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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】インヘイラー{Inhaler}
(51)【国際特許分類】
   A61M 15/00 20060101AFI20240621BHJP
   A61M 11/02 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M11/02 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023539146
(86)(22)【出願日】2023-03-20
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2023003636
(87)【国際公開番号】W WO2023229175
(87)【国際公開日】2023-11-30
(31)【優先権主張番号】10-2022-0063549
(32)【優先日】2022-05-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、タエ ヘオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジャエ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ミ ジェオン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ヨンミ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオウン、エウン ミ
(72)【発明者】
【氏名】ハン、セウン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ミンセオク
(72)【発明者】
【氏名】チュン、タエ ヨウン
(57)【要約】
一実施例に係るインヘイラーは、一面、前記一面と対向する他面及び前記一面と他面とを連結する複数の側面を備えるハウジングと、前記ハウジングの一面に配置されるマウスピースと、前記ハウジングの内部に配置され、吸入可能な組成物を貯蔵する貯蔵所と、前記マウスピースから前記貯蔵所まで延びるノズルと、前記ノズルの内部に移動可能に配置されるニードル弁と、を含み、前記マウスピースに吸入力が加えられないと、前記ニードル弁は前記ノズルが密閉される第1状態に維持され、前記マウスピースを介して吸入力が加えられると、前記ニードル弁は前記ノズルが開放される第2状態に切り替えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面、前記一面と対向する他面及び前記一面と他面とを連結する複数の側面を備えるハウジングと、
前記ハウジングの一面に配置されるマウスピースと、
前記ハウジングの内部に配置され、吸入可能な組成物を貯蔵する貯蔵所と、
前記マウスピースから前記貯蔵所まで延びるノズルと、
前記ノズルの内部に移動可能に配置されるニードル弁と、
を含み、
前記マウスピースに吸入力が加えられないと、前記ニードル弁は前記ノズルが密閉される第1状態に維持され、
前記マウスピースを介して吸入力が加えられると、前記ニードル弁は前記ノズルが開放される第2状態に切り替えられる、インヘイラー。
【請求項2】
前記第1状態は、前記ニードル弁が前記ノズルと接する状態と定義され、
前記第2状態は、前記ニードル弁が前記ノズルと接しない状態と定義される、請求項1に記載のインヘイラー。
【請求項3】
一面に前記ニードル弁が結合され、前記ハウジングの他面から一面に向かう第1方向又は前記ハウジングの一面から他面に向かう第2方向に垂直往復運動可能なピストンと、
前記ピストンの下部に予圧状態で設置されるばねと、
をさらに含み、
前記マウスピースを介して吸入力が加えられないと、前記ばねはピストンを前記第1方向に押し上げて前記第1状態が維持され、
前記マウスピースを介して吸入力が加えられると、前記ピストンは前記ばねの予圧を克服し、前記第2方向に移動して前記第2状態に切り替えられる、請求項1に記載のインヘイラー。
【請求項4】
前記ハウジングの内部に形成され、前記マウスピースの一側から前記ピストンの下部まで延びる通路をさらに含み、
前記通路は、前記マウスピースに加えられる吸入力を前記ピストンに伝達する、請求項3に記載のインヘイラー。
【請求項5】
前記ピストンと前記通路との間に空間を形成する負圧形成部をさらに含み、
前記負圧形成部は、前記吸入力によって負圧を発生させ、前記ピストンが前記第2方向に移動するように誘導する、請求項4に記載のインヘイラー。
【請求項6】
前記ノズルは、
前記マウスピースに隣接する第1ノズル部と、
前記貯蔵所に隣接する第2ノズル部と、
を含み、
前記第1ノズル部は、前記第2ノズル部よりも直径が小さくなるように形成される、請求項1に記載のインヘイラー。
【請求項7】
前記ニードル弁は、
先端に形成され、前記ハウジングの他面から一面に向かう第1方向又は前記ハウジングの一面から他面に向かう第2方向に前記第1ノズル部及び前記第2ノズル部にかけて垂直往復移動可能な第1弁部と、
前記第1弁部の下部に形成される第2弁部と、
を含み、
前記第1弁部は、前記第2弁部よりも直径が小さくなるように形成される、請求項6に記載のインヘイラー。
【請求項8】
前記第1弁部は、前記第1ノズル部よりも直径が小さくなるように形成される、請求項7に記載のインヘイラー。
【請求項9】
前記第1弁部は、前記第1状態又は前記第2状態で前記ノズルと接しておらず、
前記第2弁部は、前記第1状態で前記ノズルと接し、前記第2状態で前記ノズルと接しない、請求項7に記載のインヘイラー。
【請求項10】
前記ノズルは、前記第2ノズル部に設置されるシール部材をさらに含み、
前記第2弁部は、前記第1状態で前記シール部材と接し、前記第2状態で前記第2方向に移動して前記シール部材と接しない、請求項7に記載のインヘイラー。
【請求項11】
前記第1弁部と前記第1ノズル部との間に形成される第1間隔は、前記第1弁部と前記シール部材との間に形成される第2間隔よりも小さい、請求項10に記載のインヘイラー。
【請求項12】
前記第1間隔は、前記第1状態又は前記第2状態で形成され、
前記第2間隔は、前記第2状態で形成される、請求項11に記載のインヘイラー。
【請求項13】
前記第2間隔は、前記貯蔵所から噴出した吸入可能な組成物の移動を許容し、
前記第1間隔は、前記第2間隔を通過する吸入可能な組成物の粒径を制御して前記マウスピースへの移動を許容する、請求項11に記載のインヘイラー。
【請求項14】
前記第1間隔は0.015~0.03mmで形成される、請求項11から13のいずれか一項に記載のインヘイラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インヘイラーが開示される。
【背景技術】
【0002】
一般に、インヘイラーは、吸入する過程で薬物などの組成物を液体又はガスで口腔又は鼻腔を通じて吸入させるのに使用される器具である。このようなインヘイラーは吸入可能な組成物を収容する容器を備え、組成物は細い管を通じて容器から最終的に吸入口を介して口腔又は鼻腔に噴射され、使用者に吸入されることができる。
【0003】
前述した背景技術は、発明者が本願の開示内容を想到する過程で保有又は習得したものであって、必ずしも本出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:大韓民国登録特許公報第10-1759972号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一実施例に係る目的は、吸入力と連動して上下運動することによってノズルを開閉するように作動する弁を備えて使用者が吸入力を加えるとき吸入可能な組成物が噴射され、噴射時に微細粒子の吸入可能な組成物が噴射されるように噴射量が調節されるインヘイラーを提供することである。
【0006】
実施例で解決しようとする課題は、上記で言及した課題に制限されず、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者が明確に理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するための一実施例に係るインヘイラーは、一面、前記一面と対向する他面及び前記一面と他面とを連結する複数の側面を備えるハウジングと、前記ハウジングの一面に配置されるマウスピースと、前記ハウジングの内部に配置され吸入可能な組成物を貯蔵する貯蔵所と、前記マウスピースから前記貯蔵所まで延びるノズルと、前記ノズルの内部に移動可能に配置されるニードル弁と、を含み、前記マウスピースに吸入力が加えられないと、前記ニードル弁は前記ノズルが密閉される第1状態に維持され、前記マウスピースを介して吸入力が加えられると、前記ニードル弁は前記ノズルが開放される第2状態に切り替えられる。
【0008】
一側によれば、前記第1状態は、前記ニードル弁が前記ノズルと接する状態と定義され、前記第2状態は、前記ニードル弁が前記ノズルと接しない状態と定義されることができる。
【0009】
一側によれば、一面に前記ニードル弁が結合され、前記ハウジングの他面から一面に向かう第1方向又は前記ハウジングの一面から他面に向かう第2方向に垂直往復運動可能なピストンと、前記ピストンの下部に予圧状態で設置されるばねと、をさらに含み、前記マウスピースを介して吸入力が加えられないと、前記ばねはピストンを前記第1方向に押し上げて前記第1状態が維持され、前記マウスピースを介して吸入力が加えられると、前記ピストンは前記ばねの予圧を克服し、前記第2方向に移動して前記第2状態に切り替えられる。
【0010】
一側によれば、前記ハウジングの内部に形成され、前記マウスピースの一側から前記ピストンの下部まで延びる通路をさらに含み、前記通路は前記マウスピースに加えられる吸入力を前記ピストンに伝達することができる。
【0011】
一側によれば、前記ピストンと前記通路との間に空間を形成する負圧形成部をさらに含み、前記負圧形成部は前記吸入力によって負圧を発生させて前記ピストンが前記第2方向に移動するように誘導することができる。
【0012】
一側によれば、前記ノズルは、前記マウスピースに隣接する第1ノズル部と、前記貯蔵所に隣接する第2ノズル部と、を含み、前記第1ノズル部は前記第2ノズル部よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。
【0013】
一側によれば、前記ニードル弁は、先端に形成され、前記ハウジングの他面から一面に向かう第1方向又は前記ハウジングの一面から他面に向かう第2方向に前記第1ノズル部及び前記第2ノズル部にかけて垂直往復移動可能な第1弁部と、前記第1弁部の下部に形成される第2弁部と、を含み、前記第1弁部は、前記第2弁部よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。
【0014】
一側によれば、前記第1弁部は、前記第1ノズル部よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。
【0015】
一側によれば、前記第1弁部は前記第1状態又は前記第2状態で前記ノズルと接しておらず、前記第2弁部は前記第1状態で前記ノズルと接し、前記第2状態で前記ノズルと接しないことがある。
【0016】
一側によれば、前記ノズルは、前記第2ノズル部に設置されるシール部材をさらに含み、前記第2弁部は前記第1状態で前記シール部材と接し、前記第2状態で前記第2方向に移動して前記シール部材と接しないことがある。
【0017】
一側によれば、前記第1弁部と前記第1ノズル部との間に形成される第1間隔は、前記第1弁部と前記シール部材との間に形成される第2間隔よりも小さいことがある。
【0018】
一側によれば、前記第1間隔は、前記第1状態又は前記第2状態で形成され、前記第2間隔は、前記第2状態で形成されてもよい。
【0019】
一側によれば、前記第2間隔は、前記貯蔵所から噴出した吸入可能な組成物の移動を許容し、前記第1間隔は、前記第2間隔を通過する吸入可能な組成物の粒径を制御して前記マウスピースへの移動を許容することができる。
【0020】
一側によれば、前記第1間隔は0.015~0.03mmで形成されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
一実施例に係るインヘイラーによれば、吸入力と連動して上下運動することによってノズルを開閉するように作動する弁を備えて使用者が吸入力を加えるとき吸入可能な組成物が噴射され、噴射時に微細粒子の吸入可能な組成物が噴射されるように噴射量が調節される効果がある。
【0022】
一実施例に係るインヘイラーの効果は、上記で言及されたものに限定されず、言及されていない他の効果は、以下の記載から通常の技術者が明確に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施例に係るインヘイラーの斜視図である。
図2】一実施例に係るインヘイラーの断面図である。
図3】一実施例に係るインヘイラーの断面図である。
図4】第1状態及び第2状態のインヘイラーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書に添付される以下の図面は、本発明の好ましい一実施例を例示するものであり、発明の詳細な説明と共に本発明の技術的思想をさらに理解させる役割を果たすものであるので、本発明はそのような図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるべきではない。
【0025】
実施例で使用した用語は単に説明を目的として使用されたものであり、限定しようとする意図として解釈されるべきではない。単数の表現は、文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」又は「有する」という用語は、明細書上に記載された特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせが存在することを指定するものであり、1又はそれ以上の他の特徴や数、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらの組み合わせの存在又は付加可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されるべきである。
【0026】
別途の定義がない限り、技術的又は科学的用語を含めて、本明細書で使用される全ての用語は、実施例が属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているなどの用語は、関連技術の文脈上の意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本出願において明確に定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味として解釈されない。
【0027】
また、添付図面を参照して説明するにあたって、図面符号にかかわらず、同一の構成要素は同一の参照符号を付し、これについての重複する説明は省略する。実施例を説明するにあたって、関連する公知技術についての具体的な説明が実施例の要旨を不要に濁す恐れがあると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0028】
さらに、実施例の構成要素を説明するにあたって、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用することができる。これらの用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものであり、その用語によって該当構成要素の本質や順番又は順序などが限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」又は「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結又は接続され得るが、各構成要素の間にまた他の構成要素が「連結」、「結合」又は「接続」され得るとも理解されるべきである。
【0029】
いずれかの実施例に含まれた構成要素と、共通的な機能を含む構成要素は、他の実施例において同一の名称を使用して説明する。反対の記載がない限り、いずれかの実施例に記載の説明は他の実施例にも適用でき、重複する範囲で具体的な説明は省略する。
【0030】
図1は、一実施例に係るインヘイラー10の斜視図である。
【0031】
図2は、一実施例に係るインヘイラー10の断面図である。
【0032】
図3は、一実施例に係るインヘイラー10の断面図である。
【0033】
図4は、第1状態及び第2状態のインヘイラー10を示す。
【0034】
図1を参照すると、一実施例に係るインヘイラー10は、ハウジング101及びマウスピース102を含む。
【0035】
ハウジング101は、一面に形成された第1面、前記第1面と対向する第2面及び前記第1面と第2面とを連結する複数の側面を含むことができる。ハウジング101の第1面は、例えば、ハウジング101の上部に位置する面であり、第2面は、例えば、ハウジング101の底面であり得る。以下では、第2面から第1面に向かう方向を第1方向と定義し、第1面から第2面に向かう方向を第2方向と定義する。
【0036】
マウスピース102は、前記ハウジング101の第1面に配置されることができる。使用者は、マウスピース102を介してインヘイラー10に収容されている吸入可能な組成物を吸入することができる。このとき、使用者は、組成物を例えばエアロゾル形態で吸入することができ、粉末などの形態でも吸入することができる。以下では、吸入可能な組成物をエアロゾル形態で噴射するインヘイラー10を例として、一実施例に係るインヘイラー10を説明する。
【0037】
図2を参照すると、一実施例に係るインヘイラー10は、ハウジング101の内部に吸入可能な組成物を収容するキャニスター200が取り付けられ、キャニスター200の組成物は貯蔵所103の内部に一定量が充填され得る。使用者は、貯蔵所103内に貯蔵された組成物の残量をハウジング101に設けられた顕示窓(図示せず)を通じて視覚的に確認できる。貯蔵所103の内部にキャニスター200に収容された組成物を充填するために使用者が加圧可能な充填レバー300が備えられている。充填レバー300は、ハウジング101の第2面に位置することができ、使用者が充填レバー300を加圧すると、充填レバー300がキャニスター200の底面を第1方向に押し上げてキャニスター200の噴射口が貯蔵所103と連通し、噴射口を介して組成物がキャニスター200から貯蔵所103に移動することができる。また、一実施例に係るインヘイラー10には、貯蔵所103の充填時にキャニスター200の上下運動に連係して充填回数をカウントするカウンター(図示せず)及びキャニスター200内の組成物の残量を表示する表示窓(図示せず)が備えられる。貯蔵所103内に貯蔵された組成物は、使用者がマウスピース102に吸入力を加えることによってエアロゾル形態で噴射されるが、このとき、吸入力によって貯蔵所103を開閉するインヘイル連動弁105が作動し、インヘイル連動弁105の開閉動作はピストン106によって制御できる。また、貯蔵所103にはリリーフ弁(図示せず)が設置されており、ハウジング101の第1面にはリリーフベントホール400が備えられる。このようなリリーフ弁は、リリーフバー(図示せず)及びリリーフバー移動突起(図示せず)などによって充填レバー300と連動しているので、充填レバー300がキャニスター200を第1方向に押し上げて貯蔵所103を充填する直前にリリーフ弁が先に開放されて貯蔵所103内の残余ガスを排出することができる。さらに、一実施例に係るインヘイラー10には、キャニスター200の離脱を防止するカバー500及びロック装置600が備えられる。
【0038】
前述したインヘイラー10は、エアロゾルが使用者の鼻腔又は口腔に噴射されるときに生じる問題点を解決するために開発されたニードル弁方式がハウジング101の内部に適用され、このようなニードル弁方式は、以下で図3及び図4を参照して具体的に説明される。
【0039】
一般に、吸入器にピンチ弁方式が適用されると、円形の断面積を有するノズルを通じてエアロゾルが噴射されるとき噴射されるエアロゾルの粒子が大きすぎて使用者の口腔内部を濡らす問題が発生する可能性がある。また、噴射ノズルの先端が口腔内に位置することになり、噴射時にエアロゾルが口腔を強く叩く問題が発生することもある。これらの問題を解決するために、本発明はニードル(needle)弁方式を適用する。
【0040】
図3を参照すると、一実施例に係るインヘイラー10は、貯蔵所103、ノズル104及びニードル弁105をさらに含むことができる。
【0041】
貯蔵所103は、ハウジング101の内部に配置されることができる。貯蔵所103は、吸入可能な組成物を貯蔵することができる。
【0042】
ノズル104は、マウスピース102と貯蔵所103を連通させることができる。ノズル104は、マウスピース102から貯蔵所103まで延びる管として設けられ得る。
【0043】
ニードル弁105は、ノズル104の内部に移動可能に配置されることができる。例えば、ニードル弁105はノズル104の内部において上下に移動することができる。このようなニードル弁105は、ノズル104内の位置に応じてノズル104を開放又は閉鎖することができる。すなわち、ニードル弁105は、マウスピース102と貯蔵所103が連通するようにノズル104を開放させるか、マウスピース102と貯蔵所103が隔離するようにノズル104を閉鎖することができる。
【0044】
これらのニードル弁105を用いたニードル弁方式は、ニードル形状の弁105がノズル104の中間に位置することで、エアロゾルを噴射する断面積はドーナツ形態を維持することができる。また、同一噴射面積に対してより狭い区間でエアロゾルを噴射することによって、より微細な粒子を形成することができ、エアロゾルを噴射するノズル104がマウスピース102の下端に位置しており、口腔から離れているため、口腔内部を叩く又は濡らす現象が改善できる。
【0045】
ニードル弁105によってノズル104は、第1状態又は第2状態のいずれかの状態に切り替えられる。第1状態はノズル104が密閉される状態であり、第2状態はノズル104が開放される状態である。第1状態でマウスピース102と貯蔵所103は互いに隔離することができる。第2状態ではマウスピース102と貯蔵所103が互いに連通し得る。すなわち、第2状態で貯蔵所103に貯蔵された吸入可能な組成物が矢印で示されたようにノズル104を介してマウスピース102に噴出することができる。
【0046】
さらに、ニードル弁105は吸入連動方式で作動できる。
【0047】
具体的には、マウスピース102に吸入力が加えられないと、ニードル弁105はノズル104を第1状態に維持することができる。マウスピース102を介して吸入力が加えられると、ニードル弁105は第2方向に移動してノズル104を第2状態に切り替えることができる。
【0048】
図3を再参照すると、一実施例に係るインヘイラー10は、ピストン106、ばね107、通路108及び負圧形成部109をさらに含むことができる。
【0049】
ピストン106は、ハウジング101の内部に配置され、一面にニードル弁105の一端が結合されてもよい。ピストン106はシリンダ内において垂直往復運動することができる。
【0050】
ばね107はピストン106の下部に設置されてもよい。このとき、ばね107は予圧状態で設置されてもよい。
【0051】
通路108はハウジング101の内部に形成されてもよい。通路108はマウスピース102とピストン106を連通させることができる。具体的には、通路108は一端がマウスピース102の一側に連結され、他端がピストン106の下部まで連結されることができる。このとき、通路108の一端は、前記ノズル104がマウスピース102と連結された位置から離隔した位置でマウスピース102と連結されることができる。このような通路108は、マウスピース102に加えられる吸入力をピストン106に伝達することができる。
【0052】
負圧形成部109は、ピストン106及びピストン106と連結された通路108の一端間に形成されてもよい。負圧形成部109は、ピストン106と通路108との間に空間を形成することができる。マウスピース102に吸入力が加えられると、通路108を介して伝達された吸入力が負圧形成部109に到達することができ、負圧形成部109は負圧を発生させ得る。これにより、負圧形成部109は、ピストン106が第2方向に移動するように誘導することができる。
【0053】
結局、マウスピース102に吸入力が加えられないと、ばね107はピストン106を第1方向に押し上げてニードル弁105とノズル104が第1状態に維持できる。一方、マウスピース102に吸入力が加えられると、吸入力は通路108を介して負圧形成部109に伝達され、負圧形成部109で発生した負圧によってピストン106がばね107の予圧を克服し、第2方向に移動することができる。これにより、ニードル弁105が第2方向に移動することになり、ノズル104が第2状態に切り替えられる。
【0054】
図4を参照すると、第1状態及び第2状態のノズル104及びニードル弁105をより詳細に説明する。
【0055】
図4(a)は、第1状態のインヘイラー10を示し、図4(b)は、第2状態のインヘイラー10を示す。
【0056】
第1状態のとき、ノズル104とニードル弁105は互いに接してマウスピース102と貯蔵所103が隔離した状態であり得る。
【0057】
第2状態のとき、ニードル弁105が第2方向に移動してノズル104とニードル弁105は互いに接しなくなり、マウスピース102と貯蔵所103がノズル104を介して連通する状態であり得る。これにより、貯蔵所103の吸入可能な組成物が貯蔵所103からマウスピース102を介して外部に噴出することができる。
【0058】
具体的には、ノズル104は、第1ノズル部1041及び第2ノズル部1042を含むことができる。
【0059】
第1ノズル部1041はマウスピース102に隣接する部分であり得る。
【0060】
第2ノズル部1042は、例えば第1ノズル部1041の下部に位置し、貯蔵所103に隣接する部分であり得る。
【0061】
このようなノズル104は、第1ノズル部1041が第2ノズル部1042よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。
【0062】
ニードル弁105は、第1弁部1051及び第2弁部1052を含むことができる。
【0063】
第1弁部1051は、ニードル弁105の先端に形成された部分であり得る。第1弁部1051は、ピストン106による垂直移動時に第1ノズル部1041又は第2ノズル部1042に隣接して移動することができる。例えば、第1状態で第1弁部1051は、第1ノズル部1041に隣接して配置されることができる。また、第2状態で第1弁部1051は、第2ノズル部1042に隣接するように第2方向に移動することができる。
【0064】
第2弁部1052は、例えば、第1弁部1051の下部に形成された部分であり得る。第2弁部1052の下端は、ピストン106の一面に結合され得る。これにより、ピストン106の垂直往復運動時にニードル弁105が垂直往復運動することができる。
【0065】
このようなニードル弁105は、第1弁部1051が第2弁部1052よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。
【0066】
また、第1弁部1051は、第1ノズル部1041よりも直径が小さくなるように形成されてもよい。すなわち、第1弁部1051は、第1状態又は第2状態で第1ノズル部1041及び第2ノズル部1042のいずれにも接しなくてもよい。
【0067】
一方、ノズル104は、第2ノズル部1042に設置されるシール部材1043をさらに含むことができる。シール部材1043は、例えば、シリコン、ゴムなどの弾性材料からなるOリング又はクワッドリングなどによって設けることができる。このようなシール部材1043の内径は、第1弁部1051の直径よりも大きく、第2弁部1052の直径と同一又はさらに小さくてもよい。また、シール部材1043の内径は、第1ノズル部1041の直径よりも大きくてもよい。
【0068】
第2弁部1052は、第1状態でシール部材1043に隣接して配置されることができる。すなわち、第1状態で第2弁部1052はシール部材1043と接することができる。これにより、ノズル104を介してエアロゾルが漏れないように貯蔵所103が密閉される。
【0069】
一方、第2弁部1052は、第2状態でシール部材1043よりも第2方向に移動してノズル104と接しないことがある。これにより、貯蔵所103に貯蔵された吸入可能な組成物は、ノズル104を介してマウスピース102に噴出することができる。
【0070】
図4(b)を参照すると、第1ノズル部1041と第1弁部1051との間に形成される間隔を第1間隔G1と定義し、シール部材1043と第1弁部1051との間に形成される間隔を第2間隔G2と定義する。前述したノズル104及びニードル弁105の構造によって第1間隔G1は第2間隔G2よりも小さく形成されてもよい。
【0071】
第1間隔G1は、第1状態又は第2状態で形成されてもよい。第2間隔G2は、第1弁部1051がシール部材1043に隣接して配置される場合に形成されるので、ニードル弁105が第2方向に移動した第2状態で形成されてもよい。
【0072】
このような第2間隔G2は、貯蔵所103から噴出した吸入可能な組成物の移動を許容することができる。第1間隔G1は、第2間隔G2を通過したエアロゾルの粒径を制御することができる。すなわち、第1間隔G1は第2間隔G2よりも小さいので、エアロゾルのうち、微細粒子のエアロゾルの移動のみを許容することができる。結局、第1間隔G1を通過し得る大きさのエアロゾルのみがマウスピース102に移動して使用者に噴出することができる。
【0073】
すなわち、吸入力によってノズル104が開放されると、エアロゾルは最終的に第1間隔G1を介して外部に噴射されるが、貯蔵所103における最初噴出はシール部材1043と第1弁部1051との間で作られる第2間隔G2を介して行われる。
【0074】
すなわち、ノズル104とニードル弁105は、いずれも真っ直ぐな形態で加工されており、第1間隔G1は、ノズル104の開閉と関係なく常に形成されている方式で、実質的な開閉はシール部材1043とニードル弁105との間で作られる。
【0075】
このとき、第1間隔G1は十分に小さな粒子のエアロゾル噴射のために0.015~0.03mmで形成されてもよい。例えば、第1間隔G1が0.015mmよりも小さい場合、液状の組成物が狭い隙間に乗って移動が難しいため、ガス中心に噴射され、一部液滴が沸騰するように弱く飛び出す現象が発生し得る。逆に、第1間隔G1が0.03mmよりも大きい場合、太い液滴中心に噴射され、単位時間当たりの噴射量が多すぎ、使用者が鼻腔又は口腔が濡れる感じを受けることができる。また、シール部材1043の製造公差によって第2間隔G2が過度に狭く形成される場合、第1間隔G1が狭いのと同じ現象が現れることができ、これを考慮して第2間隔G2は、第1間隔G1よりも十分に大きく形成されてもよい。これにより、一実施例に係るインヘイラー10は、微細粒子のエアロゾル噴射が可能であり、噴射量を容易に調節することができる。
【0076】
前述したように、一実施例に係るインヘイラー10は、ニードル弁105が通常ばね107の予圧によって第1方向に押し上げる力を受けてノズル104を閉鎖している状態を維持することができる。しかし、一実施例に係るインヘイラー10は、使用者によってマウスピース102を介して吸入力が加えられると、ピストン106の下部に負圧が形成され、ばね107の予圧に勝ち、ピストン106が下に運動してピストン106に連結されたニードル弁105が下降するにつれて、シール部材1043とニードル弁105との間に第2間隔G2が形成されてもよい。これにより、貯蔵所103の吸入可能な組成物は、エアロゾル形態で第2間隔G2を経て第1間隔G1を介して外部、例えば、使用者の口腔に噴出することができる。使用者が吸入を止める場合、ばね107の復元力によってピストン106とニードル弁105が再び上方に上昇し、ノズル104を閉鎖し、エアロゾルの噴射を中断することができる。
【0077】
以上のように、実施例が限られた図面によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記に基づいて様々な技術的修正及び変形を適用することができる。例えば、説明された技術が説明された方法とは異なる順序で実行され、及び/又は説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が説明された方法とは異なる形態で結合又は組み合わせられる、又は他の構成要素又は均等物によって代替又は置換されても適切な結果を達成することができる。
【0078】
したがって、他の実施形態、他の実施例及び特許請求の範囲と均等なものも、後述する特許請求の範囲に属する。
図1
図2
図3
図4(a)】
図4(b)】
【国際調査報告】