(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-26
(54)【発明の名称】亜鉛金属有機構造体材料の合成方法
(51)【国際特許分類】
C07C 51/41 20060101AFI20240619BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20240619BHJP
B01J 20/30 20060101ALI20240619BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240619BHJP
C07C 55/07 20060101ALI20240619BHJP
C07F 3/06 20060101ALN20240619BHJP
【FI】
C07C51/41
B01J20/22 A
B01J20/30
B01J20/28 Z
C07C55/07
C07F3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023550242
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 IB2022051562
(87)【国際公開番号】W WO2022175927
(87)【国際公開日】2022-08-25
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518334613
【氏名又は名称】スヴァンテ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】ガーッファリ-ニク,オミド
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】シゼロン,ジョエル
(72)【発明者】
【氏名】マッソウミファード,ニマ
(72)【発明者】
【氏名】モラアイ,アザデェー
(72)【発明者】
【氏名】トイ,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ホヴィントン,ピエール
【テーマコード(参考)】
4G066
4H006
4H048
【Fターム(参考)】
4G066AA18A
4G066AA37A
4G066AA43A
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4G066AB06D
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4G066FA35
4G066FA37
4G066FA38
4H006AA02
4H006AC90
4H006BB14
4H006BB31
4H006BC10
4H048AA02
4H048AC90
4H048BC10
4H048VA66
4H048VB10
(57)【要約】
本発明の実施形態は、一般に、金属有機構造体(MOF)、具体的には、式Zn2Ht2Oxを有する亜鉛MOFを調製する方法に関する。方法は、一般に、100°C以下の温度かつ約1気圧の圧力にある液体懸濁液中で、少なくとも1つのシクロアゾカルビル化合物、例えばN-複素環化合物をオキサレート(またはジカルボン酸またはジチオ化合物)と、亜鉛カチオンと接触させることを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Zn
2Ht
2Oxの組成のZn MOFを調製する方法であって、式中、Htが、第1のN-複素環式化合物であり、1,2,4-トリアゾレート、または1,2,4-トリアゾレートと少なくとも第2のN-複素環式化合物との組み合わせのいずれかであり、前記第2のN-複素環式化合物が前記第1のN-複素環式化合物とは異なり、Oxが、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態、ジカルボン酸またはジチオ化合物であり、Znが亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、前記第1のN-複素環式化合物、前記Ox、および水を含む溶媒を接触させ、
前記Zn MOFの結晶を形成することを含む方法。
【請求項2】
前記第1のN-複素環式化合物、前記Oxおよび水を含む溶媒を接触させる工程が、前記第2のN-複素環式化合物を前記第1のN-複素環式化合物、前記Oxおよび前記溶媒と接触させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のN-複素環式化合物を第1のシクロアゾカルビルとして添加する工程が、前記第2のN-複素環式化合物を第2のシクロアゾカルビル化合物として添加することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第1の工程中に亜鉛塩または酸化亜鉛を亜鉛試薬として溶液または懸濁液に添加し、
第2の工程中にシュウ酸塩を前記溶液または前記懸濁液に添加し、および
第3の工程中に前記第1のN-複素環式化合物を第1のシクロアゾカルビル化合物として、前記溶液または前記懸濁液に添加することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が、水のみであることをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記亜鉛試薬が酸化亜鉛をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記亜鉛試薬が酢酸亜鉛をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項8】
前記亜鉛試薬が亜鉛塩をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項9】
前記亜鉛試薬が、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛脱水物、塩化亜鉛、または硝酸亜鉛のうちの1つをさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項10】
前記液体懸濁液の前記温度が15°C~100°Cの範囲内である、請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記Oxが、前記オキサレートとスクアレートとの混合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記Oxが、前記オキサレートとルベアネートとの混合物である、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記Htが、1,2,4-トリアゾレートと第2のシクロアゾカルビル化合物との組み合わせをさらに含み、前記第2のシクロアゾカルビル化合物が5員環または6員環を含み、少なくとも二座であり、前記5員環または6員環が2、3または4個の窒素原子を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記5員環または6員環が、-NH
2、C
1-C
3アルキルアミノ、C
1-C
3ジアルキルアミノ、C
1-C
3アルキル、C
2-C
3アルケニル、またはC
2-C
3アルキニルから選択される非水素置換基で置換された5員環または6員環をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記Htが、1,2,4-トリアゾレートと、イミダゾレート、1,2,4-トリアゾレート、ピラゾレートおよびテトラゾレートのうちの少なくとも1つとの組み合わせである、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
式Zn
2Ht
2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFを調製する方法であって、式中、Htが1,2,4-トリアゾレートであり、Oxがオキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり、Znが亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、1,2,4トリアゾール、シュウ酸塩、および亜鉛塩または酸化亜鉛、および水を含む溶媒を接触させることを含む、方法。
【請求項17】
前記溶媒がさらに、水のみを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
任意の1つの成分の、5%以下の化学量論的過剰で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
10%~100%の範囲内のトリアゾールの化学量論的過剰で実施される、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
第1の工程において亜鉛試薬を添加することをさらに含む、請求項16~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記亜鉛試薬が、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛脱水物、塩化亜鉛、または硝酸亜鉛のうちの1つをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記亜鉛試薬が酸化亜鉛をさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
オキサレート試薬を添加することをさらに含む、請求項16~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記オキサレート試薬が、シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウムもしくはシュウ酸のうちの1つ、またはそれらのいずれかの組み合わせをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
水性アルコールを添加することをさらに含む、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
水性アルコールを添加する工程が、1種の低級アルコールを含有する水性アルコールを添加することをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記1種の低級アルコールが、水性エタノールまたは水性メタノールをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記水性アルコールが、1種以上のアルコールを10体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを10体積%以上含有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記水性アルコールが、1種以上のアルコールを25体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを25体積%以上含有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記水性アルコールが、1種以上のアルコールを50体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを50体積%以上含有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記水性アルコールが、1種以上のアルコールを40~60体積%、特に1種以上の低級アルコールを40~60体積%含有する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
15°C~30°Cの温度範囲内の温度で反応を行うことをさらに含む、請求項16~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
混合する前に、1種以上の試薬および/または前記液体懸濁液の温度を所望の温度に制御することをさらに含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
混合する前に、前記1種以上の試薬および/または前記液体懸濁液を15°C~60°Cの温度に制御することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
混合する前に、前記1種以上の試薬および/または前記液体懸濁液を15°C~90°Cの温度に制御することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
混合する前に、前記1種以上の試薬および/または前記液体懸濁液を15°C~100°Cの温度に制御することをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
最後の試薬または前記最後の試薬のための懸濁液の添加後、反応混合物が大気圧下で加熱還流され得ることをさらに含む、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記Zn MOFが、Cu Kα線を用いて10°<20<15°の範囲内に最高強度回折ピークを有する粉末X線回折パターンを含む、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記Zn MOFが、77°Kの窒素収着等温線で450m
2/g以上のラングミュア表面積を含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記Zn MOFが、単一ドメイン結晶内に細孔を有し、前記単一ドメイン結晶内の前記細孔が、0.3nm~2nmの範囲の孔径を有する、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、金属有機構造体の合成方法に関する。より詳細には、本発明は、亜鉛含有金属有機構造体の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属有機構造体(本明細書では「MOF」と称する)および多孔性配位ポリマー(本明細書では「PCP」と称する)は、金属イオンまたは金属イオンクラスターを連結する有機スペーサで構成されたネットワーク固体の部類である。これらの材料は、その高い表面積、および細孔が透過する規則的な(結晶性)構造を含む錯体金属の特性のために有用である。これらの材料は、その規則性によって、X線回折技術による構造的特徴付けに受け入れられる。この特性は、ガスの迅速な吸着にとって特に興味深い。この部類の材料は、ガス、例えば工業排出物からの二酸化炭素(本明細書では「CO2」と称する)の吸着および分離、例えばCO2のアミンスクラビングの代替に提案されている。
【0003】
少量の大気中水分でさえも秩序および多孔性を損なう可能性があるので、水安定性は、多くのMOFにとって弱点であることが示されている。高いCO2捕捉容量と、水分または蒸気の存在下での高い安定性とを併せ持つ材料を特定することは難題である。工業煙道ガスは両方の分子を含み、CO2捕捉の前に煙道ガスから水分を除去することは、非常に大きなエネルギーコストの不利益をもたらすだけでなく、捕捉システムの資本コストを不必要に増加させる。
【0004】
2017年10月10日に交付された「METAL ORGANIC FRAMEWORK,PRODUCTION AND USE THEREOF」と題する米国特許第9,782,745号は、特定のZn MOFが、窒素と比較して、CO2への高い吸着選択性と共に高いCO2吸着容量を示し、さらに良好な熱安定性および水に対する良好な安定性を示すことを開示している。その中のMOFは、完全な可逆性を有し、吸着および脱着の複数サイクルに供することができた。
【0005】
「SYNTHESIS OF ZINC MOF MATERIALS」と題されたPCT国際公開第2019/204934号は、米国特許第9,782,745号に開示されているZn MOFを調製するための合成技術の改善を教示している。
【0006】
米国特許第9,782,745号およびPCT公開WO 2019/204934の両方は、細孔を有する金属有機構造体(MOF)を開示しており、構造体は、亜鉛イオン、オキサレート、およびシクロアゾカルビル化合物を含む。その中のMOFのシクロアゾカルボニル化合物は、2、3または4個の窒素原子を有する少なくとも二座として、典型的には5員環の一部として記載される。その中のシクロアゾカルビル化合物の例は、イミダゾレート、トリアゾレートおよびテトラゾレート、より具体的には1,2,4-トリアゾレート、1H-1,2,4-トリアゾレート-1-カルボキサミジン、3-アミノ-1,2,4-トリアゾレート、イミダゾレート、4-フルオロイミダゾレート、2-メチル-イミダゾレートおよび1,2,3,4-テトラゾレートである。その中で特に興味深いのは、化学式Zn2Tz20x(式中、Tz=1,2,4-トリアゾレート、Ox=オキサレート)を有する、CALF-20と呼ばれるZn(II)材料である。
【0007】
米国特許第9,782,745号は、CALF-20として特定されるZn MOFのこのファミリー内の特定の例の合成を例示し、それは、周囲圧力を超える圧力で密閉されたオートクレーブ中で溶媒熱的にバッチプロセスとして実施される。この手順では、シュウ酸Zn(II)、ならびにZnおよびオキサレートの両方に対して化学量論的に過剰の1,2,4-トリアゾールを、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ライニングオートクレーブ中で水およびメタノールに添加した。その後、混合物を密封したオートクレーブ中で180°Cに48時間加熱し(すなわち、高圧で)、水で洗浄した。このプロセスの空時収率は約40kg/m3/h程度と比較的低く、合成コストはCALF-20および関連するMOFにとって重大な制限要因となる。反応は、純粋なメタノールまたはエタノール中で行うこともできる。続いて、オートクレーブ法により調製されたCALF-20は、PXRD(粉末X線回折)で評価されるように、酸化亜鉛不純物を含む場合があることが分かっており、これを、24時間200°Cに加熱する2つの工程を含み、各工程の間に冷却および洗浄工程を含むアニーリングプロセスによって完全に除去する。しかしながら、この精製工程は、CALF-20の合成にさらなる時間およびコストを追加する。
【0008】
国際公開第2019/204934号は、温度および圧力を下げてCALF-20を調製するための合成技術の改善を開示している。この方法は、反応媒体中に亜鉛塩を添加する前に、シクロアゾカルビルと、オキサレート、または追加のキレート化配位子と混合されたオキサレートとの化合物を形成することに依存する。本開示はまた、低アルコールと水との混合物の、単なる溶媒としての使用を例示する。
【0009】
ガス分離用途におけるCALF-20などのZn MOFの商業適応の障壁として、複雑な合成プロセス、および従来の合成プロセスを使用する高い合成コストが挙げられる。当技術分野で知られている合成プロセスの具体的な欠点としては、例えば、低い空時収率、有害な溶媒の使用、および/または分離しにくい不純物の形成が挙げられる。合成中の溶媒の使用は、安全な処理およびハンドリングのための適切な装置およびプロセスの必要性を含む、課題をもたらす。これらの障壁の1つ以上を克服する新規PCPおよびMOF合成技術が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第9,782,745号明細書
【特許文献2】国際公開第2019/204934号
【発明の概要】
【0011】
本発明の広範な態様では、式Zn2Ht2Oxの組成のZn MOFを調製する方法は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートから選択される第1のN-複素環式化合物、または1,2,4-トリアゾレートと少なくとも第2のN-複素環式化合物との組み合わせであり、ここで第1のN-複素環式化合物は第2のN-複素環式化合物とは異なり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態またはジカルボン酸またはジチオ化合物であり;
・Znは亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、第1のN-複素環式化合物および場合により第2のN-複素環式化合物、オキサレートまたはジカルボン酸またはジチオ化合物、および水を含む溶媒を接触させ、Zn MOFの結晶を形成することを含む。
【0012】
本発明の別の広範な態様では、式Zn2Ht2Oxの組成のZn MOFを調製する方法は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートから選択される第1のN-複素環式化合物、または1,2,4-トリアゾレートと第2のN-複素環式化合物との組み合わせであり、
ここで第1のN-複素環式化合物は第2のN-複素環式化合物とは異なり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態またはジカルボンまたはジチオ化合物であり;
・Znは亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、第1のN-複素環式化合物、場合により第2のN-複素環式化合物、オキサレートまたはジカルボン酸またはジチオ化合物、および水のみからなる溶媒を接触させ、Zn MOFの結晶を形成することを含む。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFを調製する方法は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートであり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり;
・Znは、亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、1,2,4トリアゾール、シュウ酸塩および亜鉛塩または酸化亜鉛を、水を含む溶媒と接触させることを含む。
【0014】
本発明のなおさらなる実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFを調製する方法は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートであり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり;
・Znは、亜鉛カチオンであり、
100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁液中で、1,2,4トリアゾール、シュウ酸塩および亜鉛塩または酸化亜鉛を、水のみからなる溶媒と接触させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】国際公開第2019/204934号に記載の通りに製造されたCALF-20 Zn MOFの粉末X線回折(PXRD)を、実施例3および実施例4に記載の通りに製造されたZn MOFと比較する。X線回折線1、2、および3の回折ピークは実質的に同じであり、これらの方法によって調製されたZn MOFが実質的に同じ構造を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義:
アルキルという用語は、1~12個の炭素原子を含み得る一価飽和炭化水素ラジカル(C1-C12アルキル)を指す。アルキル基は、直鎖または分岐であり得る。アルキル基は置換されていてもよい。特定の実施形態では、アルキルはC1-C3アルキルである。
【0017】
アミノアルキルという用語は、-NHR一価ラジカルを指し、Rは上記のアルキル基である。
【0018】
ジアルキルアミノという用語は、-N(R)2一価ラジカルを指し、各Rは上記のアルキル基である。特定の実施形態では、RはC1-C3アルキルである。
【0019】
アミノという用語は-NH2基を指す。
【0020】
シクロアルキルという用語は、3~8員の炭素環を有するアルキルラジカルを指す。シクロアルキル基は置換されていてもよい。
【0021】
アルケニルという用語は、1つ以上の二重結合を含有する、2~12個の炭素原子を含み得る一価炭化水素ラジカル(C1-C12アルキル)を指す。アルケニル基は、直鎖または分岐であり得る。アルケニル基は置換されていてもよい。
【0022】
シクロアルケニルという用語は、3~8員の炭素環を有するアルケニルラジカルを指す。1つ以上の二重結合は炭素環内にある。シクロアルキル基は置換されていてもよい。一実施形態では、シクロアルケニル基は1つ以上の二重結合を含む。
【0023】
アルキニルという用語は、1つ以上の三重結合を含有する、2~12個の炭素原子を含み得る一価炭化水素ラジカル(C2-C12アルキニル)を指す。
【0024】
N-複素環式という用語は、5~8員環を含有する化学種を指し、環は少なくとも1つの窒素を含む。他の環員は、炭素、1つ以上の追加の窒素、または1つ以上の酸素もしくは硫黄であってもよい。環は、1つ以上の二重結合を含んでいてもよく、または芳香族であってもよい。
【0025】
低級アルコールという用語は、1~4個の炭素原子を有するアルキルアルコールを指し、そのすべての異性体を含む。この用語は、低級アルコールの混合物を含む。特定の実施形態では、低級アルコールはエタノールである。
【0026】
水性アルコールは、水およびアルコール、好ましくは低級アルコールを含有する混合物を指す。水性アルコールは、2種以上のアルコールの混合物、好ましくは2種以上の低級アルコールの混合物を含有し得る。
【0027】
化学量論的過剰とは、式Zn2Ht2Oxで定義される化学量論量を超える試薬または化合物の相対量を指し、ここで数は、生成物中の化合物の相対モル含有量を表す。
【0028】
溶媒は、試薬または化合物を懸濁または溶解するために使用される液体媒体を指す。
【0029】
室温は、約15°C~約30°Cの範囲の温度である。
【0030】
大気という用語は、人および/またはプロセスが動作する周囲環境を指す。標準大気圧力は、海面で101キロパスカルである。
【0031】
亜鉛化合物という用語は、液体または固体としての2つ以上の亜鉛含有材料を指す。
【0032】
国際公開第2019/204934号は、水以外の溶媒(非水系溶媒)と共に特定の添加順序を用いる、Zn MOFを製造する合成方法を開示している。
【0033】
本合成方法は、望ましい特性、例えば1つ以上のガス種の選択的吸着ならびに良好な熱および蒸気曝露安定性有する多孔質結晶構造の、例えばCALF-20を含むZn MOFを製造する。本方法は、分離しにくい不純物の形成を低減する一方で、合成および溶媒のより経済的な条件を提供するだけでなく、合成中の圧力容器の使用を省く。本方法はまた、国際公開第2019/204934号に開示されている方法と比較して、合成溶媒としての軽質アルコールの使用を省くことができ、かつ/または試薬の添加工程を省くことができる。さらに、本方法は、国際公開第2019/204934号に開示されている試薬添加の順序の変更を含み、それにより高収率および高純度を提供しながら、所望のZn MOF構造を形成するための反応時間を大幅に短縮する。
【0034】
本発明の方法は、使用される装置の種類に大きく影響を与え、既存の化学工業プラントにおいて比較的容易に本発明の合成方法を適合させることを可能にするだけでなく、合成中の有害化学物質を含む廃棄物の量を除去または低減する。さらに、本方法は、反応時間の大幅な短縮およびいくつかの洗浄または精製工程の省略により、国際公開第2019/204934号に開示されている方法と比較して高い合成時空間収率を可能にする。
【0035】
亜鉛試薬として、酸化亜鉛の使用も実証されており、国際公開第2019/204934号の教示から逸脱している。本方法は、溶解度の低いZn2+含有MOFの形成によって駆動されるZnOの溶解が、未反応のZnOをほとんど残さない、溶解および再沈殿を介した生成物の比較的迅速な形成を可能にすることを実証している。
【0036】
本発明は、亜鉛含有MOFまたは式:Zn2Ht2OxのZn MOFを調製する方法に関し、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートから選択される第1のN-複素環式化合物、またはN-複素環式化合物(1,2,4-トリアゾレート)と第2のN-複素環式化合物との組み合わせであり、第1のN-複素環式化合物は第2のN-複素環式化合物とは異なり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり;
・Znは、亜鉛カチオンである。
【0037】
一実施形態では、本発明は、式:Z^F OxのZn MOFを製造する方法を提供し、式中、Znは亜鉛カチオンであり、Htは、第1のN-複素環式化合物、特に第1のシクロアゾカルビル化合物、もしくはより具体的には1,2,4-トリアゾレート;または第1のN-複素環式化合物、特に第1のシクロアゾカルビル化合物、もしくはより具体的には1,2,4-トリアゾレートと、少なくとも第2のN-複素環式化合物、特に第2のシクロアゾカルビル化合物との組み合わせであり、ここで第1のN-複素環式化合物および第1のシクロアゾカルビル化合物は、第2のN-複素環式化合物および第2のシクロアゾカルビル化合物とは異なり、Oxは、オキサレート、またはオキサレートとオキサレート以外の1つ以上のキレート化配位子との組み合わせであり、方法は、100°C以下の温度の液体懸濁液中で、1,2,4-トリアゾール、シュウ酸塩、および場合により亜鉛塩または酸化亜鉛を、大部分または全体が水で構成される溶媒と接触させることを含む。
【0038】
実施形態では、本発明はさらに、オキサレートおよび1,2,4-トリアゾレートを含有する式:Zn2Ht2CLxのZn MOFに関することができ、式中、Znは亜鉛カチオンであり、Htは、第1のN-複素環式化合物、特に第1のシクロアゾカルビル化合物、より具体的には1,2,4-トリアゾレートと、少なくとも第2のN-複素環式化合物、特に第2のシクロアゾカルビル化合物との組み合わせであり、ここで第1のN-複素環式化合物は第2のN-複素環式化合物とは異なり、LCは、オキサレートと、オキサレート以外の1つ以上のキレート化配位子との組み合わせである。特に、実施形態は、第2のシクロアゾカルビル化合物がイミダゾレート、1,2,4-トリアゾレート、ピラゾレートもしくはテトラゾレートであり、かつ/または他のキレート化配位子がスクアレート(スクアリン酸)もしくはルベアネート(ルベアン酸)である、Zn MOFに関することができる。
【0039】
亜鉛の亜鉛試薬として、酸化亜鉛の使用も開示される。
溶解度の低いZn2+含有MOFの形成によって駆動されるZnOの溶解は、合成プロセスの終わりに未反応のZnOをほとんど残さないことができる、溶解および再沈殿を介した生成物の比較的迅速な形成を可能にする。
【0040】
一般的なZn MOF生成物は、化学量論Zn2Ht2Oxを有し、式中、Htはシクロアゾカルビルであり、Oxはオキサレート、またはオキサレートと任意の別の配位子の組み合わせである。
【0041】
特定の生成物CALF-20は、化学量論Zn2Tz2Oxを有し、式中、Tzは1,2,4-トリアゾレートであり、Oxはオキサレートである。現在、Zn MOF、特にCALF-20を形成する反応は、任意の1つの成分の最大5%の化学量論的過剰で行うことができると考えられている。
【0042】
一実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFの合成は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートから選択される第1のN-複素環式化合物、または第1のN-複素環式化合物(1,2,4トリアゾレート)と第2のN-複素環式化合物との組み合わせであり、ここで第1のN-複素環式化合物は、第2のN-複素環式化合物とは異なり、
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態またはジカルボン酸またはジチオ化合物であり、
・Znは亜鉛カチオンであり、
第1のN-複素環式化合物および場合により第2のN-複素環式化合物、オキサレートまたはジカルボン酸またはジチオ化合物、および場合により亜鉛塩または酸化亜鉛を、約100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁物中で、水を含む溶媒と接触させることを含む方法を含むことができる。この合成方法は、Zn MOF結晶の調合物をもたらすことができる。
【0043】
実施形態は、第1の工程中に亜鉛塩または酸化亜鉛を亜鉛試薬として溶液または液体懸濁液に添加すること、第2の工程中にシュウ酸塩を溶液または液体懸濁液に添加すること、ならびに第3の工程中に第1のN-複素環式化合物、および場合により第2のN-複素環式化合物をシクロアゾカルビル化合物、特に第2のシクロアゾカルビル化合物として溶液または液体懸濁液に添加することをさらに含むことができ、第3の工程は第2の工程の後であり、第2の工程は第1の工程の後である。
【0044】
実施形態は、亜鉛試薬としての亜鉛塩または酸化亜鉛、第1のN-複素環式化合物、および場合によりシクロアゾカルビル化合物、特に第2のシクロアゾカルビル化合物としての第2のN-複素環式化合物、およびシュウ酸塩を混合して混合物を形成し、続いて混合物に溶媒を添加することをさらに含むことができる。
【0045】
別の実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFの合成は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートから選択される第1のN-複素環式化合物、または第1のN-複素環式化合物(1,2,4トリアゾレート)と第2のN-複素環式化合物との組み合わせであり、ここで第1のN-複素環式化合物は、第2のN-複素環式化合物とは異なり、
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態またはジカルボン酸またはジチオ化合物であり、
・Znは亜鉛カチオンであり、
第1のN-複素環式化合物および場合により第2のN-複素環式化合物、オキサレートまたはジカルボン酸またはジチオ化合物を、約100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧以内の圧力にある液体懸濁物中で、水のみからなる溶媒と接触させることを含むことができる。
【0046】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は任意の第2のシクロアゾカルビル化合物であり、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は5員環または6員環を含み、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は少なくとも二座であり、環は2、3または4個の窒素を含み、環は、-NH2、C1-C3アルキルアミノ、C1-C3ジアルキルアミノ、C1-C3アルキル、C2-C3アルケニル、またはC2-C3アルキニルから選択される非水素置換基で置換されていてもよい。
【0047】
他の実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は二座であり得る。
【0048】
なおさらなる実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は、5員環または6員環を含む。
【0049】
他の実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は非置換であり得る。
【0050】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は、二座かつ非置換であり得る。
【0051】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は非置換1,2,4-トリアゾレート、非置換1,2,3-トリアゾレート、非置換テトラゾレート、非置換イミダゾレート、または非置換ピラゾレートであり得る。
【0052】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は任意の第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は、イミダゾレート、トリアゾレート、1.2.4-トリアゾレート、1,2,3-トリアゾレート、ピラゾレートまたはテトラゾレートであり得る。
【0053】
他の実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は任意の第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物はキレート化配位子であり得、1.2.4-トリアゾリウムオキサレートである。
【0054】
さらに、他の実施形態では、第1のN-複素環化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は、1H-1,2,4-トリアゾレート-1-カルボキサミジン、3-アミノ-1,2,4-トリアゾレート、イミダゾレート、4-フルオロイミダゾレート、2-メチル-イミダゾレートおよび1,2,3,4-テトラゾレートからなる群から選択することができる。
【0055】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は任意の第2のシクロアゾカルビル化合物であり得る。
【0056】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビル化合物であり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得、第1のシクロアゾカルビル化合物および任意の第2のシクロアゾカルビル化合物は非置換1,2,4-トリアゾレートであり得る。
【0057】
実施形態では、第1のN-複素環式化合物および任意の第2のN-複素環式化合物の一部は、反応物として1.2.4-トリアゾールについて置換されて、1.2.4-トリアゾレートを有するシクロアゾカルビル配位子の混合物を有するZn MOFを形成することができる。
【0058】
実施形態では、第2のシクロアゾカルビル化合物はイミダゾレート、1,2,4-トリアゾレート、ピラゾレートもしくはテトラゾレートであり得、かつ/または他のキレート化配位子はスクアレート(スクアリン酸から)もしくはルベアネート(ルベアン酸から)である。
【0059】
実施形態では、反応に添加される1,2,4-トリアゾールの第2のシクロアゾカルビル化合物に対するモル比は、1:1(それぞれ50モル%)~100:1の範囲である。
【0060】
実施形態では、反応に添加される1,2,4-トリアゾールの第2のシクロアゾカルビル化合物に対するモル比は、5:1以上であり得る。
【0061】
実施形態では、反応に添加される1,2,4-トリアゾールの第2のシクロアゾカルビル化合物に対するモル比は、10:1以上であり得る。
【0062】
1,2,4-トリアゾールに加えて複数のシクロアゾカルビル化合物を本明細書の反応に使用できることが理解されよう。そのような場合、1,2,4-トリアゾールの、他のシクロアゾカルビル化合物の全混合物(例えば、他のシクロアゾカルビル化合物は、第2のシクロアゾカルビル化合物および第3のシクロアゾカルビル化合物を有することができる)に対するモル比は、上記の比から計算することができ、例えば、1:1のモル比は、それぞれの50モル%の当量である。シュウ酸の水和物は、シュウ酸二水和物であり得る。
【0063】
実施形態において、二酸は、スクアリン酸であり得る。
【0064】
実施形態では、ジチオ化合物はルベアン酸であり得、その場合ジチオ化合物は代替キレート化剤であり得る。
【0065】
実施形態では、反応に添加される第1の配位子、例えば、オキサレートの第2の配位子に対するモル比は、1:1(それぞれ50モルパーセント)~100:1の範囲である。
【0066】
実施形態では、反応に添加される第1の配位子、例えば、オキサレートの第2の配位子に対するモル比は、5:1以上ある。
【0067】
実施形態では、反応に添加される第1の配位子、例えば、オキサレートの第2の配位子に対するモル比は、10:1以上ある。
【0068】
本明細書の反応では、オキサレートに加えて2つ以上のキレート化配位子を使用できることが理解されよう。そのような場合、他のキレート化配位子、例えば第2の配位子および第3の配位子の全混合物に対するオキサレートのモル比は、上記の比から計算することができる。
【0069】
実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFの合成は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートであり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり;
・Znは、亜鉛カチオンであり、
約100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧の圧力範囲内の圧力にある液体懸濁液中で、1,2,4トリアゾール、オキサレート試薬、および亜鉛塩または酸化亜鉛を、水を含む溶媒と接触させることを含み得る。
【0070】
実施形態では、式:Zn2Ht2Oxの亜鉛含有MOFまたはZn MOFの合成は、式中、
・Htは、1,2,4-トリアゾレートであり;
・Oxは、オキサレート、二酸のシュウ酸のジアニオン形態であり;
・Znは、亜鉛カチオンであり、
約100°C以下の温度かつ0.9~1.1気圧の圧力範囲内の圧力にある液体懸濁液中で、1,2,4トリアゾール、オキサレート試薬、および亜鉛塩または酸化亜鉛を、水のみからなる溶媒と接触させることを含む。
【0071】
いくつかの実施形態において、Zn MOFを形成する反応は、任意の1つの成分、例えば、Ht成分、Ox成分および/またはZn成分の5%以下の化学量論的過剰で行うことができる。
【0072】
実施形態では、Zn MOFを形成する反応は、10%~100%の範囲内のトリアゾールの化学量論的過剰で行うことができる。
【0073】
実施形態では、亜鉛塩は、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛脱水物、塩化亜鉛、または硝酸亜鉛からなる亜鉛試薬であり得る。
【0074】
実施形態では、酸化亜鉛は亜鉛試薬であり得る。
【0075】
実施形態では、オキサレート試薬は、シュウ酸リチウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウムまたはシュウ酸、またはそれらのいずれかの組み合わせである。
【0076】
実施形態では、1種の低級アルコールを含有する水性アルコールを添加することができる。水性アルコールは、溶媒および/または分散剤として使用することができる。
【0077】
実施形態では、水性アルコールは、水性エタノールまたは水性メタノールであり得る。
【0078】
実施形態において、水性アルコールは、1種以上のアルコールを10体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを10体積%以上含有することができる。
【0079】
実施形態において、水性アルコールは、1種以上のアルコールを25体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを25体積%以上含有することができる。
【0080】
実施形態において、水性アルコールは、1種以上のアルコールを50体積%以上、特に1種以上の低級アルコールを50体積%以上含有することができる。
【0081】
実施形態において、水性アルコールは、1種以上のアルコールを40~60体積%、特に1種以上の低級アルコールを40~60体積%含有することができる。
【0082】
別個の液体溶液または液体懸濁液は、シュウ酸に対する、シクロアゾカルビル化合物に対する所望の化学量論量の亜鉛塩または酸化亜鉛対をそれぞれ含有することができ、これは、2:1:2の亜鉛カチオン対シュウ酸対シクロアゾカルビル化合物総量のモル比であり得る。例えば、第1のシクロアゾカルビル化合物、または第1および第2のシクロアゾカルビル化合物を反応に使用することができる。
【0083】
好ましくは、実施形態において、生成物の収率を最大化するために、かつ/または洗い流されにくい共沈殿物の形成を最小化するために、3つの成分、亜鉛カチオン、オキサレートおよび1つ以上のシクロアゾカルビル化合物を3つの成分のいずれかと、5%以下の化学量論的(モル)過剰または欠乏で組み合わせることができる。
【0084】
実施形態において、液体溶液または液体懸濁液の添加の順序は、以下の通りであり得る:第1の工程において、第1のシクロアゾカルビル、場合により第2のシクロアゾカルビルおよびオキサレートを添加し、その後、亜鉛化合物を添加する第2の工程が続く;第1の工程において、亜鉛化合物を第1のシクロアゾカルビルおよび場合により第2のシクロアゾカルビルと共に添加し、最後にオキサレートを添加する第2の工程が続く;第1の工程において、亜鉛化合物をオキサレートと共に添加し、第1のシクロアゾカルビルおよび場合により第2のシクロアゾカルビルを最後に添加する後続の工程が続く;または、第1の工程において、すべての固体成分、例えば、第1のシクロアゾカルビル、場合により第2のシクロアゾカルビル、オキサレート、および亜鉛化合物を混合し、溶媒を最後に添加する第2の工程が続く。第1のN-複素環式化合物は第1のシクロアゾカルビルであり得、任意の第2のN-複素環式化合物は第2のシクロアゾカルビル化合物であり得る。第1のN-複素環式化合物は、第2のN-複素環式化合物とは異なる。
【0085】
使用される出発物質が不純物を含有する場合、当業者によって理解されるように、所望の化学量論からの意図しない逸脱が起こり得る。所望の化学量論を達成するために必要な純度の出発物質は市販されているか、または当技術分野で周知の方法によって調製することができる。
【0086】
次いで、得られた混合物を、Zn MOFの形成が完了するまで撹拌することができる。
【0087】
反応は、周囲室温、例えば約15°C~約30°C、または場合により約100°Cまでの温度で行うことができる。試薬懸濁液は、場合により、混合前に室温を超えて加熱することができる。
【0088】
実施形態において、試薬、懸濁液および/または溶液は、混合前に、周囲温度より高い温度、例えば約15°C、好ましくはおよその周囲温度から約60°Cの温度、より好ましくはおよその周囲温度から約30°Cの温度に加熱および/または制御される。
【0089】
他の実施形態において、試薬、懸濁液および/または溶液は、混合前に、周囲温度より高い温度、例えば約15°C、好ましくはおよその周囲温度から約90°Cの温度、より好ましくはおよその周囲温度から約60°Cの温度に加熱および/または制御される。
【0090】
さらに、他の実施形態において、試薬、懸濁液および/または溶液は、混合前に、周囲温度より高い温度、例えば約15°C、好ましくはおよその周囲温度から約100°Cの温度、より好ましくはおよその周囲温度から約90°Cの温度に加熱および/または制御される。
【0091】
実施形態では、最後の試薬または試薬懸濁液の添加後、溶媒の損失を回避するために、適切な冷却器または関連する既知の装置を使用して、反応混合物を大気圧下で加熱還流することができ、その還流温度は、使用される溶媒または溶媒混合物に依存する。
【0092】
反応混合物を加熱すると、Zn MOFの形成速度が増加することが発見される。
【0093】
前述の方法のZn MOFは、任意の適切な濾過方法によって懸濁液から回収し、適切な溶媒、水、低級アルコールまたはそれらの混和性混合物で洗浄することができる。洗浄溶媒は、反応に使用されるものと同じであっても異なっていてもよい。洗浄溶媒は、好ましくは、反応に使用される溶媒と同じである。
【0094】
反応の完了度および生成物の純度は、PXRD(粉末X線回折)によって、またはBrunauer-Emmett-Teller(BET)表面積分析を使用して粉末表面積を試験することによって、または比ガス吸着特性を測定することによって評価することができる。
【0095】
実施形態では、本明細書の方法によって調製されたZn MOFは、Cu Kα線を用いて10°<20<15°の範囲内に最高強度回折ピークを有する粉末X線回折パターンを有する。
【0096】
実施形態では、本明細書の方法によって調製されたZn MOFは、粉末の形態であり、当技術分野で知られているように、77°Kで窒素収着等温線に適用されたラングミュア収着モデルに従って決定された、450m2/g以上のラングミュア表面積を有する。
【0097】
本明細書の方法によって調製されたZn MOFは、細孔を有する。一実施形態では、Zn MOFは、単一ドメイン結晶内に細孔を有し、単一ドメイン結晶内の細孔は、0.3~2nmの範囲の孔径を有する。本明細書の方法によって調製される好ましいZn MOFは、nm単位で0.4~1.9、0.5~1.8、0.6~1.7、または0.7~1の範囲の孔径を有することができる。特定の実施形態では、本明細書の方法によって調製されたZn MOFは、nm単位で、または約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9または約2.0の孔径を有することができる。
【0098】
本明細書に記載される通りに調製されたZn MOFは、第1の成分、例えば酸性ガス成分または二酸化炭素を、第1の成分、酸性ガスまたは二酸化炭素を含有するガス混合物から収着分離するための方法に使用することができ、分離方法は、(a)ガス混合物を、Zn MOFを含む少なくとも1つの収着剤と接触させる工程、(b)第1の成分をZn MOF中および/またはZn MOF上に収着し、ガス混合物と比較して第1の成分が枯渇した第1の生成物ガス流を回収する工程、および(c)圧力スイング、温度スイング、分圧スイングおよび水分スイングのうちの少なくとも1つによって、選択的に吸着された、または第1の成分をZn MOFから脱着し、ガス混合物と比較して第1の成分が濃縮された第2の生成物ガス流を回収する工程を含む。
【0099】
Zn MOFは、100~1000マイクロメートルの厚さの収着剤シートに形成することができ、それは、ガス成分の分離、特に二酸化炭素の分離および工業用煙道ガスからの除去を目的として、接触器、平行流路接触器、または接触器床へとさらに組み立てられる。
【実施例】
【0100】
以下の反応は、特に指示がない限り、成分を加熱することなく周囲室温および周囲室圧で行われる。
【0101】
熱重量分析は、設定温度および設定濃度のCO2下で、選択された粉末試料上のCO2の吸着度を評価するための簡単なツールである。以下の実施例では、窒素中15% CO2下、50°CでのCO2採択能力を使用して、開示された種々の例示的合成プロセスによって形成された生成物の品質を検証する。
【0102】
[実施例1]
まず、MOF結晶が形成された水性溶媒中に、大気還流条件下(100°C)でZnを添加し、付加工程なしでZn MOFを調製した。オーバーヘッド撹拌機、熱電対、冷却器および加熱マントルを備えた5リットルの3口丸底フラスコに、塩基性炭酸亜鉛336g(3mol)を充填し、50rpmの低速撹拌下でDIH2O 600mlを添加した。シュウ酸二水和物粉末190.6g(1.507mol)を100rpmの撹拌下で8分間で添加し、その間にCO2が放出された。投入後、スラリーを150rpmで30分間撹拌してCO2を放出させた。400mlのDIH2Oに溶解した1,2,4-トリアゾール208.9g(3mol)を5分でフラスコに添加し、続いて約30分間さらに撹拌し、その間にCO2をさらに放出した。水性懸濁液を250rpmで撹拌しながら還流温度まで加熱し、およそ100°Cで1時間保持した。次いで、懸濁液を回収し、濾過のためにブフナー漏斗に移す前に、冷蒸留水をスラリー生成物に添加することによってその温度を急冷した。次いで、形成されたケーキを、濾液導電率が100マイクロジーメンス/cm未満になるまで蒸留水ですすいだ。粉末を空気下110°Cで約20時間乾燥させた後、529gの粉末を得た(理論重量に対して99%)。窒素中15% CO2を含む50°Cでの粉末CO2容量は、46.2.0cc/gで測定された。
【0103】
[実施例2]
オーバーヘッド撹拌機、熱電対、冷却器および加熱マントルを備えた500mlの三口丸底フラスコを使用した。フラスコに、33.6g(0.3mol)の塩基性炭酸亜鉛、シュウ酸二水和物19.06g(0.15mol)および1,2,4-トリアゾール20.89g(0.3mol)を投入した。撹拌しながら、蒸留水110mlを30分で添加した。水を添加した後、スラリーを250rpmの撹拌でさらに20分間撹拌して反応を完了させ、CO2を放出させた後、350rpmでの撹拌下、加熱還流(約100°C)を1時間を維持した。蒸留水をスラリー生成物に添加し、ブフナー漏斗で吸引濾過し、続いて濾液の導電率が100マイクロジーメンス/cm未満になるまでケーキを蒸留水でフラッシングした。粉末を110°Cで約20時間乾燥させた後、53.3gの粉末を得た(理論重量に対してほぼ100%)。50°C、窒素中15% CO2での乾燥粉末CO2容量は34.9cc/gであった。
【0104】
[実施例3]
500mlのジャケット付きビーカー内で、酢酸亜鉛脱水粉末(44g、0.2mol)を、50°Cで既に温めた蒸留水120mlに溶解した。塩が完全に溶解した後、シュウ酸脱水粉末(12.6g、0.1mol)を溶液を混合しながらゆっくりと溶液に添加した。30分後、1,2,4-トリアゾール(21gまたは0.3mol)をゆっくり添加し、溶液を50°Cで一晩混合した。スラリーの固形分は、39.3重量%程と計算された。反応完了後、沈殿した生成物をブフナー漏斗で吸引濾過し、続いて濾液の導電率が100マイクロジーメンス/cm未満になるまでケーキを蒸留水で洗浄した。粉末を110°Cで約20時間乾燥させた後、30gの粉末を得た。50°C、窒素中15% CO2での乾燥粉末CO2容量は42.4cc/gであった。
【0105】
[実施例4]
500mlのジャケット付きビーカー内で、酢酸亜鉛脱水粉末(44g、0.2mol)を、50°Cで既に温めたDIH2O 80mlに溶解した。亜鉛塩が完全に溶解した後、シュウ酸脱水粉末(12.6g、0.1mol)を混合しながらゆっくりと溶液に添加した。30分後、1,2,4-トリアゾール(21g、0.3mol)をゆっくり添加し、溶液を50°Cで一晩混合した。スラリーの固形分は、実施例3と比較して49.2重量%に増加した。粉末を110°Cで約20時間乾燥させた後、30gの粉末を得た。50°C、窒素中15% CO2での乾燥粉末CO2容量は42.6cc/gであった。
【0106】
[実施例5]
500mlのジャケット付きビーカー内で、酢酸亜鉛脱水粉末(44g、0.2mol)を、50°Cで既に温めたDIH2O水120mlに溶解した。亜鉛塩が完全に溶解した後、シュウ酸脱水粉末(12.6g、0.1mol)を混合しながらゆっくりと溶液に添加した。30分後、1,2,4-トリアゾール(28g、0.4mol)をゆっくり添加し、溶液を50°Cで一晩混合した。スラリーの固形分は、41.0重量%程と計算された。反応完了後、沈殿した生成物をブフナー漏斗で吸引濾過し、続いて濾液の導電率が100マイクロジーメンス/cm未満になるまでケーキを蒸留水でフラッシングした。粉末を110°Cで約20時間乾燥させた後、28gの粉末を得た。50°C、窒素中15% CO2での乾燥粉末CO2容量は41.0cc/gであった。
【0107】
[実施例6]
図1は、実施例3、実施例4で調製された材料、および国際公開第201 9/204934号に記載されている方法に従って調製された材料のX線回折パターンを示し、比較する。
図1において、x軸は2θ度であり、y軸は強度である。X線回折線1は、国際公開第2019/204934号に開示されている方法によって調製された材料に関する。X線回折線2は、実施例3で調製した材料に関し、X線回折線3は、実施例4で調製した材料に関する。X線回折線1、2、および3の回折ピークは実質的に同じであり、これらの方法によって調製された材料が実質的に同じ構造を有することを示す。
【0108】
[実施例7]
高剪断ミキサーを備えた1リットルビーカーを、150mlのMeOH(ACSグレード)および150mlのRO H2O(逆浸透水)で充填した。350rpmの撹拌下で、シュウ酸二水和物77.2g(98%、0.6mol)および1,2,4-トリアゾール84.4g(99%、1.21mol)を順次添加する。化合物形成のために混合物を1.5時間撹拌し、その間に粘度が上昇し、撹拌速度を1245rpmに調整して十分な撹拌を提供する。塩基性炭酸亜鉛135.3g(58% Zn、1.2mol)を5時間、少しずつ添加し、この間に撹拌速度を1245rpmから3277rpmに調整した。
80mlの追加の溶媒(MeOH/H2O=1/in vol)を添加して、乾燥しすぎと思われるスラリーを希釈した。一晩(16時間)撹拌し、82mlのMeOH/H2O(1/1 vol)を加えてスラリーを湿らせ、4397rpmで18時間まで撹拌した。サンプルを採取し、90°Cのオーブンで乾燥させ、15% CO2/50°CでのCO2容量についてTGAで試験する。21時間の撹拌後、反応を停止し、後処理および乾燥後、容量は、50°Cでの窒素中15% CO2下のCO2について44.1cc/gであった。
【0109】
[実施例8]
アンカー形状のブレードおよび非表示オーバーヘッドスターラーを備えた1リットルビーカーを、100mlのMeOH(ACSグレード)および100mlのRO H2Oで充填した。非スプラッシュ撹拌下で、塩基性炭酸亜鉛112.75g(58% Zn、1.0mol)を添加した。1,2,4-トリアゾール69.78g(99%、1.0mol)を1回で添加した。混合物を20分間撹拌し、その間にビーカーの壁に付着した固体をスパチュラでスラリーに押し込んだ。シュウ酸二水和物64.33g(98%、0.5mol)を1.25時間かけて少しずつ添加し、その間に50mlのMeOH/hhO(1/1 vol)を添加した。混合物を3日目まで合計40.5時間撹拌し、生成物が乾燥しているので混合溶媒100mlを添加した。合成され、そのままの粉末容量は、50°Cの窒素中15% CO2下でのCO2について39.8cc/gである。H2Oで洗浄し、乾燥させた後、容量は、50°Cの窒素中15% CO2下でのCO2について44.5cc/gであった。
【0110】
[実施例9]
オーバーヘッド撹拌機、熱電対、冷却器および加熱マントルを備えた500mlの3口丸底フラスコに、シュウ酸二水和物19.05g(0.15mol)および蒸留水(DIH2O)50mlを投入した。酸化亜鉛24.54g(0.3mol)を250rpmで撹拌しながら22分間添加し、DIH2O 20mlを使用してフラスコの口部の粉末をフラスコ内にフラッシングした。さらに40分間撹拌した後、30mlのDIH2Oに溶解した1,2,4-トリアゾール20.89g(0.3mol)の溶液をフラスコに供給し、引き続いてビーカーおよびフラスコの口部を20mlのDIH2Oですすいだ。350rpmで30分間撹拌した後、反応スラリーを90°C以上で加熱し、3.75時間維持した。DIH2Oをスラリーに添加し、ブフナー漏斗で吸引濾過し、続いて濾液の導電率が100マイクロジーメンス/cm未満になるまでケーキをDIH2Oでフラッシングした。粉末を110°Cで約20時間乾燥させた後、52.6gの粉末を得た。50°C、窒素中15% CO2でのCO2容量は40.4cc/gであった。
【0111】
表1:実施例7および実施例8の合成パラメータおよび粉末試験結果の比較。CALF-20は、実施例7および実施例8において首尾よく調製された。
【表1】
【国際調査報告】