(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】エンジンの給気インタークーラの制御方法及びその制御システム
(51)【国際特許分類】
F02B 29/04 20060101AFI20240621BHJP
F02M 31/04 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
F02B29/04 S
F02B29/04 R
F02M31/04 B
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526678
(86)(22)【出願日】2023-02-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 CN2023077139
(87)【国際公開番号】W WO2023221581
(87)【国際公開日】2023-11-23
(31)【優先権主張番号】202210538457.2
(32)【優先日】2022-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521272506
【氏名又は名称】▲い▼柴動力股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WEICHAI POWER CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】197 A,East Fushou Street High-Tech Development Zone Weifang,Shandong 261061,China
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】白玲
(72)【発明者】
【氏名】趙徳礼
(57)【要約】
本願は、エンジンの給気インタークーラの制御方法及びその制御システムを開示し、インタークーラの技術分野に関する。給気インタークーラは、給気を加熱及び冷却可能な1段熱管理ユニットを備え、給気インタークーラの制御方法は、給気インタークーラの給気口のリアルタイム給気温度を取得することと、リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことに応答し、加熱モードがオンになるように1段熱管理ユニットを制御することと、リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことに応答し、冷凍モードがオンになるように1段熱管理ユニットを制御することと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給気を加熱及び冷却可能な1段熱管理ユニット(3)を備える、エンジンの給気インタークーラの制御方法であって、
前記給気インタークーラの給気口(1)のリアルタイム給気温度を取得することと、
前記リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことに応答し、加熱モードがオンになるように前記1段熱管理ユニット(3)を制御することと、
前記リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことに応答し、冷凍モードがオンになるように前記1段熱管理ユニット(3)を制御することと、を含む、
エンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項2】
前記給気インタークーラは、2段熱管理ユニット(4)をさらに備え、
前記給気インタークーラの給気口(1)から前記給気インタークーラの放気口(2)への方向には、前記2段熱管理ユニット(4)及び前記1段熱管理ユニット(3)が順次設けられており、
前記給気インタークーラの制御方法は、
前記リアルタイム給気温度が設定温度範囲内にあることに応答し、作動が停止するように前記1段熱管理ユニット(3)を制御し、前記2段熱管理ユニット(4)により給気に対して冷却を行うことをさらに含む、
請求項1に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項3】
前記設定温度範囲は、前記設定された最低温度限界値と前記設定された最高温度限界値との間に介在する、
請求項2に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項4】
前記1段熱管理システムは、P型半導体(31)とN型半導体(32)とからなる熱電対を備え、
前記した、加熱モードがオンになるように前記1段熱管理ユニット(3)を制御することは、
前記N型半導体(32)の電子の、前記P型半導体(31)への運動を制御することを含む、
請求項1に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項5】
前記した、冷凍モードがオンになるように前記1段熱管理ユニット(3)を制御することは、
前記P型半導体(31)の電子の、前記N型半導体(32)への運動を制御することを含む、
請求項4に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項6】
前記設定された最低温度限界値は15℃~25℃である、
請求項1に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項7】
前記設定された最高温度限界値は65℃~75℃である、
請求項1に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法が採用されたエンジンの給気インタークーラの制御システムであって、
前記エンジンはエンジン電子制御ユニットECUを備え、前記給気インタークーラの給気口(1)には温度センサが設けられており、前記温度センサは、前記給気インタークーラの給気口(1)のリアルタイム給気温度を検出するように構成され、前記1段熱管理ユニット(3)及び前記温度センサはいずれも前記エンジンECUに電気接続され、前記エンジンECUは、前記リアルタイム給気温度に応じて前記1段熱管理ユニット(3)を制御する、
エンジンの給気インタークーラの制御システム。
【請求項9】
前記エンジンECUは、電源及び切替制御モジュールを備え、
前記切替制御モジュールは、前記電源が電流を出力する方向を切り替えるように構成され、前記1段熱管理ユニット(3)は、P型半導体(31)とN型半導体(32)とからなる熱電対を備え、前記P型半導体(31)及び前記N型半導体(32)はそれぞれ前記電源の2つの電極に接続される、
請求項8に記載のエンジンの給気インタークーラの制御システム。
【請求項10】
前記切替制御モジュールは、前記電源と前記熱電対との連通及び開放を制御するように構成されるリレーを備える、
請求項9に記載のエンジンの給気インタークーラの制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、インタークーラの技術分野に関し、例えばエンジンの給気インタークーラの制御方法及びその制御システムに関する。
【0002】
本願は、2022年05月17日に中国専利局に出願された、出願番号が202210538457.2である中国特許出願の優先権を主張し、該出願の全ての内容は引用により本願に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
関連技術において、エンジンの給気インタークーラは、冷却水により冷却を行ったり、ファン及び車両走行の向かい風により冷却を行ったりすることで、過給された後、シリンダに入る前の気体に対する冷却を実現可能である。
【0004】
関連技術におけるエンジンの給気インタークーラの欠点は以下の通りである。(1)給気インタークーラは、シリンダの給気に対する冷却しか可能でなく、加熱機能を実現することができない。エンジンが起動するか、又は低速、低負荷の作動状態である場合、給気温度は最適な給気温度範囲よりも低い可能性がある。(2)中間冷却後の給気温度は環境空気温度と強く相関し、特に環境温度が高い場合、中間冷却後の温度は所要温度まで冷却できないため、経済性、排出などが悪くなる。インタークーラの設計時に、最高運行作動状態及び最高環境温度境界に従って設計すれば、常用作動状態時に給気は給気インタークーラにより中間冷却された後に温度がやや低くなり、且つインタークーラの設計マージンが大きく、体積が大きく、コスト及びスペースの浪費が引き起こされる。
【発明の概要】
【0005】
本願は、エンジンのシリンダ内の給気温度が最適温度に到達することを可能にするエンジンの給気インタークーラの制御方法及びその制御システムを提供する。
【0006】
本願は、エンジンの給気インタークーラの制御方法を提供し、前記給気インタークーラは、給気を加熱及び冷却可能な1段熱管理ユニットを備え、
前記給気インタークーラの制御方法は、
前記給気インタークーラの給気口のリアルタイム給気温度を取得することと、
前記リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことに応答し、加熱モードがオンになるように前記1段熱管理ユニットを制御することと、
前記リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことに応答し、冷凍モードがオンになるように前記1段熱管理ユニットを制御することと、を含む。
【0007】
本願は、以上のいずれかの態様に記載のエンジンの給気インタークーラの制御方法が採用されたエンジンの給気インタークーラの制御システムをさらに提供し、前記エンジンはエンジン電子制御ユニットECUを備え、前記給気インタークーラの給気口には温度センサが設けられており、前記温度センサは、前記給気インタークーラの給気口のリアルタイム給気温度を検出するように構成され、前記1段熱管理ユニット及び前記温度センサはいずれも前記エンジンECUに電気接続され、前記エンジンECUは前記リアルタイム給気温度に応じて前記1段熱管理ユニットを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本願の実施例1に係るエンジンの給気インタークーラの構造模式図である。
【
図2】本願の実施例1に係る1段熱管理ユニットの構造模式図である。
【
図3】本願の実施例2に係るエンジンの給気インタークーラの制御方法のフローチャートである。
【符号の説明】
【0009】
1・・・給気口、2・・・放気口、3・・・1段熱管理ユニット、4・・・2段熱管理ユニット、31・・・P型半導体、32・・・N型半導体、41・・・入水口、42・・・出水口。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施例を詳しく説明し、実施例の例示は図面に示されており、そのうち、最初から最後まで同じ又は類似する符号は同じ又は類似する素子、或いは同じ又は類似する機能を有する素子を示す。以下、図面を参照することにより説明される実施例は例示的なものであり、本願を解釈するためのものである。
【0011】
なお、本願の説明において、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「鉛直」、「水平」、「内」、「外」などによって指示される方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係に基づくものであり、本願の説明を容易にし、説明を簡略化するためのものであり、かかる装置又は素子が特定の方位を有し、特定の方位から構成されて操作されなければならないことを指示又は暗示するものではない。また、用語「第1」、「第2」は、説明の目的のためのものに過ぎず、相対的な重要性を指示又は暗示するものとしては理解できない。ここで、用語「第1の位置」及び「第2の位置」は、2つの異なる位置である。
【0012】
別途明確に規定されない限り、用語「取り付ける」、「繋がる」、「接続」、「固定」は広義に理解されるべきであり、例えば、固定接続であってもよいし、取外可能な接続であってもよく、機械的接続であってもよいし、電気的接続であってもよく、直接繋がってもよいし、中間媒体を介して間接的に繋がってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用の関係であってもよい。当業者であれば、上記用語の本願における具体的な意味は、具体的な状況に応じて理解することができる。
【0013】
別途明確に規定されない限り、第1の特徴が第2の特徴の「上」又は「下」にあることは、第1の特徴と第2の特徴とが直接接触することを含んでもよいし、第1の特徴と第2の特徴が直接接触せず、それらの間の他の特徴を介して接触することを含んでもよい。さらに、第1の特徴が第2の特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真上及び斜め上にあることを含むか、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも高いことを示す。第1の特徴が第2の特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1の特徴が第2の特徴の真下及び斜め下にあることを含むか、又は単に第1の特徴の水平高さが第2の特徴よりも小さいことを示す。
【0014】
以下、図面を参照しながら具体的な実施形態により本願の技術態様を説明する。
【0015】
実施例1
図1及び
図2に示すように、本実施例は、エンジンの給気インタークーラの制御システムを提供し、エンジンはエンジン電子制御ユニット(Electronic Control Unit、ECU)を備え、給気インタークーラの給気口1には温度センサが設けられており、温度センサは、給気インタークーラの給気口1のリアルタイム給気温度を検出するように構成され、給気インタークーラの1段熱管理ユニット3及び温度センサはいずれもエンジンECUに電気接続され、エンジンECUはリアルタイム給気温度に応じて1段熱管理ユニット3を制御する。
【0016】
給気インタークーラは、2段熱管理ユニット4をさらに備え、2段熱管理ユニット4は、水冷構造又は空冷構造であり、関連技術における給気インタークーラの構造と同じである。給気インタークーラの給気口1から給気インタークーラの放気口2への方向には、2段熱管理ユニット4及び1段熱管理ユニット3が順次設けられている。エンジンは、過給後の高温気体が給気インタークーラの給気口1を介して入り込み、先に2段熱管理ユニット4により通常の冷却が行われ、そして、エンジンECUが、温度センサにより検出された給気インタークーラの給気口1のリアルタイム給気温度に応じて冷凍モードや加熱モードがオンになったり、作動が停止したりするように2段熱管理ユニット4を制御する。
【0017】
例示的に、2段熱管理ユニット4は水冷構造であり、給気インタークーラの一側には入水口41及び出水口42が設けられており、入水口41により水冷構造に冷却水を提供し、水冷構造において循環した後の冷却水はさらに出水口42を介して排出される。
【0018】
エンジンの給気インタークーラの制御システムの1つの好ましい態様として、エンジンECUは電源及び切替制御モジュールを備え、切替制御モジュールは、電源が電流を出力する方向を切り替えるように構成され、1段熱管理ユニット3は、P型半導体31とN型半導体32とからなる熱電対を備え、P型半導体31及びN型半導体32はそれぞれ電源の2つの電極に接続される。
【0019】
P型半導体31及びN型半導体32はそれぞれ給気インタークーラの内壁に固定される。1段熱管理ユニット3は、給気インタークーラの調整制御可能な部分であり、ペルチェ効果原理を利用して、2段熱管理ユニット4により冷却された後の給気に対して加熱又は冷却を行うことで、非常用作動状態の放熱量のニーズを実現する。P型半導体31及びN型半導体32は、アンチモン化ビスマスを採用して作られ、N型半導体32の中には、余分な電子があり、負の温度差電位があり、P型半導体31の中には、電子が不足しており、正の温度差電位があり、電子がP型半導体31から接合点(P型半導体31とN型半導体32との境界面)を通過してN型半導体32に至ると、該電子のエネルギーは必然的に増加し、且つ増加したエネルギーは、接合点で消耗されたエネルギーに相当する。逆に、電子がN型半導体32からP型半導体31に流れると、接合点の温度は高くなる。電荷担体は異なる半導体において異なるエネルギー準位にあるため、それが高エネルギー準位から低エネルギー準位に向かって運動すると、余分なエネルギーを放出し、加熱効果が実現され、逆に、低エネルギー準位から高エネルギー準位に向かって運動すると、外界からエネルギーを吸収し、冷凍効果が実現される。エネルギーは2つの半導体の境界面において熱の形式で吸収又は放出され、熱電対の一端がヒーティングし、他端が冷凍する効果が実現される。同時に、ペルチェは可逆性を有し、電流の正負極方向を変えると、熱電対の両端のヒーティング、冷凍効果も相応して変わる。
【0020】
P型半導体31及びN型半導体32はそれぞれ電源の2つの電極に接続され、エンジンECUは切替制御モジュールにより電源の正負極の切替を実現することで、1段熱管理ユニット3の加熱又は冷却を制御する。
【0021】
切替制御モジュールは、4つのスイッチ(ソリッドステート又は機械式)からなるHブリッジを備える。スイッチS1及びS4が閉じられる(S2及びS3が開放される)と、電源の両端に正電圧が印加され、相応して、電流が正電流となる。S1及びS4スイッチを開き、S2及びS3スイッチを閉じることにより、該電圧方向が逆方向に変わり、これにより、電源の両端に負電圧が印加され、相応して、電流が負電流となる。4つのスイッチの具体的な接続方式について、ここでは繰り返し説明しない。
【0022】
リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さくなると、エンジンECUは、順方向電流を出力するようにHブリッジを制御して、1段熱管理ユニット3に加熱モードをオンさせる。エンジンが起動するか、又は低速、低負荷の作動状態である場合、給気温度は設定温度範囲よりも低い可能性があり、2段熱管理ユニット4により冷却された後の給気はさらに1段熱管理ユニット3により加熱された後に最適給気温度範囲に到達する。
【0023】
リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きくなると、エンジンECUは、逆方向電流を出力するようにHブリッジを制御して、1段熱管理ユニット3に冷凍モードをオンさせる。環境温度が高い場合、2段熱管理ユニット4により冷却された後の給気は最適給気温度範囲に到達することができず、最適給気温度範囲に到達するために、エンジンECUは、冷凍モードがオンになって水冷後の給気に対して継続的に冷却するように1段熱管理ユニット3を制御する。
【0024】
給気インタークーラの制御システムの1つの好ましい態様として、切替制御モジュールはリレーを備え、リレーにより電源と熱電対との連通及び開放を制御する。リアルタイム給気温度が設定温度範囲内にあり、2段熱管理ユニット4により冷却された後に最適な給気温度範囲に到達可能であれば、エンジンECUが電源と熱電対とを開放するようにリレーを制御することにより、1段熱管理ユニット3が作動しなくなる。
【0025】
本実施例に係るエンジンの給気インタークーラの制御システムは、エンジンECUが、冷凍モード又は加熱モードがオンになるように給気インタークーラにおける1段熱管理ユニット3を制御することにより、エンジンのシリンダ内の給気温度が最適温度に到達することを可能にし、エンジンのシリンダヘッド、排気弁及び排気管の信頼性を高めることができる。
【0026】
実施例2
図1~
図3に示すように、本実施例は、実施例1におけるエンジンの給気インタークーラの制御システムに適用可能なエンジンの給気インタークーラの制御方法を提供する。給気インタークーラは1段熱管理ユニット3を備え、1段熱管理ユニット3は給気を加熱及び冷却可能であり、給気インタークーラの制御方法は、以下を含む。
【0027】
S10において、給気インタークーラの給気口1のリアルタイム給気温度を取得する。
【0028】
温度センサにより給気インタークーラの給気口1のリアルタイム給気温度を検出し、温度センサは検出したリアルタイム給気温度をエンジンECUに送信し、エンジンECU内には、設定された最低温度限界値及び設定された最高温度限界値、並びにリアルタイム給気温度と設定された最低温度限界値及び設定された最高温度限界値とを対比する設定プログラムが記憶されており、エンジンECUはリアルタイム給気温度を受信した後に、設定プログラムに応じてリアルタイム給気温度に対して判断を行う。
【0029】
S21において、リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことに応答し、加熱モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御する。
【0030】
エンジンECUにより、リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことが判断されると、最適給気温度範囲に到達するために、エンジンECUは、順方向電流を出力するようにHブリッジを制御して、1段熱管理ユニット3に加熱モードをオンさせ、温度が低いリアルタイム給気温度が2段熱管理ユニット4により冷却された後に、さらに1段熱管理ユニット3により加熱され、これにより、エンジンが起動するか、又は低速、低負荷の作動状態である場合の給気温度のニーズが満たされる。
【0031】
エンジンの給気インタークーラの制御方法の1つの好ましい態様として、1段熱管理システムはP型半導体31とN型半導体32とからなる熱電対を備え、加熱モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御することは、N型半導体32の電子の、P型半導体31への運動を制御することを含む。
【0032】
Hブリッジが順方向電流を出力する場合、N型半導体32における余分な電子はP型半導体31に流れ、接合点の温度が高くなり、余分なエネルギーが放出され、加熱効果が実現される。
【0033】
S22において、リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことに応答し、冷凍モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御する。
【0034】
エンジンECUにより、リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことが判断されると、エンジンECUは、逆方向電流を出力するようにHブリッジを制御して、1段熱管理ユニット3に冷凍モードをオンさせ、温度が高いリアルタイム給気温度は、2段熱管理ユニット4により冷却された後に、さらに1段熱管理ユニット3により冷却されて、最適給気温度範囲に到達し、2段熱管理ユニット4の冷却能力の不足で給気インタークーラの給気マニホールドの位置の給気温度がやや高くなってしまうことによるエンジンの出力動力の低下、同時にエンジンの排温が高くなることによるエンジンのシリンダヘッド、排気弁及び排気管の信頼性への影響を回避する。
【0035】
エンジンの給気インタークーラの制御方法の1つの好ましい態様として、冷凍モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御することは、P型半導体31の電子の、N型半導体32への運動を制御することを含む。
【0036】
Hブリッジが逆方向電流を出力し、P型半導体31における電子が接合点を通過してN型半導体32に至ると、該電子エネルギーは必然的に増加し、且つ増加したエネルギーは接合点で消耗されたエネルギーに相当し、P型半導体31における電子は外界からエネルギーを吸収し、冷凍効果が実現される。
【0037】
S23において、リアルタイム給気温度が設定温度範囲内にあることに応答し、作動が停止するように1段熱管理ユニット3を制御し、2段熱管理ユニット4により給気に対して冷却を行う。
【0038】
リアルタイム給気温度が設定温度範囲内にあり、給気が2段熱管理ユニット4により冷却された後に最適な給気温度範囲に到達可能であることに応答し、エンジンECUが電源と熱電対とを開放するようにリレーを制御することにより、1段熱管理ユニット3が作動しなくなる。
【0039】
エンジンの給気インタークーラの制御方法の1つの好ましい態様として、設定温度範囲は、設定された最低温度限界値と設定された最高温度限界値との間に介在する。
【0040】
好ましくは、設定された最低温度限界値は15℃~25℃であり、設定された最高温度限界値は65℃~75℃である。本実施例において、設定された最低温度限界値は20℃であり、設定された最高温度限界値は70℃である。エンジンの給気マニホールドにおける温度が正常温度範囲、例えば20℃≦T≦70℃の範囲にあると、エンジンECUにより電源と熱電対とを開放するようにリレーを制御し、即ち、1段熱管理ユニット3は作動しなくなり、給気に対する加熱又は冷凍を停止し、完全に2段熱管理ユニット4の水冷構造により給気に対して冷却を行う。
【0041】
本実施例に係るエンジンの給気インタークーラの制御方法は、給気インタークーラの給気口1のリアルタイム給気温度を取得し、リアルタイム給気温度に応じて1段熱管理ユニット3を制御し、リアルタイム給気温度が設定された最低温度限界値よりも小さいことに応答し、加熱モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御することにより、給気に対して加熱を行って、エンジンが低速、低負荷である場合にシリンダ内の給気温度が最適温度に到達することを保証することができる。リアルタイム給気温度が設定された最高温度限界値よりも大きいことに応答し、冷凍モードがオンになるように1段熱管理ユニット3を制御する。給気温度がやや高くなってしまう場合、エンジンの出力動力の低下を引き起こしやすく、同時に、エンジンの排気温度が高くなると、エンジンのシリンダヘッド、排気弁及び排気管の信頼性のいずれにも大きな影響を与え、給気に対して冷却を行うように1段熱管理ユニット3を制御することにより、給気インタークーラの設計時に、最高運行作動状態及び最高環境温度境界に従って設計して、給気インタークーラの体積及び設計マージンが大きくなることによるコスト及びスペースの浪費が回避され、エンジンのコストが下げられ、排出性が良好になる。
【国際調査報告】