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特表2024-523045脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体
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  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図1
  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図2
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  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図4
  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図5A
  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図5B
  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図6
  • 特表-脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-25
(54)【発明の名称】脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20240618BHJP
【FI】
A61B5/055 380
A61B5/055 382
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024518949
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 CN2022076374
(87)【国際公開番号】W WO2022257495
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110655826.1
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】522230886
【氏名又は名称】北京優脳銀河科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】魏 可成
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲偉▼▲偉▼
(72)【発明者】
【氏名】孟 源
(72)【発明者】
【氏名】王 也▲ジョー▼
【テーマコード(参考)】
4C096
【Fターム(参考)】
4C096AD14
4C096DC19
4C096DC20
4C096DC22
4C096DC32
4C096DC33
4C096DC35
(57)【要約】
本開示は、脳機能分割の位置特定及び側性特定方法、装置、電子機器及び記憶媒体を提供する。脳機能分割の位置特定及び側性特定の方法は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得することと、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピング(少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む)を確定することと、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルに対し、該臨床介入されるボクセル及び前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識を確定することと、目標手術領域の脳機能領域の脳機能側性を確定することと、を含む。個体の被験者に対して正確且つ非侵襲な術前脳機能領域の位置側性特定を実現できる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得することと、
前記脳構造磁気共鳴画像データ及び前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピング(少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む)を確定することと、
臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルに対し、該臨床介入されるボクセルおよび前記脳機能マッピングに従って、該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識(前記脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含む)を確定することと、
前記臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得することと(各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルが同じ脳機能領域標識に対応する)、
各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定することと、
を含む脳機能領域の位置特定及び側性特定方法。
【請求項2】
前記方法は、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定することをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを提示することをさらに含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記脳構造磁気共鳴画像データおよび前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピングを確定することは、
前記脳構造磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳構造が損傷を有するか否かを確定することと、
前記被験者の脳構造が損傷していなければ、前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて前記被験者の脳機能マッピングを特定することと、
を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記脳構造磁気共鳴画像データおよび前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピングを確定することは、
前記被験者の脳構造が損傷していれば、前記被験者の損傷脳領域及び非損傷脳領域を特定することと(前記損傷脳領域はM個のボクセルを含み、Mは2以上の正の整数である)、
前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、非損傷脳領域脳機能マッピングを確定することと(前記非損傷脳領域脳機能マッピングはN個の脳機能領域を含み、Nは2以上の正の整数である)、
前記損傷脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度を確定することと、
前記M個のボクセルにおける各ボクセルについて、該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定して、前記被験者の脳機能マッピングを取得することと、
をさらに含む請求項4に記載の方法。
【請求項6】
該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定することは、
前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定すること
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定することは、
前記N個の脳機能領域における各脳機能領域と該ボクセルとの相関度がいずれも予め設定された相関度閾値より小さいと確定したことに応答して、該ボクセルに対応する脳機能領域を無効脳機能領域として確定すること
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項8】
該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定することは、
前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを取得ことと、
以下の反復操作を実行し、前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングと前記非損傷脳領域脳機能マッピングとを組み合わせて反復脳機能マッピングを取得し、前記反復脳機能マッピングはN個の反復脳機能領域を含む反復操作と、該ボクセルと前記N個の反復脳機能領域における各反復脳機能領域との間の相関度を確定する反復操作と、前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを取得する反復操作と、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングと前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングとの一致度が予め設定された一致度閾値よりも大きいか否かを確定する反復操作であって、一致度が大きければ、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを損傷脳領域脳機能マッピングとして確定し、前記反復操作を終了し、前記損傷脳領域脳機能マッピングは該ボクセルに対応する脳機能領域を特徴づけるために用いられ、大きくなければ、前記損傷脳領域の第1反復脳機能グラフを前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングに更新してから前記反復操作を継続して実行することと、
を含む請求項5に記載の方法。
【請求項9】
各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定することは、
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の半球自律指数に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定すること、
又は、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の左右側機能領域表面の面積に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定すること
を含む請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記手術リスク値は、左側リスク値及び右側リスク値を含み、
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定することは、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定することを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記脳機能マッピングは、2つの異なるボクセル間の機能接続信頼度も含み、
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定することは、
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける各ボクセルの機能接続信頼度をリスク値のウェイトとして確定し、リスクウェイトマトリックスを取得することと、
前記リスクウェイトマトリックスに基づいて、左側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスクウェイトマトリックスを確定することと、
前記左側リスクウェイトマトリックスおよび前記左側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側画素値を確定することと、
前記右側リスクウェイトマトリックスおよび前記右側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側画素値を確定することと、
前記左側画素値及び前記右側画素値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定することと、
をさらに含む請求項10に記載の方法。
【請求項12】
被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得するように配置されるデータ取得ユニットと、
前記脳構造磁気共鳴画像データ及び前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピング(少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む)を確定するように配置される処理ユニットと、
臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルに対し、該臨床介入されるボクセルと前記脳機能マッピングに基づいて該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識(前記脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含む)を確定するように構成される位置確定ユニットと、
前記臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルが同じ脳機能領域標識に対応し、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定するように配置される側性特定ユニットと、
を含む脳機能領域の位置特定及び側性特定装置。
【請求項13】
各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定するように配置されるリスク値確定ユニットをさらに含む請求項12に記載の装置。
【請求項14】
各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを提示するように配置される提示ユニットをさらに含む請求項13に記載の装置。
【請求項15】
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムが記憶されている記憶装置と、
を含む電子機器であって、
前記1つ又は複数のプログラムが前記1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、前記1つ又は複数のプロセッサは、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法を実行する電子機器。
【請求項16】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行する、コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、コンピュータ技術分野に関し、特に、脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
脳の側性化は、ヒトの脳の重要な組織の原則であり、脳の発育の潜在的な標識でもある。脳の側性化規則を研究することにより、人間の脳の認知処理パターンの理解に役立つ。特に、患者の脳機能活動を正確に位置特定と側性特定することは、臨床診療及び治療を改善する上での重要なポイントである。現在、手術領域の脳機能領域を術前位置特定と側性特定を行うためのリスクがなく、正確、かつ確実な技術的手段を同時に備える方法はない。したがって、臨床的には、医師が脳外科手術計画を行うのに役立つ安全、正確な位置特定と側性特定技術が必要である。
本願は、目標手術領域の脳機能領域を位置特定と側性特定するための脳機能領域の位置特定と側性特定方法、装置、電子機器及び記憶媒体を提供する。
【0003】
第1の態様によれば、本願は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得することと、前記脳構造磁気共鳴画像データ及び前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピング(少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む)を確定することと、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルに対し、該臨床介入されるボクセルおよび前記脳機能マッピングに従って、該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識(前記脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含む)を確定することと、前記臨床介入されるボクセル集合を、各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得することと(各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおいて臨床介入されるボクセルは、同じ脳機能領域標識に対応する)、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性化を確定することと、を含む脳機能領域の位置特定と側性特定方法を提供する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記方法は、以下のことをさらに含む。
【0004】
各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性化に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記方法は、以下のことをさらに含む。
【0005】
各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対し、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを表示する。
【0006】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳構造磁気共鳴画像データおよび前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピングを確定することは、以下のことを含む。
前記脳構造磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳構造が損傷を有するか否かを確定する。
前記被験者の脳構造が損傷していなければ、前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて前記被験者の脳機能マッピングを確定する。
【0007】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳構造磁気共鳴画像データおよび前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピングを確定することは、さらに以下のことを含む。
【0008】
前記被験者の脳構造が損傷していれば、前記被験者の損傷脳領域及び非損傷脳領域を特定し、前記損傷脳領域はM個のボクセルを含み、Mは2以上の正の整数である。
【0009】
前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、非損傷脳領域脳機能マッピングを確定し、前記非損傷脳領域脳機能マッピングはN個の脳機能領域を含み、Nは2以上の正の整数である。
前記損傷脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度を確定する。
【0010】
前記M個のボクセルにおける各ボクセルについて、該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を特定して、前記被験者の脳機能マッピングを取得する。
【0011】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を特定することは、以下のことを含む。
前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として特定する。
【0012】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定することは、以下のことを含む。
【0013】
前記N個の脳機能領域における各脳機能領域と該ボクセルとの相関度がいずれも予め設定された相関度閾値より小さいと確定したことに応答して、該ボクセルに対応する脳機能領域を無効脳機能領域として確定する。
【0014】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定することは、以下のことを含む。
【0015】
前記N個の脳機能領域のうち、該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを取得する。
【0016】
以下の反復操作を実行する。前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングと前記非損傷脳領域脳機能マッピングとを組み合わせて反復脳機能マッピングを取得し、前記反復脳機能マッピングはN個の反復脳機能領域を含む。該ボクセルと前記N個の反復脳機能領域における各反復脳機能領域との間の相関度を確定する。前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルの脳機能領域として確定し、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを取得する。前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングと前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングとの一致度が予め設定された一致度閾値よりも大きいか否かを確定する。そうであれば、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを損傷脳領域の脳機能マッピングとして確定し、前記反復操作を終了し、前記損傷脳領域の脳機能マッピングは該ボクセルに対応する脳機能領域を特徴づけるために用いられる。そうでなければ、前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングに更新してから前記反復操作を継続して実行する。
【0017】
いくつかの選択可能な実施形態において、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットについて、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定することは、以下のことを含む。
【0018】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の半球自律指数に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
【0019】
又は、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の左右側機能領域表面の面積に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
【0020】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記手術リスク値は、左側リスク値および右側リスク値を含み、前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定することは、以下のことを含む。
【0021】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定する。
【0022】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳機能マッピングは、2つの異なるボクセル間の機能接続信頼度も含み、前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定することは、さらに以下のことを含む。
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける各ボクセルの機能接続信頼度をリスク値のウェイトとして確定し、リスクウェイトマトリックスを取得する。
前記リスクウェイトマトリックスに基づいて、左側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスクウェイトマトリックスを確定する。
前記左側リスクウェイトマトリックスおよび左側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側画素値を確定する。
前記右側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側画素値を確定する。
前記左側画素値及び前記右側画素値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定する。
【0023】
第2態様によれば、本願は、以下のユニットを含む脳機能領域の位置特定及び側性特定装置を提供する。
【0024】
被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得するように配置されるデータ取得ユニット、
前記脳構造磁気共鳴画像データ及び前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳機能マッピング(少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む)を確定するように配置される処理ユニット、
臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルに対し、該臨床介入されるボクセルと前記脳機能マッピングに基づいて該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識(前記脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含む)を確定するように配置される位置確定ユニット、
前記臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルが同じ脳機能領域標識に対応し、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定するように配置される側性特定ユニット。
【0025】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記装置は、さらに以下のユニットを含む。
【0026】
各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定するように配置されるリスク値確定ユニット。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記装置は、さらに以下のユニットを含む。
【0027】
各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを提示するように配置される提示ユニット。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記処理ユニットは、さらに以下のように配置される。
前記脳構造磁気共鳴画像データに基づいて、前記被験者の脳構造が損傷を有するか否かを確定する。
前記被験者の脳構造が損傷していなければ、前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて前記被験者の脳機能マッピングを確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記処理ユニットは、さらに以下のように配置される。
【0028】
前記被験者の脳構造が損傷していれば、前記被験者の損傷脳領域および非損傷脳領域を特定し、前記損傷脳領域はM個のボクセルを含み、Mは2以上の正の整数であり、前記脳機能磁気共鳴画像データに基づいて非損傷脳領域脳機能マッピングを確定し、前記非損傷脳領域脳機能マッピングはN個の脳機能領域を含み、Nは2以上の正の整数である。
前記損傷脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度を確定する。
【0029】
前記M個のボクセルにおける各ボクセルについて、該ボクセルと前記N個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定して、前記被験者の脳機能マッピングを取得する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記処理ユニットは、さらに以下のように配置される。
前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記処理ユニットは、さらに以下のように配置される。
【0030】
前記N個の脳機能領域における各脳機能領域と該ボクセルとの相関度がいずれも予め設定された相関度閾値より小さいと確定したことに応答して、該ボクセルに対応する脳機能領域を無効脳機能領域として確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記処理ユニットは、さらに以下のように配置される。
【0031】
前記N個の脳機能領域のうち、該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを取得する。
【0032】
以下の反復操作を実行する。前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングと前記非損傷脳領域脳機能マッピングとを組み合わせて反復脳機能マッピングを取得し、前記反復脳機能マッピングはN個の反復脳機能領域を含む。該ボクセルと前記N個の反復脳機能領域における各反復脳機能領域との間の相関度を確定する。前記N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルの脳機能領域として確定し、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを取得する。前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングと前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングとの一致度が予め設定された一致度閾値よりも大きいか否かを確定し、そうであれば、前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを損傷脳領域の脳機能マッピングとして確定し、前記反復操作を終了し、前記損傷脳領域の脳機能マッピングは該ボクセルに対応する脳機能領域を特徴づけるために用いられる。そうでなければ、前記損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを前記損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングに更新してから前記反復操作を継続して実行する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記側性特定ユニットは、さらに以下のように配置される。
【0033】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の半球自律指数に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
【0034】
又は、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の左右側機能領域表面の面積に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記リスク値確定ユニットは、さらに以下のように配置される。
【0035】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定する。
【0036】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳機能マッピングは、各ボクセル間の機能接続信頼度をさらに含み、前記提示ユニットは、さらに以下のように配置される。
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける各ボクセルの機能接続信頼度をリスク値のウェイトとして確定し、リスクウェイトマトリックスを取得する。
リスクウェイトマトリックスに従って左側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスクウェイトマトリックスを確定する。
左側リスクウェイトマトリックスおよび左側リスク値に基づいて、臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側画素値を確定する。
右側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスク値に基づいて、臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側画素値を確定する。
左側画素値及び右側画素値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定する。
【0037】
第3の態様によれば、本願は、
1つ又は複数のプロセッサと、
1つ又は複数のプログラムが記憶されている記憶装置と、
を含む電子機器であって、
前記1つ又は複数のプログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、1つ又は複数のプロセッサは、第1の態様のいずれか1つに記載の方法を実行する電子機器を提供する。
【0038】
第4の態様によれば、本願は、コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体であって、前記コンピュータプログラムが1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、第1の態様のいずれかの実施形態に記載の方法を実行する、コンピュータ可読記憶媒体を提供する。
【0039】
脳機能領域の位置特定及び側性特定を実現するために、現在一般的な技術手段は以下の通りである。
1.術中ウェイクアップ電気刺激
病変を切除する前に患者を麻酔状態からウェイクアップし、神経電気生理学的終了を利用して脳機能領域を正確に位置特定し、病変と機能領域の関係を探測するのが、現在、術前機能領域の位置特定の主な方法である。その欠陥は、開頭が必要であり、手術のリスクが高く、術中や術後に気道の閉塞、呼吸抑制、てんかん発作、頭蓋内圧の増加などの合併症が発生しやすく、病変の再発率を増加させる可能性がある。
【0040】
2.ワダックテスト(Wada Test)
脳血管造影の方法により、それぞれ両側の頸動脈又は経線動脈挿入管に穿刺し、イソペンタンバルビタール等の関連麻酔薬を注入して片側の脳を麻酔し、麻酔側の脳を機能一時停止状態にし、患者に対して言語及び記憶などのテストを行うことにより、判断して対側の脳半球の言語、記憶などの行動表現を観察するのが、現在、臨床上の脳機能の側性特定の主な方法である。その欠陥は、ワダックテストは一定の侵襲性を有し、患者が合併症、例えばてんかん発作、脳卒中及び一過性脳虚血病変などを発症しやすく、またアレルギー及び感染可能であり、操作が複雑で、費用が高額で、応用率が低く、この方法は脳機能の側性特定に用いて機能優位側を見つけることしかできず、機能領域をより正確に位置特定できない。
【0041】
3.タスク状態機能に基づく磁気共鳴側性特定位置特定方法
特定のタスクを行うことにより、脳機能有効化領域を取得し、側性化指数を算出し、特定機能領域を特定し、例えば、言語機能領域に関連する脳腫瘍患者の言語機能領域の位置特定及び側性特定を観察し、被験者が意味的、文法的な文章の正確性判断タスクをいくつか行い、両側中前頭回、両側上前頭回、両側上側頭回、左下側頭回などの領域が活性化され、これらの活性化された領域が言語機能領域と認定され、その後、言語機能側性化指数を算出する。その欠陥は、結果がタスクの設計及び患者のスキャン過程におけるタスクに対する配合度に非常に依存するが、多くの場合、患者(特に、子供、認知障害患者、機能障害重症患者)は、有効にタスク実行を完了することができない。
【0042】
4.安静時機能に基づく磁気共鳴側性特定位置特定方法
安静状態とは、覚醒状態において脳に大量の自発的なニューロン活動が存在し、その表現が血液酸素レベル信号に依存し、安静状態における低周波発振が脳機能ネットワーク内の異なる脳領域の間で高度な同期性を呈し、安静時磁気共鳴データに基づいて側性特定位置特定を行い、例えば、左右の脳機能接続強度に基づいて側性特定位置特定を行う。その欠陥は、現在大部分の安静時機能磁気共鳴方法による機能領域の側性特定位置特定の感度及び正確度は低い。
【0043】
本願によって提供される脳機能領域の位置特定及び側性特定方法、装置、機器及び記憶媒体は、まず、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得し、ここで、脳機能磁気共鳴画像データは、予め設定された数のボクセルにおける各ボクセルに対応する血液酸素レベル依存BOLD信号シーケンスを含み、そして、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピングを確定し、ここで、脳機能マッピングは、複数の脳機能領域を含み、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルについて、該臨床介入されるボクセル及び前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識を確定し、前記臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルは、同じ脳機能領域標識に対応し、各前記臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットについて、前記脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。即ち、被験者の個性化脳機能領域分割技術に基づいて、脳機能磁気共鳴画像データによって脳機能領域及び脳機能側性を特定することにより、非侵襲的に脳機能を検出することができ、脳機能領域に対して正確な位置特定及び側性特定を行うことができ、医師に脳外科手術計画の強力なサポートを提供し、従来の方法において個体の構造や機能の違いによる機能領域の位置側性特定が正確でないこと及び術後に合併症が生じやすいという問題を効果的に解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図面は、限定ではなく例として、本明細書で記載される様々な実施形態を示す。
【0045】
図1図1は、本願の一実施例が適用できる例示的なシステム構成図である。
図2図2は、本願の脳機能領域の位置特定及び側性特定方法による一実施例のフローチャートである。
図3図3は、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ202の一実施例の分解フローチャートである。
図4図4は、図3に示す実施例におけるステップ306の一実施例の分解フローチャートである。
図5図5Aは、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ205の一実施例の分解フローチャートである。図5Bは、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ205の別の実施例の分解フローチャートである。
図6図6は、本願の脳機能領域の位置特定及び側性特定装置の一実施例の構造模式図である。
図7】本願の端末デバイス又はサーバを実現するために適したコンピュータシステムの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願の実施例の特徴と技術内容をより詳細に理解できるように、以下、図面を参照して本願の実施例の実現について詳細に説明し、添付の図面は単に参照や説明のためのものであり、本願の実施例を限定するものではない。
【0047】
なお、本願の実施例に係る「第1\第2\第3」という用語は、類似する対象を区別するものであり、対象に対する特定の順序を表すものではなく、理解できるように、「第1\第2\第3」が許可された場合に特定の順序又は前後順位を入れ替えてもよい。「第1\第2\第3」の区別の対象は、ここで説明される本願の実施例がここで図示又は記述された以外の順序で実施できるように、適切な場合に交換されてもよい。
図1は、本願の脳機能領域の位置特定及び側性特定方法又は脳機能領域の位置特定及び側性特定装置を適用できる実施例の例示的なシステム構成図100を示す。
【0048】
図1に示すように、システム構成図100は、端末デバイス101、102、103、ネットワーク104及びサーバ105を含んでもよい。ネットワーク104は、端末デバイス101、102、103、及びサーバ105の間で通信リンクの媒体を提供するために使用される。ネットワーク104は、例えば、有線、無線通信リンク又は光ファイバーケーブルなどの様々な接続タイプを含んでもよい。
【0049】
ユーザは、端末デバイス101、102、103を使用して、ネットワーク104を介してサーバ105と対話し、メッセージ等を受信又は送信することができる。端末デバイス101、102、103には、例えば、磁気共鳴画像制御アプリケーション、機能磁気共鳴画像制御アプリケーション、ウェブブラウザアプリケーション、ショッピングアプリケーション、検索アプリケーション、インスタントメッセージングツール、メールボックスクライアント、ソーシャルプラットフォームソフトウェアなどの様々な通信クライアントアプリケーションがインストールされてもよい。
【0050】
端末機器101、102、103は、ハードウェアであってもよいし、ソフトウェアであってもよい。端末機器101、102、103がハードウェアである場合、ディスプレイを有する様々な電子機器であってもよく、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ラップトップポータブルコンピュータ及びデスクトップコンピュータなどを含むが、これらに限定されない。端末機器101、102、103がソフトウェアである場合、上記に挙げられた電子機器にインストールされてもよい。これは、複数のソフトウェア又はソフトウェアモジュール(例えば、脳構造磁気共鳴画像データ又は脳機能磁気共鳴画像データを提供するための処理)として実現されてもよく、単一のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。ここでは具体的に限定しない。
【0051】
サーバ105は、様々なサービスを提供するサーバ、例えば、端末デバイス101、102、103によって送信された磁気共鳴画像データを処理するバックグラウンドデータ処理サーバであってもよい。バックグラウンドデータ処理サーバは、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピングを確定して端末装置に送信することができる。
【0052】
なお、サーバ105は、ハードウェアであってもよいし、ソフトウェアであってもよい。サーバ105がハードウェアである場合、複数のサーバからなる分散型サーバクラスタとして実現されてもよく、単一のサーバとして実現されてもよい。サーバ105がソフトウェアである場合、複数のソフトウェア又はソフトウェアモジュール(例えば、分散サービスを提供するためのもの)として実現されてもよく、単一のソフトウェア又はソフトウェアモジュールとして実現されてもよい。ここでは具体的に限定しない。
【0053】
なお、本願に係る脳機能領域の位置特定及び側性特定の方法は、一般的にサーバ105によって実行され、それに応じて、脳機能領域の位置特定及び側性特定装置は、一般的にサーバ105に設けられる。
【0054】
なお、場合によっては、本願に係る脳機能領域の位置特定及び側性特定の方法は、サーバ105によって実行されてもよく、端末デバイス101、102、103によって実行されてもよく、サーバ105及び端末デバイス101、102、103によって共同で実行されてもよい。それに応じて、脳機能領域の位置特定及び側性特定装置は、サーバ105に設置されてもよく、端末装置101、102、103に設置されてもよく、一部がサーバ105に設置され、一部が端末装置101、102、103に設置されてもよい。それに応じて、システム構成図100は、サーバ105のみを含んでもよく、端末装置101、102、103のみを含んでもよく、端末装置101、102、103、ネットワーク104、及びサーバ105を含んでもよい。本願はこれを限定しない。
【0055】
図1における端末デバイス、ネットワーク及びサーバの数は、単なる例示である。必要に応じて、任意の数の端末デバイス、ネットワーク及びサーバを有してもよい。
【0056】
続いて、図2を参照すると、本願の脳機能領域の位置特定及び側性特定方法の一実施例のフロー200を示す。該脳機能領域の位置特定及び側性特定方法は以下のステップを含む。
ステップ201、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得する。
【0057】
本実施例において、脳機能領域測位及び側性特定方法の実行主体(例えば、図1に示すサーバ)は、まず、ローカル又はリモートで、上記主体ネットワークに接続された他の電子機器(例えば、図1に示す端末機器)から、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得することができる。
【0058】
本願の実施例において、脳構造磁気共鳴画像データは、被験者の脳に対して構造磁気共鳴画像を行って得られたデータを含み、脳機能磁気共鳴画像データは、被験者の脳に対して機能的磁気共鳴画像を行って得られたデータを含み、脳機能磁気共鳴画像データは、予め設定された数のボクセルにおける各ボクセルに対応する血液酸素レベル依存(Blood Oxygen Level Dependency、BOLD)信号シーケンスを含む。
【0059】
機能磁気共鳴画像によって得られたデータは、4次元画像に相当する時系列情報を含む。例えば、機能磁気共鳴画像を収集し、3次元の画像マトリックス(Length×Width×Height、L×M×N)を収集し、2秒ごとに1フレームを収集すると、6分間に150フレームのデータを収集でき、L×M×N×150の機能磁気共鳴画像データ信号を形成する。
【0060】
磁気共鳴画像によって得られたデータは、高解像度の3Dグレースケール解剖学的構造画像であり、例えば、T1w(T1強調画像---突出組織T1緩和(縦緩和)差)及びその相関画像、T2w(T2強調画像----突出組織T2緩和(横緩和)差)及びその関連画像、シーケンス(fluid attenuated inversion recovery、FLAIR)及びその関連画像などである。
本願の実施例において、機能磁気共鳴画像は、タスク状態機能磁気共鳴画像、及び/又は、安静時機能磁気共鳴画像を含んでもよい。
【0061】
安静時機能磁気共鳴画像は、被験者がスキャン中にいかなるタスクを実行しない場合に、被験者の脳部に対して磁気共鳴スキャンを行って得られた磁気共鳴画像であることが理解できる。タスク状態機能磁気共鳴画像は、被験者が目標タスクを実行する際に、被験者の脳に対して磁気共鳴スキャンを行って得られた磁気共鳴画像である。本願のいくつかの実施例において、安静時機能磁気共鳴画像によって被験者の脳機能磁気共鳴画像データを取得することができ、検査の複雑さを低下させるとともに、患者がタスクを協力して実行する必要がなく、患者の状態と実行タスクの配合度の依存を低減する。
【0062】
被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータを取得した後、様々な実現方法によって被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータに基づいて被験者の脳構造図を確定すること、即ち、被験者の脳の中の具体的などの領域がどの構造部材であるかを調べることができる。例えば、従来の3次元脳スキャンデータを処理するソフトウェア、例えば磁気共鳴データ処理ソフトウェア自由層再構成(FreeSurfer)を用いて実現することができる。また例えば、予め大量の脳構造画像スキャンサンプルデータと対応する脳構造部材のマークに基づいてディープラーニングモデルをトレーニングし、さらに被験者の脳構造磁気共鳴スキャンデータをトレーニングされたディープラーニングモデルに入力し、対応する脳構造図を得ることもできる。
【0063】
いくつかの選択可能な実施形態において、前記実行主体は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得した後、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに対して前処理を行う。本願において、前処理の処理方法は、具体的に限定されず、例示的に、前処理は以下を含んでもよい。
脳構造磁気共鳴画像データに対する前処理、例えば、頭蓋骨除去、電界強度補正、個体解剖構造分割、大脳皮質再構成などを含んでもよい。
脳機能磁気共鳴画像データに対する前処理、例えば、以下を含んでもよい。
(1)時間層補正、頭動作補正、時間信号フィルタリング、ノイズ成分回帰、空間平滑化など。
(2)脳機能磁気共鳴画像データ画像と構造像とのマッチング。
(3)脳機能磁気共鳴画像データ信号の構造像への投影。
【0064】
ここで、構造像は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ、被験者の脳構造磁気共鳴画像データに基づいて再構成された脳皮質又は相関群の平均レベルの脳構造像を含んでもよい。
ステップ202、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピングを確定する。
【0065】
ここで、脳機能マッピングは、少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識と対応するボクセル集合を含んでもよい。脳機能領域の具体的な数は、実際の必要とする分割に応じて確定されてもよく、例示的に、実際の応用によっては、脳機能マッピングは、2から1000の脳機能領域を含んでもよい。
【0066】
脳機能マッピング(英語フルネーム:brain functional atlas)は、「脳マッピング」又は「脳マップ」又は「機能マッピング」又は「脳機能ネットワークマッピング」と略称され、大脳皮質に対して脳機能領域分割を行い、脳の異なる機能を担当する異なる領域を標識するマッピングであり、標識された領域は、「機能領域」又は「機能ネットワーク」、すなわち脳機能領域とも呼ばれる。
【0067】
図3は、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ202の分解フローチャートであり、いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ202は具体的に以下のステップを含んでもよい。
【0068】
ステップ301、脳構造磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳構造が損傷を有するか否かを確定する。そうでなければ、ステップ302を行い、そうであれば、ステップ303を行う。
【0069】
本願において、脳構造の損傷とは、脳構造が完全な標準的な脳解剖構造と比較して、欠損、空間占有等の病変を有することを指し、例えば、前臨床的介入による又は外傷による脳構造の欠損、脳の局所的な萎縮による脳構造の欠損又は腫瘍の空間占有による脳構造の損失等を指す。
【0070】
ここで、脳構造磁気共鳴画像データと標準脳構造モデルデータとを比較することにより、被験者の脳構造が損傷を有するか否かを確定してもよく、又は、医学診断に基づいて脳構造磁気共鳴画像データにおける被験者の脳構造が損傷を有するか否かを判定してもよい。
ステップ302、脳機能磁気共鳴画像データに基づいて被験者の脳機能マッピングを確定する。
【0071】
まず、グループレベルの脳機能マッピングを被験者の脳機能磁気共鳴画像データに投影し、その後、正規化アルゴリズムにより、ネットワーク分割の結果が安定になるか又は反復終了条件に達し、例えば反復回数が実現設定値に達するまで、被験者の脳機能磁気共鳴画像データに基づいてこれらの機能領域の境界を段階的に調整する。正規化過程は、患者の脳接続個体差分布及び患者自身の脳映像信号対雑音比により、ネットワーク境界調整の幅を確定する。最後に、各解剖学的領域により得られた機能ネットワークを信号の関連性に従って融合することにより、被験者の脳機能マッピングを取得し、最終的に実際の必要に応じて全脳において2~1000個の機能領域を特定することができる。
【0072】
本願において、脳機能マッピングは、表面に基づく(Surface-based)2次元脳機能マッピング又は体積に基づく(Volume-based)3次元脳機能マッピングを含んでもよい。
ステップ303、被験者の損傷脳領域及び非損傷脳領域を確定し、損傷脳領域はM個のボクセルを含み、Mは2以上の正の整数である。
【0073】
脳構造磁気共鳴画像データに基づいて被験者の脳損傷脳領域を特定することができ、例えば、標準脳構造画像データと被験者の脳構造磁気共鳴画像データとを比較することにより、被験者の脳構造磁気共鳴画像データにおける標準脳構造画像データに比べて脳構造欠損を有する領域を被験者の脳損傷脳領域として特定することができる。
損傷脳領域マスク及び非損傷脳領域マスクを作成することにより、被験者の脳領域及び非損傷脳領域を特定することができる。
【0074】
マスク(mask)は、0と1からなるバイナリ画像であり、本願において、マスクは、脳機能マッピングに対応する2次元又は3次元のマスクであってもよい。ある機能にマスクを適用すると、1値領域が処理され、マスクされた0値領域は計算に含まれない。指定されたデータ値、データ範囲、有限又は無限値、関心領域及びアノテーションファイルによって画像マスクを定義してもよいし、上記選択肢の任意の組み合わせを入力として適用してマスクを作成してもよい。
ここで、脳領域マスクを損傷する確定方法は、以下の1つを含むことができる。
【0075】
(1)医師が経験に基づいて手書きした損傷脳領域マスクを取得する。
(2)従来の構造分割テンプレート、例えば、自動解剖学マークマッピングテンプレート、ブロッドマン(Brodmann)のマップ、Deskan-Killiany Atlasにより、損傷した領域に基づいてどの構造に関わるかを確定し、これらの構造を組み合わせて損傷脳領域マスクとする。
【0076】
(3)従来の脳機能分割テンプレート、例えば、Yeo 17機能ネットワークテンプレートにより、損傷した領域に基づいて、どの機能領域に係るかを特定し、これらの機能領域を組み合わせて損傷脳領域マスクとする。
(4)機械学習、ディープラーニングなどの方法によって損傷脳領域マスクなどを確定する。
非損傷脳領域は、脳領域を除く領域であり、脳領域を全脳領域から減じることにより得られる。
【0077】
ステップ304、脳機能磁気共鳴画像データに基づいて非損傷脳領域脳機能マッピングを確定し、非損傷脳領域脳機能マッピングはN個の脳機能領域を含み、Nは2以上の正の整数である。
【0078】
ここで、非損傷脳領域脳機能マッピングの確定方式は、一般的な脳機能マッピングと同様の確定方式を採用することができ、例えば、ステップ302における脳機能マッピング確定方法を採用し、ここでは説明を省略する。
ステップ306、損傷脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルとN個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度を確定する。
【0079】
本願において、相関度の確定は、ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスにより算出することができる。例示的に、各ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスは、T個のBOLD値を含み、Tは、走査時間に対応する時間次元のサンプリング数であり、ここで、2つのボクセルの間の相関度は、ボクセルに対応するT個のBOLD値に基づいてピアソン相関係数により算出することができ、ボクセルと脳機能領域との相関度は、ボクセルに対応するBOLD信号シーケンスと脳機能領域における各ボクセルのBOLD信号シーケンスとの平均値に基づいてピアソン相関係数により算出することができる。
本願において、相関係数はピアソンの相関係数であり、変数間の線形性を評価するための係数である。その計算式は以下の通りである。
【数1】
【0080】
式は、2つの連続変数(X,Y)のピアソン相関係数(ρx,y)は、それらの共分散cov(X,Y)をそれぞれの標準偏差の積(σX,σY)で割った値と等しい。係数の値は、常に-1.0から1.0の間にあり、0に近い変数は無相関になり、1又は-1に近いことは強い相関を持つと呼ばれる。
【0081】
ステップ307、M個のボクセルにおける各ボクセルについて、該ボクセルとN個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定し、被験者の脳機能マッピングを取得する。
【0082】
上記ステップ307について、非損傷脳機能領域脳機能マッピングは、ステップ305において確定されたため、つまり、被験者の非損傷脳機能領域における各ボクセルに対応する脳機能領域が確定されたため、脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルに対応する脳機能領域が確定された後、つまり、被験者の全脳機能磁気共鳴画像データにおける各ボクセルに対応する脳機能領域が確定され、さらに、被験者の脳機能マッピングを得ることが理解できる。
これにより、脳領域におけるM個のボクセルにおける各ボクセルの脳機能領域標識を確定することができる。
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ307は具体的に以下を含んでもよい。
N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として特定する。
【0083】
このようにして、損傷脳領域におけるM個のボクセルの脳機能領域を迅速に特定することができ、各ボクセルは、それとの相関度が最も高い非損傷脳領域における脳機能領域に対応し、損傷脳領域の各箇所と非損傷脳領域に対応する脳機能領域との相関度を明瞭に表記することができる。
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ307は具体的に以下を含んでもよい。
【0084】
N個の脳機能領域における各脳機能領域と該ボクセルとの相関度がいずれも予め設定された相関度閾値より小さいと確定されたことに応答して、該ボクセルに対応する脳機能領域を無効脳機能領域として確定する。
【0085】
本願において、無効脳機能領域は、被験者の非損傷脳領域との間に明らかな機能関連性を有していない機能領域を含んでもよい。例えば、脳腫瘍患者にとって、腫瘍領域の一部の頂点又はボクセルと全脳との機能接続がいずれも低く、これらを無効脳機能領域に分類することができ、該機能領域の切除又は破壊が患者に機能損傷を与えることがなく、別の例として、例えば、脳組織壊死患者にとって、脳組織壊死部分細胞新陳代謝停止後の機能が完全に失われ、脳壊死領域の頂点又はボクセルが完全脳と機能的に接続されず、これらを無効脳機能領域に分類することができ、残りのボクセルをその相関係数が最も強い機能領域に従って再配分する。ここで、予め設定された相関度閾値は、実際の必要に応じて設定することができ、例えば、0.2である。
【0086】
図4は、図3に示す実施例におけるステップ307の分解フローチャートである。いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ307は具体的に以下を含んでもよい。
【0087】
ステップ3071、N個の脳機能領域のうち、該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを取得する。
【0088】
ステップ3072、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングと非損傷脳領域脳機能マッピングとを組み合わせて、反復脳機能マッピングを取得し、反復脳機能マッピングはN個の反復脳機能領域を含む。
ステップ3073、該ボクセルとN個の反復脳機能領域における各反復脳機能領域との相関度を確定する。
【0089】
ステップ3074、N個の脳機能領域のうち、該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルの脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを取得する。
【0090】
ステップ3075、損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングと損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングとの一致度が予め設定された一致度閾値より大きいか否かを確定し、そうでない場合、ステップ3076を実行し、そうである場合、ステップ3077を実行する。
【0091】
いくつかの選択可能な実施形態において、ステップ3075は、ステップ3075の実行回数を確定し、実行回数が予め設定された循環回数閾値に達すると、ステップ3077を実行することをさらに含む。
【0092】
ステップ3076、ステップ3072における損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングに更新してからステップ3072を実行する。
ステップ3077、損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを損傷脳領域脳機能マッピングとして確定する。
ここで、損傷脳領域脳機能マッピングは、該ボクセルに対応する脳機能領域を特徴づけるために用いられる。
反復計算の方法により、脳領域における各ボクセルの脳機能領域を補正し続け、得られた脳領域の脳機能マッピングをより正確にする。
【0093】
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ307は以下を含んでもよい。損傷脳領域における各ボクセルと非損傷脳領域のN個の機能領域における各機能領域との相関度を確定し、損傷脳機能領域における各ボクセルとN個の機能領域との相関度が最も高い機能領域を該ボクセルの機能領域として確定し、損傷脳領域脳機能マッピングを取得し、非損傷脳領域脳機能マッピングと組み合わせて新しい全脳機能マッピングを得た後、正規化アルゴリズムを採用し、正規化的アルゴリズムは、損傷脳領域における各ボクセルと新しい全脳機能マッピングの各機能領域との相関係数を計算し、各損傷脳領域におけるボクセルを該ボクセルとの相関係数が最も高い機能領域に調整し、損傷脳領域脳機能マッピングを生成し、非損傷脳領域脳機能マッピングと組み合わせて新しい全脳機能マッピングを次回の正規化的演算における全脳機能マッピング影響信号とし、ネットワーク分割の結果が安定になるか、又は反復終了条件に達するまで、例えば、反復回数が実現設定値に達するまで、被験者の損傷脳領域の画像信号に基づいてこれらの機能領域の境界を段階的に調整し(正規化過程では、患者の脳接続個体差分布、及び被験者自身の脳画像信号対雑音比を利用して、ネットワーク境界調整の幅を確定する)、最終的な被験者の損傷脳領域脳機能マッピングを取得する。
【0094】
ステップ203において、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルについて、該臨床介入されるボクセル及び脳機能マッピングに基づいて該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識を確定する。
ここで、脳機能領域は、脳機能マッピングにおける脳機能領域標識及び無効脳機能領域標識を含む。
【0095】
臨床的介入は、様々な治療手段によってある疾患の進行に影響を及ぼすことを含み、例えば、臨床的に一般的な手術治療、化学的薬物治療、放射線治療、標的療法、免疫療法、介入療法などを含む。
【0096】
ここで、臨床介入されるボクセル集合は、臨床介入される被験者の脳領域に対応するボクセル集合である。臨床介入される被験者の脳領域を被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び/又は脳機能磁気共鳴画像データに投影することにより、臨床介入される被験者の脳領域に対応する臨床介入されるボクセル集合を確定することができる。臨床介入される被験者の脳領域は、被験者の病変脳構造領域、例えば、前臨床的介入による又は外傷による脳組織壊死の脳構造領域、腫瘍の空間占有の脳構造領域などを含んでもよく、ここでは例を挙げて説明したが、実際の応用において、臨床介入される被験者の脳領域は、被験者に対する術前診断に基づいて確定することができる。
【0097】
上記ステップ202により、被験者の脳機能マッピングを取得し、脳機能マッピングは、被験者の脳機能領域区分を特徴づけられ、臨床介入される被験者の脳領域に対応する脳構造領域を被験者の脳機能マッピングに投影することにより、臨床介入される被験者の脳領域に対応する脳構造領域に含まれる脳機能領域、すなわち、臨床介入される被験者の脳領域の脳機能領域を特定することができる。
【0098】
ステップ204、臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルが同じ脳機能領域標識に対応する。
臨床介入されるボクセルは、臨床介入されるボクセル集合に含まれるボクセルである。
【0099】
ここで、同一の脳機能領域標識の臨床介入されるボクセルを同一の臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに分割することにより、目標手術領域における臨床介入されるボクセルの脳機能領域分割を実現でき、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルはいずれも同一の脳機能領域に属し、同じ脳機能領域標識を有する臨床介入されるボクセルからなる臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを同一の脳機能領域に基づいて脳機能側性の確定を行う。
【0100】
ステップ205、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
本願において、脳機能領域の脳機能側性は、側性化指数(Latent alization Index、LI)で表される。
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ205は具体的に以下を含んでもよい。
【0101】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の半球自律指数(Autonomy Index、AI)に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定し、具体的に以下の通りである。
まず、以下の式により目標手術領域の脳機能領域のLIを算出する。
【0102】
【数2】
【0103】
AI:左側の手術領域の脳機能領域AI又は標準化されたAIの加算又は平均を表す。AI:右側の手術領域の脳機能領域AI又は標準化されたAIの加算又は平均を表す。
【0104】
さらにLIを正規化(Normalization)し、その範囲を-1から1の間に収め、本願において、LIの値が[-1、0)である場合、脳機能側性が左側であることを示し、LIの値が(0、1]である場合、脳機能側性が右側であることを示し、LIの絶対値の大きさは脳機能側性の度合いと正の相関がある。
本願において、LIを正規化することは、例えば、以下のスキーム1から4のいずれかのスキームを採用することができる。
スキーム1、LI_norm=(LI-LI(min))/(LI(max)-LI(min))。
LI_normは正規化後の側性化指数であり、LI(min)は、側性化指数の最小値であり、LI(max)は、側性化指数の最大値である。
スキーム2、LI_norm=(LI-LI(mean))/(LI(max)-LI(min))。
LI(mean)は、側性化指数平均値である。
スキーム3、LI_norm=lg(LI)。
スキーム4:LI_norm=atan(LI)*2/πである。
AIの計算は、例示的に、以下のように計算することができる。
【0105】
脳機能磁気共鳴画像データにおける各頂点/ボクセルを1つの関心領域(region of interest、ROI)とし、各ROIに対して、同側半球ROIとの機能接続強度と、対側半球ROIの機能接続強度とを計算する。
閾値(0.1-1)を設定することにより、ROI毎に閾値より大きい同側半球接続個数Niと対側半球接続個数Ncを集計する。
以下の式により自律指数AIを計算する。
【数3】
ここで、Hは同側半球頂点/ボクセル総数であり、Hは対側半球頂点/ボクセル数である。
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ205は具体的に以下を含んでもよい。
【0106】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の左右側機能領域の表面の面積に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。ここで、機能領域の表面の面積は、脳機能領域のボクセルの個数に対応する面積で表され、以下の式により算出される。
LI=(L-R)/(L+R)
ここで、Lは左側機能領域表面ボクセル数であり、Rは右側機能領域表面ボクセル数である。
図2に示すように、いくつかの選択可能な実施形態において、上記プロセス200は、以下のステップをさらに含む。
【0107】
ステップ206、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットについて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定する。
【0108】
ステップ207、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットについて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを提示する。
【0109】
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ207は、具体的に、脳機能マッピングにおける該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定された画素値に従って提示し、被験者の目標手術領域における該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを特徴づける脳機能領域及び脳機能側性のリスクマップを取得する。
【0110】
目標手術領域における各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを確定し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定することにより、目標手術領域に対して脳機能領域の正確な位置特定を実現し、手術関連機能領域のリスクマップを取得する。リスクマップ(Risk Map)は、ボクセルの画素値をマークすることによって目標手術領域における切除すべき部位の機能の重要度を提示することができ、該部分を切除した後に患者が機能障害のリスクにさらされ、重要度はリスクレベルと正の相関があり、例えば、赤色は重要であり、高リスクであり、黄色であり、一般であり、中リスクであり、緑色は重要ではなく、低リスクである。リスクマップの確定により、神経外科医は、患者に適した個性的な手術方案を策定し、手術時間を短縮し、手術の成功率を向上させ、患者の手術後に機能損傷が発生するリスクを低減する。
【0111】
図5Aは、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ206の一実施例の分解フローチャートである。手術リスク値は、左側リスク値及び右側リスク値を含む。いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ206は具体的に以下を含んでもよい。
【0112】
ステップa501、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定する。
ここで、左側リスク値をA、右側リスク値をB、側性化指数をCとし、左側リスク値及び右側リスク値が以下の条件を同時に満たす必要がある。
条件1:A+B=1
条件2:A-B=C
以上の2つの条件に基づいて、Cの値を計算に代入すると、AとBの値が得られる。
ステップa502、左側リスク値および右側リスク値を正規化する。
【0113】
ここで、AとBを様々な実現方法で正規化処理することができる。例えば、AとBをそれぞれAとBのうち大きい方で割った値をAとBの正規化後の値A_normとB_normと確定してもよく、即ちA>Bであれば、A_norm=A/A=1、B_norm=A/B、A<Bであれば、A_norm=A/B、B_norm=B/B=1である。
それに応じて、ステップ206は、具体的には、正規化された左側リスク値および右側リスク値を可視化することを含んでもよい。
【0114】
ここで、可視化は、例えば、正規化された左側リスク値及び右側リスク値を被験者の脳機能マッピングに投影することによって実現されてもよく、例えば、左側リスク値及び右側リスク値をそれぞれ2つの色に対応させ、リスク値数値の大きさに基づいて脳機能マッピングにおける各ボクセルに対応する画素値を対応させて可視化を実現する。
【0115】
図5Bは、図2に示す脳機能領域の位置特定及び側性特定方法におけるステップ206及びステップ207のもう一つの実施例の分解フローチャートであり、いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップ206は具体的に以下を含んでもよい。
【0116】
ステップb501、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定する。
ステップb502、左側リスク値および右側リスク値を正規化する。
【0117】
ここで、ステップb501及びb502の具体的な実施形態及び技術的効果は、上記実施例におけるa501及びa502の具体的な実施形態及び技術的効果と基本的に同じであり、ここでは説明を省略する。
それに応じて、上記ステップ207は具体的に以下を含んでもよい。
【0118】
ステップb503、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける各ボクセルの機能接続信頼度をリスク値のウェイトとして確定し、リスクウェイトマトリックスを取得する。
【0119】
被験者の脳機能マッピングを確定する過程において、被験者の脳機能領域に加えて、被験者の脳機能磁気共鳴画像データにおける各ボクセルと各脳機能領域との間の機能接続係数を確定し、ここで、機能接続係数は、ボクセルと脳機能領域との間の相関度を表すために用いられる。いずれかのボクセルと各脳機能領域機能接続係数をランキングし、一番目の機能接続係数と二番目の機能接続係数との比を該ボクセルの機能接続信頼度(confidence)値とし、ボクセルの機能接続信頼度値は、該ボクセルとそれとの間の機能接続係数が最も大きい脳機能領域の信頼度を反映し、ボクセルの機能接続信頼度値が高いほど、信頼度が強くなる。
ステップb504、リスクウェイトマトリックスに基づいて左側リスクウェイトマトリックス及び右側リスクウェイトマトリックスを確定する。
【0120】
例えば、ここで、リスクウェイトマトリックスがWであると仮定し、具体的には、上記実行主体は、Wにおける手術に関連する右側の脳機能領域の頂点/ボクセルに対応する値を0に設定すると、左側の脳リスクウェイトマトリックスW(L)、即ち、左側のリスクウェイトマトリックスが得られ、リスクウェイトマトリックスWにおける手術に関連する左側の脳機能領域の頂点/ボクセルに対応する値を0に設定すると、右側の脳リスクウェイトマトリックスW(R)、即ち、右側のリスクウェイトマトリックスが得られる。
【0121】
ステップb505、左側リスクウェイトマトリックス及び左側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側画素値を確定し、右側リスクウェイトマトリックス及び右側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側画素値を確定する。
【0122】
人の脳の主な構造は左右の脳によって区分され、実際には手術を行う際に左右脳の記述が必要であるため、左側リスクマップ及び右側リスクマップを確定することができる。ここで、左側リスクマップは、目標手術領域における左側リスクのボクセルを提示するために用いられ、右側リスクマップは、目標手術領域における右側リスクのボクセルを提示するために用いられる。
【0123】
左側リスクウェイトマトリックスW(L)に左側正規化リスク値A_normを乗算し、左側リスクマップRiskmap(L)、即ちRiskmap(L)=W(L)*A_normが得られ、右側リスクウェイトマトリックスW(R)に右側正規化リスク値B_normを乗算し、右側リスクマップRiskmap(R)、即ちRiskmap(R)=W(R)*B_normが得られる。
ステップb506、左側画素値及び右側画素値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定する。
左側画素値と右側画素値を組み合わせて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を得る。
【0124】
いくつかの選択可能な実施形態において、上記ステップb505は、具体的に、左側画素値を脳機能マッピングに対応して投影して、被験者の該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスクマップを提示し、右側画素値を脳機能マッピングに対応して投影して、被験者の該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側リスクマップを提示することを含んでもよい。
【0125】
それに応じて、上記ステップb506は、具体的に、左側リスクマップと右側リスクマップとを組み合わせて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応するリスクマップを得ることを含んでもよい。
目標手術領域の左、右側リスクマップRiskmap(L)及びRiskmap(R)を組み合わせて目標手術領域のリスクマップを得ることもできる。
【0126】
本願は、リスクマップを可視化する方法について具体的に限定せず、上記実行主体は、実際の手術に応じてグレースケール、色彩、輝度の組み合わせを選択してリスクマップの可視化表示を行うことができ、目標手術領域の脳機能領域の切除リスクを明瞭に表示することができればよい。
【0127】
本願の実施例に係る脳機能領域の位置特定及び側性特定方法は、個体の被験者の脳機能領域に基づいて、脳機能磁気共鳴データによって脳機能の優位側と機能領域を位置特定する。従来の術前側性位置特定方法では、脳の機能的側性と機能領域を安全かつ効果的に特定することはできない。磁気共鳴及び機能磁気共鳴映像技術を用いて、非侵襲的に脳機能を検出することができる。本願は、脳機能磁気共鳴画像を利用して、個性化脳機能領域分割技術に基づいて脳機能を正確に側性位置特定し、医師が脳外科手術計画を行うために強力な理論サポート及び技術的サポートを提供する。従来の方法における個体の構造や機能の違いによる機能領域の側性位置特定が正確ではなく、術後に合併症が生じやすいという問題を効果的に解決することができる。精確な術前側性位置特定技術を発展させ、個性化脳機能領域分割技術によって精確に側性位置特定を行う。
【0128】
さらに、図6を参照すると、上記各図に示された方法の実現として、本願は、脳機能領域の位置特定及び側性特定装置の一実施例を提供し、該装置の実施例は図2に示す方法の実施例に対応し、該装置は具体的に様々な電子機器に適用できる。
【0129】
図6に示すように、本実施例の脳機能領域位置特定及び側性特定装置600は、データ取得ユニット601、処理ユニット602、位置特定ユニット603及び側性特定ユニット604を含む。
データ取得ユニット601は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データを取得するように配置される。
【0130】
処理ユニット602は、脳構造磁気共鳴画像データ及び脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピングを確定するように構成され、ここで、脳機能マッピングは、少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識及び対応するボクセル集合を含む。
【0131】
位置特定ユニット603は、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルについて、該臨床介入されるボクセル及び脳機能マッピングに基づいて該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識を確定するように構成され、ここで、脳機能領域標識は、脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含む。
【0132】
側性特定ユニット604は、臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルが同じ脳機能領域標識に対応し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、脳機能マッピングに基づいて該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定するように配置される。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳機能領域位置特定及び側性特定装置600は、さらに以下のユニットを含んでもよい。
【0133】
リスク値確定ユニット605、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値を確定するように配置される。
いくつかの選択可能な実施形態において、前記脳機能領域位置特定及び側性特定装置600は、さらに以下のユニットを含んでもよい。
【0134】
提示ユニット606、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対して、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する手術リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定し、確定された画素値に従って該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを提示するように配置される。
いくつかの選択可能な実施形態において、処理ユニット602は、さらに以下のように配置される。
脳構造磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳構造が損傷を有するか否かを特定する。
被験者の脳構造が損傷していなければ、脳機能磁気共鳴画像データから被験者の脳機能マッピングを確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、処理ユニット602は、さらに以下のように配置される。
被験者の脳構造が損傷を有する場合、被験者の損傷脳構造体を確定する。
損傷脳構造領域に基づいて被験者の損傷脳領域及び非損傷脳領域を確定し、損傷脳領域はM個のボクセルを含み、Mは2以上の正の整数である。
【0135】
脳機能磁気共鳴画像データに基づいて非損傷脳領域脳機能マッピングを確定し、非損傷脳領域脳機能マッピングはN個の脳機能領域を含み、Nは2以上の正の整数である。
損傷脳領域に対応するM個のボクセルにおける各ボクセルとN個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度を確定する。
【0136】
M個のボクセルの各々について、該ボクセルとN個の脳機能領域における各脳機能領域との間の相関度に基づいて、予め設定された機能領域分類規則に従って該ボクセルに対応する脳機能領域を確定し、被験者の脳機能マッピングを取得する。
いくつかの選択可能な実施形態において、処理ユニット602は、さらに以下のように配置される。
N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として特定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、処理ユニット602は、さらに以下のように配置される。
【0137】
N個の脳機能領域における各脳機能領域と該ボクセルとの相関度がいずれも予め設定された相関度閾値より小さいと確定されたことに応答して、該ボクセルに対応する脳機能領域を無効脳機能領域として確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、処理ユニット602は、さらに以下のように配置される。
【0138】
N個の脳機能領域のうち該ボクセルと相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルに対応する脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを取得する。
【0139】
以下の反復操作を実行する。損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングと非損傷脳領域脳機能マッピングとを組み合わせて反復脳機能マッピングを取得し、反復脳機能マッピングはN個の反復脳機能領域を含む。該ボクセルとN個の反復脳機能領域における各反復脳機能領域との間の相関度を確定する。N個の脳機能領域のうち該ボクセルとの相関度が最も高い脳機能領域を該ボクセルの脳機能領域として確定し、損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを取得する。損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングと損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングとの一致度が予め設定された一致度閾値よりも大きいか否かを確定し、そうであれば、損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングを損傷脳領域脳機能マッピングとして確定し、反復操作を終了し、損傷脳領域脳の機能マッピングは該ボクセルに対応する脳機能領域を特徴づけるために用いられる。そうでなければ、損傷脳領域の第1反復脳機能マッピングを損傷脳領域の第2反復脳機能マッピングに更新してから前記反復操作を継続して実行する。
いくつかの選択可能な実施形態において、側性特定ユニット604は、さらに以下のように配置される。
【0140】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の半球自律指数に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
【0141】
又は、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能領域の左右側機能領域表面の面積に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
いくつかの選択可能な実施形態において、リスク値確定ユニット605は、さらに以下のように配置される。
【0142】
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する機能側性に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側リスク値及び右側リスク値を確定する。
【0143】
いくつかの選択可能な実施形態において、脳機能マッピングは、各ボクセル間の機能接続信頼度をさらに含み、提示ユニット606は、さらに以下のように配置される。
該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける各ボクセルの機能接続信頼度をリスク値のウェイトとして確定し、リスクウェイトマトリックスを取得する。
リスクウェイトマトリックスに基づいて左側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスクウェイトマトリックスを確定する。
左側リスクウェイトマトリックスおよび左側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する左側画素値を確定する。
右側リスクウェイトマトリックスおよび右側リスク値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する右側画素値を確定する。
左側画素値及び右側画素値に基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する画素値を確定する。
【0144】
なお、本願に係る脳機能領域の位置特定及び側性特定装置における各ユニットの実現詳細及び技術的効果は、本願の他の実施例を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0145】
以下、図7を参照し、本願の端末機器又はサーバを実現するためのコンピュータシステム700の構成模式図が示されている。図7に示す端末装置又はサーバは、一例に過ぎず、本願の機能及び使用範囲に対して何ら制限を与えない。
【0146】
図7に示すように、コンピュータシステム700は、リードオンリメモリ(ROM、Read Only Memory)702に記憶されているプログラム、又は記憶部708からランダムアクセスメモリ(RAM、Random Access Memory)703にロードされたプログラムに従って、各種の適切な動作および処理を実行することが可能な中央処理ユニット(CPU、Central Processing Unit)701を含む。RAM 703には、システム700の動作に必要な各種プログラムやデータも記憶されている。CPU 701、ROM 702、およびRAM 703は、バス704により相互に接続されている。バス704には、入力/出力(I/O、Input/Output)インターフェース705も接続されている。
【0147】
I/Oインターフェース705には、キーボード、マウス等を含む入力部706、陰極線管(CRT、Cathode Ray Tube)、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)等及びスピーカー等を含む出力部707、ハードディスク等を含む記憶部708、LAN(Local Area Network)カード、モデム等のネットワークインターフェースカードを含む通信部709が接続される。通信部709は、インターネット等のネットワークを介して通信処理を行う。
【0148】
特に、本願の実施例によれば、上記フローチャートを参照して説明したプロセスは、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現されてもよい。例えば、本願の実施例は、コンピュータ可読媒体上にロードされるコンピュータプログラムを含むコンピュータプログラム製品を含み、該コンピュータプログラムは、フローチャートに示される方法を実行するためのプログラムコードを含む。このような実施例において、該コンピュータプログラムは、通信部709を介してネットワークからダウンロード及びインストールされてもよい。このコンピュータプログラムが中央処理ユニット(CPU)701によって実行されると、本願の方法において限定された上記機能が実行される。なお、本願のコンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読信号媒体又はコンピュータ可読記憶媒体又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、電気、磁気、光、電磁、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、又は任意の以上の組み合わせであってもよいが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例は、1つ又は複数の導線を有する電気接続、ポータブルコンピュータ磁気ディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、光記憶デバイス、磁気記憶デバイス、又は上記の任意の適切な組合せを含み得るが、これらに限定されない。本願において、コンピュータ可読記憶媒体は、プログラムを含む又は記憶するいかなる有形の媒体であってもよく、該プログラムは、指令実行システム、装置又はデバイスによって使用され又はそれらと組み合わせて使用されてもよい。本願において、コンピュータ可読信号媒体は、ベースバンド、又は搬送波の一部として伝送されるデータ信号を含んでもよく、コンピュータ可読プログラムコードがロードされている。このような伝播するデータ信号は、電磁信号、光信号又は上記の任意の適切な組み合わせを含むが、これらに限定されない様々な形態を採用することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該コンピュータ可読媒体は、指令実行システム、装置又はデバイスによって使用され又はそれらと組み合わせて使用されるためのプログラムを送信、伝播又は伝送することができる。コンピュータ可読媒体上に含まれるプログラムコードは、任意の適切な媒体によって伝送され得るが、これらに限定されない。
【0149】
本願の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードは、Java、Smalltalk、C++、Pythonのようなオブジェクト指向プログラミング言語を含み、「C」言語又は類似のプログラミング言語などの従来の手続き型プログラミング言語をさらに含む、1つ又は複数のプログラミング言語又はそれらの組み合わせで、作成することができる。プログラムコードは、完全にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、部分的にユーザコンピュータ上で実行されてもよく、独立したソフトウェアパッケージとして実行されてもよく、部分的にユーザコンピュータ上で部分的にリモートコンピュータ上で実行されてもよく、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバ上で実行されてもよい。遠隔コンピュータに関わる場合、遠隔コンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介してユーザコンピュータに接続されてもよく、又は外部コンピュータに接続されてもよい(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用してインターネットを介して接続される)。
【0150】
図面におけるフローチャートおよびブロック図は、本願の様々な実施例によるシステム、方法およびコンピュータプログラム製品の実現可能なシステム構成図、機能および動作を示す。この点において、フローチャート又はブロック図における各ブロックは、所定の論理機能を実現するための1つ又は複数の実行可能命令を含むモジュール、ブロック、又はコードの一部を表すことができる。代替として、ブロックに記載された機能は、図面に記載された順序とは異なる順序で発生されてもよいことに留意されたい。例えば、2つの連続的に示されるブロックは、実際には基本的に並行して実行されてもよく、場合によってはこれらは逆の順序で実行されてもよく、係る機能によって定められる。なお、ブロック図及び/又はフローチャートにおける各ブロック、及びブロック図及び/又はフローチャートにおけるブロックの組み合わせは、所定の機能又は操作を実行する専用のハードウェアによるシステムで実現されてもよく、又は専用ハードウェアとコンピュータ命令との組み合わせで実現されてもよい。
【0151】
本願にかかるユニットは、ソフトウェアの方式で実現されてもよく、ハードウェアの方式で実現されてもよい。記述されたユニットは、プロセッサに設けられてもよく、例えば、スキャンデータ取得ユニットと、処理ユニットと、位置特定ユニットと、側性特定ユニットとを含むプロセッサとして記述されてもよい。ただし、これらのユニットの名称は、場合によっては該ユニット自体を限定するものではない。
【0152】
別の態様として、本願は、コンピュータ可読媒体をさらに提供し、該コンピュータ可読媒体は、上記実施例に記載の装置に含まれるものであってもよく、単独で存在し、該装置に組み込まれていないものであってもよい。上記コンピュータ可読媒体は、1つ又は複数のプログラムがロードされ、上記1つ又は複数のプログラムが該装置によって実行されるとき、該装置は、被験者の脳構造磁気共鳴画像データおよび脳機能磁気共鳴画像データを取得し、脳構造磁気共鳴画像データおよび脳機能磁気共鳴画像データに基づいて、被験者の脳機能マッピングを確定し、ここで、脳機能マッピングは、少なくとも2つの脳機能領域の脳機能領域標識および対応するボクセル集合を含み、臨床介入されるボクセル集合における各臨床介入されるボクセルについて、該臨床介入されるボクセルおよび脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識を確定し、ここで、脳機能領域標識は、脳機能マッピングにおける脳機能領域標識を含み、臨床介入されるボクセル集合を各臨床介入されるボクセルに対応する脳機能領域標識に従って分割し、少なくとも1つの臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットを取得し、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットにおける臨床介入されるボクセルは、同じ脳機能領域標識であり、各臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットについて、脳機能マッピングに基づいて、該臨床介入される脳機能領域ボクセルのサブセットに対応する脳機能側性を確定する。
【0153】
以上の記載は、単に本願の好ましい実施例及び運用技術原理についての説明である。当業者であれば、本開示に係る発明の範囲は、上記の技術的特徴の特定の組み合わせに限定されるものではなく、上記の発明思想を逸脱しない限り、上記の技術的特徴又はその均等な特徴によって任意に組み合わせて形成される他の技術的形態も含むことを理解すべきである。例えば、上記特徴を本願に開示される(限定されない)類似する機能を有する技術的特徴と相互に置き換えて形成される技術的手段である。
本願の実施例に記載の技術形態の間は、衝突しない場合、任意に組み合わせてもよい。
【0154】
以上のように、本願の具体的な実施形態に過ぎず、本願の保護範囲はこれに限定されず、当業者が本願に開示された技術的範囲内において、変更又は置換を容易に想到することができ、いずれも本願の保護範囲内に含まれるべきである。したがって、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準じる。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
【国際調査報告】