(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-06-28
(54)【発明の名称】内燃機関を備えた燃焼力システム
(51)【国際特許分類】
F02M 27/02 20060101AFI20240621BHJP
F02M 21/06 20060101ALI20240621BHJP
F02M 26/22 20160101ALI20240621BHJP
F02M 31/16 20060101ALI20240621BHJP
F01N 3/22 20060101ALI20240621BHJP
F02M 26/36 20160101ALN20240621BHJP
【FI】
F02M27/02 P
F02M21/06 A
F02M26/22
F02M31/16 C
F01N3/22 321L
F02M26/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023544633
(86)(22)【出願日】2022-06-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-28
(86)【国際出願番号】 AT2022060194
(87)【国際公開番号】W WO2022256857
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518151386
【氏名又は名称】エーヴィエル・リスト・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】セルティック、マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ファンク、ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】ライター、ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヴァイシンガー、フレデリコ
(72)【発明者】
【氏名】モンテモール、ラファエロ
【テーマコード(参考)】
3G062
3G091
【Fターム(参考)】
3G062BA02
3G091AA17
3G091AB03
3G091BA02
3G091HB05
(57)【要約】
本発明は、内燃機関(2)、排気ガスライン(3)、及びEGRアセンブリ(4)を備え、EGRアセンブリ(4)が、排気ガスを排気ガスライン(3)から特に内燃機関(2)の燃料入口(6)に戻すための再循環部(5)を有し、再循環部(5)に、燃料を改質物に改質するための第1の改質器(7)と、燃料を蒸発させるための蒸発器(8)が配置される、燃焼力システム(1)において、第2の改質器(9)が設けられることを特徴とする、燃焼力システム(1)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関、排気ガスライン、及びEGRアセンブリを備え、前記EGRアセンブリが、排気ガスを排気ガスラインから特に内燃機関の燃料入口に戻すための再循環部を有し、前記再循環部に、燃料を改質物に改質するための第1の改質器と、燃料を蒸発させるための蒸発器が配置される、燃焼力システムにおいて、第2の改質器が設けられる、燃焼力システム。
【請求項2】
前記第2の改質器が改質器熱交換器として形成され、前記第2の改質器の第1の側が前記排気ガスラインと接続され、前記第2の改質器の第2の側が前記再循環部と接続される、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項3】
前記第2の改質器は、前記再循環部において前記第1の改質器の下流に配置され、前記第2の改質器が前記排気ガスラインと接続される、請求項2に記載の燃焼力システム。
【請求項4】
前記内燃機関及び前記蒸発器に燃料を供給するための燃料ラインが設けられる、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項5】
前記第1の改質器の上流に混合器が配置され、気体燃料を前記混合器に供給するための蒸気ラインが前記蒸発器と前記混合器との間に設けられる、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項6】
前記燃料を加熱するための加熱装置が設けられる、請求項5に記載の燃焼力システム。
【請求項7】
前記内燃機関、及び場合によっては前記蒸発器に水を供給するための給水ラインが設けられる、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項8】
前記蒸発器の下流にEGR冷却器が配置される、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項9】
前記排気ガスラインが、特に3元触媒として形成された少なくとも1つの触媒を備える、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項10】
前記第2の改質器は、両側でコーティングされ、前記コーティングがそれぞれ異なり、前記第2の改質器の第1の側が、特に3元触媒として形成される、請求項1に記載の燃焼力システム。
【請求項11】
前記第1の改質器は、両側でコーティングされ、前記コーティングがそれぞれ異なり、前記第1の改質器の第1の側が前記排気ガスラインに配置され、特に3元触媒として形成される、請求項10に記載の燃焼力システム。
【請求項12】
自動車における請求項1~11のいずれか一項に記載の燃焼力システムの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関、排気ガスライン、及びEGRアセンブリを備え、EGRアセンブリが、排気ガスを排気ガスラインから特に内燃機関の燃料入口に戻すための再循環部を有し、再循環部に、燃料を改質物に改質するための第1の改質器と、燃料を蒸発させるための蒸発器が配置される、燃焼力システムに関する。
【0002】
本発明はさらに、そのような燃焼力システムの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、ディーゼルやガソリンなどの従来の燃料の他に、エネルギー転換の枠組みにおいて、菜種油やエタノールなどの代替燃料がそれに適する内燃機関の動作のためにますます頻繁に使用されるようになっている。内燃機関をエタノールで動作させるシステムは、例えば独国特許出願公表第112011101274T5号明細書に記載されている。そこでは特に、排気系統において改質器によってエタノールなどの燃料を水素とメタンに改質できる、改質器を備えた燃焼力システムが記載される。続いて、改質物をタンクに貯蔵し、タンクから内燃機関に供給することができる。改質器の下流で、窒素酸化物を低減するEGRアセンブリが排気系統の出口通路に結合されている。
【0004】
このような燃焼力システムでは、通常、燃焼力システムの発熱特性を改善し、それにより排気ガスから熱を回収して内燃機関の効率を高めるべく、動力用燃料を変換するために改質器が使用される。
【0005】
さらに、改質された動力用燃料中の水素濃度を高めることにより、燃焼速度及び/又は燃焼継続時間とシリンダ内の燃焼の安定性とを増大させ、それによって噴射の継続時間を短縮することが知られている。従来技術から知られているエンジンアセンブリ若しくは燃焼力システムでは、必要な水素は燃料の触媒改質によって得られる。このような改質器は、戻される熱い排気ガスによって直接熱せられる。しかし、これによって得られる水素の量では効率を十分に向上させるのには足りないということが判明した。従来技術から知られている方法によって、動力用燃料を改質することで効率の向上に必要な水素を生成することは可能ではあるが、EGR率が約20%から30%に制限される。オットーエンジンの既知のエンジンアセンブリでは、EGR率が高くなるとエンジン動作中の燃焼が悪化するため、さらなる効率の向上はもはや不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公表第112011101274T5号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これを出発点とするものである。本発明の課題は、改質器を用いて燃焼力システムの効率を改善することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、本発明によれば、冒頭で述べた種類の燃焼力システムに第2の改質器が設けられることにより解決される。
【0009】
これによって達成される利点は、特に、第2の改質器を配置することによって燃焼力システムにおける熱流を最適に利用でき、同時に、圧力要件を最良に満たすことができるということに見ることができる。EGRアセンブリによって、排気ガスの熱エネルギーを改質プロセスのために有効に利用することができる。2つの改質器を配置することによって、改質プロセスを相応に省エネルギーで行うことができる。それにより、EGRアセンブリを備えた燃焼力システムの全効率を高めることができ、それに対応する動力用燃料の節約を達成することができる。
【0010】
燃焼力システムは、特に、例えば動力用燃料としてガソリンを用いて動作させることができるオットーエンジンアセンブリとして形成される。
【0011】
しかし、燃料としてエタノール又はエタノールと水の混合物が使用されることが好ましい。この混合物から、改質器によって、とりわけ水素とメタンを得ることができる。すなわち、改質物は、水素とメタンを含有する混合物を含む。水素とメタンを、好ましくは再循環部を介して内燃機関に供給し、そこで直接燃焼させることができる。燃料又は動力用燃料は特に液体である。「燃料」及び「動力用燃料」という用語は、本明細書中で同義語として使用される。
【0012】
EGRアセンブリとは、内燃機関からの排気ガスを内燃機関に戻すための排気ガス再循環アセンブリと理解されるべきである。EGRアセンブリは、属性的に対応する排気ガス再循環のために必要なすべての機能構成部品を含むことができる。燃焼力システムとは、特に、自動車、特に道路車両のための移動型燃焼力システムと理解されるべきである。しかしながら、EGRアセンブリは、例えば適切な燃焼力システムを備えた発電所において、据置型として使用することもできる。
【0013】
EGRアセンブリ若しくは再循環部を、再び燃料入口の手前若しくはそばの2つの異なった場所で再び戻すことができる。それは、再循環ガスがすでに高圧を有するか、又は低圧を有するかに応じて、タービンの上流又は下流のいずれかである。このために、EGRアセンブリに制御装置が配置され、これにより2つの経路のうちの1つに制御できることが好ましい。
【0014】
第1の改質器は、排気ガス/燃料混合物を改質するために、殊に触媒コーティングされ、特に触媒改質器として設計されている。第1の改質器を、プレート熱交換器を有するか、又は改質器プレート熱交換器として設計することができる。それにより改質器は省スペース的であると同時に、排気ガス/燃料混合物を改質するために広い面積を利用することができる。その場合、改質器プレート熱交換器のプレートは触媒コーティングされる。
【0015】
基本的に、第1及び第2の改質器を1つの共通の改質器の2つの部分として形成することができる。
【0016】
蒸発器は、特に蒸発器熱交換器として、液体動力用燃料を蒸発させるように形成されている。
【0017】
第2の改質器が改質器熱交換器として形成され、第2の改質器の第1の側が排気ガスラインと接続され、改質器の第2の側が再循環部と接続される場合が有利である。すなわち、高温の排気ガスが改質器熱交換器を暖め、この熱エネルギーによって再循環排気ガスを改質することができる。第2の改質器がプレート熱交換器を有するか、又は改質器プレート熱交換器として設計されている場合が、特に有利であることが判明した。それにより改質器は省スペース的であると同時に、排気ガス/燃料混合物を改質するために広い面積を利用することができる。その場合、改質器プレート熱交換器のプレートは、再循環排気ガスを改質するために第2の側が触媒コーティングされている。その場合、第2の側は、有利にはEGRアセンブリに配置されるか、又は少なくともEGRアセンブリと接続される。一実施例では、第2の改質器が排気ガスラインに配置され、EGRアセンブリの再循環部が第2の改質器の第2の側を通る場合が有利であることを企図することができる。再循環部は、第2の改質器の上流で、特に蒸発器に通じている。
【0018】
その際、第2の改質器の第1の側が排気ガスラインに配置され、第2の改質器の第2の側が再循環部と接続される場合が有利である。すなわち、改質器熱交換器として形成された第2の改質器は、EGRアセンブリと排気ガスラインとの間で熱を交換できるように燃焼力システムに配置されている。排気ガスラインの排気ガスは、改質器熱交換器の後に外部へ放出されるか、あるいは1つ又は複数の他の排気ガス後処理コンポーネントを通って流れる。排気ガスラインにおいて、改質器熱交換器(第2の改質器)の上流に、例えば触媒が配置されている。排気ガスラインにおいて、第2の改質器の下流に、有利には、ガスが外部の周辺環境に放出される前に、さらに別の排気ガス後処理要素を配置することができる。
【0019】
第2の改質器が再循環部において第1の改質器の下流に配置され、その場合、第2の改質器が排気ガスラインと接続される場合が有利である。すなわち、改質器熱交換器の第2側はEGRアセンブリに配置される。したがって、再循環部に戻された排気ガスは、最初に第1の改質器を通り、次に第2の改質器を通って流れ、2つの改質器によって段階的に完全に改質される。このために、両方の改質器は、EGR側が触媒コーティングされる。
【0020】
燃料を内燃機関及び蒸発器に供給するための燃料ラインが設けられることが有利である。燃料ラインによって動力用燃料を内燃機関に供給することができる。有利には、内燃機関の上流に燃料ラインからの分岐を設けることができ、この分岐を介して液体燃料を蒸発器で蒸発させるために蒸発器に供給することができる。この場合、蒸発器は、蒸発器熱交換器として形成されている。蒸発させるために必要なエネルギーは、改質された排気ガスを介して提供され、この排気ガスは、蒸発器熱交換器の高温側を通って導かれる。したがって、動力用燃料は改質器の低温側に供給される。
【0021】
第1の改質器の上流に混合器が配置され、蒸発燃料を混合器に供給するための蒸気ラインを蒸発器と混合器との間に設ける場合が合目的的である。蒸発器は、再循環部において第2の改質器の下流に配置され、改質された排気ガスが蒸発器に供給される。その場合、蒸発器において、これに供給された燃料が改質された排気ガスによって蒸発させられる。気体になった燃料は、再循環部における第1の改質器の上流に配置された混合器に供給される。混合器において、気体燃料が排気ガスラインから取り出される排気ガスと混合され、蒸気改質を行うために第1の改質器に供給される。それによって、触媒における吸熱反応に十分なエネルギーを供給することができ、この吸熱反応がより安定的に進行し、結果としてエネルギー回収の効果が最大化される。さらに、エネルギー供給によって、改質器により改質される動力用燃料の量を増加させることができる。それによって、水素の割合をさらに増加させることができ、エンジンアセンブリ全体の効率が向上する。本発明の範囲内で、触媒を形成及び配置することによって改質器におけるプロセスに直接影響を及ぼすことができることが判明した。その場合、特別な効果の1つは、動力用燃料を改質することによって、エンジンアセンブリにおけるEGRの許容範囲を増加できることである。それによって、EGR率を現在の限界である約30%から45%にまで高めることが可能である。したがって、特に有利な方法では、EGR率は30%超、45%以下、好ましくは40%~45%である。このEGR率の上昇は、改質によって生成される水素の量に直接依存する。本発明によるアセンブリは、システム熱を使用することによって、水素を製造するために十分な動力用燃料を生成することを可能にする。触媒に供給される動力用燃料は、気体の動力用燃料若しくは蒸気の動力用燃料として、例えば気体ガソリン又はエタノールの形態で存在する。したがって、エンジンアセンブリを本発明に従って形成することによって、一方では、改質器に供給される動力用燃料が発熱量の上昇によって改良され、他方では、水素の濃度が改善される。
【0022】
燃料を加熱するための加熱装置が設けられる場合が有利である。加熱装置は燃料ラインに配置され、その場合、燃料ラインの、燃料を蒸発器に供給する部分にのみ加熱装置が配置されることが好ましい。それによって、燃料は、蒸発器に入るときにはすでに規定の温度を有し、より効率的に蒸発を行うことができる。その場合、加熱装置のために必要な加熱エネルギーが内燃機関から取り出されることが有利である。
【0023】
内燃機関、及び場合によっては蒸発器に水を供給するための給水ラインを設けることができることが有利である。内燃機関に水を供給するために、特にインジェクタが設けられる。特にエタノールの燃焼を水によって改善及び安定化することができる。蒸発器における煤発生を防止、又は少なくとも低減すべき場合、燃料の他に水も蒸発器に供給される場合が有利である。基本的に、燃焼力システムがエタノールと水の混合物で動作する場合も有利であり得る。その場合、別個の給水ラインの必要がなくなる。
【0024】
EGR冷却器が蒸発器の下流に配置される場合が合目的的である。再循環部は、EGR冷却器の下流で再び内燃機関に戻される。
【0025】
排気ガスラインが、特に3元触媒として形成された少なくとも1つの触媒を備える場合が有利である。その場合、触媒は、特に第2の改質器の上流に配置される。排気ガスラインにおいて流れ方向に、好ましくは直接隣接する2つの3元触媒が設けられることが特に好ましい。しかし、触媒の下流の排気ガスは、第2の改質器で触媒材料を活性化する、すなわち動作温度にするのにまだ十分な熱を有する。
【0026】
第2の改質器は両側でコーティングされ、これらのコーティングがそれぞれ異なり、第1の側が特に3元触媒として形成される場合が特に有利である。このために、第2の改質器は、プレート改質器熱交換器として有利に形成される。すなわち、少なくとも1つの別個の3元触媒を省略することができる。このために、第1の側は、例えば貴金属を含む酸化アルミニウムなどの3元触媒の典型的なコーティングでコーティングされる。すなわち、第2の改質器の第1の側は、それによって形成される改質器熱交換器の高温側をなす。低温側をなす第2の側は、改質プロセスを実行するための触媒材料でコーティングされる。このために、改質器を、両側にコーティングを有するプレート熱交換器として形成することが好ましい。この場合、第1の側での反応が発熱的に、第2の側での反応が吸熱的に進行し、それによって排気ガスのエネルギーを改質のために直接利用できることが有利である。
【0027】
第1の改質器が両側でコーティングされる場合が有利であり、これらのコーティングがそれぞれ異なり、第1の側が排気ガスラインに配置され、特に3元触媒として形成される場合が有利である。それによって、第1の改質器も改質器熱交換器として形成される。その場合、第1の改質器は、そのすべての部分及び機能が上述の第2の改質器に相当する。第1の改質器の第1の側は、排気ラインにおいて第2の改質器の第1の側の上流に配置され、第1の改質器の第2の側は、EGRアセンブリにおける第2の改質器の第2の側の下流に配置されることが好ましい。すなわち、通常の3元触媒を両方とも省略できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による燃焼力システムは、自動車において有利に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
他の特徴、利点及び効果は、以下に説明される実施例から明らかになる。その際、参照される図において、
【0030】
【
図1】本発明による燃焼力システムの模式図である。
【
図2】別の本発明による燃焼力システムの模式図である。
【
図3】別の本発明による燃焼力システムの模式図である。
【
図4】別の本発明による燃焼力システムの模式図である。
【
図5】別の本発明による燃焼力システムの模式図である。
【
図6】別の本発明による燃焼力システムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、内燃機関2、排気ガスライン3及びEGRアセンブリ4を備えた本発明による燃焼力システム1を示す。EGRアセンブリ4は、第1の改質器7及び蒸発器8が配置された再循環部5を備える。蒸発器8及び第1の改質器7は、蒸気ライン12を介して間接的に互いに接続され、それにより気体燃料を第1の改質器7の方向に送ることができる。蒸気ラインは、第1の改質器7に直接通じるのではなく、混合器11に通じている。混合器11において、気体燃料は再循環排気ガスと混合される。再循環排気ガスは、内燃機関2の下流で排気ガスライン3から取り出され、再循環部5の第1の部分で混合器11に導かれる。混合器11の下流では、再循環排気ガスと気体燃料の混合物が第1の改質器7において少なくとも部分的に改質され、そのために第1の改質器7は触媒コーティングを有する。
【0032】
燃料を燃料タンクKから内燃機関2に、そして蒸発器8にも導く燃料ライン10がさらに設けられる。燃料は、蒸発器8において上述のように蒸発され、さらに処理される。燃料ライン10には、蒸発器8のための燃料を予め熱することができる加熱装置13が配置されている。両頭矢印で示されるように、加熱装置13は、内燃機関2と伝熱接触することができる。
【0033】
EGRアセンブリ4は、EGR冷却器15をさらに含み、再循環部5はEGR冷却器15の下流で再び燃料入口6に通じている。再循環排気ガスを2つの異なるライン23、24を介して燃料入口6へ戻すことができ、そのために、特にEGR冷却器15の下流に図示されない制御装置が設けられている。第1のライン23は低圧ラインであり、タービン19の上流の再循環排気ガスを再び内燃機関2の方向に間接的に燃料入口に向かって導く。第2のライン24は高圧ラインであり、タービン19の下流の再循環排気ガスを再び内燃機関2の方向に直接燃料入口6に向かって導く。内燃機関2の下流に別のタービン19が配置され、2つのタービン19は特に機械的に互いに接続されている。第1のタービン19の上流には、燃料/空気比を調整及び制御できるようにする空気流のための制御装置20が設けられている。
【0034】
燃焼力システム1は、改質器熱交換器、特にプレート改質器熱交換器として形成された第2の改質器9をさらに有する。したがって、第2の改質器9は、排気ガスライン3に配置されたか、若しくは排気ガスが流れる第1の高温側と、再循環部5に配置された第2の低温側とを有する。再循環排気ガスは、第1の改質器7から、触媒コーティングされた第2の改質器9の低温側に流れる。このコーティングは、第2の改質器9の第1の側を介して流れる排気ガスの熱によって活性化され、それにより、再循環排気ガスを特に完全に改質することができる。改質された再循環排気ガスは、第2の改質器9の下流で蒸発器8へ送られ、それによって燃料が上述のように蒸発される。最後に、再循環排気ガスは、EGR冷却器15を介して内燃機関2に戻される。
【0035】
燃焼力システム1には2つのタービン19の他に3元触媒16、及び排気ガス後処理のための他の要素18が配置されている。空気は、空気タンクLから第1のタービン19を介して内燃機関2に供給される。他の要素18の下流で、排気ガスライン3内の排気ガスが外部Aの周辺環境に放出される。
【0036】
図2において、本発明による別の燃焼力システム1の模式図が示され、この燃焼力システムは、大部分が
図1のものに相当し、そのため同じ参照番号を有する要素の説明がほとんど省略される。これに加えて、この燃焼力システム1では、燃焼を安定させるために水タンクWから内燃機関に水を供給する給水ライン14が設けられている。任意的に、給水ライン14は、蒸発時の煤発生を防止するために、蒸発器8に追加的に水も送ることができる(破線)。
【0037】
図3は、本発明による燃焼力システム1の別の実施例を示す。
図1ですでに説明した要素について、ここではそれ以上説明しない。
図3によれば、第2の改質器9はEGRアセンブリ4に配置されている。排気ガスライン3における排気ガスの一部が第2の改質器9の方向に送られ、そこで熱伝達のために利用され、続いて再び排気ガスライン3に戻される(
図3の矢印を参照)。この燃焼力システム1は、2つの3元触媒16、17をさらに備え、排気ガスは、2つの3元触媒16、17の下流で第2の改質器9に供給される。排気ガスの一部を第2の改質器9の方向に送るために、受動的又は能動的な分流器21が設けられる。排気ガスの各部分を再び一緒にするために、第2の能動的又は受動的な分流器22が第2の改質器9の下流に設けられる。
【0038】
図4による燃焼力システム1は、
図3の変形形態を示し、この場合、排気ガスの一部が第2の3元触媒17の上流で改質器に導かれ、第2の3元触媒17の下流で再び排気ガスライン3に再び戻される。この場合、第2の改質器9が第1の側でもコーティングされる場合が有利であり、これは第2の3元触媒コーティングであり、それにより第2の3元触媒17を相応に小さく形成することができる。
【0039】
図5において、別の本発明による燃焼力システム1の模式図が示され、前の図と同じ参照番号が付された要素は再び説明されない。この場合、第2の改質器9は、上記のものとは異なり、全排気ガスが排気ガスライン3を通って流れ、改質器熱交換器のこの第1の側は、それ自体が3元触媒として形成されるようにコーティングされている。したがって、第2の3元触媒17を省略することができる。改質器熱交換器の第2の側は、再び触媒改質器として形成されている。改質器熱交換器の第1の側での反応は発熱反応であり、改質器熱交換器の第2の側での吸熱反応のための熱を提供する。したがって、第2の改質器9は、両側がコーティングされたプレート改質器熱交換器として形成され、2つのコーティングは異なっている。
【0040】
図6は、
図5の燃焼力システム1の発展形態を示す。この場合、第1の改質器7も改質器熱交換器として形成され、両側がコーティングされている。第1の改質器7の第1の側を排気ガスが流れ、第1の側は3元触媒として機能し、そのために第1の側が相応にコーティングされている。第1の改質器7の第2の側を再循環排気ガスと気体燃料が流れ、これらはそこで改質され、そのためにこの側は、触媒コーティングを有する。第1の改質器熱交換器の第1の側での反応は再び発熱性であり、第1の改質器熱交換器の第2の側での吸熱反応のための熱を提供する。第2の3元触媒16を省略することができる。第1の改質器7は、第2の改質器9の上流側に配置されている。
【0041】
特に、
図5及び
図6の2つの実施形態は、一方で燃焼力システム1における要素の数が低減され、他方で、異なった圧力要件による問題が生じることなしに、燃焼力システム1の熱を最適に利用できることから有利であることが判明した。
【国際調査報告】