状突起1041は2つのレール108にそれぞれ接続されることで、第1位置決め爪104はレール108に沿ってスライド可能である。
【0021】
第1位置決め爪104と第2位置決め爪105には、それぞれ2つのローラ109が設けられており、ローラ109の転動面が基板Wの端部への当接に用いられる。第1位置決め爪104が基板Wを押して回転させる際にローラ109と基板Wの端部との間に転がり摩擦が生じるため、基板Wの端部が傷つきにくい。
【0022】
ローラ109の代わりに、第1位置決め爪104および第2位置決め爪105の先頭部に埋め込まれた円形のボールを用いてもよい。
【0023】
本実施形態の偏差測定装置は第2線形モジュール1011をさらに備え、第2線形モジュール1011は基準アーム101に接続される。基準アーム101および移動アーム103は、それぞれ第2線形モジュール1011および第1線形モジュール102によって駆動されて、直線Lに沿って移動することができる。基板Wの中心と標準中心との偏差を測定した後、基板Wの中心を標準中心に移動させるために、基準アーム101および移動アーム103を基板Wと同期して移動させることで、基板Wの中心と標準中心とを一致させることができる。
【0024】
第2線形モジュール1011上の基準アーム101の変位量は、直接読み取ってもよく、変位センサ1012を用いて第2線形モジュール1011上の基準アーム101の変位量を取得してもよい。図9に示すように、変位センサ1012は、第2線形モジュール1011上に固定され、基準アーム101に対向して配置されてもよい。基準アーム101が移動するとき、変位センサ1012は基準アーム101の移動距離を計測することができる。この移動距離は、第2線形モジュール1011上での基準アーム101の変位量である。
【0025】
<第2実施形態>
図10および図12に示すように、本発明の実施形態は、基板の中心と標準中心との間の偏差を測定する偏差測定装置を開示する。偏差測定装置は、基準アーム201と、第1線形モジュール202と、移動アーム203とを含む。基準アーム201上には位置決め爪204が設けられており、位置決め爪204は基板の端部の2点に当接するように構成されている。移動アーム203上には、コンタクトヘッド205と圧力センサ206とが配置されている。コンタクトヘッド205は基板の端部上の一点に当接するように構成され、圧力センサ206はコンタクトヘッド205に接続されて、基板の端部とコンタクトヘッド205との間の圧力を測定する。移動アーム203は基準アーム201に対向して配置され、位置決め爪204の中心とコンタクトヘッド205の中心とを結ぶ線は標準中心を通る直線Lである。第1線形モジュール202は移動アーム203に接続されており、移動アーム203は第1線形モジュール202によって駆動されて、直線Lに沿って移動することができる。移動アーム203は基板を押して基板の端部を位置決め爪204とコンタクトヘッド205とに接触させる。このとき、基板の中心は直線L上に位置しており、基板の中心と標準中心との間の偏差は基準アーム201と移動アーム203との座標に基づいて計算することができる。
【0026】
図11に示すように、コンタクトヘッド205はばね207を介して圧力センサ206に接続されている。移動アーム203にはスライド溝2010が設けられており、コンタクトヘッド205はスライド溝2010に沿ってスライドすることができる。コンタクトヘッド205が基板の端部を傷つけるのを防ぐために、コンタクトヘッド205上にローラ209が配置され、ローラ209のローラ面が基板の端部に当接する。基板とコンタクトヘッド205とが接触過程で相対的に摺動する場合、基板とコンタクトヘッド205との間の摩擦は滑り摩擦ではなく転がり摩擦となり、これにより基板の端部に与えるダメージが少なくなる。ローラ209の代わりに、コンタクトヘッド205の先頭部に埋め込まれた円形のボールを用いてもよい。
【0027】
本実施形態の装置を使用した基板の中心と標準中心との間の偏差の測定は、以下のステップを含む。
ステップS1において、不図示の支持機構によって基板Wを水平に持ち上げ、位置決め爪204に当接させる。上述の支持機構は、滑らかで水平なプラットフォームまたは空中浮遊プラットフォームであってもよい。
ステップS2では、基準アーム201の位置が固定され、移動アーム203が初期座標から移動を開始して、第1線形モジュール202に駆動されて直線Lに沿って移動し、位置決め爪204とコンタクトヘッド205とが同時に基板Wのエッジに接触するまで、コンタクトヘッド205が基板Wを押す。
ステップS3では、移動アーム203が直線Lに沿ってゆっくりと移動し、この処理の間に圧力センサ206がリアルタイムで圧力を測定する。
ステップS4において、圧力が設定値または設定範囲に達すると、移動アーム203は移動を停止し、圧力を設定値または設定範囲内に維持する。このとき、移動アーム203は終了座標に位置する。
ステップS5では、基板Wの直径d1を計算し、基板Wの中心と標準中心との偏差nを求める。その計算式は次のとおりである。
【0028】
ここで、d0は標準直径であり、位置決め爪204の形状はV字であり、θは位置決め爪204の開き角度の半分であり、m=Δ1-Δ0であり、Δ1は移動アーム203の初期座標と終了座標との間の移動距離であり、Δ0は移動アーム203の標準移動距離である。標準移動距離は予め求められており、その求め方は以下の通りである。標準直径d0の基板を前記測定ステップにおける基板として用い、ステップS1~ステップS4を実行し、得られた移動アーム203の初期座標と終了座標との間の移動距離を標準移動距離とする。
【0029】
ステップS2では、位置決め爪204とコンタクトヘッド205とが基板の端部の3点に接触し、これら3点を結ぶ線が二等辺三角形を形成するため、円形の基板の中心は直線L上に位置することになる。
【0030】
以下に、標準直径300mmの場合を例として、基板の直径d1および基板中心と標準中心との偏差nの算出原理を説明する。
【0031】
図13に示すように、点線の円は直径d0が300mmの標準基板を示し、実線の円は直径(直径d1)が未知の基板を示し、右側の折り線はV字型の位置決め爪204を示す。Oは標準中心、つまり標準基板の中心であり、Pは直径が未知の基板の中心である。点Aはコンタクトヘッド205と標準基板との接触点、点Bはコンタクトヘッド205と直径が未知の基板との接触点、点Cは標準基板と位置決め爪204との接触点、点Dは直径が未知の基板と位置決め爪204との接触点である。ABの長さはmとして定義される。mは方向量である。d1<300の場合はm>0となり、d1>300の場合はm<0となる。OPの長さはnとして定義される。nは方向量でもある。PがOの右側にあるときはn>0であり、PがOの左側にあるときはn<0である。角度θは位置決め爪204の開き角度の1/2である。
【0032】
偏差nと直径d1が未知の基板との関係は、図13から得ることができる。
【0033】
図13から、mが次の等式に従うことが分かる。
【0034】
上記の2つの式を組み合わせると、次のように求めることができる。
【0035】
したがって、まず式(3)に従って基板の直径d1を測定した後、直径が未知の基板の中心と標準中心との偏差nを式(1)に従って求めることができる。
【0036】
本実施形態の装置は第2線形モジュール2011をさらに含む。第2線形モジュール2011は基準アーム201に接続される。基準アーム201および移動アーム203は、それぞれ第2線形モジュール2011および第1線形モジュール202によって駆動されて、直線Lに沿って移動することができる。基板Wの中心と標準中心との偏差を測定した後、基板Wの中心を標準中心に移動させるために、基準アーム201および移動アーム203を基板Wと同期して移動させることで、基板Wの中心と標準中心とを一致させることができる。
【0037】
第1線形モジュール202および第2線形モジュール2011の移動量を直接読み取ってもよく、第1線形モジュール202および第2線形モジュール2011に搭載された変位センサによって測定してもよい。具体的には、第1線形モジュール202の変位センサは移動アーム203に対向して配置されて移動アーム203の移動距離を測定するように構成されており、第2線形モジュール2011の変位センサは基準アーム201に対向して配置されて基準アーム201の移動距離を測定するように構成されている。
【0038】
要約すると、本発明は、上記の実施形態および関連する図によって当業者が相応に実施可能なように、関連技術を具体的かつ詳細に開示するものである。上述の実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明を限定するものではなく、本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって定められるものとする。本明細書に記載されている構成要素の数の変更または同等の構成要素への置換は、依然として本発明の範囲内にあるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【国際調査報告】